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特許7548322電気機器システム及び中/高電圧電池パック
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】電気機器システム及び中/高電圧電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/269 20210101AFI20240903BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20240903BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20240903BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20240903BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20240903BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H01M50/269
H01M50/284
H01M50/296
H01M50/213
H01M50/244 A
H02J7/00 302B
H02J7/00 302C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022553712
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 JP2021032425
(87)【国際公開番号】W WO2022070766
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2020165408
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021051359
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 勇人
(72)【発明者】
【氏名】西河 智雅
(72)【発明者】
【氏名】松野 智
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-518193(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110783651(CN,A)
【文献】特開平03-295158(JP,A)
【文献】国際公開第2018/079722(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低電圧又は中電圧を出力可能な低/中電圧電池パックと、
中電圧又は高電圧を出力可能な中/高電圧電池パックと、
前記低/中電圧電池パックに接続され前記低電圧の供給を受けるよう構成された低電圧機器本体と、
前記低/中電圧電池パック及び中/高電圧電池パックに接続され前記中電圧の供給を受けるよう構成された中電圧機器本体と、
前記中/高電圧電池パックに接続され前記高電圧の供給を受けるよう構成された高電圧機器本体と、を備え、
前記低/中電圧電池パック及び前記中/高電圧電池パックはそれぞれ、複数のセルユニットを有し、
前記中電圧機器本体は、前記低/中電圧電池パックに接続された場合に当該電池パックの前記複数のセルユニットを直列接続する中電圧直列端子を有し、
前記中/高電圧電池パックは、前記複数のセルユニットの上方に配置される基板と、前記基板から上方に延び前記複数のセルユニットの一つの正極及び負極に接続される一対の第1の出力端子と、前記基板から上方に延び前記複数のセルユニットの別の一つの正極及び負極に接続される一対の第2の出力端子と、を有し、
前記一対の第1の出力端子及び前記一対の第2の出力端子はそれぞれ、前記中/高電圧電池パックが前記中電圧機器本体に接続された場合に前記中電圧機器本体の入力端子と接続される接続部と、前記中電圧直列端子との接続を回避する回避部と、を有する、
ことを特徴とする電気機器システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器システムであって
記中電圧機器本体は、前記中/高電圧電池パックに接続された場合に当該電池パックの前記複数のセルユニットを並列接続する中電圧並列端子を有し、
前記高電圧機器本体は、前記中/高電圧電池パックに接続された場合に当該電池パックの前記複数のセルユニットを直列接続する高電圧直列端子を有する、
ことを特徴とする電気機器システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電気機器システムであって、
前記中電圧機器本体が前記中/高電圧電池パックに接続された場合に、前記中電圧直列端子はいずれの端子にも接続されない、
ことを特徴とする電気機器システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の電気機器システムであって、
前記中/高電圧電池パックは、前記複数のセルユニットの一つの正極及び負極に接続される一対の第1の出力端子と、前記複数のセルユニットの別の一つの正極及び負極に接続される一対の第2の出力端子と、を有し、
前記高電圧機器本体は、前記一対の第1の出力端子の正極及び負極の一方に接続される第1の入力端子と、前記一対の第2の出力端子の正極及び負極の他方に接続される第2の入力端子と、を有し、
前記高電圧直列端子は、前記一対の第1の出力端子の正極及び負極の他方及び前記一対の第2の出力端子の正極及び負極の一方に接続される、
ことを特徴とする電気機器システム。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の電気機器システムであって、
前記中/高電圧電池パックは更に、前記低電圧を出力できるよう構成される、
ことを特徴とする電気機器システム。
【請求項6】
中電圧又は高電圧を出力可能な中/高電圧電池パックであって、
前記中電圧が供給されて駆動する中電圧機器本体及び前記高電圧が供給されて駆動する高電圧機器本体に選択的に接続可能に構成され、
第1のセルユニットと、
前記第1のセルユニットの上方に配置される基板と、
前記基板から上方に延び前記第1のセルユニットの一つの正極及び負極に接続される一対の第1の出力端子と、
前記基板から上方に延び前記第1のセルユニットの別の一つの正極及び負極に接続される一対の第2の出力端子と、
を備え、
前記一対の第1の出力端子及び前記一対の第2の出力端子はそれぞれ、
前記中電圧機器本体の入力端子と接続される接続部と、
低電圧又は中電圧を出力可能な低/中電圧電池パックに前記中電圧機器本体を接続した際に前記低/中電圧電池パックの第2のセルユニットを直列接続するよう構成された前記中電圧機器本体の中電圧直列端子への接続を回避する回避部と、
を有する、
ことを特徴とする中/高電圧電池パック。
【請求項7】
請求項6に記載の中/高電圧電池パックであって、
前記中電圧機器本体及び前記高電圧機器本体の電源端子が挿入可能な第1スロットと、
前記高電圧機器本体と接続した場合に前記高電圧機器本体のいずれの端子も挿入されない第2スロットと、
を備え、
前記中電圧機器本体と接続した場合に、前記第2スロットには、前記低/中電圧電池パックに前記中電圧機器本体を接続した際に前記第2のセルユニットを直列接続するための前記中電圧機器本体に設けられたショートバーが挿入される、
ことを特徴とする中/高電圧電池パック。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の中/高電圧電池パックと、
前記中/高電圧電池パックと接続可能であり前記中電圧が供給されて駆動する中電圧機器本体と、前記中/高電圧電池パックと接続可能であり前記高電圧が供給されて駆動する高電圧機器本体と、の少なくとも一方と、
を備えることを特徴とする電気機器システム。
【請求項9】
請求項8に記載の電気機器システムであって、
低電圧又は中電圧を出力可能な低/中電圧電池パックを備えることを特徴とする電気機器システム。
【請求項10】
請求項9に記載の電気機器システムであって、
前記低/中電圧電池パックに接続され、前記低電圧が供給されて駆動する低電圧機器本体を備えることを特徴とする電気機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の電池パックを複数の電気機器のいずれかに装着して稼働させる電気機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具等の電気機器が、リチウムイオン電池等の二次電池を用いた電池パックにて駆動されるようになり、電気機器のコードレス化が進んでいる。また、出力電圧を切り替え可能として、異なる電圧の電気機器間で共用できるようにした電圧切り替え型電池パックと、そのような電圧切り替え電池パックを使用できるよう構成された電気機器本体とを含む電気機器システムも実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/079723号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電圧切り替え型電池パックは、対応する電気機器本体に装着するだけで出力電圧を自動的に切り替えることができて非常に便利である。このような電圧切り替え型電池パックとして、より高い電圧を出力できる電圧切り替え型電池パック、あるいはより低い電圧を出力できる電圧切り替え電池パックを新たに電気機器システムに追加できれば、ユーザは幅広く用意された異なる電圧の電圧切り替え型電池パックを用途に応じて使いわけることができ、より便利になると考えられる。なお、電池パック装着部を複数設け、複数の電池パックを装着可能とすることで高電圧の電気機器とすることも可能であるが、複数の電池パックをまとめて取り扱う必要があるため煩雑である。また、電池パック装着部が複数あるため、電池パック装着部が大型化し取り回し難いものとなってしまう。
【0005】
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、幅広い電圧に対応した電気機器システムを提供することを目的とする。本発明の他の目的は、既存の電圧切り替え型電池パックとの互換性を維持したまま、既存の電圧切り替え型電池パックの電圧とは異なる電圧にも対応可能な電池パックを含む電気機器システムを提供することにある。本発明のさらに他の目的は、低電圧、中電圧、高電圧の3つを出力可能とした三電圧電池パックを用いた電気機器システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において開示される発明のうち代表的な特徴を説明すれば次のとおりである。本発明の一つの特徴によれば、低電圧又は中電圧を出力可能な低/中電圧電池パックと、中電圧又は高電圧を出力可能な中/高電圧電池パックと、低/中電圧電池パックに接続され低電圧の供給を受けるよう構成された低電圧機器本体と、低/中電圧電池パック及び中/高電圧電池パックに接続され中電圧の供給を受けるよう構成された中電圧機器本体と、中/高電圧電池パックに接続され高電圧の供給を受けるよう構成された高電圧機器本体と、を有する電気機器システムが実現される。電気機器システムの低/中電圧電池パック及び中/高電圧電池パックはそれぞれ、複数のセルユニットを有し、中電圧機器本体は低/中電圧電池パックに接続された場合に当該電池パックの複数のセルユニットを直列接続する中電圧直列端子と、中/高電圧電池パックに接続された場合に当該電池パックの複数のセルユニットを並列接続する中電圧並列端子と、を有する。中電圧機器本体が中/高電圧電池パックに接続された場合には、中電圧直列端子はいずれの端子にも接続されない。また、高電圧機器本体は、中/高電圧電池パックに接続された場合に当該電池パックの複数のセルユニットを直列接続する高電圧直列端子を有する。
【0007】
本発明のさらに他の特徴によれば、電気機器システムにおいて、中/高圧電池パックは、複数のセルユニットの一つの正極及び負極に接続される一対の第1の出力端子と、複数のセルユニットの別の一つの正極及び負極に接続される一対の第2の出力端子と、を有し、高電圧機器本体は、一対の第1の出力端子の正極及び負極の一方に接続される第1の入力端子と、一対の第2の出力端子の正極及び負極の他方に接続される第2の入力端子と、を有し、高電圧直列端子は、一対の第1の出力端子の正極及び負極の他方及び一対の第2の出力端子の正極及び負極の一方に接続される。
【0008】
本発明のさらに他の特徴によれば、中/高電圧電池パックは、複数のセルユニットの上方に配置される基板と、基板から上方に延び複数のセルユニットの一つの正極及び負極に接続される一対の第1の出力端子と、基板から上方に延び複数のセルユニットの別の一つの正極及び負極に接続される一対の第2の出力端子と、を有し、一対の第1の出力端子及び一対の第2の出力端子はそれぞれ、中電圧機器本体の入力端子と接続される接続部と、接続部と基板との間であって中電圧直列端子を回避する回避部と、を有する。
【0009】
本発明のさらに他の特徴によれば、複数のセルユニットと、複数のセルユニットのそれぞれに接続された出力端子と、を有する電池パックであって、低/中/電圧を出力可能な三電圧電池パック及び低/中電圧を出力可能な低/中電圧電池パックの一方の電池パックと、三電圧電池パックが接続可能で、接続された三電圧電池パックから高電圧の供給を受けるように構成された高電圧機器本体と、三電圧電池パック又は低/中電圧電池パックが接続可能で接続された三電圧電池パック又は低/中電圧電池パックから中電圧の供給を受けるように構成された中電圧機器本体と、三電圧電池パック又は低/中電圧電池パックが接続可能で接続された三電圧電池パック又は低/中電圧電池パックから低電圧の供給を受けるように構成された低電圧機器本体と、を備えた電気機器システムが構成される。中電圧機器本体は、三電圧電池パックに接続された場合に出力端子の一部に接続されて複数のセルユニットを直列接続し、低/中電圧電池パックに接続された場合に出力端子の一部に接続されて複数のセルユニットの全てを直列接続するよう構成された中電圧直列端子を有する。また、中電圧機器本体は、三電圧電池パックに接続された場合に出力端子の一部とは別の出力端子に接続されて複数のセルユニットを並列接続し、低/中電圧電池パックに接続された場合に出力端子の一部とは別の出力端子に接続されるよう構成された中電圧並列端子を有する。
【0010】
本発明のさらに他の特徴によれば、複数のセルユニットと、複数のセルユニットのそれぞれに接続された出力端子と、を有し、中電圧及び高電圧を出力可能な中/高電圧電池パックを備え、中電圧機器本体が中/高電圧電池パックに接続された場合に、中電圧直列端子は出力端子に接続されないよう構成され、中電圧並列端子は出力端子に接続されて複数のセルユニットを並列接続するよう構成される。
【0011】
本発明のさらに他の特徴によれば、低電圧、中電圧及び高電圧を出力可能な三電圧電池パックと、低電圧、中電圧、高電圧のいずれか2つを出力可能な二電圧電池パック、又は、低電圧、中電圧、高電圧のいずれか1つを出力可能な一電圧電池パックと、三電圧電池パック及び高電圧を出力可能な二電圧電池パック又は高電圧を出力可能な一電圧電池パックに接続され、高電圧の供給を受けるように構成された高電圧機器本体と、三電圧電池パック及び中電圧を出力可能な二電圧電池パック又は中電圧を出力可能な一電圧電池パックに接続され、中電圧の供給を受けるように構成された中電圧機器本体と、三電圧電池パック及び低電圧を出力可能な二電圧電池パック又は低電圧を出力可能な一電圧電池パックに接続され、低電圧の供給を受けるように構成された低電圧機器本体と、を備えた電気機器システムが提供される。
【0012】
本発明のさらに他の特徴によれば、三電圧電池パック及び二電圧電池パックはそれぞれ複数のセルユニットを有し、中電圧機器本体は、三電圧電池パックに接続された場合又は中電圧と高電圧を出力可能な二電圧電池パックに接続された場合に当該電池パックの複数のセルユニットの一部を直列接続すると共に、低電圧と中電圧を出力可能な二電圧電池パックに接続された場合に当該電池パックの複数のセルユニットを直列接続する中電圧直列端子と、三電圧電池パックに接続された場合又は中電圧と高電圧を出力可能な二電圧電池パックに接続された場合に当該電池パックの複数のセルユニットの一部を並列接続すると共に、低電圧と中電圧を出力可能な二電圧電池パックに接続された場合に当該電池パックの複数のセルユニットを並列接続する中電圧並列端子と、を有する。また、高電圧機器本体は、三電圧電池パックに接続された場合又は中電圧と高電圧を出力可能な二電圧電池パックに接続された場合に当該電池パックの複数のセルユニットを直列接続する高電圧直列端子を有する。
【0013】
本発明のさらに他の特徴によれば、第1の複数のセルユニットを有し、複数のセルユニットの接続状態に応じて出力電圧を中電圧と高電圧に切替可能であり、高電圧機器本体と中電圧機器本体とに接続可能な中/高電圧電池パックであって、高電圧機器本体及び中電圧機器本体の電源端子が挿入可能な第1スロットと、高電圧機器本体と接続した場合に高電圧機器本体のいずれの端子も挿入されない第2スロットと、を有し、第2スロットは、中電圧機器本体と接続した場合に、中電圧機器本体に設けられたショートバーであって、第2の複数のセルユニットを有して出力電圧を低電圧と中電圧に切替可能な低/中電圧電池パックに中電圧機器本体を接続した際に第2の複数のセルユニットを直列接続するショートバーが挿入されるように構成した。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、幅広い電圧に対応した電気機器システムを提供することができる。より具体的には、既存の電圧切り替え型電池パックとの互換性を維持したまま、既存の電圧切り替え型電池パックの電圧とは異なる電圧にも対応可能な電圧切り替え型電池パックを含む電気機器システムを提供することができる。また、低電圧、中電圧、高電圧の3つを出力可能とした三電圧電池パックを用いた電気機器システムを提供することができる。例えば、従来から用いられている低/中電圧対応の電池パックに対して、互換性を有する中/高電圧対応の電池パックをさらに提供できるので、2つの電池パックで3つの電圧の電気機器本体に対応させることができる。更に、これら二電圧電池パックに対して、互換性を有する低/中/高電圧対応の電池パックを提供できるので、1つの電池パックで3つの電圧の電気機器本体に対応させることができる。この際、電池パックの電圧切り替えのための特別な操作は不要であり、対応する電気機器本体に装着するだけで適正な出力電圧に切り替えられるので、電池パックの取り扱いが容易である。また、高電圧機器本体の筐体サイズが抑えられるから取り回しやすい電気機器を提供できる。また、電圧切り替え型電池パックの大型化を抑えた電気機器システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例に係る電気機器システムの全体図である。
図2】本発明の実施例に係るインパクト工具1Aと、それに装着される電池パック101の斜視図である。
図3図2の低電圧電池パック101の別の角度から見た斜視図である。
図4図1の低/中電圧電池パック201の外観を示す斜視図である。
図5図1の中/高電圧電池パック301の外観を示す斜視図である。
図6】(A)は低/中電圧電池パック201と低電圧機器本体1との接続回路図であり、(B)は低/中電圧電池パック201と中電圧機器本体31との接続回路図である。
図7】低電圧機器本体1のターミナル部15と、低/中電圧電池パック201の接続端子群260の接続状態を説明するための図であり、(A)はターミナル部15と接続端子群260とが離れた状態、(B)はターミナル部15と接続端子群260とが嵌合した状態である。
図8】中電圧機器本体31のターミナル部45と、低/中電圧電池パック201の接続端子群260の接続状態を説明するための図であり、(A)はターミナル部45と接続端子群260とが離れた状態、(B)はターミナル部45と接続端子群260とが嵌合した状態である。
図9】(A)は中電圧機器本体31と中/高電圧電池パック301との接続回路図であり、(B)は高電圧機器本体61と中/高電圧電池パック301との接続回路図である。
図10】中電圧機器本体31のターミナル部45と、中/高電圧電池パック301の接続端子群360の接続状態を説明するための図であり、(A)はターミナル部45と接続端子群360とが離れた状態、(B)はターミナル部45と接続端子群360とが嵌合した状態である。
図11】高電圧機器本体61のターミナル部75と、中/高電圧電池パック301の接続端子群360の接続状態を説明するための図であり、(A)はターミナル部75と接続端子群360とが離れた状態、(B)は(A)と同じ図でからターミナル部75の樹脂部分を除いた形状を示す図である。
図12】高電圧機器本体61のターミナル部75と、中/高電圧電池パック301の接続端子群360が嵌合した状態を示す図である。
図13】(A)は図12のターミナル部75と接続端子群360の別の方向から見た斜視図であり(嵌合時)、(B)は正極入力端子82とショートバー89の端子部89bの部分拡大図であり、(C)は(A)の正極端子362、372部分を右側から見た図である。
図14】(A)はターミナル部15、45、75の形状を示す側面図であり、(B)はターミナル部15、45、75での電力端子(正極入力端子と負極入力端子)の配置状況をまとめた比較表である。
図15】(A)は、本発明の第2の実施例に係る中電圧機器本体31と中/高電圧電池パック501との接続回路図であり、(B)は高電圧機器本体461と中/高電圧電池パック501との接続回路図である。
図16】中電圧機器本体31のターミナル部45と、第2の実施例に係る中/高電圧電池パック501の接続端子群560の接続状態を説明するための図(その1)であり、(A)はターミナル部45と接続端子群560とが離れた状態、(B)はターミナル部45と接続端子群560とが嵌合した状態である。
図17】中電圧機器本体31のターミナル部45と、第2の実施例に係る中/高電圧電池パック501の接続端子群560を示す図(その2)であり、(A)はターミナル部45と接続端子群560とが嵌合した状態を示す斜視図、(B)は(A)の背面図である。
図18】高電圧機器本体461のターミナル部475と、第2の実施例に係る中/高電圧電池パック501の接続端子群560が嵌合した状態を示す図(その1)であり、(A)はターミナル部475と接続端子群560とが離れた状態、(B)はターミナル部475と接続端子群560とが嵌合した状態である。
図19】高電圧機器本体461のターミナル部475と、第2の実施例に係る中/高電圧電池パック501の接続端子群560が嵌合した状態を示す図である(その2)。
図20】ターミナル部15、45、475の形状を示す模式図であり、これらの大きさ関係を説明するための図である。
図21】本発明の第3の実施例に係る電気機器システムの全体図である。
図22図21の三電圧電池パック701の接続端子群を示す図であり、(A)は回路基板730と接続端子群740全体の斜視図であり、(B)は大型端子部品721の斜視図であり、(C)は小型端子部品726の斜視図である。
図23】(A)は三電圧電池パック701と低電圧機器本体1との接続回路図であり、(B)は三電圧電池パック701と中電圧機器本体31との接続回路図である。
図24】(A)は本発明の第3の実施例に係る三電圧電池パック701と高電圧機器本体601との接続回路図であり、(B)は図21の高電圧機器本体601におけるターミナル部615と接続端子群740の電力端子部分が嵌合した状態を示す斜視図である。
図25】(A)は図21の高電圧機器本体601におけるターミナル部615が接続端子群740の正極端子群に嵌合する前の状態の右側面図であり、(B)はターミナル部615が接続端子群740の正極端子群に嵌合した後の状態の右側面図である。
図26】(A)は図24(B)の前面図であり、(B)は図24(B)の上面図である。
図27】(A)は図21の高電圧機器本体601におけるターミナル部615の後方側から見た斜視図であり、(B)は(A)の樹脂部分に鋳込まれる接続端子群の斜視図である。
図28】(A)は図21の高電圧機器本体601におけるターミナル部615の前方側から見た斜視図であり、(B)は(A)の樹脂部分に鋳込まれる正極入力端子622と、負極入力端子627と、ショートバー631,632、633の斜視図である。
図29】ターミナル部15、45、615の形状を示す模式図であり、これらの大きさ関係を説明するための図である。
図30図21の三電圧電池パック701における電池セルの配置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、前後、上下の方向は図中に示す方向であるとして説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施例に係る電気機器システムの全体図である。電気機器システムは、複数の電気機器本体(1、31、61)と、複数の電池パック(101、201、301)により構成される。電気機器本体(1、31、61)は、対応する電池パック(101、201、301のいずれか)を装着して動作する機器であり、AC電源を必要としないコードレス機器である。電気機器本体(1、31、61)は、使用する電池パックの定格電圧に合わせて分類され、ここでは、定格電圧18Vという低電圧の供給を受けるよう構成されたで電気機器群(低電圧電気機器本体であり、以下、「低電圧機器本体1」と称する)、定格電圧36Vという中電圧の供給を受けるよう構成された電気機器群(中電圧電気機器本体であり、以下、「中電圧機器本体31」と称する)、定格電圧72Vという高電圧の供給を受けるよう構成されたで電気機器群(高電圧電気機器本体であり、以下、「高電圧機器本体61」と称する)に分類される。本明細書では、電池パック(101、201、301)を装着した状態を「電気機器」と称し、電池パック(101、201、301)を取り外した状態の本体側を、「電気機器本体」と称する。
【0018】
図1では低電圧機器本体1として、コードレスロータリハンマドリルのイラストを示しているが、ハンマドリルだけに限られず、インパクトドライバ、インパクトレンチ、ドライバドリル、ディスクグラインダ、ブロワ、クリーナー、カッタ、バンドソー、マルチツール、ジグソー、セーバソー、チェンソー、丸のこ、かんな、ピン釘打機、タッカ、釘打機、テレビ、ラジオ、スピーカ、ファン、冷温庫、ライト、高圧洗浄機、刈払機等の多彩な機器が用いられる。
【0019】
図1では中電圧機器本体31として、高出力のコードレスロータリハンマドリルのイラストを示しているが、ハンマドリルだけに限られずに、中電圧機器本体31としては、低電圧機器本体1よりも高出力が要求される機器、例えば、インパクトレンチ、振動ドライバドリル、ディスクグラインダ、ブロワ、クリーナー、鉄筋カットベンダ、チップソーカッタ、ジグソー、セーバソー、集じん丸のこ、チェンソー、丸のこ、仕上釘打機、タッカ、コンクリートバイブレータ、植木バリカン、刈払機等の多彩な機器が用いられる。また、図1では高電圧機器本体61としてコードレスロータリハンマドリルのイラストを示しているが、高電圧機器本体61として中電圧機器本体31よりもさらなる高出力が要求される機器であって、中電圧機器本体31と同様の機器が用いられる。また、動作電圧72V(直流)により実現できるような高電圧電気機器の本体、例えば、カッタ、チップソー切断機等も高電圧機器本体61に含まれる。
【0020】
電池パック(101、201、301)は、対応する電気機器本体(1、31、61)に対して着脱式であって、所定の定格電圧を有する。ここでは、電気機器システムを構成する電池パックの例として、低電圧機器本体1と中電圧機器本体31の双方に装着可能な、低/中電圧電池パック201(第1二電圧電池パック)、中電圧機器本体31と高電圧機器本体61の双方に装着可能な、中/高電圧電池パック301(第2二電圧電池パック)を含んで構成される。低電圧電池パック101は、従来から用いられる単一電圧(ここでは定格18V)用の電源である。電池パック101、201、301は、いずれも複数本の電池セルを合成樹脂製のケース内に収容したものである。電池パック101、201、301の上部には、電気機器本体(1、31、61)に装着するためのレール溝(図2で後述)と、電気的な接続を実現するための接続端子群(図6以降で後述)、電気機器本体(1、31、61)側との装着状態を維持又は解除するためのラッチ機構(図2で後述)が設けられる。
【0021】
図1では電池パック101、201、301がどの電気機器本体1、31、61に装着可能であるかを示す実線矢印91~95にて、それらの対応関係を示している。低電圧電池パック101は、18V専用(低電圧機器本体1専用)であって単一電圧の電源であるため、点線矢印96の先に×印を示すように36V用の中電圧機器本体31には使用することができない。ここで、「使用することができない」とは、(1)低電圧電池パック101を中電圧機器本体31に、物理的に装着できない場合と、(2)装着は可能であるが電気的な接続状態が確立されない場合と、(3)物理的にも電気的にも接続可能であるが電圧が不足しているので実際に中電圧機器本体31が動作しない場合の3つの状態にて実現することが考えられる。いずれの状態であっても本実施例の電気機器システムは構成可能であるが、ユーザの立場を考えると、低電圧電池パック101を中電圧機器本体31に物理的に装着できないように構成するのが最も好ましい。本実施例では、中電圧機器本体31の電池パック取付部に凸部48(図8にて後述)を形成することにより、低電圧電池パック101が凸部48に干渉することによって、低電圧電池パック101の中電圧機器本体31への装着が阻止されるように構成した。従って、ユーザは、使用不能な低電圧電池パック101を誤って中電圧機器本体31へ装着できないように構成することによって、低電圧電池パック101は中電圧機器本体31には使用できないことを容易に識別できる。尚、図1には点線矢印で示していないが、低電圧電池パック101は高電圧機器本体61にも物理的に装着できないように構成される。中電圧機器本体31と同様に高電圧機器本体61の電池パック取付部に誤装着防止用の凸部78(後述する図11参照)が形成されるからである。
【0022】
低/中電圧電池パック201は、18V又は36V出力のいずれかを出力できるようにした、いわゆる異電圧(マルチボルト)対応の電源である。低/中電圧電池パック201は、実線矢印92に示すように低電圧機器本体1と、実線矢印93に示すように中電圧機器本体31のいずれにも物理的に装着可能であり、また電気機器本体(1、31)側の機器側接続端子と電気的に接続可能である。尚、低/中電圧電池パック201は、点線矢印97に示すように高電圧機器本体61には使用できない。この場合の使用できないとは、上述の(1)~(3)の3つの状態のいずれにて実現しても良い。
【0023】
中/高電圧電池パック301は、36V又は72V出力のいずれかを出力できるようにした、いわゆる異電圧(マルチボルト)対応の電源である。中/高電圧電池パック301は、基本的な装着構造、即ち、電気機器本体(31、61)に装着するためのレール溝やラッチ機構は、低/中電圧電池パック201と互換性を有する形状である。中/高電圧電池パック301は、低/中電圧電池パック201の倍の電圧(定格電圧72V)であるため、中/高電圧電池パック01の2倍の数の電池セルを必要とする。従って、同じサイズ(例えば18650サイズ)の電池セルを用いる場合は、図1に示すように中/高電圧電池パック301の大きさが2倍近くの大きさになる。ただし、レール溝やラッチ機構、接続端子を収容するスリット群の数や形状はほぼ同じである。実線矢印94に示すように中電圧機器本体31と、実線矢印95に示すように高電圧機器本体61のいずれにも物理的に装着可能であり、また電気機器本体(31、61)側の機器側接続端子と電気的に接続可能である。尚、中/高電圧電池パック301は、矢印では示していないが低電圧機器本体1には使用できない。この場合の使用できないとは、上述の(1)と同様、物理的に装着できない、又は(2)のように構成できる。
【0024】
図1では図示していないが、電池パック101、201、301は、電気機器本体(1、31、61)から取り外した後に図示しない外部充電器を用いて充電が可能である。ここでは、18V用充電器と、36V用の充電器の2つを準備すれば、電池パック101、201、301をすべて充電可能である。つまり、電池パック101、201は低電圧(18V)用充電器を用いて、電池パック301は中電圧(36V)用充電器を用いて充電する。尚、電池パック201は中電圧(36V)用充電器を用いて充電することも可能であり、電池パック301は高電圧(72V)用充電器を用いて充電することも可能である。
【0025】
図1に示す電気機器システムでは、低電圧、中電圧、高電圧の組み合わせを、18V、36V、72Vにて構成したが、本発明はこれらの電圧の組み合わせだけに限られずに、14.4V、28.8V、57.6Vの組み合わせや、その他の組み合わせで構成しても良い。但し、中電圧は低電圧の2倍、高電圧は中電圧の2倍となる組み合わせとすれば、図2以降で説明する電池パックの端子構成を実現しやすくなるので好適である。また、2倍に限らず3倍や4倍等でも良い。また、低/中電圧電池パック201の高い側の出力電圧と、中/高電圧電池パック301の低い側の出力電圧を同じとすることで、重複する電気機器本体(ここでは中電圧機器本体31)が存在するので、低~中の電力機器本体を主に有するユーザや、中~高の電力機器本体を主に有するユーザにとっては、一つの電池パックを用意するだけで中電圧機器本体31を使用することができるため使い勝手がよく便利である。
【0026】
図2は本発明の実施例に係る電気機器本体と、それに装着される電池パック101の斜視図である。ここでは低電圧機器本体として、インパクト工具1Aの例を示している。動作電圧18Vのインパクト工具1Aは、電池パック101が着脱可能であり、図示しないモータによる回転駆動力を用いて先端工具や作業機器を駆動する。インパクト工具1Aは先端工具9に回転力や軸方向の打撃力を加えることにより締め付け作業を行う。電気機器本体1(低電圧機器本体1A)は、外形を形成する外枠たるハウジング2を備える。ハウジング2は、図示しないモータや動力伝達機構を収容する胴体部2aと、胴体部2aから下方に延びるハンドル部2bと、ハンドル部2bの下側に形成される電池パック装着部10により構成される。ハンドル部2bの一部であってユーザが把持した際に人差し指があたる付近には、トリガ状の動作スイッチ4が設けられる。ハウジング2の前方側には出力軸たるアンビル(図では見えない)が設けられ、アンビルの先端には先端工具9を装着するための先端工具保持部8が設けられる。ここでは先端工具9としてプラスのドライバービットが装着されている。
【0027】
電池パック装着部10には、左右両側の内壁部分に前後方向に平行に延びる溝やレールを含むレール部11a、11bが形成され、それらの間にターミナル部15Aが設けられる。ターミナル部15Aは、合成樹脂等の不導体材料の一体成形により製造され、そこに金属製の複数の端子、例えば正極入力端子22、負極入力端子27、LD端子(異常信号端子)28を鋳込んだものである。図2に示すインパクト工具1Aにおいては、ターミナル部15Aのうち正極入力端子22と負極入力端子27の間に信号伝達用の他の端子(後述する図7で示す端子24~26)は設けられていない。これは、図2に示すインパクト工具1Aが信号伝達用の他の端子を用いた制御を必要としないためである。ターミナル部15Aは、合成樹脂の成形によって複数の金属端子(ここでは端子22、27、28)を鋳込むことにより製造され、装着方向(前後方向)の突き当て面となる垂直面15aと、水平面15bを有する。ターミナル部15Aは、左右分割式のハウジング2に開口部分(ターミナル保持部)に挟持されるようにして固定される。ターミナル部15Aの水平面15bは電池パック101の装着時に、電池パック101側の上段面115と近接、対向する面となる。水平面15bの前方側には、電池パック101の隆起部132と当接する湾曲部12が形成され、湾曲部12の左右中央付近には突起部14が形成される。突起部14は左右方向に2分割で形成される電気機器本体1(低電圧機器本体1A)のハウジング2のネジ止め用のボスを兼ねると共に、電池パック101の装着方向への相対移動を制限するストッパの役目も果たす。
【0028】
電池パック101は、上ケース110と下ケース102からなるケースに、定格3.6Vのリチウムイオン電池セルを10本収容したものであり、5本の電池セルを直列接続したセルユニットを2組準備し、それらのセルユニットの出力を並列接続とすることで定格18Vの直流を出力する。上ケース110は、下段面111と、下段面111よりも上方に位置する上段面115と、下段面111と上段面115との間に位置する段差部114が形成される。電池パック101のスロット群配置領域120には、前方の段差部114から上段面115にて後方側に延びる複数のスロット121~128が形成される。電池パック101の上段面115の側面には、2本のレール部138a、138bが形成される。レール部138a、138bは、長手方向が電池パック101の装着方向と平行になる溝を含んで形成される。レール部138a、138bの溝部分は、前方側端部が開放端となり、後方側端部が隆起部132の前側壁面と接続された閉鎖端となる。レール部138a、138bにはラッチ機構が設けられる。ラッチ機構は、ラッチボタン141a、141bと、それらの押下に応じて内側に移動する掛止部142a(図では見えない)、142bを含んで構成される。電池パック101を電気機器本体1(低電圧機器本体1A)から取り外すときは、左右両側にあるラッチボタン141a、141bを押すことにより、爪状の係止部142a(図では見えない)、142bが内側に移動して係止状態が解除されるので、その状態で電池パック101を装着方向と反対側に移動させる。
【0029】
低電圧電池パック101のラッチボタン141a、141bに挟まれる中央付近には、隆起部132から下方向に窪むストッパ部131が形成される。ストッパ部131は、低電圧電池パック101を、電池パック装着部10に装着した際に、突起部14の突き当て面となるもので、電気機器本体1(低電圧機器本体1A)側の突起部14がストッパ部131に当接するまで挿入されると、電気機器本体1(低電圧機器本体1A)に配設された複数の端子(機器側端子)と低電圧電池パック101に配設された複数の接続端子(図7等にて後述)が接触して導通状態となる。
【0030】
低電圧電池パック101のストッパ部131の内側部分には、冷却風取入口たる複数のスリット134が設けられる。低電圧電池パック101が電気機器本体1に装着された状態では、スリット134が外部から視認できないように覆われて閉鎖状態になる。低電圧電池パック101を図示せぬ充電装置に連結して充電を行う際には、低電圧電池パック101の内部に冷却用の空気を強制的に流すための風窓としてスリット134が用いられる。低電圧電池パック101内に取り込まれた冷却風は下ケース102の前方壁に設けられた排気用の風窓たるスリット105から外部に排出される。なお、スリット134を排気用、スリット105を吸気用としても良い。
【0031】
図1にて示した電池パック101、201、301は、レール部138a、138bの形状が等しく、ラッチ機構の配置も同じで、複数のスロット121~128の配置が同じであるように形成される。つまり、電池パック101、201、301の装着機構部は互換性を有するように形成される。但し、高い電圧側の電池パックを低い電圧側の電気機器本体に誤って装着できないように、誤装着防止用の形状が一部変更される(詳細は図4図5にて後述する)。
【0032】
図3は低電圧電池パック101を別の角度から見た斜視図である。低電圧電池パック101の隆起部132の後ろ側は斜面133にて形成される。2本のレール部138a、138bは、前後方向に延びるように平行に形成される。レール部138a、138bに挟まれる上段面115にはスロット群配置領域120が配置され、スロット群配置領域120には8本のスロット121~128が形成される。スロット121~128は電池パック装着方向に所定の長さを有するように切り欠かれた部分であって、この切り欠かれた部分の内部には、電気機器本体1又は外部の充電装置(図示せず)の機器側端子と嵌合可能な複数の接続端子が配設される。スロット121~128には前方側から電気機器本体1側のターミナル部15A等を近接させることで、ターミナル部15A側の接続端子が挿入可能である。
【0033】
スロット121~128は、低電圧電池パック101の右側のレール部138aに近い側のスロット121が充電用正極端子(C+端子)の挿入口となり、スロット122が放電用正極端子(+端子)の挿入口となる。また、低電圧電池パック101の左側のレール部138bに近い側のスロット127が負極端子(-端子)の挿入口となる。正極端子と負極端子の間には、低電圧電池パック101と電気機器本体1や外部の充電装置(図示せず)への制御に用いる信号伝達用の複数の信号端子が配置され、ここでは信号端子用の4つのスロット123~126が電力端子群の間に設けられる。スロット123は予備の端子挿入口であり、本実施例では金属端子を設ける代わりに、合成樹脂の仕切り板47(図7で後述)が挿入される。
【0034】
スロット124は低電圧電池パック101の識別情報となる信号を電気機器本体又は充電装置に出力するためのT端子用の挿入口である。スロット125は外部の充電装置(図示せず)からの制御信号が入力されるためのV端子用の挿入口である。スロット126はセルに接触して設けられた図示しないサーミスタ(感温素子)による電池の温度情報を出力するためのLS端子用の挿入口である。負極端子(-端子)の挿入口となるスロット127の左側には、電池セル保護回路による異常停止信号を出力するLD端子用のスロット128が設けられる。
【0035】
下ケース102は、上面が開口された略直方体の形状であって、底面と、底面に対して鉛直方向に延びる前方壁と、後方壁と、右側側壁と、左側側壁により構成される。図2(B)においてラッチボタン141bの前方には、係止部142bがばねの作用によりレール部138b内で左方向に飛び出して、電気機器本体1(低電圧機器本体1A)のレール部11aに形成された図示しない凹部と係合することにより、低電圧電池パック101の低電圧機器本体1Aからの脱落が防止される。尚、右側のレール部138aにも同様の係止部142aが設けられる。
【0036】
図4は低/中電圧電池パック201の外観を示す斜視図である。低/中電圧電池パック201の外観は、表示部280が設けられた部分を除くと低電圧電池パック101とほぼ同一形状であり、上ケース210には複数のスロット(225、226等)が形成される。複数のスロットの左右幅、前後長さは図3で示した低電圧電池パック101と同サイズである。上ケース210と下ケース202からなるケースに電池セルを収容している。下ケース202の内部に収容する電池セルの合計本数は10本であるため、図3で示す低電圧電池パック101と同じ大きさの筐体で実現できる。図3の下ケース102と、図4の下ケース202の違いは、主にデザイン上の相違によるものである。低/中電圧電池パック201は、中電圧機器本体31だけでなく低電圧機器本体1にも装着できるように、レール部238a、238b、ラッチ、隆起部の形状、下段面211の形状は同じである。わずかな違いは、上段面215に上から下方向に窪む凹部216が形成され、さらに、接続端子群(図7で後述する261、262、267、271、272、277の電力端子群)を収容するために下から上方向にわずかに突出する凸部217a、217bが形成されることである。凹部216は、中電圧機器本体31のターミナル部45に形成される誤装着防止用の凸部48(後述する図8参照)と対応するように構成したものである。つまり、電気機器本体側に誤装着防止用の凸部48がある場合(ここでは中電圧機器本体31及び高電圧機器本体61)は、凹部216を持たない低電圧電池パック101には装着できないことになる。
【0037】
低/中電圧電池パック201の後方斜面には、表示部280が設けられる。表示部280には4つの表示窓281~284が設けられ、表示窓284の右側には押しボタン式のスイッチボタン285が設けられる。スイッチボタン285は、ユーザによって操作される操作部である。表示窓281~284の内側には図示しないLED(発光ダイオード)が配置され、表示窓281~284の内側から点灯される。表示部280の全体はラミネートフイルムによって覆われ、表示窓281~284は印刷されたラミネートフイルムの一部を透明又は半透明にして光が透過されるように構成される。スイッチボタン285は、ユーザによって操作されるボタンであって、スイッチボタン285が押されたら、低/中電圧電池パック201の電池残量に応じて表示窓281~284へ電池残量の表示が行われる。
【0038】
図5は中/高電圧電池パック301の外観を示す斜視図である。中/高電圧電池パック301の外観は、収容する電池セルの本数が、低/中電圧電池パック201に比べて倍(10本から20本)に増加しているため、上ケース310に延長部310aが形成され、下ケース302に延長部302aが形成される。延長部302a、310aを除いた部分の形状は、低/中電圧電池パック201と互換(ほぼ同一形状)である。上ケース310の後方側には表示部280が配置される。上ケース310の延長部310aよりも前方側は低/中電圧電池パック201と同一形状であるため、低/中電圧電池パック201と同じ番号の符号を付している。尚、中/高電圧電池パック301の上段面215に上から下方向に窪む凹部216の形状は、低/中電圧電池パック201と同じである。このように凹部216を共通形状にすると、低/中電圧電池パック201は高電圧機器本体61に装着することができることを意味する。尚、凹部216の形状を更に変更するか、又は、別の誤装着防止機構を設けることによって、低/中電圧電池パック201を高電圧機器本体61に物理的に装着できないように構成することも任意である。
【0039】
図6(A)は低/中電圧電池パック201の正極端子(262と272)及び負極端子(267と277)と、低電圧機器本体1の正極入力端子22及び負極入力端子27の接続回路図であり、(B)は 低/中電圧電池パック201の正極端子(262と272)及び負極端子(267と277)と、中電圧機器本体31の正極入力端子52及び負極入力端子57及びショートバー59との接続回路図である。低/中電圧電池パック201の電力出力用の正極端子は、上側正極端子262と下側正極端子272の2つにより構成される。また、低/中電圧電池パック201の負極端子は、上側負極端子267と下側負極端子277の2つにより構成される。上側正極端子262と下側正極端子272は、低/中電圧電池パック201がいずれの電気機器本体や充電装置等に装着されていない状態(非装着時)では、上側正極端子262と下側正極端子272は非接触状態、即ち導通していない状態にあり、上側負極端子267と下側負極端子277は非接触状態、即ち導通していない状態にある。
【0040】
低/中電圧電池パック201の内部には、電池セル245a~245eの5本が直列接続されて第1セルユニット245を形成し、電池セル246a~246eの5本が直列接続されて第2セルユニット246を形成する。第1セルユニット245の正極側出力(電池セル245aの正極)は上側正極端子262に接続され、負極側出力(電池セル245eの負極)は下側負極端子277に接続される。同様にして、第2セルユニット246の正極側出力(電池セル246aの正極)は下側正極端子272に接続され、負極側出力(電池セル246eの負極)は上側負極端子267に接続される。
【0041】
低電圧機器本体1は、図2にて示したように電池パック101、201との接続用に複数の出力端子群(機器側接続端子)が形成され、そこには正極入力端子22と負極入力端子27が含まれる。正極入力端子22は上下に離間するように配置された正極端子262及び272の爪部(262aと272a)の双方に接触可能なように、上下方向の有効長がHとなる金属製の平板にて製造される。同様に負極入力端子27は上下に離間するように配置された負極端子267及び277の爪部(267aと277a)の双方に接触可能なように、上下方向の有効長がHとなる金属製の平板にて製造される。低電圧機器本体1はこのような正極入力端子22と負極入力端子27を有することにより、図6(A)に示すように低電圧機器本体1に低/中電圧電池パック201が装着されると、低電圧機器本体1の正極入力端子22と負極入力端子27の間には、第1セルユニット245と第2セルユニット246が並列接続され、2つのセルユニットの並列接続した電圧、即ち、定格18Vの直流が出力されることになる。
【0042】
中電圧機器本体31は、低/中電圧電池パック201との接続用に複数の出力端子群(機器側接続端子)が形成され、そこには正極入力端子52と負極入力端子57とショートバー59が含まれる。本実施例の中/高電圧電池パック301に接続された場合に、正極入力端子52と負極入力端子57が、当該電池パック301の前記複数のセルユニットを並列接続する中電圧並列端子に該当する。正極入力端子52は上側正極端子262の爪部(262aと262b、但し262bは図では見えない)にだけ接触可能なように構成され、負極入力端子57は上側負極端子267の爪部(267aと267b、但し267bは図では見えない)にだけ接触可能なように構成される。図6(B)からわかるように、上下方向の有効長がHとなるターミナル部45(符号は後述の図8を参照)において、正極入力端子52と負極入力端子57の高さHは、図6(A)の高さHの半分未満である。中電圧機器本体31のショートバー59は、金属製の導電部材からなる短絡子であって、コの字形状に曲げられた部材である。ショートバー59の短絡用端子部59aの一端側に端子部59bが形成され、正極入力端子52の下側に配置される。ショートバー59の短絡用端子部59aの他端側に端子部59cが形成され、端子部59cは負極入力端子57の下側に配置される。端子部59bは下側正極端子272と嵌合し、端子部59cは下側負極端子277と嵌合する。つまり、ショートバー59の端子部59b、59cが本発明の複数のセルユニットを直列接続する中電圧直列端子となる。ショートバー59は、正極入力端子52や負極入力端子57等の他の機器側端子と共に合成樹脂製の基台部46(図8にて後述)に鋳込まれるようにして固定される。この際、ショートバー59は他の金属端子(52、54~58)とは接触しないため、電気的に絶縁状態にある。また、ショートバー59は、下側正極端子272と下側負極端子277を短絡させるに用いられるため、中電圧機器本体31の制御回路等への配線を行う必要はない。ショートバー59の端子部59bは下側正極端子272の爪部(272aと272b、但し272bは図では見えない)に嵌合し、端子部59cは下側負極端子277の爪部(277aと277b、但し277bは図では見えない)にだけ接触可能なように構成される。ここで、ショートバー59の端子部59b、59cの高さHは、図6(A)の高さHの半分未満である。つまり、中電圧機器本体31の正極端子部(52、59b)と負極端子部(57、59b)は、低電圧機器本体1の正極端子部(22)と負極端子部(27)の高さ方向の領域内に設けられる。このようにして、図6(B)に示すように中電圧機器本体31に低/中電圧電池パック201が装着されると、中電圧機器本体31の正極入力端子52と負極入力端子57の間には、第1セルユニット245と第2セルユニット246を直列接続した電圧、即ち、定格36Vの直流が出力されることになる。
【0043】
図7は、低電圧機器本体1におけるターミナル部15と、低/中電圧電池パック201の接続端子群260の接続状態を説明するための図である。低/中電圧電池パック201には回路基板250が含まれ、回路基板250には、電池パック201側の接続端子として上側正極端子261、262、T端子264、V端子265、LS端子266、上側負極端子267、LD端子268が固定される。これらの固定は、各接続端子の脚部が回路基板250を貫通して、回路基板250の裏側にて半田付けされる。回路基板250にはさらに、下側正極端子271、272(図では272は見えない)と、下側負極端子277が設けられる。
【0044】
ターミナル部15は、低電圧機器本体1に含まれるものであって、図2に示したターミナル部15では、全部の接続端子を図示していなかったが、図7(A)ではすべての接続端子を示している。ターミナル部15には、正極入力端子22、T端子24、V端子25、LS端子26、負極入力端子27、LD端子28が設けられ、これらの金属端子を合成樹脂製の基台16に鋳込んで製造される。基台部16の上側には、接続端子それぞれの端子部22c、24c~28cが露出する。尚、正極入力端子22とT端子24の間には、合成樹脂製の仕切り板17が形成される。仕切り板17は基台16と同一部材で製造するか、又は、別の不導体による板状部材を鋳込んだものである。
【0045】
図7(B)は、ターミナル部15と接続端子群260が嵌合した状態を示す図である。ここでは、金属製の端子同士の接続状態を示すために、ターミナル部15のうちの合成樹脂製の基台部16の図示を省略している。この状態における正極入力端子22と上側正極端子262及び下側正極端子272、負極入力端子27と上側負極端子267及び下側負極端子277との接続状態は、図6(A)で示す接触状態と同じである。このように、低/中電圧電池パック201に低電圧機器本体1を接続すると、図6(A)で示す接触状態となって低電圧機器本体1に定格18Vの電力が供給される。
【0046】
図8は中電圧機器本体31のターミナル部45と、低/中電圧電池パック201の接続端子群260の接続状態を説明するための図である。回路基板250とそこに設けられる接続端子群260の構造は図7と同一である。ターミナル部45は、図7で示した低電圧機器本体1と同様に正極入力端子52や負極入力端子57等の機器側端子が鋳込まれると共に、U字状に折り曲げた金属板(ショートバー59)をさらに基台部46に鋳込むことで構成できる。U字状に折り曲げた金属板の一方側の端部が短絡用端子部59bとなり、他方側の端部が短絡用端子部59cとなる。ショートバー59を配置することにより、正極入力端子52と負極入力端子57は上下方向の幅を図6(A)に示す入力端子(22、27)に比べて半分未満(H/2未満)の大きさになるように構成される。このような形状のターミナル部45に低/中電圧電池パック201を装着するだけで、図8(B)の状態となって、正極入力端子52と負極入力端子57に定格36Vの直流電力が供給される。このように中電圧機器本体31に短絡回路(59)を有するターミナル部45を設けることによって、2つの正極端子(262、272)と2つの負極端子(267、277)を有する本実施例の低/中電圧電池パック201を装着するだけで、第1セルユニット145と第2セルユニット146の直列接続回路を確立することができる。また、装着する中電圧機器本体31側のターミナル部45の形状で、低/中電圧電池パック201からの出力電圧が自動的に切り替えることが可能となる。
【0047】
ターミナル部45には、下方向に突出する凸部48が形成される。凸部48の左右幅、前後方向の長さは、低/中電圧電池パック201の凹部216の窪み部分の左右幅、前後長に対応する。凸部48は、ターミナル部45を有する中電圧機器本体31には適合しない電池パック(ここでは低電圧電池パック101)には装着できないようにする、いわば誤装着防止用の部位である。図4にて示したように低/中電圧電池パック201には、凸部48に対応する凹部216が形成されている。従って、凸部48が形成されている中電圧機器本体31には、凹部216を有する低/中電圧電池パック201(図4参照)と、凹部216を有する中/高電圧電池パック301(図5参照)が装着可能である。一方、凸部48が形成されていない低電圧電池パック101は、低/中電圧電池パック201には装着することができない。
【0048】
図8(B)は、ターミナル部45と接続端子群260が嵌合した状態を示す図である。ここでは、金属製の端子同士の接続状態を示すために、ターミナル部45のうちの合成樹脂製の基台部46の図示を省略している。この状態における正極入力端子52と上側正極端子262、下側正極端子272とショートバー59の短絡用端子部59b、負極入力端子57と上側負極端子267、下側負極端子277とショートバー59の短絡用端子部59cの接続状態は、図6(B)で示す接触状態と同じである。このように、低/中電圧電池パック201が中電圧機器本体31に装着されると中電圧機器本体31に定格36Vの電力が供給される。
【0049】
図9(A)は中/高電圧電池パック301の正極端子(362と372)及び負極端子(367と377)と、中電圧機器本体31の正極入力端子52、負極入力端子57及びショートバー59との接続回路図であり、(B)は中/高電圧電池パック301の正極端子(362と372)、負極端子(367と377)と、高電圧機器本体61の正極入力端子82、負極入力端子87、ショートバー89との接続回路図である。中/高電圧電池パック301の電力出力用の正極端子は、上側正極端子362と下側正極端子372の2つにより構成される。また、中/高電圧電池パック301の負極端子は、上側負極端子367と下側負極端子377の2つにより構成される。これらの端子の爪部(例えば362a、372a、367a、377a)は、低/中電圧電池パック201の電力端子(上側正極端子262、下側正極端子272、上側負極端子267、下側負極端子277)の爪部(例えば図8(A)に示す262a、262b、267a、277a)に比べて上下方向の高さが半分未満であり、電池パックの装着方向に細長い端子形状となっている。上側正極端子362と下側正極端子372は、中/高電圧電池パック301がいずれの電気機器本体充電装置等に装着されていない状態(非装着時)では、上側正極端子362と下側正極端子372は非接触状態にあり、上側負極端子367と下側負極端子377は非接触状態にある(詳細構造は図13を用いて後述する)
【0050】
中/高電圧電池パック301の内部には、10本の電池セルが直列接続されて第1セルユニット345を形成し、10本の電池セルが直列接続されて第2セルユニット346を形成する。それぞれのセルユニットの出力は定格36Vである。第1セルユニット345の正極側出力は下側正極端子372に接続され、負極側出力は上側負極端子367に接続される。下側正極端子372と上側負極端子367が、一対の第1の出力端子を構成する。同様にして、第2セルユニット346の正極側出力は上側正極端子362に接続され、負極側出力は下側負極端子377に接続される。上側正極端子362と下側負極端子377が一対の第の出力端子を構成する。
【0051】
図9(A)に示すように、中/高電圧電池パック301を中電圧機器本体31に装着すると、正極入力端子52が上側正極端子362と下側正極端子372に同時に嵌合し、負極入力端子57が上側負極端子367と下側負極端子377に同時に嵌合する。この際、ショートバー59は、いずれの電力端子(上側正極端子362、下側正極端子372、上側負極端子367、下側負極端子377)や信号端子(図10で後述する364~366、368)とも非接触状態にあり、電気的に浮いた状態を保つ。このように図9(A)の接続状態では、第1セルユニット345と第2セルユニット346の並列接続回路が形成されることになり、定格36Vの直流が出力されることになる。
【0052】
高電圧機器本体61は、電池パック201、301との接続用に複数の出力端子群(機器側接続端子)が形成され、そこには正極入力端子82と負極入力端子87とショートバー89が含まれる。正極入力端子82が第1の入力端子を構成し、負極入力端子87が第2の入力端子を構成する。正極入力端子82は上側正極端子362の爪部(362aと362b、但し362bは図では見えない)にだけ接触可能なように構成され、負極入力端子87は上側負極端子367の爪部(367aと367b、但し367bは図では見えない)にだけ接触可能なように構成される。図9(B)からわかるように、上下方向の有効長がHとなるターミナル部75(符号は後述の図11を参照)において、正極入力端子82と負極入力端子87の高さHは、図6(A)の高さHの1/4未満である。高電圧機器本体61のショートバー89は、金属製の導電部材からなる短絡子であって、コの字形状に曲げられた細長い部材である。ショートバー89の接続部89aの一端側に端子部89bが形成され、正極入力端子82の下側に配置される。ショートバー89の接続部89aの他端側に端子部89cが形成され、端子部89cは負極入力端子87の下側に配置される。端子部89bは下側正極端子372と嵌合し、端子部89cは下側負極端子377と嵌合する。つまり、ショートバー89の端子部89b、89cが本発明の複数のセルユニットを直列接続する高電圧直列端子となる。
【0053】
ショートバー89は、正極入力端子82や負極入力端子87等の他の機器側端子と共に合成樹脂製の基台部76(図11にて後述)に鋳込まれるようにして固定される。ショートバー89は、下側正極端子372と下側負極端子377を短絡させるために用いられるため、高電圧機器本体61の制御回路等への配線を行う必要はない。ショートバー89の端子部89bは下側正極端子372の爪部(372aと372b、但し372bは図では見えない)に嵌合し、端子部89cは下側負極端子377の爪部(377aと377b、但し377bは図では見えない)にだけ接触可能なように構成される。ここで、ショートバー89の端子部89b、89cの高さは、図6(A)の高さHの1/4未満である。つまり、高電圧機器本体61の正極端子部(82、89b)と負極端子部(87、89c)は、低電圧機器本体1の正極端子部(22)と負極端子部(27)の高さ方向の半分の範囲内に、それぞれ2つの接続端子(362と372、367と377)が設けられる。このようにして、図9(B)に示すように高電圧機器本体61に中/高電圧電池パック301が装着されると、高電圧機器本体61の正極入力端子82と負極入力端子87の間には、第1セルユニット345と第2セルユニット346を直列接続した電圧、即ち、定格72Vの直流が出力されることになる。
【0054】
図10は、中電圧機器本体31のターミナル部45と、中/高電圧電池パック301の接続端子群360の接続状態を説明するための図である。中/高電圧電池パック301には回路基板350が含まれ、回路基板350には、電池パック301側の接続端子として上側正極端子361、362、下側正極端子371、372、T端子364、V端子365、LS端子366、上側負極端子367、下側負極端子377、LD端子368が固定される。信号伝達用の端子群、即ち、T端子364、V端子365、LS端子366、LD端子368は、図7(A)で示した低/中電圧電池パック201のT端子264、V端子265、LS端子266、LD端子268と同じ金属部品を用いると良い。これらの電力端子や信号端子の固定は、各端子の脚部を回路基板350の穴部を貫通させて、回路基板350の裏側にて半田付けする。なお、上側正極端子361及び下側正極端子371は充電器と接続される充電端子であり、中電圧機器本体31の接続端子には接続されない。
【0055】
ターミナル部45には、正極入力端子52、T端子54、V端子55、LS端子56、負極入力端子57、LD端子58が設けられ、これらの金属端子を合成樹脂製の基台部46に鋳込んで製造される。基台部46の上側には各端子部品の一部である接続部52c、54c、55c、56c、57c、58cが露出する。例えば、正極入力端子52は接続部52cと連結されており、負極入力端子57は端子部57cと接続されている。正極入力端子52とT端子54の間には、合成樹脂製の仕切り板47が形成される。仕切り板47は基台部46と同一部材で製造するか、又は、別の不導体による板状部材を鋳込んで製造する。ターミナル部45には、さらに誤装着防止用の凸部48が形成される。
【0056】
図10(B)は、ターミナル部45と接続端子群360が嵌合した状態を示す斜視図である。中/高電圧電池パック301は、回路基板350から上方に延び複数のセルユニットの一つの正極及び負極に接続される一対の第1の出力端子(下側正極端子372と上側負極端子367)と、回路基板350から上方に延び複数のセルユニットの別の一つの正極及び負極に接続される一対の第2の出力端子(上側正極端子362と下側負極端子377)を有する。一対の第1の出力端子及び一対の第2の出力端子は図10(A)にて示すように、それぞれ、中電圧機器本体31の入力端子(正極入力端子52、負極入力端子57)と接続される接続部と、接続部と基板との間であって中電圧直列端子を回避する回避部と、を有する。ここで理解できるように、ショートバー59の短絡用端子部59bは、第1及び第2の出力端子の端子部分が存在しない回避部内に位置し、上側正極端子362、下側正極端子372のいずれにも接触しない状態にある。図では見えないが、ショートバー59の短絡用端子部59cも同様に、上側負極端子367、下側負極端子377のいずれにも接触しない絶縁状態にある。従って、この接続状態では、正極入力端子52と負極入力端子57の間に、第1セルユニット345と第2セルユニット346を並列接続した電圧、即ち、定格36Vの直流が出力されることになる。このように低/中電圧電池パック201に替えて、中/高電圧電池パック301を中電圧機器本体31に装着することが可能である。尚、図10(B)では示していないが、ショートバー59の短絡用端子部59bと下側正極端子372とが接触しないように、合成樹脂製のカバーを下側正極端子372の下側半分に装着するか、又は、下側正極端子372の下側付近にシリコン等の樹脂を塗布するようにすると良い。同様にして、下側正極端子371、下側負極端子377の下側半分も、合成樹脂のカバー等の何らかの絶縁手段を設けることによって、ショートバー59が下側正極端子372と下側負極端子377に導通できないようにすると良い。すなわち、ショートバー59が正極端子と負極端子に接触しないよう、それらの間に絶縁手段を設けると良い。
【0057】
図11(A)は高電圧機器本体61のターミナル部75と、中/高電圧電池パック301の接続端子群360を示す図であり、接続端子群360等の構成は、図10で示した構成と同一である。ターミナル部75は、図10で示した中電圧機器本体31の正極入力端子52や負極入力端子57に比べて、上下方向の高さがきわめて小さく構成された正極入力端子82と負極入力端子87とされる。また、正極入力端子82と負極入力端子87の下側には、U字状に折り曲げた金属板(ショートバー89)が設けられ、その短絡用端子部89bが正極入力端子82の下側に、短絡用端子部89cが負極入力端子87の下側に設けられる。このように正極入力端子82、負極入力端子87、ショートバー89はいずれも第1及び第2の出力端子の腕部(362a、362b等)が位置する接続部に位置することになる。図10のショートバー59の短絡用端子部59b、59cが位置していた部分は回避部となっており、金属端子は設けられず、ターミナル部75の該当部分は樹脂で塞がれている形状である。
【0058】
図11(B)は、ターミナル部45の樹脂部分の図示を省略して、基台部76に鋳込まれる各接続端子(82、84~88)とショートバー89の形状を示す図である。信号伝達用の端子であるT端子84、V端子85、LS端子86、LD端子88は、図10で示したT端子54、V端子55、LS端子56、LD端子58の形状と同一である。基台部76の上側には、T端子84、V端子85、LS端子86、LD端子88と連通する接続部84c、85c、86c、88cが形成される。また、正極入力端子82、負極入力端子87と連結部82b、87b(図13(B),(C)参照、87bは見えない)を介して連通する接続部82c、87cも基台部76の上側に形成される。ショートバー89は、U字状に曲げられた金属片であり、高電圧機器本体61側の電気回路への接続は不要であるため、接続部84cのような端子は形成されない。高電圧機器本体61に中/高電圧電池パック301が装着されると正極入力端子82は上側正極端子362の腕部362aと362bの間に嵌合し、負極入力端子87は上側負極端子367の腕部367aと367bの間に嵌合する。同時に、ショートバー89の短絡用端子部89bは下側正極端子372の腕部372aと372b(符号は図13等参照)の間に嵌合し、短絡用端子部89cは下側負極端子377の腕部377aと377b(符号は図13参照)の間に嵌合する。
【0059】
図12はターミナル部75と接続端子群360が嵌合した状態を示す図である。この状態における正極入力端子82と上側正極端子362、下側正極端子372とショートバー9の短絡用端子部89b、負極入力端子87と上側負極端子367、下側負極端子377とショートバー89の短絡用端子部89cの接続状態は、図9(B)で示す接触状態と同じである。このように、中/高電圧電池パック301が高電圧機器本体61に装着されると、図9(B)で示す接触状態となって高電圧機器本体61に定格72Vの電力が供給される。
【0060】
図13図12のターミナル部75と接続端子群360の別の方向から見た斜視図である(嵌合時)。ターミナル部75の基台部76(図12参照)の図示は省略している。図13(A)において、ターミナル部75の正極入力端子82と負極入力端子87は上下方向の幅(樹脂部分たる基台部76(図12参照)に覆われる部分を除く)が小さく、その高さが低電圧機器本体1の入力端子22、27に比べて1/4未満であり、中電圧機器本体31の入力端子52、57に比べて半分未満である。正極入力端子82と負極入力端子87の下には、略U字状に折り曲げたショートバー89が設けられる。ショートバー89の形状は上下方向の高さが小さいが、左右方向の幅や前後方向の長さは中電圧機器本体31に含まれるショートバー59(図10(B)参照)と同じである。ショートバー89の上下方向の大きさはショートバー59(図10(B)参照)に比べて半分未満である。ショートバー89の役割は中電圧機器本体31に含まれるショートバー59と同じであり、下側正極端子372と下側負極端子377とに嵌合することによりこれらを電気的に短絡する。
【0061】
図13(B)は、正極入力端子82とショートバー89の端子部89bの部分拡大図である。正極入力端子82は連結部82bを介して接続部82cと連結される。正極入力端子82の下側におけるショートバー89の上下左右方向に延在する鉛直断面形状は四角形で有り、正極入力端子82の端子部82aの底面と、ショートバー89の短絡用端子部89bの上面は隙間を隔てた平行な面となる。図13(B)では正極入力端子82部分を抜き出して図示しているが、ターミナル部75の負極側の形状は正極側と左右対称であるだけで、負極入力端子87の端子部87c、ショートバー89の端子部89cの形状は正極入力端子82、端子部89bの形状と同じである。
【0062】
図13(C)は図13(A)の正極端子362、372部分を右側から見た図である。上側正極端子362は、上端付近の左右側面から前方側に延在する細長い2つの腕部362a、362b(図では見えない)を有し、下側正極端子372は、その上端付近の左右側面から前方側に延在する細長い2つの腕部372a、372b(図では見えない)を有する。腕部362a、362bの上下位置は同じであり、腕部372a、372bの上下位置は同じであり、腕部362aと腕部372aは上下方向に一定の距離を隔てることにより電池パックや外部充電器との非接続時には、電気的に絶縁状態にある。図では見えない腕部362bと腕部372bも電池パックや外部充電器との非接続時には、電気的に絶縁状態にある。図13(C)では、正極入力端子82が腕部362a、362bの間に嵌合し、ショートバー89の端子部89bが腕部372a、372bの間に嵌合する。この際、上側正極端子362と下側正極端子372は所定の隙間を隔てるため電気的には導通していない。負極端子側についても同様に上側負極端子367と下側負極端子377は導通していない。
【0063】
図14(A)は電気機器本体側のターミナル部15、45、75の形状を示す図であり、(B)はターミナル部15、45、75での電力端子(正極入力端子と負極入力端子)の配置状況をまとめた比較表である。尚、図14ではこれらの関係を説明するために模式的に図示したものであるので、形状や寸法は厳密ではない。複数(複数種類)の電池パックを複数の電気機器本体のいずれかに装着して稼働させる電気機器システムを実現するに当たって、18V(低電圧機器本体1)のターミナル部15の形状をベースにして、ターミナル部45、75の形状を設定した。ターミナル部15、45、75の基台部分16、46、76の外形寸法はほぼ同一で有り互換性がある(但し、誤装着防止用の凸部48、78の有無は異なる)。
【0064】
ターミナル部15における正極入力端子22の露出部分の高さをHとすると、36V用のターミナル部45では、上下に2分割して、それぞれの分割部分に2つの端子(正極入力端子52とショートバー59の端子部59b)を配置した。72V用のターミナル部75では、上側半分の領域をさらに2分割して、Hの1/4の高さ部分に2つの端子(正極入力端子82とショートバー89の端子部89b)を配置した。このようにベースとなる電極部分を分割して利用することにより、低/中電圧電池パック201では、低電圧機器本体1と中電圧機器本体31の双方に装着可能に構成でき、中/高電圧電池パック301では、中電圧機器本体31と高電圧機器本体61の双方に装着可能に構成できる。すなわち、電池パックの端子が挿入されるスロット形状は従来(既存)のまま維持しつつ内部の端子構造を変更することで、具体的には、各セルユニットの正極に接続される正極端子362、372を近接させて同じスロットに配置すると共に、各セルユニットの負極に接続される負極端子367、377を近接させて同じスロットに配置することで、中電圧機器本体31と高電圧機器本体61の両方に接続可能とした中/高電圧電池パック301を提供することができる。しかも、中電圧機器本体31を見ると、低/中電圧電池パック201と中/高電圧電池パック301のいずれの電池パックも装着可能となる。本実施例では、複数の電圧切り替え式の低/中電圧電池パック201と中/高電圧電池パック301のカバーする範囲(装着できる機器本体)を重複させる(双方とも36V出力が可能)ことによって、高電圧機器本体61の採用を容易にし、中/高電圧電池パック301も複数電圧間で効率的に使用でき、使い勝手の良い電気機器システムを実現できた。
【0065】
図14(B)において示すように、18V用(低電圧用)のターミナル部15を分割して使用したのが36V用のターミナル部45、36V用のターミナル部45の片側半分(上側半分)をさらに分割して使用したのが72V用のターミナル部75である。この考えに基づくと、72V用のターミナル部75の最上部のH/4をさらに2分割して、H/8ずつに2分割するようにすれば、72Vと144Vの切り替え式の電池パックも理論上は実現可能である。しかしながら、実際には端子部の上下方向の幅が小さく弊害も考慮する必要があるので、本実施例の電気機器システムの考えに沿って電池パック及び電気機器本体の製品化を図ると良い。
【0066】
図14の72V用の電気機器本体(高電圧機器本体61)では、36V用のターミナル部45の高さ方向の上側半分を上下方向に分割して利用するように構成した。しかしながら、別の案として、ターミナル部45の高さ方向の上側半分を前後方向に分割して利用することも可能である。この考えに基づいて実現した電気機器本体のターミナル部475と、中/高電圧電池パック501を図15図19を用いて説明する。
【実施例2】
【0067】
図15(A)は、本発明の第2の実施例に係る中/高電圧電池パック501と中電圧機器本体31との接続回路図である。中/高電圧電池パック501は、第1セルユニット545と第2セルユニット546に接続される2つの正極端子(562、572)と2つの負極端子(567、577)を有するが、2つの端子の腕部を上下ではなく、前後に並べたことに特徴がある。即ち、正極端子として、後側正極端子562と前側正極端子572で構成し、負極端子として、後側負極端子567と前側負極端子577で構成した。一方、中電圧機器本体31は図10(A)にて説明したターミナル部45と同じ形状である。第1セルユニット545の正極は前側正極端子572に接続され、第1セルユニット545の負極は後側負極端子567に接続される。また、第2セルユニット546の正極は後側正極端子562に接続され、第2セルユニット546の負極は前側負極端子577に接続される。
【0068】
前側正極端子572は左右2つの腕部572aと572bを有し、後側正極端子562は左右2つの腕部562aと562bを有する。前側負極端子577は左右2つの腕部577aと577bを有し、後側負極端子567は左右2つの腕部567aと567bを有する。これらの端子(562、572、567、577)は共通の部品で構成できる。前側正極端子572を例に端子形状を説明すると、回路基板550(図16参照)近くの部分の後辺が左右間で接続され、上面視で前方側が開口する略U字状に形成され、略U字状の部分の左右両側から上方に延在する腕部572a、572bが形成される。略U字状の部分から下方向には、脚部572d、572eが形成される。脚部572d、572eは、回路基板550の取付穴を裏側まで貫通して、回路基板550の裏側にて半田付けにて固定される。
【0069】
腕部572a、572bは、回路基板近くでは間隔(左右方向の間隔)が広く、上側に行くにつれて間隔が狭まるように構成される。そして、電気機器本体側の接続端子との接触点(左右の腕部572a、572bのうち一番間隔が狭い部分)は、中電圧機器本体31のターミナル部45のうち上側に位置する正極入力端子52と同じ位置となるようにした。また、中電圧機器本体31のショートバー59は、左右の腕部572a、572bの間に位置するが、左右の腕部572a、572bとは間隔を有しており、物理的及び電気的に非接触状態にある。後側正極端子562と正極入力端子52との接触状態も、前側正極端子572と正極入力端子52との接触状態と同じである。従って、正極入力端子52を介して、前側正極端子572と後側正極端子562が短絡される。同様に、負極入力端子57を介して、前側負極端子577と後側負極端子567が短絡される。
【0070】
以上の構成により、中電圧機器本体31に中/高電圧電池パック501が装着されると、中電圧機器本体31の正極入力端子52と負極入力端子57の間には、第1セルユニット545と第2セルユニット546を並列接続した電圧、即ち、定格36Vの直流が出力されることになる。
【0071】
図15(B)は中/高電圧電池パック501と高電圧機器本体461との接続回路図である。第2の実施例では高電圧機器本体461のターミナル部475の形状は、正極入力端子482とショートバー489の端子部489bが前後方向に並ぶように配置され、負極入力端子487とショートバー489の端子部489cが前後方向に並ぶように配置される。正極入力端子482と負極入力端子487はターミナル部475の基台部476(後述する図18参照)の水平部476a(後述する図18参照)の上側から下側に貫通するように配置される。ショートバー489は、接続部489aが水平方向に延在するように配置され、ターミナル部475の基台部476(後述する図18参照)の水平部476a内に鋳込まれる。このように高電圧機器本体461のターミナル部475を第2の実施例の中/高電圧電池パック501の電力端子群(562、567、572、577)の形状に合わせて、第1セルユニット545及び第2セルユニット546の並列接続電圧(36V)と直列接続電圧(72)が出力されるので、中/高電圧の自動切り替えを実現した使い勝手の良い電気機器システムを実現できた。
【0072】
図16は中電圧機器本体31のターミナル部45と、第2の実施例に係る中/高電圧電池パック501の接続端子群560の接続状態を説明するための図である。中/高電圧電池パック501には回路基板550が含まれ、回路基板550には、中/高電圧電池パック501側の接続端子として後側正極端子561、562、前側正極端子571、572、T端子364、V端子365、LS端子366、後側負極端子567、前側負極端子577、LD端子368が固定される。信号伝達用の端子群、即ち、T端子364、V端子365、LS端子366、LD端子368は、図7(A)で示した低/中電圧電池パック201と同じ構成である。これらの電力端子や信号端子の固定は、各端子の脚部を回路基板550の穴部を貫通させて、回路基板550の裏側にて半田付けする。
【0073】
図16(B)は、ターミナル部45と接続端子群560が嵌合した状態を示す斜視図である。信号用のT端子364、V端子365、LS端子366、LD端子368とT端子54、V端子55、LS端子56、LD端子58の接続状態は、第1の実施例の低/中電圧電池パック201と同じ構成である。後側正極端子562と前側正極端子572は同時に正極入力端子52と嵌合する。同様に、後側負極端子567と前側負極端子577は同時に負極入力端子57と嵌合する。ショートバー59の短絡用端子部59bは、後側正極端子562、前側正極端子572のいずれにも接触しない浮いた状態にある。図では見えないが、ショートバー59の短絡用端子部59cも同様に、後側負極端子567、前側負極端子577のいずれにも接触しない浮いた状態(非接触又は絶縁状態)にある。従って、図16(B)の装着状態では、正極入力端子52と負極入力端子57の間には、第1セルユニット545と第2セルユニット546を並列接続した電圧、即ち、定格36Vの直流が出力される。第2の実施例でも第1の実施例と同様に、低/中電圧電池パック201に替えて、中/高電圧電池パック501を中電圧機器本体31に装着することが可能となる。尚、図16(B)では示していないが、ショートバー59の短絡用端子部59bが、正極端子562、572に接触しないように合成樹脂製のカバーを前側正極端子572の下側部分と、後側正極端子562の下側部分に装着しても良い。同様にして、前側負極端子577、後側負極端子567の下側半分も、合成樹脂のカバー等の何らかの絶縁手段を設けることによって、ショートバー59が前側負極端子577と後側負極端子567に導通できないようにすると良い。
【0074】
図17は中電圧機器本体31のターミナル部45と、第2の実施例に係る中/高電圧電池パック501の接続端子群560を示す図であって、(A)は斜視図であり、(B)は後方側から見た背面図である。ショートバー59の短絡用端子部59bは、正極端子562、572の左右の腕部562aと562bとの間、腕部572aと572bとの間に、それぞれ隙間を隔てるようにして(接触しないようにして)収容(位置)される。負極端子(567、577)側においても同様に、ショートバー59の短絡用端子部59cは、負極端子567、577の左右の腕部567aと567bとの間、腕部577aと577bとの間に、それぞれ隙間を隔てるようにして(接触しないようにして)収容(位置)される。ショートバー59の短絡用端子部59bの上側では、正極入力端子52が腕部562aと562bと接触し、且つ腕部572aと572bと接触する。これらの接触によって正極入力端子52には第1セルユニット545と第2セルユニット546(共に図15参照)の正極端子同士が短絡する。同様に、ショートバー59の短絡用端子部59cの上側では、負極入力端子57が腕部567aと567bと接触し、且つ腕部577aと577bと接触する。これらの接触によって負極入力端子57には第1セルユニット545と第2セルユニット546(共に図15参照)の負極端子同士が短絡する。信号端子のうち、T端子364、V端子365、LS端子366は、上下方向に他の端子よりも低く形成されるので、ターミナル部45が装着される際の凸部48が位置するスペースが確保される。
【0075】
図17(B)において、後側正極端子561、562のそれぞれの腕部561a、561b、562a、562bの形状が理解できるであろう。上面視でU字状に折り曲げられたベース部561c、562cの左右両側面から上側に延在するようにして腕部561a、561b、562a、562bが形成される。腕部561a、561b、562a、562bは、ベース部561c、562cの接続部より上方に行くにつれて接近するように絞り込まれ、上端近くで左右側に広がるように屈折される。この屈折部分が電気機器本体側の接続端子との接触点となる。
【0076】
図18は高電圧機器本体461のターミナル部475と、第2の実施例に係る中/高電圧電池パック501の接続端子群560の構成を示す斜視図で有り、(A)は中/高電圧電池パック501を装着する直前の状態(ターミナル部475が嵌合する前の状態)を示す図である。ターミナル部475の基台部476の上壁から下方向に正極入力端子482と、ショートバー489の端子部489bが配置される。負極端子側にも同様に負極入力端子487と、ショートバー489の端子部489c(図では見えない)が配置される。
【0077】
図18(B)は高電圧機器本体461のターミナル部475の端子群と、中/高電圧電池パック501の接続端子群560との嵌合状態を示す図である。ターミナル部475の正極入力端子482は後側正極端子562と嵌合し、ターミナル部475の負極入力端子487は後側負極端子567と嵌合する。ショートバー489の端子部489bは前側正極端子572と嵌合し、ショートバー489の端子部489cは前側負極端子577と嵌合する。このような接続状態によって、高電圧機器本体461の正極入力端子482と負極入力端子487の間には、第1セルユニット545と第2セルユニット546を直列接続した電圧、即ち、定格72Vの直流が出力される。
【0078】
図19は高電圧機器本体461のターミナル部475と、第2の実施例に係る中/高電圧電池パック501の接続端子群560が嵌合した状態を示す図である(その2)。ターミナル部475には誤装着防止用の凸部478が形成される。以上の通り、中/高電圧電池パック501の端子部(正極端子562、572、負極端子567、577)を回路基板550から上方向に延びるように構成した。そして、中電圧機器本体31が接続された場合、ショートバー59の端子部59b、59cが正極端子562、572、負極端子567、577に接触しないよう、ショートバー59と対応する当該端子の一対の腕部(例えば562a、562b)の下側(回路基板550側)の左右方向の幅をショートバー59の端子部59b、59cの厚みより大きくし、端子部59b、59cと腕部との間に隙間が生じるよう、端子部を形成した。加えて、端子部の先端側における一対の腕部の左右方向の幅を電気機器本体側の端子部の厚みより小さくした。この構成により、中/高電圧電池パック501に中電圧機器本体31が接続された場合には、両者の正極端子と負極端子が確実に嵌合し、ショートバー59は中/高電圧電池パック501のいずれの端子にも嵌合することがないため、第1セルユニット545、第2セルユニット546を正極端子562、572及び負極端子567、577を介して並列接続することができる。一方、中/高電圧電池パック501に高電圧機器本体61が接続された場合には、高電圧機器本体61の正極入力端子482、負極入力端子487、ショートバー489はそれぞれ、中/高電圧電池パック501の後側正極端子562、後側負極端子567、前側正極端子572及び前側負極端子577に確実ン嵌合する。高電圧機器本体61の正極入力端子482、負極入力端子487、582ショートバー489はそれぞれ、ターミナル部475の基台部476から下方に向かって延びているため、中/高電圧電池パック501の端子部の腕部間の隙間に影響されず、腕部の先端側で確実に嵌合することができる。
【0079】
図20は電気機器本体側のターミナル部15、45、475の形状を示す模式図であり、これらの大きさ関係を説明するための図である。ターミナル部475の基台部分476の外形寸法は、長さL、高さHであり互換性がある(但し、誤装着防止用の凸部48、478の有無は異なる)。ターミナル部15における正極入力端子22の露出部分の高さをHとすると、36V用のターミナル部45では、上下に2分割して、それぞれの分割部分に2つの端子(正極入力端子52とショートバー59の端子部59b)を配置した。72V用のターミナル部475では、上側半分の領域をさらに前後に2分割して、前方の1/2部分と後方の1/2部分に2つの端子(正極入力端子482とショートバー489の端子部489b)を配置した。このようにベースとなる36V用(中電圧機器本体31)のターミナル部45の電極部分を分割して利用することにより、中/高電圧電池パック301と中/高電圧電池パック501のいずれの電池パックも装着可能とした。
【0080】
第2の実施例の中/高電圧電池パック501においても、第1の実施例の中/高電圧電池パック301と同様に中電圧機器本体31と高電圧機器本体461のいずれかに装着するだけで、適切な出力電圧に切り替えることができる。従って、中電圧機器本体に加えて高電圧機器本体の普及を促進する電気機器システムを提供することができる。
【実施例3】
【0081】
図21は本発明の第3の実施例に係る電気機器システムの全体図である。低電圧電池パック101は、実線矢印91に示すように低電圧機器本体1に装着可能(図中の丸記号)であるが、点線矢印96、98に示すように中電圧機器本体31と高電圧機器本体601には装着できない(図中のバツ記号)。低/中電圧電池パック201は、実線矢印92、93に示すように低電圧機器本体1と中電圧機器本体31に装着可能であるが、点線矢印97で示すように高電圧機器本体601には装着できない。電池パック701は三電圧対応の電池パック(以下、「三電圧電池パック」と称する)であり、実線矢印792~794のように低電圧機器本体1、中電圧機器本体31、高電圧機器本体601のいずれに対しても装着可能である。三電圧電池パック701は、装着された電気機器本体(1、31、601)に対応する電圧、即ち、18V,36V、72Vの何れかを自動的に選択して出力する。第3の実施例における高電圧機器本体601は、図1で示した高電圧機器本体61に比べてターミナル部615(後述の図27図28参照)の形状が異なる。尚、図21では電池パックとして三電圧電池パック701の一種類だけを図示しているが、図15にて示す中/高電圧電池パック01は、低電圧機器本体1、中電圧機器本体31には使用可能であるが、接続端子部の形状の違いから高電圧機器本体601には装着できない。
【0082】
三電圧電池パック701の外観は、図5に示す中/高電圧電池パック301と同様であって、特に、三電圧電池パック701に形成される電気機器本体(1、31、601)に装着するためのレール部238a、238b(図5参照)と、スロット群配置領域220(図5参照)のスロットの大きさ、電気機器本体(1、31、601)側との装着状態を維持又は解除するためのラッチ機構は互換性がある。
【0083】
三電圧電池パック701のケース内には、合計20本の電池セルを収容する。使用する電池セルの種類をリチウムイオン電池セル(定格3.6V)とする場合、72Vの電圧を得るためには、電池セルを20本直列に接続する必要がある。また、36Vの電圧を得るためには、電池セル10本を直列に接続し、それら2組の直列接続をさらに並列に接続する。また、18Vの電圧を得るためには、電池セル5本ずつを直列に接続し、4組の直列接続をすべて並列に接続する。
【0084】
三電圧電池パック701は、電気機器本体(1、31、601)から取り外した後に図示しない外部充電器を用いて充電が可能である。ここでは、18V用充電器を準備すれば三電圧電池パック701が可能である。また、36V用の充電器や72V用の充電器であっても三電圧電池パック701の充電が可能である。尚、図21に示す電気機器システムでは、低電圧、中電圧、高電圧の組み合わせを、18V、36V、72Vにて構成したが、本発明はこれらの電圧の組み合わせだけに限られず、低電圧を18V以外のnボルト(但し、n>0)として、中電圧を低電圧の2倍(2nボルト)とし、高電圧を低電圧の4倍(4nボルト)としても良い。
【0085】
図22図21の三電圧電池パック701の接続端子群を示す図であり、(A)は回路基板730と接続端子群740全体の斜視図であり、(B)は大型端子部品721の斜視図であり、(C)は小型端子部品726の斜視図である。三電圧電池パック701は、リチウムイオン電池セル5本を一つのセルユニットとし、各セルユニットの出力を4つの正極端子745~748と4つの負極端子761~764に各々接続する(詳細は図23にて説明する)。741~744(前から741、742、743、744の順で配置。745~748、761~764も同様)は、充電用の正極端子(C+端子)であって、正極端子741は図示しないヒューズを介して正極端子745に接続され、同様にして正極端子742~744は図示しないヒューズを介して正極端子746~748にそれぞれ接続される。
【0086】
正極端子(741~748)と負極端子(761~764)は、図15図17で示した第2の実施例の正極端子組と負極端子組の数を、2倍に増やしたものである。これら正極端子(741~748)と負極端子(761~764)に用いる部品(接続端子片)として、(B)に示す大型端子部品721と、(C)に示す小型端子部品726の2種類を準備する。そして、図22(A)に示すように回路基板730の前方から後方にかけて小型端子部品726、大型端子部品721、小型端子部品726、大型端子部品721を交互に配置することで、充電用の正極端子(741~744)、放電用の正極端子(745~748)、負極端子(761~764)を構成する。このように正負の端子群を4分割とし、それぞれの端子に18Vのセルユニットの正極又は負極を接続するようにした。
【0087】
図22の回路基板730の上側を覆う上ケース(図示せず)は、図5で示した電池パック301の上ケース310と互換形状であって、左右方向に並ぶ8本のスロットの間隔や形状が同じである。充電用の正極端子(741~744)は、図5で示したスロット221と同形状のスロット(図示せず)の内側に配置される。また、放電用の正極端子(745~748)は、図5で示したスロット222と同形状のスロット(図示せず)の内側に配置される。また、負極端子(761~764)は、図5で示したスロット227と同形状のスロット(図示せず)の内側に配置される。なお、図5で示したスロット222、227は、上下方向で二分割するよう分割壁を設けても良い。電池パック301と中電圧機器本体31とを接続した場合、図9(A)に示すように、スロットの上段側(第1スロット)には、電源端子となる正極入力端子52、負極入力端子57が挿入され、スロットの下段側(第2スロット)には、ショートバー59の端子部59b、59cが挿入される。一方、電池パック301と高電圧機器本体61とを接続した場合、図9(B)に示すように、スロットの上段側には、電源端子となる正極入力端子81、負極入力端子87が挿入されると共に、ショートバー89の端子部89b、89cが挿入され、スロットの下段側には、高電圧機器本体61のいずれの端子も挿入されない。このように、電源端子が挿入されるスロットを分割する分割壁を電池パック301に設ければ、スロットの内部に配置された端子同士の不意な接触を抑制することができる。なお、分割壁は電池パック301のハウジングと一体でも別体でも良い。
【0088】
回路基板730の正極端子群(745~748)と負極端子群(761~764)の間には、3つの信号端子(754~756)が設けられる。また、負極端子群(761~764)の左側には、1つの信号端子(758)が設けられる。3つの信号端子はT端子754、V端子755、LS端子756であり、それらの形状及び機能は、図7図8で示したT端子264、V端子265、LS端子266と同じである。また、負極端子群(761~764)の左側の信号端子はLD端子758であり、その形状及び機能は、図7図8で示したLD端子268と同じである。
【0089】
図22(B)は大型端子部品721を示す図である。大型端子部品721は、図23で示す正極端子742、744、746、748と、負極端子762、764として用いられる部品である。大型端子部品721は金属の一体品であり、ここでは金属板のプレス加工によって製造される。大型端子部品721は主に3つの部位、即ち、腕部721a、721bと、基台部721cと、脚部721d、721eである。接続端子片として重要なのは腕部721a、721bとしての形状であり、基台部721cとの接続部では、間隔d2であるが、上方に行くにつれて左右方向の腕部721a、721bの間隔が狭まり、最接近点ではd4となるように近接する(ここで、d4<d2)。また、最接近点を越えたら上側にいくにつれて左右の腕部721a、721bの間隔が広がりd5となる(d4<d5<d2)。脚部721d、721eの間隔d1と、基台部721cと腕部との接続部の間隔d2は同じである。
【0090】
基台部721cは、角柱状に形成された左右の腕部721a、721bの下側延長部を連結する部位であり、所定の板厚を有する中実状に形成される。基台部721cの下側には、2本の脚部721d、721eが延在する。脚部721d、721eは、回路基板730に形成された貫通穴(図では見えない)を下側にまで貫通させて、回路基板730の下側にて回路パターンに半田付けすることにより大型端子部品721を回路基板730に固定するために形成される。脚部721d、721eの前後方向の厚さは、腕部721a、721bほど厚く形成されず、薄めに形成される。基台部721cの底面は平坦に形成され、底面が回路基板730と良好に接触して安定するように形成される。
【0091】
図22(C)は小型端子部品726を示す図である。小型端子部品726は、図22(A)に示す正極端子741、743、745、747と、負極端子761、763として用いられる部品である。小型端子部品726は大型端子部品721と同様に金属のプレス加工で製造される一体品である。小型端子部品726は主に3つの部位、即ち、腕部726a、726bと、基台部726cと、脚部726d、726eである。基台部726cとの接続部分における小型端子部品726の左右方向の間隔はd7であるが、上方に行くにつれて左右方向の腕部726a、726bの間隔が狭まり、最接近点ではd8となるように近接する(ここで、d8<d7)。また、最接近点を越えたら上側にいくにつれて左右の腕部726a、726bの間隔が広がりd9となる(d8<d7<d9)。脚部726d、726eの間隔d6と、基台部721cと腕部との接続部の間隔d7は同じである
【0092】
基台部726cの下側には、2本の脚部726d、726eが延在する。脚部726d、726eは、回路基板730に形成された貫通穴(図では見えない)を下側にまで貫通させて、回路基板730の下側にて回路パターンに半田付けすることにより小型端子部品726を回路基板730に固定するために形成される。脚部726d、726eの前後方向の厚さは、脚部721d、721eと同様に薄く形成される。
【0093】
小型端子部品726の腕部726a及び726bの嵌合部位の基台部726cの上端からの高さhは、後述する第1のショートバー631(図25参照)の上下中心位置と、後述する第3のショートバー633の端子部の下端付近の位置(図25参照)と、ほぼ同じとされる。一方、大型端子部品721では基台部721cの上端からの高さh部分では、腕部721aと721bの間隔d3は、第1~第3のショートバー631~633(後述の図2参照)や、正極入力端子622、負極入力端子627の左右方向幅に比べて十分な大きさ(例えば間隔d3が左右方向幅の2倍以上)とされる。なお、大型端子部品721の腕部721a及び721bの嵌合部位の基台部721cの上端からの高さhは、小型端子部品726の高さhより大きい(例えば高さhが高さhの2倍以上)。
【0094】
図23は(A)は三電圧電池パック701と低電圧機器本体1との接続回路図である。三電圧電池パック701は、4組のセルユニット771~774を有する。第1及び第2の実施例と同様に、各セルユニット771~774は、5本の電池セルが直列接続されたもので、それぞれのセルユニットが18Vの出力を有する。図中、各セルユニット(5本の電池セル)の最上端と最下端に示す電圧(単位ボルト、18V)は、グランド(0V)に対する電位である。また、接続端子(22、27)付近に示す電圧も、グランド(0V)に対する電位である。第1のセルユニット771の正極は正極端子745に結線され、負極は負極端子764に結線される。同様に、第2のセルユニット772の正極は正極端子746に結線され、負極は負極端子761に結線され、第3のセルユニット773の正極は正極端子747に結線され、負極は負極端子762に結線され、第4のセルユニット774の正極は正極端子748に結線され、負極は負極端子763に結線される。
【0095】
正極入力端子22と負極入力端子27は、図7で説明した低電圧機器本体1に用いられる18V入力用の端子である。正極入力端子22は、4つの正極端子745~748のすべてと接触し、負極入力端子27は、4つの負極端子761~764のすべてと接触する。ここで、正極入力端子22の接触部位(図22(B)及び(C)の嵌合部位に相当)を見るとわかるように、正極端子745、747は正極入力端子22の下側半分領域で接触し、正極端子746、748は正極入力端子22の上側半分領域で接触する。同様に、負極端子761、763は負極入力端子27の下側半分領域で接触し、負極端子762、764は負極入力端子27の上側半分領域で接触する。以上の接続状態から、4つのセルユニット771~774を並列接続した18Vが三電圧電池パック701から電気機器本体1に出力される。
【0096】
図23(B)は三電圧電池パック701と中電圧機器本体31との接続回路図である。各セルユニット771~774と、正極端子745~748及び負極端子761~74への結線は図23(A)と同じである。図23(B)では図8で示した36V用の中電圧機器本体31が接続される。ここでは、大型端子部品721を用いた正極端子746、748が正極入力端子52と接触し、小型端子部品726を用いた正極端子745、747がショートバー59の端子部59bと接触する。同様に、大型端子部品721を用いた負極端子762、764が負極入力端子57と接触し、小型端子部品726を用いた負極端子761、763がショートバー59の端子部59cと接触する。以上の接続結果から、セルユニット771と773が並列に接続されて低電位側(0V-18V間)を形成し、セルユニット772と774が並列に接続されて高電位側(18V-36V間)を形成し、これら低電位側のセルユニット771、773と、高電圧側のセルユニット772、774が直列に接続されることにより、正極入力端子52と負極入力端子57間に定格電圧36Vの直流が出力される。この接続例では、正極入力端子52と負極入力端子57が「中電圧並列端子」に相当し、ショートバー59が「中電圧直列端子」に相当する。
【0097】
図24(A)は本発明の第3の実施例に係る三電圧電池パック701と高電圧機器本体601との接続回路図であり、(B)は図21の高電圧機器本体601におけるターミナル部615と接続端子群740の電力端子部分が嵌合した状態を示す斜視図である。高電圧機器本体601のターミナル部615には、正極入力端子622と負極入力端子627に加えて3本のショートバー631、632、633が設けられる。ショートバー631、632、633は、図8で示した36V用の中電圧機器本体31で示したショートバー59と同様の機能を果たすもので、正極端子745~747と、負極端子761~763を短絡させる機能を果たす。第1のショートバー631は正極端子745と負極端子761を短絡させ、第2のショートバー632は正極端子746と負極端子762を短絡させ、第3のショートバー633は正極端子747と負極端子763を短絡させる。このように接続される結果、第1のセルユニット771~第4のセルユニット774がすべて直列に接続される回路が形成され、正極入力端子622と負極入力端子627の間には72Vの直流が出力される。
【0098】
図24(B)は(A)の部分拡大図であるが、正極入力端子622は、端子部622aと、鋳込み部622bと、接続部622cと、から構成される。鋳込み部622bは端子部622aと接続部622cの間に形成され、ターミナル615の樹脂に鋳込まれる部分となる。負極入力端子627も同様に端子部627aと、鋳込み部627b(符号は後述の図28参照)と、接続部627cにより構成される。第1のショートバー631は、図8で示した36V用のショートバー59と同様に、上方から見た形状がコの字状であって、正極端子745と負極端子761と接触する部分(後述の図26で示す端子部631b、631c)が水平方向、前から後ろ方向に延在する。第2のショートバー632も第1のショートバー631と同様に、上方から見た形状がコの字状であって、正極端子746と負極端子762と接触する部分(後述の図26で示す端子部632b、632c)が水平方向、前から後ろ方向に延在するように形成される。第1のショートバー631の水平部631aと第2のショートバー632の水平部632aは、共に左右方向に延在するように配置され、お互いが上下方向及び前後方向に所定の距離を隔てるように配置される。
【0099】
第3のショートバー633は、第1及び第2のショートバー631、632とは異なり、図18で示した72V用のショートバー489と同様に、前方から見た形状がコの字状とされ、正極端子747と負極端子763と接触する。第3のショートバー633の水平部633aは、左右方向に延在するように配置される。正極入力端子622は、上端付近に貫通穴を有する接続部622cが形成され、下端付近に正極端子748の腕部748a、748b(符号は後述の図26参照)と嵌合する端子部622aが形成され、接続部622cと端子部622aとの間の部位が、ターミナル部615(後述の図28参照)にて樹脂の部分に鋳込まれる鋳込み部622bとなる。負極入力端子627も正極入力端子622と同じ形状であり、上端付近に貫通穴を有する接続部627cが形成される。
【0100】
以上、図23及び図24で示す端子形状を実現することによって、三電圧電池パック701にて、18V、36V、72Vの三電圧の出力可能な電池パックが実現できた。特に、三電圧電池パック701は、72V対応の新しい高電圧機器本体601だけでなく、18V用電気機器本体1、36V用電気機器本体31にも対応できるので、使用者によっては三電圧電池パック701を購入するだけですべての電気機器本体(1、31、601)に対応可能となるというメリットがある。また、三電圧電池パック701も、18V用の充電器を用いて充電できるので、72V用の専用充電器を準備する必要が無く、使い勝手が大変良い。
【0101】
図25(A)は、図21の高電圧機器本体601におけるターミナル部615と、三電圧電池パック701の電力端子部分(745~74)が嵌合する前の状態を示す側面図である。ここでは、高電圧機器本体601側のターミナル部615(後述の図28参照)に設けられる部分に網掛けを付して、三電圧電池パック701側に設けられる部分と区別しやすいようにしている。三電圧電池パック701を高電圧機器本体601に装着するには、高電圧機器本体601を前方側から後方側に相対移動させる(三電圧電池パック701側を高電圧機器本体601側に移動させても同じである)。ここで図25(A)に示すように、ターミナル部615を矢印635の方向に近づけて、正極入力端子622の端子部622aが正極端子748に嵌合し、第3ショートバー633の端子部633bが正極端子747に嵌合し、第2ショートバー632の端子部632bが正極端子746に嵌合し、第1ショートバー631の端子部631bが正極端子745に嵌合する。
【0102】
図25(B)は(A)の状態から、ターミナル部615と、三電圧電池パック701の電力端子部分(745~74)が嵌合した後の状態を示す側面図である。ここでは、上側に正極端子745~748の前後方向幅と、それらの間隔を数値(単位mm)で示している。図25にて理解できるように、正極端子745、747として図22(C)にて示した小型端子部品726が用いられ、正極端子746、748として図22(B)にて示した大型端子部品721が設けられる。正極端子745~748の前後方向の長さは1.2mmであり、それらが一定の間隔(1.3mm間隔)にてお互いが非接触となるように配置される。つまり、正極端子745~748の腕部における前後方向の長さ(腕部の厚さ)よりも、正極端子745~748のそれぞれの間隔を大きくした。
【0103】
正極入力端子622の端子部622aの前後方向の長さは0.9mmであり、正極端子748の前後方向の長さ1.2mmに比べてやや小さく形成される。一方、第3ショートバー633の前後厚は、1.2mmとして、正極端子747の腕部と同じ前後厚としている。高電圧機器本体601を電池パック701の前方側から後方側に相対移動させると、図25(A)の矢印635のようにハッチングした側の正極入力端子622とショートバー631~633が正極端子745~748に接近する。この移動時には、電池パック701のレール部と、電気機器本体601のレール部が係合状態にあるため、ターミナル部615は矢印635の方向に直線的な移動となる。この移動により三電圧電池パック701の装着時には、正極入力端子622は、正極端子745の上側を矢印635方向に非接触で移動し、正極端子746の腕部と一時的に嵌合状態となってさらに移動し、正極端子747の上側を矢印635方向に接触しないで移動し、装着方向635の必要移動量の最後の位置(装着位置)にて正極端子748の腕部748a、748b(符号は図26(B)参照)と嵌合する。
【0104】
矢印635の移動時に第3のショートバー633は、正極端子745の腕部745a、745bと一時的に嵌合状態となってからさらに移動し、次に、正極端子746の腕部746a、746bと一時的に嵌合状態となってからさらに移動し、装着方向635の必要移動量の最後の位置にて正極端子747の腕部747a、747b(符号は図26(B)参照)と嵌合する。第2のショートバー632は、矢印635のような移動時に、正極端子745の上側を矢印635方向に接触せずに移動し、装着位置にて正極端子746の腕部746a、746b(符号は図26(B)参照)と嵌合する。第1のショートバー631は、矢印635のような移動時に装着位置にて正極端子745の腕部745a、745b(符号は図26(B)参照)と嵌合するだけで、正極端子746~748とは関係しない。尚、図25では、4つの正極端子745~78を説明したが、負極端子761~764の形状と、ショートバー631~633との嵌合状態は、4つの正極端子745~78と同一の状態となる。
【0105】
このように三電圧電池パック701の装着時には、電気機器本体1側の正極入力端子622は、嵌合対象の正極端子748以外に、正極端子746に干渉する。また、第3のショートバー633は、嵌合対象の正極端子747以外に、正極端子745、746に干渉する。第2のショートバー633は、嵌合対象の正極端子746にだけ嵌合し、その他の正極端子745、747、748には干渉しない。第1のショートバー631は、嵌合対象の正極端子745にだけ嵌合し、その他の正極端子746~748には干渉しない。
【0106】
図26(A)は図24(B)の前面図である。(A)の図から、小型端子部品726を用いた正極端子745及び負極端子761と、大型端子部品721を用いた正極端子746及び負極端子762の大きさが理解できよう。正極端子群(745~748)と負極端子群(761~764)の左右方向の内側の幅は30mmであり、この間隔は従来の18V用の電池パック101(図3参照)、36V用の電池パック201(図参照)の正極入力端子と負極入力端子との間隔と同じである。第1のショートバー631は、左右方向に延在する水平部631aと、水平部631aの両端から後方に向けて、正極端子745と嵌合する端子部631bと、負極端子761と嵌合する端子部631cが形成される。端子部631bの高さ方向の位置は、正極端子745の腕部745a、745bの最接近部分(図22(C)で示した嵌合部位)を含むように配置される。同様に、端子部631cの高さ方向の位置は、負極端子761の腕部761a、761bの最接近部分(図22(C)で示した嵌合部位)を含むように配置される。
【0107】
第2のショートバー632は、左右方向に延在する水平部632aと、水平部632aの両端から後方に向けて延在して正極端子746と嵌合する端子部632bと、負極端子762と嵌合する端子部632cが形成される。端子部632bの高さ方向の位置は、正極端子746の腕部746a、746bの最接近部分(図22(B)で示した嵌合部位)を含むように配置される。同様に、端子部632cの高さ方向の位置は、負極端子762の腕部762a、762bの最接近部分(図22(B)で示した嵌合部位)を含むように配置される。
【0108】
第1のショートバー631と第2のショートバー632の上下方向の間隔は3.7mmである。この図でわかるように、第2のショートバー632の上下方向位置は、正極端子745、747(図25参照)、負極端子761、763よりも上方にあるため、正極端子745、747、負極端子761、763に干渉する虞は無い。一方、第1のショートバー631は、高さ的には正極端子746~748、負極端子762~764に干渉する高さであるが,図25(B)で示したように装着時においても第のショートバー63は、正極端子746と負極端子762に対して前後方向に離れているため、干渉する虞は無い。
【0109】
第3のショートバー633は、左右方向に延在する水平部633aと、水平部633aの両端から下方に向けて延在して正極端子747(図25参照)と嵌合する端子部633bと、負極端子763(図25参照)と嵌合する端子部633cが形成される。第3のショートバー633の水平部633aは、大型端子部品721を用いた正極端子746、748及び負極端子762、764よりも上側に離れて位置する。この結果、第3のショートバー633の水平部633aをターミナル部615の樹脂部分中に鋳込むことが容易になる。第2のショートバー632と第3のショートバー633の上下方向の間隔は3.4mmである。端子部633bの下端位置は、正極端子747の腕部747a、747bの最接近部分(嵌合部位)よりもわずかに下側まで延在する。同様に、端子部633cの下端位置は、負極端子763の腕部763a、763bの最接近部分(嵌合部)よりもわずかに下側まで延在する。
【0110】
図26(B)は、図24(B)の上面図である。正極端子745~748は前後方向に等間隔に配置され、それぞれの腕部(例えば748a、748b)は、左右方向に離れるように配置される。この配置の結果、正極端子745~748の各腕部とターミナル群との接触面は、装着方向と直交するような位置関係となる。同様に、負極端子761~764は前後方向に等間隔に配置され、それぞれの腕部(例えば764a、764b)は、左右方向に離れるように配置される。負極端子761~764の各腕部とターミナル群との接触面は、装着方向と直交するように配置される。第1のショートバー631と第2のショートバー632の前後方向の間隔は1.5mmである。第2のショートバー632と第3のショートバー633の前後方向の間隔は3.4mmである。このように第1のショートバー631の水平部631aを、正極端子745と負極端子761の前後位置よりも前方側にずらすことによって、ショートバー631の水平部631aをターミナル部615の樹脂部分中に鋳込むことができる。同様に、第2のショートバー632の水平部632aを、正極端子746と負極端子762の位置より前方側にずらすことによって、第1のショートバー631と干渉すること無く、第2のショートバー632の水平部632aをターミナル部615の樹脂部分中に鋳込むことができる。
【0111】
図27は(A)は図21の高電圧機器本体601におけるターミナル部615の後方側から見た斜視図であり、(B)は(A)の樹脂部分に鋳込まれる接続端子群の斜視図である。ターミナル部615は、複数の接続端子片を合成樹脂に鋳込むことで固定したもので、略直方体状であって中実状の基台部615aと、基台部615aの上側部分を前方に延在させて壁状に形成した上壁部615bを含んで形成される。上壁部615bの内部には、正極入力端子622、負極入力端子627が鋳込まれており、それぞれの接続部622c、627cが上壁部615bよりも上方に露出する。同様にして、T端子624、V端子625、LS端子626、LD端子628が、上壁部615bと基台部615aに鋳込まれ、上壁部615bより上方に接続部624c、625c、626c、628cが露出する。
【0112】
所定の厚さを有する上壁部615bには第3ショートバー633の水平部633aが鋳込まれる。上壁部615bの下面からは、正極入力端子622の端子部622aと、負極入力端子627の端子部627a(後述の図28参照)と、第3ショートバー633の端子部633b、633c(後述の図28参照)が下方に延在するようにして露出する。基台部615aの前面側には、第1のショートバー63の端子部631b、631c(後述の図28参照)が水平方向に延在するように露出し、第2のショートバー632の端子部632b、632c(後述の図28参照)が水平方向に延在するように露出する。
【0113】
図27(B)は(A)の樹脂部分に鋳込まれる接続端子群の斜視図である。信号用の4つの端子(T端子624、V端子625、LS端子626、LD端子628)のそれぞれは、接続部624c~626c、628cが上壁部615bから露出するように鋳込み部624b~626b、628bが上壁部615に鋳込まれ、さらに、端子部分の後方側半分が基台部615aに鋳込まれる。また、T端子624、V端子625、LS端子626、LD端子628の前方側は、第2ショートバー632の水平部632aと干渉しないように湾曲させた切り欠き部(624d、628d等)が形成される。図16で示す中電圧機器本体31用のターミナル部45と比較すると、T端子624、V端子625、LS端子626、LD端子628の露出部分の上下方向の大きさが、約半分になっている。しかしながら、図16(B)の中/高電圧電池パック501側のT端子364、V端子365、LS端子366、LD端子368の電池パック(101、201、701)側の対応端子との嵌合位置が、下側付近にあるため、図27(B)に示すような端子形状であっても良好に嵌合できる。尚、T端子624、V端子625、LS端子626、LD端子628の各鋳込み部と、第2ショートバー632の水平部632aは、合成樹脂にて鋳込まれるため、それら各端子と第2ショートバー632が相互に接触することはない。
【0114】
図28は(A)は図21の高電圧機器本体601におけるターミナル部615の前方側から見た斜視図である。図18で示した中電圧機器本体31の正極入力端子52や負極入力端子57の大きさや形状に比べると、正極入力端子622と負極入力端子627は、上壁部615bから下方向に延在する細棒状され、細長い角柱状の接続端子となっている。正極入力端子622と負極入力端子627の後ろ側には、第3ショートバー633の端子部633b、633cが配置され、これら端子部633b、633cは、正極入力端子622と負極入力端子627と平行に配置され、上壁部615bから下方向に延在する。
【0115】
第3ショートバー633の端子部633b、633cよりも後方上側には、第2ショートバー632の端子部632b、632cが露出し、後方下側には、第1ショートバー631の端子部631b、631cが露出する。端子部632bと端子部631bの根本付近の周囲は、基台部615aと一体に形成された樹脂覆い616bにより覆われ、端子部632cと端子部631cの根本付近の周囲は、基台部615aと一体に形成された樹脂覆い616eにより覆われ、絶縁される。また、第1ショートバー631の水平部631aは、左右方向に延在する樹脂覆い616cによって全体が覆われ、第2ショートバー632の水平部632aは、左右方向に延在する樹脂覆い616dによって全体が覆われる。
【0116】
信号伝達用の端子であるT端子624、V端子625、LS端子626、LD端子628は、図27(B)で示したように端子部分の後端(鋳込み部)をそれぞれ基台部615aに鋳込むことで固定される。ここでは、図7図8で示した端子群と異なってT端子624、V端子625、LS端子626、LD端子628の上側部分は、上壁部615bの樹脂部分にまで到達していない、即ち、上下方向の幅が小さくなっている。上壁部615bの前側中央には、凸部618が形成される。凸部618は、高電圧機器本体601に対応しない低電圧電池パック101が、ターミナル部615に装着できないようにするために構成された誤装着防止用の第1の阻害部である。尚、ターミナル部615の近傍には、低/中電圧電池パック201(図4参照)を高電圧機器本体601に誤装着できないように、図示しない第2の阻害部(図28では見えない)も形成される。
【0117】
図28(B)はターミナル部615の樹脂部分の図示を省略して、鋳込まれる電力用の接続端子(622、627)と、第1~第3のショートバー631~633の形状を示す図である。第1~第3のショートバー631~633が、本発明における高電圧直列端子に相当する。正極入力端子622は、端子部622aと上側の接続部622cとの間が上壁部615bへの鋳込み部62bとなる。同様に負極入力端子627は、端子部627aと上側の接続部627cとの間が上壁部615bへの鋳込み部62bとなる。第3ショートバー633の水平部633aは、上壁部615b内にすべて鋳込まれ、第3ショートバー633の鉛直方向に延在する端子部633b、633cは、上側の一部が上壁部615b内に鋳込まれる。第1及び第2ショートバー61,632の水平部631a、632aは基台部615aに鋳込まれる。以上のように、正極入力端子622、負極入力端子627、第1~第3のショートバー631~633はいずれもターミナル部615に鋳込まれることにより強固に固定される。
【0118】
図29はターミナル部15、45、615の形状を示す模式図であり、これらの大きさ関係を説明するための図である。ターミナル部15の端子配置領域の外形寸法は、長さL、高さHであり、ターミナル部15、45と互換である(但し、誤装着防止用の凸部等の有無は異なるが、ここでは言及しない)。ターミナル部15、45の形状は図14図20で説明した第1及び第2の実施例と同じ形状である。第3の実施例の72V用のターミナル部615では、正極入力端子622と、3本のショートバー631~633を配置した。端子配置領域において、正極入力端子622は、上側半分且つ前側半分の範囲内で正極端子748と嵌合する。第3のショートバー633の端子部633bは、下側半分且つ前側半分の範囲内で正極端子747と接触する。第2のショートバー632の端子部632bは、上側半分且つ後側半分の範囲内で正極端子746と接触する。第1のショートバー631の端子部631bは、下側半分且つ後側半分の範囲内で正極端子745と接触する。このように、ターミナル部615の高さH、長さLの端子配置領域を上下前後に4分割して、4つの各範囲にてそれぞれ三電圧電池パック701側の接続端子と嵌合するように正極入力端子622と、第1~第3のショートバー631~633を配置した。第3の実施例ではベースとなる36V用(中電圧機器本体31)のターミナル部45の電極部分を4分割して利用することにより、正極入力端子622、負極入力端子627、第1~第3のショートバー631~633、及び、信号端子群624~626、628を効率よく配置することができた。
【0119】
以上、第3の実施例では電池パック701を、低電圧機器本体1、中電圧機器本体31、高電圧機器本体601のいずれかに装着するだけで、適切な出力電圧に切り替えることができる電気機器システムを実現できた。特に、接続端子を実装する部分の面積を従来よりも増やすことなく、回路基板730の面積を増やすことなく、三電圧に対応可能な三電圧電池パック701を実現できた。すなわち、三電圧電池パック701の正極端子741~748、負極端子761~764の回路基板730上の設置スペースを、従来の電池パック(低電圧電池パック101、二電圧電池パック201、301)の正極端子及び負極端子の設置スペースと同程度の大きさにできるため、そのため、回路基板730において正極端子と負極端子との間の左右方向のスペースに、従来の電池パックと同様、信号端子を配置することができる。従って、正極端子と負極端子の端子数が増えてもそれら端子の設置スペースの増加を抑えることができるため、回路基板730の大型化を抑制することができる。
【0120】
第3の実施例では三電圧電池パック701の端子部(正極端子、負極端子、ショートバー)を上下方向(回路基板730から上方)に延びるように構成している。そのため、端子部の前後方向の寸法を抑えることができ、従来の電池パックのように前後方向に延びる端子の配置領域に、多くの端子を配置することができる。その結果、回路基板730の大型化を抑制することができる。また、三電圧電池パック701の端子部を上下方向に延びるように構成し、上下方向の寸法が異なる二種類(大型端子部品721、小型端子部品726)の正極端子745~748、負極端子761~764を用いている。それにより、低電圧機器本体1が接続された場合には、低電圧機器本体1の正極入力端子22及び負極入力端子27は上下方向の幅が大きいため、正極入力端子22と負極入力端子27はそれぞれ全ての正極端子745~748、負極端子761~764に確実に嵌合される。
【0121】
中電圧機器本体31が接続された場合には、正極入力端子52、負極入力端子57はそれぞれ、大型端子部品721からなる正極端子、負極端子に嵌合され、小型端子部品726からなる正極端子、負極端子には嵌合されない(届かない)ように、上下方向の幅が設定してある。一方、ショートバー59の端子部59b、59cは、前後方向に延びるように構成されており、小型端子部品726からなる正極端子、負極端子の嵌合部位に対応する位置に設けられる。そのため、小型端子部品726からなる正極端子、負極端子には嵌合されるが、大型端子部品721には嵌合されない。これは、大型端子部品721は、第2の実施例(例えば図15)と同様、ショートバー59に接触しないよう一対の腕部の下側の幅寸法がショートバー59の厚みよりも大きく形成されているためである。これにより、中電圧機器本体31の各端子52、57及びショートバー59は、対応する端子のみに確実に嵌合される。
【0122】
高電圧機器本体601が接続された場合には、正極入力端子622、負極入力端子627、第1から第3のショートバー631~633はそれぞれ、三電圧電池パック701の対応する正極端子、負極端子の嵌合部位確実に嵌合できるよう配置されているため、他の端子に嵌合されることはない。これは、三電圧電池パック701の端子を大型端子部品721と小型端子部品726により構成したことにより実現することができる。また、高電圧機器本体601の端子部(正極入力端子、極入力端子、ショートバー)は既存の電気機器本体(例えば中電圧機器本体31)に対して増えることになるが、端子部の形状を工夫することにより、ターミナル部615は既存の電気機器本体で使用しているターミナル部(例えば中電圧機器本体31のターミナル部45)の形状を踏襲しているため、ターミナル部615の体積や重量、コストの増加を抑えることができる。
【0123】
以上のように、本発明によれば、三電圧電池パック701の端子部を、低電圧機器本体1の正極及び負極入力端子、中電圧機器本体31の正極入力端子、負極入力端子及びショートバー、高電圧機器本体601の正極入力端子、負極入力端子及び3つのショートバーに対応した端子構造としたため、幅広い電圧に対応した電気機器システムを提供することができる。また、既存の電圧固定電池パックや二電圧電池パックとの互換性を維持でき、互換性や汎用性を向上した電気機器システムを提供することができる。また、三電圧電池パックを用いた電気機器システムを提供することができる。
【0124】
図30図21の三電圧電池パック701における電池セルの配置を示す斜視図である。ここでは第1のセルユニット771は、5本の電池セル771a~771eが図示のように配置され、金属製の接続タブによって隣接する電池セルの正極と負極が電気的に直列接続される。尚、実際には電池セルは、セパレータという合成樹脂製の保持部材により固定されるが、ここではセパレータの図示は省略している。図中、+(プラス)と表示しているのが電池セルの正極側であり、-(マイナス)と表示しているのが負極側である。第1のセルユニット771は、正極出力が、電池セル771aから矢印のように取り出されて、正極端子745まで配線される(具体的な配線経路の説明は省略する)。第2~第4のセルユニット772~774も同様に配線され、それぞれの正極出力は、電池セル772aから矢印のように正極端子746に配線され、電池セル773aから矢印のように正極端子747に配線され、電池セル774aから矢印のように正極端子748に配線される。
【0125】
第1~第4のセルユニット771~774の負極側は、三電圧電池パック701の左側側面から配線され、電池セル771eの左側から矢印のように負極端子761に配線され、電池セル772eの左側から負極端子762に配線され、電池セル773eの左側から負極端子763に配線され、電池セル774eの左側から負極端子764に配線される。
【0126】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施例では、低電圧、中電圧、高電圧の組み合わせを、定格18V,36V、72Vにて実現したが、これらの組み合わせだけでなく、nV、2nV、4nV(但し、n>0)の関係とすれば本発明を他の電圧の電池パック群に容易に適用できる。また、各電池パック内に収容される電池セルの種類、形状、電圧は任意で有り、円筒形のリチウムイオン電池以外の電池セルを用いて電気機器システムを実現しても良い。
【符号の説明】
【0127】
1…低電圧機器本体、1A…インパクト工具、2…ハウジング、2a…胴体部、2b…ハンドル部、4…動作スイッチ、8…先端工具保持部、9…先端工具、10…電池パック装着部、11a,11b…レール部、12…湾曲部、14…突起部、15,15A…ターミナル部、15a…垂直面、15b…水平面、16…基台部分、21,22…正極入力端子、24…T端子、25…V端子、26…LS端子、27…負極入力端子、28…LD端子、31…中電圧機器本体、45…ターミナル部、46…基台部、47…仕切り板、48…(誤装着防止用の)凸部、51,52…正極入力端子、54…T端子、55…V端子、56…LS端子、57…負極入力端子、58…LD端子、59…ショートバー、59a…接続部、59b,59c…短絡用端子部、61…高電圧機器本体、75…ターミナル部、76…基台部、82…正極入力端子、84…T端子、84c,85c,86c,88c…接続部、85…V端子、86…LS端子、87…負極入力端子、88…LD端子、89…ショートバー、89a…接続部、89b,89c…短絡用端子部、101…低電圧電池パック、102…下ケース、105…スリット、110…上ケース、111…下段面、114…段差部、115…上段面、120…スロット群配置領域、121~128…スロット、131…ストッパ部、132…隆起部、133…後方斜面、134…スリット、138a,138b…レール部、141a,141b…ラッチボタン、142a,142b…係止部、145…第1セルユニット、146…第2セルユニット、201…低/中電圧電池パック、201…電池パック、202…下ケース、210…上ケース、211…下段面、215…上段面、216…凹部、217a,217b…凸部、238a…レール部、241a…ラッチ、245…第1セルユニット、245a245e…電池セル、246…第2セルユニット、246a246e…電池セル、250…回路基板、260…接続端子群、261,262…上側正極端子、262a,262b…腕部、262c…脚部、264…T端子、265…V端子、266…LS端子、267…上側負極端子、267a,267b…腕部、268…LD端子、271,272…下側正極端子、272a,272b…腕部、277…下側負極端子、277a,277b…腕部、280…表示部、281~284…表示窓、285…スイッチボタン、301…中/高電圧電池パック、302…下ケース、302a…延長部、310…上ケース、310a…延長部、345…第1セルユニット、346…第2セルユニット、350…回路基板、360…接続端子群、361,362…上側正極端子、362a,362b…腕部、364…T端子、365…V端子、366…LS端子、367…上側負極端子、367a…腕部、368…LD端子、371,372…下側正極端子、372a,372b…腕部、377…下側負極端子、377a,377b…腕部、461…高電圧機器本体、475…ターミナル部、476…基台部、476a…水平部、478…凸部、482…正極入力端子、487…負極入力端子、489…ショートバー、489a…接続部、489b,489c…(ショートバーの)端子部、501…中/高電圧電池パック、545…第1セルユニット、546…第2セルユニット、550…回路基板、560…接続端子群、561,562…後側正極端子、561a,561b…腕部、562a,562b…腕部、567…後側負極端子、567a,567b…腕部、571,572…前側正極端子、572d,572e…脚部、577…側負極端子、577a,577b…腕部、601…高電圧機器本体、615…ターミナル部、615a…基台部、615b…上壁部、618…凸部、622…正極入力端子、622a…端子部、622b…鋳込み部、622c…接続部、624…T端子、625…V端子、626…LS端子、627…負極入力端子、627a…端子部、627c…接続部、628…LD端子、631…ショートバー、631a…水平部、631b,631c…端子部、632…ショートバー、632a…水平部、632b…端子部、632c…端子部、633…ショートバー、633a…水平部、633b…端子部、633c…端子部、635…装着方向、701…三電圧電池パック、721…大型端子部品、721a,721b…腕部、721c…基台部、721d,721e…脚部、726…小型端子部品、726a,726b…腕部、726c…基台部、726d,726e…脚部、730…回路基板、740…接続端子群、741~748…正極端子、745a,745b,746a,746b…腕部、747a,747b,748a,748b…腕部、754…T端子、755…V端子、756…LS端子、758…LD端子、761~764…負極端子、761a,761b,762a,762b…腕部、763a,763b,764a,764b…腕部、771~774…セルユニット、771a~771e,772a~772e…電池セル、773a~773e,774a~774e…電池セル
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