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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】積層セラミックコンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
H01G4/30 201K
H01G4/30 201F
H01G4/30 512
H01G4/30 513
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021188967
(22)【出願日】2021-11-19
(65)【公開番号】P2023075821
(43)【公開日】2023-05-31
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】幸川 進一
(72)【発明者】
【氏名】前埜 聡
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-190952(JP,A)
【文献】特開2016-157904(JP,A)
【文献】特開平09-069401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に交互に積層される複数の誘電体セラミック層及び複数の内部電極層を含むとともに、前記積層方向において相対する第1の主面及び第2の主面と、前記積層方向に直交する幅方向において相対する第1の側面及び第2の側面と、前記積層方向及び前記幅方向に直交する長さ方向において相対する第1の端面及び第2の端面と、を有する略直方体形状の積層体と、
前記積層体の前記長さ方向の両端部に、少なくとも前記第1の端面及び前記第2の端面のそれぞれを覆うように配置され、前記内部電極層に接続される一対の外部電極と、を備え、
略長方形状である前記第1の主面側及び前記第2の主面側のうちの少なくとも一方の主面側の表面における4つの隅部のそれぞれに、第1の凸部が形成され、
前記複数の内部電極層は、前記積層方向に互いに隣り合う第1の内部電極層及び第2の内部電極層を含み、
前記第1の内部電極層及び前記第2の内部電極層のそれぞれは、前記誘電体セラミック層を介して前記積層方向に互いに対向する対向部を有し、
前記第1の内部電極層は、前記対向部の前記第1の端面側の端部から前記第1の端面に引き出される第1の引き出し部を有し、
前記第2の内部電極層は、前記対向部の前記第2の端面側の端部から前記第2の端面に引き出される第2の引き出し部を有し、
前記外部電極は、前記第1の端面側に配置されて前記第1の引き出し部と接続される第1の外部電極と、前記第2の端面側に配置されて前記第2の引き出し部と接続される第2の外部電極と、を含み、
前記誘電体セラミック層は、前記第1の内部電極層と前記第2の内部電極層との間に配置された複数の第1の誘電体セラミック層と、前記内部電極層を介して対向する前記第1の誘電体セラミック層間の前記内部電極層が配置されていない領域に配置され、前記第1の誘電体セラミック層と前記積層方向において重畳するように配置された第2の誘電体セラミック層と、前記積層体の前記第1の側面及び前記第2の側面のそれぞれに配置される第3の誘電体セラミック層と、を含み、
前記積層体は、前記第1の内部電極層及び前記第2の内部電極層が前記誘電体セラミック層を介して交互に積層される内層部と、前記内層部を前記積層方向で挟むように配置されたセラミック材料で構成される一対の外層部と、を有し、
前記内部電極層は、前記幅方向両端部において前記長さ方向に延びる一対の第1の縁部と、前記対向部の前記長さ方向両端部において前記幅方向に延びる一対の第2の縁部と、を含み、
前記誘電体セラミック層は、前記積層方向に互いに対向する一対の前記第1の縁部の間の第1の周囲部と、前記積層方向に互いに対向する一対の前記第2の縁部の間の第2の周囲部と、前記第1の周囲部と前記第2の周囲部とにより囲まれる中央領域と、を有し、前記第1の周囲部及び前記第2の周囲部は、前記中央領域の厚みよりも厚く、
前記誘電体セラミック層は、前記第1の周囲部と前記第2の周囲部とが交差する交差部を含み、
前記交差部における前記誘電体セラミック層の厚みは、前記第1の周囲部及び前記第2の周囲部の厚みよりも厚く、
前記第1の主面及び前記第2の主面のうちの少なくとも一方の主面における前記交差部の積層方向に対応する部分に、第2の凸部が形成されている、積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記積層体は、前記第1の主面及び前記第2の主面における前記長さ方向の両端部のそれぞれに、前記積層方向に盛り上がり、かつ前記幅方向に延びる盛り上がり部を有し、
前記外部電極は、前記盛り上がり部を覆っている、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、誘電体セラミック層と内部電極層とが積層方向に交互に積層されることにより多層化された積層体と、この積層体の長さ方向両端部に配置されて内部電極層に接続された一対の外部電極とを備えた略直方体形状の積層セラミックコンデンサが知られている。特許文献1には、内部電極層の積層構造に起因して、全ての内部電極層が積層されている中央部よりも外周部の積層方向の厚みが薄くなっている積層セラミックコンデンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-9463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されるような積層セラミックコンデンサでは、基板に実装する際に基板に載置した姿勢が不安定になりやすい。このため、はんだ付け等の実装の作業を行いにくい事態が生じることが懸念される。
【0005】
そこで本発明は、実装時に安定した姿勢を保持することができる積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る積層セラミックコンデンサは、積層方向に交互に積層される複数の誘電体セラミック層及び複数の内部電極層を含むとともに、前記積層方向において相対する第1の主面及び第2の主面と、前記積層方向に直交する幅方向において相対する第1の側面及び第2の側面と、前記積層方向及び前記幅方向に直交する長さ方向において相対する第1の端面及び第2の端面と、を有する略直方体形状の積層体と、前記積層体の前記長さ方向の両端部に、少なくとも前記第1の端面及び前記第2の端面のそれぞれを覆うように配置され、前記内部電極層に接続される一対の外部電極と、を備え、略長方形状である前記第1の主面側及び前記第2の主面側のうちの少なくとも一方の主面側の表面における4つの隅部のそれぞれに、第1の凸部が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、実装時に安定した姿勢を保持することができる積層セラミックコンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサの外観斜視図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3図1のIII-III断面図である。
図4図2のIV-IV断面図である。
図5】第1実施形態に係る第1の凸部が形成され得る製造方法の第1段階を概略的に示す図であって、上側は平面図、下側は上側の平面図のA-A断面図である。
図6】上記製造方法の第2段階を概略的に示す図であって、上側は平面図、下側は上側の平面図のB-B断面図である。
図7】上記製造方法の第3段階を概略的に示す図であって、上側は平面図、下側は上側の平面図のC-C断面図である。
図8】上記製造方法の第4段階を概略的に示す図であって、上側は平面図、下側は上側の平面図のD-D断面図である。
図9】上記製造方法の第5段階を示す断面図である。
図10】上記製造方法で得られた第1実施形態に係る積層体モデルであって、上側は平面図、下側は上側の平面図のE-E断面図である。
図11】第2実施形態に係る積層セラミックコンデンサの外観斜視図である。
図12図11のXII-XII断面図である。
図13図11のXIII-XIII断面図である。
図14図12のXIV-XIV断面図である。
図15】第2実施形態に係る第2の凸部が形成され得る製造方法の第1段階を概略的に示す図であって、上側は平面図、下側は上側の平面図のF-F断面図である。
図16】上記製造方法の第2段階を概略的に示す図であって、上側は平面図、下側は上側の平面図のG-G断面図、H-H断面図である。
図17】上記製造方法の第3段階を概略的に示す図であって、上側は平面図、下側は上側の平面図のI-I断面図である。
図18】上記製造方法の第4段階を概略的に示す図であって、上側は平面図、下側は上側の平面図のJ-J断面図である。
図19】上記製造方法の第5段階を示す断面図である。
図20】上記製造方法で得られた第2実施形態に係る積層体モデルであって、上側は平面図である。
図21】第1実施形態の変形例に係る積層体モデルの側断面図である。
図22図21のXXII-XXII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10の概略斜視図である。図2は、図1に示すII-II線に沿った断面図である。図3は、図1に示すIII-III線に沿った断面図である。図4は、図2に示すIV-IV線に沿った断面図である。
【0010】
図1に示すように、第1実施形態の積層セラミックコンデンサ10は、全体として略直方体形状を有している。この積層セラミックコンデンサ10は、略直方体形状を有する積層体11と、一対の外部電極20と、を備えている。
【0011】
図1図3において、矢印Tは、積層セラミックコンデンサ10及び積層体11の積層方向を示している。図1図2及び図4において、矢印Lは、積層セラミックコンデンサ10及び積層体11の、積層方向Tに直交する長さ方向を示している。図1図3及び図4において、矢印Wは、積層セラミックコンデンサ10及び積層体11の、積層方向T及び長さ方向Lに直交する幅方向を示している。
図2は、LT断面を示している。図3は、WT断面を示し、図4は、LW断面を示している。
【0012】
積層体11は、積層方向Tにおいて相対する第1の主面12a及び第2の主面12bと、幅方向Wにおいて相対する第1の側面13a及び第2の側面13bと、長さ方向Lにおいて相対する第1の端面14a及び第2の端面14bと、を有する。
【0013】
図2図4に示すように、積層体11は、積層方向Tに積層された複数の内部電極層15及び複数の誘電体セラミック層16を備えている。
【0014】
複数の内部電極層15は、積層方向Tに互いに隣り合う第1の内部電極層15A1及び第2の内部電極層15A2を含む。第1の内部電極層15A1及び第2の内部電極層15A2は、ほぼ同じ寸法の矩形形状を有する。第1の内部電極層15A1及び第2の内部電極層15A2のそれぞれは、誘電体セラミック層16を介して積層方向Tに互いに隣接する矩形状の対向部15bを有する。
【0015】
第1の内部電極層15A1は、対向部15bにおける第1の端面14a側の端部から第1の端面14aに引き出される第1の引き出し部15c1を有する。第1の引き出し部15c1の先端は、第1の端面14aに露出している。第2の内部電極層15A2は、対向部15bの第2の端面14b側の端部から第2の端面14bに引き出される第2の引き出し部15c2を有する。第2の引き出し部15c2の先端は、第2の端面14bに露出している。
なお、第1の内部電極層15A1及び第2の内部電極層15A2の基本構造は同じなため、特に区別する必要のない場合は両者をまとめて内部電極層15という場合がある。
【0016】
図4に示すように、内部電極層15は、幅方向W両端部において長さ方向Lに延びる一対の第1の縁部15d1と、対向部15bの長さ方向L両端部において幅方向Wに延びる一対の第2の縁部15d2と、を含む。
【0017】
内部電極層15は、Ni、Cu、Ag、Pd、AgとPdの合金、及びAu等の金属を含有する導電薄膜である。内部電極層15は、これらの金属材料に限られず、他の導電材料で形成されてもよい。内部電極層15は、さらに、誘電体セラミック層16に含まれるセラミックと同一組成系の誘電体粒子を含んでいてもよい。
【0018】
誘電体セラミック層16は、複数の第1の誘電体セラミック層16Aと、複数の第2の誘電体セラミック層16Bと、一対の第3の誘電体セラミック層16Cと、を含む。
複数の第1の誘電体セラミック層16Aのそれぞれは、積層方向Tにおいて第1の内部電極層15A1と第2の内部電極層15A2との間に配置されている。複数の第2の誘電体セラミック層16Bのそれぞれは、内部電極層15を介して対向する第1の誘電体セラミック層16A間において内部電極層15が配置されない領域を埋めるようにして配置されている。複数の第2の誘電体セラミック層16Bのそれぞれは、積層方向Tの両側の各第1の誘電体セラミック層16Aと積層方向Tにおいて重畳している。一対の第3の誘電体セラミック層16Cは、後述する内層部11A及び主面側の外層部11Bを幅方向Wに挟むように配置され、側面側の外層部を構成しており、それぞれの表面が第1の側面13a及び第2の側面13bを形成している。
なお、第1の誘電体セラミック層16A、第2の誘電体セラミック層16B、第3の誘電体セラミック層16Cは、特性が共通する材料で形成される点から、特に区別する必要のない場合はまとめて誘電体セラミック層16という場合がある。
【0019】
誘電体セラミック層16は、例えば、チタン酸バリウムを主成分とするセラミックス材料が焼成されて形成される。誘電体セラミック層16は、他の高誘電率のセラミックス材料(例えば、CaTiO、SrTiO、CaZrO等を主成分とするもの)により形成されてもよい。誘電体セラミック層16を形成するセラミック材料には、例えば、組成を調整することを目的として、Si、Mg、Mn、Sn、Cu、希土類、Ni及びAl等の添加剤が含まれる。
【0020】
積層体11は、さらに、内層部11A及び外層部11Bを備える。
内層部11Aは、複数の第1の内部電極層15A1及び複数の第2の内部電極層15A2が第1の誘電体セラミック層16Aを介して交互に積層されている。内層部11Aは、静電容量を発生させ、実質的にコンデンサとして機能する部分である。一対の外層部11Bのそれぞれは、内層部11Aを積層方向で挟むように配置されており、それぞれの表面が第1の主面12a及び第2の主面12bを形成している。外層部11Bは、誘電体セラミック層16と同様の誘電体セラミック材料で形成される。
【0021】
図1及び図3に示すように、一対の外部電極20は、積層体11における長さ方向Lの両端部の表面を覆うように互いに離間して設けられている。一対の外部電極20のそれぞれは、導電膜により形成されている。一対の外部電極20は、第1の端面14a側に配置される第1の外部電極20Aと、第2の端面14b側に配置される第2の外部電極20Bと、を含む。
【0022】
第1の外部電極20Aには、各第1の内部電極層15A1における第1の引き出し部15c1の先端が接触している。これにより、第1の内部電極層15A1は第1の外部電極20Aに電気的に接続されている。第2の外部電極20Bには、各第2の内部電極層15A2における第2の引き出し部15c2の先端が接触している。これにより、第2の内部電極層15A2は第2の外部電極20Bに電気的に接続されている。すなわち内層部11Aにおいては、第1の外部電極20Aに接続される各第1の内部電極層15A1の対向部15bと、第2の外部電極20Bに接続される各第2の内部電極層15A2の対向部15bとが、第1の誘電体セラミック層16Aを介して積層方向Tに交互に積層されている。これにより、第1の外部電極20Aと第2の外部電極20Bとの間は、コンデンサ要素が電気的に並列に接続された構造となっている。
なお、第1の外部電極20A及び第2の外部電極20Bの基本構造は同じなため、特に区別する必要のない場合は両者をまとめて外部電極20という場合がある。
【0023】
外部電極20は、例えば、焼結金属層とめっき層との積層膜により構成される。焼結金属層は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等のペーストを焼き付けることで形成される。めっき層は、例えば、Niめっき層とこれを覆うSnめっき層とにより構成される。めっき層は、これに代えてCuめっき層やAuめっき層であってもよい。また、外部電極20は、めっき層のみによって形成されていてもよく、さらには、導電性樹脂ペーストを利用してもよい。
【0024】
第1実施形態の積層セラミックコンデンサ10は、例えば、誘電体セラミック層16及び一対の外層部11Bとなるセラミックグリーンシート等のセラミック材料、並びに内部電極層15となる導電ペースト等の導電材料が積層されて積層体11が形成される。そして、積層体11が焼成され、この後、外部電極20が焼き付けやめっき等により形成されて、積層セラミックコンデンサ10が製造される。なお、外部電極20の形成は、めっきを除いて、その一部あるいは全てが積層体11の焼成と同時に焼き付けされて形成されてもよい。
【0025】
第1実施形態の積層セラミックコンデンサ10においては、図1に示すように、積層体11における第1の主面12a側の表面における4つの隅部のそれぞれに、表面高さが他の部分よりも高い第1の凸部30が形成されている。第1の凸部30は、第2の主面12b側の表面の四隅にも同様に形成されている。実施形態の各第1の凸部30は、外部電極20の平坦な表面から突出するように形成されている。4つの第1の凸部30は、概ね同じ高さである。
【0026】
図2及び図3に示すように、第1の凸部30のそれぞれは、積層体11に形成された第1の突出部31を外部電極20が覆うことにより形成されている。積層体11の第1の突出部31は、第1の主面12a及び第2の主面12bのそれぞれの四隅に形成されている。
【0027】
積層体11の第1の突出部31は、例えば、図5図10に示す製造工程の結果、形成され得る。
以下に、当該製造工程によって第1の突出部31が形成される原理を説明する。なお、図5図10は、理解容易のために1つの積層体11の製造工程をモデル化して示している。実際には、複数の積層体11が一括して製造される。図5図8図10で上側の図面が平面図であり、この平面図の下側の図面は、上側の平面図において示す矢視断面線に対応する断面図である。
なお、以下の説明では、内部電極層15及び誘電体セラミック層16のそれぞれの1層の厚みを「1」とし、積層数に応じた厚みを示す。例えば、積層数が2層であれば「厚み1」、積層数が3層であれば「厚み2」である。図5図8図10の平面図においては、線で仕切られる各部分の厚みを丸数字で表している。
【0028】
図5に示すように、第1の誘電体セラミック層16Aを含むベースとなる1層の誘電体セラミック層16を形成し(厚み1)、その上に、第1の内部電極層15A1を形成する(厚み2)。第1の内部電極層15A1の第1の引き出し部15c1は、第1の端面14a側に露出する。次いで、図6に示すように、第1の内部電極層15A1が形成されていない第2の端面14b側の誘電体セラミック層16の上面に、第2の誘電体セラミック層16Bを幅方向W全長にわたり形成する(厚み2)。なお、先に誘電体セラミック層16を形成しておき、その後に、第1の内部電極15A1を形成してもよい。
なお、誘電体セラミック層16や内部電極層15は、スクリーン印刷で形成する。なお、グラビア印刷などでもよい。特にスクリーン印刷においては、電鋳加工による高精度スクリーン版を用いたり、スクリーン版のテンションを変化させたりすることで印刷パターンを形成する。
【0029】
次いで、図7に示すように、第1の内部電極層15A1の幅方向W両側の誘電体セラミック層16の上面に、第3の誘電体セラミック層16Cとなる誘電体セラミック層16を長さ方向L全長にわたり積層して第1の素材シート1Aを得る。第3の誘電体セラミック層16Cを長さ方向L全長にわたり積層するため、第2の端面14b側の幅方向Wの両端の隅部においては、第2の誘電体セラミック層16Bの上に第3の誘電体セラミック層16Cが重なり、そこだけ3層、すなわち「厚み3」となる。
【0030】
次いで、図5図7と同様の工程を経て、図8に示す第2の内部電極層15A2を備えた第2の素材シート1Bを得る。第2の素材シート1Bの第2の内部電極層15A2は、第2の引き出し部15c2が第2の端面14b側に露出する。第2の素材シート1Bは、第1の端面14a側の幅方向Wの両端の隅部において、第2の誘電体セラミック層16Bの上に第3の誘電体セラミック層16Cが重なり、そこだけ3層、すなわち「厚み3」となる。
【0031】
次いで、図9に示すように、第1の素材シート1Aの上に第2の素材シート1Bを重ね合わせ、積層方向Tの両側からプレスして図10に示す積層体モデル11M1を得る。上述した第1実施形態の積層体11は多数の第1の素材シート1A及び第2の17Bを重ね合わせることにより製造されるが、ここでは、2枚の素材シート17A、17Bを重ね合わせたものを積層体11に近似する構造を備えた第1実施形態の積層体モデル11M1とする。この積層体モデル11M1においては、第1の素材シート1Aの「厚み3」の隅部が、第2の素材シート1Bの「厚み2」の部分に重なり、第2の素材シート1Bの「厚み3」の隅部が第1の素材シート1Aの「厚み2」の部分に重なる。これにより、4つの隅部においては「厚み5」となり、それ以外の部分は「厚み4」となる。
図10には、第1実施形態の積層体11における第1の突出部31に対応する部分に、同一の符号を付している。
【0032】
このようにして上述した積層体11を製造した場合、その積層体11の第1の主面12a及び第2の主面12bのそれぞれの四隅には、第1の突出部31が同様に形成される。そして、そのような積層体11に一対の外部電極20が形成されると、第1の凸部30が形成されることになる。
【0033】
ところで、積層セラミックコンデンサ10は、所定の機器の基板に実装されて使用されるが、その際には、第1の主面12a及び第2の主面12bのうちの一方を基板の表面に対向した状態で基板上に載置した後、はんだ付け等の実装の作業を行うとよい。第1の主面12a及び第2の主面12bのうちの一方を基板の表面に対向させると、四隅の各第1の凸部30が基板に立脚したような状態となり、基板上に安定した姿勢で載置することができる。その結果、実装作業を円滑に行うことができる。
【0034】
第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10は、積層方向Tに交互に積層される複数の誘電体セラミック層16及び複数の内部電極層15を含むとともに、積層方向Tにおいて相対する第1の主面12a及び第2の主面12bと、積層方向Tに直交する幅方向Wにおいて相対する第1の側面13a及び第2の側面13bと、積層方向T及び幅方向Wに直交する長さ方向Lにおいて相対する第1の端面14a及び第2の端面14bと、を有する略直方体形状の積層体11と、積層体11の長さ方向Lの両端部に、少なくとも第1の端面14a及び第2の端面14bのそれぞれを覆うように配置され、内部電極層15に接続される一対の外部電極20と、を備え、略長方形状である第1の主面12a側及び第2の主面12b側のうちの少なくとも一方の主面側の表面における4つの隅部のそれぞれに、第1の凸部30が形成されている。
【0035】
これにより、積層セラミックコンデンサ10を基板に実装する際に、第1の主面12aまたは第2の主面12bの四隅の第1の凸部30を基板に載置することで、実装時に安定した姿勢を保持することができる。例えば、長さ方向Lの中央部における積層方向Tの厚さが最も大きいと、積層セラミックコンデンサを基板上に載置した時に積層セラミックコンデンサが揺動しやすく、姿勢が安定しない。しかし、第1実施形態の積層セラミックコンデンサ10によれば、四隅の第1の凸部30を利用して基板上に載置すれば、姿勢が安定する。
【0036】
(第2実施形態)
続いて、図11図20を参照して第2実施形態を説明する。この第2実施形態は、上記第1実施形態と基本構成は同じであるが、特定の構成要素の形状が部分的に異なっている。したがって、第1実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略または簡略化し、第1実施形態との相違点ならびにその相違点に関連する部分を中心に説明する。
【0037】
図11は、第2実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10の概略斜視図である。図12は、図11に示すXII-XII線に沿った断面図である。図13は、図11に示すXIII-XIII線に沿った断面図である。図14は、図12に示すXIV-XIV線に沿った断面図である。
【0038】
第2実施形態の積層セラミックコンデンサ10において、誘電体セラミック層16は、図12図14に示すように、一対の第1の周囲部18aと、一対の第2の周囲部18bと、を有する。
【0039】
第1の周囲部18aは、積層方向Tに隣接して互いに対向する第1の内部電極層15A1における第1の縁部15d1と、第2の内部電極層15A2における第1の縁部15d1と、の間の部分である。第1の周囲部18aは、長さ方向Lに延在している。
第2の周囲部18bは、積層方向Tに隣接して互いに対向する第1の内部電極層15A1における第2の縁部15d2と、第2の内部電極層15A2における第2の縁部15d2と、の間の部分である。第2の周囲部18bは、幅方向Wに延在している。誘電体セラミック層16は、第1の周囲部18aと第2の周囲部18bとにより囲まれる矩形状の中央領域18cを有する。
さらに、誘電体セラミック層16は、第1の周囲部18aと第2の周囲部18bとが交差する4つの交差部18dを含む。
【0040】
誘電体セラミック層16の中央領域18cは、概ね第1の誘電体セラミック層16Aの領域である。第1の周囲部18a及び第2の周囲部18bの厚みは、中央領域18cの厚みよりも厚い。第1の周囲部18aの厚みと第2の周囲部18bの厚みは、略同じである。また、各交差部18dにおける誘電体セラミック層16の厚みは、第1の周囲部18a及び第2の周囲部18bの厚みよりもさらに厚い。
【0041】
例えば、積層体11を最終的にプレス成形する場合、内部電極層15の特に第1の縁部15d1及び第2の縁部15d2は変形しやすく、その部分において積層方向Tに隣接する内部電極層15同士が接触してショートするおそれがある。そこで、第2実施形態のように、誘電体セラミック層16における第1の周囲部18a及び第2の周囲部18bを中央領域18cよりも厚くすることにより、積層方向Tに隣接する第1の内部電極層15A1と第2の内部電極層15A2同士が接触しにくくなり、ショートが抑制される。
【0042】
また、内部電極層15の四隅の角部は、プレス成形時に第1の縁部15d1や第2の縁部15d2よりも変形しやすく、ショートが生じやすい。しかし、第2実施形態のように、内部電極層15の角部に対応する誘電体セラミック層16の各交差部18dの厚みを第1の周囲部18a及び第2の周囲部18bの厚みよりもさらに厚くすることにより、積層方向Tに隣接する内部電極層15の接触がさらに抑えられ、ショートをさらに抑制することができる。
【0043】
図11図13に示すように、積層体11の第1の主面12aは、長さ方向Lに延在する一対の第1の線状突出部19aを有し、第2の主面12bは、幅方向Wに延在する一対の第2の線状突出部19bを有する。一対の第1の線状突出部19aは、複数の第1の周囲部18aが積層して誘電体セラミック層16が第1の主面12aに膨出することにより形成される。一対の第2の線状突出部19bは、複数の第2の周囲部18bが積層して誘電体セラミック層16が第2の主面12bに膨出することにより形成される。
【0044】
さらに、積層体11の第1の主面12a及び第2の主面のそれぞれは、4つの第2の突出部35を有する。4つの第2の突出部35は、誘電体セラミック層16の交差部18dが積層して第1の主面12a及び第2の主面のそれぞれに膨出することにより形成される。交差部18dは第1の周囲部18a及び第2の周囲部18bよりも厚いため、第2の突出部35の高さは、第1の線状突出部19a及び第2の線状突出部19bの高さよりも高い。
【0045】
第2実施形態の積層セラミックコンデンサ10においては、外部電極20の第1の主面12a側の表面及び第2の主面12b側の表面のそれぞれに、第1実施形態の4つの第1の凸部30に加えて、4つの第2の凸部36が形成されている。第2実施形態で追加された第2の凸部のそれぞれは、四隅に形成された第1の凸部30に近接しており、この第1の凸部30の内側、すなわち第1の主面12a及び第2の主面12bの中心寄りの位置に形成されている。したがって各第2の凸部36も、第1の主面12a及び第2の主面12bの4つの隅部に配置されている。
【0046】
第2実施形態の第2の凸部36のそれぞれは、積層方向Tで4つの第2の突出部35に対応する部分に形成されている。これら4つの第2の凸部36は、各第2の突出部35を外部電極20が覆うことにより形成されている。4つの第2の凸部36の高さは概ね同じであって、第1の凸部30の高さよりも高い。したがって第2の凸部36の高さは、第1の主面12a側の表面及び第2の主面12b側の表面のそれぞれにおいて最も高い。
【0047】
積層体11の第2の突出部35は、例えば、図15図20に示す製造工程の結果、形成され得る。
以下に、当該製造工程によって第2の突出部35が形成される原理を説明する。なお、図15図20は、理解容易のために1つの積層体11の製造工程をモデル化して示している。実際には、複数の積層体11が一括して製造される。図15図18図20で上側の図面が平面図であり、この平面図の下側の図面は、上側の平面図において示す矢視断面線に対応する断面図である。
なお、以下の説明では、内部電極層15及び誘電体セラミック層16のそれぞれの1層の厚みを「1」とし、積層数に応じた厚みを示す。例えば、積層数が2層であれば「厚み1」、積層数が3層であれば「厚み2」である。図15図18図20の平面図においては、線で仕切られる各部分の厚みを丸数字で表している。
【0048】
図15に示すように、第1の誘電体セラミック層16Aを含むベースとなる1層の誘電体セラミック層16を形成し(厚み1)、その上に、第1の内部電極層15A1を積層する(厚み2)。第1の内部電極層15A1の第1の引き出し部15c1は、第1の端面14a側に露出する。次いで、図16に示すように、第1の内部電極層15A1が形成されていない第2の端面14b側の誘電体セラミック層16の上面に、第2の誘電体セラミック層16Bを幅方向W全長にわたり積層する(厚み2)。このとき、第2の誘電体セラミック層16Bを形成するセラミックペースト等の材料を、第1の内部電極層15A1の第2の縁部15d2の上に所定幅でオーバーラップさせる。第2の縁部15d2へのオーバーラップ部16fは、上述した第2の周囲部18bとなる。第2の縁部15d2の上に材料がオーバーラップして塗布されるため、オーバーラップ部16fの部分は「厚み3」となる。
【0049】
次いで、図17に示すように、第1の内部電極層15A1の幅方向W両側の誘電体セラミック層16の上面に、第3の誘電体セラミック層16Cを長さ方向L全長にわたり積層して第2実施形態に係る第1の素材シート2Aを得る。このとき、第3の誘電体セラミック層16Cを形成するセラミックペースト等の材料を、第1の内部電極層15A1の第1の縁部15d1の上に所定幅でオーバーラップさせる。第1の縁部15d1へのオーバーラップ部16gは、上述した第1の周囲部18aとなる。第1の縁部15d1の上に材料がオーバーラップして塗布されるため、オーバーラップ部16gの部分は「厚み3」となる。さらに、「厚み3」となっていたオーバーラップ部16fの幅方向W両端部においては、第2の誘電体セラミック層16Bの上に第3の誘電体セラミック層16Cが被るため、「厚み4」の2重オーバーラップ部16hが形成される。
【0050】
次いで、図15図17と同様の工程を経て、図18に示す第2の内部電極層15A2を備えた第2実施形態に係る第2の素材シート2Bを得る。第2の素材シート2Bの第2の内部電極層15A2は、第2の引き出し部15c2が第2の端面14b側に露出する。第2の素材シート2Bにおいては、第1の端面14a側のオーバーラップ部16fの幅方向W両端部に、第2の誘電体セラミック層16Bの上に第3の誘電体セラミック層16Cが被る「厚み4」の2重オーバーラップ部16hが形成される。
これで、「厚み4」の2重オーバーラップ部16hが4か所に形成され、これら2重オーバーラップ部16hは、上述した交差部18dとなる。
【0051】
図17に示す第1の素材シート2A及び図18に示す第2の素材シート2Bのそれぞれは、厚み数の表示のとおり、「厚み2」、「厚み3」、「厚み4」の3種類の厚み部分を有する。
【0052】
次いで、図19に示すように、第1の素材シート2Aの上に第2の素材シート2Bを重ね合わせ、厚み方向の両側からプレスして、図20に示す第2実施形態の積層体モデル11M2を得る。
【0053】
図20に示すように、第2実施形態の積層体モデルM2においては、「厚み4」、「厚み5」、「厚み6」、「厚み7」の4種類の厚み部分を有する。図20には、第2実施形態の積層体11における第1の周囲部18a及びこの第1の周囲部18aの積層で形成される第1の線状突出部19aと、第2の周囲部18b及びこの第2の周囲部18bの積層で形成される第2の線状突出部19bと、交差部18d及びこの交差部18dの積層で形成される第2の突出部35と、のそれぞれに対応する部分に、同一の符号を付している。
【0054】
第1の周囲部18a及びこの第1の周囲部18aの積層で形成される第1の線状突出部19aに対応する部分は「厚み6」である。これは、第1の素材シート2A及び第2の素材シート2Bの、ベースの誘電体セラミック層16と、内部電極層15と、第3の誘電体セラミック層16Cのオーバーラップ部16fとの3層が2重に重なって6層になっていることによる。
【0055】
第2の周囲部18b及びこの第2の周囲部18bの積層で形成される第2の線状突出部19bに対応する部分は「厚み5」である。これは、第1の素材シート2Aのベースの誘電体セラミック層16と、内部電極層15と、第3の誘電体セラミック層16Cのオーバーラップ部16fとの3層に、第2の素材シート2Bのベースの誘電体セラミック層16と内部電極層15の2層が積層して5層となっていることによる。
【0056】
交差部18d及びこの交差部18dの積層で形成される第2の突出部35に対応する部分は「厚み7」である。これは、第1の素材シート2Aのベースの誘電体セラミック層16、内部電極層15、第1の縁部15d1への第3の誘電体セラミック層16Cのオーバーラップ部16f、第2の縁部15d2への第2の誘電体セラミック層16Bのオーバーラップ部16fの4層に、第2の素材シート2Bのベースの誘電体セラミック層16、内部電極層15、第2の縁部15d2への第2の誘電体セラミック層16Bのオーバーラップ部16fの3層が積層して7層となっていることによる。
【0057】
このようにして上述した第2実施形態の積層体11を製造した場合、その積層体11の第1の主面12a及び第2の主面12bのそれぞれの四隅には、第2の突出部35が同様に形成される。そして、そのような積層体11に一対の外部電極20を形成すると、第2の凸部36が形成されることになる。
【0058】
第2実施形態の積層セラミックコンデンサ10によれば、第1の主面12a及び第2の主面12bのうちの一方の主面側の4隅の第2の凸部36を利用して基板に載置することにより、基板上で揺動しにくく、安定した姿勢で実装することができる。
【0059】
第2実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10においては、複数の内部電極層15は、積層方向Tに互いに隣り合う第1の内部電極層15A1及び第2の内部電極層15A2を含み、第1の内部電極層15A1及び第2の内部電極層15A2のそれぞれは、誘電体セラミック層16を介して積層方向Tに互いに対向する対向部15bをそれぞれ有し、第1の内部電極層15A1は、対向部15bの第1の端面14a側の端部から第1の端面14aに引き出される第1の引き出し部15c1を有し、第2の内部電極層15A2は、対向部15bの第2の端面14b側の端部から第2の端面14bに引き出される第2の引き出し部15c2を有し、外部電極20は、第1の端面14a側に配置されて第1の引き出し部15c1と接続される第1の外部電極20Aと、第2の端面14b側に配置されて第2の引き出し部15c2と接続される第2の外部電極20Bと、を含み、誘電体セラミック層16は、第1の内部電極層15A1と第2の内部電極層15A2との間に配置された複数の第1の誘電体セラミック層16Aと、内部電極層15を介して対向する第1の誘電体セラミック層16A間の内部電極層15が配置されていない領域に配置され、第1の誘電体セラミック層16Aと積層方向Tにおいて重畳するように配置された第2の誘電体セラミック層16Bと、積層体11の第1の側面13a及び第2の側面13bのそれぞれに配置される第3の誘電体セラミック層16Cと、を含み、積層体11は、第1の内部電極層15A1及び第2の内部電極層15A2が誘電体セラミック層16を介して交互に積層される内層部11Aと、内層部11Aを積層方向Tで挟むように配置されたセラミック材料で構成される一対の外層部11Bと、を有し、内部電極層15は、幅方向W両端部において長さ方向Lに延びる一対の第1の縁部15d1と、対向部15bの長さ方向L両端部において幅方向Wに延びる一対の第2の縁部15d2と、を含み、誘電体セラミック層16は、積層方向Tに互いに対向する一対の第1の縁部15d1の間の第1の周囲部18aと、積層方向Tに互いに対向する一対の第2の縁部15d2の間の第2の周囲部18bと、第1の周囲部18aと第2の周囲部18bとにより囲まれる中央領域18cと、を有し、第1の周囲部18a及び第2の周囲部18bは、中央領域18cの厚みよりも厚い。
【0060】
これにより、第1の縁部15d1及び第2の縁部15d2における内部電極層15同士の接触を抑制してショートを効果的に抑制することができる。
【0061】
第2実施形態の積層セラミックコンデンサ10においては、誘電体セラミック層16は、第1の周囲部18aと第2の周囲部18bとが交差する交差部18dを含み、交差部18dにおける誘電体セラミック層16の厚みは、第1の周囲部18a及び第2の周囲部18bの厚みよりも厚く、記第1の主面12a及び第2の主面12bのうちの少なくとも一方の主面における交差部18dの積層方向Tに対応する部分に、第2の凸部36が形成されている。
【0062】
これにより、内部電極層15のショートをさらに抑制することができる。
【0063】
(変形例)
図21及び図22は、上記第1実施形態の変形例を示している。図21はこの変形例の積層セラミックコンデンサ10の概略斜視図であり、図22図21のXXII-XXII断面図である。
【0064】
この変形例では、図22に示すように、積層体11は、第1の主面12a及び第2の主面12bにおける長さ方向Lの両端部のそれぞれに、積層方向Tに盛り上がり、かつ幅方向Wに延びる盛り上がり部39を有している。盛り上がり部39が形成された長さ方向L両端部の第1の端面14a及び第2の端面14bのそれぞれを覆う第1の外部電極20A及び第2の外部電極20Bは、盛り上がり部39を覆っている。これにより、第1の外部電極20Aの第1の主面12a側、及び第2の外部電極20Bの第2の主面12b側にも幅方向Wに延在する膨出部38がそれぞれ形成されている。
【0065】
これにより、積層体11と外部電極20との境界部に水分が浸入しても、その水分は盛り上がり部39でせき止められ、第1の端面14a及び第2の端面14bに露出する内部電極層15に接触することが抑えられる。また、盛り上がり部39があることにより、積層体11と外部電極20との境界部と第1の端面14a及び第2の端面14bとの間の界面の距離が長くなり、これによっても水分の侵入が抑えられる。
【0066】
本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
例えば、第1の凸部30や第2の凸部36は、第1の主面12a及び第2の主面12bの双方に形成されてもよいが、これら主面のうちの一方側のみに形成されてよい。その場合、第1の凸部30や第2の凸部36が形成された側の主面を基板に対向させ、第1の凸部30または第2の凸部36を基板に接触させて実装する。
第1の凸部30及び第2の凸部36は、実施形態に記載の製造方法で形成されることに限定されず、任意の方法で形成してよい。
【符号の説明】
【0067】
10 積層セラミックコンデンサ
11 積層体
11A 内層部
11B 外層部
12a 第1の主面
12b 第2の主面
13a 第1の側面
13b 第2の側面
14a 第1の端面
14b 第2の端面
15 内部電極層
15A1 第1の内部電極層
15A2 第2の内部電極層
15b 対向部
15c1 第1の引き出し部
15c2 第2の引き出し部
15d1 第1の縁部
15d2 第2の縁部
16 誘電体セラミック層
16A 第1の誘電体セラミック層
16B 第2の誘電体セラミック層
16C 第3の誘電体セラミック層
18a 第1の周囲部
18b 第2の周囲部
18c 中央領域
18d 交差部
20 外部電極
30 第1の凸部
36 第2の凸部
39 盛り上がり部
L 長さ方向
T 積層方向
W 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22