(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】光通信システム、故障原因推定装置、故障解析装置及び光通信システムの故障解析方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/07 20130101AFI20240903BHJP
【FI】
H04B10/07
(21)【出願番号】P 2022509213
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020014405
(87)【国際公開番号】W WO2021192316
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】窪木 伸吾
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-253475(JP,A)
【文献】特開平05-260049(JP,A)
【文献】特開2018-064160(JP,A)
【文献】特開2013-141122(JP,A)
【文献】特開2009-223362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ネットワークを構成する光伝送路と、
前記光伝送路を介して通信を行う、1つ以上のトランスポンダが設けられた複数の端局と、
前記複数の端局のそれぞれに設けられた、前記1つ以上のトランスポンダの状態を監視して、故障の発生が疑われる箇所ごとに故障確率を推定する故障原因推定装置と、
前記複数の端局に設けられた前記故障原因推定装置での故障確率推定結果に基づいて、故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、を推定する故障解析装置と、を備える、
光通信システム。
【請求項2】
前記光伝送路に挿入された1つ以上の通信ノードを備え、
前記1つ以上の通信ノードは、通信の異常を示す情報を前記故障解析装置へ出力可能に構成され、
前記故障解析装置は、受け取った前記通信の異常を示す情報に応じ、前記通信の異常に関連する故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、に基づいて、故障が発生した箇所を推定する、
請求項1に記載の光通信システム。
【請求項3】
前記1つ以上の通信ノードは、
前記光伝送路に挿入された1つ以上の光増幅器と、
前記光伝送路に挿入された1つ以上の光分岐挿入装置と、を含み、
前記端局の一部又は全部は、前記光分岐挿入装置を介して通信を行う、
請求項2に記載の光通信システム。
【請求項4】
前記故障解析装置は、前記受け取った通信の異常を示す情報に基づいて、通信の異常を検知した場合には、前記複数の端局の一部又は全部に前記故障確率推定結果の出力を要求し、
前記要求を受け取った端局は、故障確率推定結果を前記故障解析装置へ出力する、
請求項2又は3に記載の光通信システム。
【請求項5】
各端局の前記故障原因推定装置は、各端局に設けられた前記1つ以上のトランスポンダを継続的に監視し、通信の異常を検知した場合には、前記故障確率推定結果を前記故障解析装置に出力する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項6】
各端局の前記故障原因推定装置は、各端局に設けられた前記1つ以上のトランスポンダを継続的に監視し、前記故障確率推定結果を定期的に更新する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項7】
前記故障解析装置は、前記故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、に基づいて、故障が発生するおそれの高い箇所を予測する、
請求項6に記載の光通信システム。
【請求項8】
光ネットワークを構成する光伝送路を介して通信を行う複数の端局のそれぞれに設けられた1つ以上のトランスポンダの状態を監視して、故障の発生が疑われる箇所ごとに故障確率を推定する
前記複数の端局のそれぞれに設けられた故障原因推定装置が出力する故障確率推定結果に基づいて、故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、を推定する、
故障解析装置。
【請求項9】
光ネットワークを構成する光伝送路を介して通信を行う複数の端局のそれぞれに設けられ、
前記複数の端局のそれぞれに設けられた1つ以上のトランスポンダの状態を監視して、
前記複数の端局のそれぞれにおいて故障の発生が疑われる箇所ごとに故障確率を推定し、
故障確率推定結果を、前記複数の端局
のそれぞれでの当該故障確率推定結果に基づいて、故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、を推定する故障解析装置に出力
する、
故障原因推定装置。
【請求項10】
光ネットワークを構成する光伝送路を介して通信を行う複数の端局のそれぞれに設けられた1つ以上のトランスポンダの状態を監視して、
前記複数の端局のそれぞれにおいて故障の発生が疑われる箇所ごとに故障確率を推定し、
前記複数の端局
のそれぞれでの故障確率推定結果に基づいて、故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、を推定する、
光通信システムの故障解析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信システム、故障確率推定装置、故障解析装置及び光通信システムの故障解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブルに収容された光ファイバを通じて光信号を伝送する光通信システムが普及している。こうした光通信システムでは、端局内に、光信号の送受信を行うトランスポンダが設置される。トランスポンダは、光ファイバケーブルとの間のインターフェイスを担う、光信号の合分波機能を有する光伝送装置を介して、相手方のトランスポンダとの間で、光信号の送受信を行う。
【0003】
こうした光通信システムでは、トランスポンダやトランスポンダ間の光伝送路、光伝送路に挿入された光増幅器や光分岐挿入装置などで故障が生じることで、トランスポンダ間で通信障害が生じ得る。そのため、通信障害が生じたときに、その原因となる故障を特定する手法が様々に提案されている。
【0004】
こうした手法の一例として、光通信ネットワークにおいて、上位レイヤで通信の異常を検出した場合に、下位レイヤのどの箇所で故障が発生したかを特定するため、光通信ネットワークに故障位置特定装置を設ける構成が提案されている(特許文献1)。この手法においては、下位レイヤの機器がコンポーネント単位に分類されている。故障位置特定装置は、下位レイヤのコンポーネントごとに、上位レイヤでの異常検出を1又は複数種類のパラメータに換算し、換算したパラメータを用いて故障が発生したコンポーネントを推定する。これにより、故障が発生したコンポーネントの特定が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、昨今、光通信ネットワークシステムにおいてはトラフィックデータが莫大となっている。そのため、上述した故障位置特定装置のような、光通信ネットワークシステムの上位レイヤに設けた故障解析装置でのみ故障解析を行うと、故障解析に用いるために下位レイヤの装置から上位レイヤの装置へ大量のデータが送信される。その結果、故障解析装置の処理負担や送信データの保持に要するメモリ負荷が過大となるおそれが有る。
【0007】
また、転送データを削減するため、送信データの取捨選択や、丸め込みなどのデータの圧縮を行うと、故障解析に用いるデータの品質が低下するので、故障解析の正確性や信頼性の低下に繋がる。
【0008】
さらに、光通信ネットワークシステムで故障が発生した場合、実際に故障している箇所は一か所であるにもかかわらず、故障箇所及びその周辺の複数の箇所からアラームが発出されてしまい、その結果、故障箇所の特定が困難となり、かつ、特定に要する時間が長くなってしまう。また、故障箇所の特定が困難な場合には、実際に故障している箇所だけでなく、故障が疑われる箇所の部品や装置などを全て交換することとなる。よって、本来は交換する必要のない部品や装置をも交換することとなり、復旧コストの増加を招いてしまう。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、光通信システムにおいて、上位レイヤに含まれる装置の負荷を軽減しつつ通信の障害の発生箇所を推定することにある。
【0010】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様にかかる光通信システムは、光ネットワークを構成する光伝送路と、前記光伝送路を介して通信を行う、1つ以上のトランスポンダが設けられた複数の端局と、前記複数の端局のそれぞれに設けられた、前記1つ以上のトランスポンダの状態を監視して、故障の発生が疑われる箇所ごとに故障確率を推定する故障確率推定装置と、前記複数の端局に設けられた前記故障確率推定装置での故障確率推定結果に基づいて、故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、を推定する故障解析装置と、を有するものである。
【0012】
本発明の一態様にかかる故障確率推定装置は、光ネットワークを構成する光伝送路を介して通信を行う複数の端局のそれぞれに設けられた1つ以上のトランスポンダの状態を監視して、故障の発生が疑われる箇所ごとに故障確率を推定し、故障確率推定結果を、前記複数の端局での当該故障確率推定結果に基づいて故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、を推定する故障解析装置に出力するものである。
【0013】
本発明の一態様にかかる故障解析装置は、光ネットワークを構成する光伝送路を介して通信を行う複数の端局のそれぞれに設けられた1つ以上のトランスポンダの状態を監視して、故障の発生が疑われる箇所ごとに故障確率を推定する故障確率推定装置が出力する故障確率推定結果に基づいて、故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、を推定するものである。
【0014】
本発明の一態様にかかる光通信システムの故障解析方法は、光ネットワークを構成する光伝送路を介して通信を行う複数の端局のそれぞれに設けられた1つ以上のトランスポンダの状態を監視して、故障の発生が疑われる箇所ごとに故障確率を推定し、前記複数の端局での故障確率推定結果に基づいて、故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、を推定するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光通信システムにおいて、上位レイヤに含まれる装置の負荷を軽減しつつ通信の障害の発生箇所を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態1にかかる光通信システムの構成を模式的に示す図である。
【
図2】実施の形態1にかかる光通信システムにおける通信障害の第1の例を示す図である。
【
図3】実施の形態1にかかる光通信システムにおける通信障害の第2の例を示す図である。
【
図4】故障原因推定装置の設置位置の第1の例を示す図である。
【
図5】故障原因推定装置の設置位置の第2の例を示す図である。
【
図6】故障解析装置の設置位置の第1の例を示す図である。
【
図7】故障解析装置の設置位置の第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0018】
実施の形態1
実施の形態1にかかる光通信システム1000について説明する。光通信システム1000は、ROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)が挿入されたリング型光ネットワークとして構成される。
図1に、実施の形態1にかかる光通信システム1000の構成を模式的に示す。光通信システム1000は、例えば陸上に設置された端局間の通信を媒介する海底光ネットワークシステムとして構成される。
【0019】
光通信システム1000は、光伝送路110、光分岐挿入装置(ROADM)M1~M6、光増幅器A1~A6、端局T1及びT2、故障解析装置100、ネットワーク1100、サーバ1200及びネットワーク管理システム(NMS:Network Management System)1300を有する。
【0020】
サーバ1200は、端局T1及びT2に対して上位レイヤに設けられるものとして構成される。サーバ1200は、ネットワーク1100を介して、端局T1及びT2、光分岐挿入装置(ROADM)M1~M6、光増幅器A1~A6などと接続され、これらとの間で双方向のデータ通信が可能である。また、サーバ1200は、NMS1300と接続されて、NMS1300との間で双方向のデータ通信が可能である。
【0021】
NMS1300は、サーバ1200に対して上位レイヤに設けられるものとして構成される。NMS1300は、ネットワーク1100を介して各端局と通信することで、各端局の状態を把握し、かつ、その動作を制御可能に構成されるネットワーク制御手段として構成される。なお、ネットワーク制御手段はNMSのように独立したものとして構成されることに限られず、例えばクラウド上に設定されたSDN(Software Defined Network)コントローラとして構成されてもよい。
【0022】
故障解析装置100は、ネットワーク1100を介して端局T1及びT2と双方向のデータ通信が可能であり、後述するように、端局T1及びT2から受け取った故障原因推定結果に基づき、光通信システム1000で生じた故障箇所の推定を行う。
【0023】
光伝送路110は、例えば1本以上の光ファイバを有する、1本以上の光ケーブルからなる、リング状の光ケーブルにより構成される。
【0024】
光伝送路110には、光分岐挿入装置(ROADM)M1~M6が挿入されている。この例では、光伝送路110が構成するリングに対して時計回り方向に、光分岐挿入装置M1~M6が順に挿入されている。光分岐挿入装置M1~M6は、それぞれ、光伝送路110によって伝送される光信号を分岐(Drop/ドロップ)し、他の端局等から主力された光信号を光伝送路110に挿入(Add/アド)するものとして構成される。光分岐挿入装置M1~M6が行う光信号の挿入及び分岐は、例えば波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)によって実現される。
【0025】
また、光分岐挿入装置M1~M6のうちの隣接する2つの間には、光増幅器A1~A6が挿入されている。この例では、光伝送路110が構成するリングにおいて、光分岐挿入装置M1~M6に対して時計回り方向に、それぞれ光増幅器A1~A6が挿入されている。光増幅器A1~A6は、光伝送路110によって伝送される光信号を増幅する。光増幅器A1~A6は、例えば、光中継器などの各種の装置に搭載されてもよい。
【0026】
なお、光分岐挿入装置及び光増幅器の一部又は全部は、ネットワーク1100を介して、上位レイヤの他の装置と接続されてもよく、接続された光分岐挿入装置又は光増幅器は、上位レイヤの他の装置にそれぞれの状態、例えば故障の有無などを、ネットワーク1100を介して通知してもよい。本構成では、光分岐挿入装置M1~M6及び光増幅器A1~A6が、ネットワーク1100を介して、サーバ1200と接続されている。なお、
図1では、図の簡略化のため、サーバ1200、光分岐挿入装置M1及びM2、光増幅器A1の間の接続のみを表示している。サーバ1200は、光分岐挿入装置M1~M6及び光増幅器A1~A6から受け取った情報を、故障解析装置100に転送する。故障解析装置100は、転送された情報に基づいて、光通信ネットワークにおける故障箇所を推定する。
【0027】
端局T1及びT2は、ネットワーク1100を介して上位レイヤの装置とデータ通信を行い、かつ、光伝送路110を介して他の端局等と光信号による通信を行う装置を含むものとして構成される。この例では端局T1及びT2は、例えば海底ケーブルの陸揚げ局であり、ネットワーク1100を介してサーバ1200と接続され、双方向のデータ通信が可能である。
【0028】
また、端局T1及びT2は、光伝送路110に挿入された光分岐挿入装置のいずれかと接続される。この例では、端局T1は、光伝送路111を介して、光分岐挿入装置M1と接続される。端局T2は、光伝送路112を介して、光分岐挿入装置M2と接続される。
【0029】
端局T1は、光伝送装置OP1、故障原因推定装置10及びトランスポンダ11~14を有する。トランスポンダ11~14は、例えばインターフェイス部(不図示)を介して受けとった送信データ信号を光信号に変換して、光伝送装置OP1へ出力する。光伝送装置OP1は、トランスポンダ11~14から受け取った光信号を例えば多重化(例えば波長多重化)して、光伝送路111へ出力する。また、光伝送装置OP1は、光伝送路111から受け取った多重化(例えば波長多重化)された光信号を分離して、トランスポンダ11~14へ分配する。トランスポンダ11~14は、受け取った光信号をデータ信号に変換して、ネットワーク1100を通じて出力する。
【0030】
故障原因推定装置10は、トランスポンダ11~14のそれぞれから情報を収集して故障原因を推定する。そして、推定結果を上位レイヤの故障解析装置100へ出力する。
【0031】
故障原因推定装置10は、トランスポンダ11~14から、トランスポンダ内部の電源や部品の電圧、電流及び温度、送受信する光信号の品質、フレーマからのアラーム、及び、受信信号の波形などの情報を収集することができる。
【0032】
故障原因推定装置10は、例えば、故障が発生していない状態においてトランスポンダから収集した情報にかかるパラメータが取り得る許容範囲を示す情報を保有している。そして、通信障害が生じた時点でパラメータを取得して許容範囲と対比し、許容範囲内にあるパラメータと許容範囲外のパラメータとを識別する。パラメータの分布パターン及び各箇所の故障確率との相関を示す教科書データを予め準備しておき、取得したパラメータの分布パターンとマッチングすることで、又は、教科書データに対する類似度を評価することで、取得したパラメータに対応する故障箇所及び故障確率を推定することができる。この教科書データは、光通信システム1000及びこれに類似するシステムの運用実績に基づいて、機械学習を含む各種の手法を用いて生成することが可能である。
【0033】
トランスポンダ内部の電源や部品の電圧、電流及び温度を監視することで、トランスポンダ自体が故障する確率を推定することができる。トランスポンダ内部の電源や部品の電圧、電流及び温度が、それぞれ定められた許容範囲内に有る場合には、トランスポンダの故障確率が無い又は低いと見積もり、許容範囲から乖離するに従ってトランスポンダの故障確率を高く見積もってもよい。
【0034】
送信する光信号の品質及び受信する光信号の波形を監視することで、故障が発生する箇所を推定することが可能である。例えば、送信する光信号の品質が許容範囲内であり、かつ、受信する光信号の波形が許容範囲から外れている場合には、通信の相手方のトランスポンダ及び光伝送路のいずれかで故障が生じたものと推定することができる。また、送信する光信号の品質が許容範囲外であり、かつ、受信する光信号の波形が許容範囲内である場合には、監視対象のトランスポンダに故障が生じたものと推定することができる。
【0035】
こうした故障確率の推定は、いずれかの箇所の故障によって通信障害が生じた場合でも、いずれの箇所でも故障が生じていない場合でも行ってもよい。例えば、監視している情報にかかるパラメータが許容範囲内にあり故障が生じていると認められない場合でも、その値が許容範囲の中央近傍であれば故障確率を低く見積もり、許容範囲の端部にある場合には故障確率を高く見積もってもよい。このように、故障が生じていない場合の故障確率を継続的又は定期的に更新することで、光通信システム1000の最新の状況に応じた故障原因の推定を予め準備しておくことが可能となる。これにより、いずれかの時点で通信障害が起きた場合でも、当該通信障害に関与する故障の確率の推定結果を、迅速に上位レイヤに提供することができる。
【0036】
また、故障が生じていない場合の故障確率を継続的又は定期的に更新することで、光通信システム1000の最新の状況を監視しつつ、故障確率の高い箇所を抽出して、将来的に故障が発生しうる箇所を予測することが可能である。これにより、予め故障が発生しやすい箇所を集中的に監視したり、故障が発生する前に部品の交換を行うなどの予防措置をとすることも可能となる。
【0037】
端局T2は、端局T1と同様の構成を有する。すなわち、光伝送装置OP2、故障原因推定装置20及びトランスポンダ21~24は、それぞれ、端局T1の光伝送装置OP1、故障原因推定装置10及びトランスポンダ11~14に対応する。
【0038】
次いで、光通信システム1000の故障解析について、2つの例を参照して説明する。以下で説明する2つの例は、いずれも端局T1のトランスポンダ11と端局T2のトランスポンダ23とが通信を行う場合の通信障害の例である。
【0039】
図2に、実施の形態1にかかる光通信システム1000における通信障害の第1の例を示す。第1の例では、送信側のトランスポンダ11と受信側のトランスポンダ23との間で通信障害が生じており、光増幅器A1、光分岐挿入装置M1及びM2がアラームを発している状態である。この場合、トランスポンダ11、トランスポンダ23及びこれらの間を接続する伝送路のどこかで故障が生じていることが想定される。この想定の下に、端局T1の故障原因推定装置10と端局T2の故障原因推定装置20とは、故障原因の推定を行う。
【0040】
故障原因推定装置10は、トランスポンダ11とトランスポンダ23との間で通信障害が生じる場合を想定したときに、当該通信障害を引き起こす故障の種類と通信障害への寄与率を推定する。この例では、故障原因推定装置10は、通信障害の原因はトランスポンダ11であり、かつ、その寄与率が100%であると推定している。以下では、故障原因推定装置10の故障原因推定結果をES1とする。
【0041】
故障原因推定装置20は、故障原因推定装置10と同様に、トランスポンダ11とトランスポンダ23との間で通信障害が生じる場合を想定したときに、当該通信障害を引き起こす故障の種類と通信障害への寄与率を推定する。この例では、故障原因推定装置20は、通信障害の原因は、通信の相手方(すなわちトランスポンダ11)及びトランスポンダ11とトランスポンダ23間の伝送路であると推定している。そして、故障原因推定装置20は、トランスポンダ11の寄与率が60%、伝送路の寄与率が40%であると推定している。以下では、故障原因推定装置20の故障原因推定結果をES2とする。
【0042】
故障原因推定装置10及び20による故障原因の推定は、各トランスポンダや伝送路の構成や特性などに応じて、通信障害が生じていない状態において、事前に行ってもよい。
【0043】
また、故障原因推定装置10及び20は、それぞれ、各トランスポンダから出力される光信号のパワーや波形などの特性、及び、各トランスポンダが受信する光信号のパワーや波形などの特性を監視し、故障原因の推定結果を適宜更新してもよい。例えば、受信する光信号の信号品質が劣化した場合には、通信の相手方又は伝送路に通信障害を生じさせ得る故障原因があり、かつその故障原因の寄与率が高いと推定することが可能である。また、送信する光信号の信号品質が劣化した場合には、同じ端局内に設置されたトランスポンダに通信障害生じさせ得る故障原因があり、かつその故障原因の寄与率が高いと推定することが可能である。このように、各トランスポンダの光信号の送受信を監視して、故障原因推定結果を更新することで、仮に通信障害が発生した場合に、より現状に則した故障原因推定結果を提供することが可能となる。
【0044】
監視対象の通信経路での通信、すなわちトランスポンダ11とトランスポンダ23との間の通信障害が生じた場合には、故障原因推定装置10及び故障原因推定装置20は、それぞれ故障原因推定結果ES1及びES2を、ネットワーク1100及びサーバ1200等を経由して、故障解析装置100へ送信する。
【0045】
なお、故障原因推定装置10及び20は、トランスポンダ11とトランスポンダ23との間の通信を監視することで、通信障害を自律的に検出して、故障原因推定結果ES1及びES2を送信してもよい。
【0046】
トランスポンダ11とトランスポンダ23との間の伝送路には、光分岐挿入装置M1及びM2と光増幅器A1とが挿入されているので、光分岐挿入装置M1及びM2と光増幅器A1とが通信障害を検出してアラームを発することも可能である。この場合、故障原因推定装置10及び20がアラームを検知することで、故障原因推定結果ES1及びES2を送信してもよい。また、光分岐挿入装置M1及びM2と光増幅器A1が、アラームを故障解析装置100に通知してもよい。この場合、アラームを受け取った故障解析装置100が、故障原因推定装置10及び20に対して故障原因推定結果ES1及びES2の送信を要求してもよい。
【0047】
次いで、故障解析装置100での故障解析について説明する。故障解析装置100は、故障原因推定装置10及び20から、それぞれ故障原因推定結果ES1及びES2を受け取る。故障解析装置100は、故障原因推定結果ES1及びES2に基づいて、通信障害の原因である故障を特定する。この例では、故障原因推定結果ES1において、トランスポンダ11の故障の寄与率が100%となっているので、故障解析装置100は、トランスポンダ11の故障が通信障害の原因であると解析する。
【0048】
故障解析装置100は、解析結果を、必要に応じて光通信システム1000のユーザに提供する。故障解析装置100はネットワーク1100を通じて解析結果を送信してもよいし、表示装置(不図示)などに解析結果を表示してもよい。
【0049】
これにより、ユーザは通信障害を排除するために必要な措置を講ずることで、例えばトランスポンダ11を修理又は交換することで、通信を復旧することが可能となる。
【0050】
次いで、
図3に、実施の形態1にかかる光通信システム1000における通信障害の第2の例を示す。第2の例では、送信側のトランスポンダ11と受信側のトランスポンダ23との間で通信障害が生じており、光増幅器A1及び光分岐挿入装置M2がアラームを発している状態である。この場合、トランスポンダ23、及び、トランスポンダ23と光増幅器A1と間の伝送路のどこかで故障が生じていることが想定される。この想定の下に、故障原因推定装置10及び20が故障原因の推定を行う。
【0051】
上述の想定から、光分岐挿入装置M1はアラームを発していないことから、トランスポンダ11は故障していないことが想定される。よって、故障原因推定装置10は、通信障害の原因はトランスポンダ11には無いものとして、その寄与率を0%と推定する。
【0052】
故障原因推定装置20は、トランスポンダ23が故障していないことが想定されるので、その寄与率を0%と推定する。また、故障原因推定装置20は、トランスポンダ11の信頼性が比較的高いものとして、トランスポンダ11の故障確率を30%、伝送路の故障確率を70%と推定する。
【0053】
故障解析装置100は、第1の例と同様に、故障原因推定結果ES1及びES2に基づいて、通信障害の原因である故障を特定する。この例では、故障原因推定結果ES1が示す故障確率に基づいて、トランスポンダ11の故障確率を30%、伝送路の故障確率を70%と判定する。
【0054】
また、故障解析装置100は、トランスポンダ11とトランスポンダ23との間の伝送路の故障確率の内訳を分析することも可能である。故障解析装置100は、光通信システム1000の構成を示す情報を保有しており、これに基づいて、トランスポンダ11とトランスポンダ23との間の伝送路に挿入されている構成要素、すなわち、光増幅器A1、光分岐挿入装置M1及びM2を特定することができる。
【0055】
このうち、光分岐挿入装置M1はアラームを発していないので、故障しているおそれがあるのは光増幅器A1及び光分岐挿入装置M2であると推定できる。故障解析装置100は、光通信システム1000の構成を示す情報に基づいて、例えば、光伝送路の故障確率70%について、光増幅器A1の故障確率が30%、光分岐挿入装置M2の故障確率が40%のように内訳を分析することも可能である。
【0056】
故障解析装置100は、第1の例と同様に、解析結果を、必要に応じて光通信システム1000のユーザに提供し、これにより、ユーザは通信障害を排除するために必要な措置を講ずることができる。
【0057】
具体的には、ユーザは、トランスポンダ11、光増幅器A1及び光分岐挿入装置M2の状態を確認し、故障を排除することで、通信を復旧することができる。
【0058】
この際、故障解析装置100は、推定した故障箇所ごとに、その故障箇所を復旧する情報を紐付けて出力してもよい。故障解析装置100は、例えば故障箇所を復旧する情報は、故障が疑われる箇所ごとに関連付けられたデータテーブルとして保持することができ、必要に応じてこのデータテーブルを参照することで、故障箇所と復旧情報とを紐付けて出力することができる。
【0059】
以上、本構成によれば、外部の故障解析装置100ではなく、トランスポンダの側に故障原因推定装置を設けることで、故障原因推定装置がトランスポンダ及びトランスポンダに接続される伝送路での故障確率を推定し、推定結果を故障解析装置100に提供することができる。その結果、故障解析装置100は、故障原因推定結果に基づいて精度よく故障箇所を推定することができ、かつ、故障排除が必要な故障箇所のみを修理ないしは交換することが可能となる。
【0060】
特に、トランスポンダ及びトランスポンダに接続される伝送路での故障確率の推定を故障解析装置で行わずに、故障原因推定装置に担わせることで、故障解析装置の処理の負担やデータ保持のためのメモリを軽減することができる。
【0061】
また、故障原因推定装置を光通信システム1000の各所に分散配置できるので、光通信システム1000の規模が大きな場合でも、故障解析装置の処理の負担の増加や、データ保持のためのメモリの増加を効率的に抑制することも可能である。
【0062】
実施の形態2
実施の形態2にかかる光通信システムについて説明する。実施の形態1にかかる光通信システム1000においては、トランスポンダから情報を収集される故障原因推定装置が独立して設けられていた。しかし、故障原因推定装置を設ける位置は、これに限られるものではない。
【0063】
まず、故障原因推定装置の設置位置の第1の例について説明する。
図4に、故障原因推定装置の設置位置の第1の例を示す。この例では、端局T1の局舎内に、端局T1内の状態を監視する機器監視装置(EMS:Element Management System)1が設けられている。EMS1は、ネットワーク1100と接続される。
【0064】
この例では、故障原因推定装置10は、EMS1に組み込まれて設けられる。故障原因推定装置10は、EMS1に接続されたネットワーク1100を介して、故障原因推定結果ES1を出力することができる。
【0065】
この例にかかる構成によれば、局舎内の状態を監視する機器監視装置を利用して、故障原因推定装置10を導入することができるため、局舎内の設備について大きな変更を要することなく、実施の形態1において説明した故障原因の解析を実現することが可能となる。
【0066】
なお、
図4では、光伝送装置OP1とEMS1とを分離して表示したが、EMS1は、光伝送装置OP1に組み込まれていてもよい。
【0067】
次いで、故障原因推定装置の設置位置の第2の例について説明する。
図5に、故障原因推定装置の設置位置の第2の例を示す。この例では、第1の例と異なり、
図5に示すように、故障原因推定装置10と同様の故障原因推定装置10A~10Dが、それぞれトランスポンダ11~14に組み込まれている。
【0068】
故障原因推定装置10A~10Dは、直接的にネットワーク1100と接続されてもよい、EMS1を介してネットワーク1100と接続されてもよい。これにより、ネットワーク1100を介して、故障原因推定結果ES1を出力することができる。
【0069】
この例にかかる構成によれば、トランスポンダに機器監視装置を組み込んでいるので、局舎内の設備について大きな変更を要することなく、実施の形態1において説明した故障原因の解析を実現することが可能となる。
【0070】
なお、上述では端局T1について説明したが、端局T2においても同様に故障原因推定装置を配置できることは、言うまでもない。
【0071】
また、故障原因推定装置の配置は本実施の形態で説明した例に限られるものではない。すなわち、故障原因推定装置は、局舎内の任意の場所に設けられてもよいし、必要に応じて局舎外に設けてもよい。
【0072】
実施の形態3
実施の形態3にかかる光通信システムについて説明する。実施の形態1にかかる光通信システム1000においては、故障解析装置100がサーバ1200及びNMS1300から独立して設けられていた。しかし、故障解析装置を設ける位置は、これに限られるものではない。
【0073】
まず、故障解析装置の設置位置の第1の例について説明する。
図6に、故障解析装置の設置位置の第1の例を示す。この例では、NMS1300に故障解析装置が組み込まれている。この例にかかる構成によれば、故障解析装置が存在しない一般的な構成におけるNMSによって故障解析を行う場合と比べて、故障解析装置を導入することで、NMSの負担を軽減することが可能である。
【0074】
次いで、故障解析装置の設置位置の第2の例について説明する。
図7に、故障解析装置の設置位置の第2の例を示す。この例では、サーバ1200に故障解析装置が組み込まれている。この例にかかる構成によれば、故障解析装置が存在しない一般的な構成におけるNMSによって故障解析を行う場合と比べて、故障解析装置を導入することで、NMSの負担を軽減することが可能である。
【0075】
また、第1及び第2の例にかかる構成によれば、故障解析装置100をサーバ1200又はNMS1300と独立して設けずともよいので、必要なハードウェアの規模を抑制することが可能となる。
【0076】
なお、本実施の形態では、故障解析装置100がサーバ1200又はNMS1300に組み込まれるものとして説明したが、故障解析装置100は上位レイヤの任意の他の装置等に組み込まれてもよいことは、言うまでもない。
【0077】
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施の形態では、端局がリング状の光伝送路110から光分岐挿入装置によって分岐されたブランチ経路である光伝送路と接続される例について説明したが、端局は必要に応じて、ブランチ経路を経由しない経路、例えばトランク経路と接続されてもよい。
【0078】
上述の実施の形態では、リング状の光伝送路110を有する構成について説明したが、光通信システムを構成する光伝送路は、任意のネットワーク構成としてもよい。
【0079】
上述の実施の形態では、2つの端局、6つの光分岐挿入装置及び6つの光増幅器を有する構成について説明したが、端局、光分岐挿入装置及び光増幅器のそれぞれの数は、この例に限られるものではない。
【0080】
上述の実施の形態では、各端局に4つのトランスポンダが設けられる例について説明したが、各端局に設けられるトランスポンダの数はこの例に限られない。
【0081】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0082】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0083】
(付記1)光ネットワークを構成する光伝送路と、前記光伝送路を介して通信を行う、1つ以上のトランスポンダが設けられた複数の端局と、前記複数の端局のそれぞれに設けられた、前記1つ以上のトランスポンダの状態を監視して、故障の発生が疑われる箇所ごとに故障確率を推定する故障確率推定装置と、前記複数の端局に設けられた前記故障確率推定装置での故障確率推定結果に基づいて、故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、を推定する故障解析装置と、を備える、光通信システム。
【0084】
(付記2)前記光伝送路に挿入された1つ以上の通信ノードを備え、前記1つ以上の通信ノードは、通信の異常を示す情報を前記故障解析装置へ出力可能に構成され、前記故障解析装置は、受け取った前記通信の異常を示す情報に応じ、前記通信の異常に関連する故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、に基づいて、故障が発生した箇所を推定する、付記1に記載の光通信システム。
【0085】
(付記3)前記1つ以上の通信ノードは、前記光伝送路に挿入された1つ以上の光増幅器と、前記光伝送路に挿入された1つ以上の光分岐挿入装置と、を含み、前記端局の一部又は全部は、前記光分岐挿入装置を介して通信を行う、付記2に記載の光通信システム。
【0086】
(付記4)前記故障解析装置は、前記受け取った通信の異常を示す情報に基づいて、通信の異常を検知した場合には、前記複数の端局の一部又は全部に前記故障確率推定結果の出力を要求し、前記要求を受け取った端局は、故障確率推定結果を前記故障解析装置へ出力する、付記2又は3に記載の光通信システム。
【0087】
(付記5)各端局の前記故障確率推定装置は、各端局に設けられた前記1つ以上のトランスポンダを継続的に監視し、通信の異常を検知した場合には、前記故障確率推定結果を前記故障解析装置に出力する、付記1乃至4のいずれか一つに記載の光通信システム。
【0088】
(付記6)各端局の前記故障確率推定装置は、各端局に設けられた前記1つ以上のトランスポンダを継続的に監視し、前記故障確率推定結果を定期的に更新する、付記1乃至5のいずれか一つに記載の光通信システム。
【0089】
(付記7)前記故障解析装置は、前記故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、に基づいて、故障が発生するおそれの高い箇所を予測する、
付記6に記載の光通信システム。
【0090】
(付記8)前記故障解析装置は、前記故障が発生しうる箇所の推定の結果とともに、推定した故障が発生しうる箇所ごとに、故障を復旧するための情報を紐付けて出力する、付記1乃至7のいずれか一つに記載の光通信システム。
【0091】
(付記9)光ネットワークを構成する光伝送路を介して通信を行う複数の端局のそれぞれに設けられた1つ以上のトランスポンダの状態を監視して、故障の発生が疑われる箇所ごとに故障確率を推定する故障確率推定装置が出力する故障確率推定結果に基づいて、故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、を推定する、故障解析装置。
【0092】
(付記10)前記光伝送路に挿入され、通信の異常を示す情報を出力可能に構成される1つ以上の通信ノードから受け取った前記通信の異常を示す情報に応じ、前記通信の異常に関連する故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、に基づいて、故障が発生した箇所を推定する、付記9に記載の故障解析装置。
【0093】
(付記11)前記1つ以上の通信ノードは、前記光伝送路に挿入された1つ以上の光増幅器と、前記光伝送路に挿入された1つ以上の光分岐挿入装置と、を含み、前記端局の一部又は全部は、前記光分岐挿入装置を介して通信を行う、付記10に記載の故障解析装置。
【0094】
(付記12)前記受け取った通信の異常を示す情報に基づいて、通信の異常を検知した場合には、前記複数の端局の一部又は全部に前記故障確率推定結果の出力を要求し、前記要求を受け取った端局は、故障確率推定結果を前記故障解析装置へ出力する、付記10又は11に記載の故障解析装置。
【0095】
(付記13)各端局の前記故障確率推定装置は、各端局に設けられた前記1つ以上のトランスポンダを継続的に監視し、通信の異常を検知した場合には、前記故障確率推定結果を前記故障解析装置に出力する、付記9乃至12のいずれか一つに記載の故障解析装置。
【0096】
(付記14)各端局の前記故障確率推定装置は、各端局に設けられた前記1つ以上のトランスポンダを継続的に監視し、前記故障確率推定結果を定期的に更新する、付記9乃至13のいずれか一つに記載の故障解析装置。
【0097】
(付記15)前記故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、に基づいて、故障が発生するおそれの高い箇所を予測する、付記13に記載の故障解析装置。
【0098】
(付記16)前記故障が発生しうる箇所の推定の結果とともに、推定した故障が発生しうる箇所ごとに、故障を復旧するための情報を紐付けて出力する、付記9乃至15のいずれか一つに記載の故障解析装置。
【0099】
(付記17)光ネットワークを構成する光伝送路を介して通信を行う複数の端局のそれぞれに設けられた1つ以上のトランスポンダの状態を監視して、故障の発生が疑われる箇所ごとに故障確率を推定し、故障確率推定結果を、前記複数の端局での当該故障確率推定結果に基づいて、故障が発生しうる箇所と、前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、を推定する故障解析装置に出力する、故障確率推定装置。
【0100】
(付記18)光ネットワークを構成する光伝送路を介して通信を行う複数の端局のそれぞれに設けられた1つ以上のトランスポンダの状態を監視して、故障の発生が疑われる箇所ごとに故障確率を推定し、前記複数の端局での故障確率推定結果に基づいて、故障が発生しうる箇所前記故障が発生しうる箇所での故障確率と、を推定する、光通信システムの故障解析方法。
【符号の説明】
【0101】
11~14、21~24 トランスポンダ
1 EMS
10、20 故障原因推定装置
100 故障解析装置
110~112 光伝送路
1000 光通信システム
1100 ネットワーク
1200 サーバ
1300 NMS
OP1、OP2 光伝送装置
A1~A6 光増幅器
ES1、ES2 故障原因推定結果
M1~M1 光分岐挿入装置
T1、T2 端局