IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-供給装置 図1
  • 特許-供給装置 図2
  • 特許-供給装置 図3
  • 特許-供給装置 図4
  • 特許-供給装置 図5
  • 特許-供給装置 図6
  • 特許-供給装置 図7
  • 特許-供給装置 図8
  • 特許-供給装置 図9
  • 特許-供給装置 図10
  • 特許-供給装置 図11
  • 特許-供給装置 図12
  • 特許-供給装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】供給装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
B41J2/175 151
B41J2/175 115
B41J2/175 133
B41J2/175 143
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022080716
(22)【出願日】2022-05-17
(62)【分割の表示】P 2020190752の分割
【原出願日】2016-10-21
(65)【公開番号】P2022107022
(43)【公開日】2022-07-20
【審査請求日】2022-05-31
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】白野 太一
(72)【発明者】
【氏名】平 比呂志
(72)【発明者】
【氏名】刑部 吉記
(72)【発明者】
【氏名】川越 政子
(72)【発明者】
【氏名】平田 健一
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/132634(WO,A1)
【文献】特開2007-125829(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0039215(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02607080(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第102011006418(DE,A1)
【文献】特開2016-55477(JP,A)
【文献】特開2014-188775(JP,A)
【文献】特開2006-82292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が、タンク本体、第1方向に対向する一対の第1面により区画された液体貯留室、及び当該液体貯留室に液体を供給するための供給口を具備する、複数のタンクと、
複数の上記タンクを上記第1方向に並んだ状態で保持する保持部材と、を筐体の内部に備えており、
複数の上記タンクの各々において、上記一対の第1面の一方は、全てフィルムにより構成されており、上記一対の第1面の他方は、少なくとも一部が上記タンク本体で構成されており、
上記保持部材は、
複数の上記タンクとそれぞれ当接して複数の上記タンクを上記第1方向において相互に隙間を空けて位置決めする複数の当接部であって、複数の上記タンク上部とそれぞれ当接して位置決めする複数の当接部と、
複数の上記タンクの各々の上記供給口が形成された第1壁を覆う第2壁と、
上記第2壁に上記第1方向に間隔を空けて形成された開口であって、複数の上記タンクの各々の上記供給口を露出させる開口と、を有しており、
上記保持部材は、上記保持部材の上部から上方へ延びる凸部によって上記筐体に固定される供給装置。
【請求項2】
上記複数の当接部の各々は、複数の上記タンクの各々の上記フィルム以外の部分と当接する請求項1に記載の供給装置。
【請求項3】
複数の上記タンクの各々の上記第1方向の寸法は、上記第1方向と直交し且つ水平方向と平行である第2方向の寸法、及び鉛直方向の寸法よりも短い請求項1又は2に記載の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給口を通じて液体を補充可能なタンクを備える供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを補充可能な複数のタンクと、タンクから供給されたインクをノズルから吐出して用紙に画像を記録する記録ヘッドとを有するプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。タンク内のインクが消費されると、使用者はタンクに設けられた供給口からボトルに貯留されたインクをタンクに補充可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-51306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タンクは、プリンタの筐体に対して位置決めされ、例えば記録ヘッドへのインク流路を有する連結部と連結される。これにより、タンクから記録ヘッドへインクが供給される。
タンク及び連結部が筐体に対して正確に位置決めされなければ、タンクと連結部との間に隙間が生じ、その隙間からインクが漏れるおそれがある。
【0005】
他方、特許文献1に開示されたプリンタでは、各タンクは、一対の面のうちの一方にのみフィルムが貼られた構成であるが、一対の面の双方にフィルムが貼られて各タンクが構成されている場合、隣り合うタンクのフィルム同士が接触してフィルムが破損するおそれがある。したがって、隣り合うタンクの間には、プリンタに輸送や落下の衝撃が加わったとしても、フィルムが相互に接触しない程度に隙間が確保されることが望ましい。
【0006】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タンクを連結部に対して正確に位置決めして、筐体に支持させることができる供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る供給装置は、水平方向に沿った第1方向に対向する一対の第1面、当該一対の第1面を繋いだ第2面、及び上記第1方向と直交し且つ水平方向に沿った第2方向に上記第2面から離れた第3面により区画された液体貯留室、当該液体貯留室に液体を供給するための供給口、並びに上記液体貯留室から上記第2方向へ延びる液体流路を有する液体供給部を具備するタンクと、上記タンクの一部を上記第2方向の一方から保持する保持部材と、上記タンクに対して上記第2方向の他方から上記液体供給部と連結して液体を流通させる連結部を有する連結部材と、上記保持部材及び上記連結部材の少なくとも一方を支持する筐体と、を備える。上記第2面及び上記第3面は、タンク本体により構成されている。上記一対の第1面の各々の少なくとも一部は、上記タンク本体に貼られたフィルムにより構成されている。上記保持部材は、上記タンク本体と上記第2方向の一方から当接する当接部と、上記タンクが上記第1方向に移動可能に上記タンク本体と係合する第1係合部を有する。
【0008】
タンクの液体供給部と連結部材の連結部とが連結された状態において、保持部材の当接部がタンク本体と第2方向の一方から当接するので、タンクが第2方向の一方へ移動して、液体供給部と連結部との連結が外れることが防止される。また、タンク本体と保持部材の第1係合部とが係合された状態において、タンクが第1方向に移動可能なので、液体供給部と連結部との連結位置を基準として、タンクが第1方向に対して位置決めされる。
【0009】
(2) 好ましくは、上記連結部材は、複数の上記タンクが上記第1方向に沿って並んだ状態で、各液体供給部とそれぞれ連結する複数の上記連結部を有し、上記保持部材は、上記第1方向に沿って並んだ複数の上記タンクを上記第1方向において相互に隙間を空けて係合する複数の上記第1係合部を有する。
【0010】
各連結部と連結した各タンクが第1係合部と係合することによって、各タンクのフィルム同士が接触することが抑制される。
【0011】
(3) 好ましくは、上記連結部材は、上記タンクが上記第1方向に移動可能に上記タンク本体と係合する第2係合部を有する。
【0012】
タンクが第2係合部と係合することによって、タンクのフィルム同士が接触することが一層抑制される。
【0013】
(4) 好ましくは、上記保持部材は、上記第1方向及び上記第2方向とそれぞれ直交する第3方向に上記タンクが移動可能に上記タンク本体の一部を収容する。
【0014】
上記構成によれば、液体供給部と連結部との連結位置を基準として、タンクが第3方向に対して位置決めされる。
【0015】
(5) 好ましくは、上記筐体は、上記保持部材及び上記連結部材をそれぞれ支持する。
【0016】
(6) 好ましくは、上記連結部は、上記液体流路に挿入される管を有する。
【0017】
(7) 好ましくは、上記保持部材は、上記タンク本体の一部を上記第2方向に対して露出させる開口を有する。
【0018】
上記構成によれば、保持部材がタンク本体の一部を覆った状態で、透光性を有する材質で形成されたタンク本体の一部を開口を通じて視認可能となる。これにより、液体貯留室に貯留された液体が視認可能である。
【0019】
(8) 好ましくは、上記保持部材の開口により露出される上記タンク本体の一部には、上記液体貯留室に貯留された液体が第1量であるときの液面に対応する位置に設けられた第1マークと、上記液体貯留室に貯留された液体が上記第1量よりも少ない第2量であるときの液面に対応する位置に設けられた第2マークと、が設けられている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、タンクを連結部に対して正確に位置決めして、筐体に支持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、複合機10の外観斜視図であって、(A)はカバー70が閉塞位置である状態、(B)はカバー70が開放位置である状態を示す。
図2図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図3図3は、キャリッジ23及びタンクセット99の配置を示す平面図である。
図4図4(A)は、インクタンク100の前方斜視図であり、図4(B)は、インクタンク100の後方斜視図である。
図5図5(A)は、インクタンク100Bの前方斜視図であり、図5(B)は、インクタンク100Bの後方斜視図である。
図6図6は、タンクセット99の分解斜視図である。
図7図7(A)は、保持部材120の上方斜視図であり、図7(B)は、保持部材120の下方斜視図である。
図8図8は、筐体14と保持部材120の部分縦断面図である。
図9図9(A)は、連結部材200の前方斜視図であり、図9(B)は、連結部材200の後方斜視図である。
図10図10は、連結部材200の縦断面図である。
図11図11は、保持部材120に保持された各インクタンク100B、100Y、100C、100Mが連結部材200に組み付けられる前の状態を示す縦断面図である。
図12図12は、保持部材120に保持された各インクタンク100B、100Y、100C、100Mが連結部材200に組み付けられるときの状態を示す縦断面図である。
図13図13は、保持部材120に保持された各インクタンク100B、100Y、100C、100Mが連結部材200に組み付けられた状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。換言すれば、向きは方向の一成分である。さらに、複合機10及び複合機10に据え付けられたインクタンク100が使用可能に水平面に設置された姿勢(図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義され、複合機10の開口13が設けられている面を前面として前後方向8(第2方向の一例)が定義され、複合機10を前面から見て左右方向9(第1方向の一例)が定義される。本実施形態では、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。
【0023】
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10(供給装置の一例)は、概ね直方体形状である。複合機10は、インクジェット記録方式で用紙12(図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を下部に有している。プリンタ部11は、前壁14Aに開口13が形成された筐体14を有している。図2に示されるように、筐体14の内部には、給送部15と、給送トレイ20と、排出トレイ21と、搬送ローラ部54と、記録部24と、排出ローラ部55と、プラテン42と、タンクセット99と、保持部材120(図1参照)と、連結部材200(図6参照)と、が配置されている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
【0024】
[給送トレイ20、排出トレイ21]
図1に示されるように、給送トレイ20は、開口13を通じて前後方向8に沿ってユーザによって複合機10に対して挿抜される。開口13は、複合機10の前面で且つ左右方向9の中央部に位置する。図2に示されるように、給送トレイ20は、積層された複数の用紙12を支持可能である。排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に配置されており、給送トレイ20の挿抜に拘わらず、給送トレイ20とは独立して伸縮可能である。排出トレイ21は、排出ローラ部55によって記録部24とプラテン42との間から排出された用紙12を支持する。
【0025】
[給送部15]
給送部15は、給送トレイ20に支持された用紙12を搬送経路65へ給送する。図2に示されるように、給送部15は、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備える。給送ローラ25は、給送アーム26の先端に回転可能に支持されている。給送ローラ25は、搬送モータ(不図示)の逆転によって、用紙12を搬送向き16に搬送する向きに回転する。以下、給送ローラ25、搬送ローラ60、及び排出ローラ62が、用紙12を搬送向き16に搬送する向きに回転することを、「正回転」と表記する。給送アーム26は、プリンタ部11のフレームに支持された軸27に回動可能に支持されている。給送アーム26は、自重或いはバネ等による弾性力によって給送トレイ20に向かって回動付勢されている。
【0026】
[搬送経路65]
図2に示されるように、搬送経路65は、その一部がプリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって形成される空間を指す。搬送経路65は、給送トレイ20の後端部から後方に延びる経路である。搬送経路65は、プリンタ部11の後部において上方に延びつつ前方にUターンし、記録部24とプラテン42との間の空間を経て排出トレイ21に至る経路である。図2及び図3に示されるように、搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間における搬送経路65は、左右方向9における複合機10の概ね中央部に設けられており、且つ前後方向8に延びている。搬送経路65内における用紙12の搬送向き16は、図2において一点鎖線の矢印で示されている。
【0027】
[搬送ローラ部54]
図2に示されるように、搬送ローラ部54は、記録部24より搬送向き16の上流に配置されている。搬送ローラ部54は、互いに対向する搬送ローラ60及びピンチローラ61を有する。搬送ローラ60は、搬送モータによって駆動される。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送モータの正転によって正回転する搬送ローラ60及びピンチローラ61に挟持されて搬送向き16に搬送される。
【0028】
[排出ローラ部55]
図2に示されるように、排出ローラ部55は、記録部24より搬送向き16の下流に配置されている。排出ローラ部55は、互いに対向する排出ローラ62及び拍車63を有する。排出ローラ62は、搬送モータによって駆動される。拍車63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送モータの正転によって正回転する排出ローラ62及び拍車63に挟持されて搬送向き16に搬送される。
【0029】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、搬送向き16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。記録部24は、搬送経路65を挟んでプラテン42と上下方向7に対向配置されている。記録部24は、キャリッジ23と、記録ヘッド39とを備えている。
【0030】
図3に示されるように、キャリッジ23は、前後方向8に離間する位置において各々が左右方向9に延設されたガイドレール43、44に支持されている。ガイドレール43、44は、プリンタ部11のフレームに支持されている。キャリッジ23は、ガイドレール44に設けられた公知のベルト機構に連結されている。ベルト機構は、キャリッジモータ(不図示)によって駆動される。ベルト機構に連結されたキャリッジ23は、キャリッジモータの駆動によって左右方向9に沿って往復移動する。キャリッジ23の移動範囲は、図3の一点鎖線で示されるように、搬送経路65より右方及び左方にまで及ぶ。
【0031】
キャリッジ23からは、インクチューブ32とフレキシブルフラットケーブル33とが延出されている。
【0032】
インクチューブ32は、タンクセット99及び記録ヘッド39を接続するものである。
インクチューブ32は、タンクセット99を構成する4つのインクタンク100B、100Y、100C、100M(これらを総称して、「インクタンク100」と表示することがある。)に貯留されたインク(液体の一例)を記録ヘッド39に供給する。インクタンク100は、タンクの一例である。詳細には、各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)のインクが流通する4本のインクチューブ32B、32Y、32C、32M(これらを総称して、「インクチューブ32」と表記することがある。)が、それぞれインクタンク100B、100Y、100C、100Mから延出され、これらが束ねられた状態でキャリッジ23と接続されている。
【0033】
フレキシブルフラットケーブル33は、制御部(不図示)が実装された制御基板及び記録ヘッド39を電気的に接続するものである。フレキシブルフラットケーブル33は、制御部から出力される制御信号を記録ヘッド39に伝達する。
【0034】
図2に示されるように、キャリッジ23は、記録ヘッド39を搭載している。記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が配置されている。複数のノズル40の先端は、記録ヘッド39の下面から露出している。記録ヘッド39は、ノズル40からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されている用紙12に向けて記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙12に画像が記録される。また、これにより、インクタンク100B、100Y、100C、100Mに貯留されたインクが消費される。
【0035】
[プラテン42]
図2及び図3に示されるように、プラテン42は、搬送向き16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。プラテン42は、搬送経路65を挟んで記録部24と上下方向7に対向配置されている。プラテン42は、搬送ローラ部54によって搬送される用紙12を下方から支持する。
【0036】
[カバー70]
図1に示されるように、筐体14の前壁14Aの右部に、開口22が形成されている。
筐体14には、カバー70が、開口22を覆うようにして取り付けられている。カバー70は、開口22を閉塞する閉塞位置(図1(A)に示される位置)と、開口22を開放する開放位置(図1(B)に示される位置)との間を回動可能である。
【0037】
筐体14における開口22の下端近傍には、一対の凸部(不図示)が形成されている。
一対の凸部は、左右方向9において対向している。一対の凸部のうち右方の凸部は、左方の凸部へ向けて左方へ突出している。一対の凸部のうち左方の凸部は、右方の凸部へ向けて右方へ突出している。筐体14の一対の凸部が、カバー70に形成された穴に挿入されることにより、カバー70は、筐体14の下端近傍において左右方向9に延びる回動軸線70A周りに回動可能に、筐体14によって支持されている。
【0038】
カバー70には、開口97が形成されている。カバー70が閉塞位置にあるとき、開口97を通じて、インクタンク100及び保持部材120それぞれの一部が外部から視認可能である。
【0039】
[タンクセット99]
タンクセット99は、記録ヘッド39に供給されるインクを貯留するものである。図6に示されるように、タンクセット99は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mと、保持部材120と、連結部材200と、を備える。
【0040】
各インクタンク100には、異なる色のインクが貯留される。具体的には、インクタンク100Bにはブラックインクが貯留され、インクタンク100Yにはイエローインクが貯留され、インクタンク100Cにはシアンインクが貯留され、インクタンク100Mにはマゼンタインクが貯留される。但し、インクタンク100の数及びインクの色は上記の例に限定されない。各インクタンク100の構成については、後述される。
【0041】
保持部材120及び連結部材200は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mを、左右方向9に沿って一列に並んだ状態で保持するものである。保持部材120及び連結部材200の構成については、後述される。
【0042】
4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mは、左右方向9に沿って一列に並んで配置されている。4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mの中で、インクタンク100Bが最も右に配置され、インクタンク100Mが最も左に配置されている。なお、インクタンク100の配置位置は、前記に限らない。インクタンク100Bは、他のインクタンク100Y、100C、100Mよりもサイズ、特に左右方向9における幅が大きい。なお、インクタンク100のサイズの大小関係は、前記に限らない。インクタンク100Bは、他のインクタンク100Y、100C、100Mよりもインクの許容貯留量が多い。なお、インクタンク100の許容貯留量の大小関係は、前記に限らない。
【0043】
図1に示されるように、タンクセット99は、筐体14の右前部において、筐体14の内部に据え置かれている。換言すれば、タンクセット99は、複合機10から容易に取り外すことができないように、複合機10に固定されている。なお、「容易に取り外すことができない」とは、例えば、使用者が通常の使用状態における複合機10の筐体14からタンクセット99を容易に取り外すことができないことを意味しており、熟練した修理者が複合機10の筐体14からタンクセット99を修理のために取り外すような場合を除く趣旨である。従って、使用者が通常の使用状態における複合機10の筐体14からタンクセット99を容易に取り外すことができなければよい。
【0044】
[インクタンク100]
以下に、インクタンク100の構成が詳細に説明される。インクタンク100Y、100C、100Mは、同構成であるため、以下では、インクタンク100Y、100C、100Mのうちの1つをインクタンク100と称して、それ構成が説明される。また、インクタンク100Bの構成は、インクタンク100Y、100C、100Mの構成と類似しているため、インクタンク100Y、100C、100Mの構成の説明の後で、インクタンク100Y、100C、100Mと異なる部分について、その構成が説明される。この場合、インクタンク100Bと、インクタンク100Y、100C、100Mとの構成において形状が多少異なっていたとしても同様な機能を有する構成には同一の符号が付されている。なお、以下の説明では、特に記載のない限り、複合機10及び複合機10に据え置かれたインクタンク100は使用姿勢である。
【0045】
図4に示されるように、インクタンク100は、インクタンクの外形を形成する筐体140で構成されている。筐体140は、タンク本体141と、2枚のフィルム142、143とを備える。
【0046】
タンク本体141は、全体として、左右方向9に沿った寸法が短く、上下方向7及び前後方向8それぞれに沿った寸法が左右方向9に沿った寸法よりも長い扁平の直方体形状である。また、前後方向8の寸法は、上下方向7の寸法よりも長い。
【0047】
タンク本体141は、インク室111内のインクがインクタンク100の外部から視認可能な程度の透光性を有する樹脂で形成されている。タンク本体141は、例えば、ポリプロピレンで形成されている。タンク本体141は、例えば、樹脂材料を射出成型することによって一体成型されている。タンク本体141の剛性は、フィルム142、143の剛性よりも高い。
【0048】
なお、タンク本体141は、樹脂以外で構成されていてもよい。また、タンク本体141は、複数の部材が組み合わされた構成であってもよい。
【0049】
タンク本体141は、前壁101と、左壁103と、上壁104と、下壁105と、後壁110と、内壁107とを備える。
【0050】
前壁101は、立壁102と傾斜壁106とで構成されている。立壁102は、上下方向7及び左右方向9に拡がっている。傾斜壁106は、立壁102の上端及び上壁104の前端を連結する壁である。傾斜壁106は、上下方向7及び前後方向8に対して傾斜している。
【0051】
各インクタンク100における立壁102の前面102A及び傾斜壁106の前面106A、つまり各インクタンク100のタンク本体141の前面(第2面の一例)は、カバー70の開口97、及び筐体14の開口22を介して、複合機10の外部に露出している。つまり、各インクタンク100のタンク本体141の前面は、筐体14の外方を向いている。すなわち、各インクタンク100は、各インクタンク100のタンク本体141の前面が筐体14の外部から開口22及び開口97を通じてアクセス可能に筐体14内に配置されている。このような構成であることにより、各インクタンク100のタンク本体141の前面は、複合機10の前方から視認可能であり、ユーザは各インクタンク100に貯留されたインクの残量を確認可能である。
【0052】
左壁103は、前壁101の左端から後方へ延びる壁である。左壁103の上端は、上壁104の前部と接続されている。左壁103の下端は、下壁105の前部と接続されている。換言すれば、左壁103は、前壁101の左端と、上壁104の前部左端と、下壁105の前部左端と、を連結する壁である。つまり、左壁103は、タンク本体141の前部のみに設けられており、タンク本体141の後部には設けられていない。
【0053】
上壁104は、前壁101の上端(傾斜壁106の後端)から後方へ延びている。上壁104の前部は、左壁103の上端と接続されている。
【0054】
下壁105は、前壁101の下端から後方へ延びる壁である。下壁105は、上壁104から下方に離れて形成されている。上述されたように、下壁105の前部は、左壁103の下端と接続されている。
【0055】
内壁107は、前壁101、左壁103、上壁104、下壁105、及び後壁110に囲まれた空間に、複数配置されている。
【0056】
図4(A)に示されるように、タンク本体141の右面は開放されている。前壁101、下壁105、後壁110、上壁104、及び内壁107の右面にフィルム142が溶着されることによって、タンク本体141の右面が封止される。
【0057】
図4(B)に示されるように、タンク本体141の左面の後部は開放されている。下壁105、後壁110、上壁104、及び内壁107の左面にフィルム143が溶着されることによって、タンク本体141の左面が封止される。
【0058】
タンク本体141の前面(立壁102の前面102A及び傾斜壁106の前面106A)は、タンク本体141の右面の前端と、タンク本体141の左面の前端とによって繋がれている。タンク本体141の後面(後壁110の後面110A)は、タンク本体141の右面の後端と、タンク本体141の左面の後端とによって繋がれている。タンク本体141の後面110Aは、前面102Aと前後方向8に離れている。後面110Aは、第3面の一例である。タンク本体141の右面と、タンク本体141の左面とは、左右方向9において対向している。タンク本体141の右面及び左面は、一対の第1面の一例である。
【0059】
図4(A)に示されるように、前壁101の立壁102の前面102Aは、第1ライン146(第1マークの一例)と第2ライン147(第2マークの一例)とを備える。
【0060】
第1ライン146は、左右方向9に延びている。第1ライン146の上下方向7の位置は、複合機10が使用姿勢において、貯留が許容される最大量(第1量の一例)のインクがインク室111に貯留されたときの、当該インクの液面と同じ高さである。つまり、第1ライン146は、インク室111に貯留されたインクが最大量であるときの液面に対応する位置に設けられている。なお、第1ライン146の上下方向7の位置は、当該最大量のインクがインク室111に貯留されたときの、当該インクの液面と同じ高さに限らない。
【0061】
第2ライン147は、左右方向9に延びている。第2ライン147は、第1ライン146よりも下方に位置している。詳細には、第2ライン147の上下方向7の位置は、複合機10が使用姿勢において、上記最大量よりも少ない量のインクがインク室111に貯留されたときの、当該インクの液面と同じ高さである。本実施形態において、第2ライン147の上下方向7の位置は、インクタンク100が使用姿勢において、インクの補充が必要となる最小量(第2量の一例)のインクがインク室111に貯留されたときの、当該インクの液面と同じ高さである。つまり、第2ライン147は、インク室111に貯留されたインクが最小量であるときの液面に対応する位置に設けられている。
【0062】
図4に示されるように、上壁104には、凸部108が形成されている。凸部108は、板部121とリブ122とで構成されている。板部121は、後方へ向かうにしたがって上方へ向かう傾斜面123を有する。リブ122は、板部121と上壁104とを繋ぐように配置されている。リブ122は、板部121よりも前方及び後方に形成されている。リブ122は、前後方向8に沿って延びている。リブ122は、板部121よりも左右方向9に短い。このような構成であることにより、凸部108は、後方または下方の少なくとも一方の向きへの力が傾斜面123に作用することによって、下方へ撓む。
【0063】
下壁105には、凸部109が形成されている。凸部109は、板部124とリブ125とで構成されている。板部124は、後方へ向かうにしたがって下方へ向かう傾斜面126を有する。リブ125は、板部124と下壁105とを繋ぐように配置されている。
リブ125は、板部124と下壁105とを繋ぐように配置されている。リブ125は、板部124よりも前方及び後方に形成されている。リブ125は、前後方向8に沿って延びている。リブ125は、板部124よりも左右方向9に短い。このような構成であることにより、凸部109は、後方または上方の少なくとも一方の向きへの力が傾斜面126に作用することによって、上方へ撓む。
【0064】
上壁104には、凸部131、132が形成されている。凸部131は、凸部108よりも前方に形成されている。凸部132は、凸部108よりも後方に形成されている。凸部131、132は、左右方向9に沿って延びている。
【0065】
下壁105には、凸部133が形成されている。凸部133は、サブ下壁105Aに形成されている。サブ下壁105Aは、下壁105の前部に形成されており、下壁105よりも上方に位置する。
【0066】
下壁105には、凸部134が形成されている。凸部134は、凸部109よりも後方に形成されている。凸部134は、左右方向9に沿って延びている。
【0067】
サブ下壁105Aには、凸部135が形成されている。凸部135は、左右方向9に沿って延びている。本実施形態において、凸部135は、凸部133から右方及び左方へ延びている。
【0068】
上壁104には、凸部136が形成されている。凸部136は、凸部108及び凸部132よりも後方に形成されている。凸部136は、前後方向8に沿って延びている。
【0069】
[インク室111]
図4に示されるように、筐体140は、その内部にインク室111(液体貯留室の一例)を有する。インク室111は、インクタンク100の内部空間であり、インクが貯留される。インク室111は、前壁101、左壁103、上壁104、下壁105、後壁110、内壁107、フィルム142、及びフィルム143によって区画されている。つまり、インク室111は、フィルム142で構成されるタンク本体141の右面、及び左壁103とフィルム143とによって構成されるタンク本体141の左面によって区画されている。インク室111は、内壁107によって複数に分割されている。
【0070】
本実施形態では、インク室111の右面は、フィルム142の左面によって区画されている。つまり、インク室111の右面の全部は、フィルム142で構成されている。また、インク室111の左面は、フィルム143の右面及び左壁103の右面によって区画されている。つまり、インク室111の左面の一部は、フィルム143で構成されている。
【0071】
なお、インク室111の右面は、フィルム142と壁とによって区画されていてもよい。つまり、インク室111の右面の一部が、フィルム142で構成されていてもよい。また、インク室111の左面は、フィルム143のみで区画されていてもよい。つまり、インク室111の左面の全部が、フィルム143で構成されていてもよい。
【0072】
複合機10が使用姿勢において、換言すると上壁104がインクタンク100の上部を構成し且つ下壁105がインクタンク100の下部を構成した状態において、インク室111に貯留が許容される最大量(第1量の一例)のインクが貯留されているとき、インクの液面は、第1ライン146と同じ高さである。
【0073】
複合機10が使用姿勢において、換言すると上壁104がインクタンク100の上部を構成し且つ下壁105がインクタンク100の下部を構成した状態において、インク室111にインクの補充が必要となる最小量(第2量の一例)のインクが貯留されているとき、インクの液面は、第2ライン147と同じ高さである。
【0074】
[インク流出路114]
図4(B)に示されるように、筐体140は、インク流出路114を備える。インク流出路114は、インク室111に貯留されているインクをインクタンク100の外部へ流出するための連通路である。
【0075】
インク流出路114の一端は、下壁105と後壁110の境界に形成された開口149、開口150(図11参照)を介してインク室111と連通している。インク流出路114の他端は、後壁110に形成された開口156(図11参照)を介して突出部157(液体供給部の一例)と連通している。開口156は、開口149、150よりも上方に位置している。
【0076】
突出部157は、後壁110の後面110A(第3面の一例)の開口156の周囲部分から後方へ向けて、つまりインクタンク100の外方へ向けて突出している。ここで、タンクセット99が複合機10の筐体14の内部に据え置かれた状態において、後壁110の後面110Aは、筐体14の内方を向いている。つまり、突出部157は、筐体14の内方へ向けて突出している。突出部157は、中空である。突出部157の内部空間の前端は、開口156によってインク流出路114と連通している。突出部157の内部空間の後端は、開口158によってインクタンク100の外部と連通している。
【0077】
図11に示されるように、突出部157の突出端には、シール部材160が設けられている。シール部材160は、ゴムなどの弾性を有する円盤形状の部材である。シール部材160は、突出部の突出端に液密に接触している。シール部材160の中心には、貫通孔が形成されている。シール部材160の貫通孔には、連結部材200のインクニードル223(管の一例)が挿入される。インクニードル223は、直接、或いは間接的にインクチューブ32と接続されている。これにより、インク流出路114から開口156を通じて突出部157の内部空間へ進入したインクが、インクニードル223を通じてインクチューブ32へ流出する。
【0078】
突出部157の下方には、下壁105の後端から下方へ突出する凸部137が形成されている。凸部137は、インクタンク100が連結部材200と連結されるときに、溝210(図9参照)に進入する。
【0079】
以上より、インク室111に貯留されたインクは、インク流出路114、突出部157の内部空間、インクニードル223、及びインクチューブ32を介して記録ヘッド39のノズル40と連通している。
【0080】
[大気連通路170]
図4に示されるように、筐体140は、大気連通路170を有する。大気連通路170は、インク室111とインクタンク100の外部とを連通するための連通路である。換言すると、大気連通路170は、インク室111を大気開放するための連通路である。
【0081】
大気連通路170の一端は、開口144、145を介してインク室111と連通している。大気連通路170の他端は、上壁104に形成された大気開放口187と連通している。
【0082】
大気連通路170の一端と他端との間には、半透膜183が大気連通路170を閉塞するように貼付されている。半透膜183は、インクの通過を遮断し且つ気体の通過を許容する微小な孔を有する多孔質膜である。例えば、半透膜183は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体などのフッ素樹脂からなる。これにより、インク室111に貯留されたインクは、半透膜183によって阻まれて、大気開放口187を通じてインクタンク100の外部へ流出できない。一方、空気は、インク室111内とインクタンク100の外部との間を自由に移動可能である。
【0083】
図4(B)に示されるように、大気連通路170における半透膜183が貼付されている位置と大気開放口187との間には、ラビリンス179が形成されている。ラビリンス179は、上下方向7に延びた隔壁186が前後方向8に並んで複数設けられていることによって、上下方向7のUターンを繰り返しつつ前後方向8に沿って延びる連通路である。
【0084】
[供給口112]
インクタンク100の傾斜壁106には、インク室111にインクを注入するための供給口112が形成されている。供給口112は、傾斜壁106を厚み方向に貫通して、インク室111をインクタンク100の外部に連通させる。
【0085】
傾斜壁106及び供給口112は、カバー70を開放位置に位置させることによって、開口22を介して複合機10の外部に露出する。供給口112を通じてインク室111にインクが注入される際のインクタンク100の姿勢(注入姿勢)は、使用姿勢である。すなわち、インクタンク100が使用姿勢にあるときに、供給口112を通じてインク室111にインクが注入される。
【0086】
[インクタンク100B]
以下、図5を参照しつつ、インクタンク100Bの構成が説明される。図5に示されるように、インクタンク100Bは、インクタンク100Y、100C、100M(図4参照)よりも左右方向9に長い。
【0087】
以下、インクタンク100Bについて、インクタンク100Y、100C、100Mと異なる部分について説明される。なお、インクタンク100Bにおいてインクタンク100Y、100C、100Mと同構成の部分については、図4と同じ参照符号が付された上で、その説明が省略される。また、インクタンク100Bにおける所定部分の構成と、インクタンク100Y、100C、100Mの当該所定部分に対応する部分の構成との相違点が、インクタンク100Bにおける所定部分の構成の方が左右方向9に長いという点のみである場合、インクタンク100Bにおける当該所定部分に対応する部分については、図4と同じ参照符号が付された上で、その説明が省略される。
【0088】
図5に示されるように、インクタンク100Bは、インクタンク100Y、100C、100Mが備えている左壁103(図4(B)参照)を備えておらず、右壁159を備えている。右壁159は、前壁101の右端から後方へ延びる壁である。右壁159の上端は、上壁104の前部と接続されている。右壁159の下端は、下壁105の前部と接続されている。換言すれば、右壁159は、前壁101の右端と、上壁104の前部右端と、下壁105の前部右端と、を連結する壁である。つまり、右壁159は、タンク本体141の前部のみに設けられており、タンク本体141の後部に設けられていない。
【0089】
[保持部材120]
図6に示されるように、保持部材120は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mを、前後方向8の前方から、左右方向9に沿って一列に並んだ状態で保持するものである。
【0090】
図7図8に示されるように、保持部材120は、前壁71と、右壁72と、左壁73と、上壁74と、下壁75とを備える。
【0091】
前壁71は、立壁76と傾斜壁77とで構成されている。立壁76は、上下方向7及び左右方向9に拡がっている。傾斜壁77は、立壁76の上端及び上壁74の前端を連結する壁である。傾斜壁77は、上下方向7及び前後方向8に対して傾斜している。
【0092】
右壁72は、前壁71の右端から後方へ延びる壁である。左壁73は、前壁71の左端から後方へ延びる壁である。上壁74は、前壁71の上端(詳細には傾斜壁77の上端)から後方へ延びる壁である。上壁74の右端は、右壁72の上端と接続されている。上壁74の左端は、左壁73の上端と接続されている。下壁75は、前壁71の下端から後方へ延びる壁である。下壁75の右端は、右壁72の下端と接続されている。下壁75の左端は、左壁73の下端と接続されている。
【0093】
下壁75には、下方へ延びる円筒形状の凸部78が形成されている。凸部78は、下壁75の右端部及び左端部にそれぞれ形成されている。図8に示されるように、凸部78は、プリンタ部11の筐体14の底板161に形成された穴162に挿入される。
【0094】
上壁74には、上方へ延びる円筒形状の凸部84が形成されている。凸部84は、上壁74の左右方向9の中央付近に形成されている。図8に示されるように、凸部84は、プリンタ部11の筐体14の中板163に形成された穴164に挿入される。このようにして、保持部材120は、インクタンク100を保持した状態で筐体14に固定されるとともに支持される。
【0095】
図7に示されるように、前壁71と、右壁72と、左壁73と、上壁74と、下壁75とによって、保持部材120の内部空間127が形成される。図6に示されるように、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mが、後方から内部空間127へ向けて挿入される。これにより、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mの前部が、内部空間127を占める。
【0096】
図7(B)に示されるように、上壁74の後部に複数の開口79が形成されている。各開口79は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mに対応している。つまり、本実施形態において、開口79は4つ形成されている。開口79は、インクタンク100が内部空間127へ挿入された状態において、インクタンク100の凸部108(図4図5参照)と対応する位置に形成されている。
【0097】
図7(A)に示されるように、下壁75の後部に複数の開口80が形成されている。各開口80は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mに対応している。つまり、本実施形態において、開口80は4つ形成されている。開口80は、インクタンク100が内部空間127へ挿入された状態において、インクタンク100の凸部109(図4図5参照)と対応する位置に形成されている。
【0098】
下壁75に複数の開口69が形成されている。各開口69は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mに対応している。つまり、本実施形態において、開口69は4つ形成されている。各開口69は、開口80よりも前方に形成されている。開口69は、前後方向8に沿って延びている。開口69は、インクタンク100が内部空間127へ挿入された状態において、インクタンク100の凸部133(図4図5参照)と対応する位置に形成されている。
【0099】
インクタンク100が内部空間127へ挿入される過程において、凸部108の板部121は、上壁74の内部空間127側の面74Aと当接して押圧されて下方へ撓む。また、凸部109の板部124は、下壁75の内部空間127側の面75Aと当接して押圧されて上方へ撓む。更にインクタンク100が挿入されると、リブ122及び板部121は開口79に挿入された状態となる。また、リブ125及び板部124は開口80に挿入された状態となる。これにより、凸部108、109の撓みは解消される。インクタンク100は、保持部材120の内部空間127において、凸部108,109が撓む範囲内で上下方向7に若干移動可能である。
【0100】
当該状態において、凸部108は、開口79と係合している。また、当該状態において、凸部109は、開口80と係合している。開口79,80は、第1係合部の一例である。
【0101】
凸部108と開口79とが係合した状態において、インクタンク100が保持部材120に対して前方へ移動しようとすると、凸部108が開口79の前端を区画する前縁面79Aと当接する。これにより、インクタンク100の保持部材120に対する前方への移動が規制される。また、凸部108と開口79とが係合した状態において、インクタンク100が保持部材120に対して後方へ移動しようとすると、凸部108が開口79の後端を区画する後縁面79Bと当接する。これにより、インクタンク100の保持部材120に対する後方への移動が規制される。ただし、前後方向8において、凸部108の外形に対して開口79の外形が若干大きいので、凸部108と開口79とが係合した状態において、保持部材120に対してインクタンク100は、前後方向8に若干移動することができる。
【0102】
凸部109と開口80とが係合した状態において、インクタンク100が保持部材120に対して前方へ移動しようとすると、凸部109が開口80の前端を区画する前縁面80Aと当接する。これにより、インクタンク100の保持部材120に対する前方への移動が規制される。また、凸部109と開口80とが係合した状態において、インクタンク100が保持部材120に対して後方へ移動しようとすると、凸部109が開口80の後端を区画する後縁面80Bと当接する。これにより、インクタンク100の保持部材120に対する後方への移動が規制される。ただし、前後方向8において、凸部109の外形に対して開口80の外形が若干大きいので、凸部109と開口80とが係合した状態において、保持部材120に対してインクタンク100は、前後方向8に若干移動することができる。
【0103】
以上のように、凸部108が開口79の縁面と当接し、凸部109が開口80の縁面と当接することによって、インクタンク100は、前後方向8に若干移動可能に位置決めされる。
【0104】
また、凸部108と開口79とが係合され、凸部109と開口80とが係合された状態において、凸部131、132は、上壁74の内部空間127側の面74Aと当接しており、凸部134、135は、下壁75の内部空間127側の面75Aと当接している。これにより、インクタンク100は、上下方向7に位置決めされている。ただし、凸部131、132と面74Aとの間に若干の隙間があり、また、凸部134、135と面75Aとの間に若干の隙間がある。したがって、インクタンク100は、保持部材120によって、上下方向7に若干移動可能に位置決めされる。
【0105】
また、凸部108と開口79とが係合され、凸部109と開口80とが係合された状態において、リブ122が開口79に挿入されている。リブ122が開口79に挿入された状態において、インクタンク100が保持部材120に対して右方へ移動しようとすると、リブ122が開口79の右端を区画する右縁面79Cと当接する。また、リブ122が開口79に挿入された状態において、インクタンク100が保持部材120に対して左方へ移動しようとすると、リブ122が開口79の左端を区画する左縁面79Dと当接する。ただし、左右方向9において、リブ122の外形に対して開口79の外形が若干大きいので、リブ122と開口79とが係合した状態において、保持部材120に対してインクタンク100は、左右方向9に若干移動することができる。
【0106】
また、凸部108と開口79とが係合され、凸部109と開口80とが係合された状態において、凸部133が開口69に挿入されている。凸部133が開口69に挿入された状態において、インクタンク100が保持部材120に対して右方へ移動しようとすると、凸部133が開口69の右端を区画する右縁面69Aと当接する。また、凸部133が開口69に挿入された状態において、インクタンク100が保持部材120に対して左方へ移動しようとすると、凸部133が開口69の左端を区画する左縁面69Bと当接する。ただし、左右方向9において、凸部133の外形に対して開口69の外形が若干大きいので、凸部133と開口69とが係合した状態において、保持部材120に対してインクタンク100は、左右方向9に若干移動することができる。
【0107】
以上のように、リブ122が開口79の縁面と当接し、凸部133が開口69の縁面と当接することによって、インクタンク100は、保持部材120に対して左右方向9に若干移動可能に位置決めされる。開口79,69は、第1係合部の一例である。
【0108】
図6に示されるように、左右方向9に位置決めされた状態において、隣り合うインクタンク100の間には、隙間98が形成されている。以上のように、保持部材120は、図10に示されるように、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mを、左右方向9に沿って一列に並んだ状態で保持する。なお、インクタンク100の配置順序は、右から順にインクタンク100B、インクタンク100Y、インクタンク100C、及びインクタンク100Mである。
【0109】
図11に示されるように、保持部材120がインクタンク100を保持した状態において、前壁71は、インクタンク100の前壁101を覆っており、上壁74は、インクタンク100の上壁104の前部を覆っており、下壁75は、インクタンク100の下壁105の前部を覆っている。
【0110】
また、保持部材120がインクタンク100を保持した状態において、右壁72は、4つのインクタンク100のうち最も右に配置されたインクタンク100Bの右面の前部(右壁159)を覆っており、左壁73は、4つのインクタンク100のうち最も左に配置されたインクタンク100Mの左面の前部(左壁103)を覆っている。つまり、保持部材120は、保持した複数のインクタンク100のうちの左右両端に位置するインクタンク100B、100Mの右面及び左面のうち、左右方向9の外方に位置する面(インクタンク100Bの右面、及びインクタンク100Mの左面)の一部を覆っている。
【0111】
以上より、保持部材120は、インクタンク100を保持した状態において、インクタンク100の前部を覆っている。
【0112】
図7に示されるように、保持部材120の前壁71の立壁76には、複数の開口81が形成されている。各開口81は、左右方向9に間隔を空けて形成されている。各開口81は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mに対応している。つまり、本実施形態において、開口81は4つ形成されている。本実施形態において、各開口81の形状は矩形であるが、矩形以外の形状であってもよい。
【0113】
図11に示されるように、保持部材120が各インクタンク100を保持した状態において、各インクタンク100の前壁101の立壁102が、開口81を介して保持部材120の外部に露出可能である。詳細には、立壁102の前面102A及び当該前面102Aに形成された第1ライン146及び第2ライン147が露出可能である。また、図7に示されるように、保持部材120が各インクタンク100を保持した状態、且つカバー70が閉塞位置の状態において、各インクタンク100の立壁102が、保持部材120の開口81及びカバー70の開口97を介してプリンタ部11の外部に露出可能である。
【0114】
各開口81の周縁のうちの上下部分には、保持部材120の内部空間127へ向かって突出する凸部81A(当接部の一例)がそれぞれ形成されている。保持部材120が各インクタンク100を保持した状態において、各インクタンク100の前壁101の立壁102が、開口81の周縁の凸部81Aに当接する。これにより、保持部材120に対して、各インクタンク100の前方の位置が決定される。
【0115】
図7に示されるように、保持部材120の前壁71の傾斜壁77には、複数の開口82が形成されている。各開口82は、左右方向9に間隔を空けて形成されている。各開口82は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mに対応している。つまり、本実施形態において、開口82は4つ形成されている。本実施形態において、各開口82の形状は円形であるが、円形以外の形状であってもよい。
【0116】
図11に示されるように、保持部材120が各インクタンク100を保持した状態において、各インクタンク100の供給口112が、開口82を介して保持部材120の外部に露出可能である。
【0117】
図7に示されるように、保持部材120の上壁74の前部には、後述するキャップ113が取り付けられるキャップ取付部155が形成されている。
【0118】
本実施形態において、キャップ取付部155は、図7(A)に示されるように、左右方向9に延びたリブ151、152と、前後方向8に延びた複数のリブ153とで区画されている。リブ152は、リブ151の後方に形成されている。リブ151の複数箇所に、隙間154が形成されている。各隙間154は、各開口82の後方に形成されている。各隙間154の左右方向9の位置は、各開口82の左右方向9の位置と同じである。各リブ153は、リブ151とリブ152とを接続している。各リブ153は、各隙間154の左右方向9の両外方に形成されている。
【0119】
なお、キャップ取付部155は、キャップ113が取付可能な構成であれば、前述したリブ151、152、153を備えた構成に限らない。
【0120】
[連結部材200]
図6に示されるように、連結部材200は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mを、前後方向8の後方から、左右方向9に沿って一列に並んだ状態で保持するものである。連結部材200は、支持本体201及び連結部202を有する。図9に示されるように、支持本体201の後方から連結部202が組み合わされることによって、連結部材200が構成されている。なお、本実施形態では、支持本体201及び連結部202は別個の部材として構成されているが、支持本体201及び連結部202は一体に形成されてもよい。
【0121】
図9に示されるように、支持本体201は、ベース部203、起立部204、及び鍔部205を有する。起立部204は、ベース部203の後端部から上方へ立ち上がっている。鍔部205は、起立部204の上端部から前方へ延びている。
【0122】
ベース部203は、概ね矩形の平板である。ベース部203の上面には、前後方向8に沿って延びる4つの溝210が形成されている。溝210の前端は、前方へ開口している。各溝210の左右方向9の幅は、4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mの幅より若干大きい。各溝210は、保持部材120に一体に保持された4つのインクタンク100B、100Y、100C、100Mが、連結部材200と連結されるときに、凸部137(図4図5参照)が進入することによって、左右方向9の位置決めを行いつつ、前後方向8にスライド可能とするガイドとして機能する。
【0123】
ベース部203には、溝210と重複しない位置に2つの凹部211,212が形成されている。凹部211,212は、左右方向9に離れた位置に配置されている。各凹部211,212には、ベース部203を上下方向7に貫通する貫通孔213,214がそれぞれ形成されている。貫通孔213,214に挿通されたネジが筐体14のネジ穴に螺合され、ネジの頭が凹部211,212と当接することによって、ベース部203が筐体14に固定され、支持される。
【0124】
起立部204は、左右方向9の幅がベース部203の幅とほぼ同じである。起立部204には、各溝210の後端に対応する位置に、前後方向8に貫通する開口215(図6参照)がそれぞれ形成されている。開口215を通じて、連結部202のガイド筒222が起立部204の後方から前方へ向かって突出する。
【0125】
左右方向9において、各開口215の間には、上下方向7に沿って延びる仕切板216がそれぞれ設けられている。各仕切板216によって、隣り合う連結部202のインクニードル223の一方から他方へインクが飛散して付着することが抑制される。
【0126】
各開口215の上方には、前方へ向かって突出するロッド217がそれぞれ設けられている。各ロッド217の前端に、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mの後壁110がそれぞれ当接することによって、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mの後方の位置が決定される。
【0127】
鍔部205は、左右方向9の幅が起立部204の幅とほぼ同じである。鍔部205の先端であって各溝210の上方には、鍔部205を上下方向7に貫通する開口218(第2係合部の一例)が後方へ向かってそれぞれ延びている。
【0128】
図10に示されるように、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mが連結部材200と連結された状態において、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mの凸部136が開口218に挿入されている。凸部136が開口218に挿入された状態において、インクタンク100が連結部材200に対して右方へ移動しようとすると、凸部136が開口218の右端を区画する右縁面218Aと当接する。また、凸部136が開口218に挿入された状態において、インクタンク100が連結部材200に対して左方へ移動しようとすると、凸部136が開口218の左端を区画する左縁面218Bと当接する。ただし、左右方向9において、凸部136の外形に対して開口218の外形が若干大きいので、凸部136と開口218とが係合した状態において、連結部材200に対してインクタンク100は、左右方向9に若干移動することができる。
【0129】
鍔部205の上面には、複数の凸部219が上方へ突出している。各図には現れていないが、凸部219は、筐体14の中板163と係合することによって、筐体14に対して連結部材200を位置決めする。
【0130】
連結部202は、連結板221、ガイド筒222、インクニードル223、インク流路224、及びジョイント225を有する。
【0131】
連結板221は、左右方向9の幅が起立部204より狭い平板形状である。連結板221は、起立部204に対してネジ226によって固定されている。これにより、支持本体201と連結部202が一体に固定されている。
【0132】
ガイド筒222は、連結板221から前方へ突出する円筒形状である。ガイド筒222は、起立部204の開口215を通じて、起立部204の後方から溝210の上方へ延びている。ガイド筒222は、各溝210に対応して4つが左右方向9へ並んで配置されている。ガイド筒222は、その内部空間に、インクタンク100の突出部157を収容可能である。ガイド筒222は、インクニードル223がシール部材160の貫通孔に挿入されるときに、突出部157を収容することによって、インクニードル223とシール部材160の貫通孔との位置決めを行う。
【0133】
ガイド筒222の内部空間には、ガイド筒222と同軸線となるインクニードル223が配置されている。インクニードル223は、連結板221から前方へ突出した管である。インクニードル223の前端は、ガイド筒222の前端とほぼ同じ位置である。インクニードル223がインクタンク100のシール部材160の貫通孔に挿入されることにより、インクニードル223の前端がインク流出路114に進入する。これにより、インクニードル223の内部空間とインク流出路114とが連通する。インクニードル223の後端は、連結板221の後面に開口している。
【0134】
連結板221の後面には、インク流路224が形成されている。インク流路224は、各インクニードル223に対応して独立した流路として構成されている。連結板221の後面に形成された溝の開口面(後面)が不図示のフィルムによって封止されることによって、インク流路224が形成されている。各インク流路224は、各インクニードル223の後端の開口と連続している。また、各インク流路224は、連結板221の上部に形成された各ジョイント225とそれぞれ連続している。各ジョイント225には、インクチューブ32がそれぞれ連結される。連結部202によって、インクタンク100のインク流出路114からインクチューブ32へ連通するインク流路が構成される。
【0135】
[キャップ113]
図6図10に示されるように、インクタンク100は、キャップ113B、113Y、113C、113M(これらの総称として「キャップ113」と表記することがある。
)を備える。インクタンク100は、インクタンク100の4つの供給口112B、112Y、112C、112Mに対応して、4つのキャップ113B、113Y、113C、113Mを備える。
【0136】
各キャップ113は、ゴムやエラストマーのように弾性変形可能な素材によって成型されている。各キャップ113は、キャップ部115と、弾性変形部116と、取付部117とを備えている。なお、各キャップ113の構成は、以下で説明する構成に限らない。
【0137】
キャップ部115は、概ね円盤形状の円盤部115Aの中央から凸部115Bが突出された外形である。
【0138】
弾性変形部116は、帯形状である。弾性変形部116の一端は、キャップ部115に接続されている。弾性変形部116の他端は、取付部117に接続されている。弾性変形部116は、外部から力を付与されていない状態において、図6に示されるように、概ね真っ直ぐに延びた状態である。弾性変形部116の一端には、凸部116Aが形成されている。凸部116Aは、弾性変形部116を挟んでキャップ部115と反対に突出している。
【0139】
取付部117は、概ね直方体形状の矩形部117Aから凸部117Bが突出された外形である。矩形部117Aと凸部117Bとの境界は括れている。凸部117Bは、キャップ取付部155の形状(リブ151、152、153によって区画された領域)と対応した形状である。つまり、凸部117Bは、キャップ取付部155と嵌合可能である。また、凸部117Bとキャップ取付部155とが嵌合した状態において、矩形部117Aと凸部117Bとの境界は、隙間154に入り込んでいる。すなわち、キャップ113は、凸部117Bとキャップ取付部155とが嵌合することによって、保持部材120に取り付けられる。
【0140】
キャップ113は、保持部材120に取り付けられた状態において、図1(B)に示された封止位置と、図6に示された離間位置に移動可能である。封止位置のキャップ113は、供給口112を液密に封止する。キャップ113が離間位置に位置する状態において、供給口112が開放される。その結果、供給口112を通じてインク室111にインクを注入することが可能となる。
【0141】
[タンクセット99の取付方法]
以下、タンクセット99が筐体14に取り付けられる方法が説明される。連結部材200は、予め筐体14にネジ留めによって固定される。各インクタンク100B、100Y、100C、100Mは、保持部材120に取り付けられて一体となった状態で、連結部材200に組み付けられる。
【0142】
図11に示されるように、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mは、保持部材120に取り付けられている。前述されたように、保持部材120と各インクタンク100B、100Y、100C、100Mとの係合によって、具体的には、凸部108と開口79との係合、凸部109と開口80との係合、リブ122と開口79との係合、及び凸部133と開口69との係合によって、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mは、保持部材120に対して、上下方向7、前後方向8及び左右方向9に若干移動可能に位置決めされている。また、保持部材120に取り付けられた各インクタンク100B、100Y、100C、100Mの間には、隙間98が形成されており、相互に接触することが抑制されている。
【0143】
保持部材120に取り付けられた各インクタンク100B、100Y、100C、100Mは、連結部材200の前方から組み付けられる。このとき、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mの凸部137が、連結部材200の溝210に進入する。これにより、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mが、溝210に沿って後方へ案内されつつ、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mの突出部157と連結部材200のガイド筒222及びインクニードル223とが対向する。
【0144】
図12に示されるように、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mが、溝210に沿って更に後方へ案内されると、突出部157がガイド筒222の内部空間へ進入する。これにより、シール部材160の貫通孔とインクニードル223とがほぼ同軸線に位置決めされる。
【0145】
図13に示されるように、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mが更に後方へ移動されると、シール部材160の貫通孔にインクニードル223が進入する。これにより、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mのインク流出路114と各インクニードル223の内部空間とが連通する。各ロッド217の前端に、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mの後壁110がそれぞれ当接することによって、ユーザは、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mが後方の位置まで移動されたことを認識する。また、同図には現れていないが、保持部材120は、凸部78が筐体14の底板161に形成された穴162に挿入され、凸部84が筐体14の中板163に形成された穴164に挿入されることによって、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mを保持した状態で筐体14に固定されるとともに支持される。
【0146】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mのシール部材160の貫通孔にインクニードル223が進入した状態において、保持部材120の開口81周縁の凸部81Aが、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mの前壁101と前方から当接するので、仮にインクニードル223が進入するときのシール部材160の弾性変形によって、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mに対して前方へ移動する力が作用したとしても、シール部材160の貫通孔からインクニードル223が抜けることが防止される。
【0147】
また、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mは、保持部材120に係合された状態において、上下方向7、前後方向8及び左右方向9に若干移動可能なので、シール部材160の貫通孔とインクニードル223との連結位置を基準として、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mが位置決めされる。これにより、シール部材160の貫通孔とインクニードル223との軸線がずれることが防止される。
【0148】
また、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mと保持部材120との係合によって、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mのフィルム142,143が互いに接触することが抑制される。
【0149】
また、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mと連結部材200との係合、具体的には、凸部136が開口218と係合することによって、各インクタンク100B、100Y、100C、100Mのフィルム142,143が互いに接触することが一層抑制される。
【0150】
また、保持部材120が各インクタンク100B、100Y、100C、100Mの前方を覆った状態で、開口81を通じて第1ライン146及び第2ライン147が視認可能である。
【0151】
[変形例]
上記実施形態では、保持部材120と各インクタンク100B、100Y、100C、100Mとは、凸部108と開口79とが係合し、凸部109と開口80とが係合し、凸部130と開口79とが係合し、凸部133と開口69とが係合するが、これらの係合部分の形状や配置、数などは一例であり、適宜変更されてもよい。
【0152】
また、上記実施形態では、保持部材120及び連結部材200が共に筐体14に固定されるが、保持部材120又は連結部材200の一方のみが筐体14に固定されてもよい。
例えば、連結部材200が筐体14に固定され、保持部材120は、連結部材200に固定されてもよい。
【0153】
また、上記実施形態では、インクを液体の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、インクに代えて、印刷時にインクに先立って記録用紙に吐出される前処理液、或いは記録ヘッド39のノズル40の乾燥を防止するために記録ヘッド39のノズル40近傍に噴霧される水等が、液体の一例であってもよい。
【符号の説明】
【0154】
10・・・複合機(供給装置)
14・・・筐体
69,79,80・・・開口(第1係合部)
80・・・開口
81A・・・凸部(当接部)
100・・・インクタンク
111・・・インク室(液体貯留室)
112・・・供給口
114・・・インク流出路(液体流路)
120・・・保持部材
141・・・タンク本体
142,143・・・フィルム
146・・・第1ライン(第1マーク)
147・・・第2ライン(第2マーク)
157・・・突出部(液体供給部)
200・・・連結部材
202・・・連結部
218・・・開口(第2係合部の一例)
223・・・インクニードル(管)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13