(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】電池監視システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20240903BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H01M10/48 P
(21)【出願番号】P 2021141850
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】沼田 達宏
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/051156(WO,A1)
【文献】特開2020-027767(JP,A)
【文献】特開2013-085363(JP,A)
【文献】国際公開第2016/072002(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 -10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池(20,21,22,110)と、前記電池の状態を監視する電池監視装置(30,210)と、前記電池監視装置との間で無線通信を行い、前記電池監視装置による監視結果である電池情報を取得し、各種制御を実行する電池制御装置(40,310)と、を備えた電池監視システム(1)において、
前記電池監視装置は、無線通信を介して前記電池制御装置との間で第1の処理を実行している間に、第1の処理とは別の第2の処理を実行
し、
前記第1の処理は、通信開始時において前記電池制御装置との間で互いの認証を行うための認証処理であり、
前記第2の処理は、前記電池監視装置の初期動作に係る処理であり、
前記電池監視装置は、前記電池の状態を監視する監視部(31)と、前記監視部との間でデータを送受信するとともに、無線通信を実行可能な子機側無線制御部(32)と、を備え、
前記電池制御装置は、各種制御を実行する電池制御部(41)と、前記電池制御部との間でデータを送受信するとともに、無線通信を実行可能な親機側無線制御部(42)と、を備え、
前記認証処理は、前記親機側無線制御部と前記子機側無線制御部との間で実行される一方、前記初期動作に係る処理は、前記子機側無線制御部が前記監視部に対して動作指示することにより、前記監視部が実施するものであり、
前記電池制御装置は、通信開始時において、前記電池監視装置から出力される接続依頼信号の検出に基づいて、前記電池監視装置を発見し、発見した前記電池監視装置との間で、前記認証処理を実施し、
前記電池監視装置の前記子機側無線制御部は、前記親機側無線制御部からの子機発見信号の入力を契機に、前記初期動作の動作指示を実施する、電池監視システム。
【請求項2】
前記子機側無線制御部は、前記子機側無線制御部の記憶装置に記憶されている前記初期動作に係るコマンドを前記監視部に順次送信することにより、前記初期動作の動作指示を実施する請求項
1に記載の電池監視システム。
【請求項3】
前記電池制御装置は、通信終了時において、次回の初期動作に係るコマンドを前記子機側無線制御部に送信し、前記子機側無線制御部の記憶装置に記憶させる請求項
2に記載の電池監視システム。
【請求項4】
前記初期動作に係るコマンドは、通信開始時の状況により、変更される請求項
2又は3に記載の電池監視システム。
【請求項5】
電池と、前記電池の状態を監視する電池監視装置と、前記電池監視装置との間で無線通信を行い、前記電池監視装置による監視結果である電池情報を取得し、各種制御を実行する電池制御装置と、を備えた電池監視システムにおいて、
前記電池監視装置は、無線通信を介して前記電池制御装置との間で第1の処理を実行している間に、第1の処理とは別の第2の処理を実行するものであり、
筐体(400)を備え、
前記電池監視装置(210)は、前記電池(110)の状態を監視し、前記電池情報を送信する監視部(200)を有し、
前記電池制御装置(310)は、前記監視部との間で通信を行って前記電池情報を取得し、各種制御を実行する制御部(300)を有し、
前記筐体は、底板部(410)、前記底板部の周縁部に沿って形成された壁部(420,430)、及び前記壁部を上方から覆うカバー(440)を有し、
前記底板部、前記壁部及び前記カバーにより形成された収容空間(SP)に、前記電池、前記監視部及び前記制御部が収容されており、
前記カバーの上面には、上側に突出し、該上面に沿って特定方向に延びる突起部(441,442)が形成されており、
前記突起部において前記カバーの下面側には、前記カバーの上面側に向かって凹む凹部(441a,442a)が前記突起部に沿って形成されており、
前記筐体を前記カバーの厚さ方向から見た場合において、前記凹部付近に、前記監視部及び前記制御部のうち少なくとも一方が配置されている
、電池監視システム。
【請求項6】
電池と、前記電池の状態を監視する電池監視装置と、前記電池監視装置との間で無線通信を行い、前記電池監視装置による監視結果である電池情報を取得し、各種制御を実行する電池制御装置と、を備えた電池監視システムにおいて、
前記電池監視装置は、無線通信を介して前記電池制御装置との間で第1の処理を実行している間に、第1の処理とは別の第2の処理を実行するものであり、
筐体(400)を備え、
前記電池監視装置(210)は、前記電池(110)の状態を監視し、前記電池情報を送信する監視部(200)を有し、
前記電池制御装置(310)は、前記監視部との間で通信を行って前記電池情報を取得し、各種制御を実行する制御部(300)を有し、
前記筐体は、底板部(410)、前記底板部の周縁部に沿って形成された壁部(420,430)、及び前記壁部を上方から覆うカバー(440)を有し、
前記底板部、前記壁部及び前記カバーにより形成された収容空間(SP)に、前記電池、前記監視部及び前記制御部が収容されており、
前記電池は、複数であり、
前記監視部は、グループ分けされた複数の前記電池のそれぞれである監視対象電池(110,130)に対応して個別に設けられており、
前記各監視部に対応して個別に設けられ、前記監視部との間でデータを送受信する監視側アンテナ(201)と、
前記制御部との間でデータを送受信するとともに前記監視側アンテナとの間で無線通信を行う制御側アンテナ(301)と、
を備え、
前記監視部、前記監視側アンテナ及び前記制御側アンテナは、前記収容空間のうち前記電池と前記カバーとの間の空間に配置されており、
前記収容空間のうち、前記筐体の短手方向における中央に対して一方側の第1収容空間と、前記筐体の短手方向における中央に対して他方側の第2収容空間とに、前記監視部及び前記監視側アンテナが配置されており、
前記制御側アンテナは、複数であり、
前記各制御側アンテナのうち、一部の制御側アンテナが前記第1収容空間に配置され、残りの制御側アンテナが前記第2収容空間に配置されている
、電池監視システム。
【請求項7】
前記第1収容空間と前記第2収容空間とに、前記筐体の長手方向に並んで複数の前記監視対象電池(130)が配置されており、
前記第1収容空間には、該第1収容空間に配置された前記各監視対象電池に対応する前記監視部及び前記監視側アンテナが前記筐体の長手方向に並んで配置されており、
前記第2収容空間には、該第2収容空間に配置された前記各監視対象電池に対応する前記監視部及び前記監視側アンテナが前記筐体の長手方向に並んで配置されており、
前記第1収容空間のうち、前記筐体の短手方向において前記各監視部及び前記各監視側アンテナに対して両側の空間に配置され、前記第1収容空間に配置された前記各監視対象電池を電気的に接続する第1導電部材(620~622)と、
前記第2収容空間のうち、前記筐体の短手方向において前記各監視部及び前記各監視側アンテナに対して両側の空間に配置され、前記第2収容空間に配置された前記各監視対象電池を電気的に接続する第2導電部材(620~622)と、
を備え、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、前記筐体の長手方向に並んで配置されている、請求項
6に記載の電池監視システム。
【請求項8】
電池と、前記電池の状態を監視する電池監視装置と、前記電池監視装置との間で無線通信を行い、前記電池監視装置による監視結果である電池情報を取得し、各種制御を実行する電池制御装置と、を備えた電池監視システムにおいて、
前記電池監視装置は、無線通信を介して前記電池制御装置との間で第1の処理を実行している間に、第1の処理とは別の第2の処理を実行するものであり、
筐体(400)を備え、
前記電池監視装置(210)は、前記電池(110)の状態を監視し、前記電池情報を送信する監視部(200)を有し、
前記電池制御装置(310)は、前記監視部との間で通信を行って前記電池情報を取得し、各種制御を実行する制御部(300)を有し、
前記筐体は、底板部(410)、前記底板部の周縁部に沿って形成された壁部(420,430)、及び前記壁部を上方から覆うカバー(440)を有し、
前記制御部との間でデータを送受信する制御側アンテナ(301)を備え、
前記底板部、前記壁部及び前記カバーにより形成された収容空間(SP)に、前記電池及び前記監視部が収容されており、
前記筐体の表面又は外部に前記制御部及び前記制御側アンテナが配置されており、
前記筐体に設けられ、前記制御側アンテナと前記監視部との間の通信を中継する中継デバイス(220,230)を備え、
前記制御部は、前記監視部から送信された前記電池情報を、前記中継デバイス及び前記制御側アンテナを介して受信する
、電池監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電池監視システムは、電池セルの電池情報(電圧など)を検出する電池監視装置と、電池ECUを備え、電池ECUは、電池監視装置に各種制御信号(命令)を送信し、電池監視装置は、受信した制御信号に基づいて検出した電池情報を返信するように構成されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来において、電池監視装置と電池ECUとの間の通信は、有線にて行われていたが、特許文献1のように無線にて行うことが検討されている。しかしながら、無線通信を行う場合、適切に無線通信ができるか否かについて懸念が生じた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、適切に無線通信を行うことができる電池監視システムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する第1の電池監視システムは、電池と、前記電池の状態を監視する電池監視装置と、前記電池監視装置との間で無線通信を行い、前記電池監視装置による監視結果である電池情報を取得し、各種制御を実行する電池制御装置と、を備えた電池監視システムであり、前記電池監視装置は、無線通信を介して前記電池制御装置との間で第1の処理を実行している間に、第1の処理とは別の第2の処理を実行する。
【0007】
これにより、第1の処理と第2の処理を並行して実行させることができ、有効に時間を利用することができる。
【0008】
上記課題を解決する第2の電池監視システムは、電池と、前記電池の状態を監視する電池監視装置と、前記電池監視装置との間で無線通信を行い、前記電池監視装置による監視結果である電池情報を取得し、各種制御を実行する電池制御装置と、を備えた電池監視システムであって、前記電池監視装置は、複数設けられ、前記電池制御装置は、第1の前記電池監視装置による処理中、第2の前記電池監視装置に対して処理内容を指示して、前記第1の前記電池監視装置の処理中に、前記第2の前記電池監視装置の処理を実行させる。
【0009】
これにより、第1の電池監視装置と第2の電池監視装置に並行して処理を実行させることができ、有効に時間を利用することができる。
【0010】
上記課題を解決する第3の電池監視システムは、電池と、前記電池の状態を監視する電池監視装置と、前記電池監視装置との間で無線通信を行い、前記電池監視装置による監視結果である電池情報を取得し、各種制御を実行する電池制御装置と、を備えた電池監視システムであって、前記電池監視装置は、前記電池の状態を監視する監視部と、前記監視部との間でデータを送受信するとともに、無線通信を実行可能な子機側無線制御部と、を備え、前記電池制御装置は、各種制御を実行する電池制御部と、前記電池制御部との間でデータを送受信するとともに、無線通信を実行可能な親機側無線制御部と、を備え、前記電池制御部は、複数のコマンドを前記電池監視装置に送信して前記電池監視装置に蓄積させ、前記子機側無線制御部は、蓄積した複数のコマンドを前記監視部に順次送信して、前記監視部にコマンドに基づく処理を順次実行させるとともに、それらの処理結果をまとめて前記電池制御装置に返信する。
【0011】
これにより、通信データ量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】通信開始時における無線通信の処理順序の概略を示す図。
【
図4】定常状態における無線通信の処理順序の概略を示す図。
【
図5】通信終了時における無線通信の処理順序の概略を示す図。
【
図12】実施形態Aに係る電池パックの全体構成を示す斜視図。
【
図15】カバーが取り外された状態の電池パックの平面図。
【
図16】電池ブロックを構成する電池セルの積層体を模式的に示す斜視図。
【
図17】電池ブロックの直列接続方法の一例を示す図。
【
図19】電池制御装置及び電池監視装置の構成を示す図。
【
図20】実施形態Aの変形例に係る電池パックの平面図。
【
図23】カバーが取り外された状態の電池パックの平面図。
【
図26】車両のシャーシ内の収容空間における電池パックの配置態様を示す図。
【
図28】実施形態Dに係るカバーが取り外された状態の電池パックの平面図。
【
図30】実施形態Dの変形例に係るカバーが取り外された状態の電池パックの平面図。
【
図33】実施形態Eの変形例に係る電池パックの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示における電池監視システムの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は原則として繰り返さない。以下では、電池監視システム1が車両に適用される実施形態について説明されるが、本開示に従う電池監視システム1は、車両以外の用途にも適用可能である。
【0014】
(第1実施形態)
<車両10の全体構成>
図1は、車両10の構成を概略的に示した図である。車両10は、電池パック11(
図1では「Battey」と示す)と、パワーコントロールユニット(以下「PCU(Power Control Unit)」と示す)12と、モータ13(
図1では「MG」と示す)と、車両ECU14(
図1では「ECU」と示す)とを備える。
【0015】
電池パック11は、車両10の駆動電源として車両10に搭載される。
図1では、電池パック11は、車両10のエンジンルームに設置されているが、トランクルーム、座席下、又は床下など、他の場所に設置されていてもよい。車両10は、電池パック11に蓄えられた電力を用いて走行する電気自動車或いはハイブリッド自動車である。
【0016】
電池パック11は、多数の電池セル22(二次単電池)を含んで構成される組電池20を含む。電池パック11は、モータ13を駆動するための電力を組電池20に蓄えており、PCU12を通じてモータ13へ電力を供給することができる。また、電池パック11は、車両制動時等のモータ13の回生発電時にPCU12を通じてモータ13の発電電力を受けて充電される。
【0017】
また、電池パック11には、組電池20を監視する電池監視装置30や電池監視装置30を制御する電池制御装置40が設けられる。つまり、本実施形態の電池パック11には、組電池20と、電池監視装置30と、電池制御装置40とを備える電池間システム1が収容されていることとなる。なお、電池監視装置30や電池制御装置40の構成については、
図2以降で詳しく説明する。
【0018】
PCU12は、車両ECU14からの制御信号に従って、電池パック11とモータ13との間で双方向の電力変換を実行する。PCU12は、たとえば、モータ13を駆動するインバータと、インバータに供給される直流電圧を電池パック11の出力電圧以上に昇圧するコンバータとを含んで構成される。
【0019】
モータ13は、交流回転電機であり、たとえば、ロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機である。モータ13は、PCU12により駆動されて回転駆動力を発生し、モータ13が発生した駆動力は、駆動輪に伝達される。一方、車両10の制動時には、モータ13は、発電機として動作し、回生発電を行なう。モータ13が発電した電力は、PCU12を通じて電池パック11に供給され、電池パック11内の組電池20に蓄えられる。
【0020】
車両ECU14は、CPU、ROM及びRAM、各種信号を入出力するための入出力ポート等を含んで構成される。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。ROMに格納されているプログラムには、車両ECU14の処理が記されている。車両ECU14の主要な処理の一例として、車両ECU14は、電池パック11から組電池20の電圧、電流、SOC(State Of Charge)等の情報を受け、PCU12を制御することにより、モータ13の駆動及び電池パック11の充放電を制御する。
【0021】
<電池パック11の構成>
図2は、電池パック11の構成を模式的に示す図である。電池パック11は、組電池20と、複数の電池監視装置30と、電池制御装置40と、それらの収容する筐体50(破線で示す)とを備えている。なお、本実施形態では、電池制御装置40は、筐体50の内部に収容されているが、筐体50の外部に配置されていてもよい。
【0022】
<組電池20の構成>
組電池20は、複数の電池ブロック21(電池スタック、電池モジュールと称される場合もある)を有する。これらの複数の電池ブロック21が直列及び/又は並列に接続されることにより、組電池20が構成される。各電池ブロック21は、複数の電池セル22を有する。各電池セル22は、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等によって構成される。なお、リチウムイオン二次電池は、リチウムを電荷担体とする二次電池であり、電解質が液体の一般的なリチウムイオン二次電池の他、固体の電解質を用いた所謂全固体電池も含み得る。これらの複数の電池セル22が直列及び/又は並列に接続されることにより、電池ブロック21が構成される。
【0023】
<電池監視装置30の構成>
電池監視装置30は、サテライト・バッテリ・モジュール(SBM:Satellite Battery Module)とも呼ばれ、電池ブロック21毎に設けられている。
図2に示すように、各電池監視装置30は、監視部としての監視IC31と、子機側無線制御部である無線IC32と、無線アンテナ33などを備えている。監視IC31は、セル監視回路(CSC:Cell Supervising Circuit)とも呼ばれ、電池ブロック21を構成する各電池セル22又は図示しないセンサから、電池情報を取得する。その電池情報は、例えば、各電池セル22の電圧情報、温度情報、電流情報等を含む。また、監視IC31は、自己診断し、自己診断情報を生成する。自己診断情報とは、例えば、電池監視装置30の動作確認に関する情報、つまり、電池監視装置30の異常や故障に関する情報などである。具体的には、電池監視装置30を構成する監視IC31や無線IC32等の動作確認に関する情報である。
【0024】
無線IC32は、監視IC31と有線で接続されており、無線MCU(Micro Control Unit)とRFデバイス(高周波デバイス・モジュール)などを有する。無線IC32は、監視IC31から受け取ったデータ(制御信号などを含む)を、無線アンテナ33を介して無線にて送信する。また、無線IC32は、無線アンテナ33を介して受信したデータを監視IC31に送る。
【0025】
<電池制御装置40の構成>
電池制御装置40は、電池ECUやBMU(Battery Management Unit)とも呼ばれ、電池ブロック21の外側側面等に取り付けられている。電池制御装置40は、各電池監視装置30と無線通信可能に構成されている。
【0026】
詳しく説明すると、
図2に示すように、電池制御装置40は、電池制御部としての電池制御MCU41と、親機側無線制御部である無線IC42と、無線アンテナ43などを備えている。電池制御MCU41は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイコンにより構成されている。電池制御MCU41のCPUは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。ROMに格納されているプログラムには、電池制御に関する処理が記されている。
【0027】
主要な処理の一例として、電池制御MCU41は、電池監視装置30に対して電池情報の取得及び送信を指示する。また、電池制御MCU41は、電池監視装置30から受け取った電池情報に基づいて、組電池20、電池ブロック21、電池セル22の監視を行う。また、電池制御MCU41は、監視結果などに基づいて、組電池20とPCU12やモータ13との通電及び通電遮断状態を切り替えるリレースイッチを制御する。また、電池制御MCU41は、各電池セル22の電圧を均等化させる均等化信号を送信する場合もある。なお、本実施形態では、車両ECU14が、組電池20の充放電制御を行うために、PCU12に対して指示を行っていたが、電池制御MCU41が実施可能に構成してもよい。
【0028】
無線IC42は、電池制御MCU41と有線で接続されており、無線IC32と同様に、無線MCUとRFデバイスなどを有する。無線IC42は、電池制御MCU41から受け取ったデータを、無線アンテナ43を介して無線にて送信する。また、無線IC42は、無線アンテナ43を介して受信したデータを電池制御MCU41に送る。本実施形態において、電池制御装置40の無線IC42の無線MCUは、親機側無線IC42と示し、電池監視装置30の無線IC32の無線MCUは、子機側無線IC32と示す。
【0029】
<筐体50の構成>
筐体50は、金属等の導電体により構成されている。筐体50は、金属製の箱状に形成されており、略直方体形状となっている。筐体50は、組電池20、電池監視装置30、及び電池制御装置40を収容する。
【0030】
ところで、電池パック11の筐体50は、電池監視装置30等の収容物を導電体で覆うように構成し、外部からの電波を完全に遮断することが望ましい。しかしながら、実際には、収容物を導電体により完全に覆うことは難しい。例えば、筐体本体とカバーとの間の隙間などを埋めるシール部材、防爆弁、コネクタなどを筐体50に設ける必要があり、それらの箇所は、外部電波が侵入しやすくなっている。また、そもそも軽量化のため、筐体50を樹脂などで構成することが望まれており、この場合、外部からの電波を遮断できない。
【0031】
このため、電池監視装置30と電池制御装置40との間で無線通信を確実に行うために、認証や誤り検出等、有線通信では行う必要があまりない処理を実行する。また、認証等を行うため、有線通信に比較して通信データ量が増加する。以上のことから、無線通信は、一般的に、有線通信に比較して通信に要する時間が長くなりやすいという課題がある。
【0032】
そこで、本実施形態では、無線通信を確実に行いつつ、通信に要する時間を短縮するため、以下に説明するような構成及び無線通信方法を実施している。
【0033】
<無線通信に係る処理>
次に無線通信に係る処理について説明する。以下では、まず、通信開始時における処理について説明した後、定常状態における無線通信に係る処理について説明する。その後、通信終了時における処理について説明する。また、ノイズなどの影響を適切に検出するための保護機構についての説明を行う。
【0034】
<通信開始時における処理>
図3に示すように、電池制御MCU41は、無線通信を開始する場合、親機側無線IC42に対して、通信開始命令を出力する(ステップS11)。通信開始命令の出力契機は、例えば、イグニッションスイッチがオンされたことを示すIG-ON信号が入力された場合等である。なお、通信開始命令の出力契機は、IG-ON信号等の信号入力に限る必要はなく、任意のタイミングに変更してもよい。例えば、無線通信が切断されてから所定時間が経過したことを通信開始命令の出力契機としてもよい。また、例えば、所定時刻になったことを通信開始命令の出力契機としてもよい。具体的には、一定時間ごとにセル電圧のばらつきを確認させ、セル電圧の均等化処理を実施させる場合、セル電圧の確認及び均等化のタイミングを通信開始命令の出力契機としてもよい。また、電池制御MCU41が通信開始契機を判断したが、親機側無線IC42が判断してもよい。
【0035】
親機側無線IC42は、通信開始命令を入力すると、無線通信接続処理を実行する(ステップS12)。ここで、親機側無線IC42は、子機側無線IC32から周期的に出力される接続依頼信号(ステップS0)を探索して検出する。なお、接続依頼信号は、ランダムに出力されていてもよい。親機側無線IC42は、接続依頼信号を検出して、子機側無線IC32を発見した場合、当該子機側無線IC32に対して、親機側無線IC42が子機側無線IC32を発見した旨を通知する子機発見信号を出力する(ステップS13)。
【0036】
子機側無線IC32は、子機発見信号を入力すると、親機側無線IC42との間で認証処理を実行する(ステップS14)。この認証処理において、子機側無線IC32と親機側無線IC42は互いに複数回通信を行って認証に係る情報をやり取りし、認証及び各種設定を行う。
【0037】
また、子機側無線IC32は、子機発見信号を入力すると、認証処理と並行して、監視IC31に対して初期動作に係る動作指示を行う。すなわち、認証処理では、前述したように、子機側無線IC32と親機側無線IC42は互いに複数回通信を行って情報をやり取りする。このため、子機側無線IC32は、情報を送信してから、親機側無線IC42より返信があるまで、待機時間が生じる。そこで、子機側無線IC32は、この待機時間を利用して、監視IC31に対して初期動作に係るコマンドを出力(発行)することにより、認証処理と監視IC31による初期動作とを並行実行させる。なお、子機側無線IC32に複数のプロセッサを設けて、一方のプロセッサに認証処理を実行させ、他方のプロセッサに初期動作を実行させる構成でもよい。
【0038】
初期動作に係る動作指示は、初期動作において監視IC31に実行させるコマンドを監視IC31に順次出力することにより実現される。初期動作において監視IC31に実行させるコマンドは、複数種類存在し、子機側無線IC32の記憶装置に予め記憶されている。
【0039】
具体的には、初期動作において、子機側無線IC32は、初期設定の実行指示コマンドを監視IC31に送信する。これにより、監視IC31は、初期設定を行う(ステップS15)。監視IC31の初期設定では、リフレッシュやID番号の設定が行われる。ID番号は、電池制御MCU41によって付与されるものであり、各監視IC31に対してそれぞれ別個の番号が割り振られ、電池制御MCU41が記憶及び管理している。なお、ID番号は、初期設定の実行指示コマンドに予め含まれている。初期設定が終了すると、監視IC31は、処理結果として、初期設定が正常に終了したか否かの情報を、子機側無線IC32に返信する。子機側無線IC32は、返信された当該情報を子機側無線IC32の記憶装置に記憶する。
【0040】
また、子機側無線IC32は、各種電池情報を検出させるセンシング動作の実行指示コマンドを監視IC31に送信する(ステップS16)。その際、センシング動作において、どのような種類の電池情報の種類(セル電圧、ブロック電圧、電池温度等)を検出させるか指定する。これにより、監視IC31は、指定された種類の電池情報を検出し、子機側無線IC32に検出結果としての電池情報を返信する。子機側無線IC32は、返信された電池情報を子機側無線IC32の記憶装置に記憶する。
【0041】
また、子機側無線IC32は、自己診断の実行指示コマンドを監視IC31に送信する。これにより、監視IC31は、自己診断を行い、その結果として自己診断情報を返信する。子機側無線IC32は、返信された自己診断情報を子機側無線IC32の記憶装置に記憶する。以降、子機側無線IC32は、認証処理中に、同様にして、監視IC31に対して動作指示を行い、その処理結果を受信するという処理を繰り返す。
【0042】
初期動作において出力させるコマンドは、前回の無線通信終了時、例えば、イグニッションスイッチがオフされたときに、電池制御装置40から受信し、子機側無線IC32の記憶装置に記憶される(詳しくは後述する)。記憶させるコマンドの種類、実行順序及び数は、その時に指定される。
【0043】
なお、初期動作に係るコマンドの種類等(種類、数、実行順序、及び出力タイミングなど、以下同じ)は、状況により変更されてもよい。例えば、IG-ON信号等の信号入力を契機に通信開始された場合には、上述した初期設定等に係るコマンドが含まれる一方で、セル電圧の確認及び均等化のタイミングを契機に通信開始された場合には、均等化処理に係るコマンド等が含まれていてもよい。
【0044】
以上のように、初期動作が実行されると、子機側無線IC32は、初期動作に係る処理結果(電池情報など)を子機側無線IC32の記憶装置に記憶することとなる。そして、認証処理及び初期動作に係る処理が終了すると(ステップS18)、子機側無線IC32は、子機側無線IC32の記憶装置に記憶した初期動作に係る処理結果を送信する(ステップS19)。電池制御MCU41は、初期動作に係る処理結果を受信すると、初期動作において検出された電池情報等に基づいて各種制御を実行する。例えば、電池制御MCU41は、自己診断情報や、電池情報に基づいて組電池20や電池監視装置30に異常がなく、充放電可能な状態であると判定した場合、組電池20からの充放電を許可する。許可された場合、車両要求等に基づいて組電池20から電力が供給される、若しくは組電池20が充電される。また、組電池20や電池監視装置30等が正常であると判断された場合、定常状態となり、電池制御に必要なデータ授受が無線通信で行われる。
【0045】
<定常状態における通信処理>
定常状態中、原則として、電池制御装置40は、電池監視装置30に実行させる処理内容を指示するコマンドを複数まとめて送信し、電池監視装置30に指示した処理の結果をまとめて受信する。そして、この一連の処理を繰り返し実行する。以下、より詳しく説明する。
【0046】
図4に示すように、電池制御装置40の電池制御MCU41は、通信スケジュールに従って電池監視装置30に実行させる処理内容を指示するコマンドなどを含むデータユニットを生成し、有線を介して当該データユニットを親機側無線IC42に送信する(ステップS21)。データユニットには、複数種類のコマンドが含まれている。例えば、セル電圧の検出を指示する実行指示コマンド、検出されたセル電圧の読み出しを指示する読取指示コマンド、ブロック電圧の検出を指示する実行指示コマンド、検出されたブロック電圧の読み出しを指示する読取指示コマンド、電池温度の検出を指示する実行指示コマンド、検出された電池温度の読み出しを指示する読取指示コマンド等、複数のコマンドが1つのデータユニットに含まれる。1つのデータユニットに含まれるコマンドの種類及び数は、任意に変更してもよい。例えば、自己診断を実施させるコマンドが含まれてもよい。
【0047】
電池制御装置40の親機側無線IC42は、受信したデータユニットに対して通信制御情報などの無線通信に必要なデータ(情報)を付与して、無線データを生成する(ステップS22)。電池制御装置40の親機側無線IC42は、無線アンテナ43を介して、生成した無線データを無線にて送信する(ステップS22)。
【0048】
電池監視装置30の子機側無線IC32は、無線アンテナ33を介して、無線データを受信すると、無線データの通信制御情報に基づいて、自身宛ての無線データであるか否かを判定する(ステップS23)。子機側無線IC32は、自身宛ての無線データであると判定すると、無線データからデータユニットを取り出す(ステップS24)。そして、子機側無線IC32は、データユニットに含まれるコマンドを、有線を介して監視IC31に順次送信する(ステップS25)。なお、コマンドの送信順や、送信タイミングは、データユニットにそれらの情報が含まれていてもよいし、子機側無線IC32がコマンドの種類などに基づいて判断してもよい。
【0049】
監視IC31は、子機側無線IC32からコマンドを受信すると、受信したコマンドにより指示された内容の処理を実施する(ステップS26)。例えば、監視IC31は、電池情報の検出を指示する実行指示コマンドを入力した場合、指示された種類の電池情報を検出し、監視IC31の記憶装置に記憶する。また、監視IC31は、電池情報の読み出しを指示する読取指示コマンドを入力した場合、指示された種類の電池情報を記憶装置から読み出し、読み出した電池情報を電子データ化し、子機側無線IC32に送信する(ステップS27)。子機側無線IC32は、受信した電池情報等のデータを保存する(ステップS28)。子機側無線IC32は、全てのコマンドを出力するまでステップS25~S28の処理を繰り返す。
【0050】
そして、子機側無線IC32は、全てのコマンドを送信し、それらのコマンドにより指示された処理が完了すると、子機側無線IC32の記憶装置に記憶された電池情報などからデータユニットを生成する(ステップS29)。そして、子機側無線IC32は、当該データユニットに対して通信制御情報などの無線通信に必要なデータ(情報)を付与して、無線データを生成する。電池監視装置30の子機側無線IC32は、無線アンテナ33を介して、生成した無線データを送信(返信)する(ステップS30)。
【0051】
そして、電池制御装置40の親機側無線IC42は、無線アンテナ43を介して、当該無線データを受信すると、無線データの通信制御情報に基づいて、自身宛ての無線データであるか否かを判定する(ステップS31)。親機側無線IC42は、自身宛ての無線データであると判定すると、無線データからデータユニットを取り出し、有線を介して電池制御MCU41に送信する(ステップS32)。
【0052】
電池制御MCU41は、親機側無線IC42からデータユニットを受信すると、データユニットから処理結果(電池情報など)を取得する(ステップS33)。そして、電池制御MCU41は、取得した処理結果に基づいて各種制御を実行する(ステップS33)。例えば、電池制御MCU41は、受信した電池情報を外部の車両ECU14等に対して通知する。また、電池情報に基づいて電池セル22に異常を検出した場合、電池制御MCU41は、組電池20への充放電を停止させるように外部の車両ECU14等に対して信号を出力する。また、電池セル22の電圧にばらつきが生じている場合、電池制御MCU41は、均等化処理を実行する。
【0053】
以降、定常状態が終了するまで、つまり、無線通信が終了するまで、電池制御装置40は、通信スケジュールに従って、これら一連の処理を繰り返し実行する。なお、電池制御MCU41は、ある1つの電池監視装置30に対してデータユニットを送信した後(ステップS21)、当該電池監視装置30から処理結果を受信するまで(ステップS33)の間において、他の電池監視装置30に対してデータユニットを送信してもよい。これにより、ある電池監視装置30の処理中に並行して他の電池監視装置30と通信することや、他の電池監視装置30に並行処理させることが可能となる。また、コマンドをまとめて送信し、処理結果をまとめて受信するので、通信データ量を低減することも可能となる。
【0054】
<通信終了時における処理>
図5に示すように、イグニッションスイッチがオフされる(IG-OFF信号の入力)などを契機に、無線通信を終了する場合、電池制御装置40は、通信終了時に係る処理を実行する。通信終了時に係る処理において、まず、電池制御装置40は、次回の無線通信開始時において、認証処理中に実行させる初期動作に係る動作指示を行う。より詳しくは、電池制御装置40の電池制御MCU41は、初期動作に係る各種コマンドを含むデータユニットを生成し、有線を介して当該データユニットを無線IC42に送信する(ステップS41)。なお、初期設定に係るコマンドを出力させる場合、当該コマンドには接続先、つまり、出力先の監視IC31に付与するID番号を含ませている。
【0055】
電池制御装置40の親機側無線IC42は、受信したデータユニットに対して通信制御情報などの無線通信に必要なデータ(情報)を付与して、無線データを生成する。電池制御装置40の親機側無線IC42は、無線アンテナ43を介して、生成した無線データを無線にて送信する(ステップS42)。
【0056】
電池監視装置30の子機側無線IC32は、無線アンテナ33を介して、無線データを受信すると、無線データの通信制御情報に基づいて、自身宛ての無線データであるか否かを判定する(ステップS43)。無線IC32は、自身宛ての無線データであると判定すると、無線データからユニットデータを取り出す(ステップS44)。その際、無線IC32が、ユニットデータに初期動作に係るコマンドが含まれていると判断した場合、当該ユニットデータに含まれる各種コマンドを記憶装置に記憶する(ステップS45)。ステップS45では、例えば、初期設定に係るコマンドや、均等化処理に係るコマンドなどが記憶される。
【0057】
その後、電池制御装置40及び電池監視装置30は、無線通信を終了させるための処理(切断処理など)を実行し(ステップS46)、待機状態に移行する(ステップS47)。この待機状態において、子機側無線IC32は、前述したように、所定周期ごとに接続依頼信号を出力する(ステップS0)。なお、ランダムなタイミングで、接続依頼信号が出力されてもよい。
【0058】
<保護機構38,48の構成>
前述したように、電池パック11の筐体50は、外部からのノイズ電波が侵入しうる。このため、電池監視装置30及び電池制御装置40には、それぞれ無線通信を行う際、通信データにおける誤りなどの通信エラーを検知するための保護機構38,48が設けられている。これらの保護機構38,48は、監視IC31及び電池制御MCU41にそれぞれ設けられている。具体的には、監視IC31は、ROMに記憶されているプログラムがCPUにより実行されることにより、保護機構38として機能する。同様に、電池制御MCU41は、ROMに記憶されているプログラムがCPUによって実行されることにより、保護機構48として機能する。なお、保護機構38,48をハードウェア(回路など)によって構成し、監視IC31,電池制御MCU41に搭載してもよい。
【0059】
無線通信にて送受信されるコマンドや電池情報などのメッセージデータ(被保護データ)は、送信側及び受信側の保護機構38,48としての電池制御MCU41及び監視IC31が協同してメッセージデータが正しく送受信されているか否かを検査することにより、保護されている。
【0060】
本実施形態では、複数種類の検査が実施可能に構成されている。例えば、巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)、IDチェック、シーケンスチェック、タイムアウトチェック、フィードバック応答によるチェック、宛先確認が実施可能に構成されている。また、それとは別に、無線IC32,42の間でも検査が行われている。なお、すべての検査方法を常に実施する必要はなく、必要に応じて、いくつかの検査方法を選択して実施してもよい。また、検査を実施しない場合があってもよい。以下、各検査方法についての概略について説明し、その後、検査方法の具体例を示す。
【0061】
<フィードバック応答によるチェック>
監視IC31は、電池制御MCU41から宛先情報及びコマンドの組み合わせを受信した場合、受信した宛先情報及びコマンドの組み合わせをそのまま送り返す(フィードバック応答)。電池制御MCU41は、監視IC31からフィードバック応答された宛先情報及びコマンドの組み合わせが、送信した宛先情報及びコマンドの組み合わせと一致するか否かを判定する。一致した場合、電池制御MCU41は、正常に無線通信が行われたと判断し、一致しなかった場合、正常に無線通信が行われなかった可能性があると判断する。なお、フィードバック応答する際、監視IC31は、受信した宛先情報及びコマンドの組み合わせを返信するのであれば、受信した宛先情報及びコマンドの組み合わせに電池情報などのデータ部を付加して返信してもよい。このとき、付加されたデータ部分については判定せず、フィードバック応答された宛先情報及びコマンドの組み合わせについて判定する。
【0062】
<シーケンスチェック>
シーケンスチェックは、通信スケジュールに従ってデータが送受信されているか否かを検査する方法である。シーケンスチェックでは、送信側となる電池制御MCU41は、通信スケジュールに従って、シーケンス番号をデータユニットに含ませて送信する。本実施形態において、シーケンス番号は、宛先情報である送信先の監視IC31のアドレスと、監視IC31に送信するコマンドの組み合わせとしているが、送信順に個別の番号を付与してもよい。通信スケジュールでは、
図6に示すように、シーケンス番号が送信順に並べられている。
【0063】
そして、受信側となる監視IC31は、受信したデータユニットに含まれるシーケンス番号を、フィードバック応答によりそのまま返信する。電池制御MCU41は、受信したデータユニットのシーケンス番号に基づいて、通信スケジュールに従ったものであるか否かを判定することにより、通信スケジュールに従ってデータが送受信されているか否かを検査する。
【0064】
なお、本実施形態では、電池制御MCU41が、シーケンス番号を付与するとともに、返信されたシーケンス番号の判定を行ったが、監視IC31がシーケンス番号の判定を行ってもよい。この場合、監視IC31も通信スケジュールを有することとなる。また、監視IC31がシーケンス番号を付与し、電池制御MCU41がシーケンス番号の判定を行ってもよい。
【0065】
<タイムアウトチェック>
タイムアウトチェックは、データの遅延があるか否かを検査する方法である。タイムアウトチェックでは、送信側となる電池制御MCU41は、
図6に示すように、通信スケジュールにより決められた出力タイミングに従って、前述同様、シーケンス番号を含むデータユニットを生成して、送信する。そして、受信側となる監視IC31は、受信したデータユニットに含まれるシーケンス番号を、フィードバック応答によりそのまま返信する。電池制御MCU41は、通信スケジュールを参照して、受信したデータユニットに含まれるシーケンス番号から、当該受信したデータユニットが予め決められた受信タイミングから所定時間以内に受信されたものか否かを判定する。電池制御MCU41は、通信スケジュールを参照して、受信タイミングから所定時間以上遅延している場合、通信エラーを検出する。
【0066】
なお、本実施形態では、電池制御MCU41が、タイムアウトの判定を行ったが、監視IC31がタイムアウトの判定を行ってもよい。この場合、監視IC31も通信スケジュールを有することとなる。また、電池制御MCU41及び監視IC31がともにタイムアウトの判定を行ってもよい。
【0067】
<IDチェック>
IDチェックは、監視IC31が電池制御MCU41にデータユニットを送信する際、電池制御MCU41により設定されたユニークIDであるID番号を付して、送信元が正しいか否かを検査する方法である。
【0068】
詳しく説明すると、電池制御MCU41は、データユニットを監視IC31に送信する際、データユニットに送信先の監視IC31のアドレス(宛先情報)を含ませることにより、宛先を指定する。監視IC31は、電池制御MCU41からデータユニットを受信すると、処理結果とともに、自身のID番号を付加してデータユニットを生成し、電池制御MCU41に返信する。電池制御MCU41は、監視IC31からデータユニットが返信されると、データユニットに含まれる宛先情報と、付加されたID番号とが対応するか否かを判定することにより、データユニットが正しい宛先に送受信されたか否かを判定する。
【0069】
なお、監視IC31のID番号は、前述したように初期設定中に電池制御MCU41によって、接続される各監視IC31に対して個別に設定されるものであり、電池制御MCU41が記憶管理している。
【0070】
また、本実施形態において、監視IC31は、データユニットを受信すると、自身のID番号を付加してデータユニットを電池制御MCU41に返信していたが、データユニットに含まれるコマンドの種類によっては、ID番号を付与しなくてもよい。例えば、監視IC31自身が生成したデータ(検出した電池情報など)を付与することなく、コマンドを単純にフィードバック応答する場合、ID番号を付与しなくてもよい。
【0071】
<巡回冗長検査>
巡回冗長検査は、誤り検出符号を利用した検査の一種である。本実施形態では、監視IC31が送信側となる場合、監視IC31が、送信される被保護データを値とみなして、予め決められた生成多項式で除算してその余りをCRCデータとして生成する。そして、送信側である監視IC31は、CRCデータを、送信されるデータユニットに含ませる。受信側となる電池制御MCU41は、受信した被保護データを値とみなして、送信側と同じ生成多項式で除算し、その余りを、受信したデータユニットに含まれるCRCデータと比較して、非保護データに誤りや破損が生じているか否かを解析する。
【0072】
本実施形態において、CRCデータを生成する際、どの範囲のデータを被保護データとするのかは任意に変更してもよい。例えば、フィードバック応答される宛先情報とコマンドの組み合わせ(シーケンス番号)を被保護データとしてもよく、これにID番号や電池情報などの送信データ部を含ませて、被保護データとしてもよい。また、宛先情報とコマンドの組み合わせに対するCRCデータを生成するとともに、その他のデータ(ID番号や電池情報などの送信データ部)に対するCRCデータを別個に生成するようにしてもよい。
【0073】
<宛先確認>
前述したように、電池制御装置40は、電池監視装置30に対して複数のコマンドをまとめてデータユニットに含ませて送信する。そして、子機側無線IC32は、データユニットに含まれる複数のコマンドを順次監視IC31に送信する。監視IC31は、コマンドに基づく処理を実施し、自身のID番号を付与してフィードバック応答し、子機側無線IC32に送信する。子機側無線IC32は、データユニットに含まれる複数のコマンドが監視IC31から返信された場合、ID番号が付与されたコマンドをまとめてデータユニットを作成し、電池制御装置40に送信する。電池制御MCU41は、受信したデータユニットに含まれる各コマンドに付与されたID番号が宛先情報とすべて一致する場合、電池制御MCU41と親機側無線IC42との間の有線通信、子機側無線IC32と親機側無線IC42との間の無線通信、及び子機側無線IC32と監視IC31との間の有線通信が正常に行われたと判断する。
【0074】
<無線ICにおける通信保護>
上述したように、本実施形態では、電池制御MCU41と監視IC31との間における通信層において、データが送受信される際、保護機構38,48によるデータの保護が実施されている。これに加えて、本実施形態では、無線IC32,42との間における通信層においてもデータの保護が実施されている。以下、詳しく説明する。
【0075】
無線IC32,42との間において、無線データが送受信される際、無線データは、送信側及び受信側の無線IC32,42が協同して無線データが正しく送受信されているか否かを検査することにより、保護されている。
【0076】
具体的には、送信側となる無線IC32,42は、電池制御MCU41又は監視IC31からデータユニットを受信すると、そのデータユニットに対して通信制御情報及び通信保護データを付与して、無線データを生成し、無線にて送信する。通信制御情報は、例えば、送信元及び送信先のアドレスなど、無線通信を実施する際に必要な情報である。通信保護データは、通信制御情報を検査及び保護するためのデータであり、送信側の無線IC32,42により、予め決められた規則に従って、生成される。
【0077】
そして、受信側となる無線IC32,42は、予め決められた規則に従って、受信された無線データの通信保護データに基づいて、受信された通信制御情報を検査し、正しく無線データの送受信が行われているか否かを解析(判定)する。解析後、無線IC32,42は、データユニットを取得し、電池制御MCU41又は監視IC31に送信する。
【0078】
本実施形態では、無線IC32,42により、保護機構38,48と同様に、複数種類の検査が行われている。例えば、巡回冗長検査、IDチェック、シーケンスチェック、タイムアウトチェックなどが行われている。これらの検査は、無線IC32,42のROMに記憶されているプログラムが無線IC32,42のCPUにより実行されることにより、実施される。なお、ハードウェア(回路など)によって検査手段を構成し、無線IC32,42に搭載してもよい。検査内容については、保護機構38,48とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0079】
<検査方法の具体例>
以下、定常状態における無線通信において、どのように検査が行われるかについて
図7~
図11に従って説明する。
【0080】
図7に示すように、電池制御MCU41は、
図6の通信スケジュールに従って、送信順が1番である宛先情報及びコマンドの種類及び数を特定し、データユニットD1を作成する(ステップS51)。なお、データユニットに含まれるコマンドの種類及び数は任意であるが、監視IC31に実行させる処理(センシング動作など)を指定する実行指示コマンドと、その処理結果(検出された電池情報など)の読み出しを指示する読取指示コマンドの対が含まれていることが望ましい。
【0081】
図7に示すように、電池制御MCU41は、通信スケジュールに従って、所定の出力タイミングでデータユニットD1を親機側無線IC42に送信する(ステップS52)。親機側無線IC42は、受信したデータユニットD1に通信制御情報や通信保護データを付与して無線データDM1を生成する(ステップS53)。
【0082】
親機側無線IC42は、子機側無線IC32に無線データDM1を送信する(ステップS54)。子機側無線IC32は、自身宛ての無線データDM1であるか判定する際、通信保護データに基づいて検査を行う(ステップS55)。正常である場合、子機側無線IC32は、受信した無線データDM1からデータユニットD1を取り出す(ステップS56)。
【0083】
図8に示すように、子機側無線IC32は、データユニットD1に含まれるコマンドCD1を宛先情報に基づいて監視IC31に送信する(ステップS56)。なお、本実施形態において、コマンドCD1は、実行指示コマンドであることを前提として説明する。また、宛先情報とコマンドCD1を送信する。
【0084】
監視IC31は、コマンドCD1により指定された処理を実行する(ステップS57)。当該処理を終了すると、監視IC31は、子機側無線IC32に返信する返信データDR1を生成する(ステップS58)。具体的には、監視IC31は、宛先情報及びコマンド1(シーケンス番号)をフィードバック応答すべく、子機側無線IC32に返信する返信データDR1に含ませる。また、監視IC31は、宛先情報及びコマンドCD1のCRCデータを作成して、返信データDR1に含ませる。その際、自身のID番号及びID番号のCRCデータを返信データDR1に含ませてもよい。
【0085】
そして、監視IC31は、返信データDR1を子機側無線IC32に送信する(ステップS58)。子機側無線IC32は、受信した返信データDR1を保存する(ステップS59)。
【0086】
そして、
図9に示すように、子機側無線IC32は、データユニットD1に含まれる次のコマンドCD2を読み出し、前述同様、監視IC31に送信する(ステップS60)。本実施形態において、コマンドCD2は、コマンドCD1の処理結果を読み出す読取指示コマンドであるものとする。以降のステップS61~S63の処理は、ステップS56~S59とほぼ同様であるため、詳細な説明を省略する。なお、コマンドCD2は、コマンドCD1の処理結果を読み出す読取指示コマンドであるため、ステップS62において、検出された電池情報等の読取データが返信データDR2に含まれ、読取データもCRCデータの対象となる点で若干異なる。
【0087】
また、
図8に示すように、ステップS56~S63の処理中に、電池制御MCU41は、通信スケジュールに従って、次のデータユニットD2を他の電池監視装置30(
図8ではSBM2)に送信する場合がある(ステップS91~S93)。つまり、ある電池監視装置30(SBM1)の処理中に、電池制御装置40は、並行して他の電池監視装置30(SBM2)に対して無線通信が行われる場合がある。これにより、ある電池監視装置30(SBM1)の処理と並行して、他の電池監視装置30(SBM2)の処理を進行させることが可能となる。
【0088】
データユニットD1に含まれるすべてのコマンドCD1,CD2を出力し、それらの処理結果としての返信データDR1,DR2が保存されると、
図10に示すように、子機側無線IC32は、それらをまとめて返信データユニットR1を生成する(ステップS64)。そして、子機側無線IC32は、返信データユニットR1を無線データDM3にして、親機側無線IC42に送信する(ステップS65)。親機側無線IC42は、自身宛ての無線データDM3であるか判定する際、通信保護データに基づいて検査を行う(ステップS66)。正常である場合、子機側無線IC32は、受信した無線データDM3から返信データユニットR1を取り出し、電池制御MCU41に送信する(ステップS67)。
【0089】
図11に示すように、返信データユニットR1には、宛先情報及びコマンド(シーケンス番号)、そのCRCデータ、ID番号や読取データを含むデータ部、そのCRCデータなどが含まれる。
【0090】
電池制御MCU41は、被保護データからCRCデータを生成し、返信データユニットR1に含まれるCRCデータと一致するか否かを判定することにより巡回冗長検査を実行する(ステップS71)。
【0091】
次に、電池制御MCU41は、返信データユニットR1に含まれる宛先情報及びコマンドの組み合わせが、送信したものと一致するか否かを判定するフィードバック応答のチェックを行う(ステップS72)。
【0092】
次に、電池制御MCU41は、通信スケジュールに従って、宛先情報及びコマンドの組み合わせ(シーケンス番号)のチェックを行う(ステップS73)。また、電池制御MCU41は、通信スケジュールに従って、送信してから受信するまでの所定時間経過して否かを判定するタイムアウトチェックを行う(ステップS74)。また、電池制御MCU41は、返信データユニットR1に含まれるID番号が、宛先情報に対応するものか否かを判定するIDチェックを行う(ステップS75)。また、電池制御MCU41は、返信データユニットR1に含まれる各コマンドに対応付けられた各ID番号と宛先情報が一致するか否かを判定する宛先確認を行う(ステップS76)。
【0093】
電池制御MCU41は、これらの検査に異常がなければ、正常な通信が行われたと判断し、いずれかの検査に異常があれば、通信エラーを通知する。正常な通信が行われた場合、電池制御MCU41は、読取データから電池情報などの処理結果を取得し、各種制御を実施する。
【0094】
以下、第1実施形態の構成によれば、以下に示すような有利な効果を得ることができる。
【0095】
通信開始時、子機側無線IC32は、親機側無線IC42と認証処理を実行する際、それと並行して、監視IC31に対して初期動作に係る動作指示を行う。これにより、認証処理の終了を待つことなく、監視IC31に初期動作を実行させることができる。したがって、初期動作を早く完了させることができる。このため、例えば、イグニッションスイッチがオンされてから走行可能となるまでの時間を短縮することができる。
【0096】
初期動作に係るコマンドを複数記憶している。このため、電池監視装置30は、電池制御装置40と通信をすることなく、初期動作を指示することができる。電池制御装置40は、通信終了時に次回の初期動作に係るコマンドを出力し、電池監視装置30の子機側無線IC32に記憶させておく。このため、電池制御装置40は、通信終了時の状況に応じて、次回の初期動作に係るコマンドを変更することができる。
【0097】
電池監視装置30及び電池制御装置40には、無線通信する際、電池情報を保護するための保護機構38,48が設けられている。このため、筐体50の外部からの電波の影響を受けても、それを検知することが可能となり、適切に無線通信を行うことが可能となっている。
【0098】
また、保護機構38,48は、監視IC31及び電池制御MCU41にそれぞれ設けられている。そして、監視IC31と電池制御MCU41との間における通信層で、送信側及び受信側の保護機構38,48が協同して検査することにより、電池情報を保護している。このため、監視側の無線IC32と制御側の無線IC42との間における通信層の構成を考慮することなく、監視IC31と電池制御MCU41との間でデータユニットを保護することが可能となる。つまり、通信層毎に独立して設計することが可能となり、設計が簡単となる。
【0099】
監視IC31は、電池情報等の被保護データを送信する際、被保護データに基づいて、その誤りを検出するためのCRCデータ(誤り検出符号)を生成し、送信されるデータユニットに含ませる。電池制御MCU41は、受信されたデータユニットのCRCデータに基づいて被保護データに誤りがあるか否かを検査する。つまり、巡回冗長検査を実施する。このため、無線通信において外部電波の影響による誤りを検査することができる。
【0100】
監視IC31は、データユニットを送信する際、送信元の識別情報(ID番号)をデータユニットに含ませる。電池制御MCU41は、受信されたデータユニットに含まれるID番号に基づいて、送信元が正しいか否かを検査する。つまり、IDチェックを行う。このため、無線通信を実施する際、無線通信において外部電波の影響により発生確率が上昇する送信元の誤りを確認することができる。
【0101】
送受信されるデータユニットには、順序情報(シーケンス番号)が付与される。電池制御MCU41は、受信したデータユニットに含まれるシーケンス番号に基づいて、通信スケジュールに従って定められた受信タイミングにてデータユニットが受信されたか否かを検査する。つまり、シーケンスチェック及びタイムアウトチェックを行う。このため、無線通信を実施する際、無線通信において外部電波の影響により発生確率が上昇する送信順序の間違い、送信漏れ、送信遅延の有無などを確認することができる。
【0102】
監視側の無線IC32と制御側の無線IC42との間の通信層においても検査を実施している。このため、監視IC31と電池制御MCU41との間の通信層と、監視側の無線IC32と制御側の無線IC42との間の通信層とで、検査を2重に行うこととなり、より確実に電池情報を送ることができる。また、無線IC32,42との間で付与される通信保護データは、通信制御情報を検査、保護するものであるため、電池情報を含めて保護する場合に比較して、無線データの冗長性を抑制することが可能となる。このため、消費電力を抑制することができる。
【0103】
監視IC31は、電池制御MCU41から宛先情報及びコマンドを受信した場合、受信した宛先情報及びコマンドをそのまま送り返す(フィードバック応答)。電池制御MCU41は、監視IC31からフィードバック応答された宛先情報及びコマンドが、送信した宛先情報及びコマンドと一致するか否かを判定する。これにより、誤りなくコマンドが送信されたかについて確認することが可能となる。
【0104】
電池制御装置40は、電池監視装置30に対して複数のコマンドをまとめてデータユニットに含ませて送信する。また、まとめて送信されるコマンドには、処理を指示する実行指示コマンドと、当該処理結果の返信を指示する読取指示コマンドの対が含まれている。子機側無線IC32は、受信したデータユニットに含まれる複数のコマンドを順次監視IC31に送信する。監視IC31は、コマンドに基づく処理を実施し、自身のID番号を付与してフィードバック応答し、子機側無線IC32に送信する。子機側無線IC32は、データユニットに含まれる複数のコマンドが監視IC31から返信された場合、ID番号が付与されたコマンドをまとめてデータユニットを作成し、電池制御装置40に送信する。電池制御MCU41は、受信したデータユニットに含まれる各コマンドに付与されたID番号が宛先情報と一致する場合、電池制御MCU41と親機側無線IC42との間の有線通信、子機側無線IC32と親機側無線IC42との間の無線通信、及び子機側無線IC32と監視IC31との間の有線通信が正常に行われたと判断する。
【0105】
また、実行指示コマンドと読取指示コマンドの対が1つのデータユニットに含まれている。このため、宛先確認において処理を実行した監視IC31と、処理結果が読み取られた監視IC31が同じであることを確認することが可能となる。
【0106】
電池制御装置40は、電池監視装置30に対して複数のコマンドをまとめてデータユニットに含ませて送信し、複数のコマンドを電池監視装置30に蓄積する。そして、子機側無線IC32が、データユニットに含まれる複数のコマンドを順次監視IC31に送信する間に、他の電池監視装置30に対してデータユニットを送信する。これにより、ある電池監視装置30の処理中に、他の電池監視装置30と無線通信を行うことができる。また、2つ以上の電池監視装置30に並行して処理を実施させることができる。これにより、時間を効率的に利用することができる。また、複数のコマンドをまとめて送信するため、通信回数を減らすことができる。それにより全体として通信データ量を抑制することができる。
【0107】
電池制御装置40は、送信先の電池監視装置30が異なる場合、同じ命令であっても、宛先情報を異ならせて、送信するデータユニットを生成する。これにより、確実に送信先の監視IC31を特定して、実行させることができる。
【0108】
電池制御装置40は、監視IC31毎に個別にID番号を割り当てた。これにより、確実に送信先の監視IC31を特定することができる。
【0109】
(第1実施形態の変形例)
以下、第1実施形態の構成の一部を変更した変形例について説明する。なお、以下では、第1実施形態を基本構成として説明し、第1実施形態と同様の構成は、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0110】
・上記実施形態において、監視IC31は、電池制御MCU41から受信したデータユニットに対して、巡回冗長検査を実施してもよい。この場合、電池制御MCU41は、送信する各コマンドについてCRCデータを生成して付与することが望ましいが、電池制御MCU41によるCRCデータの生成及び付与を省略してもよい。この場合、子機側無線IC32が、電池制御MCU41からデータユニットを受信した際、コマンドとCRCデータの対応表を参照して、受信したコマンドに応じたCRCデータを付与して、監視IC31に送信すればよい。なお、前述したように、親機側無線IC42と、子機側無線IC32との間における通信層においてもデータの検査、保護が行われている。このため、電池制御MCU41がCRCデータを付与しなくても、親機側無線IC42と、子機側無線IC32との間においてはデータの誤りが検出されることとなる。
【0111】
・上記第1実施形態において、シーケンス番号は、任意の番号に変更してもよい。例えば、カウンタを利用して、順次シーケンス番号を設定してもよい。
【0112】
・上記第1実施形態において、フィードバック応答する対象は、宛先情報及びコマンドに限らない。例えば、宛先情報及びコマンドに他のデータ(CRCデータなど)を付加されていた場合、それらをフィードバック応答してもよい。
【0113】
・上記実施形態において、保護機構38,48によって、電池情報はすべて保護されていたが、選択して保護してもよい。その際、重要度や環境により保護される情報を選択してもよい。
【0114】
例えば、電池セル22の温度は、一般的に、電圧やSOCに比較して変化しにくい。このため、電圧情報やSOCに比較して、温度情報を更新する頻度は、少なくても問題が少ないといえる。したがって、電池情報のうち、電圧情報、SOCなど更新頻度の必要性が高い情報のみを保護して、温度情報など更新頻度の必要性が低い情報については保護しなくてもよい。また、例えば、車両10における温度が上昇し、電池セル22の温度が上昇しやすい環境にある場合、温度情報が保護されるようにしてもよい。
【0115】
・上記実施形態において、すべての電池監視装置30の監視IC31について保護機構38を設けたが、一部の監視IC31についてのみ設けてもよい。すなわち、少なくとも、外部からの電波の影響を受けやすい電池監視装置30について保護機構38を設ければよい。
【0116】
・上記実施形態において、電池ブロック21ごとに電池監視装置30を設けたが、複数の電池ブロック21に対して、1つの電池監視装置30を設けてもよいし、1つの電池ブロック21に対して、複数の電池監視装置30を設けてもよい。
【0117】
・上記実施形態において、電池監視装置30ごとに、1つの監視IC31を設けたが、複数の監視IC31を設けてもよい。この場合において、監視IC31毎に無線IC32を設けてもよいし、複数の監視IC31に対して、1つの無線IC32を設けてもよい。なお、複数の監視IC31に対して、1つの無線IC32を設ける場合、無線IC32は、監視IC31から受信した電池情報をそれぞれ別個に送信してもよいし、複数の電池情報をまとめて送信してもよい。
【0118】
・上記実施形態において、複数の電池セル22に対して、1つの監視IC31を設けたが、1の電池セル22に対して1つの監視IC31を設けてもよい。
【0119】
・上記実施形態において、監視IC31は、監視対象とする電池ブロック21を構成する各電池セル22の電池情報をまとめて送信していたが、各電池セル22の電池情報を別個に送信可能に構成してもよい。また、監視対象とする電池ブロック21を構成する各電池セル22の電池情報のうち、いくつかを選択して送信可能に構成してもよい。例えば、前述同様、重要度や環境により送信される電池セル22の情報を選択してもよい。
【0120】
・上記実施形態において、監視IC31は、監視対象とする電池ブロック21を構成する各電池セル22の電池情報をすべて保護していたが、保護対象とする電池情報を選択してもよい。例えば、前述同様、重要度や環境により保護される電池セル22の情報を選択してもよい。
【0121】
・上記実施形態において、複数の電池制御装置40を設けてもよい。
【0122】
・上記実施形態において、すべての電池監視装置30との間において無線通信を行う必要はなく、一部の電池監視装置30については有線にて通信を行ってもよい。例えば、電池監視装置30と電池制御装置40との間の距離が遠く、かつ、間において透過部が配置されているような、無線通信の環境が悪い場合には、有線通信を行うように接続してもよい。
【0123】
・上記実施形態において、無線IC32,42は、無線制御情報について検査、保護していたが、電池情報などを含むメッセージデータについても同様に、検査、保護してもよい。また、データユニットに対しても同様に、検査、保護してもよい。これにより、より確実に電池情報を送受信することが可能となる。
【0124】
・上記実施形態において、無線IC32,42は、その間で無線データのタイムアウトチェックを行ってもよい。その際、送信してから受信するまでの時間が、タイムアウトとなる時間は、監視IC31と電池制御MCU41との間において行われるタイムアウトチェックと異ならせてもよい。具体的には、無線IC32,42間の通信においてタイムアウトとなる時間は、監視IC31と電池制御MCU41との間の通信に比較して、短くてもよい。
【0125】
つまり、無線IC32,42間におけるタイムアウトチェックは、無線データが正しく遅延がないことを検出して再送するなど、主に無線データの信頼性を確保するためのものである。このため、無線データが送受信されるごとにチェックされることが望ましい。一方、電池情報は、異常が発生してから危険な状態に至るまでの間に、正しく電池情報が送受信されればよく、無線IC32,42間の通信に比較して、余裕がある。このため、監視IC31と電池制御MCU41との間の通信においてタイムアウトとなる時間は、無線IC32,42間の通信においてタイムアウトとなる時間に比較して、長くしてもよい。
【0126】
・上記実施形態において、無線IC32,42は、その間で無線IC32,42のIDチェックを行ってもよい。その際、無線IC32,42のID番号をチェックする頻度(周期)は、監視IC31と電池制御MCU41との間において行われるIDチェックと異ならせてもよい。具体的には、無線IC32,42間の通信においてIDチェックを行う周期は、監視IC31と電池制御MCU41との間において行う周期に比較して、短くてもよい。
【0127】
・上記実施形態において、無線IC32,42は、その間で無線データの巡回冗長検査(CRC)を行ってもよい。その際、データユニットまでチェックする必要はなく、通信制御情報のみCRCを行ってもよい。もちろん電池情報を含めて無線IC32,42間でCRCを行ってもよい。
【0128】
・上記実施形態において、無線IC32,42は、その間で無線データのシーケンスチェックを行ってもよい。その際、無線IC32,42間でシーケンスチェックを実行する頻度(周期)は、監視IC31と電池制御MCU41との間において行われるシーケンスチェックの実行周期と異ならせてもよい。具体的には、無線IC32,42間においてシーケンスチェックを行う周期は、監視IC31と電池制御MCU41との間において行う周期に比較して、短くてもよい。
【0129】
・上記実施形態において、無線IC32と無線IC42との間の通信層においても検査を実施していたが、監視IC31と電池制御MCU41との間においてデータユニットの検査を実施するのであれば、実施しなくてもよい。
【0130】
・上記実施形態において、無線IC32と無線IC42との間において、通信制御情報の検査を実施していたが、通信制御情報だけでなく、通信制御情報及びデータユニットをともに検査してもよい。これにより、より確実に無線通信を行うことができる。
【0131】
・上記実施形態において、巡回冗長検査(CRC)により、電池情報やコマンドなどを含むメッセージデータの誤りを検出していたが、他の検出方法を利用してもよい。例えば、パリティチェック、チェックサム、ハッシュなどを利用してもよい。また、誤り検出だけでなく、誤り検出訂正符号を利用して、誤りを検出したのち、その誤りを訂正することができるようにしてもよい。
【0132】
・上記実施形態において、シーケンス番号を検査データに含ませて、シーケンス番号に基づいて、シーケンスチェック及びタイムアウトチェックを実施していた。この別例として、送信時間、タイムスタンプなど、時間情報を検査データに含ませて、時間情報に基づいて、シーケンスチェック及びタイムアウトチェックを実施してもよい。
【0133】
・上記実施形態では、電池制御MCU41から電池情報の取得及び返信を指示し、監視IC31がそれに応じて電池情報の取得及び送信を行っていた。この別例として、監視IC31は、予め決められた通信スケジュールに従って予め決められた送信タイミングにおいて、電池情報を取得し、送信してもよい。この場合、電池制御MCU41は、送信側と同じ通信スケジュールを記憶しておき、当該通信スケジュールに従って予め決められた受信タイミングにおいて電池情報が受信されているか否かを検査すればよい。これにより、通信量を減らして、通信エラーが生じる可能性を低減することができる。
【0134】
・上記実施形態の通信スケジュールにおいて、電池電圧の検出を指示するコマンドの出力タイミングは、組電池20の安全が担保できる範囲で、周期的に実施されるように決められていればよい。同様に上記通信スケジュールにおいて、電池温度の検出を指示するコマンドの出力タイミングは、組電池20の安全が担保できる範囲で、周期的に実施されるように決められていればよい。同様に上記通信スケジュールにおいて、自己診断を指示するコマンドの出力タイミングは、組電池20の安全が担保できる範囲で、周期的に実施されるように決められていればよい。また、通信スケジュールにおいて、均等化処理のための起動タイミングや、初期動作を実施するタイミングも同様に、組電池20の安全が担保できる範囲で、予め決められていてもよい。
【0135】
・上記実施形態において、保護機構38,48は、監視対象となる電池セル22の状態(電圧、SOC、温度)などにより、電池情報を保護(検査)するか否かを選択して実施してもよい。
【0136】
例えば、電池セル22の電圧や、温度もしくはSOCが、所定の許容範囲外である場合、適切に充放電できない可能性がある。そこで、電池セル22の電圧や、温度もしくはSOCが、許容範囲の上限値又は下限値の付近(上限値又は下限値を基準とする所定範囲内)である場合、当該電池セル22を監視対象とする監視IC31と、電池制御MCU41との間で電池情報の送受信を行う際、電池情報が正しく送受信されているか否かを検査して、電池情報を保護することが望ましい。
【0137】
また、例えば、電池セル22の電池情報が所定時間以上、受信されていない場合、当該電池セル22を監視対象とする監視IC31と、電池制御MCU41との間で電池情報の送受信を行う際、電池情報が正しく送受信されているか否かを検査して、電池情報を保護することが望ましい。
【0138】
・上記第1実施形態において、電池制御装置40の代わりに、車両外部に設けられた検査装置を利用して、電池監視装置30との間で無線通信を行うようにしてもよい。この場合、車両外部に設けられた検査装置は、電池制御装置40と同等の機能を有する。これにより、電池情報を速やかに集めることができる。
【0139】
・上記第1実施形態では、通信開始時において、子機側無線IC32が接続依頼信号を出力し、親機側無線IC42が当該接続依頼信号を発見した場合、子機発見信号を出力し、その後、認証処理を実施していた。この変形例として、通信開始時において、親機側無線IC42が接続依頼信号を出力し、子機側無線IC32が当該接続依頼信号を発見した場合、親機発見信号を出力し、その後、認証処理を実施してもよい。この場合、接続依頼信号の入力を契機に、子機側無線IC32は、監視IC31に対して初期動作に係る動作指示を行えばよい。
【0140】
(その他の変形例)
電池監視システムは、上記実施形態で説明した構成に限らない。
【0141】
[発明が解決しようとする課題]
電池監視システムは、電池、監視部及び制御部を収容する筐体を備えている。ここで、監視部と制御部との間で通信を実施するために、筐体内の空間を適正に利用することが望まれている。
【0142】
以下の第1~第11の構成は、監視部と制御部との間で通信を実施するために、筐体内の空間を適正に利用できる電池パックを提供することを主たる目的とする。
【0143】
[課題を解決するための手段]
<第1の構成>
第1の構成は、電池(110)と、
前記電池の状態を監視し、監視結果である電池情報を送信する監視部(200)と、
前記監視部との間で通信を行って前記電池情報を取得し、各種制御を実行する制御部(300)と、
筐体(400)と、
を備える電池監視システムにおいて、
前記筐体は、底板部(410)、前記底板部の周縁部に沿って形成された壁部(420,430)、及び前記壁部を上方から覆うカバー(440)を有し、
前記底板部、前記壁部及び前記カバーにより形成された収容空間(SP)に、前記電池、前記監視部及び前記制御部が収容されており、
前記カバーの上面には、上側に突出し、該上面に沿って特定方向に延びる突起部(441,442)が形成されており、
前記突起部において前記カバーの下面側には、前記カバーの上面側に向かって凹む凹部(441a,442a)が前記突起部に沿って形成されており、
前記筐体を前記カバーの厚さ方向から見た場合において、前記凹部付近に、前記監視部及び前記制御部のうち少なくとも一方が配置されている。
【0144】
第1の構成では、突起部においてカバーの下面側に、カバーの上面側に向かって凹む凹部が突起部に沿って形成されている。また、筐体をカバーの厚さ方向から見た場合において、凹部付近に、監視部及び制御部のうち少なくとも一方が配置されている。このため、監視部と制御部との間における特定方向の通信を行う場合における通信経路(例えば、電波の伝播経路)として凹部を用いることができる。このように、第1の構成によれば、筐体を構成するカバーに一体的に設けられた凹部を、監視部と制御部との間で通信を実施するために有効利用することができる。
【0145】
ここで、凹部付近に監視部及び制御部のうち少なくとも一方が配置されるとは、凹部の鉛直下方に監視部及び制御部のうち少なくとも一方が配置されることだけではなく、凹部の鉛直下方の位置に対して、上記特定方向及び鉛直方向と垂直な方向に凹部の幅長の数倍程度離れていた位置に、監視部及び制御部のうち少なくとも一方が配置されることも意味する。
【0146】
<第2の構成>
第2の構成は、第1の構成において、前記監視部との間でデータを送受信する監視側アンテナ(201)と、
前記制御部との間でデータを送受信するとともに、前記監視側アンテナとの間で無線通信を行う制御側アンテナ(301)と、
前記制御部と前記制御側アンテナとを電気的に接続する通信配線(302)と、
を備え、
前記収容空間において前記凹部には、前記制御側アンテナ及び前記通信配線が配置されており、
前記収容空間において前記凹部よりも下側には、前記監視側アンテナが配置されており、
前記筐体を前記カバーの厚さ方向から見た場合において、前記監視側アンテナの少なくとも一部が前記凹部と重なっている。
【0147】
第2の構成では、無線通信を行うための制御側アンテナ及び通信配線の配置スペースとして、筐体の収容空間における凹部を有効利用することができる。
【0148】
また、第2の構成では、収容空間において凹部よりも下側に監視側アンテナが配置されており、筐体をカバーの厚さ方向から見た場合において、監視側アンテナの少なくとも一部が凹部と重なっている。このため、監視側アンテナと制御側アンテナとを近づけることができ、監視部と制御部との間も無線通信を的確に行うことができる。
【0149】
<第3の構成>
第3の構成は、第2の構成において、前記カバーのうち前記突起部が形成された領域以外の領域には、該カバーの下面から突出する締結部(450)が前記特定方向に並んで複数設けられており、
前記電池は、複数であり、
前記監視部は、グループ分けされた複数の前記電池のそれぞれである監視対象電池(110)に対応して個別に設けられており、
前記監視側アンテナは、前記各監視部に対応して個別に設けられており、
前記筐体を前記カバーの厚さ方向から見た場合において、前記各締結部と重ならない位置に前記各監視側アンテナが配置されている。
【0150】
第3の構成によれば、各締結部が、制御側アンテナと監視側アンテナとの間でやりとりされる電波の障害になりにくい。このため、無線通信の品質を高めることができる。
【0151】
<第4の構成>
第4の構成は、電池(110)と、
前記電池の状態を監視し、監視結果である電池情報を送信する監視部(200)と、
前記監視部との間で通信を行って前記電池情報を取得し、各種制御を実行する制御部(300)と、
筐体(400)と、
を備える電池監視システムにおいて、
前記筐体は、底板部(410)、前記底板部の周縁部に沿って形成された壁部(420,430)、及び前記壁部を上方から覆うカバー(440)を有し、
前記底板部、前記壁部及び前記カバーにより形成された収容空間(SP)に、前記電池、前記監視部及び前記制御部が収容されており、
前記電池は、複数であり、
前記監視部は、グループ分けされた複数の前記電池のそれぞれである監視対象電池(110,130)に対応して個別に設けられており、
前記各監視部に対応して個別に設けられ、前記監視部との間でデータを送受信する監視側アンテナ(201)と、
前記制御部との間でデータを送受信するとともに前記監視側アンテナとの間で無線通信を行う制御側アンテナ(301)と、
を備え、
前記監視部、前記監視側アンテナ及び前記制御側アンテナは、前記収容空間のうち前記電池と前記カバーとの間の空間に配置されており、
前記収容空間のうち、前記筐体の短手方向における中央に対して一方側の第1収容空間と、前記筐体の短手方向における中央に対して他方側の第2収容空間とに、前記監視部及び前記監視側アンテナが配置されており、
前記制御側アンテナは、複数であり、
前記各制御側アンテナのうち、一部の制御側アンテナが前記第1収容空間に配置され、残りの制御側アンテナが前記第2収容空間に配置されている。
【0152】
第4の構成では、筐体の収容空間のうち、電池とカバーとの間に、監視部、監視側アンテナ及び制御側アンテナが配置されている。また、筐体の収容空間のうち、筐体の短手方向における中央に対して一方側の第1収容空間と、筐体の短手方向における中央に対して他方側の第2収容空間とに、監視部及び監視側アンテナが配置されている。
【0153】
第4の構成では、複数の制御側アンテナのうち、一部の制御側アンテナが第1収容空間に配置され、残りの制御側アンテナが第2収容空間に配置されている。このため、第1収容空間において、電池とカバーとの間の空間に配置された監視側アンテナと、制御側アンテナとを近づけることができる。また、第2収容空間において、電池とカバーとの間の空間に配置された監視側アンテナと、制御側アンテナとを近づけることができる。これにより、制御側アンテナ及び監視側アンテナの間で電波が届きやすくなり、無線通信の品質を高めることができる。
【0154】
<第5の構成>
なお、第4の構成は、例えば第5の構成のように具体化できる。第5の構成は、前記収容空間のうち前記筐体の短手方向における中央位置近傍に前記制御部が配置されている。
【0155】
<第6の構成>
第6の構成は、第4又は第5の構成において、前記第1収容空間と前記第2収容空間とに、前記筐体の長手方向に並んで複数の前記監視部が配置されており、
前記筐体を前記カバーの厚さ方向から見た場合において、前記収容空間のうち、前記第1収容空間に収容された前記各監視部と、前記第2収容空間に収容された前記各監視部との間には、所定の部材(460,450)が配置されている。
【0156】
第6の構成によれば、筐体の収容空間のうち短手方向の中央の空間に、電波の障害となる所定の部材が配置され、収容空間のうち短手方向において所定の部材の両側の空間が無線通信空間として利用される。このため、所定の部材が、制御側アンテナと監視側アンテナとの間でやりとりされる電波の障害になりにくい。このため、無線通信の品質を高めることができる。
【0157】
<第7の構成>
なお、第6の構成は、例えば第7の構成のように具体化できる。第7の構成は、前記筐体の長手方向において隣り合う前記監視部同士の距離は、前記筐体の短手方向において隣り合う前記監視部同士の距離よりも短くなっており、
前記所定の部材は、前記筐体の短手方向において隣り合う前記監視部の間に配置されている。
【0158】
<第8の構成>
第8の構成は、第4の構成において、前記第1収容空間と前記第2収容空間とに、前記筐体の長手方向に並んで複数の前記監視対象電池(130)が配置されており、
前記第1収容空間には、該第1収容空間に配置された前記各監視対象電池に対応する前記監視部及び前記監視側アンテナが前記筐体の長手方向に並んで配置されており、
前記第2収容空間には、該第2収容空間に配置された前記各監視対象電池に対応する前記監視部及び前記監視側アンテナが前記筐体の長手方向に並んで配置されており、
前記第1収容空間のうち、前記筐体の短手方向において前記各監視部及び前記各監視側アンテナに対して両側の空間に配置され、前記第1収容空間に配置された前記各監視対象電池を電気的に接続する第1導電部材(620~622)と、
前記第2収容空間のうち、前記筐体の短手方向において前記各監視部及び前記各監視側アンテナに対して両側の空間に配置され、前記第2収容空間に配置された前記各監視対象電池を電気的に接続する第2導電部材(620~622)と、
を備え、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、前記筐体の長手方向に並んで配置されている。
【0159】
第8の構成によれば、筐体の収容空間において、各監視部及び各監視側アンテナの配置方向における無線通信経路を確保することができる。
【0160】
<第9の構成>
第9の構成は、第2~第8のいずれか1つの構成において、前記カバーと前記壁部との境界部分よりも前記筐体の高さ方向における上側に、前記電池の上面が位置している。
【0161】
カバーと壁部との境界部分から筐体の内部へと外部の電波が入り込むおそれがある。この点、第9の構成によれば、カバーと電池との間の空間に外部の電波が到達しにくくなる。
【0162】
<第10の構成>
第10の構成は、第9の構成において、前記カバーは、金属材料で構成されており、
前記壁部及び前記底板部は、合成樹脂で構成されており、
前記収容空間のうち、前記カバーと前記電池との間の空間に前記監視部及び前記監視側アンテナが配置されている。
【0163】
第10の構成によれば、監視部及び監視側アンテナが、電磁シールド効果を有するカバー及び電池に挟まれている。このため、上記境界部分から入り込んだ外部の電波が監視部及び監視側アンテナに到達しにくくなる。また、第10の構成によれば、壁部及び底板部が合成樹脂で構成されているため、筐体の軽量化を図ることもできる。
【0164】
<第11の構成>
第11の構成は、第9の構成において、移動体に搭載される電池パックにおいて、
前記カバー、前記壁部及び前記底板部のうち少なくとも1つは、合成樹脂で構成されており、
前記移動体は、金属材料で構成されたボディ部(500)を備え、
前記筐体は、前記ボディ部内に形成された収容空間(SS)に配置され、
前記ボディ部内の収容空間において、前記ボディ部と前記筐体との間に空間が形成されている。
【0165】
第11の構成では、筐体の軽量化を図るために、カバー、壁部及び底板部のうち少なくとも1つが合成樹脂で構成されている。この場合、筐体のうち合成樹脂で構成された部分から外部に電波が漏洩したり、合成樹脂で構成された部分から筐体内部に外部の電波が入り込んだりすることが懸念される。
【0166】
この点、第11の構成では、金属材料で構成されたボディ部内に収容空間が形成され、収容空間に筐体が配置されている。このため、外部に電波が漏洩したり、筐体内部に外部の電波が入り込んだりすることを抑制できる。また、ボディ部内の収容空間において、ボディ部と筐体との間に形成された空間を無線通信空間として利用でき、無線通信を適正に実施することができる。
【0167】
[発明が解決しようとする課題]
制御部が筐体の収容空間に配置される構成では、専用のスペースを設ける必要がある。この場合、筐体の小型化を図ることができなくなる。
【0168】
以下の第12~第22の構成は、筐体を小型化することができる電池パックを提供することを主たる目的とする。
【0169】
[課題を解決するための手段]
<第12の構成>
第12の構成は、電池(110)と、前記電池の状態を監視し、監視結果である電池情報を送信する監視部(200)と、
前記監視部との間で通信を行って前記電池情報を取得し、各種制御を実行する制御部(300)と、
前記制御部との間でデータを送受信する制御側アンテナ(301)と、
筐体(400)と、を備える電池監視システムにおいて、
前記筐体は、底板部(410)、前記底板部の周縁部に沿って形成された壁部(420,430)、及び前記壁部を上方から覆うカバー(440)を有し、
前記底板部、前記壁部及び前記カバーにより形成された収容空間(SP)に、前記電池及び前記監視部が収容されており、
前記筐体の表面又は外部に前記制御部及び前記制御側アンテナが配置されており、
前記筐体に設けられ、前記制御側アンテナと前記監視部との間の通信を中継する中継デバイス(220,230)を備え、
前記制御部は、前記監視部から送信された前記電池情報を、前記中継デバイス及び前記制御側アンテナを介して受信する。
【0170】
第12の構成では、制御部及び制御側アンテナが筐体の表面又は外部に配置されている。これにより、例えば制御部及び制御側アンテナを車両の限られたスペースに配置できる等、制御部及び制御側アンテナの搭載自由度を確保できる。ただし、この場合、筐体が信号の送受信の障害になり得る。
【0171】
そこで、第12の構成では、制御側アンテナと監視部との間の通信を中継する中継デバイスが筐体に設けられている。このため、制御部は、監視部から送信された電池情報を、中継デバイス及び制御側アンテナを介して受信することができる。
【0172】
<第13の構成>
第12の構成は、例えば第13の構成のように具体化できる。第13の構成は、前記筐体には、貫通孔(441)が形成されており、
前記中継デバイスは、長尺状をなし、かつ、前記貫通孔に挿通されており、
前記中継デバイスの長手方向における両端部のうち前記筐体の外部側の端部は、前記筐体の外部に配置されたアンテナ(220a)であり、
前記中継デバイスには、前記アンテナと前記監視部とを電気的に接続する通信配線が設けられている。
【0173】
<第14の構成>
第14の構成は、第13の構成において、前記貫通孔は、前記カバーに形成されており、
前記中継デバイスの下端は、前記電池まで延びている。
【0174】
<第15の構成>
第15の構成は、第14の構成において、前記中継デバイスの下端は、隣り合う前記電池の間の隙間まで延びている。
【0175】
第14又は第15の構成によれば、電池近傍に配置される監視部を中継デバイスの通信配線に接続しやすい。
【0176】
<第16の構成>
第16の構成は、第15の構成において、隣り合う前記電池の隙間には、前記電池を区画して配置するための隔壁部(472)が設けられており、
隣り合う前記電池の隙間のうち、前記隔壁部の上側に前記監視部が配置されている。
【0177】
第16の構成によれば、筐体の収容空間を有効活用することができ、電池パックの小型化を図ることができる。
【0178】
<第17の構成>
第12の構成は、例えば第17の構成として具体化できる。第17の構成は、前記収容空間に収容され、前記監視部との間でデータを送受信する監視側アンテナ(201)を備え、
前記筐体には、貫通孔(441)が形成されており、
前記中継デバイスは、前記貫通孔に設けられ、前記制御側アンテナ及び前記監視側アンテナのうち一方から他方への電波を中継する。
【0179】
第17の構成では、中継デバイスが、電波を吸収し、吸収した電波の再放射を行う。これにより、中継デバイスは、筐体の収容空間に配置された監視側アンテナと、筐体の外側に配置された前記制御側アンテナとのうち、一方から他方への電波を中継することができる。なお、中継デバイスとしては、例えば誘電体アンテナを用いることができる。
【0180】
<第18の構成>
第18の構成は、第17の構成において、前記貫通孔は、前記カバーに形成されている。
【0181】
<第19の構成>
第19の構成は、第14~第16,第18のいずれか1つの構成において、前記カバーの上面には、上側に突出し、該上面に沿って特定方向に延びる突起部(441,442)が形成されており、
前記中継デバイスは、前記カバーのうち前記突起部以外の領域において前記特定方向に並んで複数設けられており、
前記中継デバイスの上端部は、前記カバーの上面側に配置されている。
【0182】
第19の構成では、突起部が延びる方向と、中継デバイスの並ぶ方向とが同じ方向(特定方向)である。このため、特定方向における無線通信経路を確保することができる。
【0183】
<第20の構成>
なお、第20の構成のように、前記制御部及び前記制御側アンテナは、前記筐体の前記特定方向における中央よりも端部寄りに配置することができる。
【0184】
<第21の構成>
第21の構成は、第12~第20のいずれか1つの構成において、移動体に搭載される電池監視システムにおいて、
前記移動体は、金属材料で構成されたボディ部(500)を備え、
前記筐体は、前記ボディ部内に形成された収容空間(SS)に配置され、
前記ボディ部内の収容空間には、前記制御部、前記制御側アンテナ及び前記筐体が収容されている。
【0185】
第21の構成によれば、ボディ部内の収容空間から外部に電波が漏洩したり、ボディ部内の収容空間に外部の電波が入り込んだりすることを抑制できる。
【0186】
<第22の構成>
第22の構成は、第12~第21のいずれか1つの構成と、
前記筐体の外部に存在する電池診断装置と、
を備える電池診断システムにおいて、
前記電池診断装置は、前記中継デバイスを介して前記監視部と無線通信を行うアンテナを有し、該無線通信によって前記監視部から前記電池情報を取得する。
【0187】
第22の構成によれば、筐体から電池を取り出すことなく、監視部から電池情報を取得することができる。このため、電池診断装置は、取得した電池情報に基づいて、電池の状態を診断することができる。
【0188】
(実施形態A)
以下、本発明に係る電池パックを具体化した実施形態Aについて、
図12~
図19を参照しつつ説明する。本実施形態の電池パックは、ハイブリッド自動車、電気自動車及び燃料電池車等の車両に搭載される。車両には、例えば、乗用車、バス、建設作業車及び農業機械車両が含まれる。
【0189】
電池パック100は、電池ブロック110と、電池監視装置と、電池制御装置と、筐体400とを備えている。筐体400は、第1実施形態等で説明した筐体50に相当する。電池監視装置は、第1実施形態等で説明した電池監視装置30に相当し、電池制御装置は、第1実施形態等で説明した電池制御装置40に相当する。
【0190】
筐体400は、底板部410と、底板部410の周縁部に沿って形成された壁部とを備えている。底板部410は、矩形形状をなしており、具体的には長方形状をなしている。壁部は、底板部410の短手方向に延びる一対の第1壁部420と、底板部410の長手方向に延びる一対の第2壁部430とを備えている。
【0191】
筐体400は、カバー440を備えている。カバー440は、第1壁部420及び第2壁部430を上方から覆っている。カバー440は、底板部410及び壁部からなるベース部に対して取り外し可能になっている。底板部410、第1壁部420、第2壁部430及びカバー440により形成された内部空間が、電池ブロック110、電池監視装置及び電池制御装置を収容する収容空間SPとされている。
【0192】
なお、カバー440は、電波を遮断又は吸収する電磁シールド効果を有する構成であってもよいし、電磁シールド効果を有さない構成であってもよい。カバー440は、例えば金属材料(例えばアルミニウム)で構成されることにより、電磁シールド効果を有する構成になる。カバー440は、例えば合成樹脂で構成されることにより、電磁シールド効果を有さない構成になる。
【0193】
また、底板部410及び壁部からなるベース部は、カバー440と同様に、電磁シールド効果を有する構成であってもよいし、電磁シールド効果を有さない構成であってもよい。カバー440及びベース部のうち、一方が電磁シールド効果を有する構成とされ、他方が電磁シールド効果を有さない構成とされてもよい。
【0194】
ちなみに、第1壁部420及び第2壁部430と、カバー440との間に、シール部材が設けられていてもよい。シール部材は、例えば、非導電性の弾性材料により構成されたガスケットシールである。
【0195】
本実施形態では、直方体形状をなす筐体400の長手方向が車両の車長方向となるように、筐体400が車両に搭載されている。
図12等には、筐体400の長手方向(車両の車長方向)をX方向とし、筐体400の短手方向(車両の車幅方向)をY方向とし、筐体400の高さ方向をZ方向とすることが示されている。例えば、底板部410の下面が車両の車体に対する設置面となる。
【0196】
電池パック100は、電池ブロック110を複数備えている。複数の電池ブロック110が直列接続されて組電池が構成されている。電池ブロック110は、直方体形状をなしており、複数の電池セル111(単電池)の直列接続体として構成されている。電池セル111は、第1実施形態の電池セル22に相当する。本実施形態において、電池セル111は、扁平な直方体形状をなしている。複数の電池セル111は、
図16(A)に示すように、筐体400の長手方向に並べて積層されている。電池セル111は、例えば、リチウムイオン二次電池又はニッケル水素二次電池により構成されている。リチウムイオン二次電池は、リチウムを電荷担体とする二次電池である。なお、電池セル111は、電解質が液体の一般的なリチウムイオン二次電池の他、固体の電解質が用いられたいわゆる全固体電池であってもよい。
【0197】
ちなみに、各電池ブロック110において、複数の電池セル111は、
図16(B)に示すように、筐体400の短手方向に並べて積層されていてもよい。また、各電池ブロック110を構成する複数の電池セル111は、互いに並列接続されていてもよい。また、電池ブロックは、電池スタック又は電池モジュールと称されることもある。
【0198】
複数の電池ブロック110は、
図14、
図15及び
図18に示すように、筐体400の収容空間SPに収容されている。本実施形態において、電池ブロック110は、筐体400の長手方向に5つ並び、また、筐体400の短手方向に2つ並んで底板部410に配置されている。
【0199】
図17に、複数の電池ブロック110を直列接続する構成の一例を示す。電池ブロック110は、上面から突出する正極端子112P及び負極端子112Mを備えている。詳しくは、正極端子112P及び負極端子112Mは、電池ブロック110の上面のうち長手方向の端部に、電池ブロック110の上面の短手方向に並んで設けられている。各電池ブロック110は、各電池ブロック110の長手方向が筐体400の短手方向となるように配置されている。筐体400の短手方向に向かい合う対となる電池ブロック110のうち、一方の正極端子112Pと、他方の負極端子112Mとが向かい合うように各電池ブロック110が配置されている。
【0200】
電池パック100は、バスバーユニット120を備えている。バスバーユニット120は、正極端子112P及び負極端子112Mを電気的に接続する導電性の接続部材121を複数備えている。バスバーユニット120は、各接続部材121を覆うとともに、電気的絶縁性を有する材料(例えば合成樹脂)で構成された封止部122とを備え、全体として長尺状をなしている。また、バスバーユニット120の横断面は、
図14に示すように、長方形状をなしている。バスバーユニット120により、各電池ブロック110が直列接続されている。複数の電池ブロック110により構成された組電池は、車両の走行動力源となる回転電機を駆動するための電力供給源となる。なお、各電池ブロック110の直列接続体のうち、最も高電位側の電池ブロックの正極端子112Pは、所定の正極配線を介して、例えばインバータの高電位側端子に電気的に接続されている。また、各電池ブロック110の直列接続体のうち、最も低電位側の電池ブロックの負極端子112Mは、所定の負極配線を介して、例えばインバータの低電位側端子に電気的に接続されている。
【0201】
筐体400を構成する壁部には、複数の開口が形成されている。詳しくは、
図12に示すように、第2壁部430には、複数の開口431が形成されている。開口431は、例えば、筐体400内部で発生した排煙を排出する排煙口や、組電池を冷却するための外気を導入する通気口として用いられる。通気口は、例えば、第2壁部430のうち、高さ方向における中央位置よりも上側に形成されていればよい。
【0202】
第2壁部430には、防爆弁432が設けられている。防爆弁432は、筐体400の内外の圧力差が所定値以上となった場合に、筐体400内部のガスを逃がすための部材である。防爆弁432は、第2壁部430に形成された貫通孔を蓋部材により閉塞して溶接などすることにより構成されている。筐体400の内外の圧力差が所定値以上となった場合、蓋部材が外れてガスが排出されるようになっている。
【0203】
カバー440の上面には、上側に突出し、カバー440の上面に沿ってカバー440の長手方向(特定方向)に延びる突起部が複数形成されている。本実施形態では、突起部が3つ形成されている。詳しくは、カバー440の短手方向における中央位置には、中央突起部441が形成され、カバー440の短手方向における両端部には、端部突起部442が形成されている。各端部突起部442は、カバー440の短手方向における中央位置に対して対称に配置されている。各突起部441,442は、カバー440の長手方向における一端から他端にわたって連続して形成されている。中央突起部441の高さ寸法は、端部突起部442の高さ寸法よりも大きい。
【0204】
図14に示すように、中央突起部441においてカバー440の下面側には、カバー440の上面側に向かって凹む中央凹部441aが形成されている。中央凹部441aは、中央突起部441の延びる方向に沿って形成されている。本実施形態では、中央凹部441aにバスバーユニット120が配置されている。バスバーユニット120は、バスバーユニット120の横断面の短手方向が筐体400の高さ方向となるように配置されている。バスバーユニット120は、例えば、中央凹部441aの凹み空間から下側に突出しないように配置されている。
【0205】
端部突起部442においてカバー440の下面側には、カバー440の上面側に向かって凹む端部凹部442aが形成されている。端部凹部442aは、端部突起部442の延びる方向に沿って形成されている。端部凹部442aの高さ方向における凹み寸法は、中央凹部441aの高さ方向における凹み寸法よりも大きい。
【0206】
図12~
図14に示すように、カバー440には、所定の部材をカバー440に固定するための複数(図中6つを例示)の締結部450が設けられている。各締結部450は、カバー440のうち、中央突起部441と端部突起部442との間の領域に、カバー440の長手方向に一列に並んで設けられている。締結部450は、カバー440の上面に当接する大径部450aと、大径部450aから下方に延びてかつ大径部450aよりも外径寸法が小さい小径軸部450bとを備えている。大径部450aがカバー440の上面に当接して、かつ、小径軸部450bがカバー440に形成された貫通孔に挿入された状態で、小径軸部450bに所定の部材が取り付けられる。所定の部材は、例えば、弾性材料にて形成された緩衝部材460である。緩衝部材460は、例えば、電池ブロック110とカバー440とに挟まれている。
【0207】
なお、締結部450は、底板部410及び壁部からなるベース部に対してカバー440を固定するために設けられていてもよい。また、所定の部材は、緩衝部材460に限らず、例えば、筐体400の長手方向に延びるバスバー、安全プラグ、又は隣り合う電池ブロック110を仕切る仕切壁であってもよい。また、締結部450に代えて、カバー440の下面から筐体400の下方に突出する部分が形成されていてもよい。
【0208】
図12及び
図13に示すように、各第1壁部420のうち一方の第1壁部420の短手方向における中央部には、長手方向に突出する突出部421が形成されている。突出部421の内面側には、長手方向において外面側に凹む凹部421aとされている。凹部421aには、制御部300が配置されている。本実施形態において、制御部300は、扁平な直方体形状をなしている。制御部300の長手方向が筐体400の短手方向となるように制御部300が配置されている。
【0209】
図12に示すように、突出部421のうち、短手方向における中央部であって、かつ、長手方向における下側には、筐体400の内外を電気的に接続するためのコネクタ部422が設けられている。コネクタ部422は、例えば、組電池と、筐体400外部に配置されるインバータとを電気的に接続する。
【0210】
電池監視装置210は、監視部200と、監視側アンテナ201とを備えている。本実施形態において、監視部200は、扁平な直方体形状をなしている。監視部200は、第1実施形態等で説明した監視IC31及び無線IC32に相当する。監視側アンテナ201は、無線アンテナ33に相当する。監視部200及び監視側アンテナ201は、
図15及び
図18に示すように、「監視対象電池」としての各電池ブロック110に対応して個別に設けられている。また、本実施形態において、監視部200は、自身の監視対象となる電池ブロック110の上面に設けられ、監視側アンテナ201は、監視部200の上面に設けられている。このため、各監視部200及び各監視側アンテナ201は、筐体400の長手方向に並んで配置されている。
【0211】
筐体400の長手方向において隣り合う監視部200同士の距離は、筐体400の短手方向において隣り合う監視部200同士の距離よりも短い。緩衝部材460は、筐体400の短手方向において隣り合う監視部200の間に配置されている。
【0212】
電池制御装置は、制御部300と、制御側アンテナ301と、通信配線302とを備えている。制御部300は、第1実施形態等で説明した電池制御MCU41及び無線IC42に相当する。制御側アンテナ301は、第1実施形態等で説明した無線アンテナ43に相当する。制御側アンテナ301は、各電池ブロック110に対応して個別に設けられている。制御側アンテナ301と制御部300とは、
図19に示すように、通信配線302により電気的に接続されている。制御側アンテナ301は、
図13及び
図18に示すように、端部凹部442aに長手方向に並んで配置されている。通信配線302も端部凹部442aに設けられている。制御側アンテナ301は、例えば、端部凹部442aの凹み空間から下側に突出しないように配置されている。各制御側アンテナ301は、筐体400の短手方向において順次ずらされて配置されている。
【0213】
筐体400をカバー440の厚さ方向(Z方向)から見た場合において、端部凹部442aと重なるように監視部200が配置されている。また、筐体400をカバー440の厚さ方向(Z方向)から見た場合において、制御側アンテナ301と監視側アンテナ201とが重なるように、各アンテナ201,301が配置されている。このため、各電池ブロック110に対応した制御側アンテナ301及び監視側アンテナ201が近い位置に配置されることとなる。その結果、制御側アンテナ301及び監視側アンテナ201の間で電波が受信されやすくなり、制御部300と監視部200との間の無線通信の品質を高めることができる。
【0214】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることもできる。
【0215】
端部突起部442の下面側に形成された端部凹部442aに、制御側アンテナ301及び通信配線302が配置されている。このため、筐体400を構成するカバー440に一体的に形成された端部凹部442aを、各監視部200と制御部300との間で無線通信するための構成の配置スペースとして有効利用することができる。
【0216】
筐体400の長手方向に端部凹部442aが延びている。このため、各監視部200と制御部300との間の通信経路として、十分な長さの経路を確保することができる。
【0217】
制御側アンテナ301及び監視側アンテナ201の間で電波がやりとりされる場合、筐体400内において電波が反射すること等に起因して、電波の共振が生じ、ノイズになりやすい。そこで、カバー440に端部凹部442aが複数形成されている。これにより、電波の共振が発生しにくくなる構造にすることができ、制御部300と監視部200との間の無線通信の品質を高めることができる。本実施形態では、カバー440に端部突起部442が形成されているため、端部突起部442の下面側を端部凹部442aとして有効利用することができる。
【0218】
電池パック100をカバー440の厚さ方向から見た場合において、各締結部450よりも各制御側アンテナ301側に、各監視側アンテナ201が配置されている。このため、各締結部450が、制御側アンテナ301と監視側アンテナ201との間でやりとりされる電波の障害になりにくい。これにより、制御部300と監視部200との間の無線通信の品質を高めることができる。
【0219】
(実施形態Aの変形例)
・端部凹部442aの鉛直下方に監視部200及び監視側アンテナ201が配置される構成に限らない。例えば、端部凹部442aの鉛直下方の位置に対して、筐体400の長手方向(特定方向)及び鉛直方向と垂直な方向に端部凹部442aの幅長の数倍程度離れていた位置に、監視部200及び監視側アンテナ201が配置されていてもよい。なお、鉛直方向は、例えば、カバー440の板面が延びる方向と垂直な方向である。また、端部凹部442aの幅長は、例えば、筐体400の短手方向における端部凹部442aの幅寸法である。
【0220】
・制御側アンテナ301の配置位置は、
図20及び
図21に示す位置であってもよい。詳しくは、制御側アンテナ301は、カバー440の貫通孔443に挿通された締結部450により、カバー440の下面側に取り付けられている。この場合、監視側アンテナ201は、電池パック100をカバー440の厚さ方向から見た場合において、制御側アンテナ301と重なる位置に配置されればよい。
【0221】
また、この場合、制御部300を筐体400の外部(例えば、カバー440の上面)に配置し、制御部300に接続された通信配線302を、締結部450内を通して制御側アンテナ301に接続してもよい。
【0222】
・直方体形状をなす筐体400の短手方向が車両の車長方向となるように、筐体400が車両に搭載されていてもよい。この場合、各突起部441,442が筐体400の短手方向に延びることとなる。
【0223】
・電池パック100をカバー440の厚さ方向から見た場合において、端部凹部442aと監視部200とが重なっていなくてもよい。
【0224】
・制御部300と監視部200との間の通信方法は、無線通信に限らず、有線通信であってもよい。この場合、制御部300と監視部200とが通信配線302により接続され、通信配線302の中間部分が端部凹部442aに配置されていればよい。
【0225】
・電池パック100をカバー440の厚さ方向から見た場合において、制御部300及び制御側アンテナ301が端部凹部442aに重なるように、制御部300及び制御側アンテナ301が収容空間SPに配置されていてもよい。
【0226】
(実施形態B)
以下、実施形態Bについて、実施形態Aとの相違点を中心に、
図22~
図24を参照しつつ説明する。なお、
図22~
図24において、実施形態Aで説明した構成と同一の構成又は対応する構成については、便宜上、同一の符号を付している。
【0227】
筐体400を構成する第1壁部420、第2壁部430及び底板部410は、合成樹脂で構成されている。一方、筐体400を構成するカバー440は、金属材料で構成されている。このため、第1壁部420、第2壁部430、底板部410及びカバー440のうち、カバー440は電磁シールド効果を有している。カバー440を構成する金属材料の比重は、第1壁部420、第2壁部430及び底板部410を構成する合成樹脂の比重よりも大きい。
【0228】
電池監視装置210は、扁平な直方体形状をなしている。電池監視装置210は、上述したように、例えばICで構成されている。各電池監視装置210は、電池ブロック110の上面に配置されている。
【0229】
図23及び
図24に示すように、収容空間SPのうち、筐体400の短手方向における中央位置に対して一方側の第1収容空間と、上記中央位置に対して他方側の第2収容空間とに、電池監視装置210が配置されている。電池監視装置210は、第1収容空間及び第2収容空間のうち筐体400の短手方向における第2壁部430側に、筐体400の長手方向に並んで複数(図中5つを例示)配置されている。各電池監視装置210は、電池監視装置210の長手方向が筐体400の長手方向となるように配置されている。
【0230】
電池制御装置310は、扁平な直方体形状をなしている。電池制御装置310は、制御部300及び制御側アンテナ301を備え、例えばICで構成されている。電池制御装置310は、電池制御装置310の長手方向が筐体400の短手方向となるように配置されている。電池制御装置310は、2列に並ぶ各電池ブロック110のうち、筐体400の長手方向において最も第1壁部420側に配置される一対の電池ブロック110の上面を跨ぐように、これら一対の電池ブロック110の上面に配置されている。
【0231】
電池制御装置310は、複数(図中2つを例示)の制御側アンテナ301を備えている。1つ目の制御側アンテナ301は、電池制御装置310の長手方向における第1収容空間側に配置され、2つ目の制御側アンテナ301は、電池制御装置310の長手方向における第2収容空間側に配置されている。
【0232】
筐体400の収容空間SPのうち、筐体400の短手方向に隣り合う電池ブロック110の間には、第1隔壁部471が設けられている。本実施形態において、第1隔壁部471は、底板部410から上方に延びており、高さ寸法が電池ブロック110の高さ寸法よりも小さい。このため、電池ブロック110の上面は、第1隔壁部471の上端よりも上側に位置している。
【0233】
筐体400の収容空間SPのうち、筐体400の長手方向に隣り合う電池ブロック110の間には、第2隔壁部472が設けられている。本実施形態において、第2隔壁部472は、底板部410から上方に延びており、高さ寸法が電池ブロック110の高さ寸法よりも小さい。このため、電池ブロック110の上面は、第2隔壁部472の上端よりも上側に位置している。なお、第1隔壁部471及び第2隔壁部472は、合成樹脂で構成されていてもよいし、金属材料で構成されていてもよい。
【0234】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0235】
カバー440の端部突起部442の下面側に形成された端部凹部442aを、電波を伝達するための経路として用いることができる。このため、例えば、カバー440と電池ブロック110との間の隙間が小さい場合であっても、電波を伝達するための広い空間を確保することができる。その結果、制御側アンテナ301と監視側アンテナ201との間で電波を伝達しやすくなる。
【0236】
電波伝達経路として用いられる端部凹部442aが、一対の第1壁部420のうち突出部421側とは反対側の第1壁部420側から電池制御装置310側に向かって筐体400の長手方向に延びている。このため、制御部300と監視部200との間の通信をより確実に行うことができる。
【0237】
カバー440に端部凹部442aが複数形成されている。これにより、電波の共振が発生しにくくなる構造にすることができ、制御部300と監視部200との間の無線通信の品質を高めることができる。
【0238】
筐体400の収容空間SPのうち筐体400の短手方向における中央位置近傍に電池制御装置310が配置されている。2つの制御側アンテナ301のうち、1つ目の制御側アンテナが第1収容空間側に配置され、2つ目の制御側アンテナが第2収容空間側に配置されている。このため、第1収容空間のうち電池ブロック110とカバー440との間の空間に配置された監視側アンテナ201と1つ目の制御側アンテナ301とを近づけることができる。また、第2収容空間のうち電池ブロック110とカバー440との間の空間に配置された監視側アンテナ201と2つ目の制御側アンテナとを近づけることができる。これにより、制御側アンテナ301及び監視側アンテナ201の間で電波が届きやすくなり、無線通信の品質を高めることができる。
【0239】
電池制御装置310は、制御側アンテナ301を複数備えている。このため、複数の制御側アンテナ301のうち、一部の制御側アンテナが故障した場合であっても、残りの制御側アンテナ301により無線通信を継続することができる。
【0240】
電池パック100をカバー440の厚さ方向から見た場合において、筐体400の短手方向の中央部、又は中央部に近い領域には、筐体400の長手方向に延びる緩衝部材460及び各締結部450が配置されている。この配置において、収容空間SPのうち、緩衝部材460及び各締結部450と第2壁部430との間の空間が、制御側アンテナ301と監視側アンテナ201との間の無線通信空間として用いられる。これにより、緩衝部材460及び各締結部450が、制御側アンテナ301と監視側アンテナ201との間でやりとりされる電波の障害になりにくく、無線通信の品質を高めることができる。
【0241】
カバー440は、
図24に示すように、天板部440aと、天板部440aの周縁部から下方に延びるカバー端部440bとを備えている。カバー端部440bと各壁部420,430との境界部分よりも筐体400の高さ方向における上側に、電池ブロック110の上面が位置している。これにより、電磁シールド効果のある電池ブロック110及びカバー440で電池監視装置210を挟むことができ、筐体400の外部から内部に外部の電波が入り込んだとしても、外部の電波が無線通信空間に到達することを抑制できる。また、第1壁部420、第2壁部430及び底板部410が合成樹脂で構成されているため、筐体400の軽量化を図ることができる。
【0242】
電池監視装置210が配置される電池ブロック110の上面が、第2隔壁部472の上端よりも上側に位置している。このため、各第2隔壁部472が、制御側アンテナ301と監視側アンテナ201との間でやりとりされる電波の障害になりにくく、無線通信の品質を高めることができる。
【0243】
筐体400の収容空間SPのうち短手方向の中央の空間に、電波の障害となる緩衝部材460が配置されている。一方、収容空間SPのうち短手方向において緩衝部材460の両側の空間が無線通信空間として利用される。このため、緩衝部材460が、制御側アンテナ301と監視側アンテナ201との間でやりとりされる電波の障害になりにくい。このため、無線通信の品質を高めることができる。
【0244】
(実施形態Bの変形例)
・制御部が筐体の長手方向における中央位置近傍に配置されていてもよい。
【0245】
・カバー端部440bと各壁部420,430との境界部分に、筐体400をシールするシール部材が設けられていてもよい。また、シール部材を覆うように、電波を遮断又は吸収するシールド材(例えば金属材)が設けられていてもよい。
【0246】
(実施形態C)
以下、実施形態Cについて、実施形態Bとの相違点を中心に、
図25~
図27を参照しつつ説明する。なお、
図25~
図27において、実施形態Bで説明した構成と同一の構成又は対応する構成については、便宜上、同一の符号を付している。また、
図25は、
図22の24-24線断面図に相当する図である。
【0247】
本実施形態において、第1壁部420、第2壁部430及び底板部410に加えて、カバー440も合成樹脂で構成されている。
【0248】
図26及び
図27を用いて、車両における電池パック100の搭載位置について説明する。
【0249】
車両は、金属材料で構成されたボディ部としてのシャーシ500と、車輪510とを備えている。シャーシ500は、車長方向に延びるシャーシ底板部501と、側板部502と、シャーシ天板部503と、端板部504とを備えている。側板部502は、シャーシ底板部501のうち車幅方向における端部から上方に延びている。シャーシ天板部503は、側板部502を上方から覆っている。端板部504は、シャーシ底板部501、側板部502及びシャーシ天板部503の両端部を覆っている。これにより、シャーシ500内には、収容空間SSが形成されている。
【0250】
シャーシ500内の収容空間SSに電池パック100が配置されている。詳しくは、筐体400を構成する底板部410が、シャーシ底板部501に配置されている。シャーシ天板部503と筐体400を構成するカバー440との間には、空間が形成されている。
【0251】
カバー440は、電磁シールド効果のない合成樹脂で構成されている。このため、監視側アンテナ201や制御側アンテナ301から発信された電波は、カバー440を通り抜ける。ただし、金属材料で構成されたシャーシ500により、電波が外部に漏洩する事態の発生を抑制できる。また、シャーシ500により、外部の電波が筐体400内部に入り込むことも抑制できる。このように、本実施形態によれば、シャーシ天板部503と筐体400を構成するカバー440との間に形成された空間を無線通信空間として有効利用しつつ、電波が外部に漏洩したり、外部の電波が筐体400内部に入り込んだりする事態の発生を抑制することができる。
【0252】
シャーシ500のシャーシ底板部501は、筐体400の底板部410よりも厚く形成されており、シャーシ500の側板部502は、筐体400の第1壁部420及び第2壁部430よりも厚く形成されている。シャーシ500のシャーシ天板部503は、筐体400のカバー440よりも厚く形成されている。これにより、電波が外部に漏洩したり、外部の電波が筐体400内部に入り込んだりする事態の発生を抑制することを筐体400で実現する場合よりも、より効果的に実現できる。
【0253】
(実施形態Cの変形例)
・電池パックが搭載される移動体としては、車両に限らず、例えば、航空機又は船舶であってもよい。
【0254】
・カバー440、第1壁部420、第2壁部430及び底板部410のうち、1つ、2つ又は3つの構成が合成樹脂で構成されていてもよい。
【0255】
(実施形態D)
以下、実施形態Dについて、実施形態Bとの相違点を中心に、
図28及び
図29を参照しつつ説明する。なお、
図28及び
図29において、実施形態Bで説明した構成と同一の構成又は対応する構成については、便宜上、同一の符号を付している。
【0256】
各電池ブロック110は、各電池ブロック110の長手方向が筐体400の短手方向となるように配置されている。電池ブロック110は、筐体400の短手方向において2列に並んで配置されている。
図28に示す例では、各列において、電池ブロック110が20個並んで配置されている。
【0257】
電池ブロック110の上面のうち、長手方向の第1端部に正極端子112Pが設けられ、長手方向の第2端部に負極端子112Mが設けられている。筐体400の長手方向に隣り合う電池ブロック110のうち、一方の電池ブロックの正極端子112Pと、他方の電池ブロックの負極端子112Mとが向かい合うように、各電池ブロック110が配置されている。
【0258】
本実施形態では、筐体400に収容された複数の電池ブロック110が4グループに分けられている。グループ分けされた10個の電池ブロック110が監視対象電池130とされている。電池パック100は、各監視対象電池130に対応する接続モジュール600を備えている。接続モジュール600は、監視対象電池130を構成する電池ブロック110を直列接続する導電部材620~622と、監視対象電池130を構成する電池ブロック110の電池状態を監視する電池監視装置210とを備えている。
【0259】
図29を用いて、接続モジュール600について説明する。
【0260】
接続モジュール600は、基板部610を備えている。基板部610は、監視対象電池130の上側に配置されている。基板部610は、例えば合成樹脂で構成されている。基板部610は、中央板部610aと、中央板部610aの両端から筐体400の長手方向に延びる取付板部610bとを備えている。中央板部610aの上面には、電池監視装置210が配置されている。取付板部610bには、筐体400の長手方向に隣り合う電池ブロック110の正極端子112P及び負極端子112Mを接続する中間導電部材620が設けられている。なお、監視対象電池130を構成する各電池ブロック110のうち、最も高電位側の電池ブロック110の正極端子112Pには、取付板部610bに設けられた第1端部導電部材621が接続されている。また、監視対象電池130を構成する各電池ブロック110のうち、最も低電位側の電池ブロック110の負極端子112Mには、取付板部610bに設けられた第2端部導電部材622が接続されている。隣り合う監視対象電池130に対応する第1端部導電部材621及び第2端部導電部材622が電気的に接続されることにより、4つの監視対象電池130を直列接続することができる。
【0261】
以上説明した本実施形態によれば、筐体400の収容空間SPのうち、短手方向における両端の空間に1列ずつ導電部材620~622が並んで配置され、短手方向における中央の空間に導電部材620~622が2列並んで配置される。また、収容空間SPのうち、筐体400の長手方向に並ぶ導電部材620~622の間の空間に、電池監視装置210が並んで配置される。なお、収容空間SPのうち、筐体400の長手方向における中央に対して一方側の空間に配置された2つの監視対象電池130に接続された導電部材620~622が「第1導電部材」に相当する。また、収容空間SPのうち、筐体400の長手方向における中央に対して他方側の空間に配置された2つの監視対象電池130に接続された導電部材620~622が「第2導電部材」に相当する。
【0262】
上記配置において、実施形態Aの
図13及び
図18に示したように、端部凹部442aに制御側アンテナ301を長手方向に並んで配置させる。この場合、筐体400をカバー440の厚さ方向から見た場合において、端部凹部442aと重なるように電池監視装置210を配置させる。これにより、制御側アンテナ301及び監視側アンテナ201の間で電波が受信されやすくなり、制御部300と監視部200との間の無線通信の品質を高めることができる。
【0263】
ちなみに、実施形態Aの
図13及び
図18に示した構成に代えて、
図30に示すように、収容空間SPのうち、筐体400の短手方向における中央位置に電池制御装置310が配置されてもよい。この場合、収容空間SPのうち、筐体400の長手方向に並ぶ導電部材620~622の間の空間を、制御側アンテナ301と監視側アンテナ201との間の無線通信空間として用いることができる。筐体400の高さ方向において、導電部材620~622と電池監視装置210とが少なくとも一部重なりあう関係にある場合には、導電部材620~622は電波の障害となり得る。この場合、筐体400の長手方向に並ぶ導電部材620~622の間の空間を無線通信空間として用い、かつ、筐体400の短手方向における中央位置に電池制御装置310が配置される構成は特に有用である。
【0264】
(実施形態E)
以下、実施形態Eについて、実施形態Cとの相違点を中心に、
図31及び
図32を参照しつつ説明する。なお、
図31及び
図32において、実施形態Cで説明した構成と同一の構成又は対応する構成については、便宜上、同一の符号を付している。
【0265】
本実施形態では、電池制御装置310がカバー440の上面に配置されている。詳しくは、カバー440の上面のうち、中央突起部441と端部突起部442との間の領域に配置されている。また、電池制御装置310は、筐体400の長手方向(特定方向)における中央よりも端部寄りに配置され、
図31に示す例では、筐体400の長手方向における端部に配置されている。
【0266】
電池制御装置310がカバー440の上面に配置されている構成は、筐体400の小型化を狙った構成である。すなわち、筐体400の内部ではなく、筐体400の外部に電池制御装置310が配置されていることにより、筐体400の形状を小型化することができる。例えば、
図12に開示される突出部421のような部位を削減又は小型化できる。この結果、筐体400の車両搭載性をより向上できる。さらに、電池制御装置310が筐体400の外部に配置されていることにより、電池制御装置310を車両の限られたスペースに配置できる等、搭載自由度を確保できる。
【0267】
カバー440、第1壁部420、第2壁部430及び底板部410は、金属材料で構成されている。この場合、筐体400の収容空間SPに収容された監視部200と制御部300との間で通信を行うために、筐体400の内外を通信接続する構成が要求される。
【0268】
本実施形態の電池パック100は、通信接続する構成として、中継デバイス220を備えている。中継デバイス220は、カバー440の上面側に位置するアンテナ220aと、220aから下方に延びてかつアンテナ220aよりも外径寸法が小さい軸部220bとを備えている。カバー440には、軸部220bを挿通するための貫通孔441が形成されている。本実施形態において、貫通孔441は、カバー440のうち、中央突起部441と端部突起部442との間の領域に、カバー440の長手方向に一列に並んで設けられている。アンテナ220aがカバー440の上面側に位置して、かつ、軸部220bがカバー440に形成された貫通孔441に挿入された状態で、中継デバイス220が配置されている。中継デバイス220は、各監視部200に対応して個別に設けられている。なお、アンテナ220aは、電波を透過するカバーで覆われていてもよい。
【0269】
貫通孔441は、中継デバイス220のアンテナ220aにより塞がれている。なお、アンテナ220aとカバー440の上面との間にシール部材が介在していてもよい。
【0270】
監視部200は、
図32に示すように、筐体400の長手方向に隣り合う電池ブロック110の間の隙間に配置されている。監視部200は、第2隔壁部472の上端に配置されている。隙間に監視部200が配置されることにより、筐体400内の空間を有効利用することができる。
【0271】
筐体400をカバー440の厚さ方向から見た場合において、中継デバイス220の軸部220bは、第2隔壁部472と重なる位置に配置されている。軸部220bは、筐体400の長手方向に隣り合う電池ブロック110の間の隙間まで延びている。隣り合う電池ブロック110に軸部220bが当接することにより、中継デバイス220を適正に支持することができる。ちなみに、隣り合う電池ブロック110に軸部220bが当接していなくてもよい。
【0272】
中央凹部441aが形成された中央突起部441、及び端部突起部442が延びる方向と、中継デバイス220が並ぶ方向とが、筐体400の長手方向である。このため、筐体400の長手方向における無線通信経路を確保しつつ、中央凹部441aをバスバーユニット120の配置スペースとして確保することができる。
【0273】
監視部200とアンテナ220aとは、軸部220bに設けられた通信配線により電気的に接続されている。これにより、アンテナ220a及び制御側アンテナ301を介して、監視部200と制御部300との間で無線通信を行うことができる。
【0274】
また、本実施形態によれば、第3実施形態と同様に、シャーシ天板部503と筐体400を構成するカバー440との間に形成された空間を無線通信空間として有効利用しつつ、電波が外部に漏洩する事態の発生を抑制することができる。
【0275】
軸部220bの下端が、筐体400の長手方向に隣り合う電池ブロック110の間の隙間まで延びている。このため、監視部200を中継デバイス220の通信配線に接続しやすい。
【0276】
(実施形態Eの変形例)
・電池制御装置310は、筐体400の表面ではなく、筐体400の外部に配置されていてもよい。例えば、電池制御装置310は、シャーシ500内の収容空間SSのうち、中央突起部441の延長線上に配置されていてもよい。
【0277】
・
図33に示すように、筐体400の高さ方向に電池ブロック110が積層されていてもよい。
図33に示す例では、電池パック100が高さ方向に2つ積層されている。この場合、筐体400の長手方向に隣り合う電池ブロック110の間の隙間に、高さ方向に積層された2つの電池ブロック110それぞれを監視する監視部200が配置されていてもよい。2つの電池ブロック110に対応する監視部200は、共通の中継デバイス220を介して制御側アンテナ301との間で無線通信を行ってもよいし、各監視部200に対応して個別に設けられた中継デバイス220を介して制御側アンテナ301との間で無線通信を行ってもよい。
【0278】
また、監視部200が上記隙間に配置される構成に限らず、監視部200が自身の監視対象となる電池ブロック110に内蔵された構成であってもよい。この場合、
図33に示すように、筐体400の高さ方向に積層された電池ブロック110のうち、最下層の電池ブロック110まで軸部220bの下端が延びていればよい。これにより、最下層の電池ブロック110を監視する監視部200とアンテナ220aとを、軸部220bに設けられた通信配線により適正に接続することができる。
【0279】
・カバー440に代えて、各壁部420,430のいずれかに中継デバイス220が挿通される貫通孔が形成されてもよい。つまり、各壁部420,430のいずれかに中継デバイス220が設けられていてもよい。
【0280】
(実施形態F)
以下、実施形態Fについて、実施形態Eとの相違点を中心に、
図34を参照しつつ説明する。なお、
図34において、実施形態Eで説明した構成と同一の構成又は対応する構成については、便宜上、同一の符号を付している。
【0281】
本実施形態では、実施形態Aと同様に、電池ブロック110の上面に電池監視装置210が配置されている。なお、筐体400をカバー440の厚さ方向から見た場合において、電池監視装置210と、カバー440に形成された貫通孔441とが重なっていてもよい。
【0282】
貫通孔441には、貫通孔441を塞ぐように中継デバイス230が設けられている。本実施形態の中継デバイス230は、誘電体アンテナである。
【0283】
監視側アンテナ201から送信された電波が中継デバイス230により吸収される。中継デバイス230は、吸収した電波を再放射する。再放射された電波が制御側アンテナ301により受信される。これにより、制御側アンテナ301、中継デバイス230及び監視側アンテナ201を介して、監視部200と制御部300との間で無線通信を行うことができる。
【0284】
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0285】
・実施形態E,Fに記載の電池パック100は、筐体400の外部に存在する電池診断装置とともに電池診断システムを構成してもよい。電池診断装置は、例えば、車両の修理工場において作業者に用いられる携帯端末である。電池診断装置は、中継デバイス220又は中継デバイス230を介して監視部200と無線通信を行うアンテナを有している。実施形態Fの電池パック100を例にして説明すると、電池診断装置は、自身が有するアンテナ及び監視側アンテナ201を介して監視部200から電池情報を取得する。電池情報は、例えば、監視対象電池の充電量(例えばSOC)、劣化度(例えばSOH)、及び使用履歴を含む。電池診断装置は、取得した電池情報に基づいて、監視対象電池を診断する。
【0286】
以上説明した構成によれば、シャーシ500から電池パック100が降ろされた後、筐体400から電池ブロック110を取り出すことなく、監視部200から電池情報を取得することができる。このため、電池ブロック110の故障診断や再利用の可否を容易に判定することができる。
【0287】
・電池パックの適用対象としては、車両に限らず、例えば、航空機又は船舶であってもよい。また、電池パックの適用対象としては、車両、航空機又は船舶等の移動体に限らず、定置式のシステムであってもよい。
【0288】
以下、上述した各実施形態から抽出される特徴的な構成を記載する。
[構成1]
電池(20,21,22,110)と、前記電池の状態を監視する電池監視装置(30,210)と、前記電池監視装置との間で無線通信を行い、前記電池監視装置による監視結果である電池情報を取得し、各種制御を実行する電池制御装置(40,310)と、を備えた電池監視システム(1)において、
前記電池監視装置は、無線通信を介して前記電池制御装置との間で第1の処理を実行している間に、第1の処理とは別の第2の処理を実行する電池監視システム。
[構成2]
前記第1の処理は、通信開始時において前記電池制御装置との間で互いの認証を行うための認証処理であり、
前記第2の処理は、前記電池監視装置の初期動作に係る処理である構成1に記載の電池監視システム。
[構成3]
前記電池監視装置は、前記電池の状態を監視する監視部(31)と、前記監視部との間でデータを送受信するとともに、無線通信を実行可能な子機側無線制御部(32)と、を備え、
前記電池制御装置は、各種制御を実行する電池制御部(41)と、前記電池制御部との間でデータを送受信するとともに、無線通信を実行可能な親機側無線制御部(42)と、を備え、
前記認証処理は、前記親機側無線制御部と前記子機側無線制御部との間で実行される一方、前記初期動作に係る処理は、前記子機側無線制御部が前記監視部に対して動作指示することにより、前記監視部が実施する構成2に記載の電池監視システム。
[構成4]
前記電池制御装置は、通信開始時において、前記電池監視装置から出力される接続依頼信号の検出に基づいて、前記電池監視装置を発見し、発見した前記電池監視装置との間で、前記認証処理を実施し、
前記電池監視装置の前記子機側無線制御部は、前記親機側無線制御部からの子機発見信号の入力を契機に、前記初期動作の動作指示を実施する構成3に記載の電池監視システム。
[構成5]
前記子機側無線制御部は、前記子機側無線制御部の記憶装置に記憶されている前記初期動作に係るコマンドを前記監視部に順次送信することにより、前記初期動作の動作指示を実施する構成4に記載の電池監視システム。
[構成6]
前記電池制御装置は、通信終了時において、次回の初期動作に係るコマンドを前記子機側無線制御部に送信し、前記子機側無線制御部の記憶装置に記憶させる構成5に記載の電池監視システム。
[構成7]
前記初期動作に係るコマンドは、通信開始時の状況により、変更される構成5又は6に記載の電池監視システム。
[構成8]
電池(20,21,22,110)と、前記電池の状態を監視する電池監視装置(30,210)と、前記電池監視装置との間で無線通信を行い、前記電池監視装置による監視結果である電池情報を取得し、各種制御を実行する電池制御装置(40,310)と、を備えた電池監視システム(1)において、
前記電池監視装置は、複数設けられ、
前記電池制御装置は、第1の前記電池監視装置による処理中、第2の前記電池監視装置に対して処理内容を指示して、前記第1の前記電池監視装置の処理中に、前記第2の前記電池監視装置の処理を実行させる電池監視システム。
[構成9]
電池(20,21,22,110)と、前記電池の状態を監視する電池監視装置(30,210)と、前記電池監視装置との間で無線通信を行い、前記電池監視装置による監視結果である電池情報を取得し、各種制御を実行する電池制御装置(40,310)と、を備えた電池監視システム(1)において、
前記電池監視装置は、前記電池の状態を監視する監視部(31)と、前記監視部との間でデータを送受信するとともに、無線通信を実行可能な子機側無線制御部(32)と、を備え、
前記電池制御装置は、各種制御を実行する電池制御部(41)と、前記電池制御部との間でデータを送受信するとともに、無線通信を実行可能な親機側無線制御部(42)と、を備え、
前記電池制御部は、複数のコマンドを前記電池監視装置に送信して前記電池監視装置に蓄積させ、
前記子機側無線制御部は、蓄積した複数のコマンドを前記監視部に順次送信して、前記監視部にコマンドに基づく処理を順次実行させるとともに、それらの処理結果をまとめて前記電池制御装置に返信する電池監視システム。
[構成10]
筐体(400)を備え、
前記電池監視装置(210)は、前記電池(110)の状態を監視し、前記電池情報を送信する監視部(200)を有し、
前記電池制御装置(310)は、前記監視部との間で通信を行って前記電池情報を取得し、各種制御を実行する制御部(300)を有し、
前記筐体は、底板部(410)、前記底板部の周縁部に沿って形成された壁部(420,430)、及び前記壁部を上方から覆うカバー(440)を有し、
前記底板部、前記壁部及び前記カバーにより形成された収容空間(SP)に、前記電池、前記監視部及び前記制御部が収容されており、
前記カバーの上面には、上側に突出し、該上面に沿って特定方向に延びる突起部(441,442)が形成されており、
前記突起部において前記カバーの下面側には、前記カバーの上面側に向かって凹む凹部(441a,442a)が前記突起部に沿って形成されており、
前記筐体を前記カバーの厚さ方向から見た場合において、前記凹部付近に、前記監視部及び前記制御部のうち少なくとも一方が配置されている、構成1又は2に記載の電池監視システム。
[構成11]
筐体(400)を備え、
前記電池監視装置(210)は、前記電池(110)の状態を監視し、前記電池情報を送信する監視部(200)を有し、
前記電池制御装置(310)は、前記監視部との間で通信を行って前記電池情報を取得し、各種制御を実行する制御部(300)を有し、
前記筐体は、底板部(410)、前記底板部の周縁部に沿って形成された壁部(420,430)、及び前記壁部を上方から覆うカバー(440)を有し、
前記底板部、前記壁部及び前記カバーにより形成された収容空間(SP)に、前記電池、前記監視部及び前記制御部が収容されており、
前記電池は、複数であり、
前記監視部は、グループ分けされた複数の前記電池のそれぞれである監視対象電池(110,130)に対応して個別に設けられており、
前記各監視部に対応して個別に設けられ、前記監視部との間でデータを送受信する監視側アンテナ(201)と、
前記制御部との間でデータを送受信するとともに前記監視側アンテナとの間で無線通信を行う制御側アンテナ(301)と、
を備え、
前記監視部、前記監視側アンテナ及び前記制御側アンテナは、前記収容空間のうち前記電池と前記カバーとの間の空間に配置されており、
前記収容空間のうち、前記筐体の短手方向における中央に対して一方側の第1収容空間と、前記筐体の短手方向における中央に対して他方側の第2収容空間とに、前記監視部及び前記監視側アンテナが配置されており、
前記制御側アンテナは、複数であり、
前記各制御側アンテナのうち、一部の制御側アンテナが前記第1収容空間に配置され、残りの制御側アンテナが前記第2収容空間に配置されている、構成1又は2に記載の電池監視システム。
[構成12]
前記第1収容空間と前記第2収容空間とに、前記筐体の長手方向に並んで複数の前記監視対象電池(130)が配置されており、
前記第1収容空間には、該第1収容空間に配置された前記各監視対象電池に対応する前記監視部及び前記監視側アンテナが前記筐体の長手方向に並んで配置されており、
前記第2収容空間には、該第2収容空間に配置された前記各監視対象電池に対応する前記監視部及び前記監視側アンテナが前記筐体の長手方向に並んで配置されており、
前記第1収容空間のうち、前記筐体の短手方向において前記各監視部及び前記各監視側アンテナに対して両側の空間に配置され、前記第1収容空間に配置された前記各監視対象電池を電気的に接続する第1導電部材(620~622)と、
前記第2収容空間のうち、前記筐体の短手方向において前記各監視部及び前記各監視側アンテナに対して両側の空間に配置され、前記第2収容空間に配置された前記各監視対象電池を電気的に接続する第2導電部材(620~622)と、
を備え、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材は、前記筐体の長手方向に並んで配置されている、構成11に記載の電池監視システム。
[構成13]
筐体(400)を備え、
前記電池監視装置(210)は、前記電池(110)の状態を監視し、前記電池情報を送信する監視部(200)を有し、
前記電池制御装置(310)は、前記監視部との間で通信を行って前記電池情報を取得し、各種制御を実行する制御部(300)を有し、
前記筐体は、底板部(410)、前記底板部の周縁部に沿って形成された壁部(420,430)、及び前記壁部を上方から覆うカバー(440)を有し、
前記制御部との間でデータを送受信する制御側アンテナ(301)を備え、
前記底板部、前記壁部及び前記カバーにより形成された収容空間(SP)に、前記電池及び前記監視部が収容されており、
前記筐体の表面又は外部に前記制御部及び前記制御側アンテナが配置されており、
前記筐体に設けられ、前記制御側アンテナと前記監視部との間の通信を中継する中継デバイス(220,230)を備え、
前記制御部は、前記監視部から送信された前記電池情報を、前記中継デバイス及び前記制御側アンテナを介して受信する、構成1又は2に記載の電池監視システム。
・本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0289】
11…電池パック、20…組電池、21…電池ブロック、22…電池セル、30…電池監視装置、40…電池制御装置。