IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機ビルテクノサービス株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

特許7548403エレベーターシステム、連携装置、エレベーター、連携方法および連携プログラム
<>
  • 特許-エレベーターシステム、連携装置、エレベーター、連携方法および連携プログラム 図1
  • 特許-エレベーターシステム、連携装置、エレベーター、連携方法および連携プログラム 図2
  • 特許-エレベーターシステム、連携装置、エレベーター、連携方法および連携プログラム 図3
  • 特許-エレベーターシステム、連携装置、エレベーター、連携方法および連携プログラム 図4
  • 特許-エレベーターシステム、連携装置、エレベーター、連携方法および連携プログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】エレベーターシステム、連携装置、エレベーター、連携方法および連携プログラム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20240903BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B66B1/14 E
B66B3/00 L
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2023192425
(22)【出願日】2023-11-10
【審査請求日】2023-11-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 岳洋
(72)【発明者】
【氏名】垣尾 政之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 啓嗣
(72)【発明者】
【氏名】朝比奈 努
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-019590(JP,A)
【文献】特開2020-109039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 1/52
B66B 3/00- 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターと、
前記利用者に対して報知を行う報知手段と、
前記エレベーターおよび前記報知手段を前記自律移動体に連携させる連携装置と、
を備え、
前記連携装置は、
前記エレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させるエレベーター制御部と、
前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、前記報知手段に、利用者向け情報の報知を行わせる報知制御部と、
を備え、
前記利用者向け情報は、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含むエレベーターシステム。
【請求項2】
前記利用者向け情報は前記利用者を待たせていることについての謝罪および前記自律移動体が乗車を完了するまでの時間の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項3】
前記報知制御部は、前記報知手段に、同階において前記自律移動体と前記利用者とが前記かごへ乗車する場合には前記利用者よりも後に前記自律移動体が乗車することの報知を行わせる請求項1または請求項2に記載のエレベーターシステム。
【請求項4】
前記エレベーター制御部は、前記エレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車完了すると前記かごの戸を即時的に閉じさせる請求項3に記載のエレベーターシステム。
【請求項5】
前記報知制御部は、前記報知手段に、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまでの間に前記かごの戸開閉ボタンが一定時間以上押し続けられている場合には当該戸開閉ボタンを操作することは不要であることの報知を重ねて行わせる請求項1または請求項2に記載のエレベーターシステム。
【請求項6】
前記自律移動体を制御する移動体管理装置を備え、
前記移動体管理装置は、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまでの間に前記かごの戸開閉ボタンが一定時間以上押し続けられている場合には、前記自律移動体の前記かごへの乗車を中止させる請求項1または請求項2に記載のエレベーターシステム。
【請求項7】
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターと、
前記利用者に対して報知を行う報知手段と、
前記エレベーターおよび前記報知手段を前記自律移動体に連携させる連携装置と、
を備え、
前記連携装置は、
前記エレベーターに、前記自律移動体が前記かごから降車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごから降車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させるエレベーター制御部と、
前記自律移動体が前記かごから降車する場合に、前記報知手段に、利用者向け情報の報知を行わせる報知制御部と、
を備え、
前記利用者向け情報は、前記自律移動体が前記かごから降車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含むエレベーターシステム。
【請求項8】
前記利用者向け情報は前記利用者を待たせていることについての謝罪および前記自律移動体が降車を完了するまでの時間の少なくとも1つを含む、請求項7に記載のエレベーターシステム
【請求項9】
前記報知制御部は、前記報知手段に、同階において前記自律移動体と前記利用者とが前記かごから降車する場合には前記利用者よりも後に前記自律移動体が降車することの報知を行わせる請求項7または請求項8に記載のエレベーターシステム。
【請求項10】
前記報知制御部は、前記報知手段に、前記自律移動体が前記かごから降車を開始してから完了するまでの間に前記かごの戸開閉ボタンが一定時間以上押し続けられている場合には当該戸開閉ボタンを操作することは不要であることの報知を重ねて行わせる請求項7または請求項8に記載のエレベーターシステム。
【請求項11】
前記自律移動体を制御する移動体管理装置を備え、
前記移動体管理装置は、前記自律移動体が前記かごから降車を開始してから完了するまでの間に前記かごの戸開閉ボタンが一定時間以上押し続けられている場合には、前記自律移動体の前記かごからの降車を中止させる請求項7または請求項8に記載のエレベーターシステム。
【請求項12】
前記報知手段は、前記エレベーターに備えられている請求項1または請求項7に記載のエレベーターシステム。
【請求項13】
前記報知手段は、前記エレベーターの乗り場に備えられている請求項12に記載のエレベーターシステム。
【請求項14】
前記報知手段は、前記かごに備えられている請求項12に記載のエレベーターシステム。
【請求項15】
前記報知手段は、前記自律移動体に備えられている請求項1または請求項7に記載のエレベーターシステム。
【請求項16】
前記報知手段による利用者への報知は、予め設定された規定のタイミングにおいて行われる請求項1または請求項7に記載のエレベーターシステム。
【請求項17】
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させるエレベーター制御部と、
前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、利用者に対して報知を行う報知手段に、利用者向け情報の報知を行わせる報知制御部と、
を備え、
前記利用者向け情報は、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含む連携装置。
【請求項18】
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごから降車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごから降車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させるエレベーター制御部と、
前記自律移動体が前記かごから降車する場合に、利用者に対して報知を行う報知手段に、利用者向け情報の報知を行わせる報知制御部と、
を備え、
前記利用者向け情報は、前記自律移動体が前記かごから降車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含む連携装置。
【請求項19】
自律移動体と利用者とが同乗可能なかごと、
前記かごの戸開閉を制御する制御装置と、
前記利用者に対して報知を行う報知手段と、
を備え、
前記制御装置は、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際に前記かごの戸開を継続し、前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際に前記かごの戸開の継続を解除し、
前記報知手段は、前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、利用者向け情報を報知し、
前記利用者向け情報は、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含むエレベーター。
【請求項20】
自律移動体と利用者とが同乗可能なかごと、
前記かごの戸開閉を制御する制御装置と、
前記利用者に対して報知を行う報知手段と、
を備え、
前記制御装置は、前記自律移動体が前記かごから降車する際に前記かごの戸開を継続し、前記自律移動体が前記かごから降車完了した際に前記かごの戸開の継続を解除し、
前記報知手段は、前記自律移動体が前記かごから降車する場合に、利用者向け情報を報知し、
前記利用者向け情報は、前記自律移動体が前記かごから降車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含むエレベーター。
【請求項21】
コンピュータまたはコンピュータシステムが、
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させることと、
利用者に対して報知を行う報知手段に、前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含む利用者向け情報の報知を行わせることと、
を実行する、連携方法。
【請求項22】
コンピュータまたはコンピュータシステムが、
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごから降車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごから降車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させることと、
利用者に対して報知を行う報知手段に、前記自律移動体が前記かごから降車する場合に、前記自律移動体が前記かごから降車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含む利用者向け情報の報知を行わせることと、
を実行する、連携方法。
【請求項23】
コンピュータまたはコンピュータシステムに、
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させることと、
利用者に対して報知を行う報知手段に、前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含む利用者向け情報の報知を行わせることと、
を実行させる、連携プログラム。
【請求項24】
コンピュータまたはコンピュータシステムに、
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごから降車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごから降車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させることと、
利用者に対して報知を行う報知手段に、前記自律移動体が前記かごから降車する場合に、前記自律移動体が前記かごから降車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含む利用者向け情報の報知を行わせることと、
を実行させる、連携プログラム。
【請求項25】
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターと、
前記利用者に対して報知を行う報知手段と、
前記エレベーターおよび前記報知手段を前記自律移動体に連携させる連携装置と、
前記自律移動体を制御する移動体管理装置と、
を備え、
前記連携装置は、
前記エレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させるエレベーター制御部と
前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、前記報知手段に、利用者向け情報の報知を行わせる報知制御部と、
を備え、
前記移動体管理装置は、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまでの間に前記かごの戸開閉ボタンが一定時間以上押し続けられている場合には、前記自律移動体の前記かごへの乗車を中止させるエレベーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターシステム、連携装置、エレベーター、連携方法および連携プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、利用者と自律移動体とが共用するエレベーターについての技術として、利用者と自律移動体とがエレベーターのかごを同時に利用することを防止するためのシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-53671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような従来のシステムにおいては、自律移動体の所定の動作をメッセージとして出力するにとどまり、自律移動体が同乗することによる利用者の不快感を解決できないという課題がある。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためのものである。本開示の目的は、自律移動体と利用者とが同乗可能なエレベーターの利用時における利用者の不快感を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターシステムは、自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターと、前記利用者に対して報知を行う報知手段と、前記エレベーターおよび前記報知手段を前記自律移動体に連携させる連携装置と、を備える。前記連携装置は、前記エレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させるエレベーター制御部と、前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、前記報知手段に、利用者向け情報の報知を行わせる報知制御部と、を備える。前記利用者向け情報は、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含む。
また、本開示に係るエレベーターシステムは、自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターと、前記利用者に対して報知を行う報知手段と、前記エレベーターおよび前記報知手段を前記自律移動体に連携させる連携装置と、を備える。前記連携装置は、前記エレベーターに、前記自律移動体が前記かごから降車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごから降車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させるエレベーター制御部と、前記自律移動体が前記かごから降車する場合に、前記報知手段に、利用者向け情報の報知を行わせる報知制御部と、を備える。前記利用者向け情報は、前記自律移動体が前記かごから降車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含む。
本開示に係る連携装置は、自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させるエレベーター制御部と、前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、利用者に対して報知を行う報知手段に、利用者向け情報の報知を行わせる報知制御部と、を備える。前記利用者向け情報は、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含む。
また、本開示に係る連携装置は、自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごから降車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごから降車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させるエレベーター制御部と、前記自律移動体が前記かごから降車する場合に、利用者に対して報知を行う報知手段に、利用者向け情報の報知を行わせる報知制御部と、を備える。前記利用者向け情報は、前記自律移動体が前記かごから降車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含む。
本開示に係るエレベーターは、自律移動体と利用者とが同乗可能なかごと、前記かごの戸開閉を制御する制御装置と、前記利用者に対して報知を行う報知手段と、を備える。前記制御装置は、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際に前記かごの戸開を継続し、前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際に前記かごの戸開の継続を解除する。前記報知手段は、前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、利用者向け情報を報知する。前記利用者向け情報は、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含む。
また、本開示に係るエレベーターは、自律移動体と利用者とが同乗可能なかごと、前記かごの戸開閉を制御する制御装置と、前記利用者に対して報知を行う報知手段と、を備える。前記制御装置は、前記自律移動体が前記かごから降車する際に前記かごの戸開を継続し、前記自律移動体が前記かごから降車完了した際に前記かごの戸開の継続を解除する。前記報知手段は、前記自律移動体が前記かごから降車する場合に、利用者向け情報を報知する。前記利用者向け情報は、前記自律移動体が前記かごから降車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含む。
本開示に係る連携方法は、コンピュータまたはコンピュータシステムが、自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させることと、利用者に対して報知を行う報知手段に、前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含む利用者向け情報の報知を行わせることと、を実行するものである。
また、本開示に係る連携方法は、コンピュータまたはコンピュータシステムが、自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごから降車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごから降車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させることと、利用者に対して報知を行う報知手段に、前記自律移動体が前記かごから降車する場合に、前記自律移動体が前記かごから降車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含む利用者向け情報の報知を行わせることと、を実行するものである。
本開示に係る連携プログラムは、コンピュータまたはコンピュータシステムに、自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させることと、利用者に対して報知を行う報知手段に、前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含む利用者向け情報の報知を行わせることと、を実行させるものである。
また、本開示に係る連携プログラムは、コンピュータまたはコンピュータシステムに、自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごから降車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごから降車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させることと、利用者に対して報知を行う報知手段に、前記自律移動体が前記かごから降車する場合に、前記自律移動体が前記かごから降車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であることを含む利用者向け情報の報知を行わせることと、を実行させるものである。
さらに、本開示に係るエレベーターシステムは、自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターと、前記利用者に対して報知を行う報知手段と、前記エレベーターおよび前記報知手段を前記自律移動体に連携させる連携装置と、前記自律移動体を制御する移動体管理装置と、を備える。前記連携装置は、前記エレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させるエレベーター制御部と前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、前記報知手段に、利用者向け情報の報知を行わせる報知制御部と、を備える。前記移動体管理装置は、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまでの間に前記かごの戸開閉ボタンが一定時間以上押し続けられている場合には、前記自律移動体の前記かごへの乗車を中止させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、自律移動体と利用者とが同乗可能なエレベーターの利用時における利用者の不快感を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るエレベーターシステムの構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係るエレベーターシステムの第1の動作状態を示す図である。
図3】実施の形態1に係るエレベーターシステムの第2の動作状態を示す図である。
図4】実施の形態1に係るエレベーターシステムの動作処理例を示すフローチャートである。
図5】実施の形態1に係るエレベーターシステムの主要部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付している。本開示において、重複する説明は、適宜に簡略化または省略する。なお、本開示は、以下に示す実施の形態およびその変形例に限定されることはない。以下の実施の形態およびその変形例で説明する任意の構成要素は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、自由な組み合わせ、変形または省略が可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係るエレベーターシステムの構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るエレベーターシステムは、図1に示すように、エレベーター10、報知装置20、エレベーター管理装置30および移動体管理装置40等を備える。
【0011】
エレベーター10は、かご11、乗り場12および制御装置13等から構成される。エレベーター10のかご11は、自律移動体50と利用者とが同乗可能に構成されている。かご11には、当該かご11を利用者が操作するための操作ボタンおよびエレベーター10の状態を表示するインジケーター等が設けられている。この操作ボタンには、かご11の戸を開閉するための戸開閉ボタンおよび行先階設定ボタン等が含まれる。
【0012】
エレベーター10の乗り場12は、利用者がエレベーター10を操作するための操作ボタンおよびエレベーター10の状態を表示するインジケーター等から構成される。この操作ボタンには、かご11の戸を開閉するための戸開閉ボタンおよび行先階設定ボタン等が含まれる。
【0013】
制御装置13は、エレベーター10を制御する。制御装置13は、例えば、かご11の戸開閉を制御する。なお、制御装置13はエレベーター10の外部機器として構成されてもよいし、制御装置13の機能の一部が外部機器によって実現されてもよい。エレベーター10の制御装置13は、例えば1つまたは複数のサーバ、コンピュータまたはコンピュータシステムなどによって構成される。制御装置13の一部または全部の機能は、クラウドサービス上の処理または記憶のリソースなどによって実装されていてもよい。
【0014】
報知装置20は、利用者に対して報知を行う報知手段の一例である。報知装置20としては、例えば、音声報知機器、表示板あるいは案内板等が該当する。本開示に係る報知手段による報知方法は任意であり、視覚表示によるものでもよいし、音声報知あるいはその他の報知方法でもよい。なお、報知手段の一例である報知装置20は、図1に示す構成例のようにエレベーター10の外部機器として構成されてもよいし、エレベーター10に搭載されている機器であってもよい。報知装置20は、例えば、エレベーター10が設置されている建物が有するデジタルサイネージ等の機器であってもよいし、エレベーター10の乗り場12を構成するインジケーター等の機器であってもよいし、エレベーター10のかご11を構成するインジケーター等の機器であってもよい。また、報知装置20は、例えば、自律移動体50に備えられていてもよい。
【0015】
エレベーター管理装置30は、エレベーター10の制御および管理等を行う装置である。また、本実施の形態において、エレベーター管理装置30は、報知装置20を制御する。移動体管理装置40は、自律移動体50の制御および管理等を行う装置である。
【0016】
本実施の形態において、エレベーター管理装置30および移動体管理装置40は、エレベーター10および報知装置20を、自律移動体50に連携させる。例えば、エレベーター管理装置30は、移動体管理装置40から自律移動体50の制御情報を取得し、取得した情報に基づいてエレベーター10および報知装置20を制御する。本実施の形態におけるエレベーター管理装置30は、本開示に係る連携装置の一例である。なお、エレベーター管理装置30および移動体管理装置40は、互いに別の機器として構成されてもよいし、一体の連携装置として構成されてもよい。
【0017】
エレベーター管理装置30および移動体管理装置40は、例えば1つまたは複数のサーバ、コンピュータまたはコンピュータシステムなどによって構成される。エレベーター管理装置30および移動体管理装置40の一部または全部は、エレベーター10が設置されている施設に設けられていてもよいし、当該施設外に設けられていてもよい。エレベーター管理装置30および移動体管理装置40の一部または全部の機能は、クラウドサービス上の処理または記憶のリソースなどによって実装されていてもよい。
【0018】
連携装置の一例であるエレベーター管理装置30は、エレベーター10を制御するエレベーター制御部31と、報知装置20を制御する報知制御部32と、を備える。エレベーター制御部31は、制御装置13に対して指令を出力する。制御装置13は、エレベーター制御部31からの指令に応じてエレベーター10を動作させる。報知制御部32は、報知装置20に対して指令を出力する。報知装置20は、報知制御部32からの指令に応じて動作する。
【0019】
本実施の形態に係るエレベーター制御部31は、自律移動体50がかご11へ乗車する際にはかご11の戸開を継続させる指令を、エレベーター10の制御装置13に対して出力する。また、エレベーター制御部31は、自律移動体50がかご11へ乗車完了した際にはかご11の戸開の継続を解除させる指令を、エレベーター10の制御装置13に対して出力する。これにより、エレベーター10のかご11の戸は、自律移動体50がかご11へ乗車する際には自動的に開き、自律移動体50がかご11へ乗車完了した際には自動的に閉じる。
【0020】
同様に、エレベーター制御部31は、自律移動体50がかご11から降車する際にはかご11の戸開を継続させる指令を、エレベーター10の制御装置13に対して出力する。エレベーター制御部31は、自律移動体50がかご11から降車完了した際にはかご11の戸開の継続を解除させる指令を、エレベーター10の制御装置13に対して出力する。エレベーター10のかご11の戸は、自律移動体50がかご11から降車する際には自動的に開き、自律移動体50がかご11から降車完了した際には自動的に閉じる。
【0021】
このように、本実施の形態において、エレベーター10のかご11の戸開閉は、自律移動体50の動作に応じて自動的に制御される。このため、エレベーター10の利用者は、自律移動体50の移動に合わせてかご11の戸開閉ボタンを操作する必要がない。本実施の形態に係るエレベーターシステムでは、戸開閉ボタンを操作する必要がないという利用者向け情報を利用者に伝えることで、どうしたらよいかわかりにくいことに伴う利用者の不快感を抑制する。
【0022】
報知制御部32は、自律移動体50がかご11への乗車を開始してから完了するまでかご11の戸開閉ボタンを操作することは不要であることの報知を行わせる指令を、報知装置20に対して出力する。報知装置20は、自律移動体50がかご11への乗車を行っている際、戸開閉ボタンを操作する必要がないことを利用者に伝える。
【0023】
同様に、報知制御部32は、自律移動体50がかご11から降車を開始してから完了するまでかご11の戸開閉ボタンを操作することは不要であることの報知を行わせる指令を、報知装置20に対して出力する。報知装置20は、自律移動体50がかご11から降車を行っている際、戸開閉ボタンを操作する必要がないことを利用者に伝える。
【0024】
以上のように構成されたエレベーターシステムによれば、自律移動体50と利用者とが同乗可能なエレベーター10の利用時における利用者の不快感を抑制することができる。以下では、更に図面を参照して、エレベーターシステムのより具体的な動作例および変形例等について説明する。
【0025】
図2は、実施の形態1に係るエレベーターシステムの第1の動作状態を示す図である。図2は、同階において利用者と自律移動体50とがかご11への乗車を行う例を示している。図3は、実施の形態1に係るエレベーターシステムの第2の動作状態を示す図である。図3は、同階において利用者と自律移動体50とが降車を行う例を示している。
【0026】
利用者は、自律移動体50について情報が得られない場合には、どのように対応すればよいか分からずに不快感を感じてしまう。本実施の形態においては、利用者ファーストであることを、利用者に対して伝える。図2に示すように、同階において自律移動体50と利用者とがかご11へ乗車する場合には、利用者を優先して乗車させる。自律移動体50は、利用者よりも後に乗車する。この際の自律移動体50の動作は、例えば、移動体管理装置40によって制御される。
【0027】
本実施の形態において、報知制御部32は、同階において自律移動体50と利用者とがかご11へ乗車する場合には利用者よりも後に自律移動体が乗車することの報知を行わせる指令を、報知装置20に出力する。報知装置20は、自律移動体50が利用者よりも後に乗車すること、すなわち利用者が優先して乗車してよいこと、を利用者に伝える。この報知によって、利用者は自律移動体50の動作を理解し、利用者と自律移動体50との同乗を円滑に行わせることができる。例えば、利用者と自律移動体50とが同時に乗車しようとすることによる衝突を回避することもできる。本実施の形態によれば、利用者が状況を理解できることで、当該利用者の不快感を抑制できる。更に、上述したように、自律移動体50がかご11への乗車を行っている際には戸開閉ボタンを操作する必要がないことを利用者に伝えることで、当該利用者の無駄な動作をなくして、不快感をより効果的に抑制できる。
【0028】
優先して乗車した利用者がかご11内で自律移動体50の乗車を待っている際、利用者向け情報を利用者へ伝えることで、当該利用者の不快感を抑制することができる。例えば、利用者がかご11内で自律移動体50を待っているときは、待たせていることについての謝罪を報知装置20によって行ってもよい。あるいは、自律移動体50が乗車を完了するまでの時間を報知装置20によって伝えてもよい。利用者の待ち時間を削減するために、エレベーター制御部31は、エレベーター10に、自律移動体50がかご11へ乗車完了すると当該かご11の戸を即時的に閉じさせてもよい。
【0029】
図3に示すように、同階において自律移動体50と利用者とがかご11から降車する場合には、利用者を優先して降車させる。自律移動体50は、利用者よりも後に降車する。同階での降車時においては、利用者が先に降車することで、当該利用者の待ち時間を削減することができる。
【0030】
報知制御部32は、同階において自律移動体50と利用者とがかご11から降車する場合には利用者よりも後に自律移動体が降車することの報知を行わせる指令を、報知装置20に出力する。報知装置20は、自律移動体50が利用者よりも後に降車すること、すなわち利用者が優先して降車してよいこと、を利用者に伝える。この報知によって、利用者は自律移動体50の動作を理解し、利用者と自律移動体50との同階での降車を円滑に行わせることができる。例えば、利用者と自律移動体50とが同時に降車しようとすることによる衝突を回避することもできる。本実施の形態によれば、利用者が状況を理解できることで、当該利用者の不快感を抑制できる。更に、上述したように、自律移動体50がかご11からの降車を行っている際には戸開閉ボタンを操作する必要がないという利用者向け情報を利用者に伝えることで、当該利用者の無駄な動作をなくして、不快感をより効果的に抑制できる。
【0031】
図2では、同階において利用者と自律移動体50とがかご11への乗車を行う例を示しているが、利用者と自律移動体50とがそれぞれ別の階で乗車することもあり得る。自律移動体50がかご11に既に乗っている状態で利用者が別階で後から乗車する場合は、利用者ファーストのルールには合致しない。このような状況においては、既に乗っている自律移動体50を避けて乗車することを利用者に対して報知することが望ましい。
【0032】
また、図3では、同階において利用者と自律移動体50とがかご11から降車を行う例を示しているが、利用者と自律移動体50とがそれぞれ別の階で降車することもあり得る。ある階において利用者は降りないが自律移動体50は降りる場合は、利用者ファーストのルールに合致しない。このような状況においては、報知装置20によって待たせていることの謝罪を利用者に対して行いつつ、戸開閉ボタンは押さなくてよいことを報知するとよい。あるいは、自律移動体50が降車を完了するまでの時間を報知装置20によって伝えてもよい。
【0033】
かご11に乗車する利用者が複数人の場合もあり得る。かご11内に多数の利用者がいる場合において、自律移動体50と利用者との一方であれば乗車できるケース、あるいは、複数人のそれぞれ別の階で乗降するようなケースにおいても、利用者ファーストのルールによる対処を行うことで、利用者の不快感を抑制できる。
【0034】
戸開閉ボタンを操作する必要がないことを利用者に伝えたとしても、当該利用者が状況を正しく把握をできずに戸開閉ボタンを操作してしまう場合があり得る。そこで、利用者による戸開閉ボタンの操作状態を検知し、検知結果に応じた動作を行ってもよい。戸開閉ボタンの操作状態を検知する検知手段の機能は、例えば、制御装置13によって実現できる。当該検知手段の機能は、エレベーター10の外部機器等によって実現されてもよい。
【0035】
一例として、報知制御部32は、自律移動体50がかご11への乗車を開始してから完了するまでの間にかご11の戸開閉ボタンが一定時間以上押し続けられている場合には、戸開閉ボタンを操作することは不要であることの報知を重ねて行わせる指令を報知装置20に出力してもよい。同様に、報知制御部32は、自律移動体50がかご11から降車を開始してから完了するまでの間にかご11の戸開閉ボタンが一定時間以上押し続けられている場合には、戸開閉ボタンを操作することは不要であることの報知を重ねて行わせる指令を報知装置20に出力してもよい。報知を重ねて行うことで、利用者が状況を正しく把握することを補助することができる。
【0036】
別の例として、移動体管理装置40は、自律移動体50がかご11への乗車を開始してから完了するまでの間にかご11の戸開閉ボタンが一定時間以上押し続けられている場合には、自律移動体50のかご11への乗車を中止させてもよい。同様に、自律移動体50がかご11から降車を開始してから完了するまでの間にかご11の戸開閉ボタンが一定時間以上押し続けられている場合には、自律移動体50のかご11からの降車を中止させてもよい。自律移動体50の乗車あるいは降車を中止させることで、利用者が戸開閉ボタンを押し続けてしまうことによるトラブルを回避できる。自律移動体50の乗車あるいは降車を中止させた後には、状態の報知を行ってからかご11の戸を閉じて運行を継続するとよい。
【0037】
報知手段の一例である報知装置20による各種の報知は、常時行われてもよいし、一定時間おきに継続して行われてもよいし、予め設定された規定のタイミングに行われてもよい。報知装置20による各種の報知は、特に、規定のタイミングで行うことが効果的である。規定のタイミングとは、例えば、同階においてかご11に利用者と自律移動体50とが乗車するタイミング、同階においてかご11に利用者と自律移動体50とが降車するタイミング、かご11に既に利用者が乗っている状態において別階で自律移動体50が乗ってくることになったタイミング、かご11に利用者と自律移動体50とが同乗している状態において自律移動体50のみが降車するタイミング、等である。報知のタイミングを限定することで、より効果的に利用者へ情報を伝えることができる。
【0038】
図4は、実施の形態1に係るエレベーターシステムの動作処理例を示すフローチャートである。図4のフローチャートは、利用者と自律移動体50とが同階で乗車を行う際の処理例を示している。
【0039】
利用者と自律移動体50とが同階で乗車を行う場合には、上述したように、利用者ファーストの報知を行う(ステップS101)。この報知は、例えば、エレベーター10の乗り場12において行われる。
【0040】
利用者ファーストの報知の後、利用者が乗車したか否か判定する(ステップS102)。利用者が乗車していない場合には、利用者ファーストの報知をしてから特定の時間以上経過したか否か判定する(ステップS103)。特定の時間以上経過していない場合には、ステップS101およびステップS102の処理を継続する。ステップS103において特定の時間以上経過している場合、および、ステップS102において利用者が乗車を完了している場合には、自律移動体50が乗車を開始する(ステップS104)。
【0041】
自律移動体50が乗車を開始してから完了するまで、戸開閉ボタンを押さなくてよいことを利用者に対して報知する(ステップS105)。戸開閉ボタンを押さなくてよいことを利用者に対して報知した後、利用者が戸開閉ボタンを一定時間以上押し続けていないか判定する(ステップS106)。戸開閉ボタンが押し続けられていない場合には、自律移動体50が乗車を完了することで(ステップS107)、同階における自律移動体50と利用者との同乗処理が終了する。
【0042】
ステップS106で戸開閉ボタンが押し続けられている場合、自律移動体50が乗車を済ませているか判定する(ステップS108)。自律移動体50が乗車を済ませている場合には、同階における自律移動体50と利用者との同乗処理が終了する。自律移動体50が乗車を済ませていない場合には、自律移動体50の乗車を中止させて、かご11の戸を閉める(ステップS109)。これにより、同乗処理が終了する。
【0043】
図5は、実施の形態1に係るエレベーターシステムの主要部のハードウェア構成図である。エレベーターシステムの各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。処理回路は、例えば、エレベーターシステムを構成する機器または装置などに搭載される。
【0044】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、エレベーターシステムの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、エレベーターシステムの各機能を実現する。エレベーターシステムの各機能を実現するプログラムは、複数のコンピュータなどにそれぞれ適用される複数のソフトウェアを含む、ソフトウェアパッケージなどであってもよい。
【0045】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0046】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0047】
エレベーターシステムの各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、エレベーターシステムの各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。エレベーターシステムの各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで入退管理システム1の各機能を実現する。
【0048】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0049】
(付記1)
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターと、
前記利用者に対して報知を行う報知手段と、
前記エレベーターおよび前記報知手段を前記自律移動体に連携させる連携装置と、
を備え、
前記連携装置は、
前記エレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させるエレベーター制御部と、
前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、前記報知手段に、利用者向け情報の報知を行わせる報知制御部と、
備える、エレベーターシステム。
(付記2)
前記利用者向け情報は、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であること、前記利用者を待たせていることについての謝罪および前記自律移動体が乗車を完了するまでの時間の少なくとも1つを含む、付記1に記載のエレベーターシステム。
(付記3)
前記報知制御部は、前記報知手段に、同階において前記自律移動体と前記利用者とが前記かごへ乗車する場合には前記利用者よりも後に前記自律移動体が乗車することの報知を行わせる付記1または付記2に記載のエレベーターシステム。
(付記4)
前記エレベーター制御部は、前記エレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車完了すると前記かごの戸を即時的に閉じさせる付記3に記載のエレベーターシステム。
(付記5)
前記報知制御部は、前記報知手段に、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまでの間に前記かごの戸開閉ボタンが一定時間以上押し続けられている場合には当該戸開閉ボタンを操作することは不要であることの報知を重ねて行わせる付記1から付記4の何れか1項に記載のエレベーターシステム。
(付記6)
前記自律移動体を制御する移動体管理装置を備え、
前記移動体管理装置は、前記自律移動体が前記かごへの乗車を開始してから完了するまでの間に前記かごの戸開閉ボタンが一定時間以上押し続けられている場合には、前記自律移動体の前記かごへの乗車を中止させる付記1から付記4の何れか1項に記載のエレベーターシステム。
(付記7)
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターと、
前記利用者に対して報知を行う報知手段と、
前記エレベーターおよび前記報知手段を前記自律移動体に連携させる連携装置と、
を備え、
前記連携装置は、
前記エレベーターに、前記自律移動体が前記かごから降車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごから降車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させるエレベーター制御部と、
前記自律移動体が前記かごから降車する場合に、前記報知手段に、利用者向け情報の報知を行わせる報知制御部と、
備える、エレベーターシステム。
(付記8)
前記利用者向け情報は、前記自律移動体が前記かごから降車を開始してから完了するまで前記かごの戸開閉ボタンを操作することは不要であること、前記利用者を待たせていることについての謝罪および前記自律移動体が降車を完了するまでの時間の少なくとも1つを含む、付記7に記載のエレベーターシステム。
(付記9)
前記報知制御部は、前記報知手段に、同階において前記自律移動体と前記利用者とが前記かごから降車する場合には前記利用者よりも後に前記自律移動体が降車することの報知を行わせる付記7または付記8に記載のエレベーターシステム。
(付記10)
前記報知制御部は、前記報知手段に、前記自律移動体が前記かごから降車を開始してから完了するまでの間に前記かごの戸開閉ボタンが一定時間以上押し続けられている場合には当該戸開閉ボタンを操作することは不要であることの報知を重ねて行わせる付記7から付記9の何れか1項に記載のエレベーターシステム。
(付記11)
前記自律移動体を制御する移動体管理装置を備え、
前記移動体管理装置は、前記自律移動体が前記かごから降車を開始してから完了するまでの間に前記かごの戸開閉ボタンが一定時間以上押し続けられている場合には、前記自律移動体の前記かごからの降車を中止させる付記7から付記9の何れか1項に記載のエレベーターシステム。
(付記12)
前記報知手段は、前記エレベーターに備えられている付記1から付記11の何れか1項に記載のエレベーターシステム。
(付記13)
前記報知手段は、前記エレベーターの乗り場に備えられている付記12に記載のエレベーターシステム。
(付記14)
前記報知手段は、前記かごに備えられている付記12に記載のエレベーターシステム。
(付記15)
前記報知手段は、前記自律移動体に備えられている付記1から付記11の何れか1項に記載のエレベーターシステム。
(付記16)
前記報知手段による利用者への報知は、予め設定された規定のタイミングにおいて行われる付記1から付記15の何れか1項に記載のエレベーターシステム。
(付記17)
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させるエレベーター制御部と、
前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、利用者に対して報知を行う報知手段に、利用者向け情報の報知を行わせる報知制御部と、
を備える、連携装置。
(付記18)
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごから降車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごから降車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させるエレベーター制御部と、
前記自律移動体が前記かごから降車する場合に、利用者に対して報知を行う報知手段に、利用者向け情報の報知を行わせる報知制御部と、
を備える、連携装置。
(付記19)
自律移動体と利用者とが同乗可能なかごと、
前記かごの戸開閉を制御する制御装置と、
前記利用者に対して報知を行う報知手段と、
を備え、
前記制御装置は、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際に前記かごの戸開を継続し、前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際に前記かごの戸開の継続を解除し、
前記報知手段は、前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、利用者向け情報を報知する、エレベーター。
(付記20)
自律移動体と利用者とが同乗可能なかごと、
前記かごの戸開閉を制御する制御装置と、
前記利用者に対して報知を行う報知手段と、
を備え、
前記制御装置は、前記自律移動体が前記かごから降車する際に前記かごの戸開を継続し、前記自律移動体が前記かごから降車完了した際に前記かごの戸開の継続を解除し、
前記報知手段は、前記自律移動体が前記かごから降車する場合に、利用者向け情報を報知する、エレベーター。
(付記21)
コンピュータまたはコンピュータシステムが、
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させることと、
利用者に対して報知を行う報知手段に、前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、利用者向け情報の報知を行わせることと、
を実行する、連携方法。
(付記22)
コンピュータまたはコンピュータシステムが、
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごから降車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごから降車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させることと、
利用者に対して報知を行う報知手段に、前記自律移動体が前記かごから降車する場合に、利用者向け情報の報知を行わせることと、
を実行する、連携方法。
(付記23)
コンピュータまたはコンピュータシステムに、
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させることと、
利用者に対して報知を行う報知手段に、前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、利用者向け情報の報知を行わせることと、
を実行させる、連携プログラム。
(付記24)
コンピュータまたはコンピュータシステムに、
自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターに、前記自律移動体が前記かごから降車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごから降車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させることと、
利用者に対して報知を行う報知手段に、前記自律移動体が前記かごから降車する場合に、利用者向け情報の報知を行わせることと、
を実行させる、連携プログラム。
【符号の説明】
【0050】
10 エレベーター、 11 かご、 12 乗り場、 13 制御装置、 20 報知装置、 30 エレベーター管理装置、 31 エレベーター制御部、 32 報知制御部、 40 移動体管理装置、 50 自律移動体、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア
【要約】
【課題】自律移動体と利用者とが同乗可能なエレベーターの利用時における利用者の不快感を抑制する。
【解決手段】エレベーターシステムは、自律移動体と利用者とがかごに同乗可能なエレベーターと、前記利用者に対して報知を行う報知手段と、前記エレベーターおよび前記報知手段を前記自律移動体に連携させる連携装置と、を備える。前記連携装置は、前記エレベーターに、前記自律移動体が前記かごへ乗車する際には前記かごの戸開を継続させて前記自律移動体が前記かごへ乗車完了した際には前記かごの戸開の継続を解除させるエレベーター制御部と、前記自律移動体が前記かごへ乗車する場合に、前記報知手段に、利用者向け情報の報知を行わせる報知制御部と、備える。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5