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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】乗員保護装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/18 20060101AFI20240903BHJP
   B60R 21/231 20110101ALI20240903BHJP
   B60R 21/2338 20110101ALI20240903BHJP
【FI】
B60R21/18
B60R21/231
B60R21/2338
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021159385
(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公開番号】P2023049578
(43)【公開日】2023-04-10
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】松崎 雄士
(72)【発明者】
【氏名】安田 陽
(72)【発明者】
【氏名】野田 雄斗
(72)【発明者】
【氏名】田中 志幸
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-519040(JP,A)
【文献】特開2020-026254(JP,A)
【文献】特開2015-131524(JP,A)
【文献】特開2016-159867(JP,A)
【文献】特開2006-008105(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0178614(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/18
B60R 21/231
B60R 21/2338
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに着座した乗員を保護するための乗員保護装置であって、
可撓性を有したシート体から構成される袋状として、折り畳まれて収納されるエアバッグと、
折り畳まれた前記エアバッグを収納させて保持するとともに、前記シートに着座した乗員の腰部の前方に配置される保持体と、
前記エアバッグに膨張用ガスを供給可能なインフレーターと、
を備える構成とされて、
前記エアバッグが、内部に膨張用ガスを流入させて前記保持体から突出し、前記乗員の前方を覆うように膨張する構成とされるとともに、膨張完了時に前記乗員側に配置されて前記乗員の上半身を拘束可能とされる乗員側壁部を、備える構成とされ、
前記乗員側壁部が、膨張完了時の後面側に、前記乗員の腹部から胸部にかけてを拘束可能な下部側拘束面と、前記乗員の頭部若しくは肩部を拘束可能な上部側拘束面と、を配設させるとともに、前記上部側拘束面を前記下部側拘束面に対して前記乗員側に突出させるように、前記上部側拘束面と前記下部側拘束面との境界部位に、屈曲部を配設させて構成され
前記屈曲部を形成する屈曲部形成手段が、前記乗員側壁部の上下方向の中間部位において、前記乗員側壁部を上下方向側で離隔した部位でつまんで相互に結合させるようにして形成されるタック部から、構成され、
該タック部が、前記乗員側壁部を構成する乗員側パネルを平らに展開した状態で、左右方向に沿った長円状のタック形成予定部の部位に、形成されるもので、該タック形成予定部の配置部位を部分的につまんで上下方向側で二つ折りするようにして、前記タック形成予定部を結合させるようにして、構成され、
前記タック形成予定部が、左右方向側の幅寸法を、前記乗員側パネルを平らに展開した状態での左右方向側の幅寸法よりも小さく設定されていることを特徴とする乗員保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに着座した乗員を保護するための乗員保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗員保護装置としては、シートベルトにおいて装着時に乗員の腰部を拘束するラップベルトの領域に、折り畳まれたエアバッグを配置させ、エアバッグを、インフレーターからの膨張用ガスを内部に流入させて、乗員の前方を覆うように膨張させる構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。この従来の乗員保護装置では、エアバッグにおいて、乗員の胸部や腹部を保護する下側部位と、頭部を保護する上側部位と、を時間差を設けて膨張させる構成であり、まず、下側部位を膨張させ、その後、上側部位を膨張させる構成であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-51744公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の乗員保護装置では、インフレーターの作動時に、まず、膨張した下側部位によって、乗員の胸部を受け止める構成であることから、胸部が、エアバッグと直ちに接触することとなって、胸部に対する押圧を抑制して、乗員の上半身をソフトに保護する点に、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、乗員の上半身をソフトに拘束可能な乗員保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る乗員保護装置は、シートに着座した乗員を保護するための乗員保護装置であって、
可撓性を有したシート体から構成される袋状として、折り畳まれて収納されるエアバッグと、
折り畳まれたエアバッグを収納させて保持するとともに、シートに着座した乗員の腰部の前方に配置される保持体と、
エアバッグに膨張用ガスを供給可能なインフレーターと、
を備える構成とされて、
エアバッグが、内部に膨張用ガスを流入させて保持体から突出し、乗員の前方を覆うように膨張する構成とされるとともに、膨張完了時に乗員側に配置されて乗員の上半身を拘束可能とされる乗員側壁部を、備える構成とされ、
乗員側壁部が、膨張完了時の後面側に、乗員の腹部から胸部にかけてを拘束可能な下部側拘束面と、乗員の頭部若しくは肩部を拘束可能な上部側拘束面と、を配設させるとともに、上部側拘束面を下部側拘束面に対して乗員側に突出させるように、上部側拘束面と下部側拘束面との境界部位に、屈曲部を配設させて構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の乗員保護装置では、エアバッグは、膨張完了時に乗員側に配置される乗員側壁部の後面側に、乗員の腹部から胸部にかけてを拘束可能な下部側拘束面と、乗員の頭部若しくは肩部を拘束可能な上部側拘束面と、を配設させる構成とされ、膨張完了時に、乗員側壁部に配設される屈曲部により、上部側拘束面が、下部側拘束面に対して乗員側に突出するように、配置される構成である。すなわち、本発明の乗員保護装置では、膨張を完了させたエアバッグによって乗員を受け止める際に、エアバッグは、胸部や腹部に接触するより先に、乗員側に近接して配置される上部側拘束面を、乗員の頭部や肩部に接触させることとなり、膨張したエアバッグを、直ちに、胸部と接触させることを抑制することができる。そのため、本発明の乗員保護装置では、膨張したエアバッグにより胸部を押圧することを抑制できて、かつ、頭部を、近接して配置される上部側拘束面によって迅速に拘束することができる。
【0008】
したがって、本発明の乗員保護装置では、乗員の上半身をソフトに拘束することができる。
【0009】
本発明の乗員保護装置において、屈曲部を屈曲させる屈曲部形成手段としては、乗員側壁部自体に形成されるタック部や、エアバッグ内において前壁部と乗員側壁部とを連結させるように配置される内側テザー部や、乗員側壁部の後面側に配置される外側テザー部を、例示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態である乗員保護装置を搭載させたシートの斜視図である。
図2図1のシートの側面図である。
図3図1のシートの正面図であり、シートベルトが装着された状態を示す。
図4】実施形態の乗員保護装置において使用されるエアバッグを、単体で膨張させた状態を示す概略斜視図である。
図5図4のエアバッグの背面図である。
図6図4のエアバッグの概略縦断面図である。
図7図4のエアバッグにおいて、接続口部の部位を示す概略底面図である。
図8図4のエアバッグを構成する基材を並べた平面図である。
図9図4のエアバッグにおいて、タック部を形成する過程を説明する概略図である。
図10】実施形態の乗員保護装置において、エアバッグの膨張過程を説明する概略側面図である。
図11】実施形態の乗員保護装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態のシートの正面図である。
図12】実施形態の乗員保護装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態のシートの側面図である。
図13】実施形態の乗員保護装置において、膨張を完了させたエアバッグにより乗員を拘束する状態を示す側面図である。
図14】本発明の他の実施形態であるエアバッグを単体で膨張させた状態を示す概略縦断面図である。
図15図14のエアバッグにおけるバッグ本体を構成する基材と内側テザー部とを並べた平面図である。
図16】本発明のさらに他の実施形態であるエアバッグを単体で膨張させた状態を示す概略縦断面図である。
図17図16のエアバッグにおけるバッグ本体を構成する基材と外側テザー部とを並べた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態の乗員保護装置Sは、図1~3に示すように、車両のシート1に搭載されるもので、エアバッグ25を保持する保持体を構成するシートベルト7と、エアバッグ25と、エアバッグ25に膨張用ガスを供給するインフレーター17と、を備える構成とされている。シート1は、背もたれ部2と座部3とを備えている。なお、実施形態では、前後上下左右の方向は、特に断らない限り、シート1の前後上下左右の方向と一致している。
【0012】
シートベルト7は、実施形態の場合、シート1に搭載されるもので、シート1に着座した乗員MPを拘束するためのベルト本体8と、ベルト本体8に取り付けられるタングプレート12と、タングプレート12を連結させるためのバックル13と、を備える構成とされている。ベルト本体8は、背もたれ部2内に配置される図示しないリトラクタの巻取軸に一端を係止され、他端側を、シート1における座部3の後端3b左方に配置されるアンカ部材14(図1,2参照)に係止されている。詳細には、ベルト本体8は、背もたれ部2の上端左縁側から外部に露出されるように配置されるもので、実施形態の場合、乗員MPの非着座状態においては、図1,2に示すように、エアバッグ25を保持させている保持体としてのラップベルト10を、背もたれ部2の前面に露出させるように、構成されている。詳細には、ラップベルト10は、乗員MPの非着座状態において、図1に示すように、背もたれ部2の左縁2a側において、上下方向に略沿うようにして、背もたれ部2の前面に露出されている。ベルト本体8は、ラップベルト10と、背もたれ部2内に収納されるショルダーベルト9と、を有し、乗員着座時においてタングプレート12をバックル13に連結させた状態で、アンカ部材14とバックル13との間において左右方向に略沿うように配置されるラップベルト10によって乗員MPの下半身MD(腰部MW)を拘束し、背もたれ部2の上端左縁側から延びつつバックル13にかけて斜めに配置されるショルダーベルト9によって乗員MPの上半身MU(肩部MSから胸部MB)にかけて)を拘束する構成とされている(図3参照)。そして、実施形態の場合、乗員着座時に、シート1に着座した乗員MPの腰部MWの前方に配置されるラップベルト10と、後述するカバー22と、が、折り畳まれたエアバッグ25を収納させて保持する保持体を、構成している。シートベルト7において、背もたれ部2内に配置されている図示しないリトラクタは、プリテンショナー機構を有している。
【0013】
インフレーター17は、シート1に搭載されるもので、詳細には、実施形態の場合、シート1における座面3aよりも下方となる位置に、配設されている。具体的には、インフレーター17は、外形形状を略円柱状として、図2に示すように、シート1の背面側における座部3より下方となる位置において、軸方向を左右方向に略沿わせて配置されている。実施形態の場合、インフレーター17は、ラップベルト10とともに撓み可能な可撓性を有した連結チューブ19によって、エアバッグ25の後述する接続口部45と、連結されている。実施形態の場合、インフレーター17は、エアバッグ25の膨張に伴うシートベルト7のベルト本体8の引き出しを規制するために、作動開始を、シートベルト7のプリテンショナー機構よりも遅らせるように、設定されている。具体的には、インフレーター17は、シートベルト7のプリテンショナー機構の作動から5ms後に、作動するように、設定されている。
【0014】
エアバッグ25は、シートベルト7のラップベルト10を保持体として、ラップベルト10に保持されつつ、長尺状に折り畳まれて、周囲をカバー22に覆われるもので、具体的には、シートベルト7の装着時におけるラップベルト10の上面側に重ねられるようにして、周囲をカバー22に覆われて、ラップベルト10の領域に配置されている(図3参照)。換言すれば、実施形態では、エアバッグ25は、ラップベルト10とカバー22との間の隙間に、折り畳まれて収納される構成である。また、図1に示すような非装着状態においては、エアバッグ25は、背もたれ部2の前面に露出しているラップベルト10の背面側(背もたれ部2側)に、配置されている。カバー22は、可撓性を有したシート体から構成されて、エアバッグ25の展開膨張時に所定箇所を破断されてエアバッグ25における後述するバッグ本体26を突出可能に、構成されている。また、実施形態の乗員保護装置Sでは、エアバッグ25の接続口部45とインフレーター17を連結させる連結チューブ19も、周囲をカバー22に覆われた状態で、シートベルト7の装着時において、ラップベルト10(詳細には、ラップベルト10におけるアンカ部材14とエアバッグ25の配置領域との間の部位)の上面側に配置されることとなる(図3参照)。
【0015】
エアバッグ25は、図4~6に示すように、バッグ本体26と、インフレーター17から延びる連結チューブ19と接続される接続口部45と、バッグ本体26をラップベルト10に取り付けるための取付部47と、を備えている。
【0016】
バッグ本体26は、実施形態の場合、膨張完了時の外形形状を、図4,6に示すように、軸方向を左右方向に略沿わせるとともに、下端側にかけて前後で幅広とした略三角柱形状として、かつ、膨張完了時の上端26a側の部位を、乗員MP側となる後方に向けるように上下の中間部位で屈曲されるような形状とされている。詳細には、バッグ本体26は、膨張完了時に乗員MP側(後側)に配置される乗員側壁部32と、乗員側壁部32と前後方向側で対向して配置される前壁部27と、膨張完了時の下端側に配置される下壁部28と、膨張完了時に左右方向側で対向して配置される左壁部29,右壁部30と、を、有し、乗員側壁部32の上下の中間部位に屈曲部34を配置させて、膨張完了時の上端26a側を乗員MP側(後方)に突出させるように、左右の側方から見て上下の中間部位で屈曲するように、構成されている。左壁部29と右壁部30とには、内部に流入した余剰の膨張用ガスを排気可能なベントホール36が、形成されている。詳細には、ベントホール36は、左壁部29,右壁部30における上下の中央よりやや下方であって、前縁側となる位置に、形成されている。
【0017】
実施形態のバッグ本体26では、下壁部28の下面28aは、膨張完了時のバッグ本体26により乗員MPの上半身MUを受け止めた際に乗員MPの大腿部MTと当接して大腿部MTに支持される被支持面40を構成している。下壁部28は、バッグ本体26の膨張完了時には、大腿部MTに略沿うように配置されることとなる(図12参照)。
【0018】
バッグ本体26において、膨張完了時に乗員MP側に配置される乗員側壁部32の後面33は、膨張完了時に乗員MPの上半身MUを拘束可能な上半身拘束面41を、構成している(図5,6参照)。上半身拘束面41は、乗員MPの腹部MAから胸部MBにかけてを拘束可能な下部側拘束面41bと、乗員MPの頭部MH若しくは肩部MS(実施形態の場合、頭部MH)を拘束可能な上部側拘束面41aと、を備えている。また、乗員側壁部32は、バッグ本体26の膨張完了時に、上部側拘束面41aを下部側拘束面41bに対して乗員MP側(後側)に突出させるように、上部側拘束面41aと下部側拘束面41bとの境界部位に、屈曲部34を配設させている。屈曲部34は、実施形態の場合、乗員側壁部32を上下方向側で離隔した部位でつまんで相互に結合させるようにして形成されるタック部35を屈曲部形成手段BMとして、このタック部35の部位から、構成されている。すなわち、乗員側壁部32は、バッグ本体26の膨張完了時に、上下の中間部位に形成されるタック部35を起点として、タック部35の上側の領域から構成される上側部位32aを、タック部35の下側の領域から構成される下側部位32bに対して屈曲させる構成とされている(図6参照)。
【0019】
タック部35は、具体的には、乗員側壁部32を構成する後述する乗員側パネル51の上側部位52を平らに展開した状態において、左右方向に略沿った略長円状のタック形成予定部52dの部位(図8参照)に形成されるもので、図9に示すように、上側部位52(すなわち、タック形成予定部52dの配置位置)を部分的につまんで上下方向側で二つ折りするようにして、タック形成予定部52dを縫着(結合)させて上側部位52(乗員側壁部32)を相互に結合させることにより形成されている。実施形態の場合、タック部35は、乗員側壁部32の前方(バッグ本体26の内側)に突出するように、構成されている(図6参照)。タック部35は、乗員側パネル51における上側部位52の上下の中央よりもやや下方となる位置に、形成されており、詳細には、膨張完了時のバッグ本体26において、乗員MPの胸部MBの前方となる位置に、配置されることとなる(図12参照)。また、実施形態の場合、タック部35(タック形成予定部52d)は、左右方向側の幅寸法L1を、乗員側壁部32(乗員側パネル51における上側部位52)を平らに展開した状態での左右方向側の幅寸法L2の1/2程度に、設定されて(図8参照)、膨張完了時に、左右方向に略沿って連続的に、左右に幅広く形成されている(図5,11参照)。
【0020】
実施形態のバッグ本体26では、単体で膨張させた状態における前後方向に略沿った縦断面において、上部側拘束面41a(乗員側壁部32における上側部位32a)と下部側拘束面41b(乗員側壁部32における下側部位32b)との接線相互の交差角度αは、140°程度に、設定されている(図6参照)。また、バッグ本体26を単体で膨張させた状態での下壁部28(被支持面40)と下側部位32b(下部側拘束面41b)との接線相互の交差角度βは、120°程度に、設定されている(図6参照)。このバッグ本体26は、シートベルト7に保持されて、シート1に着座した乗員MPをシートベルト7によって拘束している状態の膨張完了時においては、乗員側壁部32を下壁部28に接近させるようにして(交差角度を小さくされるようにして)、配置されることとなる(図12参照)。
【0021】
実施形態では、バッグ本体26は、膨張完了時の下端側の前後方向側の幅寸法を、下壁部28の前端(バッグ本体26における前下端26b)を乗員MPの膝Kよりもわずかに後方に位置させるような寸法に設定され、膨張完了時の後端側の上下方向側の幅寸法を、上端26a(乗員側壁部32の上端)を、乗員MPの頭部MHの前方に位置させるような寸法に、設定されている(図12参照)。そして、実施形態のエアバッグ25では、バッグ本体26において、膨張完了時に、乗員MP側となる後方に突出して配置される上端26a側の領域が、乗員MPの頭部MHを保護可能な頭部保護部43を構成している。また、バッグ本体26は、膨張完了時の左右方向側の幅寸法を、シート1の背もたれ部2より小さく、かつ、乗員MPの上半身MUを安定して保護可能に、上半身MUと略同等として、構成されている(図11参照)。
【0022】
また、実施形態のバッグ本体26は、膨張完了時における後下端26c側の部位(下壁部28の後端側の部位)に、接続口部45を配設させる構成とされており、この接続口部45に覆われる領域に、接続口部45と連通される開口部38を、配設させている(図6,7参照)。開口部38は、実施形態の場合、略円形に開口して左右方向側で2つ並設されている。接続口部45は、図6,7に示すように、バッグ本体26の後下端26c側の下方において、開口部38を覆うように配置されるとともに、インフレーター17から延びる連結チューブ19を接続させる左端側(先端側)のみを開口させた略筒状とされている。詳細には、実施形態の場合、接続口部45は、連結チューブ19と接続される先端側部位45bを、開口部38を覆っている元部側部位45aよりも狭幅とされており、この先端側部位45bを、連結チューブ19と、クランプ20を用いて連結されている(図7参照)。
【0023】
バッグ本体26をラップベルト10に取り付ける取付部47は、接続口部45における元部側部位45aの下面側に配設されるもので、ラップベルト10に略沿うように左右方向に略沿って配設される筒状として、接続口部45における元部側部位45aの下面側に縫着されて、ラップベルト10を挿通可能に構成されている(図5,6参照)。この取付部47にラップベルト10を挿通させることにより、エアバッグ25は、ラップベルト10に連結されて、ラップベルト10に保持される構成である。なお、図7では、取付部47は省略されている。
【0024】
実施形態のエアバッグ25は、所定形状の基布の周縁相互を結合させて形成されるもので、実施形態の場合、図8に示すように、バッグ本体26を構成する本体用パネル50と、接続口部45を構成する接続口部用パネル60と、取付部47を構成する取付部用パネル66と、から構成されている。これらの本体用パネル50,接続口部用パネル60,取付部用パネル66は、それぞれ、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布から形成されている。
【0025】
本体用パネル50は、乗員側パネル51と前側パネル55とを備えている。乗員側パネル51は、膨張完了時に乗員MP側に配置されて、主に乗員側壁部32から下壁部28にかけての部位を、構成している。具体的には、乗員側パネル51は、主に乗員側壁部32を構成する上側部位52と、主に下壁部28を構成する下側部位53と、を備えており、上側部位52と下側部位53とをバッグ本体26の後下端26c側を構成する部位で連結させたような外形形状とされている。上側部位52は、乗員側壁部32と、左壁部29,右壁部30における後側の領域と、を構成している。下側部位53は、下壁部28と、左壁部29,右壁部30における下側の領域と、を構成している。前側パネル55は、膨張完了時のバッグ本体26において主に前壁部27の部位(具体的には、前壁部27と、左壁部29,右壁部30における前側の領域)を構成するもので、平らに展開した状態での外形形状を、乗員側パネル51において上側部位52と下側部位53とを連結させている連結部位51aの左右に配置される下左縁52a,後左縁53a相互,下右縁52b,後右縁53b相互を、それぞれ結合させた残りの縁部(上縁52c,前縁53c)相互を離隔させるように開いた状態の下側部位53及び上側部位52と、略一致させるように、構成されている。前側パネル55と乗員側パネル51とは、それぞれ、左右対称形とされている。そして、実施形態のバッグ本体26は、前側パネル55の外周縁55aと、上述したごとく下左縁52a,後左縁53a相互,下右縁52b,後右縁53b相互をそれぞれ結合させた状態の乗員側パネル51における上縁52c,前縁53cと、を結合させることにより、袋状とされている。
【0026】
接続口部45を構成する接続口部用パネル60は、図8に示すように、上側(下壁部28側)に配置される上側パネル61と、上側パネル61と上下で対向して下側に配置される下側パネル62と、を備えている。上側パネル61は、図7に示すように、開口部38の左方に配置されて接続口部45における先端側部位45b近傍の領域の上側の部位を、構成している。下側パネル62は、開口部38の下方を覆うとともに接続口部45の元部側部位45aを構成する元部側部位構成部63と、先端側部位45bを構成する先端側部位構成部64と、を備えている。そして、接続口部45は、右縁61aを下壁部28側に結合させた状態の上側パネル61の残りの前縁61b,後縁61cを、元部側部位構成部63の外周縁63aを下壁部28に結合された状態の下側パネル62の先端側部位構成部64の前縁64a,後縁64bに結合させることにより、先端側を開口させた筒状に、構成されている。取付部47を構成する取付部用パネル66は、図8に示すように、外形形状を略長方形状とされて、二つ折りされて、短手方向側の縁部相互を結合させることにより、取付部47を構成することとなる。
【0027】
実施形態の乗員保護装置Sでは、車両に搭載されたシート1にシートベルト7を装着しつつ乗員MPが着座した状態で、インフレーター17が作動すれば、インフレーター17から吐出される膨張用ガスが、連結チューブ19を経て、接続口部45からバッグ本体26内に流入することとなり、エアバッグ25におけるバッグ本体26が、カバー22を破断させるようにして、ラップベルト10から前上方に突出しつつ、図3の二点鎖線及び図11,12に示すように、膨張を完了させることとなる。
【0028】
そして、実施形態の乗員保護装置Sでは、エアバッグ25は、膨張完了時に乗員MP側に配置される乗員側壁部32の後面33側に、乗員MPの腹部MAから胸部MBにかけてを拘束可能な下部側拘束面41bと、乗員MPの頭部MH若しくは肩部MS(実施形態の場合、頭部MH)を拘束可能な上部側拘束面41aと、を配設させる構成とされ、膨張完了時に、乗員側壁部32に配設される屈曲部34により、上部側拘束面41aが、下部側拘束面41bに対して乗員MP側(後方)に突出するように、配置される構成である。すなわち、実施形態の乗員保護装置Sでは、膨張を完了させたエアバッグ25によって乗員MPを受け止める際に、エアバッグ25は、胸部MBや腹部MAに接触するより先に、乗員MP側に近接して配置される上部側拘束面41aを、乗員MPの頭部MHや肩部MS(実施形態の場合、頭部MH)に接触させることとなり、膨張したエアバッグ25を、直ちに、胸部MBと接触させることを抑制することができる。そのため、前シートベルト7による拘束状態を維持されつつ前進移動する乗員MPは、膨張を完了させたエアバッグ25における上部側拘束面41aに頭部MHや肩部MSを接触させることにより、運動エネルギーを低減された状態で、下部側拘束面41bによって胸部MBや腹部MAを拘束されることとなり、膨張したエアバッグ25によって、乗員MPを適切に保護することができる。その結果、実施形態の乗員保護装置Sでは、膨張したエアバッグ25により胸部MBを押圧することを抑制できて、かつ、頭部MHを、近接して配置される上部側拘束面41aによって迅速に拘束することができる。
【0029】
したがって、実施形態の乗員保護装置Sでは、乗員MPの上半身MUをソフトに拘束することができる。
【0030】
また、実施形態の乗員保護装置Sでは、エアバッグ25におけるバッグ本体26の膨張完了時の下端側に、乗員MPの大腿部MTと当接して大腿部MTに支持される被支持面40を配設させていることから、上部側拘束面41aと下部側拘束面41bとを備える上半身拘束面41による上半身MUの拘束時に、バッグ本体26が、下面側を、被支持面40により、広い面積で左右の大腿部MTに支持されることとなる(図11,12参照)。そのため、乗員MPが、上半身拘束面41によって上半身MUを拘束されつつ、上半身MUをさらに下半身MDに近づけるように移動することとなっても(図13参照)、倒れや圧縮等を抑制されたバッグ本体26によって、乗員MPの上半身MUを一層的確に拘束することができる。
【0031】
特に、実施形態の乗員保護装置Sでは、エアバッグ25におけるバッグ本体26が、図6に示すように、単体で膨張させた状態において、下部側拘束面41b(乗員側壁部32における下側部位32b)を、下壁部28(被支持面40)に対して、大きな交差角度(鈍角)で交差させるような構成とされている。実施形態の乗員保護装置Sにおいて、バッグ本体26の膨張初期の挙動を詳細に説明すれば、バッグ本体26は、内部に膨張用ガスを流入させて、折りを解消しつつラップベルト10から前上方に突出しつつ展開する際に、上下に広く展開することとなるが、このとき、乗員側壁部32が下壁部28に対して、大きな交差角度で交差していることから、乗員側壁部32を、迅速に乗員MPの上半身MUに向かうように展開させることができる。詳細には、下壁部28は、バッグ本体26の前上方への突出に伴って、一旦前下がりで傾斜することとなるが、乗員側壁部32が下壁部28に対して大きな交差角度で交差していることから、乗員側壁部32の上端側(バッグ本体26の上端26a側、すなわち、頭部保護部43を、迅速に乗員MPの頭部MHの前方に近接して配置させることができる(図10参照)。そして、このとき、実施形態の乗員保護装置Sでは、乗員側壁部32に屈曲部34を設けて、屈曲部34の下側に位置する下部側拘束面41b(下側部位32b)を、屈曲部34の上側に位置する上部側拘束面41a(上側部位32a)よりも後方へ突出させないような構成としていることから、このように膨張するバッグ本体26の乗員側壁部32(下部側拘束面41b)が、乗員MPの胸部MBと接触することを、的確に規制できる。また、実施形態の乗員保護装置Sでは、迅速に展開する乗員側壁部32の上端側の部位(上部側拘束面41a,頭部保護部43)によって、乗員MPの頭部MHを迅速に拘束することができる。
【0032】
また、実施形態の乗員保護装置Sでは、乗員側壁部32に配設される屈曲部34は、乗員側壁部32の上下方向の中間部位において、乗員側壁部32を上下方向側で離隔した部位でつまんで相互に結合させるようにして形成されるタック部35から、構成されている。すなわち、実施形態の乗員保護装置Sでは、タック部35自体を屈曲部34として、乗員側壁部32は、タック部35を起点として屈曲されることとなる。そのため、エアバッグ25の膨張完了時における乗員側壁部32の屈曲位置と屈曲状態を安定させることができる。また、実施形態の乗員保護装置Sでは、屈曲部34は、エアバッグ25の膨張完了時に、乗員MPの胸部MBの前方に配置される構成であることから、膨張したエアバッグ25が乗員MPの胸部MBと接触することを極力遅らせることができる。
【0033】
エアバッグ25Aとしては、図14に示す構成のものを使用してもよい。エアバッグ25Aは、乗員側壁部32Aに設けられる屈曲部34Aを、タック部ではなく、バッグ本体26A内に配置される屈曲部形成手段BMとしての内側テザー部70によって形成している以外は、上述のエアバッグ25と同一の構成であり、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「A」を付して、詳細な説明を省略する。また、このバッグ本体26Aを構成する本体用パネル50A(前側パネル55A及び乗員側パネル51A)も、図15に示すように、前述のバッグ本体26を構成する本体用パネル50(前側パネル55及び乗員側パネル51)と、外形形状を同一とされている。
【0034】
屈曲部形成手段BMとしての内側テザー部70は、バッグ本体26A内において、前壁部27Aと乗員側壁部32Aとを連結するように、配置されている。内側テザー部70は、可撓性を有したシート体(具体的には、バッグ本体26Aを構成する基材と同様のポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布)から形成される帯状体とされるもので、一方の端部70a側を、前壁部27Aに結合され、他方の端部70b側を乗員側壁部32Aに結合されるようにして、バッグ本体26A内に、配置されている。内側テザー部70の端部70bを乗員側壁部32Aに結合させる乗員側結合部位72(乗員側パネル51Aの上側部位52Aにおける結合予定部52e)は、前述のバッグ本体26におけるタック部35(タック形成予定部52d)の形成位置と略同一となる位置に、形成されている(図8,15参照)。また、内側テザー部70は、幅寸法を、タック部35の長さ寸法と略同等に、設定されている(図8,15参照)。内側テザー部70の端部70aを前壁部27Aに結合させる前側結合部位71(前側パネル55Aにおける結合予定部55b)は、バッグ本体26Aを膨張させた状態で、乗員側結合部位72の略直上となる位置に、配置されるもので(図14参照)、前側パネル55Aを平らに展開した状態では、平らに展開した状態の上側部位52Aに形成される結合予定部52eよりも上側となる位置に、形成されている。また、実施形態では、内側テザー部70の長さ寸法(各端部70a,70bに形成される前側結合部位71,乗員側結合部位72間の離隔距離D1)は、乗員側パネル51A及び前側パネル55Aを平らに展開した状態で、かつ、上縁の位置を一致させた状態で、上側部位52Aに形成される結合予定部52eと、前側パネル55Aに形成される結合予定部55bと、の離隔距離D2と略同一に、設定されている(図15参照)。
【0035】
このバッグ本体26Aでは、膨張完了時に、乗員側壁部32Aは、内側テザー部70を乗員側壁部32Aに結合させている乗員側結合部位72の部位を起点として屈曲されることとなり、乗員側結合部位72の部位が、屈曲部34Aを構成することとなる。そして、このような構成のバッグ本体26A(エアバッグ25A)においても、膨張完了時に、乗員側壁部32Aに配設される屈曲部34Aにより、後面33A側に配設される上部側拘束面41aが、下部側拘束面41bに対して乗員側(後方側)に突出するように、配置されることとなる。
【0036】
また、エアバッグ25Bとしては、図16に示す構成のものを使用してもよい。エアバッグ25Bは、乗員側壁部32Bに設けられる屈曲部34Bを、タック部ではなく、乗員側壁部32Bの後面33B側に配置される屈曲部形成手段BMとしての外側テザー部75によって形成している以外は、上述のエアバッグ25と同一の構成であり、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「B」を付して、詳細な説明を省略する。また、このバッグ本体26Bを構成する本体用パネル50B(前側パネル55B及び乗員側パネル51B)も、図17に示すように、前述のバッグ本体26を構成する本体用パネル50(前側パネル55及び乗員側パネル51)と、外形形状を同一とされている。
【0037】
屈曲部形成手段としての外側テザー部75は、乗員側壁部32Bの後面33B側(バッグ本体26B外)において、上端75a側と下端75b側とを、それぞれ、乗員側壁部32Bに結合させるようにして、配設されている。この外側テザー部75も、前述の内側テザー部70と同様に、可撓性を有したシート体(バッグ本体26Bを構成する基材と同様のポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布)から形成される帯状体とされている。また、この外側テザー部75は、幅寸法を、前述の内側テザー部70の幅寸法と略同一に、設定されている(図15,17参照)。外側テザー部75の下端75b側を乗員側壁部32Bに結合させる下側結合部位77(乗員側パネル51Bにおける下側結合予定部51b)は、乗員側壁部32Bの下端側であって、乗員側壁部32Bと下壁部28Bとの境界部位付近(平らに展開した状態の乗員側パネル51Bにおける上側部位52Bと下側部位53Bとを連結している連結部位51a(境界部位)付近)に、形成されている。外側テザー部75の上端75a側を乗員側壁部32Bに結合させる上側結合部位76(乗員側パネル51Bの上側部位52Bにおける上側結合予定部52f)は、バッグ本体26Bを膨張させた状態で、下側結合部位77よりも後上方となる位置に、配置されるもので(図16参照)、乗員側パネル51Bを平らに展開した状態では、平らに展開した状態の上側部位52Bの上下の中央よりやや上方となる位置に、形成されている。外側テザー部75の長さ寸法(上側結合部位76と下側結合部位77との離隔距離D3)は、平らに展開した状態の乗員側パネル51Bにおける上側結合予定部52fと下側結合予定部51bとの離隔距離D4より小さく設定され、具体的には、D4の3/4程度に、設定されている(図17参照)。
【0038】
このバッグ本体26Bでは、膨張完了時に、乗員側壁部32Bは、上側結合部位76と下側結合部位77との間の略中央となる位置で、屈曲されることとなり、実施形態の場合、前述のエアバッグ25,25Aにおける屈曲部34,34Aと略同等の位置に、屈曲部34Bを配設させるようにして、屈曲されることとなる。そして、このような構成のバッグ本体26B(エアバッグ25B)においても、膨張完了時に、乗員側壁部32Bに配設される屈曲部34Bにより、後面33B側に配設される上部側拘束面41aが、下部側拘束面41bに対して乗員側(後方側)に突出するように、配置されることとなる。
【0039】
なお、実施形態の乗員保護装置Sでは、エアバッグ25を保持させる保持体として、シートベルト7のラップベルト10を利用しているが、エアバッグを保持させる保持体は、ラップベルトに限定されるものではなく、例えば、シートベルトとは別体の保持体を設け、この保持体に、エアバッグを保持させる構成としてもよい。実施形態の乗員保護装置Sでは、シートベルト7のラップベルト10にエアバッグ25を保持させる構成であるものの、インフレーター17が、シートベルト7のプリテンショナー機構の作動よりも遅れて(5ms程度)作動することから、シートベルト7により乗員MPのシート1に対する着座状態を、安定して維持させた状態で、エアバッグ25を膨張させることができ、エアバッグ25とシートベルト7とにより、乗員MPを安定して保護することができる。
【0040】
また、実施形態の乗員保護装置Sでは、シートベルト7とインフレーター17とが、シート1に搭載される構成とされている。そのため、シート1を前後で大きくスライドさせたり回転させたりして、車両に対して移動させた状態で使用する場合にも、シート1に着座した乗員MPを、エアバッグ25によって的確に保護することができる。もちろん、本発明の乗員保護装置は、このような構成のシートに限定されるものではなく、リトラクタを車体側に設けたシートベルトにより乗員を拘束するタイプのシートに搭載することもできる。また、インフレーターも、車両のボディ側に取り付ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…シート、7…シートベルト、10…ラップベルト(保持体)、17…インフレーター、25,25A,25B…エアバッグ、27,27A…前壁部、32,32A,32B…乗員側壁部、33,33A,33B…後面、34,34A,34B…屈曲部、35…タック部、41,41A,41B…上半身拘束面、41a…上部側拘束面、41b…下部側拘束面、70…内側テザー部、75…外側テザー部、BM…屈曲部形成手段、MP…乗員、MU…上半身、MA…腹部、MB…胸部、MH…頭部、MS…肩部、S…乗員保護装置。
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