(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/19 20180101AFI20240903BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20240903BHJP
H04W 74/08 20240101ALI20240903BHJP
H04L 69/00 20220101ALI20240903BHJP
【FI】
H04W76/19
H04W4/38
H04W74/08
H04L69/00
(21)【出願番号】P 2021086368
(22)【出願日】2021-05-21
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】松本 翔
(72)【発明者】
【氏名】熱田 隆
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 陽一
(72)【発明者】
【氏名】李 政彦
【審査官】倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-57943(JP,A)
【文献】特開2016-152009(JP,A)
【文献】特開2004-200968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
H04L 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ装置と、前記マスタ装置と無線通信を行う複数のスレーブ装置とを備えた無線通信システムであって、
複数の前記スレーブ装置は、
前記マスタ装置と無線通信可能な接続状態の場合、前記マスタ装置に対して、スケジューリングされたデータ送信周期でデータを送信するデータ送信部(S30)と、
前記接続状態でない接続断状態の場合、前記マスタ装置に対して、前記無線通信を行うための接続要求を周期的に送信する接続要求部(S34)と、
前記接続要求を送信する要求送信周期を設定する周期設定部(S33,S33a,S304,S305,S304b,S305b,S304c,S305c)と、を備え、
前記周期設定部は、意図せず前記接続断状態となった場合は、意図的に前記接続断状態となった場合よりも要求送信周期を短い値に設定する無線通信システム。
【請求項2】
前記マスタ装置は、意図的に前記接続断状態となったことを示す接続断情報を前記スレーブ装置に送信する状態送信部(S131,S132,S133,S134)を備え、
前記周期設定部は、前記接続断情報を用いて前記要求送信周期を設定する請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記接続要求部は、他の前記スレーブ装置と異なるタイミングで、前記接続要求を周期的に送信する請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記周期設定部は、前記データ送信周期に係数を乗算して前記要求送信周期を設定する請求項2または3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記周期設定部は、整数にならない前記係数を用いる請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記周期設定部は、前記接続断情報を用いて前記係数を変更する請求項4または5に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記周期設定部は、意図せず前記接続断状態となった場合の前記係数を最小値とし、意図的に前記接続断状態となった場合の前記係数を前記最小値よりも大きい値とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記周期設定部は、前記接続要求の送信開始のタイミングを時間的にオフセットさせている請求項1~7のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムの一例として、特許文献1に開示された通信システムがある。この通信システムは、基地局装置と移動局装置とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術ではないが、無線通信システムには、マスタ装置と複数のスレーブ装置とが無線通信可能な接続状態の場合に、無線通信する無線通信システムが考えられる。そして、複数のスレーブ装置は、接続断状態になると、再度接続状態に状態遷移するためにマスタ装置に対してランダムなタイミングで接続要求を送信することが考えられる。この場合、無線通信システムは、接続要求の送信回数によって、再度接続状態に状態遷移するまでに要する再接続時間が長くなったり、スレーブ装置の消費電力が大きくなったりする可能性がある。
【0005】
開示される一つの目的は、再接続時間の長時間化を抑制しつつ、スレーブ装置の消費電力を抑制できる無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された無線通信システムは、
マスタ装置と、マスタ装置と無線通信を行う複数のスレーブ装置とを備えた無線通信システムであって、
複数のスレーブ装置は、
マスタ装置と無線通信可能な接続状態の場合、マスタ装置に対して、スケジューリングされたデータ送信周期でデータを送信するデータ送信部(S30)と、
接続状態でない接続断状態の場合、マスタ装置に対して、無線通信を行うための接続要求を周期的に送信する接続要求部(S34)と、
接続要求を送信する要求送信周期を設定する周期設定部(S33,S33a,S304,S305,S304b,S305b,S304c,S305c)と、を備え、
周期設定部は、意図せず接続断状態となった場合は、意図的に接続断状態となった場合よりも要求送信周期を短い値に設定する。
【0007】
このように、無線通信システムは、複数のスレーブ装置が接続断状態に応じて要求送信周期を設定している。このため、各スレーブ装置は、意図せず接続断状態となった場合は、意図的に接続断状態となった場合よりも、接続断状態から接続状態となるまでの再接続時間の長時間化を抑制できる。一方、各スレーブ装置は、意図的に接続断状態となった場合、意図せず接続断状態となった場合よりも、接続要求を送信する回数を減らすことができる。よって、各スレーブ装置は、消費電力を抑制できる。
【0008】
この明細書において開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態における無線通信システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態における集約ノードとセンサノードの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態における突発的な接続断時の集約ノードの処理動作を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態における突発的な接続断時のセンサノードの処理動作を示すフローチャートである。
【
図5】実施形態における無線通信システムの処理動作を示すタイムチャートである。
【
図6】実施形態における無線通信システムでデッドロックが発生する例を示すタイムチャートである。
【
図7】実施形態における無線通信システムの処理動作を示すタイムチャートである。
【
図8】変形例1における意図的な接続断時の集約ノードの処理動作を示すフローチャートである。
【
図9】変形例1における意図的な接続断時のセンサノードの処理動作を示すフローチャートである。
【
図10】変形例1における突発的な接続断時の無線通信システムの処理動作を示すタイムチャートである。
【
図11】変形例1における意図的な接続断時の無線通信システムの処理動作を示すタイムチャートである。
【
図12】変形例2における突発的な接続断時のセンサノードの処理動作を示すフローチャートである。
【
図13】変形例3における意図的な接続断時の集約ノードの処理動作を示すフローチャートである。
【
図14】変形例3における意図的な接続断時のセンサノードの処理動作を示すフローチャートである。
【
図15】変形例4における意図的な接続断時の集約ノードの処理動作を示すフローチャートである。
【
図16】変形例4における意図的な接続断時のセンサノードの処理動作を示すフローチャートである。
【
図17】変形例5における意図的な接続断時の集約ノードの処理動作を示すフローチャートである。
【
図18】変形例5における意図的な接続断時のセンサノードの処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
以下において、
図1~5を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。本実施形態では、一例として、無線通信システム100を車両に搭載可能な電池パックに適用した例を採用する。車両は、電気自動車、ハイブリッド自動車などの電動車両である。しかしながら、本開示は、これに限定されず、電池パックとは異なるシステムにも適用できる。
【0011】
<電池パックの周辺>
電池パックは、PCU、MG、ECUなどとともに、車両に搭載可能に構成されている。PCUは、Power Control Unitの略称である。MGは、Motor Generatorの略称である。ECUは、Electronic Control Unitの略称である。電池パックは、例えば車両のフロントコンパートメントに配置される。電池パックは、リアコンパートメント、座席下、または床下などに配置されてもよい。例えばハイブリッド自動車の場合、エンジンが配置されるコンパートメントは、エンジンコンパートメント、エンジンルームと称されることがある。
【0012】
PCUは、ECUからの制御信号にしたがい、電池パックとMGとの間で双方向の電力変換を実行する。MGは、交流回転電機、例えばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機である。MGは、車両の走行駆動源、すなわち電動機として機能する。MGは、PCU12により駆動されて回転駆動力を発生する。MGが発生した駆動力は、駆動輪に伝達される。
【0013】
ECUは、プロセッサ、メモリ、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを含む構成である。ECUは、例えば電池パックから組電池200に関する情報を取得する。ECUは、取得した情報を用いて、PCUを制御することにより、MGの駆動および電池パックの充放電を制御する。
【0014】
<電池パック>
図1に示すように、電池パックは、無線通信システム100に加えて、筐体300と、組電池200とを備えている。無線通信システム100は、集約ノード10と複数のセンサノード20とを備えている。このため、筐体300は、集約ノード10と、複数のセンサノード20と、組電池200とを一体的に収容している。本実施形態では、一例として、五個のセンサノード20を備えた無線通信システム100を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。
【0015】
集約ノード10と各センサノード20とは、無線通信可能に構成されている。集約ノード10と各センサノード20は、組電池200の管理を行っている。よって、集約ノード10と複数のセンサノード20は、電池管理システムを構成しているといえる。電池管理システムは、無線通信を利用して電池を管理するシステムである。本実施形態の電池管理システムでは、一つの集約ノード10と複数のセンサノード20との間で、無線通信が実行される。この無線通信では、近距離通信で使用される周波数帯、例えば2.4GHz帯や5GHz帯を用いる。
【0016】
なお、図面では、集約ノード10をMNと記載している。また、図面では、第1センサノードをSN1、第2センサノードをSN2、第3センサノードをSN3、第4センサノードをSN4、第5センサノードをSN5と記載している。各センサノード20は、同様の構成をなしている。このため、特に区別する必要がない場合は、センサノード20と記載する。集約ノード10とセンサノード20の構成に関しては、後ほど詳しく説明する。
【0017】
組電池200は、例えば複数の電池スタックを有している。電池スタックは、電池ブロック、電池モジュールと称されることがある。組電池200は、複数の電池スタックが直列に接続されて構成されている。各電池スタックは、複数の電池セルを有している。電池スタックは、直列に接続された複数の電池セルを有している。複数の電池セルは、バスバーで電気的に接続されている。バスバーは、銅などの導電性が良好な金属を主成分とする板材である。組電池200は、電池に相当する。
【0018】
電池セルは、化学反応によって起電圧を生成する二次電池である。二次電池として、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池を採用することができる。リチウムイオン二次電池は、リチウムを電荷担体とする二次電池である。電解質が液体の一般的なリチウムイオン二次電池の他、固体の電解質を用いたいわゆる全固体電池も含み得る。
【0019】
集約ノード10は、例えば電池スタックの外側側面に取り付けられている。センサノード20は、例えば複数の電池スタックに対して個別に設けられている。センサノード20は、バスバーにネジ等で固定されている。つまり、集約ノード10とセンサノード20は、組電池200に一体的に取り付けられている。
【0020】
筐体300は、金属を主成分として構成されている。つまり、筐体300は、金属筐体といえる。筐体300は、集約ノード10、センサノード20、組電池200を収容している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。筐体300は、樹脂製でもよいし、金属部分と樹脂部分を含んでもよい。また、筐体300は、集約ノード10、センサノード20を収容し、組電池200を収容していなくてもよい。さらに、集約ノード10およびセンサノード20は、筐体300に収容されていなくてもよい。
【0021】
<センサノード>
ここで、
図1、
図2を用いて、センサノード20について説明する。各センサノード20の構成は互いに共通である。なお、
図1では、図面を簡略化するために、一つのセンサノード20の回路要素だけ図示している。また、
図2では、図面を簡略化するために、センサノード20を一つだけ図示している。
【0022】
図1に示すように、センサノード20は、電源回路(PSC)2aと、マルチプレクサ(MUX)2bと、監視IC(MIC)2cと、マイコン(MC)2dと、無線IC(WIC)2eと、アンテナ(ANT)2fなどの回路要素を備えている。センサノード20内の各回路要素間の通信については、有線で行われる。
図1に示すセンサノード20の回路要素は、一例である。本開示は、これに限定されない。センサノード20は、スレーブ装置に相当する。センサノード20は、監視装置やスレーブノードと称されることがある。
【0023】
電源回路2aは、電池スタックから供給される電圧を用いて、センサノード20が備える他の回路要素の動作電力を生成する。マルチプレクサ2bは、電池パックが備える複数のセンサの検出信号を入力し、一つの信号として出力する選択回路である。センサは、電池セルそれぞれの物理量を検出するセンサ、および、いずれの電池セルであるかを判別するためのセンサなどを含んでいる。物理量検出センサは、例えば電圧センサ、温度センサ、電流センサなどを含んでいる。
【0024】
監視IC2cは、マルチプレクサ2bを通じて、セル電圧、セル温度、セル判別などの電池情報をセンシング(取得)し、マイコン2dに送信する。監視IC2cは、マイコン2dから送信された電池情報の取得を要求するデータを受信すると、マルチプレクサ2bを通じて電池情報をセンシングし、電池情報をマイコン2dに送信する。電池情報は、特許請求の範囲におけるデータに相当する。
【0025】
マイコン2dは、プロセッサであるCPU、メモリであるROMおよびRAM、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータである。CPUが、RAMの一時格納機能を利用しつつ、ROMに格納された種々のプログラムを実行することで、複数の機能部を構築する。ROMは、Read Only Memoryの略称である。RAMは、Random Access Memoryの略称である。
【0026】
マイコン2dは、監視IC2cによるセンシングや自己診断のスケジュールなどを制御する。マイコン2dは、監視IC2cから送信された電池情報を受信し、無線IC2eに送信する。マイコン2dは、監視IC2cに電池情報の取得を要求するデータを送信する。一例として、本実施形態のマイコン2dは、無線IC2eから送信された電池情報の取得を要求するデータを受信すると、監視IC2cに電池情報の取得を要求するデータを送信する。
【0027】
無線IC2eは、データを無線で送受信するために、例えばRF回路などを含んでいる。無線IC2eは、送信データを変調し、RF信号の周波数で発振する送信機能を有している。無線IC2eは、受信データを復調する受信機能を有している。RFは、radio frequencyの略称である。
【0028】
無線IC2eは、マイコン2dから送信された電池情報を含むデータを変調しアンテナ2fを介して集約ノード10に送信する。また、無線IC2eは、後ほど説明する接続要求を変調しアンテナ2fを介して集約ノード10に送信する。無線IC2eは、電池情報を含む送信データに、通信制御情報などの無線通信に必要なデータなどを付与して送信する。無線通信に必要なデータは、例えば識別子(ID)や誤り検出符号などを含む。無線IC2eは、センサノード20と集約ノード10との間の通信のデータサイズ、通信形式、スケジュール、エラー検知などを制御する。
【0029】
無線IC2eは、アンテナ2fを介して、集約ノード10から送信されたデータを受信して復調する。無線IC2eは、例えば接続応答を受信する。また、無線IC2eは、電池情報の取得および送信要求を含むデータを受信してもよい。この場合、無線IC2eは、要求に対する応答として、監視IC2cを通じて電池情報を取得して集約ノード10に送信する。アンテナ2fは、電気信号であるRF信号を電波に変換して空間に放射する。アンテナ2fは、空間を伝搬する電波を受信して、電気信号に変換する。
【0030】
また、センサノード20は、機能ブロックとして、アクセス制御部(ACU)21、タイマ制御部(TCU)22、無線通信部(WCU)23、センシング部(SCU)24を備えている。各機能ブロックは、各回路要素が動作することで得られる機能である。
【0031】
アクセス制御部21は、接続ノードを管理する。アクセス制御部21は、接続ノードの管理として、接続要求の送信や集約ノード10からの情報管理を行う。アクセス制御部21は、接続要求(creq)およびアンカーポイント(ancp)を出力する。また、アクセス制御部21は、接続応答(cres)および接続断通知(dcn)を受信する。
【0032】
接続要求は、センサノード20が集約ノード10との無線通信を行うための要求である。センサノード20は、後ほど説明する接続断状態において、集約ノード10に対して接続要求を送信する。言い換えると、センサノード20は、集約ノード10とデータの送受信を行うために接続要求を送信する。
【0033】
タイマ制御部22は、送信周期制御、タイムアウト制御、タイムスロット制御を行う。タイマ制御部22は、送信周期制御として、集約ノード10に対して送信するデータや接続要求の送信周期の設定を行う。タイマ制御部22は、タイムアウト制御として、集約ノード10から受信するデータの受信タイムアウトを管理する。タイマ制御部22は、タイムスロット制御を行うためにアンカーポイントを保持する。アンカーポイントは、各センサノード20に割り当てられたタイムスロットの先頭である。タイムスロットは、
図5などにおけるガードタイム(GT)に相当する。タイマ制御部22は、送受信指示(sri)および接続断通知を出力する。また、タイマ制御部22は、アンカーポイントおよび受信通知(ren)を取得する。
【0034】
無線通信部23は、送信処理および受信処理を行う。無線通信部23は、送信処理として、接続要求およびデータの送信を行う。無線通信部23は、上記のように、データとして、例えば電池情報を送信する。無線通信部23は、受信処理として、接続応答およびデータの受信を行う。無線通信部23は、接続応答および受信通知を出力する。また、無線通信部23は、接続要求および送受信指示を取得する。なお、接続要求は、センサノード20の存在を集約ノード10に通知するための要求とみなすこともできる。言い換えると、無線通信部23は、アドバタイズを送信する。
【0035】
センシング部24は、電池情報の取得および送信要求を含むデータを取得する。センシング部24は、電池情報を取得するとともに、取得した電池情報を出力する。
【0036】
このように、複数のセンサノード20は、組電池200の状態を示す電池情報を監視するものである。そして、複数のセンサノード20は、データとして、電池情報を送信する(データ送信部)。
【0037】
<集約ノード>
ここで、
図1、
図2を用いて、集約ノード10について説明する。集約ノード10は、電源回路(PSC)1a、マイコン(MC)1b、アンテナ(ANT)1c、無線IC(WIC)1dなどの回路要素を備えている。集約ノード10内の各要素間の通信については、有線で行われる。
図1に示す集約ノード10の回路要素は、一例である。本開示は、これに限定されない。集約ノード10は、マスタ装置に相当する。集約ノード10は、電池ECU、BMU、マスタノードと称されることがある。BMUは、Battery Management Unitの略称である。
【0038】
電源回路1aは、バッテリから供給される電圧を用いて、集約ノード10が備える他の回路要素の動作電力を生成する。バッテリは、車両に搭載された、電池パックとは別の直流電圧源である。バッテリは、車両の補機に電力を供給するため、補機バッテリと称されることがある。アンテナ1cは、電気信号であるRF信号を電波に変換して空間に放射する。アンテナ1cは、空間を伝搬する電波を受信して、電気信号に変換する。
【0039】
無線IC1dは、無線IC2eと同様の構成を有している。よって、無線IC1dは、送信機能および受信機能を有している。無線IC1dは、アンテナ1cを介して、センサノード20から送信されたデータを受信して復調する。無線IC1dは、例えばデータとして電池情報を受信する。そして、無線IC1dは、電池情報を、マイコン1bに送信する。無線IC1dは、マイコン1bから送信されたデータを受信して変調し、アンテナ1cを介してセンサノード20に送信する。無線IC1dは、送信データに、通信制御情報などの無線通信に必要なデータなどを付与して送信する。無線通信に必要なデータは、例えば識別子(ID)や誤り検出符号などを含む。また、無線IC1dは、後ほど説明する接続応答などを送信する。
【0040】
マイコン1bは、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータである。ROMは、CPUによって実行される種々のプログラムを格納している。マイコン1bは、センサノード20に対して電池情報の処理を要求するコマンドを生成し、該コマンドを含む送信データを、無線IC1dに送信してもよい。
【0041】
なお、マイコン1bは、無線IC1dから送信された電池情報を受信し、電池情報に基づいて所定の処理を実行してもよい。例えばマイコン1bは、取得した電池情報を、外部のECUに送信する処理を実行する。マイコン1bは、電池情報に基づいてSOCおよび/またはSOHを算出し、算出したSOC、SOHを含む電池情報をECUに送信してもよい。マイコン1bは、電池情報に基づいて、各電池セルの電圧を均等化させる均等化処理を実行してもよい。マイコン1bは、車両のIG信号を取得し、車両の駆動状態に応じて上記した処理を実行してもよい。マイコン1bは、電池情報に基づいて、電池セルの異常を検出する処理を実行してもよいし、異常検出情報をECUに送信してもよい。
【0042】
また、
図2に示すように、集約ノード10は、機能ブロックとして、アクセス制御部(ACU)11、タイマ制御部(TCU)12、無線通信部(WCU)13、IG制御部(IGCU)14を備えている。
【0043】
アクセス制御部11は、センサノード20を管理する。アクセス制御部11は、センサノード20の管理として、接続応答の送信やセンサノード20からの情報管理を行う。アクセス制御部11は、接続応答を送信することで、センサノード20からの接続要求を許可する。アクセス制御部11は、接続応答やアンカーポイントを出力する。また、アクセス制御部11は、接続要求および接続断通知を取得する。
【0044】
さらに、アクセス制御部11は、IG制御部14からIGON信号およびIGOFF信号を受信する。IGON信号は、イグニッションスイッチのオンを示す信号である。IGOFF信号は、イグニッションスイッチのオフを示す信号である。IGON信号およびIGOFF信号をまとめてIG信号ともいえる。
【0045】
タイマ制御部12は、送信周期制御、タイムアウト制御、タイムスロット制御を行う。タイマ制御部12は、送信周期制御として、センサノード20に対して送信するデータや接続応答の送信周期の設定を行う。タイマ制御部12は、タイムアウト制御として、センサノード20から受信するデータの受信タイムアウトを管理する。タイマ制御部22は、タイムスロット制御を行うためにアンカーポイントを設定する。
【0046】
また、タイマ制御部12は、タイムスロット制御として、アンカーポイントを設定する。タイマ制御部12は、送受信指示、接続断通知、およびスキャン指示(sci)を出力する。そして、タイマ制御部12は、タイマ制御部22と同様、アンカーポイントおよび受信通知を取得する。
【0047】
無線通信部13は、送信処理および受信処理を行う。無線通信部13は、送信処理として、接続応答およびデータの送信を行う。無線通信部13は、受信処理として、接続要求およびデータの受信を行う。なお、無線通信部13は、受信処理として、スキャン処理を行うことで、データを受信する。言い換えると、無線通信部13は、スキャンウィンドウ(sw)を開いてデータを受信する。無線通信部13は、接続要求および受信通知を出力する。また、無線通信部23は、接続応答および送受信指示を取得する。さらに、無線通信部13は、データとして電池情報を受信する。
【0048】
集約ノード10とセンサノード20の状態遷移に関して説明する。集約ノード10は、初期状態、接続断状態、通常通信状態、スリープ状態をとりうる。一方、センサノード20は、初期状態、接続断状態、通常通信状態をとりうる。
【0049】
集約ノード10は、イグニッションスイッチがオンすると初期状態に状態遷移する。集約ノード10は、初期状態で初期設定を行い、接続断状態へと状態遷移する。なお、集約ノード10は、初期状態ではセンサノード20との通信を行わない。
【0050】
集約ノード10は、接続断状態においてスキャンを行う。つまり、集約ノード10は、センサノード20からの接続要求をスキャン(確認)する。集約ノード10は、スキャンして得た接続要求から接続先のセンサノード20を決定する。そして、集約ノード10は、そのセンサノード20に接続応答を送信して通常通信状態に状態遷移する。詳述すると、集約ノード10は、複数のセンサノード20のうち接続要求を送信したセンサノード20との間で通常通信状態に状態遷移する。なお、通常通信状態は、接続状態ともいえる。
【0051】
集約ノード10は、通常通信状態において、間欠的にセンサノード20とデータの送受信を行う。集約ノード10は、所定期間、センサノード20からデータを受信しない場合、タイムアウトして接続断状態へと状態遷移する。つまり、集約ノード10は、データを所定期間送信しないセンサノード20との間で接続断状態へと状態遷移する。
【0052】
なお、集約ノード10は、接続断状態と通常通信状態において、イグニッションスイッチがオフするとスリープ状態へと状態遷移する。そして、集約ノード10は、スリープ状態において、イグニッションスイッチがオンすると初期状態に状態遷移する。スリープ状態である期間は、スリープ期間ともいえる。
【0053】
なお、集約ノード10は、ディープスリープ状態をとりうるものであってもよい。ディープスリープ状態は、意図的に長期間スリープ状態とすることである。また、集約ノード10は、無線IC1dの電源をオフする電源オフモードを有していてもよい。電源オフモードの状態では、意図的に無線IC1dへの電力供給が停止される。
【0054】
センサノード20は、リセットされると初期状態に状態遷移する。センサノード20は、初期状態で初期設定を行い、接続断状態へと状態遷移する。なお、センサノード20は、初期状態ではセンサノード20との通信を行わない。
【0055】
センサノード20は、接続断状態において一定期間ごとに接続要求を送信する。つまり、センサノード20は、集約ノード10に対して、一定期間ごとに接続要求を送信する。そして、センサノード20は、接続応答を受信すると、通常通信状態に遷移する。センサノード20は、所定期間、集約ノード10から接続応答を受信しない場合、タイムアウトして初期状態へと状態遷移する。なお、接続断状態は、アドバタイジング状態ともいえる。
【0056】
センサノード20は、通常通信状態において、間欠的に集約ノード10とデータの送受信を行う。センサノード20は、所定期間、集約ノード10からデータを受信しない場合、タイムアウトして接続断状態へと状態遷移する。
【0057】
<無線通信>
無線通信システム100は、集約ノード10と各センサノード20が無線通信可能な構成となっている。無線通信システム100は、一例として、集約ノード10と各センサノード20が近距離無線通信を行う例を採用する。また、集約ノード10は、定期的に、かつ、長期間にわたって電池情報を収集できることを要求されることがある。この場合、無線通信システム100は、省電力性能に長けたBLEやZigBee(登録商標)などの通信規格を採用することが望ましい。BLEは、Bluetooth Low Energyの略称である。Bluetoothは登録商標である。
【0058】
無線通信システム100は、通常通信状態において、集約ノード10と各センサノード20の間欠動作がスケジューリングされる。また、無線通信システム100は、通常通信状態が解除された状態、つまり接続断状態の場合、集約ノード10と各センサノード20との間で再接続の処理が行われる。このとき、無線通信システム100は、例えばミリ秒単位での再接続確立が求められる場合、再接続の時間を最小限に留める接続制御が必要となる。
【0059】
通常通信状態では、集約ノード10がデータの送信周期を制御する。集約ノード10は、通常通信状態において、一定期間ごとに、各センサノード20にデータを送信する。各センサノード20は、集約ノード10からのデータに返信するかたちでデータを送信する。データの送信周期は、データ送信周期に相当する。一方、接続断状態では、各センサノード20が接続要求の送信周期を制御する。接続要求の送信周期は、要求送信周期に相当する。以下、要求送信周期を接続要求送信周期とも称する。
【0060】
なお、通常通信状態とは、集約ノード10と各センサノード20がデータの無線通信が可能な状態である。また、通常通信状態は、集約ノード10から各センサノード20に対してデータを送信できる状態といえる。さらに、通常通信状態は、集約ノード10と各センサノード20との間で、無線通信が確立された状態ともいえる。なお、無線通信システム100は、集約ノード10がセンサノード20からの接続要求を受信し、センサノード20が集約ノード10から接続応答を受信することで通常通信状態となる。
【0061】
一方、接続断状態とは、集約ノード10と各センサノード20との間で、無線通信が確立されていない状態である。よって、接続断状態では、集約ノード10から各センサノード20に対してデータの送信は行われない。接続断状態は、集約ノード10が初期状態ではなく、集約ノード10と各センサノード20とが接続要求の送受信を行うことができる状態である。また、接続断状態は、再接続を行っている再接続状態ともいえる。
【0062】
<処理動作>
ここで、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7を用いて、集約ノード10とセンサノード20の処理動作に関して説明する。なお、複数のセンサノード20は、同様の処理動作を行う。
【0063】
ここでは、センサノード20が突発的に接続断状態となったと判断した場合の処理動作に関して説明する。無線通信システムは、例えばセンサノード20においてデータの受信が途絶した場合などに突発的に接続断状態となる。突発的に接続断状態となったとは、意図せず接続断状態となったともいえる。一方、イグニッションスイッチがオフになった場合、ディープスリープ状態となった場合、集約ノード10(無線IC1d)への電力供給が停止した場合などは、意図的な接続断状態とする。
【0064】
まず、
図3を用いて、集約ノード10の処理動作に関して説明する。ステップS10では、通常通信を行う。集約ノード10は、通常通信状態である。集約ノード10と各センサノード20は、通常通信状態において、互いにデータの送受信を行う。集約ノード10は、例えば周波数チャネルホッピングにより使用する周波数チャネルを決定する。このとき、集約ノード10は、エラーが頻発する周波数チャネルを検出して、その周波数チャネルを使用しないように周波数チャネルを決定する。また、集約ノード10は、無線LANのチャネルが占有している帯域を回避するように、ホッピングパターンを作成してもよい。
【0065】
そして、集約ノード10は、周波数チャネルを決定すると、ガードタイム(GT)中に、一つのセンサノード20との間でデータの送受信処理を行う。集約ノード10は、コネクションインターバル(CI、通信間隔)において、通信対象のセンサノード20を切り替えながら、各センサノード20と通信を行う。なお、コネクションインターバルは、集約ノード10と各センサノード20との間で共有されている。
【0066】
また、通常通信状態では、データ送信周期で、集約ノード10からデータを送信する。集約ノード10は、例えば各センサノード20のアンカーポイントでデータを送信する。また、集約ノード10によるデータの送信タイミングは、コネクションイベントともいえる。
【0067】
例えば、集約ノード10は、アクセス制御部11がアンカーポイントを出力する。タイマ制御部12は、各センサノード20に対して送信するデータ送信周期を設定する。また、タイマ制御部12は、タイムスロット制御を行うために、アクセス制御部11から出力されたアンカーポイントを設定する。タイマ制御部12は、設定したデータ送信周期におけるアンカーポイントのタイミングで送受信指示を出力する。無線通信部13は、タイマ制御部12から出力された送受信指示に従って、データの送受信を行う。
【0068】
ステップS11では、IGOFF信号を確認する。IG制御部14は、スリープ状態へ状態遷移するか否かを判定するために、IGOFF信号の受信を確認する。
【0069】
ステップS12では、IGOFF信号を受信したか否かを判定する。IG制御部14は、IGOFF信号を受信したと判定するとステップS13へ進む。つまり、IG制御部14は、IGOFF信号を受信すると、スリープ状態へ状態遷移するとみなしてステップS13へ進む。一方、IG制御部14は、IGOFF信号を受信したと判定しないとステップS10へ戻る。つまり、IG制御部14は、IGOFF信号を受信しないと、スリープ状態へ状態遷移しないとみなしてステップS10へ戻る。なお、IG制御部14は、IGOFF信号を受信した場合、IGOFF信号をアクセス制御部11へ出力する。
【0070】
ステップS13では、スリープ状態へ状態遷移する。集約ノード10は、IG制御部14がIGOFF信号を受信するとスリープ状態へ状態遷移する。
【0071】
集約ノード10は、無線通信システム100のスリープ期間中は動作しない。このため、集約ノード10は、センサノード20との通常通信状態が切れる。一方、センサノード20は、無線通信システム100のスリープ期間中であっても、接続要求を周期的に送信し続ける。
【0072】
ステップS14では、IGON信号を確認する。IG制御部14は、ステップS16の初期状態へ状態遷移するか否かを判定するために、IGON信号の受信を確認する。なお、IG制御部14は、スリープ状態に状態遷移すると、所定時間ごとにステップS14を実行する。
【0073】
ステップS15では、IGON信号を受信したか否かを判定する。IG制御部14は、IGON信号を受信したと判定するとステップS16へ進む。つまり、IG制御部14は、IGON信号を受信すると、初期状態へ状態遷移するとみなしてステップS16へ進む。一方、IG制御部14は、IGON信号を受信したと判定しないとステップS14へ戻る。つまり、IG制御部14は、IGON信号を受信しないと、初期状態へ状態遷移しないとみなしてステップS14へ戻る。なお、IG制御部14は、IGON信号を受信した場合、IGON信号をアクセス制御部11へ出力する。
【0074】
ステップS16では、初期状態へ状態遷移する。集約ノード10は、IG制御部14がIGON信号を受信すると初期状態へ状態遷移する。
【0075】
ステップS17では、接続断状態へ状態遷移する。集約ノード10は、初期状態において初期設定が終了すると接続断状態へ状態遷移する。
【0076】
ステップS18では、スキャンウィンドウを開く。タイマ制御部12は、通信を行っていない空き時間にスキャン指示を出力する。無線通信部13は、スキャン指示に従ってスキャンウィンドウを開く。つまり、集約ノード10は、接続断状態において接続要求を受信する。
【0077】
ステップS19では、接続要求を確認する。アクセス制御部11は、センサノード20が接続を要求しているか否かを判定するために、接続要求の受信を確認する。
【0078】
ステップS20では、接続要求を受信したか否かを判定する。アクセス制御部11は、無線通信部13から接続要求を取得すると、接続要求を受信したと判定してステップS21へ進む。アクセス制御部11は、無線通信部13から接続要求を取得しないと、接続要求を受信したと判定せずにステップS18へ戻る。
【0079】
ステップS21では、接続要求先に接続応答を送信する。アクセス制御部11は、通常通信状態に状態遷移するために、無線通信部13を介して接続要求先に接続応答を送信する。つまり、アクセス制御部11は、接続要求を送信したセンサノード20に対して、接続応答を送信する。
【0080】
ステップS22では、接続を完了する。アクセス制御部11は、接続要求を送信したセンサノード20との接続を完了する。
【0081】
ステップS23では、通常通信状態へ状態遷移する。集約ノード10は、接続要求を送信したセンサノード20との間において、接続断状態から通常通信状態へと状態遷移する。
【0082】
次に、
図4を用いて、センサノード20の処理動作に関して説明する。
【0083】
ステップS30では、通常通信を行う(データ送信部)。センサノード20は、通常通信状態である。センサノード20は、集約ノード10からのデータを受信する。そして、センサノード20は、受信したデータに応答して、集約ノード10にデータを送信する。例えば、無線通信部23は、集約ノード10からデータを受信すると、センシング部24から取得した電池情報を集約ノード10に送信する。
【0084】
ステップS31では、受信タイムアウト時間を経過したか否かを判定する。タイマ制御部22は、通常通信状態から接続断状態へと状態遷移するか否かを確認するために、受信タイムアウト時間を経過したか否かを判定する。また、タイマ制御部22は、突発的に接続断状態となったか否かを判断するために、受信タイムアウト時間を経過したか否かを判定するといえる。
【0085】
タイマ制御部22は、集約ノード10からのデータを受信すると経過時間の計測を開始する。そして、タイマ制御部22は、経過時間が受信タイムアウト時間を経過すると、集約ノード10との無線通信の接続が切れたと判断してステップS32へ進む。つまり、タイマ制御部22は、経過時間が受信タイムアウト時間を経過すると、突発的に接続断状態となったと判断してステップS32へ進む。
【0086】
一方、タイマ制御部22は、経過時間が受信タイムアウト時間を経過しないと、集約ノード10との無線通信の接続が切れてないとみなしてステップS30へ戻る。つまり、タイマ制御部22は、受信タイムアウト時間が経過する前にデータを受信すると、接続が維持されていると判断してステップS30を維持する。センサノード20は、このようにタイムアウト制御を行う。
【0087】
ステップS32では、接続断状態へ状態遷移する。センサノード20は、通常通信状態において、受信タイムアウト時間が経過する前にデータを受信しないと接続断状態へ状態遷移する。
【0088】
ステップS33では、係数α1でタイマを設定する(周期設定部)。タイマ制御部22は、係数αとしてα1を用いてタイマを設定する。タイマ制御部22は、データ送信周期に係数α1を乗算して接続要求送信周期を設定する。接続要求送信周期は、ステップS34で接続要求を送信する際の周期である。そして、タイマ制御部22は、経過時間の計測を開始する。
【0089】
このように、センサノード20は、接続要求を送信する接続要求送信周期を設定する。ここでは、データ送信周期に係数αを乗算して接続要求送信周期を設定する例を採用する。また、センサノード20は、意図せず接続断状態となった場合と意図的に接続断状態となった場合とで接続要求送信周期をかえる。センサノード20は、意図せず接続断状態となった場合、意図的に接続断状態となった場合よりも接続要求送信周期を短い値に設定する。
【0090】
係数α1は、意図せず接続断状態となった場合に用いる係数αである。よって、データ送信周期に係数α1を乗算して得られた接続要求送信周期は、意図せず接続断状態となった場合の接続要求送信周期である。また、センサノード20は、意図的に接続断状態となった場合は、データ送信周期に係数α2(>α1)などを乗算することで接続要求送信周期を得ることができる。このように、センサノード20は、意図せず接続断状態となった場合の係数α1を最小値とし、意図的に接続断状態となった場合の係数α2を最小値よりも大きい値とする。
【0091】
このため、接続要求送信周期は、意図せず接続断状態となった場合が最小となる。このように、センサノード20は、接続要求送信周期が常に一定ではなく、接続要求送信周期を切り替えることができる。
【0092】
本開示は、これに限定されず、係数を用いることなく、接続要求送信周期を変更してもよい。また、係数α1は、システム要件を満足する範囲内で最小値を採用できる。係数α2は、システム要件として定義される再接続時間要件を満足する範囲内で接続要求数が最小となる値を採用できる。なお、係数α1や係数α2は、整数であっても非整数であってもよい。後ほど説明する係数α3、α4に関しても、整数であっても非整数であってもよい。
【0093】
このように、タイマ制御部22は、データ送信周期に係数α1を乗算して接続要求送信周期を設定する。接続要求送信周期は、アンカーポイントを起点として設定される。このため、各センサノード20は、係数α1に整数が設定された場合、アンカーポイントで接続要求を送信することになる。各センサノード20は、係数α1に非整数が設定された場合、アンカーポイントからタイミングをずらしながら接続要求を送信することになる。また、通常通信時に設定されたアンカーポイントは、各センサノード20に割り当てられている。このため、各センサノード20は、互いに異なるタイミングで接続要求を送信することになる。
【0094】
ステップS34では、接続要求を送信する(接続要求部)。アクセス制御部21は、無線通信部23を介して、ステップS32で設定した接続要求送信周期で接続要求を送信する。つまり、センサノード20は、集約ノード10との通常通信状態が切れている場合、集約ノード10に対して、他のセンサノード20と異なるタイミングで接続要求を周期的に送信する。
【0095】
ステップS35では、接続応答を確認する。無線通信部23は、集約ノード10との間で通常通信状態となったか否かを確認するために、集約ノード10からの接続応答を確認する。
【0096】
ステップS36では、接続応答を受信したか否かを判定する。アクセス制御部21は、通常通信状態とするために、無線通信部23を介して接続応答を受信したか否かを判定する。アクセス制御部21は、接続応答を受信したと判定するとステップS37へ進む。また、アクセス制御部21は、接続応答を受信したと判定しないとステップS34へ戻る。
【0097】
ステップS37では、接続を完了する。アクセス制御部21は、接続応答を受信すると、集約ノード10との接続を完了する。
【0098】
ステップS38では、通常通信状態へ状態遷移する。センサノード20は、集約ノード10との間において、接続断状態から通常通信状態へと状態遷移する。これによって、センサノード20は、集約ノード10との間でデータの送受信が可能となる。
【0099】
図5の例では、第1センサノード20は、タイミングt1で集約ノード10から接続応答を受信する。そして、第1センサノード20は、タイミングt2からデータ送信周期で、集約ノード10とデータの送受信を行う。
【0100】
第4センサノード20は、タイミングt3で集約ノード10から接続応答を受信する。そして、第4センサノード20は、タイミングt4からデータ送信周期で、集約ノード10とデータの送受信を行う。
【0101】
第5センサノード20は、タイミングt5で集約ノード10から接続応答を受信する。そして、第5センサノード20は、タイミングt6からデータ送信周期で、集約ノード10とデータの送受信を行う。
【0102】
第2センサノード20は、タイミングt7で集約ノード10から接続応答を受信する。そして、第2センサノード20は、タイミングt8からデータ送信周期で、集約ノード10とデータの送受信を行う。
【0103】
第3センサノード20は、タイミングt9で集約ノード10から接続応答を受信する。そして、第3センサノード20は、タイミングt10からデータ送信周期で、集約ノード10とデータの送受信を行う。
【0104】
なお、
図5における星印(☆印)は、タイミングランダムな要素である。つまり、集約ノード10のスキャン開始タイミングは、集約ノード10の処理状況によりランダムにばらつく。各センサノード20のアンカーポイントは、各センサノード20のクロック誤差によりランダムにばらつく。上向きの破線矢印は、接続要求である。下向きの破線矢印は、接続応答である。下向きの実線矢印は、データである。データに関しては、下向き矢印で示しているものの双方向通信となる。
【0105】
また、センサノード20は、接続要求送信周期を設定する際に、整数にならない係数α1を用いてもよい(周期設定部)。これによって、無線通信システム100は、データ送信周期と接続要求送信周期をずらすことができる。よって、無線通信システム100は、デッドロックを抑制することができる。デッドロックとは、データの送受信と送信要求の送信とが衝突して、集約ノード10に対して送信要求を送信できなくなることである。
【0106】
例えば
図6の例は、係数α1として整数を採用している。第1センサノード20は、タイミングt1で集約ノード10から接続応答を受信する。そして、第1センサノード20は、タイミングt2からデータ送信周期で、集約ノード10とデータの送受信を行う。
【0107】
第5センサノード20は、タイミングt3で集約ノード10から接続応答を受信する。そして、第5センサノード20は、タイミングt4からデータ送信周期で、集約ノード10とデータの送受信を行う。
【0108】
第2センサノード20は、タイミングt5で集約ノード10から接続応答を受信する。そして、第2センサノード20は、タイミングt6からデータ送信周期で、集約ノード10とデータの送受信を行う。
【0109】
第3センサノード20は、タイミングt7で集約ノード10から接続応答を受信する。そして、第3センサノード20は、タイミングt8からデータ送信周期で、集約ノード10とデータの送受信を行う。
【0110】
第4センサノード20は、タイミングt9などで接続要求を送信する。しかしながら、接続要求は、他のセンサノード20と集約ノード10とのデータの送受信と衝突してしまう。よって、第4センサノード20は、タイミングt9でデッドロックが発生してしまう。
【0111】
しかしながら、係数α1として、整数にならない値(非整数)を採用することで、
図7に示すようにデッドロックを抑制できる。
図7では、係数α1として1.8を採用している。さらに、
図7では、接続要求の送信開始のタイミングを時間的にオフセットさせている例を採用している(周期設定部)。第2、第4センサノードがオフセットさせている。センサノード20は、事前に設定された時間だけ、接続要求の送信開始のタイミングをオフセットする。
【0112】
この
図7の例では、第1センサノード20は、タイミングt1で集約ノード10から接続応答を受信する。そして、第1センサノード20は、タイミングt2からデータ送信周期で、集約ノード10とデータの送受信を行う。
【0113】
第5センサノード20は、タイミングt3で集約ノード10から接続応答を受信する。そして、第5センサノード20は、タイミングt4からデータ送信周期で、集約ノード10とデータの送受信を行う。
【0114】
第2センサノード20は、タイミングt5で集約ノード10から接続応答を受信する。そして、第2センサノード20は、タイミングt6からデータ送信周期で、集約ノード10とデータの送受信を行う。
【0115】
第4センサノード20は、タイミングt7で集約ノード10から接続応答を受信する。そして、第4センサノード20は、タイミングt8からデータ送信周期で、集約ノード10とデータの送受信を行う。
【0116】
第3センサノード20は、タイミングt9で集約ノード10から接続応答を受信する。そして、第3センサノード20は、タイミングt10からデータ送信周期で、集約ノード10とデータの送受信を行う。
【0117】
これによって、無線通信システム100は、接続要求の衝突だけではなく、デッドロックの発生も抑制できる。このため、無線通信システム100は、接続要求の衝突およびデッドロックが発生する場合よりも、接続状態の確立までの時間を短縮できる。つまり、無線通信システム100は、接続状態の確立にかかる時間を最小限に短縮できる。
【0118】
ところで、係数α1は、各種値を採用することができる。例えば、係数α1は、(接続要求期間/タイムスロット)-(1/集約ノード10が収容するセンサノード20の数)を採用することができる。集約ノード10が収容するセンサノード20とは、集約ノード10と無線通信可能なセンサノード20である。よって、本実施形態では、集約ノード10が収容するセンサノード20の数が5となる。接続要求期間は、各センサノード20に割り当てられた、接続要求を送信できる期間である。
【0119】
このように、係数α1は、タイムスロットに対する接続要求期間の倍数を設定することで、効率良く接続要求の衝突を避けることができる。また、係数α1は、1ノード分周期を短く設定することで、デッドロックを避けることができる。
【0120】
また、係数α1の変形例としては、
係数α1=(接続要求期間/タイムスロット)-β
βは、固定的に周期を変化させる係数を自由に設定する。
係数α1=(接続要求期間/タイムスロット)-(1/集約ノード10が収容するセンサノード20の数)-(クロック誤差/タイムスロット)
クロック誤差とは、センサノード20のクロックにおける集約ノード10のクロックとの誤差である。
係数α1=(接続要求期間/タイムスロット)-(クロック誤差/タイムスロット)-β
係数α1=接続要求期間-β
接続要求期間は、省電力要件や接続遅延要件に合わせ固定的に設定することができる。
係数α1=接続要求期間-(1/集約ノード10が収容するセンサノード20の数)-(クロック誤差/タイムスロット)
係数α1=接続要求期間-(クロック誤差/タイムスロット)
以上のものをあげることができる。
【0121】
<効果>
このように、無線通信システム100は、複数のセンサノード20が接続断状態に応じて接続要求送信周期を設定している。このため、各センサノード20は、意図せず接続断状態となった場合は、意図的に接続断状態となった場合よりも、接続要求送信周期を短い値に設定することで接続断状態から接続状態となるまでの再接続時間の長時間化を抑制できる。つまり、各センサノード20は、意図せず接続断状態となった場合は、早期に接続断状態から接続状態に復帰できる。一方、各センサノード20は、意図的に接続断状態となった場合、意図せず接続断状態となった場合よりも、接続要求送信周期を長い値に設定することで接続要求を送信する回数を減らすことができる。よって、各センサノード20は、消費電力を抑制できる。
【0122】
また、各センサノード20は、他のセンサノード20と異なるタイミングであり、データ送信周期に係数を乗算した接続要求送信周期で接続要求を送信する。このため、無線通信システム100は、各センサノード20間において、接続要求の衝突を抑制できる。これに伴って、無線通信システム100は、接続要求の衝突が発生する場合よりも、通常通信状態の確立までの時間を短縮できる。
【0123】
無線通信システム100は、電池パックに適用することができる。この場合、集約ノード10は、イグニッションスイッチがオフの場合など、バッテリの長寿命化を目的として、消費電力を低減する制御が行わる。例えば、集約ノード10は、送受信をできない状態とすることで、消費電力を低減している。なお、集約ノード10は、イグニッションスイッチがオフの場合以外にも、アイドル状態やスリープでも送受信ができない状態としてもよい。
【0124】
この場合、無線通信システム100は、集約ノード10がいつ送受信できる状態になってもいいように、各センサノード20が接続要求を送信し続けることになり、制御不能な状態となる。このような状態となることを想定し、無線通信システム100は、スリープ状態中の接続要求を事前にスケジューリングしておく。これによって、無線通信システム100は、通常通信状態の確立までの時間を短縮し、制御不能な状態を回避できる。
【0125】
無線通信システム100は、金属製の筐体300に収容されている。このため、集約ノード10と各センサノード20との無線通信の電波(以下、単に電波)は、筐体300の外部から干渉を受けることを抑制できる。しかしながら、無線通信システム100は、筐体300の外部に電波が放出されにくい。つまり、無線通信システム100は、筐体300の内部に電波がこもりやすい。よって、無線通信システム100は、筐体300の内部で電波が干渉しあうことが考えられる。例えば、無線通信システム100は、複数のセンサノード20から同時に接続要求が送信されると、各接続要求の電波が干渉し合う。この場合、集約ノード10は、接続要求を受信できない可能性がある。
【0126】
しかしながら、無線通信システム100は、上記のように接続要求を送信するため、複数のセンサノード20が同時に接続要求を送信することを抑制できる。よって、無線通信システム100は、筐体300内における電波の干渉を抑制でき、集約ノード10が接続要求を受信できる。
【0127】
電池パックに適用した無線通信システム100では、上記のように、例えばミリ秒単位での再接続確立が求められることがある。つまり、接続遅延要件として、非常に短い時間が要求される。しかしながら、無線通信システム100は、複数のセンサノード20間で接続要求の衝突を抑制できるため、遅延時間要件を満たしやすい。
【0128】
なお、マイコンやICが手段および/または機能を提供する例を示したが、これに限定されない。各手段および/または機能は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサを含む専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、専用ハードウェア論理回路を用いて実現されてもよい。さらに、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に格納されていてもよい。
【0129】
手段および/または機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供できる。例えばプロセッサが備える機能の一部または全部はハードウェアとして実現されてもよい。或る機能をハードウェアとして実現する態様には、一つ以上のICなどを用いて実現する態様が含まれる。
【0130】
プロセッサは、CPUの代わりに、MPUやGPU、DFPを用いて実現されていてもよい。プロセッサは、CPUや、MPU、GPUなど、複数種類の演算処理装置を組み合せて実現されていてもよい。プロセッサは、システムオンチップとして実現されていてもよい。
【0131】
さらに、各種処理部は、FPGAや、ASICを用いて実現されていてもよい。各種プログラムは、非遷移的実体的記録媒体に格納されていればよい。プログラムの保存媒体としては、HDDやSSD、フラッシュメモリ、SDカードなど、多様な格納媒体を採用可能であるDFPは、Data Flow Processorの略称である。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。HDDは、Hard disk Driveの略称である。SSDは、Solid State Driveの略称である。SDは、Secure Digitalの略称である。
【0132】
例えばセンサノード20がマイコン2dを備える例を示したが、これに限定されるものではない。センサノード20がマイコン2dを備えない構成の無線通信システム100を採用してもよい。
【0133】
電池パックが、一つの集約ノード10を備える例を示したが、これに限定されない。複数の集約ノード10を備えてもよい。電池パックは、一つ以上のセンサノード20と一つ以上の集約ノード10を備えればよい。電池パックは、無線通信システムを複数組備えてもよい。
【0134】
センサノード20が、監視IC2cを一つ備える例を示したが、これに限定されない。複数の監視IC2cを備えてもよい。この場合において、監視IC2cごとに無線IC2eを設けてもよいし、複数の監視IC2cに対して、一つの無線IC2eを設けてもよい。
【0135】
電池スタックごとにセンサノード20を配置する例を示したが、これに限定されない。例えば複数の電池スタックに対して、一つのセンサノード20を配置してもよい。一つの電池スタックに対して、複数のセンサノード20を配置してもよい。
【0136】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、変形例に関して説明する。上記実施形態および変形例は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【0137】
(変形例1)
図8~
図11を用いて変形例1の無線通信システム100に関して説明する。変形例1の無線通信システム100は、上記実施形態と同様の構成を有している。変形例1の無線通信システム100は、上記実施形態と処理動作が異なる。変形例1では、意図的に接続断状態となった場合の処理動作に関して説明する。
図8のフローチャートでは、
図3のフローチャートとの相違点に関して説明する。また、
図9のフローチャートでは、
図4のフローチャートとの相違点に関して説明する。
【0138】
図8に示すように、集約ノード10は、ステップS13でスリープ状態へと状態遷移するとステップS131を行う。ステップS131では、スリープ移行信号を送信する(状態送信部)。集約ノード10は、センサノード20に対して、意図的に接続断状態へと状態遷移することを知らせるために、スリープ移行信号を送信する。スリープ移行信号は、意図的に接続断となったことを示す情報である。スリープ移行信号は、接続断情報に相当する。
【0139】
図9に示すように、センサノード20は、通常通信を行っている際に、ステップS301を行う。ステップS301では、スリープ移行信号を確認する。センサノード20は、集約ノード10からスリープ移行信号が送信されたか否かを確認する。これは、意図的に接続断状態へと状態遷移するか否かを判定するためである。
【0140】
ステップS302では、スリープ移行信号を受信したか否かを判定する。センサノード20は、スリープ移行信号を受信したと判定した場合、意図的な接続断状態とみなしてステップS303へ進む。また、センサノード20は、スリープ移行信号を受信したと判定しなかった場合、意図的な接続断状態ではないとみなしてステップS30へ戻る。
【0141】
ステップS303では、マスタ側のスリープ移行と判断する。センサノード20は、マスタノードである集約ノード10がスリープ状態へと状態遷移すると判断する。つまり、センサノード20は、集約ノード10がスリープ状態へと状態遷移するため、集約ノード10と接続断状態になると判断する。
【0142】
ステップS304では、係数α1→α2に変更する(周期設定部)。タイマ制御部22は、係数αをα1からα2に変更する。上記のように、α1<α2である。センサノード20は、意図的に接続断状態となった場合に、意図せず接続断状態となった場合よりも接続要求送信周期を長くするために係数を変更する。このように、センサノード20は、スリープ移行信号を用いて接続要求送信周期を設定する。また、センサノード20は、スリープ移行信号を用いて係数を変更する。なお、センサノード20は、接続断状態に関する集約ノード10の状況に応じて係数を変更するともいえる。
【0143】
ステップS305では、係数α2でタイマを設定する(周期設定部)。タイマ制御部22は、係数αとしてα2を用いてタイマを設定する。タイマ制御部22は、データ送信周期に係数α2を乗算して接続要求送信周期を設定する。接続要求送信周期は、ステップS34で接続要求を送信する際の周期である。そして、タイマ制御部22は、経過時間の計測を開始する。
【0144】
センサノード20は、ステップS34~S37に続いて、ステップS306を行う。ステップS306では、接続完了したか否かを判定する。センサノード20は、集約ノード10との接続が完了したか否かを判定する。センサノード20は、接続完了と判定するとステップS307へ進み、接続完了と判定しないとステップS34へ戻る。
【0145】
ステップS307では、係数α1でタイマを設定する。タイマ制御部22は、係数αとしてα1を用いてタイマを設定する。タイマ制御部22は、データ送信周期に係数α1を乗算して接続要求送信周期を設定する。つまり、タイマ制御部22は、係数α1を初期値とする。これによって、センサノード20は、意図せず接続断状態となった場合に、データ送信周期に係数α1を乗算して得られた接続要求送信周期で接続要求を送信することになる。
【0146】
なお、センサノード20は、ステップS306を行わなくてもよい。この場合、センサノード20は、ステップS37に続いて、ステップS38、ステップS307を行う。
【0147】
図10は、突発的に接続断状態となった場合のタイムチャートである。このため、第1周期p1では、スリープ移行信号の送受信が行われておらず、データの送受信が行われている。その後、接続断状態となった場合、センサノード20は、意図的な接続断状態とは認識できない。よって、センサノード20は、第2周期p2以降において、データ送信周期に係数α1を乗算して得られた接続要求送信周期で接続要求を送信する。
【0148】
一方、
図11は、意図的に接続断状態となった場合のタイムチャートである。このため、イグニッションスイッチがオフした後の第3周期p3では、スリープ移行信号の送受信が行われている。その後、接続断状態となった場合、センサノード20は、意図的な接続断状態と認識できる。よって、センサノード20は、第4周期p4以降において、データ送信周期に係数α2を乗算して得られた接続要求送信周期で接続要求を送信する。
【0149】
変形例1は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。また、変形例1のセンサノード20は、接続断状態に関する集約ノード10の状況を認識して、係数を設定できる。これによって、無線通信システム100は、集約ノード10の状態に応じたシステム要求内の再接続時間を満足しつつ、かつ、省電力性能を最大限発揮することができる。
【0150】
(変形例2)
図12を用いて変形例2の無線通信システム100に関して説明する。変形例2の無線通信システム100は、上記実施形態と同様の構成を有している。変形例2の無線通信システム100は、センサノード20の処理動作が上記実施形態と異なる。
図12のフローチャートでは、
図4のフローチャートとの相違点に関して説明する。
【0151】
センサノード20は、突発的に接続断状態となった場合、係数αを変えずに接続要求送信周期を変更する。センサノード20は、ステップS33a(周期設定部)に示すように、接続要求送信周期に任意値Xを設定してタイマ設定する。変形例2は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0152】
(変形例3)
図13、
図14を用いて変形例3の無線通信システム100に関して説明する。変形例3の無線通信システム100は、上記実施形態(変形例1)と同様の構成を有している。変形例3の無線通信システム100は、変形例1と処理動作が異なる。変形例3では、意図的に接続断状態となった場合の処理動作に関して説明する。
図13のフローチャートでは、
図8のフローチャートとの相違点に関して説明する。また、
図14のフローチャートでは、
図9のフローチャートとの相違点に関して説明する。
【0153】
図13に示すように、集約ノード10は、ステップS132において、スリープ移行信号および係数α2を送信する。つまり、変形例3では、集約ノード10が係数αを係数α2に変更(指示)する。
【0154】
図14に示すように、センサノード20は、通常通信を行っている際に、ステップS301aを行う。ステップS301aでは、スリープ移行信号と係数α2を確認する。センサノード20は、集約ノード10からスリープ移行信号と係数α2が送信されたか否かを確認する。これは、意図的に接続断状態へと状態遷移するか否かを判定するためである。
【0155】
ステップS302aでは、スリープ移行信号と係数α2を受信したか否かを判定する。センサノード20は、スリープ移行信号と係数α2を受信したと判定した場合、意図的な接続断状態とみなしてステップS303へ進む。また、センサノード20は、スリープ移行信号と係数α2を受信したと判定しなかった場合、意図的な接続断状態ではないとみなしてステップS30へ戻る。そして、センサノード20は、ステップS304において、集約ノード10から受信した係数α2に変更する。スリープ移行信号と係数α2は、接続断情報に相当する。
【0156】
変形例3は、変形例1と同様の効果を奏することができる。
【0157】
(変形例4)
図15、
図16を用いて変形例4の無線通信システム100に関して説明する。変形例4の無線通信システム100は、上記実施形態と同様の構成を有している。変形例4の無線通信システム100は、変形例1と処理動作が異なる。詳述すると、変形例4は、スリープ移行信号のかわりにディープスリープ移行信号を用いる点が変形例1と異なる。
【0158】
変形例4では、意図的に接続断状態となった場合の処理動作に関して説明する。
図15のフローチャートでは、
図8のフローチャートとの相違点に関して説明する。また、
図16のフローチャートでは、
図9のフローチャートとの相違点に関して説明する。
【0159】
図15に示すように、集約ノード10は、通常通信を行っている際に、ステップS11aを行う。ステップS11aでは、ディープスリープ信号を確認する。集約ノード10は、ディープスリープ状態へ状態遷移するか否かを判定するために、ディープスリープ信号の受信を確認する。なお、ディープスリープ信号は、他のECUなどから送信される。
【0160】
ステップS12aでは、ディープスリープ信号を受信したか否かを判定する。集約ノード10は、ディープスリープ信号を受信したと判定するとステップS13aへ進む。つまり、集約ノード10は、ディープスリープ信号を受信すると、ディープスリープ状態へ状態遷移するとみなしてステップS13aへ進む。一方、集約ノード10は、ディープスリープ信号を受信したと判定しないとステップS10へ戻る。つまり、集約ノード10は、ディープスリープ信号を受信しないと、ディープスリープ状態へ状態遷移しないとみなしてステップS10へ戻る。ステップS13aでは、ディープスリープ状態へ状態遷移する。
【0161】
ステップS133では、ディープスリープ移行信号を送信する(状態送信部)。集約ノード10は、センサノード20に対して、意図的に接続断状態へと状態遷移することを知らせるために、ディープスリープ移行信号を送信する。ディープスリープ移行信号は、意図的に接続断となったことを示す情報である。ディープスリープ移行信号は、接続断情報に相当する。
【0162】
図16に示すように、センサノード20は、通常通信を行っている際に、ステップS301bを行う。ステップS301bでは、ディープスリープ移行信号を確認する。センサノード20は、集約ノード10からディープスリープ移行信号が送信されたか否かを確認する。これは、意図的に接続断状態へと状態遷移するか否かを判定するためである。
【0163】
ステップS302bでは、ディープスリープ移行信号を受信したか否かを判定する。センサノード20は、ディープスリープ移行信号を受信したと判定した場合、意図的な接続断状態とみなしてステップS303bへ進む。また、センサノード20は、ディープスリープ移行信号を受信したと判定しなかった場合、意図的な接続断状態ではないとみなしてステップS30へ戻る。
【0164】
ステップS303bでは、マスタ側のディープスリープ移行と判断する。センサノード20は、マスタノードである集約ノード10がディープスリープ状態へと状態遷移すると判断する。つまり、センサノード20は、集約ノード10がディープスリープ状態へと状態遷移するため、集約ノード10と接続断状態になると判断する。
【0165】
ステップS304bでは、係数α1→α3に変更する(周期設定部)。タイマ制御部22は、係数αをα1からα3に変更する。各係数の関係は、α1<α2<α3である。センサノード20は、意図的に接続断状態となった場合に、意図せず接続断状態となった場合よりも接続要求送信周期を長くするために係数を変更する。また、センサノード20は、スリープ状態の場合よりもディープスリープ状態の場合の方が接続要求送信周期を長くするために係数を変更する。
【0166】
このように、センサノード20は、ディープスリープ移行信号を用いて接続要求送信周期を設定する。また、センサノード20は、ディープスリープ移行信号を用いて係数を変更する。なお、センサノード20は、接続断状態に関する集約ノード10の状況に応じて係数を変更するともいえる。
【0167】
ステップS305bでは、係数α3でタイマを設定する(周期設定部)。タイマ制御部22は、係数αとしてα3を用いてタイマを設定する。タイマ制御部22は、データ送信周期に係数α3を乗算して接続要求送信周期を設定する。そして、タイマ制御部22は、経過時間の計測を開始する。
【0168】
変形例4は、変形例1と同様の効果を奏することができる。なお、変形例4の集約ノード10は、変形例3のようにディープスリープ移行信号とともに係数α3を送信してもよい。この場合、センサノード20は、受信した係数α3をデータ送信周期に乗算して接続要求送信周期を設定する。
【0169】
(変形例5)
図17、
図18を用いて変形例5の無線通信システム100に関して説明する。変形例5の無線通信システム100は、上記実施形態と同様の構成を有している。変形例5の無線通信システム100は、変形例1と処理動作が異なる。詳述すると、変形例4は、スリープ移行信号のかわりに電源オフモード移行信号を用いる点が変形例1と異なる。
【0170】
変形例4では、意図的に接続断状態となった場合の処理動作に関して説明する。
図17のフローチャートでは、
図8のフローチャートとの相違点に関して説明する。また、
図18のフローチャートでは、
図9のフローチャートとの相違点に関して説明する。
【0171】
図17に示すように、集約ノード10は、通常通信を行っている際に、ステップS11bを行う。ステップS11bでは、電源オフ信号を確認する。集約ノード10は、電源オフモードへ移行するか否かを判定するために、電源オフ信号の受信を確認する。なお、電源オフ信号は、他のECUなどから送信される。
【0172】
ステップS12bでは、電源オフ信号を受信したか否かを判定する。集約ノード10は、電源オフ信号を受信したと判定するとステップS134へ進む。つまり、集約ノード10は、電源オフ信号を受信すると、電源オフモードへ移行するとみなしてステップS13aへ進む。一方、集約ノード10は、電源オフ信号を受信したと判定しないとステップS10へ戻る。つまり、集約ノード10は、電源オフ信号を受信しないと、電源オフモードへ移行しないとみなしてステップS10へ戻る。
【0173】
ステップS134では、電源オフモード移行信号を送信する(状態送信部)。集約ノード10は、センサノード20に対して、意図的に接続断状態へと状態遷移することを知らせるために、電源オフモード移行信号を送信する。電源オフモード移行信号は、意図的に接続断となったことを示す情報である。電源オフモード移行信号は、接続断情報に相当する。
【0174】
ステップS14bでは、電源をオフする。集約ノード10は、無線IC1dへの電力供給を停止し、電源オフモードへ移行する。このように、集約ノード10は、電源オフモードへ移行する前に、電源オフモード移行信号を送信する。ステップS15bでは、電源をオンする。集約ノード10は、無線IC1dへの電力供給を開始する。
【0175】
図18に示すように、センサノード20は、通常通信を行っている際に、ステップS301cを行う。ステップS301cでは、電源オフモード移行信号を確認する。センサノード20は、集約ノード10から電源オフモード移行信号が送信されたか否かを確認する。これは、意図的に接続断状態へと状態遷移するか否かを判定するためである。
【0176】
ステップS302cでは、電源オフモード移行信号を受信したか否かを判定する。センサノード20は、電源オフモード移行信号を受信したと判定した場合、意図的な接続断状態とみなしてステップS303cへ進む。また、センサノード20は、電源オフモード移行信号を受信したと判定しなかった場合、意図的な接続断状態ではないとみなしてステップS30へ戻る。
【0177】
ステップS303cでは、マスタ側の電源オフモード移行と判断する。センサノード20は、マスタノードである集約ノード10が電源オフモードへと移行すると判断する。つまり、センサノード20は、集約ノード10が電源オフモードへと移行するため、集約ノード10と接続断状態になると判断する。
【0178】
ステップS304cでは、係数α1→α4に変更する(周期設定部)。タイマ制御部22は、係数αをα1からα4に変更する。各係数の関係は、α1<<α4である。また、α3<α4である。センサノード20は、意図的に接続断状態となった場合に、意図せず接続断状態となった場合よりも接続要求送信周期を長くするために係数を変更する。また、センサノード20は、スリープ状態の場合よりも電源オフモードの場合の方が接続要求送信周期を長くするために係数を変更する。
【0179】
このように、センサノード20は、電源オフモード移行信号を用いて接続要求送信周期を設定する。また、センサノード20は、電源オフモード移行信号を用いて係数を変更する。なお、センサノード20は、接続断状態に関する集約ノード10の状況に応じて係数を変更するともいえる。
【0180】
ステップS305cでは、係数α4でタイマを設定する(周期設定部)。タイマ制御部22は、係数αとしてα4を用いてタイマを設定する。タイマ制御部22は、データ送信周期に係数α4を乗算して接続要求送信周期を設定する。そして、タイマ制御部22は、経過時間の計測を開始する。
【0181】
変形例5は、変形例1と同様の効果を奏することができる。なお、変形例5の集約ノード10は、変形例3のように電源オフモード移行信号とともに係数α4を送信してもよい。この場合、センサノード20は、受信した係数α4をデータ送信周期に乗算して接続要求送信周期を設定する。
【0182】
なお、上記実施形態や各変形例は、組み合わせて実施することができる。例えば、変形例1と実施形態を組み合わせて実施する場合、集約ノード10は、
図8のフローチャートを実施する。一方、センサノード20は、
図9のフローチャートを実施し、通常通信中に
図4のステップS31を行う。そして、センサノード20は、ステップS32でYES判定すると
図4のステップS32へ進む。また、センサノード20は、ステップS31でNO判定するとステップS301へ進む。
【0183】
また、センサノード20は、通常通信を行っている際に、受信タイムアウト時間経過か否か、および、スリープ移行信号、ディープスリープ移行信号、電源オフモード移行信号の少なくとも一つを受信したか否かを判定する。例えば、センサノード20は、通常通信を行っている際に、受信タイムアウト時間経過か否か、および、スリープ移行信号、ディープスリープ移行信号、電源オフモード移行信号のいずれかを受信したか否かを判定してもよい。センサノード20は、通常通信を行っている際に、受信タイムアウト時間経過か否か、および、スリープ移行信号、ディープスリープ移行信号のいずれかを受信したか否かを判定してもよい。センサノード20は、通常通信を行っている際に、受信タイムアウト時間経過か否か、および、スリープ移行信号、電源オフモード移行信号のいずれかを受信したか否かを判定してもよい。センサノード20は、通常通信を行っている際に、受信タイムアウト時間経過か否か、および、ディープスリープ移行信号、電源オフモード移行信号のいずれかを受信したか否かを判定してもよい。そして、センサノード20は、受信タイムアウト時間経過か否か、および、受信した移行信号に応じて係数を変更する。
【0184】
これによって、センサノード20は、接続断状態に関する集約ノード10の状況に応じて、多段階に係数(接続要求送信周期)を変更することができる。このため、無線通信システム100は、集約ノード10の状態に応じたシステム要求内の再接続時間を満足しつつ、かつ、省電力性能を最大限発揮しやすくなる。
【0185】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0186】
10…集約ノード、11…アクセス制御部、12…タイマ制御部、13…無線通信部、20…センサノード、21…アクセス制御部、22…タイマ制御部、23…無線通信部、24…センシング部、30…制御装置、31…IG制御部、100…無線通信システム、200…筐体、300…筐体