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特許7548120自動駐車サーバ、自動運転車両、自動駐車システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】自動駐車サーバ、自動運転車両、自動駐車システム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/14 20060101AFI20240903BHJP
   B60Q 1/48 20060101ALI20240903BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20240903BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240903BHJP
【FI】
B60Q1/14 Z
B60Q1/48
B60W30/06
B60W60/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021082373
(22)【出願日】2021-05-14
(65)【公開番号】P2022175719
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【弁理士】
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】今津 貴雅
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-006298(JP,A)
【文献】特開2019-098911(JP,A)
【文献】国際公開第2020/100638(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102017011762(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0307558(US,A1)
【文献】特開2020-166460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/14
B60Q 1/48
B60W 30/06
B60W 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場内の自動運転車両に対して指示を行うことにより自動駐車を行わせる自動駐車サーバであって、
前記自動運転車両の前方灯火器の照度情報を取得する照度情報取得部と、
前記駐車場の駐車場地図情報と前記自動運転車両の前方灯火器の照度情報とに基づいて、前記自動運転車両の前方灯火器の照度を抑制させる前記駐車場内の位置である照度抑制ポイントを設定する照度抑制ポイント設定部と、
前記自動運転車両に対して前記照度抑制ポイントにおける照度抑制を指示する照度抑制指示部と、
を備える、自動駐車サーバ。
【請求項2】
前記照度抑制ポイント設定部は、前記駐車場地図情報と前記自動運転車両の前記前方灯火器の照度情報と前記駐車場地図情報に関連付けられた駐車場照明情報とに基づいて、前記駐車場内に設けられた前記自動運転車両の自車位置推定用のランドマークに対応する位置に前記照度抑制ポイントを設定する、請求項1に記載の自動駐車サーバ。
【請求項3】
前記駐車場照明情報には、時間帯に応じた前記駐車場内の照度の情報が含まれ、
前記照度抑制ポイント設定部は、現在時刻に対応する前記駐車場内の照度の情報に基づいて、前記照度抑制ポイントを設定する、請求項2に記載の自動駐車サーバ。
【請求項4】
前記照度情報取得部は、前記駐車場に設けられた照度測定機器によって前記自動運転車両の前方灯火器の照度を測定することで前記照度情報を取得する、請求項1又は2に記載の自動駐車サーバ。
【請求項5】
前記照度情報取得部は、前記自動運転車両の前方灯火器の点灯時に前記自動運転車両の前方カメラが撮像した画像情報から前記照度情報を取得する、請求項1又は2に記載の自動駐車サーバ。
【請求項6】
請求項1~5のうち何れか一項に記載の自動駐車サーバから自動駐車に関する指示を受ける自動運転車両であって、
前記駐車場内の自車位置を認識する自車位置認識部と、
前記自車位置認識部の認識した前記自車位置と前記自動駐車サーバから指示された前記照度抑制ポイントとに基づいて、前記自動運転車両が前記照度抑制ポイントに至ったか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記自動運転車両が前記照度抑制ポイントに至ったと判定された場合に、前方灯火器の一部消灯又は全部消灯を行う灯火器制御部と、
を備える、自動運転車両。
【請求項7】
駐車場内の自動運転車両に対して指示を行うことにより自動駐車を行わせる自動駐車システムであって、
前記自動運転車両の前方灯火器の照度情報を取得する照度情報取得部と、
前記駐車場の駐車場地図情報と前記自動運転車両の前方灯火器の照度情報とに基づいて、前記自動運転車両の前方灯火器の照度を抑制させる前記駐車場内の位置である照度抑制ポイントを設定する照度抑制ポイント設定部と、
前記自動運転車両に対して前記照度抑制ポイントにおける照度抑制を指示する照度抑制指示部と、
を備える、自動駐車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動駐車サーバ、自動運転車両、自動駐車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動駐車に関する技術文献として、特開2019-098911号公報が知られている。この公報には、車両の外の照度が閾値以下の場合に車両の外を照らす照明装置を点灯させることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-098911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の公報には車両の外の照度が閾値以下の場合に照明装置を点灯させることしか記載されていない。自動駐車を行う車両の灯火器の点灯に関して更なる改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、駐車場内の自動運転車両に対して指示を行うことにより自動駐車を行わせる自動駐車サーバであって、自動運転車両の前方灯火器の照度情報を取得する照度情報取得部と、駐車場の駐車場地図情報と自動運転車両の前方灯火器の照度情報とに基づいて、自動運転車両の前方灯火器の照度を抑制させる駐車場内の位置である照度抑制ポイントを設定する照度抑制ポイント設定部と、自動運転車両に対して照度抑制ポイントにおける照度抑制を指示する照度抑制指示部と、を備える。
【0006】
本発明の一態様に係る自動駐車サーバによれば、駐車場の駐車場地図情報と自動運転車両の前方灯火器の照度情報とに基づいて自動運転車両の前方灯火器の照度を抑制させる駐車場内の位置である照度抑制ポイントを設定し、自動運転車両に対して照度抑制ポイントにおける照度抑制を指示するので、前方灯火器の照度によって自動運転車両の認識が妨げられたり、周囲に不適切な影響を与えたりすることを低減できる。
【0007】
本発明の一態様に係る自動駐車サーバにおいて、照度抑制ポイント設定部は、駐車場地図情報と自動運転車両の前方灯火器の照度情報と駐車場地図情報に関連付けられた駐車場照明情報とに基づいて、駐車場内に設けられた自動運転車両の自車位置推定用のランドマークに対応する位置に照度抑制ポイントを設定してもよい。
この自動駐車サーバによれば、駐車場地図情報と自動運転車両の前方灯火器の照度情報と駐車場照明情報とに基づいて、自車位置推定用のランドマークに対応する位置に照度抑制ポイントを設定するので、駐車場に設置された照明の照度と自動運転車両の前方灯火器の照度とによって自車位置推定用のランドマークの認識の妨げとなることを抑制することが可能になる。
【0008】
本発明の一態様に係る自動駐車サーバにおいて、駐車場照明情報には、時間帯に応じた駐車場内の照度の情報が含まれ、照度抑制ポイント設定部は、現在時刻に対応する駐車場内の照度の情報に基づいて、照度抑制ポイントを設定してもよい。
この自動駐車サーバによれば、駐車場内に太陽光が入る場合など時間帯に応じて駐車場内の照度が変化することから、現在時刻に対応する駐車場内の照度の情報に基づいて照度抑制ポイントを設定することで、時間帯に応じた適切な照度抑制ポイントの設定を行うことができる。
【0009】
本発明の一態様に係る自動駐車サーバにおいて、照度情報取得部は、駐車場に設けられた照度測定機器によって自動運転車両の前方灯火器の照度を測定することで照度情報を取得してもよい。
この自動駐車サーバによれば、駐車場に設けられた照度測定機器によって自動運転車両の前方灯火器の照度を測定するので、自動運転車両から自車の認識データ(例えば仕様上のデータ)として前方灯火器の照度情報を取得する場合と比べて、共通の基準による適切な照度抑制ポイントの設定が可能となる。
【0010】
本発明の一態様に係る自動駐車サーバにおいて、照度情報取得部は、自動運転車両の前方灯火器の点灯時に自動運転車両の前方カメラが撮像した画像情報から照度情報を取得してもよい。
この自動駐車サーバによれば、自動運転車両の前方灯火器の点灯時に自動運転車両の前方カメラが撮像した画像情報から照度情報を取得するので、駐車場に照度測定機器を設けることなく、自動運転車両の前方灯火器の照度情報を取得することが可能になる。
【0011】
本発明の他の態様は、上述した自動駐車サーバから自動駐車に関する指示を受ける自動運転車両であって、駐車場内の自車位置を認識する自車位置認識部と、自車位置認識部の認識した自車位置と自動駐車サーバから指示された照度抑制ポイントとに基づいて、自動運転車両が照度抑制ポイントに至ったか否かを判定する判定部と、判定部により自動運転車両が前記照度抑制ポイントに至ったと判定されたに、前方灯火器の一部消灯又は全部消灯を行う灯火器制御部と、を備える。
【0012】
本発明の他の態様に係る自動運転車両によれば、自動駐車サーバから指示された照度抑制ポイントに至ったときに、前方灯火器の一部消灯又は全部消灯を行うので、自動駐車において前方灯火器の照度によって自動運転車両の外部環境の認識が妨げられたり、周囲に不適切な影響を与えたりすることを低減できる。
【0013】
本発明の更に他の態様は、駐車場内の自動運転車両に対して指示を行うことにより自動駐車を行わせる自動駐車システムであって、自動運転車両の前方灯火器の照度情報を取得する照度情報取得部と、駐車場の駐車場地図情報と自動運転車両の前方灯火器の照度情報とに基づいて、自動運転車両の前方灯火器の照度を抑制させる駐車場内の位置である照度抑制ポイントを設定する照度抑制ポイント設定部と、自動運転車両に対して照度抑制ポイントにおける照度抑制を指示する照度抑制指示部と、を備える。
【0014】
本発明の更に他の態様に係る自動駐車システムによれば、駐車場の駐車場地図情報と自動運転車両の前方灯火器の照度情報とに基づいて自動運転車両の前方灯火器の照度を抑制させる駐車場内の位置である照度抑制ポイントを設定し、自動運転車両に対して照度抑制ポイントにおける照度抑制を指示するので、前方灯火器の照度によって自動運転車両の認識が妨げられたり、周囲に不適切な影響を与えたりすることを低減できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の各態様によれば、自動駐車において前方灯火器の照度によって自動運転車両の認識が妨げられたり、周囲に不適切な影響を与えたりすることを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る自動駐車システムを説明するための図である。
図2】自動バレーパーキングが行われる駐車場の一例を示す平面図である。
図3】自動駐車サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】自動駐車サーバの機能的構成の一例を示す図である。
図5】照度抑制ポイントの一例を説明するための平面図である。
図6】照度抑制が行われた状況を説明するための平面図である。
図7】(a)自動運転車両の前方灯火器の照射が降車場の歩行者に影響を与えている状況を説明するための図である。(b)照度抑制が行われた状況を説明するための図である。
図8】自動運転車両の一例を示すブロック図である。
図9】(a)照度抑制ポイント設定処理の一例を示すフローチャートである。(b)自動運転車両における照度抑制処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は一実施形態に係る自動駐車システムを説明するための図である。図1に示す自動駐車システム[AVPS:Automated Valet Parking System]1は、駐車場[Parkingplace]における複数台の自動運転車両2の自動バレーパーキング[Automated ValetParking]を行うためのシステムである。自動駐車システム1は、自動バレーパーキングを行うための自動駐車サーバ10を有している。
【0019】
自動バレーパーキングとは、駐車場における降車場でユーザ(乗員)が降りた無人の自動運転車両2を駐車場側からの指示によって目標ルートを走行させ、駐車場内の目標駐車スペースに自動で駐車させるサービスである。目標駐車スペースとは、自動運転車両2の駐車位置として予め設定された駐車スペース[Parking space]である。目標ルートとは、自動運転車両2が目標駐車スペースに到達するために走行する駐車場内のルートである。なお、出庫時における目標ルートは、後述する乗車用スペースに到達するために走行するルートとなる。
【0020】
ここで、図2は、自動バレーパーキングが行われる駐車場の一例を示す平面図である。図2に、駐車場50、駐車エリア[Parking area]51、降車場[Drop-off area]52、及び乗車場[Pick up area]53を示す。駐車場50は、駐車エリア51、降車場52、及び乗車場53を含んでいる。なお、降車場52及び乗車場53は別々に設けられている必要はなく、一体の乗降場として設けられていてもよい。
【0021】
駐車エリア51は、自動バレーパーキングにより自動運転車両2が駐車する駐車スペース(駐車枠)61が形成された場所である。駐車スペース61は、例えば図2に示すように一方向(例えば駐車車両における車幅方向)に並んで複数形成されている。
【0022】
降車場52は、駐車場50の入口側に設けられ、入庫前の自動運転車両2からユーザが降車するための場所である。降車場52には、ユーザの降車時に自動運転車両2が停車するための降車用スペース62が形成されている。降車場52は、駐車エリア入口ゲート54を介して駐車エリア51に通じている。
【0023】
降車場52には、降車用スペース62に停車する自動運転車両2を撮像可能な駐車場カメラ52aが設けられている。駐車場カメラ52aは、自動運転車両2の前方灯火器の照度を測定する照度測定機器として機能する。照度測定について詳しくは後述する。
【0024】
また、降車場52には、自動運転車両2を降りたユーザが商業施設などの施設に入るための施設入口エレベータホール70が接続されている。施設入口エレベータホール70は、降車場52に直結されている必要はなく、通路などを介して接続されていてもよい。施設入口エレベータホール70には、異なる階層に移動するためのエレベータ71と降車場52との間の施設入口側自動ドア72とが設けられている。
【0025】
乗車場53は、駐車場50の出口側に設けられ、出庫してきた自動運転車両2にユーザが乗車するための場所である。乗車場53には、ユーザの乗車のために自動運転車両2が待機するための乗車用スペース63が形成されている。乗車場53は、駐車エリア出口ゲート55を介して駐車エリア51に通じている。また、乗車場53と駐車エリア51との間には、乗車場53から駐車エリア51に自動運転車両2を戻すためのリターンゲート56が設けられている。なお、リターンゲート56は必須ではない。
【0026】
乗車場53には、ユーザが商業施設などの施設から駐車場50に戻るための施設出口エレベータホール80が接続されている。施設出口エレベータホール80は、乗車場53に直結されている必要はなく、通路などを介して接続されていてもよい。施設出口エレベータホール80には、異なる階層に移動するためのエレベータ81と乗車場53との間の施設出口側自動ドア82とが設けられている。
【0027】
また、図2において、降車場52の降車用スペース62で停車中の自動運転車両2A、駐車場50内を走行中の自動運転車両2B、駐車エリア51の駐車スペース61に駐車中の自動運転車両2C、及び乗車場53の乗車用スペース63で停車中の自動運転車両2Dを示す。
【0028】
自動駐車システム1では、例えば、駐車場50に入場[Entering]した自動運転車両2が降車用スペース62でユーザを降ろした後、自動運転車両2の指示権限を得て自動バレーパーキングを開始する。自動駐車システム1は、出庫要求[Pick up request]に応じて、駐車していた自動運転車両2Bを乗車場53に向かって走行させ、乗車用スペース63でユーザの到着まで待機させる。
【0029】
[自動駐車システム(自動駐車サーバ)の構成]
以下、自動駐車システム1の構成について図面を参照して説明する。図1に示すように、自動駐車システム1は自動駐車サーバ10を備えている。自動駐車サーバ10は駐車場を管理するためのサーバである。
【0030】
自動駐車サーバ10は、自動運転車両2と通信可能に構成されている。自動運転車両2について詳しくは後述する。自動駐車サーバ10は、駐車場に設けられていてもよく、駐車場から離れた施設に設けられていてもよい。自動駐車サーバ10は、異なる場所に設けられた複数のコンピュータから構成されていてもよい。自動駐車サーバ10は、駐車場センサ4及び駐車場地図データベース5と接続されている。
【0031】
駐車場センサ4は、駐車場内の状況を認識するためのセンサである。駐車場センサ4には、例えば駐車場内の車両の位置を検出するための駐車場カメラが含まれている。駐車場カメラは、駐車場の天井や壁に設けられ、駐車場内の自動運転車両2を撮像する。駐車場カメラは、撮像画像を自動駐車サーバ10に送信する。
【0032】
駐車場センサ4には、駐車枠内に駐車車両が存在するか否か(駐車枠が満車であるか空車であるか)を検出するための空車センサが含まれてもよい。空車センサは、駐車枠ごとに設けられてもよく、天井などに設けられて複数の駐車枠を一台で監視可能に構成されていてもよい。空車センサの構成は特に限定されず、周知の構成を採用することができる。空車センサは、圧力センサであってもよく、電波を用いるレーダセンサ又はソナーセンサであってもよく、カメラであってもよい。空車センサは、駐車枠における空車情報を自動駐車サーバ10に送信する。駐車場センサ4には、駐車場の入場ゲートの通過車両(入場車両)を検出するゲートセンサが含まれていてもよい。入場ゲートは例えば降車場52の手前に設けることができる。
【0033】
駐車場地図データベース5は、駐車場地図情報を記憶するデータベースである。駐車場地図情報には、駐車場における駐車枠の位置情報及び駐車場における走行路の情報が含まれている。また、駐車場地図情報には、自動運転車両2が位置認識に用いられるランドマークの位置情報が含まれていてもよい。自車位置推定用のランドマークは、一例として、床又は壁に描かれた所定の印(模様、コード)とすることができる。自車位置推定用のランドマークは、白線、ポール、セーフティコーン、フェンス、駐車場の柱などのうち少なくとも一つが含まれてもよい。
【0034】
駐車場地図データベース5には、駐車場照明情報も記憶されている。駐車場照明情報とは、駐車場内の照度に関する情報である。駐車場照明情報には、駐車場内の照明設備による駐車場の位置に応じた照度の情報が含まれている。駐車場照明情報には、時間帯に応じた駐車場内の位置における照度の情報が含まれていてもよい。時間帯は、日中、夜間の二区分だけでもよく、朝、昼、夜の三区分であってもよく、一時間又は二時間に区分けされていてもよい。
【0035】
照度の情報には、太陽や駐車場外の他の施設の照明設備などの外部からの光による照度の情報が含まれていてもよい。駐車場照明情報には、時間帯に応じた外部からの光による照度と駐車場内の照明設備による照度に関する情報が含まれてもよい。なお、駐車場照明情報は、駐車場地図データベース5と異なるデータベースに記憶されていてもよい。
【0036】
自動駐車サーバ10のハードウェア構成について説明する。図3は、駐車場管制サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、自動駐車サーバ10は、プロセッサ10a、記憶部10b、通信部10c、及びユーザインターフェイス10dを備えた一般的なコンピュータとして構成されている。
【0037】
プロセッサ10aは、各種オペレーティングシステムを動作させて自動駐車サーバ10を制御する。プロセッサ10aは、制御装置、演算装置、レジスタなどを含むCPU[Central Processing Unit]などの演算器である。プロセッサ10aは、記憶部10b、通信部10c、及びユーザインターフェイス10dを統括する。記憶部10bは、例えばROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、HDD[Hard Disk Drive]、SSD[Solid State Drive]のうち少なくとも一つを含む記録媒体である。
【0038】
通信部10cは、ネットワークを介した無線通信を行うための通信デバイスである。通信部10cには、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカードなどを用いることができる。自動駐車サーバ10は、通信部10cを用いて自動運転車両2と通信を行う。ユーザインターフェイス10dは、自動駐車サーバ10の管理者などが用いる自動駐車サーバ10の入出力部である。ユーザインターフェイス10dは、ディスプレイ、スピーカなどの出力器、及び、タッチパネルなどの入力器を含む。
【0039】
次に、自動駐車サーバ10の機能的構成について説明する。図4は、自動駐車サーバ10の機能的構成の一例を示す図である。車両情報取得部11、照度情報取得部12、照度抑制ポイント設定部13、照度抑制指示部14、及び駐車計画生成部15を有する。
【0040】
車両情報取得部11は、自動バレーパーキングの対象となる自動運転車両2の車両情報を取得する。車両情報取得部11は、自動運転車両2との通信によって駐車場内の自動運転車両2の車両情報を取得する。
【0041】
車両情報には、駐車場における車両の位置情報が含まれる。車両情報には、自動運転車両2の識別情報が含まれていてもよい。識別情報は、自動運転車両2を個別に特定できる情報であればよく、通信によって取得されるID番号[Identification Number]であってもよく、車両番号であってもよく、自動バレーパーキングの予約番号などであってもよい。
【0042】
車両情報には、自動運転車両2の走行状態及び外部環境の認識結果が含まれていてもよい。走行状態及び外部環境の認識については後述する。自動運転車両2の車両情報には、自動運転車両2の残りの走行可能距離又は残燃料の情報が含まれていてもよい。
【0043】
車両情報取得部11は、自動バレーパーキングを実行している間、自動運転車両2から車両情報を継続的に取得する。車両情報取得部11は、自動運転車両2が駐車中となった場合、車両情報の取得を中断してもよく、定期的に車両情報を取得してもよい。
【0044】
車両情報取得部11は、取得した車両情報に基づいて、自動バレーパーキング中の自動運転車両2の状況を認識する。自動運転車両2の状況には、駐車場内における自動運転車両2の位置が含まれる。自動運転車両2の状況には、自動運転車両2の車速が含まれてもよく、自動運転車両2のヨーレートが含まれてもよく、自動運転車両2と周囲の他車両との距離が含まれてもよい。
【0045】
照度情報取得部12は、自動運転車両2の前方灯火器の点灯時に前方灯火器の照度情報を取得する。前方灯火器とは、自動運転車両2の前方に光を照射する灯火器である。前方灯火器には、ヘッドライト(前照灯)が含まれる。前方灯火器には、スモールライト(車幅灯)が含まれてもよく、フォグランプが含まれてもよい。
【0046】
前方灯火器の照度情報には、前方灯火器の照度に関する情報が含まれる。前方灯火器の照度情報には、ヘッドライトの照度に関する情報が含まれる。前方灯火器の照度情報には、ヘッドライトの照射範囲に関する情報が含まれていてもよい。ヘッドライトの照度を複数段階に切り換え可能な場合には、各段階の照度が含まれてもよい。前方灯火器の照度情報には、スモールライトの照度に関する情報が含まれていてもよく、フォグランプの照度に関する情報が含まれていてもよい。
【0047】
照度情報取得部12は、例えば、駐車場カメラによって点灯中の前方灯火器を撮像することにより、自動運転車両2の前方灯火器の照度情報を取得する。この場合、駐車場カメラは照度測定器に相当する。駐車場カメラの撮像画像から前方灯火器の照度情報を認識する方法には、周知の画像解析手法を利用することができる。
【0048】
照度情報取得部12は、駐車場内で予め決められた照度測定位置に自動運転車両2を停車させ、前方灯火器を点灯させて駐車場カメラで撮像することにより、自動運転車両2の前方灯火器の照度情報を取得してもよい。照度測定位置は特に限定されないが、駐車場入口にスペースが設けられてもよく、降車場の降車用スペースが用いられてもよい。
【0049】
具体的に、照度情報取得部12は、図2の駐車場50の降車場52において、降車用スペース62に停車した自動運転車両2を撮像する駐車場カメラ52aの撮像画像から自動運転車両2(自動運転車両2A)の前方灯火器の照度情報を取得してもよい。なお、照度情報取得部12は、必ずしも照度測定位置を定める必要はなく、前方灯火器を点灯しながら走行中の自動運転車両2を駐車場カメラで撮像することにより自動運転車両2の前方灯火器の照度情報を取得してもよい。
【0050】
照度情報取得部12は、自動運転車両2における前方灯火器としてのヘッドライト及び/又はスモールライトの点灯状態を切り換えさせて、前方灯火器の点灯状態に応じた照度情報を取得してもよい。
【0051】
或いは、照度情報取得部12は、自動運転車両2の前方灯火器の点灯中に自動運転車両2の前方カメラが撮像した画像情報から照度情報を取得してもよい。照度情報取得部12は、自動運転車両2との通信により、前方灯火器の点灯中に自動運転車両2の前方カメラが撮像した画像情報を取得する。
【0052】
照度情報取得部12は、駐車場内で予め決められた照度測定位置に自動運転車両2を停車させ、前方灯火器を点灯させて自動運転車両2の前方カメラで撮像させることにより、自動運転車両2の撮像した画像情報から前方灯火器の照度情報を取得してもよい。また、照度情報取得部12は、自動運転車両2における前方灯火器としてのヘッドライト及び/又はスモールライトの点灯状態を切り換えさせつつ画像情報を得ることにより、前方灯火器の点灯状態に応じた照度情報を取得してもよい。
【0053】
照度抑制ポイント設定部13は、駐車場地図データベース5の駐車場地図情報及び駐車場照明情報と照度情報取得部12の取得した自動運転車両2の前方灯火器の照度情報とに基づいて、自動運転車両2の前方灯火器の照度を抑制させる駐車場内の位置である照度抑制ポイントを設定する。
【0054】
照度抑制ポイント設定部13は、例えば、駐車場内に設けられた自動運転車両2の自車位置推定用のランドマークに対応する位置に照度抑制ポイントを設定する。自車位置推定用のランドマークは、自動運転車両2のカメラを含む外部センサによる自車位置推定に利用できるものであれば特に限定されない。
【0055】
照度抑制ポイント設定部13は、一例として、駐車場の照明設備による照度と自動運転車両2の前方灯火器の照度の影響により、自動運転車両2の前方カメラの画像上で白飛びが生じるおそれがある自車位置推定用のランドマークに対応する位置に照度抑制ポイントを設定する。
【0056】
照度抑制ポイント設定部13は、駐車場の照明設備の照射範囲に含まれるランドマークについて、駐車場の照明設備の照度と自動運転車両2の前方灯火器の照度の合計照度が合計照度閾値以上となる場合に、照度抑制ポイントの設定を行ってもよい。合計照度閾値は予め設定された値の閾値である。合計照度の算出方法は特に限定されない。合計照度は単純に照度を合計して求められてもよく、前方灯火器又は照明設備93からの距離による照度の減衰を加味して演算されてもよい。
【0057】
ここで、図5は、照度抑制ポイントの一例を説明するための平面図である。図5に、駐車エリア90、自動運転車両2、自動運転車両2の前方灯火器(ヘッドライト)の照射範囲LA、自車位置推定用のランドマーク91a~91c,92a~92c、駐車場の照明設備93、照明設備93の照射範囲LMを示す。また、駐車場内の位置に対応するノードN1~N7を示す。ランドマーク91a~91c,92a~92cは、床に描かれた自車位置推定用の印である。
【0058】
図5に示すように、照度抑制ポイント設定部13は、例えば、ランドマーク91c及び92cが照明設備93の照射範囲LMに含まれており、自動運転車両2の前方灯火器の照射範囲LAにランドマーク91c及び92cが含まれることで白飛びが生じるおそれがあることから、ノードN4に照度抑制ポイントを設定する。
【0059】
照度抑制ポイント設定部13は、駐車場照明情報に含まれる照明設備93の照度情報と自動運転車両2の前方灯火器の照射情報とに基づいて、照度抑制ポイントの設定を行う。照度抑制ポイント設定部13は、例えば照明設備93の照度の情報と自動運転車両2の前方灯火器の照射情報とに基づいて、自動運転車両2が各ノードN1~N7に至った場合のランドマーク91c及び92c付近の合計照度を推定し、推定した合計照度が合計照度閾値以上であるときに、ランドマーク91c及び92cに白飛びが生じるおそれがあるとして照度抑制ポイントを設定してもよい。
【0060】
なお、照度抑制ポイント設定部13は、自動運転車両2の前方灯火器の照度情報に前方灯火器の照射範囲の情報が含まれない場合には、自動運転車両2の先端を基準とした所定の扇状の範囲を前方灯火器の照射範囲と仮定して照度抑制ポイントを設定してもよい。
【0061】
照度抑制ポイント設定部13は、太陽や外部の施設の照明設備等の外部から光に基づいて、照度抑制ポイントの設定を行ってもよい。外部から光は主に時間帯によって変化する。照度抑制ポイント設定部13は、駐車場照明情報に時間帯に応じた駐車場内の照度の情報が含まれる場合には、現在時刻に対応する駐車場内の照度の情報に基づいて、外部からの光の照度を踏まえた照度抑制ポイントの設定を行うことができる。
【0062】
なお、照度抑制ポイント設定部13は、駐車場カメラによって現在時刻における外部からの光の照度情報を取得してもよい。この場合、時間帯だけではなく、天候などに対応した実際の外部からの光の照度を認識することが可能となる。照度抑制ポイント設定部13は、駐車場カメラによって取得された現在時刻における外部からの光の照度情報と自動運転車両2の前方灯火器の照射情報とに基づいて、照射抑制ポイントを設定してもよい。
【0063】
その他、照度抑制ポイント設定部13は、屋外駐車場である場合には天候情報を踏まえて、照度抑制ポイントを設定してもよい。照度抑制ポイント設定部13は、雨上がりや霧によって床面のランドマークの認識精度が低下する場合には、ヘッドライトを消灯し床面に近いフォグライトを点灯させる照度抑制ポイントを設定してもよい。
【0064】
照度抑制指示部14は、自動バレーパーキングを行う自動運転車両2に対して照度抑制ポイントにおける照度抑制を指示する。照度抑制とは、前方灯火器の一部消灯又は全部消灯である。照度抑制として、例えば前方灯火器のうちヘッドライトが消灯され、スモールライトのみ点灯される。照度抑制として、前方灯火器の全てが消灯されてもよい。
【0065】
照度抑制指示部14は、例えば、自動運転車両2に対して照度抑制ポイントを予め指示することで、自動運転車両2が照度抑制ポイントに至ったと判定したときに照度抑制を行わせる。
【0066】
図6は、照度抑制が行われた状況を説明するための平面図である。図6に、自動運転車両2のスモールライトの照射範囲LBを示す。図6に示す状況において、照度抑制指示部14は、自動運転車両2に対して照度抑制ポイントにおける照度抑制の指示を予め行っている。
【0067】
自動運転車両2は、自車の位置情報と駐車場地図情報とを用いて照度抑制ポイントとして設定されたノードN4に至ったか否かを判定し、ノードN4に至ったと判定した場合、前方灯火器の照度抑制を行う。自動運転車両2は、例えば、ヘッドライトを消灯してスモールライトに切り換えることで、ランドマーク91c及び92cに白飛びが生じることを回避する。なお、自動運転車両2は、前方灯火器の全部消灯を行ってもよい。自動運転車両2は、例えばノードN4を通過したと判定した場合、前方灯火器の照度抑制を解除する。
【0068】
なお、照度抑制指示部14は、自動運転車両2に対して照度抑制ポイントを通知せずに、自動運転車両2が照度抑制ポイントに至ったか否かを自ら判定してもよい。照度抑制指示部14は、自動運転車両2から取得した駐車場内の自動運転車両2の位置情報と照度抑制ポイントとに基づいて自動運転車両2が照度抑制ポイントに至ったと判定した場合、自動運転車両2に照度抑制の指示を行ってもよい。自動運転車両2は、照度抑制指示部14の指示に応じて前方灯火器の照射抑制を行う。
【0069】
続いて、駐車場内のユーザに対する自動運転車両2の前方灯火器の照射抑制について説明する。図7(a)は、自動運転車両2の前方灯火器の照射が乗車場53内のユーザに影響を与えている状況を説明するための図である。図7(a)に、自動運転車両2、自動運転車両2の前方灯火器(ヘッドライト)の照射範囲LA、及び乗車場53内のユーザMを示す。
【0070】
図7(a)に示すように、自動バレーパーキング中の自動運転車両2の前方灯火器の照射がユーザMに煩わしさを感じさせる場合がある。照度抑制ポイント設定部13は、前方灯火器の照射がユーザMに煩わしさを感じさせることを避けるために、乗車場53に進入する手前の位置又は乗車場53内の位置に照射抑制ポイントを設定してもよい。
【0071】
図7(b)は、照度抑制が行われた状況を説明するための図である。図7(b)に、自動運転車両2のスモールライトの照射範囲LBを示す。図7(b)に示すように、照度抑制指示部14は、乗車場53に進入する手前の位置などに設定された照射抑制ポイントにおいて前方灯火器の照度抑制(例えばヘッドライトの消灯)を指示する。これにより、自動運転車両2の前方灯火器の照射がユーザMに煩わしさを感じさせることを抑制することができる。なお、照度抑制ポイント設定部13は、自動運転車両2の前方灯火器の照度が閾値未満である場合又は自動運転車両2の前方灯火器の照射範囲が一定距離未満の場合には、乗車場53に進入する手前の位置に照射抑制ポイントを設定しないと判定してもよい。
【0072】
その他、自動駐車サーバ10は、駐車場外の個人宅や各種施設に対する自動運転車両2の前方灯火器の照射抑制を行ってもよい。照度抑制ポイント設定部13は、駐車場内の自動運転車両2の前方灯火器の照射光が駐車場外の個人宅や各種施設に漏れる場合、自動運転車両2が駐車場外の個人宅や各種施設を向く位置に照射抑制ポイントを設定してもよい。照度抑制ポイント設定部13は、夜間などの時間帯に応じて照射抑制ポイントの設定と解除を行ってもよい。これにより、自動バレ-パーキング中の自動運転車両2の前方灯火器の照射が駐車場外の個人宅や各種施設に影響を与えてしまうことを抑制することができる。
【0073】
駐車計画生成部15は、車両情報取得部11の取得した車両情報に基づいて、自動運転車両2の駐車に関する走行計画である駐車計画を生成する。駐車計画には、自動運転車両2が駐車する目標駐車スペースと目標駐車スペースまでの目標ルートとが含まれる。駐車計画生成部15は、例えば駐車場に入場した自動運転車両2から入庫要求(自動バレーパーキングの開始要求)を受領した場合に、駐車計画の生成を開始する。入庫要求は自動運転車両2ではなく、ユーザのユーザ端末から行われてもよい。
【0074】
駐車計画生成部15は、駐車場センサ4の検出結果から認識した駐車場内の駐車枠の空車状況に基づいて、目標駐車スペースを設定する。駐車計画生成部15は、駐車場内に予め設定された駐車スペース(駐車枠)に対して目標駐車スペースを設定する。駐車計画生成部15は、自動運転車両2の車体情報も踏まえて、自動運転車両2の大きさに応じた適切な目標駐車スペースを設定してもよい。
【0075】
駐車計画生成部15は、車両情報取得部11の取得した自動運転車両2の位置情報、目標駐車スペースの位置情報、及び駐車場地図データベース5の駐車場地図情報に基づいて、自動運転車両2の現在の位置から目標駐車スペースに向かう目標ルートを設定する。
【0076】
駐車計画生成部15は、駐車場内の走行路上に目標ルートを設定する。目標ルートは必ずしも最短距離である必要はなく、他の自動運転車両2の目標ルートと干渉しない又は干渉の少ないルートが優先的に選択されてもよい。目標ルートの設定方法は特に限定されず、周知の様々な手法を採用することができる。駐車計画生成部15は、生成した駐車計画を自動運転車両2に指示することで、自動運転車両2の自動駐車を行う。
【0077】
駐車計画生成部15は、照度抑制指示部14と一体であってもよい。この場合、駐車計画生成部15は、照度抑制ポイント設定部13の設定した照度抑制ポイントを踏まえて、駐車場内の位置に応じた自動運転車両2の前方灯火器の照度抑制を含む駐車計画を生成する。自動運転車両2は、駐車計画に従って照度抑制ポイントにおける前方灯火器の照射抑制を行う。
【0078】
[自動運転車両の構成]
続いて、本実施形態に係る自動運転車両2(自動駐車システム1による自動バレーパーキングの対象となる自動運転車両)の構成の一例について説明する。図8は、自動運転車両2の一例を示すブロック図である。
【0079】
図8に示すように、自動運転車両2は、一例として、自動運転ECU20を有している。自動運転ECU20は、CPU、ROM、RAMなどを有する電子制御ユニットである。自動運転ECU20では、例えば、ROMに記録されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。自動運転ECU20は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0080】
自動運転ECU20は、GPS受信部21、外部センサ22、内部センサ23、通信部24、及び、アクチュエータ26と接続されている。
【0081】
GPS受信部21は、複数のGPS衛星から信号を受信することにより、自動運転車両2の位置(例えば自動運転車両2の緯度及び経度)を測定する。GPS受信部21は、測定した自動運転車両2の位置情報を自動運転ECU20へ送信する。GPS受信部21に代えてGNSS[Global Navigation Satellite System]受信部を用いてもよい。なお、駐車場が屋内の場合には後述するようにランドマークを用いた自車位置認識も活用される。
【0082】
外部センサ22は、自動運転車両2の外部環境を検出する車載センサである。外部センサ22は、前方カメラ22aを少なくとも含む。前方カメラ22aは、自動運転車両2の外部環境を撮像する撮像機器である。前方カメラ22aは、例えば自動運転車両2のフロントガラスの裏側に設けられ、車両前方を撮像する。前方カメラ22aは、自動運転車両2の外部環境に関する画像情報を自動運転ECU20へ送信する。前方カメラ22aは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。外部センサ22は、前方カメラ22aの他に複数台のカメラを有していてもよく、複数台のカメラは自動運転車両2の側方及び後方を撮像可能に配置されていてもよい。
【0083】
外部センサ22は、レーダセンサを含んでもよい。レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して自動運転車両2の周辺の物体を検出する検出機器である。レーダセンサには、例えば、ミリ波レーダ又はライダー[LIDAR:Light Detection and Ranging]が含まれる。レーダセンサは、電波又は光を自動運転車両2の周辺に送信し、物体で反射された電波又は光を受信することで物体を検出する。レーダセンサは、検出した物体情報を自動運転ECU20へ送信する。また、外部センサ22は、自動運転車両2の外部の音を検出するソナーセンサを含んでもよい。
【0084】
内部センサ23は、自動運転車両2の走行状態を検出する車載センサである。内部センサ23は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサを含んでいる。車速センサは、自動運転車両2の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、自動運転車両2の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフトなどに対して設けられ、各車輪の回転速度を検出する車輪速センサを用いることができる。車速センサは、検出した車速情報(車輪速情報)を自動運転ECU20に送信する。
【0085】
加速度センサは、自動運転車両2の加速度を検出する検出器である。加速度センサは、例えば、自動運転車両2の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサを含んでいる.加速度センサは、自動運転車両2の横加速度を検出する横加速度センサを含んでいてもよい。加速度センサは、例えば、自動運転車両2の加速度情報を自動運転ECU20に送信する。ヨーレートセンサは、自動運転車両2の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサは、検出した自動運転車両2のヨーレート情報を自動運転ECU20へ送信する。
【0086】
通信部24は、自動運転車両2の外部との無線通信を制御する通信デバイスである。通信部24は、自動駐車サーバ10との通信により各種情報の送信及び受信を行う。通信部24は、例えば、自動駐車サーバ10に車両情報を送信すると共に、自動駐車サーバ10から自動バレーパーキングのために必要な情報(例えば目標ルート沿いのランドマークの情報)を取得する。
【0087】
アクチュエータ26は、自動運転車両2の制御に用いられる機器である。アクチュエータ26は、駆動アクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。駆動アクチュエータは、自動運転ECU20からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、自動運転車両2の駆動力を制御する。なお、自動運転車両2がハイブリッド車である場合には、エンジンに対する空気の供給量の他に、動力源としてのモータに自動運転ECU20からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。自動運転車両2が電気自動車である場合には、動力源としてのモータに自動運転ECU20からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。これらの場合における動力源としてのモータは、アクチュエータ26を構成する。
【0088】
ブレーキアクチュエータは、自動運転ECU20からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、自動運転車両2の車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を自動運転ECU20からの制御信号に応じて制御する。これにより、操舵アクチュエータは自動運転車両2の操舵トルクを制御する。
【0089】
次に、自動運転ECU20の機能的構成の一例について説明する。自動運転ECU20は、外部環境認識部41、走行状態認識部42、自車位置認識部43、車両情報提供部44、自動運転制御部45、判定部46、及び灯火器制御部47を有している。
【0090】
外部環境認識部41は、外部センサ22(カメラの撮像画像又はレーダセンサの検出した物体情報)の検出結果に基づいて、自動運転車両2の外部環境を認識する。外部環境には、自動運転車両2に対する周囲の物体の相対位置が含まれる。外部環境には、自動運転車両2に対する周囲の物体の相対速度及び移動方向が含まれていてもよい。外部環境認識部41は、パターンマッチングなどにより、他車両及び駐車場の柱などの物体を認識する。外部環境認識部41は、駐車場のゲート、駐車場の壁、ポール、セーフティコーンなどを認識してもよい。また、外部環境認識部41は、白線認識により駐車場における走行境界[driving boundaries]を認識してもよい。
【0091】
走行状態認識部42は、内部センサ23の検出結果に基づいて、自動運転車両2の走行状態を認識する。走行状態には、自動運転車両2の車速、自動運転車両2の加速度、自動運転車両2のヨーレートが含まれる。具体的に、走行状態認識部42は、車速センサの車速情報に基づいて、自動運転車両2の車速を認識する。走行状態認識部42は、加速度センサの車速情報に基づいて、自動運転車両2の加速度を認識する。走行状態認識部42は、ヨーレートセンサのヨーレート情報に基づいて、自動運転車両2の向きを認識する。
【0092】
自車位置認識部43は、通信部24を通じて自動駐車サーバ10から取得した駐車場地図情報と外部環境認識部41の認識した外部環境とに基づいて、駐車場内における自動運転車両2の位置を認識する。
【0093】
自車位置認識部43は、駐車場地図情報に含まれる駐車場内のランドマークの位置情報と外部環境認識部41の認識した自動運転車両2に対するランドマークの相対位置とに基づいて、駐車場内における自動運転車両2の位置を認識する。ランドマークとしては、駐車場に固定して設けられた物体を用いることができる。
【0094】
その他、自車位置認識部43は、内部センサ23の検出結果に基づいて、デッドレコニングにより自動運転車両2の位置を認識してもよい。また、自車位置認識部43は、駐車場に設けられたビーコンとの通信により自動運転車両2の位置を認識してもよい。
【0095】
車両情報提供部44は、通信部24を通じて自動駐車サーバ10に車両情報を提供する。車両情報提供部44は、例えば一定時間ごとに自車位置認識部43の認識した駐車場内における自動運転車両2の位置の情報を含む車両情報を自動駐車サーバ10に提供する。車両情報には、自動運転車両2認識した外部状況及び/又は走行状態が含まれていてもよい。
【0096】
自動運転制御部45は、自動運転車両2の自動運転を実行する。自動運転制御部45は、例えば、目標ルート、自動運転車両2の位置、自動運転車両2の外部環境、及び自動運転車両2の走行状態に基づいて、自動運転車両2の進路[trajectory]を生成する。進路は自動運転の走行計画に相当する。進路には、自動運転で車両が走行する経路[path]と自動運転における車速計画とが含まれる。
【0097】
経路は、自動駐車システムに指示された目標ルート上において自動運転中の車両が走行する予定の軌跡である。経路は、例えば目標ルート上の位置に応じた自動運転車両2の操舵角変化のデータ(操舵角計画)とすることができる。目標ルート上の位置とは、例えば目標ルートの進行方向において所定間隔(例えば1m)毎に設定された設定縦位置である。操舵角計画とは、設定縦位置毎に目標操舵角が関連付けられたデータとなる。自動運転制御部45は、例えば目標ルートに沿って駐車場の走行路の中央を通るように進路を生成する。
【0098】
自動運転制御部45は、自動バレーパーキングにおいて自動駐車サーバ10の駐車計画生成部15から駐車計画(目標駐車スペース及び目標ルート)を指示された場合は駐車計画に従って自動駐車を行う。自動運転制御部45は、駐車計画に位置に応じた操舵角計画や車速計画が含まれていない場合は、自動運転車両2側で操舵角計画及び車速計画を生成して自動駐車を実現する。
【0099】
判定部46は、自車位置認識部43の認識した自車位置と自動駐車サーバ10から指示された照度抑制ポイントとに基づいて、自動運転車両2が照度抑制ポイントに至ったか否かを判定する。判定部46は、例えば図6に示す状況において自動運転車両2がノードN4に至った場合、自動運転車両2が照度抑制ポイントに至ったと判定する。なお、自動運転車両2がノードN4に至ったか否かの判定は、自動運転車両2の先端ではなく、自動運転車両2の中心位置を基準として行われてもよい。
【0100】
灯火器制御部47は、判定部46により自動運転車両2が照度抑制ポイントに至ったと判定された場合に、照度抑制として自動運転車両2の前方灯火器25の一部消灯又は全部消灯を行う。灯火器制御部47は、例えば前方灯火器25のうちスモールライトの点灯を維持しつつ、ヘッドライトを消灯することで一部消灯を行う。フォグランプの消灯を一部消灯としてもよい。灯火器制御部47は、スモールライト及びヘッドライトを含む前方灯火器25を消灯することで全部消灯を行う。
【0101】
[自動駐車システム(自動駐車サーバ)の処理方法]
次に、本実施形態の自動駐車システム1の処理方法について図面を参照して説明する。図9(a)は、照度抑制ポイント設定処理の一例を示すフローチャートである。照度抑制ポイント設定処理は、例えば自動バレ-パーキングの実行に伴って行われる。
【0102】
図9(a)に示すように、自動駐車システム1の自動駐車サーバ10は、S10として、照度情報取得部12により自動運転車両2の前方灯火器25の照度情報を取得する。照度情報取得部12は、例えば、駐車場カメラによって点灯中の前方灯火器を撮像することにより、自動運転車両2の前方灯火器の照度情報を取得する。或いは、照度情報取得部12は、自動運転車両2の前方灯火器の点灯中に自動運転車両2の前方カメラが撮像した画像情報から照度情報を取得する。
【0103】
S12において、自動駐車サーバ10は、照度抑制ポイント設定部13により照度抑制ポイントの設定を行う。照度抑制ポイント設定部13は、駐車場地図データベース5の駐車場地図情報及び駐車場照明情報と照度情報取得部12の取得した自動運転車両2の前方灯火器の照度情報とに基づいて、照度抑制ポイントを設定する。照度抑制ポイント設定部13は、更に現在時刻を考慮して、照度抑制ポイントを設定してもよい。
【0104】
S13において、自動駐車サーバ10は、照度抑制指示部14により照度抑制指示を行う。照度抑制指示部14は、例えば、自動運転車両2に対して照度抑制ポイントを予め指示する。自動運転車両2は、照度抑制ポイントに至ったと判定したときに、照度抑制を行う。その後、自動駐車サーバ10は、今回の照度抑制ポイント設定処理を終了する。
【0105】
なお、自動駐車サーバ10は、時間経過により外部からの光の影響が変化する場合には、一定時間毎又は予め決められた時刻において照度抑制ポイントの更新を行ってもよい。
【0106】
図9(b)は、自動運転車両2における照度抑制処理の一例を示すフローチャートである。自動運転車両2の自動運転ECU20は、自動駐車サーバ10から照度抑制指示(又は照度抑制指示を含む駐車計画)を受け取った場合、照度抑制処理を開始する。
【0107】
図9(b)に示すように、自動運転ECU20は、S20として、判定部46により自動運転車両2が照度抑制ポイントに至ったか否かを判定する。判定部46は、自車位置認識部43の認識した自車位置と自動駐車サーバ10から指示された照度抑制ポイントとに基づいて上記判定を行う。自動駐車サーバ10は、自動運転車両2が照度抑制ポイントに至ったと判定した場合(S20:YES)、S21に移行する。自動駐車サーバ10は、自動運転車両2が照度抑制ポイントに至ったと判定しなかった場合(S20:NO)、今回の照度抑制処理を終了する。その後、自動運転ECU20は一定時間の経過後に再びS20の処理を繰り返す。
【0108】
S21において、自動運転ECU20は、灯火器制御部47により照度抑制として自動運転車両2の前方灯火器25の一部消灯又は全部消灯を行う。灯火器制御部47は、例えば前方灯火器25のうちスモールライトの点灯を維持しつつ、ヘッドライトを消灯することで一部消灯を行う。その後、自動運転ECU20は今回の照度抑制処理を終了する。自動運転ECU20は、自動バレーパーキングの実行中において照度抑制処理を繰り返す。
【0109】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
【0110】
自動駐車システム1は、自動駐車サーバ10だけではなく、自動運転車両2を含んで構成されていてもよい。自動駐車サーバ10の機能の一部を自動運転車両2の自動運転ECU20で行う態様であってもよい。
【0111】
照度抑制ポイント設定部13は、自動運転車両2の前方灯火器の照度のみで合計照度閾値以上となる場合には、駐車場の照明設備の照射範囲外のランドマークに対応する位置に照度抑制ポイントを設定してもよい。
【0112】
自動運転車両2は必ずしも判定部46を有する必要はない。自動運転車両2は、自動駐車サーバ10から照射抑制指示を受けたときに照射抑制を行う態様であってもよい。
【符号の説明】
【0113】
1…自動駐車システム、2…自動運転車両、10…自動駐車サーバ、11…車両情報取得部、12…照度情報取得部、13…照度抑制ポイント設定部、14…照度抑制指示部、15…駐車計画生成部、22a…前方カメラ、25…前方灯火器、41…外部環境認識部、42…走行状態認識部、43…自車位置認識部、44…車両情報提供部、45…自動運転制御部、46…判定部、47…灯火器制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9