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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】電動車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 50/60 20190101AFI20240903BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B60L50/60
B60L9/18 L
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021042143
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2022142122
(43)【公開日】2022-09-30
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩成
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-115192(JP,A)
【文献】特開2018-182874(JP,A)
【文献】特開2012-175770(JP,A)
【文献】特開平11-187577(JP,A)
【文献】国際公開第2018/090853(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源装置、および、第2電源装置の二系統の電源装置と、前記第1電源装置に接続して電力の授受を行う第1モータと、前記第2電源装置に接続して電力の授受を行う第2モータと、前記第1電源装置および前記第2電源装置の出力を制御するコントローラとを備え、前記第1モータと前記第2モータとのうちの一方のモータで前輪を駆動し、前記第1モータと前記第2モータとのうちの他方のモータで後輪を駆動するように構成された電動車両の制御装置において、
前記コントローラは、
前記第1電源装置と前記第2電源装置とのうちのいずれか一方の電源装置の出力を制御するパラメータの値が予め定めた所定値より小さい場合に、前記一方の電源装置の出力を低下させ、かつ前記第1電源装置と前記第2電源装置とのうちの他方の電源装置の出力を増大させるように構成されている
ことを特徴とする電動車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モータと、そのモータに対して電力の授受が可能な電源装置とを備えた電動車両の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、駆動輪の駆動力および制動力を制御して車両を適切に走行させるとともに、車体に発生する複数の挙動を同時に制御するように構成された車両の制御装置が記載されている。この特許文献1に記載された車両の制御装置は、車両の各車輪にそれぞれ独立して駆動力または制動力を発生させる制駆動力発生機構と、車両のばね下に配置された各車輪をそれぞれ車両のばね上に配置された車体に連結するサスペンション機構と、制駆動力発生機構を制御して各車輪にそれぞれ独立した駆動力または制動力を発生させる制御手段とを備えている。制御手段は、運転者による車両の操作状態、および、車両の走行時に車体に発生する運動状態を検出し、少なくとも車両の操作状態および車体の運動状態に基づいて、車両を走行させるための目標前後駆動力、ならびに、車体の挙動を制御するための複数の目標運動状態量を演算する。そして、算出した目標前後駆動力および複数の目標運動状態量を実現するように、各車輪に配分し、各車輪にそれぞれ独立して発生させる駆動力または制動力を演算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-086712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載された制御装置を搭載する車両は、駆動力および制動力を発生させ、また、車両の前後加速度、ローリング、ピッチング、ヨーイングなどの車両の挙動を制御するためのアクチュエータとして、例えば、各車輪を直接駆動する駆動モータ(いわゆるインホイールモータ)が車輪ごとに設けられている。また、各車輪を独立に制動するブレーキ装置が車輪ごとに設けられている。そして、特許文献1に記載された車両の制御装置では、各車輪の駆動モータ、あるいは、各車輪のブレーキ装置を個別に制御して、上記のようにして算出される目標駆動力または目標制動力を発生させる。例えば、前後の車輪に分配する駆動力または制動力の比率が制御される。あるいは、左右の車輪に分配する駆動力または制動力の比率が制御される。それにより、目標前後駆動力および複数の目標運動状態量を実現させている。
【0005】
しかしながら、上記のような駆動力または制動力の分配を行うアクチュエータは、その作動状態や出力状況によっては、出力や動作に制限がかかる場合がある。例えば、駆動モータの温度によって、駆動モータの出力が制限される場合がある。また、駆動モータに電力を供給するバッテリの出力が制限され、その結果、駆動モータの出力が制限される場合がある。このような制限により、前後のいずれか一方の駆動モータの出力が制限された場合には、前後の駆動力配分のバランス(比率)が崩れる、あるいは、左右の駆動力配分のバランス(比率)が崩れる場合があり、ひいては、車両の挙動が不安定になるおそれがある。
【0006】
この発明は、上記の技術的課題に着目して考え出されたものであり、車両の挙動を制御する機器や装置の動作(あるいは出力)に制限がかかる場合であっても、適切に車両の挙動を制御することが可能な電動車両の制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明は、第1電源装置、および、第2電源装置の二系統の電源装置と、前記第1電源装置に接続して電力の授受を行う第1モータと、前記第2電源装置に接続して電力の授受を行う第2モータと、前記第1電源装置および前記第2電源装置の出力を制御するコントローラとを備え、前記第1モータと前記第2モータとのうちの一方のモータで前輪を駆動し、前記第1モータと前記第2モータとのうちの他方のモータで後輪を駆動するように構成された電動車両の制御装置において、前記コントローラは、前記第1電源装置と前記第2電源装置とのうちのいずれか一方の電源装置の出力を制御するパラメータの値が予め定めた所定値より小さい場合に、前記一方の電源装置の出力を低下させ、かつ前記第1電源装置と前記第2電源装置とのうちの他方の電源装置の出力を増大させるように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の電動車両の制御装置によれば、第1電源装置に接続されて電力の授受を行う第1モータ、および、第2電源装置に接続されて電力の授受を行う第2モータを備え、それら二つのモータのうちの一方のモータで前輪を駆動し、他方のモータで後輪を駆動する。そして、第1電源装置と第2電源装置とのうちのいずれか一方の電源装置の出力を制御するパラメータ(例えば、バッテリの温度やバッテリSOC)が予め定めた所定値より小さい場合には、その一方の電源装置に接続されたモータの出力を低下させ、他方の電源装置に接続されたモータの出力を増大するように構成されている。つまり、車両の前輪側と後輪側とでトルクの配分を補正するように構成されている。言い換えれば、電源装置におけるバッテリからの放電量(あるいは充電量)を制御する。これにより、第1電源装置と第2電源装置とでバッテリ温度やSOCのバランスが崩れることを抑制できる。そして、そのように各電源装置のバッテリ温度やSOCのバランスが崩れることを抑制できることにより、バッテリの出力に制限がかかることを抑制でき、その結果、第1モータや第2モータの出力が制限されることを抑制できる。また、そのように、各モータの出力が制限されることを抑制できるため、車両の前後の駆動力配分のバランス(比率)が崩れる、あるいは、左右の駆動力配分のバランス(比率)が崩れることを抑制できる。さらに、車両の挙動が不安定になる(あるいは走行安定性が低下する)ことをも抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の車両の制御装置で制御の対象とする車両の構成および制御系統の一例を示す図である。
図2図1に示す車両の各構成要素のうち、「第2モータ(後輪用の駆動モータ)」、および、「第2トルクベクタリング装置(差動制限機構付きのトルク配分デファレンシャル装置)」、ならびに、「電動パーキングブレーキ」、および、「オンボードブレーキ装置」等の構成および位置関係を説明するための図である。
図3】この発明の実施形態における制御の一例を説明するためのフローチャートである。
図4】この発明の実施形態における効果を説明するための図である。
図5】この発明の実施形態における他の制御例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、この発明を具体化した場合の一例に過ぎず、この発明を限定するものではない。
【0011】
図1に、この発明の実施形態で制御対象とする車両Veの駆動系統および制御系統の一例を示してある。図1に示す車両Veは、主要な構成要素として、第1モータ(MG)1、第2モータ(MG)2、第1トルクベクタリング装置(TVD)3、第2トルクベクタリング装置(TVD)4、第1電源装置(BAT)5、第2電源装置(BAT)6、第1ブレーキ装置7、第2ブレーキ装置8、第3ブレーキ装置9、第4ブレーキ装置10、検出部11、および、コントローラ(ECU)12を備えている。
【0012】
第1モータ1は、電気エネルギを機械的エネルギ(または回転エネルギ)に変換する、もしくは、機械的エネルギ(または回転エネルギ)を電気エネルギに変換する。第1モータ1は、後述する第1トルクベクタリング装置3を介して、左右の前輪(fl)13および前輪(fr)14に、動力伝達可能に連結されている。第1モータ1は、発電機能を有するモータ(いわゆる、モータ・ジェネレータ)であり、例えば、永久磁石式の同期モータ、あるいは、誘導モータなどによって構成されている。図1に示す実施形態では、第1モータ1は、前輪13,14の駆動力源として、永久磁石式の同期モータによって構成されている。
【0013】
第2モータ2は、電気エネルギを機械的エネルギ(または回転エネルギ)に変換する、もしくは、機械的エネルギ(または回転エネルギ)を電気エネルギに変換する。第2モータ2は、後述する第1トルクベクタリング装置3を介して、左右の後輪(rl)15および後輪(rr)16に、動力伝達可能に連結されている。第2モータ2は、発電機能を有するモータ(いわゆる、モータ・ジェネレータ)であり、例えば、永久磁石式の同期モータ、あるいは、誘導モータなどによって構成されている。図1に示す実施形態では、第2モータ2は、後輪15,16の駆動力源として、誘導モータによって構成されている。
【0014】
第1トルクベクタリング装置3は、電動のトルク配分・デファレンシャル装置であり、左右の前輪13,14のデファレンシャル装置として機能するとともに、第1モータ1の出力トルクを左右の前輪13,14に分配して伝達する。第1トルクベクタリング装置3は、後述する第2トルクベクタリング装置4と同様に、例えば、二組の遊星歯車機構(図示せず)、それら二組の遊星歯車機構におけるそれぞれのリングギヤ(図示せず)を連結し、かつ、反転させる反転ギヤ機構(図示せず)、第1モータ1からトルクが伝達される入力ギヤ機構(図示せず)、ならびに、左右の前輪13,14にそれぞれ連結する左右の出力軸(図示せず)の差動状態およびトルクの分配状態(配分比)を制御する差動用モータ(図示せず)などから構成されている。また、後述する第2トルクベクタリング装置4と同様に、第1トルクベクタリング装置3には、左右の出力軸の差動状態を制限する差動制限機構(図示せず)を設けてもよい。
【0015】
第2トルクベクタリング装置4は、電動のトルク配分・デファレンシャル装置であり、左右の後輪15,16のデファレンシャル装置として機能するとともに、第2モータ2の出力トルクを左右の後輪15,16に分配して伝達する。図2に示すように、第2トルクベクタリング装置4は、例えば、二組の遊星歯車機構4a,4b、それら二組の遊星歯車機構におけるそれぞれのリングギヤ(図示せず)を連結し、かつ、互いに反転させる反転ギヤ機構4c、第1モータ1からトルクが伝達される入力ギヤ機構4d、ならびに、左右の後輪15,16にそれぞれ連結する左右の出力軸(図示せず)の差動状態およびトルクの分配状態(配分比)を制御する差動制御用モータ4eなどから構成されている。また、図2に示す実施形態では、第2トルクベクタリング装置4には、左右の出力軸の差動状態を制限する差動制限機構(無励磁作動型の電磁ブレーキ)4fが設けられている。
【0016】
この発明の実施形態における車両Veは、第1電源装置5、および、第2電源装置6の、少なくとも二系統の電源装置を備えている。そのうち、第1電源装置5は、例えば、インバータ(図示せず)、および、バッテリ(図示せず)を有しており、インバータを介して、バッテリと第1モータ1とが接続されている。第1電源装置5は、第1モータ1に電力を供給して、第1モータ1を駆動する。また、第1モータ1で発電した電力(回生電力)が供給されて、バッテリを充電する。すなわち、第1電源装置5は、第1モータ1が接続され、第1モータ1との間で電力の授受を行う。また、第1電源装置5には、第1トルクベクタリング装置3の差動制御用モータ(図示せず)が接続されており、第1トルクベクタリング装置3の差動制御用モータに電力を供給して、その差動制御用モータを駆動する。
【0017】
一方、第2電源装置6は、例えば、インバータ(図示せず)、および、バッテリ(図示せず)を有しており、インバータを介して、バッテリと第2モータ2とが接続されている。第2電源装置6は、第2モータ2に電力を供給して、第2モータ2を駆動する。また、第2モータ2で発電した電力(回生電力)が供給されて、バッテリを充電する。すなわち、第2電源装置6は、第2モータ2が接続され、第2モータ2との間で電力の授受を行う。また、第2電源装置6には、第2トルクベクタリング装置4の差動制御用モータ4eが接続されており、差動制御用モータ4eに電力を供給して、差動制御用モータ4eを駆動する。
【0018】
第1ブレーキ装置7、第2ブレーキ装置8、第3ブレーキ装置9、第4ブレーキ装置10は、いずれも、車両Veの制動力を発生する装置であり、車両Veの制動時に作動して制動トルクを発生する。図1に示す実施形態では、第1ブレーキ装置7は、車両Veの左側の前輪13に制動力を発生させる。第2ブレーキ装置8は、車両Veの右側の前輪14に制動力を発生させる。第3ブレーキ装置9は、車両Veの左側の後輪15に制動力を発生させる。そして、第4ブレーキ装置10は、車両Veの右側の後輪16に制動力を発生させる。
【0019】
なお、図1および図2に示す実施形態では、車両Veには、電動パーキングブレーキ装置(EPB)17、および、オンボードブレーキ装置18が設けられている。電動パーキングブレーキ装置17は、電動モータ(図示せず)または電磁石(図示せず)等によって駆動され、入力ギヤ機構4dの回転をロックして、車両Veの停止状態を維持する。オンボードブレーキ装置18は、例えば、電磁ブレーキ(図示せず)によって構成されており、制動トルクを発生し、その制動トルクを、入力ギヤ機構4dを介して、左右の出力軸に伝達する。
【0020】
検出部11は、車両Veを制御する際に必要な各種のデータや情報を取得するための機器あるいは装置であり、例えば、電源部、マイクロコンピュータ、センサ、および、入出力インターフェース等を含む。具体的には、この発明の実施形態における検出部11は、運転者による車両Veの操作状態を検出するためのセンサとして、例えば、運転者によるアクセルペダル(図示せず)の操作量(すなわち、アクセルポジション、または、アクセル開度)や操作速度を検出するアクセルポジションセンサ11a、および、運転者によるブレーキペダル(図示せず)の操作量や踏力を検出するブレーキストロークセンサ11bを有している。また、車両Veの運動状態(車両の挙動)を検出するためのセンサとして、例えば、車速を算出する車速センサ11c、各車輪13,14,15,16の回転速度を検出する車輪速センサ11d、および、車両Veの前後加速度および横加速度を検出する加速度センサ11e、また、第1モータ1の状態および第2モータ2の状態をそれぞれ検出するためのセンサとして、例えば、第1モータ1の回転数および第2モータ2の回転数をそれぞれ検出するモータ回転数センサ(または、レゾルバ)11f、第1モータ1の温度(または、油温)および第2モータ2の温度(または、油温)をそれぞれ検出するモータ温度センサ11g、ならびに、第1モータ1のトルクおよび第2モータ2のトルクをそれぞれ検出するモータトルクセンサ11hを有している。更に、第1電源装置5の状態および第2電源装置6の状態をそれぞれ検出するためのセンサとして、例えば、第1電源装置5におけるバッテリの温度および第2電源装置6におけるバッテリの温度をそれぞれ検出するバッテリ温度センサ11i、第1電源装置5におけるバッテリのSOCおよび第2電源装置6におけるバッテリのSOCをそれぞれ検出するSOCセンサ11jなどを有している。そして、検出部11は、後述するコントローラ12と電気的に接続されており、上記のような各種センサや機器・装置等の検出値または算出値に応じた電気信号を検出データとしてコントローラ12に出力する。
【0021】
コントローラ12は、例えば、マイクロコンピュータを主体にして構成される電子制御装置であり、この発明の実施形態におけるコントローラ12は、主に、第1モータ1、第2モータ2、第1トルクベクタリング装置3、第2トルクベクタリング装置4、第1ブレーキ装置7、第2ブレーキ装置8、第3ブレーキ装置9、および、第4ブレーキ装置10などの動作をそれぞれ制御する。コントローラ12には、上記の検出部11で検出または算出された各種データが入力される。コントローラ12は、入力された各種データおよび予め記憶させられているデータや計算式等を使用して演算を行う。それとともに、コントローラ12は、その演算結果を制御指令信号として出力し、上記のような、駆動用の各モータ1,2、各トルクベクタリング装置3,4、各ブレーキ装置7,8,9,10などの動作をそれぞれ制御するように構成されている。なお、図1では一つのコントローラ12が設けられた例を示しているが、コントローラ12は、例えば、制御する装置や機器毎に、あるいは、制御内容毎に、複数設けられていてもよい。
【0022】
上記のように、この発明の実施形態における車両Veは、それぞれ、個別に制御可能な複数のアクチュエータを備えている。すなわち、図1図2に示す実施形態では、前後で一対のアクチュエータとして、前輪13および前輪14を駆動する第1モータ1と、後輪15および後輪16を駆動する第2モータとを備えている。また、前後で一対のアクチュエータとして、第1モータ1の出力トルクを前輪13および前輪14に分配して伝達させる第1トルクベクタリング装置3と、第2モータ2の出力トルクを後輪15および後輪16に分配して伝達させる第2トルクベクタリング装置4とを備えている。更に、前輪13を制動する第1ブレーキ装置7と、前輪14を制動する第2ブレーキ装置8と、後輪15を制動する第3ブレーキ装置9と、後輪16を制動する第4ブレーキ装置10とを備えている。これら四つのブレーキ装置7,8,9,10は、それぞれ、互いに独立させて制御することができ、例えば、第1ブレーキ装置7および第2ブレーキ装置8と、第3ブレーキ装置9および第4ブレーキ装置10とを、前後で一対のアクチュエータとして、制御することができる。あるいは、第1ブレーキ装置7および第3ブレーキ装置9と、第2ブレーキ装置8および第4ブレーキ装置10とを、左右で一対のアクチュエータとして、制御することができる。
【0023】
そして、この発明の実施形態におけるコントローラ12は、上記のような複数のアクチュエータをそれぞれ制御して、車両Veの運動状態、すなわち、車両Veの挙動を制御する。例えば、第1モータ1と第2モータ2とを、それぞれ、独立に制御して、車両Veの前輪13,14と後輪15,16との間の駆動力配分を制御する。あるいは、第1トルクベクタリング装置3と、第2トルクベクタリング装置4とを、それぞれ、独立に制御して、車両Veの左側の前輪13と右側の前輪14との間の駆動力配分、および、車両Veの左側の後輪15と右側の後輪16との間の駆動力配分をそれぞれ制御する。したがって、第1モータ1および第2モータ2、ならびに、第1トルクベクタリング装置3および第2トルクベクタリング装置4を、それぞれ、独立に、また協調させて制御することにより、各車輪13,14,15,16の間の駆動力配分を制御することができる。また、各ブレーキ装置7,8,9,10を、それぞれ、独立に制御することにより、各車輪13,14,15,16の間の制動力配分を制御することができる。そのようにして各車輪13,14,15,16の間の駆動力配分または制動力配分を制御することにより、ローリング、ピッチング、および、ヨーイングなどの車両挙動を制御することができる。例えば、左右の車輪(前輪13および後輪15と前輪14および後輪16)に対する駆動力または制動力の配分比を制御して、車両Veのローリング状態を制御することができる。あるいは、前後の車輪(前輪13,14と後輪15,16)に対する駆動力または制動力の配分比を制御して、車両のピッチング状態を制御することができる。
【0024】
なお、この発明の実施形態における車両の制御装置で制御対象にする車両は、上記のような図1図2に示す車両Veに限定されるものではない。例えば、前述した特許文献1の図1に示されているような、前後・左右の各車輪(四輪)に別個に設けられ、各車輪の駆動力をそれぞれ独立して制御可能ないわゆるインホイールモータを搭載した車両を制御対象にすることができる。あるいは、前後・左右の各車輪(四輪)に別個に設けられ、各車輪のサスペンションのばね定数および減衰力をそれぞれ独立して制御可能ないわゆるアクティブサスペンション装置を搭載した車両を制御対象にすることができる。
【0025】
前述したように、上記のような車両Veの挙動を制御する複数のアクチュエータは、その作動状態や出力状況等によっては、出力や動作に制限が加えられる場合がある。例えば、第1モータ1に電力を供給する第1電源装置5、あるいは、第2モータ2に電力を供給する第2電源装置6の出力がバッテリのSOCの低下やバッテリの温度の上昇により制限された場合(あるいは各モータ1,2の温度が上昇した場合)には、第1モータ1や第2モータ2の出力が制限される場合がある。このように、いずれかの電源装置5(6)の出力や動作が制限された場合には、各車輪13,14,15,16ごとの駆動力や制動力等のバランスが崩れ、車両挙動が不安定になってしまうことがある。そこで、この発明の実施形態では、いずれかの装置や機器(例えば電源装置におけるバッテリ)の出力または動作が制限される状態である場合であっても、前後あるいは左右の駆動力配分のバランスが崩れることを抑制するように構成されている。
【0026】
図3は、その制御の一例を示すフローチャートであって、コントローラ12によって実行される。先ず、第1電源装置5におけるバッテリ温度、第2電源装置6におけるバッテリ温度、および、それらバッテリの上限温度を取得する(ステップS1)。第1電源装置5におけるバッテリ温度および第2電源装置6におけるバッテリ温度は、上述のバッテリ温度センサ11iによって取得される。なお、バッテリの上限温度は、バッテリの劣化を防ぐ予め定めた上限温度である。
【0027】
ついで、各電源装置5,6におけるバッテリ温度のマージンを算出する(ステップS2)。このバッテリ温度のマージンは、ステップS1で求めたバッテリの上限温度と現在のバッテリ温度との差分(すなわち余裕代)であって、第1電源装置5におけるバッテリ温度のマージンと、第2電源装置6におけるバッテリ温度のマージンとのそれぞれについて算出する。
【0028】
そして、算出した各バッテリ温度のマージンが予め定めた所定値より小さいか否かを判断する。具体的には、第1電源装置5におけるバッテリの温度のマージンが所定値aより小さいか否かを判断する(ステップS3)。この所定値aは、バッテリの性能を考慮して実験等によって予め定めた値である。したがって、このステップS3で肯定的に判断された場合、すなわち第1電源装置5におけるバッテリ温度のマージンが所定値aより小さい場合には、第1モータ1および第2モータ2のトルク増減量を算出する(ステップS4)。つまり、第1モータ1に電力を供給する第1電源装置5のバッテリ温度のマージンが小さくなっているので、第1モータ1(前輪側のモータ)のトルクを低減するためのトルク低減量を算出する。また、ドライバの要求トルクは維持する。したがって、併せて第2モータ2(後輪側のモータ)のトルクを増大するためのトルク増加量を算出する。言い換えれば、車両Veの前後(第1モータ1と第2モータ2)における総トルクは維持したままトルク配分を補正する。そして、このステップS4で算出した第1モータ1および第2モータ2のトルク増減量を加味して、各モータ1,2にトルク指令信号を出力する。
【0029】
一方、上記のステップS3で否定的に判断された場合、すなわち第1電源装置5におけるバッテリ温度のマージンが所定値a以上の場合には、第2電源装置6におけるバッテリ温度のマージンが所定値bより小さいか否かを判断する(ステップS5)。なお、この所定値bは、上述のステップS3で説明した所定値aと同様であってもよく、あるいは、第1電源装置5と第2電源装置6とのバッテリの劣化が異なる場合など、バッテリの性能に応じて適宜の値に設定してもよい。したがって、このステップS5で肯定的に判断された場合、すなわち第2電源装置6におけるバッテリ温度のマージンが所定値bより小さい場合には、第1モータ1および第2モータ2のトルク増減量を算出する(ステップS6)。つまり、第2モータ2に電力を供給する第2電源装置6のバッテリ温度のマージンが小さくなっているので、第2モータ2(後輪側のモータ)のトルクを低減するためのトルク低減量を算出する。また、ドライバの要求トルク(車両前後の総トルク)は維持する。したがって、併せて第1モータ1(前輪側のモータ)のトルクを増大するためのトルク増加量を算出する。つまり、車両前後でのトルク分配を補正する。そして、このステップS6で算出した第1モータ1および第2モータ2のトルク増減量を加味して、各モータ1,2にトルク指令信号を出力する。
【0030】
なお、上記のステップS5で否定的に判断された場合、すなわち第2電源装置6におけるバッテリ温度のマージンが所定値b以上の場合には、第1モータ1および第2モータ2のトルクの増減を行わない(ステップS7)。つまり、第1電源装置5および第2電源装置6におけるバッテリ温度のマージンに比較的余裕があるので、車両前後で要求されるトルクを出力するための電力を各電源装置5,6における各バッテリから各モータ1,2に供給する。
【0031】
このように、この発明の実施形態では、バッテリの温度が上限温度に対してどの程度のマージン(余裕代)があるかを判断し、そのマージンが予め定めた所定値より小さいか否かを判断するように構成されている。また、算出したバッテリ温度のマージンが所定値より小さい場合には、電池温度が上限値に近い温度であるため、車両の前後でトルクを増大あるいは減少させる。例えば第1電源装置5におけるバッテリ温度のマージンが所定値より小さい場合には、第1電源装置5から第1モータ1に供給する電力を制限(低下)し、第2電源装置6から第2モータ2に供給する電力を増大する。つまり、トルクの分配量を補正する。図4は、従来例(補正前)と、この発明の実施形態(補正後)との要求トルクおよびバッテリ温度を比較した例である。この図4から把握できるように、左側に示す従来例では、バッテリ温度が車両前後の各電源装置5,6でアンバランスとなっているが、右側に示すこの発明の実施形態では、バッテリ温度が車両前後の各電源装置5,6で同じ(あるいはほぼ同じ)となっており、バランスが保たれている。また、要求トルクは、従来例とこの発明の実施形態とでは、車両Veの前後で出力されるトルクが異なるものの、車両Veとしてのトルク(すなわち第1モータ1および第2モータ2の総トルク)は維持されている。つまり、この発明の実施形態では、車両前後でトルク分配を行うことで、バッテリ温度に応じて充放電を制御し、第1電源装置5におけるバッテリ温度と第2電源装置6におけるバッテリ温度とがアンバランスになることを抑制している。
【0032】
したがって、この発明の実施形態では、各電源装置5,6におけるバッテリの出力に制限がかかることを抑制でき、その結果、第1モータ1や第2モータ2の出力が制限されることを回避もしくは抑制できる。また、そのように、各モータ1,2の出力が制限されることを回避もしくは抑制できるため、車両Veの前後の駆動力配分のバランス(比率)が崩れる、あるいは、左右の駆動力配分のバランス(比率)が崩れることを抑制できるとともに、車両Veの挙動が不安定になる(あるいは走行安定性が低下する)ことをも抑制できる。
【0033】
なお、上述した実施形態では、各電源装置5,6におけるバッテリ温度をパラメータとして説明したものの、バッテリ温度に替えて、バッテリのSOCをパラメータとしてもよい。すなわちバッテリのSOCのマージンが所定値より小さい場合には、第1モータ1および第2モータ2のトルク増減量を算出し、そのトルク増減量を加味したトルク指令値とする。また、上記のパラメータは、バッテリ温度とSOCとの両方であってもよい。
【0034】
つぎに、この発明の実施形態における他の制御例について説明する。上述の実施形態では、各電源装置5,6におけるバッテリ温度の状態に応じて各モータ1,2のトルクを制御するように構成されていたものの、車両Veの走行状態および上述のバッテリ温度やSOCのマージンの大きさに応じて、更に制御するトルクの大きさを補正してもよい。
【0035】
図5は、その制御の一例を示すフローチャートであって、車両Veの走行状態が、加速走行中、減速走行中、あるいは、定速走行中のいずれの走行状態であるかを判断し、かつバッテリ温度やSOCのマージンの大きさがどの程度であるかを判断し、ステップS4,S6,S7で決定したトルク増減量を補正するように構成されている。なお、ステップS1~S7についての説明は、図3の制御例の説明と同様であるため、ここでは省略する。
【0036】
先ず、車両Veが加速中であるか否かを判断する(ステップS10)。これは、例えばアクセルペダルの操作量や操作速度をアクセルポジションセンサ11aによって検出して判断する。あるいは、車両Veの加速度を加速度センサ11eによって検出して判断する。したがって、このステップS10で肯定的に判断された場合、すなわち車両Veが加速中である場合には、補正係数Aを「α」に設定する(ステップS11)。なお、「α」は「1」より小さい値である。
【0037】
それとは反対に、このステップS10で否定的に判断された場合、すなわち車両Veが加速中でないと判断された場合には、車両Veが減速中であるか否かを判断する(ステップS12)。これは、例えば上述のアクセルポジションセンサ11a、加速度センサ11eに加えて、ブレーキ操作量やブレーキ踏力をブレーキストロークセンサ11bによって検出することで判断してもよい。したがって、このステップS12で肯定的に判断された場合、すなわち車両Veが減速中である場合には、補正係数Aを「β」に設定する(ステップS13)。なお、「β」は、上述の「α」より大きい値である。
【0038】
一方、上記のステップS12で否定的に判断された場合、すなわち車両Veが減速中でないと判断された場合には、車両Veが定速中であるか否かを判断する(ステップS14)。これは、例えばアクセル操作量が「0」あるいは一定である場合や、加速度センサ11eでの検出値が「0」である場合には、定速中であると判断できる。したがって、このステップS14で肯定的に判断された場合、すなわち車両Veが定速中である場合には、補正係数Aを「γ」に設定する(ステップS15)。なお、「γ」は、上述の「β」より大きい値である。
【0039】
なお、上記のステップS14で否定的に判断された場合、すなわち定速中でないと判断された場合には、車両Veは停車中であるとことが想定できるため、補正係数Aは「1」に設定される。
【0040】
ここで、上記の補正係数Aの「α」、「β」、「γ」について説明する。上述のように、「α」、「β」、「γ」は「1」より小さい値であり、かつ“α<β<γ”の関係が成り立つ。補正係数が「1」に近い値である場合には、ステップS4,S6,S7で決定したトルクの増減量にその補正係数を掛けた場合には、トルク増減量は、ほぼステップS4,6,7で決定した値になる。それに対して、例えば補正係数が「0.5」である場合には、トルク増減量は、ステップS4,S6,S7で決定した値の1/2になる。一方、車両Veが加速中の場合には、車両Veの前後でトルク配分を変更することの影響が比較的大きく、車両Veが減速中の場合には、トルク配分を変更することの影響が加速中よりは小さい。また定速中は、車両Veは安定した状態であるから、よりトルク配分を変更することの影響は更に小さい。したがって、「α」、「β」、「γ」のそれぞれの補正係数の関係は上述の通りであって(α<β<γ)、トルク配分を変更することの影響が比較的大きい走行状態であるほど補正係数の値が小さく、その影響が比較的小さい走行状態であるほど補正係数は大きくなっている。
【0041】
ついで、ステップS11,S13,S15,S16で補正係数Aを設定したら、各電源装置5,6におけるバッテリ温度やSOCのマージン(以下、単にマージンとも記す)が「大」か否かを判断する(ステップS20)。このマージンは、上述のステップS2で説明したマージンであって、このステップS20では、バッテリ温度(あるいはSOC)の上限温度(あるいは上限値)と、現在のバッテリ温度(あるいはSOC)との差分が予め定めた所定値cより大きいか否かによって判断する。したがって、このステップS20で肯定的に判断された場合、すなわちマージンが「大」である場合には、補正係数Bを「α」に設定する(ステップS21)。なお、「α」は、上述のステップS11と同様の値であってよい。
【0042】
それとは反対に、このステップS20で否定的に判断された場合、すなわちマージンが所定値cより小さい場合には、マージンの大きさが「中」であるか否かを判断する(ステップS22)。具体的には、バッテリ温度(あるいはSOC)の上限温度(あるいは上限値)と、現在のバッテリ温度(あるいはSOC)との差分が予め定めた所定値dより大きいか否かによって判断する。なお、所定値dは、所定値cより小さい値に設定される。したがって、このステップS22で肯定的に判断された場合、すなわちマージンが「中」である場合には、補正係数Bを「β」に設定する(ステップS23)。なお、「β」は、上述のステップS13と同様の値であってよい。
【0043】
一方、上述のステップS22で否定的に判断された場合、すなわちマージンが所定値dより小さい場合には、マージンの大きさが「小」であるか否かを判断する(ステップS24)。具体的には、バッテリ温度(あるいはSOC)の上限温度(あるいは上限値)と、現在のバッテリ温度(あるいはSOC)との差分が予め定めた所定値eより大きいか否かによって判断する。なお、所定値eは、所定値dより小さい値に設定される。したがって、このステップS24で肯定的に判断された場合、すなわちマージンが「小」である場合には、補正係数Bを「γ」に設定する(ステップS25)。なお、「γ」は、上述のステップS15と同様の値であってよい。
【0044】
なお、上記のステップS24で否定的に判断された場合、すなわちマージンが所定値eより小さい場合(言い換えれば、よりマージンが「0」に最も近似する場合)には、補正係数Bは「1」に設定される。
【0045】
ここで、補正係数Bについて説明する。補正係数Bは、上述のように「α」、「β」、「γ」、あるいは、「1」に設定される。マージンが大きい場合には、バッテリの温度やSOCに比較的余裕があり、それとは反対にマージンが小さい場合には、バッテリの温度やSOCに余裕がないことになる。したがって、マージンが大きい場合には、値の小さい補正係数が設定される。つまり、マージンが最も大きい場合には、補正係数Bとして値が最も小さい「α」が設定される。それとは反対に、マージンが最も小さい場合には、補正係数Bとして値が最も大きい「1」が設定される。
【0046】
ついで、ステップS4,6,7で決定したトルクの増減量に、車両Veの走行状態によって選択されたステップS11,S13,S15,S16のいずれかの補正係数Aと、マージンの大きさによって選択されたステップS21,S23,S25,S26のいずれかの補正係数Bとを掛けてトルク増減量を補正する(ステップS27)。トルクの増減量を、上述の車両Veの走行状態と、マージンの大きさとを踏まえてまとめると、下記の表1のように示すことができる。つまり、加速、減速、定速の関係でみた場合には、加速、減速、定速の順にトルクの増減量が大きくなり、マージンの大きさでみた場合には、マージンが小さいほどトルクの増減量が大きくなっている。そして、走行状態とマージンとの両方からみた場合には、例えば加速中で、かつマージンが大きい場合が最もトルクの増減量が小さく、定速中で、かつマージンが小さい場合が最もトルクの増減量が大きくなっている。
【表1】
【0047】
このように、図5に示す制御例では、車両Veの走行状態およびマージンの大きさに応じて第1モータ1および第2モータ2のトルクの増減量を補正するように構成されている。それにより、加速、減速、定速などの走行性能を維持しつつ、トルクの増減量を制御することができる。そして、トルクの増減量を制御することにより、車両Veの前後での各電源装置5,6や各モータ1,2の出力がアンバランスになることを抑制でき、その結果、車両Veの走行安定性が低下することをも抑制できる。
【0048】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上述した例に限定されないのであって、この発明の目的を達成する範囲で適宜変更してもよい。上述の各実施形態では、各電源装置5,6のバッテリの温度やSOCをパラメータとして説明したものの、その他、第1モータ1や第2モータ2の温度をパラメータとしてもよい。すなわち各モータ1,2の温度のマージンが所定値より小さいか否かを判断し、所定値より小さい場合には、モータトルクを増減させる制御を実行するように構成してよい。
【符号の説明】
【0049】
1 第1モータ(MG)
2 第2モータ(MG)
3 第1トルクベクタリング装置(TVD)
4 第2トルクベクタリング装置(TVD)
5 第1電源装置(BAT;電源装置)
6 第2電源装置(BAT;電源装置)
7 第1ブレーキ装置
8 第2ブレーキ装置
9 第3ブレーキ装置
10 第4ブレーキ装置
11 検出部
12 コントローラ(ECU)
13 前輪(fl;左側)
14 前輪(fr;右側)
15 後輪(rl;左側)
16 後輪(rr;右側)
17 電動パーキングブレーキ装置(EPB)
18 オンボードブレーキ装置
Ve 車両
図1
図2
図3
図4
図5