(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】遠隔運転タクシーシステム、モビリティサービス管理方法、及び遠隔運転タクシー管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/47 20240101AFI20240903BHJP
【FI】
G06Q50/47
(21)【出願番号】P 2021120681
(22)【出願日】2021-07-21
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西谷 暢
(72)【発明者】
【氏名】須田 理央
(72)【発明者】
【氏名】米長 浩
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 英一
(72)【発明者】
【氏名】竹中 達史
(72)【発明者】
【氏名】太田 峻
(72)【発明者】
【氏名】楠本 光優
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-174208(JP,A)
【文献】特開2020-052926(JP,A)
【文献】特開2018-142265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔ドライバによって運転される遠隔運転タクシーを利用したモビリティサービスを提供する遠隔運転タクシーシステムであって、
1又は複数のプロセッサと、
各遠隔運転タクシーの利用状態、及び前記遠隔運転タクシーと前記遠隔ドライバとの割り当て状態を含む管理情報を格納する1又は複数の記憶装置と
を備え、
前記1又は複数のプロセッサは、ユーザからのリクエストに応答して、前記管理情報に基づいて
第1割り当て処理を実行し、
前記
第1割り当て処理において、前記1又は複数のプロセッサは、
前記遠隔ドライバが割り当てられていない前記遠隔運転タクシーである未割り当てタクシーのいずれかを、前記ユーザに前記モビリティサービスを提供する第1遠隔運転タクシーとして選択し、
前記遠隔運転タクシーに割り当てられていない前記遠隔ドライバである未割り当てドライバのいずれかを、前記ユーザに前記モビリティサービスを提供する第1遠隔ドライバとして選択し、
前記第1遠隔ドライバを前記第1遠隔運転タクシーに割り当てる
ように構成され、
前記1又は複数のプロセッサは、更に、前記遠隔運転タクシーに割り当てられていない前記遠隔ドライバであるリクエストドライバからのリクエストに応答して、前記管理情報に基づいて第2割り当て処理を実行し、
前記第2割り当て処理において、前記1又は複数のプロセッサは、前記遠隔ドライバが割り当てられていない前記遠隔運転タクシーである未割り当てタクシーのいずれかを第2遠隔運転タクシーとして選択し、前記リクエストドライバを前記第2遠隔運転タクシーに割り当てるように構成され、
前記遠隔運転タクシーは、現在利用可能か否かを示す表示灯を備え、
前記1又は複数のプロセッサは、更に、
前記管理情報に基づいて、前記遠隔ドライバが既に割り当てられており、且つ、現在利用可能な前記遠隔運転タクシーの前記表示灯を点灯し、
前記管理情報に基づいて、前記遠隔ドライバが既に割り当てられており、且つ、現在利用不可能な前記遠隔運転タクシーの前記表示灯を消灯する
ように構成された
遠隔運転タクシーシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔運転タクシーシステムであって、
前記管理情報は、更に、各遠隔ドライバの特性を示すドライバ特性情報を含み、
前記1又は複数のプロセッサは、前記ドライバ特性情報に基づいて前記第1遠隔ドライバを選択する
遠隔運転タクシーシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の遠隔運転タクシーシステムであって、
前記管理情報は、更に、各遠隔運転タクシーの現在位置を含み、
前記ドライバ特性情報は、各遠隔ドライバの希望エリアを含み、
前記1又は複数のプロセッサは、前記希望エリアが前記第1遠隔運転タクシーの前記現在位置を含む前記未割り当てドライバを前記第1遠隔ドライバとして選択する
遠隔運転タクシーシステム。
【請求項4】
請求項2に記載の遠隔運転タクシーシステムであって、
前記管理情報は、更に、各遠隔運転タクシーの車種を含み、
前記ドライバ特性情報は、各遠隔ドライバの希望車種を含み、
前記1又は複数のプロセッサは、前記希望車種が前記第1遠隔運転タクシーの前記車種に合致する前記未割り当てドライバを前記第1遠隔ドライバとして選択する
遠隔運転タクシーシステム。
【請求項5】
請求項2に記載の遠隔運転タクシーシステムであって、
前記ドライバ特性情報は、各遠隔ドライバのランクを含み、
前記ユーザからの前記リクエストは、前記ユーザが希望する希望ランクを含み、
前記1又は複数のプロセッサは、前記ランクが前記希望ランク以上である前記未割り当てドライバを前記第1遠隔ドライバとして選択する
遠隔運転タクシーシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の遠隔運転タクシーシステムであって、
前記管理情報は、更に、前記割り当て処理に関する前記未割り当てドライバの優先順位を示す順番待ちリストを含み、
前記1又は複数のプロセッサは、前記順番待ちリストで示される前記優先順位に従って前記第1遠隔ドライバを選択する
遠隔運転タクシーシステム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の遠隔運転タクシーシステムであって、
前記ユーザからの前記リクエストは、希望乗車位置を含み、
前記管理情報は、更に、各遠隔運転タクシーの現在位置を含み、
前記1又は複数のプロセッサは、前記希望乗車位置から所定範囲内に存在する前記未割り当てタクシーを前記第1遠隔運転タクシーとして選択する
遠隔運転タクシーシステム。
【請求項8】
請求項1に記載の遠隔運転タクシーシステムであって、
前記1又は複数のプロセッサは、更に、
前記管理情報に基づいて、前記未割り当てタクシーと前記未割り当てドライバを認識し、
前記未割り当てドライバの数に応じて、前記表示灯を点灯させる前記未割り当てタクシーを選択し、
選択した前記未割り当てタクシーの前記表示灯を点灯する
遠隔運転タクシーシステム。
【請求項9】
請求項1に記載の遠隔運転タクシーシステムであって、
前記1又は複数のプロセッサは、更に、
前記管理情報から、前記未割り当てタクシーの順番待ちリストを取得し、
前記順番待ちリストのうち上位から所定順位以内の前記未割り当てタクシーを選択し、
選択した前記未割り当てタクシーの前記表示灯を点灯する
遠隔運転タクシーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔ドライバによって運転される遠隔運転タクシーを利用したモビリティサービスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、遠隔操作により車両を運転する車両遠隔運転装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存のタクシーサービスの場合、タクシードライバは、限られた地域において1台のタクシーを運転する。つまり、タクシードライバは、土地と車両に縛られている。このことは、労働機会の逸失や業務効率の低下を招く。
【0005】
本開示の1つの目的は、新たなモビリティサービスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点は、遠隔ドライバによって運転される遠隔運転タクシーを利用したモビリティサービスを提供する遠隔運転タクシーシステムに関連する。
遠隔運転タクシーシステムは、
1又は複数のプロセッサと、
遠隔運転タクシーと遠隔ドライバとの割り当て状態を含む管理情報を格納する1又は複数の記憶装置と
を備える。
1又は複数のプロセッサは、ユーザからのリクエストに応答して、管理情報に基づいて割り当て処理を実行する。
割り当て処理において、1又は複数のプロセッサは、
遠隔ドライバが割り当てられていない遠隔運転タクシーである未割り当てタクシーのいずれかを、ユーザにモビリティサービスを提供する第1遠隔運転タクシーとして選択し、
遠隔運転タクシーに割り当てられていない遠隔ドライバである未割り当てドライバのいずれかを、ユーザにモビリティサービスを提供する第1遠隔ドライバとして選択し、
第1遠隔ドライバを第1遠隔運転タクシーに割り当てる。
【0007】
第2の観点は、遠隔ドライバによって運転される遠隔運転タクシーを利用したモビリティサービスを管理するモビリティサービス管理方法に関連する。
モビリティサービス管理方法は、
遠隔運転タクシーと遠隔ドライバとの割り当て状態を含む管理情報を取得する処理と、
ユーザからのリクエストに応答して、管理情報に基づいて割り当て処理を実行する処理と
を含む。
割り当て処理は、
遠隔ドライバが割り当てられていない遠隔運転タクシーである未割り当てタクシーのいずれかを、ユーザにモビリティサービスを提供する第1遠隔運転タクシーとして選択する処理と、
遠隔運転タクシーに割り当てられていない遠隔ドライバである未割り当てドライバのいずれかを、ユーザにモビリティサービスを提供する第1遠隔ドライバとして選択する処理と、
第1遠隔ドライバを第1遠隔運転タクシーに割り当てる処理と
を含む。
【0008】
第3の観点は、遠隔ドライバによって運転される遠隔運転タクシーを利用したモビリティサービスを管理する遠隔運転タクシー管理装置に関連する。
遠隔運転タクシー管理装置は、
1又は複数のプロセッサと、
遠隔運転タクシーと遠隔ドライバとの割り当て状態を含む管理情報を格納する1又は複数の記憶装置と
を備える。
1又は複数のプロセッサは、ユーザからのリクエストに応答して、管理情報に基づいて割り当て処理を実行する。
割り当て処理において、1又は複数のプロセッサは、
遠隔ドライバが割り当てられていない遠隔運転タクシーである未割り当てタクシーのいずれかを、ユーザにモビリティサービスを提供する第1遠隔運転タクシーとして選択し、
遠隔運転タクシーに割り当てられていない遠隔ドライバである未割り当てドライバのいずれかを、ユーザにモビリティサービスを提供する第1遠隔ドライバとして選択し、
第1遠隔ドライバを第1遠隔運転タクシーに割り当てる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、遠隔ドライバによって運転される遠隔運転タクシーを利用した新たなモビリティサービスが提供される。遠隔ドライバは、車両にも土地にも縛られていない。よって、労働機会が増加し、また、業務効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態に係る遠隔運転タクシーサービスの概要を説明するための概念図である。
【
図2】本開示の実施の形態に係る遠隔運転タクシーシステムの構成例を示す概略図である。
【
図3】本開示の実施の形態に係る割り当て処理を説明するためのブロック図である。
【
図4】本開示の実施の形態に係る車両管理情報の一例を説明するための概念図である。
【
図5】本開示の実施の形態に係るドライバ管理情報の一例を説明するための概念図である。
【
図6】本開示の実施の形態に係る割り当て管理情報の一例を説明するための概念図である。
【
図7】本開示の実施の形態に係る割り当て処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】本開示の実施の形態に係る割り当て処理の他の例を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の実施の形態に係る表示灯制御の一例を説明するための概念図である。
【
図10】本開示の実施の形態に係る走行制限処理を説明するための概念図である。
【
図11】本開示の実施の形態に係る遠隔運転タクシーの構成例を示すブロック図である。
【
図12】本開示の実施の形態に係る遠隔ドライバ端末の構成例を示すブロック図である。
【
図13】本開示の実施の形態に係る遠隔運転タクシー管理装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
【0012】
1.遠隔運転タクシーサービス
図1は、遠隔運転タクシーサービスの概要を説明するための概念図である。遠隔運転タクシーサービスは、遠隔運転タクシー100を利用したモビリティサービスである。遠隔運転タクシー100は、遠隔運転可能な車両であり、遠隔ドライバ1によって遠隔運転(遠隔操作)される。典型的には、遠隔運転タクシー100にはドライバは搭乗していない。遠隔ドライバ1は、遠隔運転タクシー100にフレキシブルに割り当てられ、割り当てられた遠隔運転タクシー100を運転する。遠隔運転タクシーサービスのユーザは、遠隔ドライバ1によって運転される遠隔運転タクシー100を利用して目的地まで移動することができる。
【0013】
遠隔運転タクシーサービスの一つの特徴は、遠隔ドライバ1が車両にも土地にも縛られていないことである。例えば、遠隔ドライバ1は、第1の地域において遠隔運転タクシー100-1を運転して仕事をした後、直ぐに、第2の地域において別の遠隔運転タクシー100-2を運転して仕事をすることができる。ここで、第1の地域と第2の地域は遠く離れていてもよい。例えば、第1の地域が北海道であり、第2の地域が九州であってもよい。遠隔ドライバ1は、任意の地域で任意の遠隔運転タクシー100を運転して仕事をすることができるのである。
【0014】
比較として、既存のタクシーサービスを考える。既存のタクシーサービスの場合、タクシードライバは、限られた地域において1台のタクシーを運転する。つまり、タクシードライバは、土地と車両に縛られている。例えば、利用者の少ない地域で働くタクシードライバは、何もせず客待ちする時間が自然と長くなる。いくら労働意欲が高くても、その地域に利用者がいない限り、そのタクシードライバは仕事をすることができない。これは、労働機会の逸失を意味する。他の例として、長距離の客を乗せた場合、その客を遠方の地で降ろした後、その遠方の地から本拠地へ戻ってくる必要がある。遠方の地から本拠地へ戻ってくる際、都合よく客を乗せることができるとは限らない。空車のまま長い距離運転しなければならいことは、業務効率の低下を意味する。
【0015】
一方、遠隔運転タクシーサービスの場合、遠隔ドライバ1は車両にも土地にも縛られていないため、既存のタクシーサービスの場合の問題は発生しない。例えば、遠隔ドライバ1は、利用者の少ない地域で客待ちを続ける必要はなく、様々な地域における利用者からのリクエストに応じて次々に仕事をすることができる。尚、利用者の少ない地域については、遠隔運転タクシー100さえ配置しておけば、実際にドライバがいなくても遠隔運転タクシーサービスを提供することが可能である。他の例として、遠隔ドライバ1は、出発地から遠く離れた目的地まで乗客を運んだ場合であっても、使用した遠隔運転タクシー100を運転して元の出発地まで戻ってくる必要はない。その遠隔ドライバ1は、続けて別の地域で仕事をしたいのならば、先に使用した遠隔運転タクシー100を先の目的地近辺のタクシー置き場に駐車しておけばよい。その遠隔運転タクシー100は、また別の遠隔ドライバ1によって使用され得る。
【0016】
このように、遠隔運転タクシーサービスは、労働機会の増加や業務効率の向上といった顕著な効果をもたらす。以下、遠隔運転タクシーサービスを実現するための遠隔運転タクシーシステムについて説明する。
【0017】
2.遠隔運転タクシーシステムの概要
図2は、本実施の形態に係る遠隔運転タクシーシステム10の構成例を示す概略図である。遠隔運転タクシーシステム10は、遠隔運転タクシーサービスを提供する。遠隔運転タクシーシステム10は、1以上の遠隔運転タクシー100、1以上の遠隔ドライバ端末200、及び遠隔運転タクシー管理装置300を含んでいる。
【0018】
遠隔運転タクシー100は、遠隔運転可能な車両である。遠隔運転タクシー100は、各種センサを搭載しており、現在位置、車両状態、周辺状況、等を取得することができる。また、遠隔運転タクシー100は、遠隔運転タクシー管理装置300と無線通信可能である。
【0019】
遠隔ドライバ端末200は、遠隔ドライバ1が遠隔運転タクシー100を遠隔運転(遠隔操作)するために使用する装置である。遠隔ドライバ端末200は、表示装置を備えている。また、遠隔ドライバ端末200は、遠隔ドライバ1が遠隔運転タクシー100を遠隔運転する際に操作する遠隔操作部材を備えている。また、遠隔ドライバ端末200は、遠隔運転タクシー管理装置300と通信可能である。
【0020】
遠隔運転タクシー管理装置300は、遠隔運転タクシーサービスの管理を行う。例えば、遠隔運転タクシー管理装置300は、遠隔ドライバ1及び遠隔運転タクシー100の管理を行う。また、遠隔運転タクシー管理装置300は、各遠隔運転タクシー100及び各遠隔ドライバ端末200と通信可能である。遠隔運転タクシー管理装置300は、モビリティサービス全般を管理するモビリティサービス管理システムに含まれていてもよい。典型的には、遠隔運転タクシー管理装置300は、クラウド上の管理サーバである。管理サーバは、分散処理を行う複数のサーバにより構成されていてもよい。
【0021】
遠隔運転タクシーシステム10は、更に、ユーザ端末400を含んでいてもよい。ユーザ端末400としては、スマートフォンやPCが例示される。ユーザ端末400は、遠隔運転タクシーサービスを利用するためのアプリを実行する。また、ユーザ端末400は、遠隔運転タクシー管理装置300と通信可能である。
【0022】
遠隔運転タクシーサービスの基本的な流れは次の通りである。
【0023】
まず、遠隔運転タクシー管理装置300は、遠隔ドライバ1を遠隔運転タクシー100に割り当てる「割り当て処理」を実行する。割り当て処理の詳細は後述される。
【0024】
遠隔ドライバ1は、割り当てられた遠隔運転タクシー100を遠隔運転する。具体的には、遠隔運転タクシー100は、各種センサを用いて現在位置、車両状態、周辺状況、等を取得し、取得した情報を含む車両情報VCLを遠隔運転タクシー管理装置300に送信する。遠隔運転タクシー管理装置300は、受け取った車両情報VCLを、遠隔ドライバ1が使用する遠隔ドライバ端末200に転送する。遠隔ドライバ端末200は、受け取った車両情報VCLと地図情報を表示装置に表示する。遠隔ドライバ1は、表示装置に表示された地図情報と車両情報VCLを参考にしながら、遠隔ドライバ端末200の遠隔操作部材を操作する。遠隔ドライバ端末200は、遠隔操作部材の操作量を示す操作情報OPEを遠隔運転タクシー管理装置300に送信する。遠隔運転タクシー管理装置300は、受け取った操作情報OPEを遠隔運転タクシー100に転送する。遠隔運転タクシー100は、受け取った操作情報OPEに従って車両走行制御を行う。
【0025】
遠隔ドライバ1は、割り当てられた遠隔運転タクシー100を運転し、ユーザをピックアップする。そして、遠隔ドライバ1は、ユーザによって指定される目的地まで遠隔運転タクシー100を運転する。目的地に到着すると、遠隔ドライバ1は、ユーザをドロップオフする。
【0026】
3.割り当て処理
図3は、本実施の形態に係る遠隔運転タクシー管理装置300による割り当て処理を説明するためのブロック図である。割り当て処理において、遠隔運転タクシー管理装置300は、遠隔ドライバ1を遠隔運転タクシー100にフレキシブルに割り当てる。
【0027】
3-1.管理情報
遠隔運転タクシー管理装置300は、管理情報500を保持しており、その管理情報500に基づいて割り当て処理を実行する。管理情報500は、車両管理情報510、ドライバ管理情報520、及び割り当て管理情報530を含んでいる。
【0028】
3-1-1.車両管理情報
図4は、車両管理情報510の一例を説明するための概念図である。車両管理情報510は、遠隔運転タクシー100を管理するための情報であり、各遠隔運転タクシー100毎のエントリを含んでいる。例えば、各エントリは、車両ID、車種、利用状態、担当ドライバ、現在位置、目的地、走行状態、等を含んでいる。
【0029】
車両IDは、遠隔運転タクシー100の識別情報である。車両IDは、遠隔運転タクシー100のナンバープレート情報(自動車登録番号)を含んでいてもよい。
【0030】
車種は、遠隔運転タクシー100の種類である。車種としては、大型、中型、及び小型が例示される。車種は、メーカーや車名を含んでいてもよい。
【0031】
利用状態は、遠隔運転タクシー100の現在の利用状態である。利用状態としては、賃送(実車)、迎車、空車(利用可能)、等が挙げられる。また、利用状態は、遠隔運転タクシー100にいずれかの遠隔ドライバ1が割り当てられているか否かも示す。
【0032】
担当ドライバは、遠隔運転タクシー100に割り当てられている遠隔ドライバ1のドライバIDを示す。
【0033】
現在位置は、遠隔運転タクシー100の現在の位置である。現在位置は、遠隔運転タクシー100から送られてくる車両情報VCLに含まれている。
【0034】
目的地は、遠隔運転タクシー100の目的地である。例えば、目的地は、ユーザからのサービスリクエストREQ_U(後述)に含まれている。他の例として、目的地は、遠隔運転タクシー100に乗車したユーザによって指定され、遠隔運転タクシー100から送られてきてもよい。
【0035】
走行状態は、遠隔運転タクシー100の走行状態である。走行状態は、遠隔運転タクシー100から送られてくる車両情報VCLに含まれている。
【0036】
3-1-2.ドライバ管理情報
図5は、ドライバ管理情報520の一例を説明するための概念図である。ドライバ管理情報520は、遠隔ドライバ1を管理するための情報であり、各遠隔ドライバ1毎のエントリを含んでいる。例えば、各エントリは、ドライバID、ドライバ状態、割り当て車両、ドライバ特性、等を含んでいる。
【0037】
ドライバIDは、遠隔ドライバ1の識別情報である。ドライバIDは、遠隔ドライバ1の氏名を含んでいてもよい。
【0038】
ドライバ状態は、遠隔ドライバ1の現在の状態である。ドライバ状態としては、賃送中(乗客輸送中)、迎車中、空き(利用可能)、等が挙げられる。また、ドライバ状態は、遠隔ドライバ1がいずれかの遠隔運転タクシー100に割り当てられているか否かも示す。
【0039】
割り当て車両は、遠隔ドライバ1が割り当てられている遠隔運転タクシー100の車両IDを示す。
【0040】
ドライバ特性は、遠隔ドライバ1の好みや特徴を示す。例えば、ドライバ特性は、希望エリア、希望車種、ランク、獲得ポイント、等を含む。
【0041】
希望エリアは、遠隔ドライバ1が好む地域である。希望エリアは、遠隔ドライバ1によって予め指定される。例えば、遠隔ドライバ1は、道に詳しいエリアを希望エリアとして指定する。
【0042】
希望車種は、遠隔ドライバ1が好む遠隔運転タクシー100の車種である。希望車種は、遠隔ドライバ1によって予め指定される。
【0043】
ランクは、遠隔ドライバ1の現在のランクである。例えば、遠隔ドライバ1は、5つ星~無星にランク分けされる。他の例として、遠隔ドライバ1は、超優良(SS)、優良(S)、普通(A)、見習い(B)、等にランク分けされてもよい。遠隔ドライバ1のランクには、ユーザによる評価(rating)が反映されてもよい。ランクは、タクシー利用料金に反映されてもよい。ランクは、遠隔ドライバ1の給料に反映されてもよい。
【0044】
獲得ポイントは、遠隔ドライバ1が現在までに獲得したポイントである。例えば、乗客を乗せた回数に応じてポイントが増加する。他の例として、乗客を乗せて走行した走行距離に応じてポイントが増加する。ポイントが増加すると、ランクが上昇してもよい。
【0045】
ランクやポイントが存在することにより、サービスの質の向上や労働意欲の増進が期待される。また、ランクやポイントにより、遠隔運転タクシーサービスにゲーム性が生じる。その結果、遠隔ドライバ1は、楽しみながら仕事をすることができる。このことも、労働意欲の増進やサービスの質の向上に寄与する。
【0046】
3-1-3.割り当て管理情報
図6は、割り当て管理情報530の一例を説明するための概念図である。割り当て管理情報530は、遠隔ドライバ1と遠隔運転タクシー100との割り当て状態を管理するための情報である。例えば、割り当て管理情報530は、割り当て関係情報531、未割り当てタクシーリスト532、及び未割り当てドライバリスト533を含んでいる。
【0047】
割り当て関係情報531は、割り当て済みの遠隔運転タクシー100と遠隔ドライバ1との対応関係を示す。例えば、割り当て関係情報531は、遠隔運転タクシー100の車両IDとその遠隔運転タクシー100に割り当てられている遠隔ドライバ1のドライバIDとの対応関係を示す。その遠隔ドライバ1(遠隔運転タクシー100)がサービスを提供する対象ユーザが既に決まっている場合、割り当て関係情報531は、当該対象ユーザとの対応関係も示す。
【0048】
遠隔ドライバ1が未だ割り当てられていない遠隔運転タクシー100を、以下、「未割り当てタクシー100N」と呼ぶ。未割り当てタクシーリスト532は、未割り当てタクシー100Nのリストであり、未割り当てタクシー100Nの車両IDを示す。未割り当てタクシーリスト532は、キュー形式の順番待ちリスト(waiting list)を含んでいてもよい。順番待ちリストは、割り当て処理に関する未割り当てタクシー100Nの優先順位を示す。
【0049】
遠隔運転タクシー100に未だ割り当てられていない遠隔ドライバ1を、以下、「未割り当てドライバ1N」と呼ぶ。未割り当てドライバリスト533は、未割り当てドライバ1Nのリストであり、未割り当てドライバ1NのドライバIDを示す。未割り当てドライバリスト533は、キュー形式の順番待ちリスト(waiting list)を含んでいてもよい。順番待ちリストは、割り当て処理に関する未割り当てドライバ1Nの優先順位を示す。
【0050】
3-2.ドライバからの要求に応答した割り当て処理
図7は、本実施の形態に係る遠隔運転タクシー管理装置300による割り当て処理の一例を示すフローチャートである。本例は、遠隔ドライバ1が駅前で客待ちをしたり、街中で客を探すケースを想定している。
【0051】
ステップS310において、未割り当てドライバ1Nは、遠隔ドライバ端末200を操作して、割り当てリクエストREQ_Dを遠隔運転タクシー管理装置300に送信する。割り当てリクエストREQ_Dを出す未割り当てドライバ1Nを、便宜上、「リクエストドライバ1R」と呼ぶ。遠隔運転タクシー管理装置300は、遠隔ドライバ端末200から割り当てリクエストREQ_Dを受け取る。
【0052】
ステップS320において、遠隔運転タクシー管理装置300は、割り当てリクエストREQ_Dに応答して割り当て処理を実行する。具体的には、遠隔運転タクシー管理装置300は、管理情報500に基づいて、未割り当てタクシー100Nの中から1台を選択する。未割り当てタクシー100Nは、未割り当てタクシーリスト532から得られる。選択される未割り当てタクシー100Nを、便宜上、「第1遠隔運転タクシー100S」と呼ぶ。遠隔運転タクシー管理装置300は、リクエストドライバ1Rを第1遠隔運転タクシー100Sに割り当てる。
【0053】
未割り当てタクシーリスト532が順番待ちリストを含む場合、遠隔運転タクシー管理装置300は、順番待ちリストで示される優先順位に従って第1遠隔運転タクシー100Sを選択してもよい。
【0054】
遠隔運転タクシー管理装置300は、ドライバ管理情報520に含まれるドライバ特性情報に基づいて、第1遠隔運転タクシー100Sを選択してもよい。ドライバ特性情報は、リクエストドライバ1Rの希望エリアや希望車種を含んでいる。例えば、遠隔運転タクシー管理装置300は、リクエストドライバ1Rの希望エリアに存在する未割り当てタクシー100Nを第1遠隔運転タクシー100Sとして選択してもよい。他の例として、遠隔運転タクシー管理装置300は、リクエストドライバ1Rの希望車種に合致する未割り当てタクシー100Nを第1遠隔運転タクシー100Sとして選択してもよい。各未割り当てタクシー100Nの現在位置や車種は、車両管理情報510から得られる。
【0055】
ステップS330において、遠隔運転タクシー管理装置300は、割り当て処理の結果に基づいて、管理情報500を更新する。特に、遠隔運転タクシー管理装置300は、リクエストドライバ1Rと第1遠隔運転タクシー100Sに関連する管理情報500を更新する。
【0056】
ステップS340において、遠隔運転タクシー管理装置300は、割り当て通知ASNを遠隔ドライバ端末200に送信する。割り当て通知ASNは、割り当て処理が完了した旨、割り当てられた第1遠隔運転タクシー100S、等を通知する。遠隔ドライバ端末200は、割り当て通知ASNをリクエストドライバ1Rに提示する。
【0057】
尚、割り当てることができる未割り当てタクシー100Nが無い場合、遠隔運転タクシー管理装置300は、リクエストドライバ1Rを「割り当て待ち」として未割り当てドライバリスト533(順番待ちリスト)に登録してもよい。
【0058】
割り当て処理の完了後、遠隔ドライバ1は、割り当てられた遠隔運転タクシー100を運転することができる。例えば、遠隔ドライバ1は、駅前で客待ちすることができる。他の例として、遠隔ドライバ1は、街中で客を探すこともできる。
【0059】
3-3.ユーザからの要求に応答した割り当て処理
図8は、本実施の形態に係る遠隔運転タクシー管理装置300による割り当て処理の他の例を示すフローチャートである。
【0060】
ステップS350において、遠隔運転タクシー管理装置300は、ユーザからサービスリクエストREQ_Uを受け取る。
【0061】
例えば、ユーザは、ユーザ端末400上でアプリを実行して、サービスリクエストREQ_Uを入力する。サービスリクエストREQ_Uは、ユーザによって指定される希望乗車位置を含む。あるいは、ユーザ端末400の現在位置が希望乗車位置としてみなされてもよい。サービスリクエストREQ_Uは、ユーザによって指定される希望乗車時間を含んでいてもよい。サービスリクエストREQ_Uは、ユーザによって指定される目的地を含んでいてもよい。サービスリクエストREQ_Uは、ユーザが希望する遠隔運転タクシー100の車種を含んでいてもよい。サービスリクエストREQ_Uは、ユーザが希望する遠隔ドライバ1のランクを含んでいてもよい。サービスリクエストREQ_Uは、ユーザによって指名される遠隔ドライバ1のドライバIDを含んでいてもよい。ユーザ端末400上のアプリは、サービスリクエストREQ_Uを遠隔運転タクシー管理装置300に送信する。
【0062】
他の例として、遠隔運転タクシー100の側面に車外HMI(Human Machine Interface)が取り付けられていてもよい。この場合、ユーザは、車外HMIを操作することによって、その遠隔運転タクシー100を利用したい意思を伝えることができる。例えば、ユーザは、車外HMIに表示される「利用開始ボタン」を押す。また、ユーザは、車外HMIを操作して、希望する遠隔ドライバ1のランクを指定してもよい。ユーザによる車外HMIの操作に応答して、遠隔運転タクシー100は、サービスリクエストREQ_Uを遠隔運転タクシー管理装置300に送信する。そのサービスリクエストREQ_Uは、当該遠隔運転タクシー100の車両IDと現在位置を含む。当該遠隔運転タクシー100の現在位置が、希望乗車位置に相当する。
【0063】
ステップS360において、遠隔運転タクシー管理装置300は、サービスリクエストREQ_Uに応答して割り当て処理を実行する。具体的には、遠隔運転タクシー管理装置300は、管理情報500に基づいて、ユーザにサービスを提供する未割り当てタクシー100N及び未割り当てドライバ1Nを選択する。つまり、遠隔運転タクシー管理装置300は、いずれかの未割り当てタクシー100Nといずれかの未割り当てドライバ1Nを選択し、ユーザに割り当てる。選択される未割り当てタクシー100Nを、便宜上、「第1遠隔運転タクシー100S」と呼ぶ。また、選択される未割り当てドライバ1Nを、便宜上、「第1遠隔ドライバ1S」と呼ぶ。遠隔運転タクシー管理装置300は、第1遠隔ドライバ1Sを第1遠隔運転タクシー100Sに割り当てる。
【0064】
例えば、ユーザがある遠隔運転タクシー100の車外HMIを操作して利用を希望した場合、遠隔運転タクシー管理装置300は、その遠隔運転タクシー100を第1遠隔運転タクシー100Sとして選択する。
【0065】
ユーザ端末400からサービスリクエストREQ_Uが送信される場合は、次の通りである。サービスリクエストREQ_Uは、希望乗車位置を含んでいる。車両管理情報510は、各遠隔運転タクシー100の現在位置を含んでいる。未割り当てタクシー100Nは、未割り当てタクシーリスト532から得られる。遠隔運転タクシー管理装置300は、管理情報500に基づいて、希望乗車位置に近い未割り当てタクシー100Nを第1遠隔運転タクシー100Sとして選択する。より詳細には、遠隔運転タクシー管理装置300は、希望乗車位置から所定範囲内に存在する未割り当てタクシー100Nの中から第1遠隔運転タクシー100Sを選択する。
【0066】
未割り当てタクシーリスト532が順番待ちリストを含む場合、遠隔運転タクシー管理装置300は、順番待ちリストで示される優先順位に従って第1遠隔運転タクシー100Sを選択してもよい。
【0067】
サービスリクエストREQ_Uがユーザの希望車種を含んでいる場合、遠隔運転タクシー管理装置300は、ユーザの希望車種に合致する未割り当てタクシー100Nを第1遠隔運転タクシー100Sとして選択してもよい。
【0068】
第1遠隔ドライバ1Sについては、以下の通りである。遠隔運転タクシー管理装置300は、未割り当てドライバ1Nの中から第1遠隔ドライバ1Sを選択する。未割り当てドライバ1Nは、未割り当てドライバリスト533から得られる。未割り当てドライバリスト533が順番待ちリストを含む場合、遠隔運転タクシー管理装置300は、順番待ちリストで示される優先順位に従って第1遠隔ドライバ1Sを選択してもよい。
【0069】
遠隔運転タクシー管理装置300は、ドライバ管理情報520に含まれるドライバ特性情報に基づいて、第1遠隔ドライバ1Sを選択してもよい。
【0070】
例えば、ドライバ特性情報は、各遠隔ドライバ1の希望エリアを含んでいる。第1遠隔運転タクシー100Sの現在位置は、車両管理情報510から得られる。遠隔運転タクシー管理装置300は、希望エリアが第1遠隔運転タクシー100Sの現在位置を含む未割り当てドライバ1Nを第1遠隔ドライバ1Sとして選択してもよい。
【0071】
例の例として、ドライバ特性情報は、各遠隔ドライバ1の希望車種を含んでいる。第1遠隔運転タクシー100Sの車種は、車両管理情報510から得られる。遠隔運転タクシー管理装置300は、希望車種が第1遠隔運転タクシー100Sの車種に合致する未割り当てドライバ1Nを第1遠隔ドライバ1Sとして選択してもよい。
【0072】
更に他の例として、ドライバ特性情報は、各遠隔ドライバ1のランクを含んでいる。ユーザからのサービスリクエストREQ_Uは、ユーザが希望する遠隔ドライバ1のランクを含んでいてもよい。遠隔運転タクシー管理装置300は、ランクがユーザの希望ランク以上である未割り当てドライバ1Nを第1遠隔ドライバ1Sとして選択してもよい。
【0073】
更に他の例として、ユーザは、希望する遠隔ドライバ1を指名してもよい。その場合、サービスリクエストREQ_Uは、ユーザによって指名された遠隔ドライバ1のドライバIDを含む。遠隔運転タクシー管理装置300は、ユーザによって指名された遠隔ドライバ1を第1遠隔ドライバ1Sとして選択する。
【0074】
遠隔運転タクシー管理装置300は、条件に合致する未割り当てドライバ1N全員の遠隔ドライバ端末200に、サービスリクエストREQ_Uを配信してもよい。未割り当てドライバ1Nは、そのユーザに対するサービス提供を望む場合、遠隔運転タクシー管理装置300に対して受付意思を返答する。遠隔運転タクシー管理装置300は、受付意思を返答した未割り当てドライバ1Nを早いもの勝ちで第1遠隔ドライバ1Sとして選択してもよい。
【0075】
遠隔運転タクシー管理装置300は、選択した第1遠隔ドライバ1Sを、選択した第1遠隔運転タクシー100Sに割り当てる。
【0076】
ステップS370において、遠隔運転タクシー管理装置300は、割り当て処理の結果に基づいて、管理情報500を更新する。特に、遠隔運転タクシー管理装置300は、第1遠隔ドライバ1Sと第1遠隔運転タクシー100Sに関連する管理情報500を更新する。
【0077】
ステップS380において、遠隔運転タクシー管理装置300は、割り当て通知ASNを第1遠隔ドライバ1Sの遠隔ドライバ端末200に送信する。割り当て通知ASNは、割り当て処理が完了した旨、割り当てられた第1遠隔運転タクシー100S、希望乗車位置、希望乗車時刻、目的地、等を通知する。遠隔ドライバ端末200は、割り当て通知ASNをリクエストドライバ1Rに提示する。
【0078】
また、遠隔運転タクシー管理装置300は、サービス情報INFをユーザ端末400に送信する。サービス情報INFは、ユーザにサービスを提供する第1遠隔ドライバ1S及び第1遠隔運転タクシー100Sに関する情報を含む。例えば、サービス情報INFは、第1遠隔運転タクシー100Sの車種やナンバープレート情報を含んでいてもよい。サービス情報INFは、第1遠隔ドライバ1Sの氏名やランクを含んでいてもよい。
【0079】
割り当て処理の完了後、第1遠隔ドライバ1Sは、割り当てられた第1遠隔運転タクシー100Sを運転することができる。第1遠隔ドライバ1Sは、第1遠隔運転タクシー100Sを希望乗車位置に移動させ、ユーザをピックアップする。
【0080】
4.表示灯制御
遠隔運転タクシー100が現在利用可能か否かは、その遠隔運転タクシー100の現在の利用状態によって決まる。例えば、利用状態が「賃送」あるいは「迎車」である場合、その遠隔運転タクシー100は利用不可能である。一方、利用状態が「空車」である場合、その遠隔運転タクシー100は利用可能である。
【0081】
但し、遠隔運転タクシー100にはドライバが搭乗していないため、その遠隔運転タクシー100が利用可能か否かをユーザが判断しにくい可能性がある。そこで、本実施の形態に係る遠隔運転タクシーシステム10は、遠隔運転タクシー100が利用可能か否かを適切に通知するために「表示灯制御」を実行する。
【0082】
図9は、本実施の形態に係る表示灯制御の一例を説明するための概念図である。遠隔運転タクシー100は、現在利用可能か否かを示す表示灯140を備えている。典型的には、表示灯140は、遠隔運転タクシー100の天井に取り付けられている。表示灯140が点灯している場合、それは遠隔運転タクシー100が現在利用可能であることを意味する。一方、表示灯140が消灯している場合、それは遠隔運転タクシー100が現在利用不可能であることを意味する。
【0083】
上述の通り、車両管理情報510は、各遠隔運転タクシー100の利用状態を示す。また、割り当て管理情報530は、遠隔ドライバ1と遠隔運転タクシー100との割り当て状態を示す。本実施の形態に係る遠隔運転タクシーシステム10は、管理情報500に基づいて、表示灯制御を実行する。
【0084】
まず、遠隔ドライバ1が既に割り当てられている遠隔運転タクシー100について考える。遠隔運転タクシーシステム10は、現在利用可能な遠隔運転タクシー100の表示灯140を自動的に点灯し、現在利用不可能な遠隔運転タクシー100の表示灯140を自動的に消灯する。より詳細には、遠隔運転タクシー管理装置300は、管理情報500に基づいて、遠隔ドライバ1が既に割り当てられている遠隔運転タクシー100の利用状態を認識する。そして、遠隔運転タクシー管理装置300は、その利用状態に応じて、表示灯140の点灯/消灯を指示する指示情報INSを遠隔運転タクシー100に送信する。遠隔運転タクシー100は、受け取った指示情報INSに従って、自身の表示灯140を自動的に点灯あるいは消灯する。このように、遠隔運転タクシーシステム10(遠隔運転タクシー管理装置300)は、遠隔運転タクシー100の表示灯140の点灯状態を自動的に制御する。
【0085】
次に、遠隔ドライバ1が未だ割り当てられていない未割り当てタクシー100Nについて考える。尚、未割り当てタクシー100Nは、未割り当てタクシーリスト532に基づいて認識可能である。
【0086】
第1の例では、遠隔運転タクシーシステム10は、未割り当てタクシー100Nの表示灯140を自動的に消灯する。
【0087】
第2の例では、「未割り当てドライバ1Nの数」が考慮される。未割り当てドライバ1Nは、未割り当てドライバリスト533に基づいて認識可能である。未割り当てドライバ1Nが存在していれば、ユーザからのサービスリクエストREQ_Uに応答して、未割り当てタクシー100Nに未割り当てドライバ1Nを即座に割り当てることができる。つまり、未割り当てドライバ1Nが存在していれば、ユーザを待たせることなく、未割り当てタクシー100Nを即座に利用可能な状態にすることができる。以上の観点から、遠隔運転タクシーシステム10は、未割り当てドライバ1Nの数に応じて、表示灯140を点灯させる未割り当てタクシー100Nを選択する。例えば、遠隔運転タクシーシステム10は、未割り当てドライバ1Nの数以下の未割り当てタクシー100Nを選択する。遠隔運転タクシーシステム10は、未割り当てドライバ1Nの数と同じ数だけ未割り当てタクシー100Nを選択してもよい。そして、遠隔運転タクシーシステム10は、選択した未割り当てタクシー100Nの表示灯140を自動的に点灯し、それ以外の未割り当てタクシー100Nの表示灯140を自動的に消灯する。未割り当てタクシー100Nの表示灯140も適宜点灯することによって、ユーザの選択肢を増やすことが可能となる。
【0088】
第3の例では、未割り当てタクシーリスト532は、割り当て処理に関する未割り当てタクシー100Nの優先順位を示す順番待ちリストを含む。順番待ちリストのうち上位の未割り当てタクシー100Nに対しては、即座に、あるいは、短い待ち時間で、遠隔ドライバ1を割り当てることができると予想される。以上の観点から、遠隔運転タクシーシステム10は、順番待ちリストのうち上位から所定順位以内の未割り当てタクシー100Nを選択する。そして、遠隔運転タクシーシステム10は、選択した未割り当てタクシー100Nの表示灯140を自動的に点灯し、それ以外の未割り当てタクシー100Nの表示灯140を自動的に消灯する。未割り当てタクシー100Nの表示灯140も適宜点灯することによって、ユーザの選択肢を増やすことが可能となる。
【0089】
上記の第1~第3の例のいずれにおいても、遠隔運転タクシー管理装置300は、管理情報500に基づいて、未割り当てタクシー100N毎に表示灯140を点灯させるか否かを決定することができる。そして、遠隔運転タクシー管理装置300は、表示灯140の点灯/消灯を指示する指示情報INSを未割り当てタクシー100Nに送信する。未割り当てタクシー100Nは、受け取った指示情報INSに従って、自身の表示灯140を自動的に点灯あるいは消灯する。このように、遠隔運転タクシーシステム10(遠隔運転タクシー管理装置300)は、遠隔運転タクシー100の表示灯140の点灯状態を自動的に制御する。
【0090】
変形例として、表示灯140を点灯させる場合、遠隔運転タクシー100に遠隔ドライバ1が既に割り当てられているか否かに応じて“見え方”を変えてもよい。例えば、遠隔ドライバ1が割り当てられている場合、遠隔ドライバ1が割り当てられていない場合と比較して、表示灯140をより明るく点灯させてもよい。
【0091】
以上に説明されたように、遠隔運転タクシー100の表示灯140の点灯/消灯により、その遠隔運転タクシー100が利用可能か否かが適切に通知される。これにより、ユーザは遠隔運転タクシー100が利用可能か否かを容易に認識することが可能となる。
【0092】
5.走行制限処理
図10は、本実施の形態に係る「走行制限処理」を説明するための概念図である。遠隔運転タクシーシステム10は、必要に応じて、指定した遠隔運転タクシー100の走行を制限する。例えば、走行制限は、上限車速をデフォルト値よりも低い値に設定することを含む。他の例として、走行制限は、緊急停車を含む。更に他の例として、走行制限は、路肩等の安全な位置への退避を含む。
【0093】
例えば、遠隔運転タクシー管理装置300は、遠隔ドライバ1によって運転されている最中の遠隔運転タクシー100から、その走行状態を含む車両情報VCLを取得する。遠隔運転タクシー管理装置300は、車両情報VCLに基づいて、遠隔運転タクシー100の走行状態をモニタし、異常走行の有無を判定する。ここで、異常走行としては、交通標識の見落とし、交通法規違反、蛇行運転、等が挙げられる。交通法規違反については、止むを得ない事情が存在することも有り得るので、ある程度の許容範囲が設定されてもよい。異常走行が検知された場合、遠隔運転タクシー管理装置300は、異常走行を行っている遠隔運転タクシー100に対して、走行制限を指示する指示情報INSを送信する。指示情報INSを受け取った遠隔運転タクシー100は、それに従って走行制限を行う。
【0094】
他の例として、遠隔ドライバ1によって運転されている最中の遠隔運転タクシー100自身が、車両情報VCLを取得し、車両情報VCLに基づいて自身の異常走行の有無を判定してもよい。異常走行が検知された場合、当該遠隔運転タクシー100は、走行制限を行う。
【0095】
更に他の例として、遠隔ドライバ端末200は、遠隔ドライバ1の生体情報(心拍数、脈拍、目の動き、等)を検出するドライバモニタを備えていてもよい。遠隔ドライバ端末200は、ドライバモニタによる検出結果に基づいて、遠隔ドライバ1の異常の有無を判定する。遠隔ドライバ1の異常としては、居眠り、急病、等が挙げられる。遠隔ドライバ1の異常が検知された場合、遠隔ドライバ端末200は、ドライバ異常発生を遠隔運転タクシー管理装置300に通知する。遠隔運転タクシー管理装置300は、異常が発生した遠隔ドライバ1によって運転されている遠隔運転タクシー100に対して、走行制限を指示する指示情報INSを送信する。指示情報INSを受け取った遠隔運転タクシー100は、それに従って走行制限を行う。
【0096】
更に他の例として、遠隔運転タクシー管理装置300が、ドライバモニタによって検出された生体情報を遠隔ドライバ端末200から受け取ってもよい。この場合、遠隔運転タクシー管理装置300が、遠隔ドライバ1の異常の有無を判定する。
【0097】
このように、遠隔運転タクシーシステム10(遠隔運転タクシー管理装置300、遠隔運転タクシー100)は、必要に応じて、遠隔運転タクシー100が走行制限を行うよう制御する。そのような走行制限により、事故の発生を抑制することが可能となる。
【0098】
尚、異常走行の履歴が、遠隔ドライバ1の評価や給与に反映されてもよい。これにより、遠隔ドライバ1の意識が向上し、遠隔ドライバ1による遠隔運転がより丁寧になることが期待される。このことも、事故抑制に寄与する。
【0099】
6.遠隔運転タクシーの例
6-1.構成例
図11は、本実施の形態に係る遠隔運転タクシー100の構成例を示すブロック図である。遠隔運転タクシー100は、通信装置110、センサ群120、走行装置130、表示灯140、制御装置150、車外HMI160、及び車内HMI170を備えている。
【0100】
通信装置110は、遠隔運転タクシー管理装置300と通信を行う。
【0101】
センサ群120は、遠隔運転タクシー100の状態を検出する車両状態センサを含んでいる。車両状態センサは、速度センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、舵角センサ、等を含んでいる。センサ群120は、更に、遠隔運転タクシー100の位置を検出する位置センサを含んでいる。位置センサとしては、GPS(Global Positioning System)センサが例示される。センサ群120は、更に、遠隔運転タクシー100の周辺の状況を認識(検出)する認識センサを含んでいる。認識センサとしては、カメラ、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)、レーダ、等が例示される。
【0102】
走行装置130は、操舵装置131、駆動装置132、及び制動装置133を含んでいる。操舵装置131は、車輪を転舵する。例えば、操舵装置131は、パワーステアリング(EPS: Electric Power Steering)装置を含んでいる。駆動装置132は、駆動力を発生させる動力源である。駆動装置132としては、エンジン、電動機、インホイールモータ、等が例示される。制動装置133は、制動力を発生させる。
【0103】
表示灯140は、遠隔運転タクシー100が現在利用可能か否かを示す。典型的には、表示灯140は、遠隔運転タクシー100の天井に取り付けられている。
【0104】
制御装置150は、遠隔運転タクシー100を制御する。制御装置150は、1又は複数のプロセッサ151(以下、単にプロセッサ151と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置152(以下、単に記憶装置152と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ151は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ151は、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。記憶装置152は、プロセッサ151による処理に必要な各種情報を格納する。記憶装置152としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、等が例示される。制御装置150は、1又は複数のECU(Electronic Control Unit)を含んでいてもよい。
【0105】
車両制御プログラムPROG1は、プロセッサ151によって実行されるコンピュータプログラムである。車両制御プログラムPROG1は、記憶装置152に格納される。あるいは、車両制御プログラムPROG1は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。プロセッサ151が車両制御プログラムPROG1を実行することにより、制御装置150の機能が実現される。
【0106】
車外HMI160は、遠隔運転タクシー100の側面に取り付けられている。ユーザは、車外HMI160を操作することによって、遠隔運転タクシー100を利用したい意思を伝えることができる。例えば、ユーザは、車外HMI160に表示される「利用開始ボタン」を押す。
【0107】
車内HMI170は、遠隔運転タクシー100の室内に設置されている。車内HMI170は、表示装置、スピーカー、マイク、タッチパネル、等を含んでいる。ユーザは、車内HMI170を用いて、目的地を遠隔ドライバ1に伝えることができる。また、ユーザは、車内HMI170を介して、遠隔ドライバ1と会話することができる。
【0108】
6-2.情報取得処理、通信処理
プロセッサ151は、センサ群120を用いて、遠隔運転タクシー100の運転環境を示す運転環境情報ENVを取得する。運転環境情報ENVは、記憶装置152に格納される。運転環境情報ENVは、車両位置情報、車両状態情報、及び周辺状況情報を含んでいる。車両位置情報は、位置センサによって検出される遠隔運転タクシー100の位置を示す。車両状態情報は、車両状態センサによって検出される車両状態を示す。
【0109】
周辺状況情報は、認識センサによる認識結果を示す。例えば、周辺状況情報は、カメラによって撮像される画像を含む。周辺状況情報は、遠隔運転タクシー100の周辺の物体に関する物体情報を含んでいてもよい。遠隔運転タクシー100の周辺の物体としては、歩行者、他車両(先行車両、駐車車両、等)、標識、白線、路側構造物、等が例示される。物体情報は、遠隔運転タクシー100に対する物体の相対位置及び相対速度を示す。
【0110】
車両情報VCLは、遠隔ドライバ1による遠隔運転タクシー100の遠隔運転において用いられる。車両情報VCLは、上述の運転環境情報ENVの少なくとも一部を含んでいる。例えば、車両情報VCLは、車両位置情報、車両状態情報、及び周辺状況情報を含んでいる。車両情報VCLは、更に、遠隔運転タクシー100の現在の利用状態を含んでいてもよい。その利用状態に基づいて、車両管理情報510が更新される。車両情報VCLは、更に、車外HMI160や車内HMI170を通してユーザから入力される情報を含んでいてもよい。
【0111】
プロセッサ151は、通信装置110を介して遠隔運転タクシー管理装置300と通信を行う。例えば、プロセッサ151は、車両情報VCLを遠隔運転タクシー管理装置300に送信する。他の例として、プロセッサ151は、サービスリクエストREQ_Uを遠隔運転タクシー管理装置300に送信する。更に他の例として、プロセッサ151は、操作情報OPEを遠隔運転タクシー管理装置300から受信する。更に他の例として、プロセッサ151は、指示情報INSを遠隔運転タクシー管理装置300から受信する。
【0112】
6-3.車両走行制御
プロセッサ151は、遠隔運転タクシー100の走行を制御する車両走行制御を実行する。車両走行制御は、操舵制御、駆動制御、及び制動制御を含む。プロセッサ151は、走行装置130を制御することによって車両走行制御を実行する。より詳細には、プロセッサ151は、操舵装置131を制御することによって操舵制御を行う。プロセッサ151は、駆動装置132を制御することによって駆動制御を行う。プロセッサ151は、制動装置133を制御することによって制動制御を行う。
【0113】
遠隔運転の最中、プロセッサ151は、遠隔運転タクシー管理装置300から受信する操作情報OPEに従って、車両走行制御を行う。
【0114】
6-4.表示灯制御
表示灯制御(上述のセクション4参照)に関連して、プロセッサ151は、遠隔運転タクシー管理装置300から、表示灯140の点灯/消灯を指示する指示情報INSを受信する。プロセッサ151は、受け取った指示情報INSに従って、表示灯140を自動的に点灯あるいは消灯する。
【0115】
6-5.走行制限処理
走行制限処理(上述のセクション5参照)に関連して、プロセッサ151は、遠隔運転タクシー管理装置300から、走行制限を指示する指示情報INSを受信する。プロセッサ151は、受け取った指示情報INSに従って、走行制限を行う。
【0116】
あるいは、プロセッサ151は、車両情報VCLに基づいて自車の異常走行の有無を判定してもよい。異常走行が検知された場合、プロセッサ151は、走行制限を行う。
【0117】
7.遠隔ドライバ端末の例
7-1.構成例
図12は、本実施の形態に係る遠隔ドライバ端末200の構成例を示すブロック図である。遠隔ドライバ端末200は、通信装置210、表示装置220、遠隔操作部材230、ドライバモニタ240、及び制御装置250を含んでいる。
【0118】
通信装置210は、遠隔運転タクシー管理装置300と通信を行う。
【0119】
表示装置220は、各種情報を表示することにより、各種情報を遠隔ドライバ1に提示する。
【0120】
遠隔操作部材230は、遠隔運転タクシー100を遠隔運転(遠隔操作)する際に遠隔ドライバ1によって操作される部材である。遠隔操作部材230は、ハンドル231、アクセルペダル232、ブレーキペダル233、方向指示器、等を含んでいる。
【0121】
ドライバモニタ240は、遠隔ドライバ1の生体情報(心拍数、脈拍、目の動き、等)を検出する。
【0122】
制御装置250は、遠隔ドライバ端末200を制御する。制御装置250は、1又は複数のプロセッサ251(以下、単にプロセッサ251と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置252(以下、単に記憶装置252と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ251は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ251は、CPUを含んでいる。記憶装置252は、プロセッサ251による処理に必要な各種情報を格納する。記憶装置252としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD、SSD、等が例示される。
【0123】
遠隔運転プログラムPROG2は、プロセッサ251によって実行されるコンピュータプログラムである。遠隔運転プログラムPROG2は、記憶装置252に格納される。あるいは、遠隔運転プログラムPROG2は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。遠隔運転プログラムPROG2は、ネットワーク経由で提供されてもよい。プロセッサ251が遠隔運転プログラムPROG2を実行することにより、制御装置250の機能が実現される。
【0124】
7-2.遠隔運転処理
プロセッサ251は、通信装置210を介して、遠隔運転タクシー管理装置300と通信を行う。プロセッサ251は、遠隔ドライバ1が割り当てられた遠隔運転タクシー100から送信される車両情報VCLを受け取る。車両情報VCLは、記憶装置252に格納される。プロセッサ251は、車両情報VCLを表示装置220に表示することにより、車両情報VCLを遠隔ドライバ1に提示する。また、プロセッサ251は、地図情報を表示装置220に表示する。遠隔ドライバ1は、表示装置220に表示される地図情報や車両情報VCLに基づいて、遠隔運転タクシー100の状況を把握することができる。
【0125】
遠隔ドライバ1は、遠隔操作部材230を操作する。プロセッサ251は、遠隔ドライバ1による遠隔操作部材230の操作量を取得する。操作量は、遠隔操作部材230に設置されたセンサにより検出される。プロセッサ251は、操作量を反映した操作情報OPEを生成し、その操作情報OPEを遠隔運転タクシー管理装置300に送信する。
【0126】
7-3.割り当て処理
割り当て処理(上述のセクション3-2参照)に関連して、プロセッサ251は、遠隔ドライバ1によって入力される割り当てリクエストREQ_Dを遠隔運転タクシー管理装置300に送信する。また、プロセッサ251は、割り当て通知ASNを遠隔運転タクシー管理装置300から受信する。
【0127】
7-4.情報通知処理
プロセッサ251は、通信装置210を介して、現在のドライバ状態を遠隔運転タクシー管理装置300に通知してもよい。そのドライバ状態に基づいて、ドライバ管理情報520が更新される。
【0128】
7-5.走行制限処理
走行制限処理(上述のセクション5参照)に関連して、プロセッサ251は、ドライバモニタ240による検出結果に基づいて、遠隔ドライバ1の異常の有無を判定する。遠隔ドライバ1の異常が検知された場合、プロセッサ251は、ドライバ異常発生を遠隔運転タクシー管理装置300に通知する。あるいは、プロセッサ251は、ドライバモニタによって検出された生体情報を遠隔運転タクシー管理装置300に送信してもよい。
【0129】
8.遠隔運転タクシー管理装置の例
8-1.構成例
図13は、本実施の形態に係る遠隔運転タクシー管理装置300の構成例を示すブロック図である。遠隔運転タクシー管理装置300は、通信装置310及び制御装置350を含んでいる。
【0130】
通信装置310は、遠隔運転タクシー100、遠隔ドライバ端末200、及びユーザ端末400のそれぞれと通信を行う。
【0131】
制御装置350は、遠隔運転タクシー管理装置300を制御する。制御装置350は、1又は複数のプロセッサ351(以下、単にプロセッサ351と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置352(以下、単に記憶装置352と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ351は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ351は、CPUを含んでいる。記憶装置352は、プロセッサ351による処理に必要な各種情報を格納する。例えば、管理情報500(
図3参照)が記憶装置352に格納される。記憶装置352としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD、SSD、等が例示される。
【0132】
管理プログラムPROG3は、プロセッサ351によって実行されるコンピュータプログラムである。管理プログラムPROG3は、記憶装置352に格納される。あるいは、管理プログラムPROG3は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。管理プログラムPROG3は、ネットワーク経由で提供されてもよい。プロセッサ351が管理プログラムPROG3を実行することにより、制御装置350の機能が実現される。
【0133】
8-2.遠隔運転処理
プロセッサ351は、通信装置310を介して、遠隔運転タクシー100及び遠隔ドライバ端末200と通信を行う。プロセッサ351は、遠隔運転タクシー100から車両情報VCLを受信し、その車両情報VCLを遠隔ドライバ端末200に転送する。また、プロセッサ351は、遠隔ドライバ端末200から操作情報OPEを受信し、その操作情報OPEを遠隔運転タクシー100に転送する。
【0134】
8-3.割り当て処理
割り当て処理(上述のセクション3参照)に関連して、プロセッサ351は、割り当てリクエストREQ_Dを遠隔ドライバ端末200から受信する。また、プロセッサ351は、サービスリクエストREQ_Uを遠隔運転タクシー100あるいはユーザ端末400から受信する。割り当てリクエストREQ_DあるいはサービスリクエストREQ_Uに応答して、プロセッサ351は、管理情報500に基づいて割り当て処理を実行する(上述のセクション3-2、3-3参照)。プロセッサ351は、割り当て処理の結果に基づいて、管理情報500を更新する。また、プロセッサ351は、割り当て通知ASNを遠隔ドライバ端末200に送信する。また、プロセッサ351は、サービス情報INFをユーザ端末400に送信する。
【0135】
8-4.表示灯制御
表示灯制御(上述のセクション4参照)に関連して、プロセッサ351は、管理情報500に基づいて、各遠隔運転タクシー100の利用状態等を認識し、表示灯140の点灯/消灯を判断する。そして、プロセッサ351は、表示灯140の点灯/消灯を指示する指示情報INSを遠隔運転タクシー100に送信する。
【0136】
8-5.走行制限処理
走行制限処理(上述のセクション5参照)に関連して、プロセッサ351は、遠隔ドライバ1によって運転されている最中の遠隔運転タクシー100から車両情報VCLを取得する。プロセッサ351は、車両情報VCLに基づいて、遠隔運転タクシー100の走行状態をモニタし、異常走行の有無を判定する。プロセッサ351は、異常走行を行っている遠隔運転タクシー100に対して、走行制限を指示する指示情報INSを送信する。
【0137】
また、プロセッサ351は、ドライバ異常発生の通知を遠隔ドライバ端末200から受け取る。プロセッサ351は、異常が発生した遠隔ドライバ1によって運転されている遠隔運転タクシー100に対して、走行制限を指示する指示情報INSを送信する。
【0138】
9.需要予測
遠隔運転タクシーサービスの需要をエリア毎に予測することは有用である。例えば、その需要予測に基づいて、遠隔運転タクシー100の配置をエリア毎に最適化することができる。例えば、需要が多いエリアに、より多くの遠隔運転タクシー100を予め配置しておくことができる。これにより、サービス機会が増加し、収益増加につながる。また、ユーザの待ち時間が短縮されるため、ユーザ満足度が向上する。
【符号の説明】
【0139】
1 遠隔ドライバ
10 遠隔運転タクシーシステム
100 遠隔運転タクシー
140 表示灯
150 制御装置
151 プロセッサ
152 記憶装置
200 遠隔ドライバ端末
250 制御装置
251 プロセッサ
252 記憶装置
300 遠隔運転タクシー管理装置
350 制御装置
351 プロセッサ
352 記憶装置
400 ユーザ端末
500 管理情報
510 車両管理情報
520 ドライバ管理情報
530 割り当て管理情報
531 割り当て関係情報
532 未割り当てタクシーリスト
533 未割り当てドライバリスト
INF サービス情報
INS 指示情報
OPE 操作情報
REQ_U サービスリクエスト
REQ_D 割り当てリクエスト
VCL 車両情報