(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】腕装着装置および時計
(51)【国際特許分類】
G04B 43/00 20060101AFI20240903BHJP
G04G 17/00 20130101ALI20240903BHJP
【FI】
G04B43/00 Z
G04G17/00 G
(21)【出願番号】P 2022138153
(22)【出願日】2022-08-31
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2022102253
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年6月15日、出願人「カシオ計算機株式会社」のホームページに開設したオンライン展示会「NEW WATCH COLLECTION JUNE 2022」のウェブサイト(招待者限定の特別ウェブサイト)にアップロード アップロード先アドレス https://www.casio-watches.com/sp/newproductex/jun2022/en/contents/product/g-shock/gm-b2100/
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】猪木 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】飯田 雅貴
(72)【発明者】
【氏名】梅本 嵩之
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-159767(JP,A)
【文献】特開昭52-45968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00-99/00
G04G 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
脆性部材を有して前記ケース内に設けられたモジュールと、
前記モジュールの撓み変形を前記脆性部材の長手方向に延びる
第3の仮想直線を中心線とする変形に限定させるように、前記モジュールを前記ケース内に支持する複数の支持部と、
を備え
、
前記脆性部材は、前記第3の仮想直線と重ならない位置にあり、かつ、ほぼ長方形の表示部材である、ことを特徴とする腕装着装置。
【請求項2】
ケースと、
脆性部材を有して前記ケース内に設けられたモジュールと、
前記モジュールの撓み変形を前記脆性部材の長手方向に延びる第3の仮想直線を中心線とする変形に限定させるように、前記モジュールを前記ケース内に支持する複数の支持部と、
を備え、
前記脆性部材は、前記第3の仮想直線と重ならない位置にあり、
前記モジュールは、前記脆性部材が設けられるハウジングと、前記ハウジングの上面に配置される文字板と、を備え、前記文字板の外周部に前記複数の支持部が設けられている
ことを特徴とする腕装着装置。
【請求項3】
請求項2に記載の腕装着装置において、
前記文字板には、装飾性を有する補強部材が設けられている
ことを特徴とする腕装着装置。
【請求項4】
ケースと、
脆性部材を有して前記ケース内に設けられたモジュールと、
前記モジュールの撓み変形を前記脆性部材の長手方向に延びる第3の仮想直線を中心線とする変形に限定させるように、前記モジュールを前記ケース内に支持する複数の支持部と、
を備え、
前記脆性部材は、前記第3の仮想直線と重ならない位置にあり、
前記モジュールは、前記脆性部材が設けられるハウジングと、前記ハウジングの上面に配置される押え板と、を備え、前記押え板の外周部に前記複数の支持部が設けられている
ことを特徴とする腕装着装置
【請求項5】
請求項1
~4の何れか一項に記載の腕装着装置において、
前記複数の支持部は、前記脆性部材の長手方向とほぼ同一方向に延び且つ前記モジュールの中心部よりも前記脆性部材と反対側に位置する第1の仮想直線が前記モジュールの外周部と交差する箇所近傍の2か所と、前記第1の仮想直線に対して直交する第2の仮想直線が前記モジュールの中心部よりも前記脆性部材側に位置する前記モジュールの外周部と交差する1か所と、の3か所に設けられている
ことを特徴とする腕装着装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の腕装着装置において、
前記脆性部材は、前記第2の仮想直線と重なる位置に設けられており、
前記モジュールの
撓み変形は、前記モジュールの前記
第3の仮想直線に対応する箇所が最大の変位量を有するように起こり、
前記第3の仮想直線が前記脆性部材と重ならない位置になるように、前記複数の支持部が設けられている
ことを特徴とする腕装着装置。
【請求項7】
請求項1
~4の何れか一項に記載の腕装着装置において、
前記モジュールは、補強部材を備え、
前記仮想直線が、前記脆性部材と前記補強部材との間に位置するように、前記複数の支持部が配置されている
ことを特徴とする腕装着装置。
【請求項8】
請求項1に記載の腕装着装置を備えていることを特徴とする時計。
【請求項9】
請求項2又は3に記載の腕装着装置を備えていることを特徴とする時計。
【請求項10】
請求項4に記載の腕装着装置を備えていることを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、腕時計などの腕装着装置および時計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、腕時計においては、特許文献1に記載されているように、腕時計ケースの内周面に複数のばね部材を設け、これら複数のばね部材によって時計モジュールを腕時計ケース内に弾力的に挟持させた構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
このような腕時計では、腕時計ケースが側方から衝撃を受けた際に、その衝撃を複数のばね部材の弾力によって緩衝することができるので、腕時計ケース内に設けられた時計モジュールが衝撃によって破損しないように時計モジュールを保護することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような腕時計では、腕時計ケースがその表裏面方向つまり厚み方向から衝撃を受けた際に、その衝撃によって腕時計ケース内の時計モジュールが厚み方向に撓み変形することがある。このような場合には、時計モジュールの撓み変形によって時計モジュールに組み込まれた液晶表示パネルなどの脆性部材が破損することがあるという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、脆性部材の破損を防ぐことができる腕装着装置および時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、ケースと、脆性部材を有して前記ケース内に設けられたモジュールと、前記モジュールの撓み変形を前記脆性部材の長手方向に延びる第3の仮想直線を中心線とする変形に限定させるように、前記モジュールを前記ケース内に支持する複数の支持部と、を備え、前記脆性部材は、前記第3の仮想直線と重ならない位置にあり、かつ、ほぼ長方形の表示部材である、ことを特徴とする腕装着装置である。
また、別の発明は、ケースと、脆性部材を有して前記ケース内に設けられたモジュールと、前記モジュールの撓み変形を前記脆性部材の長手方向に延びる第3の仮想直線を中心線とする変形に限定させるように、前記モジュールを前記ケース内に支持する複数の支持部と、を備え、前記脆性部材は、前記第3の仮想直線と重ならない位置にあり、前記モジュールは、前記脆性部材が設けられるハウジングと、前記ハウジングの上面に配置される文字板と、を備え、前記文字板の外周部に前記複数の支持部が設けられている、ことを特徴とする腕装着装置である。
さらに、別の発明は、ケースと、脆性部材を有して前記ケース内に設けられたモジュールと、前記モジュールの撓み変形を前記脆性部材の長手方向に延びる第3の仮想直線を中心線とする変形に限定させるように、前記モジュールを前記ケース内に支持する複数の支持部と、を備え、前記脆性部材は、前記第3の仮想直線と重ならない位置にあり、前記モジュールは、前記脆性部材が設けられるハウジングと、前記ハウジングの上面に配置される押え板と、を備え、前記押え板の外周部に前記複数の支持部が設けられている、ことを特徴とする腕装着装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、脆性部材の破損を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明を腕時計に適用した一実施形態を示した拡大斜視図である。
【
図3】
図2に示された腕時計のA-A矢視における拡大断面図である。
【
図4】
図1に示された腕時計において、腕時計ケースの本体ケース内に時計モジュールが組み込まれた状態を示した拡大斜視図である。
【
図5】
図4に示された腕時計の時計モジュールを示した拡大斜視図である。
【
図6】
図4に示された腕時計において、本体ケース内に組み込まれた状態における時計モジュールのハウジングの上面側を示した拡大斜視図である。
【
図7】
図3に示された腕時計における要部を拡大して示した断面図である。
【
図8】
図2に示された腕時計のB-B矢視における要部を示した拡大断面図である。
【
図9】
図4に示された腕時計において複数の支持部の位置を示した拡大正面図である。
【
図10】
図6に示された腕時計において複数の支持部の位置を示した拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1~
図10を参照して、この発明を腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この腕時計は、
図1および
図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の12時側と6時側とには、時計バンド(図示せず)が取り付けられるバンド取付部2がそれぞれ設けられている。また、この腕時計ケース1の2時側、4時側、8時側、および10時側には、押釦スイッチ3がそれぞれ設けられている。
【0011】
この腕時計ケース1は、
図3に示すように、本体ケース4と外装ケース5とを備えている。本体ケース4は、ステンレスなどの金属、または剛性の高い合成樹脂によってほぼ円筒状に形成されている。この本体ケース4の12時側と6時側とには、
図4および
図6に示すように、バンド取付部2の本体部2aがそれぞれ設けられている。また、この本体ケース4の内周部には、
図3および
図4に示すように、鍔部4aがリング状に突出して設けられている。
【0012】
また、外装ケース5は、
図1~
図3に示すように、本体ケース4の外周部に配置される第1外装部材5a(緩衝体)と、この第1外装部材5aおよび本体ケース4の上部にこれらを覆って配置される第2外装部材5bと、を備えている。第1外装部材5a(緩衝体)は、合成樹脂によって形成されている。第2外装部材5bは、本体ケース4と同様、ステンレスなどの金属、または剛性の高い合成樹脂によって形成されている。この場合、第1外装部材5aと第2外装部材5bとの各12時側と各6時側とには、本体ケース4に設けられたバンド取付部2の本体部2aを覆うバンド取付部2のカバー部2bがそれぞれ設けられている。
【0013】
ところで、本体ケース4の上側開口部には、
図3に示すように、時計ガラス6がパッキン6aを介して取り付けられている。この場合、時計ガラス6の下側には、
図1~
図3に示すように、時字7aを有する見切り部材7が本体ケース4内の鍔部4a上に配置された状態で設けられている。この本体ケース4の下部には、裏蓋8が防水リング8aを介して取り付けられている。また、この本体ケース4の内部には、時計モジュール10が中枠9(
図8参照)を介して設けられている。
【0014】
この時計モジュール10は、
図3~
図6に示すように、中枠9内に配置されるハウジング11を備えている。このハウジング11内には、時刻を指示するための時針や分針などの指針12aを運針させる第1の時計ムーブメント12と、時刻や日付、曜日などの情報を電気光学的に表示する表示部材であり且つ脆性部材でもある液晶表示パネル13と、電池の残量などの副機能情報を指示するための副針14aを運針させる第2の時計ムーブメント14と、電池(図示せず)とが設けられている。このハウジング11の下部には、回路基板15が設けられている。
【0015】
この回路基板15には、
図3、
図7および
図8に示すように、第1、第2の時計ムーブメント12、14、液晶表示パネル13、および電池(図示せず)がそれぞれ電気的に接続されている。この場合、脆性部材である液晶表示パネル13は、
図6に示すように、3時側から6時側に向けて長い
ほぼ長方形に形成されている。この液晶表示パネル13は、ハウジング11の3時側から6時側に亘ってハウジング11に設けられた長方形状の表示開口部11aに対応して配置されている。
【0016】
この液晶表示パネル13は、
図3および
図7に示すように、上下一対の透明なガラス基板間に液晶が封入され、これら一対のガラス基板の上下面にそれぞれ偏光板が配置された表示素子と、この表示素子の下側に配置されて表示素子の下面側を照明するバックライト装置と、を備えている。この液晶表示パネル13は、インターコネクタ13aによって回路基板15と電気的に接続され、この状態でインターコネクタ13aによって回路基板15上に支持されてハウジング11内に配置されるように構成されている。
【0017】
この場合、回路基板15の下側には、
図3、
図7および
図8に示すように、地板26が設けられている。この地板26は、回路基板15をハウジング11の下面に取り付けるためのものであり、ステンレスなどの金属薄板によって形成されている。この地板26は、その外周部に複数のフック部26aがハウジング11の外周面に沿って起立して設けられ(
図8参照)、これら複数のフック部26aがハウジング11の外周面に設けられた複数の突起部11bに係脱可能に係止されることにより、回路基板15をハウジング11の下面に押し当てて取り付けるように構成されている。
【0018】
また、この地板26の複数のフック部26aには、
図3、
図5、
図7および
図8に示すように、接点ばね26bがそれぞれ設けられている。これら複数の接点ばね26は、ハウジング11の外周に沿って延びる板ばねであり、複数の押釦スイッチ3にそれぞれ対応して設けられている。すなわち、これら複数の接点ばね26bは、押釦スイッチ3を腕時計ケース1の外部に向けて押し出す方向に付勢し、その付勢力に抗して押釦スイッチ3が押された際に、回路基板15の接点(図示せず)に接離可能に接触するように構成されている。
【0019】
一方、ハウジング11の上面には、
図3~
図5に示すように、リング状の押え板16を介して第1の文字板17が配置されている。この第1の文字板17は、その外周がハウジング11の外周とほぼ同じ大きさで、且つ押え板16の外周ともほぼ同じ大きさに形成されている。これにより、第1の文字板17は、その外周部が押え板16上に配置された際に、本体ケース4の鍔部4aの下面に対応して配置されるよう構成されている。
【0020】
この場合、リング状の押え板16の内側には、
図3に示すように、第2の文字板18とソーラーパネル19とが積層されて配置されている。ソーラーパネル19は、ハウジング11の上面に配置されており、このソーラーパネル19の外周部は、押え板16の内周側の下面に設けられた段差部16aに配置されている。第2の文字板18は、その外
周が押え板16の内周とほぼ同じ大きさに形成されて、押え板16の内周部内に位置させた状態で、ソーラーパネル19上に配置されている。
【0021】
第1の文字板17は、
図3~
図5に示すように、その上方を第1の時計ムーブメント12の指針12aが運針するものであり、光透過性を有するポリカーボネート(PC)などの合成樹脂によって形成されている。第2の文字板18は、
図4、
図5および
図8に示すように、その上方を第2の時計ムーブメント14の副針14aが運針するものであり、第1の文字板17と同様、光透過性を有するポリカーボネート(PC)などの合成樹脂によって形成されている。
【0022】
これにより、ソーラーパネル19は、
図3に示すように、腕時計ケース1の外部から時計ガラス6を透して腕時計ケース1内に入射した外部光が、第1の文字板17および第2の文字板18を順次透過して照射され、この照射された外部光によって起電力を発生させることにより、発電するように構成されている。
【0023】
また、第1の文字板17の5時側、第2の文字板18の5時側、およびソーラーパネル19の5時側には、
図3~
図5に示すように、液晶表示パネル13の表示領域が対応する表示窓部20が、ハウジング11の表示開口部11aに対応して設けられている。また、第1の文字板17の中心部、第2の文字板18の中心部、ソーラーパネル19の中心部、およびハウジング11の中心部には、第1の時計ムーブメント12の指針12aが取り付けられる指針軸12bが挿入する貫通孔21が上下に貫通して設けられている。
【0024】
さらに、第1の文字板17の9時側には、
図4、
図5および
図8に示すように、第2の時計ムーブメント14の副針14aが運針する副表示領域に対応する副表示開口部17aが円形状に設けられている。第2の文字板18の9時側の箇所、ソーラーパネル19の9時側の箇所、およびハウジング11の9時側の箇所には、第2の時計ムーブメント14の副針14aが取り付けられる副針軸14bが挿入する挿入孔22が、第1の文字板17の副表示開口部17aの中心部に対応した状態で、上下に貫通して設けられている。
【0025】
この場合、第1の文字板17の副表示開口部17aの外周部上には、
図3~
図5および
図8に示すように、飾り部23がほぼ半円弧状に設けられている。この飾り部23は、装飾性を有するものであり、副針14aの指示によって電池の残量などの副機能情報を表す目盛(図示せず)が表示されている。また、この飾り部23は、剛性の高い合成樹脂によって形成されている。これにより、時計モジュール10は、飾り部23に対応する箇所の撓み変形が抑えられるように構成されている。
【0026】
ところで、この時計モジュール10
には、
図3および
図5に示すように、時計モジュール10の撓み変形
が、前記脆性部材の長手方向に
延びる仮想直線を中心線とする変形に限定
されるように、時計モジュール10を腕時計ケース1内に支持
させるための複数の支持部24
が設けられている。これら複数の支持部24は、剛性を有する合成樹脂で形成され、第1の文字板17の外周部の上面に上方に向けて突出して設けられている。
【0027】
すなわち、第1の文字板17は、
図3、
図5および
図7に示すように、その外周部が腕時計ケース1の本体ケース4内に設けられたリング状の鍔部4aの下側に配置された際に、複数の支持部24が鍔部4aの下面に押し当てられるように構成されている。これにより、時計モジュール10は、第1の文字板17の外周部に設けられた複数の支持部24のみが本体ケース4内の鍔部4aに押し当てられて、本体ケース4内に保持されるように構成されている。
【0028】
また、複数の支持部24は、
図5、
図9および
図10に示すように、液晶表示パネル13の長手方向と
ほぼ同一方向に延びる第1の
仮想直線S1が時計モジュール10の第1の文字板17の外周部と交差する
箇所近傍の2か所P1、P2と、第1の
仮想直線S1に対して直交する第2の
仮想直線S2が時計モジュール10の第1の文字板17の外周部と交差する1か所P3との3か所に設けられている。
【0029】
また、
図9に示すように、液晶表示パネル13と飾り部23との間に
は、仮想直線S0が位置し、
この仮想直線S0は液晶表示パネル13及び飾り部23と重ならないようになっている。
そして、
仮想直線S0は液晶表示パネル13の長手方向
に延びる仮想直線(図示せず)と略平行な直線
である。略平行な直線とは、平行な直線に対し、例えば±5度以下
の傾きを有する直線である。
【0030】
次に、第1の
仮想直線S1は、
図9および
図10に示すように、液晶表示パネル13の長手方向
とほぼ同一方向に延び、仮想直線S0と略平行な直線であり、時計モジュール10の中心部を境にして液晶表示パネル13と反対側に位置している。
図9に示すように、
第3の仮想直線S3も第1の
仮想直線S1と同様に、液晶表示パネル13の長手方向
とほぼ同一方向に延び、仮想直線S0と略平行な直線であり、時計モジュール10の中心部を境にして液晶表示パネル13側に位置している。
仮想直線S0は、第1の
仮想直線S1と
第3の仮想直線S3との
間に位置している。
【0031】
第2の
仮想直線S2は、
図9および
図10に示すように、
仮想直線S0および第1の
仮想直線S1に対しほぼ直交して時計モジュール10のほぼ中心部を通る直線である。
【0032】
すなわち、脆性部材である液晶表示パネル13は、
図5、
図9および
図10に示すように、第1の直線S1
と直交する第2の
仮想直線S2と重なる位置に設けられている。第1の
仮想直線S1と時計モジュール10の外周とが交差する
位置の近傍に
は2つの交点P1、P2が位置し
ており、時計モジュール10の撓み変形は、
時計モジュール10の仮想直線S0に対応する箇所が最大の変位量を持つように起こる。時計モジュール10には、この撓み変形時に応力が集中する箇所に対応する仮想直線S0が液晶表示パネル13と重ならない位置になるように、複数の支持部24が設けられている。
【0033】
すなわち、複数の支持部24は、
図5、
図9および
図10に示すように、第1の
仮想直線S1が第1の文字板17の外周部と交差する
箇所近傍における12時側付近の箇所P1と9時側付近の箇所P2との2か所と、第2の
仮想直線S2が第1の文字板17の外周部と交差する5時側付近の箇所P3と、の3か所に設けられている。また、これら複数の支持部24は、時計モジュール10の外周つまり第1の文字板17の外周に沿って設けられている。複数の支持部24は、等間隔で配置されておらず、それぞれ少し異なる間隔で配置され
ている。従って
第1の文字板17の外周円を各支持部24の位置で三分割したときの各弧に対する中心角θ1、θ2、θ3
はそれぞれ少し異なっている。
【0034】
また、時計モジュール10の下部と中枠9の底部の内面(上面)との間には、
図3に示すように、緩衝部材25が配置されている。これにより、時計モジュール10は、中枠9を介して本体ケース4内に配置されて、本体ケース4の下部に裏蓋8が取り付けられた際に、緩衝部材25によって第1の文字板17の外周部に設けられた複数の支持部24が本体ケース4内の鍔部4aの下面に押し当てられるように構成されている。
【0035】
次に、このような腕時計を組み立てる場合について説明する。
この場合には、予め、時計モジュール10を組み立てる。このときには、まず、ハウジング11に第1、第2の時計ムーブメント12、14と液晶表示パネル13とを配置させる。すなわち、第1の時計ムーブメント12をハウジング11のほぼ中央部に対応させて、指針軸12bをハウジング11の貫通孔21に挿入させる。
【0036】
同様に、第2の時計ムーブメント14をハウジング11のほぼ9時側に対応させて、副針軸14bをハウジング11の挿入孔22に挿入させる。この状態で、第1、第2の時計ムーブメント12、14をハウジング11内に配置させる。また、液晶表示パネル13を配置する際には、液晶表示パネル13をハウジング11の3時側から6時側に向けて傾けて配置させ、この状態で液晶表示パネル13をハウジング11の表示開口部11aに対応させてハウジング11内に配置させる。
【0037】
そして、ハウジング11の下面に回路基板15を配置させる。このときには、第1、第2の時計ムーブメント12、14を回路基板15に電気的に接続させる。また、このときには、液晶表示パネル13をインターコネクタ13aによって回路基板15と電気的に接続させると共に、液晶表示パネル13をインターコネクタ13aによって回路基板15上に支持させてハウジング11内に配置させる。
【0038】
この状態で、回路基板15の下側に地板26を配置させて、地板26の外周部に起立して設けられた複数のフック部26aをハウジング11の外周部に設けられた複数の突起部11bに係止させる。これにより、回路基板15がハウジング11の下面に押し付けられて取り付けられると共に、第1、第2の時計ムーブメント12、14および液晶表示パネル13がハウジング11内に組み付けられる。このときには、複数のフック部26aに設けられた接点ばね26bがそれぞれハウジング11の2時側、4時側、8時側、および10時側の箇所に配置される。
【0039】
そして、ハウジング11の上面にソーラーパネル19を配置させると共に、このソーラーパネル19上に第2の文字板18を配置させる。この状態で、ソーラーパネル19および第2の文字板18の外周側に位置するハウジング11の上面にリング状の押え板16を配置させ、この押え板16上に第1の文字板17を配置させる。このときには、ソーラーパネル19の中心部、第2の文字板18の中心部、および第1の文字板17の中心部にそれぞれ同一軸上に対応して設けられた貫通孔21に第1の時計ムーブメント12の指針軸12bを挿入させる。
【0040】
また、このときには、ソーラーパネル19のほぼ5時側、第2の文字板18のほぼ5時側、および第1の文字板17のほぼ5時側にそれぞれ同一軸上に対応して設けられた表示窓部20に、ハウジング11の表示開口部11aを対応させて液晶表示パネル13の表示領域を対応させる。さらに、このときには、ソーラーパネル19のほぼ9時側および第2の文字板18のほぼ9時側にそれぞれ同一軸上に対応して設けられた挿入孔22に第2の時計ムーブメント14の副針軸14bを挿入させ、この挿入した副針軸14bを第1の文字板17のほぼ9時側に設けられた円形状の副表示開口部17a内に配置させる。
【0041】
この状態で、第1の時計ムーブメント12の指針軸12bに指針12aを取り付けると、指針12aが第1の文字板17の上方を運針可能な状態になる。また、この状態で、第2の時計ムーブメント14の副針軸14bに副針14aを取り付けると、副針14aが第1の文字板17の円形状の副表示開口部17a内に配置されて、第2の文字板18の上方を運針可能な状態になる。これにより、時計モジュール10が組み立てられる。
【0042】
次に、このように組み立てられた時計モジュール10を腕時計ケース1内に組み込む場合について説明する。
この場合には、予め、腕時計ケース1の本体ケース4内の上部に見切り部材7を上側から挿入させて、本体ケース4内に設けられたリング状の鍔部4a上に配置させる。この状態で、本体ケース4の上側開口部に時計ガラス6をパッキン6aと共に上側から嵌め込み、この嵌め込まれた時計ガラス6で見切り部材7を本体ケース4の鍔部4a上に押し付けて固定させる。
【0043】
そして、時計モジュール10の下面に緩衝部材25を配置させて、時計モジュール10を中枠9内に配置させる。この状態で、時計モジュール10を中枠9と共に本体ケース4内に下側から挿入させて、時計モジュール10の第1の文字板17の外周部に設けられた複数の支持部24を本体ケース4の鍔部4aの下面に当接させる。
【0044】
このときには、液晶表示パネル13の長手方向とほぼ同一方向に延びる第1の直線S1が時計モジュール10の第1の文字板17の外周部と交差する箇所近傍の2か所P1、P2の各支持部24がハウジング11の12時側付近と9時側付近とに配置される。また、このときには、第1の仮想直線S1に対して直交する第2の仮想直線S2が時計モジュール10の第1の文字板17の外周部と交差する1か所P3の支持部24がハウジング11の5時側付近に配置される。
【0045】
これにより、時計モジュール10は、その撓み変形が、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とする変形に限定されるように、複数の支持部24によって本体ケース4内に支持される。この状態で、本体ケース4の下部に裏蓋8を防水リング8aと共に取り付ける。これにより、第1の文字板17の外周部に設けられた複数の支持部24が本体ケース4内の鍔部4aの下面に押し当てられる。
【0046】
この状態で、本体ケース4の2時側、4時側、8時側および10時側に押釦スイッチ3を取り付ける。このときには、複数の押釦スイッチ3が時計モジュール10の地板26に設けられた複数の接点ばね26bにそれぞれ対応する。そして、本体ケース4の外周に外装ケース5を取り付ける。このときには、本体ケース4の外周部に外装ケース5の第1外装部材5aを取り付ける共に、この第1外装部材5aの外周部および本体ケース4の上部に外装ケース5の第2外装部材5bを取り付ける。これにより、腕時計が組み立てられる。
【0047】
次に、このような腕時計を腕に取り付けて使用する場合について説明する。
この腕時計では、通常、時計モジュール10によって現在時刻、時刻や日付、曜日などの情報、および電池の残量などの副機能情報を知ることができる。すなわち、時計モジュール10の第1の時計ムーブメント12によって指針12aが第1の文字板17の上方を運針して時刻を指示するので、指針12aによって時刻を知ることができる。
【0048】
また、このときには、時計モジュール10の液晶表示パネル13が時刻や日付、曜日などの情報を電気光学的に表示するので、表示窓部20および表示開口部11aを透して、時刻や日付、曜日などの情報を知ることができる。さらに、時計モジュール10の第2の時計ムーブメント14によって副針14aが、第1の文字板17の副表示開口部17a内において第2の文字板18の上方を運針して電池の残量などの副機能情報を指示するので、副針14aによって電池の残量などの副機能情報を知ることができる。
【0049】
この状態で、腕時計が上方から衝撃を受けると、腕時計ケース1内に組み込まれた時計モジュール10が上下方向に撓み変形することがある。時計モジュール10のハウジング11の上部に押え板16を介して設けられた第1の文字板17の外周部における複数の支持部24が腕時計ケース1の本体ケース4内に設けられたリング状の鍔部4aの下面に押し当てられて、本体ケース4内に時計モジュール10が組み込まれている。このため、これら複数の支持部24によって、時計モジュール10の撓み位置が限定されている。
【0050】
すなわち、時計モジュール10は、複数の支持部24によって時計モジュール10の撓み変形が、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とする変形に限定されるように、本体ケース4内に支持されている。このため、時計モジュール10は、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線として撓むので、時計モジュール10の撓み変形に伴い脆性部材である液晶表示パネル13加わる液晶表示パネル13を撓ませる力を抑制することができ、その結果液晶表示パネル13の割れなどの破損が防げる。
【0051】
その際には、液晶表示パネル13に、撓み線、すなわち仮想直線S0が掛からなれば良く、複数の支持部24が、液晶表示パネル13の長手方向とほぼ同一方向に延び且つ時計モジュール10の中心部よりも液晶表示パネル13と反対側に位置する第1の仮想直線S1が第1の文字板17の外周部と交差する箇所近傍における12時側付近と9時側付近との2か所P1、P2と、第1の仮想直線S1に対して直交する第2の仮想直線S2が時計モジュール10の中心部よりも液晶表示パネル13側に位置する第1の文字板17の外周部と交差する5時側付近の1か所P3との3か所に設けられているので、時計モジュール10の撓み変形を液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とする変形に限定させることができる。第1の仮想直線S1とP3との距離が長くなるようにし、時計モジュール10がより確実に撓みやすくなるようにする。これにより時計モジュール10の撓み変形を液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とする変形に限定させることができる。
【0052】
この場合、複数の支持部24は、第1の文字板17の外周に沿って、それぞれ少し異なる間隔であって、各々の位置で第1の文字板17の外周円を三分割した場合の各々の弧に対する各中心角θ1、θ2、θ3がそれぞれ少し異なるように、第1の文字板17の外周における12時側付近、9時側付近および5時側付近の箇所P1~P3に設けられているので、時計モジュール10の撓み変形を、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とする変形に確実に且つ良好に限定させることができ、これにより液晶表示パネル13に加わる力が、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とした時計モジュール10の変形に伴って生じる力に限定されるので、液晶表示パネル13の割れなどの破損が確実に防げる。
【0053】
このように、この腕時計によれば、腕時計ケース1と、脆性部材である液晶表示パネル13を有して腕時計ケース1内に設けられた時計モジュール10と、この時計モジュール10の撓み変形を、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とする変形に限定させるように時計モジュール10を腕時計ケース1内に支持する複数の支持部24と、を備えていることにより、液晶表示パネル13の破損を防ぐことができる。
【0054】
すなわち、この腕時計では、複数の支持部24によって時計モジュール10の撓み変形を、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とする変形に限定させることができるので、腕時計ケース1が上方から衝撃を受けて時計モジュール10が上下方向に撓み変形しても、複数の支持部24によって、液晶表示パネル13に加わる力を、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とした時計モジュール10の変形に伴って生じる力に限定させることができ、撓み位置が液晶表示パネル13に掛からないため、液晶表示パネル13の割れなどの破損を防ぐことができる。
【0055】
この場合、この腕時計では、複数の支持部24が、液晶表示パネル13の長手方向と同一方向に延び且つ時計モジュール10の中心部よりも液晶表示パネル13と反対側に位置する第1の直線S1が時計モジュール10の外周部と交差する箇所近傍の2か所P1、P2と、第1の直線S1に対して直交する第2の直線S2が時計モジュール10の中心部よりも液晶表示パネル13側に位置する時計モジュール10の外周部と交差する1か所P3との3か所に設けられていることにより、複数の支持部24によって時計モジュール10の撓み変形を、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とする変形に確実に且つ良好に限定させることができる。
【0056】
すなわち、この腕時計では、液晶表示パネル13の長手方向と同一方向に延びる第1の直線S1が時計モジュール10の外周部と交差する箇所近傍における12時側付近の箇所P1と9時側付近の箇所P2との2か所と、第1の直線S1に対して直交する第2の直線S2が時計モジュール10の中心部よりも液晶表示パネル13側に位置する時計モジュール10の外周部と交差する5時側付近の箇所P3との3か所に複数の支持部24が設けられている。
【0057】
このため、この腕時計では、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線と直交する仮想直線を中心線として時計モジュール10が撓み変形することがなく、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とするように、時計モジュール10の撓み変形を限定させることができ、これにより液晶表示パネル13に加わる力を、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とした時計モジュール10の変形に伴って生じる力に限定させることができるので、液晶表示パネル13の割れなどの破損を確実に且つ良好に防ぐことができる。
【0058】
また、この腕時計では、脆性部材である液晶表示パネル13が、第2の仮想直線S2と重なる位置に設けられており、第1の仮想直線S1と時計モジュール10の外周とが交差する近傍に2つの交点P1、P2が位置し、仮想直線S0は、時計モジュール10において撓み変形時に最大の変位量を持つ箇所に対応し、その撓み変形時に変位量が最大となる箇所に対応する仮想直線S0が液晶表示パネル13と重ならない位置になるように、複数の支持部24が設けられていることにより、複数の支持部24によって時計モジュール10の撓み変形を、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とする変形に確実に且つ良好に限定させることができる。
【0059】
すなわち、この腕時計では、複数の支持部24によって、時計モジュール10における撓み変形時に最大変位量を持つ箇所に対応する仮想直線S0が液晶表示パネル13と重ならない位置になるようにできるので、これによっても液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とする変形となるように、時計モジュール10の撓み変形を限定させることができるので、液晶表示パネル13の割れなどの破損を確実に且つ良好に防ぐことができる。
【0060】
また、この腕時計では、複数の支持部24が時計モジュール10の外周に沿って少し異なる間隔で設けられていることにより、複数の支持部24を、それらによって第1の文字板17の外周円を三分割したときの各弧に対する中心角θ1、θ2、θ3が少し異なるように、第1の文字板17の外周における12時側付近と9時側付近と5時側付近との3か所P1~P3に設けることができ、これにより時計モジュール10の撓み変形を、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とする変形に確実に且つ良好に限定させることができるので、液晶表示パネル13に加わる力を、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とした時計モジュール10の変形に伴って生じる力に限定させることができ、これにより液晶表示パネル13の割れなどの破損を確実に且つ良好に防ぐことができる。
【0061】
また、この腕時計では、時計モジュール10が補強部材である飾り部23を備え、時計モジュール10の撓み変形時の中心線となる仮想直線を液晶表示パネル13と飾り部23との間に位置するように、複数の支持部24が配置されていることにより、複数の支持部24によって時計モジュール10の撓み変形時の中心線となる仮想直線を液晶表示パネル13と飾り部23との間に位置させることができる。これによっても液晶表示パネル13の割れなどの破損を確実に且つ良好に防ぐことができる。
【0062】
また、この腕時計では、脆性部材が表示部材である液晶表示パネル13であり、液晶表示パネル13がほぼ長方形状であっても、複数の支持部24によって時計モジュール10の撓み変形を、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とする変形に限定させることができるので、液晶表示パネル13に加わる力を、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とした時計モジュール10の変形に伴って生じる力に限定させることができ、これにより液晶表示パネル13の割れなどの破損を良好に防ぐことができる。
【0063】
この場合、この腕時計では、ほぼ長方形状の液晶表示パネル13が時計モジュール10の3時側から6時側に向けて配置されていても、12時側付近と9時側付近と5時側付近との3か所P1~P3に設けられた複数の支持部24によって、時計モジュール10の撓み変形を、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とする変形に確実に且つ良好に限定させることができ、これにより液晶表示パネル13に加わる力を、液晶表示パネル13の長手方向に延びる仮想直線を中心線とした時計モジュール10の変形に伴って生じる力に限定させることができるので、液晶表示パネル13の割れなどの破損を防ぐことができる。
【0064】
また、この腕時計では、時計モジュール10が、液晶表示パネル13を備えたハウジング11と、このハウジング11の上面に配置された第1の文字板17と、を備え、この第1の文字板17の外周部に複数の支持部24が設けられていることにより、時計モジュール10を腕時計ケース1に組み込んだ際に、第1の文字板17に設けられた複数の支持部24を腕時計ケース1の本体ケース4内に設けられたリング状の鍔部4aに確実に且つ良好に押し当てて時計モジュール10を本体ケース4内に良好に配置させて保持することができる。
【0065】
すなわち、この腕時計では、第1の文字板17が時計モジュール10の最上面に位置しているので、時計モジュール10を本体ケース4内に下側から挿入させた際に、時計モジュール10の最上面に位置する第1の文字板17の外周部に設けられた複数の支持部24を本体ケース4内の鍔部4aの下面に確実に且つ良好に押し当てて時計モジュール10を本体ケース4内に確実に且つ良好に配置させて保持することができる。
【0066】
さらに、この腕時計では、第1の文字板17に装飾性を有する例えば補強部材である飾り部23が設けられていることにより、この飾り部23によって装飾性およびデザイン性を向上させることができるほか、この飾り部23が剛性の高い合成樹脂によって形成、または剛性が高くなくても厚みが厚く形成されていることにより、時計モジュール10の撓み変形を飾り部23によって抑えることができるので、これによっても液晶表示パネル13の割れなどの破損を防ぐことができる。
【0067】
なお、上述した実施形態では、脆性部材として液晶表示パネル13を用いた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、脆性部材としてEL(エレクトロ・ルミネッセンス)表示パネルなどの平面型の表示パネルを用いても良い。
【0068】
また、上述した実施形態では、時計モジュール10の第1の文字板17の外周部に複数の支持部24を設けた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば時計モジュール10のリング状の押え板16上に複数の支持部24を設けても良い。この場合には、第1の文字板17の外周端が押え板16の外周端よりも小さく形成され、押え板16の上面が本体ケース4内の鍔部4aの下面に対面して当接可能な構造であれば良い。
【0069】
また、この発明は、ハウジング11の外周部上に複数の支持部24を設けた構造であっても良い。この場合には、第1の文字板17と押え板16とをハウジング11の外周部より小さく形成し、このハウジング11の外周部が本体ケース4内の鍔部4aの下面に対面して当接可能な構造であれば良い。
【0070】
また、上述した実施形態では、液晶表示パネル13を時計モジュール10の3時側から6時側に向けて配置させ、複数の支持部24を時計モジュール10の12時側付近と9時側付近と5時側付近との3か所P1~P3に設けた場合について述べたが、この発明は、これも限らず、液晶表示パネル13を時計モジュール10のどのような位置に配置させても良い。この場合にも、複数の支持部24は、時計モジュール10の撓み変形を液晶表示パネル13の長手方向に沿う方向に限定させるように、時計モジュール10を腕時計ケース1内に支持させれば良い。
【0071】
すなわち、複数の支持部24は、液晶表示パネル13の長手方向と平行で且つ時計モジュール10の中心部よりも液晶表示パネル13と反対側に位置する第1の直線S1が時計モジュール10の外周部と交差する2か所と、第1の直線S1に対して直交する第2の直線S2が時計モジュール10の中心部よりも液晶表示パネル13側に位置する時計モジュール10の外周部と交差する1か所との3か所で、時計モジュール10の外周に沿ってそれぞれ少し異なる間隔で設けられていれば良い。
【0072】
また、上述した実施形態では、腕時計ケース1の本体ケース4内にリング状の鍔部4aを設け、この本体ケース4内の上部に見切り部材7を挿入させて鍔部4a上に配置させた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば本体ケース4内の鍔部4aを取り除いて、見切り部材7を本体ケース4の下側から挿入させて時計ガラス6の外周部の下面に当接させ、この状態で時計モジュール10を本体ケース4の下側から挿入させて複数の支持部24を見切り部材7の下面に当接させるように構成しても良い。
【0073】
さらに、上述した実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。また、この発明は、必ずしも時計である必要はなく、腕に装着して使用する腕装着装置や携帯電話、携帯情報端末などの電子機器にも広く適用することができる。
【0074】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0075】
(付記)
請求項1に記載の発明は、ケースと、脆性部材を有して前記ケース内に設けられたモジュールと、前記モジュールの撓み変形を前記脆性部材の長手方向に沿う方向に限定させるように前記モジュールを前記ケース内に支持する複数の支持部と、を備えていることを特徴とする腕装着装置である。
【0076】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の腕装着装置において、前記複数の支持部は、前記脆性部材の長手方向とほぼ平行で且つ前記モジュールの中心部よりも前記脆性部材と反対側に位置する第1の直線が前記モジュールの外周部と交差する2か所近傍と、前記第1の直線に対して直交する第2の直線が前記モジュールの中心部よりも前記脆性部材側に位置する前記モジュールの外周部と交差する1か所近傍と、の3か所に設けられていることを特徴とする腕装着装置である。
【0077】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の腕装着装置において、前記脆性部材は、前記第1の直線上からの垂線である前記第2の直線と重なる位置に設けられており、前記モジュールの撓み変形は、当該モジュールの撓み変形量が最大となるラインであり、前記撓み変形量が最大となる前記ラインが前記脆性部材と重ならない位置になるように、前記複数の支持部が設けられていることを特徴とする腕装着装置である。
【0078】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の腕装着装置において、前記モジュールは、補強部材を備え、前記モジュールの撓み変形が、前記脆性部材と前記補強部材との間に位置するように、前記複数の支持部が配置されていることを特徴とする腕装着装置である。
【0079】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の腕装着装置において、前記脆性部材は、ほぼ長方形の表示部材であることを特徴とする腕装着装置である。
【0080】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の腕装着装置において、前記モジュールは、前記脆性部材が設けられるハウジングと、前記ハウジングの上面に配置される文字板と、を備え、前記文字板の外周部に前記複数の支持部が設けられていることを特徴とする腕装着装置である。
【0081】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の腕装着装置において、前記文字板板には、装飾性を有する補強部材が設けられていることを特徴とする腕装着装置である。
【0082】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の腕装着装置において、前記モジュールは、前記脆性部材が設けられるハウジングと、前記ハウジングの上面に配置される押え板と、を備え、前記押え板の外周部に前記複数の支持部が設けられていることを特徴とする腕装着装置である。
【0083】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の腕装着装置を備えていることを特徴とする時計である。
【符号の説明】
【0084】
1 腕時計ケース
2 バンド取付部
3 押釦スイッチ
4 本体ケース
4a 鍔部
5 外装ケース
5a 第1外装部材
5b 第2外装部材
6 時計ガラス
6a パッキン
7 見切り部材
7a 時字
8 裏蓋
8a 防水リング
9 中枠
10 時計モジュール
11 ハウジング
11a 表示開口部
11b 突起部
12 第1の時計ムーブメント
12a 指針
12b 指針軸
13 液晶表示パネル
14 第2の時計ムーブメント
14a 副針
14b 副針軸
15 回路基板
16 押え板
16a 段差部
17 第1の文字板
17a 副表示開口部
18 第2の文字板
19 ソーラーパネル
20 表示窓部
21 貫通孔
22 挿入孔
23 飾り部
24 支持部
25 緩衝部材
26 地板
26a フック部
26b 接点ばね
S0 直線
S1 第1の直線
S2 第2の直線
S3 直線