(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】媒体供給装置、記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 43/00 20060101AFI20240903BHJP
B65H 19/12 20060101ALI20240903BHJP
B41J 15/00 20060101ALI20240903BHJP
B65H 5/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B65H43/00
B65H19/12 B
B41J15/00
B65H5/00 A
(21)【出願番号】P 2021024012
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2024-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】弥藤 圭一
(72)【発明者】
【氏名】野澤 明正
(72)【発明者】
【氏名】村田 充
(72)【発明者】
【氏名】中野 洋介
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-62281(JP,A)
【文献】特開2002-205843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 43/00
B65H 19/12
B41J 15/00
B65H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が巻き重ねられたロール体を保持する導電性のスピンドルを受ける受け部と、前記受け部に配置され、前記スピンドルを覆う進出位置と開放する後退位置とに変位可能な変位部材と、を備え、
前記受け部は、
前記スピンドルの軸回りの外周面に当接して、前記スピンドルの軸回りに回転可能に支持する支持部と、
前記スピンドルの端部に設けられた従動歯車に噛み合って前記スピンドルを前記軸回りに回転させる駆動歯車と、を有し、
前記変位部材は、
前記進出位置と前記後退位置とに回動可能な回動軸と、
前記スピンドルの前記受け部への設置時に前記スピンドルの前記軸回りの外周面に当接して、前記変位部材を前記後退位置から前記進出位置に前記回動軸を中心に回動させる当接部と、
前記進出位置において、前記受け部に設置された前記スピンドルの前記軸回りの外周面に当接する対向部と、
前記進出位置において、前記従動歯車を覆うカバー部と、
前記進出位置において、前記スピンドルに接触して接地電位に接続可能な接地部材と、を有することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体供給装置であって、
前記受け部は、前記スピンドルの有無を検出可能な検出部を有し、
前記変位部材は、段差部が形成された被検出部を有し、
前記検出部は、前記変位部材が前記進出位置と前記後退位置とに変位する際に、前記検出部と前記被検出部の前記段差部との位置関係で前記スピンドルの有無を検出する、媒体供給装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の媒体供給装置であって、
前記進出位置において、前記対向部は前記スピンドルの前記軸回りの外周面において、前記支持部よりも上方であって、前記スピンドルの軸の中心位置よりも高い位置で当接する、媒体供給装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の媒体供給装置であって、
前記カバー部は、前記スピンドルの前記従動歯車の外周に沿って湾曲する湾曲部を有する、媒体供給装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の媒体供給装置であって、
前記スピンドルの軸方向と、前記変位部材の前記回動軸の軸方向と、が同じである、媒体供給装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の媒体供給装置であって、
前記進出位置において、前記接地部材は前記スピンドルの前記軸回りの外周面に弾接する、媒体供給装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の媒体供給装置であって、
前記接地部材の少なくとも一部が前記当接部に設けられる、媒体供給装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の媒体供給装置であって、
前記接地部材は、前記回動軸に接続され、前記変位部材とともに回動する、媒体供給装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の媒体供給装置であって、
前記変位部材に対して前記後退位置に向かう力を付与する付与部材を有する、媒体供給装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の媒体供給装置であって、
前記支持部は、2つのローラーからなる、媒体供給装置。
【請求項11】
媒体が巻き重ねられたロール体を保持する導電性のスピンドルを受ける受け部と、前記受け部に配置され、前記スピンドルを覆う進出位置と開放する後退位置とに変位可能な変位部材と、前記媒体に記録を行う記録部と、を備え、
前記受け部は、
前記スピンドルの軸回りの外周面に当接して、前記スピンドルの軸回りに回転可能に支持する支持部と、
前記スピンドルの端部に設けられた従動歯車に噛み合って前記スピンドルを前記軸回りに回転させる駆動歯車と、を有し、
前記変位部材は、
前記進出位置と前記後退位置とに回動可能な回動軸と、
前記スピンドルの前記受け部への設置時に前記スピンドルの前記軸回りの外周面に当接して、前記変位部材を前記後退位置から前記進出位置に前記回動軸を中心に回動させる当接部と、
前記進出位置において、前記受け部に設置された前記スピンドルの前記軸回りの外周面に当接する対向部と、
前記進出位置において、前記従動歯車を覆うカバー部と、
前記進出位置において、前記スピンドルに接触して接地電位に接続可能な接地部材と、を有することを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体供給装置、及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、ロール紙を保持するスピンドルを着脱可能に支持するスピンドル受け部を備えたプリンターが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記プリンターでは、スピンドルの軸の一方端には従動歯車が設けられ、スピンドル受け部は、従動歯車と噛み合ってスピンドルを軸中心に回転させる駆動歯車が設けられる。また、上記プリンターで用いられるロール紙は比較的重いため、ロール紙を確実に保持するために金属製のスピンドルが採用される。
このようなプリンターに対して、従動歯車の回転部分へのユーザーの手指の進入を防止するための安全機能や、スピンドルの帯電防止機能が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
媒体供給装置は、媒体が巻き重ねられたロール体を保持する導電性のスピンドルを受ける受け部と、前記受け部に配置され、前記スピンドルを覆う進出位置と開放する後退位置とに変位可能な変位部材と、を備え、前記受け部は、前記スピンドルの軸回りの外周面に当接して、前記スピンドルの軸回りに回転可能に支持する支持部と、前記スピンドルの端部に設けられた従動歯車に噛み合って前記スピンドルを前記軸回りに回転させる駆動歯車と、を有し、前記変位部材は、前記進出位置と前記後退位置とに回動可能な回動軸と、前記スピンドルの前記受け部への設置時に前記スピンドルの前記軸回りの外周面に当接して、前記変位部材を前記後退位置から前記進出位置に前記回動軸を中心に回動させる当接部と、前記進出位置において、前記受け部に設置された前記スピンドルの前記軸回りの外周面に当接する対向部と、前記進出位置において、前記従動歯車を覆うカバー部と、前記進出位置において、前記スピンドルに接触して接地電位に接続可能な接地部材と、を有する。
【0006】
記録装置は、媒体が巻き重ねられたロール体を保持する導電性のスピンドルを受ける受け部と、前記受け部に配置され、前記スピンドルを覆う進出位置と開放する後退位置とに変位可能な変位部材と、前記媒体に記録を行う記録部と、を備え、前記受け部は、前記スピンドルの軸回りの外周面に当接して、前記スピンドルの軸回りに回転可能に支持する支持部と、前記スピンドルの端部に設けられた従動歯車に噛み合って前記スピンドルを前記軸回りに回転させる駆動歯車と、を有し、前記変位部材は、前記進出位置と前記後退位置とに回動可能な回動軸と、前記スピンドルの前記受け部への設置時に前記スピンドルの前記軸回りの外周面に当接して、前記変位部材を前記後退位置から前記進出位置に前記回動軸を中心に回動させる当接部と、前記進出位置において、前記受け部に設置された前記スピンドルの前記軸回りの外周面に当接する対向部と、前記進出位置において、前記従動歯車を覆うカバー部と、前記進出位置において、前記スピンドルに接触して接地電位に接続可能な接地部材と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図11】変位部材(被検出部)の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、記録装置10の構成について説明する。記録装置10は、液体(例えば、インク)を吐出することによって用紙などの媒体Mに記録(印刷)するインクジェット式の大判プリンターである。大判プリンターとは、例えば、短辺幅がA3(297mm)以上の媒体Mに記録可能なプリンターである。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の記録装置10は、媒体供給装置100と記録部35とを備える。記録装置10は、媒体供給装置100から媒体Mを供給し、供給される媒体Mに対して記録部35によって画像等を記録する。
【0009】
記録装置10は、本体11と脚部70とを備える。本体11は、略直方体形状の筐体12を有する。筐体12は、前壁13、後壁14、第1側壁15、第2側壁16、及び上壁17を有する。筐体12は、脚部70によって支持されるベースフレーム20に連結される。
記録装置10において、ベースフレーム20と上壁17とが対向する方向を記録装置10の高さ方向という。また、高さ方向に直交する面に沿う方向であって第1側壁15と第2側壁16とが対向する方向を記録装置10の幅方向という。高さ方向に直交する面において幅方向に直交する方向であって前壁13と後壁14とが対向する方向を記録装置10の前後方向という。図において、X軸に沿った方向が記録装置10の幅方向であり、Y軸に沿った方向が前後方向であり、Z軸に沿った方向が高さ方向である。
【0010】
媒体供給装置100は、筐体12内部に配置される。具体的には、媒体供給装置100は、筐体12の前壁13に設けられた開口を介して前壁13から後壁14に向かって形成された空間部に配置される。
【0011】
媒体供給装置100は、媒体Mが巻き重ねられた円柱状のロール体Rを保持する保持部としてスピンドル200を受ける受け部110を備える。ロール体Rを保持したスピンドル200を受け部110にセットすることにより、媒体供給装置100にロール体Rが収容される。本実施形態の媒体供給装置100は、高さ方向に並んだ状態で2つのロール体Rを収容可能に構成される。
【0012】
筐体12内には、ベースフレーム20に接続され、ベースフレーム20に対して+Z方向に延在する板状の第1サイドフレーム116及び第2サイドフレーム117が配置される。第1サイドフレーム116と第2サイドフレーム117とはX軸に沿った方向に離間して配置される。第1サイドフレーム116は、第2サイドフレーム117よりも+X方向に配置される。
受け部110は、第1サイドフレーム116と第2サイドフレーム117とに設けられる。これにより、スピンドル200のX軸に沿った方向の両端が、第1サイドフレーム116と第2サイドフレーム117とに支持される。スピンドル200は、第1サイドフレーム116及び第2サイドフレーム117に設けられた開口部118(
図4)を介して媒体供給装置100(受け部110)に対して取り付け及び取り外しが可能となる。
なお、第1サイドフレーム116及び第2サイドフレーム117は、金属製の板金である。
【0013】
本体11は、筐体12内に記録部35を備える。記録部35は、支持台36、ガイド軸37、キャリッジ38、及び記録ヘッド39を含む。
支持台36は、媒体供給装置100よりも上壁17側に配置される。支持台36は、筐体12内で幅方向に延びる板状の部材である。ロール体Rから繰り出された媒体Mは、筐体12内を支持台36まで搬送されたのち、支持台36上を後壁14側から前壁13側(+Y方向)に向かって搬送される。
【0014】
ガイド軸37は、支持台36よりも上壁17側に配置される。ガイド軸37は、幅方向に延びる棒状の部材である。ガイド軸37は、ガイド軸37に沿って移動可能にキャリッジ38を支持する。キャリッジ38は、モーターの駆動によりガイド軸37に沿ってX軸に沿って往復移動可能に構成される。
【0015】
キャリッジ38には、記録ヘッド39が搭載される。記録ヘッド39は、キャリッジ38に対して支持台36側に配置される。記録ヘッド39は、支持台36に支持される媒体Mに対して液体を液滴として吐出することにより媒体Mに対して記録を行う。
【0016】
図2に示すように、本体11は、筐体12内に搬送部45を備える。搬送部45は、ロール体Rから繰り出される媒体Mを搬送する。搬送部45は、搬送経路形成部46、中間ローラー47、及び搬送ローラー48を有する。
【0017】
搬送経路形成部46は、各ロール体Rに対応して設けられる。搬送経路形成部46は、受け部110に収容された各ロール体Rに対して後壁14側に位置する。搬送経路形成部46は、ロール体Rから繰り出された媒体Mを筐体12の後壁14側へと案内する搬送経路49を形成する。
【0018】
中間ローラー47及び搬送ローラー48は、搬送経路49を通過した媒体Mを搬送する。中間ローラー47及び搬送ローラー48は、幅方向に沿う軸を回転軸として回転可能に支持された一対のローラーである駆動ローラーと従動ローラーとで構成される。中間ローラー47及び搬送ローラー48は、駆動ローラーと従動ローラーとで媒体Mの表裏両面から挟んで支持する。
【0019】
搬送部45は、図示されない駆動モーターの正転駆動によって中間ローラー47及び搬送ローラー48を回転駆動することにより、搬送経路49を通じて媒体Mを支持台36へ搬送するとともに支持台36上を後壁14側から前壁13側へと搬送する。なお、
図2では、各ロール体Rの双方から媒体Mが送出されている状態を示しているが、実際の記録時は一方のロール体Rのみから媒体Mが送出される。
【0020】
図2に示すように、本体11は、筐体12内に排紙口部材50と切断部51とを有する。排紙口部材50は、支持台36に対する前壁13側に位置しており、支持台36を通過した媒体Mを支持するとともに、前壁13に形成された排紙口53へと媒体Mを案内する。切断部51は、媒体Mを切断する。切断部51によって切断された媒体Mは排紙口53から排出される。
【0021】
ここで、
図3に示すように、スピンドル200は、ロール体Rを幅方向に沿って貫通させる棒状の軸部201と、軸部201に設置され、ロール体Rの幅方向の両端を押さえる押さえ部202と、軸部201の一方端部に設けられた従動歯車203と、を備える。従動歯車203は受け部110に設けられた駆動歯車125(
図4)と噛み合うことで、スピンドル200が、軸部201を中心として軸回りに回転する。
また、本実施形態に用いられる媒体Mは大判サイズであるため、ロール体Rの重量が比較的大きくなる(例えば、15kg程度)。そこで、重いロール体Rを確実に保持するために、例えば導電性を有する金属製のスピンドル200が用いられる。
このようなスピンドル200を用いる媒体供給装置100では、従動歯車203の回転部分へのユーザーの手指の進入を防止するための安全機能や、スピンドル200の帯電防止機能が求められる。本実施形態の媒体供給装置100は、安全機能と帯電防止機能とを備えた構成となっている。
以下、媒体供給装置100の詳細な構成について説明する。
【0022】
図4及び
図5に示すように、媒体供給装置100は、受け部110と、変位部材150とを備える。
受け部110は、媒体Mが巻き重ねられたロール体Rを保持する金属製であり導電性のスピンドル200を受けるものである。受け部110は、第1サイドフレーム116と第2サイドフレーム117とに設けられる。以下、第1サイドフレーム116に設けられる受け部110を例に説明する。
変位部材150は、-X方向に見て、概略つるはし状を成す部材である。変位部材150は、受け部110に配置され、スピンドル200(従動歯車203部分)を覆う進出位置Pt2(
図5)とスピンドル200(従動歯車203部分)を開放する後退位置Pt1(
図4)とに変位可能な部材である。
【0023】
受け部110は、スピンドル200の軸部201を支持する支持部120を備える。
図6に示すように、支持部120は、スピンドル200の軸部201の外周面201aに当接して、スピンドル200を軸部201中心として軸回りに回転可能に支持する。支持部120は、スピンドル200の軸部201を下方から支持する。
本実施形態の各支持部120は、複数(本実施形態では、2つ)のローラー121で構成される。ローラー121は従動ローラーである。これにより、スピンドル200の軸部201が回転する際の回動抵抗を低減することができる。
【0024】
また、受け部110は、スピンドル200の従動歯車203と噛み合ってスピンドル200を軸回りに回転させる駆動歯車125を備える。
駆動歯車125は駆動モーターによって正転駆動することにより、スピンドル200の軸部201が回転する。これに伴いロール体Rが回転し、ロール体Rから繰り出された媒体Mが搬送部45によって搬送方向に搬送される。
なお、本実施形態では、スピンドル200の従動歯車203は、軸部201の一方端部のみに設けられており、駆動歯車125は、従動歯車203が配置される第1サイドフレーム116にのみ設けられる。
【0025】
変位部材150は、スピンドル200の従動歯車203を覆うための部材である。
変位部材150は、回動軸155を備える。回動軸155は、X軸に沿った方向に延在し、第1サイドフレーム116に接続される。これにより、受け部110(第1サイドフレーム116)に対して変位部材150が回動軸155を中心として進出位置Pt2と後退位置Pt1とに回動可能となる。
そして、スピンドル200が受け部110にセットされた状態において、スピンドル200の軸部201が延在する軸方向と、回動軸155が延在する軸方向と、が同じであり、いずれもX軸に沿った方向である。これにより、スピンドル200の受け部110へのセット方向と変位部材150の回転動作とが容易に同期可能となり、媒体供給装置100の構成を簡易化できるとともに、作業の効率性を高めることができる。
【0026】
また、変位部材150は、カバー部160を備える。カバー部160は、進出位置Pt2において、従動歯車203を覆う部位である。さらに詳細には、進出位置Pt2において、カバー部160は従動歯車203の+Y方向側に進出し、従動歯車203を覆う。
進出位置Pt2において、カバー部160の従動歯車203の外周に対応する部分は、従動歯車203の外周に沿って湾曲する湾曲部165を有する。湾曲部165は、湾曲面を有する。
図7に示すように、湾曲部165のX軸に沿った方向の幅寸法は、従動歯車203のX軸に沿った方向における幅寸法とほぼ同じである。これにより、-Y方向に見てカバー部160が従動歯車203全体と重なり、従動歯車203を覆うことができる。
ここで、従動歯車203の+X方向端部は、筐体12の第1側壁15によって覆われ、従動歯車203の-Y方向側は、筐体12の後壁14によって覆われている。加えて、カバー部160により従動歯車203の+Z方向側及び+Y方向側が覆われることで、スピンドル200の従動歯車203の回転部分への手指の進入を防ぐことができる。
さらに、カバー部160の従動歯車203と対向する部分に湾曲部165を設けることで従動歯車203の外周とカバー部160との隙間が低減され、より安全性を高めることができる。すなわち、媒体供給装置100の安全機能が確保される。
【0027】
また、媒体供給装置100は、付与部材180を有する。付与部材180は、変位部材150に対して後退位置Pt1に向かう力を付与する部材である。本実施形態の付与部材180は引張ばねである。付与部材180の一方端が第1サイドフレーム116に接続され、付与部材180の他方端が、変位部材150に設けられたフック部159に接続される。
変位部材150が後退位置Pt1に位置している場合(
図4)では、付与部材180は縮んだ状態であり、変位部材150が進出位置Pt2に位置している場合(
図5)では、付与部材180は伸びた状態であり、変位部材150に対して後退位置Pt1に向かう力が付与される。これにより、変位部材150の進出位置Pt2から後退位置Pt1への変位を容易に行うことができる。なお、付与部材180の引張り強度に対してロール体Rの重量の方が圧倒的に大きいので、スピンドル200が受け部110にセットされ、変位部材150が進出位置Pt2に位置した状態において、変位部材150が後退位置Pt1に変位することはない。
【0028】
また、変位部材150は、スピンドル200の受け部110への設置時にスピンドル200の軸部201の外周面201aに当接して、変位部材150を後退位置Pt1から進出位置Pt2に回動軸155を中心に回動させる当接部157を有する。
当接部157は、
図4に示すように、変位部材150が後退位置Pt1の状態において、+Y方向に突出した部分である。また、当接部157は、回動軸155よりも-Z方向であり+Y方向に配置される。また、当接部157は、湾曲部165よりも-Z方向に配置される。当接部157は、スピンドル200の従動歯車203との干渉を防止するため、カバー部160よりも-X方向に設けられる。
【0029】
そして、当接部157に向けてスピンドル200が進行すると、スピンドル200の+X方向端部側の軸部201の外周面201aが当接部157に接触する。さらに、スピンドル200を-Y方向に移動させると、スピンドル200の押し圧により、当接部157は-Y方向に移動し、湾曲部165は-Z方向に移動し、-X方向に見て変位部材150は回動軸155中心に時計回転方向に移動する。このとき、変位部材150は付与部材180による引張力に抗して時計回転方向に移動する。
【0030】
そして、当接部157を押し圧しながらスピンドル200をさらに-Y方向に移動させ、軸部201を受け部110のローラー121に支持させる。これにより、
図5に示すように、変位部材150は進出位置Pt2まで変位する。そして、従動歯車203は駆動歯車125に噛み合うとともにカバー部160で覆われる。
当接部157は、スピンドル200の受け部110へのセットに際し、変位部材150の後退位置Pt1から進出位置Pt2に変位するトリガーとして機能する。
【0031】
また、変位部材150は、対向部158を有する。
図5及び
図6に示すように、対向部158は、進出位置Pt2において、受け部110に設置されたスピンドル200の軸部201の外周面201aに当接する。対向部158は、平坦面を有し、当該平坦面が軸部201の外周面201aに当接する。対向部158は当接部157の近傍に設けられ、対向部158は当接部157よりも回動軸155に近い位置に配置される。対向部158は、進出位置Pt2において従動歯車203との干渉を防止するため、カバー部160よりも-X方向に設けられる。
【0032】
対向部158は、進出位置Pt2において、軸部201の外周面201aにおいて、支持部120よりも上方であって、軸部201の中心位置よりも高い位置で当接する。さらに詳細には、進出位置Pt2において、対向部158は、2つのローラー121よりも上方に位置する。これにより、スピンドル200を確実に保持することができる。
【0033】
なお、進出位置Pt2の状態からスピンドル200を+Y方向に移動させ、スピンドル200を受け部110から離間させると、変位部材150のスピンドル200による規制力が失われ、付与部材180の付勢力により、変位部材150は後退位置Pt1に変位する。
【0034】
次に、ロック機構190の構成について説明する。
媒体供給装置100は、スピンドル200を受け部110にセットした際、スピンドル200の支持部120に対する浮きを防止するためのロック機構190が設けられる。ロック機構190は、スピンドル200の軸部201の両端部に対応して設けられる。すなわち、ロック機構190は、第1サイドフレーム116及び第2サイドフレーム117に設けられる。なお、実施形態では、一方側(第1サイドフレーム116側)のロック機構190の構成について説明し、他方側のロック機構190の構成の説明は省略する。
【0035】
図6及び
図8に示すように、ロック機構190は、スピンドル200の軸部201の外周面201aに当接可能に構成され、軸部201に対して支持部120とは対向する位置で当接する。すなわち、ロック機構190は、軸部201の上方から当接する。
【0036】
ロック機構190は、固定部191と、レバー部192と、押当て部193と、を備える。固定部191はブロック状を成し、第1サイドフレーム116に固定される。
【0037】
レバー部192は、固定部191の+Y方向に配置される。レバー部192は、第1サイドフレーム116に固定された軸192aを中心に回転可能に構成される。レバー部192の軸192aに対して+Y方向端部には摘み部192bが設けられる。摘み部192bに手指を掛けて、摘み部192bを上方に移動させると、
図6に示すように、+X方向に見て、レバー部192は軸192a中心に時計回転方向に回転する。また、摘み部192bに手指を掛けて、摘み部192bを下方に移動させると、
図8に示すように、+X方向に見て、レバー部192は軸192a中心に時計反対回転方向に回転する。
【0038】
レバー部192の軸192aに対して-Y方向には-Y方向に突出した突起部192cが設けられる。一方、固定部191の+Y方向には、+Y方向に突出した規制部191aが設けられる。レバー部192の突起部192cと規制部191aとは当接・離間可能に構成される。すなわち、摘み部192bを上方に移動させると、レバー部192は軸192a中心に時計回転方向に回転し、突起部192cが規制部191aに当接すると、レバー部192の時計回転方向の回転が規制される。一方、摘み部192bを下方に移動させると、レバー部192は軸192a中心に時計反対回転方向に回転し、突起部192cと規制部191aとが離間する。
【0039】
押当て部193は、レバー部192の下方に配置される。押当て部193は、第1サイドフレーム116に固定された軸193aを中心に回転可能に構成される。当該軸193aは、レバー部192の軸192aよりも-Y方向に配置される。
押当て部193の軸193aに対して+Y方向端部には従動ローラー193bが設けられる。従動ローラー193bは、Y軸に倣った方向に2つ配置される。従動ローラー193bは、支持部120のローラー121と対向して配置される。
押当て部193は、軸部201の外周面201aに従動ローラー193bが当接する当接位置Dp2(
図8)と、軸部201の外周面201aから従動ローラー193bが離間する離間位置Dp1(
図6)とに変位する。
【0040】
押当て部193は、引張ばね194によって押当て部193が離間位置Dp1で保持するように付勢される。具体的には、引張ばね194の一方端が第1サイドフレーム116に接続され、引張ばね194の他方端が、押当て部193の-Y方向端部に設けられたフック部193cに接続される。
【0041】
そして、レバー部192と押当て部193とがリンク動作することにより押当て部193が軸部201に当接する当接位置Dp2と軸部201から離間する離間位置Dp1とに変位する。
具体的には、レバー部192の軸192aの下方に設けられ、押当て部193に向けて突出する凸部192dが設けられる。一方、押当て部193の上部には、レバー部192の凸部192dと当接する第1接触点Tp1と第2接触点Tp2とを有する。第2接触点Tp2は第1接触点Tp1よりも+Z方向に配置される。第1接触点Tp1と第2接触点Tp2との間に斜面193dが設けられる。さらに、斜面193dと第2接触点Tp2との間に上方に突起した小さい突起部193eが設けられる。
押当て部193が離間位置Dp1では、レバー部192の凸部192dは第1接触点Tp1に位置する。一方、押当て部193が当接位置Dp2では、レバー部192の凸部192dは第2接触点Tp2に位置する。
【0042】
次に、ロック機構190の動作について説明する。まず、ロック機構190を離間位置Dp1から当接位置Dp2に変位させる動作について説明する。
図6に示すように、受け部110の支持部120にスピンドル200をセットする。次いで、ロック機構190のレバー部192の摘み部192bを下方に移動する。これにより、レバー部192が軸192aを中心に時計回転反対方向に回転する。
レバー部192の回転により、レバー部192の凸部192dが第1接触点Tp1から斜面193dに倣って第2接触点Tp2に向けて移動する。これにより、押当て部193が軸193aを中心に時計回転反対方向に回転する。
【0043】
さらに、レバー部192が回転すると、レバー部192の凸部192dが斜面193dから突起部193eを乗り超えて第2接触点Tp2に到達する。これにより、
図8に示すように、押当て部193が当接位置Dp2に変位し、従動ローラー193bがスピンドル200の軸部201に当接する。
なお、押当て部193は、引張ばね194により時計回転方向に付勢されるが、押当て部193の突起部193eが障害となって、レバー部192の凸部192dの時計回転方向への移動が規制される。これにより、レバー部192の凸部192dが第2接触点Tp2に位置すると押当て部193が当接位置Dp2で保持され、スピンドル200の浮き等が抑制される。
【0044】
次に、ロック機構190を当接位置Dp2から離間位置Dp1に変位させる動作について説明する。
図8に示すように、ロック機構190を当接位置Dp2において、レバー部192の摘み部192bを上方に移動する。これにより、レバー部192が軸192aを中心に時計回転方向に回転する。
レバー部192の回転により、レバー部192の凸部192dが第2接触点Tp2から突起部193eを乗り超えて斜面193dを倣って第1接触点Tp1に向かって移動する。これにより、押当て部193が軸193aを中心に時計回転方向に回転する。
【0045】
さらに、レバー部192が回転すると、レバー部192の凸部192dが第1接触点Tp1に到達する。これにより、押当て部193は、引張ばね194の付勢力により軸193aを中心に時計回転方向に回転する。これにより、
図6に示すように、押当て部193が離間位置Dp1に変位し、従動ローラー193bがスピンドル200の軸部201から離間する。また、レバー部192の突起部192cが固定部191の規制部191aに当接するとともに、下方から押当て部193に押し圧されることでレバー部192の位置が保持される。
ロック機構190が離間位置Dp1に移動することで、スピンドル200の受け部110からの取り外しが可能となる。
【0046】
次に、接地部材170について説明する。
図4、
図5及び
図7に示すように、変位部材150は、接地部材170を備える。接地部材170は、変位部材150の進出位置Pt2において、スピンドル200に接触して接地電位に接続する。本実施形態の接地部材170は、板状の導電性部材(例えば、SUS材)である。
接地部材170は、回動軸155に接続され、変位部材150とともに回動可能に構成される。回動軸155は、第1サイドフレーム116(板金)に接続されており、スピンドル200の電位を媒体供給装置100(記録装置10)の電位と略等しくすることができる。
【0047】
接地部材170の少なくとも一部が対向部158及び当接部157に設けられる。すなわち、接地部材170は、回動軸155から対向部158、当接部157にかけて変位部材150の外周面に這わせて配置される。これにより、受け部110にスピンドル200をセットする際、スピンドル200は当接部157の位置で接地部材170に当接するため、移動過程の早期の時点で帯電の影響を最小限に抑えることができる。
【0048】
本実施形態では、変位部材150の進出位置Pt2において、接地部材170は対向部158の位置でスピンドル200の軸部201の外周面201aに接触する。これにより、接地部材170とスピンドル200とを安定した状態で接触させることができる。
【0049】
従って、媒体供給装置100は、安全機能に加え、帯電防止機能を確保することができる。
また、本実施形態の接地部材170は変位部材150に設けられる。すなわち、接地部材170は、受け部110側に配置されていない。このため、受け部110にスピンドル200をセットする際に、スピンドル200が不意に接地部材170に接触して接地部材170を損傷・変形させるおそれがない。従って、確実にスピンドル200の接地を行うことができる。
また、変位部材150は、付与部材180により後退位置Pt1に向かう力が付与される。従って、変位部材150の進出位置Pt2において、接地部材170のスピンドル200と接触する部分は、軸部201に向けて付勢されるので、接地部材170とスピンドル200との接触を確実に行うことができる。
【0050】
なお、本実施形態では、接地部材170の構成を板状としたが、これに限定されない。例えば、変位部材150が板バネ状の弾性体であってもよい。すなわち、スピンドル200の軸部201の軸回りの外周面201aに対して接地部材170が弾接する構成であってもよい。このようにすれば、接地部材170をスピンドル200に接触させやすくなり、より確実に接地することができる。
【0051】
また、本実施形態では、接地部材170をスピンドル200の軸部201に接触させる構成としたが、これに限定されない。例えば、スピンドル200への接触は軸部201の端部の端面であってもよい。
【0052】
次に、検出部140の構成について説明する。
検出部140は、受け部110に設けられ、受け部110におけるスピンドル200の有無を検出するものである。検出部140は制御部に接続され、制御部は、検出部140による検出信号に基づいて、受け部110にスピンドル200が有ると判断した場合は、駆動歯車125を駆動させる。これにより、スピンドル200の軸部201が軸回りに回転し、媒体Mの供給が開始される。一方、制御部は、検出部140による検出信号に基づいて、受け部110にスピンドル200が無いと判断した場合は、駆動歯車125の駆動を停止させる。これにより、スピンドル200の回転が停止し、媒体Mの供給が停止する。
【0053】
図9及び
図10にように、検出部140は、第1サイドフレーム116の変位部材150に対応する位置に配置される。本実施形態の検出部140は、スイッチ部141を備えたマイクロスイッチであり、スイッチ部141による機械的動作を電気信号に変換し、当該電気信号を検出信号として制御部に送信する。スイッチ部141は、X軸に沿った方向に変位する。
【0054】
図11に示すように、変位部材150は、段差部が形成された被検出部168を有する。被検出部168は、検出部140のスイッチ部141と対向する変位部材150の-X方向に設けられる。さらに詳細には、被検出部168は、カバー部160の-X方向に設けられる。
被検出部168は、段差部を成し、当該段差部は、第1被検出面168aと第2被検出面168bとを有する。
図11において、被検出部168の下部に第1被検出面168aが配置され、被検出部168の上部に第2被検出面168bが配置される。
第1被検出面168aは、凹部に配置される。第2被検出面168bは、第1被検出面168aよりも-X方向に配置される。すなわち、第2被検出面168bは、第1被検出面168aよりもスイッチ部141に近い位置に配置される。
【0055】
そして、検出部140は、変位部材150が進出位置Pt2と後退位置Pt1とに変位する際に、検出部140と被検出部168の段差部(第1被検出面168aと第2被検出面168b)との位置関係でスピンドル200の有無を検出する。
具体的には、
図9に示すように、変位部材150が後退位置Pt1に位置する場合、すなわち、受け部110にスピンドル200がセットされていない状態では、検出部140のスイッチ部141は、第1被検出面168aと対向する。この場合、スイッチ部141は第1被検出面168aに接触しないため、スイッチ部141は変位しない(スイッチOFF状態)。これにより、制御部は、スピンドル200が無いと判断する。
【0056】
一方、
図10に示すように、変位部材150が進出位置Pt2に位置する場合、すなわち、受け部110にスピンドル200がセットされた状態では、検出部140のスイッチ部141は、第2被検出面168bと対向する。この場合、スイッチ部141は第2被検出面168bに接触し、-X方向に変位する(スイッチON状態)。これにより、制御部は、スピンドル200が有ると判断する。
【0057】
なお、検出部140は光学センサーであってもよい。光学センサーは、発光部と受光部とを備える。また、例えば、被検出部168の一部に貫通孔を設ける。そして、変位部材150の後退位置Pt1と進出位置Pt2とにおける受光量に応じて、スピンドル200の有無を検出する構成であってもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
【0058】
以上、本実施形態の媒体供給装置100及び記録装置10は、安全機能、帯電防止機能に加え、受け部110におけるスピンドル200の有無を検出可能な検出機能を備える。
【符号の説明】
【0059】
10…記録装置、35…記録部、45…搬送部、100…媒体供給装置、110…受け部、116…第1サイドフレーム、117…第2サイドフレーム、120…支持部、121…ローラー、125…駆動歯車、140…検出部、141…スイッチ部、150…変位部材、155…回動軸、157…当接部、158…対向部、160…カバー部、165…湾曲部、168…被検出部、168a…第1被検出面、168b…第2被検出面、170…接地部材、180…付与部材、190…ロック機構、200…スピンドル、201…軸部、201a…外周面、202…押さえ部、203…従動歯車、Pt1…後退位置、Pt2…進出位置、M…媒体、R…ロール体。