(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】シミュレーション装置、シミュレーションシステム、シミュレーション方法、およびシミュレーションプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240903BHJP
G16Z 99/00 20190101ALI20240903BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
G16Z99/00
(21)【出願番号】P 2021049871
(22)【出願日】2021-03-24
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧之内 敏弘
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0348633(US,A1)
【文献】特開2006-260519(JP,A)
【文献】特開2020-27556(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0048801(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントに供給される原料に関する原料情報を取得する取得部と、
前記原料が制御対象となる対象工程よりも上流の1または複数の上流工程によって加工される過程をシミュレーションすることにより、前記対象工程に供給される材料に関する対象材料情報を予測する第1シミュレーション部と、
前記対象工程に供給される材料に関する対象材料情報を用いて前記対象工程を担当する対象プロセス装置の運転条件の最適化計算を実行する最適化装置に対して、前記対象材料情報を送信する対象材料情報送信部と
を備えるシミュレーション装置。
【請求項2】
前記1または複数の上流工程のうち少なくとも1つの上流工程を担当する少なくとも1つの上流プロセス装置の運転条件を受信する上流運転条件受信部を更に備え、
前記第1シミュレーション部は、前記少なくとも1つの上流プロセス装置の運転条件を更に用いて、前記原料が前記1または複数の上流工程によって加工される過程をシミュレーションする
請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項3】
前記最適化装置が算出した前記対象プロセス装置の運転条件を受信する対象運転条件受信部と、
前記対象材料情報および前記対象プロセス装置の運転条件を用いて、前記対象工程に供給される材料が、前記対象工程および前記対象工程よりも下流の1または複数の下流工程によって加工される過程をシミュレーションすることにより、前記プラントの生産物に関する生産物情報を予測する第2シミュレーション部と
を更に備える請求項1または2に記載のシミュレーション装置。
【請求項4】
前記1または複数の下流工程のうち少なくとも1つの下流工程を担当する少なくとも1つの下流プロセス装置の運転条件を受信する下流運転条件受信部を更に備え、
前記第2シミュレーション部は、前記少なくとも1つの下流プロセス装置の運転条件を更に用いて、前記対象工程に供給される材料が前記対象工程および前記1または複数の下流工程によって加工される過程をシミュレーションする
請求項3に記載のシミュレーション装置。
【請求項5】
前記生産物情報に基づいて、前記対象プロセス装置の運転条件の修正を前記最適化装置に指示する修正指示部を更に備える請求項3または4に記載のシミュレーション装置。
【請求項6】
前記生産物情報に基づいて、前記プラントの生産物から得られる収益を計算する収益計算部を更に備え、
前記修正指示部は、前記対象プロセス装置の運転条件を、前記収益をより向上させる運転条件に修正する修正指示を前記最適化装置へと送信する
請求項5に記載のシミュレーション装置。
【請求項7】
前記対象材料情報および前記対象プロセス装置の運転条件と、前記対象プロセス装置に指示した運転条件の修正とを用いて、前記対象材料情報および前記対象プロセス装置の運転条件を入力とし、前記対象プロセス装置に指示するべき運転条件の修正を出力とする機械学習モデルを学習により生成する機械学習部を更に備える請求項5または6に記載のシミュレーション装置。
【請求項8】
前記生産物情報に基づいて、前記プラントの生産物が目標条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記プラントの生産物が前記目標条件を満たさないと判定されたことに応じて、警告を発生する警告部と
を更に備える請求項3から7のいずれか一項に記載のシミュレーション装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のシミュレーション装置と、
前記最適化装置と
を備えるシミュレーションシステム。
【請求項10】
シミュレーション装置が、プラントに供給される原料に関する原料情報を取得し、
前記シミュレーション装置が、前記原料が制御対象となる対象工程よりも上流の1または複数の上流工程によって加工される過程をシミュレーションすることにより、前記対象工程に供給される材料に関する対象材料情報を予測する第1シミュレーションを実行し、
前記シミュレーション装置が、前記対象工程に供給される材料に関する材料情報を用いて前記対象工程を担当する対象プロセス装置の運転条件の最適化計算を実行する最適化装置に対して、前記対象材料情報を送信する
シミュレーション方法。
【請求項11】
コンピュータにより実行され、コンピュータを、
プラントに供給される原料に関する原料情報を取得する取得部と、
前記原料が制御対象となる対象工程よりも上流の1または複数の上流工程によって加工される過程をシミュレーションすることにより、前記対象工程に供給される材料に関する対象材料情報を予測する第1シミュレーション部と、
前記対象工程に供給される材料に関する材料情報を用いて前記対象工程を担当する対象プロセス装置の運転条件の最適化計算を実行する最適化装置に対して、前記対象材料情報を送信する対象材料情報送信部と
として機能させるシミュレーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーション装置、シミュレーションシステム、シミュレーション方法、およびシミュレーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、「リアルタイムでプラントの操業を最適化するシステムはRTO(Real Time Optimizer)と呼ばれる」こと、「RTOは、APC(高度制御システム)と組み合わせて用いられる。RTOの役割はDCS(分散型制御システム)またはPIMS(プラント情報管理システム)からプロセスデータを受け取り、利益が最大になるようなCVターゲット(実際にコントロールしたい量に対して目標として与えられる値)を計算してAPCに渡すことである。APCの役割は受け取ったCVターゲットからMV(制御量を支配するために制御対象に加える量)を計算し、PID制御の設定値としてDCSに渡すことである。これを繰り返すことで、プラント操業のリアルタイムな最適化が実現される」こと、「他にも、RT-OPのユニークな特徴として複数装置の最適化が実現できる点やメンテナンスが容易な点が挙げられる。…RT-OPは…LP(線形計画法)を用いて解くことで高速での計算を実現し複数装置をまたいで扱える」ことが記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[非特許文献1] 水田 圭亮、西野 宏亮、「プラントの利益最大化に寄与する操業最適化支援ソリューション:『OpreX Dynamic Real Time Optimizer』の開発とその背景」、配管技術、日本工業出版、2020年3月、第62巻、第4号、p.31~35
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、シミュレーション装置を提供する。シミュレーション装置は、プラントに供給される原料に関する原料情報を取得する取得部を備えてよい。シミュレーション装置は、原料が制御対象となる対象工程よりも上流の1または複数の上流工程によって加工される過程をシミュレーションすることにより、対象工程に供給される材料に関する対象材料情報を予測する第1シミュレーション部を備えてよい。シミュレーション装置は、対象工程に供給される材料に関する材料情報を用いて対象工程を担当する対象プロセス装置の運転条件の最適化計算を実行する最適化装置に対して、対象材料情報を送信する対象材料情報送信部を備えてよい。
【0004】
シミュレーション装置は、1または複数の上流工程のうち少なくとも1つの上流工程を担当する少なくとも1つの上流プロセス装置の運転条件を受信する上流運転条件受信部を備えてよい。第1シミュレーション部は、少なくとも1つの上流プロセス装置の運転条件を更に用いて、原料が1または複数の上流工程によって加工される過程をシミュレーションしてよい。
【0005】
シミュレーション装置は、最適化装置が算出した対象プロセス装置の運転条件を受信する対象運転条件受信部を備えてよい。シミュレーション装置は、対象材料情報および対象プロセス装置の運転条件を用いて、対象工程に供給される材料が、対象工程および対象工程よりも下流の1または複数の下流工程によって加工される過程をシミュレーションすることにより、プラントの生産物に関する生産物情報を予測する第2シミュレーション部を備えてよい。
【0006】
シミュレーション装置は、1または複数の下流工程のうち少なくとも1つの下流工程を担当する少なくとも1つの下流プロセス装置の運転条件を受信する下流運転条件受信部を備えてよい。第2シミュレーション部は、少なくとも1つの下流プロセス装置の運転条件を更に用いて、対象工程に供給される材料が対象工程および1または複数の下流工程によって加工される過程をシミュレーションしてよい。
【0007】
シミュレーション装置は、生産物情報に基づいて、対象プロセス装置の運転条件の修正を最適化装置に指示する修正指示部を備えてよい。
【0008】
シミュレーション装置は、生産物情報に基づいて、プラントの生産物から得られる収益を計算する収益計算部を備えてよい。修正指示部は、対象プロセス装置の運転条件を、収益をより向上させる運転条件に修正する修正指示を最適化装置へと送信してよい。
【0009】
シミュレーション装置は、対象材料情報および対象プロセス装置の運転条件と、対象プロセス装置に指示した運転条件の修正とを用いて、対象材料情報および対象プロセス装置の運転条件を入力とし、対象プロセス装置に指示するべき運転条件の修正を出力とする機械学習モデルを学習により生成する機械学習部を備えてよい。
【0010】
シミュレーション装置は、生産物情報に基づいて、プラントの生産物が目標条件を満たすか否かを判定する判定部を備えてよい。シミュレーション装置は、プラントの生産物が目標条件を満たさないと判定されたことに応じて、警告を発生する警告部を備えてよい。
【0011】
本発明の第2の態様においては、シミュレーション装置と、最適化装置とを備えるシミュレーションシステムを提供する。
【0012】
本発明の第3の態様においては、シミュレーション方法を提供する。シミュレーション方法は、シミュレーション装置が、プラントに供給される原料に関する原料情報を取得することを含んでよい。シミュレーション方法は、シミュレーション装置が、原料が制御対象となる対象工程よりも上流の1または複数の上流工程によって加工される過程をシミュレーションすることにより、対象工程に供給される材料に関する対象材料情報を予測する第1シミュレーションを実行することを含んでよい。シミュレーション方法は、シミュレーション装置が、対象工程に供給される材料に関する材料情報を用いて対象工程を担当する対象プロセス装置の運転条件の最適化計算を実行する最適化装置に対して、対象材料情報を送信することを含んでよい。
【0013】
本発明の第4の態様においては、コンピュータにより実行されるシミュレーションプログラムを提供する。シミュレーションプログラムは、コンピュータを、プラントに供給される原料に関する原料情報を取得する取得部として機能させてよい。シミュレーションプログラムは、コンピュータを、原料が制御対象となる対象工程よりも上流の1または複数の上流工程によって加工される過程をシミュレーションすることにより、対象工程に供給される材料に関する対象材料情報を予測する第1シミュレーション部として機能させてよい。シミュレーションプログラムは、コンピュータを、対象工程に供給される材料に関する材料情報を用いて対象工程を担当する対象プロセス装置の運転条件の最適化計算を実行する最適化装置に対して、対象材料情報を送信する対象材料情報送信部として機能させてよい。
【0014】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係るプラント10の構成を示す。
【
図2】本実施形態に係るシミュレーション装置150の構成を示す。
【
図3】本実施形態に係るシミュレーション装置150における第1の動作フローを示す。
【
図4】本実施形態に係るシミュレーション装置150における第2の動作フローを示す。
【
図5】本実施形態に係るシミュレーション装置150における第3の動作フローを示す。
【
図6】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、本実施形態に係るプラント10の構成を示す。プラント10は、化学等の工業プラントの他、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラントであってよい。また、本実施形態に係るプラント10は、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント等にも適用可能である。プラント10は、1または複数の上流プロセス装置100、対象プロセス装置102、および1または複数の下流プロセス装置104を含む複数のプロセス装置と、1または複数の上流制御システム110、対象制御システム112、および1または複数の下流制御システム114を含む複数の制御システムと、シミュレーション装置150とを備える。
【0018】
複数のプロセス装置は、プラント10に供給される原料を、それぞれのプロセス装置が担当する工程(プロセス)によって順次加工していくことにより、プラント10の生産物(最終生産物)を生産する。例えば、プラント10が石油精製プラントである場合、プラント10は、流動接触分解装置(FCC)、常圧蒸留装置、または加熱炉等の1または複数のプロセス装置によって、原料としての原油を加工して、ナフサ、灯油、軽油、および重油等の生産物を生産する。なお、例えば、プラント10が太陽光発電プラント等である場合、プラント10は、太陽光のようなエネルギー源等の無体物の原料を入力として、電力等の無体物の生産物を出力してもよい。
【0019】
複数のプロセス装置は、シミュレーション装置150による制御対象となる対象工程を担当する対象プロセス装置102と、対象工程よりも上流の1または複数の上流工程を担当する1または複数の上流プロセス装置100と、対象工程よりも下流の1または複数の下流工程を担当する1または複数の下流プロセス装置104とを含む。1または複数の上流プロセス装置100は、プラント10に供給される原料を1または複数の上流工程によって加工して、対象工程に供給される材料を生成する。対象プロセス装置102は、対象工程に供給される材料を受け取って、対象工程によって加工して、下流工程に供給する。1または複数の下流プロセス装置104は、対象工程から供給される材料を受け取って、1または複数の下流工程によって加工することにより、プラント10の生産物を生産する。
【0020】
各プロセス装置には、1または複数のフィールド機器が設置される。フィールド機器は、例えば圧力計、流量計、温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、プラント10内の状況や対象物を撮影するカメラやビデオ等の撮像機器、プラント10内の異音等を収集したり警報音等を発したりするマイクやスピーカ等の音響機器、各機器の位置情報を出力する位置検出機器、その他の機器である。
【0021】
各プロセス装置に設置されたフィールド機器のうちセンサ機器等は、プロセス装置が担当する工程におけるプロセス装置自体、材料、または生産物の状態等を測定し、プロセスデータとして制御システムに出力する。また、各プロセス装置に設置されたフィールド機器のうちバルブ機器およびアクチュエータ機器等の制御対象機器は、制御システムから操作量(Manipulated Value)を受けて、操作量に応じて流量制御弁の開度を変更して流量を制御する等の動作を行なう。
【0022】
なお、本実施形態においては、説明の便宜上1つのプロセス装置が1つの制御システムに接続されている場合の例を示す。これに代えて、複数のプロセス装置が1つの制御システムに接続されていてもよい。
【0023】
複数の制御システムのそれぞれは、複数のプロセス装置のそれぞれに対応して設けられる。複数の制御システムは、1または複数の上流プロセス装置100を制御する1または複数の上流制御システム110と、対象プロセス装置102を制御する対象制御システム112と、1または複数の下流プロセス装置104を制御する1または複数の下流制御システム114とを含む。
【0024】
対象制御システム112は、対象プロセス装置102の制御を担当する。対象制御システム112は、分散型制御システム120と、高度制御システム130と、最適化装置140とを有する。分散型制御システム120(Distributed Control System)は、対象プロセス装置102に接続される。分散型制御システム120は、一例としてHART(登録商標)、BRAIN、ファウンデーションフィールドバス(登録商標)、ISA100.11a等で規定される通信プロトコルを用いて対象プロセス装置102(または対象プロセス装置102に設置されたフィールド機器)と通信する。分散型制御システム120は、対象プロセス装置102からプロセスデータを受信し、プロセスデータを入力としてPID制御等の制御演算を行なって、各制御対象機器の操作量(例えばMV:Manipulated Value)を算出する。そして、分散型制御システム120は、算出した操作量を対象プロセス装置102に設置された制御対象機器へと送信して、対象プロセス装置102を操作させる。
【0025】
高度制御システム130(Advanced Process Control)は、例えばイーサネット(登録商標)等のネットワークを介して分散型制御システム120および最適化装置140に接続される。高度制御システム130は、分散型制御システム120による制御よりもより高度のプロセス制御を行なうために分散型制御システム120に付加される。高度制御システム130は、対象プロセス装置102からのプロセスデータを分散型制御システム120を介して受け取る。また、高度制御システム130は、対象プロセス装置102に設置された各制御対象機器の制御の目標値(Target Value)を受け取る。そして、高度制御システム130は、分散型制御システム120による制御演算によって制御対象機器が目標値に応じた動作を行なうことができるように、分散型制御システム120におけるPID制御のパラメータ等の設定値を計算して、分散型制御システム120に設定する。
【0026】
最適化装置140は、例えばイーサネット(登録商標)等のネットワークを介して高度制御システム130に接続される。最適化装置140は、例えばRTO(Real Time Optimizer)であり、対象プロセス装置102の運転条件の最適化計算を実行する。最適化装置140は、高度制御システム130からプロセスデータを受け取り、分散型制御システム120の生産物から得られる利益等を最大化できるように各制御対象機器の制御の目標値を算出する。ここで、最適化装置140は、例えば利益、コスト、効率、またはその他のパラメータのうちの少なくとも1つのパラメータの関数として予め定義された目的関数を最大化するように、各制御対象機器の制御の目標値を算出してよい。最適化装置140は、各制御対象機器の制御の目標値を、線形計画法等を用いて計算してよい。最適化装置140は、算出した各制御対象機器の制御の目標値を、高度制御システム130へと送信する。ここで、「最適化」とは、予め定められた手法(最適化手法)を用いて、最適化の対象値を最適な値により近付けることを意味する。したがって、「最適化」は、対象値を最適値(例えば最大値または最小値)にすることに限られず、対象値を局所的な最適値(例えば極大値または極小値)にすること、および対象値を現在の値よりもよりよい値に変更することを含む。
【0027】
なお、最適化装置140は、分散型制御システム120に接続されてもよく、高度制御システム130を介さずに分散型制御システム120からプロセスデータを受け取ってもよい。また、最適化装置140が分散型制御システム120の制御演算を直接最適化可能であれば、対象制御システム112は、高度制御システム130を有しなくてもよい。
【0028】
1または複数の上流制御システム110および1または複数の下流制御システム114のそれぞれは、対象制御システム112と同様の構成であってよく、異なる構成であってもよい。例えば、1または複数の上流制御システム110および1または複数の下流制御システム114のうちの少なくとも1つは、最適化装置140を有しなくてもよく、高度制御システム130および最適化装置140を有しなくてもよい。
【0029】
シミュレーション装置150は、対象制御システム112に接続される。シミュレーション装置150は、プラント10内の複数のプロセス装置による各工程のシミュレーションを行ない、シミュレーションの結果を用いて対象プロセス装置102の制御をより最適化する。ここで、シミュレーション装置150は、最適化装置140における最適化計算では参照しないパラメータを使用するシミュレーションを実行することにより、最適化装置140では実現できないような全体的な最適化を図れるように対象プロセス装置102の運転条件を変更可能とする。なお、最適化装置140およびシミュレーション装置150は、一体のシミュレーションシステムとして機能してよい。
【0030】
本実施形態に係るシミュレーション装置150は、プラント10の原料から最終生産物までに至るプロセスフロー全体をシミュレーションする。シミュレーション装置150は、プラント10に供給される原料に関する原料情報を入力し、原料が1または複数の上流工程によって加工される過程をシミュレーションして、対象工程に供給される材料に関する対象材料情報(対象工程の「フィード情報」とも示す。)を予測する。ここで、シミュレーション装置150は、少なくとも1つの上流プロセス装置100の運転条件を上流制御システム110から取得して、シミュレーションに用いてもよい。シミュレーション装置150は、対象材料情報を対象制御システム112内の最適化装置140へと供給することで、シミュレーションによって算出された材料の特性に応じて対象プロセス装置102の運転条件の最適化計算を最適化装置140により行なわせることができる。
【0031】
また、シミュレーション装置150は、最適化装置140が算出した対象プロセス装置102の運転条件を受信し、対象工程に供給される材料が、1または複数の下流工程によって加工される過程をシミュレーションすることにより、プラント10の生産物に関する生産物情報を予測する。ここで、シミュレーション装置150は、少なくとも1つの下流プロセス装置104の運転条件を下流制御システム114から取得して、シミュレーションに用いてもよい。シミュレーション装置150は、シミュレーション結果に基づいて、生産物情報を最適化するために最適化装置140によって計算された運転条件を修正する。
【0032】
以上に示したプラント10においては、最適化装置140が、本図における対象プロセス装置102等の一部のプロセス装置からのプロセスデータを用いて対象プロセス装置102の運転条件を最適化し、シミュレーション装置150が、最適化装置140が参照しないようなより全体的なパラメータを使用してシミュレーションにより対象プロセス装置102の運転条件の最適化を図ることができる。これにより、最適化装置140およびシミュレーション装置150は、運転条件の最適化計算の精度を高めることができる。また、最適化装置140およびシミュレーション装置150によって最適化計算を分担することにより、プラント10において要求される制御時間の間に最適化計算を行なうことができる。
【0033】
図2は、本実施形態に係るシミュレーション装置150の構成を示す。シミュレーション装置150は、取得部200と、上流運転条件受信部205と、第1シミュレーション部210と、対象材料情報送信部215と、対象運転条件受信部220と、下流運転条件受信部225と、第2シミュレーション部230と、収益計算部235と、修正指示部240と、判定部245と、警告部250と、機械学習部255とを備える。
【0034】
取得部200は、プラント10に供給される原料に関する原料情報を取得する。原料情報は、プラント10に供給される1または複数の原料のそれぞれについて、組成または純度等の性状を示すパラメータ、総量、流量、または流速等の量を示すパラメータ、または温度または圧力等の状態を示すパラメータのような、様々な種類のパラメータのうちの少なくとも1つのパラメータの組である。
【0035】
上流運転条件受信部205は、1または複数の上流制御システム110のうちの少なくとも1つの上流制御システム110に接続される。上流運転条件受信部205は、1または複数の上流工程のうち少なくとも1つの上流工程を担当する少なくとも1つの上流プロセス装置100の運転条件を、各上流プロセス装置100の制御を担当する上流制御システム110から受信する。上流運転条件受信部205は、対象プロセス装置102よりも上流の全ての上流プロセス装置100の運転条件を全ての上流制御システム110から受信してもよい。また、第1シミュレーション部210がいずれの上流プロセス装置100の運転条件もシミュレーションに用いない場合には、シミュレーション装置150は、上流運転条件受信部205を備えなくてもよい。
【0036】
第1シミュレーション部210は、取得部200および上流運転条件受信部205に接続される。原料が1または複数の上流工程によって加工される過程をシミュレーションすることにより、対象工程に供給される材料に関する対象材料情報を予測する。シミュレーションの対象となる上流プロセス装置100の運転条件が取得できる場合、第1シミュレーション部210は、取得された少なくとも1つの上流プロセス装置100の運転条件を用いて、原料が1または複数の上流工程によって加工される過程をシミュレーションしてよい。
【0037】
対象材料情報送信部215は、第1シミュレーション部210に接続される。対象材料情報送信部215は、対象制御システム112内の最適化装置140に対して、対象材料情報を送信する。これにより、最適化装置140は、対象材料情報を用いて、対象プロセス装置102の運転条件の最適化計算を実行することができる。
【0038】
対象運転条件受信部220は、対象制御システム112に接続される。対象運転条件受信部220は、対象制御システム112内の最適化装置140が算出した対象プロセス装置102の運転条件を受信する。第2シミュレーション部230は、第1シミュレーション部210および対象運転条件受信部220に接続される。第2シミュレーション部230は、シミュレーションにより算出された対象材料情報を第1シミュレーション部210から受け取り、最適化装置140が算出した対象プロセス装置102の運転条件を対象運転条件受信部220から受け取る。
【0039】
下流運転条件受信部225は、1または複数の下流制御システム114のうちの少なくとも1つの下流制御システム114に接続される。下流運転条件受信部225は、1または複数の下流工程のうち少なくとも1つの下流工程を担当する少なくとも1つの下流プロセス装置104の運転条件を、各下流プロセス装置104の制御を担当する下流制御システム114から受信する。下流運転条件受信部225は、対象プロセス装置102よりも下流の全ての下流プロセス装置104の運転条件を全ての下流制御システム114から受信してもよい。また、第2シミュレーション部230がいずれの下流プロセス装置104の運転条件もシミュレーションに用いない場合には、シミュレーション装置150は、下流運転条件受信部225を備えなくてもよい。
【0040】
第2シミュレーション部230は、第1シミュレーション部210および対象運転条件受信部220に接続される。第2シミュレーション部230は、対象材料情報および対象プロセス装置102の運転条件を用いて、対象工程に供給される材料が、対象工程および1または複数の下流工程によって加工される過程をシミュレーションすることにより、プラント10の生産物に関する生産物情報を予測する。
【0041】
シミュレーションの対象となる下流プロセス装置104の運転条件が取得できる場合、第2シミュレーション部230は、取得された少なくとも1つの下流プロセス装置104の運転条件を更に用いて、対象工程に供給される材料が対象工程および1または複数の下流工程によって加工される過程をシミュレーションしてよい。収益計算部235は、第2シミュレーション部230に接続される。収益計算部235は、プラント10の最終生産物についての生産物情報に基づいて、プラント10の生産物から得られる収益を計算する。
【0042】
修正指示部240は、第2シミュレーション部230および収益計算部235に接続される。修正指示部240は、生産物情報に基づいて、必要に応じて対象プロセス装置102の運転条件の修正を対象制御システム112内の最適化装置140に指示する。修正指示部240は、最適化装置140により最適化された対象プロセス装置102の運転条件によるプラント10の生産物への影響が看過できない場合、または生産物が製品として適切でない場合に、対象プロセス装置102の運転条件の修正を最適化装置140に指示してよい。また、修正指示部240は、対象プロセス装置102の運転条件を、収益計算部235によって計算された収益をより向上させる運転条件に修正する修正指示を生成し、最適化装置140へと送信してもよい。
【0043】
判定部245は、第2シミュレーション部230および収益計算部235に接続される。判定部245は、生産物情報に基づいて、プラント10の生産物が目標条件を満たすか否かを判定する。判定部245は、収益計算部235により予測された収益に基づいて、プラント10の生産物が目標条件を満たすか否かを判定してもよい。警告部250は、判定部245に接続される。警告部250は、プラント10の生産物が目標条件を満たさないと判定されたことに応じて、警告を発生する。
【0044】
機械学習部255は、第1シミュレーション部210、対象運転条件受信部220、および修正指示部240に接続される。機械学習部255は、第1シミュレーション部210から対象材料情報を受信し、対象運転条件受信部220から対象プロセス装置102の運転条件を受信し、修正指示部240から対象プロセス装置102の運転条件の修正を受信する。機械学習部255は、対象材料情報および対象プロセス装置102の運転条件と、対象プロセス装置102に指示した運転条件の修正とを学習データとして用いて、対象材料情報および対象プロセス装置102の運転条件を入力とし、対象プロセス装置102に指示するべき運転条件の修正を出力とする機械学習モデル260を学習により生成する。なお、機械学習を使用しないシミュレーション装置150は、機械学習部255を備えなくてよい。
【0045】
機械学習モデル260の訓練後、機械学習部255は、第1シミュレーション部210および対象運転条件受信部220から新たに受信する対象材料情報および対象プロセス装置102の運転条件を学習済みの機械学習モデル260に入力し、対象プロセス装置102の運転条件の修正候補を出力する。機械学習部255は、対象プロセス装置102の運転条件の修正候補を収益計算部235に供給し、この修正候補によって対象プロセス装置102の運転条件を修正した場合における収益を計算させる。修正指示部240は、機械学習部255が出力した対象プロセス装置102の運転条件の修正候補によって、運転条件を修正しない場合と比較して収益が向上すると判断したことに応じて、機械学習部255が出力した対象プロセス装置102の運転条件の修正候補に対応する運転条件の修正指示を対象制御システム112へと送信してよい。
【0046】
図3は、本実施形態に係るシミュレーション装置150における第1の動作フローを示す。本動作フローは、1または複数の上流工程のシミュレーションに関する。
【0047】
ステップ300(S300)において、取得部200は、プラント10に供給される原料に関する原料情報を取得する。取得部200は、原料の入手時にプラント10のオペレータによってシミュレーション装置150に入力される原料情報を取得してよく、原料の性状、量、または状態を測定する計測装置から原料情報を取得してもよい。S310において、上流運転条件受信部205は、少なくとも1つの上流工程を担当する少なくとも1つの上流プロセス装置100の運転条件を、各上流プロセス装置100の制御を担当する上流制御システム110から受信する。
【0048】
S320において、第1シミュレーション部210は、原料が1または複数の上流工程によって加工される過程をシミュレーションすることにより、対象工程に供給される材料に関する対象材料情報を予測する。第1シミュレーション部210は、最上流の上流プロセス装置100から対象プロセス装置102の直前の上流プロセス装置100に至るまでの各上流プロセス装置100について、供給される材料に関する材料情報(最上流の上流プロセス装置100においては原料情報)と、上流プロセス装置100の運転条件とを用いて、上流プロセス装置100による加工後の材料についての材料情報を算出する。そして、第1シミュレーション部210は、算出した材料情報を次に下流の上流プロセス装置100に供給される材料に関する材料情報として用いる。
【0049】
第1シミュレーション部210は、シミュレーションの対象となる上流プロセス装置100が、与えられた運転条件においてどのように材料を加工するかをモデル化した上流プロセス装置100のシミュレーションモデルを用いて、対象の上流プロセス装置100をシミュレーションしてよい。このようなシミュレーションモデルは、上流プロセス装置100に供給される材料に関する材料情報と、与えられる運転条件とに含まれる複数の入力パラメータを、上流プロセス装置100による加工後の材料に関する材料情報に含まれる複数の出力パラメータに変換する関数による比較的簡単なモデルとして実現されてよい。また、第1シミュレーション部210は、例えば熱流体解析のようなより詳細なシミュレーションを行なってもよい。
【0050】
シミュレーションの対象となる上流プロセス装置100の運転条件が取得できる場合、第1シミュレーション部210は、取得された少なくとも1つの上流プロセス装置100の運転条件を用いて、原料が1または複数の上流工程によって加工される過程をシミュレーションしてよい。運転条件が取得できない上流プロセス装置100については、第1シミュレーション部210は、運転条件の変化を計算に含めず、上流プロセス装置100が標準的なプロセス処理をした場合に上流プロセス装置100が出力する材料をシミュレーションにより算出してよい。これに代えて、第1シミュレーション部210は、運転条件が取得できない上流プロセス装置100に供給される材料の材料情報に応じて、対象となる上流プロセス装置100を制御する上流制御システム110内の高度制御システム130および最適化装置140が行なう運転条件の最適化をシミュレーションすることにより、対象となる上流プロセス装置100の運転条件を予測してもよい。
【0051】
ここで、1または複数の上流プロセス装置100のそれぞれにおけるプロセス処理と、上流プロセス装置100同士の間での材料の受渡しにはある程度の時間がかかる。したがって、第1シミュレーション部210は、このような時間遅延を含めてシミュレーションを行なうことにより、対象プロセス装置102に材料が供給されるタイミングと同期して、その材料に対応する対象材料情報を対象制御システム112へと送信することができるようにしてよい。
【0052】
S330において、対象材料情報送信部215は、対象制御システム112内の最適化装置140に対して、対象材料情報を送信する。これを受けて、最適化装置140は、対象材料情報を参照して対象プロセス装置102の運転条件の最適化計算を実行する。例えば、最適化装置140は、高度制御システム130から受け取ったプロセスデータと、対象材料情報とを所与の条件として、目的関数の値を最適化(例えば最大化)するように、対象プロセス装置102の運転条件として、対象プロセス装置102の各制御対象機器の制御の目標値を算出する。最適化装置140は、算出した各制御対象機器の制御の目標値を高度制御システム130へと送信して、高度制御システム130および分散型制御システム120により、最適化した運転条件を用いた対象プロセス装置102の制御を行なわせる。
【0053】
S340において、対象運転条件受信部220は、最適化装置140により算出された対象プロセス装置102の運転条件である対象運転条件を受信する。S350において、シミュレーション装置150は、上流工程のシミュレーションを用いた運転条件の最適化を終了するか否かを判定する。シミュレーション装置150は、上流工程のシミュレーションを用いた運転条件の最適化を継続する場合、処理をS300に進め、継続しない場合には本動作フローを終了する。
【0054】
以上に示したシミュレーション装置150によれば、プラント10に供給される原料に関する原料情報、および上流プロセス装置100の運転条件等の、対象制御システム112内の最適化装置140が参照しないパラメータを用いて上流工程のシミュレーションを行なうことにより、対象プロセス装置102に供給される材料に関する対象材料情報を算出することができる。これにより、最適化装置140は、対象プロセス装置102に供給される対象材料情報を用いて対象プロセス装置102の運転条件を最適化することができるので、最適化の精度を高めることができる。また、シミュレーション装置150は、上流プロセス装置100の運転条件も用いて上流工程のシミュレーションを行なう場合には、対象材料情報の精度を更に高めることができ、最適化装置140による最適化の精度を更に高めることができる。
【0055】
また、シミュレーション装置150は、原料情報および上流プロセス装置100の運転条件等の対象材料情報に影響を与えうるパラメータを用いて理論的なシミュレーションを行なって対象材料情報を算出する。この結果、最適化装置140は、対象プロセス装置102に供給される材料に影響を与えうる上流工程および原料の全てのパラメータを最適化計算のパラメータとして含める代わりに対象材料情報を代表的なパラメータとして用いることができるので、最適化装置140における最適化計算の処理が複雑化するのを抑えて計算量の大幅な増加を防ぐことができる。
【0056】
図4は、本実施形態に係るシミュレーション装置150における第2の動作フローを示す。本動作フローは、1または複数の下流工程のシミュレーションに関する。
【0057】
S400において、第2シミュレーション部230は、第1シミュレーション部210により算出された対象材料情報を取得する。S410において、第2シミュレーション部230は、対象運転条件受信部220が受信した対象プロセス装置102の運転条件を取得する。S420において、下流運転条件受信部225は、1または複数の下流工程のうち少なくとも1つの下流工程を担当する少なくとも1つの下流プロセス装置104の運転条件を、各下流プロセス装置104の制御を担当する下流制御システム114から受信する。下流運転条件受信部225は、受信した下流プロセス装置104の運転条件を第2シミュレーション部230に供給する。
【0058】
S430において、第2シミュレーション部230は、対象材料情報および対象プロセス装置102の運転条件を用いて、対象工程に供給される材料が、対象工程および1または複数の下流工程によって加工される過程をシミュレーションすることにより、プラント10の生産物に関する生産物情報を予測する。第2シミュレーション部230は、対象プロセス装置102から最下流の下流プロセス装置104に至るまでの各プロセス装置について、供給される材料に関する材料情報と、プロセス装置の運転条件とを用いて、プロセス装置による加工後の材料についての材料情報を算出する。そして、第2シミュレーション部230は、算出した材料情報を次に下流の下流プロセス装置104に供給される材料に関する材料情報として用いる。
【0059】
シミュレーションの対象となる下流プロセス装置104の運転条件が取得できる場合、第2シミュレーション部230は、取得された少なくとも1つの下流プロセス装置104の運転条件を更に用いて、対象工程に供給される材料が対象工程および1または複数の下流工程によって加工される過程をシミュレーションしてよい。
【0060】
ここで、第2シミュレーション部230は、第1シミュレーション部210が1または複数の上流工程をシミュレーションするのと同様にして、1または複数の下流工程をシミュレーションしてよい。ただし、第2シミュレーション部230が算出する生産物情報は、対象プロセス装置102の運転条件を修正するために修正指示部240によって使用されるものであるから、第2シミュレーション部230は、第1シミュレーション部210とは異なり、可能な限り高速にシミュレーションを行なって生産物情報を算出してよい。
【0061】
S440において、収益計算部235は、第2シミュレーション部230が算出した、プラント10の生産物についての生産物情報に基づいて、プラント10の生産物から得られる収益を計算する。収益計算部235は、プラント10の最終生産物の種類毎の生産量を生産物情報から読み出し、予め与えられた生産物の種類毎の単価を乗じて合計することにより、全生産物の価格を算出する。収益計算部235は、全生産物の価格から、生産に要したコストを減じることにより収益を予測してよい。ここで、収益計算部235は、プロセス装置の運転条件によってコストが変化する場合には、シミュレーションで用いた各プロセス装置の運転条件を取得する。そして、収益計算部235は、各プロセス装置の運転条件を予め定められたコスト関数に入力し、コスト関数の出力をコストの少なくとも一部に含める。収益計算部235は、第2シミュレーション部230により予測された生産物情報の少なくとも一部と、予測した収益とを、例えばプラント10のオペレータが監視する表示装置等に出力する表示処理を行なってよい。
【0062】
S450において、修正指示部240は、生産物情報に基づいて、必要に応じて対象プロセス装置102の運転条件の修正を対象制御システム112内の最適化装置140に指示する。例えば、修正指示部240は、生産物のある性状等が対象工程の影響により基準範囲から外れている場合に、その性状等が基準範囲内に収まるように運転条件の修正を指示してよい。修正指示部240は、その性状等が基準範囲の上限を超えている場合にはどの運転条件をどう変更すべきか等の、条件に応じたアクションの組を予め定義したルールベースを記憶し、このルールベースに従って運転条件の修正を指示してよい。
【0063】
また、修正指示部240は、生産物のある性状等が対象工程の影響により基準範囲から外れている場合に、運転条件の修正候補を生成し、運転条件の修正を反映した場合の生産物情報を第2シミュレーション部230にシミュレーションさせてもよい。そして、修正指示部240は、運転条件の修正を反映すると生産物のその性状等が基準範囲内となる場合には、その運転条件の修正を対象制御システム112に指示してもよい。修正指示部240は、生産物の性状等が基準範囲内となる運転条件の修正候補が見つかるか、タイムアウトするまで、様々な修正候補を生成して第2シミュレーション部230によりシミュレーションさせてもよい。
【0064】
また、第2シミュレーション部230は、S430において、対象プロセス装置102の運転条件に応じたシミュレーションに加えて、1または複数の運転条件の修正候補に応じたシミュレーションを実行してもよい。そして、対象プロセス装置102の運転条件による生産物の性状等が基準範囲から外れる場合には、修正指示部240は、1または複数の運転条件の修正候補のうち生産物の性状等が基準範囲内となる修正候補に応じた修正指示を対象制御システム112へと送信してもよい。
【0065】
また、修正指示部240は、対象プロセス装置102の運転条件を、収益をより向上させる運転条件に修正する修正指示を生成してもよい。例えば、修正指示部240は、現在の対象プロセス装置102の運転条件、および1または複数の運転条件の修正候補のうち、生産物の性状等が基準範囲内である中で収益が最大となる運転条件または運転条件の修正候補を選択してよい。そして、修正指示部240は、運転条件の修正候補を選択した場合には、運転条件の修正指示を対象制御システム112へと送信する。ここで、修正指示部240は、運転条件の修正指示の内容を、例えばプラント10のオペレータが監視する表示装置等に出力する表示処理を行なってもよい。
【0066】
S460において、判定部245は、生産物情報または予測された収益の少なくとも1つに基づいて、プラント10の生産物が目標条件を満たすか否かを判定する。ここで、目標条件は、生産物の性状についての条件を含んでよく、生産物の量についての条件を含んでもよい。判定部245は、例えば、生産物の品質が下限の品質未満であること、または生産物の量が下限量未満であること等の場合に、生産物が目標条件を満たさないと判定する。目標条件は、収益についての条件を含んでもよい。判定部245は、例えば、生産物による収益が下限値未満であることに応じて、生産物が目標条件を満たさないと判定する。ここで、判定部245は、判定結果を、例えばプラント10のオペレータが監視する表示装置等に出力する表示処理を行なってよい。
【0067】
なお、判定部245に対して定義される目標条件は、修正指示部240が運転条件を修正するか否かの判断に用いる基準範囲と同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、基準範囲は、生産物の性状、生産量、収益をより向上するために運転条件の修正をする必要がない理想的な状態である一方で、目標条件は、この条件を満たさない場合には生産物の不良、生産量不足、または収益悪化となるような限界に対応してよい。
【0068】
S470において、プラント10の生産物が目標条件を満たす場合には、シミュレーション装置150は、処理をS400へと進めて次のタイミングのシミュレーションを行なう。S470において、プラント10の生産物が目標条件を満たさないと判定された場合には、警告部250は、S480において警告を発生する。警告部250は、発生した警告を、例えばプラント10のオペレータが監視する表示装置等に出力する表示処理を行なってよい。ここで、警告部250は、発生した警告とともに、収益計算部235により予測した収益または判定部245の判定結果のうちの少なくとも1つを表示装置に出力する表示処理を行なってよい。
【0069】
以上に示したシミュレーション装置150によれば、対象工程の材料に関する対象材料情報および対象プロセス装置102の運転条件を用いて下流工程のシミュレーションを行なうことにより、プラント10の生産物に関する生産物情報を算出することができる。これにより、シミュレーション装置150は、生産物情報に基づいて対象プロセス装置102の運転条件を修正することができるので、最終生産物の生産物情報をパラメータとして用いない最適化装置140による最適化と比較して、最適化の精度をより高めることができる。シミュレーション装置150は、下流プロセス装置104の運転条件も用いて下流工程のシミュレーションを行なう場合には、運転条件の修正指示の精度を更に高めることができ、最適化装置140による最適化の精度を更に高めることができる。
【0070】
また、シミュレーション装置150は、対象材料情報および対象プロセス装置102の運転条件等の、生産物情報に影響を与えうるパラメータを用いて理論的なシミュレーションを行なって生産物情報を算出する。この結果、シミュレーション装置150は、対象プロセス装置102の運転条件に影響を与えうる下流工程の全てのパラメータを最適化計算のパラメータとして最適化装置140に供給して最適化計算をさせる代わりに、生産物情報を用いて運転条件を最適化することができるので、最適化装置140における最適化計算の処理が複雑化するのを抑えて計算量の大幅な増加を防ぐことができる。
【0071】
図5は、本実施形態に係るシミュレーション装置150における第3の動作フローを示す。本動作フローは、機械学習部255による機械学習に関する。
【0072】
S500において、機械学習部255は、第1シミュレーション部210により算出された対象材料情報を取得する。また、機械学習部255は、対象運転条件受信部220が受信した対象プロセス装置102の運転条件を取得する。S510において、機械学習部255は、修正指示部240から対象制御システム112へと指示した対象プロセス装置102の運転条件の修正を取得する。ここで、機械学習部255は、対象材料情報、対象プロセス装置102の運転条件、および対象プロセス装置102の運転条件の修正の組を複数サンプル取得して、学習用データとしてよい。
【0073】
S520において、機械学習部255は、機械学習モデル260を学習により生成する。ここで、機械学習部255は、取得した対象材料情報および対象プロセス装置102の運転条件を学習用入力データとし、対象プロセス装置102に指示した運転条件の修正を学習用出力データとして用いて、対象材料情報および対象プロセス装置102の運転条件を入力すると、対象プロセス装置102に指示するべき運転条件の修正を予測可能な機械学習モデル260を学習により生成してよい。
【0074】
機械学習部255は、例えばランダムフォレスト、勾配ブースティング、ロジスティック回帰、ニューラルネットワーク、およびサポートベクタマシン(SVM)等を含む各種の機械学習アルゴリズムのうちの少なくとも1つを用いる機械学習モデル260を生成してよい。機械学習部255は、各サンプルの学習用入力データをモデルに入力した場合のモデルの出力と、そのサンプルの学習用出力データとの誤差を低減させるように、モデルのパラメータを更新していく。例えばニューラルネットワークを用いる場合、機械学習部255は、各サンプルの学習用入力データを入力したことに応じてニューラルネットワークが出力する出力値と学習用出力データとの誤差を用いて、バックプロパゲーション等の手法により、ニューラルネットワークの各ニューロン間の重みおよび各ニューロンのバイアス等を調整する。
【0075】
S530において、機械学習部255は、対象プロセス装置102が実際に対象工程のプロセス処理を行なう場合に、対象プロセス装置102の運転条件の修正指示生成に機械学習モデル260を適用する。例えば、機械学習部255は、
図4のS400およびS410において、現時点における対象材料情報および対象プロセス装置102の運転条件を取得する。機械学習部255は、取得した対象材料情報および対象プロセス装置102の運転条件を機械学習モデル260に入力して、機械学習モデル260により推測した対象プロセス装置102に指示するべき運転条件の修正を得る。
【0076】
下流運転条件受信部225および第2シミュレーション部230は、機械学習部255による修正後の運転条件を用いて
図4のS420~430の処理を行ない、機械学習部255による修正後の運転条件で対象プロセス装置102を制御した場合におけるプラント10の生産物の生産物情報を推測する。シミュレーション装置150は、
図4のS440と同様にして、機械学習部255による修正後の運転条件における収益を計算する。修正指示部240は、
図4のS450において、機械学習部255による運転条件の修正も修正候補として用いて、少なくとも1つの運転条件の修正候補の中から使用する運転条件の修正を選択してよい。
【0077】
以上に示したシミュレーション装置150によれば、機械学習部255は、対象材料情報および対象プロセス装置102の運転条件に応じた適切な運転条件の修正を、機械学習モデル260を用いて推測することができる。これにより、機械学習部255は、第2シミュレーション部230によるシミュレーションを繰り返して対象プロセス装置102の適切な運転条件を算出するのと比較して、少ない計算量で運転条件の修正候補を算出することができる。また、機械学習部255は、対象材料情報および対象プロセス装置102の運転条件に応じた適切な運転条件の修正をオンラインで継続的に学習することにより、機械学習モデル260の精度を継続的に向上していくことができる。
【0078】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0079】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0080】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0081】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のコンピュータ等のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0082】
図6は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0083】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インターフェイス2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0084】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0085】
通信インターフェイス2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0086】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0087】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0088】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェイス2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェイス2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0089】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0090】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0091】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0092】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0093】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0094】
10 プラント、100 上流プロセス装置、102 対象プロセス装置、104 下流プロセス装置、110 上流制御システム、112 対象制御システム、114 下流制御システム、120 分散型制御システム、130 高度制御システム、140 最適化装置、150 シミュレーション装置、200 取得部、205 上流運転条件受信部、210 第1シミュレーション部、215 対象材料情報送信部、220 対象運転条件受信部、225 下流運転条件受信部、230 第2シミュレーション部、235 収益計算部、240 修正指示部、245 判定部、250 警告部、255 機械学習部、260 機械学習モデル、2200 コンピュータ、2201 DVD-ROM、2210 ホストコントローラ、2212 CPU、2214 RAM、2216 グラフィックコントローラ、2218 ディスプレイデバイス、2220 入/出力コントローラ、2222 通信インターフェイス、2224 ハードディスクドライブ、2226 DVD-ROMドライブ、2230 ROM、2240 入/出力チップ、2242 キーボード