(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】充電システムおよび充電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6563 20140101AFI20240903BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240903BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240903BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240903BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240903BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240903BHJP
B60L 53/302 20190101ALI20240903BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20240903BHJP
【FI】
H01M10/6563
H01M10/613
H01M10/625
H05K7/20 G
H05K7/20 H
H05K7/20 B
H02J7/00 P
B60L53/14
B60L53/302
H01M10/615
H02J7/00 301A
(21)【出願番号】P 2021088399
(22)【出願日】2021-05-26
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 大和
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-085368(JP,A)
【文献】特開2019-151195(JP,A)
【文献】特開2022-158564(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0307477(US,A1)
【文献】特開2012-100448(JP,A)
【文献】特開2010-282386(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113103900(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6563
H01M 10/613
H01M 10/625
H05K 7/20
H02J 7/00
B60L 53/14
B60L 53/302
H01M 10/615
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された蓄電装置を充電するための充電システムであって、
地下に収納された状態と、地上に露出した状態とを移行可能に構成された可動式の充電設備と、
地面下に設けられた排熱配管とを備え、
前記充電設備は、
前記蓄電装置と電気的に接続可能な接続機器と、
前記接続機器に電力を供給する電源回路と、
前記排熱配管に接続される排熱口とを含み、
前記充電システムは、前記排熱配管に接続され、前記排熱配管から供給される排熱を利用する熱利用装置をさらに備える、充電システム。
【請求項2】
前記充電設備は、
吸気口と、
前記吸気口から冷却風を取り込み、当該冷却風を前記排熱口に送り込むように構成された冷却ファンとをさらに含む、請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記電源回路は、前記吸気口から前記排熱口までの前記冷却風が流通する経路上に配置される、請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記排熱配管は、前記排熱口との接続点から前記熱利用装置に向かう方向に冷却風を流通させる送風装置を含み、
前記充電設備は、前記電源回路に取り付けられる放熱フィンをさらに含み、
前記放熱フィンの少なくとも一部は、前記排熱口から前記排熱配管に露出している、請求項1に記載の充電システム。
【請求項5】
地下に収納された状態と、地上に露出した状態とを移行可能に構成された可動式の充電設備であって、
車両に搭載された蓄電装置と電気的に接続可能な接続機器と、
前記接続機器に電力を供給する電源回路と、
排熱口とを含み、
前記排熱口は、地面下に設けられた排熱配管に接続され、
前記排熱配管には、前記排熱配管から供給される排熱を利用する熱利用装置が接続されている、充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電システムおよび充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載される蓄電装置を充電するための充電設備は、たとえば、駐車場や歩道に設置されるが、設置スペースを占有するため、歩行や車両の走行の妨げになる場合がある。そこで、たとえば、特許第5475407号公報(特許文献1)に開示された充電用ポールのように、充電設備を地面下に収納させる技術が考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地面下に収納された充電設備は、利用時に地面から上昇され、その利用が終了すると地面下に収納される。ここで、地面下に収納されるため、充電設備には、蓄電装置の充電時に発生した熱が籠もり易く、その放熱性が問題となる可能性がある。また、エネルギの有効活用の観点からすると、蓄電装置の充電により発生した熱を何らかに利用することが望まれる。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、充電設備の放熱性を高めつつ、放熱された熱(排熱)を有効利用することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示のある局面に係る充電システムは、車両に搭載された蓄電装置を充電するための充電システムある。この充電システムは、地下に収納された状態と、地上に露出した状態とを移行可能に構成された可動式の充電設備と、地面下に設けられた排熱配管とを備える。充電設備は、蓄電装置と電気的に接続可能な接続機器と、接続機器に電力を供給する電源回路と、排熱配管に接続される排熱口とを含む。充電システムは、排熱配管に接続され、排熱配管から供給される排熱を利用する熱利用装置をさらに備える。
【0007】
上記構成によれば、充電設備の排熱口が排熱配管に接続されている。そのため、電源回路により生じた熱を排熱口から排熱配管に排出することができる。これによって、充電設備の放熱性を高めることができる。また、排熱配管には、排熱を利用する熱利用装置が接続されている。熱利用装置により排熱を利用することができるので、排熱口から排熱配管に排出された排熱を有効利用することができる。
【0008】
(2)ある実施の形態においては、充電設備は、吸気口と、吸気口から冷却風を取り込み、当該冷却風を排熱口に送り込むように構成された冷却ファンとをさらに含む。
【0009】
(3)ある実施の形態においては、電源回路は、吸気口から排熱口までの冷却風が流通する経路上に配置される。
【0010】
上記(2),(3)の構成によれば、吸気口から取り込まれた冷却風が排熱口へ流通するので、冷却風により電源回路を適切に冷却することができる。
【0011】
(4)ある実施の形態においては、排熱配管は、排熱口との接続点から熱利用装置に向かう方向に空気を流通させる送風装置を含む。充電設備は、電源回路に取り付けられる放熱フィンをさらに含む。放熱フィンの少なくとも一部は、排熱口から排熱配管に露出している。
【0012】
上記構成によれば、電源回路に取り付けられる放熱フィンの少なくとも一部が排熱口から排熱配管に露出しているので、排熱配管を流通する冷却風により放熱フィンを冷却することができる。よって、電源回路を適切に冷却することができる。
【0013】
(5)本開示の他の局面に係る充電設備は、地下に収納された状態と、地上に露出した状態とを移行可能に構成された可動式の充電設備である。この充電装置は、車両に搭載された蓄電装置と電気的に接続可能な接続機器と、接続機器に電力を供給する電源回路と、排熱口とを含む。排熱口は、地面下に設けられた排熱配管に接続される。排熱配管には、排熱配管から供給される排熱を利用する熱利用装置が接続されている。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、充電設備の放熱性を高めつつ、放熱された熱(排熱)を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1に係る充電システムのレイアウトの一例を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る充電システムの断面斜視図の一例を示す図である。
【
図3】実施の形態2に係る充電システムの断面斜視図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0017】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る充電システム1のレイアウトの一例を示す図である。
図1には、駐車場に設けられた複数の駐車スペース400のうちの1つに電動車両200が駐車している様子が図示されている。
【0018】
図1では、複数の駐車スペース400が仕切り線402によって縦列方向に設定されている。駐車スペース400に隣接するスペース100には、電動車両200のプラグイン充電が可能に構成された3台の充電スタンド300が設けられている。実施の形態1に係る充電システム1は、3台の充電スタンド300を備える。充電スタンド300は、駐車スペース400ごとに設けられている。なお、充電システム1に含まれる充電スタンド300の数は3台に限られるものではない。充電システム1に含まれる充電スタンド300の数は、1台であってもよいし、2台であってもよいし、4台以上であってもよい。充電スタンド300は、本開示に係る「充電設備」に相当する。
【0019】
充電スタンド300は、地下に収納された「収納状態」と、地上に露出した「露出状態」との間で昇降可能(上下方向に移動可能)に構成されている。収納状態とは、充電スタンド300の上端が地面と略同じ高さとなるまで充電スタンド300が低下した状態である。露出状態とは、充電スタンド300の上端が地上の所定高さとなるまで充電スタンド300が上昇した状態である。
【0020】
充電システム1は、排熱配管500(
図2)および熱利用デバイス600とをさらに備える。排熱配管500は、地面下に設けられている。排熱配管500は、充電スタンド300の並びに沿って設けられている。すなわち、地面下に設けられた排熱配管500の上方に充電スタンド300が設置されている。熱利用デバイス600も、充電スタンド300と同様に、排熱配管500の上方に設置されている。排熱配管500および熱利用デバイス600の詳細については後述する。
【0021】
図2は、実施の形態1に係る充電システム1の断面斜視図の一例を示す図である。
図2では、
図1と同様、3台の充電スタンド300が設けられている。
図2において、3台の充電スタンド300のうち、左側に配置された充電スタンド300は、露出状態となっている。
図2において、3台の充電スタンド300のうち、中央および右側に配置された充電スタンド300は、収納状態となっている。
【0022】
充電スタンド300は、たとえば、円筒形状の筐体を有する。地面には凹部が形成されており、充電スタンド300は、凹部の底面において、地面下に設けられた排熱配管500に固定されている。この凹部は、充電スタンド300の筐体の外周面と所定の間隙を有するように形成されている。凹部の深さは、収納状態の充電スタンド300の鉛直方向の長さと同程度である。
【0023】
充電スタンド300は、可動部301と、固定部302とを含む。可動部301の上部には、コネクタ303を収納可能な収納スペース305が形成される。コネクタ303には、ケーブル304の一方端が接続される。ケーブル304の他方端は、電源回路307に接続される。電源回路307は、電力変換回路(図示せず)等を含み、電源(図示せず)から交流電力の供給を受けて、可動部301(より特定的には、コネクタ303およびケーブル304)に電力を供給するように構成される。電源回路307が可動部301に供給する電力は、交流電力であってもよいし、直流電力であってもよい。電源は、たとえば、商用電源等によって構成される交流電源である。
【0024】
ケーブル304は、たとえば、カール部を有する形状的な伸縮部あるいは巻き取り構造を有する構造的な伸縮部を有する。ケーブル304は、コネクタ303が持ち出された場合には、駐車スペース400(
図1)に駐車された電動車両200のインレット(図示せず)まで伸縮可能に構成される。
【0025】
可動部301の上面には、開口部320が設けられている。開口部320には、充電スタンド300の内部への異物の侵入を抑制するためのフィルタ321が設けられている。これにより、充電スタンド300の内部への異物の侵入を抑制することができる。
【0026】
固定部302は、可動部301を上下方向に昇降する昇降装置(図示せず)と、上述の電源回路307と、昇降装置の動作を制御する制御装置308と、移動量センサ(図示せず)と、冷却ファン310とを含む。なお、固定部302の上面にも、可動部301と同様に開口部325が設けられている。実施の形態1においては、開口部325には、異物の侵入を抑制するためのフィルタは設けられていないが、開口部320と同様に、開口部325にもフィルタを設けてもよい。これにより、固定部302の内部への異物の侵入をより抑制することができる。なお、開口部320および開口部325は、本開示に係る「吸気口」の一例に相当する。
【0027】
昇降装置は、可動部301を昇降させるアクチュエータ(図示せず)を含む。昇降装置は、収納状態と露出状態との間で可動部301を昇降させる。昇降装置には、様々な機構を採用できる。具体的には、昇降装置は、ラックピニオン式の機構を有していてもよいし、油圧シリンダを用いた機構を有していてもよいし、磁力式の機構を有していてもよい。ラックピニオン式の機構は、可動部301に固定されたラックギヤに噛み合わされたピニオンギヤを電動アクチュエータを用いて回転させることにより可動部301を昇降させる。油圧シリンダを用いた機構は、ピストンに接続されたロッドを可動部301に固定し、固定部302に固定されたシリンダ本体に供給される油圧を増減させることにより可動部301を昇降させる。磁力式の機構は、可動部301と固定部302との間に磁力による反発力を発生させることにより可動部301を昇降させる。
【0028】
昇降装置は、たとえば、ストッパ機構等により可動部301が収納状態に相当する位置を超えて下降しないように構成され、また、露出状態に相当する位置を超えて上昇しないように構成される。
【0029】
移動量センサは、可動部301の移動量を検出する。移動量センサは、たとえば、昇降装置による可動部301の昇降量を可動部301の移動量として検出する。移動量センサは、検出した可動部301の移動量を示す信号を制御装置308に送信する。移動量センサは、たとえば、アクチュエータの作動量などの昇降量に相当する状態量を検出し、制御装置308は、検出された状態量から昇降量を取得してもよい。
【0030】
制御装置308は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等によって構成されるメモリと、外部の機器と通信可能な通信部とを含む(いずれも図示せず)。通信部は、充電スタンド300の外部の機器と各種情報等を通信可能に構成される。通信部は、たとえば、充電スタンド300を使用してバッテリの充電を行なう電動車両200の通信装置(図示せず)、上記電動車両200のユーザが所有する通信端末(図示せず)、充電スタンド300を管理する管理サーバ(図示せず)、および/または、他の充電スタンド300と通信可能に構成される。制御装置308は、メモリに記憶された情報、通信部を経由して受信した情報、および/または、その他図示しないセンサ類から取得した情報等に基づいて充電スタンド300に設けられる電気機器(たとえば、昇降装置、電源回路307および冷却ファン310)を制御する。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理をCPUによって実行する構成に限られず、専用ハードウェア(電子回路)で構築する構成とすることも可能である。
【0031】
固定部302の底面には、排熱口330が設けられている。また、排熱配管500には、所定の間隔で開口部510が設けられている。実施の形態1では、排熱配管500には、3つの開口部510が設けられている。固定部302の底面に設けられた排熱口330は、排熱配管500に設けられた開口部510と接続されている。
【0032】
冷却ファン310は、たとえば、電源回路307から電力の供給を受け、制御装置308からの制御信号に従って駆動する。冷却ファン310は、吸気型のファンである。具体的には、冷却ファン310は、開口部320から排熱口330に向かう方向に外気(冷却風)を送るように構成される。冷却ファン310が駆動されると、矢印AR1で示されるように、開口部320から外気(冷却風)が充電スタンド300の内部に取り込まれる。充電スタンド300の内部に取り込まれた冷却風は、排熱口330に向かって流れる。開口部320から排熱口330に向かう経路には、電源回路307や制御装置308等の各種機器が配置されている。冷却風は、上記経路に配置されている電源回路307や制御装置308等の各種機器と熱交換することにより、電源回路307や制御装置308等を冷却する。熱交換により昇温された冷却風は、排熱口330および開口部510を介して、排熱配管500に排出される。なお、以下では、排熱口330から排出された冷却風を「排熱風」とも称する。
【0033】
制御装置308は、所定の条件が成立した場合に、冷却ファン310を駆動させる。所定の条件は、たとえば、(1)「充電スタンド300の使用時である」という条件、(2)「充電スタンド300の使用後から所定時間経過前である」という条件、あるいは、(3)「充電スタンド300の使用時、または、充電スタンド300の使用後から所定時間経過前である」という条件を採用することができる。充電スタンド300の使用時とは、たとえば、コネクタ303が電動車両200のインレットに接続されて、充電スタンド300から電動車両200に電力を供給している状態をいう。所定時間は、たとえば、電源回路307の温度を所定温度未満に低下させるために要する時間として設定される。所定時間は、たとえば、充電スタンド300から電動車両200へ供給する充電電力および電力供給時間、冷却ファン310の冷却能力、ならびに、外気温度等に基づいて設定される。所定時間は、たとえば、実験やシミュレーション結果に基づいて予め設定されてもよい。また、所定の条件には、「電源回路307の温度が閾温度以上である」という条件を採用することもできる。この場合には、固定部302には、電源回路307の温度を検出し、その検出結果を制御装置308に出力する温度センサがさらに含まれる。
【0034】
開口部510から排熱配管500の内部に排出された排熱風は、矢印AR2で示されるように、
図2の左側(上流)から右側(下流)へと流動する。上流から下流への排熱風の流動は、たとえば、開口部510および開口部510周辺の構造により実現されてもよい。具体的には、たとえば、排熱配管500の上流に、逆止弁構造の遮蔽板(ダンパー)を設け、上流から下流への排熱風の流動を可能とする一方で、下流から上流への排熱風の流動を抑制するようにしてもよい。また、上流から下流への排熱風の流動は、たとえば、排熱配管500の内部にファンまたはブロワを設けることにより実現されてもよい。なお、矢印AR3は、排熱風の全体的な流れを示している。
【0035】
排熱配管500の下流には、開口部520が設けられている。開口部520は、排熱配管500において、充電スタンド300の排熱口330が接続されている開口部510よりも下流に設けられている。開口部520には、熱利用デバイス600が接続されている。本実施の形態に係る熱利用デバイス600は、各充電スタンド300から排出された排熱風を利用して、電動車両200のバッテリ220を昇温するための昇温装置である。熱利用デバイス600は、吸入口610と、排出口620とを含む。熱利用デバイス600は、矢印AR4で示されるように吸入口610から、排熱配管500を流通する排熱風を取り込む。そして、熱利用デバイス600は、取り込まれた排熱風を排出口620から排出する。熱利用デバイス600は、吸入口610から取り込まれた排熱風をさらに昇温するための装置を含んでもよい。
【0036】
電動車両200のバッテリ220は、フロアパネル(図示せず)の下面に配置されている。たとえば、電動車両200を熱利用デバイス600の上方に駐車することで、熱利用デバイス600の排出口620から排出される排熱風により、バッテリ220を昇温することができる。たとえば、電動車両200の使用開始時等のバッテリ220が低温であるときに、熱利用デバイス600を利用することが有効である。
【0037】
以上のように、実施の形態1に係る充電システム1が備える充電スタンド300は、開口部320と排熱口330とを有する。地面下には排熱配管500が設けられており、充電スタンド300の排熱口330は、排熱配管500の開口部510と接続されている。充電スタンド300の制御装置308が冷却ファン310を駆動させると、開口部320から充電スタンド300の内部に冷却風が取り込まれる。この冷却風は、充電スタンド300の電源回路307や制御装置308等の各種機器と熱交換する。これによって、電源回路307や制御装置308等の各種機器が冷却される。電源回路307や制御装置308等の各種機器と熱交換をした冷却風(排熱風)は、排熱口330から排熱配管500に排出される。充電スタンド300は、電動車両200のバッテリ220の充電に使用された後には地面下に収納されるため、充電により生じた熱が籠もり易い。特に、電源回路307の発熱量は大きいため、適切に電源回路307を冷却することが重要である。上記のように、地面下に排熱配管500を設け、充電スタンド300の開口部320から取り込んだ冷却風を排熱口330から排熱配管500に排出させることによって、充電スタンド300に含まれる電源回路307を適切に冷却することができる。実施の形態1に係る充電システム1の構成であれば、充電スタンド300が収納状態であっても、電源回路307を適切に冷却することができる。たとえば、電動車両200のバッテリ220の充電に充電スタンド300を使用した後に、すぐに充電スタンド300を収納状態にしたとしても、電源回路307を冷却することができ、充電スタンド300の内部に熱が籠もることを抑制することができる。すなわち、充電スタンド300の放熱性を高めることができる。
【0038】
さらに、充電システム1には熱利用デバイス600が設けられている。熱利用デバイス600は、充電スタンド300の排熱口330が接続されている開口部510よりも下流に設けられた開口部520に接続されている。熱利用デバイス600は、充電スタンド300の排熱口330から排熱配管500に排出された排熱風を取り込み、排熱風を利用して、熱利用デバイス600の上方に駐車された電動車両200のバッテリ220を昇温する。このように、充電システム1では、充電スタンド300の冷却によって生じた排熱を有効利用することができる。
【0039】
[実施の形態2]
図3は、実施の形態2に係る充電システム1Aの断面斜視図の一例を示す図である。実施の形態2に係る充電システム1Aは、3台の充電スタンド300Aと、排熱配管500と、熱利用デバイス600とを備える。
【0040】
充電スタンド300Aは、実施の形態1に係る充電スタンド300に対して、冷却ファン310に代えて放熱フィン315を設けたものである。さらに、充電スタンド300Aは、充電スタンド300に対して、開口部320、フィルタ321および開口部325が削除されている。充電スタンド300Aのその他の構成は、実施の形態1に係る充電スタンド300と同様であるため、その他の構成の説明は繰り返さない。
【0041】
放熱フィン315は、電源回路307に取り付けられている。放熱フィン315は、電源回路307の熱が伝熱するように構成されている。電源回路307および放熱フィン315は、放熱フィン315の一部を、排熱口330および開口部510から排熱配管500の内部に露出させるように配置されている。
【0042】
排熱配管500の上流には、ファン550が設けられている。ファン550は、吸気型のファンである。ファン550が駆動することにより、排熱配管500の外部から排熱配管500の内部に外気(冷却風)が取り込まれる。排熱配管500の内部に取り込まれた冷却風は、矢印AR10で示されるように上流から下流に向かって流動する。排熱配管500の内部を流動する冷却風は、開口部510から排熱配管500の内部にその一部が露出した放熱フィン315との間で熱交換する。これによって、放熱フィン315が冷却されるので、放熱フィン315に伝熱する電源回路307も冷却される。
【0043】
放熱フィン315との間で熱交換したことにより昇温された冷却風(排熱風)は、実施の形態1と同様に、熱利用デバイス600に利用される。なお、ファン550に代えてブロワが用いられてもよい。ファン550は、本開示に係る「送風装置」の一例に相当する。
【0044】
以上のように、実施の形態2に係る充電システム1Aでは、電源回路307に放熱フィン315が取り付けられている。そして、放熱フィン315の一部は、排熱配管500の内部に露出している。排熱配管500では、排熱配管500の内部に設けられたファン550によって、排熱配管500の内部に取り込まれた冷却風が上流から下流に向かって流動している。排熱配管500の内部に取り込まれた冷却風は、放熱フィン315との間で熱交換する。これによって、放熱フィン315を冷却することができ、充電スタンド300Aに含まれる電源回路307を適切に冷却することができる。実施の形態2に係る充電システム1Aの構成においても、充電スタンド300Aの内部に熱が籠もることを抑制することができる。すなわち、充電スタンド300Aの放熱性を高めることができる。
【0045】
また、実施の形態1と同様に、熱利用デバイス600が排熱風を利用して、熱利用デバイス600の上方に駐車された電動車両200のバッテリ220を昇温する。すなわち、充電システム1Aにおいても、充電スタンド300Aの冷却によって生じた排熱を有効利用することができる。
【0046】
[変形例]
実施の形態1,2では、熱利用デバイス600は、電動車両200のバッテリ220を昇温する昇温装置である例について説明した。しかしながら、熱利用デバイス600は、バッテリ220を昇温するための昇温装置に限られるものではない。たとえば、熱利用デバイス600は、建物に暖気を供給する暖気供給装置であってもよい。この場合には、たとえば、熱利用デバイス600の排出口620は、建物内を循環する配管に接続される。熱利用デバイス600は、実施の形態1,2と同様に、排熱配管500の内部を流動する排熱風を取り込み、排出口620から排出する。これにより、建物に暖気を供給することができる。
【0047】
また、熱利用デバイス600は、道路に積もった雪を融雪する融雪装置であってもよい。この場合には、たとえば、熱利用デバイス600の排出口620は、道路下に設けられた配管に接続される。熱利用デバイス600は、実施の形態1,2と同様に、排熱配管500の内部を流動する排熱風を取り込み、排出口620から排出する。これにより、道路下に設けられた配管に排熱風(暖気)が供給され、この暖気により、道路に積もった雪を融雪することができる。
【0048】
また、熱利用デバイス600は、排熱を電気に変換する変換装置であってもよい。変換装置は、たとえば、熱流を発生させて、熱を電気に変換する。たとえば、熱利用デバイス600は、変換された電気を蓄電装置等に蓄電させることができる。
【0049】
上記の3つの例においても、充電スタンド300,300Aの冷却によって生じた排熱を有効利用することができる。
【0050】
今回開示された実施の形態および変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0051】
1,1A 充電システム、100 スペース、200 電動車両、220 バッテリ、300,300A 充電スタンド、301 可動部、302 固定部、303 コネクタ、304 ケーブル、305 収納スペース、307 電源回路、308 制御装置、310 冷却ファン、315 放熱フィン、320,325,510,520 開口部、321 フィルタ、330 排熱口、400 駐車スペース、402 仕切り線、500 排熱配管、550 ファン、600 熱利用デバイス、610 吸入口、620 排出口。