(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240903BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240903BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652K
H01L29/78 652D
H01L29/78 658F
(21)【出願番号】P 2021530514
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(86)【国際出願番号】 JP2020020321
(87)【国際公開番号】W WO2021005896
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2019128619
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】堀井 拓
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/029748(WO,A1)
【文献】特開2018-056506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の表面に設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上に設けられたシリコンまたはアルミニウムを含む接合膜と、
前記接合膜の上のゲートパッド層と、
を有し、
前記ゲート絶縁膜の上には、絶縁体の凸部が設けられており、
前記接合膜は、前記凸部と凸部の間に設けられており、
前記ゲートパッド層は、少なくとも前記接合膜と接する領域にチタンを含む半導体装置。
【請求項2】
前記接合膜は、上面視した形状が、ストライプ、円形、多角形のいずれかである請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項3】
隣り合う前記接合膜の間隔は、0.5μm以上、100μm以下である請求項
1または請求項
2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ゲートパッド層の上にはパッシベーション膜が設けられており、
前記パッシベーション膜が開口し、前記ゲートパッド層が露出している領域がゲートパッド領域であって、
前記ゲートパッド領域の面積に対する前記接合膜の面積は、5%以上、95%以下である請求項
1から請求項
3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ゲートパッド層は、前記接合膜と接する側より、チタンを含む合金層、窒化チタン層、アルミニウムを含む金属層が順に積層されたものである請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体基板と、
前記半導体基板の表面に設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上に設けられたシリコンまたはアルミニウムを含む接合膜と、
前記接合膜の上のゲートパッド層と、
を有し、
前記ゲートパッド層は、少なくとも前記接合膜と接する領域にチタンを含み、
前記ゲートパッド層は、前記接合膜と接する側より、チタンを含む合金層、窒化チタン層、アルミニウムを含む金属層が順に積層されたものである半導体装置。
【請求項7】
前記ゲートパッド層の上にはパッシベーション膜が設けられており、
前記パッシベーション膜が開口し、前記ゲートパッド層が露出している領域がゲートパッド領域であって、
前記ゲートパッド領域のすべてにおいて、前記接合膜と前記ゲートパッド層とが接触している請求項
6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体基板は、炭化珪素半導体基板である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
半導体基板と、
前記半導体基板の表面に設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上に設けられたシリコンまたはアルミニウムを含む接合膜と、
前記接合膜の上のゲートパッド層と、
を有し、
前記ゲートパッド層は、少なくとも前記接合膜と接する領域にチタンを含み、
前記ゲート絶縁膜の上には、絶縁体の凸部が設けられており、
前記接合膜は、前記凸部と凸部の間に設けられており、
前記接合膜は、上面視した形状が、ストライプ、円形、多角形のいずれかであり、
隣り合う前記接合膜の間隔は、0.5μm以上、100μm以下であり、
前記ゲートパッド層の上にはパッシベーション膜が設けられており、
前記パッシベーション膜が開口し、前記ゲートパッド層が露出している領域がゲートパッド領域であって、
前記ゲートパッド領域の面積に対する前記接合膜の面積は、5%以上、95%以下である半導体装置。
【請求項10】
炭化珪素半導体基板と、
前記炭化珪素半導体基板の表面に設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上に設けられたシリコンまたはアルミニウムを含む接合膜と、
前記接合膜の上のゲートパッド層と、
を有し、
前記ゲートパッド層は、少なくとも前記接合膜と接する領域にチタンを含み、
前記ゲート絶縁膜の上には、絶縁体の凸部が設けられており、
前記接合膜は、前記凸部と凸部の間に設けられており、
前記接合膜は、上面視した形状が、ストライプ、円形、多角形のいずれかであり、
隣り合う前記接合膜の間隔は、0.5μm以上、100μm以下であり、
前記ゲートパッド層の上にはパッシベーション膜が設けられており、
前記パッシベーション膜が開口し、前記ゲートパッド層が露出している領域がゲートパッド領域であって、
前記ゲートパッド領域の面積に対する前記接合膜の面積は、5%以上、95%以下であり、
前記ゲートパッド層は、前記接合膜と接する側より、チタンを含む合金層、窒化チタン層、アルミニウムを含む金属層が順に積層されたものである半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【0002】
本出願は、2019年7月10日出願の日本出願第2019-128619号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0003】
電界効果トランジスタ等の半導体装置は、半導体基板の一方の面にゲート電極、ソース電極が形成されており、他方の面にドレイン電極等が形成されており、ゲート電極等と接続されているゲートパッドと外部端子とがワイヤボンディングにより接続されている。このような半導体装置では、ゲートパッドにおいて、ワイヤボンディングをする際に、ゲートパッドが剥がれる場合があることから、ゲートパッドが剥がれることを防ぐため、表面に凹凸が形成された絶縁膜の上に、ゲートパッドを形成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示の半導体装置は、半導体基板と、半導体基板の表面に設けられたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜の上に設けられたシリコンまたはアルミニウムを含む接合膜と、接合膜の上のゲートパッド層と、を有する。そして、ゲートパッド層は、少なくとも接合膜と接する領域にチタンを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】
図3は本開示の第1の実施形態の炭化珪素半導体装置の上面図である。
【
図4】
図4は本開示の第1の実施形態の炭化珪素半導体装置の断面図である。
【
図5】
図5は本開示の第1の実施形態の炭化珪素半導体装置の構造の説明図である。
【
図6】
図6は本開示の第1の実施形態のゲートパッド層の説明図(1)である。
【
図7】
図7は本開示の第1の実施形態のゲートパッド層の説明図(1)である。
【
図8】
図8は本開示の第1の実施形態のゲートパッド層の説明図(1)である。
【
図9】
図9は本開示の第1の実施形態の炭化珪素半導体装置の製造方法の工程図(1)である。
【
図10】
図10は本開示の第1の実施形態の炭化珪素半導体装置の製造方法の工程図(2)である。
【
図11】
図11は本開示の第1の実施形態の炭化珪素半導体装置の製造方法の工程図(3)である。
【
図12】
図12は本開示の第1の実施形態の炭化珪素半導体装置の製造方法の工程図(4)である。
【
図13】
図13は本開示の第1の実施形態の炭化珪素半導体装置の製造方法の工程図(5)である。
【
図14】
図14は本開示の第1の実施形態の炭化珪素半導体装置の製造方法の工程図(6)である。
【
図15】
図15は本開示の第2の実施形態の炭化珪素半導体装置の上面図である。
【
図16】
図16は本開示の第2の実施形態の炭化珪素半導体装置の断面図である。
【
図17】
図17は本開示の第2の実施形態の炭化珪素半導体装置の製造方法の工程図(1)である。
【
図18】
図18は本開示の第2の実施形態の炭化珪素半導体装置の製造方法の工程図(2)である。
【
図19】
図19は本開示の第2の実施形態の炭化珪素半導体装置の製造方法の工程図(3)である。
【
図20】
図20は本開示の第2の実施形態の炭化珪素半導体装置の製造方法の工程図(4)である。
【
図21】
図21は本開示の第2の実施形態の炭化珪素半導体装置の製造方法の工程図(5)である。
【
図22】
図22は本開示の第2の実施形態の炭化珪素半導体装置の製造方法の工程図(6)である。
【
図23】
図23は本開示の第2の実施形態の炭化珪素半導体装置の変形例の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
表面に凹凸が形成された絶縁膜の上に、ゲートパッドを形成した構造としただけでは、密着性は不十分であり、ワイヤボンディングの際にゲートパッドが剥がれることを十分に防ぐことができない。このため、半導体装置におけるゲートパッドの密着性が、より高いものが求められている。
【0008】
[本開示の効果]
本開示によれば、半導体装置におけるゲートパッドの密着性を向上できる。
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の表面に設けられたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に設けられたシリコンまたはアルミニウムを含む接合膜と、前記接合膜の上のゲートパッド層と、を有し、前記ゲートパッド層は、少なくとも前記接合膜と接する領域にチタンを含む。
【0012】
これにより、ゲートパッドの密着性を向上させることができ、ゲートパッドにワイヤボンディングをする際に、ゲートパッドが剥がれることを防ぐことができる。
【0013】
〔2〕 前記ゲート絶縁膜の上には、絶縁体の凸部が設けられており、前記接合膜は、前記凸部と凸部の間に設けられている。
【0014】
これにより、ゲートパッドの密着性をより一層向上させることができる。
【0015】
〔3〕 前記接合膜は、上面視した形状が、ストライプ、円形、多角形のいずれかである。
【0016】
上記の形状にすることにより、ゲートパッドの密着性を向上させることができる。
【0017】
〔4〕 隣り合う前記接合膜の間隔は、0.5μm以上、100μm以下である。
【0018】
一般的なフォトリソグラフィーの加工精度より、0.5μm以上であることが好ましく、アンカー効果を確保するためには、100μm以下であることが好ましいからである。
【0019】
〔5〕 前記ゲートパッド層の上にはパッシベーション膜が設けられており、前記パッシベーション膜が開口し、前記ゲートパッド層が露出している領域がゲートパッド領域であって、前記ゲートパッド領域の面積に対する前記接合膜の面積は、5%以上、95%以下である。
【0020】
接合膜の面積が5%未満であると密着性向上効果が薄く、95%より大きくなるとアンカー効果が薄くなるからである。
【0021】
〔6〕 前記ゲートパッド層の上にはパッシベーション膜が設けられており、前記パッシベーション膜が開口し、前記ゲートパッド層が露出している領域がゲートパッド領域であって、前記ゲートパッド領域のすべてにおいて、前記接合膜と前記ゲートパッド層とが接触している。
【0022】
ゲートパッド領域のすべてにおいて、接合膜とゲートパッド層とが接触していても、密着性を向上させることができる。
【0023】
〔7〕 前記ゲートパッド層は、前記接合膜と接する側より、チタンを含む合金層、窒化チタン層、アルミニウムを含む金属層が順に積層されたものである。
【0024】
金属層をこのような構造にすることにより、接合層を形成している材料との合金層が形成され密着性を高めることができる。
【0025】
〔8〕 前記半導体基板は、炭化珪素半導体基板である。
【0026】
本開示は、炭化珪素半導体基板を用いた半導体装置において有用である。
【0027】
〔9〕 本開示の他の一態様に係る半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の表面に設けられたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に設けられたシリコンまたはアルミニウムを含む接合膜と、前記接合膜の上のゲートパッド層と、を有し、前記ゲートパッド層は、少なくとも前記接合膜と接する領域にチタンを含み、前記ゲート絶縁膜の上には、絶縁体の凸部が設けられており、前記接合膜は、前記凸部と凸部の間に設けられており、前記接合膜は、上面視した形状が、ストライプ、円形、多角形のいずれかであり、隣り合う前記接合膜の間隔は、0.5μm以上、100μm以下であり、前記ゲートパッド層の上にはパッシベーション膜が設けられており、前記パッシベーション膜が開口し、前記ゲートパッド層が露出している領域がゲートパッド領域であって、前記ゲートパッド領域の面積に対する前記接合膜の面積は、5%以上、95%以下である。
【0028】
〔10〕 本開示の更に他の一態様に係る半導体装置は、炭化珪素半導体基板と、前記炭化珪素半導体基板の表面に設けられたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に設けられたシリコンまたはアルミニウムを含む接合膜と、前記接合膜の上のゲートパッド層と、を有し、前記ゲートパッド層は、少なくとも前記接合膜と接する領域にチタンを含み、前記ゲート絶縁膜の上には、絶縁体の凸部が設けられており、前記接合膜は、前記凸部と凸部の間に設けられており、前記接合膜は、上面視した形状が、ストライプ、円形、多角形のいずれかであり、隣り合う前記接合膜の間隔は、0.5μm以上、100μm以下であり、前記ゲートパッド層の上にはパッシベーション膜が設けられており、前記パッシベーション膜が開口し、前記ゲートパッド層が露出している領域がゲートパッド領域であって、前記ゲートパッド領域の面積に対する前記接合膜の面積は、5%以上、95%以下であり、前記ゲートパッド層は、前記接合膜と接する側より、チタンを含む合金層、窒化チタン層、アルミニウムを含む金属層が順に積層されたものである。
【0029】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の一実施形態(以下「本実施形態」と記す)について詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
【0030】
〔第1の実施形態〕
最初に、炭化珪素半導体装置であるトランジスタにおけるゲートパッド等について、
図1及び
図2に基づき説明する。
図1は、この炭化珪素半導体装置の上面図であり、
図2は
図1における一点鎖線1A-1Bで切断した断面図である。
【0031】
この炭化珪素半導体装置は、いわゆる縦型の炭化珪素半導体装置であり、炭化珪素半導体基板10の上に、ゲート絶縁膜20が形成されており、ゲート絶縁膜20の上には、ゲート配線層30が形成されており、更に、層間絶縁膜40が形成されている。層間絶縁膜40は、ゲート配線層30の上にも形成されており、ゲート配線層30とゲートパッド層50とが接続される部分には、開口部を有しており、層間絶縁膜40の開口部において、ゲートパッド層50はゲート配線層30と接続されている。層間絶縁膜40の上には、ゲートパッド領域51を含む領域にゲートパッド層50が形成されており、ゲートパッド層50の両側には、ソース電極層60が形成されている。
【0032】
更に、ゲートパッド層50及びソース電極層60の上には、パッシベーション膜70が形成されている。ゲートパッド領域51では、ゲートパッド層50の上のパッシベーション膜70が開口しており、ゲートパッド層50が露出している。また、
図1に示されるソースパッド領域61では、ソース電極層60の上のパッシベーション膜70が開口しており、ソース電極層60が露出している。
【0033】
ゲート絶縁膜20及び層間絶縁膜40は、酸化シリコン(SiO2)により形成されており、ゲート配線層30はポリシリコンにより形成されており、ゲートパッド層50及びソース電極層60は、AlまたはCu等を含む金属により形成されている。パッシベーション膜70は、窒化シリコン(SiN)等により形成されている。
【0034】
このような構造の炭化珪素半導体装置においては、ゲートパッド領域51にワイヤボンディングをする際に、ゲートパッド層50が層間絶縁膜40との界面より剥がれてしまう場合がある。このため、ゲートパッド層50が剥がれにくい構造の炭化珪素半導体装置が求められている。
【0035】
(炭化珪素半導体装置)
次に、第1の実施形態における縦型トランジスタとなる炭化珪素半導体装置について、
図3及び
図4に基づき説明する。
図3は、本実施形態における炭化珪素半導体装置の上面図であり、
図4は
図3における一点鎖線3A-3Bで切断した断面図である。
【0036】
尚、炭化珪素は、従来から半導体装置に幅広く用いられている珪素に比べてバンドギャップが広いことから、高耐圧の半導体装置等に用いられている。このような炭化珪素を用いた半導体装置である縦型トランジスタでは、耐圧等の観点より、炭化珪素半導体基板の第1の主面側にゲート電極及びソース電極が形成されており、第2の主面側にドレイン電極が形成されている。
【0037】
本実施形態における炭化珪素半導体装置は、いわゆる縦型の炭化珪素半導体装置であり、炭化珪素半導体基板10の上に、ゲート絶縁膜20が形成されており、ゲート絶縁膜20の上には、ゲート配線層30及び接合膜130が形成されている。ゲート配線層30と接合膜130とは分離しており、ゲート配線層30と接合膜130との間のゲート絶縁膜20の上には、層間絶縁膜140が形成されている。層間絶縁膜140は、ゲート配線層30とゲートパッド層150とが接続される部分に開口部を有しており、ゲートパッド層150は、層間絶縁膜140の開口部において、ゲート配線層30と接続されている。また、接合膜130の上には、ゲートパッド領域151を含む領域にゲートパッド層150が形成されており、ゲートパッド層150の両側には、ソース電極層60が形成されている。
【0038】
更に、ゲートパッド層150及びソース電極層60の上には、パッシベーション膜70が形成されている。ゲートパッド領域151では、ゲートパッド層150の上のパッシベーション膜70が開口しており、ゲートパッド層50が露出している。尚、
図3に示されるソースパッド領域61では、ソース電極層60の上のパッシベーション膜70が開口しており、ソース電極層60が露出している。
【0039】
層間絶縁膜140は、酸化シリコンにより形成されており、接合膜130はポリシリコンにより形成されている。ゲートパッド層150は、最初に、
図5に示されるように、接合膜130の上に、Ti(チタン)層152、TiN(窒化チタン)層153を成膜した後、熱処理を行うことにより、接合膜130に含まれるSiとTi層152とを反応させる。これにより、
図6に示されるように、TiSi合金層154を形成する。この後、
図7に示されるように、TiN層153の上に、AlSiCu層155を成膜することにより、接合膜130の上に、TiSi合金層154、TiN層153、AlSiCu層155が順に積層されたゲートパッド層150を形成することができる。
【0040】
即ち、接合膜130の上に、Ti層152、TiN層153を成膜した後、約700℃の温度で熱処理を行うことにより、ポリシリコンにより形成されている接合膜130と、Ti層152のTiとが反応し、TiSi合金層154が形成される。このようにTiSi合金層154が形成されることにより、ポリシリコンにより形成された接合膜130と、ゲートパッド層150との密着性を高めることができる。これにより、ゲートパッド領域151において、ゲートパッド層150に、ワイヤボンディングをする際に、ゲートパッド層150が剥がれることを防ぐことができる。接合膜130は、ポリシリコンの他、Al(アルミニウム)等であってもよいが、製造の観点からは、ポリシリコンが好ましい。
【0041】
Ti層152の膜厚は、約10nmであり、TiN層153の膜厚は、100nmであり、ゲートパッド層150の全体の膜厚は、3μm~5μmである。また、AlSiCu層155に代えて、Alを含む金属膜を用いてもよい。
【0042】
尚、ゲートパッド層150におけるTiN層153は、AlSiCu層155に含まれるAlが、層間絶縁膜140に拡散することを防ぐために設けられている。即ち、AlSiCu層155に含まれるAlが、層間絶縁膜140に拡散すると、ゲートパッド層150とソース電極層60との間の抵抗が低くなる場合があるため、TiN層153を設けることにより、これを防ぐためである。
【0043】
本実施形態における縦型トランジスタは、
図8に示すように、炭化珪素単結晶基板310の第1の主面310aの上に、第1のn型層321、p型層322、第2のn型層323が順に形成されている。このような、炭化珪素単結晶基板310、第1のn型層321、p型層322、第2のn型層323等により炭化珪素半導体基板10が形成されている。また、第2のn型層323、p型層322、第1のn型層321の一部を除去することにより、断面がV字状のゲートトレンチが形成されている。このゲートトレンチの底面及び側壁は、ゲート絶縁膜20により覆われており、ゲート絶縁膜20の上に成膜されたポリシリコンにより、ゲートトレンチの内部が埋め込まれて、ゲート電極31が形成されている。ゲート電極31はゲート配線層30と接続されている。
【0044】
また、ゲート電極31を覆うように、層間絶縁膜140が形成されている。ゲートトレンチより離れた領域には、p型となる不純物元素をイオン注入することにより、不純物濃度の高い高濃度p型領域324が形成されている。層間絶縁膜140、第2のn型層323及び高濃度p型領域324の上には、ソース電極層60が形成されており、炭化珪素単結晶基板310の第1の主面310aとは反対の第2の主面310bには、ドレイン電極90が形成されている。このような縦型トランジスタは、ソース電極層60が形成されている領域に形成されている。
【0045】
尚、第1のn型層321は、n型ドリフト層であり、n型となる不純物元素が比較的低い濃度でドープされている。p型層322は、p型ボディ層であり、pとなる不純物元素がドープされている。第2のn型層323は、第1のn型層321よりも、n型となる不純物元素が高い濃度でドープされているn型層である。
【0046】
図8に示される構造の縦型トランジスタでは、ゲート電極31に所定の電圧が印加されると、p型層322のゲート絶縁膜20の近傍の領域にチャネルが形成され、第1のn型層321と第2のn型層323との間が導通する。これにより、ソース電極層60とドレイン電極90との間に電流が流れ、半導体装置がオンになる。尚、ゲート電極31に所定の電圧が印加されていない場合には、p型層322にはチャネルは形成されず、ソース電極層60とドレイン電極90との間には電流は流れないためオフ状態となる。
【0047】
(炭化珪素半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態における炭化珪素半導体装置の製造方法について、
図9~
図14に基づき説明する。尚、下記の製造方法の説明では、ゲートパッド層150が形成される部分の工程を中心に説明し、不純物元素のイオン注入や、ゲートトレンチを形成する工程等については説明を省略する。
【0048】
最初に、
図9に示されるように、不純物元素のイオン注入等が行われた炭化珪素半導体基板10の上に、ゲート絶縁膜20及びポリシリコン膜130aを順に形成する。ゲート絶縁膜20は、炭化珪素半導体基板10の表面を熱酸化し、膜厚が約50nmの酸化シリコン膜を形成することにより形成する。この後、ゲート絶縁膜20の上に、CVD(chemical vapor deposition)により、膜厚が約300nmのポリシリコン膜130aを成膜する。このように形成されたポリシリコン膜130aにより、後述するゲート電極31、ゲート配線層30、接合膜130が形成される。
【0049】
次に、ポリシリコン膜130aの上に、不図示のレジストパターンを形成し、ポリシリコン膜130aの一部を除去することにより、
図10に示されるように、残存するポリシリコン膜130aにより、ゲート配線層30、接合膜130等を形成する。具体的には、ポリシリコン膜130aの上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、ポリシリコン膜130aが除去される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、RIE(Reactive Ion Etch)等により、レジストパターンの開口部におけるポリシリコン膜130aを除去することにより、残存するポリシリコン膜130aによりゲート配線層30、接合膜130等を形成する。この後、不図示のレジストパターンは有機溶剤等により除去する。
【0050】
次に、
図11に示されるように、ゲート配線層30、接合膜130等の上に、層間絶縁膜140を形成する。層間絶縁膜140は、CVDにより酸化シリコンを成膜することにより形成する。
【0051】
次に、
図12に示されるように、層間絶縁膜140の一部を除去し、ゲート配線層30の一部及び接合膜130を露出させる。具体的には、層間絶縁膜140の上にフォトレジストを塗布し、露光装置により露光、現像を行うことにより、開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、RIE等により、レジストパターンの開口部における層間絶縁膜140を除去することにより、ゲート配線層30の一部及び接合膜130を露出させる。この後、不図示のレジストパターンは有機溶剤等により除去する。
【0052】
次に、
図13に示されるように、ゲートパッド層150及びソース電極層60を形成する。具体的には、露出しているゲート配線層30、接合膜130、層間絶縁膜140の上に、Ti層、TiN層を順に積層した膜をスパッタリングにより成膜する。成膜されるTi層の膜厚は10nmであり、TiN層の膜厚は100nmである。この後、約700℃の温度で熱処理を行うことにより、ゲート配線層30及び接合膜130のSiと、ゲート配線層30及び接合膜130と接しているTi層のTiとを反応させてTiSi合金層を形成する。この後、TiN層の上に、AlSiCu層をスパッタリングにより成膜し、Tiを含む合金層であるTiSi合金層、TiN層、AlSiCu層が順に成膜された積層金属膜を形成する。この後、積層金属膜の上に、不図示のレジストパターンを形成する。レジストパターンは、ゲートパッド層150及びソース電極層60が形成される領域に形成され、レジストパターンの開口部における積層金属膜をエッチングにより除去することにより、ゲートパッド層150及びソース電極層60を形成する。
【0053】
次に、
図14に示されるように、SiNによりパッシベーション膜70を成膜し、パッシベーション膜70の一部を除去することにより、ゲートパッド領域151及びソースパッド領域61を形成する。具体的には、ゲートパッド層150及びソース電極層60等の上に、CVDにより膜厚が約1μmのSiN膜を成膜する。この後、成膜されたSiN膜の上に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、ゲートパッド領域151及びソースパッド領域61が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、RIE等により、レジストパターンの開口部におけるSiN膜を除去することにより、残存するSiN膜によりパッシベーション膜70を形成する。これにより、ゲートパッド層150において、パッシベーション膜70が開口している領域に、ゲートパッド領域151が形成され、ソース電極層60において、パッシベーション膜70が開口している領域に、ソースパッド領域61が形成される。
【0054】
以上の工程により、本実施の形態における炭化珪素半導体装置を製造することができる。
【0055】
尚、上記の説明では、炭化珪素半導体を用いた場合について説明したが、シリコン基板やGaAs基板等を用いた半導体装置においても適用可能である。
【0056】
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態における縦型トランジスタとなる炭化珪素半導体装置について、
図15及び
図16に基づき説明する。
図15は、本実施形態における炭化珪素半導体装置の上面図であり、
図16は
図15における一点鎖線15A-15Bで切断した断面図である。
【0057】
本実施形態における炭化珪素半導体装置は、いわゆる縦型の炭化珪素半導体装置であり、炭化珪素半導体基板10の上に、ゲート絶縁膜20が形成されており、ゲート絶縁膜20の上には、ゲート配線層30、接合膜230が形成されている。本実施形態においては、接合膜230は、炭化珪素半導体基板10の基板面に対し上面視した形状が、ストライプ状に形成されており、ストライプ状に形成された接合膜230の間には、酸化シリコンにより凸部240が形成されている。層間絶縁膜140は、ゲート配線層30とゲートパッド層150とが接続される部分に開口部を有しており、ゲートパッド層150は、層間絶縁膜140の開口部において、ゲート配線層30と接続されている。
【0058】
本実施形態においては、凸部240は、層間絶縁膜140と同時に形成される。接合膜230及び凸部240の上には、ゲートパッド領域151を含む領域にゲートパッド層150が形成されており、ゲートパッド層150の両側には、ソース電極層60が形成されている。本実施形態においては、ゲートパッド層150は、凸部240の上面240a及び側面240bに接している。
【0059】
層間絶縁膜140及び凸部240は、絶縁体である酸化シリコンにより形成されており、接合膜230はポリシリコンにより形成されている。
【0060】
本実施形態においては、接合膜230及び凸部240の上に、Ti層及びTiN層を成膜した後、約700℃の温度で熱処理を行う。これにより、ポリシリコンにより形成されている接合膜230と、接合膜230の上のTi層のTiとが反応し、TiSi合金層が形成される。また、本実施の形態は、凸部240においては、凸部240の上面240a及び側面240bとゲートパッド層150とが接触しており、ゲートパッド層150との接触面積が広くなる。このため、接合膜230及び凸部240と、ゲートパッド層150との密着性が第1の実施形態よりも更に高くなる。これにより、ゲートパッド領域151におけるゲートパッド層150において、ワイヤボンディングにより接続をする際に、ゲートパッド層150が剥がれることを防ぐことができる。
【0061】
本実施の形態においては、接合膜230と凸部240とが交互に形成されており、例えば、接合膜230の幅Waは約10μmであり、凸部240の幅Wbは約10μmである。接合膜230の幅Waは、0.5μm以上、100μm以下が好ましい。更に、隣り合う接合膜の間隔となる凸部240の幅Wbは、0.5μm以上100μm以下が好ましい。尚、凸部240の幅Wbは、本実施形態において、隣り合う接合膜230と接合膜230との間の最短となる幅である。
【0062】
一般的なフォトリソグラフィーの加工精度より、幅Wa及びWbは0.5μm以上であることが好ましい。また、幅Waが100μm以下であれば、周期回数があまり減ることはないため、アンカー効果が低減しない。幅Wbが100μm以下であれば、接合膜230の十分な面積を確保することができる。
【0063】
また、ゲートパッド領域151内における接合膜230の面積は、ゲートパッド領域151の面積の5%以上、95%以下が好ましく、更に、50%以上80%以下が好ましい。尚、ゲートパッド領域151は、例えば、一辺が約100μmの正方形で形成されている。接合膜230の面積が5%未満であると密着性向上効果が薄く、95%より大きくなるとアンカー効果が薄くなる。更に、50%以上、80%以下とすることにより、接合膜230による密着性向上効果とアンカー効果による密着性向上効果の双方を十分に得ることができる。
【0064】
(炭化珪素半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態における炭化珪素半導体装置の製造方法について、
図17~
図22に基づき説明する。
【0065】
最初に、
図17に示されるように、不純物元素のイオン注入等が行われた炭化珪素半導体基板10の上に、ゲート絶縁膜20及びポリシリコン膜230aを順に形成する。
【0066】
次に、ポリシリコン膜230aの上に、不図示のレジストパターンを形成し、ポリシリコン膜230aの一部を除去することにより、
図18に示されるように、残存するポリシリコン膜230aにより、ゲート配線層30、接合膜230等を形成する。具体的には、ポリシリコン膜230aの上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、ポリシリコン膜230aが除去される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、RIE等により、レジストパターンの開口部におけるポリシリコン膜230aを除去する。この後、不図示のレジストパターンは有機溶剤等により除去する。このように形成される接合膜230は、幅が10μm、間隔が10μmのストライプ状に形成される。
【0067】
次に、
図19に示されるように、ゲート配線層30、接合膜230等の上に、層間絶縁膜140を形成する。層間絶縁膜140は、CVDにより酸化シリコンを成膜することにより形成する。
【0068】
次に、
図20に示されるように、層間絶縁膜140の一部を除去し、ゲート配線層30の一部及び接合膜230を露出させる。これにより、接合膜230と接合膜230との間に残存している層間絶縁膜140により凸部240が形成される。
【0069】
次に、
図21に示されるように、ゲートパッド層150及びソース電極層60を形成する。具体的には、露出しているゲート配線層30、接合膜230、層間絶縁膜140、凸部240の上に、Ti層、TiN層を順に積層した膜をスパッタリングにより成膜する。成膜されるTi層の膜厚は10nmであり、TiN層の膜厚は100nmである。この後、約700℃の温度で熱処理を行うことにより、ゲート配線層30及び接合膜230のSiと、ゲート配線層30及び接合膜230と接しているTi層のTiとを反応させてTiSi合金層を形成する。この後、TiN層の上に、AlSiCu層をスパッタリングにより成膜し、Tiを含む合金層であるTiSi合金層、TiN層、AlSiCu層が順に成膜された積層金属膜を形成する。この後、積層金属膜の上に、不図示のレジストパターンを形成する。レジストパターンは、ゲートパッド層150及びソース電極層60が形成される領域に形成され、レジストパターンの開口部における積層金属膜を除去することにより、ゲートパッド層150及びソース電極層60を形成する。
【0070】
次に、
図22に示すように、SiNによりパッシベーション膜70を成膜し、パッシベーション膜70の一部を除去することにより、ゲートパッド領域151及びソースパッド領域61を形成する。これにより、ゲートパッド層150において、パッシベーション膜70が開口している領域に、ゲートパッド領域151が形成され、ソース電極層60において、パッシベーション膜70が開口している領域に、ソースパッド領域61が形成される。
【0071】
(変形例)
また、本実施形態は、
図23に示されるように、接合膜231は、基板面に対し上面視した形状が、円形となるように形成されたものであってもよい。この場合、ゲートパッド領域151において、接合膜231が形成されていない部分に凸部が形成される。
【0072】
この場合においては、接合膜231の直径は約10μmであり、隣り合う接合膜231の最短距離は約10μmである。接合膜231の直径は、0.5μm以上100μm以下が好ましい。また、隣り合う接合膜231の最短距離は、0.5μm以上100μm以下が好ましい。
【0073】
接合膜231は、基板面に対し上面視した形状が、三角形、四角形等の多角形のものであってもよい。
【0074】
尚、上記以外の内容については、第1の実施形態と同様である。
【0075】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
10 炭化珪素半導体基板
20 ゲート絶縁膜
30 ゲート配線層
31 ゲート電極
40 層間絶縁膜
50 ゲートパッド層
51 ゲートパッド領域
60 ソース電極層
61 ソースパッド領域
70 パッシベーション膜
90 ドレイン電極
130 接合膜
130a ポリシリコン膜
140 層間絶縁膜
150 ゲートパッド層
151 ゲートパッド領域
152 Ti層
153 TiN層
154 TiSi合金層
155 AlSiCu層
230 接合膜
230a ポリシリコン膜
231 接合膜
240 凸部
240a 上面
240b 側面
310 炭化珪素単結晶基板
310a 第1の主面
310b 第2の主面
321 第1のn型層
322 p型層
323 第2のn型層
324 高濃度p型領域