IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイテクトの特許一覧

特許7548415補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置
<>
  • 特許-補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置 図1
  • 特許-補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置 図2
  • 特許-補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置 図3
  • 特許-補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置 図4
  • 特許-補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置 図5
  • 特許-補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置 図6
  • 特許-補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置 図7
  • 特許-補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置 図8
  • 特許-補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置 図9
  • 特許-補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置 図10
  • 特許-補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置 図11
  • 特許-補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/033 20060101AFI20240903BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20240903BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B60R16/033 C
B62D5/04
H02J7/34 G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023506692
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2021011496
(87)【国際公開番号】W WO2022195879
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】遠江 知徳
(72)【発明者】
【氏名】三尾 巧美
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文彦
(72)【発明者】
【氏名】篠田 智史
(72)【発明者】
【氏名】仁田 大揮
(72)【発明者】
【氏名】太田 康平
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-108286(JP,A)
【文献】特開2004-345413(JP,A)
【文献】特開2004-276833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/033
B62D 5/04
H02J 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源の電力を、複数の給電系統を有する給電対象に供給する補助電源ユニットであって、
前記外部電源から前記給電対象へ電力を供給する給電経路の途中に配置される補助電源装置と、
前記給電経路の一部を構成する給電線群であって、前記補助電源装置を前記給電対象に接続する給電線群と、を備え、
前記補助電源装置は、
前記外部電源から前記給電対象への電力供給を補助するべく、前記給電経路に設けられた補助電源と、
前記給電経路に対する前記補助電源の接続状態を切り替えるように構成された切替回路と、を備え、
前記補助電源の接続状態は、前記外部電源と前記給電対象との間で前記補助電源を前記外部電源と直列に接続するブースト状態を含み、
前記給電線群は、前記複数の給電系統に接続される複数の個別給電線を含み、
前記複数の個別給電線の各々の上流側端部は、前記補助電源よりも下流側において前記給電経路に接続され、
前記補助電源装置は、前記ブースト状態で、前記補助電源よりも下流側に位置するように前記給電経路に設けられた昇圧回路をさらに備え、
前記複数の個別給電線の各々の上流側端部は、前記昇圧回路よりも下流側において前記給電経路に接続され、
前記給電経路は、前記昇圧回路から前記上流側端部までの間に、電力を送るための配線のみを有する、補助電源ユニット。
【請求項2】
外部電源の電力を、複数の給電系統を有する給電対象に供給する補助電源ユニットであって、
前記外部電源から前記給電対象へ電力を供給する給電経路の途中に配置される補助電源装置と、
前記給電経路の一部を構成する給電線群であって、前記補助電源装置を前記給電対象に接続する給電線群と、を備え、
前記補助電源装置は、
前記外部電源から前記給電対象への電力供給を補助するべく、前記給電経路に設けられた補助電源と、
前記給電経路に対する前記補助電源の接続状態を切り替えるように構成された切替回路と、を備え、
前記補助電源の接続状態は、前記外部電源と前記給電対象との間で前記補助電源を前記外部電源と直列に接続するブースト状態を含み、
前記給電線群は、前記複数の給電系統に接続される複数の個別給電線を含み、
前記複数の個別給電線の各々の上流側端部は、前記補助電源よりも下流側において前記給電経路に接続され、
前記外部電源は、第1電源と第2電源とを含み、
前記給電経路は、前記第1電源から前記給電対象へ電力を供給する第1給電経路と、前記第2電源から前記給電対象へ電力を供給する第2給電経路と、を含み、
前記給電線群は、
前記第1給電経路の一部を構成する第1給電線群であって、前記補助電源装置を前記給電対象に接続する第1給電線群と、
前記第2給電経路の一部を構成する第2給電線群であって、前記補助電源装置を前記給電対象に接続する第2給電線群と、を含み、
前記補助電源は、
前記第1電源から前記給電対象への電力供給を補助するべく、前記第1給電経路に設けられた第1補助電源と、
前記第2電源から前記給電対象への電力供給を補助するべく、前記第2給電経路に設けられた第2補助電源と、を含み、
前記切替回路は、
前記第1給電経路に対する前記第1補助電源の接続状態を切り替えるように構成された第1切替回路と、
前記第2給電経路に対する前記第2補助電源の接続状態を切り替えるように構成された第2切替回路と、を含み、
前記第1給電線群は、複数の第1個別給電線を含み、
前記第2給電線群は、複数の第2個別給電線を含み、
前記複数の第1個別給電線の各々の上流側端部は、前記第1補助電源よりも下流側において前記第1給電経路に接続され、
前記複数の第2個別給電線の各々の上流側端部は、前記第2補助電源よりも下流側において前記第2給電経路に接続され、
前記補助電源装置は、
前記ブースト状態で、前記第1補助電源よりも下流側に位置するように前記第1給電経路に設けられた第1昇圧回路と、
前記ブースト状態で、前記第2補助電源よりも下流側に位置するように前記第2給電経路に設けられた第2昇圧回路と、
前記第1昇圧回路から出力される出力電圧と前記第2昇圧回路から出力される出力電圧とが互いに等しくなるように、前記第1昇圧回路及び前記第2昇圧回路を制御するように構成された昇圧制御回路と、をさらに備え、
前記複数の第1個別給電線の各々の上流側端部は、前記第1昇圧回路よりも下流側において前記第1給電経路に接続され、
前記複数の第2個別給電線の各々の上流側端部は、前記第2昇圧回路よりも下流側において前記第2給電経路に接続される、補助電源ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の補助電源ユニットにおいて、
前記補助電源の接続状態は、前記外部電源に対して前記補助電源を前記給電対象と並列に接続する充電状態をさらに含む、補助電源ユニット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の補助電源ユニットにおいて、
前記補助電源の接続状態は、前記外部電源から前記補助電源を切り離すとともに前記補助電源を前記給電対象に接続するバックアップ状態をさらに含む、補助電源ユニット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の補助電源ユニットにおいて、
前記補助電源装置は、前記切替回路を制御するように構成された切替制御回路をさらに備え、
前記切替制御回路は、前記外部電源が正常であり、かつ前記給電対象に大きな電力を供給する条件が成立する場合に、前記補助電源の接続状態が前記ブースト状態となるように前記切替回路を制御する、補助電源ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の補助電源ユニットにおいて、
前記給電対象は、車両に搭載される操舵装置の駆動源であるモータユニットであり、
前記条件は、
車速が走行判定閾値以下であることと、
ステアリングホイールの操舵速度が操舵実行判定閾値以上であることと、を含む第1条件である、補助電源ユニット。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の補助電源ユニットにおいて、
前記給電対象は、車両に搭載される操舵装置の駆動源であるモータユニットであり、
前記条件は、ステアリングホイールの操舵速度が高速操舵判定閾値以上であることを含む第2条件である、補助電源ユニット。
【請求項8】
外部電源の電力を、複数の給電系統を有する給電対象に供給する補助電源ユニットの制御方法であって、
前記補助電源ユニットは、
前記外部電源から前記給電対象へ電力を供給する給電経路の途中に配置される補助電源装置と、
前記給電経路の一部を構成する給電線群であって、前記補助電源装置を前記給電対象に接続する給電線群と、を備え、
前記補助電源装置は、
前記外部電源から前記給電対象への電力供給を補助するべく、前記給電経路に設けられた補助電源と、
前記給電経路に対する前記補助電源の接続状態を切り替えるように構成された切替回路と、を備え、
前記補助電源の接続状態は、前記外部電源と前記給電対象との間で前記補助電源を前記外部電源と直列に接続するブースト状態を含み、
前記給電線群は、前記複数の給電系統に接続される複数の個別給電線を含み、
前記複数の個別給電線の各々の上流側端部は、前記補助電源よりも下流側において前記給電経路に接続され、
前記補助電源装置は、前記ブースト状態で、前記補助電源よりも下流側に位置するように前記給電経路に設けられた昇圧回路をさらに備え、
前記複数の個別給電線の各々の上流側端部は、前記昇圧回路よりも下流側において前記給電経路に接続され、
前記給電経路は、前記昇圧回路から前記上流側端部までの間に、電力を送るための配線のみを有するものであって、
前記制御方法は、
前記外部電源が正常であるか否かを判定することと、
前記給電対象に大きな電力を供給する条件が成立するか否かを判定することと、
前記外部電源の電圧が正常であり、かつ前記条件が成立した場合に、前記補助電源の接続状態が前記ブースト状態となるように前記切替回路を制御することと、を含む、補助電源ユニットの制御方法。
【請求項9】
外部電源の電力を、複数の給電系統を有する給電対象に供給する補助電源ユニットの制御方法であって、
前記補助電源ユニットは、
前記外部電源から前記給電対象へ電力を供給する給電経路の途中に配置される補助電源装置と、
前記給電経路の一部を構成する給電線群であって、前記補助電源装置を前記給電対象に接続する給電線群と、を備え、
前記補助電源装置は、
前記外部電源から前記給電対象への電力供給を補助するべく、前記給電経路に設けられた補助電源と、
前記給電経路に対する前記補助電源の接続状態を切り替えるように構成された切替回路と、を備え、
前記補助電源の接続状態は、前記外部電源と前記給電対象との間で前記補助電源を前記外部電源と直列に接続するブースト状態を含み、
前記給電線群は、前記複数の給電系統に接続される複数の個別給電線を含み、
前記複数の個別給電線の各々の上流側端部は、前記補助電源よりも下流側において前記給電経路に接続され、
前記外部電源は、第1電源と第2電源とを含み、
前記給電経路は、前記第1電源から前記給電対象へ電力を供給する第1給電経路と、前記第2電源から前記給電対象へ電力を供給する第2給電経路と、を含み、
前記給電線群は、
前記第1給電経路の一部を構成する第1給電線群であって、前記補助電源装置を前記給電対象に接続する第1給電線群と、
前記第2給電経路の一部を構成する第2給電線群であって、前記補助電源装置を前記給電対象に接続する第2給電線群と、を含み、
前記補助電源は、
前記第1電源から前記給電対象への電力供給を補助するべく、前記第1給電経路に設けられた第1補助電源と、
前記第2電源から前記給電対象への電力供給を補助するべく、前記第2給電経路に設けられた第2補助電源と、を含み、
前記切替回路は、
前記第1給電経路に対する前記第1補助電源の接続状態を切り替えるように構成された第1切替回路と、
前記第2給電経路に対する前記第2補助電源の接続状態を切り替えるように構成された第2切替回路と、を含み、
前記第1給電線群は、複数の第1個別給電線を含み、
前記第2給電線群は、複数の第2個別給電線を含み、
前記複数の第1個別給電線の各々の上流側端部は、前記第1補助電源よりも下流側において前記第1給電経路に接続され、
前記複数の第2個別給電線の各々の上流側端部は、前記第2補助電源よりも下流側において前記第2給電経路に接続され、
前記補助電源装置は、
前記ブースト状態で、前記第1補助電源よりも下流側に位置するように前記第1給電経路に設けられた第1昇圧回路と、
前記ブースト状態で、前記第2補助電源よりも下流側に位置するように前記第2給電経路に設けられた第2昇圧回路と、
前記第1昇圧回路から出力される出力電圧と前記第2昇圧回路から出力される出力電圧とが互いに等しくなるように、前記第1昇圧回路及び前記第2昇圧回路を制御するように構成された昇圧制御回路と、をさらに備え、
前記複数の第1個別給電線の各々の上流側端部は、前記第1昇圧回路よりも下流側において前記第1給電経路に接続され、
前記複数の第2個別給電線の各々の上流側端部は、前記第2昇圧回路よりも下流側において前記第2給電経路に接続されるものであって、
前記制御方法は、
前記外部電源が正常であるか否かを判定することと、
前記給電対象に大きな電力を供給する条件が成立するか否かを判定することと、
前記外部電源の電圧が正常であり、かつ前記条件が成立した場合に、前記補助電源の接続状態が前記ブースト状態となるように前記切替回路を制御することと、を含む、補助電源ユニットの制御方法。
【請求項10】
複数の給電系統を有するモータユニットと、
外部電源の電力を前記モータユニットに供給する請求項1~7のいずれか一項に記載の補助電源ユニットと、を備える、操舵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1のように、安全性を確保する観点から、駆動システムを冗長化した車両用操舵装置がある。同文献の車両用操舵装置は、転舵力を発生させる2つの転舵モータと、それぞれ対応する転舵モータを制御する2つの制御部と、2つの電源とを備えている。通常時には、各制御部は、2つの電源のうちの一方の電力に基づいて対応する転舵モータを駆動する。一方、2つの電源のうちの一方に異常が発生した場合には、各制御部は、他方の電源の電力に基づいて対応する転舵モータを駆動する。これにより、電源の1つに異常が発生した場合でも、継続して2つの転舵モータによって転舵輪を転舵させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-276833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば車両の停止時にステアリング操作を行ういわゆる据え切りを行った場合、あるいは車両の走行時に障害物を避けるための緊急操舵を行った場合等には、大きな転舵力を発生させるべく、電源から一時的に大きな電力を転舵モータに供給する必要が生じる。こうした電力要求に対応するためには、大きな容量を有する電源を採用しなければならず、例えば電源の大型化を招く。
【0005】
なお、操舵装置の駆動源として用いられるモータに電力を供給する場合に限らず、例えば他の用途に用いられるモータのような任意の給電対象であっても、一時的に電力要求が増大する場合には、同様の問題が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る補助電源ユニットは、外部電源の電力を、複数の給電系統を有する給電対象に供給する。補助電源ユニットは、前記外部電源から前記給電対象へ電力を供給する給電経路の途中に配置される補助電源装置と、前記給電経路の一部を構成する給電線群であって、前記補助電源装置を前記給電対象に接続する給電線群と、を備える。前記補助電源装置は、前記外部電源から前記給電対象への電力供給を補助するべく、前記給電経路に設けられた補助電源と、前記給電経路に対する前記補助電源の接続状態を切り替えるように構成された切替回路と、を備える。前記補助電源の接続状態は、前記外部電源と前記給電対象との間で前記補助電源を前記外部電源と直列に接続するブースト状態を含む。前記給電線群は、前記複数の給電系統に接続される複数の個別給電線を含む。前記複数の個別給電線の各々の上流側端部は、前記補助電源よりも下流側において前記給電経路に接続される。
【0007】
本開示の一態様に係る補助電源ユニットの制御方法は、外部電源の電力を、複数の給電系統を有する給電対象に供給するためのものである。前記補助電源ユニットは、前記外部電源から前記給電対象へ電力を供給する給電経路の途中に配置される補助電源装置と、前記給電経路の一部を構成する給電線群であって、前記補助電源装置を前記給電対象に接続する給電線群と、を備える。前記補助電源装置は、前記外部電源から前記給電対象への電力供給を補助するべく、前記給電経路に設けられた補助電源と、前記給電経路に対する前記補助電源の接続状態を切り替えるように構成された切替回路と、を備える。前記補助電源の接続状態は、前記外部電源と前記給電対象との間で前記補助電源を前記外部電源と直列に接続するブースト状態を含む。前記給電線群は、前記複数の給電系統に接続される複数の個別給電線を含む。前記複数の個別給電線の各々は、前記補助電源よりも下流側において前記給電経路に接続されるものである。前記制御方法は、前記外部電源が正常であるか否かを判定することと、前記給電対象に大きな電力を供給する条件が成立するか否かを判定することと、前記外部電源の電圧が正常であり、かつ前記条件が成立した場合に、前記補助電源の接続状態が前記ブースト状態となるように前記切替回路を制御することと、を含む。
【0008】
本開示の一態様に係る操舵装置は、複数の給電系統を有するモータユニットと、外部電源の電力を前記モータユニットに供給する本開示のいずれかの態様に係る補助電源ユニットと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の補助電源ユニットを有する操舵装置の概略構成を示す図である。
図2図1の操舵装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3図2の補助電源ユニットの電気的構成を示すブロック図である。
図4図2の補助電源ユニットの補助電源制御部による補助電源の接続状態を決定するための処理手順を示すフローチャートである。
図5図2の補助電源ユニットにおける補助電源の接続状態を充電状態とした場合の電力供給を示す説明図である。
図6図2の補助電源ユニットにおける補助電源の接続状態をバックアップ状態とした場合の電力供給を示す説明図である。
図7図2の補助電源ユニットにおける補助電源の接続状態をブースト状態とした場合の電力供給を示す説明図である。
図8】第2実施形態の補助電源ユニットの電気的構成を示すブロック図である。
図9図8の補助電源ユニットにおける第1補助電源及び第2補助電源の各々の接続状態を充電状態とした場合の電力供給を示す説明図である。
図10図8の補助電源ユニットにおける第1補助電源の接続状態をバックアップ状態とし、第2補助電源の接続状態を充電状態とした場合の電力供給を示す説明図である。
図11図8の補助電源ユニットにおける第1補助電源の接続状態を充電状態とし、第2補助電源の接続状態をバックアップ状態とした場合の電力供給を示す説明図である。
図12図8の補助電源ユニットにおける第1補助電源及び第2補助電源の各々の接続状態をブースト状態とした場合の電力供給を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置の第1実施形態を図面に従って説明する。本実施形態の補助電源ユニット1は、車両に搭載される操舵装置2に電力を供給する。
【0011】
(全体構成)
図1に示すように、操舵装置2はステアバイワイヤ式の操舵装置である。操舵装置2は、ステアリングホイール3を介して運転者により操作される反力ユニット4と、運転者による反力ユニット4の操作に応じて転舵輪5を転舵させる転舵ユニット6とを備えている。操舵装置2は、反力ユニット4と、転舵ユニット6との間の動力伝達路が機械的に常時分離した構造を有している。
【0012】
反力ユニット4は、ステアリングホイール3が連結されるステアリングシャフト11と、ステアリングホイール3に対してステアリング操作に抗する操作反力を付与する反力アクチュエータ12とを備えている。
【0013】
反力アクチュエータ12は、反力モータユニット13と、反力側減速機14とを備えている。反力モータユニット13は、反力モータ15と、反力モータ15を制御する反力制御装置16とを備えている。反力モータ15は、反力側減速機14を介してステアリングシャフト11に連結されている。これにより、反力モータ15のモータトルクは、ステアリングシャフト11を介してステアリングホイール3に付与される。
【0014】
転舵ユニット6は、第1ピニオン軸21と、第1ピニオン軸21に連結されたラック軸22とを備えている。第1ピニオン軸21はラック軸22に対して所定の交差角で交差するように配置されている。第1ピニオン軸21は第1ピニオン歯21aを有しており、ラック軸22は第1ラック歯22aを有している。第1ピニオン歯21aが第1ラック歯22aと噛合することにより、第1ピニオン軸21がラック軸22に連結されている。つまり、第1ピニオン軸21とラック軸22とにより第1ラックアンドピニオン機構が構成されている。これにより、第1ピニオン軸21は、ラック軸22の往復動に応じて回転する。ラック軸22の両端には、ボールジョイント23を介してタイロッド24がそれぞれ連結されている。各タイロッド24の先端は、転舵輪5が組み付けられた図示しないナックルに連結されている。
【0015】
また、転舵ユニット6は、転舵輪5を転舵させる転舵力を付与する転舵アクチュエータ31を備えている。転舵アクチュエータ31は、転舵モータユニット32と、転舵側減速機33と、第2ピニオン軸34とを備えている。転舵モータユニット32は、転舵モータ35と、転舵モータ35を制御する転舵制御装置36とを備えている。転舵モータ35は、転舵側減速機33を介して第2ピニオン軸34に連結されている。第2ピニオン軸34は第2ピニオン歯34aを有しており、ラック軸22は第2ラック歯22bを有している。第2ピニオン歯34aが第2ラック歯22bと噛合することにより、第2ピニオン軸34がラック軸22に連結されている。つまり、第2ピニオン軸34とラック軸22とにより第2ラックアンドピニオン機構が構成されている。
【0016】
転舵モータ35のモータトルクは、転舵側減速機33を介して第2ピニオン軸34に伝達される。第2ピニオン軸34に伝達されたトルクは、第2ラックアンドピニオン機構を介してラック軸22の往復動に変換される。これにより、転舵アクチュエータ31は、転舵ユニット6に転舵力を付与する。
【0017】
このように構成された操舵装置2では、運転者によるステアリング操作に応じて転舵アクチュエータ31から転舵力が付与される。これにより、ラック軸22が往復動し、転舵輪5の転舵角が変更される。このとき、運転者のステアリング操作に抗する操作反力が、反力アクチュエータ12からステアリングホイール3に付与される。
【0018】
次に、操舵装置2の電気的構成について説明する。
【0019】
図1及び図2に示すように、反力制御装置16と転舵制御装置36とは、互いに通信可能に接続されている。反力制御装置16及び転舵制御装置36には、各種のセンサの検出結果が入力される。各種のセンサには、例えば後述する車速センサ41、電圧センサ42及び反力モータ15の回転角センサ43が含まれる。また、各種のセンサには、例えば図示しない転舵モータ35の回転角センサやトルクセンサ等が含まれる。
【0020】
車速センサ41は、車両の走行速度である車速SPを検出する。電圧センサ42は、外部電源45の電源電圧Vbを検出する。外部電源45は、車両に搭載された二次電池である。反力モータ15の回転角センサ43は、反力モータ15の回転軸の回転角θsを360°の範囲内の相対角で検出する。転舵モータ35の回転角センサは、転舵モータ35の回転軸の回転角を相対角で検出する。トルクセンサは、ステアリングシャフト11に付与された操舵トルクを検出する。
【0021】
反力制御装置16は、上記各種センサの検出結果に基づいて、操作反力の目標値である反力制御量を演算する。反力制御装置16は、反力制御量に基づいて、反力モータ15に対する電力の供給を制御する。転舵制御装置36は、上記各種センサの検出結果に基づいて、転舵力の目標値である転舵制御量を演算する。転舵制御装置36は、転舵制御量に基づいて、転舵モータ35に対する電力の供給を制御する。反力モータ15に供給される電力、及び転舵モータ35に供給される電力は、それぞれ外部電源45から補助電源ユニット1を介して供給される。
【0022】
次に、補助電源ユニット1、及びその給電対象であるモータユニット13,32の構成について説明する。
【0023】
(反力モータユニット13)
図2に示すように、反力モータユニット13の反力モータ15は、ロータ51と、図示しないステータに巻回された第1コイル群52a及び第2コイル群52bとを備えている。一例として、反力モータ15は、三相の表面磁石同期モータである。第1コイル群52a及び第2コイル群52bは、U、V、Wの三相のコイルをそれぞれ有している。反力制御装置16は、第1駆動回路53aと、第2駆動回路53bと、第1駆動回路53a及び第2駆動回路53bを制御する反力制御部54とを備えている。反力制御部54は、図示しない中央処理装置(CPU)やメモリを備えている。反力制御部54による各種制御は、所定の演算周期ごとにメモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することによって実行される。一例として、第1駆動回路53a及び第2駆動回路53bは、複数のスイッチング素子を有する典型的なPWMインバータである。
【0024】
第1コイル群52aは、第1接続線55aを介して第1駆動回路53aに接続されている。第2コイル群52bは、第2接続線55bを介して第2駆動回路53bに接続されている。これにより、第1コイル群52a及び第2コイル群52bには、それぞれ独立して電力が供給される。つまり、反力モータユニット13は、複数の給電系統を有している。一例として、反力モータ15にて発生することが要求される操作反力は、第1コイル群52aにより発生するトルクと第2コイル群52bにより発生するトルクとで半分ずつ賄われる。
【0025】
第1コイル群52aに電力を供給する第1給電系統は、第1駆動回路53a及び第1接続線55aを含む。第2コイル群52bに電力を供給する第2給電系統は、第2駆動回路53b及び第2接続線55bを含む。なお、図2では、説明の便宜上、各相の第1接続線55a及び第2接続線55bをそれぞれ1つにまとめて図示している。
【0026】
反力制御部54は、上記反力制御量を演算する過程において、ステアリングホイール3の操舵速度ωhを演算し、補助電源ユニット1に出力する。具体的には、反力制御部54には、回転角センサ43により検出される反力モータ15の回転角θsが入力される。反力制御部54は、例えばステアリング中点からの反力モータ15の回転数をカウントし、ステアリング中点を原点として回転角θsを積算することにより積算角を演算する。なお、ステアリング中点は、ステアリングホイール3が操舵可能範囲の中心にあるときの操舵角θhである。続いて、反力制御部54は、この積算角に対して、反力側減速機14の回転速度比に基づく換算係数を乗算することにより、操舵角θhを演算する。そして、この操舵角θhを微分することにより、操舵速度ωhを演算する。
【0027】
(転舵モータユニット32)
転舵モータユニット32は、反力モータユニット13と同様に構成されている。すなわち、転舵モータ35は、ロータ61と、図示しないステータに巻回された第1コイル群62a及び第2コイル群62bとを備えている。転舵制御装置36は、第1駆動回路63aと、第2駆動回路63bと、第1駆動回路63a及び第2駆動回路63bを制御する転舵制御部64とを備えている。そして、第1コイル群62aは第1接続線65aを介して第1駆動回路63aに接続され、第2コイル群62bは第2接続線65bを介して第2駆動回路63bに接続されている。つまり、転舵モータユニット32は、複数の給電系統を有している。
【0028】
第1コイル群62aに電力を供給する第1給電系統は、第1駆動回路63a及び第1接続線65aを含む。第2コイル群62bに電力を供給する第2給電系統は、第2駆動回路63b及び第2接続線65bを含む。なお、図2では、説明の便宜上、各相の第1接続線65a及び第2接続線65bをそれぞれ1つにまとめて図示している。
【0029】
(補助電源ユニット1)
補助電源ユニット1は、外部電源45の電力をモータユニット13,32に供給する。補助電源ユニット1は、補助電源装置71と、下流側給電線群72とを備えている。
【0030】
補助電源装置71は、外部電源45からモータユニット13,32へ電力を供給する給電経路の途中に設けられている。給電経路は、外部電源45を補助電源装置71に接続する上流側給電線群73と、補助電源装置71をモータユニット13,32に接続する下流側給電線群72と、後述する補助電源装置71内の中間給電線群74とを含む。つまり、下流側給電線群72は、給電経路の一部を構成する。なお、補助電源ユニット1と、反力制御装置16と、転舵制御装置36とを含む構成を電源システムとして参照することがある。
【0031】
上流側給電線群73は、上流側制御線81と、上流側駆動線82と、上流側グランド線83とを含む。上流側駆動線82及び上流側制御線81は、それぞれ補助電源装置71を外部電源45の高電位端子に接続している。上流側制御線81の途中には、車両の起動スイッチに応じてオンオフするリレースイッチ84が設けられている。一例として、起動スイッチは、イグニッションスイッチである。上流側グランド線83は、補助電源装置71をグランドに接続している。
【0032】
下流側給電線群72は、第1下流側駆動線91aと、第2下流側駆動線91bと、下流側制御線92とを含む。第1下流側駆動線91aは、補助電源装置71を反力モータユニット13及び転舵モータユニット32の各々の第1給電系統に接続している。すなわち、第1下流側駆動線91aは、補助電源装置71を第1駆動回路53a,63aに接続している。第2下流側駆動線91bは、補助電源装置71を反力モータユニット13及び転舵モータユニット32の各々の第2給電系統に接続している。すなわち、第2下流側駆動線91bは、補助電源装置71を第2駆動回路53b,63bに接続している。下流側制御線92は、補助電源装置71を反力制御部54及び転舵制御部64に接続している。
【0033】
補助電源装置71には、各種のセンサの検出結果が入力される。各種のセンサには、車速センサ41及び電圧センサ42が含まれる。つまり、補助電源装置71には、車速SP及び電源電圧Vbが入力される。また、補助電源装置71には、反力制御部54から操舵速度ωhが入力される。補助電源装置71は、これらの状態量に基づいて、モータユニット13,32に電力を供給する。
【0034】
次に、補助電源装置71及び下流側給電線群72の構成について詳細に説明する。
【0035】
(補助電源装置71)
図3に示すように、補助電源装置71は、上流側給電線群73と下流側給電線群72とを互いに接続する中間給電線群74を備えている。中間給電線群74は、上流側制御線81に接続される中間制御線101と、上流側駆動線82に接続される中間駆動線102と、上流側グランド線83に接続される中間グランド線103とを含む。また、補助電源装置71は、補助電源111と、補助電源制御部112と、レギュレータ113と、切替回路114と、降圧回路115と、昇圧回路116と、内部用選択回路117と、外部用選択回路118とを備えている。これらの各種回路は、対応する線に接続されている。なお、以下の説明において、中間給電線群74の線における上流側給電線群73に接続される側を上流側とし、反対側を下流側とする。
【0036】
詳しくは、中間制御線101は、レギュレータ113に接続された内部用中間制御線121と、内部用中間制御線121の途中から分岐した外部用中間制御線122とを有している。外部用中間制御線122は、下流側制御線92に接続されている。
【0037】
レギュレータ113は、外部電源45から供給される電源電圧Vbを予め設定された制御用の電圧に調整する。レギュレータ113には、補助電源制御部112が接続されている。
【0038】
補助電源制御部112は、レギュレータ113から供給される電圧に基づいて作動する。補助電源制御部112は、図示しない中央処理装置(CPU)やメモリを備えている。補助電源制御部112による各種制御は、所定の演算周期ごとにメモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することによって実行される。補助電源制御部112には、車速SP、電源電圧Vb及び操舵速度ωhが入力される。補助電源制御部112は、これらの状態量に基づいて、補助電源装置71内に設けられた切替回路114を含む各種回路を制御する。つまり、補助電源制御部112は、切替制御回路に相当する。なお、説明の便宜上、補助電源制御部112から出力される信号を示す線は、図示していない。具体的な制御方法については、後述する。
【0039】
補助電源111及び切替回路114は、中間駆動線102と中間グランド線103との間に配置されている。補助電源111は、外部電源45からモータユニット13,32への電力供給を補助する。補助電源111は、二次電池と同様の機能を有するキャパシタである。一例として、補助電源111はリチウムイオンキャパシタである。
【0040】
切替回路114は、給電経路、すなわち中間駆動線102及び中間グランド線103に対する補助電源111の接続状態を切り替えるように構成されている。補助電源111の接続状態は、充電状態と、バックアップ状態と、ブースト状態とを含む。充電状態は、外部電源45に対して補助電源111をモータユニット13,32と並列に接続する状態である。バックアップ状態は、外部電源45から補助電源111を切り離すとともに補助電源111をモータユニット13,32に接続する状態である。ブースト状態は、外部電源45とモータユニット13,32との間で補助電源111を外部電源45と直列に接続する状態である。
【0041】
具体的には、切替回路114は、ブースト線131と、充電線132と、出力線133と、第1~第5スイッチ134~138とを備えている。ブースト線131の一端は、中間駆動線102に接続され、ブースト線131の他端は、中間グランド線103に接続されている。充電線132の一端は、ブースト線131の接続点よりも下流側に位置する接続点において中間駆動線102に接続され、充電線132の他端は、補助電源111の高電位端子に接続されている。出力線133の一端は、充電線132の接続点よりも下流側に位置する接続点において中間駆動線102に接続され、出力線133の他端は、補助電源111の高電位端子に接続されている。補助電源111の低電位端子は、ブースト線131の接続点よりも下流側に位置する接続点において中間グランド線103に接続されている。
【0042】
第1スイッチ134は、ブースト線131の接続点よりも上流側に位置するように中間グランド線103に設けられている。第2スイッチ135は、ブースト線131の途中に設けられている。第3スイッチ136は、充電線132の途中に設けられている。第4スイッチ137は、出力線133の途中に設けられている。第5スイッチ138は、充電線132の接続点と出力線133の接続点との間に位置するように中間駆動線102に設けられている。
【0043】
これにより、第3スイッチ136及び第5スイッチ138がオンであり、第1スイッチ134、第2スイッチ135及び第4スイッチ137がオフである場合に、補助電源111の接続状態が充電状態となる。第1スイッチ134及び第4スイッチ137がオンであり、第2スイッチ135、第3スイッチ136及び第5スイッチ138がオフである場合に、補助電源111の接続状態がバックアップ状態となる。第2スイッチ135及び第4スイッチ137がオンであり、第1スイッチ134、第3スイッチ136及び第5スイッチ138がオフである場合に、補助電源111の接続状態がブースト状態となる。
【0044】
降圧回路115は、第3スイッチ136と補助電源111との間に位置するように充電線132に設けられている。一例として、降圧回路115は、DCDCコンバータである。降圧回路115は、内部のスイッチをオンオフする比率の調整を通じて、入力電圧に対する出力電圧の割合を所定範囲内で変更可能に構成されている。降圧回路115は、外部電源45から入力される電源電圧Vbを予め設定された充電用の出力電圧に降圧して出力する。
【0045】
昇圧回路116は、出力線133の接続点よりも下流側に位置するように中間駆動線102に設けられている。一例として、昇圧回路116は、DCDCコンバータである。昇圧回路116は、内部のスイッチをオンオフする比率の調整を通じて、入力電圧に対する出力電圧の割合を所定範囲内で変更可能に構成されている。つまり、昇圧回路116が出力できる出力電圧の最大値は、入力電圧の大きさによって決まる。昇圧回路116は、入力電圧を補助電源111の接続状態に応じて昇圧する。
【0046】
具体的には、補助電源制御部112は、補助電源111の接続状態が充電状態又はバックアップ状態である場合、入力電圧を予め設定された通常用の出力電圧に昇圧して出力する。補助電源制御部112は、補助電源111の接続状態がブースト状態である場合、入力電圧を予め設定されたブースト用の出力電圧に昇圧して出力する。ブースト用の出力電圧は、通常用の出力電圧よりも大きく、かつ入力電圧が正常な場合の電源電圧Vbよりも大きな電圧でなければ昇圧回路116によって昇圧できないような大きさに予め設定されている。
【0047】
中間駆動線102は、昇圧回路116よりも下流側に接続される内部用バックアップ線141及び外部用バックアップ線142を有している。内部用バックアップ線141は、内部用中間制御線121を介してレギュレータ113に接続されている。外部用バックアップ線142は、外部用中間制御線122に接続されている。
【0048】
内部用選択回路117は、内部用バックアップ線141及び内部用中間制御線121に跨がって設けられている。内部用選択回路117は、ダイオード143と、バックアップスイッチ144とを備えている。ダイオード143は、外部用中間制御線122の接続点よりも下流側で、かつ内部用バックアップ線141の接続点よりも上流側に位置するように内部用中間制御線121に設けられている。ダイオード143は、上流側から下流側への電力の流れを許容し、下流側から上流側への電力の流れを規制する。バックアップスイッチ144は、内部用バックアップ線141の途中に設けられている。バックアップスイッチ144は、補助電源111の接続状態に応じて補助電源制御部112によって制御される。具体的には、補助電源111の接続状態が充電状態又はブースト状態である場合、バックアップスイッチ144がオフとされる。補助電源111の接続状態がバックアップ状態である場合、バックアップスイッチ144がオンとされる。
【0049】
外部用選択回路118は、外部用バックアップ線142及び外部用中間制御線122に跨がって設けられている。外部用選択回路118は、選択スイッチ145,146を備えている。選択スイッチ145は、外部用バックアップ線142の接続点よりも上流側に位置するように外部用中間制御線122に設けられている。選択スイッチ146は、外部用バックアップ線142の途中に設けられている。選択スイッチ145,146は、補助電源111の接続状態に応じて補助電源制御部112によって制御される。具体的には、補助電源111の接続状態が充電状態又はブースト状態である場合、選択スイッチ145がオン、選択スイッチ146がオフとされる。補助電源111の接続状態がバックアップ状態である場合、選択スイッチ145がオフ、選択スイッチ146がオンとされる。つまり、選択スイッチ145と選択スイッチ146とは、互いに相補的にオンオフする。
【0050】
中間駆動線102は、外部用バックアップ線142の接続点よりも下流側、すなわち昇圧回路116よりも下流側において2本に分岐している。これにより、中間駆動線102は、第1中間駆動線151と、第2中間駆動線152とを有している。第1中間駆動線151及び第2中間駆動線152には、電圧を積極的に変更するための回路素子が設けられていない。そのため、第1中間駆動線151の下流側端部の電位と第2中間駆動線152の下流側端部の電位とは、互いに略等しい。第1中間駆動線151は、第1下流側駆動線91aに接続され、第2中間駆動線152は、第2下流側駆動線91bに接続されている。つまり、中間駆動線102は、昇圧回路116から第1下流側駆動線91a及び第2下流側駆動線91bの各々の上流側端部までの間に、電力を送るための配線のみを有する。
【0051】
(下流側給電線群72)
第1下流側駆動線91aは、下流側に向かって2本に分岐している。これにより、第1下流側駆動線91aは、2本の分岐第1下流側駆動線161,162を有している。換言すると、分岐第1下流側駆動線161,162は、上流側において1本にまとめられている。分岐第1下流側駆動線161,162は、それぞれ個別給電線に相当する。分岐第1下流側駆動線161の下流側端部は、反力モータユニット13の第1駆動回路53aに接続されている。分岐第1下流側駆動線162の下流側端部は、転舵モータユニット32の第1駆動回路63aに接続されている。第1下流側駆動線91aの上流側端部は、上記のように第1中間駆動線151に接続されている。つまり、分岐第1下流側駆動線161,162の各々の上流側端部は、補助電源111よりも下流側において給電経路に接続されている。詳しくは、切替回路114がブースト状態又はバックアップ状態である場合、分岐第1下流側駆動線161,162の各々の上流側端部は、補助電源111よりも下流側に位置する。切替回路114が充電状態である場合、分岐第1下流側駆動線161,162の各々の上流側端部は、中間駆動線102における充電線132の接続点よりも下流側に位置する。したがって、第1駆動回路53a,63aには、中間駆動線102における昇圧回路116よりも下流側から、他の回路素子を経由することなく、第1中間駆動線151及び第1下流側駆動線91aのみを介して電力が供給される。
【0052】
第2下流側駆動線91bは、下流側に向かって2本に分岐している。これにより、第2下流側駆動線91bは、2本の分岐第2下流側駆動線163,164を有している。換言すると、分岐第2下流側駆動線163,164は、上流側において1本にまとめられている。分岐第2下流側駆動線163,164は、それぞれ個別給電線に相当する。分岐第2下流側駆動線163の下流側端部は、反力モータユニット13の第2駆動回路53bに接続されている。分岐第2下流側駆動線164の下流側端部は、転舵モータユニット32の第2駆動回路63bに接続されている。第2下流側駆動線91bの上流側端部は、上記のように第2中間駆動線152に接続されている。つまり、分岐第2下流側駆動線163,164の各々の上流側端部は、補助電源111の接続点よりも下流側において給電経路に接続されている。詳しくは、切替回路114がブースト状態又はバックアップ状態である場合、分岐第2下流側駆動線163,164の各々の上流側端部は、補助電源111よりも下流側に位置する。切替回路114が充電状態である場合、分岐第2下流側駆動線163,164の各々の上流側端部は、中間駆動線102における充電線132の接続点よりも下流側に位置する。したがって、第2駆動回路53b,63bには、中間駆動線102における昇圧回路116よりも下流側から、他の回路素子を経由することなく、第2中間駆動線152及び第2下流側駆動線91bのみを介して電力が供給される。
【0053】
下流側制御線92は、下流側に向かって2本に分岐している。これにより、下流側制御線92は、反力制御線165と、転舵制御線166とを有している。換言すると、反力制御線165と転舵制御線166とは、上流側において1本にまとめられている。反力制御線165の下流側端部は、反力制御部54に接続されている。転舵制御線166の下流側端部は、転舵制御部64に接続されている。下流側制御線92の上流側端部は、外部用中間制御線122に接続されている。
【0054】
(補助電源制御部112による制御)
補助電源制御部112は、外部電源45が正常であり、かつモータユニット13,32に大きな電力を供給する条件である第1条件又は第2条件が成立する場合には、補助電源111の接続状態がブースト状態となるように切替回路114を制御する。一例として、補助電源制御部112は、外部電源45の電源電圧Vbが正常電圧閾値Vth以上である場合に、外部電源45が正常であると判定する。正常電圧閾値Vthは、外部電源45が正常であるとみなすことができる電源電圧Vbであり、予め設定されている。大きな電力とは、正常な状態の外部電源45単体によって供給可能な最大の電力よりも大きな電力である。
【0055】
第1条件は、車速SPが走行判定閾値SPth以下であることと、ステアリングホイール3の操舵速度ωhが操舵実行判定閾値ωth1以上であることとを含む。走行判定閾値SPthは、車両が停止している、または極低速で走行していることを示す閾値であり、予め設定されている。操舵実行判定閾値ωth1は、運転者によるステアリング操作によってステアリングホイール3が回転していることを示す角速度であり、予め設定されている。
【0056】
第2条件は、ステアリングホイール3の操舵速度ωhが高速操舵判定閾値ωth2以上であることを含む。高速操舵判定閾値ωth2は、例えば車両の走行時に障害物を避けるための緊急操舵のように、高速でステアリングホイール3が回転していることを示す角速度である。高速操舵判定閾値ωth2は、操舵実行判定閾値ωth1よりも大きな値に予め設定されている。
【0057】
補助電源制御部112は、外部電源45が正常であり、第1条件及び第2条件のいずれも成立しない場合には、補助電源111の接続状態が充電状態となるように切替回路114を制御する。補助電源制御部112は、外部電源45が正常でない場合には、補助電源111の接続状態がバックアップ状態となるように切替回路114を制御する。
【0058】
次に、補助電源制御部112による補助電源111の接続状態を決定するための処理手順について、図4のフローチャートに従って説明する。
【0059】
具体的には、補助電源制御部112は、各種状態量を取得すると(ステップS1)、電源電圧Vbが正常電圧閾値Vth以上であるか否かを判定する(ステップS2)。電源電圧Vbが正常電圧閾値Vth未満である場合(ステップS2:NO)、補助電源111の接続状態をバックアップ状態とする(ステップS3)。
【0060】
一方、補助電源制御部112は、電源電圧Vbが正常電圧閾値Vth以上である場合には(ステップS2:YES)、操舵速度ωhが操舵実行判定閾値ωth1以上であるか否かを判定する(ステップS4)。操舵速度ωhが操舵実行判定閾値ωth1以上である場合には(ステップS4:YES)、車速SPが走行判定閾値SPth以下であるか否かを判定する(ステップS5)。車速SPが走行判定閾値SPth以下である場合には(ステップS5:YES)、外部電源45が正常であり、かつ第1条件が成立するため、補助電源111の接続状態をブースト状態とする(ステップS6)。
【0061】
補助電源制御部112は、車速SPが走行判定閾値SPthよりも大きい場合には(ステップS5:NO)、操舵速度ωhが高速操舵判定閾値ωth2以上であるか否かを判定する(ステップS7)。そして、操舵速度ωhが高速操舵判定閾値ωth2以上である場合には(ステップS7:YES)、外部電源45が正常であり、かつ第2条件が成立するため、ステップS6に移行し、補助電源111の接続状態をブースト状態とする。
【0062】
これに対し、補助電源制御部112は、操舵速度ωhが操舵実行判定閾値ωth1未満である場合(ステップS4:NO)、又は操舵速度ωhが高速操舵判定閾値ωth2未満である場合には(ステップS7:NO)、補助電源111の接続状態を充電状態とする(ステップS8)。
【0063】
(反力モータユニット13及び転舵モータユニット32への給電態様)
次に、モータユニット13,32への給電態様を、補助電源111の接続状態ごとに説明する。
【0064】
図5に示すように、補助電源111の接続状態が充電状態である場合には、外部電源45の電源電圧Vbが中間駆動線102を介して昇圧回路116に入力される。昇圧回路116から出力される通常用の出力電圧は、第1中間駆動線151を介して第1下流側駆動線91aに出力されるとともに、第2中間駆動線152を介して第2下流側駆動線91bに出力される。そして、第1下流側駆動線91aに出力された通常用の出力電圧は、分岐第1下流側駆動線161を介して反力制御装置16の第1駆動回路53aに供給され、分岐第1下流側駆動線162を介して転舵制御装置36の第1駆動回路63aに供給される。第2下流側駆動線91bに出力された通常用の出力電圧は、分岐第2下流側駆動線163を介して反力制御装置16の第2駆動回路53bに供給され、分岐第2下流側駆動線164を介して転舵制御装置36の第2駆動回路63bに供給される。
【0065】
このように充電状態である場合、補助電源111には、充電線132を介して降圧回路115から充電用の出力電圧が供給される。そのため、補助電源111は、充電された状態が維持される。補助電源111が充電状態である場合、バックアップスイッチ144がオフであるため、補助電源制御部112には、上流側制御線81及び内部用中間制御線121を介して電力が供給される。また、選択スイッチ145がオン、選択スイッチ146がオフであるため、上流側制御線81から供給される電源電圧Vbは、外部用中間制御線122を介して下流側制御線92に出力される。そして、下流側制御線92に出力された電源電圧Vbは、反力制御線165を介して反力制御部54に供給され、転舵制御線166を介して転舵制御部64に供給される。
【0066】
次に、図6に示すように、外部電源45に異常が発生した場合、補助電源111の接続状態がバックアップ状態となる。この場合には、外部電源45から電力が補助電源装置71に供給されない。昇圧回路116には、外部電源45の電源電圧Vbの代わりに、補助電源111の電圧が出力線133を介して入力される。昇圧回路116は、補助電源111の電圧を昇圧して通常用の出力電圧を出力する。このように昇圧回路116から出力された出力電圧は、充電状態の場合と同様に、第1駆動回路53a,63a及び第2駆動回路53b,63bに供給される。これにより、外部電源45から電力が供給されなくなっても、一時的にモータユニット13,32に電力を供給でき、操作反力の付与及び転舵輪5の転舵を継続できる。
【0067】
このようにバックアップ状態である場合、バックアップスイッチ144がオンであるため、補助電源制御部112には、中間駆動線102及び内部用バックアップ線141を介して電力が供給される。また、選択スイッチ145がオフ、選択スイッチ146がオンであるため、中間駆動線102から出力される電圧は、外部用バックアップ線142及び外部用中間制御線122を介して下流側制御線92に出力される。下流側制御線92に出力された電源電圧Vbは、充電状態の場合と同様に、反力制御部54及び転舵制御部64に供給される。
【0068】
次に、図7に示すように、補助電源111の接続状態がブースト状態である場合には、外部電源45の電源電圧Vbが昇圧回路116には入力されず、中間駆動線102、ブースト線131及び中間グランド線103を介して補助電源111の低電位端子に入力される。つまり、外部電源45が補助電源111と直列に接続される。そして、外部電源45の電源電圧Vbに補助電源111の電圧が加算されることにより得られる合計の電圧が昇圧回路116に入力される。昇圧回路116は、この合計の電圧を昇圧して通常用の出力電圧よりも大きなブースト用の出力電圧を出力する。このように昇圧回路116から出力された出力電圧は、充電状態の場合と同様に、第1駆動回路53a,63a及び第2駆動回路53b,63bに供給される。これにより、モータユニット13,32に大きな電力を供給できる。
【0069】
このようにブースト状態である場合、バックアップスイッチ144は、充電状態の場合と同様に、オフである。また、補助電源111がブースト状態である場合、充電状態の場合と同様に、選択スイッチ145がオン、選択スイッチ146がオフである。そのため、補助電源制御部112、反力制御部54及び転舵制御部64には、充電状態の場合と同様に電力が供給される。
【0070】
以上のように、補助電源111の接続状態によって昇圧回路116から出力される出力電圧の大きさは変化するものの、第1駆動回路53a,63aと第2駆動回路53b,63bとには、互いに略等しい電圧が供給される。すなわち、反力モータ15の第1コイル群52a及び第2コイル群52bには略等しい電力が供給されるため、反力モータ15が安定して駆動される。同様に、転舵モータ35の第1コイル群62aと第2コイル群62bとには、互いに略等しい電圧が供給されるため、転舵モータ35が安定して駆動される。
【0071】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0072】
(1)補助電源ユニット1は、外部電源45からモータユニット13,32へ電力を供給する給電経路の途中に配置される補助電源装置71と、補助電源装置71をモータユニット13,32に接続する下流側給電線群72とを備える。補助電源装置71は、外部電源45からモータユニット13,32への電力供給を補助する補助電源111と、給電経路に対する補助電源111の接続状態を切り替えるように構成された切替回路114とを備える。切替回路114によって切替可能な補助電源111の接続状態は、ブースト状態を含む。下流側給電線群72は、分岐第1下流側駆動線161,162と、分岐第2下流側駆動線163,164とを含む。分岐第1下流側駆動線161,162、及び分岐第2下流側駆動線163,164の各々の上流側端部は、補助電源111よりも下流側において給電経路に接続されている。
【0073】
補助電源111の接続状態をブースト状態とすることで、外部電源45の電源電圧Vbに補助電源111の電圧を加えることにより得られる電圧に基づくブースト用の出力電圧が補助電源装置71から出力される。これにより、反力モータユニット13の第1給電系統及び第2給電系統の各々、及び転舵モータユニット32の第1給電系統及び第2給電系統の各々には、ブースト用の出力電圧に基づく大きな電力が供給される。このように補助電源111の電力を利用することで一時的にモータユニット13,32に大きな電力を供給できるため、容量の大きな外部電源45を採用せずとも、大きな電力要求に対応できる。
【0074】
(2)中間駆動線102は、昇圧回路116から第1下流側駆動線91a及び第2下流側駆動線91bの各々の上流側端部までの間に、電力を送るための配線のみを有する。そのため、互いに略等しいブースト用の出力電圧に基づいて、モータユニット13,32の各給電系統に大きな電力を供給できる。これにより、給電系統ごとに供給される電力がばらつくことを抑制でき、モータユニット13,32を安定して作動させることができる。
【0075】
(3)切替回路114によって切替可能な補助電源111の接続状態は、充電状態を含むため、補助電源111を外部電源45によって充電できる。これにより、補助電源111の接続状態を繰り返しブースト状態にして、モータユニット13,32に大きな電力を供給できる。
【0076】
(4)切替回路114によって切替可能な補助電源111の接続状態は、バックアップ状態を含む。そのため、外部電源45に異常が発生した場合にも、補助電源111から電力を供給することで、モータユニット13,32を継続して駆動できる。
【0077】
(5)補助電源制御部112は、外部電源45が正常であり、かつ上記第1条件が成立する場合に、補助電源111の接続状態をブースト状態とする。そのため、例えば据え切りが行われることで大きな電力が必要である場合に、大きな電力をモータユニット13,32に供給できる。
【0078】
(6)補助電源制御部112は、外部電源45が正常であり、かつ上記第2条件が成立する場合に、補助電源111の接続状態をブースト状態とする。そのため、例えば緊急操舵が行われることで大きな電力が必要である場合に、大きな電力をモータユニット13,32に供給できる。
【0079】
(第2実施形態)
次に、補助電源ユニット、補助電源ユニットの制御方法及び操舵装置の第2実施形態を図面に従って説明する。なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
図8に示すように、補助電源ユニット1及び操舵装置2が搭載される車両には、外部電源である第1電源201a及び第2電源201bの2つの電源が搭載されている。そのため、給電経路は、第1電源201aからモータユニット13,32へ電力を供給する第1給電経路と、第2電源201bからモータユニット13,32へ電力を供給する第2給電経路とを含む。補助電源ユニット1の補助電源装置202は、第1給電経路及び第2給電経路の双方に跨がるかたちで、これら第1給電経路及び第2給電経路の途中に設けられている。
【0081】
第1給電経路は、第1電源201aを補助電源装置202に接続する第1上流側給電線群211aと、補助電源装置202をモータユニット13,32に接続する第1下流側給電線群212aと、後述する補助電源装置202内の第1中間給電線群74aとを含む。つまり、第1下流側給電線群212aは、第1給電経路の一部を構成する。第2給電経路は、第2電源201bを補助電源装置202に接続する第2上流側給電線群211bと、補助電源装置202をモータユニット13,32に接続する第2下流側給電線群212bと、後述する補助電源装置202内の第2中間給電線群74bとを含む。つまり、第2下流側給電線群212bは、第2給電経路の一部を構成する。
【0082】
第1上流側給電線群211aは、第1上流側制御線221aと、第1上流側駆動線222aと、第1上流側グランド線223aとを含む。第1上流側駆動線222a及び第1上流側制御線221aは、それぞれ補助電源装置202を第1電源201aの高電位端子に接続している。第1上流側制御線221aの途中には、車両の起動スイッチに応じてオンオフする第1リレースイッチ224aが設けられている。第1上流側グランド線223aは、補助電源装置202をグランドに接続している。
【0083】
第2上流側給電線群211bは、第2上流側制御線221bと、第2上流側駆動線222bと、第2上流側グランド線223bとを含む。第2上流側駆動線222b及び第2上流側制御線221bは、それぞれ補助電源装置202を第2電源201bの高電位端子に接続している。第2上流側制御線221bの途中には、車両の起動スイッチに応じてオンオフする第2リレースイッチ224bが設けられている。第2上流側グランド線223bは、補助電源装置202をグランドに接続している。
【0084】
第1下流側給電線群212aは、上記第1実施形態の第1下流側駆動線91aと、第1下流側制御線232aとを含む。第1下流側駆動線91aは、補助電源装置202と反力モータユニット13及び転舵モータユニット32の各々の第1給電系統とを接続している。第1下流側制御線232aは、補助電源装置202と反力制御部54とを接続している。第1下流側駆動線91aの分岐第1下流側駆動線161,162は、それぞれ第1個別給電線に相当する。
【0085】
第2下流側給電線群212bは、上記第1実施形態の第2下流側駆動線91bと、第2下流側制御線232bとを含む。第2下流側駆動線91bは、補助電源装置202と反力モータユニット13及び転舵モータユニット32の各々の第2給電系統とを接続している。第2下流側制御線232bは、補助電源装置202と転舵制御部64とを接続している。第2下流側駆動線91bの分岐第2下流側駆動線163,164は、それぞれ第2個別給電線に相当する。
【0086】
本実施形態の補助電源装置202は、補助電源制御部203及び補助電源制御部203へ給電するための構成以外の構成について、第1実施形態の補助電源装置71と基本的に同様に構成された第1補助電源系統及び第2補助電源系統を備えている。第1補助電源系統は、第1電源201aの電力を反力モータユニット13及び転舵モータユニット32の各々の第1給電系統及び反力制御部54に供給する。第2補助電源系統は、第2電源201bの電力を反力モータユニット13及び転舵モータユニット32の各々の第2給電系統及び転舵制御部64に供給する。第1補助電源系統は第1上流側給電線群211aと第1下流側給電線群212aとの間に配置され、第2補助電源系統は第2上流側給電線群211bと第2下流側給電線群212bとの間に配置されている。
【0087】
以下では、第1補助電源系統の構成については、第1実施形態の補助電源装置71の各構成部品の部材名称の頭に「第1」を追加するとともに、各構成部品を示す符号に「a」を追加することによって重複する説明を省略する。また、第2補助電源系統の構成については、第1実施形態の補助電源装置71の各構成部品の部材名称の頭に「第2」を追加するとともに、各構成部品を示す符号に「b」を追加することによって重複する説明を省略する。
【0088】
すなわち、補助電源装置202は、第1上流側給電線群211aと第1下流側給電線群212aとを互いに接続する第1中間給電線群74aと、第2上流側給電線群211bと第2下流側給電線群212bとを互いに接続する第2中間給電線群74bとを備えている。第1中間給電線群74aは、第1上流側制御線221aに接続される第1中間制御線101aと、第1上流側駆動線222aに接続される第1中間駆動線102aと、第1上流側グランド線223aに接続される第1中間グランド線103aとを含む。第2中間給電線群74bは、第2上流側制御線221bに接続される第2中間制御線101bと、第2上流側駆動線222bに接続される第2中間駆動線102bと、第2上流側グランド線223bに接続される第2中間グランド線103bとを含む。
【0089】
ただし、第1中間駆動線102aは、第1外部用バックアップ線142aを有するが、第1内部用バックアップ線を有さない。そのため、補助電源装置202は第1内部用選択回路を有さない。さらに、第1中間駆動線102aは、第1外部用バックアップ線142aの接続点よりも下流側で分岐していない。同様に、第2中間駆動線102bは、第2外部用バックアップ線142bを有するが、第2内部用バックアップ線を有さない。そのため、補助電源装置202は第2内部用選択回路を有さない。さらに、第2中間駆動線102bは、第2外部用バックアップ線142bの接続点よりも下流側で分岐していない。
【0090】
また、補助電源装置202は、補助電源制御部203に加え、第1補助電源111aと、第2補助電源111bと、第1レギュレータ113aと、第2レギュレータ113bと、第1切替回路114aと、第2切替回路114bと、第1降圧回路115aと、第2降圧回路115bと、第1昇圧回路116aと、第2昇圧回路116bと、第1外部用選択回路118aと、第2外部用選択回路118bとを備えている。第1補助電源111a、第1レギュレータ113a、第1切替回路114a、第1降圧回路115a、第1昇圧回路116a及び第1外部用選択回路118aは、第1中間給電線群74aの対応する線に対して、上記第1実施形態と同様に接続されている。第2補助電源111b、第2レギュレータ113b、第2切替回路114b、第2降圧回路115b、第2昇圧回路116b及び第2外部用選択回路118bは、第2中間給電線群74bの対応する線に対して、上記第1実施形態と同様に接続されている。
【0091】
第1下流側給電線群212aの第1下流側駆動線91aは、第1中間駆動線102aに接続されている。つまり、分岐第1下流側駆動線161,162の各々の上流側端部は、第1補助電源111aよりも、すなわち第1昇圧回路116aよりも下流側に位置するように第1中間駆動線102aに接続されている。第1下流側制御線232aの上流側端部は、第1中間制御線101aの第1外部用中間制御線122aに接続されている。
【0092】
第2下流側給電線群212bの第2下流側駆動線91bは、第2中間駆動線102bに接続されている。つまり、分岐第2下流側駆動線163,164の各々の上流側端部は、第2補助電源111bよりも、すなわち第2昇圧回路116bよりも下流側に位置するように第2中間駆動線102bに接続されている。第2下流側制御線232bの上流側端部は、第2中間制御線101bの第2外部用中間制御線122bに接続されている。
【0093】
補助電源制御部203には、第1レギュレータ113a及び第2レギュレータ113bの各々が接続されている。補助電源制御部203は、第1レギュレータ113a及び第2レギュレータ113bの少なくとも一方から供給される電力に基づいて作動する。
【0094】
補助電源制御部203には、車速SP、操舵速度ωh、第1電源201aの電源電圧Vba及び第2電源201bの電源電圧Vbbが入力される。なお、電源電圧Vbaは第1電圧センサ271aによって検出され、電源電圧Vbaは第2電圧センサ271bによって検出される。補助電源制御部203は、これらの状態量に基づいて、補助電源装置202内に設けられた第1切替回路114a、第2切替回路114b、第1昇圧回路116a及び第1昇圧回路116aを含む各種回路を制御する。つまり、補助電源制御部203は、切替制御回路及び昇圧制御回路に相当する。なお、説明の便宜上、補助電源制御部203から出力される信号を示す線は、図示していない。
【0095】
補助電源制御部203による第1補助電源111aの接続状態の制御は、外部電源45の電源電圧Vbに代えて第1電源201aの電源電圧Vbaを用いること以外は、上記第1実施形態の補助電源制御部112による制御と同様である。また、補助電源制御部203による第2補助電源111bの接続状態の制御は、外部電源45の電源電圧Vbに代えて第2電源201bの電源電圧Vbbを用いること以外は、上記第1実施形態の補助電源制御部112による制御と同様である。
【0096】
さらに、補助電源制御部203は、第1昇圧回路116aから出力される通常用の出力電圧と第2昇圧回路116bから出力される通常用の出力電圧とが互いに等しくなるように、第1昇圧回路116a及び第2昇圧回路116bを制御する。また、補助電源制御部203は、第1昇圧回路116aから出力されるブースト用の出力電圧と第2昇圧回路116bから出力されるブースト用の出力電圧とが互いに等しくなるように、第1昇圧回路116a及び第2昇圧回路116bを制御する。
【0097】
(反力モータユニット13及び転舵モータユニット32への給電態様)
次に、モータユニット13,32への給電態様を、第1補助電源111a及び第2補助電源111bの接続状態ごとに説明する。
【0098】
図9に示すように、第1補助電源111a及び第2補助電源111bがともに充電状態である場合には、第1電源201aの電源電圧Vbaが第1中間駆動線102aを介して第1昇圧回路116aに入力され、第2電源201bの電源電圧Vbbが第2中間駆動線102bを介して第2昇圧回路116bに入力される。第1昇圧回路116aから出力される通常用の出力電圧は、第1中間駆動線102aを介して第1下流側駆動線91aに出力され、第2昇圧回路116bから出力される通常用の出力電圧は、第2中間駆動線102bを介して第2下流側駆動線91bに出力される。そして、第1下流側駆動線91aに出力された出力電圧は、上記第1実施形態と同様に、第1駆動回路53a,63aに供給される。第2下流側駆動線91bに出力された出力電圧は、上記第1実施形態と同様に、第2駆動回路53b,63bに供給される。
【0099】
このように第1補助電源111a及び第2補助電源111bがともに充電状態である場合には、第1補助電源111aには、第1充電線132aを介して第1降圧回路115aから出力される充電用の出力電圧が供給され、第2補助電源111bには、第2充電線132bを介して第2降圧回路115bから出力される充電用の出力電圧が供給される。第1外部用選択回路118aの選択スイッチ145aがオン、選択スイッチ146aがオフであるため、第1上流側制御線221aから供給される電源電圧Vbaは、第1外部用中間制御線122aを介して第1下流側制御線232aに出力され、反力制御部54に供給される。また、第2外部用選択回路118bの選択スイッチ145bがオン、選択スイッチ146bがオフであるため、第2上流側制御線221bから供給される電源電圧Vbbは、第2外部用中間制御線122bを介して第2下流側制御線232bに出力され、転舵制御部64に供給される。
【0100】
次に、図10に示すように、第1電源201aに異常が発生し、第2電源201bが正常である場合、第1補助電源111aの接続状態がバックアップ状態となり、第2補助電源111bの接続状態が充電状態となる。この場合には、第1電源201aから電力が補助電源装置202に供給されない一方で、第2電源201bの電源電圧Vbbが第2中間駆動線102bを介して第2昇圧回路116bに入力される。この場合、第2駆動回路53b,63b及び転舵制御部64への電力供給は、充電状態の場合と同様である。第1補助電源系統において、第1補助電源111aの電源電圧Vbaが第1出力線133aを介して第1昇圧回路116aに入力される。第1昇圧回路116aから出力される通常用の出力電圧は第1中間駆動線102aを介して第1下流側駆動線91aに出力される。第1下流側駆動線91aに出力された出力電圧は、充電状態の場合と同様に、第1駆動回路53a,63aに供給される。
【0101】
このように第1補助電源111aの接続状態がバックアップ状態である場合、第1外部用選択回路118aの選択スイッチ145aがオフ、選択スイッチ146aがオンとなる。そのため、第1中間駆動線102aから出力される電圧は、第1外部用バックアップ線142a及び第1外部用中間制御線122aを介して第1下流側制御線232aに出力され、反力制御部54に供給される。
【0102】
次に、図11に示すように、第1電源201aが正常であり、第2電源201bに異常が発生した場合、第1補助電源111aの接続状態が充電状態となり、第2補助電源111bの接続状態がバックアップ状態となる。この場合には、第1電源201aの電源電圧Vbaが第1中間駆動線102aを介して第1昇圧回路116aに入力される一方で、第2電源201bから電力が補助電源装置202に供給されない。この場合、第1駆動回路53a,63a及び反力制御部54への電力供給は、充電状態の場合と同様である。第2補助電源系統において、第2補助電源111bの電圧が第2出力線133bを介して第2昇圧回路116bに入力される。第2昇圧回路116bから出力される通常用の出力電圧は第2中間駆動線102bを介して第2下流側駆動線91bに出力される。第2下流側駆動線91bに出力された出力電圧は、充電状態の場合と同様に、第2駆動回路53b,63bに供給される。
【0103】
このように第2補助電源111bの接続状態がバックアップ状態である場合、第2外部用選択回路118bの選択スイッチ145bがオフ、選択スイッチ146bがオンとなる。そのため、第2中間駆動線102bから出力される電圧は、第2外部用バックアップ線142b及び第2外部用中間制御線122bを介して第2下流側制御線232bに出力され、転舵制御部64に供給される。
【0104】
次に、図12に示すように、第1補助電源111a及び第2補助電源111bがともにブースト状態である場合について説明する。この場合、第1電源201aの電源電圧Vbaが第1中間駆動線102a、第1ブースト線131a及び第1中間グランド線103aを介して第1補助電源111aの低電位端子に入力される。第2電源201bの電源電圧Vbbが第2中間駆動線102b、第2ブースト線131b及び第2中間グランド線103bを介して第2補助電源111bの低電位端子に入力される。つまり、第1電源201aが第1補助電源111aと直列に接続されるとともに、第2電源201bが第2補助電源111bと直列に接続される。そして、第1電源201aの電源電圧Vbaに第1補助電源111aの電圧が加算されることにより得られる合計の電圧が第1昇圧回路116aに入力される。そのため、第1昇圧回路116aからは通常用の出力電圧よりも大きなブースト用の出力電圧が出力される。また、第2電源201bの電源電圧Vbbに第2補助電源111bの電圧が加算されることにより得られる合計の電圧が第2昇圧回路116bに入力される。そのため、第2昇圧回路116bからは通常用の出力電圧よりも大きなブースト用の出力電圧が出力される。これら第1昇圧回路116aから出力される出力電圧及び第2昇圧回路116bから出力される出力電圧は、充電状態の場合と同様に第1駆動回路53a,63a及び第2駆動回路53b,63bに供給されるため、モータユニット13,32に大きな電力を供給できる。
【0105】
このように第1補助電源111a及び第2補助電源111bの接続状態がそれぞれブースト状態である場合、補助電源制御部203、反力制御部54及び転舵制御部64には、充電状態の場合と同様に電力が供給される。
【0106】
以上、本実施形態では、上記第1実施形態の(1),(3)~(6)の作用及び効果と同様の作用及び効果に加え、以下の作用及び効果を奏する。
【0107】
(7)第1下流側給電線群212aは、分岐第1下流側駆動線161,162と、分岐第2下流側駆動線163,164とを含む。分岐第1下流側駆動線161,162の各々の上流側端部は、第1昇圧回路116aよりも下流側において第1中間駆動線102aに接続されている。分岐第2下流側駆動線163,164の各々の上流側端部は、第2昇圧回路116bよりも下流側において第2中間駆動線102bに接続されている。補助電源制御部203は、第1昇圧回路116aから出力されるブースト用の出力電圧と第2昇圧回路116bから出力されるブースト用の出力電圧とが互いに等しくなるように、第1昇圧回路116a及び第2昇圧回路116bを制御する。そのため、互いに略等しいブースト用の出力電圧に基づいて、モータユニット13,32の各給電系統に大きな電力を供給できる。これにより、給電系統ごとに供給される電力がばらつくことを抑制でき、モータユニット13,32を安定して作動させることができる。
【0108】
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0109】
・上記第2実施形態において、補助電源装置202は、単一の補助電源制御部203に代えて、第1補助電源系統を制御するための第1補助電源制御部と、第2補助電源系統を制御するための第2補助電源制御部とを備えてもよい。
【0110】
・上記第2実施形態において、第1昇圧回路116aから出力される出力電圧と第2昇圧回路116bから出力される出力電圧とが互いに等しくなるように、第1昇圧回路116a及び第2昇圧回路116bを制御しなくてもよい。この場合、補助電源装置202は、第1昇圧回路116a及び第2昇圧回路116bを備えなくてもよい。また、上記第1実施形態において、補助電源装置71は、昇圧回路116を備えなくてもよい。
【0111】
・上記第2実施形態において、補助電源装置202が、第1中間駆動線102aと第1内部用中間制御線121aとを互いに接続する第1内部用バックアップ線及び第1内部用選択回路と、第2中間駆動線102bと第2内部用中間制御線121bとを互いに接続する第2内部用バックアップ線及び第2内部用選択回路とを備えてもよい。この構成では、第1電源201a及び第2電源201bの両方に異常が発生した場合でも、モータユニット13,32を継続して駆動できる。
【0112】
・上記第2実施形態において、反力制御部54及び転舵制御部64への給電を冗長化してもよい。具体的には、例えば第1下流側制御線232aを下流側に向けて2本に分岐させ、この第1下流側制御線232aにより補助電源装置202を反力制御部54及び転舵制御部64に接続する。また、第2下流側制御線232bを下流側に向けて2本に分岐させ、この第2下流側制御線232bにより補助電源装置202を反力制御部54及び転舵制御部64に接続する。そして、第1電源201aが正常である場合には、第2電源201bと第2下流側制御線232bとの間の接続を切り、第1電源201aが異常である場合には、第2電源201bと第2下流側制御線232bとの間を接続するように、補助電源装置202内の配線を制御する。
【0113】
・上記第1実施形態において、補助電源装置71は、降圧回路115を備えなくてもよい。上記第2実施形態において、補助電源装置202は、降圧回路115a,115bを備えなくてもよい。
【0114】
・上記第1実施形態において、第5スイッチ138を、ブースト線131の接続点と充電線132の接続点との間に位置するように中間駆動線102に設けてもよい。この変形は、第2実施形態の第1切替回路114a及び第2切替回路114bに対しても同様に適用できる。
【0115】
・上記第1実施形態において、第1下流側駆動線91aの分岐第1下流側駆動線161を反力モータユニット13の第1駆動回路53aに接続し、分岐第1下流側駆動線162を反力モータユニット13の第2駆動回路53bに接続してもよい。また、第2下流側駆動線91bの分岐第2下流側駆動線163を転舵モータユニット32の第1駆動回路63aに接続し、分岐第2下流側駆動線164を転舵モータユニット32の第2駆動回路63bに接続してもよい。
【0116】
・上記第1実施形態では、中間駆動線102が補助電源111の接続点よりも下流側において2本に分岐していたが、これに限らず、分岐しなくてもよい。この場合、下流側給電線群72を構成する第1下流側駆動線91aとして、例えば下流側に向かって4本に分岐したものを採用できる。また、中間駆動線102が補助電源111の接続点よりも下流側において3本以上に分岐していてもよい。この場合、第1下流側駆動線91aとして、例えば下流側に向かって分岐していないものを採用できる。
【0117】
同様に、上記第2実施形態において、第1中間駆動線102aを第1昇圧回路116aよりも下流側において2本以上に分岐させてもよく、また第2中間駆動線102bを第2昇圧回路116bよりも下流側において2本以上に分岐させてもよい。
【0118】
・上記第1実施形態において、補助電源111の接続状態をブースト状態と充電状態とにのみ切り替え可能とし、バックアップ状態に切り替えできないように切替回路114を構成してもよい。また、補助電源111の接続状態をブースト状態とバックアップ状態とにのみ切り替え可能とし、充電状態に切り替えできないように切替回路114を構成してもよい。この場合、補助電源111は一次電池であってもよい。さらに、補助電源111の接続状態をブースト状態と、充電状態及びバックアップ状態以外の他の状態とにのみ切り替え可能とし、充電状態及びバックアップ状態に切り替えできないように切替回路114を構成してもよい。一例として、他の状態は、外部電源45を給電対象に接続するとともに、補助電源111を中間駆動線102から切り離す状態である。この場合、補助電源111は一次電池であってもよい。この変形は、第1切替回路114a及び第2切替回路114bに対しても同様に適用できる。
【0119】
・上記各実施形態では、第1条件が成立するか否かの判定と、第2条件が成立するか否かの判定の双方を行ったが、これに限らず、いずれか一方の判定のみを補助電源制御部112,203が行うようにしてもよい。補助電源制御部112,203は、給電対象に大きな電力を供給する条件として、第1条件及び第2条件以外の条件を採用してもよい。
【0120】
・上記第1実施形態において、補助電源111は、例えば電気二重層キャパシタ(EDLC)又はリチウムイオン電池(LIB)であってもよい。この変形は、上記第2実施形態の第1補助電源111a及び第2補助電源111bに対しても同様に適用できる。
【0121】
・上記各実施形態では、補助電源制御部112,203によって補助電源装置71,202内の各種回路を制御したが、これに限らず、補助電源装置71,202が補助電源制御部112,203を備えない構成とし、外部の制御装置(例えば反力制御部54)によって各種回路が制御されるようにしてもよい。
【0122】
・上記各実施形態では、反力制御部54が第1駆動回路53a及び第2駆動回路53bの両方を制御したが、これに限らない。例えば反力制御装置16が、第1駆動回路53aを制御する第1反力制御部と、第2駆動回路53bを制御する第2反力制御部とを備えてもよい。この場合、第1反力制御部が電流等の指令値を演算するとともに、第2反力制御部に指令値を送信し、第2反力制御部が受信した指令値に従って作動するように構成してもよい。つまり、第1反力制御部をマスター制御部とし、第2反力制御部をスレーブ制御部とするマスター・スレーブ方式の制御装置として構成してもよい。なお、この変形は、転舵制御装置36に対しても同様に適用可能である。
【0123】
・上記各実施形態において、反力制御部54は、(1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、(2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、又は(3)それらの組み合わせ、を含む処理回路によって構成してもよい。この変形は、転舵制御部64及び補助電源制御部112,203に対しても同様に適用できる。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわち非一時的なコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0124】
・上記各実施形態において、操舵装置2は、反力ユニット4と転舵ユニット6との間が機械的に常時分離したリンクレスの構造であったが、これに限らない。例えば図1に二点鎖線で示すように、クラッチ301により反力ユニット4と転舵ユニットとの間が機械的に分離可能な構造としてもよい。また、操舵装置2は、ステアバイワイヤ式の操舵装置に限らず、アシストモータユニットのトルクをステアリングシャフト11又はラック軸22に付与する電動パワーステアリング装置であってもよい。この場合、給電対象であるアシストモータユニットは、複数の通電系統を有する。
【0125】
・上記各実施形態において、給電対象は、モータと制御装置とが一体化されたモータユニットに限らず、制御装置とは別に設けられたモータであってもよい。また、操舵装置2の駆動源であるモータに限らず、例えば電気自動車における走行用駆動源として用いられるモータであってもよい。さらに、例えばエアバッグ装置やブレーキ装置、あるいは車両以外に搭載される任意の装置を給電対象としてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12