(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法及び車両制御用コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/12 20200101AFI20240903BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20240903BHJP
B60W 50/08 20200101ALI20240903BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240903BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240903BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B60W30/12
B60W40/02
B60W50/08
B60W60/00
G08G1/16 C
G01C21/34
(21)【出願番号】P 2021152312
(22)【出願日】2021-09-17
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】近藤 鈴華
(72)【発明者】
【氏名】北川 栄来
(72)【発明者】
【氏名】藤井 祥太
(72)【発明者】
【氏名】岡田 悠
(72)【発明者】
【氏名】金子 拓央
(72)【発明者】
【氏名】吉野 聡一
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-152386(JP,A)
【文献】特開2020-153781(JP,A)
【文献】特開2021-68052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたセンサにより得られたセンサ信号に基づいて前記車両の周囲の物体を検出する検出部と、
前記車両のドライバによる指示、前記車両の走行状況、あるいは、前記車両の周囲の道路の構造により、前記車両が走行中の自車線から他の車線への車線変更の実施が要求されたときに、前記車両の周囲の物体と前記車両とが衝突しない安全条件を満たすように前記車線変更が完了するまでの前記車両の走行挙動を表す、前記車線変更の制御時における運転計画を求める計画部と、
前記指示からの経過時間、前記車両が走行中の道路の構造または前記道路の状況に基づいて、前記車線変更を完了していることが要求される位置または時間を表す変更完了条件を設定する設定部と、
前記運転計画に従って前記車両を走行させたときに、前記変更完了条件が満たされるか否か判定する判定部と、
前記変更完了条件が満たされる場合、前記運転計画に従って前記車線変更を実施するよう前記車両を制御し、一方、前記変更完了条件が満たされない場合、前記車線変更の実施を制限する制御部と、
を有
し、
前記設定部は、前記運転計画が、前記安全条件よりも前記車両の安全に対する要求度が高い高度安全条件を満たす場合における前記変更完了条件を、前記運転計画が前記高度安全条件を満たさない場合よりも緩和する、車両制御装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記車線変更の実施の要求が前記指示による場合、前記変更完了条件を前記指示からの経過時間に基づいて設定し、一方、前記車線変更の実施の要求が前記車両の走行状況、あるいは、前記車両の周囲の道路の構造による場合、前記変更完了条件を、前記車線変更を完了していることが要求される位置に基づいて設定する、請求項
1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記変更完了条件が、前記指示からの経過時間、前記車両が走行中の道路の構造または前記道路の状況の何れに基づいて設定されたかに応じて、前記車線変更の制限の程度を決定する、請求項
1または2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記変更完了条件が満たされないと判定され、かつ、所定時間経過した後に前記変更完了条件が満たされる可能性が有る場合における、前記車線変更の制限の程度と、前記変更完了条件が満たされないと判定され、かつ、前記所定時間経過した後に前記変更完了条件が満たされる可能性が無い場合における、前記車線変更の制限の程度とが異なるように、前記車線変更の制限の程度を決定する、請求項
1または2に記載の車両制御装置。
【請求項5】
車両制御装置が、車両に搭載されたセンサにより得られたセンサ信号に基づいて前記車両の周囲の物体を検出し、
前記車両制御装置が、前記車両のドライバによる指示、前記車両の走行状況、あるいは、前記車両の周囲の道路の構造により、前記車両が走行中の自車線から他の車線への車線変更の実施が要求されたときに、前記車両の周囲の物体と前記車両とが衝突しない安全条件を満たすように前記車線変更が完了するまでの前記車両の走行挙動を表す、前記車線変更の制御時における運転計画を求め、
前記車両制御装置が、前記指示からの経過時間、前記車両が走行中の道路の構造または前記道路の状況に基づいて、前記車線変更を完了していることが要求される位置または時間を表す変更完了条件を設定し、
前記車両制御装置が、前記運転計画に従って前記車両を走行させたときに、前記変更完了条件が満たされるか否か判定し、
前記車両制御装置が、前記変更完了条件が満たされる場合、前記運転計画に従って前記車線変更を実施するよう前記車両を制御し、一方、前記変更完了条件が満たされない場合、前記車線変更の実施を制限する、
ことを含
み、
前記変更完了条件を設定することは、前記運転計画が、前記安全条件よりも前記車両の安全に対する要求度が高い高度安全条件を満たす場合における前記変更完了条件を、前記運転計画が前記高度安全条件を満たさない場合よりも緩和することを含む車両制御方法。
【請求項6】
車両に搭載されたセンサにより得られたセンサ信号に基づいて前記車両の周囲の物体を検出し、
前記車両のドライバによる指示、前記車両の走行状況、あるいは、前記車両の周囲の道路の構造により、前記車両が走行中の自車線から他の車線への車線変更の実施が要求されたときに、前記車両の周囲の物体と前記車両とが衝突しない安全条件を満たすように前記車線変更が完了するまでの前記車両の走行挙動を表す、前記車線変更の制御時における運転計画を求め、
前記指示からの経過時間、前記車両が走行中の道路の構造または前記道路の状況に基づいて、前記車線変更を完了していることが要求される位置または時間を表す変更完了条件を設定し、
前記運転計画に従って前記車両を走行させたときに、前記変更完了条件が満たされるか否か判定し、
前記変更完了条件が満たされる場合、前記運転計画に従って前記車線変更を実施するよう前記車両を制御し、一方、前記変更完了条件が満たされない場合、前記車線変更の実施を制限する、
ことを前記車両に搭載されたプロセッサに実行さ
せ、
前記変更完了条件を設定することは、前記運転計画が、前記安全条件よりも前記車両の安全に対する要求度が高い高度安全条件を満たす場合における前記変更完了条件を、前記運転計画が前記高度安全条件を満たさない場合よりも緩和することを含む車両制御用コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法及び車両制御用コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の自動運転制御において、車両に車線変更を実施させる技術が提案されている(特許文献1及び2を参照)。
【0003】
特許文献1に開示された車線変更の決定方法は、自動運転車両の車線変更中に、予め設定された時間における、自動運転車両が車線変更の目標車線に向けて走行する第1計画軌跡を取得する。また、この決定方法は、自動運転車両が車線変更の開始時刻に位置する車線に向けて走行する第2計画軌跡を取得する。さらに、この決定方法は、自動運転車両の周囲の予め設定された範囲内の少なくとも一つの障害物の運転状態に基づいて、予め設定された時間における各障害物の予測軌跡を予測する。そしてこの決定方法は、第1計画軌跡、第2計画軌跡及び各障害物の予測軌跡に基づいて、自動運転車両の走行動作を決定する。
【0004】
また、特許文献2に開示された自動運転支援装置は、自車両を自動走行させる目標進行路が本線の走行車線から分岐車線方向へ設定されていると、分岐車線の入り口手前に、走行車線を規制する車線規制区間が設定されているか否か判定する。そして車線規制区間が設定されていると判定した場合、自動運転支援装置は、車線規制区間が開始される手前で、自車両を隣接する追越車線へ導く車線変更制御を実行させる。さらに、この自動運転支援装置は、自車両を、隣接する追越車線に車線変更させた後、車線規制区間を通過して分岐車線方向へ車線変更させるに際し、分岐車線方向への進入が可能か否かを判定し、その進入が不可と判定した場合、自車線に沿った走行を維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-135885号公報
【文献】特開2020-095336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
場合によっては、車線変更を計画通りに実施することが困難なことがある。このような場合、車両の実際の挙動が、ドライバが想定する車両の挙動と異なることとなり、その結果として、ドライバが違和感を生じることがある。
【0007】
そこで、本発明は、車両が自動で車線変更を実施する際に、ドライバが車両の挙動に違和感を生じることを抑制することが可能な車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの実施形態によれば、車両制御装置が提供される。この車両制御装置は、車両に搭載されたセンサにより得られたセンサ信号に基づいて車両の周囲の物体を検出する検出部と、車両のドライバによる指示、車両の走行状況、あるいは、車両の周囲の道路の構造により、車両が走行中の自車線から他の車線への車線変更の実施が要求されたときに、車両の周囲の物体と車両とが衝突しない安全条件を満たすように車線変更が完了するまでの車両の走行挙動を表す、車線変更の制御時における運転計画を求める計画部と、ドライバによる指示からの経過時間、車両が走行中の道路の構造または道路の状況に基づいて、車線変更を完了していることが要求される位置または時間を表す変更完了条件を設定する設定部と、運転計画に従って車両を走行させたときに、変更完了条件が満たされるか否か判定する判定部と、変更完了条件が満たされる場合、運転計画に従って車線変更を実施するよう車両を制御し、一方、変更完了条件が満たされない場合、車線変更の実施を制限する制御部とを有する。
【0009】
この車両制御装置において、設定部は、運転計画が、安全条件よりも車両の安全に対する要求度が高い高度安全条件を満たす場合における変更完了条件を、運転計画が高度安全条件を満たさない場合よりも緩和することが好ましい。
【0010】
また、この車両制御装置において、設定部は、車線変更の実施の要求がドライバの指示による場合、変更完了条件をその指示からの経過時間に基づいて設定し、一方、車線変更の実施の要求が車両の走行状況、あるいは、車両の周囲の道路の構造による場合、変更完了条件を、車線変更を完了していることが要求される位置に基づいて設定することが好ましい。
【0011】
あるいはまた、この車両制御装置において、制御部は、変更完了条件が、ドライバによる指示からの経過時間、車両が走行中の道路の構造または道路の状況の何れに基づいて設定されたかに応じて、車線変更の制限の程度を決定することが好ましい。
【0012】
あるいはまた、この車両制御装置において、制御部は、変更完了条件が満たされないと判定され、かつ、所定時間経過した後に変更完了条件が満たされる可能性が有る場合における、車線変更の制限の程度と、変更完了条件が満たされないと判定され、かつ、所定時間経過した後に変更完了条件が満たされる可能性が無い場合における、車線変更の制限の程度とが異なるように、車線変更の制限の程度を決定することが好ましい。
【0013】
他の実施形態によれば、車両制御方法が提供される。この車両制御方法は、車両に搭載されたセンサにより得られたセンサ信号に基づいて車両の周囲の物体を検出し、車両のドライバによる指示、車両の走行状況、あるいは、車両の周囲の道路の構造により、車両が走行中の自車線から他の車線への車線変更の実施が要求されたときに、車両の周囲の物体と車両とが衝突しない安全条件を満たすように車線変更が完了するまでの車両の走行挙動を表す、車線変更の制御時における運転計画を求め、ドライバによる指示からの経過時間、車両が走行中の道路の構造または道路の状況に基づいて、車線変更を完了していることが要求される位置または時間を表す変更完了条件を設定し、運転計画に従って車両を走行させたときに、変更完了条件が満たされるか否か判定し、変更完了条件が満たされる場合、運転計画に従って車線変更を実施するよう車両を制御し、一方、変更完了条件が満たされない場合、車線変更の実施を制限する、ことを含む。
【0014】
さらに他の実施形態によれば、車両制御用コンピュータプログラムが提供される。この車両制御用コンピュータプログラムは、車両に搭載されたセンサにより得られたセンサ信号に基づいて車両の周囲の物体を検出し、車両のドライバによる指示、車両の走行状況、あるいは、車両の周囲の道路の構造により、車両が走行中の自車線から他の車線への車線変更の実施が要求されたときに、車両の周囲の物体と車両とが衝突しない安全条件を満たすように車線変更が完了するまでの車両の走行挙動を表す、車線変更の制御時における運転計画を求め、ドライバによる指示からの経過時間、車両が走行中の道路の構造または道路の状況に基づいて、車線変更を完了していることが要求される位置または時間を表す変更完了条件を設定し、運転計画に従って車両を走行させたときに、変更完了条件が満たされるか否か判定し、変更完了条件が満たされる場合、運転計画に従って車線変更を実施するよう車両を制御し、一方、変更完了条件が満たされない場合、車線変更の実施を制限する、ことを車両に搭載されたプロセッサに実行させるための命令を含む。
【発明の効果】
【0015】
本開示による車両制御装置は、車両が自動で車線変更を実施する際に、ドライバが車両の挙動に違和感を生じることを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】車両制御装置が実装される車両制御システムの概略構成図である。
【
図2】車両制御装置の一つの実施形態である電子制御装置のハードウェア構成図である。
【
図3】車両制御処理に関する、電子制御装置のプロセッサの機能ブロック図である。
【
図4】(a)及び(b)は、それぞれ、変更完了条件の一例を示す図である。
【
図5】変更完了条件が満たされない場合の車両の走行状況の一例を示す図である。
【
図6】変更完了条件が満たされる場合の車両の走行状況の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を参照しつつ、車両制御装置及び車両制御装置上で実行される車両制御方法ならびに車両制御用コンピュータプログラムについて説明する。この車両制御装置は、車両の自動運転制御中において、必要に応じて車両の車線変更を実行する。
【0018】
車両変更を実行する際、車両のドライバに不安を与えないようにするため、ドライバに対して車線変更を実施することを予告することが行われる。さらに、場合によっては、車線変更の予告とともに、ドライバに対して、変更先の車線の状況を含む、車両周囲の状況を監視することを要求することが行われる。しかし、車両の周囲の状況によっては、車線変更の実施を予告して、車線変更の実施シーケンスへ移行した後に、車線変更を完了すべき地点まで、あるいは車線変更を完了すべき時間内に車線変更を完了することが困難となることがある。車線変更を実施できないと判断される限界地点に車両が到達したときに、実際に車線変更の実施が中止されると、その中止の時まで、車線変更が実施されないにもかかわらず、ドライバに対する、周囲の監視の要求が継続されることになる。また、車線変更を実施できないと判断された時点でドライバへ車両の制御が受け渡されても、ドライバにとっては余裕が無くなってしまうことがある。逆に、車両制御装置が、時間的あるいは距離的な余裕を十分にとって車線変更の実施を予告すると、不自然なタイミングで車線変更が行われることになり、ドライバに違和感を持たせるおそれがある。さらに、自動での車線変更を実施可能なシチュエーションが過度に制限されてしまい、利便性が低下してしまう。
【0019】
そこで、この車両制御装置は、車線変更を完了していることが要求される位置または時間を表す変更完了条件を設定する。その上で、この車両制御装置は、車線変更制御時における、車線変更が完了するまでの車両の走行挙動を表す運転計画に従って車両を走行させたときに、変更完了条件が満たされるか否か判定する。そしてこの車両制御装置は、変更完了条件が満たされる場合、車線変更制御時における運転計画に従って車線変更を実施するよう車両を制御し、一方、変更完了条件が満たされない場合、車線変更の実施を制限する。
【0020】
図1は、車両制御装置が実装される車両制御システムの概略構成図である。また
図2は、車両制御装置の一つの実施形態である電子制御装置のハードウェア構成図である。本実施形態では、車両10に搭載され、かつ、車両10を制御する車両制御システム1は、カメラ2と、GPS受信機3と、ナビゲーション装置4と、無線通信器5と、ストレージ装置6と、車両制御装置の一例である電子制御装置(ECU)7とを有する。カメラ2、GPS受信機3、ナビゲーション装置4、無線通信器5及びストレージ装置6とECU7とは、コントローラエリアネットワークといった規格に準拠した車内ネットワークを介して通信可能に接続される。なお、車両制御システム1は、LiDARあるいはレーダといった、車両10から車両10の周囲に存在する物体までの距離を測定する測距センサ(図示せず)をさらに有していてもよい。
【0021】
カメラ2は、車両10の周囲を表すセンサ信号を生成するセンサの一例であり、CCDあるいはC-MOSなど、可視光に感度を有する光電変換素子のアレイで構成された2次元検出器と、その2次元検出器上に撮影対象となる領域の像を結像する結像光学系を有する。そしてカメラ2は、例えば、車両10の前方を向くように、例えば、車両10の車室内に取り付けられる。カメラ2は、所定の撮影周期(例えば1/30秒~1/10秒)ごとに車両10の前方領域を撮影し、その前方領域が写った画像を生成する。カメラ2により得られた画像は、センサ信号の一例である。なお、車両10には、撮影方向または焦点距離が異なる複数のカメラが設けられてもよい。
【0022】
カメラ2は、画像を生成する度に、その生成した画像を、車内ネットワークを介してECU7へ出力する。
【0023】
GPS受信機3は、所定の周期ごとにGPS衛星からのGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて車両10の自己位置を測位する。そしてGPS受信機3は、所定の周期ごとに、GPS信号に基づく車両10の自己位置の測位結果を表す測位情報を、車内ネットワークを介してナビゲーション装置4及びECU7へ出力する。なお、車両10は、GPS受信機の代わりに、他の衛星測位システムによる衛星からの測位信号を受信して車両10の自己位置を測位する受信機を有していてもよい。
【0024】
ナビゲーション装置4は、自装置上で動作するナビゲーションプログラムに従って、車両10に対するナビゲーション処理を実行する。例えば、ナビゲーション装置4は、ドライバの操作により、ナビゲーションプログラムの起動が指示され、かつ、車両10の目的地が入力されると、車両10の現在位置から目的地までの車両10の走行ルートを探索する。その際、ナビゲーション装置4は、自装置が記憶する個々の道路区間及びその接続関係が表されたルート探索用地図を参照して、ダイクストラ法といった所定の経路探索手法に従って走行ルートを探索すればよい。走行ルートには、例えば、目的地までに経由する道路、走行ルート上に位置する分岐点における進行方向、右折または左折する交差点の位置などを表す情報が含まれる。なお、ナビゲーション装置4は、車両10の現在位置として、例えば、GPS受信機3から受信した、最新の測位結果による車両10の自己位置を利用することができる。
ナビゲーション装置4は、車両10の走行ルートを求めると、その走行ルートを表す情報を、車内ネットワークを介してECU7へ出力する。
【0025】
無線通信器5は、所定の移動通信規格に準拠して、無線基地局との間で無線通信する。無線通信器5は、他の装置から無線基地局を介して、車両10が走行中の道路またはその周囲における交通状況を表す交通情報または工事の実施状況を表す工事情報(例えば、Vehicle Information and Communication Systemによる情報)を受信する。そして無線通信器5は、受信した交通情報を、車内ネットワークを介してECU7へ出力する。また、無線通信器5は、車両10の現在位置の周囲の所定の領域についての、自動運転制御に利用される高精度地図を、無線基地局を介して地図サーバから受信し、受信した高精度地図をストレージ装置6へ出力してもよい。
【0026】
ストレージ装置6は、記憶部の一例であり、例えば、ハードディスク装置、不揮発性の半導体メモリ、または光記録媒体及びそのアクセス装置を有する。そしてストレージ装置6は、高精度地図を記憶する。なお、高精度地図は、道路に設けられた複数の車線に関する情報を含む地図の一例である。高精度地図には、例えば、その高精度地図に表される所定の領域に含まれる各道路についての車線の数、車線区画線または停止線といった道路標示を表す情報及び道路標識を表す情報が含まれる。
【0027】
さらに、ストレージ装置6は、高精度地図の更新処理、及び、ECU7からの高精度地図の読出し要求に関する処理などを実行するためのプロセッサを有していてもよい。そしてストレージ装置6は、例えば、車両10が所定距離だけ移動する度に、無線通信器5を介して地図サーバへ、高精度地図の取得要求を車両10の現在位置とともに送信してもよい。また、ストレージ装置6は、地図サーバから無線通信器5を介して車両10の現在位置の周囲の所定の領域についての高精度地図を受信してもよい。また、ストレージ装置6は、ECU7からの高精度地図の読出し要求を受信すると、記憶している高精度地図から、車両10の現在位置を含み、上記の所定の領域よりも相対的に狭い範囲を切り出して、車内ネットワークを介してECU7へ出力する。
【0028】
ECU7は、車両10を自動運転制御する。本実施形態では、ECU7は、自動で車線変更を実行する際、車両10がその周囲の物体と衝突しない安全条件を満たすように車線変更が完了するまでの車両の走行挙動を表す運転計画を策定する。また、ECU7は、車線変更が完了していることが要求される位置または時間を表す変更完了条件を設定する。そしてECU7は、運転計画に従って車両10を走行させたときに、変更完了条件が満たされるか否か判定し、その判定結果に基づいて、実際に車線変更を実行するか否かを決定する。
【0029】
図2に示されるように、ECU7は、通信インターフェース21と、メモリ22と、プロセッサ23とを有する。通信インターフェース21、メモリ22及びプロセッサ23は、それぞれ、別個の回路として構成されてもよく、あるいは、一つの集積回路として一体的に構成されてもよい。
【0030】
通信インターフェース21は、ECU7を車内ネットワークに接続するためのインターフェース回路を有する。そして通信インターフェース21は、カメラ2から画像を受信する度に、受信した画像をプロセッサ23へわたす。また、通信インターフェース21は、GPS受信機3から測位情報を受信する度に、その測位情報をプロセッサ23へわたす。さらに、通信インターフェース21は、ナビゲーション装置4から走行ルートを受信するとその走行ルートをプロセッサ23へわたす。さらにまた、通信インターフェース21は、交通情報など、無線通信器5が他の機器から受信した情報を受け取ると、その情報をプロセッサ23へわたす。さらにまた、通信インターフェース21は、ストレージ装置6から読み込んだ高精度地図をプロセッサ23へわたす。
【0031】
メモリ22は、記憶部の他の一例であり、例えば、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリを有する。そしてメモリ22は、プロセッサ23により実行される車両制御処理において使用される各種のデータを記憶する。例えば、メモリ22は、カメラ2の焦点距離、撮影方向及び取り付け位置などのパラメータ、及び、車両10の周囲の物体を検出するために利用される識別器を特定するための各種パラメータを記憶する。さらに、メモリ22は、走行ルート、車両10の測位情報、車両10の周囲の画像、高精度地図を記憶する。さらにまた、メモリ22は、車両制御処理の途中で生成される各種のデータを一時的に記憶する。
【0032】
プロセッサ23は、1個または複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ23は、論理演算ユニット、数値演算ユニットあるいはグラフィック処理ユニットといった他の演算回路をさらに有していてもよい。そしてプロセッサ23は、所定の周期ごとに、車両10に対する車両制御処理を実行する。
【0033】
図3は、車両制御処理に関する、プロセッサ23の機能ブロック図である。プロセッサ23は、検出部31と、計画部32と、設定部33と、判定部34と、制御部35とを有する。プロセッサ23が有するこれらの各部は、例えば、プロセッサ23上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、プロセッサ23が有するこれらの各部は、プロセッサ23に設けられる、専用の演算回路であってもよい。
【0034】
検出部31は、カメラ2から、車両10の周囲を表す画像(以下、単に画像と呼ぶことがある)をECU7が受け取る度に、その画像から車両10の周囲に存在する車両10の走行に影響を与える可能性の有る物体(以下、単に物体と呼ぶことがある)を検出する。例えば、検出部31は、識別器に画像を入力することで、画像に表された検出対象となる物体を検出する。そのような識別器として、検出部31は、例えば、Single Shot MultiBox Detector(SSD)、または、Faster R-CNNといった、コンボリューショナルニューラルネットワーク型(CNN)のアーキテクチャを持つディープニューラルネットワーク(DNN)を用いることができる。このような識別器は、画像から検出対象となる物体を検出するように予め学習される。識別器は、入力された画像上で検出した物体を含む物体領域を特定する情報及び検知した物体の種類を表す情報を出力する。検出対象となる、車両10の走行に影響を与える可能性の有る物体は、例えば、車両10の周囲を走行する他の車両または歩行者といった移動物体、あるいは、車線区画線などの道路標示、道路標識または縁石といった道路上または道路の周囲に存在する地物である。
【0035】
また、測距センサ(図示せず)が車両10に搭載されている場合、検出部31は、その測距センサにより得られた、車両10の周囲の各方向に位置する物体までの距離を表す測距信号に基づいて、車両10の周囲に存在する物体を検出してもよい。この場合も、検出部31は、測距信号を、検出対象となる物体を検出するように予め学習された識別器に入力することで、車両10の周囲に存在する物体を検出することができる。なお、測距信号は、車両10の周囲を表すセンサ信号の他の一例であり、測距センサは、センサ信号を生成するセンサの他の一例である。
【0036】
検出部31は、さらに、画像と高精度地図とを照合することで、車両10が走行中の自車線を検出する。例えば、検出部31は、車両10の位置及び姿勢を仮定して、画像から検出された道路上または道路周囲の地物を高精度地図上に投影するか、あるいは、高精度地図に表された車両10の周囲の道路上または道路周囲の地物を画像上に投影する。そして検出部31は、画像から検出された地物と高精度地図上に表された地物とが最も一致するときの車両10の位置及び姿勢を、車両10の自己位置として推定する。そして検出部31は、高精度地図を参照して、車両10の自己位置が含まれる車線を、車両10が走行中の自車線として特定すればよい。
【0037】
検出部31は、仮定される車両10の位置及び姿勢の初期値と、焦点距離、設置高さ、及び、撮影方向といった、カメラ2のパラメータとを用いて、高精度地図上または画像上で地物が投影される位置を決定すればよい。なお、車両10の位置及び姿勢の初期値として、GPS受信機3により測位された車両10の位置、あるいは、前回の自車線検出時に推定された車両10の位置及び姿勢を、オドメトリ情報を用いて補正した位置が利用される。そして検出部31は、画像から検出された道路上または道路周囲の地物と高精度地図上に表された道路上または道路周囲の地物との一致度合(例えば、正規化相互相関値)を算出する。
【0038】
検出部31は、仮定される車両10の位置及び姿勢を変更しながら上記の処理を繰り返す。そして検出部31は、一致度合が最大となるときの仮定された位置及び姿勢を、車両10の実際の自己位置として推定すればよい。
【0039】
検出部31は、検出した物体を表す情報及び自車線を表す情報を、計画部32、設定部33、判定部34及び制御部35へ通知する。
【0040】
計画部32は、車両10のドライバによる指示、車両10の走行状況、あるいは、車両10の周囲の道路の構造により、車両10が走行中の自車線から他の車線への車線変更の実施が要求されたときに、車線変更に関する運転計画を策定する。この運転計画は、車両10の車線変更制御時において、車線変更が完了するまでの車両10の走行挙動を表し、車両10の周囲の物体と車両10とが衝突しない安全条件を満たすように策定される。
【0041】
運転計画策定のトリガの一例となる、ドライバによる指示は、例えば、ウィンカーの操作、あるいは、車内に設けられたマイクロホン(図示せず)により集音される、ドライバの音声によりなされる。ウィンカーの操作による指示の場合、計画部32は、自車線の左側または右側に隣接する車線のうち、その操作で指定された方向の車線を目標車線とする車線変更を実行するように運転計画を策定する。また、ドライバの音声による指示の場合、計画部32は、所定の音声認識アルゴリズムに従って集音された音声信号に表されるドライバの指示を認識し、認識した指示で示される方向の車線を目標車線とする車線変更を実施するように運転計画を策定する。
【0042】
また、運転計画策定のトリガの他の一例となる、車両10の走行状況は、例えば、自車線と車両10の目的地へ向かう車線とが異なる状況、先行車両の追い越しを実施する状況、あるいは、追い越し車線から走行車線へ戻る状況とすることができる。さらに、自車線上において車両10の前方に障害物が存在する状況も、運転計画策定のトリガの他の一例となる、車両10の走行状況に含まれてもよい。
【0043】
計画部32は、走行ルートと、車両10の現在位置と、高精度地図とを参照して、車両10の現在位置から所定距離先までの区間において、車両10が現在走行中の道路から目的へ向かう車線が分岐する分岐点が存在するか否か判定する。計画部32は、分岐点が存在する場合において、自車線と目的地へ向かう車線とが異なるか否か判定する。そして計画部32は、自車線と目的地へ向かう車線とが異なる場合、目的地へ向かう車線を目標車線とする、1回以上の車線変更を実施するように運転計画を策定する。
【0044】
また、計画部32は、車両10の速度が所定の速度閾値以下となり、かつ、車両10の前方を走行する先行車両と車両10間の車間距離が所定距離以下となる期間が所定時間継続すると、先行車両を追い越すために車線変更を実施するよう運転計画を策定する。なお、所定時間は、例えば、数秒間~数十秒間とすることができる。この場合、計画部32は、自車線に隣接する車線のうちの追い越し車線を目標車線として設定することが好ましい。なお、計画部32は、画像から検出された他の車両のうち、画像上の車両10の前方に相当する範囲内に位置する車両を先行車両として特定すればよい。また、所定の速度閾値は、例えば、車両10が走行中の道路の法定速度あるいは制限速度から所定のオフセット値(例えば、10km/h~20km/h)を減じた速度に設定される。したがって、計画部32は、車両10の現在位置及び高精度地図を参照して、車両10が現在走行中の道路の法定速度または制限速度を特定することで、速度閾値を設定すればよい。また、計画部32は、先行車両と車両10の車間距離を、画像に表された先行車両の車種に対応する基準車幅に対応する、車間距離が基準距離である場合の画像上での基準画素数と、先行車両を含む物体領域の水平方向の幅とに基づいて推定することができる。なお、基準距離及び車種ごとの基準画素数は、メモリ22に予め記憶されていればよい。また、先行車両の車種は、検出部31により検出された先行車両の車種として推定される。あるいは、計画部32は、先行車両を含む物体領域の下端の位置に基づいて、先行車両と車両10間の車間距離を推定してもよい。ここで、先行車両を含む物体領域の下端の位置は、先行車両が路面に接している位置を表していると想定される。また、画像上の各画素の位置は、カメラ2から見た方位と1対1に対応している。そこで、計画部32は、画像上での物体領域の下端の位置と、カメラ2の設置高さ及び撮影方向などのパラメータを参照することで、カメラ2から先行車両までの距離を推定することができ、その距離を、先行車両と車両10間の距離とすればよい。あるいはまた、車両10が測距センサ(図示せず)を搭載している場合、計画部32は、その測距センサにより測定された、車両10の前方に位置する物体までの距離を、先行車両と車両10間の距離としてもよい。
【0045】
さらに、計画部32は、自車線が追い越し車線であり、かつ、直近の所定期間にわたって車両10が追い越し車線を走行している場合、車両10を走行車線に戻すために車線変更を実施するよう運転計画を策定する。なお、計画部32は、高精度地図を参照して、自車線が追い越し車線か否か判定すればよい。この場合、計画部32は、車両10が走行中の道路における何れかの走行車線を目標車線とする。
【0046】
さらにまた、検出部31により、車両10の前方において、自車線上に何らかの立体的な静止物体が検出されている場合、計画部32は、現在の走行状況が、自車線上において車両10の前方に障害物が存在する状況であると判定する。また、無線通信器5を介して受信した交通情報において車両10の前方において自車線の走行が規制されていることが示される場合も、計画部32は、現在の走行状況が、自車線上において車両10の前方に障害物が存在する状況であると判定する。そして現在の走行状況が自車線上において車両10の前方に障害物が存在する状況である場合、計画部32は、隣接車線を目標車線とする車線変更を実施するよう運転計画を策定する。
【0047】
また、運転計画策定のトリガの他の一例となる、車両10の周囲の道路の構造は、例えば、車両10の前方において車線の数が減少する構造、あるいは、車両10の前方に料金所が存在する構造とすることができる。計画部32は、高精度地図を参照して、車両10の現在位置よりも前方の所定距離の範囲内に上記のような構造が存在するか否かを判定する。そして上記のような構造が存在する場合、計画部32は、車線数の減少後にも残る車線、あるいは、特定の車線を目標車線とする車線変更を実施するよう運転計画を策定する。
【0048】
計画部32は、運転計画を策定する場合、車両10の現在位置から目標車線への車線変更が完了するまでの区間における車両10の走行予定軌跡(トラジェクトリ)を1以上生成する。走行予定軌跡は、例えば、所定の区間を車両10が走行する際の各時刻における、車両10の目標位置の集合として表される。
【0049】
本実施形態では、計画部32は、トリガの種類に応じた目標車線へ向けて1回以上の車線変更がなされるように走行予定軌跡を生成する。その際、計画部32は、車両10の周囲に存在する物体、特に、自車線及び目標車線側の隣接車線を走行する他の車両と車両10とが衝突しない安全条件を満たすように走行予定軌跡を生成する。安全条件は、例えば、車線変更が完了するまでの期間において車両10の周囲の物体と車両10間の距離の予測値が所定距離以上となることとすることができる。そこで、計画部32は、カメラ2により得られた時系列の一連の画像から検出された物体を追跡し、その追跡結果により得られた軌跡から、物体のそれぞれの所定時間先までの予測軌跡を推定する。その際、計画部32は、Lucas-Kanade法といったオプティカルフローに基づく追跡処理を、カメラ2により得られた最新の画像における着目する物体が表された物体領域及び過去の画像での物体領域に対して適用することで、その物体領域に表された物体を追跡する。そのため、計画部32は、例えば、着目する物体領域に対してSIFTあるいはHarrisオペレータといった特徴点抽出用のフィルタを適用することで、その物体領域から複数の特徴点を抽出する。そして計画部32は、複数の特徴点のそれぞれについて、過去の画像における物体領域における対応する点を、適用される追跡手法に従って特定することで、オプティカルフローを算出すればよい。あるいは、計画部32は、画像から検出された移動物体の追跡に適用される他の追跡手法を、最新の画像における、着目する物体領域及び過去の画像における物体領域に対して適用することで、その物体領域に表された物体を追跡してもよい。
【0050】
計画部32は、追跡中の物体のそれぞれについて、カメラ2についての車両10への取り付け位置などの情報を用いて視点変換処理を実行することで、その物体の画像内座標を鳥瞰画像上の座標(鳥瞰座標)に変換する。その際、計画部32は、各画像の取得時における、車両10の位置及び姿勢と、検出された物体までの推定距離と、車両10からその物体へ向かう方向とにより、各画像の取得時における、検出された物体の位置を推定できる。そして計画部32は、追跡中の物体のそれぞれについて、時間順に推定した位置を並べることで、その物体の軌跡を推定できる。そして計画部32は、直近の所定期間における追跡中の物体の走行軌跡に基づいてKalman FilterまたはParticle filterなどを用いた予測処理を実行することで、その物体の所定時間先までの予測軌跡を推定することができる。
【0051】
計画部32は、追跡中の各物体の予測軌跡に基づいて、所定時間先までの追跡中の各物体と車両10間の距離の予測値が所定距離以上となり、かつ、目標車線までの車線変更が完了するように、走行予定軌跡を生成する。特に、計画部32は、変更後の車線において、車両10の前後を走行する他の車両と車両10間の車間距離が所定距離以上となるように、走行予定軌跡を生成する。その際、計画部32は、車両10の挙動がその制限条件(例えば、加減速度の許容範囲及び操舵角の変化量の許容範囲)を満たすように、シミューレーティッドアニーリングあるいは最急降下法といった所定の最適化アルゴリズムに従って走行予定軌跡を生成する。そして計画部32は、生成した走行予定軌跡を運転計画とする。
【0052】
また、安全条件を満たしつつ、目標車線までの車線変更が完了する走行予定軌跡が複数存在する場合、計画部32は、それら複数の走行予定軌跡のうち、目標車線までの車線変更が最短距離あるいは最短時間で完了する走行予定軌跡を選択してもよい。そして計画部32は、選択した走行予定軌跡を運転計画とする。
【0053】
計画部32は、運転計画として生成した走行予定軌跡を判定部34及び制御部35へ出力する。
【0054】
設定部33は、ドライバの指示からの経過時間、車両10が走行中の道路の構造または道路の状況に基づいて、目標車線への車線変更を完了していることが要求される位置または時間を表す変更完了条件を設定する。なお、以下では、目標車線への車線変更を完了していることが要求される位置を、目標完了位置と呼ぶことがある。同様に、目標車線への車線変更を完了していることが要求される時間を、目標完了時間と呼ぶことがある。
【0055】
例えば、運転計画策定のトリガがドライバによる車線変更指示である場合、設定部33は、ドライバが車線変更を指示してからの経過時間の許容上限値を目標完了時間として設定する。なお、許容上限値は、メモリ22に予め記憶されていればよい。また、運転計画策定のトリガが、車両10が先行車両の追い越し、あるいは、追い越し車線から走行車線へ戻ることである場合も、設定部33は、そのような状況であると判断されてからの経過時間の許容上限値を目標完了時間として設定すればよい。
【0056】
また、運転計画策定のトリガが目的地へ向かう車線の分岐である場合、設定部33は、目的地へ向かう車線(例えば、本線から分岐する分岐車線)へ進入可能な限界位置を目標完了位置として設定する。この場合、設定部33は、高精度地図を参照して、目的地へ向かう車線が分岐する地点を特定し、特定した分岐地点よりも所定距離だけ車両10側の位置を目標完了位置とすればよい。
【0057】
ただし、目的地へ向かう車線において渋滞が発生している場合、設定部33は、その渋滞の後端位置を目標完了位置として設定してもよい。この場合、設定部33は、無線通信器5を介して受信した交通情報に示される、渋滞の後端の地点を、目標完了位置とすればよい。あるいは、設定部33は、カメラ2により生成された画像に基づいて渋滞の後端位置を検出してもよい。例えば、設定部33は、検出部31により検出された、目的地へ向かう車線の分岐元となる車線上に位置する他の車両のうち、車両10よりも前方に位置し、かつ、最も車両10に近い車両を特定する。設定部33は、画像から検出された個々の車線区画線と他の車両の位置とを比較することで、目的地へ向かう車線の分岐元となる車線上に位置する他の車両を特定できる。設定部33は、計画部32による、特定された車両の追跡結果に基づいて、その車両の速度を推定する。そしてその車両の推定速度が渋滞判定速度以下である場合、設定部33は、目的地へ向かう車線において渋滞が発生していると判定し、その車両の後端よりも所定のオフセット距離だけ車両10に近い位置を、渋滞の後端位置として目標完了位置に設定すればよい。
【0058】
さらに、運転計画策定のトリガが、車両10の周囲の道路の構造が車線変更を要する特定の構造である場合、設定部33は、道路の構造的に車線変更ができなくなる地点またはその地点から所定のオフセット距離だけ車両10側の位置を目標完了位置として設定する。なお、道路の構造的に車線変更ができなくなる地点は、例えば、車線変更不許可区間の開始地点、車線ごとに別の道路に分かれる地点、所定の曲率半径よりも小さいカーブの入り口、あるいは、料金所の手前等の車線が無くなるか、車線変更が制限される地点である。
【0059】
さらにまた、運転計画策定のトリガが、自車線上に障害物が存在することである場合、設定部33は、その障害物の位置よりも所定のオフセット距離だけ車両10側の位置を、目標完了位置とする。
【0060】
図4(a)及び
図4(b)は、それぞれ、変更完了条件の一例を示す図である。
図4(a)に示される例では、車両10が走行中の道路400には二つの車線401、402が設けられており、このうち、車両10は右側の車線402を走行している。一方、左側の車線401には分岐路403が設けられている。そして車両10の目的地は、分岐路403の先に位置している。そのため、運転計画として、車線402から車線401へ車線変更する走行予定軌跡410が策定される。したがって、分岐路403へ進入可能な限界位置となる目標完了位置411が、変更完了条件として設定される。
【0061】
図4(b)に示される例でも、車両10が走行中の道路400には二つの車線401、402が設けられている。そして車両10は左側の車線401を走行している。この例では、車両10の前方を走行する先行車両420を追い越すために、ドライバの操作により右側の車線402への車線変更421が指示される。したがって、その車線変更の指示が成された時刻t1からの経過時間の許容上限値となる目標完了時間Tが、変更完了条件として設定される。
【0062】
上記のように、設定部33は、車線変更の実施の要求がドライバの指示による場合、変更完了条件をその指示からの経過時間に基づいて設定する。一方、設定部33は、車線変更の実施の要求が車両の走行状況、あるいは、車両10の周囲の道路の構造による場合、変更完了条件を、車線変更を完了していることが要求される位置に基づいて設定する。これにより、設定部33は、変更完了条件を、車線変更の実施のトリガとなった事象に応じて適切に設定することができる。
【0063】
設定部33は、設定した変更完了条件(すなわち、目標完了時間または目標完了位置)を判定部34及び制御部35へ通知する。
【0064】
判定部34は、運転計画に従って車両10を走行させたときに、変更完了条件が満たされるか否か判定する。すなわち、判定部34は、運転計画である走行予定軌跡に沿って車両10を走行させたときに、目標完了時間になるまでに、あるいは、目標完了位置に車両10が到達するまでに目標車線への車線変更が完了している場合、変更完了条件が満たされると判定する。具体的に、変更完了条件として目標完了時間が設定されている場合、判定部34は、走行予定軌跡に含まれる、目標車線への車線変更が完了する車両10の予定時刻と目標完了時間とを比較する。そして、目標車線への車線変更が完了する車両10の予定時刻が目標完了時間と同じか、目標完了時間よりも早ければ、判定部34は、変更完了条件が満たされると判定する。一方、目標車線への車線変更が完了する車両10の予定時刻が目標完了時間よりも遅ければ、判定部34は、変更完了条件が満たされないと判定する。また、変更完了条件として目標完了位置が設定されている場合、判定部34は、走行予定軌跡に含まれる、目標車線への車線変更が完了する車両10の予定位置と目標完了位置とを比較する。そして、目標車線への車線変更が完了する車両10の予定位置が、目標完了位置と同じか、目標完了位置よりも車両10の現在位置に近ければ、判定部34は、変更完了条件が満たされると判定する。一方、目標車線への車線変更が完了する車両10の予定位置が、目標完了位置よりも車両10の現在位置から遠ければ、判定部34は、変更完了条件が満たされないと判定する。
【0065】
図5は、変更完了条件が満たされない場合の車両10の走行状況の一例を示す図である。
図5に示される例では、車両10が走行中の道路500には二つの車線501、502が設けられており、このうち、車両10は右側の車線502を走行している。一方、左側の車線501には分岐路503が設けられている。そして車両10の目的地は、分岐路503の先に位置している。そのため、運転計画として、車線502から車線501へ車線変更する走行予定軌跡510が策定される。また、分岐路503へ進入可能な限界位置が目標完了位置511として設定される。この例では、車両10の左前方を他の車両520が走行しているため、走行予定軌跡510に沿って車線変更が完了する位置510aは、車両10の現在位置から見て目標完了位置511よりも先の位置となっている。そのため、車両10が目標完了位置511に到達するまでに車線変更が完了しないと想定される。したがって、変更完了条件は満たされないと判定される。
【0066】
図6は、変更完了条件が満たされる場合の車両10の走行状況の一例を示す図である。
図6に示される例でも、
図5に示される例と同様に、車両10が走行中の道路500には二つの車線501、502が設けられており、このうち、車両10は右側の車線502を走行している。一方、左側の車線501には分岐路503が設けられている。そして車両10の目的地は、分岐路503の先に位置している。そのため、運転計画として、車線502から車線501へ車線変更する走行予定軌跡530が策定される。また、分岐路503へ進入可能な限界位置が目標完了位置511として設定される。この例では、車両10の周囲において左側の車線501を走行する他の車両が存在しないため、走行予定軌跡530に沿って車線変更が完了する位置530aは、車両10の現在位置から見て目標完了位置511よりも手前側となっている。このように、車両10が目標完了位置511に到達するまでに車線変更が完了する予定となっている。したがって、変更完了条件は満たされると判定される。
【0067】
判定部34は、変更完了条件が満たされるか否かの判定結果を制御部35へ通知する。
【0068】
制御部35は、変更完了条件が満たされるか否かの判定結果を参照して、運転計画に従って車線変更を実施するか否か判定する。本実施形態では、変更完了条件が満たされる場合、制御部35は、運転計画に従って車線変更を実施するよう車両10を制御する。一方、変更完了条件が満たされない場合、制御部35は、車線変更の実施を制限する。
【0069】
制御部35は、車線変更を実施する場合、計画部32により運転計画として策定された、目標車線へ車線変更するための走行予定軌跡に沿って車両10が走行するように、車両10の各部を制御する。例えば、制御部35は、走行予定軌跡、及び、車速センサ(図示せず)により測定された車両10の現在の車速に従って、車両10の加速度を求め、その加速度となるようにアクセル開度またはブレーキ量を設定する。そして制御部35は、設定されたアクセル開度に従って燃料噴射量を求め、その燃料噴射量に応じた制御信号を車両10のエンジンの燃料噴射装置へ出力する。あるいは、制御部35は、設定されたアクセル開度に従ってモータへ供給される電力量を求め、その電力量がモータへ供給されるようにモータの駆動回路を制御する。さらに、制御部35は、設定されたブレーキ量に応じた制御信号を車両10のブレーキへ出力する。さらにまた、制御部35は、車両10が走行予定軌跡に沿って走行するために車両10の進路を変更する場合には、その走行予定軌跡に従って車両10の操舵角を求める。そして制御部35は、その操舵角に応じた制御信号を、車両10の操舵輪を制御するアクチュエータ(図示せず)へ出力する。また、制御部35は、車線変更を実施している間、ドライバに対して車両10の周囲を監視することを、車室内に設けられた通知機器(図示せず)を介してドライバに通知してもよい。
【0070】
また、制御部35は、車線変更の実施を制限する場合、例えば、車線変更の実施そのものを中止または延期する。そして制御部35は、車両10が自車線に沿った走行を継続するように車両10を制御する。あるいは、制御部35は、ドライバによる車線変更指示の受付を拒否するようにしてもよい。この場合には、制御部35は、車室内に設けられた通知機器(図示せず)を介して、車線変更を受け付けられないことをドライバに通知する。通知機器は、例えば、インスツルメンツパネル内またはその近傍に設けられる表示装置または光源とすることができる。この場合、制御部35は、車線変更を受け付けられないことを表すメッセージまたはアイコンを表示装置に表示させ、あるいは、そのメッセージに相当する光源を点灯または点滅させる。また、通知機器は、スピーカまたはステアリングあるいはドライバシートに設けられる振動機器であってもよい。この場合、制御部35は、車線変更を受け付けられないことを表す音声信号をスピーカに出力させ、あるいは、振動機器を振動させる。なお、通知機器は、上記の機器のうちの二つ以上を有していてもよい。この場合、制御部35は、二つ以上の機器のそれぞれまたは何れかを介して、車線変更を受け付けられないことをドライバに通知してもよい。
【0071】
また、制御部35は、車線変更の実施を制限する場合、車両10の制御主体を、ECU7からドライバへ移管してもよい。この場合、制御部35は、車室内に設けられた通知機器を介して、自動運転制御から手動運転制御に切り替わることを通知する。例えば、通知機器が表示装置または光源である場合、制御部35は、自動運転制御から手動運転制御に切り替わることを表すメッセージまたはアイコンを表示装置に表示させ、あるいは、そのメッセージに相当する光源を点灯または点滅させる。また、通知機器がスピーカまたは振動機器である場合、制御部35は、自動運転制御から手動運転制御に切り替わることを表す音声信号をスピーカに出力させ、あるいは、振動機器を振動させる。
【0072】
あるいはまた、制御部35は、車線変更の実施を制限する場合、ドライバによる運転への関与度合いを増加させてもよい。例えば、制御部35は、ドライバにステアリングを保持することを要求してもよい。その上で、制御部35は、目標完了時間までに車線変更が終了しない場合でも、運転計画に従って車線変更を実施してもよい。この場合も、制御部35は、制御主体をドライバに移管するときと同様に、車室内に設けられた通知機器を介して、ステアリングの保持を要求すること、あるいは、ドライバに車両10の周囲を監視することをドライバに通知すればよい。
【0073】
上述したように、車線変更の実施を制限する複数の手法があり、手法ごとに、実施の制限の程度が異なる。そこで、制御部35は、変更完了条件の原因となった事象によって、車線変更の実施の制限の程度を決定してもよい。また、制御部35は、変更完了条件の未達の度合いなどに応じて、適用される制限の程度を動的に選択してもよい 。
【0074】
例えば、現時点において変更完了条件が満たされていないものの、所定時間経過後に変更完了条件が満たされる可能性がある場合、制御部35は、車線変更の開始を延期するだけにしてもよい。例えば、変更完了条件が目標完了時間により規定される場合において、変更先の車線を走行する他の車両と車両10との車間距離が時間経過とともに広がっていることがある。このような場合には、ある程度時間が経過してからドライバが車線変更を再度指示することで、変更完了条件が満たされる可能性がある。そこで、変更完了条件が目標完了時間により規定されることが設定部33から通知されると、制御部35は、計画部32から、現時点における、変更先の車線を走行する他の車両と車両10間の相対的な位置関係及び他の車両と車両10間の相対速度を取得する。そして制御部35は、その相対的な位置関係及び相対速度に基づいて、時間経過とともに他の車両と車両10間の車間距離が広がるか否か判定すればよい。例えば、他の車両の方が車両10よりも速く、かつ、他の車両が車両10よりも前方に位置していれば、制御部35は、時間経過とともに、他の車両と車両10間の車間距離が広がると判定できる。この場合、ある程度時間が経過すると変更完了条件が満たされる可能性があるので、制御部35は、車線変更の実施そのものを取り止めず、車線変更の開始を延期する。
【0075】
一方、変更完了条件が目標完了位置により規定されるものである場合、時間経過とともに車両10の現在位置から目標完了位置までの距離が短くなるので、現時点で変更完了条件が満たされなければ、所定時間経過しても変更完了条件が満たされる可能性は無い。そこで、設定部33から通知された変更完了条件が目標完了位置により規定されるものであり、かつ、変更完了条件が満たされない場合、制御部35は、車線変更の実施を即時取り止める。あるいは、制御部35は、制御主体をドライバへ移管し、あるいは、ドライバによる運転への関与度合いを増加させてもよい。また、変更完了条件の達成の可能性が時間経過によって変化する場合には、制御部35は、一定時間が経過する度に、変更完了条件の達成の可能性について判定し、その判定結果に従って車線変更実施の制限の程度を変更してもよい。
【0076】
また、制御部35は、車線変更の目的または車両10の周囲の道路の構造に応じて、制限の程度を変更してもよい。例えば、車線変更の目的が車両10の目的地へ向かうためのものである場合、あるいは、車両10が走行中の道路の車線の減少または車線の合流によるものである場合、制御部35は、制御主体をドライバに移管する。一方、車線変更の目的が先行車両の追い抜きである場合、制御部35は、車線変更の開始を延期する。
【0077】
上記のように、変更完了条件の設定要因または変更完了条件の達成度合いを参照することで、制御部35は、車線変更の制限の程度を適切に決定することができる。
【0078】
図7は、プロセッサ23により実行される、車両制御処理の動作フローチャートである。プロセッサ23は、所定の周期ごとに、以下の動作フローチャートに従って車両制御処理を実行すればよい。
【0079】
プロセッサ23の検出部31は、カメラ2により生成された画像から車両10の周囲に存在する物体を検出する(ステップS101)。また、プロセッサ23の計画部32は、車両10が走行中の自車線から他の車線への車線変更の実施が要求されたときに、車線変更制御時における運転計画を策定する(ステップS102)。なお、車線変更の実施のトリガとなる要因は、車両10のドライバによる指示、車両10の走行状況、あるいは、車両10の周囲の道路の構造とすることができる。その際、計画部32は、車両10の周囲の物体と車両10とが衝突しない安全条件を満たすように運転計画を策定する。
【0080】
また、プロセッサ23の設定部33は、ドライバの指示からの経過時間、車両10が走行中の道路の構造または道路の状況に基づいて、目標車線への車線変更を完了していることが要求される位置または時間を表す変更完了条件を設定する(ステップS103)。そしてプロセッサ23の判定部34は、運転計画に従って車両10を走行させたときに、変更完了条件が満たされるか否か判定する(ステップS104)。
【0081】
変更完了条件が満たされると判定された場合(ステップS104-Yes)、プロセッサ23の制御部35は、運転計画に従って車線変更を実施するよう車両10を制御する(ステップS105)。一方、変更完了条件が満たされないと判定された場合(ステップS104-No)、制御部35は、車線変更の実施を制限する(ステップS106)。
【0082】
ステップS105またはステップS106の後、プロセッサ23は、車両制御処理を終了する。
【0083】
以上に説明してきたように、この車両制御装置は、車線変更を完了していることが要求される位置または時間を表す変更完了条件を設定する。その上で、この車両制御装置は、車線変更制御時における、車線変更が完了するまでの車両の走行挙動を表す運転計画に従って車両を走行させたときに、変更完了条件が満たされるか否か判定する。そしてこの車両制御装置は、変更完了条件が満たされる場合、車線変更制御時における運転計画に従って車線変更を実施するよう車両を制御し、一方、変更完了条件が満たされない場合、車線変更の実施を制限する。そのため、この車両制御装置は、車両が自動で車線変更を実施する際に、ドライバが車両の挙動に違和感を生じることを抑制することができる。さらに、この車両制御装置は、ドライバに無用な監視義務を課すことを抑制できるとともに、車線変更のためにドライバに制御を渡す場合でも、ドライバが余裕を持てるようにすることができる。
【0084】
変形例によれば、設定部33は、運転計画が、上記の安全条件よりも車両10の安全に対する要求度が高い高度安全条件を満たす場合における変更完了条件を、運転計画が高度安全条件を満たさない場合よりも緩和してもよい。例えば、高度安全条件は、変更先の車線を走行する他の車両が検出されないこと、あるいは、他の車両が既に減速を開始していて、変更先の車線において自車両と他の車両間の車間距離を通常よりも広く確保できることとすることができる。設定部33は、計画部32から取得した、車両10の周囲の他の車両の予測軌跡及び運転計画を参照して、高度安全条件が満たされるか否かを判定すればよい。また、変更完了条件を緩和する場合、設定部33は、例えば、目標完了時間までの時間を通常時よりも長くすればよい。あるいは、設定部33は、目標完了位置を通常時よりも車両10から遠い位置に設定すればよい。
【0085】
このように、高度安全条件が満たされる場合に変更完了条件を緩和することで、車両制御装置は、車両10がより安全に車線変更を実施できる場合に、車線変更の実施が制限され難くすることができる。
【0086】
また、上記の実施形態または変形例による、ECU7のプロセッサ23の機能を実現するコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気記録媒体または光記録媒体といった、コンピュータ読取可能な可搬性の記録媒体に記録された形で提供されてもよい。
【0087】
以上のように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0088】
1 車両制御システム
10 車両
2 カメラ
3 GPS受信機
4 ナビゲーション装置
5 無線通信器
6 ストレージ装置
7 電子制御装置(ECU)
21 通信インターフェース
22 メモリ
23 プロセッサ
31 検出部
32 計画部
33 設定部
34 判定部
35 制御部