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特許7548164自動駐車システム、自動駐車方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】自動駐車システム、自動駐車方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/14 20060101AFI20240903BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240903BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240903BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240903BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20240903BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G08G1/00 X
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021141541
(22)【出願日】2021-08-31
(65)【公開番号】P2023034988
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】本田 大作
(72)【発明者】
【氏名】松林 宏弥
(72)【発明者】
【氏名】富澤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】田邊 怜
(72)【発明者】
【氏名】丸岩 修嗣
(72)【発明者】
【氏名】小畠 康宏
(72)【発明者】
【氏名】粟野 宏基
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-118473(JP,A)
【文献】特開2012-058778(JP,A)
【文献】特開2020-117038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の状態を検出可能なインフラセンサと、
駐車場内においてインフラセンサによる駐車場の状態の検出が不能な死角領域を識別する識別部と、
駐車場内の車両の車載センサにより検出された駐車場の状態であって該死角領域を含む駐車場の状態を取得する取得部と、
インフラセンサにより検出された駐車場の状態と、駐車場内の車両の車載センサにより検出された死角領域を含む駐車場の状態に基づいて、駐車場内を走行する車両の走行ルートを生成する走行ルート生成部を具備し、
該識別部により、該死角領域を形成している車両が識別され、該死角領域を形成している車両に、該死角領域を形成している旨が通知される自動駐車システム。
【請求項2】
該駐車場の状態が、駐車場内の通路の状態と駐車場内の車両の状態を含んでおり、該識別部が、駐車場内においてインフラセンサによる駐車場内の通路の状態の検出が不能な死角領域を識別し、該取得部が、駐車場内の車両の車載センサにより検出された駐車場内の通路の状態であって該死角領域を含む通路の状態を取得し、走行ルート生成部が、インフラセンサにより検出された駐車場内の通路の状態と、駐車場内の車両の車載センサにより検出された死角領域を含む駐車場内の通路の状態に基づいて、駐車場内を走行する車両の走行ルートを生成する請求項1に記載の自動駐車システム。
【請求項3】
駐車場における車両の入出庫を管理する入出庫管理サーバを具備しており、該入出庫管理サーバの電子制御ユニットが、該識別部、該取得部および該走行ルート生成部を構成している請求項1に記載の自動駐車システム。
【請求項4】
該インフラセンサが、駐車場の画像を撮影する複数個のカメラを含んでおり、該識別部は、複数個のカメラにより撮影された駐車場の画像に基づき、カメラにより検出が不能な死角領域を識別する請求項1に記載の自動駐車システム。
【請求項5】
該死角領域を形成している車両および該死角領域の周囲に存在する車両のうちの一台又は複数台の車両の車載センサにより検出された死角領域を含む駐車場内の通路の状態に基づいて、車両の走行ルートが生成される請求項1に記載の自動駐車システム。
【請求項6】
該死角領域を形成している車両に、課金が課せられる請求項1に記載の自動駐車システム。
【請求項7】
駐車場の状態を検出可能なインフラセンサを用いた自動駐車方法において、
コンピュータが、
駐車場内においてインフラセンサによる駐車場の状態の検出が不能な死角領域を識別し、
駐車場内の車両の車載センサにより検出された駐車場の状態であって該死角領域を含む駐車場の状態を取得し、
インフラセンサにより検出された駐車場の状態と、駐車場内の車両の車載センサにより検出された死角領域を含む駐車場の状態に基づいて、駐車場内を走行する車両の走行ルートを生成し、
更に、該死角領域を形成している車両を識別し、
該死角領域を形成している車両に、該死角領域を形成している旨を通知する自動駐車方法。
【請求項8】
駐車場の状態を検出可能なインフラセンサを用いた自動駐車を実行するためのプログラムであって
駐車場内においてインフラセンサによる駐車場の状態の検出が不能な死角領域を識別し、
駐車場内の車両の車載センサにより検出された駐車場の状態であって該死角領域を含む駐車場の状態を取得し、
インフラセンサにより検出された駐車場の状態と、駐車場内の車両の車載センサにより検出された死角領域を含む駐車場の状態に基づいて、駐車場内を走行する車両の走行ルートを生成し、
更に、該死角領域を形成している車両を識別し、
該死角領域を形成している車両に、該死角領域を形成している旨を通知するよう、コンピュータに機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動駐車システム、自動駐車方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転車両を対象とした自動駐車システムにおいて、駐車場の状態を検出可能なインフラセンサ、例えば、駐車場内を撮影可能なカメラが設置されており、カメラにより撮影された画像に基づいて、入出庫する車両の走行ルートを演算するようにした自動駐車システムが公知である(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-35071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、駐車場内の車両がインフラセンサによる検出範囲に対して死角を作り出してしまう場合があり、この場合には、駐車場内における移動体および固定構造物と接触することのない適切な車両の走行ルートを生成するのが困難であるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような問題を解決するために、本発明によれば、駐車場の状態を検出可能なインフラセンサと、
駐車場内においてインフラセンサによる駐車場の状態の検出が不能な死角領域を識別する識別部と、
駐車場内の車両の車載センサにより検出された駐車場の状態であって死角領域を含む駐車場の状態を取得する取得部と、
インフラセンサにより検出された駐車場の状態と、駐車場内の車両の車載センサにより検出された死角領域を含む駐車場の状態に基づいて、駐車場内を走行する車両の走行ルートを生成する走行ルート生成部を具備し、
識別部により、死角領域を形成している車両が識別され、死角領域を形成している車両に、死角領域を形成している旨が通知される自動駐車システムが提供される。
更に、本発明によれば、駐車場の状態を検出可能なインフラセンサを用いた自動駐車方法において、
コンピュータが、
駐車場内においてインフラセンサによる駐車場の状態の検出が不能な死角領域を識別し、
駐車場内の車両の車載センサにより検出された駐車場の状態であって死角領域を含む駐車場の状態を取得し、
インフラセンサにより検出された駐車場の状態と、駐車場内の車両の車載センサにより検出された死角領域を含む駐車場の状態に基づいて、駐車場内を走行する車両の走行ルートを生成し、
更に、死角領域を形成している車両を識別し、
死角領域を形成している車両に、死角領域を形成している旨を通知する自動駐車方法が提供される。
更に、本発明によれば、駐車場の状態を検出可能なインフラセンサを用いた自動駐車を実行するためのプログラムであって
駐車場内においてインフラセンサによる駐車場の状態の検出が不能な死角領域を識別し、
駐車場内の車両の車載センサにより検出された駐車場の状態であって死角領域を含む駐車場の状態を取得し、
インフラセンサにより検出された駐車場の状態と、駐車場内の車両の車載センサにより検出された死角領域を含む駐車場の状態に基づいて、駐車場内を走行する車両の走行ルートを生成し、
更に、死角領域を形成している車両を識別し、
死角領域を形成している車両に、死角領域を形成している旨を通知するよう、コンピュータに機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
適格な入出庫指示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、自動駐車場の一例を図解的に表した平面図である。
図2図2は、図1に示される自動駐車場の側面図である。
図3図3は、車両を図解的に示す図である。
図4図4は、駐車場管理サーバを図解的に示す図である。
図5図5は、本発明による実施例の機能構成図である
図6図6は、走行可能領域地図を作成するためのフローチャートである。
図7図7は、走行可能領域地図を作成するためのフローチャートである。
図8図8は、入出庫を管理するためのフローチャートである。
図9図9は、自動運転制御を行うためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、自動駐車場の一部のみを図解的に表した平面図であり、図2は、図1に示される自動駐車場の側面図である。図1および図2を参照すると、1は駐車場、2は自動駐車場の建屋、3は多数の駐車スペース、4は乗降場、5は乗降場4に停止している自動運転車両、6,7,8は、駐車場1内の駐車スペース3内に駐車している自動運転車両を示している。この駐車場1では、乗降場4に到達した自動運転車両5を自動運転により空の駐車スペース3に入庫させると共に、駐車スペース3に駐車している自動運転車両6,7,8を自動運転により乗降場4に出庫させる自動駐車サービス、即ち、オートバレーパーキングサービスが実施されている。一方、図1において、9は駐車管理施設に配置されて、入庫および出庫を管理するための入出庫管理サーバを示している。なお、この自動駐車場は、手動運転の車両も駐車可能である。
【0009】
この自動駐車サービスを利用するユーザが自車を駐車場1に駐車させるときには、例えば、自車が乗降場4に到達したときに、例えば、ユーザの携帯端末から通信ネットワークを介して入出庫管理サーバ9に、自車を識別するための車両IDと共に入庫要求を送信する。入出庫管理サーバ9は、入庫要求を受信すると、車両が他車両や歩行者と接触することなく乗降場4から空の駐車スペース3に到達することのできる車両の走行ルートを設定し、この設定走行ルートをユーザの車両に送信する。ユーザの車両は、入出庫管理サーバ9から設定走行ルートを受信すると、この設定走行ルートに沿って自動運転により乗降場4から空の駐車スペース3まで移動せしめられる。
【0010】
一方、ユーザが自車を駐車場1から出庫させるときも同様である。例えば、ユーザが乗降場4に到達すると、ユーザの携帯端末から通信ネットワークを介して入出庫管理サーバ9に、自車を識別するための車両IDと共に出庫要求を送信する。入出庫管理サーバ9は、出庫要求を受信すると、車両が他車両や歩行者と接触することなく駐車中のスペース3から乗降場4に到達することのできる車両の走行ルートを設定し、この設定走行ルートをユーザの車両に送信する。ユーザの車両は、入出庫管理サーバ9から設定走行ルートを受信すると、この設定走行ルートに沿って自動運転により駐車中のスペース3から乗降場4まで移動せしめられる。
【0011】
さて、自動駐車場には、通常、駐車場内における車両の駐車状況を検出したり、或いは、車両の走行ルートを設定するために、多数のインフラセンサが配置されている。図1および図2は自動駐車場内の一部の領域を示しており、図1および図2に示される例では、自動駐車場内のこの領域の状態を検出するために4個のインフラセンサS1,S2,S3、S4が設置されている場合を示している。インフラセンサS1,S2,S3、S4としては、カメラ、或いは、レーザセンサ等を用いることができるが、以下、インフラセンサS1,S2,S3、S4として、カメラを用いた場合を例にとって説明する。即ち、インフラセンサS1,S2,S3、S4により、駐車場1内を撮影している場合を例にとって説明する。
【0012】
さて、最初に、インフラセンサS1について説明すると、図2に示されるように、インフラセンサS1は、自動運転車両6よりも高い位置に設置されている。また、図1および図2を参照すると、上方から見たときのインフラセンサS1の検出範囲が図1においてΘで示されており、横方向から見たときのインフラセンサS1の検出範囲が図2においてΘで示されている。一方、インフラセンサS1を起点としたインフラセンサS1の検出範囲がRで示されている。同様に、上方から見たときの他のインフラセンサS2,S3、S4の検出範囲が夫々、Θ、Θ、Θ で示されており、他のインフラセンサS2,S3、S4を起点としたインフラセンサS2,S3、S4の検出範囲が夫々、R.R、Rで示されている。各インフラセンサS1,S2,S3、S4により撮影された画像信号は入出庫管理サーバ9に送り込まれる。
【0013】
図3は、自動駐車サービスを利用するのに適した車両20の一例を図解的に示しており、このような車両20が、図1および図2に示される自動運転車両5,6,7,8として用いられている。図3を参照すると、21は車両20の駆動輪に駆動力を与えるための車両駆動部、22は車両20を制動するための制動装置、23は車両20を操舵するための操舵装置、24は車両20内に搭載された電子制御ユニットを夫々示す。図3に示されるように、電子制御ユニット24はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス25によって互いに接続されたCPU(マイクロプロセッサ)26、ROMおよびRAMからなるメモリ27および入出力ポート28を具備する。
【0014】
一方、図3に示されるように、車両20には、車両20が自動運転を行うのに必要な各種センサ30、即ち、車両20の状態を検出するセンサおよび車両20の周辺を検出するセンサが設置されている。この場合、車両20の状態を検出するセンサとしては、加速度センサ、速度センサ、方位角センサが用いられており、車両20の周辺を検出するセンサとしては、車両20の前方、側方、後方を撮影する車載カメラ、ライダ(LIDAR)、レーダ等が用いられる。また、車両20には、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)受信装置31、地図データ記憶装置32、ナビゲーション装置33および各種操作をおこなうための操作部34が設けられている。GNSS受信装置31は、複数の人工衛星から得られる情報に基づいて、車両20の現在位置(例えば車両20の緯度及び経度)を検出することができる。従って、このGNSS受信装置31により車両1の現在位置を取得することができる。このGNSS受信装置31として、例えば、GPS受信装置が用いられる。
【0015】
地図データ記憶装置32には、車両20が自動運転を行うのに必要な地図データ等が記憶されている。また、操作部34には自動運転等に必要な操作パネルが設けられており、操作パネルにおいて目的地が入力されると、ナビゲーション装置33を用いて車両20の走行ルートが検索される。これらの各種センサ30、GNSS受信装置31、地図データ記憶装置32、ナビゲーション装置33および操作部34は、電子制御ユニット24に接続されている。本発明による実施例では、車両駆動部21は、2次電池により駆動される電気モータ、或いは、燃料電池により駆動される電気モータより構成されており、駆動輪は、電子制御ユニット24の出力信号に従って、これらの電気モータにより駆動制御される。また、車両20の制動制御は、電子制御ユニット24の出力信号に従って制動装置22により行われ、車両20の操舵制御は、電子制御ユニット24の出力信号に従って操舵装置23により行われる。
【0016】
一方、図4は、図1の駐車管理サーバ9を示している。図4に示されるように、この駐車管理サーバ9内には電子制御ユニット40が設けられている。この電子制御ユニット40はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス41によって互いに接続されたCPU(マイクロプロセッサ)42、ROMおよびRAMからなるメモリ43および入出力ポート44を具備する。更に、駐車管理サーバ9内には、車両20と通信を行うための通信装置45が設けられている。一方、車両20には、駐車管理サーバ9と通信を行うための通信装置35が搭載されている。図4に示されるように、電子制御ユニット40には、各インフラセンサS1,S2,S3、S4により撮影された画像信号が入力される。また、電子制御ユニット40のメモリ43内には、駐車場1の地図データが記憶されている。
【0017】
図1および図2に戻ると、上述したように、各インフラセンサS1,S2,S3、S4により撮影された画像信号は入出庫管理サーバ9に送り込まれる。入出庫管理サーバ9では、これらの画像信号とメモリ43内に記憶されている駐車場1の地図データに基づいて、図1に示されるような駐車場1の平面地図上における車両および歩行者のような移動体の存在位置と、柱、壁、床面のような固定構造物の存在位置とが特定される。移動体および固定物の存在位置が特定されると、入出庫管理サーバ9では、これら移動体および固定物と接触することのない車両の走行ルートが設定される。例えば、図1において、自動運転車両5を入庫するために、乗降場4から空の駐車スペース3に到達することのできる自動運転車両5の走行ルートFが設定される。
【0018】
ところでこの場合、例えば、駐車場1内に存在する車両によって、インフラセンサS1,S2,S3、S4による駐車場1の状態の検出が不能な死角領域が生じる場合がある。
例えば、図1に示される例では、インフラセンサS1と反対側に位置する自動運転車両6の側方領域(図1においてB1およびB2で示される斜線領域)が、インフラセンサS1による駐車場1の状態の検出が不能な死角領域となる。しかしながら、この場合、インフラセンサS1と反対側に位置する自動運転車両6の側方領域B1およびB2のうちで、側方領域B2は、インフラセンサS3により、駐車場1の状態の検出が可能な領域となる。従って、図1に示される例では、インフラセンサS1と反対側に位置する自動運転車両6の側方領域B1が、インフラセンサS1,S2,S3、S4による駐車場1の状態の検出が不能な死角領域
となる。
【0019】
このような死角領域B1が存在すると、移動体および固定物と接触する可能性のない車両の走行ルートが設定することが困難となる。そこで、本発明による実施例では、死角領域B1の周りに存在する車両であって、死角領域B1を含む領域の駐車場1の状態を検出可能な車載センサ、例えば、カメラを備えた車両から、死角領域B1を含む領域の駐車場1の状態を取得し、インフラセンサS1,S2,S3、S4により検出された駐車場1の状態と、駐車場1内の車両の車載センサにより検出された死角領域B1を含む駐車場1の状態に基づいて、駐車場1内を走行する車両の走行ルートを生成するようにしている。
【0020】
この場合、死角領域B1を形成している自動運転車両6の前方を撮影する車載カメラ、側方を撮影する車載カメラ、後方を撮影する車載カメラのいずれかにより、死角領域B1を含む駐車場1の状態を撮影可能である場合が多く、従って、走行ルートを生成する際には、自動運転車両6の前方を撮影する車載カメラ、側方を撮影する車載カメラ、後方を撮影する車載カメラのいずれかからの画像信号が用いられる。また、図1に示される例では、自動運転車両7,8の前方を撮影する車載カメラにより、死角領域B1を含む駐車場1の状態を撮影可能であり(図1におけるΘ、Θは、夫々自動運転車両7,8の前方を撮影する車載カメラの撮影範囲を示す)、従って、走行ルートを生成する際には、自動運転車両7,8の前方を撮影する車載カメラからの画像信号も用いられる。
【0021】
即ち、本発明による実施例では、図5の機能構成図に示されるように、駐車場領域内の駐車場1の状態を検出可能なインフラセンサS1,S2,S3、S4と、駐車場領域内においてインフラセンサS1,S2,S3、S4による駐車場1の状態の検出が不能な死角領域を識別する識別部と、駐車場1内の車両の車載センサにより検出された駐車場1の状態であって死角領域を含む駐車場1の状態を取得する取得部と、インフラセンサS1,S2,S3、S4により検出された駐車場1の状態と、駐車場1内の車両の車載センサにより検出された死角領域を含む駐車場1の状態に基づいて、駐車場1内を走行する車両の走行ルートを生成する走行ルート生成部とが設けられている。この場合、本発明による実施例では、入出庫管理サーバ9の電子制御ユニット40が、これらの識別部、取得部および走行ルート生成部を構成している。
【0022】
また、本発明による実施例では、駐車場領域内の駐車場1の状態を検出可能なインフラセンサS1,S2,S3、S4を用いた自動駐車方法において、駐車場領域内においてインフラセンサS1,S2,S3、S4による駐車場1の状態の検出が不能な死角領域を識別し、駐車場1内の車両の車載センサにより検出された駐車場1の状態であって死角領域を含む駐車場1の状態を取得し、インフラセンサS1,S2,S3、S4により検出された駐車場1の状態と、駐車場1内の車両の車載センサにより検出された死角領域を含む駐車場1の状態に基づいて、駐車場1内を走行する車両の走行ルートを生成する自動駐車方法が提供される。
【0023】
また、本発明による実施例では、駐車場領域内の駐車場1の状態を検出可能なインフラセンサS1,S2,S3、S4を用いた自動駐車を実行するためのプログラムであって
駐車場領域内においてインフラセンサS1,S2,S3、S4による駐車場1の状態の検出が不能な死角領域を識別し、駐車場1内の車両の車載センサにより検出された駐車場1の状態であって死角領域を含む駐車場1の状態を取得し、インフラセンサS1,S2,S3、S4により検出された駐車場1の状態と、駐車場1内の車両の車載センサにより検出された死角領域を含む駐車場の状態に基づいて、駐車場1内を走行する車両の走行ルートを生成するように、コンピュータに機能させるプログラムが提供される。
【0024】
次に、図6および図7を参照しつつ、駐車場1内において、車両20が走行可能な領域を示す地図、即ち、走行可能領域地図を作成する方法について説明する。図6および図7は、この走行可能領域地図を作成するためのルーチンを示しており、このルーチンは、入出庫管理サーバ9の電子制御ユニット40において繰り返し実行される。
図6および図7を参照すると、まず初めに、ステップ50において、インフラセンサS1,S2,S3、S4により撮影された画像が取得される。次いで、ステップ51では、
CNN等を用いた物体検出手法により、駐車場1内における車両20や歩行者等の移動体および駐車場1の床面が検出される。即ち、駐車場1内の車両20等の状態と駐車場1内の通路の状態とが検出される。なお、このとき検出される床面は、各インフラセンサS1,S2,S3、S4から直接見えている床面部分であるので、検出される床面を、以下、可視床面と称する。
【0025】
次いで、ステップ52では、電子制御ユニット40のメモリ43内に記憶されている駐車場1の地図データに基づいて、駐車場1の平面地図上における検出された車両20の位置が特定される。次いで、ステップ53では、電子制御ユニット40のメモリ43内に記憶されている駐車場1の地図データに基づいて、駐車場1の平面地図上における検出された可視床面領域の位置が特定される。次いで、ステップ54では、ステップ52において特定された車両20の位置とステップ53において特定された可視床面領域の位置とに基づいて、駐車場1の平面地図上における死角領域の位置が特定される。
【0026】
なお、この場合、駐車場1の平面地図上における特定された車両20の領域および特定された可視床面領域を除く領域が死角領域となるが、ステップ54では、走行ルートの設定に必要な死角領域部分が、死角領域として特定される。例えば、隣接する駐車スペース3に駐車している車両20と車両20との間の領域も死角領域となるが、このような死角領域は、特定される死角領域から除外される。次いで、ステップ55では、駐車場1の平面地図上における特定された車両20と、入出庫管理サーバ9に登録された車両IDとの紐付けが行われる。
【0027】
次いで、ステップ56では、駐車場1の平面地図上における特定された車両20の位置と特定された可視床面領域の位置関係に基づき、特定された車両20の中から、死角領域を形成している車両No.1からNo.nが特定される。次いで、ステップ57では、死角領域を形成している車両No.mに、前方を撮影する車載カメラ、側方を撮影する車載カメラ、後方を撮影する車載カメラにより撮影された画像信号の送信要求が発せられる。図1に示される例では、駐車中の自動運転車両6に、前方を撮影する車載カメラ、側方を撮影する車載カメラ、後方を撮影する車載カメラにより撮影された画像信号の送信要求が発せられ、自動運転車両6から入出庫管理サーバ9に、各車載カメラにより撮影された画像信号が送り込まれる。
【0028】
次いで、ステップ58では、死角領域を形成している車両No.mに、その他の要件が通知される。例えば、死角領域を形成している車両No.mに、死角領域を形成している旨が通知される。また、死角領域を形成している車両No.mに、課金を課すこともできる。この場合、例えば、死角領域を形成している車両No.mが手動運転車両である場合、車両No.mの所有者に、このまま車両を駐車しておくと課金を課す旨を通知し、それにより、車両No.mの移動を促進することも可能である。
【0029】
次いで、ステップ59では、死角領域の周りに存在する車両20に、前方を撮影する車載カメラ、側方を撮影する車載カメラ、後方を撮影する車載カメラの内の死角領域を撮影可能な少なくとも一部の車載カメラにより撮影された画像信号の送信要求が発せられ、死角領域の周りに存在する車両20から入出庫管理サーバ9に、車載カメラにより撮影された死角領域を含む領域の画像信号が送り込まれる。図1に示される例では、駐車中の自動運転車両7,8に、前方を撮影する車載カメラにより撮影された画像信号の送信要求が発せられ、自動運転車両7,8から入出庫管理サーバ9に、前方を撮影する車載カメラにより撮影された画像信号が送り込まれる。
【0030】
次いで、ステップ60では、特定された車両No.1からNo.nの全ての車両20についてステップ57からステップ59までの処理が完了したか否かが判別される。特定された車両No.1からNo.nの全ての車両20についてステップ57からステップ59までの処理が完了していないと判別されたときには、ステップ57に戻り、特定された車両No.m+1について、ステップ57からステップ59までの処理が行われる。一方、ステップ60において、特定された車両No.1からNo.nの全ての車両20についてステップ57からステップ59までの処理が完了したと判別されたときにはステップ61に進む。
【0031】
ステップ61では、死角領域を形成している車両No.1からNo.nから送られた各車載カメラからの画像信号、および、各死角領域の周りに存在する車両20から送られた各車載カメラからの画像信号に基づき、駐車場1内において移動体および固定物と接触することなく、車両20が走行可能な領域を示す、図1に示されるような平面地図、即ち、走行可能領域地図が更新される。この更新された走行可能領域地図に基づき、車両20の走行ルートが設定される。
【0032】
図8は、駐車場1における車両20の入出庫管理を行うために、入出庫管理サーバ9の電子制御ユニット40において実行される入出庫の管理ルーチンを示している。
図8を参照すると、まず初めに、ステップ70において、車両20のユーザから入出庫管理サーバ9に、車両20の入出庫要求があったか否かが判別される。車両20の入出庫要求があったときには、ステップ71に進んで、入出庫する車両20の車両IDが取得される。次いで、ステップ72では、車両20の移動目的地が設定される。この場合、入庫要求があった場合には、多数の駐車スペース3の中から、空の駐車スペース3が車両20の移動目的地として設定される。一方、出庫要求があった場合には、乗降場4が車両20の移動目的地として設定される。移動目的地が設定されると、ステップ73に進んで、図6および図7に示されるルーチンにより更新された走行可能領域地図に基づき、乗降場4から空の駐車スペース3までの走行ルート、或いは、駐車スペース3から乗降場4までの走行ルートが設定される。
【0033】
次いで、ステップ74では、図6および図7に示されるルーチンにより更新された走行可能領域地図に基づき、移動体および固定物と接触することのない車両20の走行軌跡および走行速度が決定される。次いで、ステップ75では、車両20の自動運転実行指令が発せられ、次いで、ステップ75では、設定された移動目的地、走行ルート、走行軌跡、走行速度および自動運転実行指令が入出庫管理サーバ9から車両20に送信される。
【0034】
入出庫管理サーバ9から車両20に自動運転実行指令が送信されると、車両20の自動運転制御が開始される。図9は、この車両20の自動運転制御を行うためのルーチンを示しており、このルーチンは、車両20に搭載された電子制御ユニット24において繰り返し実行される。
【0035】
図9を参照すると、まず初めに、ステップ80では、入出庫管理サーバ9において設定された移動目的地が取得され、次いで、ステップ81では、入出庫管理サーバ9において設定された走行ルートが取得され、ステップ82では、入出庫管理サーバ9において設定された走行軌跡および走行速度が取得される。次いで、ステップ83では、設定された走行軌跡に沿い、車両20の前方等を撮影するカメラ、ライダ(LIDAR)、レーダ等のセンサの検出結果に基づいて、他車両や歩行者と接触することのないように、車両20の走行制御が行われる。次いで、ステップ84では、車両20が移動目的地に到達したか否かが判別される。車両20が移動目的地に到達していないと判別されたときには、ステップ83に戻り、車両20の自動運転が続行される。一方、ステップ84において、車両20が移動目的地に到達したと判別されたときには、ステップ85に進んで、車両20の入出庫サービス終了せしめられる。
【符号の説明】
【0036】
1 駐車場
2 自動駐車場の建屋
3 駐車スペース
4 乗降場
5,6,7、8,20 車両
9 入出庫管理サーバ
B1 死角領域
S1,S2,S3、S4 インフラセンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9