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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
H01F27/29 G
H01F27/29 125
H01F27/29 P
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022078362
(22)【出願日】2022-05-11
(65)【公開番号】P2023167290
(43)【公開日】2023-11-24
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】石田 将之
(72)【発明者】
【氏名】本田 裕行
(72)【発明者】
【氏名】相良 卓馬
(72)【発明者】
【氏名】中本 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】石田 卓也
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-103596(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0211750(US,A1)
【文献】特開2020-109789(JP,A)
【文献】特開2020-120089(JP,A)
【文献】特開2014-099587(JP,A)
【文献】特開2021-057444(JP,A)
【文献】特開2019-50317(JP,A)
【文献】特開2020-519301(JP,A)
【文献】特開2023-92704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状の巻芯部、及び前記巻芯部の中心軸に沿う方向の第1端に接続している第1鍔部、前記巻芯部における前記第1端とは反対側の第2端に接続している第2鍔部を有するドラムコアと、
前記第1鍔部に取り付けられた第1金属端子と、
前記巻芯部に巻回され、第1接続端が前記第1金属端子に接合されたワイヤと、
を備え、
前記第1鍔部は、前記中心軸に直交する第1正方向において前記巻芯部に対して外側に張り出しており、
前記第1金属端子は、前記第1鍔部における前記第1正方向を向く面と向かい合う接合部を有しており、
前記ワイヤの第1接続端は、前記接合部における前記第1正方向側を向く面に接合されており、
前記中心軸に沿う方向のうち前記第1金属端子から前記巻芯部に向かう方向を内方向、前記内方向とは反対方向を外方向、前記第1正方向とは反対方向を第1負方向としたとき、
前記接合部は、前記第1正方向側を向く面に、前記内方向に向かうほど前記第1負方向に位置する傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記接合部における前記内方向側の端にまで至っており、
前記第1正方向及び前記内方向の双方に直交する方向を向いて視たとき、
前記中心軸に平行な仮想直線と前記傾斜面における前記内方向の端での接線とが成す鋭角側の角度が、前記仮想直線と前記傾斜面における前記外方向の端での接線とが成す鋭角側の角度に比較して大きい
コイル部品。
【請求項2】
前記傾斜面は、第1傾斜面と、前記第1傾斜面に対して内方向側に隣接する第2傾斜面と、を有している
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記傾斜面における前記内方向の端から前記傾斜面における前記外方向の端までの、前記第1正方向での距離は、前記ワイヤの外径に比べて大きい
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記接合部は、前記傾斜面に対し前記外方向に隣接して、前記第1正方向と直交する水平面を有しており、
前記ワイヤは、前記水平面に接合されている
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第1鍔部は、前記接合部に対して前記第1負方向側に位置し、前記接合部に対して向かい合う上面を有し、
前記上面における前記内方向の端は、前記接合部における前記内方向の端に対して前記内方向に位置している
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1金属端子は、当該第1金属端子のうち最も前記第1正方向側に位置する実装部と、前記接合部から前記第1正方向側に延びて前記実装部に接続している延伸部と、を有し、
前記中心軸に沿う方向での前記延伸部の最大寸法は、前記中心軸に沿う方向での前記接合部の最大寸法に比べて小さい
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記中心軸に直交する特定の軸を第1軸、前記中心軸及び前記第1軸の双方に直交する軸を第2軸とし、
前記第2軸に沿う方向のうちの一方を第2正方向とし、前記第2正方向とは反対方向を第2負方向としたとき、
前記第1鍔部に取り付けられた第2金属端子と、
前記第2鍔部に取り付けられた第3金属端子と、
前記第2鍔部に取り付けられた第4金属端子と、
前記ワイヤを第1ワイヤとしたとき、前記巻芯部に巻回され、第1接続端が前記第2金属端子に接合された第2ワイヤと、
を更に備え、
前記第2鍔部は、前記中心軸に直交する前記第1正方向において前記巻芯部に対して外側に張り出しており、
前記第1金属端子は、前記第1鍔部における前記第2軸に沿う方向の中央に対して前記第2正方向側に位置しており、
前記第2金属端子は、前記第1鍔部における前記第2軸に沿う方向の中央に対して前記第2負方向側に位置しており、
前記第3金属端子は、前記第2鍔部における前記第2軸に沿う方向の中央に対して前記第2正方向側に位置しており、
前記第4金属端子は、前記第2鍔部における前記第2軸に沿う方向の中央に対して前記第2負方向側に位置しており、
前記第1ワイヤの第1接続端と反対側の第2接続端は、前記第3金属端子に接続され、
前記第2ワイヤの第1接続端と反対側の第2接続端は、前記第4金属端子に接続される
請求項1に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のコイル部品は、巻芯部及び2つの鍔部を備えている。巻芯部は四角柱状である。2つの鍔部は、巻芯部の両端に接続している。各鍔部は、巻芯部の中心軸線と直交する方向において、巻芯部から外側に張り出している。巻芯部及び鍔部の材質は、磁性体である。これら巻芯部及び鍔部は、コイル部品のコアを構成している。
【0003】
上記のコイル部品は、複数の金属端子、及び2本のワイヤを備えている。巻芯部の中心軸線に直交する方向を幅方向としたとき、各金属端子は、各鍔部における幅方向の端に取り付けられている。各ワイヤは、巻芯部に巻回されている。各ワイヤの端部は、巻芯部から引き出されて金属端子に熱圧着されている。その結果、ワイヤにおいて熱圧着された部分は、潰れて平たくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-121692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のコイル部品において、ワイヤは、端部から巻芯部へと引き出されている部分において屈曲している。ワイヤが特定の箇所で急激に屈曲していると、その屈曲箇所において断線が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、柱状の巻芯部、及び前記巻芯部の中心軸に沿う方向の第1端に接続している第1鍔部、前記巻芯部における前記第1端とは反対側の第2端に接続している第2鍔部を有するドラムコアと、前記第1鍔部に取り付けられた第1金属端子と、前記巻芯部に巻回され、第1接続端が前記第1金属端子に接合されたワイヤと、を備え、前記第1鍔部は、前記中心軸に直交する第1正方向において前記巻芯部に対して外側に張り出しており、前記第1金属端子は、前記第1鍔部における前記第1正方向を向く面と向かい合う接合部を有しており、前記ワイヤの第1接続端は、前記接合部における前記第1正方向側を向く面に接合されており、前記中心軸に沿う方向のうち前記第1金属端子から前記巻芯部に向かう方向を内方向、前記内方向とは反対方向を外方向、前記第1正方向とは反対方向を第1負方向としたとき、前記接合部は、前記第1正方向側を向く面に、前記内方向に向かうほど前記第1負方向に位置する傾斜面を有し、前記傾斜面は、前記接合部における前記内方向側の端にまで至っており、前記第1正方向及び前記内方向の双方に直交する方向を向いて視たとき、前記中心軸に平行な仮想直線と前記傾斜面における前記内方向の端での接線とが成す鋭角側の角度が、前記仮想直線と前記傾斜面における前記外方向の端での接線とが成す鋭角側の角度に比較して大きいコイル部品である。
【0007】
上記構成によれば、第1金属端子の傾斜面は、内方向に向かうにつれて、段階的に又は連続的に、傾斜が急になる。このような傾斜面であれば、当該傾斜面上にワイヤを沿わせた場合であっても、ワイヤが特定の箇所で急激に屈曲されることはない。したがって、ワイヤの屈曲箇所においてワイヤの断線が発生することを防げる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一様態によれば、ワイヤの断線を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、コイル部品の斜視図である。
図2図2は、コイル部品の平面図である。
図3図3は、コイル部品における第1金属端子近傍の側面図である。
図4図4は、コイル部品における第1金属端子近傍の斜視図である。
図5図5は、コイル部品における第1金属端子近傍の正面図である。
図6図6は、コイル部品における第1金属端子の正面図である。
図7図7は、図2における7-7線の端面図の一部を示す図である。
図8図8は、コイル部品の接合部の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、コイル部品の一実施形態について説明する。なお、図面は理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものと異なる場合がある。
【0011】
<全体構成について>
図1に示すように、コイル部品10は、ドラムコア10Cと、天板12と、を備えている。
【0012】
ドラムコア10Cは、巻芯部11、第1鍔部20、第2鍔部30を有している。
巻芯部11は、四角柱状である。巻芯部11の材質は、非導電性材料である。具体的には、巻芯部11の材質は、例えば、アルミナ、Ni-Zn系フェライト、樹脂、及びこれらの混合物等とすることができる。
【0013】
第1鍔部20は、巻芯部11の中心軸Cに沿う方向の第1端に接続している。第2鍔部30は、巻芯部11の中心軸Cに沿う方向の第2端に接続している。第1鍔部20及び第2鍔部30の材質は、巻芯部11と同じ非導電性材料である。また、第1鍔部20及び第2鍔部30は、巻芯部11との一体成形物である。
【0014】
ここで、中心軸Cに直交する特定の軸を第1軸Xとする。本実施形態では、中心軸Cに沿う方向を向いて視たときに、第1軸Xは、巻芯部11の4つの辺のうち2つと平行である。また、中心軸C及び第1軸Xの双方に直交する軸を第2軸Yとする。さらに、本実施形態では、中心軸Cに平行な軸を第3軸Zとする。そして、第1軸Xに沿う方向のうちの一方を第1正方向X1とし、第1正方向X1とは反対方向を第1負方向X2とする。同様に、第2軸Yに沿う方向のうちの一方を第2正方向Y1とし、第2正方向Y1とは反対方向を第2負方向Y2とする。また、第3軸Zに沿う方向のうちの一方を第3正方向Z1とし、第3正方向Z1とは反対方向を第3負方向Z2とする。なお、本実施形態では、巻芯部11から第1鍔部20に向かう方向を第3正方向Z1とし、巻芯部11から第2鍔部30に向かう方向を第3負方向Z2とする。
【0015】
第1鍔部20は、第1軸Xに沿う方向及び第2軸Yに沿う方向において、巻芯部11に対して外側に張り出している。第1鍔部20は、第2軸Yに沿う方向において、対称形状である。第1鍔部20は、外端面20Aを有している。外端面20Aは、第1鍔部20の外面のうち第3正方向Z1側を向く面である。
【0016】
第1鍔部20は、本体部21と、突出部22と、を有している。本体部21は、全体として第3軸Zに沿う方向に扁平な四角柱状である。第3負方向Z2を向いて視たとき、本体部21の第1負方向X2側の縁は、第2軸Yと平行である。また、第3負方向Z2を向いて視たとき、本体部21の第1正方向X1側の縁は、第2軸Yと平行である。したがって、本体部21は、第1正方向X1側を向く上面21Aを有している。
【0017】
突出部22は、本体部21の上面21Aから第1正方向X1側に突出している。突出部22は、第1正方向X1に向かうほど第2軸Yに沿う方向の寸法が小さくなる四角錐台状である。突出部22は、本体部21の第2軸Yに沿う方向の略中央に位置している。第3軸Zに沿う方向における突出部22の寸法は、第3軸Zに沿う方向における本体部21の寸法と同じである。
【0018】
突出部22は、上端面22Aと、2つの側面22Bと、を有している。上端面22Aは、突出部22の外面のうち、第1正方向X1側を向く面である。各側面22Bは、上端面22Aと、本体部21の上面21Aとを繋ぐ面である。側面22Bのうちの1つは、第2正方向Y1側を向いている。側面22Bのうちのもう1つは、第2負方向Y2側を向いている。なお、本体部21と突出部22とは一体成形物である。すなわち、第1鍔部20の内部において、本体部21と突出部22との間に明確な境界はない。
【0019】
第2鍔部30は、第3軸Zに沿う方向において、第1鍔部20と対称形状である。すなわち、第2鍔部30は、第1軸Xに沿う方向及び第2軸Yに沿う方向において、巻芯部11に対して外側に張り出している。そして、第2鍔部30は、外端面30Aを有している。外端面30Aは、第2鍔部30の外面のうち第3負方向Z2側を向く面である。第2鍔部30は、本体部31と、突出部32と、を有している。本体部31及び突出部32の構成は、第1鍔部20の本体部21及び突出部22と同様である。すなわち、本体部31は、第1正方向X1側を向く上面31Aを有している。突出部32は、上端面32Aと、2つの側面32Bと、を有している。
【0020】
本実施形態において、ドラムコア10Cの第1軸Xに沿う方向の最大寸法は、1.4mmである。また、ドラムコア10Cの第2軸Yに沿う方向の最大寸法は、2.5mmである。また、ドラムコア10Cの第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、3.2mmである。
【0021】
天板12は、長方形の板状である。天板12は、第1軸Xに沿う方向において扁平である。天板12の長辺は、第3軸Zと平行である。天板12の短辺は、第2軸Yと平行である。天板12は、ドラムコア10Cに対して第1負方向X2側に位置する。天板12は、第1鍔部20における第1負方向X2を向く面、及び第2鍔部30における第1負方向X2を向く面の双方に接続している。つまり、天板12は、第1鍔部20及び第2鍔部30の間に架け渡されている。天板12の材質は、ドラムコア10Cと同じ非導電性材料である。
【0022】
コイル部品10は、第1金属端子41、第2金属端子42、第3金属端子43、及び第4金属端子44を備えている。
第1金属端子41は、第1鍔部20に取り付けられている。第1金属端子41は、第1鍔部20における第2軸Yに沿う方向の中央に対して第2正方向Y1側に位置している。第2金属端子42は、第1鍔部20に取り付けられている。第2金属端子42は、第1鍔部20における第2軸Yに沿う方向の中央に対して第2負方向Y2側に位置している。第3金属端子43は、第2鍔部30に取り付けられている。第3金属端子43は、第2鍔部30における第2軸Yに沿う方向の中央に対して第2正方向Y1側に位置している。第4金属端子44は、第2鍔部30に取り付けられている。第4金属端子44は、第2鍔部30における第2軸Yに沿う方向の中央に対して第2負方向Y2側に位置している。なお、これら第1金属端子41~第4金属端子44の詳細については後述する。
【0023】
図2に示すように、コイル部品10は、第1ワイヤ51及び第2ワイヤ52を備えている。図示は省略するが、第1ワイヤ51は、銅線と、絶縁被膜と、を有している。絶縁被膜は、銅線の外面を覆っている。第1ワイヤ51は、当該第1ワイヤ51が延びる方向に直交する断面で、略円形状である。第1ワイヤ51の外径L1は、約50μmである。
【0024】
第1ワイヤ51の第1接続端は、第1金属端子41に、熱圧着で接合されている。第1ワイヤ51は、第1金属端子41から、巻芯部11のうちの第1負方向X2側、且つ第2正方向Y1側の稜線に向かって延びている。そして、第1ワイヤ51は、第3負方向Z2を向いて視たとき、第3負方向Z2に向かうにつれて時計回りで進行するように、巻芯部11に巻回されている。第1ワイヤ51の第1接続端と反対側の第2接続端は、巻芯部11のうちの第1正方向X1側、且つ第2負方向Y2側の稜線から第3金属端子43に向かって延びている。第1ワイヤ51の第2接続端は、第3金属端子43に、熱圧着で接合されている。
【0025】
なお、熱圧着とは、金属端子と加熱した治具との間にワイヤを挟み込んで、ワイヤを溶融させつつ金属端子に固定する方法である。この固定方法の結果として、ワイヤのうちの金属端子との接合箇所の近傍は、絶縁被膜が剥がれて銅線が露出している。
【0026】
第2ワイヤ52は、第1ワイヤ51と同じ構成である。すなわち、第2ワイヤ52は、銅線と、絶縁被膜と、を有している。第2ワイヤ52の外径L1は、約50μmである。
第2ワイヤ52の第1接続端は、第2金属端子42に、熱圧着で接合されている。第2ワイヤ52は、第2金属端子42から、巻芯部11のうちの第1正方向X1側、且つ第2正方向Y1側の稜線に向かって延びている。そして、第2ワイヤ52は、第3負方向Z2を向いて視たとき、第3負方向Z2に向かうにつれて時計回りで進行するように、巻芯部11に巻回されている。第2ワイヤ52の第1接続端と反対側の第2接続端は、巻芯部11のうちの第1負方向X2側、且つ第2負方向Y2側の稜線から第4金属端子44に向かって延びている。第2ワイヤ52の第2接続端は、第4金属端子44に、熱圧着で接合されている。
【0027】
<第1金属端子について>
図6に示すように、第1金属端子41は、接着部410、連結部420、実装部430、延伸部440、及び接合部450を有している。なお、接着部410、連結部420、実装部430、延伸部440、及び接合部450は、一体成形物である。すなわち、第1金属端子41の内部においてこれらの部材の間に明確な境界はない。
【0028】
以下の説明では、中心軸Cに沿う方向のうち各金属端子から巻芯部11に向かう方向を内方向、内方向とは反対方向を外方向と呼称することがある。例えば、第1金属端子41から巻芯部11に向かう内方向は、第3負方向Z2と一致する。そして、第1金属端子41を基準としたときの外方向は、第3正方向Z1と一致する。
【0029】
<接着部について>
図1に示すように、接着部410は、略板状である。図7に示すように、接着部410は、第1鍔部20の外端面20Aに接着剤60を介して固定されている。すなわち、接着部410は、第1鍔部20の外面のうち、第3正方向Z1を向く面に接合している。このように、接着部410は、第1金属端子41のうちの第1鍔部20の外端面20Aに対して、第3正方向Z1側から向かい合う部分のことである。
【0030】
図6に示すように、接着部410は、相対面411及び窪み412を有している。図7に示すように、相対面411は、窪み412を除き、外端面20Aに対して第3正方向Z1側から向かい合う面である。つまり、第1金属端子41の相対面411は、第3負方向Z2を向く面である。
【0031】
図6に示すように、接着部410は、幅広部410A及び幅狭部410Bを有している。幅広部410Aは、接着部410のうちの第1負方向X2の端を含む一部である。幅広部410Aは、第3正方向Z1を向いて視たとき、第1負方向X2側の隣り合う2つの角が面取りされたような略長方形状である。幅広部410Aの第2軸Yに沿う方向の寸法は、面取り部分を除き、略一定である。幅広部410Aは、相対面411及び窪み412のうち、第2軸Yに沿う方向の寸法が最も大きい部分を含んでいる。
【0032】
幅狭部410Bは、第1正方向X1側において、幅広部410Aと隣接している。具体的には、幅狭部410Bは、幅広部410Aの第2負方向Y2の端から第1正方向X1に延びている。なお、図6では、幅狭部410Bと幅広部410Aとの境界を仮想的に破線で示している。幅狭部410Bは、幅広部410Aに比較して第2軸Yに沿う方向の寸法が小さい。幅狭部410Bの第2軸Yに沿う方向の寸法は、幅広部410Aの第2軸Yに沿う方向の寸法の2分の1以下である。幅狭部410Bの第2軸Yに沿う方向の寸法は、幅広部410Aとの連結部分を除き、略一定である。
【0033】
図7に示すように、窪み412は、相対面411に対して窪んでいる。窪み412には、接着剤60が収容されている。ただし、接着剤60は、窪み412において、第1正方向X1の端を含む一部には収容されていない。
【0034】
図6に示すように、窪み412は、幅広部410Aと、幅狭部410Bとに跨って位置している。窪み412の第1負方向X2側の端431は、接着部410の第1負方向X2の端に対して第1正方向X1側に位置している。つまり、窪み412は、接着部410における第1負方向X2の端に向かっては開放していない。また、図7に示すように、窪み412における第1負方向X2側の端431は、中心軸Cから視て第1負方向X2側に位置している。
【0035】
窪み412における第1正方向X1側の端432は、接着部410の第1正方向X1の端に対して第1負方向X2側に位置している。つまり、窪み412における第1正方向X1側の端432は、第1鍔部20の上端面22Aから視て第1負方向X2側に位置している。また、図7に示すように、窪み412の第1正方向X1側の端432は、巻芯部11における第1正方向X1側の端から視て第1正方向X1側に位置している。
【0036】
図6に示すように、幅狭部410Bの窪み412は、第2軸Yに沿う方向において幅狭部410Bの全体に広がっている。また、幅広部410Aの窪み412は、第2軸Yに沿う方向において幅広部410Aの全体に広がっている。すなわち、第2軸Yに沿う方向において幅広部410Aに位置する窪み412の最大の寸法は、第2軸Yに沿う方向での幅狭部410Bの最大の寸法より大きい。
【0037】
窪み412における第1負方向X2側の縁は、第2軸Yに対して略平行である。また、窪み412における第1正方向X1側の縁は、第2軸Yに対して略平行である。窪み412における第1負方向X2側の縁から幅広部410Aと幅狭部410Bとの境界線までの距離は、幅広部410Aと幅狭部410Bとの境界線から窪み412における第1正方向X1側の縁までの距離に比較して、大きい。つまり、窪み412のうち幅広部410Aに位置する部分の面積は、窪み412のうち幅狭部410Bに位置する部分の面積に比較して、大きい。
【0038】
窪み412の第3軸Zに沿う方向の寸法、すなわち窪み412の深さは、窪み412の縁を除いて略一定である。したがって、上述した面積の差を反映して、窪み412のうちの幅広部410Aに位置する部分の容積V1は、窪み412のうちの幅狭部410Bに位置する部分の容積V2よりも大きい。
【0039】
図7に示すように、相対面411及び窪み412を合わせた領域を、すなわち、第1金属端子41のうちの第1鍔部20の外端面20Aと向かい合う領域を、対向領域Pとする。このとき、図6に示すように、中心軸Cに沿う方向を向いて視たとき、窪み412のうち第1鍔部20の外端面20Aと向かい合う領域の面積は、対向領域Pの2分の1以上である。つまり、窪み412のうち第1鍔部20の外端面20Aと向かい合う領域の面積は、相対面411の面積以上である。また、図7に示すように、第1軸Xに沿う方向での窪み412の最大の寸法L3は、第1軸Xに沿う方向での対向領域Pの最大の寸法L4の2分の1以上である。なお、「中心軸Cに沿う方向を向いて視たとき」とは、直接に視認できるものに限らず、上記のように透過して視た場合も含む。
【0040】
<連結部について>
図7に示すように、連結部420は、接着部410の第1正方向X1の端に接続している。なお、図6では、連結部420と接着部410との境界を仮想的に破線で示している。連結部420は、接着部410から第1正方向X1に向かって延びている。すなわち、連結部420は、第3軸Zに沿う方向を向いて視たときに、第1軸Xに沿う方向において第1鍔部20から飛び出している。具体的には、連結部420は、第1鍔部20の上端面22Aに対して第1正方向X1側に飛び出している。連結部420は、途中で約90度曲がっている。連結部420における接着部410とは反対側の端は、第3負方向Z2を向いている。
【0041】
<実装部について>
図4に示すように、実装部430は、連結部420における接着部410とは反対側の端に接続している。実装部430は、平板状である。実装部430の主面は第1軸Xに直交している。また、実装部430は、第1金属端子41のうち最も第1正方向X1側に位置する部分である。実装部430は、第1鍔部20の上端面22Aに対して第1正方向X1側に離れている。つまり、実装部430と上端面22Aとの間には空隙が存在している。また、実装部430は、上端面22Aを含め、ドラムコア10Cのどの外面に対しても離れている。なお、実装部430は、コイル部品10を基板に実装する際に、基板と対向する部分である。
【0042】
図5に示すように、第1軸Xに沿う方向での実装部430から上端面22Aまでの最短距離W1は、第1軸Xに沿う方向での実装部430の最小の寸法W2よりも大きい。本実施形態において、第1軸Xに沿う方向での実装部430の寸法は、第1金属端子41の板厚である。当該板厚は、略一定である。なお、第1金属端子41の板厚は、窪み412を除く接着部410、連結部420、実装部430、及び延伸部440で略一定である。
【0043】
<延伸部について>
図4に示すように、延伸部440は、実装部430の第2正方向Y1側の端に接続している。延伸部440は、実装部430から、第2正方向Y1側、且つ第1負方向X2側に向かって、概ね斜めに延びている。延伸部440における第3軸Zに沿う方向での寸法、すなわち延伸部440の幅寸法は、略一定である。図5に示すように、延伸部440は、第3軸Zに沿う方向を向いて視たとき、第1負方向X2に向かうにつれて、突出部22における第2正方向Y1側を向く側面22Bに近づくように延びている。延伸部440の第2負方向Y2を向く面は、突出部22の側面22Bに線接触している。なお、延伸部440が、側面22Bと平行な面を有していない場合、延伸部440は、側面22Bと線接触する。
【0044】
具体的には、図5に示すように、第3正方向Z1を向いて視たときに、側面22Bと上面21Aとが成す角のうち、第2正方向Y1側且つ第1正方向X1側の角を、第1角θ1とする。また、延伸部440は、直線状の延びる部分を有している。そして、この直線状に延びる部分の中心を通る仮想線VL0と上面21Aとが成す角のうち、第2正方向Y1側且つ第1正方向X1側の角を、第2角θ2とする。このとき、第2角θ2は、第1角θ1に比較して小さい。
【0045】
<接合部について>
図4に示すように、接合部450は、延伸部440の第1負方向X2側の端に接続している。接合部450は、概ね板状である。接合部450は、第1軸Xに沿う方向を向いて視たとき、第3軸Z方向に長手の略長方形状である。図3に示すように、第3軸Zに沿う方向での接合部450の最大寸法W4は、第3軸Zに沿う方向での延伸部440の最大寸法W3、すなわち延伸部440の幅寸法より大きい。
【0046】
図4に示すように、接合部450は、第1鍔部20の上面21Aに対して、第1正方向X1側から向かい合っている。接合部450における第1負方向X2を向く面は、上面21Aに対して接触している。その一方で、接合部450における第1負方向X2を向く面は、上面21Aに対して固定されていない。つまり、接着剤60等は、接合部450における第1負方向X2を向く面と上面21Aとの間には介在していない。
【0047】
第1軸Xに沿う方向を向いて視たときに、接合部450は、第3負方向Z2において、第1鍔部20の上面21Aからはみ出していない。すなわち、第1鍔部20の上面21Aにおける第3負方向Z2側の端は、接合部450の第3負方向Z2側の端に対して、第3負方向Z2側に位置している。
【0048】
接合部450は、水平面451及び傾斜面452を有している。水平面451は、第1正方向X1を向いている。水平面451は、接合部450の外面のうち、最も第3正方向Z1側に位置する面である。第1軸Xに沿う方向を向いて視たとき、水平面451は、略長方形状である。
【0049】
傾斜面452は、さらに第1傾斜面452A及び第2傾斜面452Bを有している。第1傾斜面452Aは、第1正方向X1側且つ第3負方向Z2側を向く平面である。水平面451は、第1傾斜面452Aに対し、第3正方向Z1側に隣接している。第1傾斜面452Aは、第3負方向Z2に向かうほど、第1負方向X2に位置している。
【0050】
第2傾斜面452Bは、第1正方向X1側且つ第3負方向Z2側を向く平面である。第2傾斜面452Bは、第1傾斜面452Aに対し、第3負方向Z2側に隣接している。第2傾斜面452Bは、第3負方向Z2に向かうほど、第1負方向X2に位置している。第2傾斜面452Bは、接合部450における第3負方向Z2側の端まで至っている。
【0051】
図3に示すように、第2軸Yに沿う方向を向いて視たとき、第1傾斜面452Aの第3正方向Z1側の端E1を通り、中心軸Cに平行な仮想直線VL1を引いたとする。そして、第1傾斜面452Aと仮想直線VL1とが成す鋭角側の角度を角度P1とする。また、第2軸Yに沿う方向を向いて視たとき、第2傾斜面452Bの第3負方向Z2側の端E2を通り、中心軸Cに平行な仮想直線VL2を引いたとする。そして、第2傾斜面452Bと仮想直線VL2とが成す鋭角側の角度を角度P2とする。このとき、角度P2は、角度P1に比較して大きい。
【0052】
なお、第1傾斜面452A及び第2傾斜面452Bは、いずれも平面である。したがって、第1傾斜面452Aの第3正方向Z1側の端E1での接線は、第1傾斜面452A上を延びる線である。同様に、第2傾斜面452Bの第3負方向Z2側の端E2での接線は、第2傾斜面452B上を延びる線である。
【0053】
また、傾斜面452における第3正方向Z1の端E1から、傾斜面452における第3負方向Z2の端E2までの、第1軸Xに沿う方向の距離L2は、約70μmである。つまり、傾斜面452における第3正方向Z1の端E1から、傾斜面452における第3負方向Z2の端E2までの、第1軸Xに沿う方向の距離L2は、第1ワイヤ51の外径L1に比べて大きい。
【0054】
<第2金属端子42~第4金属端子44について>
図1に示すように、第2金属端子42は、第1金属端子41に対して第2軸Yに沿う方向において反転した形状である。第2金属端子42は、第1金属端子41と同様に、接着部410において第1鍔部20の外端面20Aに接合している。第3金属端子43は、第2金属端子42と同じ形状である。第3金属端子43は、接着部410において第2鍔部30の外端面30Aと接合している。第4金属端子44は、第1金属端子41と同じ形状である。第4金属端子44は、接着部410において第2鍔部30の外端面30Aに接合している。
【0055】
<本実施形態の作用>
第1ワイヤ51を接合部450に接合する際、水平面451上に第1ワイヤ51の第1接続端を配置し、水平面451に対して平行に治具を押し当てる。なお、治具は、ヒーターチップである。治具は、水平面451上の第1ワイヤ51、及び第1傾斜面452A上における第3正方向Z1側の一部の第1ワイヤ51と接触する。治具と接触すると、第1ワイヤ51における絶縁被膜が溶解する。すなわち、水平面451上の全ての第1ワイヤ51、及び第1傾斜面452A上の一部の第1ワイヤ51において、絶縁被膜が剥がれて銅線が露出する。また、熱圧着の際、水平面451上の第1ワイヤ51は、治具による荷重によって、潰れて平たくなる。同様に、治具が接触する第1傾斜面452A上の第3正方向Z1側の第1ワイヤ51の一部は、平らになっている。上記熱圧着の際に、治具と接触しない第1傾斜面452A上の一部の第1ワイヤ51及び、第2傾斜面452B上の第1ワイヤ51は、絶縁被膜が残った状態である。また、第2傾斜面452B上の第1ワイヤ51は、治具と接触しないため、平たくなっていない。
【0056】
<本実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。なお、以下では第1ワイヤ51及び第1金属端子41に関する効果を代表して説明するが、各ワイヤと各金属端子との接合部分において同様の効果を奏する。
【0057】
(1)上記実施形態によれば、第1金属端子41の傾斜面452は、内方向に向かうにつれて、段階的に傾斜が急になる。具体的には、傾斜面452において角度P2は、角度P1に比較して大きい。このような傾斜面452であれば、当該傾斜面452上に第1ワイヤ51を沿わせた場合、第1ワイヤ51が二段階で屈曲することになる。つまり、第1ワイヤ51が特定の箇所で急激に屈曲されることはない。第1金属端子41の第1ワイヤ51において大きな屈曲がない一方で、第1金属端子41上にない部分の第1ワイヤ51は、上面21Aから巻芯部11に向かって急激に屈曲する。上記構成のように熱圧着されて被覆がなくなる第1金属端子41上の第1ワイヤ51において屈曲を抑制することにより、第1ワイヤ51の断線が発生することを防げる。
【0058】
(2)上記実施形態によれば、第1ワイヤ51を第1金属端子41の接合部450に圧着で接合した場合、第2傾斜面452Bの内方向側の端E2においては、第1ワイヤ51が強く押し潰されない。そのため、第1ワイヤ51を接合した後においても、第2傾斜面452Bの内方向側の端E2上において、第1ワイヤ51が過度に薄くならない。したがって、第1ワイヤ51が第2傾斜面452Bの内方向側の端E2において屈曲されても、当該箇所において第1ワイヤ51が断線することを防げる。
【0059】
(3)上記実施形態によれば、例えば、水平面451に対して平行に治具を押し当てて第1ワイヤ51を接合することで、第1ワイヤ51が水平面451上に概ね同一の薄さで広がる。これにより第1ワイヤ51と第1金属端子41との接合範囲を広くできるので、第1ワイヤ51の接合強度として必要な強度を確保できる。
【0060】
(4)上記実施形態によれば、第1鍔部20の上面21Aの第3負方向Z2の端は、接合部450の第3負方向Z2の端に対して第3負方向Z2側に位置する。したがって、図3に示すように、第1ワイヤ51は、第1鍔部20の上面21Aにおける内方向の端に接触し得る。第1ワイヤ51が上面21Aにおける内方向の端に接触した場合、その接触箇所においても第1ワイヤ51が屈曲する。つまり、上記構成によれば第1ワイヤ51が屈曲できる箇所を1つ増やすことができる。そして、第1ワイヤ51が屈曲できる箇所が増えれば、その分、第1ワイヤ51の屈曲の角度を複数の箇所で分散できるので、第1ワイヤ51が特定の箇所において急激に屈曲することは防げる。
【0061】
(5)上記実施形態において、コイル部品10を基板に取り付ける際、実装部430が基板に接触する。上記実施形態によれば、第3軸Zに沿う方向での延伸部440の最大寸法W3は、第3軸Zに沿う方向での接合部450の最大寸法W4に比べて小さい。したがって、例えば実装部430を基板等に実装する際の衝撃を、延伸部440が変形することで吸収できる。そのため、実装部430から接合部450へと伝わる衝撃を弱めることができる。したがって、実装部430からの衝撃によって接合部450から第1ワイヤ51が外れてしまうことを抑制できる。
【0062】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。なお、第1金属端子41~第4金属端子44に共通する変更例については、代表して第1金属端子41についてのみ説明する。
【0063】
・上記実施形態において、コイル部品10の構成は限定されない。例えば、コイル部品10は、天板12を省略可能である。また、第1鍔部20の形状は、上記実施形態の形状に限定されない。例えば、第1鍔部20は、突出部22を省略可能である。
【0064】
・上記実施形態において、コイル部品10は、第2ワイヤ52を省略してもよい。例えば、コイル部品10が、第1ワイヤ51しか備えていない場合、各鍔部において1つの金属端子が取り付けられていればよい。
【0065】
・上記実施形態において、巻芯部11は四角柱状でなくてもよい。例えば、巻芯部11の断面形状は、円形、楕円形、又は四角形以外の多角形状であってもよい。
・上記実施形態において、第1金属端子41の形状は上記実施形態の例に限定されない。第1金属端子41が、第1鍔部20における第1正方向X1を向く上面21Aと向かい合う接合部450を有していればよい。
【0066】
・上記実施形態において、接合部450は、上面21Aに対して離れていてもよい。また、接合部450と、上面21Aと、の間に接着剤60が収容されていてもよい。
・上記実施形態において、接合部450における第1傾斜面452Aと、第2傾斜面452Bとの間に明確な境界がなくてもよい。すなわち、傾斜面452において、傾斜角度がなだらかに変化する構成であってもよい。ここで、傾斜面452の第3正方向Z1側の端E1における傾斜面452と仮想直線VL1とが成す鋭角側の角度P1とする。傾斜面452の第3負方向Z2側の端E2における傾斜面452と仮想直線VL2とが成す鋭角側の角度を角度P2とする。この場合でも、角度P2は、角度P1に比較して大きい。なお、傾斜面452は、1つの斜面のみで構成されていてもよい。この場合、傾斜面452の内側の端E2を含む一部が曲面になっており、その結果として角度P1に対して角度P2が大きくなっていてもよい。
【0067】
・上記実施形態において、接合部450の構成は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、図8に示す例では、接合部450は、第1水平面451Aと第2水平面451Bと、を有している。第1水平面451Aは、接合部450の外面のうち、最も第3正方向Z1側に位置する面である。第1水平面451Aは、第1正方向X1を向いている。第1軸Xに沿う方向を向いて視たとき、第1水平面451Aは、略長方形状である。第2水平面451Bは、第1水平面451Aに対し、第3負方向Z2側に隣接している。第2水平面451Bは、第1水平面451Aに対して第1負方向X2側に位置している。その結果として、第1水平面451Aと第2水平面451Bとの間には段差が生じている。第1ワイヤ51は、第1水平面451Aにおいて熱圧着されている。また、図8に示す例では、接合部450は、上記実施形態と同様に、第1傾斜面452A及び第2傾斜面452Bを含む傾斜面452を有している。この構成によれば、第1ワイヤ51は、第2水平面451B及び傾斜面452に対して第1正方向X1側で接続される。したがって、第1ワイヤ51を熱圧着する際に、第2水平面451B上及び傾斜面452上の第1ワイヤ51は、熱圧着の影響を受けにくい。したがって、第2傾斜面452Bの内方向側の端E2においては、第1ワイヤ51が強く押し潰されず、第1ワイヤ51が断線しにくい。
【0068】
・上記実施形態において、接合部450は、水平面451を省略可能である。すなわち、接合部450は、傾斜面452のみで構成されていてもよい。なお、その場合、第1ワイヤ51は、傾斜面452のうちの外方向寄りの部分で傾斜面452に接合されることが好ましい。また、接合部450は、第1傾斜面452A、第2傾斜面452Bに加えて、さらに傾斜面を有していてもよい。
【0069】
・上記実施形態において、上面21Aにおける第3負方向Z2側の端は、接合部450の第3負方向Z2側の端に対して第3正方向Z1側に位置していてもよい。すなわち、接合部450が第1鍔部20からはみ出していてもよい。
【0070】
・上記実施形態において、傾斜面452の第3正方向Z1の端E1から傾斜面452の第3負方向Z2の端E2までの第1軸Xに沿う方向の距離L2は、第1ワイヤ51の外径L1に対して小さくてもよいし、同じでもよい。
【0071】
・上記実施形態において、第3軸Zに沿う方向での延伸部440の最大寸法W3は、第3軸Zに沿う方向での接合部450の最大寸法W4に対して大きくてもよいし、同じでもよい。
【0072】
・上記実施形態において、コイル部品10は、窪み412を省略できる。この場合、第1金属端子41は、いずれかの場所において接着剤60を介して第1鍔部20に取り付けられている。
【0073】
・上記実施形態において、第3軸Zに沿う方向を向いて視たとき、窪み412のうち外端面20Aと向かい合う領域の面積は、相対面411の面積より小さくてもよいし、同じでもよい。
【0074】
・上記実施形態において、窪み412の位置は、上記実施形態の例に限定されない。すなわち、窪み412における第1正方向X1側の端432は、接着部410の第1正方向X1の端に対して第1正方向X1側に位置していてもよい。また、窪み412における第1負方向X2側の端431は、中心軸Cから視て第1正方向X1側に位置していてもよい。
【0075】
・上記実施形態において、接着部410は、第2軸Yに沿う方向での寸法が一定でもよい。すなわち、接着部410は、幅広部410Aと幅狭部410Bとに大別されなくてもよい。
【0076】
・上記実施形態において、窪み412は、第2軸Yに沿う方向において幅広部410Aの全体に亘っていなくてもよい。同様に、窪み412は、第2軸Yに沿う方向において幅狭部410Bの全体に亘っていなくてもよい。また、窪み412のうちの幅広部410Aに位置する部分の容積V1は、窪み412のうちの幅狭部410Bに位置する部分の容積V2よりも小さくてもよいし、同じでもよい。
【0077】
・上記実施形態において、第1軸Xに沿う方向での窪み412の最大の寸法L3は、対向領域Pの最大の寸法L4の2分の1に対して小さくてもよいし、同じでもよい。
・上記実施形態において、接着剤60は、窪み412において第1正方向X1の端432にまで収容されていてもよい。また、接着剤60は、相対面411、及び連結部420にまで至っていてもよい。
【0078】
・上記実施形態において、実装部430が、突出部22の上端面22Aに接触していてもよい。すなわち、実装部430は、ドラムコア10Cの外面に接触していてもよい。また、実装部430と突出部22との間に、接着剤60が塗布されていてもよい。
【0079】
・上記実施形態において、実装部430から上端面22Aまでの最短距離W1は、第1軸Xに沿う方向での実装部430の最小の寸法W2よりも小さくてもよいし、同じでもよい。
【0080】
・上記実施形態において、延伸部440は、側面22Bに接触していなくてもよい。また、延伸部440は、第1負方向X2に向かうにつれて、側面22Bから離れるように延びていてもよい。
【0081】
上記実施形態及び変更例から導き出せる技術思想を以下に記載する。
[1]柱状の巻芯部、及び前記巻芯部の中心軸に沿う方向の第1端に接続している第1鍔部、前記巻芯部における前記第1端とは反対側の第2端に接続している第2鍔部を有するドラムコアと、前記第1鍔部に取り付けられた第1金属端子と、前記巻芯部に巻回され、第1接続端が前記第1金属端子に接合されたワイヤと、を備え、前記第1鍔部は、前記中心軸に直交する第1正方向において前記巻芯部に対して外側に張り出しており、前記第1金属端子は、前記第1鍔部における前記第1正方向を向く面と向かい合う接合部を有しており、前記ワイヤの第1接続端は、前記接合部における前記第1正方向側を向く面に接合されており、前記中心軸に沿う方向のうち前記第1金属端子から前記巻芯部に向かう方向を内方向、前記内方向とは反対方向を外方向、前記第1正方向とは反対方向を第1負方向としたとき、前記接合部は、前記第1正方向側を向く面に、前記内方向に向かうほど前記第1負方向に位置する傾斜面を有し、前記傾斜面は、前記接合部における前記内方向側の端にまで至っており、前記第1正方向及び前記内方向の双方に直交する方向を向いて視たとき、前記中心軸に平行な仮想直線と前記傾斜面における前記内方向の端での接線とが成す鋭角側の角度が、前記仮想直線と前記傾斜面における前記外方向の端での接線とが成す鋭角側の角度に比較して大きいコイル部品。
【0082】
[2]前記傾斜面は、第1傾斜面と、前記第1傾斜面に対して内方向側に隣接する第2傾斜面と、を有している[1]に記載のコイル部品。
[3]前記傾斜面における前記内方向の端から前記傾斜面における前記外方向の端までの、前記第1正方向での距離は、前記ワイヤの外径に比べて大きい[1]または[2]に記載のコイル部品。
【0083】
[4]前記接合部は、前記傾斜面に対し前記外方向に隣接して、前記第1正方向と直交する水平面を有しており、前記ワイヤは、前記水平面に接合されている[1]~[3]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【0084】
[5]前記第1鍔部は、前記接合部に対して前記第1負方向側に位置し、前記接合部に対して向かい合う上面を有し、前記上面における前記内方向の端は、前記接合部における前記内方向の端に対して前記内方向に位置している[1]~[4]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【0085】
[6]前記第1金属端子は、当該第1金属端子のうち最も前記第1正方向側に位置する実装部と、前記接合部から前記第1正方向側に延びて前記実装部に接続している延伸部と、を有し、前記中心軸に沿う方向での前記延伸部の最大寸法は、前記中心軸に沿う方向での前記接合部の最大寸法に比べて小さい[1]~[5]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【0086】
[7]前記中心軸に直交する特定の軸を第1軸、前記中心軸及び前記第1軸の双方に直交する軸を第2軸とし、前記第2軸に沿う方向のうちの一方を第2正方向とし、前記第2正方向とは反対方向を第2負方向としたとき、前記第1鍔部に取り付けられた第2金属端子と、前記第2鍔部に取り付けられた第3金属端子と、前記第2鍔部に取り付けられた第4金属端子と、前記ワイヤを第1ワイヤとしたとき、前記巻芯部に巻回され、第1接続端が前記第2金属端子に接合された第2ワイヤと、を更に備え、前記第2鍔部は、前記中心軸に直交する前記第1正方向において前記巻芯部に対して外側に張り出しており、前記第1金属端子は、前記第1鍔部における前記第2軸に沿う方向の中央に対して前記第2正方向側に位置しており、前記第2金属端子は、前記第1鍔部における前記第2軸に沿う方向の中央に対して前記第2負方向側に位置しており、前記第3金属端子は、前記第2鍔部における前記第2軸に沿う方向の中央に対して前記第2正方向側に位置しており、前記第4金属端子は、前記第2鍔部における前記第2軸に沿う方向の中央に対して前記第2負方向側に位置しており、前記第1ワイヤの第1接続端と反対側の第2接続端は、前記第3金属端子に接続され、前記第2ワイヤの第1接続端と反対側の第2接続端は、前記第4金属端子に接続される[1]~[6]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【符号の説明】
【0087】
C…中心軸
P1…角度
P2…角度
VL1…仮想直線
VL2…仮想直線
10…コイル部品
10C…ドラムコア
11…巻芯部
20…第1鍔部
41…第1金属端子
51…第1ワイヤ
60…接着剤
450…接合部
451…水平面
452…傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8