(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】駐車場管理システム、駐車場管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20240903BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240903BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240903BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240903BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20240903BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G08G1/00 X
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
(21)【出願番号】P 2021135152
(22)【出願日】2021-08-20
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】本田 大作
(72)【発明者】
【氏名】松林 宏弥
(72)【発明者】
【氏名】富澤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】田邊 怜
(72)【発明者】
【氏名】丸岩 修嗣
(72)【発明者】
【氏名】小畠 康宏
(72)【発明者】
【氏名】粟野 宏基
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-019797(JP,A)
【文献】特開2011-163987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60L 1/00- 3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場内の駐車スペースの日当たり状態を検出可能なインフラセンサと、
インフラセンサにより検出された各駐車スペースの日当たり状態
に基づき、駐車スペース毎に日当たり度を求め、該日当たり度を、太陽光発電機能を有する車両および該駐車場の利用者の少なくとも一方に通知する通知装置を具備する駐車場管理システム。
【請求項2】
該通知装置は、一定時間毎の各駐車スペースの日当たり
度を、太陽光発電機能を有する車両および該駐車場の利用者の少なくとも一方に通知する請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項3】
該通知装置は、インフラセンサにより現在の実際の駐車場内の駐車スペースの日当たり
度を検出可能なときには、現在の実際の駐車場内の駐車スペースの日当たり
度を、インフラセンサにより現在の実際の駐車場内の駐車スペースの日当たり
度を検出不可能なときには、最新の実際の駐車スペースの日当たり
度を、太陽光発電能を有する車両および該駐車場の利用者の少なくとも一方に通知する請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項4】
該駐車場における車両の駐車を管理する駐車管理サーバを具備しており、該駐車管理サーバが、該通知装置を構成している請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項5】
インフラセンサにより検出された各駐車スペースの日当たり状態に基づき、日当たり度の高い駐車スペースと日当たり度の低い駐車スペースとが識別され、太陽光発電機能を有する自動運転車両の入庫要求があったときには、該自動運転車両を自動運転により日当たり度の高い駐車スペースに移動させて駐車させる請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項6】
日当たり度の高い駐車スペースに駐車している自動運転車両を、予定出庫時刻前に、日当たり度の低い駐車スペースに移動させる請求項5に記載の駐車場管理システム。
【請求項7】
駐車場内の駐車スペースの日当たり状態を検出可能なインフラセンサを用い、
コンピュータが、
該インフラセンサにより検出された各駐車スペースの日当たり状態に基づき、駐車スペース毎に日当たり度を求め、
該日当たり度を、太陽光発電機能を有する車両および該駐車場の利用者の少なくとも一方に通知装置により通知させる駐車場管理方法。
【請求項8】
駐車場内の駐車スペースの日当たり状態を検出可能なインフラセンサを用い、該インフラセンサにより検出された各駐車スペースの日当たり状態に基づき、駐車スペース毎に日当たり度を求め、該日当たり度を、太陽光発電機能を有する車両および該駐車場の利用者の少なくとも一方に通知装置により通知させるよう、コンピュータに機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駐車場管理システム、駐車場管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池パネルを備えた自動運転車両の走行制御装置であって、自動運転車両の現在位置と太陽光発電場所との間の往復時の電力消費量を考慮しても、太陽光発電場所において太陽光発電によりバッテリを充電したときの予測充電量の方が、現在位置において太陽光発電によりを充電したときのバッテリの予測充電量が多くなる場合には、自動運転車両を自動運転により太陽光発電場所まで走行させるようにした走行制御装置が公知である(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この走行制御装置システムでは、太陽光発電場所における自動運転車両の駐車場所が、実際に日当たりがよいか否かを検知しておらず、従って、自動運転車両が太陽光発電場所に移動せしめられても、バッテリを十分に充電できるか否かが不明であるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような問題を解決するために、本発明によれば、駐車場内の駐車スペースの日当たり状態を検出可能なインフラセンサと、
インフラセンサにより検出された各駐車スペースの日当たり状態に基づき、駐車スペース毎に日当たり度を求め、この日当たり度を、太陽光発電機能を有する車両および駐車場の利用者の少なくとも一方に通知する通知装置を具備する駐車場管理システムが提供される。
更に、本発明によれば、駐車場内の駐車スペースの日当たり状態を検出可能なインフラセンサを用い、
コンピュータが、
インフラセンサにより検出された各駐車スペースの日当たり状態に基づき、駐車スペース毎に日当たり度を求め、
この日当たり度を、太陽光発電機能を有する車両および該駐車場の利用者の少なくとも一方に通知装置により通知させる駐車場管理方法が提供される。
更に、本発明によれば、駐車場内の駐車スペースの日当たり状態を検出可能なインフラセンサを用い、インフラセンサにより検出された各駐車スペースの日当たり状態に基づき、駐車スペース毎に日当たり度を求め、この日当たり度を、太陽光発電機能を有する車両および該駐車場の利用者の少なくとも一方に通知装置により通知させるよう、コンピュータに機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
車両の太陽光発電機能を良好に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1Aおよび
図1Bは夫々、図解的に表した自動駐車場の一例の平面図および側面図である。
【
図2】
図2は、駐車管理サーバを図解的に示す図である。
【
図3】
図3は、自動運転車両を図解的に示す図である。
【
図5】
図5は、日当たり度Rの一覧表を示す図である。
【
図6】
図6は、日当たり度Rを算出するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、情報提供を行うためのフローチャートである。
【
図8】
図8は、入出庫の管理を行うためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、自動運転制御を行うためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1Aは、自動駐車場を図解的に表した平面図であり、
図1Bは、
図1Aに示される自動駐車場の側面図である。
図1Aおよび
図1Bを参照すると、1は、デパート等の施設、2は、施設1に隣接して設置されている自動駐車場、3は乗降場、4は乗降場3に停止している自動運転車両を示している。
図1Aに示されるように、自動駐車場2内には、多数の駐車スペースPが設けられている。この自動駐車場2では、乗降場3に到達した自動運転車両4を自動運転により空の駐車スペースPに入庫させると共に、駐車スペースPに駐車している自動運転車両を自動運転により乗降場3に出庫させる自動駐車サービス、即ち、オートバレーパーキングサービスが実施されている。一方、
図1Aにおいて、5は駐車管理施設に配置されている駐車管理サーバを示している。なお、この自動駐車場2は、手動運転の車両も駐車可能である。
【0009】
この自動駐車サービスを利用するユーザが自車を自動駐車場2に駐車させるときには、例えば、自動運転可能な自車が乗降場3に到達したときに、例えば、ユーザの携帯端末から通信ネットワークを介して駐車管理サーバ5に、自車を識別するための車両IDと共に入庫要求を送信する。駐車管理サーバ5は、入庫要求を受信すると、車両が他車両や歩行者と接触することなく乗降場3から空の駐車スペースPに到達することのできる車両の走行ルートを設定し、この設定走行ルートをユーザの車両に送信する。ユーザの車両は、駐車管理サーバ5から設定走行ルートを受信すると、この設定走行ルートに沿って自動運転により乗降場3から空の駐車スペースPまで移動せしめられる。
【0010】
一方、ユーザが自車を自動駐車場2から出庫させるときも同様である。例えば、ユーザが乗降場3に到達すると、ユーザの携帯端末から通信ネットワークを介して駐車管理サーバ5に、自車を識別するための車両IDと共に出庫要求を送信する。駐車管理サーバ5は、出庫要求を受信すると、車両が他車両や歩行者と接触することなく駐車中の駐車スペースPから乗降場3に到達することのできる車両の走行ルートを設定し、この設定走行ルートをユーザの車両に送信する。ユーザの車両は、駐車管理サーバ5から設定走行ルートを受信すると、この設定走行ルートに沿って自動運転により駐車中の駐車スペースPから乗降場3まで移動せしめられる。
【0011】
さて、
図1Aに示されるように、自動駐車場2には、自動駐車場2内の全領域の状態を検出し得るように複数個のインフラセンサ6が設置されており、これらのインフラセンサ6は、
図1Bに示されるように、車両よりも高い位置に設置されている。これらのインフラセンサ6としては、カメラ、或いは、レーザセンサ等を用いることができるが、以下、インフラセンサ6として、カメラを用いた場合を例にとって説明する。即ち、インフラセンサ6により、自動駐車場2内を撮影している場合を例にとって説明する。この場合、各インフラセンサ6により、自動駐車場2内の全ての駐車スペースPおよび駐車スペースP間の全ての通路が撮影されており、各インフラセンサ6により撮影された画像信号は駐車管理サーバ5に送信される。駐車管理サーバ5では、これらの画像信号に基づいて、入出庫時における自動運転車両の走行ルートが設定される。
【0012】
図2は、
図1Aの駐車管理サーバ5を示している。
図2に示されるように、この駐車管理サーバ5内には電子制御ユニット10が設けられている。この電子制御ユニット10はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス11によって互いに接続されたCPU(マイクロプロセッサ)12、ROMおよびRAMからなるメモリ13および入出力ポート14を具備する。
図2に示されるように、電子制御ユニット10には、各インフラセンサ6により撮影された画像信号が入力される。また、電子制御ユニット10のメモリ13内には、自動駐車場2の地図データが記憶されている。
【0013】
図3は、太陽光発電機能を有する自動運転車両20の一例を図解的に示している。
図3を参照すると、21は車両20の駆動輪に駆動力を与えるための車両駆動部、22は車両駆動部21に電力を供給するためのバッテリ、23は車両20の屋根上に設置された太陽電池パネル、24は太陽電池パネル23において発電された電力をバッテリ22に充電するための充電制御装置、25は車両20を制動するための制動装置、26は車両20を操舵するための操舵装置、27は車両20内に搭載された電子制御ユニットを夫々示す。
図3に示されるように、電子制御ユニット27はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス28によって互いに接続されたCPU(マイクロプロセッサ)29、ROMおよびRAMからなるメモリ30および入出力ポート31を具備する。
【0014】
一方、
図3に示されるように、車両20には、車両20が自動運転を行うのに必要な各種センサ40、即ち、車両20の状態を検出するセンサおよび車両20の周辺を検出する周辺検知センサが設置されている。この場合、車両20の状態を検出するセンサとしては、加速度センサ、速度センサ、方位角センサが用いられており、車両20の周辺を検出する周辺検知センサとしては、車両20の前方、側方、後方を撮影する車載カメラ、ライダ(LIDAR)、レーダ等が用いられる。また、車両20には、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)受信装置41、地図データ記憶装置42、ナビゲーション装置43および各種操作をおこなうための操作部44が設けられている。GNSS受信装置41は、複数の人工衛星から得られる情報に基づいて、車両20の現在位置(例えば車両20の緯度及び経度)を検出することができる。従って、このGNSS受信装置41により車両20の現在位置を取得することができる。このGNSS受信装置41として、例えば、GPS受信装置が用いられる。
【0015】
一方、地図データ記憶装置42には、車両20が自動運転を行うのに必要な地図データ等が記憶されている。これらの各種センサ40、GNSS受信装置41、地図データ記憶装置42、ナビゲーション装置43および操作部44は、電子制御ユニット27に接続されている。また、車両20には、駐車管理サーバ5と通信を行うための通信装置45が搭載されており、
図2に示されるように、駐車管理サーバ5内には、車両20と通信を行うための通信装置15が設けられている。
図3に示される例では、車両駆動部21は、バッテリ22により駆動される電気モータより構成されており、車両20の駆動輪は、電子制御ユニット27の出力信号に従って、電気モータにより駆動制御される。また、車両20の制動制御は、電子制御ユニット27の出力信号に従って制動装置25により行われ、車両20の操舵制御は、電子制御ユニット27の出力信号に従って操舵装置26により行われる。
【0016】
さて、自動運転車両20が自動駐車場2に駐車している間に太陽電池パネル23により効率よく太陽光発電を行うためには、車両20を日の当たっている駐車スペースPに駐車させておく必要がある。そのためには、どの駐車スペースPが実際に日の当たっているかを判別する必要がある。一方、この場合、各インフラセンサ6により撮影された画像から、自動駐車場2内の全ての駐車スペースPおよび駐車スペースP間の全ての通路において日の当たっている領域と日の当たっていない領域の識別が可能である。そこで、本発明による実施例では、車両20を実際に日の当たっている駐車スペースPに駐車させるために、各インフラセンサ6により撮影された画像から、日の当たっている領域を特定するようにしている。
【0017】
次に、
図1A、
図4および
図5を参照しつつ、具体的な一例に基づいて、本発明の概要について説明する。最初に
図1Aを参照すると、
図1Aにおいて、破線により囲まれた領域X(領域周辺のみに斜線が付されている)は、或る日の正午における施設1による日影領域を示しており、一点鎖線により囲まれた領域Y(領域周辺の一部のみに斜線が付されている)は、同日の夕方における施設1による日影領域を示している。このように日影領域X,Yは、一日の間において位置が変化し、また、春夏秋冬のような季節の違いによっても位置が変化する。また、自動駐車場2内、或いは、自動駐車場2の周辺に太陽光を遮る構
造物等が設置された場合でも、日影領域が変化する。従って、自動駐車場2内において日の当たっている領域は、天気からだけでは判断できない。
【0018】
そこで、本発明による実施例では、各インフラセンサ6により撮影された画像から、日の当たっている領域を特定するようにしている。この場合、各駐車スペースPの領域の中で日の当たっている部分の割合を日当たり度Rと称すると、本発明による実施例では、各インフラセンサ6により撮影された画像から、各駐車スペースPの日当たり度Rを算出するようにしている。
図4は、
図1Aに示される駐車スペースPのうちの代表的な駐車スペースP
1、P
2,Pn,Pmにおける或る日の時刻6:00から時刻18:00までの間における日当たり度Rの変化を示しており、
図5は、同日の時刻6:00から時刻18:00までの間の一部の時間における代表的な駐車スペースP
1、P
2,Pn,Pmでの日当たり度Rの変化の一覧表を示している。なお、
図5に示す例では、10
分毎の日当たり度Rの変化が示されている。
【0019】
次に、
図6を参照しつつ、この日当たり度Rの算出方法について説明する。
図6は、日当たり度Rを算出するための日当たり度算出ルーチンを示しおり、このルーチンは、駐車管理サーバ5の電子制御ユニット10内において繰り返し実行されている。
図6を参照すると、初めに、ステップ50において、日当たり度Rの算出時刻になったか否かが判別される。本発明による実施例では、
図5に示されるように、10
分毎に日当たり度Rが求められており、例えば、時刻6:00、時刻6:10、時刻6:20が、日当たり度Rの算出時刻とされている。ステップ50において、日当たり度Rの算出時刻でないと判別されたときには処理サイクルを終了し、日当たり度Rの算出時刻になったと判別されたときにはステップ51に進む。
【0020】
ステップ51では、各インフラセンサ6の検出信号、即ち、画像信号が取得される。次いで、ステップ52では、これらの画像信号から、日当たり領域と日陰領域とが識別できるか否かが判別される。例えば、晴れているときには日当たり領域と日陰領域とが識別可能であると判別され、曇っているとき等、日が差していないときには、日当たり領域と日陰領域とが識別不可能であると判別される。ステップ52において、日当たり領域と日陰領域とが識別不可能であると判別されたときには処理サイクルを終了し、日当たり領域と日陰領域とが識別可能であると判別されたときにはステップ53に進む。
【0021】
ステップ53では、駐車管理サーバ5の電子制御ユニット10のメモリ13内に記憶されている自動駐車場2の地図データに基づいて、取得された各インフラセンサ6の画像信号から、
図1Aに示されるような自動駐車場21の平面地図上における日当たり領域が特定され、特定された日当たり領域と各駐車スペースPの位置から、各駐車スペースPの日当たり度Rが算出される。日当たり度Rが算出されると、ステップ54に進んで、駐車管理サーバ5の電子制御ユニット10のメモリ13内に記憶されている各駐車スペースPの日当たり度Rが更新される。従って、メモリ13内には、日当たり領域と日陰領域とが識別可能であった場合には、現在の実際の各駐車スペースPの日当たり度Rが記憶されており、日当たり領域と日陰領域とが識別不可能であった場合には、前回
算出された実際の各駐車スペースPの日当たり度R、即ち、最新の実際の各駐車スペースPの日当たり度Rが記憶されている。
【0022】
図7は、日当たり度Rに関する情報を提供するための情報提供ルーチンを示しおり、このルーチンは、駐車管理サーバ5の電子制御ユニット10内において繰り返し実行されている。
図7を参照すると、初めに、ステップ60において、メモリ13内に記憶されている各駐車スペースPの日当たり度Rが読み込まれる。次いで、ステップ61では、各駐車スペースPの日当たり度Rが、太陽光発電機能を有する車両20、或いは、自動駐車場2の利用者等の各駐車スペースPの日当たり度Rに関する情報の入手を必要とする対象に通知される。この場合、各駐車スペースPの日当たり度Rに関する情報の通知方法については、種々の方法がある。例えば、駐車管理サーバ5にアクセスすると、各駐車スペースPの日当たり度Rに関する情報を閲覧できるように構成することもできるし、各駐車スペースPの日当たり度Rに関する情報を、駐車管理サーバ5から通信ネットワークを介して、入手を必要とする対象に通知することもできる。
【0023】
このように、本発明による実施例では、駐車場2内の駐車スペースPの日当たり状態を検出可能なインフラセンサ6と、インフラセンサ6により検出された各駐車スペースPの日当たり状態を、太陽光発電機能を有する車両20および駐車場2の利用者の少なくとも一方に通知する通知装置が設けられている。この場合、本発明による実施例では、駐車管理サーバ5が、この通知装置を構成している。
【0024】
また、本発明による実施例では、一定時間毎の各駐車スペースPの日当たり状態が、太陽光発電機能を有する車両20および駐車場2の利用者の少なくとも一方に通知される。また、本発明による実施例では、インフラセンサ6により現在の実際の駐車場2内の駐車スペースPの日当たり状態を検出可能なときには、現在の実際の駐車場2内の駐車スペースPの日当たり状態が、インフラセンサ6により現在の実際の駐車場2内の駐車スペースPの日当たり状態を検出不可能なときには、最新の実際の駐車スペースPの日当たり状態が、太陽光発電機能を有する車両20および駐車場2の利用者の少なくとも一方に通知される。
【0025】
また、本発明による実施例では、インフラセンサ6により検出された各駐車スペースPの日当たり状態に基づき、駐車スペースP毎に日当たり度Rが求められ、この日当たり度Rが、太陽光発電機能を有する車両20および駐車場2の利用者の少なくとも一方に通知される。
【0026】
更に、本発明による実施例では、駐車場2内の駐車スペースPの日当たり状態を検出可能なインフラセンサ6を用い、インフラセンサ6により検出された各駐車スペースPの日当たり状態を、太陽光発電機能を有する車両20および駐車場2の利用者の少なくとも一方に通知する駐車場管理方法が提供される。
【0027】
また、本発明による実施例では、駐車場2内の駐車スペースPの日当たり状態を検出可能なインフラセンサ6を用い、インフラセンサ6により検出された各駐車スペースPの日当たり状態を、太陽光発電機能を有する車両20および駐車場2の利用者の少なくとも一方に通知するよう、コンピュータに機能させるプログラムが提供される。
【0028】
次に、自動運転車両20が自動駐車場2に駐車している間に太陽電池パネル23により太陽光発電を行わせるために、自動駐車サービスのユーザが、自動運転車両20を自動駐車場2に駐車させる場合に適用される自動駐車場2への入出庫方法について説明する。
図8は、この自動駐車場2への入出庫方法を実施するための入出庫管理ルーチンを示しており、このルーチンは、駐車管理サーバ5の電子制御ユニット10内において繰り返し実行される。
【0029】
図8を参照すると、初めに、ステップ70において、自動駐車場2への入庫要求があったか否かが判別される。自動駐車場2への入庫要求があったと判別されたときには、ステップ71に進んで、駐車中に太陽電池パネル23により太陽光発電を行う発電要求があったか否かが判別される。太陽電池パネル23により太陽光発電を行う発電要求がないと判別されたときには処理サイクルを終了する。これに対し、太陽電池パネル23により太陽光発電を行う発電要求があったと判別されたときには、ステップ72に進んで、自動運転車両20の車両IDが取得される。なお、自動駐車場2への入庫要求を行うときには、予定出庫時刻の登録が要求されており、ステップ73では、登録された予定出庫時刻が取得される。次いで、ステップ74では、予定出庫時刻前に自動運転車両20の駐車場所を移動するための移動時刻が設定される。この移動時刻は、例えば、予定出庫時刻の30分前とされる。
【0030】
次いで、ステップ75では、
図5に示される一覧表に基づいて、入庫時刻から移動時刻までの間、日当たり
度Rの大きい空の駐車スペースP、好ましくは、日当たり
度Rが100パーセントである空の駐車スペースPが検索され、日当たり
度Rの大きい空の駐車スペースPが移動目標地として設定される。次いで、ステップ76では、メモリ13内に記憶されている自動駐車場2の地図データに基づいて、乗降場3から、設定された移動目的地までの走行ルートが設定される。次いで、ステップ77では、メモリ13内に記憶されている自動駐車場2の地図データおよびインフラセンサ6の画像信号に基づいて、他車両や歩行者と接触することのない自動運転車両20の走行軌跡および走行速度が決定される。
【0031】
この場合、自動運転車両20が移動目的地に到達して設定された駐車スペースPに駐車したときに、太陽光が自動運転車両20のフロント側よりもリア側に強く当たるように、
設定された駐車スペースPへの自動運転車両20の駐車姿勢も含めて自動運転車両20の走行軌跡および走行速度を決定することもできる。このように、太陽光が自動運転車両20のフロント側よりもリア側に強く当たるように駐車させると、ヘッドライトの黄ばみを防止できると共に、ドライブレコーダの加熱を防止できるという利点がある。次いで、ステップ78では、自動運転車両20の自動運転実行指令が発せられ、次いで、ステップ79では、設定された移動目的地、走行ルート、走行軌跡、走行速度および自動運転実行指令が駐車管理サーバ5から自動運転車両20に送信される。
【0032】
駐車管理サーバ5から自動運転車両20に自動運転実行指令が送信されると、自動運転車両20の自動運転制御が開始される。
図9は、この自動運転車両20の自動運転制御を行うための自動運転制御ルーチンを示しており、このルーチンは、車両20に搭載された電子制御ユニット27において繰り返し実行される。
【0033】
図9を参照すると、まず初めに、ステップ90では、駐車管理サーバ5において設定された移動目的地が取得され、次いで、ステップ91では、駐車管理サーバ5において設定された走行ルートが取得され、ステップ92では、駐車管理サーバ5において設定された走行軌跡および走行速度が取得される。次いで、ステップ93では、設定された走行軌跡に沿い、自動運転車両20の前方等を撮影するカメラ、ライダ(LIDAR)、レーダ等の検出結果に基づいて、他車両や歩行者と接触することのないように、自動運転車両20の走行制御が行われる。次いで、ステップ94では、自動運転車両20が移動目的地に到達したか否かが判別される。自動運転車両20が移動目的地に到達していないと判別されたときには、ステップ93に戻り、自動運転車両20の自動運転が続行される。一方、ステップ94において、自動運転車両20が移動目的地に到達したと判別されたときには、ステップ95に進んで、自動運転車両20の自動運転制御が終了する。
【0034】
再び、
図8に戻り、ステップ70において、自動駐車場2への入庫要求が出ていないと判別されたときには、ステップ80に進み、現在の時刻が、ステップ74において設定された移動時刻になったか否かが判別される。現在の時刻が、ステップ74において設定された移動時刻になっていないと判別されたときには、処理サイクルを終了する。これに対し、現在の時刻が、ステップ74において設定された移動時刻になったと判別されたときには、ステップ81に進み、
図5に示される一覧表に基づいて、現在から予定出庫時刻までの間、日当たり度Rの低い空の駐車スペースP、好ましくは、日陰となる空の駐車スペースPが検索され、現在から予定出庫時刻までの間、日当たり度Rの低い空の駐車スペースP、好ましくは、日陰となる空の駐車スペースPが、新たな移動目標地として設定される。
【0035】
次いで、ステップ82では、メモリ13内に記憶されている自動駐車場2の地図データに基づいて、現在の駐車スペースP3から、設定された新たな移動目的地までの走行ルートが設定される。次いで、ステップ83では、メモリ13内に記憶されている自動駐車場2の地図データおよびインフラセンサ6の画像信号に基づいて、他車両や歩行者と接触することのない自動運転車両20の走行軌跡および走行速度が決定される。次いで、ステップ78では、自動運転車両20の自動運転実行指令が発せられ、次いで、ステップ79では、設定された新たな移動目的地、走行ルート、走行軌跡、走行速度および自動運転実行指令が駐車管理サーバ5から自動運転車両20に送信される。駐車管理サーバ5から自動運転車両20に自動運転実行指令が送信されると、
図9に示される自動運転制御ルーチンが実行され、設定された新たな移動目的地まで、自動運転車両20の自動運転が行われる。
【0036】
このように、
図8および
図9に示される実施例では、インフラセンサ6により検出された各駐車スペースPの日当たり状態に基づき、日当たり度Rの高い駐車スペースPと日当たり度Rの低い駐車スペースPとが識別され、太陽光発電機能を有する自動運転車両20の入庫要求があったときには、自動運転車両20が自動運転により日当たり度Rの高い駐車スペースPに移動して駐車せしめられる。この場合、
図8および
図9に示される実施例では、日当たり度Rの高い駐車スペースPに駐車している自動運転車両20が、予定出庫時刻前に、日当たり度Rの低い駐車スペースP、好ましくは、日陰となる駐車スペースPに移動せしめられる。
【0037】
このように、日当たり度Rの高い駐車スペースPに駐車している自動運転車両20を、予定出庫時刻前に、日当たり度Rの低い駐車スペースP、好ましくは、日陰となる駐車スペースPに移動させることによって、自動運転車両20が出庫されるまでに、自動運転車両20の室内温を低下させておくことができる。なお、この場合、自動運転車両20が出庫されるまでに、自動運転車両20の室内温を十分に低下させることができるように、駐車中の自動運転車両20の室内温、或いは、太陽の位置に応じて、移動時刻と予定出庫時刻との時間間隔を変更することもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 施設
2 自動駐車場
3 乗降場
5 駐車管理サーバ
6 インフラセンサ
20 自動運転車両
P 駐車スペース