(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】端末装置、広告配信保証方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0241 20230101AFI20240903BHJP
【FI】
G06Q30/0241
(21)【出願番号】P 2021550783
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2019038641
(87)【国際公開番号】W WO2021064832
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】中川 紗菜美
(72)【発明者】
【氏名】梶ヶ谷 圭祐
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-350717(JP,A)
【文献】特開2018-156284(JP,A)
【文献】特開2016-072879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面上での視聴者による広告コンテンツの視聴を可能にする端末装置であって、
広告配信保証装置と、情報処理部と、を備え、
前記広告配信保証装置は、
前記画面上に広告コンテンツが表示されている場合に、前記広告コンテンツが前記視聴者に視聴されたとして、前記情報処理部に、視聴された前記広告コンテンツについての視聴証明を作成させる、視聴証明作成部と、
作成された前記視聴証明を、前記広告コンテンツの広告主から確認できる状態にして、前記情報処理部に、作成された前記視聴証明を、ブロックチェーンデータベースへと記録させる、視聴証明記録部と、
を備え、
前記視聴証明作成部が、
署名鍵とそれに対応する検証鍵とを作成し、そして、前記情報処理部に対して、前記署名鍵を用いて第1のデジタル署名を作成させ、
複数の前記広告コンテンツが配信されてきた場合において、複数の前記広告コンテンツのいずれかが最初に前記視聴者に視聴されると、最初に視聴された前記広告コンテンツについて、前記情報処理部に、作成した前記第1のデジタル署名を付加させて前記視聴証明を作成させ、更に、残りの前記広告コンテンツについて視聴されると、前記情報処理部に、視聴の度に、前記視聴証明を更新させ、
更に、前記広告コンテンツを配信する広告配信システムに、前記視聴証明の作成及び更新の度に、前記第1のデジタル署名が付加された前記視聴証明を送信し、送信した前記視聴証明に、前記広告配信システムによる第2のデジタル署名を付加させ、
前記視聴証明記録部が、
前記検証鍵を前記広告主の端末装置に送信し、公開鍵基盤に当該端末装置と前記検証鍵との関係を保証させることによって、前記視聴証明を、前記広告コンテンツの広告主から確認できる状態とし、
前記情報処理部に、前記第1のデジタル署名及び前記広告配信システムによる前記第2のデジタル署名が付加され、且つ、最新である、前記視聴証明を、前記ブロックチェーンデータベースへと記録させる、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の端末装置であって、
前記視聴証明作成部が、単一の前記広告コンテンツが配信される度に、前記情報処理部に、前記第1のデジタル署名が付加された前記視聴証明を作成させ、
前記視聴証明記録部が、単一の前記広告コンテンツが配信される度に、前記視聴者の端末装置に、前記視聴証明を、前記ブロックチェーンデータベースへと記録させる、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項3】
画面上での視聴者による広告コンテンツの視聴を可能にする端末装置が実行する方法であって、
(a)前記画面上に広告コンテンツが表示されている場合に、前記広告コンテンツが前記視聴者に視聴されたとして、前記端末装置が、視聴された前記広告コンテンツについての視聴証明を作成し、
(b)作成された前記視聴証明を、前記広告コンテンツの広告主から確認できる状態にして、前記端末装置が、作成された前記視聴証明を、ブロックチェーンデータベースへと記録し、
(c)前記端末装置が、署名鍵とそれに対応する検証鍵とを作成し、そして
、前記署名鍵を用いて第1のデジタル署名を作成し、
(d)複数の前記広告コンテンツが配信されてきた場合において、複数の前記広告コンテンツのいずれかが最初に前記視聴者に視聴されると、最初に視聴された前記広告コンテンツについて、前記端末装置が、作成した前記第1のデジタル署名を付加して前記視聴証明を作成し、更に、残りの前記広告コンテンツについて視聴されると、前記端末装置が、視聴の度に、前記視聴証明を更新し、
(e)前記端末装置が、更に、前記広告コンテンツを配信する広告配信システムに、前記視聴証明の作成及び更新の度に、前記第1のデジタル署名が付加された前記視聴証明を送信し、送信した前記視聴証明に、前記広告配信システムによる第2のデジタル署名を付加し、
前記(b)において、
前記端末装置が、前記検証鍵を前記広告主の端末装置に送信し、公開鍵基盤に当該端末装置と前記検証鍵との関係を保証させることによって、前記視聴証明を、前記広告コンテンツの広告主から確認できる状態とし、前記第1のデジタル署名及び前記広告配信システムによる前記第2のデジタル署名が付加され、且つ、最新である、前記視聴証明を、前記ブロックチェーンデータベースへと記録する、
ことを特徴とする広告配信保証方法。
【請求項4】
コンピュータに、画面上での視聴者による広告コンテンツの視聴を可能にするためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記画面上に広告コンテンツが表示されている場合に、前記広告コンテンツが前記視聴者に視聴されたとして、視聴された前記広告コンテンツについての視聴証明を作成させる、ステップと、
(b)作成された前記視聴証明を、前記広告コンテンツの広告主から確認できる状態にして、作成された前記視聴証明を、ブロックチェーンデータベースへと記録させる、ステップと、
(c)署名鍵とそれに対応する検証鍵とを作成させ、そして、前記署名鍵を用いて第1のデジタル署名を作成させる、ステップと、
(d)複数の前記広告コンテンツが配信されてきた場合において、複数の前記広告コンテンツのいずれかが最初に前記視聴者に視聴されると、最初に視聴された前記広告コンテンツについて、作成された前記第1のデジタル署名を付加させて前記視聴証明を作成させ、更に、残りの前記広告コンテンツについて視聴されると、視聴の度に、前記視聴証明を更新させる、ステップと、
(d)更に、前記広告コンテンツを配信する広告配信システムへと、前記視聴証明の作成及び更新の度に、前記第1のデジタル署名が付加された前記視聴証明を送信させ、送信した前記視聴証明に、前記広告配信システムによる第2のデジタル署名を付加させる、ステップと、
を実行させ、
前記(b)のステップにおいて、
前記検証鍵を前記広告主の端末装置に送信させ、公開鍵基盤に当該端末装置と前記検証鍵との関係を保証させることによって、前記視聴証明を、前記広告コンテンツの広告主から確認できる状態とさせて、前記第1のデジタル署名及び前記広告配信システムによる前記第2のデジタル署名が付加され、且つ、最新である、前記視聴証明を、前記ブロックチェーンデータベースへと記録させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告配信保証装置及び広告配信保証方法に関し、更には、これらを実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザにWeb上で提供されるWebサービス等においては、広告の配信が行われている。例えば、YouTube(登録商標)等の動画配信サービスでは、動画の視聴前、視聴中に、広告コンテンツが配信されている。また、このような、動画配信サービスでの広告配信においては、広告料が、広告を配信した回数に応じて、配信サービスの提供業者と動画作成元であるyoutuber等とに分配される。
【0003】
但し、現在、広告料を払う広告主及び動画作成元等が、実際に広告コンテンツが視聴者に配信されているかどうかを確認する仕組みはなく、広告コンテンツが配信された回数の確認は、広告を配信する主体である広告配信会社からの報告のみによって行われている。
【0004】
しかしながら、広告を受け取る視聴者は、広告をブロックするアドブロックの機能等を用いている場合がある。この場合、広告の配信回数はカウントされているが、実際には広告は配信されていない状態にある。また、広告主及び動画作成元が広告配信の回数を確認できないことを悪用して、広告配信を行う広告配信会社が、広告の配信回数について虚偽の報告をする可能性もある。実際に虚偽の申告が行われた事例がある(非特許文献1参照)。
【0005】
このため、そういった広告配信の正規の回数を改ざんなく管理するためにブロックチェーン技術を用いた広告配信管理システムが提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】“電通、デジタル広告問題を精査 不正1.1億円に上る”,[online],2017年1月17日,IT mediaビジネスONLiNE,[令和元年9月19日検索],インターネット<URL:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1701/17/news142.html>
【文献】“ブロックチェーン活用による日本初のデジタル広告効果透明化実証実験を開始”,[online],2017年4月25日,D.A.Consortium,[令和元年9月19日検索],インターネット<URL:https://m.dac.co.jp/sp/press/2017/20170424_blockchain>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ブロックチェーン技術では、特徴の一つして、登録したデータに対しての改ざん耐性があるとされているが、データの内容に関しては保証されない。そのため、上記非特許文献2に開示された広告配信管理システムが導入されたとしても、広告配信側がブロックチェーンへのデータの書き込みを行う場合においては、広告配信側による虚偽報告が可能となってしまう。
【0008】
つまり、上記非特許文献2に開示された広告配信管理システムを用いてもなお、Webサービス上で広告コンテンツが配信されたことを、広告主に対して保証することができないという問題を解決することは困難である。
【0009】
本発明の目的の一例は、上記問題を解消し、Web上での広告コンテンツの配信において、広告視聴の履歴の改ざんを抑制しつつ、広告主による広告視聴の履歴の確認を可能にし得る、広告配信保証装置、広告配信保証方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における広告配信保証装置は、
広告コンテンツが視聴者の端末装置において視聴されたことを条件にして、前記視聴者の端末装置に、視聴された前記広告コンテンツについての視聴証明を作成させる、視聴証明作成部と、
作成された前記視聴証明を、前記広告コンテンツの広告主から確認できる状態にして、前記視聴者の端末装置に、作成された前記視聴証明を、ブロックチェーンデータベースへと記録させる、視聴証明記録部と、
を備えている、
ことを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面における広告配信保証方法は、
(a)広告コンテンツが視聴者の端末装置において視聴されたことを条件にして、前記視聴者の端末装置に、視聴された前記広告コンテンツについての視聴証明を作成させる、ステップと、
(b)作成された前記視聴証明を、前記広告コンテンツの広告主から確認できる状態にして、前記視聴者の端末装置に、作成された前記視聴証明を、ブロックチェーンデータベースへと記録させる、ステップと、
を有する、
ことを特徴とする。
【0012】
更に、上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるプログラムは、
コンピュータに、
(a)広告コンテンツが視聴者の端末装置において視聴されたことを条件にして、前記視聴者の端末装置に、視聴された前記広告コンテンツについての視聴証明を作成させる、ステップと、
(b)作成された前記視聴証明を、前記広告コンテンツの広告主から確認できる状態にして、前記視聴者の端末装置に、作成された前記視聴証明を、ブロックチェーンデータベースへと記録させる、ステップと、
を実行させる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、Web上での広告コンテンツの配信において、広告視聴の履歴の改ざんを抑制しつつ、広告主による広告視聴の履歴の確認を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1における広告配信保証装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態1における広告配信保証装置の構成を具体的に示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態1における広告配信保証装置の動作を示すフロー図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態2における広告配信保証装置の動作を示すフロー図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態1及び2における広告配信保証装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の概要)
現在、視聴者に提供された広告コンテンツが、実際に視聴者に視聴されたことを確認する手段は存在していない。また、広告配信の実績に関するデータを改ざんすることにメリットがある広告配信者のみが、広告配信の実績に関するデータを登録することができるシステムであると、虚偽のデータが登録されてしまう可能性がある。
【0016】
そこで、本発明では、データの改ざんについてメリットを持たない視聴者側で視聴証明が作成され、その視聴証明は広告配信側が改ざんできないようにブロックチェーンデータベースに書き込まれる。これにより、広告配信の実績に関するデータの信頼性が向上され、広告主に対して信頼性の高い広告配信の履歴を提供することができる。
【0017】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における、広告配信保証装置、広告配信保証方法、及びプログラムについて、
図1~
図3を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態1は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。特に、以下の説明、図面中に記載された画面のデザイン及びレイアウトは、あくまでも一例に過ぎず、本発明の用途やユーザの要望等に応じて適宜変更可能である。
【0018】
[装置構成]
最初に、
図1を用いて、本実施の形態1における広告配信保証装置の概略構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における広告配信保証装置の概略構成を示すブロック図である。
【0019】
図1に示す、本実施の形態1における広告配信保証装置10は、広告主が作成した広告コンテンツが視聴者に配信されたことを保証する装置である。
図1に示すように、広告配信保証装置10は、視聴証明作成部11と、視聴証明記録部12とを備えている。
【0020】
視聴証明作成部11は、広告コンテンツが視聴者の端末装置において視聴されたことを条件にして、視聴者の端末装置に、視聴された広告コンテンツについての視聴証明を作成させる。また、視聴証明記録部12は、作成された視聴証明を、広告コンテンツの広告主から確認できる状態して、視聴者の端末装置に、作成された視聴証明を、ブロックチェーンデータベースに記録させる。
【0021】
このように、本実施の形態1では、広告配信保証装置10は、視聴者が広告コンテンツを視聴すると、視聴者の端末装置に、そのことを証明する視聴証明を作成させる。更に、作成した視聴証明を、広告主が確認できるようにして、視聴者の端末装置に、改ざんが困難なブロックチェーンへの書き込みを行わせる。このため、本実施の形態1によれば、Web上での広告コンテンツの配信において、広告視聴の履歴の改ざんが抑制され、その上で、広告主による広告視聴の履歴の確認が可能となる。
【0022】
続いて、
図2を用いて、本実施の形態1における広告配信保証装置10の構成について具体的に説明する。
図2は、本発明の実施の形態1における広告配信保証装置の構成を具体的に示すブロック図である。
【0023】
図2に示すように、本実施の形態1では、広告配信保証装置10は、視聴者の端末装置(以下「視聴者端末」と表記する)20の一部として構築されている。具体的には、広告配信保証装置10は、視聴者端末20のオペレーションシステム(OS)上で動作するプログラムによって構築されている。なお、このプログラムについては後述する。
【0024】
また、
図2に示すように、本実施の形態1では、広告配信保証装置10を構築する視聴者端末20は、インターネット等のネットワークを介して、広告配信システム30及びブロックチェーンデータベース50に接続されている。
【0025】
広告配信システム30は、広告主がその端末装置(以下「広告主端末」と表記する)40から送信してきた広告コンテンツを受け取り、これを登録する。また、広告配信システムは、登録した広告コンテンツを、Web上で視聴者端末20に送信する。
【0026】
また、ブロックチェーンデータベース50は、分散型ネットワークであるブロックチェーンによって構築されたデータベースである。ブロックチェーンデータベース50では、設定時間毎に、発生しているトランザクションがいくつか集められて、ブロックと呼ばれるデータの塊が作成され、ブロック毎に登録が行われる。そして、各ブロックには、それ以前のブロック全体のダイジェストデータが含められる。ダイジェストデータはハッシュ関数によって得られるハッシュ値である。このため、あるブロックを改ざんすると、そのブロック全体のハッシュ値が変わってしまい、次のブロックが持っているダイジェストデータとの不整合が生じるので、ブロックチェーンデータベース50に記録されたデータの改ざんは困難となる。
【0027】
また、
図2に示すように、視聴者端末20は、広告配信保証装置10に加えて、情報処理部21と、記憶部22とを備えている。このうち、情報処理部21は、広告配信保証装置10と同様に、視聴者端末20のOS上で動作するプログラムによって構築されている。情報処理部21は、広告配信保証装置10からの指示に応じて、視聴証明の作成及び記録等を実行する。記憶部22は、視聴者端末20に備えられたメモリ等の記憶装置によって構築されている。
【0028】
また、情報処理部21は、広告配信システム30から広告コンテンツが配信されてくると、配信されてきた広告コンテンツを取得し、取得した広告コンテンツ、具体的には動画データを再生する。これにより、視聴者端末20の画面(
図2において図示せず)上に広告コンテンツが表示される。
【0029】
視聴証明作成部11は、本実施の形態1では、例えば、上述したように視聴者端末20の画面上に広告コンテンツが表示されている場合に、広告コンテンツが視聴されたと判断する。そして、この場合、視聴証明作成部11は、視聴者端末20の情報処理部21に、視聴証明を作成させる。
【0030】
具体的には、視聴証明作成部11は、署名鍵(秘密鍵)とそれに対応する検証鍵(公開鍵)とを作成し、このうち、署名鍵を、視聴者端末20の記憶部22に格納する。そして、視聴証明作成部11は、視聴者端末20の情報処理部21に、署名鍵を用いさせて、デジタル署名を作成させる。次いで、広告コンテンツが視聴されると、視聴証明作成部11は、視聴者端末20に、視聴された広告コンテンツの視聴証明を作成させ、作成した視聴証明に、上述のデジタル証明を付加させる。
【0031】
この場合、視聴証明は、視聴された広告コンテンツを特定できる情報で構成されていれば良い。視聴証明としては、例えば、視聴された広告コンテンツから得られたハッシュ値と、識別子(広告ID)と、視聴された時刻を特定する時刻情報との組合せ等が挙げられる。
【0032】
また、視聴証明記録部12は、本実施の形態1では、検証鍵を広告主(広告主端末40)が取得できる状態とする。具体的には、視聴証明記録部12は、検証鍵を、広告主端末40に送信すると共に、PKI(Public Key Infrastructure)基盤等の公開鍵基盤に、視聴者端末20と検証鍵との関係を保証させる。そして、視聴証明記録部12は、視聴者端末20の情報処理部21に、作成したデジタル署名を、ブロックチェーンデータベース50へと記録させる。
【0033】
更に、本実施の形態1では、視聴証明作成部11は、単一の広告コンテンツが配信される度に、視聴者端末20の情報処理部21に、デジタル署名を作成させる。また、視聴証明記録部12は、単一の広告コンテンツが配信される度に、視聴者端末20の情報処理部に、デジタル署名のブロックチェーンデータベース50への記録を行わせる。
【0034】
[装置動作]
次に、本実施の形態1における広告配信保証装置10の動作について
図3を用いて説明する。
図3は、本発明の実施の形態1における広告配信保証装置の動作を示すフロー図である。以下の説明においては、適宜
図1及び
図2を参照する。また、本実施の形態1では、広告配信保証装置10を動作させることによって、広告配信保証方法が実施される。よって、本実施の形態
1における広告配信保証方法の説明は、以下の広告配信保証装置10の動作説明に代える。
【0035】
図3に示すように、最初に、視聴証明作成部11は、署名鍵(秘密鍵)とそれに対応する検証鍵(公開鍵)とを作成し、このうち、署名鍵を、視聴者端末20の記憶部22に格納する(ステップA1)。
【0036】
次に、視聴証明作成部11は、視聴者端末20の情報処理部21に、記憶部22に格納された署名鍵を取得させ、取得した署名鍵を用いたデジタル署名の作成を実行させる(ステップA2)。
【0037】
次に、視聴証明記録部12は、ステップA1で作成された検証鍵を広告主(広告主端末40)が取得できる状態とするため、検証鍵を、広告主端末40に送信すると共に、公開鍵基盤に、視聴者端末20と検証鍵との関係を保証させる(ステップA3)。
【0038】
次に、視聴証明作成部11は、視聴者端末20において、広告配信システム30から配信されてきた広告コンテンツが視聴されたかどうかを判定する(ステップA4)。例えば、視聴証明作成部11は、視聴者端末20の情報処理部21が実行するコードを取得し、取得したコードを解析して、情報処理部21によって広告コンテンツが再生されたかどうかを判定する。
【0039】
ステップA4の判定の結果、視聴者端末20において広告コンテンツが視聴されていない場合は、視聴証明作成部11は、待機状態となり、設定時間の経過後に、再度ステップA4を実行する。
【0040】
一方、ステップA4の判定の結果、視聴者端末20において広告コンテンツが視聴されている場合は、視聴証明作成部11は、視聴者端末20の情報処理部21に、視聴済の広告コンテンツの視聴証明を作成させる(ステップA5)。
【0041】
具体的には、情報処理部21は、視聴証明の作成が指示されると、例えば、視聴された広告コンテンツのハッシュ値を算出し、算出したハッシュ値と、視聴された広告コンテンツの識別子と、視聴された時刻を特定する時刻情報とを合わせて、視聴証明とする。
【0042】
次に、視聴証明作成部11は、視聴者端末20の情報処理部21に対して、ステップA5で作成された視聴証明に、ステップA2で作成されたデジタル署名を付加させる(ステップA6)。
【0043】
次に、視聴証明記録部12は、視聴者端末20に、ステップA5によって視聴者端末20によるデジタル署名が付加された視聴証明を、ブロックチェーンデータベース50へと記録させる(ステップA7)。
【0044】
その後、視聴証明記録部12は、広告主端末40に対して、新たに視聴証明がブロックチェーンデータベース50に記録されたことを通知する(ステップA8)。
【0045】
ステップA8が実行されると、広告主は、広告主端末40を介して、検証鍵を取得し、そして、ブロックチェーンデータベース50にアクセスすることで、自身の広告コンテンツが視聴されたことを確認することができる。また、ブロックチェーンデータベース50に記録されている視聴証明には、視聴者による署名が付加されているので、広告主は、視聴証明が改ざんされていることを心配する必要がない。
【0046】
[実施の形態1による効果]
以上のように、本実施の形態1によれば、Web上での広告コンテンツの配信において、広告視聴の履歴の改ざんが抑制され、その上で、広告主による広告視聴の履歴の確認が可能となる。
【0047】
また、本実施の形態1においては、秘密鍵である署名鍵と公開鍵である検証鍵とを用いて、視聴証明が視聴者によって作成されたことを保証しているが、本実施の形態1は、この形態に限定されるものではない。本実施の形態1では、視聴証明が視聴者によって作成されたことを保証する別の手段が用いられていても良い。
【0048】
[プログラム]
本発明の実施の形態1におけるプログラムは、コンピュータに、
図3に示すステップA1~A8を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態1における広告配信保証装置10と広告配信保証方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのプロセッサは、視聴証明作成部11、及び視聴証明記録部12として機能し、処理を行なう。また、この場合のコンピュータは、例えば、視聴者端末を構成するコンピュータであっても良いし、視聴者端末とは別のコンピュータであっても良い。
【0049】
また、本実施の形態1におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されても良い。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、視聴証明作成部11、及び視聴証明記録部12のいずれかとして機能しても良い。
【0050】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における、広告配信保証装置、広告配信保証方法、及びプログラムについて、
図4を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態2も、実施の形態1と同様に、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。特に、以下の説明や図面中に記載された画面のデザイン及びレイアウトは、あくまでも一例に過ぎず、本発明の用途やユーザの要望等に応じて適宜変更可能である。
【0051】
[装置構成]
まず、本実施の形態2における広告配信保証装置は、
図1及び
図2に示した実施の形態1における広告配信保証装置と同様の構成を備えている。よって、以下の説明では、
図1及び
図2を参照する。
【0052】
但し、本実施の形態2においては、実施の形態1と異なり、広告配信システム30から複数の広告コンテンツが配信されてきた場合において、複数の広告コンテンツを束とする処理が行われる。本実施の形態2では、視聴証明作成部11は、この場合において、視聴者端末20で、複数の広告コンテンツのいずれかが最初に視聴されると、最初に視聴された広告コンテンツについて、視聴者端末20に、デジタル署名が付加された視聴証明を作成させる。更に、視聴証明作成部11は、視聴者端末20で残りの広告コンテンツについて視聴されると、その視聴の度に、視聴者端末20に、視聴証明を更新させる。
【0053】
本実施の形態2では、視聴証明記録部12は、広告配信システム30から複数の広告コンテンツが配信されてきた場合に、視聴者端末20に、最新の視聴証明を、ブロックチェーンデータベース50へと記録させる。
【0054】
また、本実施の形態2では、視聴証明に対して、広告配信システム30によるデジタル署名も行われる。広告配信システム30によるデジタル署名は、広告配信システム30自身の署名鍵によって行われる。更に、広告配信システム30は、自身の署名鍵に対応する検証鍵を広告主端末40に送信すると共に、自身とその検証鍵との関係を公開鍵基盤に保証させる。
【0055】
更に、本実施の形態2では、視聴証明作成部11は、視聴者端末20と、広告配信システム30とに、両者間におけるチャネルを形成させる。より詳細には、オフチェーン技術で用いられているチャネル形成が行われる。
【0056】
この場合、視聴証明作成部11は、視聴者端末20での視聴証明の作成及び更新の度に、形成されたチャネルを介して、広告配信システム30にも、視聴者端末20によるデジタル署名が付加された視聴証明を送信し、広告配信システム30に対して、この視聴証明へのデジタル署名の付加を行わせる。また、これにより、広告配信システム30は、チャネルを介して、新たにデジタル署名が付加された視聴証明を返信する。
【0057】
また、このようなチャネルを介した視聴証明のやり取りは、広告配信システム30から複数の広告コンテンツが配信されてきた場合に、配信されてきた広告コンテンツの数だけ行われる。この結果、視聴証明の作成及び更新が行われ、その度に、視聴者端末20と広告配信システム30とによるデジタル署名が行われる。その後、視聴証明記録部12は、視聴者端末20に、両者のデジタル署名が付加された最新の視聴証明を、ブロックチェーンデータベース50へと記録させる。
【0058】
[装置動作]
次に、本実施の形態2における広告配信保証装置の動作について
図4を用いて説明する。
図4は、本発明の実施の形態2における広告配信保証装置の動作を示すフロー図である。以下の説明においては、適宜
図1及び
図2を参照する。また、本実施の形態2でも、広告配信保証装置を動作させることによって、広告配信保証方法が実施される。よって、本実施の形態2における広告配信保証方法の説明は、以下の広告配信保証装置の動作説明に代える。
【0059】
図4に示すように、最初に、視聴証明作成部11は、署名鍵(秘密鍵)とそれに対応する検証鍵(公開鍵)とを作成し、このうち、署名鍵を、視聴者端末20の記憶部22に格納する(ステップB1)。
【0060】
次に、視聴証明作成部11は、視聴者端末20と、広告配信システム30とに、両者間におけるチャネルを形成させる(ステップB2)。
【0061】
次に、視聴証明作成部11は、視聴者端末20の情報処理部21に、記憶部22に格納された署名鍵を取得させ、取得した署名鍵を用いたデジタル署名の作成を実行させる(ステップB3)。
【0062】
次に、視聴証明記録部12は、ステップB2で作成された検証鍵を広告主(広告主端末40)が取得できる状態とするため、検証鍵を、広告主端末40に送信すると共に、公開鍵基盤に、視聴者端末20と検証鍵との関係を保証させる(ステップB4)。
【0063】
次に、視聴証明作成部11は、広告配信システム30から視聴者端末20に指定数(複数)の広告コンテンツが配信されているかどうかを判定する(ステップB5)。
【0064】
ステップB5の判定の結果、広告配信システム30から視聴者端末20に指定の広告コンテンツが配信されていない場合は、視聴証明作成部11は、待機状態となり、設定時間の経過後に、再度ステップB5を実行する。
【0065】
一方、ステップB5の判定の結果、広告配信システム30から視聴者端末20に指定数の広告コンテンツが配信されている場合は、視聴証明作成部11は、そのうちの1つの広告コンテンツを選択する(ステップB6)。
【0066】
次に、視聴証明作成部11は、視聴者端末20において、ステップB6で選択した広告コンテンツが視聴されたかどうかを判定する(ステップB7)。
【0067】
ステップB7の判定の結果、視聴者端末20において、ステップB6で選択した広告コンテンツが視聴されていない場合は、視聴証明作成部11は、再度ステップB6を実行して、別の広告コンテンツを選択する。
【0068】
一方、ステップB7の判定の結果、視聴者端末20において、ステップB6で選択した広告コンテンツが視聴されている場合は、視聴証明作成部11は、視聴者端末20の情報処理部21に、視聴済の広告コンテンツの視聴証明を作成又は更新させる(ステップB8)。
【0069】
具体的には、情報処理部21は、視聴証明の作成又は更新が指示されると、視聴された広告コンテンツのハッシュ値を算出し、これ以前に作成された視聴証明があるときは、先に算出したハッシュ値と今回算出したハッシュ値とを合わせて、最新のハッシュ値とする。そして、情報処理部21は、最新のハッシュ値と、これまでに視聴された広告コンテンツの識別子のリストと、各広告コンテンツの視聴された時刻を特定する時刻情報とを合わせて、視聴証明とする。
【0070】
次に、視聴証明作成部11は、視聴者端末20の情報処理部21に対して、ステップB8で作成された視聴証明に、ステップB3で作成されたデジタル署名を付加させる(ステップB9)。
【0071】
次に、視聴証明作成部11は、チャネルを介して、広告配信システム30に対して、ステップB8で作成された視聴証明を送信して、広告配信システム30にも署名を付加させる(ステップB10)。
【0072】
ステップB10が実行されると、広告配信システム30は、送信されてきた視聴証明に、自身の有する署名鍵によってデジタル署名を付加させ、チャネルを介して、新たにデジタル署名を付加した視聴証明を返信する。また、広告配信システム30は、自身の署名鍵に対応する検証鍵を広告主端末40に送信すると共に、自身とその検証鍵との関係を公開鍵基盤に保証させる。
【0073】
次に、視聴証明作成部11は、ステップB5で配信されてきたと判定された指定数の広告コンテンツ全てに対して、ステップB6~B10の処理が全て終了しているかどうかを判定する(ステップB11)。
【0074】
ステップB11の判定の結果、指定数の広告コンテンツ全てに対して、ステップB6~B10の処理が全て終了していない場合は、視聴証明作成部11は、再度ステップB6を実行して、別の広告コンテンツを選択する。
【0075】
一方、ステップB11の判定の結果、指定数の広告コンテンツ全てに対して、ステップB6~B10の処理が全て終了しているとする。この場合は、視聴証明作成部11は、視聴者端末20と、広告配信システム30とに、両者間におけるチャネルをクローズさせる(ステップB12)。
【0076】
次に、視聴証明記録部12は、視聴者端末20に対して、視聴者端末20及び広告配信システム30の両方によるデジタル署名が付加された最新の視聴証明を、ブロックチェーンデータベース50へと記録させる(ステップB13)。
【0077】
その後、視聴証明記録部12は、広告主端末40に対して、視聴証明がブロックチェーンデータベース50に記録されたことを通知する(ステップB14)。
【0078】
ステップB14が実行されると、広告主は、広告主端末40を介して、検証鍵を取得し、そして、ブロックチェーンデータベース50にアクセスすることで、自身の広告コンテンツが視聴されたことを確認することができる。また、ブロックチェーンデータベース50に記録されている視聴証明には、視聴者による署名が付加されているので、広告主は、視聴証明が改ざんされていることを心配する必要がない。
【0079】
[実施の形態2における効果]
以上のように、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、Web上での広告コンテンツの配信において、広告視聴の履歴の改ざんが抑制され、その上で、広告主による広告視聴の履歴の確認が可能となる。また、本実施の形態2では、複数の広告コンテンツに対応する視聴証明が、ブロックチェーンデータベース50に登録され、広告コンテンツ毎に視聴証明が登録されるわけではない。このため、本実施の形態2によれば、トランザクション数の増加を抑制でき、広告配信保証装置10における処理負担、ひいては視聴者端末20における処理負担を軽減することができる。
【0080】
[具体例]
続いて、実施の形態2の具体例について、
図4を参照しながら以下に説明する。また、以下の例においては、広告配信システム30が、視聴者端末20に対して、広告主端末40から送られてきた別々の広告コンテンツを複数回送信している。
【0081】
まず、広告配信者及び視聴者は、同一のブロックチェーンデータベース50のアカウントを有している。このため、視聴証明作成部11は、ブロックチェーンデータベース50に対してローカルでデータを作成するためのチャネルを、視聴者端末20と広告配信システム30とに形成させる。また、チャネル上では、視聴者端末20及び広告配信システム30は署名鍵を用いて署名を行う。更に、視聴者端末20及び広告配信システム30それぞれと、それぞれの検証鍵との関係は、公開鍵基盤によって保証される。
【0082】
広告配信システム30は、複数の広告コンテンツMを視聴者端末20に対して配信する。この時、広告配信システムは、広告コンテンツMと同時に、その広告コンテンツを識別するための識別子として、広告ID(M_i)を送信する。
【0083】
そして、視聴証明作成部11は、配信されてきた広告コンテンツのうちの1つを選択し、選択した広告コンテンツが視聴者端末20で視聴されていた場合は、視聴者端末20に、視聴されていた広告コンテンツMのハッシュ値M_Hを計算させる。また、先に視聴されていた広告コンテンツについてハッシュ値が計算されている場合は、視聴者端末20は、先に計算したハッシュ値と、今回計算したハッシュ値とを合わせて、最新のハッシュ値M_Hとする。
【0084】
また、この場合、視聴者端末20は、視聴された広告コンテンツのリストを作成するため、変数M_listを設定し、M_List={M_i}とする。そして、視聴者端末20は、ハッシュ値M_H、M_List、及び視聴時刻を特定する時刻情報Tとで、視聴証明Proof_Aを作成し、これに、デジタル署名を付加する。
【0085】
また、視聴者端末20は、視聴証明Proof_Aを作成すると、視聴証明作成部11の指示により、デジタル署名を付加した後、これを、チャネルを介して、広告配信システム30に送信する。更に、このとき、視聴者端末20は、視聴証明Proof_Aと共に、現在のチャネル上でのやり取りのバージョンを示す変数Verも、広告配信システム30に送信する。
【0086】
広告配信システム30は、視聴証明が送信されてくると、検証鍵を用いて、それに付加されているデジタル署名を検証し、検証できた場合は、視聴証明Proof_AとVerとに対して、自身の有する署名鍵によって新たなデジタル署名を付加する。そして、広告配信システム30は、チャネルを介して、新たにデジタル署名を付加した、視聴証明Proof_AとVerとを返信する。
【0087】
視聴者端末20による視聴証明の作成及び署名と、広告配信システム30による署名とは、配信されてきた広告コンテンツが視聴された分だけ、繰り返し行われる。また、視聴証明Proof_AとVerとは、その度に更新される。そして、視聴者端末20が、視聴証明Proof_AとVerとをブロックチェーンデータベース50に登録するタイミングで、視聴者端末20と広告配信システム30とは、チャネルのクローズ処理を行う。また、この場合、ブロックチェーンデータベース50には、最新版のProof_AとVerとが、視聴者端末20と広告配信システム30との署名が付加された状態で、登録される。
【0088】
その後、広告主は、広告主端末40を介して、ブロックチェーンデータベース50に登録されている最新版のProof_AとVerとの署名を、公開鍵基盤で確認した視聴者端末20の検証鍵を使って検証し、実際に広告コンテンツが視聴されたことを確認する。
【0089】
なお、上述の具体例は、チャネルを形成することによって、視聴証明をまとめて作成しているが、本実施の形態2では、チャネルを形成せずに、視聴証明がまとめて作成されても良い。また、叙述の設定数は「1」であっても良い。更に、視聴証明の作成に、時刻情報Tは用いられなくても良い。但し、時刻情報Tを用いた場合は、視聴証明が再利用されてしまうことを防ぐことができる。
【0090】
[プログラム]
本発明の実施の形態2におけるプログラムは、コンピュータに、
図4に示すステップB1~B14を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態2における広告配信保証装置と広告配信保証方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのプロセッサは、視聴証明作成部11、及び視聴証明記録部12として機能し、処理を行なう。また、この場合のコンピュータは、例えば、視聴者端末を構成するコンピュータであっても良いし、視聴者端末とは別のコンピュータであっても良い。
【0091】
また、本実施の形態2におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されても良い。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、視聴証明作成部11、及び視聴証明記録部12のいずれかとして機能しても良い。
【0092】
(物理構成)
ここで、実施の形態1及び2におけるプログラムを実行することによって、広告配信保証装置を実現するコンピュータについて
図5を用いて説明する。
図5は、本発明の実施の形態1及び2における広告配信保証装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0093】
図5に示すように、コンピュータ110は、CPU(Central Processing Unit)111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。なお、コンピュータ110は、CPU111に加えて、又はCPU111に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)を備えていても良い。
【0094】
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施の形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施の形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであっても良い。
【0095】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクドライブの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。
【0096】
データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0097】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))及びSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記録媒体、又はCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記録媒体が挙げられる。
【0098】
なお、本実施の形態における広告配信保証装置は、プログラムがインストールされたコンピュータではなく、各部に対応したハードウェアを用いることによっても実現可能である。更に、広告配信保証装置は、一部がプログラムで実現され、残りの部分がハードウェアで実現されていてもよい。
【0099】
上述した実施の形態の一部又は全部は、以下に記載する(付記1)~(付記18)によって表現することができるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0100】
(付記1)
広告コンテンツが視聴者の端末装置において視聴されたことを条件にして、前記視聴者の端末装置に、視聴された前記広告コンテンツについての視聴証明を作成させる、視聴証明作成部と、
作成された前記視聴証明を、前記広告コンテンツの広告主から確認できる状態にして、前記視聴者の端末装置に、作成された前記視聴証明を、ブロックチェーンデータベースへと記録させる、視聴証明記録部と、
を備えている、
ことを特徴とする広告配信保証装置。
【0101】
(付記2)
付記1に記載の広告配信保証装置であって、
前記視聴証明作成部が、署名鍵とそれに対応する検証鍵とを作成し、そして、前記視聴者の端末装置に対して、前記署名鍵を用いてデジタル署名を作成させ、作成した前記デジタル署名を前記視聴証明に付加させ、
前記視聴証明記録部が、前記検証鍵を前記広告主が取得できる状態として、前記視聴者の端末装置に、前記デジタル署名が付加された前記視聴証明を、前記ブロックチェーンデータベースへと記録させる、
ことを特徴とする広告配信保証装置。
【0102】
(付記3)
付記2に記載の広告配信保証装置であって、
前記視聴証明作成部が、単一の前記広告コンテンツが配信される度に、前記視聴者の端末装置に、前記デジタル署名が付加された前記視聴証明を作成させ、
前記視聴証明記録部が、単一の前記広告コンテンツが配信される度に、前記視聴者の端末装置に、前記視聴証明を、前記ブロックチェーンデータベースへと記録させる、
ことを特徴とする広告配信保証装置。
【0103】
(付記4)
付記2に記載の広告配信保証装置であって、
前記視聴証明作成部が、複数の前記広告コンテンツが配信されてきた場合において、前記視聴者の端末装置で、複数の前記広告コンテンツのいずれかが最初に視聴されると、最初に視聴された前記広告コンテンツについて、前記視聴者の端末装置に、前記デジタル署名が付加された前記視聴証明を作成させ、更に、残りの前記広告コンテンツについて視聴されると、視聴の度に、前記視聴証明を更新させ、
前記視聴証明記録部が、前記複数の前記広告コンテンツが配信されてきた場合に、前記視聴者の端末装置に、最新の前記視聴証明を、前記ブロックチェーンデータベースへと記録させる、
ことを特徴とする広告配信保証装置。
【0104】
(付記5)
付記4のいずれかに記載の広告配信保証装置であって、
前記視聴証明作成部が、前記広告コンテンツを配信する広告配信システムに、前記視聴証明を作成及び更新の度に、前記デジタル署名が付加された前記視聴証明を送信し、送信した前記視聴証明に、前記広告配信システムによるデジタル署名を付加させ、
前記視聴証明記録部が、前記視聴者の端末装置に、前記視聴者の端末装置及び前記広告配信システムの両方によるデジタル署名が付加された最新の前記視聴証明を、前記ブロックチェーンデータベースへと記録させる、
ことを特徴とする広告配信保証装置。
【0105】
(付記6)
付記1~5のいずれかに記載の広告配信保証装置であって、
当該広告配信保証装置が、前記視聴者の端末装置の一部として構築されており、
前記視聴証明作成部が、前記視聴者の端末装置の画面上に前記広告コンテンツが表示されている場合に、前記広告コンテンツが視聴されたとして、前記視聴者の端末装置に、前記視聴証明を作成させる、
ことを特徴とする広告配信保証装置。
【0106】
(付記7)
(a)広告コンテンツが視聴者の端末装置において視聴されたことを条件にして、前記視聴者の端末装置に、視聴された前記広告コンテンツについての視聴証明を作成させる、ステップと、
(b)作成された前記視聴証明を、前記広告コンテンツの広告主から確認できる状態にして、前記視聴者の端末装置に、作成された前記視聴証明を、ブロックチェーンデータベースへと記録させる、ステップと、
を有する、
ことを特徴とする広告配信保証方法。
【0107】
(付記8)
付記7に記載の広告配信保証方法であって、
前記(a)のステップにおいて、署名鍵とそれに対応する検証鍵とを作成し、そして、前記視聴者の端末装置に対して、前記署名鍵を用いてデジタル署名を作成させ、作成した前記デジタル署名を前記視聴証明に付加させ、
前記(b)のステップにおいて、前記検証鍵を前記広告主が取得できる状態として、前記視聴者の端末装置に、前記デジタル署名が付加された前記視聴証明を、前記ブロックチェーンデータベースへと記録させる、
ことを特徴とする広告配信保証方法。
【0108】
(付記9)
付記8に記載の広告配信保証方法であって、
前記(a)のステップにおいて、単一の前記広告コンテンツが配信される度に、前記視聴者の端末装置に、前記デジタル署名が付加された前記視聴証明を作成させ、
前記(b)のステップにおいて、単一の前記広告コンテンツが配信される度に、前記視聴者の端末装置に、前記視聴証明を、前記ブロックチェーンデータベースへと記録させる、
ことを特徴とする広告配信保証方法。
【0109】
(付記10)
付記8に記載の広告配信保証方法であって、
前記(a)のステップにおいて、複数の前記広告コンテンツが配信されてきた場合において、前記視聴者の端末装置で、複数の前記広告コンテンツのいずれかが最初に視聴されると、最初に視聴された前記広告コンテンツについて、前記視聴者の端末装置に、前記デジタル署名が付加された前記視聴証明を作成させ、更に、残りの前記広告コンテンツについて視聴されると、視聴の度に、前記視聴証明を更新させ、
前記(b)のステップにおいて、前記複数の前記広告コンテンツが配信されてきた場合に、前記視聴者の端末装置に、最新の前記視聴証明を、前記ブロックチェーンデータベースへと記録させる、
ことを特徴とする広告配信保証方法。
【0110】
(付記11)
付記10のいずれかに記載の広告配信保証方法であって、
前記(a)のステップにおいて、前記広告コンテンツを配信する広告配信システムに、前記視聴証明を作成及び更新の度に、前記デジタル署名が付加された前記視聴証明を送信し、送信した前記視聴証明に、前記広告配信システムによるデジタル署名を付加させ、
前記(b)のステップにおいて、前記視聴者の端末装置に、前記視聴者の端末装置及び前記広告配信システムの両方によるデジタル署名が付加された最新の前記視聴証明を、前記ブロックチェーンデータベースへと記録させる、
ことを特徴とする広告配信保証方法。
【0111】
(付記12)
付記7~11のいずれかに記載の広告配信保証方法であって、
当該広告配信保証方法が、前記視聴者の端末装置によって実行され、
前記(a)のステップにおいて、前記視聴者の端末装置の画面上に前記広告コンテンツが表示されている場合に、前記広告コンテンツが視聴されたとして、前記視聴者の端末装置に、前記視聴証明を作成させる、
ことを特徴とする広告配信保証方法。
【0112】
(付記13)
コンピュータに、
(a)広告コンテンツが視聴者の端末装置において視聴されたことを条件にして、前記視聴者の端末装置に、視聴された前記広告コンテンツについての視聴証明を作成させる、ステップと、
(b)作成された前記視聴証明を、前記広告コンテンツの広告主から確認できる状態にして、前記視聴者の端末装置に、作成された前記視聴証明を、ブロックチェーンデータベースへと記録させる、ステップと、
を実行させる、プログラム。
【0113】
(付記14)
付記13に記載のプログラムであって、
前記(a)のステップにおいて、署名鍵とそれに対応する検証鍵とを作成し、そして、前記視聴者の端末装置に対して、前記署名鍵を用いてデジタル署名を作成させ、作成した前記デジタル署名を前記視聴証明に付加させ、
前記(b)のステップにおいて、前記検証鍵を前記広告主が取得できる状態として、前記視聴者の端末装置に、前記デジタル署名が付加された前記視聴証明を、前記ブロックチェーンデータベースへと記録させる、
ことを特徴とするプログラム。
【0114】
(付記15)
付記14に記載のプログラムであって、
前記(a)のステップにおいて、単一の前記広告コンテンツが配信される度に、前記視聴者の端末装置に、前記デジタル署名が付加された前記視聴証明を作成させ、
前記(b)のステップにおいて、単一の前記広告コンテンツが配信される度に、前記視聴者の端末装置に、前記視聴証明を、前記ブロックチェーンデータベースへと記録させる、
ことを特徴とするプログラム。
【0115】
(付記16)
付記14に記載のプログラムであって、
前記(a)のステップにおいて、複数の前記広告コンテンツが配信されてきた場合において、前記視聴者の端末装置で、複数の前記広告コンテンツのいずれかが最初に視聴されると、最初に視聴された前記広告コンテンツについて、前記視聴者の端末装置に、前記デジタル署名が付加された前記視聴証明を作成させ、更に、残りの前記広告コンテンツについて視聴されると、視聴の度に、前記視聴証明を更新させ、
前記(b)のステップにおいて、前記複数の前記広告コンテンツが配信されてきた場合に、前記視聴者の端末装置に、最新の前記視聴証明を、前記ブロックチェーンデータベースへと記録させる、
ことを特徴とするプログラム。
【0116】
(付記17)
付記16のいずれかに記載のプログラムであって、
前記(a)のステップにおいて、前記広告コンテンツを配信する広告配信システムに、前記視聴証明を作成及び更新の度に、前記デジタル署名が付加された前記視聴証明を送信し、送信した前記視聴証明に、前記広告配信システムによるデジタル署名を付加させ、
前記(b)のステップにおいて、前記視聴者の端末装置に、前記視聴者の端末装置及び前記広告配信システムの両方によるデジタル署名が付加された最新の前記視聴証明を、前記ブロックチェーンデータベースへと記録させる、
ことを特徴とするプログラム。
【0117】
(付記18)
付記13~17のいずれかに記載のプログラムであって、
前記コンピュータが、前記視聴者の端末装置に含まれており、
前記(a)のステップにおいて、前記視聴者の端末装置の画面上に前記広告コンテンツが表示されている場合に、前記広告コンテンツが視聴されたとして、前記視聴者の端末装置に、前記視聴証明を作成させる、
ことを特徴とするプログラム。
【0118】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上のように、本発明によれば、Web上での広告コンテンツの配信において、広告視聴の履歴の改ざんを抑制しつつ、広告主による広告視聴の履歴の確認を可能にすることができる。本発明は、Web上で広告配信において有用である。
【符号の説明】
【0120】
10 広告配信保証装置
11 視聴証明作成部
12 視聴証明記録部
20 視聴者端末
30 広告配信システム
40 広告主端末
50 ブロックチェーンデータベース
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス