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特許7548052画像形成装置、発光制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】画像形成装置、発光制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/47 20060101AFI20240903BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240903BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240903BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B41J2/47 101M
B41J29/393 107
G03G21/00 370
H04N1/113
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021026050
(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公開番号】P2022127845
(43)【公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関谷 知之
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-221548(JP,A)
【文献】特開2019-077138(JP,A)
【文献】特開2015-227943(JP,A)
【文献】特開2012-068565(JP,A)
【文献】特開2018-105895(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0091081(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/47
B41J 29/393
G03G 21/00
H04N 1/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部を構成する複数の光源から発せられた複数の光線を像担持体において主走査方向に走査して、画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により形成された画像の濃度情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された濃度情報に基づいて、各光源の複数の主走査位置における主走査間隔を算出する算出部と、
前記算出部により算出された主走査間隔に基づいて、各光源に周波数変調をかける変調部と、
前記変調部による変調結果に基づいて各光源の発光タイミングを制御する発光制御部と、
前記画像形成部により、前記主走査間隔を算出するためのチャートを形成させる画像形成制御部と、
を備え、
前記チャートは、主走査方向にn個配置された前記光源を配置順にLD1~LDnとしたとき、両端の前記光源であるLD1及びLDnから交互に出力された光線により形成される画像が、前記複数の主走査位置のそれぞれに形成されたものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記取得部は、カメラであることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記カメラにより取得された濃度情報に基づいて前記チャートの濃度解析を行い、前記主走査間隔を算出することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成制御部は、所定時間が経過した場合に、又は、環境変動が検知された場合に、前記チャートを形成させることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記取得部は、入力部により入力された濃度情報を取得することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成制御部は、前記画像形成部により前記チャートを形成させる際、前記発光タイミングを所定量ずらしたチャートを併せて形成させることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記算出部は、前記主走査位置ごとの主走査間隔の近似直線に基づいて、各主走査位置間の主走査間隔を算出することを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記発光タイミングを調整するための調整モードの実行を受け付ける受付部を備え、
前記画像形成制御部は、前記受付部により前記調整モードの実行を受け付けた場合、前記チャートを形成させることを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記光源部は、色ごとに備えられていることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
光源部を構成する複数の光源から発せられた複数の光線を像担持体において主走査方向に走査して、画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により形成された画像の濃度情報を取得する取得部と、を備える画像形成装置の発光制御方法であって、
前記取得部により取得された濃度情報に基づいて、各光源の複数の主走査位置における主走査間隔を算出する算出工程と、
前記算出工程で算出された主走査間隔に基づいて、各光源に周波数変調をかける変調工程と、
前記変調工程による変調結果に基づいて各光源の発光タイミングを制御する発光制御工程と、
前記画像形成部により、前記主走査間隔を算出するためのチャートを形成させる画像形成制御工程と、
を含み、
前記チャートは、主走査方向にn個配置された前記光源を配置順にLD1~LDnとしたとき、両端の前記光源であるLD1及びLDnから交互に出力された光線により形成される画像が、前記複数の主走査位置のそれぞれに形成されたものであることを特徴とする発光制御方法。
【請求項11】
光源部を構成する複数の光源から発せられた複数の光線を像担持体において主走査方向に走査して、画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により形成された画像の濃度情報を取得する取得部と、を備える画像形成装置のコンピュータを、
前記取得部により取得された濃度情報に基づいて、各光源の複数の主走査位置における主走査間隔を算出する算出部、
前記算出部により算出された主走査間隔に基づいて、各光源に周波数変調をかける変調部、
前記変調部による変調結果に基づいて各光源の発光タイミングを制御する発光制御部、
前記画像形成部により、前記主走査間隔を算出するためのチャートを形成させる画像形成制御部、
として機能させ
前記チャートは、主走査方向にn個配置された前記光源を配置順にLD1~LDnとしたとき、両端の前記光源であるLD1及びLDnから交互に出力された光線により形成される画像が、前記複数の主走査位置のそれぞれに形成されたものであることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、発光制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザープリンターやデジタル複写機などの画像形成装置には、光源より出射される半導体レーザーを用いて感光体を走査する画像書込部が搭載されている。
【0003】
近年、画像形成装置においては、画像記録の高速高密度化が求められており、複数の光源から出射されたレーザービームを用いて複数ラインの画像を1回の走査で感光体に書き込むことで画像形成が行われ、上記の画像形成を副走査方向に繰り返し行うことで1ページの画像形成が行われる。複数の光源を用いる構成では、周辺温度の上昇等により、各光源が設計位置に対して主走査方向にずれてしまい、光源ごとの傾き(主走査間隔)が変化する場合がある。これにより、出力画像にピッチムラが発生する。
【0004】
そこで、光源ごとの発光開始タイミングを調整することで、主走査間隔(主走査ピッチ)を補正する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-105895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載の構成においても、fθレンズのレンズ精度やメカ調整精度により、感光体上の各主走査位置(主走査方向の各位置)における光源ごとの傾きが変化するため、光源ごとに主走査倍率が変化して主走査ピッチ補正の効果が出なくなり、結果として出力画像にピッチムラが発生するという課題がある。
【0007】
本発明は、各主走査位置における光源ごとの傾きを補正して、ピッチムラの発生を低減させることが可能な画像形成装置、発光制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
画像形成装置において、
光源部を構成する複数の光源から発せられた複数の光線を像担持体において主走査方向に走査して、画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により形成された画像の濃度情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された濃度情報に基づいて、各光源の複数の主走査位置における主走査間隔を算出する算出部と、
前記算出部により算出された主走査間隔に基づいて、各光源に周波数変調をかける変調部と、
前記変調部による変調結果に基づいて各光源の発光タイミングを制御する発光制御部と、
前記画像形成部により、前記主走査間隔を算出するためのチャートを形成させる画像形成制御部と、
を備え、
前記チャートは、主走査方向にn個配置された前記光源を配置順にLD1~LDnとしたとき、両端の前記光源であるLD1及びLDnから交互に出力された光線により形成される画像が、前記複数の主走査位置のそれぞれに形成されたものであることを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の画像形成装置において、
前記取得部は、カメラであることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の画像形成装置において、
前記算出部は、前記カメラにより取得された濃度情報に基づいて前記チャートの濃度解析を行い、前記主走査間隔を算出することを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の画像形成装置において、
前記画像形成制御部は、所定時間が経過した場合に、又は、環境変動が検知された場合に、前記チャートを形成させることを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の画像形成装置において、
前記取得部は、入力部により入力された濃度情報を取得することを特徴とする。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の画像形成装置において、
前記画像形成制御部は、前記画像形成部により前記チャートを形成させる際、前記発光タイミングを所定量ずらしたチャートを併せて形成させることを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記算出部は、前記主走査位置ごとの主走査間隔の近似直線に基づいて、各主走査位置間の主走査間隔を算出することを特徴とする。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記発光タイミングを調整するための調整モードの実行を受け付ける受付部を備え、
前記画像形成制御部は、前記受付部により前記調整モードの実行を受け付けた場合、前記チャートを形成させることを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記光源部は、色ごとに備えられていることを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、
光源部を構成する複数の光源から発せられた複数の光線を像担持体において主走査方向に走査して、画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により形成された画像の濃度情報を取得する取得部と、を備える画像形成装置の発光制御方法であって、
前記取得部により取得された濃度情報に基づいて、各光源の複数の主走査位置における主走査間隔を算出する算出工程と、
前記算出工程で算出された主走査間隔に基づいて、各光源に周波数変調をかける変調工程と、
前記変調工程による変調結果に基づいて各光源の発光タイミングを制御する発光制御工程と、
前記画像形成部により、前記主走査間隔を算出するためのチャートを形成させる画像形成制御工程と、
を含み、
前記チャートは、主走査方向にn個配置された前記光源を配置順にLD1~LDnとしたとき、両端の前記光源であるLD1及びLDnから交互に出力された光線により形成される画像が、前記複数の主走査位置のそれぞれに形成されたものであることを特徴とする
【0019】
請求項11に記載の発明は、
光源部を構成する複数の光源から発せられた複数の光線を像担持体において主走査方向に走査して、画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により形成された画像の濃度情報を取得する取得部と、を備える画像形成装置のコンピュータを、
前記取得部により取得された濃度情報に基づいて、各光源の複数の主走査位置における主走査間隔を算出する算出部、
前記算出部により算出された主走査間隔に基づいて、各光源に周波数変調をかける変調部、
前記変調部による変調結果に基づいて各光源の発光タイミングを制御する発光制御部、
として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、各主走査位置における光源ごとの傾きを補正して、ピッチムラの発生を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置の制御構造を示す機能ブロック図である。
図3】画像書込部の概略構成を示す図である。
図4】用紙の主走査方向の先端、中央、後端の3か所で直線を印字する場合における各光源の発光タイミングの一例を示す図である。
図5】用紙の主走査方向の先端、中央、後端の3か所で直線を印字するケースにおいて、徐々に印字位置がずれていく様子の一例を示す図である。
図6】本実施形態に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図7】チャートが形成された用紙の一例を示す図である。
図8図7に示したチャート内の一のパッチを拡大した一例を示す図である。
図9】各光源の主走査間隔に傾きが残っている場合に形成されるパッチの一例を示す図である。
図10】カメラにより取得されたデータ(濃度情報)の一例を示す図である。
図11】主走査間隔と濃度との相関を示すグラフの一例を示す図である。
図12】各光源の発光タイミングを所定量ずらしたチャートを併せて形成したチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
本実施形態に係る画像形成装置1000は、例えば、レーザープリンターやデジタル複写機等として用いられ、図1及び図2に示すように、画像形成部10と、制御部20と、記憶部30と、カメラ40と、操作パネル50と、環境検知部60と、を備えて構成される。
【0024】
画像形成部10は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの色ごとに設けられた複数の画像書込部100と、画像書込部100に対応して設けられた感光体ドラム等の感光体(像担持体)200と、感光体200を帯電させる帯電部210と、光を照射された感光体200に現像剤を供給することで静電潜像を現像剤による像に顕像化する現像部220と、中間転写ベルト300と、現像剤による像を用紙Pに転写する転写ローラー400と、転写ローラー400により転写された現像剤による像を用紙Pに定着する定着部500と、を備えて構成される。
【0025】
画像形成部10は、光源部11(図4参照)を構成する複数の光源1(図3参照)から発せられた複数のレーザー光(光線)を感光体200において主走査方向に照射(走査)して、画像を形成する。具体的には、まず、画像形成部10は、画像書込部100より照射されるレーザー光によって感光された感光体200でトナー像を形成し、中間転写ベルト300上に当該トナー像を転写させる。次に、画像形成部10は、中間転写ベルト300に転写されたトナー像を転写ローラー400によって用紙Pに押圧して転写させ、定着部500によって当該用紙Pを加熱及び加圧することで、トナー像を用紙P上に定着する。そして、画像形成部10は、用紙Pを排紙ローラー(図示省略)等により搬送してトレイ(図示省略)に排紙することで画像形成処理を行う。
【0026】
画像書込部100は、図3に示すように、帯電部210により帯電された感光体200に対してレーザー光Lを照射することで感光体200を感光させる(感光体200上に静電潜像を形成する)。画像書込部100は、レーザー光Lを出射させる光源1と、光源1より出射されたレーザー光Lを偏向させる偏向器2と、偏向器2により偏向されたレーザー光Lを感光体200上に集光させるfθレンズ3と、fθレンズ3を透過したレーザー光Lを感光体200に向けて反射する反射ミラー4と、偏向器2により偏向されたレーザー光Lの一部を反射する同期検知ミラー5と、同期検知ミラー5により反射されたレーザー光Lを受光する受光素子6と、を備えて構成されている。
【0027】
光源1は、レーザー光Lを出射させるレーザーダイオード(LD)である。光源1から出射されたレーザー光Lは、偏向器2へと照射される。なお、図3に示す例では、説明の便宜上、1つの光源1のみを図示しているが、本実施形態においては、複数の光源1が主走査方向に等間隔で配置されており、これら複数の光源1により光源部11が構成される。なお、光源部11は、色ごとに備えられている。
【0028】
偏向器2は、側面が鏡面からなる多角柱形状をしたポリゴンミラーと、ポリゴンミラーに回動力を付与してポリゴンミラーを回動させるモーターと、を含んで構成される。偏向器2は、光源1から出射されたレーザー光Lを、回転に応じた向きに偏向する。そして、偏向器2は、偏向させたレーザー光Lを、fθレンズ3を介して感光体200の周面に照射する。この際、偏向器2は、回転位置に応じて感光体200の長手方向の異なる位置にレーザー光Lを照射するため、主走査方向(図3における感光体200の長手方向)へのレーザー光Lの走査を可能とする。
【0029】
fθレンズ3は、偏向器2で偏向されたレーザー光Lを感光体200に集光し、結像させる。
反射ミラー4は、fθレンズ3を透過したレーザー光Lを感光体200に向けて反射する。
【0030】
同期検知ミラー5は、偏向器2により偏向されてfθレンズ3を透過したレーザー光Lの一部を反射し、反射したレーザー光Lを受光素子6に入射させる。
受光素子6は、同期検知ミラー5により反射されたレーザー光Lを検出する光センサーである。そして、画像書込部100を備えた画像形成装置1000の制御部20は、受光素子6により検出される検出信号に基づいて、感光体200への書き出し位置のタイミング調整などを行う。
【0031】
制御部20は、CPU、RAM等を備えて構成される。CPUは、記憶部30等の記憶装置に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って、画像形成装置1000の各部の動作を集中制御する。
例えば、制御部20は、カメラ40により取得された濃度情報に基づいて、各光源1(光線)の複数の主走査位置における主走査間隔を算出する。すなわち、制御部20は、本発明の算出部として機能する。
また、制御部20は、算出された主走査間隔に基づいて、各光源1に周波数変調をかける。すなわち、制御部20は、本発明の変調部として機能する。
また、制御部20は、変調結果に基づいて各光源1の発光タイミングを制御する。すなわち、制御部20は、本発明の発光制御部として機能する。
【0032】
記憶部30は、制御部20により読み取り可能なプログラム、プログラムの実行時に用いられるファイル等を記憶している。記憶部30としては、ハードディスク等の大容量メモリーを用いることができる。
【0033】
カメラ40は、画像形成部10により形成された画像(チャート)の濃度情報(濃度分布)を取得する。すなわち、カメラ40は、本発明の取得部として機能する。なお、取得部として、カメラ40の代わりに、フォトダイオード等のセンサーを用いるようにし、画像形成部10により形成された画像に光を照射してその反射光を受光し、受光した反射光の光量等により画像の濃度情報を取得するようにしてもよい。
【0034】
操作パネル50は、ユーザーに対して各種情報を表示する表示部51と、ユーザーによる操作入力を受け付ける操作部52と、を備えて構成されている。
表示部51は、カラー液晶ディスプレイなどで構成され、制御部20から入力される表示制御信号に従って、操作画面等(各種設定画面、各種ボタン、各機能の動作状況等)を表示する。
操作部52は、表示部51の画面上に設けられるタッチパネルと、表示部51の画面周囲に配置される各種ハードキーと、を備えて構成されている。操作部52は、画面上に表示されたボタンが手指やタッチペン等で押下された場合、押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置に対応付けられた操作信号を制御部20に出力する。なお、タッチパネルは感圧式に限らず、例えば静電式や光式等であってもよい。また、操作部52は、ハードキーが押下された場合、押下されたキーに対応付けられた操作信号を制御部20に出力する。ユーザーは、操作部52を操作して、画質設定、倍率設定、応用設定、出力設定及び用紙設定等の画像形成に関する設定、用紙搬送指示、並びに装置の停止操作などを行うことができる。
【0035】
環境検知部60は、例えば、温湿度センサーなどであり、装置内の温度や湿度などの環境情報を検知する。
【0036】
本実施形態では、図4(A)に示すように、4つの光源1(LD1~LD4)が主走査方向に等間隔で配置されている。本実施形態において、光源部11は、複数(4つ)の光源1(LD1~LD4)を備えている。なお、光源部11を構成する光源1の数は、4つに限られず、複数であればいかなる個数であってもよい。
図4(B)に示すように、用紙Pの主走査方向の先端、中央、後端の3か所で直線を印字する場合、図4(A)に示すような発光タイミングで、光源部11を構成する各光源1(LD1~LD4)の発光を副走査方向に繰り返し制御している。図4(A)に示す例では、主走査方向後端側の光源1から順に(すなわち、LD4→LD3→LD2→LD1の順)に発光するよう制御している。なお、図中の符号X2は主走査方向に隣接する光源1間の距離を示しており、かつ、各光源1の発光時間を示している。すなわち、各光源1は、隣接する光源1間の距離に相当する時間だけ発光(走査)するよう制御されている。また、図中の符号X1は主走査方向先端側の光源1(LD1)と主走査方向後端側の光源1(LD4)との間の距離を示しており、かつ、主走査方向後端側の光源1(LD4)が発光を開始するタイミングと主走査方向先端側の光源1(LD1)が発光を開始するタイミングとの時間差を示している。
【0037】
本実施形態に係る画像形成装置1000の構成では、fθレンズのレンズ精度やメカ調整精度により主走査位置における光源1ごとの主走査間隔(傾き)が変化するため、用紙Pの主走査方向の先端、中央、後端の3か所で直線を印字するケースにおいて、図5に示すように、先端では直線だったとしても、中央や後端では印字位置がずれて直線ではなくなるケースがある。
そこで、本実施形態では、上記のようなピッチムラの発生を抑えるために、まず、制御部20は、画像形成部10により、主走査間隔を算出するための画像(チャート)を形成させる。すなわち、制御部20は、本発明の画像形成制御部として機能する。次いで、制御部20は、取得部(カメラ40)により取得された画像(チャート)の濃度情報に基づいて各光源1の複数の主走査位置における主走査間隔を算出し、算出された主走査間隔に基づいて各光源1に周波数変調をかけ(各光源1の周波数変調率を変更し)、変調結果に基づいて各光源1の発光タイミングを制御する。
【0038】
以下、本実施形態に係る画像形成装置1000の動作について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0039】
まず、制御部20は、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS101)。ここで、所定時間とは、各光源1の主走査間隔にずれが生じる虞があると見做すことができる程度の時間のことであり、ユーザーが任意で設定することができる。
制御部20は、所定時間が経過したと判定した場合(ステップS101:YES)、ステップS104へと移行する。
一方、制御部20は、所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS101:YES)、次のステップS102へと移行する。
【0040】
次に、制御部20は、環境検知部60により環境変動が検知されたか否かを判定する(ステップS102)。
制御部20は、環境変動が検知されたと判定した場合(ステップS102:YES)、ステップS104へと移行する。
一方、制御部20は、環境変動が検知されていないと判定した場合(ステップS102:NO)、次のステップS103へと移行する。
【0041】
次に、制御部20は、ユーザーにより、各光源1の発光タイミングを調整するための調整モードが選択されたか否かを判定する(ステップS103)。具体的には、制御部20は、操作部52を介して、調整モードの実行を指示する入力操作を受け付けた場合に、調整モードが選択されたと判定する。この場合、操作部52は、調整モードの実行を受け付ける本発明の受付部として機能する。
制御部20は、調整モードが選択されたと判定した場合(ステップS103:YES)、次のステップS104へと移行する。
一方、制御部20は、調整モードが選択されていないと判定した場合(ステップS103:NO)、ステップS101へと移行して、再度ステップS101~ステップS103の処理を繰り返す。
【0042】
次に、制御部20は、画像形成部10により、用紙に主走査間隔を算出するための画像(チャート)を形成させる(ステップS104)。
【0043】
図7に、チャートCH1が形成された用紙Pの一例を示す。
図7に示す例では、複数(5つ)の主走査位置のそれぞれに、画像(パッチPA)が形成されている。すなわち、チャートCH1は、パッチPAを、少なくとも主走査方向に2つ以上(本実施形態では5つ)含むものである。
また、図7に示す例では、副走査方向に、YMCKの4つの色のパッチPA(PA1~PA4)が形成されている。
【0044】
図8に、図7に示したチャートCH1内の一のパッチPA4を拡大した一例を示す。
図8に示すように、各パッチは、主走査方向にn個(本実施形態では4個)配置された光源1を配置順にLD1~LDn(本実施形態ではLD1~LD4)としたとき、両端の光源1であるLD1及びLDn(本実施形態ではLD1及びLD4)から交互に出力された光線により主走査位置ごとに形成される画像である。ここで、各パッチを、LD1及びLDnから交互に出力された光線により形成させるのは、主走査方向に最も離れた両端の光源1であるLD1及びLDnを用いることで、光源1ごとの主走査間隔を最も確認しやすいからである。
【0045】
図9に、各光源1の主走査間隔に傾きが残っている場合に形成されるパッチPA4の一例を示す。
図9に示す例では、LD1の発光により形成された画像G1とLD4の発光により形成された画像G2との境界近傍で、濃度が濃くなっている領域(符号E1参照)と薄くなっている領域(符号E2参照)が形成されている。すなわち、各光源1の主走査間隔に傾きが残っている場合、パッチの濃度にムラが生じることがわかる。
【0046】
次に、制御部20は、カメラ40により、ステップS104で形成されたチャートの濃度情報が取得されたか否かを判定する(ステップS105)。
制御部20は、チャートの濃度情報が取得されたと判定した場合(ステップS105:YES)、次のステップS106へと移行する。
一方、制御部20は、チャートの濃度情報が取得されていないと判定した場合(ステップS105:NO)、チャートの濃度情報が取得されるまでステップS105の処理を繰り返す。
【0047】
図10に、カメラ40により取得されたデータ(濃度情報)の一例を示す。
図10に示す例では、主走査方向の一部の領域で、濃度ムラが発生していることがわかる(図中符号N1参照)。
また、図11に、主走査間隔と濃度との相関を示すグラフの一例を示す。なお、図11の縦軸は、LD1の発光により形成された画像とLD4の発光により形成された画像との境界部分における主走査方向の濃度差(濃度の左右差)を、横軸は主走査間隔のずれ量を、それぞれ示している。
図11に示すように、濃度差が大きければ大きいほど、主走査間隔のずれ量が大きくなっていることがわかる。
【0048】
次に、制御部20は、カメラ40により取得された濃度情報に基づいてチャートの濃度解析を行い、各光源1の複数の主走査位置における主走査間隔を算出する(ステップS106:算出工程)。具体的には、制御部20は、カメラ40により取得された濃度情報に基づいて、主走査位置ごとにパッチの濃度解析を行い、各光源1の複数の主走査位置における主走査間隔を算出するようにする。
【0049】
次に、制御部20は、ステップS106で算出された主走査位置ごとの主走査間隔の近似直線に基づいて、各主走査位置間の主走査間隔を算出する(ステップS107)。
【0050】
次に、制御部20は、ステップS106及びステップS107で算出された主走査間隔に基づいて、各光源1に周波数変調をかける(ステップS108:変調工程)。
【0051】
次に、制御部20は、ステップS108における変調結果に基づいて各光源の発光タイミングを制御する(ステップS109:発光制御工程)。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置1000は、光源部11を構成する複数の光源1から発せられた複数の光線(レーザー光L)を像担持体(感光体200)において主走査方向に走査して、画像を形成する画像形成部10と、画像形成部10により形成された画像の濃度情報を取得する取得部(カメラ40)と、取得部により取得された濃度情報に基づいて、各光源1の複数の主走査位置における主走査間隔を算出する算出部(制御部20)と、算出部により算出された主走査間隔に基づいて、各光源1に周波数変調をかける変調部(制御部20)と、変調部による変調結果に基づいて各光源1の発光タイミングを制御する発光制御部(制御部20)と、を備える。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置1000によれば、各主走査位置における光源ごとの傾きを補正することができるので、ピッチムラの発生を低減させることができる。特に、実機内で起きた経時的な変化に対応することができるので、使用開始後の実機においても、ピッチムラの発生を低減させることができる。
【0053】
また、本実施形態に係る画像形成装置1000は、画像形成部10により、主走査間隔を算出するためのチャートを形成させる画像形成制御部(制御部20)を備える。また、チャートは、主走査方向にn個配置された光源1を配置順にLD1~LDnとしたとき、両端の光源1であるLD1及びLDnから交互に出力された光線により主走査位置ごとに形成される画像を、少なくとも主走査方向に2つ以上含むものである。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置1000によれば、主走査方向に最も離れた両端の光源1であるLD1及びLDnを用いて各パッチを形成させることができるので、光源1ごとの主走査間隔を最も確認しやすくすることができる。
【0054】
また、本実施形態に係る画像形成装置1000によれば、取得部は、カメラ40である。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置1000によれば、簡易な構成で画像の濃度情報を取得することができるので、容易にピッチムラの発生を低減させることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る画像形成装置1000によれば、算出部は、カメラ40により取得された濃度情報に基づいてチャートの濃度解析を行い、主走査間隔を算出する。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置1000によれば、簡易な構成で画像の濃度情報を取得して、各光源の複数の主走査位置における主走査間隔を算出することができるので、容易にピッチムラの発生を低減させることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る画像形成装置1000によれば、画像形成制御部は、所定時間が経過した場合に、又は、環境変動が検知された場合に、チャートを形成させる。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置1000によれば、各光源1の主走査間隔にずれが生じる虞があるタイミングで自動的にチャートを形成させることができるので、適切なタイミングでピッチムラの発生を抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る画像形成装置1000によれば、算出部は、主走査位置ごとの主走査間隔の近似直線に基づいて、各主走査位置間の主走査間隔を算出する。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置1000によれば、多くの主走査位置で画像を形成して濃度情報を取得しなくても各光源1の主走査間隔を算出することができるので、各処理に掛かるコストや時間を低減させることができる。
【0058】
また、本実施形態に係る画像形成装置1000は、発光タイミングを調整するための調整モードの実行を受け付ける受付部(操作部52)を備える。また、画像形成制御部は、受付部により調整モードの実行を受け付けた場合、チャートを形成させる。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置1000によれば、ユーザーが異常を認識したタイミングでチャートを形成させることができるので、適切なタイミングでピッチムラの発生を抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る画像形成装置1000によれば、光源部11は、色ごとに備えられている。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置1000によれば、色ごとに傾きを補正することができるので、各色においてピッチムラの発生を低減させることができる。
【0060】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0061】
例えば、上記実施形態では、カメラ40により、画像形成部10により形成された画像(チャート)の濃度情報を取得するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、カメラ40で濃度情報を取得する代わりに、ユーザーが目視で認識した濃度情報を、操作部52を介して入力することで、濃度情報を取得するようにしてもよい。この場合、操作部52は、本発明の入力部として機能し、制御部20が、入力部(操作部52)により入力された濃度情報(補正量)を取得する本発明の取得部として機能する。
具体的には、図12に示すように、制御部20が、画像形成部10によりチャートを形成させる際、通常のチャートCH1(図7参照)に加え、各光源1の発光タイミングを所定量ずらした(補正を振った)チャートCH2、CH3を併せて形成させるようにすることで、ユーザーが目視で濃度情報(補正量)を認識できるようにする。なお、図12には、副走査方向の中央部に通常(補正量0)のチャートCH1を、副走査方向の上部に補正量+10%のチャートCH2を、副走査方向の下部に補正量-10%のチャートCH3を、それぞれ形成させた一例を示している。
上記のように、取得部(制御部20)が、入力部(操作部52)により入力された濃度情報を取得することで、特に、ユーザーにより調整モードが選択された場合、その流れでチャートを目視して濃度情報を入力することができるので、画像形成装置1000内にカメラ等を設けることなく、濃度情報を取得することが可能となり、コストを低減させることができる。
また、画像形成制御部が、画像形成部10によりチャートを形成させる際、発光タイミングを所定量ずらしたチャートを併せて形成させることで、ユーザーが容易に目視で濃度情報を認識することができるので、容易に濃度情報を取得することができる。
また、ユーザーが目視で認識した濃度情報を、操作部52を介して入力する場合、制御部20は、操作部52により入力された濃度情報を取得し、当該取得した濃度情報に基づいて、各光源1の複数の主走査位置における主走査間隔を算出するようにする。
【0062】
その他、画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0063】
1000 画像形成装置
10 画像形成部
100 画像書込部
11 光源部
1 光源
2 偏向器
3 fθレンズ
4 反射ミラー
5 同期検知ミラー
6 受光素子
200 感光体(像担持体)
210 帯電部
220 現像部
300 中間転写ベルト
400 転写ローラー
500 定着部
20 制御部(算出部、変調部、発光制御部、画像形成制御部、取得部)
30 記憶部
40 カメラ(取得部)
50 操作パネル
51 表示部
52 操作部(受付部、入力部)
L レーザー光(光線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12