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特許7548290余所見判定装置、余所見判定システム、余所見判定方法、プログラム、端末装置、車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】余所見判定装置、余所見判定システム、余所見判定方法、プログラム、端末装置、車両
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240903BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240903BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G06T7/00 660A
G07C5/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022212272
(22)【出願日】2022-12-28
(62)【分割の表示】P 2020563309の分割
【原出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2023052172
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2018245790
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】十文字 奈々
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-157736(JP,A)
【文献】特開2018-067198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G06T 7/00
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を運転する運転者の撮影画像を取得する撮影画像取得手段と、
前記撮影画像に基づいて前記運転者の視線方向を検出する視線方向検出手段と、
前記撮影画像に基づいて前記運転者の顔方向を検出する顔方向検出手段と、
前記視線方向および前記顔方向を検出できない場合に、前記撮影画像に基づいて前記運転者の顔を検出できるか否かを判定し、当該運転者の顔を検出できない場合には、アラートを出力するアラート手段と、
を備える余所見判定装置。
【請求項2】
前記視線方向検出手段は、前記視線方向が所定の視線範囲に含まれていない時間を測定し、当該時間の単位時間当たりの割合が第一の所定割合以上である場合に余所見状態と判定する
請求項1に記載の余所見判定装置。
【請求項3】
前記顔方向検出手段は、前記顔方向が所定の顔方向範囲に含まれていない時間を測定し、当該時間の単位時間当たりの割合が第二の所定割合以上である場合に余所見状態と判定する
請求項1または請求項2に記載の余所見判定装置。
【請求項4】
前記アラート手段は、前記運転者の顔を検出できない時間を検出し、前記検出した時間の単位時間当たりの割合が第三の所定割合以上である場合に余所見状態と判定する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の余所見判定装置。
【請求項5】
撮影装置と余所見判定装置とを備え、前記撮影装置と前記余所見判定装置とが通信ネットワークで接続された余所見判定システムであって、
前記余所見判定装置が、
移動体を運転する運転者の撮影画像を取得する撮影画像取得手段と、
前記撮影画像に基づいて前記運転者の視線方向を検出する視線方向検出手段と、
前記撮影画像に基づいて前記運転者の顔方向を検出する顔方向検出手段と、
前記視線方向および前記顔方向を検出できない場合に、前記撮影画像に基づいて前記運転者の顔を検出できるか否かを判定し、当該運転者の顔を検出できない場合には、アラートを出力するアラート手段と、
を備える余所見判定システム。
【請求項6】
移動体を運転する運転者の撮影画像を取得する撮影画像取得手段と、
前記撮影画像をサーバに送信する送信手段と、
アラートを出力するアラート部と、を備え、
前記アラート部は、
送信された前記撮影画像に基づいて前記運転者の視線方向を検出する視線方向検出手段と、
前記撮影画像に基づいて前記運転者の顔方向を検出する顔方向検出手段と、
前記視線方向および前記顔方向を検出できない場合に、前記撮影画像に基づいて前記運転者の顔を検出できるか否かを判定する判定手段と、を備える前記サーバから前記判定の結果を受信し、当該運転者の顔を検出できない場合には、アラートを出力する端末装置。
【請求項7】
移動体を運転する運転者の撮影画像を取得する撮影画像取得手段と、
前記撮影画像に基づいて前記運転者の視線方向を検出する視線方向検出手段と、
前記撮影画像に基づいて前記運転者の顔方向を検出する顔方向検出手段と、
前記視線方向および前記顔方向を検出できない場合に、前記撮影画像に基づいて前記運転者の顔を検出できるか否かを判定し、当該運転者の顔を検出できない場合には、アラートを出力するアラート手段と、
を備える車両。
【請求項8】
余所見判定装置が、
移動体を運転する運転者の撮影画像を取得し、
前記撮影画像に基づいて前記運転者の視線方向を検出し、
前記撮影画像に基づいて前記運転者の顔方向を検出し、
前記視線方向および前記顔方向を検出できない場合に、前記撮影画像に基づいて前記運転者の顔を検出できるか否かを判定し、当該運転者の顔を検出できない場合には、アラートを出力する
余所見判定方法。
【請求項9】
余所見判定装置のコンピュータに、
移動体を運転する運転者の撮影画像を取得し、
前記撮影画像に基づいて前記運転者の視線方向を検出、
前記撮影画像に基づいて前記運転者の顔方向を検出し、
前記視線方向および前記顔方向を検出できない場合に、前記撮影画像に基づいて前記運転者の顔を検出できるか否かを判定し、当該運転者の顔を検出できない場合には、アラートを出力する
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、余所見判定装置、余所見判定システム、余所見判定方法、プログラム、端末装置、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車等の移動体を操作する運転者の余所見を検知する技術が特許文献1に開示されている。特許文献1の技術では、人の顔の向きに基づいて人が脇見をしていないと判定された場合に、人の視線の向きに基づいて人が脇見をしているか否かを判定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-15549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1の技術では顔の向きが脇見をしていると判定される方向である場合、脇見と判定されない視線方向であっても脇見と判定されてしまう。
【0005】
そこでこの発明は、上述の課題を解決する余所見判定装置、余所見判定システム、余所見判定方法、プログラム、端末装置、車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、余所見判定装置は、移動体を運転する運転者の撮影画像を取得する撮影画像取得手段と、前記撮影画像に基づいて前記運転者の視線方向を検出し、前記移動体の進行方向を基準とする所定の視線範囲と前記視線方向とに基づいて余所見状態か否かを判定する第一余所見判定手段と、前記視線方向を検出できない場合に、前記移動体の進行方向を基準とする所定の顔方向範囲と前記運転者の顔方向とに基づいて前記余所見状態か否かを判定する第二余所見判定手段と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、撮影装置と余所見判定装置とを備え、前記撮影装置と前記余所見判定装置とが通信ネットワークで接続された余所見判定システムであって、前記余所見判定装置が、移動体を運転する運転者の撮影画像を取得する撮影画像取得手段と、前記撮影画像に基づいて前記運転者の視線方向を検出し、前記移動体の進行方向を基準とする所定の視線範囲と前記視線方向とに基づいて余所見状態か否かを判定する第一余所見判定手段と、前記視線方向を検出できない場合に、前記移動体の進行方向を基準とする所定の顔方向範囲と前記運転者の顔方向とに基づいて前記余所見状態か否かを判定する第二余所見判定手段と、を備える。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、余所見判定方法は、移動体を運転する運転者の撮影画像を取得し、前記撮影画像に基づいて前記運転者の視線方向を検出し、前記移動体の進行方向を基準とする所定の視線範囲と前記視線方向とに基づいて余所見状態か否かを判定し、前記視線方向を検出できない場合に、前記移動体の進行方向を基準とする所定の顔方向範囲と前記運転者の顔方向とに基づいて前記余所見状態か否かを判定する。
【0009】
本発明の第4の態様によれば、プログラムは、余所見判定装置のコンピュータに、移動体を運転する運転者の撮影画像を取得し、前記撮影画像に基づいて前記運転者の視線方向を検出し、前記移動体の進行方向を基準とする所定の視線範囲と前記視線方向とに基づいて余所見状態か否かを判定し、前記視線方向を検出できない場合に、前記移動体の進行方向を基準とする所定の顔方向範囲と前記運転者の顔方向とに基づいて余所見状態か否かを判定する、処理を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、移動体を運転する運転者が余所見状態か否かを、より精度良く判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態による余所見判定システムを示す図である。
図2】本実施形態による余所見判定装置のハードウェア構成図である。
図3】本実施形態による余所見判定装置の機能ブロック図である。
図4】本実施形態による余所見判定部の詳細を示す機能ブロック図である。
図5】本実施形態によるドライブレコーダのハードウェア構成を示す図である。
図6】本実施形態によるドライブレコーダの制御装置の機能ブロック図である。
図7】本実施形態によるドライブレコーダの処理フローを示す図である。
図8】本実施形態による余所見判定装置の処理フローを示す図である。
図9】本実施形態による余所見判定装置の最小構成を示す図である。
図10】本実施形態による最小構成の余所見判定装置の処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による余所見判定装置を図面を参照して説明する。
図1は同実施形態による余所見判定システムを示す図である。
図1で示すように余所見判定システム100は余所見判定装置1と、運転状況センシング装置の一態様であるドライブレコーダ2と含んで構成される。ドライブレコーダ2は、一例としては移動体である車両20のフロントガラス近傍に設けられているものとする。余所見判定装置1とドライブレコーダ2とは無線通信ネットワークや有線通信ネットワークを介して接続される。余所見判定装置1は例えば複数の車両20にそれぞれ設置されたドライブレコーダ2と通信接続する。
【0013】
図2は余所見判定装置のハードウェア構成図である。
この図が示すように余所見判定装置1はCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、データベース104、通信モジュール105等の各ハードウェアを備えたコンピュータである。
【0014】
図3は余所見判定装置の機能ブロック図である。
余所見判定装置1は電源が投入されると起動し、予め記憶する余所見判定プログラムを実行する。これにより余所見判定装置1には、制御部11、情報取得部12、余所見開始判定部13、余所見判定部14、判定結果出力部15、を少なくとも備える。
【0015】
制御部11は他の機能部を制御する。
情報取得部12は撮影画像、車両情報、天候情報、加速度情報などのドライブレコーダ2から送信された情報を取得する。
余所見開始判定部13は余所見判定を開始するかを判定する。
余所見判定部14は運転者が余所見状態か否かを判定する。
判定結果出力部15は余所見判定結果を出力する。
【0016】
図4は余所見判定部の詳細を示す機能ブロック図である。
図4で示すように余所見判定部14は、第一余所見判定部141、第二余所見判定部142、及び第三余所見判定部143の機能を備える。
【0017】
具体的には、第一余所見判定部141は、撮影画像に基づいて運転者の視線方向を検出し、移動体の進行方向を基準とする所定の視線範囲と視線方向とに基づいて余所見状態か否かを判定する。この処理において第一余所見判定部141は、視線方向が所定の視線範囲に含まれていない時間を測定し、当該時間の単位時間当たりの割合が所定割合以上である場合に余所見状態と判定してよい。
【0018】
また第二余所見判定部142は、視線方向を検出できない場合に、移動体の進行方向を基準とする所定の顔方向範囲と運転者の顔方向とに基づいて、余所見状態か否かを判定する。この処理において第二余所見判定部142は、顔方向が所定の顔方向範囲に含まれていない時間を測定し、当該時間の単位時間当たりの割合が所定割合以上である場合に余所見状態と判定してよい。
【0019】
また第三余所見判定部143は、視線方向を検出できない場合であって、運転者の顔方向を検出できない場合に、撮影画像に基づいて運転者の顔を検出できるか否かを判定する。第三余所見判定部143は、当該運転者の顔を検出できない場合に、余所見状態と判定する。この処理において、第三余所見判定部143は、運転者の顔が検出できない時間を検出し、その時間の単位時間当たりの割合が所定割合以上である場合に余所見状態と判定する。
【0020】
図5はドライブレコーダのハードウェア構成を示す図である。
ドライブレコーダ2は、加速度センサ21、通信装置22、カメラ23(撮影装置)、制御装置24、記憶装置25などを含んで構成される。加速度センサ21は車両の加速度を検知する。通信装置22は余所見判定装置1と通信接続する。カメラ23は車両の外部や内部を撮影して、少なくとも動画像、静止画像のいずれかを生成する。
制御装置24はドライブレコーダ2の各機能を制御する。記憶装置25は、動画像及び静止画像のいずれか、加速度センサ21で検知した加速度やその他のドライブレコーダ2の外部から取得した情報等を記憶する。ドライブレコーダ2は基地局等を介して余所見判定装置1と通信接続する。なおドライブレコーダ2の制御装置24は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータである。
【0021】
図6はドライブレコーダ2に備わる制御装置24の機能ブロック図である。
制御装置24はドライブレコーダ2が起動すると制御プログラムを実行する。これにより制御装置24には、車両情報取得部241、天候情報取得部242、加速度情報取得部243、撮影画像取得部244、運転状況データ送信部245、及び撮影画像送信部246の各機能部が備わる。
【0022】
図7はドライブレコーダ2の処理フローを示す図である。
余所見判定システム100の処理フローについて順を追って説明する。
まずドライブレコーダ2における運転状況情報の送信処理について説明する。
車両20の電気系統が起動するとドライブレコーダ2が動作を始動する(ステップS101)。ドライブレコーダ2の加速度センサ21は、ドライブレコーダ2の始動後に車両の加速度のセンシングを開始する(ステップS102)。またカメラ23は車内および車外の撮影を開始する(ステップS103)。なおカメラ23は車内側レンズと車外側レンズを備えてよい。カメラ23は、車内側レンズを用いて車内を撮影し、車内の運転者の顔の方向の対象物を撮影する。カメラ23は車外側レンズを用いて車外の進行方向の対象物を撮影する。
【0023】
ドライブレコーダ2の動作中、制御装置24の車両情報取得部241は車両情報を取得する(ステップS104)。車両情報取得部241が取得する車両情報は、車両に備わる各センサによって検出された車速、ハンドル角度、ウィンカー指示方向などである。本実施形態においては、車両情報には、少なくとも車速とウィンカー指示方向とが含まれる。車両情報には、ハンドル角度、ウィンカー指示方向以外の情報がさらに含まれてもよい。
また天候情報取得部242は天候情報を取得する(ステップS105)。天候情報は気象庁や天候情報提供企業に備わるサーバ装置から取得されてもよい。または天候情報は、車両に備わるセンサ(ワイパー動作検出器や雨滴検出器)などから得られる情報であってよい。制御装置24は、ワイパーが動作している場合、又は雨滴検出器が雨滴を検出している場合には雨天であると判定してよい。
加速度情報取得部243は、加速度センサ21から所定の時間間隔で加速度を取得する(ステップS106)。制御装置24は車両情報、天候情報、加速度を所定の間隔で取得する。なお本実施形態においては制御装置24が天候情報と加速度とを取得する態様について説明しているが、天候情報と加速度は、必ずしも取得されなくてもよい。
【0024】
またドライブレコーダ2の動作中、制御装置24の撮影画像取得部244はカメラ23から撮影画像(少なくとも動画像、静止画像のいずれか)を取得する。当該撮影画像には運転者の顔の範囲の情報が少なくとも含まれる。撮影画像取得部244は撮影画像を撮影画像送信部246へ出力する。
【0025】
運転状況データ送信部245は、所定の間隔で車両情報、天候情報、及び加速度情報を余所見判定装置1へ送信するよう、通信装置22に指示する。通信装置22は車両情報、天候情報、加速度情報を余所見判定装置1へ送信する(ステップS107)。なお、制御装置24において天候情報と加速度とが取得されない場合には、それらの情報は余所見判定装置1へ送信されなくてよい。
撮影画像送信部246は撮影画像を余所見判定装置1へ送信するよう通信装置22に指示する。通信装置22は撮影画像を余所見判定装置1へ送信する(ステップS108)。制御装置24は処理終了かを判定し(ステップS109)、処理終了であると判定されるまでステップS102からの処理を繰り返す。なお、車両情報、天候情報、加速度情報、撮影画像には、ドライブレコーダ2のID、運転者のID、センシング時刻が付与される。
【0026】
図8は余所見判定装置1の処理フローを示す図である。
余所見判定装置1において情報取得部12はドライブレコーダ2のID、及び運転者のIDに基づいて、対応する車両情報、天候情報、加速度情報、及び撮影画像の組を当該各IDに紐づけて、順次、データベース104へ記録する(ステップS201)。そして制御部11は余所見判定処理を行うよう余所見開始判定部13、余所見判定部14に指示する。
【0027】
余所見開始判定部13はある一つのドライブレコーダ2を特定し、特定したドライブレコーダ2のIDに紐づいて記録されているセンシング時刻、車両情報、天候情報、加速度情報、及び撮影画像を取得する。
余所見判定部14は、車両情報に含まれる車速が前方方向の速度(前進)で所定の速度以上を示し、かつウィンカー指示方向が方向指示を指定していないか否かを判定する(ステップS202)。所定の速度は一例としては20km/hなどの値であってよい。車速が前進で所定の速度以上を示し、ウィンカー指示を指定していない場合(ステップS202のYES)、余所見判定部14は余所見判定を開始すると決定する(ステップS203)。
【0028】
余所見開始判定部13は他の情報を利用して、または他の情報を追加で利用して余所見判定を開始すると決定してもよい。例えば、余所見判定部14は、加速度が0以上か否かを判定して、加速度が0以上である場合に余所見判定を開始すると決定してもよい。また余所見判定部14は、ハンドル角度が所定の範囲内か否かによって余所見判定を開始するか否かを決定してもよい。ハンドル角度の所定の範囲は例えば直進方向を基準とする左右10度などであってよい。また余所見判定部14は、天候情報が雨を示す場合に余所見判定を開始すると決定してもよい。
余所見判定部14は、車外の撮影画像に基づいて余所見判定を開始するか否かを決定してもよい。例えば、撮影画像の直進方向に対象物が映る場合、又は撮影画像に車線のカーブが映る場合に、余所見判定を開始すると決定してよい。余所見判定部14は、車両20が走行する道路における事故情報や付近の催し物開催情報に基づいて、余所見判定を開始するか否かを決定してもよい。ドライブレコーダ2において車両の危険イベント(事故に発展する可能性のある事象)を検知する場合、余所見判定部14はドライブレコーダ2において危険イベントを検知した際に、余所見判定を開始すると決定してもよい。
余所見判定を開始すると決定すると、余所見判定部14は開始を指示する。余所見判定部14は余所見判定を開始するかどうかの判定処理を所定の間隔で繰り返す。
【0029】
余所見判定部14は、現在の処理対象のドライブレコーダ2のIDに基づいて、情報取得部12が既に取得している撮影画像を当該情報取得部12から入力する。余所見判定部14は余所見判定を開始すると決定した場合、所定の間隔でドライブレコーダ2から受信する撮影画像のうち、車内を撮影した撮影画像を順次読み取る。
【0030】
余所見判定部14が車内の撮影画像を読み取ると、第一余所見判定部141が新たに取得した撮影画像を用いて運転者の視線方向を検出できるか否かを判定する(ステップS204)。第一余所見判定部141は視線方向の算出を公知の技術を用いて行う。
【0031】
第一余所見判定部141は、視線方向の算出処理の結果、視線方向を検出できた場合、その視線方向が直進方向を基準とする第一の所定の範囲に含まれていない時間を測定する。第一の所定範囲は、直進方向を基準として左右10度などの範囲であってよい。速度が低速の場合には、運転者が広い範囲を目視する可能性が高くなる。このため、第一余所見判定部141は、直進方向を基準とする第一の所定の範囲の幅を左右20度などと広げるようにしてもよい。
第一余所見判定部141は、視線方向の直進方向を基準とする第一の所定の範囲に含まれていない時間が、単位時間当たりに第一の所定割合以上となるか否かを判定する(ステップS205)。第一余所見判定部141は、視線方向の直進方向を基準とする第一の所定の範囲に含まれていない時間の単位時間当たりの割合が第一の所定割合以上となる場合(ステップS205のYES)、運転者は余所見状態であると判定する(ステップS206)。視線方向の直進方向を基準とする第一の所定の範囲に含まれていない時間の単位時間当たりの割合が第一の所定割合以上とならないと第一余所見判定部141が判定した場合(ステップS205のNO)、制御部11はステップ201からの処理を繰り返すよう制御する。
視線方向の直進方向を基準とする第一の所定の範囲に含まれていない時間については、所定時間のうちの連続した時間でもよいし、所定時間のうちの断続的な時間を合計した時間であってもよい。
【0032】
ステップS204において運転者の視線方向を検出できないと判定した場合(ステップS204のNO)、第一余所見判定部141は第二余所見判定部142に処理開始を指示する。第二余所見判定部142は、撮影画像を用いて運転者の顔方向を検出できるか否かを判定する(ステップS207)。第二余所見判定部142は顔方向の算出を公知の技術を用いて行う。
【0033】
第二余所見判定部142は、顔方向の算出処理の結果、顔方向を検出できた場合(ステップS207のYES)、その顔方向が直進方向を基準とする第二の所定の範囲に含まれていない時間を測定する。第二の所定の範囲は直進方向を基準として左右10度などの範囲であってよい。速度が低速の場合には、運転者が広い範囲を目視する可能性が高くなる。このため、第二余所見判定部142は、直進方向を基準とする第二の所定の範囲の幅を左右20度などと広げるようにしてもよい。第二の所定範囲は第一の所定範囲と異なる範囲であってよい。
第二余所見判定部142は、顔方向の直進方向を基準とする第二の所定の範囲に含まれていなない時間の単位時間当たりの割合が第二の所定割合以上となるか否かを判定する(ステップS208)。第二余所見判定部142は、顔方向の直進方向を基準とする第二の所定の範囲内に含まれていない時間の単位時間当たりの割合が第二の所定割合以上となる場合(ステップS208のYES)、運転者は余所見状態であると判定する(ステップS209)。顔方向の直進方向を基準とする第二の所定の範囲内に含まれていない時間の単位時間当たりの割合が第二の所定割合以上とならないと第二余所見判定部142が判定した場合(ステップS208のNO)、制御部11はステップ201からの処理を繰り返すよう制御する。
顔方向の直進方向を基準とする第二の所定の範囲内に含まれていない時間については、所定時間のうちの連続した時間でもよいし、所定時間のうちの断続的な時間を合計した時間であってもよい。第一の所定割合は第二の所定割合と異なる値であってよい。
【0034】
ステップS207において運転者の顔方向を検出できないと判定した場合(ステップS207のNO)、第二余所見判定部142は第三余所見判定部143に処理開始を指示する。第三余所見判定部143は撮影画像を用いて運転者の顔が検出されているか否かを判定する(ステップS210)。第三余所見判定部143は顔が検出されているか否かの判定を公知の技術を用いて行う。
【0035】
第三余所見判定部143は、顔が検出されているか否かの判定の結果、顔が検出されていないと判定した場合(ステップS210のNO)、顔が検出されていない時間を測定する。第三余所見判定部143は、顔の検出されていない時間の単位時間当たりの割合が第三の所定割合以上となるか否かを判定する(ステップS211)。第三余所見判定部143は、顔が検出されていない時間の単位時間当たりの割合が第三の所定割合以上となる場合(ステップS211のYES)、運転者は余所見状態であると判定する(ステップS212)。顔が検出されていない時間の単位時間当たりの割合が第三の所定割合以上とならないと第三余所見判定部143が判定した場合(ステップS211のNO)、制御部11はステップ201からの処理を繰り返すよう制御する。
顔が検出されていない時間については、所定時間のうちの連続した時間でもよいし、所定時間のうちの断続的な時間を合計した時間であってもよい。第三の所定割合は、第一の所定割合、及び第二の所定割合と異なる値であってよい。
【0036】
余所見判定部14は余所見が行われていると判定した場合には(ステップS206、S209、S212)、判定結果出力部15へ余所見判定結果を出力するよう指示する。判定結果出力部15は余所見が行われていると判定したドライブレコーダ2のIDを取得する。判定結果出力部15はドライブレコーダ2のIDに基づいて、その送信先となるドライブレコーダ2のネットワークアドレスをデータベース104から取得する。送信先のネットワークアドレスは予めデータベース104に記録されているものとする。判定結果出力部15は、当該送信先のドライブレコーダ2に余所見検知を示す情報を送信する(ステップS213)。判定結果出力部15は余所見検知を示す情報を、ドライブレコーダ2のIDや運転者のIDに紐づけてデータベース104に記録してもよい。
余所見判定部14は終了するか否かを判定する(ステップS214)。終了しないと判定された場合(ステップS214のNO)、余所見判定装置1は次にドライブレコーダ2から受信した情報等を用いて同様の処理を所定間隔で繰り返す。
【0037】
ドライブレコーダ2は、余所見判定装置1から余所見検知の情報を受信する。ドライブレコーダ2は余所見検知の情報を受信すると、アラーム音を発信するなど、余所見検知を運転者に知らせる処理を行う。これにより運転者は余所見運転を認識することができる。
【0038】
上述の処理においてはクラウドサーバとして通信ネットワークに接続された余所見判定装置1が余所見判定を行っている。しかしながら上述の余所見判定の処理はドライブレコーダ2が単独で行うようにしてもよい。つまりドライブレコーダ2が余所見判定装置1として動作してもよい。この場合、ドライブレコーダ2が上述の情報取得部12、余所見開始判定部13、余所見判定部14、及び判定結果出力部15と同様の処理を行うようにしてもよい。
またはドライブレコーダ2と接続され、車内20に搭載されている車載器が情報取得部12、余所見開始判定部13、余所見判定部14、及び判定結果出力部15の処理を備えてもよい。この場合、車載器が余所見判定装置1として動作する。この場合、車載器が、情報取得部12、余所見開始判定部13、余所見判定部14、及び判定結果出力部15と同様の処理を行う。
【0039】
上述の処理によれば、移動体を運転する運転者が余所見状態か否かを、より精度良く判定することができる。つまり、上述の処理によれば、余所見判定装置1は、最初に運転者の視線方向を検出して当該視線方向と車両20の進行方向を基準とする所定の視線範囲とに基づいて余所見状態か否かを判定する。その後、余所見判定装置1は、視線方向を検出できない場合に、運転者の顔方向に基づいて余所見状態か否かを判定している。
このように、余所見判定装置1は顔方向による余所見状態の判定前に視線方向による余所見状態の判定を行っている。従って、余所見判定装置1は、顔方向が所定範囲を向いていない場合であっても視線方向が進行方向を向いているために余所見状態ではない場合に、余所見状態であると誤認識しない余所見判定装置を提供することができる。
【0040】
また上述の処理によれば顔方向や視線方向が少しずれただけで余所見検知アラートをすることはなく、所定期間内において所定割合以上に顔方向や視線方向がずれた場合に、余所見検知アラートを出力する。これにより運転者に対する不要な余所見検知アラートの出力を削減することができる。
また上述の余所見判定装置1によれば、所定の速度未満での低速運転など視線方向が前方から離れる可能性が高い状況において余所見であると判定されてしまうことを回避する。これにより運転者に対する不要な余所見検知アラートの出力を削減することができる。
例えば、余所見判定装置1は車両の速度低下に応じて余所見判定の可能性があると判定する場合の直進方向を基準とする範囲を広げる処理を行う。このとき、第一の所定範囲、及び第二の所定の範囲を広げてもよいし、いずれか一方の所定範囲を増大させてもよい。第一の所定範囲と第二の所定の範囲との間で、増大させる度合いが異なっていてもよい。これにより、速度に応じた適切な顔方向、視線方向の範囲に基づく余所見判定を行うことができる。
また、余所見判定装置1は、視線が直進方向を基準とする所定範囲に含まれる時間の単位時間当たりの割合が所定割合以上かを判定する処理において、速度が低下するほど当該所定割合の値を増大させてもよい。このとき、第一の所定割合、第二の所定割合、及び第三の所定割合の全てを増大させてもよいし、一部の所定割合のみを増大させてもよい。第一の所定割合、第二の所定割合、及び第三の所定割合の間で、増大させる度合いが異なっていてもよい。これにより速度に応じた適切な顔方向、視線方向の範囲に基づく余所見判定を行うことができる。
【0041】
上述の実施形態では、移動体が車両20である場合について説明しているが、余所見判定装置1は、船舶、航空機などの他の移動体の運転者の余所見判定を行うようにしてもよい。
【0042】
図9は余所見判定装置1の最小構成を示す図である。
図10は最小構成の余所見判定装置1の処理フローを示す図である。
余所見判定装置1は少なくとも情報取得部12(撮影画像取得部)と、第一余所見判定部141と、第二余所見判定部142とを備えればよい。
情報取得部12は、移動体を運転する運転者の撮影画像を取得する(ステップS801)。
第一余所見判定部141は、撮影画像に基づいて運転者の視線方向を検出し、移動体の進行方向を基準とする所定の視線範囲と視線方向とに基づいて余所見状態か否かを判定する(ステップS802)。
第二余所見判定部142は、視線方向を検出できない場合に、運転者の顔方向と移動体の進行方向を基準とする所定の顔方向範囲とに基づいて余所見状態か否かを判定する(ステップS803)。
【0043】
上述の余所見判定装置1およびドライブレコーダ2は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0044】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0045】
この出願は、2018年12月27日に日本出願された特願2018-245790号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、移動体を運転する運転者が余所見状態か否かを、より精度良く判定することができる。
【符号の説明】
【0047】
1・・・余所見判定装置
2・・・ドライブレコーダ
11・・・制御部
12・・・情報取得部
13・・・余所見開始判定部
14・・・余所見判定部
15・・・判定結果出力部
21・・・加速度センサ
23・・・カメラ
24・・・制御装置
141・・・第一余所見判定部
142・・・第二余所見判定部
143・・・第三余所見判定部
241・・・車両情報取得部
242・・・天候情報取得部
243・・・加速度情報取得部
244・・・撮影画像取得部
245・・・運転状況データ送信部
246・・・撮影画像送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10