(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】照明システム及び操作器
(51)【国際特許分類】
H05B 47/18 20200101AFI20240903BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240903BHJP
【FI】
H05B47/18
H05B47/105
(21)【出願番号】P 2021054782
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】志知 輝一
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-267668(JP,A)
【文献】特開2018-055858(JP,A)
【文献】特開2018-055850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/18
H05B 47/105
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信及び前記第1の通信とは異なる第2の通信を用いて通信可能な照明器具と; 前記第1の通信を用いて前記照明器具の作動に関する作動指令を前記照明器具に送信可能であるとともに、前記第1の通信を用いて前記作動指令を前記照明器具に送信している状態において、前記第2の通信を用いて前記照明器具の作動状況を定期的に取得する操作器と;
を具備
し、
前記操作器は、前記第1の通信を用いて前記照明器具と通信できない場合は、前記作動状況の取得よりも優先して前記第2の通信を用いて前記作動指令を前記照明器具に送信する状態に切替え、
前記操作器は、前記第1の通信を用いて前記照明器具と通信できる場合は、前記作動指令を前記第1の通信を用いて前記照明器具に送信する状態を維持する、
照明システム。
【請求項2】
前記操作器の通信規格に対応する信号と前記照明器具の通信規格に対応する信号とを相互に変換可能な中間機器を具備し、
前記操作器は、前記中間機器を経由して前記照明器具と通信可能である、
請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記第1の通信は、前記中間機器を間に介して、通信ケーブルを用いて通信し、
前記第2の通信は、前記中間機器を間に介することなく、無線通信を用いて通信する、 請求項
2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記第1の通信は、複数の通信線を備える通信ケーブルにおいて一部の前記通信線を少なくとも用いて通信し、
前記第2の通信は、前記通信ケーブルにおいて前記第1の通信で用いられる前記通信線とは別の通信線を少なくとも用いて通信する、
請求項1
又は2に記載の照明システム。
【請求項5】
第1の通信及び前記第1の通信とは異なる第2の通信を用いて通信可能な通信部と;
前記第1の通信を用いて照明器具の作動に関する作動指令を前記照明器具に送信可能であるとともに、前記第1の通信を用いて前記照明器具に前記作動指令を送信している状態において、前記第2の通信を用いて前記照明器具の作動状況を定期的に取得する制御部と;
を具備
し、
前記制御部は、前記第1の通信を用いて前記照明器具と通信できない場合は、前記作動状況の取得よりも優先して前記第2の通信を用いて前記作動指令を前記照明器具に送信する状態に切替え、
前記制御部は、前記第1の通信を用いて前記照明器具と通信できる場合は、前記作動指令を前記第1の通信を用いて前記照明器具に送信する状態を維持する、
操作器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明システム及び操作器に関する。
【背景技術】
【0002】
照明システムでは、調光操作卓等の操作器は、照明器具と通信可能である。操作器は、調光信号を含む照明器具の作動に関する作動指令を照明器具に送信することにより、照明器具の作動を制御する。また、照明システムでは、操作器又は操作器とは別の処理装置等である制御装置は、照明器具と双方向通信をすることで、照明器具の作動状況を取得する。この際、制御装置は、作動状況を通知させる要求を照明器具に送信する。そして、照明器具は、制御装置からの要求に対する応答として、照明器具の作動状況を制御装置に送信する。照明器具の作動状況には、照明器具における温度異常及び基板異常等の照明器具における不具合を示すアラーム情報が含まれる。前述のような照明システムでは、操作器から送信される作動指令によって照明器具の作動を制御している状態において、照明器具の作動の制御の精度を確保しつつ、照明器具の作動状況を取得可能であることが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、照明器具の作動を制御している状態において、照明器具の作動の制御の精度を確保しつつ、照明器具の作動状況を取得可能にする照明システム及び操作器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、照明システムは、照明器具と操作器とを具備する。照明器具は、第1の通信及び前記第1の通信とは異なる第2の通信を用いて通信可能である。操作器は、第1の通信を用いて照明器具の作動に関する作動指令を照明器具に送信可能であるとともに、第1の通信を用いて作動指令を照明器具に送信している状態において、第2の通信を用いて照明器具の作動状況を定期的に取得する。操作器は、第1の通信を用いて照明器具と通信できない場合は、作動状況の取得よりも優先して第2の通信を用いて作動指令を照明器具に送信する状態に切替える。操作器は、第1の通信を用いて照明器具と通信できる場合は、作動指令を第1の通信を用いて照明器具に送信する状態を維持する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、照明器具の作動を制御している状態において、照明器具の作動状況を取得できる照明システム及び操作器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る照明システムの一例を概略的に示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る照明システムにおいて通信内容に対応して使用される通信経路を示す表である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る照明システムにおける操作器の制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第2の実施形態に係る照明システムの一例を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態の照明システム(1)は、照明器具(11)と操作器(12)とを具備する。照明器具(11)は、第1の通信及び前記第1の通信とは異なる第2の通信を用いて通信可能である。操作器(12)は、第1の通信を用いて照明器具(11)の作動に関する作動指令を照明器具(11)に送信可能であるとともに、第1の通信を用いて作動指令を照明器具(11)に送信している状態において、第2の通信を用いて照明器具(11)の作動状況を定期的に取得する。これにより、照明器具(11)の作動を制御している状態において、照明器具(11)の作動の制御の精度を確保しつつ、照明器具(11)の作動状況を取得可能にする照明システム(1)を提供することができる。
【0009】
実施形態の照明システム(1)では、操作器(12)は、第1の通信を用いて照明器具(11)と通信できない場合は、作動指令を第2の通信を用いて照明器具(11)に送信する状態に切替える。操作器(12)は、第1の通信を用いて照明器具(11)と通信できる場合は、作動指令を第1の通信を用いて照明器具(11)に送信する状態を維持する。これにより、照明システム(1)が舞台等の演出を実行している状態においても、舞台等の演出を継続して実行できる。
【0010】
実施形態の照明システム(1)では、操作器(12)の通信規格に対応する信号と照明器具(11)の通信規格に対応する信号とを相互に変換可能な中間機器(15)を具備する。操作器(12)は、中間機器(15)を経由して照明器具(11)と通信可能である。これにより、照明システム(1)の汎用性が向上する。
【0011】
実施形態の照明システム(1)では、第1の通信が、中間機器(15)を間に介して通信ケーブルを用いて通信する。第2の通信が、中間機器(15)を間に介することなく無線通信を用いて通信する。これにより、照明システム(1)が舞台等の演出を実行している状態においても、舞台等の演出を継続して実行できる。
【0012】
実施形態の照明システム(1)では、第1の通信は、複数の通信線を備える通信ケーブルにおいて一部の通信線を少なくとも使用する。また、第2の通信は、通信ケーブルにおいて第1の通信が使用する通信線とは別の通信線を少なくとも使用する。これにより、既存の通信ケーブルを使用して第1の通信及び第2の通信を実行可能となるため、照明システム(1)を容易に導入できる。
【0013】
実施形態の操作器(12)は、通信部(113)と制御部(112)とを具備する。通信部(113)は、第1の通信及び第1の通信とは異なる第2の通信を用いて通信可能である。制御部(112)は、第1の通信を用いて照明器具(11)の作動に関する作動指令を照明器具(11)に送信可能であるとともに、第1の通信を用いて照明器具(11)に作動指令を送信している状態において、第2の通信を用いて照明器具(11)の作動状況を定期的に取得する。これにより、照明器具(11)の作動を制御している状態において、照明器具(11)の作動の制御の精度を確保しつつ、照明器具(11)の作動状況を取得可能にする操作器(12)を提供することができる。
【0014】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る照明システム1の一例を示す。
図1に示すように、照明システム1は、1つ以上の照明器具11及び操作器12を備える。
図1の一例では、複数の照明器具11が設けられる。照明器具11は、例えば、スタジオや劇場等に設置されるムービングライト、スポットライト、フラッドライト、ダウンライト等である。
図1では、照明器具11及び操作器12が、通信経路として第1の通信を用いて通信する場合を、実線の矢印で示す。また、照明器具11及び操作器12が、第1の通信とは異なる第2の通信を通信経路として用いて通信する場合を、破線の矢印で示す。ある一例では、第1の通信は、DMX(Digital MultipleX)やRDM(Remote Device Management)等の照明関連の機器固有の通信規格を用いる通信であり、第2の通信は、IP通信や無線通信等の通信である。
【0016】
複数の照明器具11のそれぞれは、照明部101、通信部102、照明制御部103を備える。
図1では、ある1つの照明器具11について、照明部101、通信部102及び照明制御部103を示す。他の照明器具11ついても同様に、照明部101、通信部102及び照明制御部103が設けられる。以下では、ある1つの照明器具11の構成について説明するが、他の照明器具11についても同様の構成である。
【0017】
照明部101は、LED(Light Emitting Device)等の発光素子を備える。照明部101では、発光素子で発光した光が、照明光として照射される。通信部102は、インタフェース等から構成され、前述した第1の通信及び第2の通信を用いて、他の照明関連の機器と通信できる。照明器具11には、ユーザインタフェースが設けられてもよい。ユーザインタフェースでは、操作者によって各種の操作等が入力されるとともに、操作者に告知する情報等が表示等によって告知される。ある一例では、ユーザインタフェースは、ディスプレイ、タッチパネル等を含む。なお、ユーザインタフェースは、照明器具11とは別体に設けられてもよい。
【0018】
照明制御部103は、照明器具11の作動等を制御する。照明制御部103は、1つ以上の処理装置から構成され、プロセッサ及び記憶媒体を備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及びDSP(Digital Signal Processor)等のいずれかを含む。記憶媒体には、メモリ等の主記憶装置に加え、補助記憶装置が含まれ得る。記憶媒体は、例えば、半導体メモリ等である。照明制御部103では、プロセッサ及び記憶媒体のそれぞれは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。照明制御部103では、プロセッサは、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を実行する。
【0019】
操作器12は、操作入力部111、制御部112、通信部113を備える。制御部112は、指令生成部115及び通信制御部116を備える。操作器12は、例えば、スタジオや劇場等に設置される調光操作卓である。操作入力部111は、ユーザインタフェースによって構成される。ユーザインタフェースでは、操作者によって各種の操作等が入力される。操作入力部111では、照明システム1に設けられる照明器具11の作動に関する操作を入力可能である。
【0020】
制御部112は、前述の照明制御部103と同様に、1つ以上の処理装置から構成され、プロセッサ及び記憶媒体を備える。ただし、プロセッサによって実行されるプログラムは、前述のネットワーク又は前述のネットワークとは別のネットワークを介して接続された処理装置、又は、クラウド環境のサーバ等に格納されてもよい。この場合、プロセッサは、ネットワーク経由でプログラムをダウンロードする。また、操作器12には、告知部が設けられてもよい。この場合、告知部は、ユーザインタフェースによって構成される。告知部では、操作者に告知する情報等が表示等によって告知される。ある一例では、告知部は、ディスプレイ、タッチパネル等を含む。また、告知部は、操作器12とは別体に設けられてもよい。通信部113は、前述の通信部102と同様に、インタフェース等から構成され、通信経路として第1の通信及び第2の通信を用いて、他の照明関連の機器と通信できる。
【0021】
指令生成部115は、制御部112の処理の一部を実行する。指令生成部115は、操作入力部111での操作入力に基づいて、照明システム1に設けられる照明器具11の作動に関する作動指令を生成する。そのため、複数の照明器具11のすべての作動について、操作入力部111での操作入力に対応した指令内容の作動指令が、生成される。制御部112は、生成された作動指令を照明器具11に送信する。照明器具11の作動指令は、照明器具11の照明光の明るさに関する指令である調光信号を含む。照明器具11の照明光の明るさに関する指令(調光信号)の指令内容は、例えば、照明器具11の特定の1つにおいて調光率を50%にすること等である。
【0022】
ある一例では、1つ以上の照明器具11は、照明光の光色が変化できる。そして、照明器具11の作動指令は、照明光の光色が変化可能な照明器具11における照明光の光色に関する指令である調光信号を含む。別のある一例では、1つ以上の照明器具11は、姿勢を制御する等して、照明光の照射方向を変化できる。照明器具11の作動指令は、照明光の照射方向が変化可能な照明器具11における照明光の照射方向に関する指令を含む。したがって、照明制御部103は、操作器12から送信された作動指令に基づいて、照明光の明るさ、照明光の光色、及び、照明光の照射方向のいずれかを調整する。
【0023】
通信制御部116は、制御部112の処理の一部を実行する。通信制御部116は、通信部113からの送信を含む通信部113での通信状態を制御する。通信制御部116は、通信部113を介して照明器具11と双方向通信することにより、照明器具11の作動状況を取得する。照明器具11の作動状況を取得する場合、通信制御部116は、作動状況を通知させる要求を照明器具11に送信する。照明制御部103は、操作器12からの要求を通信部102が受信すると、要求に対する応答として、作動状況を示す信号を操作器12に送信する。なお、通信制御部116は、作動状況を通知させる要求を定期的に照明器具11に送信する。ある一例では、通信制御部116は、作動状況を通知させる要求を1秒間に数回程度送信する。ただし、作動状況を通知させる要求の送信頻度はこれに限られるものではなく、照明器具の作動状況の変化を、操作器において監視できる程度であればよい。
【0024】
照明システム1は、中間機器15を備えていてもよい。中間機器15は、作動指令の指令信号を、照明機器固有の通信規格に対応する指令信号に変換する。本実施形態では、中間機器15は、操作器12が送信した作動指令のネットワーク信号を、DMX信号に変換して、DMX信号を受信可能な照明器具11に送信する。なお、ある一例では、照明器具11の1つ以上は、DMX及びRDMに対応していなくてもよい。この場合、DMX及びRDMに対応していない照明器具11と中間機器15との間に、変換器が設けられる。変換器は、DMX信号を照明器具11に対応した信号に変換して、照明器具11に送信する。また、変換器は、照明器具11に対応した信号をDMX信号に変換して、中間機器15に送信する。ここで、照明器具11に対応した信号は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号である。
【0025】
図2は、第1の実施形態に係る照明システム1において通信内容に対応して使用される通信経路を示す表である。照明システム1では、
図2に示す表に基づいて、通信経路を選択する。操作器12が通信内容として作動指令を送信する場合、操作器12は通信経路として第1の通信を使用する。操作器12の通信部113から送信された作動指令は、照明器具11の通信部102により受信される。照明制御部103は、通信部102から作動指令の指令信号を受け取る。照明制御部103は、作動指令の指令信号を受け取ると、作動指令の指令信号に基づいて照明部101を制御する。操作器12(通信制御部116)は、通信経路として第2の通信を使用して、作動状況を通知させる要求を照明器具11に送信する。照明制御部103は、操作器12からの要求を通信部102が受信すると、要求に対する応答として、通信経路として第2の通信を使用して、作動状況を示す信号を操作器12に送信する。
【0026】
照明器具11の作動状況には、照明器具11における温度異常及び基板異常等の照明器具11における不具合を示すアラーム情報が含まれる。したがって、操作器12は、照明器具11の作動状況を取得することにより、照明器具11の不具合を示すアラーム情報を取得できる。このように、本実施形態の照明システム1では、通信内容としての作動指令が、通信経路として第1の通信を使用して送信され、通信内容としての作動状況を通知させる要求及び要求に対する応答である作動状況が、通信経路として第2の通信を使用して双方向に通信される。
【0027】
操作器12は、前述したように第1の通信を用いて照明器具11に作動指令を送信できない場合、第1の通信の代わりに第2の通信を用いて照明器具11に作動指令を送信してもよい。第1の通信を用いて照明器具11に作動指令を送信できるか否かは、例えば、操作器12の制御部112が、照明器具11から受信した照明器具11の作動状況に基づいて判定する。第1の通信を用いて照明器具11に作動指令を送信できる場合、操作器12の通信制御部116は、第1の通信を用いて照明器具11の作動指令を送信する状態(第1の状態)を維持する。第1の通信を用いて照明器具11に作動指令を通信できない場合、操作器12の通信制御部116は、第2の通信を用いて照明器具11の作動指令を送信する状態(第2の状態)に切替える。
【0028】
第2の状態においても第1の状態と同様に、操作器12から照明器具11に作動指令が送信されるとともに、照明器具11が作動指令に基づいて作動する。ただし、第1の状態とは異なり、照明器具11の作動指令が、第2の通信を用いて送信される。また、第2の状態では、操作器12が、第1の通信を用いて照明器具11に作動指令を送信できず、かつ、第2の通信を用いて照明器具11に作動指令を送信している。そのため、操作器12は、照明器具11に作動状況を通知させる信号を、第2の通信を用いて送信しない。この場合、本実施形態の照明システム1では、操作器12が第2の通信を用いて作動指令を照明器具11に送信することが、照明器具11に作動状況を通知させる信号を送信することよりも、優先される。そのため、通信経路として第1の通信を用いて操作器12及び照明器具11が通信できない場合でも、通信経路として第2の通信を用いて操作器12及び照明器具11が通信できる。
【0029】
前述のような照明システム1では、
図3に示す処理を実行する。
図3に示す処理は、例えば、照明システム1が使用されるたびに実行される。操作器12の通信制御部116は、第1の通信を用いた照明器具11との通信の状況を前述のようにして取得する(S301)。通信制御部116は、取得した通信の状況に基づいて、第1の通信により照明器具11と通信できるか否かを判定する(S302)。
【0030】
照明器具と通信できる場合(S302-Yes)、操作器12は、第1の通信を用いて照明器具11に作動指令を送信する(S303)。本実施形態では、中間機器15に操作器12が接続されているため、作動指令は中間機器15を経由して、照明器具11の通信部102に受信される。照明制御部103は、受信した作動指令に基づいて照明器具11を制御する。操作器12は、第2の通信を用いて、前述のようにして照明器具11の作動状況を取得する(S304)。すなわち、通信制御部116は、作動状況を通知させる要求を照明器具11に送信する。照明制御部103は、操作器12からの要求を通信部102が受信すると、要求に対する応答として、作動状況を示す信号を操作器12に送信する。このように、本実施形態の照明システム1では、通信経路として第1の通信を用いて照明器具11に作動指令を送信している状態において、通信経路として第2の通信を用いて照明器具11の作動状況を取得できる。
【0031】
照明器具11と第1の通信を用いて通信できない場合(S302-No)、操作器12の通信制御部116は、第2の通信を用いて作動指令を送信する(S305)。照明器具11の通信部102は、作動指令を受信する。照明器具11の照明制御部103は、受信した作動指令に基づいて照明器具11を制御する。このように、本実施形態の照明システム1では、通信経路として第1の通信を用いて操作器12及び照明器具11が通信できない場合でも、通信経路として第2の通信を用いて操作器12が作動指令を照明器具11に送信できる。
【0032】
前述のように、本実施形態の照明システム1は、照明器具11及び操作器12を具備する。照明器具11は、第1の通信及び前記第1の通信とは異なる第2の通信を用いて通信可能である。操作器12は、第1の通信を用いて照明器具11の作動に関する作動指令を照明器具11に送信している状態において、第2の通信を用いて照明器具11の作動状況を定期的に取得する。これにより、操作器12では、照明器具11の作動指令を照明器具11に送信している状態において、同時期に、照明器具11の作動状況(アラーム情報等)を、例えば操作器12の告知部等に表示できる。よって、例えば、照明システム1が舞台等の演出を実行している状態においても、操作器12の操作者等は照明器具11の作動状況をリアルタイムで把握できる。このように、照明システム1では、照明器具11の作動を制御している状態において、照明器具11の作動の制御の精度を確保しつつ、照明器具11の作動状況を取得できる。
【0033】
本実施形態の照明システム1では、操作器12は、第1の通信を用いて照明器具11と通信できない場合は、作動指令を第2の通信を用いて照明器具に送信する状態に切替えることが好ましい。また、操作器12は、第1の通信を用いて照明器具11と通信できる場合は、作動指令を第1の通信を用いて照明器具11に送信する状態を維持することが好ましい。これにより、作動指令を送信する通信経路である第1の通信を使用して照明器具11及び操作器12が通信できない場合であっても、操作器12が通信経路として第2の通信を使用して作動指令を照明器具11に送信できる。よって、例えば、照明システム1が舞台等の演出を実行している状態においても、舞台等の演出を継続して実行できる。
【0034】
本実施形態の照明システム1では、操作器12の通信規格に対応する信号と照明器具11の通信規格に対応する信号とを相互に変換可能な中間機器15を具備することが好ましい。この場合、操作器12は、中間機器15を経由して照明器具11と通信可能である。これにより、操作器12と照明器具11との通信規格が一致していない場合でも、本実施形態の照明システム1を使用できる。よって、照明システム1の汎用性が向上する。
【0035】
本実施形態の照明システム1では、第1の通信が通信ケーブルを用いて通信し、第2の通信が無線通信を用いて通信することが好ましい。これにより、作動指令を送信する通信経路である第1の通信を使用して照明器具11及び操作器12が通信できない場合であっても、操作器12が通信経路として第2の通信を使用して作動指令を照明器具11に送信できる。よって、例えば、照明システム1が舞台等の演出を実行している状態においても、舞台等の演出を継続して実行できる。
【0036】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る照明システムを概略的に示すブロック図である。
図4の一例においても、第1の実施形態と同様に、照明システム1は、第1の通信を用いて、操作器12が照明器具11の作動指令を送信可能であり、第1の通信とは異なる第2の通信を用いて、照明器具11の作動状況を取得する。ただし、本実施形態では、第1の通信及び第2の通信が、複数の通信線を備える通信ケーブルを用いて実行される。通信ケーブルは、操作器12と照明器具11とを接続する。操作器12が中間機器15を経由して照明器具11と接続される場合、通信ケーブルは中間機器15と照明器具11とを接続する。通信ケーブルは、複数の通信線を備える。第1の通信は、通信ケーブルが備える複数の通信線のうち少なくとも一部の通信線を用いて実行される。第2の通信は、通信ケーブルが備える複数の通信線のうち、第1の通信で用いられる一部の通信線とは別の通信線を少なくとも用いて実行される。すなわち、第1の通信及び第2の通信は、同一の通信ケーブルを用いて実行されるとともに、通信ケーブルが備える異なる通信線を少なくとも用いて実行される。
【0037】
操作器12が中間機器15を経由して照明器具11と接続される場合、本実施形態では、第1の通信及び第2の通信の両方が中間機器15を経由する。この場合、中間機器15は、作動状況の通知を要求する信号を、ネットワーク信号からDMX信号等の照明関連の機器固有の通信規格に対応する信号に変換する。そして、照明関連の機器固有の通信規格に対応する信号に変換された要求信号が、照明器具11に送信される。また、照明器具11の作動状況を通知する信号は、中間機器15において、照明関連の機器固有の通信規格に対応する信号からネットワーク信号に変換される。そして、変換されたネットワーク信号が、照明器具11の作動状況を通知する信号として、操作器12に送信される。したがって、操作器12は、照明器具11の作動状況を取得することにより、照明器具11の不具合を示すアラーム情報を取得できる。
【0038】
ある一例では、通信ケーブルはDMXケーブルである。この場合、通信ケーブルは、少なくとも第1の通信線~第5の通信線、すなわち5つの通信線を少なくとも備える。第1の通信線はコモン線(Data link common)である。第2の通信線及び第3の通信線は主データリンクであり、第2の通信線がData 1-であり、第3の通信線がData 1+である。第4の通信線及び第5の通信線は補助データリンクであり、第4の通信線がData 2-であり、第5の通信線がData 2+である。この例では、第1の通信、すなわち照明器具の作動指令を送信する通信は、第1の通信線~第3の通信線を用いて実行される。第2の通信、すなわち照明器具11の作動状況を取得する通信は、第1の通信線、第4の通信線及び第5の通信線を用いて実行される。
【0039】
本実施形態では、第1の通信は、複数の通信線を備える通信ケーブルにおいて一部の前記通信線を少なくとも使用する。また、第2の通信は、通信ケーブルにおいて第1の通信が使用する通信線とは別の通信線を少なくとも使用する。そのため、本実施形態においても、照明システムは、第1の通信を使用して照明器具の作動指令を送信している状態において、第2の通信を使用して照明器具の作動状況を確認することができる。よって、本実施形態も、前述の実施形態と同様の作用及び効果を奏する。さらに、例えば通信ケーブルとしてDMXケーブルを使用することにより、既存の設備の改修工事をほとんど行うことなく、本実施形態の照明システム1を既存の設備等に容易に導入できる。
【0040】
これら少なくとも一つの実施形態によれば、照明システムは、照明器具と操作器とを具備する。照明器具は、第1の通信及び前記第1の通信とは異なる第2の通信を用いて通信可能である。操作器は、第1の通信を用いて照明器具の作動に関する作動指令を照明器具に送信可能であるとともに、第1の通信を用いて作動指令を照明器具に送信している状態において、第2の通信を用いて照明器具の作動状況を定期的に取得する。これにより、照明器具の作動を制御している状態において、照明器具の作動の制御の精度を確保しつつ、照明器具の作動状況を取得可能にする照明システム及び操作器を提供することができる。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、付記を記載する。
[1]第1の通信及び前記第1の通信とは異なる第2の通信を用いて通信可能な照明器具と;
前記第1の通信を用いて前記照明器具の作動に関する作動指令を前記照明器具に送信可能であるとともに、前記第1の通信を用いて前記作動指令を前記照明器具に送信している状態において、前記第2の通信を用いて前記照明器具の作動状況を定期的に取得する操作器と;
を具備する、照明システム。
[2]前記操作器は、前記第1の通信を用いて前記照明器具と通信できない場合は、前記作動指令を前記第2の通信を用いて前記照明器具に送信する状態に切替え、
前記操作器は、前記第1の通信を用いて前記照明器具と通信できる場合は、前記作動指令を前記第1の通信を用いて前記照明器具に送信する状態を維持する、
請求項1に記載の照明システム。
[3]前記操作器の通信規格に対応する信号と前記照明器具の通信規格に対応する信号とを相互に変換可能な中間機器を具備し、
前記操作器は、前記中間機器を経由して前記照明器具と通信可能である、
請求項1又は2に記載の照明システム。
[4]前記第1の通信は、前記中間機器を間に介して、通信ケーブルを用いて通信し、
前記第2の通信は、前記中間機器を間に介することなく、無線通信を用いて通信する、 請求項3に記載の照明システム。
[5]前記第1の通信は、複数の通信線を備える通信ケーブルにおいて一部の前記通信線を少なくとも用いて通信し、
前記第2の通信は、前記通信ケーブルにおいて前記第1の通信で用いられる前記通信線とは別の通信線を少なくとも用いて通信する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の照明システム。
[6]第1の通信及び前記第1の通信とは異なる第2の通信を用いて通信可能な通信部と; 前記第1の通信を用いて照明器具の作動に関する作動指令を前記照明器具に送信可能であるとともに、前記第1の通信を用いて前記照明器具に前記作動指令を送信している状態において、前記第2の通信を用いて前記照明器具の作動状況を定期的に取得する制御部と;
を具備する、操作器。
【符号の説明】
【0042】
1…照明システム、11…照明器具、12…操作器、15…中間機器、101…照明部、102,113…通信部、103…照明制御部、111…操作入力部、112…制御部、115…指令生成部、116…通信制御部。