(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】非接触給電システム、位置推定方法、移動体及び給電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/12 20160101AFI20240903BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20240903BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240903BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20240903BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20240903BHJP
B60L 53/122 20190101ALI20240903BHJP
B60L 53/38 20190101ALI20240903BHJP
B60L 53/65 20190101ALI20240903BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20240903BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J50/90
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/122
B60L53/38
B60L53/65
B60L53/66
(21)【出願番号】P 2021101215
(22)【出願日】2021-06-17
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】松田 和久
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0021144(US,A1)
【文献】特開2015-002641(JP,A)
【文献】特開2017-073968(JP,A)
【文献】再公表特許第2014/147819(JP,A1)
【文献】特開平11-073600(JP,A)
【文献】特開2021-048677(JP,A)
【文献】特開2013-207999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/12
H02J 50/90
H02J 7/00
B60M 7/00
B60L 5/00
B60L 53/122
B60L 53/38
B60L 53/65
B60L 53/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上側装置と移動体との間で磁界共振結合による非接触電力伝送を行う非接触給電システムであって、
電力を送信する送電側共振回路と、
前記送電側共振回路から電力を受信する受電側共振回路と、
前記送電側共振回路と前記受電側共振回路との相対的な位置関係を検知するための交流磁界を発生させる交流磁界発生回路と、
前記交流磁界を検出する磁界検出器と
を備え、
前記交流磁界の周波数が前記送電側共振回路及び前記受電側共振回路の共振周波数と異な
り、
前記磁界検出器は前記移動体の進行方向に垂直な方向に沿って複数設けられる、非接触給電システム。
【請求項2】
前記交流磁界の周波数は前記共振周波数よりも低い、請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項3】
前記磁界検出器の出力をフィルタ処理するフィルタ回路を更に備え、
前記フィルタ回路は、前記交流磁界の周波数の信号を通過させ且つ前記共振周波数の信号を減衰させるように構成される、請求項1又は2に記載の非接触給電システム。
【請求項4】
前記送電側共振回路及び前記磁界検出器は前記移動体及び前記地上側装置の一方に設けられ、前記受電側共振回路及び前記交流磁界発生回路は前記移動体及び前記地上側装置の他方に設けられる、請求項1から3のいずれか1項に記載の非接触給電システム。
【請求項5】
前記送電側共振回路及び前記磁界検出器は前記地上側装置に設けられ、前記受電側共振回路及び前記交流磁界発生回路は前記移動体に設けられる、請求項4に記載の非接触給電システム。
【請求項6】
前記磁界検出器の出力に基づいて前記送電側共振回路と前記受電側共振回路との相対的な位置関係を推定する位置推定部と、
前記位置推定部によって推定された前記相対的な位置関係に基づいて前記非接触電力伝送を制御する給電制御部と
を更に備え、
前記給電制御部は、前記移動体の進行方向と垂直な方向において前記送電側共振回路と前記受電側共振回路との位置ずれが生じている場合には、前記送電側共振回路から前記受電側共振回路への電力送信を禁止する、請求項
1から5のいずれか1項に記載の非接触給電システム。
【請求項7】
前記磁界検出器の出力に基づいて前記送電側共振回路と前記受電側共振回路との相対的な位置関係を推定する位置推定部と、
前記位置推定部によって推定された前記相対的な位置関係に基づいて前記非接触電力伝送を制御する給電制御部と
を更に備え、
前記送電側共振回路は前記移動体の進行方向に垂直な方向に沿って複数設けられ、
前記給電制御部は、前記移動体の進行方向と垂直な方向における前記相対的な位置関係に基づいて、前記受電側共振回路へ電力を送信する前記送電側共振回路を切り替える、請求項
1から5のいずれか1項に記載の非接触給電システム。
【請求項8】
前記交流磁界に前記移動体の識別情報が含まれる、請求項1から
7いずれか1項に記載の非接触給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電システム、位置推定方法、移動体及び給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁界結合(電磁誘導)、電界結合、磁界共振結合(磁界共鳴)及び電界共振結合(電界共鳴)のような伝送方式を用いて、地面に設けられた地上側装置と車両のような移動体との間で電力を非接触で伝送する技術が知られている。特に、同一の共鳴周波数を有する送電側共振回路及び受電側共振回路を用いる磁界共振結合方式の非接触電力伝送では、送電側共振回路において発生させた交流磁界を介して、移動体と地上側装置とが離れた状態でも大きな電力を伝送することが可能となる。
【0003】
しかしながら、地上側装置と移動体との間の電力伝送のために交流磁界を常に発生させることは電力の浪費をもたらす。また、交流磁界による電子機器等への影響も懸念される。このため、移動体が地上側装置の上を通過する適切なタイミングで電力伝送のための交流磁界を発生させることが望ましい。
【0004】
これに関して、特許文献1には、車両から給電要求が無線送信されると、道路に埋め込まれた給電装置が、車両がその道路を通過するときに非接触で車両に電力を送信することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、地上側装置への車両の接近が無線通信によって検知される場合には、障害物等によって無線通信が妨げられることで、適切なタイミングで交流磁界を発生させることができないおそれがある。また、車両のような移動体が地上側装置の上を通過するときに送電側共振回路と受電側共振回路との位置ずれが生じていると、電力の伝送効率が低下する。
【0007】
そこで、上記課題に鑑みて、本発明の目的は、移動体と地上側装置との間で磁界共振結合による非接触電力伝送を行う際に、送電側共振回路と受電側共振回路との相対的な位置関係を精度良く検知することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0009】
(1)地上側装置と移動体との間で磁界共振結合による非接触電力伝送を行う非接触給電システムであって、電力を送信する送電側共振回路と、前記送電側共振回路から電力を受信する受電側共振回路と、前記送電側共振回路と前記受電側共振回路との相対的な位置関係を検知するための交流磁界を発生させる交流磁界発生回路と、前記交流磁界を検出する磁界検出器とを備え、前記交流磁界の周波数が前記送電側共振回路及び前記受電側共振回路の共振周波数と異なる、非接触給電システム。
【0010】
(2)前記交流磁界の周波数は前記共振周波数よりも低い、上記(1)に記載の非接触給電システム。
【0011】
(3)前記磁界検出器の出力をフィルタ処理するフィルタ回路を更に備え、前記フィルタ回路は、前記交流磁界の周波数の信号を通過させ且つ前記共振周波数の信号を減衰させるように構成される、上記(1)又は(2)に記載の非接触給電システム。
【0012】
(4)前記送電側共振回路及び前記磁界検出器は前記移動体及び前記地上側装置の一方に設けられ、前記受電側共振回路及び前記交流磁界発生回路は前記移動体及び前記地上側装置の他方に設けられる、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の非接触給電システム。
【0013】
(5)前記送電側共振回路及び前記磁界検出器は前記地上側装置に設けられ、前記受電側共振回路及び前記交流磁界発生回路は前記移動体に設けられる、上記(4)に記載の非接触給電システム。
【0014】
(6)前記磁界検出器は前記移動体の進行方向に垂直な方向に沿って複数設けられる、上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の非接触給電システム。
【0015】
(7)前記磁界検出器の出力に基づいて前記送電側共振回路と前記受電側共振回路との相対的な位置関係を推定する位置推定部と、前記位置推定部によって推定された前記相対的な位置関係に基づいて前記非接触電力伝送を制御する給電制御部とを更に備え、前記給電制御部は、前記移動体の進行方向と垂直な方向において前記送電側共振回路と前記受電側共振回路との位置ずれが生じている場合には、前記送電側共振回路から前記受電側共振回路への電力送信を禁止する、上記(6)に記載の非接触給電システム。
【0016】
(8)前記磁界検出器の出力に基づいて前記送電側共振回路と前記受電側共振回路との相対的な位置関係を推定する位置推定部と、前記位置推定部によって推定された前記相対的な位置関係に基づいて前記非接触電力伝送を制御する給電制御部とを更に備え、前記送電側共振回路は前記移動体の進行方向に垂直な方向に沿って複数設けられ、前記給電制御部は、前記移動体の進行方向と垂直な方向における前記相対的な位置関係に基づいて、前記受電側共振回路へ電力を送信する前記送電側共振回路を切り替える、上記(6)に記載の非接触給電システム。
【0017】
(9)前記交流磁界に前記移動体の識別情報が含まれる、上記(1)から(8)のいずれか1つに記載の非接触給電システム。
【0018】
(10)地上側装置と移動体との間で磁界共振結合による非接触電力伝送を行う非接触給電システムに適用される位置推定方法であって、交流磁界発生回路によって交流磁界を発生させることと、磁界検出器によって前記交流磁界を検出することと、前記磁界検出器の出力に基づいて、電力を送信する送電側共振回路と、該送電側共振回路から電力を受信する受電側共振回路との相対的な位置関係を推定することとを含み、前記交流磁界の周波数が前記送電側共振回路及び前記受電側共振回路の共振周波数と異なる、位置推定方法。
【0019】
(11)地上側装置から非接触で電力が伝送されるように構成された移動体であって、前記地上側装置に設けられた送電側共振回路から送信される電力を受信する受電側共振回路と、前記送電側共振回路と前記受電側共振回路との相対的な位置関係を検知するための交流磁界を発生させる交流磁界発生回路とを備え、前記交流磁界の周波数が前記送電側共振回路及び前記受電側共振回路の共振周波数と異なる、移動体。
【0020】
(12)移動体への非接触給電を行うように構成された給電装置であって、前記移動体の受電側共振回路に電力を送信する送電側共振回路と、当該給電装置の周囲の磁界を検出する磁界検出器と、前記磁界検出器の出力から特定の周波数の交流磁界を抽出し、該特定の周波数の交流磁界に基づいて前記送電側共振回路と前記受電側共振回路との相対的な位置関係を検知する制御装置とを備え、前記特定の周波数は前記送電側共振回路及び前記受電側共振回路の共振周波数と異なる、給電装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、移動体と地上側装置との間で磁界共振結合による非接触電力伝送を行う際に、送電側共振回路と受電側共振回路との相対的な位置関係を精度良く検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る非接触給電システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、地上側装置のコントローラの概略的な構成図である。
【
図3】
図3は、車両のECUの概略的な構成図である。
【
図4】
図4は、コントローラのプロセッサの機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の第一実施形態における給電処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の第二実施形態における非接触給電システムの構成の一部を概略的に示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第三実施形態における磁界検出器の配列の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の第二実施形態における給電処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明の第四実施形態における磁界検出器及び送電側共振回路の配列の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の第四実施形態における給電処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、本発明の第五実施形態に係る非接触給電システムの構成を概略的に示す図である。
【
図12】
図12は、ECUのプロセッサの機能ブロック図である。
【
図13】
図13は、本発明の第五実施形態における給電処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0024】
<第一実施形態>
以下、
図1~
図5を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明の第一実施形態に係る非接触給電システム1の構成を概略的に示す図である。非接触給電システム1は、地上側装置2と車両3との間で磁界共振結合(磁界共鳴)による非接触電力伝送を行う。特に、本実施形態では、非接触給電システム1は、車両3が走行しているときに、地上側装置2と車両3との間の非接触電力伝送を行う。地上側装置2は給電装置の一例であり、車両3は移動体の一例である。なお、非接触電力伝送は、非接触給電、ワイヤレス電力伝送又はワイヤレス給電とも称される。
【0026】
非接触給電システム1は、非接触で電力を送信するように構成された送電装置4と、非接触で送電装置4から電力を受信するように構成された受電装置5とを備える。本実施形態では、送電装置4が地上側装置2に搭載され、受電装置5が車両3に搭載される。すなわち、地上側装置2が車両3への非接触給電を行い、非接触給電システム1は非接触で地上側装置2から車両3に電力を伝送する。
【0027】
図1に示されるように、地上側装置2は、送電装置4に加えて、電源21及びコントローラ22を備える。地上側装置2は、車両3が通過する道路に設けられ、例えば地中(路面の下)に埋め込まれる。なお、地上側装置2の少なくとも一部(例えば電源21及びコントローラ22)は路面の上に配置されてもよい。
【0028】
電源21は、送電装置4の電力源であり、送電装置4に電力を供給する。電源21は、例えば、単相交流電力を供給する商用交流電源である。なお、電源21は、三相交流電力を供給する交流電源等であってもよい。
【0029】
送電装置4は、送電側整流回路41、インバータ42及び送電側共振回路43を備える。送電装置4では、送電側整流回路41及びインバータ42を介して送電側共振回路43に適切な交流電力(高周波電力)が供給される。
【0030】
送電側整流回路41は電源21及びインバータ42に電気的に接続される。送電側整流回路41は、電源21から供給される交流電力を整流して直流電力に変換し、直流電力をインバータ42に供給する。送電側整流回路41は例えばAC/DCコンバータである。
【0031】
インバータ42は送電側整流回路41及び送電側共振回路43に電気的に接続される。インバータ42は、送電側整流回路41から供給された直流電力を、電源21の交流電力よりも高い周波数の交流電力(高周波電力)に変換し、高周波電力を送電側共振回路43に供給する。
【0032】
送電側共振回路43は、コイル44及びコンデンサ45から構成される共振器を有する。コイル44及びコンデンサ45の各種パラメータ(コイル44の外径及び内径、コイル44の巻数、コンデンサ45の静電容量等)は、送電側共振回路43の共振周波数が所定の設定値になるように定められる。所定の設定値は、例えば10kHz~100GHzであり、好ましくは、非接触電力伝送用の周波数帯域としてSAE TIR J2954規格によって定められた85kHzである。
【0033】
送電側共振回路43は、コイル44の中心が車線の中央に位置するように、車両3が通過する車線の中央に配置される。インバータ42から供給された高周波電力が送電側共振回路43に印加されると、送電側共振回路43は、電力を送信するための交流磁界を発生させる。なお、電源21が燃料電池又は太陽電池のような直流電源であってもよく、この場合に送電側整流回路41が省略されてもよい。
【0034】
コントローラ22は、例えば汎用コンピュータであり、地上側装置2の各種制御を行う。例えば、コントローラ22は、送電装置4のインバータ42に電気的に接続され、送電装置4による電力送信を制御すべくインバータ42を制御する。
【0035】
図2は、コントローラ22の概略的な構成図である。コントローラ22はメモリ23及びプロセッサ24を備える。メモリ23及びプロセッサ24は信号線を介して互いに接続されている。なお、コントローラ22は、地上側装置2と地上側装置2の外部との通信を可能とする通信インターフェース等を更に備えていてもよい。コントローラ22は地上側装置2の制御装置の一例である。
【0036】
メモリ23は、例えば、揮発性の半導体メモリ(例えばRAM)及び不揮発性の半導体メモリ(例えばROM)を有する。メモリ23は、プロセッサ24において実行されるプログラム、プロセッサ24によって各種処理が実行されるときに使用される各種データ等を記憶する。
【0037】
プロセッサ24は、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有し、各種処理を実行する。なお、プロセッサ24は、論理演算ユニット又は数値演算ユニットのような演算回路を更に有していてもよい。
【0038】
一方、車両3は、
図1に示されるように、受電装置5に加えて、モータ31、バッテリ32、パワーコントロールユニット(PCU:Power Control Unit)33及び電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)34を備える。本実施形態では、車両3は、内燃機関を搭載していない電気自動車(EV)であり、モータ31が走行用の動力を出力する。
【0039】
モータ31は、例えば交流同期モータであり、電動機及び発電機として機能する。モータ31は、電動機として機能するとき、バッテリ32に蓄えられた電力を動力源として駆動される。モータ31の出力は減速機及び車軸を介して車輪90に伝達される。一方、車両3の減速時には車輪90の回転によってモータ31が駆動され、モータ31は発電機として機能して回生電力を発電する。
【0040】
バッテリ32は、充電可能な二次電池であり、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等から構成される。バッテリ32は車両3の走行に必要な電力(例えばモータ31の駆動電力)を蓄える。モータ31によって発電された回生電力がバッテリ32に供給されると、バッテリ32が充電され、バッテリ32の充電率(SOC:State Of Charge)が回復する。なお、バッテリ32は、車両3に設けられた充電ポートを介して地上側装置2以外の外部電源によっても充電可能であってもよい。
【0041】
PCU33はバッテリ32及びモータ31に電気的に接続される。PCU33は、インバータ、昇圧コンバータ及びDC/DCコンバータを有する。インバータは、バッテリ32から供給された直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ31に供給する。一方、インバータは、モータ31によって発電された交流電力(回生電力)を直流電力に変換し、直流電力をバッテリ32に供給する。昇圧コンバータは、バッテリ32に蓄えられた電力がモータ31に供給されるときに、必要に応じてバッテリ32の電圧を昇圧する。DC/DCコンバータは、バッテリ32に蓄えられた電力がヘッドライト等の電子機器に供給されるときに、バッテリ32の電圧を降圧する。
【0042】
受電装置5は、受電側共振回路51、受電側整流回路54及び充電回路55を備える。受電装置5は、送電装置4から電力を受信し、受信した電力をバッテリ32に供給する。
【0043】
受電側共振回路51は、路面との距離が小さくなるように車両3の底部に配置される。本実施形態では、受電側共振回路51は、車幅方向において車両3の中央に配置され、車両3の前後方向において前輪90と後輪90との間に配置される。
【0044】
受電側共振回路51は、送電側共振回路43と同様の構成を有し、コイル52及びコンデンサ53から構成される共振器を有する。コイル52及びコンデンサ53の各種パラメータ(コイル52の外径及び内径、コイル52の巻数、コンデンサ53の静電容量等)は、受電側共振回路51の共振周波数が送電側共振回路43の共振周波数と一致するように定められる。なお、受電側共振回路51の共振周波数と送電側共振回路43の共振周波数とのずれ量が小さければ、例えば受電側共振回路51の共振周波数が送電側共振回路43の共振周波数の±20%の範囲内であれば、受電側共振回路51の共振周波数は送電側共振回路43の共振周波数と必ずしも一致している必要はない。
【0045】
図1に示されるように受電側共振回路51が送電側共振回路43と対向しているときに、送電側共振回路43に交流磁界が発生すると、交流磁界の振動が、送電側共振回路43と同一の共振周波数で共鳴する受電側共振回路51に伝達する。この結果、電磁誘導によって受電側共振回路51に誘導電流が流れ、誘導電流によって受電側共振回路51において電力が発生する。すなわち、送電側共振回路43は受電側共振回路51へ電力を送信し、受電側共振回路51は送電側共振回路43から電力を受信する。
【0046】
受電側整流回路54は受電側共振回路51及び充電回路55に電気的に接続される。受電側整流回路54は、受電側共振回路51から供給される交流電力を整流して直流電力に変換し、直流電力を充電回路55に供給する。受電側整流回路54は例えばAC/DCコンバータである。
【0047】
充電回路55は受電側整流回路54及びバッテリ32に電気的に接続される。充電回路55は、受電側整流回路54から供給された直流電力をバッテリ32の電圧レベルに変換してバッテリ32に供給する。送電装置4から送信された電力が受電装置5によってバッテリ32に供給されると、バッテリ32が充電され、バッテリ32のSOCが回復する。充電回路55は例えばDC/DCコンバータである。
【0048】
ECU34は車両3の各種制御を行う。例えば、ECU34は、受電装置5の充電回路55に電気的に接続され、送電装置4から送信された電力によるバッテリ32の充電を制御すべく充電回路55を制御する。また、ECU34は、PCU33に電気的に接続され、バッテリ32とモータ31との間の電力の授受を制御すべくPCU33を制御する。
【0049】
図3は、ECU34の概略的な構成図である。ECU34は、通信インターフェース35、メモリ36及びプロセッサ37を有する。通信インターフェース35、メモリ36及びプロセッサ37は信号線を介して互いに接続されている。
【0050】
通信インターフェース35は、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内ネットワークにECU34を接続するためのインターフェース回路を有する。
【0051】
メモリ36は、例えば、揮発性の半導体メモリ(例えばRAM)及び不揮発性の半導体メモリ(例えばROM)を有する。メモリ36は、プロセッサ37において実行されるプログラム、プロセッサ37によって各種処理が実行されるときに使用される各種データ等を記憶する。
【0052】
プロセッサ37は、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有し、各種処理を実行する。なお、プロセッサ37は、論理演算ユニット又は数値演算ユニットのような演算回路を更に有していてもよい。
【0053】
また、
図3に示されるように、車両3は、GNSS受信機38、地図データベース39及び通信装置40を更に備える。GNSS受信機38、地図データベース39及び通信装置40はECU34に電気的に接続される。
【0054】
GNSS受信機38は、複数(例えば3つ以上)の測位衛星から得られる測位情報に基づいて、車両3の現在位置(例えば車両3の緯度及び経度)を検出する。具体的には、GNSS受信機38は、複数の測位衛星を捕捉し、測位衛星から発信された電波を受信する。そして、GNSS受信機38は、電波の発信時刻と受信時刻との差に基づいて測位衛星までの距離を算出し、測位衛星までの距離及び測位衛星の位置(軌道情報)に基づいて車両3の現在位置を検出する。GNSS受信機38の出力、すなわちGNSS受信機38によって検出された車両3の現在位置はECU34に送信される。
【0055】
なお、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)は、米国のGPS、ロシアのGLONASS、欧州のGalileo、日本のQZSS、中国のBeiDou、インドのIRNSS等の衛星測位システムの総称である。したがって、GNSS受信機38にはGPS受信機が含まれる。
【0056】
地図データベース39は地図情報を記憶している。地図情報には、地上側装置2の設置エリアの位置情報等が含まれる。ECU34は地図データベース39から地図情報を取得する。なお、地図データベース39が車両3の外部(例えばサーバ等)に設けられ、ECU34は車両3の外部から地図情報を取得してもよい。
【0057】
通信装置40は、車両3と車両3の外部との通信を可能とする機器(例えば、路車間通信機、データ通信モジュール(DCM:Data communication module)等)である。ECU34は通信装置40を介して車両3の外部と通信する。
【0058】
上記のように、非接触給電システム1は、送電装置4の送電側共振回路43において発生させた交流磁界を介して、地上側装置2から車両3に電力を伝送する。しかしながら、地上側装置2と車両3との間の電力伝送のために交流磁界を常に発生させることは電力の浪費をもたらす。また、交流磁界による電子機器等への影響も懸念される。
【0059】
このため、車両3が地上側装置2の上を通過する適切なタイミングで電力伝送のための交流磁界を発生させることが望ましい。しかしながら、地上側装置2への車両3の接近が無線通信によって検知される場合には、障害物等によって無線通信が妨げられることで、適切なタイミングで交流磁界を発生させることができないおそれがある。また、車両3が地上側装置2の上を通過するときに送電側共振回路43と受電側共振回路51との位置ずれが生じていると、電力の伝送効率が低下する。
【0060】
そこで、本実施形態では、非接触給電システム1は、交流磁界発生回路6及び磁界検出器7を備え、交流磁界発生回路6及び磁界検出器7を用いて送電装置4の送電側共振回路43と受電装置5の受電側共振回路51との相対的な位置関係を検知する。本実施形態では、
図1に示されるように、交流磁界発生回路6は車両3に設けられ、磁界検出器7は地上側装置2に設けられる。
【0061】
交流磁界発生回路6は、送電側共振回路43と受電側共振回路51との相対的な位置関係を検知するための交流磁界(以下、「位置検知用の交流磁界」と称する)を発生させる。交流磁界発生回路6は、路面との距離が小さくなるように車両3の底部に配置される。本実施形態では、交流磁界発生回路6は、車幅方向において車両3の中央に配置され、車両3の前後方向において受電側共振回路51よりも後方に配置される。なお、交流磁界発生回路6は車両3の前後方向において受電側共振回路51と同一の位置又は受電側共振回路51よりも前方に配置されてもよい。
【0062】
交流磁界発生回路6は、送電側共振回路43及び受電側共振回路51と同様の構成を有し、コイル61及びコンデンサ62から構成される共振器を有する。コイル61及びコンデンサ62の各種パラメータ(コイル61の外径及び内径、コイル61の巻数、コンデンサ62の静電容量等)は、交流磁界発生回路6の共振周波数が所定の設定値になるように定められる。所定の設定値は、送電側共振回路43及び受電側共振回路51の共振周波数、すなわち磁界共振結合の共振周波数とは異なる値に設定される。
【0063】
図1に示されるように、交流磁界発生回路6はPCU33に電気的に接続され、ECU34はPCU33を介して交流磁界発生回路6を制御する。PCU33のインバータは、ECU34からの指令に基づいて、バッテリ32から供給された直流電力を交流電力に変換し、交流電力を交流磁界発生回路6に供給する。PCU33から供給された交流電力が交流磁界発生回路6に印加されると、交流磁界発生回路6は位置検知用の交流磁界を発生させる。すなわち、交流磁界発生回路6は車両3の位置信号として交流磁界を発生させる。
【0064】
例えば、ECU34は、地上側装置2の設置エリアと車両3との間の距離が所定値以下になったときに、PCU33を制御して交流磁界発生回路6によって位置検知用の交流磁界を発生させる。地上側装置2の設置エリアと車両3との間の距離は、例えば、GNSS受信機38によって検出された車両3の現在位置と、地図データベース39に記憶された地上側装置2の設置エリアの位置とを照合することによって算出される。なお、ECU34は、地上側装置2の手前に設けられた路側機から通信装置40を介して所定の信号を受信したときに、PCU33を制御して交流磁界発生回路6によって位置検知用の交流磁界を発生させてもよい。また、ECU34は、車両3が走行しているときに、交流磁界発生回路6によって微弱な交流磁界を常に発生させてもよい。また、ECU34は、PCU33とは別に設けられたインバータを介して交流磁界発生回路6を制御してもよい。
【0065】
また、車両3の位置信号として交流磁界発生回路6によって発せられる交流磁界に車両3の識別情報(例えば車両ID)が含まれていてもよい。すなわち、車両3は車両3の位置信号に加えて車両3の識別情報を交流磁界を介して地上側装置2に送信してもよい。この場合、例えば、車両3のECU34は、交流磁界発生回路6によって交流磁界を発生させるときに、車両3の識別情報に応じて交流磁界を変調することによって車両3の位置信号及び識別情報を地上側装置2に送信する。
【0066】
磁界検出器7は地上側装置2の周囲の磁界を検出する。磁界検出器7は、例えば、磁気インピーダンス(MI:Magneto-Impedance)センサである。磁界検出器7の駆動電力は、例えば電源21等から駆動回路を介して磁界検出器7に供給される。なお、磁界検出器7は、ホールセンサ、磁気抵抗効果(MR:Magneto Resistive)センサ等であってもよい。
【0067】
磁界検出器7は、送電装置4が設けられた道路において、車両3の進行方向において送電装置4の送電側共振回路43よりも手前に配置され、車両3が通過する車線の中央に配置される。磁界検出器7は地中(路面の下)又は路面の上に配置される。磁界検出器7の周囲の車両3から位置検知用の交流磁界が発せられると、磁界検出器7は位置検知用の交流磁界を検出する。
【0068】
磁界検出器7はコントローラ22に電気的に接続され、磁界検出器7の出力はコントローラ22に送信される。本実施形態では、非接触給電システム1はコントローラ22を備え、コントローラ22は、地上側装置2と車両3との間の非接触給電に関する制御を行う。
【0069】
図4は、コントローラ22のプロセッサ24の機能ブロック図である。本実施形態では、プロセッサ24は位置推定部25及び給電制御部26を有する。位置推定部25及び給電制御部26は、コントローラ22のメモリ23に記憶されたコンピュータプログラムをコントローラ22のプロセッサ24が実行することによって実現される機能モジュールである。なお、位置推定部25及び給電制御部26は、プロセッサ24に設けられた専用の演算回路によって実現されてもよい。
【0070】
位置推定部25は磁界検出器7の出力に基づいて送電側共振回路43と受電側共振回路51との相対的な位置関係を推定する。具体的には、位置推定部25は、磁界検出器7の出力から特定の周波数の交流磁界を抽出し、抽出した特定の周波数の交流磁界に基づいて送電側共振回路43と受電側共振回路51との相対的な位置関係を推定する。特定の周波数は、位置信号として車両3から発せられる交流磁界の周波数であり、検出対象の交流磁界の周波数に相当する。すなわち、位置推定部25は、交流磁界発生回路6から発せられた位置検知用の交流磁界を検出することによって、送電側共振回路43と受電側共振回路51との相対的な位置関係を推定する。
【0071】
本実施形態では、位置検知用の信号として交流磁界を用いることによって、信号の送受信における障害物の影響を低減することができる。また、地上側装置2の周囲に存在する金属等によって定常磁界(直流磁界)が生じている場合であっても、斯かる定常磁界と位置検知用の信号(交流磁界)との識別が容易となる。
【0072】
さらに、本実施形態では、位置検知用の交流磁界の周波数は送電側共振回路43及び受電側共振回路51の共振周波数と異なる。このため、電力伝送のために送電側共振回路43において発生する交流磁界と、位置検知のために交流磁界発生回路6において発生する交流磁界との識別が容易となる。したがって、位置検知用の信号として、電力伝送用の交流磁界とは異なる周波数の交流磁界を用いることによって、送電側共振回路43と受電側共振回路51との相対的な位置関係を精度良く検知することができる。
【0073】
好ましくは、位置検知用の交流磁界の周波数は送電側共振回路43及び受電側共振回路51の共振周波数よりも低い値に設定される。このことによって、位置検知用の交流磁界をより容易に発生させることができる。例えば、送電側共振回路43及び受電側共振回路51の共振周波数が85kHzである場合、位置検知用の交流磁界の周波数は、50Hz~50kHz、例えば1kHzに設定される。
【0074】
また、本実施形態では、送電側共振回路43及び磁界検出器7が地上側装置2に設けられ、受電側共振回路51及び交流磁界発生回路6は車両3に設けられている。すなわち、送電側共振回路43及び磁界検出器7が車両3及び地上側装置2の一方に設けられ、受電側共振回路51及び交流磁界発生回路6は車両3及び地上側装置2の他方に設けられている。この場合、電力伝送用の交流磁界の発生源と位置検知用の交流磁界の発生源とが異なるため、磁界検出器7によって検出される信号強度の時間変化が位置検知用の交流磁界と電力伝送用の交流磁界との間で異なるものとなる。この結果、位置検知用の交流磁界と電力伝送用の交流磁界との識別がより容易となり、ひいては送電側共振回路43と受電側共振回路51との相対的な位置関係をより精度良く検知することができる。
【0075】
なお、交流磁界発生回路62によって発せられる交流磁界に車両3の識別情報が含まれる場合、位置推定部25は磁界検出器7の出力から車両3の識別情報を取得する。このことによって給電対象の車両3を特定することができ、この結果、例えば車両3に対する給電料金の請求を容易にすることができる。
【0076】
一方、給電制御部26は、位置推定部25によって推定された送電側共振回路43と受電側共振回路51との相対的な位置関係に基づいて、地上側装置2と車両3との間の非接触電力伝送を制御する。すなわち、給電制御部26は、位置推定部25による推定結果に基づいて、送電装置4の送電側共振回路43から受電装置5の受電側共振回路51への電力送信を制御する。例えば、給電制御部26は、受電側共振回路51を搭載した車両3の地上側装置2への接近が位置推定部25によって検知されたときに、送電側共振回路43から受電側共振回路51への電力送信を開始する。
【0077】
以下、
図5のフローチャートを参照して、上述した制御のフローについて説明する。
図5は、本発明の第一実施形態における給電処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンはコントローラ22のプロセッサ24によって繰り返し実行される。
【0078】
最初に、ステップS101において、位置推定部25は磁界検出器7の出力を取得する。
【0079】
次いで、ステップS102において、位置推定部25は、磁界検出器7の出力に基づいて、車両3が地上側装置2に接近しているか否か、すなわち受電側共振回路51が送電側共振回路43に接近しているか否かを判定する。例えば、位置推定部25は、磁界検出器7の出力を周波数解析して位置検知用の交流磁界の周波数成分を抽出し、抽出した周波数成分の値(波高値)が所定値以上であるときに、車両3が地上側装置2に接近していると判定する。周波数解析の手法として、例えばフーリエ変換が挙げられる。
【0080】
ステップS102において車両3が地上側装置2に接近していないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、ステップS102において車両3が地上側装置2に接近していると判定された場合、本制御ルーチンはステップS103に進む。
【0081】
ステップS103では、給電制御部26は地上側装置2から車両3へ電力を伝送する。具体的には、給電制御部26は、送電装置4のインバータ42を制御して高周波電力を送電側共振回路43に供給することによって送電側共振回路43から受電側共振回路51へ電力を送信する。
【0082】
例えば、給電制御部26は、所定時間、送電側共振回路43から受電側共振回路51へ電力を送信する。所定時間は、車両3が地上側装置2の上を通過する時間を考慮して予め定められる。なお、給電制御部26は、車両3が地上側装置2の上を通過したことが検知されたときに送電側共振回路43から受電側共振回路51への電力送信を停止してもよい。この場合、例えば、磁界検出器7が車両3の進行方向において送電側共振回路43の前後に設けられ、送電側共振回路43よりも前方の磁界検出器7の出力に基づいて、車両3が地上側装置2の上を通過したことが検知される。また、車両3と路側機との路車間通信等によって車両3の通過が検出されてもよい。ステップS103の後、本制御ルーチンは終了する。
【0083】
<第二実施形態>
第二実施形態に係る非接触給電システムの構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態に係る非接触給電システムの構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第二実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0084】
図6は、本発明の第二実施形態における非接触給電システム1’の構成の一部を概略的に示す図である。第二実施形態では、非接触給電システム1’は、磁界検出器7の出力をフィルタ処理するフィルタ回路8を更に備える。
【0085】
フィルタ回路8は、地上側装置2において磁界検出器7とコントローラ22との間に設けられ、磁界検出器7及びコントローラ22に電気的に接続される。フィルタ回路8は、位置検知用の交流磁界の周波数の信号を通過させ且つ送電側共振回路43及び受電側共振回路51の共振周波数の信号を減衰させるように構成される。
【0086】
コントローラ22の位置推定部25は、フィルタ回路8によってフィルタ処理された磁界検出器7の出力、すなわち位置検知用の交流磁界の周波数成分に相当する磁界検出器7の出力を取得する。そして、位置推定部25は、フィルタ処理された磁界検出器7の出力に基づいて、送電側共振回路43と受電側共振回路51との相対的な位置関係を推定する。したがって、第二実施形態では、磁界検出器7の周波数解析が省略又は簡易化され、位置検知のためのコントローラ22の演算負荷を低減することができる。
【0087】
位置検知用の交流磁界の周波数が送電側共振回路43及び受電側共振回路51の共振周波数よりも高い場合には、例えば、フィルタ回路8としてハイパスフィルタ(HPF)が用いられる。一方、位置検知用の交流磁界の周波数が送電側共振回路43及び受電側共振回路51の共振周波数よりも低い場合には、例えば、フィルタ回路8としてローパスフィルタ(LPF)が用いられる。なお、フィルタ回路8として、位置検知用の交流磁界の周波数を含み且つ電力伝送用の交流磁界の周波数を含まない特定の周波数帯の信号のみを通過させるバンドパスフィルタ(BPF)が用いられてもよい。このことによって、磁界検出器7の出力から位置検知用の交流磁界の周波数成分をより精度良く抽出することができる。
【0088】
第二実施形態においても、
図5の制御ルーチンが実行され、ステップS101において、位置推定部25は、フィルタ回路8によってフィルタ処理された磁界検出器7の出力を取得し、ステップS102において、位置推定部25は、フィルタ処理された磁界検出器7の出力に基づいて、車両3が地上側装置2に接近しているか否かを判定する。
【0089】
<第三実施形態>
第三実施形態に係る非接触給電システムの構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態に係る非接触給電システムの構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第三実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0090】
図7は、本発明の第三実施形態における磁界検出器7の配列の一例を示す図である。第三実施形態では、磁界検出器7は車両3の進行方向に垂直な方向に沿って複数設けられる。すなわち、非接触給電システム1は複数の磁界検出器7を備え、複数の磁界検出器7が地上側装置2に設けられる。複数の磁界検出器7は車両3の進行方向に垂直な方向に沿って互いに離間される。例えば、複数の磁界検出器7は車両3の進行方向に垂直な方向に沿って等間隔で配置される。
【0091】
上述したように、車両3に設けられた受電側共振回路51及び交流磁界発生回路6は、車幅方向において車両3の中央に配置され、送電側共振回路43は、コイル44の中心が車線の中央に位置するように、車両3が通過する車線の中央に配置される。このため、複数の磁界検出器7のうちの一つは、車両3が通過する車線の中央に配置される。したがって、複数の磁界検出器7のうちの一つは、車両3の進行方向に垂直な方向において、送電側共振回路43と同じ位置に配置される。
図7の例では、車線の中央に磁界検出器7が配置され、中央の磁界検出器7の左右に磁界検出器7が配置され、合計三つの磁界検出器7が等間隔で配置されている。
【0092】
車両3が地上側装置2の上を通過するときに受電側共振回路51と送電側共振回路43との位置ずれが生じている場合、すなわち車両3が車線の中央からずれて走行している場合には、受電側共振回路51から送電側共振回路43への電力の伝送効率が低下する。このため、第三実施形態では、給電制御部26は、車両3の進行方向と垂直な方向において受電側共振回路51と送電側共振回路43との位置ずれが生じている場合、送電側共振回路43から受電側共振回路51への電力送信を禁止する。このことによって、電力の伝送効率が低下した状態で電力が送信されることを抑制することができ、ひいては送電装置4における消費電力の浪費を抑制することができる。
【0093】
図8は、本発明の第二実施形態における給電処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンはコントローラ22のプロセッサ24によって繰り返し実行される。
【0094】
最初に、ステップS201において、位置推定部25は複数の磁界検出器7の出力を取得する。
【0095】
次いで、ステップS202において、
図5のステップS102と同様に、位置推定部25は、車両3が地上側装置2に接近しているか否かを判定する。例えば、位置推定部25は、少なくとも一つの磁界検出器7の出力において位置検知用の交流磁界の周波数成分の値(波高値)が所定値以上であるときに、車両3が地上側装置2に接近していると判定する。
【0096】
ステップS202において車両3が地上側装置2に接近していないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、ステップS202において車両3が地上側装置2に接近していると判定された場合、本制御ルーチンはステップS203に進む。
【0097】
ステップS203では、位置推定部25は、車両3の進行方向と垂直な方向において受電側共振回路51と送電側共振回路43との位置ずれが生じているか否かを判定する。例えば、位置推定部25は、複数の磁界検出器7の出力のうち、車線の中央に配置された磁界検出器7の出力が最大ではない場合、すなわち、車線の中央以外に配置された磁界検出器7の出力が最大である場合に、受電側共振回路51と送電側共振回路43との位置ずれが生じていると判定する。なお、位置推定部25は、車線の幅方向において最も外側に配置された磁界検出器7の出力が最大である場合に、受電側共振回路51と送電側共振回路43との位置ずれが生じていると判定してもよい。また、位置推定部25は、複数の磁界検出器7の出力に基づいて受電側共振回路51と送電側共振回路43との位置ずれ量を算出し、算出した位置ずれ量が所定値以上である場合に、受電側共振回路51と送電側共振回路43との位置ずれが生じていると判定してもよい。
【0098】
ステップS203において受電側共振回路51と送電側共振回路43との位置ずれが生じていると判定された場合、本制御ルーチンは終了する。すなわち、車両3が地上側装置2の上を通過するときに送電側共振回路43から受電側共振回路51への電力送信が禁止される。
【0099】
一方、ステップS203において受電側共振回路51と送電側共振回路43との位置ずれが生じていないと判定された場合、本制御ルーチンはステップS204に進む。ステップS204では、
図5のステップS103と同様に、給電制御部26は地上側装置2から車両3へ電力を伝送する。ステップS204の後、本制御ルーチンは終了する。
【0100】
<第四実施形態>
第四実施形態に係る非接触給電システムの構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態に係る非接触給電システムの構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第四実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0101】
図9は、本発明の第四実施形態における磁界検出器7及び送電側共振回路43の配列の一例を示す図である。第四実施形態では、第三実施形態と同様に、磁界検出器7は車両3の進行方向に垂直な方向に沿って複数設けられる。
【0102】
また、第四実施形態では、磁界検出器7だけでなく、送電装置4の送電側共振回路43も車両3の進行方向に垂直な方向に沿って複数設けられる。すなわち、非接触給電システム1は複数の送電側共振回路43備え、複数の送電側共振回路43が地上側装置2に設けられる。複数の送電側共振回路43は車両3の進行方向に垂直な方向に沿って互いに離間される。例えば、複数の送電側共振回路43は車両3の進行方向に垂直な方向に沿って等間隔で配置される。
【0103】
上述したように、車両3に設けられた受電側共振回路51は車幅方向において車両3の中央に配置される。このため、複数の送電側共振回路43のうちの一つは、車両3が通過する道路の車線の中央に配置される。
図7の例では、車線の中央に送電側共振回路43が配置され、中央の送電側共振回路43の左右に送電側共振回路43が配置され、合計三つの送電側共振回路43が等間隔で配置されている。すなわち、送電側共振回路43の数は磁界検出器7の数と等しい。
【0104】
このように車幅方向に複数の送電側共振回路43が配置されている場合、車両3の横位置に応じて、車両3に設けられた受電側共振回路51と最も近い送電側共振回路43が異なる。例えば、車両3が進行方向右側にずれて走行している場合には右側の送電側共振回路43が受電側共振回路51に最も近くなり、車両3が進行方向左側にずれて走行している場合には左側の送電側共振回路43が受電側共振回路51に最も近くなる。
【0105】
このため、第四実施形態では、給電制御部26は、車両3の進行方向と垂直な方向における送電側共振回路43と受電側共振回路51との相対的な位置関係に基づいて、受電側共振回路51へ電力を送信する送電側共振回路43を切り替える。このことによって、受電側共振回路51と送電側共振回路43との位置ずれによって電力の伝送効率が低下することを抑制することができ、ひいては送電装置4における消費電力の浪費を抑制することができる。
【0106】
図10は、本発明の第四実施形態における給電処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンはコントローラ22のプロセッサ24によって繰り返し実行される。
【0107】
ステップS301及びS302は
図8のステップS201及びS202と同様に実行される。ステップS302において車両3が地上側装置2に接近していると判定された場合、本制御ルーチンはステップS303に進む。
【0108】
ステップS303では、位置推定部25は、位置検知用の交流磁界の周波数成分に関して、車両3の進行方向右側の磁界検出器7の出力が車線中央の磁界検出器7の出力よりも大きいか否かを判定する。右側の磁界検出器7の出力が中央の磁界検出器7の出力以下であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS304に進む。
【0109】
ステップS304では、位置推定部25は、位置検知用の交流磁界の周波数成分に関して、車両3の進行方向左側の磁界検出器7の出力が車線中央の磁界検出器7の出力よりも大きいか否かを判定する。左側の磁界検出器7の出力が中央の磁界検出器7の出力以下であると判定された場合、すなわち中央の磁界検出器7の出力が最大である場合、位置推定部25は車両3の位置ずれが生じていないと判定し、本制御ルーチンはステップS305に進む。
【0110】
ステップS305では、給電制御部26は車線中央の送電側共振回路43から受電側共振回路51へ電力を送信する。具体的には、給電制御部26は送電装置4のインバータ42を制御して高周波電力を車線中央の送電側共振回路43に供給する。ステップS305の後、本制御ルーチンは終了する。
【0111】
一方、ステップS303において右側の磁界検出器7の出力が中央の磁界検出器7の出力よりも大きいと判定された場合、位置推定部25は車両3が進行方向右側にずれていると判定し、本制御ルーチンはステップS306に進む。ステップS306では、給電制御部26は車両3の進行方向右側の送電側共振回路43から受電側共振回路51へ電力を送信する。具体的には、給電制御部26は送電装置4のインバータ42を制御して高周波電力を右側の送電側共振回路43に供給する。ステップS306の後、本制御ルーチンは終了する。
【0112】
また、ステップS304において左側の磁界検出器7の出力が中央の磁界検出器7の出力よりも大きいと判定された場合、位置推定部25は車両3が進行方向左側にずれていると判定し、本制御ルーチンはステップS307に進む。ステップS307では、給電制御部26は車両3の進行方向左側の送電側共振回路43から受電側共振回路51へ電力を送信する。具体的には、給電制御部26は送電装置4のインバータ42を制御して高周波電力を左側の送電側共振回路43に供給する。ステップS307の後、本制御ルーチンは終了する。
【0113】
なお、ステップS305において、給電制御部26は全ての送電側共振回路43から受電側共振回路51へ電力を送信してもよい。また、ステップS306において、給電制御部26は車両3の進行方向右側の送電側共振回路43及び車線中央の送電側共振回路43から受電側共振回路51へ電力を送信してもよい。また、ステップS307において、給電制御部26は車両3の進行方向左側の送電側共振回路43及び車線中央の送電側共振回路43から受電側共振回路51へ電力を送信してもよい。
【0114】
<第五実施形態>
第五実施形態に係る非接触給電システムの構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態に係る非接触給電システムの構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第五実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0115】
図11は、本発明の第五実施形態に係る非接触給電システム1”の構成を概略的に示す図である。上述したように、車両3のバッテリ32は、モータ31によって発電された回生電力によって充電可能である。しかしながら、バッテリ32のSOCが高いときには回生電力をバッテリ32に供給することができない。また、バッテリ32のSOCが高い状態が維持されると、バッテリ32の劣化が促進される。このため、車両3の走行中にバッテリ32のSOCを減少させるニーズが存在する。
【0116】
そこで、第五実施形態では、第一実施形態と異なり、送電装置4が車両3に搭載され、受電装置5が地上側装置2に搭載される。すなわち、非接触給電システム1”は、車両3が走行しているときに、非接触で車両3から地上側装置2に電力を伝送する。
【0117】
第五実施形態では、送電装置4はインバータ42及び送電側共振回路43を備える。また、送電装置4の電力源としてバッテリ32が用いられ、車両3から地上側装置2への電力伝送によってバッテリ32の電力が消費される。
【0118】
インバータ42はバッテリ32及び送電側共振回路43に電気的に接続される。インバータ42は、バッテリ32から供給された直流電力を高周波電力に変換し、高周波電力を送電側共振回路43に供給する。インバータ42から供給された高周波電力が送電側共振回路43に印加されると、送電側共振回路43は、電力を伝送するための交流磁界を発生させる。ECU34は、送電装置4のインバータ42に電気的に接続され、送電装置4による電力送信を制御すべくインバータ42を制御する。なお、インバータ42が省略され、PCU33が、送電側共振回路43に電気的に接続され、送電装置4のインバータとして機能してもよい。
【0119】
一方、受電装置5は、第一実施形態と同様に、受電側共振回路51、受電側整流回路54及び充電回路55を備える。地上側装置2は蓄電池27を備え、送電装置4から受電装置5へ送信された電力は蓄電池27に供給される。蓄電池27は、充電可能な二次電池であり、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等から構成される。
【0120】
図11に示されるように受電側共振回路51が送電側共振回路43と対向しているときに、送電側共振回路43に交流磁界が発生すると、交流磁界の振動が、送電側共振回路43と同一の共振周波数で共鳴する受電側共振回路51に伝達する。この結果、電磁誘導によって受電側共振回路51に誘導電流が流れ、誘導電流によって受電側共振回路51において電力が発生する。すなわち、送電側共振回路43は受電側共振回路51へ電力を送信し、受電側共振回路51は送電側共振回路43から電力を受信する。
【0121】
充電回路55は、受電側整流回路54及び蓄電池27に電気的に接続され、受電側整流回路54から供給された直流電力を蓄電池27の電圧レベルに変換して蓄電池27に供給する。送電装置4から送信された電力が受電装置5によって蓄電池27に供給されると、蓄電池27が充電される。
【0122】
また、第五実施形態では、交流磁界発生回路6が地上側装置2に設けられ、磁界検出器7が車両3に設けられる。交流磁界発生回路6は、車両3が通過する車線の中央に配置され、車両3の進行方向において受電側共振回路51よりも手前に配置される。なお、交流磁界発生回路6は車両3の進行方向において受電側共振回路51と同一の位置又は受電側共振回路51よりも前方に配置されてもよい。
【0123】
地上側装置2はインバータ28を備え、交流磁界発生回路6は、インバータ28から供給された電力を用いて位置検知用の交流磁界を発生させる。インバータ28は蓄電池27及び交流磁界発生回路6に電気的に接続される。コントローラ22は、インバータ28に電気的に接続され、インバータ28を介して交流磁界発生回路6を制御する。
【0124】
インバータ28は、コントローラ22からの指令に基づいて、蓄電池27から供給された直流電力を交流電力に変換し、交流電力を交流磁界発生回路6に供給する。インバータ28から供給された交流電力が交流磁界発生回路6に印加されると、交流磁界発生回路6は位置検知用の交流磁界を発生させる。
【0125】
例えば、地上側装置2の手前に設けられた路側機が車両3を検知し、コントローラ22は、この路側機からの信号を受信したときに、インバータ28を制御して交流磁界発生回路6によって位置検知用の交流磁界を発生させる。なお、コントローラ22は、所定の時間帯(例えば夜間以外の時間帯)において又は終日、交流磁界発生回路6によって微弱な交流磁界を常に発生させてもよい。
【0126】
図11に示されるように、磁界検出器7は車両3において送電側共振回路43よりも前方に配置される。また、磁界検出器7はECU34に電気的に接続され、磁界検出器7の出力はECU34に送信される。第五実施形態では、非接触給電システム1”はECU34を備え、ECU34は、地上側装置2と車両3との間の非接触給電に関する制御を行う。
【0127】
図12は、ECU34のプロセッサ37の機能ブロック図である。本実施形態では、プロセッサ37は位置推定部25及び給電制御部26を有する。位置推定部25及び給電制御部26は、ECU34のメモリ36に記憶されたコンピュータプログラムをECU34のプロセッサ37が実行することによって実現される機能モジュールである。なお、位置推定部25及び給電制御部26は、プロセッサ37に設けられた専用の演算回路によって実現されてもよい。
【0128】
図13は、本発明の第五実施形態における給電処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンはECU34のプロセッサ37によって繰り返し実行される。
【0129】
ステップS401及びS402は
図5のステップS101及びS102と同様に実行される。ステップS402において車両3が地上側装置2に接近していると判定された場合、本制御ルーチンはステップS403に進む。
【0130】
ステップS403において、給電制御部26は、車両3のバッテリ32のSOCが所定値以上であるか否かを判定する。所定値は例えば回生電力を回収可能な値の上限値に設定される。
【0131】
バッテリ32のSOCは公知の手法によって算出される。例えば、バッテリ32の状態パラメータを検出するバッテリセンサがバッテリ32に設けられ、給電制御部26は、バッテリセンサによって検出されたバッテリ32の電圧及び温度に基づいてバッテリ32のSOCを算出する。なお、給電制御部26は、バッテリセンサによって検出されたバッテリ32の入出力電流を積算することによってバッテリ32のSOCを算出してもよい。また、給電制御部26はカルマンフィルタのような状態推定法を用いてバッテリ32のSOCを算出してもよい。
【0132】
ステップS403においてバッテリ32のSOCが所定値未満であると判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、ステップS403においてバッテリ32のSOCが所定値以上であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS404に進む。
【0133】
ステップS404では、給電制御部26は車両3から地上側装置2へ電力を伝送する。具体的には、給電制御部26は、
図5のステップS103と同様に、送電装置4のインバータ42を制御して高周波電力を送電側共振回路43に供給することによって送電側共振回路43から受電側共振回路51へ電力を送信する。ステップS404の後、本制御ルーチンは終了する。
【0134】
<その他の実施形態>
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。例えば、送電側共振回路43、受電側共振回路51及び交流磁界発生回路6の共振器の構成は一例に過ぎず、例えばコンデンサ45、53、62の数は一つであってもよい。また、位置検知用の交流磁界を発生させる交流磁界発生回路6は、磁界共振結合を用いる必要はないため、コンデンサ62を有していなくてもよい。
【0135】
また、車両3は、走行用の動力源として内燃機関及びモータを備えたハイブリッド車両(HV)又はプラグインハイブリッド車両(PHV)であってもよい。また、車両3は、車両3の加速、操舵及び減速(制動)の少なくとも一部が自動的に制御される自動運転車両であってもよい。さらに、地上側装置2と電力の授受を行う移動体は、バス又はトラックのような商用車、無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)、ドローン等であってもよい。
【0136】
また、
図1に示される第一実施形態において、交流磁界発生回路6が地上側装置2に設けられ、磁界検出器7及び位置推定部25が車両3に設けられてもよい。この場合、例えば、磁界検出器7の出力に基づいて位置推定部25によって推定された送電側共振回路43と受電側共振回路51との相対的な位置関係が車両3の表示装置(HMI等)を介してドライバに提示される。このことによって、ドライバは、電力の伝送量を増加させるために、必要に応じて車両3の減速、操舵等を行うことができる。なお、位置推定部25による推定結果に基づいて、電力の伝送量が増加するように車両3が自動的に制御されてもよい。
【0137】
また、上述した実施形態は、任意に組み合わせて実施可能である。例えば、第三実施形態~第五実施形態において、第二実施形態と同様に、磁界検出器7とコントローラ22との間又は磁界検出器7とECU34との間にフィルタ回路8が設けられてもよい。
【0138】
また、第五実施形態に第三実施形態が組み合わされ、車両3の車幅方向に沿って離間された複数の磁界検出器7が車両3に設けられてもよい。この場合も、磁界検出器7は車両3の進行方向に垂直な方向に沿って複数設けられることとなる。また、第五実施形態に第四実施形態が組み合わされ、車両3の車幅方向に沿って離間された複数の磁界検出器7及び送電側共振回路43が車両3に設けられてもよい。この場合も、磁界検出器7及び送電側共振回路43は車両3の進行方向に垂直な方向に沿って複数設けられることとなる。
【符号の説明】
【0139】
1、1’、1” 非接触給電システム
2 地上側装置
3 車両
6 交流磁界発生回路
7 磁界検出器
22 コントローラ
43 送電側共振回路
51 受電側共振回路