(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】映像符号化装置、映像符号化方法、映像符号化プログラム、及び非一時的記録媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 19/117 20140101AFI20240903BHJP
H04N 19/136 20140101ALI20240903BHJP
H04N 19/176 20140101ALI20240903BHJP
【FI】
H04N19/117
H04N19/136
H04N19/176
(21)【出願番号】P 2023508695
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 JP2022002002
(87)【国際公開番号】W WO2022201808
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2021049038
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141519
【氏名又は名称】梶田 邦之
(72)【発明者】
【氏名】徳満 健太
(72)【発明者】
【氏名】蝶野 慶一
(72)【発明者】
【氏名】柳田 智徳
【審査官】岩井 健二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/005659(WO,A1)
【文献】CHEN, Ching-Yeh, et al.,CE8 Subset2: A Joint Proposal on Improving the Adaptive Loop Filter in TMuC0.9 by MediaTek, Qualcomm, and Toshiba,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,JCTVC-D119,2011年01月24日,pp.1-18
【文献】CHEN, Jianle, et al.,Algorithm description for Versatile Video Coding and Test Model 11 (VTM 11),Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JVET-T2002-v1,2021年01月06日,pp.69-75
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00 - 19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化対象となる1つのピクチャに含まれる複数のブロックのそれぞれを、それぞれのブロックの勾配情報に基づいて、適用ループフィルタ処理のためのクラスに分類し、前記クラスを出力する分類手段と、
前記クラスに基づいて、前記ピクチャの統計情報を取得する取得手段と、
前記ピクチャの統計情報に基づいて、前
記複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てる割当手段と、
前記単一のフィルタセットを用いて、前記複数のブロックのそれぞれに、適用ループフィルタ処理を行うフィルタ処理手段と、を備える、映像符号化装置。
【請求項2】
前記割当手段は、符号化対象となるブロックに適用可能な複数の候補フィルタセットの中から、前記ピクチャに含まれる複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てる、請求項1記載の映像符号化装置。
【請求項3】
前記ピクチャは、第1色差情報を表す複数の第1色差ブロックと、第2色差情報を表す複数の第2色差ブロックとを含み、
前記ピクチャの統計情報は、前記複数の第1色差ブロックに関する第1色差統計情報と、前記複数の第2色差ブロックに関する第2色差統計情報とを含み、
前記割当手段は、
前記第1色差統計情報に基づいて前記複数の第1色差ブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当て、前記第2色差統計情報に基づいて前記複数の第2色差ブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てる、請求項1又は2記載の映像符号化装置。
【請求項4】
前記ピクチャの統計情報は、前記ピクチャに含まれる全ブロック数よりも少ないブロック数のブロックについて算出される統計情報に基づく、請求項1乃至3のうち何れか1項
記載の映像符号化装置。
【請求項5】
前記適用ループフィルタ処理は、デブロッキングフィルタされたピクチャに対して再エッジ強調を行う処理である、請求項1乃至4のうち何れか1項記載の映像符号化装置。
【請求項6】
前記フィルタ処理手段は、前記クラスに応じて前記単一のフィルタセットに含まれるフィルタ係数を並び替え、前記単一のフィルタセットを用いて、前記クラスに対応するブロックに、前記適用ループフィルタ処理を行う、請求項
1記載の映像符号化装置。
【請求項7】
前記ピクチャの前記統計情報は、前記ピクチャの共分散情報である、請求項1乃至
6のうち何れか1項記載の映像符号化装置。
【請求項8】
符号化対象となる1つのピクチャに含まれる複数のブロックのそれぞれを、それぞれのブロックの勾配情報に基づいて、適用ループフィルタ処理のためのクラスに分類し、前記クラスを出力することと、
前記クラスに基づいて、前記ピクチャの統計情報を取得することと、
前記ピクチャの統計情報に基づいて、前
記複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てることと、
前記単一のフィルタセットを用いて、前記複数のブロックのそれぞれに、適用ループフィルタ処理を行うことと、を備える、映像符号化方法。
【請求項9】
符号化対象となる1つのピクチャに含まれる複数のブロックのそれぞれを、それぞれのブロックの勾配情報に基づいて、適用ループフィルタ処理のためのクラスに分類し、前記クラスを出力することと、
前記クラスに基づいて、前記ピクチャの統計情報を取得することと、
前記ピクチャの統計情報に基づいて、前
記複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てることと、
前記単一のフィルタセットを用いて、前記複数のブロックのそれぞれに、適用ループフィルタ処理を行うことと、
をプロセッサに実行させる映像符号化プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像符号化装置、映像符号化方法、映像符号化プログラム、及び非一時的記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
VVC(Versatile Video Coding)規格では、再構築画像は、デブロッキングフィルタやサンプル適用オフセットなどの処理が適用され、更に適用ループフィルタが適用される。このような適用ループフィルタの適用により、再構築画像はデブロッキングフィルタされたピクチャに対して再エッジ強調される。これにより、原画像との差分が少ない再構築画像(復号画像)の生成が可能となる(例えば、非特許文献1を参照)。すなわち、符号量と予測精度のバランスを好適にして、圧縮効率を高めることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Jianle Chen et al., " Algorithm description for Versatile Video Coding and Test Model 11 (VTM 11)" document JVET-T2002-v1, Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11, 20th Meeting, by teleconference, 7-16 October 2020.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上述したVVCなどの映像符号化技術では、例えば適用ループフィルタ用に複数の候補フィルタセットが設けられる。これにより、再構築画像に含まれる各々のブロックの特性に適したいずれかのフィルタセットを用いることができる。しかしながら、ブロックの特性に適したフィルタセットの決定には、原画像と再構築画像との差分コストの計算および評価などのための反復処理が必要となる。このため、映像符号化において、実装コストを抑制しながら良好な圧縮効率を実現することが望まれる。
【0005】
本発明の目的は、実装コストを抑制しながら良好な圧縮効率を実現することを可能にする映像符号化装置、映像符号化方法、映像符号化プログラム、及び非一時的記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様によれば、映像符号化装置は、符号化対象となる1つのピクチャの統計情報を取得する取得部と、上記ピクチャの統計情報に基づいて、上記ピクチャに含まれる複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てる割当部と、上記単一のフィルタセットを用いて、上記複数のブロックのそれぞれに、上記適用ループフィルタ処理を行うフィルタ処理部と、を備える。
【0007】
本発明の一つの態様によれば、映像符号化方法は、符号化対象となる1つのピクチャの統計情報を取得することと、上記ピクチャの統計情報に基づいて、上記ピクチャに含まれる複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てることと、上記単一のフィルタセットを用いて、上記複数のブロックのそれぞれに、上記適用ループフィルタ処理を行うことと、を備える。
【0008】
本発明の一つの態様によれば、映像符号化プログラムは、符号化対象となる1つのピクチャの統計情報を取得することと、上記ピクチャの統計情報に基づいて、上記ピクチャに含まれる複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てることと、上記単一のフィルタセットを用いて、上記複数のブロックのそれぞれに、上記適用ループフィルタ処理を行うことと、をプロセッサに実行させる。
【0009】
本発明の一つの態様によれば、非一時的記録媒体は、コンピュータに読み取り可能であって、符号化対象となる1つのピクチャの統計情報を取得することと、前記ピクチャの統計情報に基づいて、前記ピクチャに含まれる複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てることと、前記単一のフィルタセットを用いて、前記複数のブロックのそれぞれに、適用ループフィルタ処理を行うことと、をプロセッサに実行させるプログラムを記録している。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一つの態様によれば、実装コストを抑制しながら良好な圧縮効率を実現することが可能になる。なお、本発明により、当該効果の代わりに、又は当該効果とともに、他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、例えばVVC(Versatile Video Coding)などの符号化規格に適用される映像符号化装置1000の概略的な構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、ループフィルタ1060の概略的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、適用ループフィルタの処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図4は、輝度情報に関して、フィルタ係数の計算および適用可否の判定を行う処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、色差情報U、Vの共分散情報の平均値を導出する処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明が適用される例示的な第1の実施形態の第2の実施例に係る映像符号化装置1の概略的な構成の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、映像符号化装置1を実装可能なハードウェア700の概略的な構成の一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態の第2の実施例に係るループフィルタ60の概略的な構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態の第2の実施例に係る適用ループフィルタ100の概略的な構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、フィルタ係数の並び替えの一例を概略的に説明するための説明図である。
【
図12】
図12は、適用ループフィルタ100の処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図13は、第2の実施形態に係る映像符号化装置200の概略的な構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複説明が省略され得る。
【0013】
説明は、以下の順序で行われる。
1.第1の実施形態
1.1.第1の実施例
1.2.第2の実施例
1.2.1.映像符号化装置1の構成
1.2.2.ループフィルタ60の構成
1.2.3.適用ループフィルタ100の構成
1.2.4.動作例
2.第2の実施形態
2.1.構成
2.2.動作例
3.他の実施形態
【0014】
<<1.第1の実施形態>>
本発明が適用される例示的な第1の実施形態について説明する。
【0015】
<1.1.第1の実施例>
まず、第1の実施形態の第1の実施例として、映像符号化処理で行われる適用ループフィルタの処理について説明する。
【0016】
(1)映像符号化装置1000の構成
図1は、例えばVVC(Versatile Video Coding)などの符号化規格に適用される映像符号化装置1000の概略的な構成を示すブロック図である。
図1を参照すると、映像符号化装置1000は、イントラ予測部1010、インター予測部1020、変換/量子化部1030、エントロピー符号化部1040、逆変換/逆量子化部1050、ループフィルタ1060、及び復号画像バッファ1070を備える。
【0017】
イントラ予測部1010及びインター予測部1020は、ブロック毎に、その入力画像に対する予測画像を生成する。具体的に、処理対象ブロックに対して画面内予測を行う場合には、イントラ予測部1010により、処理対象ブロックに対する予測画像が生成される。一方、処理対象ブロックに対して画面間予測を行う場合には、インター予測部1020により、復号画像バッファ1070に記憶されている復号画像を参照して、予測画像が生成される。
【0018】
変換/量子化部1030は、入力画像から予測画像を減じた予測誤差画像を周波数変換する。さらに、変換/量子化部1030は、周波数変換した予測誤差画像(変換係数)を量子化する。
【0019】
エントロピー符号化部1040は、変換量子化値、および、インター予測部1020が利用する予測パラメータである動きベクトルの差分情報などを、例えばCABAC(Context-based Adaptive Binary Arithmetic Coding)に基づいてエントロピー符号化する。エントロピー符号化された符号語は、たとえばインターネットなどの通信回線などを介して、ビットストリームとして外部に送信される。
【0020】
逆変換/逆量子化部1050は、変換量子化値を逆量子化する。さらに、逆変換/逆量子化部1050は、逆量子化した周波数変換係数を逆周波数変換する。逆周波数変換された再構築予測誤差画像は、予測画像が加えられる。そして、再構築予測画像は、ループフィルタ1060に供給される。
【0021】
ループフィルタ1060は、再構築予測画像に対して種々のフィルタ処理を適用して、復号画像を出力する。出力される復号画像は、復号画像バッファ1070に保持される。
復号画像バッファ1070は、再構築画像を格納する。
【0022】
(2)ループフィルタ1060の構成
図2は、ループフィルタ1060の概略的な構成を示すブロック図である。
図2を参照すると、ループフィルタ1060は、デブロッキングフィルタ部1061、サンプル適用オフセット処理部1063、及び適用ループフィルタ1065を備える。
【0023】
デブロッキングフィルタ部1061は、画面間予測における動き補償や変換処理などによるブロック状の歪を緩和するために、これらのブロック境界にフィルタリング処理を行う。
【0024】
サンプル適用オフセット処理部1063は、再構築画像の符号化歪を低減するため、デブロッキングフィルタ処理が適用された各々のブロック内のサンプルに対して、オフセット値をサンプル値に加算する処理を行う。
【0025】
適用ループフィルタ1065は、デブロッキングフィルタ処理やサンプル適用オフセット処理が適用された再構築画像に対して、再エッジ強調(リシェイプ)のための処理を行う。
【0026】
(3)適用ループフィルタの処理の流れ
次に適用ループフィルタの処理の流れについて説明する。
図3は、適用ループフィルタの処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【0027】
ステップS301において、適用ループフィルタ1065は、フィルタ処理対象となるピクチャに含まれる各々のブロックの分類を行う。具体的には、適用ループフィルタ1065は、拡張した再構築画像を参照して勾配計算を行い、勾配を参照してブロックの分類を示すブロック分類情報を出力する。
【0028】
ステップS303において、適用ループフィルタ1065は、ブロック分類情報に基づいて、原画像と拡張した再構築画像とを参照する範囲を決定することにより、輝度情報Y及び色差情報U、Vのそれぞれ関する共分散情報を計算する。
【0029】
ステップS305において、適用ループフィルタ1065は、前段ステップで得られた輝度情報Yに関する共分散情報に基づいて、輝度に関して、フィルタ係数の計算および適用可否の判定を行う。具体的には、
図4に示すような処理により、当該ステップS305が行われる。
【0030】
図4は、輝度情報に関して、フィルタ係数の計算および適用可否の判定を行う処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【0031】
図4を参照すると、適用ループフィルタ1065は、ブロック単位(例えば符号化ツリー
ユニットCTU)で保持している共分散情報を合計することにより、フレーム共分散情報を計算する(ステップS401)。次に、適用ループフィルタ1065は、フレーム共分散情報を参照して、全CTUについて適用ループフィルタ未適用時のコスト、すなわち原画像と再構築画像の差分に関するコストを計算する(ステップS403)。次に、適用ループフィルタ1065は、全CTUについてフィルタ適用時のコスト及びフィルタ係数を計算する(ステップS405)。次に、適用ループフィルタ1065は、各々のCTUごとにフィルタ適用可否を判定する(ステップS407)。次に、適用ループフィルタ1065は、所定の最適コストとCTU合計コストを比較して、コストが小さい方を最適コストとして更新する(ステップS409)。ここで、後述する反復処理の後に、現在のコストが反復処理前のコストより大きい場合には、
図4に示す処理を終了する。そうではない場合には、適用ループフィルタ1065は、ステップS407で得られたCTU毎の適用可否リストの結果からフレーム共分散を再計算し(ステップS411)、新たなフレーム共分散を用いて係数を計算する(ステップS413)。次に、適用ループフィルタ1065は、所定回数(例えば4回)ステップS413からステップS407への反復処理を行い、その後は、ステップS413からステップS405へ戻る。ステップS413からステップS405へ戻る反復処理は例えば2回行われる。
【0032】
以上のようにして反復処理がなされ最適コストが決定すると、各クラスに対し適用するフィルタセットが最大25セットの候補フィルタセットの中から決定される。最大25セットの候補フィルタセットの中から固定値を持つフィルタセットが選択されなかった場合には、フレーム共分散からフィルタの係数が導出される。また、決定したフィルタセットのフィルタ係数を用いて、及びブロックごとのフィルタのオンオフが導出される。その後、ステップS305が終了し、ステップS307に進む。
【0033】
ステップS307において、適用ループフィルタ1065は、ステップS303で得られた色差情報U、Vに関する共分散情報に基づいて、色差に関して、フィルタ係数の計算および適用可否の判定を行う。具体的には、上述した
図4に示すような処理と同様にして、当該ステップS307が行われる。
【0034】
ステップS309において、適用ループフィルタ1065は、輝度情報Yの拡張再構築画像、クラス情報、フィルタセットインデックス、及び適用可否フラグなどを用いて各々のCTUに対して適用ループフィルタ処理を行う。
【0035】
ステップS311において、適用ループフィルタ1065は、色差情報U、Vの拡張再構築画像、クラス情報、フィルタセットインデックス、及び適用可否フラグなどを用いて各々のCTUに対して適用ループフィルタ処理を行う。そして、
図3に示す処理が終了する。
【0036】
(4)第1の実施例を実現するための動作
次に、第1の実施例を実現するための動作を説明する。
【0037】
上述したような
図3及び
図4に示した処理に従って、適用ループフィルタを実行することができる。具体的には、
図3に示す処理には、各クラスに適用するフィルタセットの決定、各フィルタセットの係数の導出、及びブロックごとのフィルタのオンオフの導出のために、反復処理が行われる。言い換えれば、画像データをロードするため多数回のメモリアクセス(復号画像バッファ1070へのアクセスなど)により、
図3に示すステップS305及びS307を実行することができる。
【0038】
また、ステップS307では、色差情報に関するフィルタ係数算出のための入力値として、色差情報U、Vの共分散情報の平均値が用いられる。
図5は、色差情報U、Vの共分散情報の平均値を導出する処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【0039】
この場合、適用ループフィルタ1065は、色差情報Uの共分散情報を取得し(ステップS501)、色差情報Vの共分散情報を取得する(ステップS503)。次に、適用ループフィルタ1065は、色差情報Uの共分散情報と色差情報Vの共分散情報との平均値を、色差情報に関するフィルタ係数算出用共分散情報として算出して、
図5に示す処理を終了する。
【0040】
この場合、上記の
図5に示す処理では、色差U及びVの両方の成分にどちらにも効果があるフィルタ係数を生成することができる。
【0041】
<1.2.第2の実施例>
<1.2.1.映像符号化装置1の構成>
次に、
図6を参照して、第1の実施形態の第2の実施例に係る映像符号化装置1の構成の例を説明する。
図6は、本発明が適用される例示的な第1の実施形態の第2の実施例に係る映像符号化装置1の概略的な構成の一例を示す説明図である。
図6を参照すると、映像符号化装置1は、イントラ予測部10、インター予測部20、変換/量子化部30、エントロピー符号化部40、逆変換/逆量子化部50、ループフィルタ60、及び復号画像バッファ70を備える。ループフィルタ60以外の構成、すなわち、イントラ予測部10、インター予測部20、変換/量子化部30、エントロピー符号化部40、逆変換/逆量子化部50、及び復号画像バッファ70については、上述した映像符号化装置1000に係る構成及び動作と同様であり、その説明を省略する。
【0042】
映像符号化装置1は、例えば
図7に示すようなハードウェア構成により実装される。
図7は、映像符号化装置1を実装可能なハードウェア700の概略的な構成の一例を示す説明図である。
図7を参照すると、ハードウェア700は、プロセッサ710、プログラムメモリ720、映像データを格納するための記憶媒体730およびビットストリームを格納するための記憶媒体740を備える。記憶媒体730と記憶媒体740とは、別個の記憶媒体であってもよいし、同一の記憶媒体からなる記憶領域であってもよい。記憶媒体として、ハードディスク等の磁気記憶媒体を用いることができる。
【0043】
ハードウェア700は、映像符号化装置1の機能を実現するコンピュータプログラムをプログラムメモリ720にインストールすることにより、映像符号化装置1の種々の機能を実現することができる。
【0044】
<1.2.2.ループフィルタ60の構成>
図8を参照して、ループフィルタ60の構成の例を説明する。
図8は、第1の実施形態の第2の実施例に係るループフィルタ60の概略的な構成を示すブロック図である。
図8を参照すると、ループフィルタ60は、デブロッキングフィルタ部61、サンプル適用オフセット処理部63、及び適用ループフィルタ100を備える。ここで、適用ループフィルタ100以外の構成、すなわち、デブロッキングフィルタ部61及びサンプル適用オフセット処理部63については、上述した映像符号化装置1000が備えるループフィルタ60に係る構成及び動作と同様であり、その説明を省略する。
【0045】
<1.2.3.適用ループフィルタ100の構成>
図9を参照して、適用ループフィルタ100の構成の例を説明する。
図9は、第1の実施形態の第2の実施例に係る適用ループフィルタ100の概略的な構成を示すブロック図である。
図9を参照すると、適用ループフィルタ100は、取得部110、割当部120、分類部130、及びフィルタ処理部140を備える。具体的な各部で行われる動作などについては、以下で説明する。
【0046】
<1.2.4.動作例>
次に、第1の実施形態の第2の実施例に係る動作例を説明する。
【0047】
第1の実施形態の第2の実施例によれば、適用ループフィルタ100の取得部110は、符号化対象となる1つのピクチャの統計情報を取得する。また、適用ループフィルタ100の割当部120は、上記ピクチャの統計情報に基づいて、上記ピクチャに含まれる複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てる。さらに、適用ループフィルタ100のフィルタ処理部140は、上記単一のフィルタセットを用いて、上記複数のブロックのそれぞれに、上記適用ループフィルタ処理を行う。
【0048】
(1)統計情報の取得
具体的に、上記ピクチャの上記統計情報は、上記ピクチャの共分散情報である。この場合、例えば、適用ループフィルタ100の取得部110は、上記ピクチャに含まれる4×4サンプルサイズのブロックのそれぞれについて共分散値を算出する。具体的には、適用ループフィルタ100の取得部110は、ブロックごとに、対応するブロックの入力画像と、対応するブロックの範囲を拡張した再構築画像とを参照して、共分散値を計算する。そして、適用ループフィルタ100の取得部110は、各々のブロックについての共分散値の合計値を、上記ピクチャの上記共分散情報として取得することができる。
【0049】
また、上記ピクチャの上記統計情報は、上記ピクチャに含まれる全ブロック数よりも少ないブロック数のブロックについて算出される統計情報に基づいてもよい。
図10は、統計情報の算出の例を示す説明図である。例えば
図10に示すように、適用ループフィルタ100の取得部110は、上記ピクチャに含まれる全ブロックを水平及び垂直方向に1ブロックごとにブロックを間引くことにより、略半数のブロック(例えば
図10の斜線で示されるブロック)を統計情報の算出対象としてもよい。このように、統計情報の算出対象となるブロックを少なくすることにより、計算量の抑制を図ることができる。とりわけ、入力画像の画サイズが大きくなるのに伴って、より一層計算量の抑制を実現することができる。
【0050】
(2)ブロックのクラス
適用ループフィルタ100の分類部130は、上記複数のブロックのそれぞれを、それぞれのブロックの勾配情報に基づいて、上記適用ループフィルタ処理のための複数のクラスのうちの一つのクラスに分類する。具体的には、適用ループフィルタ100の分類部130は、拡張した再構築画像を参照して勾配計算を行い、勾配を参照してブロックの分類を示すクラス(ブロック分類情報)を出力する。
【0051】
具体的には、まず、適用ループフィルタ100の分類部130は、各ブロック内に含まれるサンプルごとに、近傍サンプルの値を参照して、垂直、水平、斜め方向の勾配を計算する。なお、勾配の計算は、水平方向と垂直方向との両方向について、偶数又は奇数のサンプル位置のみを用いてもよい。これにより演算量が軽減される。
【0052】
次に、適用ループフィルタ100の分類部130は、各々のブロックについて、勾配計算結果の大小関係を比較して、当該比較の結果に基づいて、方向カテゴリDを計算する。一例として、方向カテゴリDの取り得る値は、例えば0~4の整数である。また、適用ループフィルタ100の分類部130は、水平及び垂直方向の勾配計算の和から変化量Aを計算する。一例として、変化量Aの取り得る値は、0~4の整数である。
【0053】
次に、適用ループフィルタの分類部130は、上述した方向カテゴリDと変化量Aを用いて、C=5D+Aで表現される式により、クラスCを計算する。上述したようにDとAの取り得る範囲が0~4の整数である場合、適用ループフィルタの分類部130は、0~24までの25候補のクラスの中から、各々のブロックに対応するクラスCを計算する。
【0054】
(3)フィルタセットの割当
次に、フィルタセットの割当について詳述する。適用ループフィルタ100の割当部120は、符号化対象となるブロックに適用可能な複数の候補フィルタセットの中から、上記ピクチャに含まれる複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てる。例えば、上記複数の候補フィルタセットのうち、上記原画像と再構築画像の差分に関するコストが最も低くなるようなフィルタセットが、上記単一のフィルタセットとして割り当てられる。
【0055】
上記複数の候補フィルタセットは、例えばブロックの勾配などに応じてグループ分け可能な各々のクラスに適用され得る合計25個の候補フィルタセットである。この場合、適用ループフィルタ100の割当部120は、上記クラスの分類によらず、上記ピクチャの上記統計情報に基づいて、上記ピクチャに含まれる上記複数のブロックに共通した上記単一のフィルタセットを割り当てる。
【0056】
このようにして、適用ループフィルタ100の割当部120は、上述した
図3及び
図4の参照により説明された第1の実施例と異なり、上記ピクチャに含まれる複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てることができる。したがって、適用ループフィルタ100の割当部120は、例えば上述した
図3及び
図4の参照により説明された第1の実施例のような反復処理を行わないので、実装コストを抑制しながら良好な圧縮効率を実現することができる。
【0057】
(4)フィルタ処理の実行
上記適用ループフィルタ処理は、デブロッキングフィルタおよびサンプル適用オフセット処理がなされたピクチャに対して再エッジ強調を行う処理である。具体的には、適用ループフィルタ100のフィルタ処理部140は、上記クラスに応じて上記単一のフィルタセットに含まれるフィルタ係数を並び替え、上記単一のフィルタセットを用いて、上記クラスに対応するブロックに、上記適用ループフィルタ処理を行う。
【0058】
図11は、フィルタ係数の並び替えの一例を概略的に説明するための説明図である。
図11を参照すると、例えば、基準となるフィルタセット1101は、例えばクラスに応じて右回転方向に90度回転され、フィルタセット1102のように、各々のフィルタ係数(0から12までナンバーリングされる係数)が並び替えられる。
【0059】
(5)処理の流れ
次に、
図12を参照して、適用ループフィルタ100の処理の流れを説明する。
図12は、適用ループフィルタ100の処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
【0060】
ステップS1201において、適用ループフィルタ100の分類部130は、現在のピクチャに含まれる複数のブロック(例えば4×4サイズのブロック)のそれぞれを、それぞれのブロックの勾配情報に基づいて、上記適用ループフィルタ処理のための複数のクラスのうちの一つのクラスに分類する。
【0061】
ステップS1203において、適用ループフィルタ100の取得部110は、上記ピクチャに含まれる4×4サンプルサイズのブロックのそれぞれについて共分散値を算出し、各々のブロックについての共分散値の合計値を、上記ピクチャの上記共分散情報として取得する。
【0062】
ステップS1205において、適用ループフィルタ100の割当部120は、上記ピクチャの統計情報に基づいて、上記ピクチャに含まれる複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当て、単一のフィルタセットに含まれるフィルタ係数を計算する。
【0063】
ステップS1207において、適用ループフィルタ100のフィルタ処理部140は、ピクチャに含まれるブロック(例えば、符号化ツリーユニットCTU)に対して、単一のフィルタセットを用いて適用ループフィルタ処理を行う。
【0064】
ステップS1209において、適用ループフィルタ100のフィルタ処理部140は、ブロック(例えば、符号化ツリーユニットCTU)単位で、適用ループフィルタ処理のオンオフを判定する。その後、
図12に示す処理を終了する。
【0065】
上記
図12に示す処理によれば、上述した
図3及び
図4の参照により説明された第1の実施例と異なり、上記ピクチャに含まれる複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てることができる。したがって、適用ループフィルタ100の割当部120は、例えば上述した
図3及び
図4の参照により説明された第1の実施例のような反復処理を行わないので、実装コストを抑制しながら良好な圧縮効率を実現することができる。
【0066】
(6)色差情報に関する適用ループフィルタ処理に用いられる共分散情報
例えば、色差情報に関する適用ループフィルタ処理では、次のように共分散情報が用いられることにより、単一のフィルタセットが割り当てられてもよい。
【0067】
すなわち、上記ピクチャが、第1色差情報(U)を表す複数の第1色差ブロックと、第2色差情報(V)を表す複数の第2色差ブロックとを含む場合、適用ループフィルタ100の取得部110は、上記複数の第1色差ブロックに関する第1色差統計情報、及び上記複数の第2色差ブロックに関する第2色差統計情報を算出する。そして、適用ループフィルタ100の取得部110は、上記複数の第1色差ブロックに関する第1色差統計情報を合計して、上記ピクチャの第1色差統計情報を取得する。また、適用ループフィルタ100の取得部110は、上記複数の第2色差ブロックに関する第2色差統計情報を合計して、上記ピクチャの第2色差統計情報を取得する。
【0068】
適用ループフィルタ100の割当部120は、上記第1色差統計情報に基づいて上記複数の第1色差ブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当て、上記第2色差統計情報に基づいて上記複数の第2色差ブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てる。
【0069】
このようにして、適用ループフィルタ100の割当部120は、例えば色差情報Uの共分散情報と色差情報Vの共分散情報との平均値を用いて色差情報U及びV共通でフィルタセットを割り当てる場合に比べて、2つの色差情報(U、V)のそれぞれに適した適用ループフィルタのフィルタセットを得ることができる。
【0070】
<<2.第2の実施形態>>
続いて、
図13を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。上述した第1の実施形態は、具体的な実施形態であるが、第2の実施形態は、より一般化された実施形態である。
【0071】
<2.1.構成>
図13は、第2の実施形態に係る映像符号化装置200の概略的な構成の例を示すブロック図である。
図13を参照すると、映像符号化装置200は、取得部210、割当部220、及びフィルタ処理部230を備える。
【0072】
<2.2.動作例>
次に、第2の実施形態の動作例を説明する。
【0073】
第2の実施形態では、映像符号化装置200の取得部210は、符号化対象となる1つのピクチャの統計情報を取得する。また、映像符号化装置200の割当部220は、上記ピクチャの統計情報に基づいて、上記ピクチャに含まれる複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てる。さらに、映像符号化装置200のフィルタ処理部230は、上記単一のフィルタセットを用いて、上記複数のブロックのそれぞれに、上記適用ループフィルタ処理を行う。
【0074】
例えば、映像符号化装置200は、第1の実施形態に係る適用ループフィルタ100の動作を行ってもよい。この場合、第2の実施形態に係る取得部210は、第1の実施形態に係る取得部110の動作を行う。また、第2の実施形態に係る割当部220は、第1の実施形態に係る割当部120の動作を行う。第2の実施形態に係るフィルタ処理部230は、第1の実施形態に係るフィルタ処理部140の少なくとも一部の動作を行う。
【0075】
以上、第2の実施形態を説明した。第2の実施形態によれば、例えば、実装コストを抑制しながら良好な圧縮効率を実現することが可能になる。
【0076】
<<3.他の実施形態>>
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は例示にすぎないということ、及び、本発明のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。
【0077】
例えば、本明細書に記載されている処理におけるステップは、必ずしもシーケンス図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、処理におけるステップは、シーケンス図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、処理におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。
【0078】
また、本明細書において説明した装置の構成要素(例えば、取得部、割当部、及び/又はフィルタ処理部)の処理を含む方法が提供されてもよく、上記構成要素の処理をプロセッサに実行させるためのプログラムが提供されてもよい。また、当該プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体(Non-transitory computer readable medium)が提供されてもよい。当然ながら、このような装置、モジュール、方法、プログラム、及びコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体も本発明に含まれる。
【0079】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0080】
(付記1)
符号化対象となる1つのピクチャの統計情報を取得する取得部と、
前記ピクチャの統計情報に基づいて、前記ピクチャに含まれる複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てる割当部と、
前記単一のフィルタセットを用いて、前記複数のブロックのそれぞれに、適用ループフィルタ処理を行うフィルタ処理部と、を備える、映像符号化装置。
【0081】
(付記2)
前記割当部は、符号化対象となるブロックに適用可能な複数の候補フィルタセットの中から、前記ピクチャに含まれる複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てる、付記1記載の映像符号化装置。
【0082】
(付記3)
前記ピクチャは、第1色差情報を表す複数の第1色差ブロックと、第2色差情報を表す複数の第2色差ブロックとを含み、
前記ピクチャの統計情報は、前記複数の第1色差ブロックに関する第1色差統計情報と、前記複数の第2色差ブロックに関する第2色差統計情報とを含み、
前記割当部は、
前記第1色差統計情報に基づいて前記複数の第1色差ブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当て、前記第2色差統計情報に基づいて前記複数の第2色差ブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てる、付記1又は2記載の映像符号化装置。
【0083】
(付記4)
前記ピクチャの統計情報は、前記ピクチャに含まれる全ブロック数よりも少ないブロック数のブロックについて算出される統計情報に基づく、付記1乃至3のうち何れか1項記載の映像符号化装置。
【0084】
(付記5)
前記適用ループフィルタ処理は、デブロッキングフィルタされたピクチャに対して再エッジ強調を行う処理である、付記1乃至4のうち何れか1項記載の映像符号化装置。
【0085】
(付記6)
前記複数のブロックのそれぞれを、それぞれのブロックの勾配情報に基づいて、前記適用ループフィルタ処理のための複数のクラスのうちの一つのクラスに分類する分類部を更に備え、
前記割当部は、前記クラスの分類によらず、前記ピクチャの統計情報に基づいて、前記ピクチャに含まれる前記複数のブロックに共通した前記単一のフィルタセットを割り当てる、付記1乃至5のうち何れか1項記載の映像符号化装置。
【0086】
(付記7)
前記フィルタ処理部は、前記クラスに応じて前記単一のフィルタセットに含まれるフィルタ係数を並び替え、前記単一のフィルタセットを用いて、前記クラスに対応するブロックに、前記適用ループフィルタ処理を行う、付記6記載の映像符号化装置。
【0087】
(付記8)
前記ピクチャの前記統計情報は、前記ピクチャの共分散情報である、付記1乃至7のうち何れか1項記載の映像符号化装置。
【0088】
(付記9)
符号化対象となる1つのピクチャの統計情報を取得することと、
前記ピクチャの統計情報に基づいて、前記ピクチャに含まれる複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てることと、
前記単一のフィルタセットを用いて、前記複数のブロックのそれぞれに、適用ループフィルタ処理を行うことと、を備える、映像符号化方法。
【0089】
(付記10)
符号化対象となる1つのピクチャの統計情報を取得することと、
前記ピクチャの統計情報に基づいて、前記ピクチャに含まれる複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てることと、
前記単一のフィルタセットを用いて、前記複数のブロックのそれぞれに、適用ループフィルタ処理を行うことと、
をプロセッサに実行させる映像符号化プログラム。
【0090】
(付記11)
符号化対象となる1つのピクチャの統計情報を取得することと、
前記ピクチャの統計情報に基づいて、前記ピクチャに含まれる複数のブロックに共通した単一のフィルタセットを割り当てることと、
前記単一のフィルタセットを用いて、前記複数のブロックのそれぞれに、適用ループフィルタ処理を行うことと、
をプロセッサに実行させるプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体。
【0091】
この出願は、2021年3月23日に出願された日本出願特願2021―049038を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0092】
映像を符号化または復号するシステムにおいて、画面内予測に使用される画像の使用範囲を適応的に制御することが可能になる。
【符号の説明】
【0093】
1、200、1000 映像符号化装置
60、1060 ループフィルタ
100、1065 適用ループフィルタ
110、210 取得部
120、220 割当部
130 分類部
140、230 フィルタ処理部