IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-表示装置 図1
  • 特許-表示装置 図2
  • 特許-表示装置 図3
  • 特許-表示装置 図4
  • 特許-表示装置 図5
  • 特許-表示装置 図6
  • 特許-表示装置 図7
  • 特許-表示装置 図8
  • 特許-表示装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/28 20060101AFI20240903BHJP
   G01D 11/24 20060101ALI20240903BHJP
   B60K 35/00 20240101ALI20240903BHJP
【FI】
G01D11/28 B
G01D11/28 T
G01D11/24 K
B60K35/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021044279
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2022143645
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】後藤 彰大
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-175863(JP,A)
【文献】国際公開第2020/213557(WO,A1)
【文献】特開2020-032825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/00-13/28
B60K 35/00-37/20
G12B 1/00-17/08
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定情報を表示する表示手段と、
前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、
前記表示手段の反視認者側に設けられる可視光源と、
前記可視光源の光軸から離れた領域に放射される可視光を前記表示手段へと反射させる反射部材とを備え、
前記反射部材には、前記撮像手段に対応する箇所に貫通部または欠落部が設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
所定情報を表示する表示手段と、
前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、
前記表示手段の反視認者側に設けられる可視光源と、
前記可視光源の光軸から離れた領域に放射される可視光を前記表示手段へと反射させる反射部材とを備え、
前記撮像手段は、赤外光を透過可能な機能を有する前記反射部材の反視認者側に配置されることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
前記反射部材は、複数の前記可視光源を各々取り囲むように設けられる複数の反射部を備え、
前記反射部は、その開口幅が前記表示手段から前記可視光源へと向かうに従って徐々に幅狭となるように設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示手段と前記反射部材との間に設けられる光学部材を備え、
前記光学部材には、前記撮像手段に対応する箇所に貫通孔または欠落部分が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のうち何れか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
前記可視光源と前記反射部材とを少なくとも収容するケース部材を備え、
前記撮像手段は、前記ケース部材に設けた貫通孔部に対応するように配置されることを特徴とする請求項1から請求項4のうち何れか1つに記載の表示装置。
【請求項6】
前記可視光源と前記反射部材とを少なくとも収容するケース部材を備え、
前記撮像手段は、赤外光を透過可能な機能を有する前記ケース部材の反視認者側に配置されることを特徴とする請求項1から請求項4のうち何れか1つに記載の表示装置。
【請求項7】
複数の前記可視光源が配設される回路基板を備え、
前記回路基板には、前記撮像手段に対応する箇所に孔部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のうち何れか1つに記載の表示装置。
【請求項8】
第1方向と前記第1方向と直交する第2方向とにマトリクス状となるように、前記回路基板に複数の前記可視光源が配設されることを特徴とする請求項7記載の表示装置。
【請求項9】
前記回路基板の孔部近傍には、前記孔部の中心点を中心とする所定の仮想円周上に位置するように、複数の前記可視光源が配設されることを特徴とする請求項7または請求項8記載の表示装置。
【請求項10】
複数の前記可視光源は、孔部近傍の配置間隔が前記孔部近傍以外の他の部分の配置間隔よりも狭くなるように、前記回路基板に配設されることを特徴とする請求項7記載の表示装置。
【請求項11】
赤外光を透過する機能と前記可視光を拡散させる機能とを有する光制御部材を前記表示手段と前記撮像手段との間に位置させる構成としたことを特徴とする請求項1から請求項10のうち何れか1つに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車や自動2輪車等の車両に搭載される表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の表示装置にあっては、例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の表示装置は、車両の運転席前方に搭載された車両用計器であり、車両の走行速度等をはじめとする各種車両情報を表示する液晶表示パネル(表示手段)と、この液晶表示パネルを収容する樹脂製のケース部材とから主に構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018ー54291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両の運転席に着座するとともに前記液晶表示パネルを視認する運転者(視認者)の顔を撮像するとともに、運転者の顔の動作等から運転者の状態(挙動)を検知する運転者監視手段を前記車両用計器に搭載するという技術の実用化が注目されつつある。ところで、特許文献1に記載の表示装置にあっては、運転者の状態を検出すべく、運転者監視手段を表示装置に搭載するような構成は想定されていないため、この点で更なる改良の余地があった。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、視認者の状態を検出することが可能な表示装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、所定情報を表示する表示手段と、前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、前記表示手段の反視認者側に設けられる可視光源と、前記可視光源の光軸から離れた領域に放射される可視光を前記表示手段へと反射させる反射部材とを備え、前記反射部材には、前記撮像手段に対応する箇所に貫通部または欠落部が設けられていることを特徴とする。
【0006】
また本発明は、所定情報を表示する表示手段と、前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、前記表示手段の反視認者側に設けられる可視光源と、前記可視光源の光軸から離れた領域に放射される可視光を前記表示手段へと反射させる反射部材とを備え、前記撮像手段は、赤外光を透過可能な機能を有する前記反射部材の反視認者側に配置されることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記反射部材は、複数の前記可視光源を各々取り囲むように設けられる複数の反射部を備え、前記反射部は、その開口幅が前記表示手段から前記可視光源へと向かうに従って徐々に幅狭となるように設定されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記表示手段と前記反射部材との間に設けられる光学部材を備え、前記光学部材には、前記撮像手段に対応する箇所に孔部または欠落部分が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記可視光源と前記反射部材とを少なくとも収容するケース部材を備え、前記撮像手段は、前記ケース部材に設けた貫通孔部に対応するように配置されることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記可視光源と前記反射部材とを少なくとも収容するケース部材を備え、前記撮像手段は、赤外光を透過可能な機能を有する前記ケース部材の反視認者側に配置されることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、複数の前記可視光源が配設される回路基板を備え、前記回路基板には、前記撮像手段に対応する箇所に孔部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、第1方向と前記第1方向と直交する第2方向とにマトリクス状となるように、前記回路基板に複数の前記可視光源が配設されることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記回路基板の孔部近傍には、前記孔部の中心点を中心とする所定の仮想円周上に位置するように、複数の前記可視光源が配設されることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、複数の前記可視光源は、孔部近傍の配置間隔が前記孔部近傍以外の他の部分の配置間隔よりも狭くなるように、前記回路基板に配設されることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、赤外光を透過する機能と前記可視光を拡散させる機能とを有する光制御部材を前記表示手段と前記撮像手段との間に位置させる構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、所期の目的を達成でき、表示手段の反視認者側に撮像手段が配置されている場合であっても、表示品位の低下を招く虞のない表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態による表示装置の正面図。
図2図1のA-A断面図。
図3図2中、回路基板と光源と反射部材とを拡大して示す断面図。
図4】同実施形態による回路基板の要部正面図。
図5】同実施形態による光学部材と撮像手段との位置関係を示す図。
図6】同実施形態による表示装置の電気的構成を示すブロック図。
図7】同実施形態の第2変形例による表示装置の断面図。
図8】同実施形態の第4変形例による表示装置の断面図。
図9】同実施形態の第5変形例による表示装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1図6に基づいて、本発明の表示装置を自動車の運転席前方に搭載される車両用計器に適用した場合を例に挙げて説明する。なお、以下の説明では、車両用計器を正視(視認)する視認者側を前方側(前側)とし、当該視認者側とは反対側である反視認者側を背後側(後側)とする。
【0019】
図1図3において、本実施形態による表示装置としての車両用計器Dは、車速情報等の各種の車両情報(所定情報)を表示する表示パネル(表示手段)10と、この表示パネル10の背後側に位置する回路基板20と、表示パネル10に可視光を供給するように回路基板20の前方側に実装された複数の可視光源30と、可視光源30を包囲するように表示パネル10と回路基板20との間に位置する反射部材40と、表示パネル10の前方側を覆う保護部材50と、車両の運転席に着座する運転者E(以下、視認者Eとも言う)を監視する運転者監視手段60と、表示パネル10と反射部材40との間に設けられる光学部材70と、表示パネル10や回路基板20、可視光源30、反射部材40、光学部材70等を収容するケース部材80とを備えている。
【0020】
表示パネル10は、例えば一対の絶縁基板(ガラス基板)間に液晶を封入した液晶セルの表裏面に表側偏光板、後側偏光板が各々貼り付けられた周知の液晶表示パネルを適用することができる。
【0021】
また、表示パネル10は、視認者Eが直視可能な平坦な表示面11を有し、この表示面11に前記車両情報が表示される。例えば図1では、前記車両情報の一例として車両の走行速度を示す車速表示部12が表示面11(表示パネル10)の略中央部分に視覚情報として表示された例を示している。なお、ここでの詳細図示は省略するが、表示パネル10は、フレキシブルプリント配線板等の配線部材を用いて回路基板20に電気的に接続される。
【0022】
回路基板20は、例えばガラスエポキシ系基材に配線パターンが施された硬質配線基板であり、表示パネル10の表示制御や可視光源30の点灯制御を行うとともに運転者監視手段60(後述する撮像手段や赤外線照射部)の動作を制御するマイクロコンピュータとしての後述する制御部と、複数個の可視光源30と、抵抗、コンデンサ等の各種回路部品とが前記配線パターンに導通接続されている。
【0023】
また、複数の可視光源30が実装(配設)される回路基板20には、表示面11(表示パネル10)の前記中央部分や前記撮像手段等に対応する箇所に孔部21が設けられている。孔部21は、例えば回路基板20の表裏を貫通するように設けられる略円形の貫通孔として構成される。
【0024】
可視光源30は、適宜色の可視光を発する複数個のチップ型発光ダイオードを適用することができ、表示パネル10に向けて可視光を発する(供給する)ように表示パネル10の背後側に設けられる。また、ここでの可視光源30は、その光照射領域角度が光軸Lを中心として左右にそれぞれ略60度程度の指向性を持つものが採用されている。つまり、このことは、可視光源30は、その光照射領域角度が略120度程度であることを意味する。
【0025】
そして、本例の場合、複数個の可視光源30は、図4の横方向(回路基板20の長手方向)である第1方向T1と当該第1方向T1と直交する第2方向T2(つまり図4の縦方向)とにマトリクス状(格子状)となるように回路基板20の前方側に実装(配設)されるものとする。
【0026】
さらに、本例の場合、回路基板20の孔部21近傍には、孔部21の中心点Cを中心とする所定の仮想円周T3上に位置するように、複数個(図4では4つ)の可視光源30が回路基板20に実装される構成としている。
【0027】
具体的には、図4において、回路基板20の孔部21と、当該孔部21の付近(周囲)に位置する4つの可視光源30との位置関係に着目すると、これら4つの可視光源30は、図4中、孔部21の上下左右(時計で例えると12時、3時、6時、9時の方向)にそれぞれ位置し、孔部21からの離間距離が等しくなるように配列される。なお、以下の説明では、仮想円周T3上に位置する4つの可視光源30を可視光源Bとも言う。
【0028】
反射部材40は、例えば白色系の合成樹脂材料によって形成されたリフレクタとして構成されるものであり、可視光源30の光軸Lから離れた領域に放射される可視光を光学部材70(表示パネル10)へと反射させる機能を有する。
【0029】
反射部材40は、個々(複数)の可視光源30を各々取り囲むように設けられる複数の反射部41を備えている。個々の反射部41は、個々(複数)の可視光源30に対応して形成されるものであり、反射部41の内部に位置する内部空間部42の四方を包囲する傾斜面形状の4つの可視光反射面41aと、回路基板20に載置される被載置部としての底部41bとを有する。
【0030】
可視光反射面41aは、可視光源30の光軸Lから離れた領域に放射される可視光の光路を前方側に向けて折り曲げる部位として構成される。なお、可視光反射面41aの形状は、光軸Lから離れた領域に放射される可視光の光路を前方側に向けて折り曲げることができるものであれば、あらゆる形状を採用することができ、例えば可視光反射面41aを凹状に湾曲した曲面形状としてもよい。
【0031】
また、このように傾斜面形状(断面視で言うと略逆ハの字形状)の可視光反射面41aを設けたことで、個々の反射部41(内部空間部42)は、その開口幅Hが表示パネル10から回路基板20(可視光源30)へと向かうに従って徐々に幅狭となるように設定される。
【0032】
さらに、この場合、反射部材40における反射部41の一部には、略円形の貫通孔からなる貫通部41cが設けられている。この貫通部41cは、反射部41において、回路基板20の孔部21や前記撮像手段等に対応する箇所に設けられるものであり、反射部材40の一部を刳り貫くことで得ることができる。
【0033】
保護部材50は、例えば半透過性(暗色)の合成樹脂材料によって形成された略平板状の保護パネル部材であり、表示パネル10の前方側を覆うように設けられる。
【0034】
また、保護部材50は、その外形形状が表示パネル10の外形形状よりも一回り(若干)大きく、車両用計器Dを前方側から見たときに、表示パネル10の外側に位置するとともに表示パネル10と重なり合わない非重合部51を有する。なお、保護部材50は、暗色ではなく透明の合成樹脂材料によって形成してもよいし、透光性の接着剤によって表示パネル10と接合してもよい。さらには前方側となる保護部材50の最表面はフラットな平坦面ではなく、凸面状もしくは凹面状の曲面形状(湾曲形状)でもよい。
【0035】
運転者監視手段60は、運転席に着座する視認者Eの顔を撮像し、視認者Eの顔の動作等から視認者Eの状態(挙動)を検知するものであり、表示パネル10を視認する視認者Eの状態を撮像可能である撮像手段61と、赤外光(近赤外光)を視認者Eに向けて照射する赤外線照射部62とを有する。
【0036】
撮像手段61は、近赤外領域に感度を持つカメラであり、表示パネル10の背後側に配置される。より具体的には、ここでの撮像手段61は、表示パネル10の前記中央部分や孔部21、貫通部41c、光学部材70の後述する貫通孔、ケース部材80の後述する貫通孔部に対応するように、ケース部材80の背後側に配置され、撮像素子61aと、撮像素子61aの前方側に配置されるレンズ61bと、撮像素子61a及びレンズ61bを収容する図示省略したカメラケースとを備える。
【0037】
撮像手段61は、例えば前記カメラケースが適宜固定手段によってケース部材80の後述する底壁部に固定される。また、ここでの詳細図示は省略するが、撮像手段61は、必要に応じて車両用計器Dの外装ケースを構成する計器ハウジングによって覆われる(保護される)ように構成してもよい。
【0038】
赤外線照射部62は、赤外光を視認者Eに向けて照射するように非重合部51の背後側に配置される。この場合、車両用計器Dを前方側から見たときに、ケース部材80(より具体的にはケース部材80の後述する支持部)は非重合部51の真下に位置しており、赤外線照射部62は、例えば前記支持部に備えられる後述する2つの窪み部にそれぞれ配置(埋設)された2つの赤外線光源(赤外線LED)を適用することができる。
【0039】
光学部材70は、可視光を表示パネル10へと導くように表示パネル10と反射部材40との間に設けられた複数(例えば4つ)の光学部品を適用することができる。本例の場合、光学部材70は、プリズムレンズアレイ71と、光拡散シート72と、BEF(Brightness Enhancement Film)73と、DBEF(Dual Brightness Enhancement Film)74とを備え、反射部材40から表示パネル10へと向かうに従って、プリズムレンズアレイ71、光拡散シート72、BEF73、DBEF74の順に配置される。
【0040】
プリズムレンズアレイ71は、例えば反射部材40側に微少な断面三角形状のプリズム部Pが多数形成された公知の光学部品として構成される。光拡散シート72は、プリズムレンズアレイ71から出射される所望方向に屈折した可視光を拡散して均一化する役割を果たすものである。光拡散シート72としては、例えば光透過性の樹脂フィルム中に光拡散粒子を分散した光学フィルム等を適用することができる。BEF73は公知の輝度向上フィルムとして構成されるものであり、DBEF74は公知の2重輝度向上フィルムとして構成される。
【0041】
ここで、光学部材70(プリズムレンズアレイ71、光拡散シート72、BEF73、DBEF74)と撮像手段61の位置関係に着目すると、プリズムレンズアレイ71、光拡散シート72、BEF73、DBEF74には、撮像手段61に対応する箇所に貫通孔71a、72a、73a、74aが各々設けられる(図5参照)。これら貫通孔71a、72a、73a、74aは、撮像手段61に対応する部分を刳り貫くことで得られる。
【0042】
このように構成された光学部材70のBEF73及びDBEF74によって、光拡散シート72から出射する可視光の輝度向上が図られ、この輝度向上が図られた可視光が前記中央部分を除いた表示パネル10箇所に導かれる。
【0043】
ケース部材80は、表示パネル10側が開放した略箱形形状の金属ケース(もしくは樹脂ケース)であり、回路基板20の背後側を覆う底壁部(基部)81と、表示パネル10や回路基板20、可視光源30、反射部材40、光学部材70等の側方(四方)を囲む側壁部(支持部)82とを備える。
【0044】
そして、孔部21や貫通部41c、撮像手段61、貫通孔71a、72a、73a、74aに対応する底壁部81の略中央部分には底壁部81の表裏を貫通する貫通孔形状の貫通孔部81aが設けられている。よって、この場合、孔部21や貫通部41c、撮像手段61、貫通孔71a、72a、73a、74aは、ケース部材80に設けた貫通孔部81aにそれぞれ対応するように配置される構成となる。
【0045】
一方、図2中、左右に位置する一対の側壁部82の前面壁部82aに設けられた2つの窪み部82bには2つの赤外線照射部62がそれぞれ配置(埋設)される。なお、赤外線照射部62は、窪み部82bの底部に設けられた図示省略した配線基板上に載置される。前記配線基板と回路基板20とは適宜導通手段を用いて電気的に接続される。
【0046】
以上の各部により、車両用計器Dが構成される。このような構成において、各可視光源30が点灯すると、各可視光源30から発せられる可視光は、前方側に進みプリズムレンズアレイ71に至る。この際、プリズムレンズアレイ71に至る可視光は、光軸L(及びその近傍)に沿って発せられる第1可視光と、光軸Lから離れた領域に向けて発せられる第2可視光とを含む。
【0047】
第1可視光は、内部空間部42を経てプリズムレンズアレイ71へと至る。一方で、第2可視光は、可視光源30の周囲に位置する可視光反射面41aで反射し前方側に進む。つまり、第2反射光は、その光路Xが可視光反射面41aによって前方側に折り曲げられ、プリズムレンズアレイ71へと至ることになる(図3参照)。その後、第1可視光と第2可視光とを含む可視光は、所望方向に屈折した可視光として光拡散シート72へと進み、均一化された可視光として光拡散シート72から出射され、さらにBEF73及びDBEF74によって、光拡散シート72から出射する可視光の輝度向上が図られ、この輝度向上が図られた可視光が前記中央部分を除いた表示パネル10箇所へと至る。
【0048】
また、複数の可視光源30のうち4つの可視光源Bが点灯することで、4つの可視光源Bから発せられる可視光も、前記第1可視光と前記第2可視光とを含むように構成される。ここで、可視光源Bからの前記第2可視光に着目すると、可視光源Bからの前記第2可視光は、図3に示すように可視光源Bの周囲に位置する可視光反射面41aで反射し前方側に進み、プリズムレンズアレイ71へと至り、その後、所望方向に屈折した可視光として光拡散シート72へと進む。
【0049】
このとき、プリズムレンズアレイ71へと至る可視光源Bからの前記第2可視光の一部が貫通孔71aと対峙するプリズムレンズアレイ71の内周部W1から屈折した漏れ光として前方側に漏れる、及び/または光拡散シート72へと至る可視光源Bからの前記第2可視光の他の一部が貫通孔72aと対峙する光拡散シート72の内周部W2から拡散した他の漏れ光として前方側に漏れるようになっている。漏れ光及び/または他の漏れ光は、貫通孔73a、74aを通過して前方側に進み、貫通孔73a、74aに対応する表示パネル10の前記中央部分へと至る。
【0050】
一方、赤外線照射部62から照射される赤外光は、保護部材50の非重合部51を通過して前方側に向けて照射され、視認者Eの顔に到達する。さらに、視認者E(視認者Eの顔)を照射後の赤外光は逆方向(背後側)に反射して、保護部材50、表示パネル10、貫通孔74a、貫通孔73a、貫通孔72a、貫通孔71a、貫通部41c、孔部21を順次通過した後、貫通孔部81aを経て撮像手段61に入射可能な構成となっている。この結果、撮像手段61は、赤外光に照らされた視認者Eの顔を撮像することができ、当該逆方向に反射した反射光を画像として取得する。
【0051】
次に、図5に基づいて、車両用計器Dの電気的な構成について説明する。車両用計器Dは、制御部Mと、表示パネル10と、可視光源30と、撮像手段61と、赤外線照射部62とを備える。
【0052】
制御部Mは、制御部Mの動作プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)、前記動作プログラムを実行することで制御部Mの動作処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、CPU等のワークエリアとして利用されるRAM(Random Access Memory)等を有する。
【0053】
制御部Mは、撮像手段61が撮像した画像に基づいて、視認者Eの状態を判断する。具体的には、制御部Mは、撮像手段61が撮像した画像に基づいて、視認者Eが眠気を催している状態であるか否か、視認者Eが脇見運転をしている状態であるか否か等の視認者Eの状態を判断する処理を実行する。
【0054】
制御部Mは、例えば視認者Eが眠気を催している状態であると判断した場合、車両用計器Dに搭載されたスピーカ(図示省略)から視認者Eに対する注意喚起を促すための警告音(「ピー」という効果音)が吹鳴されるように、当該スピーカを動作させる処理を実行する。なお、警告音の吹鳴に代えて、制御部Mによる制御のもと、表示面11に注意喚起を促すための警告メッセージを表示してもよい。
【0055】
以上のように本実施形態によれば、前記所定情報を表示する表示パネル10と、この表示パネル10の背後側に設けられる撮像手段61と、表示パネル10の背後側に設けられる可視光源30と、この可視光源30の光軸Lから離れた領域に放射される可視光を表示パネル10へと反射させる反射部材40とを備え、反射部材40には、撮像手段61に対応する箇所に貫通部41cが設けられているものである。
【0056】
従って、視認者E(視認者Eの顔)を照射後の赤外光が、表示パネル10側(背後側)に反射し、表示パネル10、貫通部41c、ケース部材80の貫通孔部81aを経て撮像手段61に入射することで、撮像手段61は、赤外光に照らされた視認者Eの顔を撮像することが可能となり、視認者Eの状態を検出することが可能な表示装置を提供することができる。
【0057】
また本実施形態では、反射部材40は、複数の可視光源30を各々取り囲むように設けられる複数の反射部41を備え、反射部41は、その開口幅Hが表示パネル10から可視光源30へと向かうに従って徐々に幅狭となるように設定されているものである。また表示パネル10と反射部材40との間に設けられる光学部材70(プリズムレンズアレイ71、光拡散シート72)を備え、光学部材70(プリズムレンズアレイ71、光拡散シート72)には、撮像手段61に対応する箇所に貫通孔71a、72aが設けられている。
【0058】
従って、表示パネル10の前記中央部分には、前記漏れ光及び/または前記他の漏れ光が供給されることに起因して、視認者E側から前記所定情報が表示された状態の表示パネル10を見たときに、表示パネル10の前記中央部分の輝度(表示輝度)が高くなる分、当該中央部分と中央部分以外となる表示パネル10の他の部分との輝度差が低減され、表示品位の低下を招く虞のない表示装置を提供することができる。
【0059】
具体的には、図1中、表示パネル10(表示面11)の前記中央部分に表示される「0」なる数字の輝度と、前記他の部分に表示される「5」なる数字や車速単位表示の輝度との輝度差が生じにくくなり(低減され)、車速表示部12の表示が違和感のない表示態様となる。よって、視認者E側から表示パネル10を見たときの撮像手段61の存在感がより一層消失した状態となり、表示品位の向上した表示装置を提供することができる。
【0060】
また本実施形態の場合、回路基板20の孔部21近傍には、当該孔部21の中心点Cを中心とする仮想円周T3上に位置するように、複数(例えば4つ)の可視光源Bが配設されることにより、可視光源30の非実装エリアに対応させて孔部21(撮像手段61)を配置することが可能となるため、表示パネル10の前記中央部分における輝度低下を抑制することができる。
【0061】
なお、本発明は、上述の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0062】
例えば上述した実施形態では、底壁部81(ケース部材80)の貫通孔部81aに対応するように底壁部81(ケース部材80)の背後側に撮像手段61が配置されるものであったが、本実施形態の第1変形例として撮像手段61は貫通孔部81aに対応するように配置されていればよい。具体的には、例えば撮像手段61を貫通部41cまたは貫通孔部81aに配置してもよく、場合によっては撮像手段61を貫通部41cと孔部21とを跨ぐように、もしくは孔部21と貫通孔部81aとを跨ぐように配置してもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、底壁部81(ケース部材80)に貫通孔部81aを設けたものであったが、本実施形態の第2変形例として図7に示すように、貫通孔部81aを廃止し、ケース部材80を赤外光を透過可能な機能を有する樹脂ケースにより構成してもよい。つまり、この場合、撮像手段61は、赤外光を透過可能な機能を有するケース部材80の背後側に配置される構成となり、この樹脂ケースとしてのケース部材80には、撮像手段61に対応するエリア(例えば底壁部81)に貫通孔等が何ら施されていない部位となる。
【0064】
また、上述した実施形態では、反射部材40に貫通部41cを設けたものであったが、本実施形態の第3変形例としてここでの詳細図示は省略するが、貫通部41cを廃止し、反射部材40を赤外光を透過可能な機能を有する樹脂部材(白色樹脂部材)により構成してもよい。つまり、この場合、撮像手段61は、赤外光を透過可能な機能を有する反射部材40の背後側に配置される構成となり、この樹脂部材としての反射部材40には、撮像手段61に対応するエリアに貫通孔等が何ら施されていない部位となる。なお、この第3変形例を採用する場合、上記の第2変形例の構成を採用することができることは言うまでもない。
【0065】
また、上述した実施形態では、複数の可視光源30がマトリクス状に配置されたものであったが、本実施形態の第4変形例として図8に示すように複数の可視光源30をマトリクス状に配置しない構成としてもよい。例えば図8に示すように、複数の可視光源30は、孔部21近傍の配置間隔R1が孔部21近傍以外の他の部分の配置間隔R2よりも狭くなるように、回路基板20に配設される構成としてもよい。このように構成することで、上述した実施形態と比べて可視光源Bが孔部21近傍に高密度実装されることから、前記輝度差をより低減することができる。
【0066】
また、上述した実施形態では、表示パネル10と反射部材40との間にプリズムレンズアレイ71、光拡散シート72、BEF73、DBEF74が配置されているものであったが、例えば本実施形態の第5変形例として図9に示すようにプリズムレンズアレイ71、光拡散シート72、BEF73、DBEF74を廃止し、これらプリズムレンズアレイ71、光拡散シート72、BEF73、DBEF74に代えて撮像手段61(反射部材40)と表示パネル10との間に光制御部材90を位置させるような構成としてもよい。なお、この第5変形例におけるケース部材80は、表示パネル10や回路基板20、反射部材40、光制御部材90等を収容する部位として構成される。
【0067】
光制御部材90は、例えば赤外光を透過する機能と表示パネル10へと至る可視光を拡散させる機能とを有する(兼ね備えた)板状の部材であり、その母材となる透光性基材91と、赤外光を透過するように透光性基材91の前側に設けられる赤外光透過部92と、可視光を拡散させるように透光性基材91の後側に設けられる光拡散部93とを備える。
【0068】
透光性基材91は、例えば透明なアクリル板を適用することができる。赤外光透過部92は、例えば赤外光を透過可能な機能を有する白色の着色層を適用することができ、赤外光透過機能を有する白色インクを用いて透光性基材91の前側全体に塗布(形成)される。ここでの白色インクは、近赤外線波長領域(例えば850ナノメートル~940ナノメートル)において、クラリティ(透明性)が70%以上であることが望ましい。また、ここでの白色インクは、可視光波長領域(例えば360ナノメートル~830ナノメートル)において、クラリティ(透明性)が70%未満であり、より好ましくは、例えば550ナノメートルでクラリティ(透明性)が60%以下である。
【0069】
光拡散部93は、例えば可視光を拡散可能な機能を有する光拡散層を適用することができ、撮像手段61に対応する対応領域93aを避けるように、例えば可視光拡散機能を有する半透明の光拡散インクを用いて透光性基材91の後側に設けられる。つまり、ここでの対応領域93aは、光拡散層が形成されない光拡散層非形成領域として構成される。
【0070】
この第5変形例によれば、赤外光を透過する機能と表示パネル10へと至る可視光を拡散させる機能とを有する光制御部材90を表示パネル10と撮像手段61との間に位置させる構成としたものである。従って、視認者E(視認者Eの顔)を照射後の赤外光が、表示パネル10側(背後側)に反射して、表示パネル10、赤外光透過部92、透光性基材91、対応領域93a並びに貫通部41c等を順次通過して撮像手段61に入射することで、撮像手段61は、赤外光に照らされた視認者Eの顔を撮像することが可能となり、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、この第5変形例において、ける光制御部材90は赤外光透過部92と光拡散部93とを含むものであるが、光制御部材90の構成としては赤外光透過部92と光拡散部93とのうちどちらか一方のみを含むようなものでもよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、撮像手段61が表示パネル10の前記中央部分に対応する位置に設けられているが、例えば撮像手段61が図1中、表示パネル10の上側中央に対応する位置に設けられている場合にあっては、回路基板20には撮像手段61(前記上側中央)に対応する箇所に第1の切欠部を設け、反射部材40には撮像手段61(前記上側中央)に対応する箇所に欠落部としての第2の切欠部を設け、光学部材70(プリズムレンズアレイ71、光拡散シート72、BEF73、DBEF74)には撮像手段61(前記上側中央)に対応する箇所に欠落部分としての第3の切欠部を設ける必要がある。これら第1~第3の切欠部は、回路基板20や反射部材40、光学部材70において、前記上側中央に対応する部分である端部の一部を略コの字形に切り欠くことで得られる。
【0072】
また、上述した実施形態では、2つの赤外線照射部62がケース部材80の窪み部82bにそれぞれ配置されているが、赤外線照射部62の個数は1つでもよいし3つ以上であってもよく、その場合、赤外線照射部62の個数と同数の窪み部82bをケース部材80に設ければよい。また、赤外線照射部62は、赤外光を視認者Eに向けて照射可能な位置であれば、あらゆる位置に設けることが可能であり、例えば車両のインストルメントパネルの所定位置に配置するようにしてもよい。さらには、プリズムレンズアレイ71には貫通孔71aが設けられていたが、貫通孔71aを廃止したプリズムレンズアレイ71を採用してもよく、この場合、プリズムレンズアレイ71の撮像手段61に対応する位置にプリズム部Pを設ける必要はない。
【符号の説明】
【0073】
10 表示パネル(表示手段)
20 回路基板
21 孔部
30 可視光源
40 反射部材
41 反射部
41a 可視光反射面
41b 底部
41c 貫通部
42 内部空間部
50 保護部材
60 運転者監視手段
61 撮像手段
62 赤外線照射部
70 光学部材
71 プリズムレンズアレイ
71a、72a、73a、74a 孔部
72 拡散シート
73 BEF
74 DBEF
80 ケース部材
81 底壁部(基部)
81a 貫通孔部
82 側壁部(支持部)
82b 窪み部
90 光制御部材
C 孔部の中心点
E 視認者(運転者)
H 開口幅
T1 第1方向
T2 第2方向
T3 仮想円周
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9