(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】自動運転システム、自動運転方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240903BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20240903BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20240903BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20240903BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20240903BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G08G1/0968 A
G01C21/36
B60W30/06
B60W50/14
B60W40/02
(21)【出願番号】P 2021134431
(22)【出願日】2021-08-19
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】小見 聡
(72)【発明者】
【氏名】今津 貴雅
(72)【発明者】
【氏名】深田 善樹
(72)【発明者】
【氏名】林 孝士
(72)【発明者】
【氏名】片岡 佑太
(72)【発明者】
【氏名】馬場 広樹
(72)【発明者】
【氏名】岡村 竜路
(72)【発明者】
【氏名】楠本 光優
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-207637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に進行する車両用の第1道路と、第1の方向とは異なる方向の第2の方向に進行する車両用の第2道路とが併設されており、第1道路から入りかつ第1道路に出る第1駐車スペースが設置されていると共に第2道路から入りかつ第2道路に出る第2駐車スペースが設置されている環境において車両を自動運転させる車両の自動運転システムにおいて、
第1駐車スペースに駐車した車両の次の目的地に関する情報を取得する取得部と、
取得された次の目的地に基づき次の目的地に向かう車両の進行方向が第2の方向である否かを識別する識別部と、
次の目的地に向かう車両の進行方向が第2の方向であると識別されたときには、車両のユーザが車両から降車した後、車両を第1駐車スペースから第2駐車スペースに自動運転により移動させるための車両移動制御部を具備する車両の自動運転システム。
【請求項2】
第1道路と第2道路とが互いに隣接して形成されており、第1駐車スペースと第2駐車スペースが第1道路と第2道路の境界に対して互いに反対側に設置されている請求項1に記載の車両の自動運転システム。
【請求項3】
第1駐車スペースが第1道路沿いに設置されており、第2駐車スペースが第2道路沿いに設置されている請求項2に記載の
車両の自動運転システム。
【請求項4】
車両を第1駐車スペースから第2駐車スペースに自動運転により移動させたときには、車両を移動した旨を、車両のユーザの携帯端末に通知する請求項1に記載の車両の自動運転システム。
【請求項5】
該取得部が、車両が第1駐車スペースに駐車した後、車両のユーザが車両に戻るまでの時間に関する情報を取得し、車両のユーザが車両に戻るまでに車両を第1駐車スペースから第2駐車スペースに移動可能なときに車両を第1駐車スペースから第2駐車スペースに自動運転により移動させる請求項1に記載の車両の自動運転システム。
【請求項6】
該車両移動制御部は、第1駐車スペースから第2駐車スペースまでの距離が予め定められた距離以内、又は第1駐車スペースから第2駐車スペースまでの徒歩での所要時間が予め定められた時間以内のときに、車両を第1駐車スペースから第2駐車スペースに自動運転により移動させる請求項1に記載の車両の自動運転システム。
【請求項7】
該取得部が外部環境に関する情報を取得し、該車両移動制御部は、悪天候又は路面状態が悪いときには車両を第1駐車スペースから第2駐車スペースに自動運転により移動させない請求項1に記載の車両の自動運転システム。
【請求項8】
車両が第1駐車スペースから第2駐車スペースに移動した後、車両が、車両のユーザから車両の駐車場所に関する情報提供の要求を取得したとき、車両のユーザの携帯端末に車両位置を表示させるか、車体が光或いは音を発するように構成する請求項1に記載の車両の自動運転システム。
【請求項9】
車両が第1駐車スペースから第2駐車スペースに移動した後、第1の所定時間が経過したとき、又は、車両のユーザから車両の駐車場所に関する情報提供の要求を取得したときに、車両のユーザに車両を第2駐車スペースから第1駐車スペースに移動させるか否かを問い合わせ、車両のユーザが車両の移動を許諾したときには、該車両移動制御部は、車両が自動運転により第2駐車スペースから第1駐車スペースに移動するように車両を制御する請求項1に記載の車両の自動運転システム。
【請求項10】
車両が第1駐車スペースから第2駐車スペースに移動した後、該第1の所定時間よりも長い第2の所定時間が経過したとき、車両のユーザに車両を第2駐車スペースから第1駐車スペースに移動させることを通知すると共に、該車両移動制御部は、車両が自動運転により第2駐車スペースから第1駐車スペースに移動するように車両を制御する請求項9に記載の車両の自動運転システム。
【請求項11】
第1の方向に進行する車両用の第1道路と、第1の方向とは異なる方向の第2の方向に進行する車両用の第2道路とが併設されており、第1道路から入りかつ第1道路に出る第1駐車スペースが設置されていると共に第2道路から入りかつ第2道路に出る第2駐車スペースが設置されている環境において車両を自動運転させる車両の自動運転方法において、
第1駐車スペースに駐車した車両の次の目的地に関する情報を取得し、
取得された次の目的地に基づき次の目的地に向かう車両の進行方向が第2の方向である否かを識別し、
次の目的地に向かう車両の進行方向が第2の方向であると識別されたときには、車両のユーザが車両から降車した後、車両を第1駐車スペースから第2駐車スペースに自動運転により移動させる車両の自動運転方法。
【請求項12】
第1の方向に進行する車両用の第1道路と、第1の方向とは異なる方向の第2の方向に進行する車両用の第2道路とが併設されており、第1道路から入りかつ第1道路に出る第1駐車スペースが設置されていると共に第2道路から入りかつ第2道路に出る第2駐車スペースが設置されている環境において車両を自動運転させるためのプログラムであって、
第1駐車スペースに駐車した車両の次の目的地に関する情報を取得し、
取得された次の目的地に基づき次の目的地に向かう車両の進行方向が第2の方向である否かを識別し、
次の目的地に向かう車両の進行方向が第2の方向であると識別されたときには、車両のユーザが車両から降車した後、車両を第1駐車スペースから第2駐車スペースに自動運転により移動させるように、コンピュータを機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動運転システム、自動運転方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のユーザが車両の乗降場において降車した後、降車時刻から迎車希望時刻までの滞在時間が閾値、例えば、10分間よりも短いときには、車両が乗降場において待機され、降車時刻から迎車希望時刻までの滞在時間が閾値よりも長いときには、車両が無人走行経路に沿って待機用駐車場まで自動運転により移動され、この場合、距離が離れていても駐車料金の安い駐車場が存在する場合には、車両が無人走行経路に沿って駐車料金の安い駐車場まで自動運転により移動される自動駐車システムが公知である(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動運転車両において、車両のユーザが店舗等の施設に立ち寄るために車両を一時駐車させ、一時駐車後、車両を次の目的地に向けて走行せしめる場合において、次の目的地が、これまで使用してきた道路の進行方向とは異なる進行方向、例えば、反対方向に位置している場合がある。このような場合において、一時駐車後、車両を短時間でもって次の目的地に向かう道路に移動させることができない場合、例えば、車両をこれまで使用してきた道路に沿って遠くまで走行させた後、初めて、車両を次の目的地に向かう道路に移動させることが可能となる場合が往々にして存在する。このような場合には、次の目的地に到達するまでの時間が長くなるという問題が生ずる。しかしながら、上述の自動駐車システムでは、このような問題の発生について、何ら考慮が払われていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、第1の方向に進行する車両用の第1道路と、第1の方向とは異なる方向の第2の方向に進行する車両用の第2道路とが併設されており、第1道路から入りかつ第1道路に出る第1駐車スペースが設置されていると共に第2道路から入りかつ第2道路に出る第2駐車スペースが設置されている環境において、車両を自動運転させる車両の自動運転システムにおいて、
第1駐車スペースに駐車した車両の次の目的地に関する情報を取得する取得部と、
取得された次の目的地に基づき次の目的地に向かう車両の進行方向が第2の方向である否かを識別する識別部と、
次の目的地に向かう車両の進行方向が第2の方向であると識別されたときには、車両のユーザが車両から降車した後、車両を第1駐車スペースから第2駐車スペースに自動運転により移動させるための車両移動制御部を具備する車両の自動運転システムが提供される。
また、本発明によれば、第1の方向に進行する車両用の第1道路と、第1の方向とは異なる方向の第2の方向に進行する車両用の第2道路とが併設されており、第1道路から入りかつ第1道路に出る第1駐車スペースが設置されていると共に第2道路から入りかつ第2道路に出る第2駐車スペースが設置されている環境において、車両を自動運転させる車両の自動運転方法において、
第1駐車スペースに駐車した車両の次の目的地に関する情報を取得し、
取得された次の目的地に基づき次の目的地に向かう車両の進行方向が第2の方向である否かを識別し、
次の目的地に向かう車両の進行方向が第2の方向であると識別されたときには、車両のユーザが車両から降車した後、車両を第1駐車スペースから第2駐車スペースに自動運転により移動させる車両の自動運転方法が提供される。
また、本発明によれば、第1の方向に進行する車両用の第1道路と、第1の方向とは異なる方向の第2の方向に進行する車両用の第2道路とが併設されており、第1道路から入りかつ第1道路に出る第1駐車スペースが設置されていると共に第2道路から入りかつ第2道路に出る第2駐車スペースが設置されている環境において、車両を自動運転させるためのプログラムであって、
第1駐車スペースに駐車した車両の次の目的地に関する情報を取得し、
取得された次の目的地に基づき次の目的地に向かう車両の進行方向が第2の方向である否かを識別し、
次の目的地に向かう車両の進行方向が第2の方向であると識別されたときには、車両のユーザが車両から降車した後、車両を第1駐車スペースから第2駐車スペースに自動運転により移動させるように、コンピュータを機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
次の目的地までの移動時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図2は、道路および駐車スペースを図解的に表した図である。
【
図4】
図4は、自動運転を開始するときの操作の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、自動運転制御を行うためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明による実施例の機能構成図である。
【
図7】
図7は、駐車場所移動制御を行うためのフローチャートである。
【
図8】
図8は、駐車場所移動制御を行うためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、駐車場所移動後に実行される移動後処理を行うためのフローチャートである。
【
図10】
図10は、駐車場所移動後に実行される移動後処理を行うためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
最初に、道路および駐車スペースを図解的に表した
図1A、
図1Bおよび
図2を参照しつつ、本発明が適用される環境について説明する。
図1Aおよび
図1Bを参照すると、1は中央分離帯2を有する車両用の道路を示しており、道路1上に描かれた矢印は車両の進行方向を示している。
図1Aおよび
図1Bに示される例では、道路1が、中央分離帯2の両側に隣接して形成されている二つの道路、即ち、第1の方向に進行する車両用の第1道路1aと、第1の方向とは反対方向の第2の方向に進行する車両用の第2道路1bとにより構成されている。また、
図1Aにおいて、3は店舗又はレストラン等の施設を示している。
【0009】
一方、
図1Aに示される例では、施設3の近くには、第1道路1aから入りかつ第1道路1aに出る複数個の第1駐車スペース4が第1道路1a沿いに設置されており、第2道路1bから入りかつ第2道路1bに出る複数個の第2駐車スペース5が第2道路1b沿いに設置されている。
図1Aに示される例では、第1駐車スペース4と第2駐車スペース5が第1道路1aと第2道路1bの境界、即ち、中央分離帯2に対して互いに反対側に設置されている。第1駐車スペース4の近くには、カメラ等により第1駐車スペース4の使用状況を監視するための監視装置6が設置されており、第2駐車スペース5の近くには、カメラ等により第2駐車スペース5の使用状況を監視するための監視装置7が設置されている。これら監視装置6、7により得られた情報は、管理サーバ8に送信される。
【0010】
また、
図1Bに示される例では、施設3の近くには、第1道路1aから入りかつ第1道路1aに出る第1駐車場9aと、第2道路1bから入りかつ第2道路1bに出る第2駐車場9bが設置されている。第1駐車場9aには複数個の第1駐車スペース4が形成されており、第1駐車場9aの近くには、カメラ等により第1駐車スペース4の使用状況を監視するための監視装置6が設置されている。また、第2駐車場9bには複数個の第2駐車スペース5が形成されており、第2駐車場9bの近くには、カメラ等により第2駐車スペース5の使用状況を監視するための監視装置7が設置されている。これら監視装置6、7により得られた情報は、管理サーバ8に送信される。
【0011】
一方、
図2を参照すると、
図2に示される例では、施設3の両側に夫々車両用の道路10、11が形成されている。なお、
図2において、12は各道路10、11のセンタラインを示しており、各道路10、11上に描かれた矢印は車両の進行方向を示している。また、
図2に示される例では、道路10は、センタライン12の両側に隣接して形成されている第1道路10aと第2道路10bからなり、道路11は、センタライン12の両側に隣接して形成されている第1道路11aと第2道路11bからなる。この場合、第1道路10aおよび第2道路11bに着目すると、
図2に示される例では、第1の方向に進行する車両用の第1道路10aと、第1の方向とは異なる方向の第2の方向に進行する車両用の第2道路11bとが存在していると言うことができる。
【0012】
この場合、
図2に示される例では、第1道路10aから入りかつ第1道路10aに出る複数個の第1駐車スペース14が第1道路10a沿いに設置されており、第2道路11bから入りかつ第2道路11bに出る複数個の第2駐車スペース15が第2道路11b沿いに設置されている。また、この
図2に示される例でも、
図1Aおよび
図1Bに示される例と同様に、第1駐車スペース14と第2駐車スペース15の近くには、夫々、第1駐車スペース14および第2駐車スペース15の使用状況を監視するための監視装置6、7が設置されており、これら監視装置6、7により得られた情報は、管理サーバ8に送信される。なお、
図2に示される例において、第1駐車スペース14および第1駐車スペース15に代えて、
図1Bに示されるような第1駐車場と、第2駐車場が設置されている場合もある。
【0013】
次に、自動運転機能および自動駐車機能を備えた車両20を図解的に示している
図3を参照しつつ、車両20について説明する。
図3を参照すると、21は車両20の駆動輪に駆動力を与えるための車両駆動部、22は車両20を制動するための制動装置、23は車両20を操舵するための操舵装置、24は車両20内に搭載された電子制御ユニットを夫々示す。
図2に示されるように、電子制御ユニット24はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス25によって互いに接続されたCPU(マイクロプロセッサ)26、ROMおよびRAMからなるメモリ27および入出力ポート28を具備する。
【0014】
一方、
図3に示されるように、車両20には、車両20が自動運転および自動駐車を行うのに必要な各種センサ30、即ち、車両20の状態を検出するセンサおよび車両20の周辺を検出するセンサが設置されている。この場合、車両20の状態を検出するセンサとしては、加速度センサ、速度センサ、方位角センサが用いられており、車両20の周辺を検出するセンサとしては、車両20の前方、側方、後方を撮影するカメラ、ライダ(LIDAR)、レーダ等が用いられる。また、車両20には、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)受信装置31、地図データ記憶装置32、ナビゲーション装置33および各種操作をおこなうための操作部
34が設けられている。GNSS受信装置31は、複数の人工衛星から得られる情報に基づいて、車両20の現在位置(例えば車両20の緯度及び経度)を検出することができる。従って、このGNSS受信装置
31により車両1の現在位置を取得することができる。このGNSS受信装置31として、例えば、GPS受信装置が用いられる。
【0015】
一方、地図データ記憶装置32には、車両20が自動運転を行うのに必要な地図データ等が記憶されている。また、操作部34には自動運転等に必要な操作パネルが設けられており、操作パネルにおいて目的地が入力されると、ナビゲーション装置33を用いて車両20の走行ルートが検索される。これらの各種センサ30、GNSS受信装置31、地図データ記憶装置32、ナビゲーション装置33および操作部34は、電子制御ユニット24に接続されている。また、
図3には、
図1A、
図1Bおよび
図2に示される管理サーバ8が描かれており、車両20には、この管理サーバ8と通信を行うための通信装置35が搭載されている。また、
図3には、例えば、車両20のユーザが所有していて、通信ネットワークを介して車両20の通信装置35と通信可能な携帯端末40が示されている。なお、本発明による自動駐車システムを利用しているユーザを、車両20のユーザと称している。
【0016】
図3を参照すると、本発明による実施例では、車両駆動部
21は、2次電池により駆動される電気モータ、或いは、燃料電池により駆動される電気モータより構成されており、駆動輪は、電子制御ユニット
24の出力信号に従って、これらの電気モータにより駆動制御される。また、車両20の制動制御は、電子制御ユニット24の出力信号に従って制動装置22により行われ、車両20の操舵制御は、電子制御ユニット24の出力信号に従って操舵装置23により行われる。
【0017】
次に、
図3から
図5を参照しつつ、車両20による自動運転の概要について説明する。
図4は、車両20による自動運転を開始するときの操作の一例を示しており、これらの操作は、操作部34の操作パネル上において行われる。
図4に示される例では、最初に、
図4のA1に示されるように、車両20の運転形態を自動運転に設定するための自動運転設定操作が行われる。この自動運転設定操作は、例えば、操作部34の操作パネル上に表示された項目「自動運転設定」にタッチすることにより実行される。操作部34の操作パネル上に表示された項目「自動運転設定」にタッチすると、操作部34の操作パネル上に目的地の入力画面が現れ、
図4のA2に示されるように、この入力画面に、最初の目的地である第1立寄地、次の目的地である第2立寄地・・・N番目の目的地である第N立寄地および最終目的地が入力される。
【0018】
目的地の入力が終了すると、
図4のA3に示されるように、目的地の登録が行われる。この目的地の登録は、例えば、操作部34の操作パネル上に表示された項目「登録」にタッチすることにより実行される。目的地の登録がおこなわれると、入力された各目的地が、車両20に搭載された電子制御ユニット24のメモリ27内に記憶される。なお、目的地の登録が行われると、
図4のA4に示されるように、車両20の自動運転制御が開始される。
図5は、この車両20の自動運転制御を行うためのルーチンを示しており、このルーチンは、車両20に搭載された電子制御ユニット24のCPU26において繰り返し実行される。
【0019】
図5を参照すると、まず初めに、ステップ50において、電子制御ユニット24のメモリ27内に記憶されている複数の目的地の中から、次の目的地が決定される。次の目的地が決定されると、ステップ51に進んで、決定された次の目的地とGNSS受信装置20により取得された車両1の現在位置に基づいて、ナビゲーション装置33により現在位置から次の目的地までの車両20の走行ルートが決定される。次いで、ステップ52では、
車両20の前方等を撮影するカメラ、ライダ(LIDAR)、レーダ等のセンサの検出結果に基づいて、他車両や歩行者と接触することのない車両20の走行軌跡および走行速度が決定される。
【0020】
次いで、ステップ53では、決定された走行軌跡および走行速度に従って、車両20の走行制御が行われる。次いで、ステップ54では、車両20がステップ50において決定された次の目的地に到達したか否かが判別される。車両20が次の目的地に到達していないと判別されたときには、ステップ52に戻り、車両20の自動運転が続行される。このようにして、車両20が、決定された次の目的地まで自動運転される。
【0021】
さて、車両20のユーザが施設3に立ち寄るために、車両20を施設3に近い駐車スペース、例えば、
図1Aにおいて、第1道路1a沿いに形成されている第1駐車スペース4、或いは、
図1Bにおいて、第1道路1aのみに出入り可能な第1駐車場9a内に形成されている第1駐車スペース4、或いは、
図2において、第1道路10a沿いに形成されている第1駐車スペース14に一時的に駐車した場合において、一時的な駐車後、車両20のユーザが向かう次の目的地が、これまで使用してきた第1道路1a、10aの進行方向とは異なる進行方向に位置している場合がある。即ち、
図1Aおよび
図1Bに示される例では、次の目的地が、これまで使用してきた第1道路1aの進行方向とは反対方向、即ち、第2道路1bの進行方向に位置している場合があり、
図2に示される例では、次の目的地が、これまで使用してきた第1道路10aの進行方向とは異なる進行方向、例えば、第2道路11bの進行方向に位置している場合がある。
【0022】
ところが、このような場合、
図1Aおよび
図1Bに示される例では、車両20をこれまで使用してきた第1道路1aに沿って遠くまで走行した後、初めて、車両20を次の目的地に向かう第2道路1bに移動させることが可能となり、
図2に示される例では、車両20をこれまで使用してきた第1道路10aに沿って遠くまで走行した後、初めて、車両20を次の目的地に向かう第2道路11bに移動させることが可能となる。従って、
図1A、
図1Bおよび
図2に示されるような例では、次の目的地に到達するまでの時間が長くなってしまうという問題が生ずる。
【0023】
そこで、本発明による実施例では、一時的に駐車した後に車両20のユーザが向かう次の目的地が、これまで使用してきた第1道路1a、10aの進行方向とは異なる進行方向に位置している場合には、車両20が第1駐車スペース4、14に到達して車両20のユーザが車両20から降車した後に、これまで使用してきた第1道路1a、10aの進行方向とは異なる進行方向に向かう第2道路1b、10bに車両20が出られるように、
図1Aでは、第2道路1b沿いに形成されている第2駐車スペース5、
図1Bでは、第2道路1bのみに出入り可能な第2駐車場9b内に形成されている第2駐車スペース5、
図2では、第2道路10b沿いに形成されている第2駐車スペース15に、車両20を自動運転により移動させるようにしている。
【0024】
このような車両20の駐車場所の移動を行うために、本発明による実施例では、
図5に示されるように、ステップ54において、車両20が、決定された次の目的地に到達したと判別されたときにはステップ55に進んで、車両20が最終目的地に到達したか否かが判別され、到達した目的地が最終目的地でない場合には、ステップ56に進んで、車両20の駐車場所の移動制御が行われる。この車両20の駐車場所の移動制御は、
図7および
図8に示される駐車場所移動制御ルーチンによって実行される。
【0025】
即ち、本発明による実施例では、
図6の機能構成図に示されるように、第1の方向に進行する車両用の第1道路1a、10aと、第1の方向とは異なる方向の第2の方向に進行する車両用の第2道路1b、11bとが併設されており、第1道路1a、10aから入りかつ第1道路1a、10aに出る第1駐車スペース4,14が設置されていると共に第2道路1b、11bから入りかつ第2道路1b、11bに出る第2駐車スペース5,15が設置されている環境において車両20を自動運転させる車両の自動運転システムにおいて、第1駐車スペース4,14に駐車した車両20の次の目的地に関する情報を取得する取得部と、取得された次の目的地に基づき次の目的地に向かう車両20の進行方向が第2の方向である否かを識別する識別部と、次の目的地に向かう車両20の進行方向が第2の方向であると識別されたときには、車両20のユーザが車両20から降車した後、車両20を第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15に自動運転により移動させるための車両移動制御部を具備している。この場合、本発明による実施例では、車両20の電子制御ユニット24が、取得部、識別部および車両移動制御部を構成している。
【0026】
また、本発明による実施例では、第1の方向に進行する車両用の第1道路1a、10aと、第1の方向とは異なる方向の第2の方向に進行する車両用の第2道路1b、11bとが併設されており、第1道路1a、10aから入りかつ第1道路1a、10aに出る第1駐車スペース4,14が設置されていると共に第2道路1b、11bから入りかつ第2道路1b、11bに出る第2駐車スペース5,15が設置されている環境において車両20を自動運転させる車両の自動運転方法において、第1駐車スペース4,14に駐車した車両20の次の目的地に関する情報を取得し、取得された次の目的地に基づき次の目的地に向かう車両20の進行方向が第2の方向である否かを識別し、次の目的地に向かう車両20の進行方向が第2の方向であると識別されたときには、車両20のユーザが車両20から降車した後、車両20を第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15に自動運転により移動させる車両の自動運転方法が提供される。
【0027】
また、本発明による実施例では、第1の方向に進行する車両用の第1道路1a、10aと、第1の方向とは異なる方向の第2の方向に進行する車両用の第2道路1b、11bとが併設されており、第1道路1a、10aから入りかつ第1道路1a、10aに出る第1駐車スペース4,14が設置されていると共に第2道路1b、11bから入りかつ第2道路1b、11bに出る第2駐車スペース5,15が設置されている環境において車両20を自動運転させるためのプログラムであって、第1駐車スペース4,14に駐車した車両20の次の目的地に関する情報を取得し、取得された次の目的地に基づき次の目的地に向かう車両20の進行方向が第2の方向である否かを識別し、次の目的地に向かう車両20の進行方向が第2の方向であると識別されたときには、車両20のユーザが車両20から降車した後、車両20を第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15に自動運転により移動させるように、コンピュータを機能させるプログラムが提供される。
【0028】
図7および
図8は、
図5のステップ56における車両20の駐車場所の移動制御を実行するための駐車場所移動制御ルーチンを示している。このルーチンは、車両20の電子制御ユニット24により実行される。
図7および
図8を参照すると、まず初めに、ステップ60において、現在、車両20が停車している第1駐車スペース4,14へのユーザの戻り時刻が取得される。この戻り時刻は、例えば、車両20のユーザが所有している携帯端末40から、通信ネットワークを介して車両20に送信される。次いで、ステップ61では、登録されている目的地の中から、次の目的地が取得される。次いで、ステップ62では、取得された次の目的地とGNSS受信装置20により取得された車両1の現在位置に基づいて、ナビゲーション装置33により現在位置から次の目的地までの車両20の走行ルートが検索される。
【0029】
次いで、ステップ63では、検索された走行ルートに基づいて、取得された次の目的地が、これまで使用してきた第1道路1a、10aの進行方向とは異なる進行方向に位置しているか否かが判別される。取得された次の目的地が、これまで使用してきた第1道路1a、10aの進行方向と同じ進行方向に位置していると判別されたときには、処理サイクルを終了する。これに対し、取得された次の目的地が、これまで使用してきた第1道路1a、10aの進行方向とは異なる進行方向に位置していると判別されたときには、ステップ64に進んで、例えば、地図データ記憶装置32に記憶されている地図情報に基づき、これまで使用してきた第1道路1a、10aの進行方向とは異なる進行方向に向かう第2道路1b、10bに車両20が出ることのできる駐車場所、即ち、第2駐車スペース5,15の検索が行われる。
【0030】
次いで、ステップ65では、検索結果に基づいて、これまで使用してきた第1道路1a、10aの進行方向とは異なる進行方向に向かう第2道路1b、10bに車両20が出ることのできる駐車場所が、周囲に存在するか否かが判別される。これまで使用してきた第1道路1a、10aの進行方向とは異なる進行方向に向かう第2道路1b、10bに車両20が出ることのできる駐車場所が、周囲に存在しないと判別されたときには、処理サイクルを終了する。これに対し、これまで使用してきた第1道路1a、10aの進行方向とは異なる進行方向に向かう第2道路1b、10bに車両20が出ることのできる駐車場所が、周囲に存在すると判別されたとき、即ち、第2駐車スペース5,15が周囲に存在すると判別されたときには、ステップ66に進み、管理サーバ8にアクセスすることによって、第2駐車スペース5,15に空の駐車スペースが存在しているか否かが判別される。
【0031】
第2駐車スペース5,15に空の駐車スペースが存在していないと判別されたときには、処理サイクルを終了する。これに対し、第2駐車スペース5,15に空の駐車スペースが存在していると判別されたときには、ステップ67に進み、空の駐車スペースが移動目的地として決定される。次いで、ステップ68では、決定された移動目的地とGNSS受信装置20により取得された車両1の現在位置に基づいて、ナビゲーション装置33により現在位置から次の目的地までの車両20の走行ルートが決定される。次いで、ステップ69では、決定された車両20の走行ルートおよびユーザの戻り時刻に基づいて、ユーザの戻り時刻までに、移動目的地までの車両20の移動を完了し得るか否かが判別される。ユーザの戻り時刻までに、移動目的地までの車両20の移動を完了し得ないと判別された、処理サイクルを終了する。これに対し、ユーザの戻り時刻までに、移動目的地までの車両20の移動を完了し得ると判別されたときには、ステップ70に進む。
【0032】
ステップ70では、例えば、地図データ記憶装置32に記憶されている地図情報に基づき、第2駐車スペース5,15が徒歩圏内に存在するか否か、即ち、第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15までの距離が予め定められた距離以内、又は第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15までの徒歩での所要時間が予め定められた時間以内であるか否かが判別される。第2駐車スペース5,15が徒歩圏内に存在していないと判別されたとき、例えば、第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15までの距離は近いが、横断歩道や陸橋がなく、それにより、第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15までの徒歩での移動に時間がかかると判別されたときには、処理サイクルを終了する。これに対し、第2駐車スペース5,15が徒歩圏内に存在していると判別されたときには、ステップ71に進む。
【0033】
ステップ71では、外部環境が悪いか否か、例えば、天候が雨、雪、強風のような悪天候であるか否か、或いは、積雪状態又は未舗装のように路面状態が悪いか否かが判別される。外部環境が悪いと判別されたとき、即ち、悪天候であると判別されたとき、或いは、路面状態が悪いと判別されたときには、処理サイクルを終了する。これに対し、外部環境が悪くないと判別されたときには、ステップ72に進み、車両20を第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15に移動させて良いか否かの問い合わせを、車両20のユーザの携帯端末40に送信する。次いで、ステップ73では、車両20のユーザから、車両20を第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15に移動させて良い旨の許諾通知を受信したか否かが判別される。車両20のユーザから、車両移動の許諾通知を受信していないと判別されたときには、処理サイクルを終了する。これに対し、車両移動の許諾通知を受信したと判別されたときには、ステップ74に進み、第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15への自動運転による車両20の移動が行われる。
【0034】
即ち、ステップ74では、車両20の前方等を撮影するカメラ、ライダ(LIDAR)、レーダ等のセンサの検出結果に基づいて、ステップ68において決定されている走行ルートにおいて、他車両や歩行者と接触することのない車両20の走行軌跡および走行速度が決定される。次いで、ステップ75では、決定された走行軌跡および走行速度に従って、車両20の走行制御が行われる。次いで、ステップ76では、車両20が移動目的地、即ち、第2駐車スペース5,15に到達したか否かが判別される。車両20が移動目的地に到達していないと判別されたときには、ステップ74に戻り、車両20の自動運転が続行される。このようにして、車両20が、移動目的地まで自動運転される。ステップ76において、車両20が移動目的地、即ち、第2駐車スペース5,15に到達したと判別されると、ステップ77に進んで自動駐車制御が行われる。
【0035】
この自動駐車制御では、例えば、車両20の前方、側方、後方を撮影するカメラにより、車両20および車両20の周囲を上方から見たときの平面画像が生成され、この平面画像に基づいて、車両20を、周囲の他の車両および構造物と接触することなく空の駐車スペース内の駐車位置まで移動させるのに必要な走行軌跡が生成され、この走行軌跡に沿って、車両20が空の駐車スペース内の駐車位置まで自動運転により移動せしめられる。車両20が空の駐車スペース内の駐車位置に停車し、車両20の自動駐車処理が終了すると、車両20が第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15に移動した旨が、車両20のユーザの携帯端末40に送信される。
【0036】
このように、本発明による実施例では、車両20を第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15に自動運転により移動させたときには、車両20を移動した旨が、車両20のユーザの携帯端末40に通知される。また、本発明による実施例では、車両20が第1駐車スペース4,14に駐車した後、車両20のユーザが車両20に戻るまでの時間に関する情報が取得部(
図6)により取得され、車両20のユーザが車両20に戻るまでに車両20を第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15に移動可能なときに車両20が第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15に自動運転により移動せしめられる。
【0037】
また、本発明による実施例では、第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15までの距離が予め定められた距離以内、又は第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15までの徒歩での所要時間が予め定められた時間以内のときに、車両20が第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15に自動運転により移動せしめられる。また、本発明による実施例では、外部環境に関する情報が取得部(
図6)により取得され、悪天候又は路面状態が悪いときには、車両20を第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15に移動させない。
【0038】
次に、駐車場所移動後の行われる移動後処理について説明する。さて、上述したように、車両20は、車両20のユーザの許諾を得て、第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15に移動せしめられるが、車両20の移動後、車両20のユーザが、移動した車両20を見つけられない場合が想定される。そこで、本発明による実施例では、車両20のユーザが、移動した車両20を見つけられない場合には、車両20のユーザからの要求により、車両20の位置を示す情報が車両20のユーザに提供され、それでも、車両20のユーザが、移動した車両20を見つけられない場合には、車両20のユーザの許諾を得て、車両20を元の駐車位置、即ち、第1駐車スペース4,14に自動運転により移動せしめるようにしている。
【0039】
更に、本発明による実施例では、車両の移動後、車両20が第1の所定時間X1以上運転されていない場合にも、車両20のユーザの許諾を得て、車両20を元の駐車位置、即ち、第1駐車スペース4,14に自動運転により移動せしめるようにしている。また、車両の移動後、車両20が第1の所定時間X1よりも長い第2の所定時間X2以上運転されていない場合には、車両20のユーザに車両20を元の駐車位置に戻すことを通知し、車両20を元の駐車位置、即ち、第1駐車スペース4,14に自動運転により移動せしめるようにしている。
【0040】
図9および図10は、駐車場所移動後の行われる移動後処理ルーチンを示しており、このルーチンは、車両20に搭載された電子制御ユニット24のCPU26において繰り返し実行される。
図9および図10を参照すると、まず初めに、ステップ80において、車両の移動後、第2の所定時間X2を経過したか否か、即ち、車両の移動後、車両20が第2の所定時間X2以上運転されていないか否かが判別される。車両の移動後、第2の所定時間X2を経過していないと判別されたときには、ステップ81に進んで、車両の移動後、第1の所定時間X1(<第2の所定時間X2)を経過したか否かが判別される。車両の移動後、第1の所定時間X1経過していないと判別されたときには、ステップ82に進んで、車両20のユーザから、車両20の位置を示す情報提供の要求があったか否かが判別される。この車両20の位置を示す情報提供の要求は、例えば、車両20のユーザの携帯端末40を用いて行われる。
【0041】
車両20のユーザから、車両20の位置を示す情報提供の要求がないと判別されたときには、処理サイクルを終了する。これに対し、車両20のユーザから、車両20の位置を示す情報提供の要求があったと判別されたときには、ステップ83に進んで、車両20の位置を示す情報が車両20のユーザに通知される。この場合、車両20の位置を示す情報を車両20のユーザに通知する方法としては、種々の方法を採用することができる。第1の方法は、車両20の位置情報を車両20のユーザの携帯端末40に表示させる方法である。第2の方法は、車体が光を発するように構成する、例えば、ヘッドランプ、室内灯を点滅させる方法である。第3の方法は、車体が音をするように構成する、例えば、クラクションを鳴らさせる方法である。
【0042】
次いで、ステップ84では、車両20の位置を示す情報が車両20のユーザに通知されてから一定時間が経過するまで待ち、一定時間が経過するまでに、車両20が移動しなかったときには、ステップ85に進む。一方、ステップ81において、車両の移動後、第1の所定時間X1経過したと判別されたときにもステップ85に進む。ステップ85では、元の駐車スペース,即ち、第1駐車スペース4,14が空の状態であるか否かが判別される。元の駐車スペースが空の状態でないと判別されたときには、処理サイクルを終了する。これに対し、元の駐車スペースが空の状態であると判別されたときには、ステップ86に進んで、車両20を元の駐車スペースに戻してよいか否かの問い合わせを車両20のユーザの携帯端末40に送信する。このように、本発明による実施例では、車両20のユーザから、車両20の位置を示す情報の提供の要求があったとき、或いは、車両の移動後、第1の所定時間X1経過したときに、車両20のユーザに対して、車両20を元の駐車スペースに戻してよいか否かの問い合わせが行われる。
【0043】
次いで、ステップ87では、この問い合わせに対して、車両20のユーザから回答があったか否かが判別される。車両20のユーザから回答がないと判別されたときには、処理サイクルを終了する。これに対し、車両20のユーザから回答があったと判別されたときには、ステップ88に進んで、回答が、車両20を元の駐車スペースに戻してよい旨の回答であったか否かが判別される。回答が、車両20を元の駐車スペースに戻してよい旨の回答、即ち、車両20の移動を許諾する回答でなかったときには、処理サイクルを終了する。これに対し、回答が、車両20の移動を許諾する回答であったときには、ステップ89に進み、元の駐車スペースが移動目的地として決定される。次いで、ステップ90では、決定された移動目的地とGNSS受信装置20により取得された車両1の現在位置に基づいて、ナビゲーション装置33により現在位置から元の駐車スペースまでの車両20の走行ルートが決定される。
【0044】
次いで、ステップ91に進み、第2駐車スペース5,15から第1駐車スペース4,14への自動運転による車両20の移動が行われる。即ち、ステップ91では、車両20の前方等を撮影するカメラ、ライダ(LIDAR)、レーダ等のセンサの検出結果に基づいて、ステップ90において決定されている走行ルートにおける、他車両や歩行者と接触することのない車両20の走行軌跡および走行速度が決定される。次いで、ステップ92では、決定された走行軌跡および走行速度に従って、車両20の走行制御が行われる。次いで、ステップ93では、車両20が移動目的地、即ち、第1駐車スペース4,14に到達したか否かが判別される。車両20が移動目的地に到達していないと判別されたときには、ステップ91に戻り、車両20の自動運転が続行される。このようにして、車両20が、移動目的地まで自動運転される。ステップ93において、車両20が移動目的地、即ち、第1駐車スペース4,14に到達したと判別されると、ステップ94に進んで自動駐車制御が行われる。
【0045】
この自動駐車制御では、前述したように、例えば、車両20の前方、側方、後方を撮影するカメラにより、車両20および車両20の周囲を上方から見たときの平面画像が生成され、この平面画像に基づいて、車両20を、周囲の他の車両および構造物と接触することなく空の駐車スペース内の駐車位置まで移動させるのに必要な走行軌跡が生成され、この走行軌跡に沿って、車両20が空の駐車スペース内の駐車位置まで自動運転により移動せしめられる。車両20が空の駐車スペース内の駐車位置に停車し、車両20の自動駐車処理が終了すると、車両20が第2駐車スペース5,15から第1駐車スペース4,14に移動した旨が、車両20のユーザの携帯端末40に送信される。
【0046】
一方、ステップ80において、車両の移動後、第2の所定時間X2経過したと判別されたときには、ステップ95に進んで、元の駐車スペース,即ち、第1駐車スペース4,14が空の状態であるか否かが判別される。元の駐車スペースが空の状態でないと判別されたときには、処理サイクルを終了する。これに対し、元の駐車スペースが空の状態であると判別されたときには、ステップ96に進んで、車両20を元の駐車スペースに戻す旨の通知が車両20のユーザの携帯端末40に送信される。次いで、ステップ89に進み、車両20を元の駐車スペースに戻す自動運転制御が行われる。
【0047】
このように、本発明による実施例では、車両20が第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15に移動した後、車両20が、車両20のユーザから車両20の駐車場所に関する情報提供の要求を取得したとき、車両20のユーザの携帯端末40に車両位置が表示されるか、車体が光或いは音を発するように構成される。
【0048】
また、本発明による実施例では、車両20が第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15に移動した後、第1の所定時間X1が経過したとき、又は、車両20のユーザから車両20の駐車場所に関する情報提供の要求を取得したときに、車両20のユーザに車両20を第2駐車スペース5,15から第1駐車スペース4,14に移動させるか否かを問い合わせ、車両20のユーザが車両の移動を許諾したときには、車両20が自動運転により第2駐車スペース5,15から第1駐車スペース4,14に移動するように車両移動制御部(
図6)により車両20が制御される。この場合、車両20が第1駐車スペース4,14から第2駐車スペース5,15に移動した後、第1の所定時間X1よりも長い第2の所定時間X2が経過したとき、車両20のユーザに車両20を第2駐車スペース5,15から第1駐車スペース4,14に移動させることを通知すると共に、車両20が自動運転により第2駐車スペース5,15から第1駐車スペース4,14に移動するように車両移動制御部(
図6)により車両20が制御される。
【符号の説明】
【0049】
1,10,11 道路
1a、10a,11a 第1道路
1b、10b,11b 第2道路
4,14 第1駐車スペース
5,15 第2駐車スペース
20 車両