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特許7548032放射線検出器、放射線検出器を有する放射線撮像装置、放射線検出器に用いられる支持体および支持体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】放射線検出器、放射線検出器を有する放射線撮像装置、放射線検出器に用いられる支持体および支持体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 7/00 20060101AFI20240903BHJP
   A61B 6/42 20240101ALI20240903BHJP
【FI】
G01T7/00 A
A61B6/42 530W
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021009429
(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公開番号】P2022113300
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大瀧 順一朗
(72)【発明者】
【氏名】松尾 貴文
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-040369(JP,U)
【文献】特開2006-058124(JP,A)
【文献】特開2009-020099(JP,A)
【文献】特開2010-276687(JP,A)
【文献】特開2011-069992(JP,A)
【文献】特開2019-196944(JP,A)
【文献】特開2020-046408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 7/00
A61B 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に照射された放射線を検出する放射線検出部と、
筐体の内部に収容されて、前記筐体の内部で前記放射線検出部を支持する支持体と、
を有する放射線検出器であって、
前記支持体は、ビーズ法発泡体を材料としてなる、放射線検出器。
【請求項2】
前記放射線検出部は、放射線検出素子と、前記放射線検出素子を支持する、可撓性を有する基板と、を有する、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記支持体は、発泡倍率が5倍以上30倍以下のビーズ法発泡体を材料としてなる、請求項1または請求項2に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記支持体は、発泡倍率が5倍以上10倍以下のビーズ法発泡体を材料としてなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記支持体の、前記放射線を受光する方向における、最も薄い部分の厚さは、1.5mm以上5.0mm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記支持体は、電磁波を遮蔽するためのシールド材を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記支持体は、前記シールド材と、一体に形成される、請求項6に記載の放射線検出器。
【請求項8】
前記支持体は、前記支持体の前記放射線を受光する方向における強度を高めるためのプレート材を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項9】
前記支持体は、前記プレート材と、一体に形成される、請求項8に記載の放射線検出器。
【請求項10】
前記ビーズ法発泡体は、その内部に分散された帯電防止剤を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項11】
前記ビーズ法発泡体は、その表面が帯電防止剤で被覆されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項12】
放射線照射装置と、前記放射線照射装置から照射された放射線を受信する位置に配置された請求項1~11のいずれか一項に記載の放射線検出器と、を有する放射線撮像装置。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の放射線検出器に用いられる、ビーズ法発泡体を材料としてなる支持体。
【請求項14】
発泡剤を含む樹脂粒子を成形容器に投入する工程と、
前記成形容器の内部で樹脂粒子を加熱により発泡させる工程と、
を有する、
放射線検出器に用いられる、筐体の内部に収容されて前記筐体の内部で、被写体に照射された放射線を検出する放射線検出部を支持する支持体の製造方法。
【請求項15】
前記樹脂粒子を成形容器に投入する工程の後、前記発泡させる工程の前に、
前記投入された樹脂粒子を平滑化する工程を含む、
請求項14に記載の放射線検出器に用いられる支持体の製造方法。
【請求項16】
前記樹脂粒子を発泡させる工程は、粒子表面に帯電防止処理が施された樹脂粒子、または帯電防止剤と混合されている樹脂粒子を発泡させる、請求項14または請求項15に記載の放射線検出器に用いられる支持体の製造方法。
【請求項17】
樹脂粒子を成形容器に投入する工程において、電磁波を遮蔽するためのシールド材または支持体の強度を高めるためのプレート材と接するように、前記樹脂粒子を投入する、請求項14~16のいずれか一項に記載の放射線検出器に用いられる支持体の製造方法。
【請求項18】
前記発泡させる工程は、前記樹脂粒子を、発泡倍率が5倍以上30倍以下になるように発泡させる工程である、請求項14~17のいずれか一項に記載の放射線検出器に用いられる支持体の製造方法。
【請求項19】
前記発泡させる工程は、前記樹脂粒子を、発泡倍率が5倍以上10倍以下になるように発泡させる工程である、請求項14~17のいずれか一項に記載の放射線検出器に用いられる支持体の製造方法。
【請求項20】
前記樹脂粒子を成形容器に投入する工程において、
前記樹脂粒子を、最も薄い部分の厚さが、1.5mm以上5.0mm以下となる成形容器に投入する、請求項14~19のいずれか一項に記載の放射線検出器に用いられる支持体の製造方法。
【請求項21】
前記樹脂粒子を発泡させる工程後、前記樹脂粒子が発泡してなる成形体に帯電防止処理を施す工程を含む、請求項14~20のいずれか一項に記載の放射線検出器に用いられる支持体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器、放射線検出器を有する放射線撮像装置、放射線検出器に用いられる支持体および支持体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用、また産業用に放射線(X線)を用いて被写体(例えば人体)の内部を撮影し、診断に用いる各種手法がある。従来、フィルムによって画像を得る方法や、輝尽性蛍光体プレートを用いるコンピューティッドラジオグラフ(CR)が用いられていた。近年では、X線の分布をセンサーで受信し、処理回路で画像データ化するデジタルラジオグラフ(DR)が放射線撮影装置として主流となっている。このDRでは、フラットパネルディテクター(FPD)と称される放射線検出器が用いられ、撮影時の利便性のため、近年では、可搬型の放射線撮影装置が多く使用されるようになっている。
【0003】
FPDでは、被写体に照射されたX線を検出し電気信号として出力するセンサー(フォトダイオード等の素子)が多数内蔵されている。これらのセンサーは、例えば、ガラス製または樹脂製の基板上に作製され、放射線検出部としてのセンサーパネルとして筐体内に収容される。センサーパネルは、検出されたX線を電気信号として出力する。また、センサーパネルの裏面(X線の照射面と反対側の面)側には、出力された電気信号に基づいて画像データを生成するための電子デバイス(素子)が設けられた回路基板やバッテリーなどの種々の電子部品が配置されている。
【0004】
FPDは、人体などの被写体が筐体の上に載ってX線撮影を行う場合があるため、被写体からの荷重や衝撃などの外力からセンサーパネル、電子部品、回路基板および回路基板上の素子を保護する構造が必要となる。とくに、近年では、JIS規格に準拠した薄型のFPDが多く検討されており、より被写体による荷重や衝撃などの外力からセンサーパネルや回路基板等を保護するための強度を有することが求められている。
【0005】
そこで、FPDの強度を向上させるために、センサーパネルおよび電子部品を支持する支持体として、金属などの剛性の高い支持体を用いることが検討されてきた。しかしながら、金属などの剛性の高い支持体を用いると、センサーパネルなどを被写体からの荷重や衝撃などの外力から保護することができる一方で、装置が重くなり、持ち運びにくくなってしまう。そこで、被写体からの荷重や衝撃などの外力から保護する強度を維持しつつ、装置全体を軽量にするための検討がなされている。
【0006】
たとえば、特許文献1には、センサーパネルと、センサーパネルの下側に配置される電子部品と、上記センサーパネルおよび電子部品を支持する支持体と、上記センサーパネル、電子部品、および支持体を収容するための筐体とを有する放射線画像撮影装置が記載されている。特許文献1によると、上記センサーパネルおよび電子部品を支持する支持体を多数の空隙を有する多孔性部材(例えば、硬質樹脂の発泡体)にすることにより、軽量化を図りながらセンサーパネルなどの撓みや局所的な歪みを抑制できる放射線画像撮影装置を提供できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-196944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らが検討したところ、特許文献1のように、支持体に多孔性部材を用いることにより、装置は軽量化したものの、特許文献1の多孔性部材では、被写体からの荷重などの外力からセンサーパネルなどを保護するための十分な強度は得られなかった。また、放射線検出器はより軽量であることが求められている。
【0009】
本発明の目的は、軽量であり、かつ、被写体による荷重などの外力に対して十分な強度を有する放射線検出器を提供することである。また、本発明の別の目的は、当該放射線検出器に含まれる支持体および当該支持体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の一実施の形態に係る放射線検出器は、放射線を検出する放射線検出部と、前記放射線検出部を支持する支持体と、を有する放射線検出器であって、前記支持体は、ビーズ法発泡体を材料としてなる。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一実施の形態に係る放射線撮像装置は、放射線照射装置と、上記放射線照射装置から照射された放射線を受信する位置に配置された上記放射線検出器と、を有する。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の一実施の形態に係る支持体は、上記放射線検出器に用いられる、ビーズ法発泡体を材料としてなる。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の一実施の形態に係る支持体の製造方法は、発泡剤を含む樹脂粒子を成形容器に投入する工程と、前記成形容器の内部で樹脂粒子を加熱により発泡させる工程と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、軽量であり、かつ、被写体による荷重などの外力に対して十分な強度を有する放射線検出器を提供することができる。また、本発明によれば、上記放射線検出器を有する放射線撮像装置を提供することができる。また、本発明によれば、当該放射線検出器に用いられる支持体および当該支持体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る放射線検出器を有する放射線撮像装置を概略的に示す斜視図である。
図2図2は、実施の形態1に係る放射線検出器の断面図である。
図3図3A~3Fは、実施の形態1に係るビーズ法発泡体の製造工程の一部を概略的に示す模式図である。
図4図4は、本発明の一実施の形態に係るビーズ法発泡体の製造工程に用いる成形容器を示す断面図である。
図5図5は、実施の形態2に係る放射線検出器の断面図である。
図6図6A~6Gは、実施の形態2に係るビーズ法発泡体の製造工程の一部を概略的に示す模式図である。
図7図7は、実施の形態3に係る放射線検出器の断面図である。
図8図8A~8Gは、実施の形態3に係るビーズ法発泡体の製造工程の一部を概略的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
【0017】
[実施の形態1]
1.放射線撮像装置
図1は、本実施の形態に係る放射線検出器100を有する放射線撮像装置10を概略的に示す図である。
【0018】
本実施の形態に係る放射線撮像装置10は、病院内で患者(以下、被写体という)SにX線(放射線)を照射してX線画像(放射線画像)の撮影を行う装置である。放射線撮像装置10は、被写体Sに照射されたX線(放射線)を検出して電気信号として出力する放射線検出器100、およびX線(放射線)を出力するための放射線照射装置20を含む。また、放射線撮像装置10は、放射線検出器100から出力された電気信号を受信して、画像化および表示等を行うCPU30、放射線検出器100内のバッテリーの充電等を行う周辺機器としてのクレードル装置40を含む。
【0019】
放射線照射装置20は、図示しない公知のX線管(真空管)を備え被写体Sに近接して使用されるX線照射部50を有する。CPU30は、主として、放射線画像撮影の制御、放射線検出器100から取得されたX線画像の表示、X線画像のデータに関する画像処理内容等の指示を行うコンピューターである。CPU30は、プロセッサー、マウスやキーボードなどの操作入力部、液晶表示ディスプレイなどの表示部60に画像を表示するための表示部を有し、表示部60に表示されるメニュー画面等の各種画面を通じて、上述した制御、表示、指示等を行う。
【0020】
被写体SのX線撮影を行う場合を例として、放射線撮像装置10の概略的な動作を説明する。
【0021】
表示部60に表示されているX線撮影を実行するための操作画面(不図示)を通じて、X線照射部50から出力されるX線の強度等のパラメーターを、マウス等の入力操作によりCPU30に入力する。入力操作終了後に、表示部60の表示画面上の撮影ボタンを選択することにより、放射線照射装置20が作動し、設定されたパラメーターに従ってX線照射部50からX線が出力される。
【0022】
出力されたX線は、被写体Sの患部を透過して放射線検出器100の放射線検出部110に照射される。放射線検出器100は、被写体Sの患部を透過したX線の強度(強弱の分布)を放射線検出部110によって検出し、検出されたX線を電気信号に変換し、変換された電気信号をデジタル化してCPU30に転送する。CPU30は、受信したデータを適宜加工等して画像化し、表示部60にX線画像として表示する。
【0023】
2.放射線検出器の構成
図2は、実施の形態1に係る放射線検出器100の断面図である。図2に示されるように、放射線検出器100は、放射線を画像信号に変換する放射線検出部110と、放射線検出部110を支持する支持体120と、を有する。放射線検出部110および支持体120は、筐体130の内部に収容されている。また、筐体130の内部には、電気基板140、バッテリー150などの電子部品が収容されていてもよい。
【0024】
2-1.放射線検出部
放射線検出部110は、被写体(例えば人体)に照射されたX線(放射線)を検出し、電気信号として出力する複数のセンサーを有するセンサーパネルである。図2に示されるように、放射線検出部110は、放射線検出素子111と、放射線検出素子111を支持する、基板112と、を有する。なお、放射線検出素子111は、基板112上にn×mの二次元マトリクス状に配列されている。
【0025】
基板112は、ガラス基板であってもよく、可撓性を有する基板であってもよい。本実施の形態では、可撓性を有する基板であることが好ましい。可撓性を有する基板は、当該基板に所定の力を加えても基板を撓めることが可能な性質を有することから、基板の破損を抑制することができる。また、可撓性を有する基板は、一般にガラス基板よりも軽量であるため、放射線検出部110を、従来のものよりも軽量化することができる。また、後述する支持体120は、ビーズ法発泡体であるため、従来の発泡体(ビーズ法発泡体ではない発泡体)よりも軽量であるため、放射線検出器100をさらに軽量化することができる。このため、放射線検出器100によれば、被写体による荷重などの外力を受けたときの基板の破損のしにくさを維持しつつ、軽量化することができる。
【0026】
可撓性を有する基板の例には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルム、ポリサルホン樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース樹脂フィルムなどが含まれる。
【0027】
2-2.支持体
支持体120は、放射線検出部110を支持する部材である。支持体120の形状は、特に制限されないが、支持体120は、放射線検出部110と接触する面は、平面であり、放射線検出部110の下面(裏面側)を、厚さ方向および平面方向に隙間なく支持できることが好ましい。また、支持体120は、図2に示されるように、筐体130内に電気基板140およびバッテリー150を収容するための空間を有する形状であることが好ましい。なお、本実施の形態では、支持体120の形状は、電気基板140およびバッテリー150を収容するための空間を有していれば、図2に示される形状に制限されない。また、支持体120は、筐体130内の、放射線検出部110、電気基板140およびバッテリー150などの機器が配置されていない空間を隙間なく埋めて、何も配置されていない空間をなくすことができる形状であってもよい。
【0028】
本実施の形態に係る支持体120は、ビーズ法発泡体を材料としてなる。ビーズ法発泡体は、樹脂粒子に発泡剤を含侵させた発泡性樹脂粒子を発泡させてなる。ビーズ法発泡体は、発泡倍率を調整することにより、軽量化することができるとともに、被写体からの荷重などの外力に対して十分な強度を有するための密度を維持することができる。なお、本実施の形態において、ビーズ法発泡体とは、発泡剤が含浸している樹脂粒子を蒸気で加熱し、発泡剤を発泡させて、樹脂粒子の体積を数倍から数十倍に膨らませた発泡体をいう。
【0029】
本実施の形態において、上記樹脂粒子は、発泡剤を含浸させることができれば、特に制限されないが、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0030】
熱可塑性樹脂の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)等のポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、AS(アクリロニトリル-スチレン)樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2-ポリブタジエン系、フッ素ゴム系等の熱可塑性エラストマー、ポリアミド系、ポリアセタール系、ポリエステル系、フッ素系の熱可塑性エンジニアリングプラスチック、粉末ゴム等が含まれる。これらは、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また本発明の目的を損なわない範囲で変性、架橋された樹脂を用いてもよい。上記熱可塑性樹脂の中では、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル系樹脂であることが好ましい。
【0031】
また、上記樹脂粒子に含侵させる発泡剤は、公知の揮発性発泡剤または無機発泡剤を用いることができる。揮発性発泡剤の例には、プロパン、ブタン、ペンタンなどの脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、脂肪族アルコールなどが含まれる。また、無機発泡剤の例には、炭酸ガス、窒素ガス、エアー(空気)、および不活性ガス(例えばヘリウムガス、アルゴンガス)などが含まれる。
【0032】
なお、本実施の形態では、予め発泡剤が含浸された樹脂粒子(市販品を含む)を用いてもよい。
【0033】
本実施の形態に係るビーズ法発泡体は、その内部に分散された帯電防止剤を含むか、またはその表面が帯電防止剤で被覆されていることが好ましい。ビーズ法発泡体の内部に帯電防止剤が分散されているとは、ビーズ法発泡体の製造時に混合したり、樹脂粒子の表面または内部に含ませたりした帯電防止剤が、発泡後のビーズ法発泡体の内部に存在することを意味する。帯電防止剤は、ビーズ法発泡体の内部に均一に分散していてもよいし、ビーズ法発泡体の内部の一部に局在していてもよい。ビーズ法発泡体の表面が帯電防止剤で被覆されているとは、帯電防止剤を含む塗膜によりビーズ法発泡体の表面のすべてまたは一部が被覆されていることを意味する。上記塗膜は、ビーズ法発泡体の表面のすべてを被覆してもよいが、ビーズ法発泡体の表面のうち放射線検出部110と接する部分、もしくは電気基板140やバッテリー150などの電磁波を発生し得る部分、またはこれらの両方などの、一部のみを被覆していてもよい。本実施の形態では、ビーズ法発泡体は、内部に分散された帯電防止剤を含むことがより好ましい。
【0034】
帯電防止剤は、絶縁材料を通電しやすくすることにより、静電気の蓄積を抑制するための薬剤である。帯電防止剤の種類は、特に制限されず、公知のものを用いることができる。帯電防止剤の例には、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などが含まれる。帯電防止剤として、上記界面活性剤を用いることにより、絶縁材料の表面に空気中の水分を吸着させて、電気抵抗を下げることができるので、ビーズ法発泡体への静電気の蓄積を抑制することができる。
【0035】
カチオン性界面活性剤の例には、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩が含まれる。
【0036】
アニオン性界面活性剤の例には、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩が含まれる。
【0037】
非イオン性界面活性剤の例には、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0038】
通常、ビーズ法発泡体は帯電しやすいが、帯電防止処理を施すことにより、支持体の帯電を防止でき、帯電した支持体によるセンサーパネルや電気回路の誤作動を抑制できる。なお、ビーズ法発泡体が、帯電防止処理を施されているか否かは、例えば、表面電位計で測定または検出することにより判断することができる。
【0039】
また、ビーズ法発泡体は、必要に応じて、結合防止剤(合着防止剤)、展着剤などの表面処理剤を含んでいてもよい。結合防止剤は、ビーズ法発泡体を製造する際の予備発泡工程(後述)において、予備発泡された樹脂粒子同士の合着を抑制する。ここで、合着とは、予備発泡された複数の樹脂粒子が合一して一体化することをいう。結合防止剤の例には、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムが含まれる。結合防止剤の添加量は、上記樹脂粒子100質量部に対して、0.01~1.0質量部であることが好ましい。展着剤の例には、ポリブテン、ポリエチレングリコールおよびシリコンオイルなどが含まれる。
【0040】
ビーズ法発泡体は、軽量であり、かつ高い強度を有する。そのため、支持体をビーズ法発泡体により形成することで、支持体を軽量化しつつ、被検体からの荷重などの外力に対して十分な強度を維持することができる。一般に、ビーズ法発泡体の質量(密度)は、発泡倍率を高めるほど軽くなる。また、発泡倍率を高めすぎないことで強度の低下を抑制して、所望の強度を維持することができる。これらを両立する観点から、本実施の形態に係る支持体は、発泡倍率が5倍以上30倍以下のビーズ法発泡体を材料としてなることが好ましく、発泡倍率が5倍以上10倍以下のビーズ法発泡体を材料としてなることがさらに好ましい。発泡倍率が5倍以上であれば、ビーズ法発泡体の重量を十分に軽量化することができ、ビーズ法発泡体の製造も容易に行うことができる。また、発泡倍率が30倍以下であれば、ビーズ法発泡体のうちの放射線を受光する方向における最も薄い部分の厚さを後述する範囲にしても、発泡前の樹脂粒子に換算すると2~3個分の樹脂粒子が当該最も薄い部分に存在することになる。そのため、発泡後にも十分な量の樹脂が当該最も薄い部分に存在するため、ビーズ法発泡体の強度が被検体からの荷重によっても圧縮変形や曲げ変形等しないだけの十分な強度になる。たとえば、ベッドに横臥している被検者の下に配置して放射線画像を撮像する放射線検出器に用いるときは、発泡倍率の上限は30倍程度であればよく、片足で放射線検出器の上に立っている被検者の足の画像を撮像するような放射線検出器に用いるときは、発泡倍率の上限を10倍程度にして、支持体の強度をより高めてもよい。なお、発泡倍率は、ビーズ法発泡体の材料である樹脂粒子の密度を、発泡後のビーズ法発泡体の密度で除することにより求めることができる。
【0041】
また、支持体の軽量化と高い強度の維持とを両立させる観点から、ビーズ法発泡体の密度は、33kg/m以上200kg/m以下であることが好ましく、100kg/m以上200kg/m以下であることがより好ましい。ビーズ法発泡体の密度を、33kg/m以上とすることにより、被写体からの荷重などの外力に対して十分な強度を有するための密度を維持することができる。また、100kg/m以下とすることにより、ビーズ法発泡体を軽量化することができる。
【0042】
本実施の形態に係るビーズ法発泡体は、未発泡の樹脂粒子(発泡剤が含浸されている)を発泡させたものを用いてもよく、後述する予備発泡された樹脂粒子を発泡させたものを用いてもよい。なお、支持体がビーズ法発泡体を材料としてなることは、ビーズ法発泡体がセル構造を有するため、目視により判別することができる。
【0043】
また、図2に示される支持体(ビーズ法発泡体)120の、放射線を受光する方向における最も厚い部分の厚さtは、8mm以上12mm以下であることが好ましく、8mm以上10mm以下であることがより好ましい。支持体120の最も厚い部分の厚さtを8mm以上とすることにより、筐体130内で放射線検出部110および支持体が互いに密接した状態で配置することができる。また、支持体120の最も厚い部分の厚さtが12mm以下であることにより、放射線検出器100の内部に放射線検出部110、電気基板140およびバッテリー150などを収容しつつ、放射線検出器100をJIS規格に適合した大きさに調整することができる。
【0044】
また、支持体(ビーズ法発泡体)120の、放射線を受光する方向における最も薄い部分の厚さtは、1.5mm以上5.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以上4.1mm以下であることがより好ましい。ビーズ法発泡体の最も薄い部分の厚さtが1.5mm以上であることにより、最も薄い部分の厚さtには、発泡前の樹脂粒子が2~3個存在し得るので、十分な曲げ強度を得ることができる。通常、上記最も薄い部分の厚さtは、放射線検出器100の内部において、支持体120の放射線検出部110とは反対側に、バッテリー150などの機器が配置される部分の厚さである。これにより、被写体からの荷重などの外力を受けても、支持体は撓むことができるので、破損しにくくなる。また、5.0mm以下であることにより、JIS規格に示されるような厚さの放射線検出器100内に支持体だけでなく、電気基板、容量の大きなバッテリーなども適切に収容することができる。厚さtを上記範囲とする根拠を以下に説明する。
【0045】
たとえば、直径が0.5mmである発泡前の樹脂粒子を、支持体の強度を高めるために10倍に発泡させて、直径が1.1mm(0.5mm×10の3乗根)となった樹脂粒子を、六方最密充填で支持体の最も薄い部分の厚さ方向に2個存在させると厚さtは2.0mm((√6/3+1)×1.1mm)となり、また、支持体を軽量化するために、直径が0.5mmである発泡前の樹脂粒子を、樹脂粒子を30倍に発泡させて直径が1.6mm(0.5mm×30の3乗根)となった樹脂粒子を、最密充填により支持体の最も薄い部分の厚さ方向に3個存在させると厚さtは4.1mm((√6/3+1)×1.6mm)となる。なお、支持体の成形時において、25%程度の寸法のばらつきが生じるため、ばらつきを加味した厚さである1.5mm以上5.0mm以下を好ましい範囲としている。
【0046】
2-3.筐体
図2に示されるように、筐体130は、支持体120の他に、放射線検出部110、電気基板140、バッテリー150などの電子部品を収容する。また、筐体130は、本体部131と、底板部132と、を有する。本実施の形態では、図2に示されるように、箱体131は、断面が略コ字状になるように成形されているが、これに限定されない。天面板133と側面板134、135とは別部材であってもよく、天面板133の一方の側面に側面板134を当接させて固定し、他方の側面に側面板135を当接させて固定してもよい。
【0047】
筐体130の材質は、炭素繊維強化樹脂(Carbon Fiber Reinforced Plastics:CFRP)、ガラス繊維強化樹脂(Glass Fiber Reinforced Plastics:GFRP)、炭素繊維強化熱可塑性樹脂(Carbon Fiber Renforced Thermo Plastics:CFRTP)、軽金属、または軽金属を含む合金であることが好ましい。筐体130の材質を上記炭素繊維強化樹脂などにすることにより、剛性を保ちつつ筐体130を軽量化することができる。とくに、炭素繊維強化樹脂は、放射線の透過率が大きく、被検者を透過してきた放射線が途中で減衰することなく放射線検出部110へ到達させることができるため、放射線画像の画質を高めることができる。なお、箱体131と蓋体132は同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
【0048】
2-4.電気基板
電気基板140は、放射線検出部110に接続され、センサーパネル内の各センサー(放射線検出素子)によって検出されたX線(放射線)による電荷(照射されたX線の強弱状態)をA/D変換(変換された電気信号をデジタル化)して、変換されたデジタルデータを主回路基板(不図示)に供給する。主回路基板は、デジタルデータを統合して被写体の患部全体のX線画像のデータ(撮影画像データ)を生成し、生成した撮影画像データを、放射線検出器100内に一時記憶する。さらに、主回路基板は、生成した撮影画像データを、筐体130の側面側に設けられた図示しない入出力インターフェースを通じて、上述したCPU30(図1参照)などの外部装置に出力する。
【0049】
2-5.バッテリー
バッテリー150は、例えば、リチウムイオン電池などの繰り返し充放電が可能な電池であり、筐体130の側面側に設けられた充電用のコネクタ(不図示)を介して、クレードル装置40から供給される電力によって充電される。また、バッテリー150は、放射線検出部110などの放射線検出器100内部の電子機器に電力を供給する。
【0050】
次に、実施の形態1に係る支持体の製造方法について説明する。
【0051】
3.支持体の製造方法
実施の形態1に係る支持体の製造方法は、発泡剤を含む樹脂粒子を成形容器に投入する工程と、成形容器の内部で樹脂粒子を加熱により発泡させる工程と、を有する。また、実施の形態1に係る支持体の製造方法は、樹脂粒子を成形容器に投入する工程後、発泡させる工程の前に、投入された樹脂粒子の表面を平滑化する工程を含むことが好ましい。なお、実施の形態1に係る支持体の製造方法は、発泡剤を含む樹脂粒子を製造する工程、発泡剤を含む樹脂粒子を予備発砲させる工程を含んでもよい。以下、各工程について説明する。
【0052】
3-1.発泡剤を含む樹脂粒子を製造する工程
発泡剤を含む樹脂粒子を製造する工程は、樹脂粒子に発泡剤を含侵させて、発泡性樹脂粒子を製造する工程である。
【0053】
本実施の形態において、樹脂粒子は、上述の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0054】
また、樹脂粒子に含侵させる発泡剤は、上述の揮発性発泡剤または無機発泡剤を用いることができる。
【0055】
なお、実施の形態1では、予め発泡剤が含浸された樹脂粒子(市販品を含む)を用いてもよい。
【0056】
3-2.樹脂粒子を予備発泡させる工程
樹脂粒子を予備発泡させる工程は、発泡剤を含む樹脂粒子を予備発泡槽に入れ、加熱して予備発泡を行う工程である。樹脂粒子の予備発泡は、公知の方法により行うことができる。予備発泡の方法の例には、発泡性粒子を熱風、オイルの様な熱媒、スチーム(水蒸気)等により加熱して発泡させる方法がある。安定的に製造する為には、スチームにより加熱する方法であることが好ましい。予備発泡時の発泡機には密閉耐圧の発泡容器を使用することが好ましい。なお、予備発泡樹脂粒子は市販品を用いることができる。
【0057】
また、本実施の形態において、得られるビーズ法発泡体の発泡倍率が5倍以上30倍以下とすることができれば、予め予備発泡させた樹脂粒子(市販品を含む)をさらに発泡させたビーズ法発泡体を用いてもよい。
【0058】
3-3.予備発泡した樹脂粒子を成形容器に投入する工程
予備発泡した樹脂粒子を成形容器に投入する工程は、予備発泡した樹脂粒子を成形容器に投入する工程である。樹脂粒子を成形容器に投入して支持体を形成することにより、成形されたビーズ法発泡体(例えば矩形状)を所望する支持体の形状に加工するよりも、微細で複雑な構造を有する支持体を精度よく形成することができる。特に、放射線検出器を薄型化する際には、支持体も微細かつ複雑な形状とすることが求められる。このような微細かつ複雑な形状の成形体を製造するためには、成形容器により当該形状の成形体を成形する方法が望ましい。なお、成形時にある程度の寸法のばらつきが生じるが、成形による寸法のばらつきは設計値の上下25%の程度であり、この程度であれば放射線検出器に支持体を収容する際に問題なく、また成形体を支持体の形状に後加工するよりもなお寸法精度は良好である。
【0059】
図3A~3Dは、実施の形態1における樹脂粒子240を成形容器200に投入する工程を概略的に示す模式図である。図3Aは、実施の形態1で用いる成形容器200の断面図である。図3Aに示されるように、成形容器200は、少なくとも閉塞部210と、樹脂粒子受け入れ部220と、投入口230と、を有する。なお、図3Cおよび図3Dについては、後述する樹脂粒子を平滑化する工程で説明する。
【0060】
図3Aに示される、成形容器200の大きさおよび形状は特に限定されない。本実施の形態では、成形容器200は、成形されるビーズ法発泡体の、放射線を受光する方向における最も厚い部分の厚さtが、8mm以上12mm以下となる大きさおよび形状を有することが好ましく、8mm以上10mm以下となる大きさおよび形状を有することが好ましい。ビーズ法発泡体の最も厚い部分の厚さtを8mm以上とすることにより、筐体130内で放射線検出部110およびビーズ法発泡体が互いに密接した状態で配置することができる。また、12mm以下とすることにより、放射線検出器100の内部に放射線検出部110、電気基板140およびバッテリー150などを収容しつつ、放射線検出器100をJIS規格に適合した大きさに調整することができる。
【0061】
また、成形容器200は、成形されるビーズ法発泡体の、放射線を受光する方向における最も薄い部分の厚さtが、1.5mm以上5.0mm以下となる大きさおよび形状を有することが好ましく、2.0mm以上4.1mm以下となる大きさおよび形状を有することがより好ましい。最も薄い部分の厚さtが1.5mm以上となる成形容器200を用いることにより、成形されるビーズ法発泡体は、最も薄い部分の厚さtに、発泡前の樹脂粒子が2~3個存在し得るので、十分な曲げ強度を得ることができる。これにより、被写体からの荷重などの外力を受けても、支持体は撓むことができるので、破損しにくくなる。最も薄い部分の厚さtが5.0mm以下となる成形容器200に投入することにより、JIS規格に示されるような厚さの放射線検出器100に、JIS規格に示されるような厚さの放射線検出器100内に支持体だけでなく、電気基板、容量の大きなバッテリーなども適切に収容することができる。
【0062】
樹脂粒子240を成形容器200に投入する方法は、特に制限されず、常圧下で、樹脂粒子240を成形容器200の投入口230から樹脂粒子受け入れ部220に投入してもよく、もしくは加圧下で、樹脂粒子240を成形容器200の投入口230から樹脂粒子受け入れ部220に投入してもよく、または成形容器200の一部から空気を排出して減圧しながら投入口230から樹脂粒子受け入れ部220に投入してもよい。また、漏斗状の補助具を用いて樹脂粒子を成形容器200に充填してもよく、樹脂粒子が均一に充填されるように振動を与えながら樹脂粒子を成形容器200に充填してもよい。
【0063】
本実施の形態では、樹脂粒子240は、常圧下で成形容器200に投入されることが好ましい。空気を排出したり導入したりしながら樹脂粒子を充填させるためには、成形容器の内部に空気および樹脂粒子が通過できる十分な幅の流路がある必要があるが、放射線検出器の限られた厚みの内部に、その他の部材を隙間なく配置するためには支持体の形状は薄く、より複雑になる。そのため、成形容器の形状も薄型化および複雑化し、上記十分な幅の流路が確保できない可能性があり、空気を排出または導入により樹脂粒子を充填させようとすると、成形容器の内部の全体に空気が入り込めなかったり、樹脂粒子が流路の途中で詰まってしまったりすることがある。これに対し、常圧下で樹脂粒子を投入して、比較的ゆっくり樹脂粒子を充填させていくことにより、成形容器200の内部に隙間ができないように樹脂粒子を密に充填することができる。
【0064】
図3Bは、樹脂粒子240が成形容器200の投入口230から溢れるように投入されている状態を示す断面図である。図3Bに示されるように、成形容器200の投入口230から溢れる量の樹脂粒子240を投入して、後の工程で過剰量の粒子を除去することにより、投入口230の近傍などに樹脂粒子240が充填されなかった空間が形成されることを抑止し、成形容器200の内部に隙間なく樹脂粒子240を充填することができる。
【0065】
また、成形容器200に投入される、発泡剤を含む樹脂粒子240は、未発泡の状態の樹脂粒子であってもよい。
【0066】
また、樹脂粒子240は、粒子表面に帯電防止処理が施されているか、または帯電防止剤と混合されていることが好ましい。
【0067】
帯電防止剤は、上述の帯電防止剤を用いることができる。
【0068】
帯電防止処理を行うことにより、成形容器への充填時に静電気により成形容器外に飛散することや、不要なものに付着することを抑制することができる。なお、樹脂粒子240は、予め帯電防止処理が施されている樹脂粒子(市販品を含む)を用いてもよい。
【0069】
また、樹脂粒子240は、必要に応じて、結合防止剤(合着防止剤)、展着剤などの表面処理剤が添加されていてもよい。結合防止剤は、予備発泡工程(後述)において、予備発泡された樹脂粒子同士の合着を抑制する。ここで、合着とは、予備発泡された複数の樹脂粒子が合一して一体化することをいう。結合防止剤の例には、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムが含まれる。結合防止剤の添加量は、上記樹脂粒子100質量部に対して、0.01~1.0質量部であることが好ましい。展着剤の例には、ポリブテン、ポリエチレングリコールおよびシリコンオイルなどが含まれる。
【0070】
なお、本実施の形態において、発泡剤を含む樹脂粒子を投入するための成形容器は、図3Aに示した横型の成形容器200に制限されない。樹脂粒子を投入するための成形容器は、例えば、図4で示されるように、縦型の成形容器300(少なくとも閉塞部310と、樹脂粒子受け入れ部320と、投入口330とを有する)を用いてもよい。
【0071】
成形容器300に、樹脂粒子を投入する場合においても、上述のように樹脂粒子は成形容器300の投入口330から溢れるように投入されることが好ましい。
【0072】
3-4.樹脂粒子を平滑化する工程
図3Cは、樹脂粒子を平滑化する工程を示す断面図であり、図3Dは平滑化後の樹脂粒子の状態を示す断面図である。樹脂粒子の表面を平滑化する工程は、樹脂粒子240を成形容器200に投入する工程後、発泡させる工程の前に行われる。
【0073】
図3Cに示されるように、成形容器200に投入された樹脂粒子240の表面を平滑化する方法の例には、スキージ(すり切り用ヘラ)250を用いる方法が含まれる。成形容器200の投入口230からあふれた樹脂粒子240を除去して、投入口230における樹脂粒子240の表面を平滑にすることにより、投入口230の近傍などに樹脂粒子240が充填されなかった空間が形成されることを抑止し、成形容器200の内部に隙間なく樹脂粒子240を充填することができるので、外力に対して均一な強度を有するビーズ法発泡体(支持体)を得ることができる。また、樹脂粒子の投入量に過不足がないように樹脂粒子の投入量を微細に調整する必要がないため、前の工程をより簡易に行うことができる。
【0074】
3-5.成形容器の内部で樹脂粒子を加熱により発泡させる工程
成形容器の内部で樹脂粒子を加熱により発泡させる工程は、図3Eに示されるように、成形容器200の投入口230を閉塞部210で閉塞した後、樹脂粒子を所定の発泡倍率になるように成形容器内で発泡させる。
【0075】
樹脂粒子を発泡させる工程では、例えば、成形容器200を炉の内部に入れて、110~120℃で、1~2分間加熱して、樹脂粒子240を発泡倍率が5倍以上30倍以下になるように発泡させることが好ましく、発泡倍率が5倍以上10倍以下になるように発泡させることがより好ましい。ビーズ法発泡体の発泡倍率が5倍以上であると、ビーズ法発泡体の密度が小さくなるので、ビーズ法発泡体を材料としてなる支持体120を軽量化することができる。ビーズ法発泡体の発泡倍率が30倍以下であると、被写体を測定する際にかかる荷重などの外力に対して十分な強度を有するためのビーズ法発泡体の密度を維持することができる。
【0076】
また、ビーズ法発泡体の密度は、33kg/m以上200kg/m以下であることが好ましく、100kg/m以上200kg/m以下であることがより好ましい。ビーズ法発泡体の密度を、33kg/m以上とすることにより、被写体からの荷重などの外力に対して十分な強度を有するための密度を維持することができる。また、200kg/m以下とすることにより、ビーズ法発泡体を軽量化することができる。
【0077】
本実施の形態において、樹脂粒子を発泡させる工程後に、ビーズ法発泡体に帯電防止処理を施す工程を含んでもよい。ビーズ法発泡体の表面への帯電防止剤の付与は、帯電防止剤を含む塗液を塗布して乾燥させる方法などの公知の方法で行うことができる。ビーズ法発泡体の表面に帯電防止処理を行うことにより、通常、ビーズ法発泡体は帯電しやすいが、この様な構成とすることで支持体としての発泡成形体の帯電を防止でき、センサーパネルや電気回路に影響を与えることを抑制できる。なお、ビーズ法発泡体が帯電防止処理を施されているか否かは、例えば、表面電位計で測定または検出することにより判断することができる。
【0078】
このようにして、図3Fに示されるように、ビーズ法発泡体を材料としてなる支持体120を得ることができる。
【0079】
(効果)
ビーズ法発泡体を材料としてなる支持体を用いることにより、放射線検出器を軽量化することができるとともに、被写体を測定する際にかかる荷重などの外力に対して十分な強度を有するためのビーズ法発泡体の密度を維持することができる。これにより、軽量であり、かつ、外力に対して十分な強度を有する放射線検出器を提供することができる。また、上記製造方法により、微細で複雑な形状を有する支持体を精度良く効率的に製造することができ、支持体の生産性を高くすることができる。
【0080】
[実施の形態2]
1.放射線検出器の構成
図5は、実施の形態2に係る放射線検出器400の断面図である。放射線検出器400は、支持体410が、電磁波を遮蔽するためのシールド材420を有する点において実施の形態1と異なる。そこで、実施の形態1に係る放射線検出器100と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0081】
図5に示されるように、放射線検出器400は、放射線を画像信号に変換する放射線検出部110と、放射線検出部110を支持する支持体410と、を有する。支持体410は、電磁波を遮蔽するためのシールド材420を有する。放射線検出部110および支持体410は、筐体130の内部に収容されている。また、筐体130の内部には、電気基板140、バッテリー150などの電子部品が収容されていてもよい。
【0082】
図5に示されるように、支持体410は、シールド材420と一体に形成されていてもよく、または支持体410と放射線検出部110との間に配置されていてもよい。支持体410がシールド材420を有することにより、支持体410の強度を向上させることができる。また、シールド材を有することにより、電気基板で発生するノイズが支持体を通過してセンサーパネルに悪影響を及ぼすことを抑制することができる。本実施の形態において、「一体に形成されている」とは、接着や機械的接合を用いないで、シールド材が支持体(ビーズ法発泡体)と接合していることをいう。本実施の形態では、後述するように、シールド材420と接した状態の樹脂粒子240を発泡させることで、シールド材420と支持体410とを一体的に形成することができる。
【0083】
シールド材420は、電気基板140などから生じる電磁波を遮蔽することができれば、特に制限されない。シールド材420の例には、銅、アルミなどの金属箔、アルミ、銅などの金属の網、金属薄膜を有する樹脂フィルム、ITO膜を有する樹脂フィルムなどが含まれる。上記シールド材の中では、シールド性能をより高める観点からは低抵抗である金属箔が好ましい。軽量化の観点からは金属の網や金属薄膜を有するフィルムであることが好ましく、このときの材質としては低密度のアルミニウムを用いることが好ましい。金属の網を用いることにより、ビーズが網目の間で融着、固定され強度が上がる。また、上記樹脂フィルムは、ガラス転移点が比較的高い素材のフィルム(例えばPETフィルム)であれば、特に制限されないが、融着させて、支持体の強度を向上させる観点から、ビーズ法発泡体と同じ種類の樹脂であることが好ましい。なお、シールド材が金属薄膜を有する樹脂フィルムの場合、樹脂フィルムが樹脂粒子(ビーズ法発泡体)と同じ樹脂であっても、ビーズ法発泡体の断面を、例えば、断面顕微鏡で観察することにより、樹脂フィルムに該当する部分と樹脂粒子部分との区別をすることができる。
【0084】
また、シールド材420として、金属箔を用いる場合のシールド材420の厚さは、20μm以上100μm以下であることが好ましい。また、金属の網を用いる場合のシールド材420の線径は、約0.15mm程度とすることができる。また、金属箔または金属薄膜を有するフィルム、およびITO膜を有する樹脂フィルムを用いる場合のシールド材420の厚さは、25μm以上125μm以下であることが好ましい。シールド材420の厚さおよび線径を上述の範囲とすることにより、放射線検出部110と電気基板140間の電磁波遮蔽効果を向上させることができる。また、シールド材420として、金属薄膜を有するフィルムであって、ビーズ法発泡体と同じ樹脂を用いることにより、支持体の形成時に融着させて、支持体の強度を向上させることができる。
【0085】
2.支持体の製造方法
実施の形態2に係る支持体の製造方法は、樹脂粒子に発泡剤を含浸させて、発泡剤を含む樹脂粒子を製造する工程と、発泡剤を含む樹脂粒子を成形容器に投入する工程と、成形容器の内部で樹脂粒子を加熱により発泡させる工程と、を有する。実施の形態2に係る支持体の製造方法は、樹脂粒子を成形容器に投入する工程後、発泡させる工程の前に、投入された樹脂粒子の表面を平滑化する工程を含むことが好ましい。また、実施の形態2に係る支持体の製造方法は、実施の形態1と同様に、発泡剤を含む樹脂粒子を製造する工程、発泡剤を含む樹脂粒子を予備発砲させる工程を含んでもよい。なお、実施の形態1に係る支持体の製造方法と同一の工程については、その説明を省略する。
【0086】
2-1.発泡剤を含む樹脂粒子を製造する工程
発泡剤を含む樹脂粒子を製造する工程は、樹脂粒子に発泡剤を含侵させて、発泡性粒子を製造する工程である。上記工程は、実施の形態1と同様の方法で行うことができる。
【0087】
2-2.樹脂粒子を予備発泡させる工程
発泡剤を含む樹脂粒子を予備発泡槽に入れ、加熱して予備発泡を行う工程である。上記工程は、実施の形態1と同様の方法で行うことができる。
【0088】
2-3.予備発泡した樹脂粒子を成形容器に投入する工程
予備発泡した樹脂粒子を成形容器に投入する工程は、予備発泡した樹脂粒子を成形容器に投入する工程である。
【0089】
図6A~6Eは、樹脂粒子240を成形容器500に投入する工程を概略的に示す模式図である。図6Aは、実施の形態2で用いる成形容器500の断面図である。図6Aに示されるように、成形容器500は、少なくとも閉塞部210と、樹脂粒子受け入れ部220と、投入口230と、を有する。なお、図6C~6Eについては、後述する樹脂粒子を平滑化する工程で説明する。
【0090】
図6Bは、樹脂受け入れ部520に樹脂粒子240およびシールド材420が配置されている状態を示す断面図である。樹脂粒子240を成形容器500に投入する方法は、実施の形態1と同様にして行うことができる。
【0091】
また、図6Bに示されるように、樹脂粒子240を樹脂受け入れ部520にある程度の量を投入し、投入された樹脂粒子240の表面にシールド材420が配置されることが好ましい。なお、本実施の形態においては、シールド材420は、樹脂受け入れ部520に、樹脂粒子240を投入する前に配置しておいてもよいし、樹脂受け入れ部520に投入すべき量の樹脂粒子240を投入後に配置してもよい。
【0092】
そして、樹脂粒子240の表面にシールド材420を配置後、シールド材240を覆うようにさらに樹脂粒子240を樹脂受け入れ部520に投入する(図6C参照)。
【0093】
このとき、成形容器500に投入される、発泡剤を含む樹脂粒子240は、実施の形態1で用いることができる樹脂粒子を用いることができる。また、樹脂粒子240は、粒子表面に帯電防止処理が施されているか、または帯電防止剤と混合されていることが好ましい。帯電防止剤は、実施の形態1と同様の帯電防止剤を用いることができる。
【0094】
2-4.樹脂粒子の表面を平滑化する工程
図6C~6Eは、樹脂粒子240の表面を平滑化する工程を示す断面図である。樹脂粒子240の表面を平滑化する工程は、樹脂粒子240を成形容器500に投入する工程後、発泡させる工程の前に行われる。上記工程は、実施の形態1と同様の方法で行うことができる。
【0095】
2-5.成形容器の内部で樹脂粒子を加熱により発泡させる工程
成形容器の内部で樹脂粒子を加熱により発泡させる工程は、シールド材420を成形容器500に配置した状態で、図6Fに示されるように、成形容器500の投入口530を閉塞部510で閉塞した後、樹脂粒子を所定の発泡倍率になるように発泡させる工程であり、実施の形態1と同様の方法で行うことができる。本工程では、樹脂粒子を発泡倍率が5倍以上30倍以下になるように発泡させることが好ましく、発泡倍率が5倍以上10倍以下になるように発泡させることがより好ましい。
【0096】
このようにして、図6Gに示されるように、シールド材420を有するビーズ法発泡体を材料としてなる支持体410を得ることができる。なお、本実施の形態では、シールド材420と、一体に形成される支持体の説明をしたが、これに限定されない。シールド材420は、支持体410とセンサーパネル140との間に配置されていてもよい。
【0097】
本実施の形態において、樹脂粒子を発泡させる工程後に、ビーズ法発泡体に帯電防止処理を施す工程を含んでもよい。ビーズ法発泡体の表面への帯電防止剤の付与は実施の形態1と同様の方法で行うことができる。
【0098】
(効果)
金属箔などのシールド材を有するビーズ法発泡体を材料としてなる支持体を用いることにより、電磁遮蔽効果を有する支持体を得ることができる。また、シールド材として、金属薄膜を有するフィルム(フィルムはビーズ法発泡体と同じ樹脂)を用いることにより、支持体の形成時にフィルムを融着させて、支持体の強度を向上させることができる。これにより、電気基板で発生して支持体を通過したノイズによるセンサーパネルへの悪影響を抑制できる。
【0099】
[実施の形態3]
1.放射線検出器の構成
図7は、実施の形態3に係る放射線検出器600の断面図である。
【0100】
本実施の形態に係る放射線検出器600は、支持体610が、支持体の強度を高めるためのプレート材620を有する点において実施の形態1と異なる。そこで、実施の形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0101】
図7に示されるように、放射線検出器600は、放射線を画像信号に変換する放射線検出部110と、放射線検出部110を支持する支持体610と、を有する。支持体610は、支持体の強度を高めるためのプレート材620を有する。放射線検出部110および支持体410は、筐体130の内部に収容されている。また、筐体130の内部には、電気基板140、バッテリー150などの電子部品が収容されていてもよい。
【0102】
支持体610は、放射線を受光する方向における、厚さtが最も薄くなる部分に、プレート材620が配置されていることが好ましい。支持体610の当該部分に、プレート材620が配置されることにより、支持体610の重量を過度に上昇させることなく、部分的な曲げに対する強度、圧縮に対する強度を向上させることができる。なお、プレート材620は、支持体610の重量が過度に上昇することがなければ、支持体610の厚さtが最も薄くなる部分以外に配置されていてもよい。
【0103】
また、図7に示されるように、支持体620は、プレート材620と一体に形成されていることが好ましい。本実施の形態において、プレート材620は、支持体610と放射線検出部110との間に配置されていてもよい。支持体610がプレート材620を有することにより、支持体610の強度を向上させることができる。本実施の形態において、「一体に形成されている」とは、接着や機械的接合を用いないで、プレート材が支持体(ビーズ法発泡体)と接合していることをいう。本実施の形態では、後述するように、プレート材620と接した状態の樹脂粒子240を発泡させることで、プレート材620と支持体610とを一体的に形成することができる。
【0104】
プレート材620は、支持体610の部分的な曲げや圧縮に対する強度を高めることができれば、特に制限されない。プレート材の例には、ポリスチレン、ポリエチレン、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどが含まれる。上記プレート材の中では、ポリスチレン、ポリエチレン、変性ポリフェニレンエーテル樹脂など支持体材質と同じ材質であることが好ましい。プレート材620が、支持体材質と同じ材質であることにより、成形時に融着し一体化することで強度を高めることができる。
【0105】
また、プレート材の厚さは、0.5mm以上1.5mm以下であることが好ましい。支持体が、0.5mm以上のプレート材を有することにより、支持体の放射線を受光する方向における強度を高めることができる。また、支持体が、1.5mm以下のプレート材を有することにより、支持体の重量が過度に重くなるのを抑制することができる。
【0106】
2.支持体の製造方法
実施の形態3に係る支持体の製造方法は、樹脂粒子に発泡剤を含浸させて、発泡剤を含む樹脂粒子を製造する工程と、発泡剤を含む樹脂粒子を成形容器に投入する工程と、成形容器の内部で樹脂粒子を加熱により発泡させる工程と、を有する。実施の形態3に係る支持体の製造方法は、樹脂粒子を成形容器に投入する工程後、発泡させる工程の前に、投入された樹脂粒子の表面を平滑化する工程を含むことが好ましい。また、実施の形態3に係る支持体の製造方法は、実施の形態1と同様に、発泡剤を含む樹脂粒子を製造する工程、発泡剤を含む樹脂粒子を予備発砲させる工程を含んでもよい。なお、実施の形態1に係る支持体の製造方法と同一の工程については、その説明を省略する。
【0107】
2-1.発泡剤を含む樹脂粒子を製造する工程
発泡剤を含む樹脂粒子を製造する工程は、樹脂粒子に発泡剤を含侵させて、発泡性粒子を製造する工程である。上記工程は、実施の形態1と同様の方法で行うことができる。
【0108】
2-2.樹脂粒子を予備発泡させる工程
発泡剤を含む樹脂粒子を予備発泡槽に入れ、加熱して予備発泡を行う工程である。上記工程は、実施の形態1と同様の方法で行うことができる。
【0109】
2-3.予備発泡した樹脂粒子を成形容器に投入する工程
予備発泡した樹脂粒子を成形容器に投入する工程は、予備発泡した樹脂粒子を成形容器に投入する工程である。
【0110】
図8A~8Eは、樹脂粒子240を成形容器700に投入する工程を概略的に示す模式図である。図8Aは、実施の形態3で用いる成形容器700の断面図である。図8Aに示されるように、成形容器700は、少なくとも閉塞部710と、樹脂粒子受け入れ部720と、投入口730と、を有する。なお、図8C~8Eについては、後述する樹脂粒子を平滑化する工程で説明する。
【0111】
図8Bは、樹脂受け入れ部720に樹脂粒子240およびプレート材620が配置されている状態を示す断面図である。樹脂粒子240を成形容器700に投入する方法は、実施の形態1と同様にして行うことができる。
【0112】
また、図8Bに示されるように、プレート材620は、樹脂受け入れ部720にある程度の樹脂粒子240を投入した後に配置されていることが好ましい。なお、実施の形態3においては、プレート材620は、樹脂受け入れ部720に、樹脂粒子240を投入する前に配置しておいてもよいし、樹脂受け入れ部720に投入すべき量の樹脂粒子240を投入後に配置してもよい。
【0113】
また、図8Bに示されるように、樹脂粒子240を樹脂受け入れ部720にある程度の量を投入し、投入された樹脂粒子240の表面にプレート材620が配置されることが好ましい。なお、本実施の形態においては、プレート材620は、樹脂受け入れ部720に、樹脂粒子240を投入する前に配置しておいてもよいし、樹脂受け入れ部720に投入すべき量の樹脂粒子240を投入後に配置してもよい。
【0114】
そして、樹脂粒子240の表面にプレート材620を配置後、プレート材620を覆うようにさらに樹脂粒子240を樹脂受け入れ部720に投入する(図8C参照)。
【0115】
このとき、成形容器700に投入される、発泡剤を含む樹脂粒子240は、実施の形態1で用いることができる樹脂粒子を用いることができる。また、樹脂粒子240は、粒子表面に帯電防止処理が施されているか、または帯電防止剤と混合されていることが好ましい。帯電防止剤は、実施の形態1と同様の帯電防止剤を用いることができる。
【0116】
成形容器700は、実施の形態1で用いることができる成形容器と同じ成形容器を用いることができる。これにより、JIS規格に示されるような厚さを有する放射線検出器600に、支持体610の他に、放射線検出部110、電気基板140、およびバッテリー150などを適切に収容することができる。
【0117】
2-4.樹脂粒子の表面を平滑化する工程
図8C~8Eは、樹脂粒子240の表面を平滑化する工程を示す断面図である。樹脂粒子240の表面を平滑化する工程は、樹脂粒子240を成形容器700に投入する工程後、発泡させる工程の前に行われる。上記工程は、実施の形態1と同様の方法で行うことができる。
【0118】
2-5.成形容器の内部で樹脂粒子を加熱により発泡させる工程
成形容器の内部で樹脂粒子を加熱により発泡させる工程は、プレート材620を成形容器700に配置した状態で、図8Fに示されるように、成形容器700の投入口730を閉塞部710で閉塞した後、樹脂粒子を所定の発泡倍率になるように発泡させる工程である。上記工程は、実施の形態1と同様の方法で行うことができる。
【0119】
このようにして、図8Gで示されるように、プレート材620を有するビーズ法発泡体を材料としてなる支持体610を得ることができる。なお、本実施の形態では、プレート材620と、一体に形成される支持体の説明をしたが、これに限定されない。プレート材620は、支持体610とセンサーパネル140との間に配置されていてもよい。
【0120】
本実施の形態において、樹脂粒子を発泡させる工程後に、ビーズ法発泡体に帯電防止処理を施す工程を含んでもよい。支持体の表面への帯電防止剤の付与は、実施の形態1と同様の方法で行うことができる。
【0121】
(効果)
ビーズ法発泡体を材料としてなる支持体がプレート材を有することにより、支持体の放射線を受光する方向における、最も薄い部分の強度を向上させることができる。
【0122】
[その他の実施の形態]
上記した実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、上記実施形態によって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0123】
また、実施の形態2ではシールド材を有する支持体、実施の形態3ではプレート材を有する支持体について説明したが、本発明はこれに制限されない。たとえば、支持体の内部に、シールド材およびプレート材の両方が配置されていてもよい。また、成形容器の形状についても、成形される支持体が放射線検出器に収容することができれば、実施の形態1~3で説明した形状に制限されず、任意の成形容器を用いることができる。
【0124】
また、上述の放射線撮像装置は、病院などに固定する固定型であってもよいし、持ち運びができる可搬型であってもよい。上述の支持体を有する放射線検出器は、軽量であり持ち運びしやすく、かつ運搬時の衝撃等に対する強度もビーズ法発泡体によって高められるため、特に可搬型の放射線撮像装置に好適である。
【実施例
【0125】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0126】
[ビーズ法発泡体の製造方法]
ビーズ法発泡体を以下の手順で製造した。
【0127】
(ビーズ法発泡体1の製造方法)
直径0.5mmの樹脂粒子(発泡性ポリスチレンビーズ「エスレンビーズ」、積水化成品工業株式会社製)を圧力容器内に投入して、常圧下、100℃の水蒸気で加熱し、樹脂粒子を予備発泡させた。予備発泡後の樹脂粒子(予備発泡樹脂粒子)は、直径が0.8mmであった。そして、予備発泡樹脂粒子を成形容器(容器内面の寸法は、断面が図2に示した支持体を成形できる形状であり、放射線を受光する方向における、最も薄い部分の厚さは2mmである)に充填し、成形容器を炉内に設置して110~120℃の水蒸気を約1~2分間、炉内および成形容器内に充填した。得られたビーズ法発泡体を成形容器から取り出し、乾燥装置内で乾燥させることにより、ビーズ法発泡体1を得た。得られたビーズ法発泡体1の発泡倍率は、ビーズ法発泡体の材料である樹脂粒子の密度を発泡後のビーズ法発泡体1の密度で除することにより求めたところ、5倍であった。
【0128】
(ビーズ法発泡体2~4の製造方法)
ビーズ法発泡体2~4は、実施例1と同じ方法で得られた予備発泡樹脂粒子を用いて、同じ条件で炭酸ガスを浸透させた。その後、ビーズ法発泡体1と同じ成形容器に予備発泡樹脂粒子を充填し、表1に示す発泡倍率になるように、成形容器内に充填に充填する水蒸気の温度、時間を調整し、ビーズ法発泡体2~4を得た。なお、ビーズ法発泡体2~4の発泡倍率はビーズ法発泡体1と同様にして求めた。
【0129】
[評価]
上記製造方法により得られたビーズ法発泡体1~4について、荷重に対する強度の評価を行った。
【0130】
(評価方法)
上記ビーズ法発泡体1~4について、「横臥」を想定した荷重を0.2MPaとし、「全荷重(片足立ち)」を想定した荷重を1.4MPaとし、精密万能試験機「オートグラフ」(株式会社島津製作所製)を用いてビーズ法発泡体1~4が変形するかを観察した。
【0131】
(評価基準)
◎:変形は見られない
○:変形はほとんど見られない
△:変形は見られるが実用上問題のないレベルである
×:変形が大きく実用上使用できないレベルである
【0132】
上記評価結果を表1に示す。
【0133】
【表1】
【0134】
本発明のビーズ法発泡体を材料としてなる支持体は、臥位撮影であれば30倍以下の発泡倍率であっても変形は生じず、全荷重(片足)であれば10倍以下の発泡倍率であっても変形が生じないことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明の支持体は、支持体の重さを軽量化しても、十分な強度を得られるので、放射線検出器に用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0136】
10 放射線撮像装置
20 放射線照射装置
30 CPU
40 クレードル装置
50 X線照射部
60 表示部
100、400、600 放射線検出器
110 放射線検出部
111 放射線検出素子
112 基板
120、410、610 支持体
130 筐体
131 本体部
132 底板部
133 天面板
134、135 側面板
140 電気基板
150 バッテリー
200、300、500、700 成形容器
210、310、510、710 閉塞部
220、320、520、720 樹脂粒子受け入れ部
230、330、530、730 投入口
240 樹脂粒子
250 スキージ
420 シールド材
620 プレート材
t 厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8