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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】刈取作業方法
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240903BHJP
   A01D 41/12 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
A01D41/12 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022207106
(22)【出願日】2022-12-23
(62)【分割の表示】P 2021028389の分割
【原出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2023027377
(43)【公開日】2023-03-01
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】神▲崎▼ 健豪
(72)【発明者】
【氏名】藤川 涼平
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-181371(JP,A)
【文献】特開2019-110790(JP,A)
【文献】特開2015-170223(JP,A)
【文献】特開2018-068284(JP,A)
【文献】特開2020-022429(JP,A)
【文献】特開2019-216744(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0135190(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
A01D 41/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に植立された穀稈の刈取りを行う刈取装置(3)と、該刈取装置(3)の後方左側に穀稈の脱穀を行う脱穀装置(4)と、前記刈取装置(3)の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部(5)と、該操縦部(5)の後側に脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク(7)と、該グレンタンク(7)内に貯留された穀粒を外部に排出する排出オーガ(8)を設けたコンバインを使用して圃場に植立する穀稈を刈取る刈取作業方法であって、
前記コンバインのコントローラ(20)は、第1自動刈取経路(52A)、第2自動刈取経路(52B)、第3自動刈取経路(52C)、及び第4自動刈取経路(52D)を反時計回りにこの順で配置して矩形状の自動刈取経路(52)を形成して、前記第1自動刈取経路(52A)に対向する圃場の外周部に排出位置(61)を設定し、
前記コンバインのコントローラ(20)は、前記コンバインの自動走行中にグレンタンク(7)内の穀粒の貯留量が所定以上になった場合には、前記第1自動刈取経路(52A)の進行方向終端側の端部に自動刈取経路(52)からの離脱位置(53)を設定するとともに、前記第1自動刈取経路(52A)の進行方向始端側の端部に自動刈取経路(52)への復帰位置(54)を設定する、
ことを特徴とする刈取作業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操縦者がコンバインを操作して圃場の外周部の穀稈の刈取りを行った後、コンバインが自動走行して圃場の内周部の穀稈の刈取りを行う刈取作業方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の穀稈の刈取作業方法では、圃場内に搬入されたコンバインが、測位衛星の信号に基づいて設定された刈取経路を走行しながら穀稈の刈取作業を行う方法が知られている。
(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018―108034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の穀稈の刈取作業方法では、コントローラが、刈取経路を周回する始点位置毎に、次の刈取経路を周回して収穫される穀粒がグレンタンクに貯留可能か否か判断して、収穫される穀粒がグレンタンクに貯留できない場合には、刈取経路から離脱して排出位置に移動して車両に穀粒を排出して再び刈始点位置に復帰するので、刈取作業を効率的に行うことができないという恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明は、グレンタンク内の穀粒の貯留量が所定以上になった場合に、矩形状に形成された自動刈取経路のいずれかの隅から離脱して排出位置に移動する刈取作業の効率が高い刈取作業方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
【0007】
すなわち、請求項1記載の発明は、圃場に植立された穀稈の刈取りを行う刈取装置(3)と、該刈取装置(3)の後方左側に穀稈の脱穀を行う脱穀装置(4)と、前記刈取装置(3)の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部(5)と、該操縦部(5)の後側に脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク(7)と、該グレンタンク(7)内に貯留された穀粒を外部に排出する排出オーガ(8)を設けたコンバインを使用して圃場に植立する穀稈を刈取る刈取作業方法であって、
前記コンバインのコントローラ(20)は、第1自動刈取経路(52A)、第2自動刈取経路(52B)、第3自動刈取経路(52C)、及び第4自動刈取経路(52D)を反時計回りにこの順で配置して矩形状の自動刈取経路(52)を形成して、前記第1自動刈取経路(52A)に対向する圃場の外周部に排出位置(61)を設定し、前記コンバインのコントローラ(20)は、前記コンバインの自動走行中にグレンタンク(7)内の穀粒の貯留量が所定以上になった場合には、前記第1自動刈取経路(52A)の進行方向終端側の端部に自動刈取経路(52)からの離脱位置(53)を設定するとともに、前記第1自動刈取経路(52A)の進行方向始端側の端部に自動刈取経路(52)への復帰位置(54)を設定する、ことを特徴とする刈取作業方法である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、コンバインのコントローラ(20)は、コンバインの自動走行中にグレンタンク(7)内の穀粒の貯留量が所定以上になった場合には、自動走行の前方に位置する矩形状の自動刈取経路(52)の隅部の離脱位置(53)から圃場における外周部に設定した排出位置(61)にコンバインを自動走行させた後に、排出オーガ(8)を駆動してグレンタンク(7)内に貯留された穀粒を外部に排出させるので、コンバインを排出位置(61)に速やかに自動走行させてグレンタンク(7)内に貯留された穀粒を運搬車両の荷台に排出して刈取作業の効率を高かめることができる。また、収穫された穀粒がグレンタンク(7)から漏れ出すのも抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】コンバインの左側面図である。
図2】コンバインの平面図である。
図3】コンバインの測位ユニットの接続図である。
図4】コンバインのコントローラの接続図である。
図5】コンバインの第1刈取作業方法であり、(a)は離脱方法、(b)は復帰方法の説明図である。
図6】コンバインの第2刈取作業方法であり、(a)は離脱方法、(b)は復帰方法の説明図である。
図7】コンバインの第3刈取作業方法であり、(a)は離脱方法、(b)は復帰方法の説明図である。
図8】コンバインの第4刈取作業方法であり、(a)は離脱方法、(b)は復帰方法の説明図である。
図9】コンバインの第5刈取作業方法であり、(a)は離脱方法、(b)は復帰方法の説明図である。
図10】コンバインの刈取作業方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1,2に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を刈取る刈取装置3が設けられ、刈取装置3の後方左側に刈取られた穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0019】
操縦部5の下側にはエンジンEを搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する上下方向に延在する揚穀部と前後方向に延在する横排出からなる排出オーガ8が設けられている。
【0020】
図3に示すように、RTK-GPS測位方式である測位ユニット10は、測位衛星11と、既知の位置に設けられた基地局12と、コンバインに設けられた移動局16で構成されている。これにより、測位衛星11から移動局16に送信されてくる位置情報と基地局12から移動局16に送信されてくる補正用の位置情報から移動局16の位置、すなわちコンバインの位置を正確に得ることができる。
【0021】
基地局12は、固定用通信機13と、測位衛星11からの位置情報を受信する固定用GPSアンテナ14と、移動局16に補正用の位置情報を送信する固定用データ送信アンテナ15で構成されている。
【0022】
移動局16は、移動用通信機17と、測位衛星11からの位置情報を受信する移動用GPSアンテナ18と、基地局12からの補正用の位置情報を受信する移動用データ送信アンテナ19で構成されている。
【0023】
図4に示すように、コンバインのコントローラ20は、CPU等からなる処理部21と、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等からなる記憶部22と、外部とのデータ通信用の通信部23から形成されている。
【0024】
処理部21は、グレンタンク7の穀粒を貯留可能な空き容量と、予め設定された自動刈取経路52の走行距離に基づいて算出される収穫量を比較して、コンバインを自動刈取経路52に沿って走行させるか、コンバインを自動刈取経路52から離脱させて穀粒を搬送する車両60に向かわせる離脱位置53と、穀粒を排出したコンバインを車両60から自動刈取経路52に復帰させる復帰位置54を設定するかを判断する。
【0025】
記憶部22には、グレンタンク7の空き容量、単位移動距離当たりの収穫量、圃場の位置、圃場の形状、搬出入位置、自動刈取経路、離脱位置、復帰位置等の情報が保存され、定期的の更新されている。
【0026】
コントローラ20の入力側には、コンバインの位置情報である移動局16の移動用通信機17と、グレンタンク7に貯留された穀粒の重量を測定する満杯センサ30と、グレンタンク7に貯留された穀粒がグレンタンク7の貯留容量の略80%に達したことを測定する満杯センサ31と、グレンタンク7に貯留された穀粒がグレンタンク7の貯留容量の略100%に達したことを測定する満杯センサ32が所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。なお、グレンタンク7の空き容量は、グレンタンク7の容量から満杯センサ30の測定値に基づいて算出された穀粒の貯留容量を減算して求めることができる。
【0027】
コントローラ20の出力側には、コンバインを自動刈取経路52に沿って走行させる走行スイッチ40と、コンバインを自動刈取経路52の隅部の離脱位置53から離脱させる離脱スイッチ41と、コンバインを離脱位置53から車両60の近傍の排出位置61に移動させる移動スイッチ42と、コンバインを排出位置61から自動刈取経路52の隅部の復帰位置54に移動させる移動スイッチ43と、コンバインを復帰位置54から自動刈取経路52に沿って走行させる再開スイッチ44と、排出オーガ8を駆動するオーガスイッチ45が所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。なお、本明細書では、第1離脱位置53A~第4離脱位置53Dを総称して離脱位置53といい、第1復帰位置54Aと第2復帰位置54Bを総称して復帰位置54という。
【0028】
<刈取作業>
図5に示すように、コンバインは、圃場の搬入口50から圃場に搬入される。圃場に搬入されたコンバインは、操縦部5に搭乗した操縦者によって操作されて、圃場の外周部、すなわち圃場における畦に近傍する部位に沿って、反時計回りに周回走行して圃場の外周部に植立する穀稈の刈取作業を行う。これにより、コンバインと畦との衝突を回避して圃場の外周部に植立する穀稈の刈取作業を行うことができる。なお、周回走行した手動刈取経路51は、コントローラ20の記憶部22に保存される。
【0029】
圃場の外周部の穀稈の刈取作業が終了した後は、コンバインは自動走行に切り換えられ、予めコントローラ20の記憶部22に保存されていた自動刈取経路52に沿って自動走行を行う。これにより、圃場の内周部に植立する穀稈を自動で刈取って刈取作業の負担を大幅に軽減することができる。図5等には、コンバインが操縦者によって操作された手動刈取経路51を破線で、コンバインが自動走行した自動刈取経路52は実線で示している。
【0030】
本明細書では、説明を明確にするために、自動刈取経路52において、コンバインが搬入口50から左側に向かってに走行する経路を第1自動刈取経路52Aといい、コンバインが第1自動刈取経路52Aの左端部から下側に向かって走行する経路を第2自動刈取経路52Bといい、コンバインが第2自動刈取経路52Bの下端部から右側に向かって走行する経路を第3自動刈取経路52Cといい、コンバインが第3自動刈取経路52Cの右端部から上側に向かって移動する経路を第4自動刈取経路52Dという。また、第1自動刈取経路52Aに対向する圃場の外側にコンバインから排出された穀粒を搬送する車両60が待機しているものとして説明を行う。
【0031】
操縦者に操作されてコンバインが周回走行した距離は、移動用通信機17の入力値によって算出することができ、収穫された穀粒の収穫量は、満杯センサ30の入力値によって算出することができる。また、算出された収穫量を距離で除算することにより単位距離当たりの収穫量を算出され、算出された単位収穫量は、コントローラ20の記憶部22に保存される。これにより、例えば、単位収穫量に第1自動刈取経路52Aの距離を乗算して収穫量を算出して、第1自動刈取経路52Aの左端部まで刈取作業を行って刈取られた穀粒をグレンタンク7に貯留できるか否か判断することができる。
【0032】
(第1刈取作業方法)
コントローラ20の処理部21は、第1自動刈取経路52Aの走行中に満杯センサ31の入力が有った場合、すなわち、穀粒がグレンタンク7の貯留容量の略80%以上になった場合には、第1自動刈取経路52A~第4自動刈取経路52Dを自動走行して収穫する穀粒がグレンタンク7に貯留できるか否か判断する。
【0033】
第1自動刈取経路52A~第4自動刈取経路52Dを自動走行して収穫する穀粒がグレンタンク7に貯留できると判断した場合には、図5(a)に示すように、コンバインを第1自動刈取経路52A~第4自動刈取経路52Dと走行させた後に、コンバインを第4自動刈取経路52Dの上端部である第4離脱位置53Dから離脱させて車両60の近傍の排出位置61に自動走行させる。これにより、コンバインを排出位置61に速やかに走行させてグレンタンク7に貯留された穀粒を車両60の荷台に排出することができる。なお、コンバインは、第4離脱位置53Dから上側に向かって走行した後に、所定の半径を有して左側に曲がり、その後、左側に向かって走行して排出位置61に位置する。また、第4自動刈取経路52Dを自動走行時に、満杯センサ32の入力が有った場合には、コンバインは所定の距離だけ後進して、その場から離脱させて車両60の近傍の排出位置61に自動走行させる。
【0034】
次に、図5(b)に示すように、穀粒の排出が終了した後、コンバインを排出位置61から既に刈取作業が終了した第2自動刈取経路52Bの上端部である第2復帰位置54Bに自動走行させて復帰させる。これにより、コンバインを第2復帰位置54Bに速やかに走行させて刈取作業を効率良く再開することができる。なお、コンバインは、排出位置61から左側に向かって走行した後、所定の半径を有して下側に曲がり、その後、下側に向かって走行して第2復帰位置54Bに位置する。これにより、コンバインは、後進等することなく第2自動刈取経路52Bに沿って刈取作業を再開することができる。
【0035】
(第2刈取作業方法)
図6には第2刈取作業方法が図示されている。車両60が第1自動刈取経路52Aの右端部に対向する圃場の外側に待機している点において第1刈取作業方法と相違している。
なお、第1刈取作業方法と同一経路等には同一符号を付して説明を省略する。
【0036】
第1自動刈取経路52A~第4自動刈取経路52Dを自動走行して収穫する穀粒がグレンタンク7に貯留できると判断した場合には、図6(a)に示すように、コンバインを第1自動刈取経路52A~第3自動刈取経路52Cと走行させた後に、コンバインを第3自動刈取経路52Cの右端部である第3離脱位置53Cから離脱させて車両60の近傍の排出位置61に自動走行させる。これにより、第4離脱位置53Dの上側にコンバインが左側に曲がるスペースがない場合おいても、コンバインを排出位置61に速やかに走行させてグレンタンク7に貯留された穀粒を車両60の荷台に排出することができる。なお、コンバインは、第3離脱位置53Cから右側に向かって走行した後に、所定の半径を有して左側(図6(a)では上側)に曲がる。そして、上側に向かって走行した後に、所定の半径を有して左側に曲がり、その後、左側に向かって走行して排出位置61に位置する。また、第3自動刈取経路52Cを自動走行時に、満杯センサ32の入力が有った場合には、コンバインは所定の距離だけ後進して、その場から離脱させて車両60の近傍の排出位置61に自動走行させる。
【0037】
次に、図6(b)に示すように、穀粒の排出が終了した後、コンバインを排出位置61から既に刈取作業が終了した第2自動刈取経路52Bの上端部である第2復帰位置54Bに自動走行させて復帰させる。これにより、コンバインを第2復帰位置54Bに速やかに走行させて刈取作業を効率良く再開することができる。なお、コンバインは、排出位置61から左側に向かって走行した後、所定の半径を有して下側に曲がり、その後、下側に向かって走行して第2復帰位置54Bに位置する。これにより、コンバインは、後進等することなく第2自動刈取経路52Bに沿って刈取作業を再開することができる。
【0038】
また、第3離脱位置53Cの右側にコンバインが左側に曲がるスペースがない場合には、後述する第4刈取作業方法と同様に、コンバインを第2自動刈取経路52Bの第2離脱位置53Bで離脱させ、さらに、第2離脱位置53Bの下側にコンバインが左側に曲がるスペースがない場合には、後述する第5刈取作業方法と同様に、コンバインを第1自動刈取経路52Aの第1離脱位置53Aで離脱させる。
【0039】
(第3刈取作業方法)
図7には第3刈取作業方法が図示されている。第1自動刈取経路52A~第4自動刈取経路52Dを自動走行して収穫する穀粒がグレンタンク7に貯留できないと判断された点において第1刈取作業方法と相違している。なお、第1刈取作業方法と同一経路等には同一符号を付して説明を省略する。
【0040】
第1自動刈取経路52A~第3自動刈取経路52Cを自動走行して収穫する穀粒はグレンタンク7に貯留できるが、第4自動刈取経路52Dを自動走行して収穫する穀粒はグレンタンク7に貯留できないと判断した場合には、図7(a)に示すように、コンバインを第1自動刈取経路52A~第3自動刈取経路52Cと走行させた後に、コンバインを第3自動刈取経路52Cの右端部である第3離脱位置53Cから離脱させて車両60の近傍の排出位置61に自動走行させる。これにより、コンバインを排出位置61に速やかに走行させてグレンタンク7に貯留された穀粒を車両60の荷台に排出することができ、また、収穫された穀粒がグレンタンク7から漏れ出すのを防止することができる。なお、コンバインは、第3離脱位置53Cから右側に向かって走行した後に、所定の半径を有して左側(図7(a)では上側)に曲がる。そして、上側に向かって走行した後に、所定の半径を有して左側に曲がり、その後、左側に向かって走行して排出位置61に位置する。また、第3自動刈取経路52Cを自動走行時に、満杯センサ32の入力が有った場合には、コンバインは所定の距離だけ後進して、その場から離脱させて車両60の近傍の排出位置61に自動走行させる。
【0041】
次に、図7(b)に示すように、穀粒の排出が終了した後、コンバインを排出位置61から既に刈取作業が終了した第2自動刈取経路52Bの上端部である第2復帰位置54Bに自動走行させて復帰させる。これにより、コンバインを第2復帰位置54Bに速やかに走行させて刈取作業を効率良く再開することができる。なお、コンバインは、排出位置61から左側に向かって走行した後、所定の半径を有して下側に曲がり、その後、下側に向かって走行して第2復帰位置54Bに位置する。これにより、コンバインは、後進等することなく第2自動刈取経路52Bに沿って刈取作業を再開することができる。
【0042】
また、第3離脱位置53Cの右側にコンバインが左側に曲がるスペースがない場合には、後述する第4刈取作業方法と同様に、コンバインを第2自動刈取経路52Bの第2離脱位置53Bで離脱させ、さらに、第2離脱位置53Bの下側にコンバインが左側に曲がるスペースがない場合には、後述する第5刈取作業方法と同様に、コンバインを第1自動刈取経路52Aの第1離脱位置53Aで離脱させる。
【0043】
(第4刈取作業方法)
図8には第4刈取作業方法が図示されている。第1自動刈取経路52A~第4自動刈取経路52Dを自動走行して収穫する穀粒がグレンタンク7に貯留できないと判断された点において第1刈取作業方法と相違している。なお、第1刈取作業方法と同一経路等には同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
第1自動刈取経路52Aと第2自動刈取経路52Bを自動走行して収穫する穀粒はグレンタンク7に貯留できるが、第3自動刈取経路52Cと第4自動刈取経路52Dを自動走行して収穫する穀粒はグレンタンク7に貯留できないと判断した場合には、図8(a)に示すように、コンバインを第2自動刈取経路52Bの下端部である第2離脱位置53Bから離脱させて車両60の近傍の排出位置61に自動走行させる。これにより、コンバインを排出位置61に速やかに走行させてグレンタンク7に貯留された穀粒を車両60の荷台に排出することができ、また、収穫された穀粒がグレンタンク7から漏れ出すのを防止することができる。なお、コンバインは、第2離脱位置53Bから下側に向かって走行した後に、所定の半径を有して左側(図8(a)では右側)に曲がる。そして、右側に向かって走行した後に、所定の半径を有して左側(図8(a)では上側)に曲がる。そして、上側に向かって走行した後に、所定の半径を有して左側に曲がり、その後、左側に向かって走行して排出位置61に位置する。また、第2自動刈取経路52Bを自動走行時に、満杯センサ32の入力が有った場合には、コンバインは所定の距離だけ後進して、その場から離脱させて車両60の近傍の排出位置61に自動走行させる。
【0045】
次に、図8(b)に示すように、穀粒の排出が終了した後、コンバインを排出位置61から既に刈取作業が終了した第2自動刈取経路52Bの上端部である第2復帰位置54Bに自動走行させて復帰させる。これにより、コンバインを第2復帰位置54Bに速やかに走行させて刈取作業を効率良く再開することができる。なお、コンバインは、排出位置61から左側に向かって走行した後、所定の半径を有して下側に曲がり、その後、下側に向かって走行して第2復帰位置54Bに位置する。これにより、コンバインは、後進等することなく第2自動刈取経路52Bに沿って刈取作業を再開することができる。
【0046】
また、第2離脱位置53Bの下側にコンバインが左側に曲がるスペースがない場合には、後述する第5刈取作業方法と同様に、コンバインを第1自動刈取経路52Aの第1離脱位置53Aで離脱させる。
【0047】
(第5刈取作業方法)
図9には第5刈取作業方法が図示されている。第1自動刈取経路52A~第4自動刈取経路52Dを自動走行して収穫する穀粒がグレンタンク7に貯留できないと判断された点において第1刈取作業方法と相違している。なお、第1刈取作業方法と同一経路等には同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
第1自動刈取経路52Aを自動走行して収穫する穀粒はグレンタンク7に貯留できるが、第2自動刈取経路52B~第4自動刈取経路52Dを自動走行して収穫する穀粒はグレンタンク7に貯留できないと判断した場合には、図9(a)に示すように、コンバインを第1自動刈取経路52Aの左端部である第1離脱位置53Aから離脱させて車両60の近傍の排出位置61に自動走行させる。これにより、コンバインを排出位置61に速やかに走行させてグレンタンク7に貯留された穀粒を車両60の荷台に排出することができ、また、収穫された穀粒がグレンタンク7から漏れ出すのを防止することができる。なお、コンバインは、第1離脱位置53Aから左側に向かって走行した後に、所定の半径を有して上方右側にUターン状に曲がり、その後、右側に向かって走行して排出位置61に位置する。また、第1自動刈取経路52Aを自動走行時に、満杯センサ32の入力が有った場合には、コンバインは所定の距離だけ後進して、その場から離脱させて車両60の近傍の排出位置61に自動走行させる。
【0049】
次に、図9(b)に示すように、穀粒の排出が終了した後、コンバインを排出位置61から既に刈取作業が終了した第1自動刈取経路52Aの右端部である第1復帰位置54Aに自動走行させて復帰させる。これにより、コンバインを第1復帰位置54Aに速やかに走行させて刈取作業を効率良く再開することができる。なお、コンバインは、排出位置61から右側に向かって走行した後、所定の半径を有して下方右側にUターン状に曲がり、その後、左側に向かって走行して第1復帰位置54Aに位置する。これにより、コンバインは、後進等することなく第1自動刈取経路52Aに沿って刈取作業を再開することができる。
【0050】
<コンバインの刈取作業方法>
図10に示すように、ステップS1で、コントローラ20の処理部21は、満杯センサ30の入力の有無を判断する。満杯センサ30の入力があり、収穫された穀粒がグレンタンク7の貯留容量の略80%以上になったと判断した場合にはステップS2に進み、満杯センサ30の入力が無いと判断した場合にはステップS1を繰り返す。なお、説明を明確にするために、理解を容易にするために、ステップS1の判断は、コンバインが、第1自動刈取経路52Aの自動走行中に行われるものとして説明を行う。
【0051】
ステップS2で、処理部21は記憶部22に保存された単位移動距離当たりの収穫量と自動走行する自動刈取経路の距離に基づいて収穫される穀粒でグレンタンク7が満杯になる位置を判断する。
【0052】
第1自動刈取経路52A~第4自動刈取経路52Dを自動走行して収穫される穀粒でグレンタンク7が満杯にならないと判断した場合にはステップS3に進み、第1自動刈取経路52A~第3自動刈取経路52Cを自動走行して収穫される穀粒でグレンタンク7が満杯にならないと判断した場合にはステップS8に進み、第1自動刈取経路52Aと第2自動刈取経路52Bを自動走行して収穫される穀粒でグレンタンク7が満杯にならないと判断した場合にはステップS13に進み、第1自動刈取経路52Aを自動走行して収穫される穀粒でグレンタンク7が満杯にならないと判断した場合にはステップS18に進む。
【0053】
ステップS3では、処理部21は第4自動刈取経路52Dの第4離脱位置53Dの周辺部にコンバインを左側に曲げるスペースの有無を判断する。スペースが有ると判断した場合にはステップS4に進み、スペースが無いと判断した場合にはステップS8に進む。
【0054】
ステップS4では、処理部21は走行スイッチ40の入力を維持してコンバインを第4自動刈取経路52Dの第4離脱位置53Dまで自動走行させてステップS5に進む。
【0055】
ステップS5では、処理部21は離脱スイッチ41を入力してコンバインを第4離脱位置53Dから離脱させた後に、移動スイッチ42を入力してコンバインを第4離脱位置53Dから穀粒を排出する排出位置61まで自動走行させてステップS6に進む。これにより、コンバインを排出位置61に速やかに走行させてグレンタンク7に貯留された穀粒を車両60の荷台に排出することができる。
【0056】
ステップS6では、処理部21はオーガスイッチ45を入力して排出オーガ8を駆動してグレンタンク7に貯留されていた穀粒を車両60の荷台に排出させてステップS7に進む。
【0057】
ステップS7では、処理部21は移動スイッチ43を入力してコンバインを排出位置61から進行方向において最も近い第2自動刈取経路52Bの第2復帰位置54Bに自動走行させた後に、再開スイッチ44を入力して第2自動刈取経路52B等を自動走行させてステップS1に戻る。これにより、コンバインを第2復帰位置54Bに速やかに走行させて刈取作業を効率良く再開することができる。
【0058】
ステップS8では、処理部21は第3自動刈取経路52Cの第3離脱位置53Cの周辺部にコンバインを左側に曲げるスペースの有無を判断する。スペースが有ると判断した場合にはステップS9に進み、スペースが無いと判断した場合にはステップS13に進む。
【0059】
ステップS9では、処理部21は走行スイッチ40の入力を維持してコンバインを第3自動刈取経路52Cの第3離脱位置53Cまで自動走行させてステップS10に進む。
【0060】
ステップS10では、処理部21は離脱スイッチ41を入力してコンバインを第3離脱位置53Cから離脱させた後に、移動スイッチ42を入力してコンバインを第3離脱位置53Cから穀粒を排出する排出位置61まで自動走行させてステップS11に進む。これにより、コンバインを排出位置61に速やかに走行させてグレンタンク7に貯留された穀粒を車両60の荷台に排出することができ、また、収穫された穀粒がグレンタンク7から漏れ出すのを防止することができる。
【0061】
ステップS11では、処理部21はオーガスイッチ45を入力して排出オーガ8を駆動してグレンタンク7に貯留されていた穀粒を車両60の荷台に排出させてステップS12に進む。
【0062】
ステップS12では、処理部21は移動スイッチ43を入力してコンバインを排出位置61から進行方向において最も近い第2自動刈取経路52Bの第2復帰位置54Bに自動走行させた後に、再開スイッチ44を入力して第2自動刈取経路52B等を自動走行させてステップS1に戻る。これにより、コンバインを第2復帰位置54Bに速やかに走行させて刈取作業を効率良く再開することができる。
【0063】
ステップS13では、処理部21は第2自動刈取経路52Bの第2離脱位置53Bの周辺部にコンバインを左側に曲げるスペースの有無を判断する。スペースが有ると判断した場合にはステップS14に進み、スペースが無いと判断した場合にはステップS18に進む。
【0064】
ステップS14では、処理部21は走行スイッチ40の入力を維持してコンバインを第2自動刈取経路52Bの第2離脱位置53Bまで自動走行させてステップS15に進む。
【0065】
ステップS15では、処理部21は離脱スイッチ41を入力してコンバインを第2離脱位置53Bから離脱させた後に、移動スイッチ42を入力してコンバインを第2離脱位置53Bから穀粒を排出する排出位置61まで自動走行させてステップS16に進む。これにより、コンバインを排出位置61に速やかに走行させてグレンタンク7に貯留された穀粒を車両60の荷台に排出することができ、また、収穫された穀粒がグレンタンク7から漏れ出すのを防止することができる。
【0066】
ステップS16では、処理部21はオーガスイッチ45を入力して排出オーガ8を駆動してグレンタンク7に貯留されていた穀粒を車両60の荷台に排出させてステップS17に進む。
【0067】
ステップS17では、処理部21は移動スイッチ43を入力してコンバインを排出位置61から進行方向において最も近い第2自動刈取経路52Bの第2復帰位置54Bに自動走行させた後に、再開スイッチ44を入力して第2自動刈取経路52B等を自動走行させてステップS1に戻る。これにより、コンバインを第2復帰位置54Bに速やかに走行させて刈取作業を効率良く再開することができる。
【0068】
ステップS18では、処理部21は走行スイッチ40の入力を維持してコンバインを第1自動刈取経路52Aの第1離脱位置53Aまで自動走行させてステップS19に進む。
【0069】
ステップS19では、処理部21は離脱スイッチ41を入力してコンバインを第1離脱位置53Aから離脱させた後に、移動スイッチ42を入力してコンバインを第1離脱位置53Aから穀粒を排出する排出位置61まで自動走行させてステップS20に進む。これにより、コンバインを排出位置61に速やかに走行させてグレンタンク7に貯留された穀粒を車両60の荷台に排出することができ、また、収穫された穀粒がグレンタンク7から漏れ出すのを防止することができる。
【0070】
ステップS20では、処理部21はオーガスイッチ45を入力して排出オーガ8を駆動してグレンタンク7に貯留されていた穀粒を車両60の荷台に排出させてステップS21に進む。
【0071】
ステップS21では、処理部21は移動スイッチ43を入力してコンバインを排出位置61から進行方向において最も近い第1自動刈取経路52Aの第1復帰位置54Aに自動走行させた後に、再開スイッチ44を入力して第1自動刈取経路52A等を自動走行させてステップS1に戻る。これにより、コンバインを第1復帰位置54Aに速やかに走行させて刈取作業を効率良く再開することができる。
【符号の説明】
【0072】
3 刈取装置
4 脱穀装置
5 操縦部
7 グレンタンク
8 排出オーガ
20 コントローラ
52 自動刈取経路
53 離脱位置
54 復帰位置
61 排出位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10