(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】車両運転支援装置及び車両運転支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240903BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20240903BHJP
B60W 30/08 20120101ALI20240903BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20240903BHJP
B60W 50/08 20200101ALI20240903BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60T7/12 C
B60W30/08
B60W40/02
B60W50/08
(21)【出願番号】P 2021139773
(22)【出願日】2021-08-30
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 真
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-540070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60T 7/12
B60W 30/08
B60W 40/02
B60W 50/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の前方の物体に該自車両が衝突することを回避するための衝突回避制御として、前記自車両の運転者に対する警報を行う警報制御、及び、前記自車両の減速を行う減速制御を実行する車両運転支援装置
であって、
前記物体に前記自車両が衝突する可能性が高くなるほど小さくなる衝突指標値が第1指標値まで小さくなった場合、前記警報制御を実行し、
前記衝突指標値が前記第1指標値よりも小さい第2指標値まで小さくなったときに前記運転者による前記自車両の操作子に対する操作状態に基づいて前記運転者が前記物体の存在を認識しているとの物体認識条件が成立していないと判定した場合、前記減速制御を実行し、
前記衝突指標値が前記第2指標値まで小さくなっても、前記運転者による前記自車両の前記操作子に対する操作に基づいて前記物体認識条件が成立していると判定した場合、前記減速制御を実行しない、
ように構成されている車両運転支援装置
において、
前記自車両のアクセル操作子に対する操作状態及び前記自車両のブレーキ操作子に対する操作状態に基づいて前記物体認識条件が成立しているか否かを判定し、
前記ブレーキ操作子が操作されておらず且つ前記アクセル操作子が操作されている場合、前記物体認識条件が成立していないと判定する、
ように構成されている車両運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両運転支援装置において、
前記アクセル操作子が操作されていない状態が所定時間、継続したときに前記ブレーキ操作子が操作されていない場合、前記物体認識条件が成立していないと判定するように構成されている車両運転支援装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両運転支援装置において、
前記自車両の変速比を大きくするための操作が前記自車両の操作子に対して行われた場合、前記物体認識条件が成立していると判定し、
前記自車両の変速比を大きくするための操作が前記自車両の操作子に対して行われていない場合、前記物体認識条件が成立していないと判定する、
ように構成されている車両運転支援装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の車両運転支援装置において、
前記自車両の進路を変更するための操作が前記自車両の操作子に対して行われた場合、前記物体認識条件が成立していると判定し、
前記自車両の進路を変更するための操作が前記自車両の操作子に対して行われていない場合、前記物体認識条件が成立していないと判定する、
ように構成されている車両運転支援装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の車両運転支援装置において、
前記減速制御の開始後、前記衝突指標値が前記第2指標値よりも小さい第3指標値まで小さくなった場合、前記自車両を停止させるための停止制御を実行するように構成されている車両運転支援装置。
【請求項6】
自車両の前方の物体に該自車両が衝突することを回避するための衝突回避制御として、前記自車両の運転者に対する警報を行う警報制御、及び、前記自車両の減速を行う減速制御を実行する車両運転支援プログラムであって、
前記物体に前記自車両が衝突する可能性が高くなるほど小さくなる衝突指標値が第1指標値まで小さくなった場合、前記警報制御を実行し、
前記衝突指標値が前記第1指標値よりも小さい第2指標値まで小さくなったときに前記運転者による前記自車両の操作子に対する操作状態に基づいて前記運転者が前記物体の存在を認識しているとの物体認識条件が成立していないと判定した場合、前記減速制御を実行し、
前記衝突指標値が前記第2指標値まで小さくなっても、前記運転者による前記自車両の前記操作子に対する操作に基づいて前記物体認識条件が成立していると判定した場合、前記減速制御を実行しない、
ように構成されている車両運転支援プログラムにおいて、
前記自車両のアクセル操作子に対する操作状態及び前記自車両のブレーキ操作子に対する操作状態に基づいて前記物体認識条件が成立しているか否かを判定し、
前記ブレーキ操作子が操作されておらず且つ前記アクセル操作子が操作されている場合、前記物体認識条件が成立していないと判定する、
ように構成されている車両運転支援プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の車両運転支援プログラムにおいて、
前記アクセル操作子が操作されていない状態が所定時間、継続したときに前記ブレーキ操作子が操作されていない場合、前記物体認識条件が成立していないと判定するように構成されている車両運転支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転支援装置及び車両運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の前方の物体に自車両が衝突することを回避するための衝突回避制御として、自車両の運転者に対する警報を行う警報制御、及び、自車両の減速を行う減速制御を実行する車両運転支援装置が知られている。又、こうした車両運転支援装置として、減速制御を実行するか否かを判断するための条件として、運転者が脇見をしているか否かを条件とする車両運転支援装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
上述したように、減速制御を実行するか否かを判断するための条件は、減速制御を実行することが必要であるか否かを適切に判断するための条件であるが、そうした条件として、運転者が脇見をしているか否かを条件とする場合、運転者が脇見をしているか否かを判断するために、例えば、運転者の顔を撮影するカメラ(いわゆるドライバーモニターカメラ)を自車両に搭載する必要がある。ところが、こうしたカメラを自車両に搭載すると、その分、コストが上昇してしまうので、好ましくない。
【0005】
本発明の目的は、運転者の顔を撮影するカメラを必要とせずに減速制御を実行する必要があるか否かを適切に判断することができる車両運転支援装置及び車両運転支援プログラムを提供することにある。
【0006】
本発明に係る車両運転支援装置は、自車両の前方の物体に該自車両が衝突することを回避するための衝突回避制御として、前記自車両の運転者に対する警報を行う警報制御、及び、前記自車両の減速を行う減速制御を実行する。
【0007】
そして、本発明に係る車両運転支援装置は、前記物体に前記自車両が衝突する可能性が高くなるほど小さくなる衝突指標値が第1指標値まで小さくなった場合、前記警報制御を実行するように構成されている。又、本発明に係る車両運転支援装置は、前記衝突指標値が前記第1指標値よりも小さい第2指標値まで小さくなったときに前記運転者による前記自車両の操作子に対する操作状態に基づいて前記運転者が前記物体の存在を認識しているとの物体認識条件が成立していないと判定した場合、前記減速制御を実行するように構成されている。一方、本発明に係る車両運転支援装置は、前記衝突指標値が前記第2指標値まで小さくなっても、前記運転者による前記自車両の前記操作子に対する操作に基づいて前記物体認識条件が成立していると判定した場合、前記減速制御を実行しないように構成されている。
更に、本発明に係る車両運転支援装置は、前記自車両のアクセル操作子に対する操作状態及び前記自車両のブレーキ操作子に対する操作状態に基づいて前記物体認識条件が成立しているか否かを判定するように構成されている。
更に、本発明に係る車両運転支援装置は、前記ブレーキ操作子が操作されておらず且つ前記アクセル操作子が操作されている場合、前記物体認識条件が成立していないと判定するように構成されている。
【0008】
自車両の前方の物体(前方物体)に自車両が衝突する可能性が生じたときに運転者に対して警報を行っても、運転者が前方物体に気づかず、従って、運転者が前方物体の存在を認識していない場合、運転者に対して減速制御のような更なる警報を行うことが好ましい。この場合、運転者が前方物体の存在を認識しているか否かを判断する手段として、例えば、運転者の顔を撮影するカメラを自車両に搭載し、そのカメラにより撮影される運転者の画像を用いる手段が考えられる。しかしながら、これによると、こうしたカメラを自車両に搭載する分、コストが上昇してしまい、好ましくない。
【0009】
一方、警報が行われ、その警報により運転者が前方物体の存在を認識した場合、運転者は、その前方物体と自車両との衝突を避けようとするはずである。そして、運転者が前方物体と自車両との衝突を避けようとすれば、運転者は、自車両の操作子を操作したり操作子に対する操作を止めたりするはずである。従って、警報が開始された後の自車両の操作子の操作状態に基づいて運転者が前方物体の存在を認識しているか否かを判定することができる。
【0010】
本発明に係る車両運転支援装置は、運転者による自車両の操作子に対する操作状態に基づいて運転者が前方物体の存在を認識しているか否か(即ち、物体認識条件が成立しているか否か)を判定する。そして、本発明に係る車両運転支援装置は、衝突指標値が第2指標値まで小さくなったときに物体認識条件が成立していないと判定した場合、減速制御を実行し、一方、衝突指標値が第2指標値まで小さくなっても、物体認識条件が成立していると判定した場合、減速制御を実行しない。従って、本発明に係る車両運転支援装置は、運転者の顔を撮影するカメラを必要とせずに減速制御を実行する必要があるか否かを適切に判断することができる。
【0012】
そして、警報が行われ、その警報により運転者が前方物体の存在を認識し、その前方物体と自車両との衝突を避けようとしたとき、運転者が自車両のアクセル操作子及びブレーキ操作子に対する操作を変えると考えられる。従って、警報が開始された後のアクセル操作子及びブレーキ操作子に対する操作状態に基づいて運転者が前方物体の存在を認識しているか否かを判定することができる。
【0013】
本発明に係る車両運転支援装置は、アクセル操作子及びブレーキ操作子の操作状態に基づいて運転者が前方物体の存在を認識しているか否か(即ち、物体認識条件が成立しているか否か)を判定する。従って、本発明に係る車両運転支援装置は、運転者の顔を撮影するカメラを必要とせずに減速制御を実行する必要があるか否かを適切に判断することができる。
【0015】
そして、警報が行われ、その警報により運転者が前方物体の存在を認識し、その前方物体と自車両との衝突を避けようとしたとき、運転者が自車両のアクセル操作子に対する操作を止め、ブレーキ操作子を操作することが考えられる。従って、運転者がブレーキ操作子を操作しておらず、アクセル操作子を操作している場合、運転者は、前方物体の存在を認識していない可能性がある。
【0016】
本発明に係る車両運転支援装置は、ブレーキ操作子が操作されておらず且つアクセル操作子が操作されている場合、運転者が前方物体の存在を認識していない、即ち、物体認識条件が成立していないと判定する。従って、本発明に係る車両運転支援装置は、運転者の顔を撮影するカメラを必要とせずに減速制御を実行する必要があるか否かを適切に判断することができる。
【0017】
又、本発明に係る車両運転支援装置は、前記アクセル操作子が操作されていない状態が所定時間、継続したときに前記ブレーキ操作子が操作されていない場合、前記物体認識条件が成立していないと判定するように構成され得る。
【0018】
警報が行われ、その警報により運転者が前方物体の存在を認識し、その前方物体と自車両との衝突を避けようとしたとき、運転者が自車両のアクセル操作子に対する操作を止め、その後、ブレーキ操作子を操作することにより、自車両を減速させようとすることが考えられる。従って、運転者がアクセル操作子に対する操作を止めた後、一定時間が経過しても、ブレーキ操作子を操作していない場合、運転者は、前方物体の存在を認識していない可能性がある。
【0019】
本発明に係る車両運転支援装置は、アクセル操作子が操作されていない状態が所定時間、継続したときにブレーキ操作子が操作されていない場合、運転者が前方物体の存在を認識していない、即ち、物体認識条件が成立していないと判定する。従って、本発明に係る車両運転支援装置は、運転者の顔を撮影するカメラを必要とせずに減速制御を実行する必要があるか否かを適切に判断することができる。
【0020】
又、本発明に係る車両運転支援装置は、前記自車両の変速比を大きくするための操作が前記自車両の操作子に対して行われた場合、前記物体認識条件が成立していると判定し、前記自車両の変速比を大きくするための操作が前記自車両の操作子に対して行われていない場合、前記物体認識条件が成立していないと判定するように構成され得る。
【0021】
警報が行われ、その警報により運転者が前方物体の存在を認識し、その前方物体と自車両との衝突を避けようとしたとき、運転者が自車両の変速比を大きくすることにより、自車両を減速させるようとすることが考えられる。従って、運転者が自車両の変速比を大きくする操作を自車両の操作子に対して行っていない場合、運転者は、前方物体の存在を認識していない可能性がある。
【0022】
本発明に係る車両運転支援装置は、自車両の変速比を大きくするための操作が自車両の操作子に対して行われた場合、運転者が前方物体の存在を認識している、即ち、物体認識条件が成立していると判定し、一方、自車両の変速比を大きくするための操作が自車両の操作子に対して行われていない場合、運転者が前方物体の存在を認識していない、即ち、物体認識条件が成立していないと判定する。従って、本発明に係る車両運転支援装置は、運転者の顔を撮影するカメラを必要とせずに減速制御を実行する必要があるか否かを適切に判断することができる。
【0023】
又、本発明に係る車両運転支援装置は、前記自車両の進路を変更するための操作が前記自車両の操作子に対して行われた場合、前記物体認識条件が成立していると判定し、前記自車両の進路を変更するための操作が前記自車両の操作子に対して行われていない場合、前記物体認識条件が成立していないと判定するように構成され得る。
【0024】
警報が行われ、その警報により運転者が前方物体の存在を認識し、その前方物体と自車両との衝突を避けようとしたとき、自車両の進路を変更することにより自車両と前方物体との衝突を避けようとすることが考えられる。従って、運転者が自車両の進路を変更する操作を自車両の操作子に対して行っていない場合、運転者は、前方物体の存在を認識していない可能性がある。
【0025】
本発明に係る車両運転支援装置は、自車両の進路を変更するための操作が自車両の操作子に対して行われた場合、運転者が前方物体の存在を認識している、即ち、物体認識条件が成立していると判定し、一方、自車両の進路を変更するための操作が自車両の操作子に対して行われていない場合、運転者が前方物体の存在を認識していない、即ち、物体認識条件が成立していないと判定する。従って、本発明に係る車両運転支援装置は、運転者の顔を撮影するカメラを必要とせずに減速制御を実行する必要があるか否かを適切に判断することができる。
【0026】
又、本発明に係る車両運転支援装置は、前記減速制御の開始後、前記衝突指標値が前記第2指標値よりも小さい第3指標値まで小さくなった場合、前記自車両を停止させるための停止制御を実行するように構成され得る。
【0027】
自車両が前方物体に接近した場合、前方物体と自車両との衝突を回避するために自車両を強制的に停止させることが好ましい。
【0028】
本発明に係る車両運転支援装置は、減速制御の開始後、衝突指標値が第3指標値まで小さくなった場合、停止制御を実行して自車両を停止させる。従って、本発明に係る車両運転支援装置は、自車両と前方物体との衝突を確実に回避することができる。
【0029】
又、本発明に係る車両運転支援プログラムは、自車両の前方の物体に該自車両が衝突することを回避するための衝突回避制御として、前記自車両の運転者に対する警報を行う警報制御、及び、前記自車両の減速を行う減速制御を実行する。
【0030】
そして、本発明に係る車両運転支援プログラムは、前記物体に前記自車両が衝突する可能性が高くなるほど小さくなる衝突指標値が第1指標値まで小さくなった場合、前記警報制御を実行するように構成されている。又、本発明に係る車両運転支援プログラムは、前記衝突指標値が前記第1指標値よりも小さい第2指標値まで小さくなったときに前記運転者による前記自車両の操作子に対する操作状態に基づいて前記運転者が前記物体の存在を認識しているとの物体認識条件が成立していないと判定した場合、前記減速制御を実行するように構成されている。一方、本発明に係る車両運転支援プログラムは、前記衝突指標値が前記第2指標値まで小さくなっても、前記運転者による前記自車両の前記操作子に対する操作に基づいて前記物体認識条件が成立していると判定した場合、前記減速制御を実行しないように構成されている。
更に、本発明に係る車両運転支援プログラムは、前記自車両のアクセル操作子に対する操作状態及び前記自車両のブレーキ操作子に対する操作状態に基づいて前記物体認識条件が成立しているか否かを判定するように構成されている。
更に、本発明に係る車両運転支援プログラムは、前記ブレーキ操作子が操作されておらず且つ前記アクセル操作子が操作されている場合、前記物体認識条件が成立していないと判定するように構成されている。
【0031】
本発明に係る車両運転支援プログラムによれば、先に述べた理由と同じ理由から、運転者の顔を撮影するカメラを必要とせずに減速制御を実行する必要があるか否かを適切に判断することができる。
【0033】
更に、本発明に係る車両運転支援プログラムによれば、先に述べた理由と同じ理由から、運転者の顔を撮影するカメラを必要とせずに減速制御を実行する必要があるか否かを適切に判断することができる。
【0035】
更に、本発明に係る車両運転支援プログラムによれば、先に述べた理由と同じ理由から、運転者の顔を撮影するカメラを必要とせずに減速制御を実行する必要があるか否かを適切に判断することができる。
【0036】
又、本発明に係る車両運転支援プログラムは、前記アクセル操作子が操作されていない状態が所定時間、継続したときに前記ブレーキ操作子が操作されていない場合、前記物体認識条件が成立していないと判定するように構成され得る。
【0037】
本発明に係る車両運転支援プログラムによれば、先に述べた理由と同じ理由から、運転者の顔を撮影するカメラを必要とせずに減速制御を実行する必要があるか否かを適切に判断することができる。
【0038】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置及びその車両運転支援装置が搭載された車両(自車両)を示した図である。
【
図2】
図2は、自車両とその前方の物体(車両)との間の距離等を示した図である。
【
図3】
図3の(A)は、自車両の予測走行領域を示した図であり、
図3の(B)は、自車両の予測走行領域に物体(車両)が存在している場面を示した図である。
【
図4】
図4の(A)は、自車両の予測走行領域に存在する物体(車両)に自車両が近づいて警報条件が成立した場面を示した図であり、
図4の(B)は、自車両の予測走行領域に存在する物体(車両)に自車両が更に近づいて停止条件が成立した場面を示した図である。
【
図5】
図5の(A)は、停止制御が開始された場面を示した図であり、
図5の(B)は、停止制御により自車両が停止された場面を示した図である。
【
図6】
図6は、操舵回避制御に用いられる目標回避経路を示した図である。
【
図7】
図7の(A)は、停止制御及び操舵回避制御が開始され、操舵回避制御により自車両が目標回避経路に沿って旋回し始めた場面を示した図であり、
図7の(B)は、操舵回避制御により自車両が前方の物体(車両)の横を通過する場面を示した図であり、
図7の(C)は、停止制御により自車両が前方の物体(車両)の横で停止された場面を示した図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置について説明する。
図1に示したように、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置10は、自車両100に搭載されている。以下の説明において、自車両100の運転者を「運転者DR」と表記する。
【0041】
<ECU>
車両運転支援装置10は、ECU90を備えている。ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称である。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。CPUは、ROMに格納されたインストラクション又はプログラム又はルーチンを実行することにより、各種機能を実現するようになっている。
【0042】
<車両走行装置>
自車両100には、車両走行装置20が搭載されている。車両走行装置20は、駆動装置21、制動装置22、操舵装置23及びトランスミッション装置24を備えている。
【0043】
<駆動装置>
駆動装置21は、自車両100を走行させるために自車両100に付加される駆動トルク(駆動力)を出力する装置であり、例えば、内燃機関及びモータ等である。駆動装置21は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、駆動装置21の作動を制御することにより駆動装置21から出力される駆動トルクを制御することができる。
【0044】
<制動装置>
制動装置22は、自車両100を制動するために自車両100に付加される制動トルク(制動力)を出力する装置であり、例えば、ブレーキ装置である。制動装置22は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、制動装置22の作動を制御することにより制動装置22から出力される制動トルクを制御することができる。
【0045】
<操舵装置>
操舵装置23は、自車両100を操舵するために自車両100に付加される操舵トルク(操舵力)を出力する装置であり、例えば、パワーステアリング装置である。操舵装置23は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、操舵装置23の作動を制御することにより操舵装置23から出力される操舵トルクを制御することができる。
【0046】
<トランスミッション装置>
トランスミッション装置24は、駆動装置21から出力される駆動力を自車両100の駆動輪に伝達させるか否かを切り替えたり、自車両100を前進させるように駆動力を駆動輪に伝達するか或いは自車両100を後退させるように駆動力を駆動輪に伝達するかを切り替えたりする装置である。更に、トランスミッション装置24は、自車両100の変速比を変更する装置でもある。より具体的には、トランスミッション装置24は、駆動装置21によりトランスミッション装置24に入力される回転を変速して出力する装置でもある。更に、トランスミッション装置24は、当該トランスミッション装置24のギアに爪状の部品(パーキングロックポール)を掛けることによりギアを回転しないようにロックすることにより自車両100を停止した状態に保持したりする装置でもある。
【0047】
トランスミッション装置24は、自車両100を前進させるように駆動力を駆動輪に伝達する状態であって変速比が比較的小さい状態(Dレンジ状態)、自車両100を前進させるように駆動力を駆動輪に伝達する状態であって変速比が比較的大きい状態(Bレンジ状態)、自車両100を後退させるように駆動力を駆動輪に伝達する状態(Rレンジ状態)、駆動力を自車両100の駆動輪に伝達させない状態(Nレンジ状態)及び自車両100を停止した状態に保持する状態(Pレンジ状態)の何れかの状態で作動する。
【0048】
トランスミッション装置24は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、トランスミッション装置24の作動を制御することによりトランスミッション装置24をDレンジ状態、Rレンジ状態、Nレンジ状態及びPレンジ状態の何れかの状態に設定することができる。
【0049】
<ウインカー>
更に、自車両100には、ウインカー31が搭載されている。ウインカー31は、自車両100の左前方のコーナー部分、右前方のコーナー部分、左後方のコーナー部分及び右後方のコーナー部分に設けられている。ウインカー31は、ECU90に電気的に接続されている。ウインカー31は、ECU90から送信される各種の指令信号に応じて点滅する。
【0050】
<警報装置>
更に、自車両100には、警報装置40が搭載されている。警報装置40は、運転者DRに対する各種の警報を行う装置であり、本例においては、表示装置41及び音響装置42を備えている。
【0051】
<表示装置>
表示装置41は、各種の画像を表示する装置であって、例えば、いわゆるコンビネーションメーター内に設けられたディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ又はカーナビゲーション装置のディスプレイ等である。表示装置41は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、表示装置41に各種の画像を表示させることができる。
【0052】
<音響装置>
音響装置42は、各種の通知音、警報音、通知音声又は警報音声を出力する装置であって、例えば、ブザー又はスピーカーである。音響装置42は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、音響装置42から各種の通知音、警報音、通知音声又は警報音声を出力させることができる。
【0053】
<センサ等>
更に、自車両100には、アクセルペダル51(アクセル操作子)、アクセルペダル操作量センサ52、ブレーキペダル53(ブレーキ操作子)、ブレーキペダル操作量センサ54、ハンドル55(進路変更操作子)、ステアリングシャフト56、操舵角センサ57、操舵トルクセンサ58、シフトレバー61(変速操作子)、シフトセンサ62、ウインカーレバー63(進路変更操作子)、車速検出装置64及び周辺情報検出装置70が搭載されている。
【0054】
<アクセルペダル操作量センサ>
アクセルペダル操作量センサ52は、アクセルペダル51の操作量を検出するセンサであり、ECU90に電気的に接続されている。アクセルペダル操作量センサ52は、検出したアクセルペダル51の操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてアクセルペダル51の操作量をアクセルペダル操作量APとして取得する。ECU90は、アクセルペダル操作量AP及び自車両100の車速V100に基づいて要求駆動トルク(要求駆動力)を演算により取得する。要求駆動トルクは、駆動装置21に出力が要求されている駆動トルクである。ECU90は、要求駆動トルクが出力されるように駆動装置21の作動を制御する。尚、ECU90は、後述する減速制御又は停止制御を実行する場合、アクセルペダル操作量APにかかわりなく、要求駆動トルクを適宜決定し、その要求駆動トルクが出力されるように駆動装置21の作動を制御する。
【0055】
<ブレーキペダル操作量センサ>
ブレーキペダル操作量センサ54は、ブレーキペダル53の操作量を検出するセンサであり、ECU90に電気的に接続されている。ブレーキペダル操作量センサ54は、検出したブレーキペダル53の操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてブレーキペダル53の操作量をブレーキペダル操作量BPとして取得する。ECU90は、ブレーキペダル操作量BPに基づいて要求制動トルク(要求制動力)を演算により取得する。要求制動トルクは、制動装置22に出力が要求されている制動トルクである。ECU90は、要求制動トルクが出力されるように制動装置22の作動を制御する。尚、ECU90は、後述する減速制御又は停止制御を実行する場合、ブレーキペダル操作量BPにかかわりなく、要求制動トルクを適宜決定し、その要求制動トルクが出力されるように制動装置22の作動を制御する。
【0056】
<操舵角センサ>
操舵角センサ57は、中立位置に対するステアリングシャフト56の回転角度を検出するセンサであり、ECU90に電気的に接続されている。操舵角センサ57は、検出したステアリングシャフト56の回転角度の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてステアリングシャフト56の回転角度を操舵角θとして取得する。
【0057】
<操舵トルクセンサ>
操舵トルクセンサ58は、運転者DRがハンドル55を介してステアリングシャフト56に入力したトルクを検出するセンサであり、ECU90に電気的に接続されている。操舵トルクセンサ58は、検出したトルクの情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて運転者DRがハンドル55を介してステアリングシャフト56に入力したトルク(ドライバー入力トルク)を取得する。
【0058】
<シフトセンサ>
シフトセンサ62は、シフトレバー61の設定位置を検出するセンサである。シフトレバー61は、運転者DRにより操作される装置であり、運転者DRが設定可能なシフトレバー61の設定位置は、高速前進位置(Dレンジ)、低速前進位置(Bレンジ)、後退位置(Rレンジ)、中立位置(Nレンジ)及び駐車位置(Pレンジ)である。シフトセンサ62は、ECU90に電気的に接続されている。シフトセンサ62は、検出したシフトレバー61の設定位置を示す信号をECU90に送信する。
【0059】
シフトセンサ62は、シフトレバー61がDレンジに設定されると、そのことを示す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号を受信すると、トランスミッション装置24がDレンジ状態となるようにトランスミッション装置24の作動を制御する。又、シフトセンサ62は、シフトレバー61がBレンジに設定されると、そのことを示す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号を受信すると、トランスミッション装置24がBレンジ状態となるようにトランスミッション装置24の作動を制御する。
【0060】
又、シフトセンサ62は、シフトレバー61がRレンジに設定されると、そのことを示す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号を受信すると、トランスミッション装置24がRレンジ状態となるようにトランスミッション装置24の作動を制御する。又、シフトセンサ62は、シフトレバー61がNレンジに設定されると、そのことを示す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号を受信すると、トランスミッション装置24がNレンジ状態となるようにトランスミッション装置24の作動を制御する。又、シフトセンサ62は、シフトレバー61がPレンジに設定されると、そのことを示す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号を受信すると、トランスミッション装置24がPレンジ状態となるようにトランスミッション装置24の作動を制御する。
【0061】
<ウインカーレバー>
ウインカーレバー63は、運転者DRにより操作されるレバーである。運転者DRがウインカーレバー63を反時計回りに操作した場合、ウインカーレバー63は、運転者DRがウインカーレバー63を反時計回りに操作したことを表す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号を受信すると、左前方のコーナー部分及び左後方のコーナー部分に設けられたウインカー31をそれぞれ点滅させる。一方、運転者DRがウインカーレバー63を時計回りに操作した場合、ウインカーレバー63は、運転者DRがウインカーレバー63を時計回りに操作したことを表す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号を受信すると、右前方のコーナー部分及び右後方のコーナー部分に設けられたウインカー31をそれぞれ点滅させる。
【0062】
<車速検出装置>
車速検出装置64は、自車両100の車速を検出する装置であり、例えば、車輪速センサである。車速検出装置64は、ECU90に電気的に接続されている。車速検出装置64は、検出した自車両100の車速の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100の車速V100を取得する。
【0063】
ECU90は、操舵角θ、ドライバー入力トルク及び車速V100に基づいて要求操舵トルクを演算により取得する。要求操舵トルクは、操舵装置23に出力が要求されている操舵トルクである。ECU90は、要求操舵トルクが操舵装置23から出力されるように操舵装置23の作動を制御する。尚、ECU90は、後述する操舵回避制御を実行する場合、操舵角θ等にかかわりなく、自車両100を目標回避経路R_TGTに沿って走行させるのに必要な操舵トルクを要求操舵トルクとして適宜決定し、その要求操舵トルクが出力されるように操舵装置23の作動を制御する。
【0064】
<周辺情報検出装置>
周辺情報検出装置70は、自車両100の周辺の情報を検出する装置であり、本例においては、電波センサ71及び画像センサ72を備えている。電波センサ71は、例えば、レーダセンサ(ミリ波レーダ等)である。画像センサ72は、例えば、カメラである。尚、周辺情報検出装置70は、超音波センサ(クリアランスソナー)等の音波センサやレーザーレーダ(LiDAR)等の光センサを備えていてもよい。
【0065】
<電波センサ>
電波センサ71は、ECU90に電気的に接続されている。電波センサ71は、電波を発信するとともに、物体で反射した電波(反射波)を受信する。電波センサ71は、発信した電波及び受信した電波(反射波)に係る情報(検知結果)をECU90に送信する。別の言い方をすると、電波センサ71は、自車両100の周辺に存在する物体を検知し、その検知した物体に係る情報(検知結果)をECU90に送信する。ECU90は、その情報(電波情報)に基づいて自車両100の周辺に存在する物体に係る情報(周辺検出情報INF_S)を取得することができる。尚、本例において、物体は、車両、自動二輪車、自転車及び人等である。
【0066】
<画像センサ>
画像センサ72も、ECU90に電気的に接続されている。画像センサ72は、自車両100の周辺を撮像し、撮像した画像に係る情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報(画像情報)に基づいて自車両100の周辺に関する情報(周辺検出情報INF_S)を取得することができる。
【0067】
ECU90は、
図2に示したように、自車両100の前方に物体(前方物体200)が存在する場合、その前方物体200を周辺検出情報INF_Sに基づいて検知する。尚、前方物体200は、車両、自動二輪車、自転車及び人等であり、
図2に示した例においては、車両である。
【0068】
ECU90は、前方物体200を検知した場合、周辺検出情報INF_Sに基づいて「その前方物体200と自車両100との間の距離(物体距離D200)」及び「前方物体200に対する自車両100の速度(相対速度ΔV200)」等を取得することができる。
【0069】
更に、ECU90は、周辺検出情報INF_Sに基づいて「自車両100の走行車線(自車線LN)を規定する左側の区画線LM_L及び右側の区画線LM_R」を認識する。ECU90は、認識した左右区画線LM(即ち、左側の区画線LM_L及び右側の区画線LM_R)に基づいて自車線LNの範囲を特定することができる。
【0070】
<車両運転支援装置の作動の概要>
次に、車両運転支援装置10の作動の概要について説明する。
【0071】
車両運転支援装置10は、自車両100の前方の物体に自車両100が衝突することを回避するための衝突回避制御として、運転者DRに対する警報を行う警報制御、自車両100の減速を行う減速制御、及び、自車両100の停止を行う停止制御を、各種の条件が成立したか否かに応じて実行する
【0072】
車両運転支援装置10は、自車両100の走行中、周辺検出情報INF_Sに基づいて自車両100の進行方向前方の車両等の物体を検知するための処理を行っている。車両運転支援装置10は、自車両100の進行方向前方の物体を検知していない間は、通常走行制御を実行している。
【0073】
通常走行制御は、要求駆動トルク(要求駆動力)がゼロよりも大きい場合、その要求駆動トルクが駆動装置21から出力されるように駆動装置21の作動を制御し、要求制動トルク(要求制動力)がゼロよりも大きい場合、その要求制動トルクが制動装置22から出力されるように制動装置22の作動を制御し、要求操舵トルク(要求操舵力)がゼロよりも大きい場合、その要求操舵トルクが操舵装置23から出力されるように操舵装置23の作動を制御する制御である。
【0074】
車両運転支援装置10は、自車両100の進行方向前方の物体(前方物体200)を検知すると、その物体が予測走行領域A100内に存在するか否かを周辺検出情報INF_Sに基づいて判定する。予測走行領域A100は、
図3の(A)に示したように、自車両100の予測走行ルートR100を中心として自車両100の幅に等しい幅を有する領域である。予測走行ルートR100は、自車両100がその時点の操舵角θを維持したまま走行したときに自車両100が今後、走行するものと予測される走行ルートである。従って、
図3の(A)に示した予測走行ルートR100は、直線であるが、状況によっては、曲線であることもある。
【0075】
車両運転支援装置10は、検知した前方物体200が予測走行領域A100内に存在しない場合、通常走行制御を継続する。
【0076】
一方、車両運転支援装置10は、検知した前方物体200が予測走行領域A100内に存在すると判定すると、警報条件C_ATが成立するか否かを判定する。車両運転支援装置10は、前方物体200に自車両100が衝突する可能性を表す値(衝突指標値IC)であって前方物体200に自車両100が衝突する可能性が高くなるほど小さくなる値(衝突指標値IC)が所定の値(第1指標値IC1)まで小さくなった場合、警報条件C_ATが成立したと判定する。本例においては、車両運転支援装置10は、衝突指標値ICとして予測到達時間TTCを取得し、その予測到達時間TTCが所定の時間(第1判定時間TTC1)まで短くなった場合、警報条件C_ATが成立したと判定する。
【0077】
予測到達時間TTCは、自車両100が前方物体200に到達するまでに要すると予測される時間である。車両運転支援装置10は、物体距離D200を相対速度ΔV200で除算することにより予測到達時間TTCを取得する(TTC=D200/ΔV200)。従って、予測到達時間TTCは、相対速度ΔV200が一定である場合、自車両100が前方物体200に近づくほど短くなる。
【0078】
車両運転支援装置10は、予測走行領域A100内に前方物体200が存在すると判定している間、物体距離D200(前方物体200と自車両100との間の距離)、相対速度ΔV200及び予測到達時間TTCの取得を所定演算周期で行い、予測到達時間TTCを取得する毎に予測到達時間TTCが第1判定時間TTC1まで短くなったか否かの判定を行う。車両運転支援装置10は、周辺検出情報INF_Sに基づいて物体距離D200及び相対速度ΔV200を取得する。
【0079】
車両運転支援装置10は、予測到達時間TTCが第1判定時間TTC1よりも長い場合、通常走行制御を実行する。又、車両運転支援装置10は、後述する減速制御を開始するまでの間も、通常走行制御を実行する。
【0080】
車両運転支援装置10は、
図4の(A)に示したように自車両100が前方物体200に近づき、予測到達時間TTCが第1判定時間TTC1まで短くなると、警報条件C_ATが成立したと判定する。
【0081】
<警報制御>
車両運転支援装置10は、警報条件C_ATが成立したと判定すると、衝突回避制御の1つである警報制御を開始する。警報制御は、通知音(若しくは警報音)又は通知音声(若しくは警報音声)を警報装置40から出力させたり、通知画像(若しくは警報画像)を警報装置40に表示させたりする制御である。
【0082】
警報制御により警報装置40から出力される通知音(又は警報音)は、自車両100の前方に物体(前方物体200)が存在すること、又は、自車両100が前方の物体(前方物体200)に衝突する可能性があること等を運転者DRに気づかせるものである。又、警報制御により警報装置40から出力される通知音声(又は警報音声)は、自車両100の前方に物体(前方物体200)が存在することを表す音声、自車両100が前方の物体(前方物体200)に衝突する可能性があることを表す音声、又は、自車両100と前方の物体(前方物体200)との衝突を回避するために必要な運転操作を表す音声等である。
【0083】
又、警報制御により警報装置40に表示される通知画像(又は警報画像)は、自車両100の前方に物体(前方物体200)が存在することを文字又は図形等で表す画像、自車両100が前方の物体(前方物体200)に衝突する可能性があることを文字又は図形等で表す画像、又は、自車両100と前方の物体(前方物体200)との衝突を回避するために必要な運転操作を文字又は図形等で表す画像等である。
【0084】
<減速制御>
更に、車両運転支援装置10は、警報条件C_ATが成立した後、減速条件C_DEが成立したか否かを判定する。
【0085】
<減速条件>
減速条件C_DEは、予測到達時間条件C1が成立したときに加速操作条件C2が成立している場合に成立する。又、減速条件C_DEは、予測到達時間条件C1が成立したときに非減速操作条件C3が成立している場合にも成立する。
【0086】
尚、本例において、加速操作条件C2が成立している場合、運転者DRが前方物体200の存在を認識しているとの物体認識条件C_OBJは、成立しておらず、又、非減速操作条件C3が成立している場合も、物体認識条件C_OBJは、成立していない。
【0087】
<予測到達時間条件>
予測到達時間条件C1は、衝突指標値ICが第1指標値IC1よりも小さい所定の値(第2指標値IC2)まで小さくなった場合に成立する。本例においては、予測到達時間条件C1は、予測到達時間TTCが第1判定時間TTC1よりも短い所定の時間(第2判定時間TTC2)まで短くなった場合に成立する。
【0088】
車両運転支援装置10は、警報制御の実行中も、物体距離D200、相対速度ΔV200及び予測到達時間TTCの取得を所定演算周期で行い、予測到達時間TTCを取得する毎に予測到達時間TTCが第2判定時間TTC2まで短くなったか否かの判定を行う。
【0089】
<加速操作条件>
加速操作条件C2は、ブレーキペダル53が操作されておらず且つアクセルペダル51が操作されている場合に成立する。即ち、加速操作条件C2は、ブレーキペダル53が操作されていないとのブレーキペダル非操作条件C4が成立しており且つアクセルペダル51が操作されているとのアクセルペダル操作条件C5が成立している場合に成立する。
【0090】
警報制御による警報が行われ、その警報により運転者DRが前方物体200の存在を認識した場合、運転者DRがブレーキペダル53を操作して自車両100を減速させることにより、自車両100と前方物体200との衝突を回避しようとすることが考えられる。従って、警報制御による警報が行われているにもかかわらず、運転者DRがブレーキペダル53を操作していないばかりでなく、アクセルペダル51を操作していることは、運転者DRが前方物体200の存在を認識していないことを示している。従って、上述したように、ブレーキペダル非操作条件C4が成立しており且つアクセルペダル操作条件C5が成立している場合、運転者DRが前方物体200の存在を認識しているとの物体認識条件C_OBJが成立していないと判定することができる。
【0091】
尚、車両運転支援装置10は、ブレーキペダル操作量BPがゼロである場合、ブレーキペダル53が操作されていないと判定し、ブレーキペダル操作量BPがゼロよりも大きい場合、ブレーキペダル53が操作されていると判定する。同様に、車両運転支援装置10は、アクセルペダル操作量APがゼロである場合、アクセルペダル51が操作されていないと判定し、アクセルペダル操作量APがゼロよりも大きい場合、アクセルペダル51が操作されていると判定する。
【0092】
<非減速操作条件>
非減速操作条件C3は、アクセルペダル51は操作されていないが、ブレーキペダル53も操作されておらず、アクセルペダル51もブレーキペダル53も操作されていない状態が所定の時間(非操作継続時間TNO)、継続している場合に成立する。即ち、非減速操作条件C3は、ブレーキペダル53が操作されていないとのブレーキ非操作条件C6が成立しており且つアクセルペダル51が操作されているとのアクセルペダル操作条件C5が成立しておらず且つアクセルペダル51もブレーキペダル53も操作されていない状態が非操作継続時間TNO、継続しているとの非操作時間条件C7が成立している場合に成立する。
【0093】
警報制御による警報により、アクセルペダル51を操作している運転者DRが前方物体200の存在を認識した場合、運転者DRがブレーキペダル53を操作して自車両100を減速しようとすれば、運転者DRは、アクセルペダル51の操作を止めるはずである。従って、警報制御の開始後、運転者DRがアクセルペダル51の操作を止めたことは、運転者DRが前方物体200を認識していることの1つの証左ではあるが、その後、一定時間が経過しても、運転者DRがブレーキペダル53を操作しなければ、運転者DRが前方物体200を認識していない可能性がある。
【0094】
従って、警報制御の開始後、運転者DRがアクセルペダル51を操作してはいないが、ブレーキペダル53も操作しておらず、しかも、アクセルペダル51もブレーキペダル53も操作していない状態が一定時間以上継続していることは、運転者DRが前方物体200の存在を認識していないことを示している。従って、上述したように、アクセルペダル操作条件C5が成立していないが、ブレーキペダル非操作条件C4が成立しており、しかも、非操作時間条件C7が成立している場合、運転者DRが前方物体200の存在を認識しているとの物体認識条件C_OBJが成立していないと判定することができる。
【0095】
車両運転支援装置10は、減速条件C_DEが成立した場合、衝突回避制御の1つである減速制御を開始する。
【0096】
減速制御は、運転者DRによるアクセルペダル操作とは関係なく、自車両100に付加する駆動力を低下させて自車両100を減速させ、或いは、自車両100に付加する駆動力をゼロにするとともに自車両100に制動力を付加して自車両100を減速させる制御である。
【0097】
又、減速制御による自車両100の減速度は、前方物体200の手前で自車両100を停止させるほどの減速度ではなく、前方物体200が存在することを運転者DRに気づかせる程度(即ち、前方物体200の存在を運転者DRに認識させる程度)の減速度に制御される。従って、本例において、減速制御による自車両100の減速は、運転者DRに対する警報という位置づけである。
【0098】
尚、車両運転支援装置10は、減速制御の実行中も、警報制御を継続して実行している。
【0099】
<停止制御>
更に、車両運転支援装置10は、減速条件C_DEが成立した後は、停止条件C_STが成立するか否かを判定する。
【0100】
<停止条件>
停止条件C_STは、衝突指標値ICが第2指標値IC2よりも小さい所定の値(第3指標値IC3)まで小さくなった場合に成立する。本例においては、停止条件C_STは、予測到達時間TTCが第2判定時間TTC2よりも短い所定の時間(第3判定時間TTC3)まで短くなった場合に成立する。
【0101】
従って、車両運転支援装置10は、
図4の(B)に示したように、運転者DRによる衝突回避運転操作(自車両100と前方物体200との衝突を避けるための運転操作)が行われないまま、自車両100が前方物体200に近づき、予測到達時間TTCが第3判定時間TTC3まで短くなると、停止条件C_STが成立したと判定する。
【0102】
車両運転支援装置10は、停止条件C_STが成立した場合、衝突回避制御の1つである停止制御を開始する。
【0103】
停止制御は、運転者DRのアクセルペダル操作又はブレーキペダル操作とは関係なく、自車両100に付加する駆動力をゼロにするとともに自車両100に強制的に制動力を付加して自車両100を前方物体200の手前で停止させる制御である。
【0104】
車両運転支援装置10は、停止制御を開始すると、前方物体200の手前で自車両100を停止させるために必要な自車両100の減速度を目標減速度として設定し、その目標減速度で自車両100が減速するように自車両100に付加する制動力を制御する。
【0105】
これにより、自車両100は、
図5の(A)に示したように自車両100に付加される駆動力がゼロとされるとともに、自車両100に制動力が付加され始め、その後、
図5の(B)に示したように前方物体200の手前で停止する。これにより、自車両100と前方物体200との衝突が回避される。
【0106】
尚、車両運転支援装置10は、停止制御の実行中、警報制御を継続して実行するが、停止制御を開始したときに警報制御を停止するように構成されてもよい。
【0107】
又、車両運転支援装置10は、停止条件C_STが成立したときに、前方物体200を避けるように自車両100を操舵したほうが好ましいと判断した場合、停止制御を実行するだけではなく、停止制御に合わせて操舵回避制御も実行するように構成されてもよい。
【0108】
この場合、車両運転支援装置10は、停止条件C_STが成立したときに、周辺検出情報INF_Sに基づいて目標回避経路R_TGTを取得する。目標回避経路R_TGTは、自車両100と前方物体200との衝突を回避するために自車両100を走行させる経路であって、
図6に示したように、自車両100が自車線LN内を走行しつつ前方物体200の横を通過することができる経路である。尚、
図6に示した例においては、目標回避経路R_TGTは、前方物体200の右横を通る経路であるが、前方物体200の左横に自車両100が自車線LN内を走行しつつ前方物体200の横を通過することができるスペースが存在する場合、前方物体200の左横を通る経路が目標回避経路R_TGTとして取得されることもある。
【0109】
車両運転支援装置10は、目標回避経路R_TGTを取得すると、その目標回避経路R_TGTに沿って自車両100が走行するように自車両100に付加する操舵力を制御する操舵回避制御を開始する。車両運転支援装置10は、操舵回避制御により、自車両100を目標回避経路R_TGTに沿って走行させるように自車両100に付加する操舵力を制御する。
【0110】
これにより、自車両100は、まず、
図7の(A)に示したように旋回し始め、その直後、反対方向に旋回してその進行方向が自車線LNに対して平行となり、
図7の(B)に示したように前方物体200の横を通過する。これにより、自車両100と前方物体200との衝突が回避される。自車両100がこのように走行する間、停止制御も実施されているので、自車両100は減速する。最終的に、自車両100は、
図7の(C)に示したように前方物体200の横で停止される。
【0111】
<停止保持制御>
車両運転支援装置10は、停止制御により自車両100を停止させると、停止制御及び警報制御を終了し、停止保持制御を開始する。停止保持制御は、自車両100を停止状態に保持する停止保持を行う制御であって、より具体的には、自車両100を停止状態に保持するのに十分な制動力を電動パーキングブレーキ等により自車両100に付加し続ける制御である。尚、車両運転支援装置10は、停止制御に合わせて操舵回避制御も実行するように構成されている場合、停止制御により自車両100を停止させると、停止制御及び操舵回避制御を終了し、停止保持制御を開始する。
【0112】
<効果>
前方物体200に自車両100が衝突する可能性が生じたときに運転者DRに対して警報を行っても、運転者DRが前方物体200に気づかず、従って、運転者DRが前方物体200の存在を認識していない場合、運転者DRに対して減速制御のような更なる警報を行うことが好ましい。この場合、運転者DRが前方物体200の存在を認識しているか否かを判断する手段として、例えば、運転者DRの顔を撮影するカメラを自車両100に搭載し、そのカメラにより撮影される運転者DRの画像を用いる手段が考えられる。しかしながら、これによると、こうしたカメラを自車両100に搭載する分、コストが上昇してしまい、好ましくない。
【0113】
一方、警報が行われ、その警報により運転者DRが前方物体200の存在を認識した場合、運転者DRは、その前方物体200と自車両100との衝突を避けようとするはずである。そして、運転者DRが前方物体200と自車両100との衝突を避けようとすれば、ブレーキペダル53を操作し、又、ブレーキペダル53を操作するためにアクセルペダル51に対する操作を止めることが考えられる。従って、警報が開始された後のブレーキペダル53及びアクセルペダル51の操作状態に基づいて運転者DRが前方物体200の存在を認識しているか否かを判定することができる。
【0114】
車両運転支援装置10は、運転者DRによるブレーキペダル53及びアクセルペダル51に対する操作状態に基づいて運転者が前方物体の存在を認識しているか否か(即ち、物体認識条件C_OBJが成立しているか否か)を判定する。そして、車両運転支援装置10は、衝突指標値ICが第2指標値IC2まで小さくなったときに物体認識条件C_OBJが成立していないと判定した場合、減速制御を実行し、一方、衝突指標値ICが第2指標値IC2まで小さくなっても、物体認識条件C_OBJが成立していると判定した場合、減速制御を実行しない。従って、車両運転支援装置10は、運転者DRの顔を撮影するカメラを必要とせずに減速制御を実行する必要があるか否かを適切に判断することができる。
【0115】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0116】
<第1変形例>
例えば、警報制御による警報が行われ、その警報により運転者DRが前方物体200の存在を認識し、その前方物体200と自車両100との衝突を避けようとしたとき、運転者DRがシフトレバー61を操作して自車両100の変速比を大きくすることにより、自車両100を減速させようとすることが考えられる。
【0117】
従って、警報制御の開始後、運転者DRが自車両100の変速比を大きくするための操作(変速比増大操作)を行ったことをもって、運転者DRが前方物体200の存在を認識していると判定することができる。逆に、警報制御の開始後、運転者DRが変速比増大操作を行っていないことをもって、運転者DRが前方物体200の存在を認識していないと判定することができる。
【0118】
そこで、車両運転支援装置10は、予測到達時間条件C1が成立しても、変速比を大きくするためのシフトレバー61に対する操作等の変速比増大操作が行われたとの変速比増大操作条件C8が成立している場合、減速条件C_DEが成立していないと判定するように構成されてもよい。即ち、車両運転支援装置10は、変速比増大操作条件C8が成立している場合、物体認識条件C_OBJが成立していると判定するように構成されてもよい。
【0119】
そして、この場合、車両運転支援装置10は、予測到達時間条件C1が成立したときに変速比増大操作条件C8が成立していない場合、減速条件C_DEが成立していると判定するように構成される。即ち、車両運転支援装置10は、変速比増大操作条件C8が成立していない場合、物体認識条件C_OBJが成立していないと判定するように構成される。
【0120】
これによれば、運転者DRの顔を撮影するカメラを必要とせずに減速制御を実行する必要があるか否かを適切に判断することができる。
【0121】
<第2変形例>
又、警報制御による警報が行われ、その警報により運転者DRが前方物体200の存在を認識した場合、運転者DRがウインカーレバー63やハンドル55を操作して自車両100の進路を変えることにより、自車両100と前方物体200との衝突を回避しようとすることが考えられる。
【0122】
従って、警報制御の開始後、運転者DRが自車両100の進路を変更するための操作(進路変更操作)を行ったことをもって、運転者DRが前方物体200の存在を認識していると判定することができる。逆に、警報制御の開始後、運転者DRが進路変更操作を行っていないことをもって、運転者DRが前方物体200の存在を認識していないと判定することができる。
【0123】
そこで、車両運転支援装置10は、予測到達時間条件C1が成立しても、ウインカーレバー63に対する操作、ハンドル55に対する所定角度θ_TH以上の回転操作、及び、ハンドル55に対する所定角速度Δθ_TH以上での回転操作等の少なくとも1つの進路変更操作が行われたとの進路変更操作条件C9が成立している場合、減速条件C_DEが成立していないと判定するように構成されてもよい。即ち、車両運転支援装置10は、進路変更操作条件C9が成立している場合、物体認識条件C_OBJが成立していると判定するように構成されてもよい。
【0124】
そして、この場合、車両運転支援装置10は、予測到達時間条件C1が成立したときに進路変更操作条件C9が成立していない場合、減速条件C_DEが成立していると判定するように構成される。即ち、車両運転支援装置10は、進路変更操作条件C9が成立していない場合、物体認識条件C_OBJが成立していないと判定するように構成される。
【0125】
これによれば、運転者DRの顔を撮影するカメラを必要とせずに減速制御を実行する必要があるか否かを適切に判断することができる。
【0126】
尚、車両運転支援装置10は、減速条件C_DEが成立しているか否かを判定するにあたり、上述した加速操作条件C2、非減速操作条件C3、変速比増大操作条件C8及び進路変更操作条件C9の1つのみを用いるように構成されてもよいし、任意の2つ以上を用いるように構成されてもよい。
【0127】
<車両運転支援装置の具体的な作動>
次に、車両運転支援装置10の具体的な作動について説明する。本発明の実施形態に係る車両運転支援装置10のECU90のCPUは、
図8に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、
図8のステップ800から処理を開始し、その処理をステップ805に進め、警報条件C_ATが成立しているか否かを判定する。
【0128】
CPUは、ステップ805にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ810に進め、警報制御を実行する。次いで、CPUは、処理をステップ815に進め、停止制御が実行されていないか否かを判定する。
【0129】
CPUは、ステップ815にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ820に進め、
図9乃至
図11に示したルーチンの何れかを実行する。しかしながら、CPUは、
図9乃至
図11に示したルーチンの何れか2つ又は全てを実行するように構成されてもよい。
【0130】
一方、CPUは、ステップ815にて「No」と判定した場合、処理をステップ825に直接進める。
【0131】
CPUは、
図9に示したルーチンを実行するようになっている場合には、処理をステップ820に進めると、
図9のステップ900から処理を開始し、その処理をステップ905に進め、予測到達時間条件C1が成立しているか否かを判定する。
【0132】
CPUは、ステップ905にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ910に進め、ブレーキペダル非操作条件C4が成立しているか否かを判定する。
【0133】
CPUは、ステップ910にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ915に進め、アクセルペダル操作条件C5が成立しているか否かを判定する。
【0134】
CPUは、ステップ915にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ920に進め、減速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ925を経由して
図8のステップ825に進める。
【0135】
一方、CPUは、ステップ915にて「No」と判定した場合、処理をステップ930に進め、非操作時間条件C7が成立しているか否かを判定する。
【0136】
CPUは、ステップ930にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ935に進め、減速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ925を経由して
図8のステップ825に進める。
【0137】
一方、CPUは、ステップ930にて「No」と判定した場合、処理をステップ995に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0138】
又、CPUは、ステップ905又はステップ910にて「No」と判定した場合、処理をステップ940に進め、衝突回避制御を終了する。
【0139】
次いで、CPUは、処理をステップ995に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0140】
又、CPUは、
図10に示したルーチンを実行するようになっている場合には、処理をステップ820に進めると、
図10のステップ1000から処理を開始し、その処理をステップ1005に進め、予測到達時間条件C1が成立しているか否かを判定する。
【0141】
CPUは、ステップ1005にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1010に進め、変速比増大操作条件C8が成立していないか否かを判定する。
【0142】
CPUは、ステップ1010にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1015に進め、減速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1020を経由して
図8のステップ825に進める。
【0143】
一方、CPUは、ステップ1010にて「No」と判定した場合、処理をステップ1025に進め、衝突回避制御を終了する。次いで、CPUは、処理をステップ1095に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0144】
又、CPUは、ステップ1005にて「No」と判定した場合も、処理をステップ1025に進め、衝突回避制御を終了する。次いで、CPUは、処理をステップ1095に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0145】
又、CPUは、
図11に示したルーチンを実行するようになっている場合には、処理をステップ820に進めると、
図11のステップ1100から処理を開始し、その処理をステップ1105に進め、予測到達時間条件C1が成立しているか否かを判定する。
【0146】
CPUは、ステップ1105にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1110に進め、進路変更操作条件C9が成立していないか否かを判定する。
【0147】
CPUは、ステップ1110にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1115に進め、減速制御を実行する。次いで、CPUは、ステップ1120を経由して
図8のステップ825に進める。
【0148】
一方、CPUは、ステップ1110にて「No」と判定した場合、処理をステップ1125に進め、衝突回避制御を終了する。次いで、CPUは、処理をステップ1195に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0149】
又、CPUは、ステップ1105にて「No」と判定した場合も、処理をステップ1125に進め、衝突回避制御を終了する。次いで、CPUは、処理をステップ1195に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0150】
CPUは、
図8のステップ825に処理を進めると、停止条件C_STが成立しているか否かを判定する。
【0151】
CPUは、ステップ825にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ830に進め、減速制御を停止するとともに、停止制御を実行する。次いで、CPUは、処理をステップ835に進め、自車両100が停止したか否かを判定する。
【0152】
CPUは、ステップ835にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ840に進め、警報制御及び停止制御を停止するとともに、停止保持制御を実行する。次いで、CPUは、処理をステップ895に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0153】
一方、CPUは、ステップ835にて「No」と判定した場合、処理をステップ895に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0154】
又、CPUは、ステップ825にて「No」と判定した場合、処理をステップ845に進め、衝突回避制御を終了する。次いで、CPUは、処理をステップ895に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0155】
又、CPUは、ステップ805にて「No」と判定した場合、処理をステップ850に進め、衝突回避制御を終了する。次いで、CPUは、処理をステップ895に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0156】
以上が車両運転支援装置10の具体的な作動である。
【符号の説明】
【0157】
10…車両運転支援装置、20…車両走行装置、21…駆動装置、22…制動装置、23…操舵装置、24…トランスミッション装置、40…警報装置、51…アクセルペダル、53…ブレーキペダル、55…ハンドル、61…シフトレバー、63…ウインカーレバー、70…周辺情報検出装置、90…ECU、100…自車両、200…前方物体