(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】画像制御方法及び画像制御装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
G01C21/34
(21)【出願番号】P 2023525157
(86)(22)【出願日】2021-05-31
(86)【国際出願番号】 JP2021020660
(87)【国際公開番号】W WO2022254509
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中村 昌平
(72)【発明者】
【氏名】谷口 洋平
(72)【発明者】
【氏名】堀部 真史
(72)【発明者】
【氏名】前田 健司
(72)【発明者】
【氏名】磯部 翠
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-041916(JP,A)
【文献】特開2020-163901(JP,A)
【文献】特開2015-011458(JP,A)
【文献】特開2017-068585(JP,A)
【文献】特開2021-006805(JP,A)
【文献】特開2021-009133(JP,A)
【文献】特開2013-130462(JP,A)
【文献】特開2008-298457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00- 1/16
G01C 21/26-21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行する車線である自車線と、前記自車線の少なくとも一側方に存在し且つ前記自車線に隣接する隣接車線を少なくとも含んだ1車線以上の他車線と、を表す道路画像を生成する処理と、
前記自車両を自律走行制御によって車線変更させる場合に車線変更先の車線として決定された対象車線が、前記道路画像に表れている場合には、前記対象車線へ車線変更する進路を表す第1進路表示を前記道路画像に重畳し、
前記対象車線が前記道路画像に表れていない場合には、前記自車線から前記道路画像に表れている他車線を通って前記道路画像に表れている他車線の外側まで伸びる帯状の範囲を表す第2進路表示を前記道路画像に重畳して車線変更画像を生成する処理と、
前記車線変更画像を表示装置に表示する処理と、
をコントローラに実行させ
る画像制御方法であって、
前記対象車線への車線変更は、連続して実行される複数の車線変更を含み、
前記複数の車線変更に含まれる最初の車線変更は、前記自車線から前記隣接車線への車線変更であり、
前記コントローラは、
前記複数の車線変更を一括して承諾する一括承諾モードか、前記複数の車線変更を個別に承諾する個別承諾モードのいずれかを選択する乗員による設定を記憶し、
前記一括承諾モードが設定されている場合に、前記最初の車線変更が実行される前に、前記第1進路表示又は前記第2進路表示が重畳された前記車線変更画像を表示し、
前記個別承諾モードが設定されている場合に、前記最初の車線変更が実行される前に、前記自車線から前記隣接車線へ車線変更する進路を表す第3進路表示が前記道路画像に重畳された車線変更画像を表示する、
ことを特徴とする画像制御方法。
【請求項2】
前記対象車線は、前記自車両の現在位置から目的地までの目標経路に基づいて決定される、ことを特徴とする請求項1に記載の画像制御方法。
【請求項3】
前記複数の車線変更のうち残りの車線変更の回数を示す数字を前記車線変更画像上に表示することを特徴とする請求項
1又は2に記載の画像制御方法。
【請求項4】
前記第2進路表示が前記道路画像に重畳された前記車線変更画像を表示した後に車線変更が実行されて、前記対象車線が前記道路画像に表れた場合に、前記第1進路表示が前記道路画像に重畳された前記車線変更画像を表示する、ことを特徴とする請求項
1~3のいずれか一項に記載の画像制御方法。
【請求項5】
自車両が走行する車線である自車線と、前記自車線の少なくとも一側方に存在し且つ前記自車線に隣接する隣接車線を少なくとも含んだ1車線以上の他車線と、を表す道路画像を生成する処理と、
前記自車両を自律走行制御によって車線変更させる場合に車線変更先の車線として決定された対象車線が、前記道路画像に表れている場合には、前記対象車線へ車線変更する進路を表す第1進路表示を前記道路画像に重畳し、
前記対象車線が前記道路画像に表れていない場合には、前記自車線から前記道路画像に表れている他車線を通って前記道路画像に表れている他車線の外側まで伸びる帯状の範囲を表す第2進路表示を前記道路画像に重畳して車線変更画像を生成する処理と、
前記車線変更画像を表示装置に表示する処理と、
を実行するコントローラを備える
画像制御装置であって、
前記対象車線への車線変更は、連続して実行される複数の車線変更を含み、
前記複数の車線変更に含まれる最初の車線変更は、前記自車線から前記隣接車線への車線変更であり、
前記コントローラは、
前記複数の車線変更を一括して承諾する一括承諾モードか、前記複数の車線変更を個別に承諾する個別承諾モードのいずれかを選択する乗員による設定を記憶し、
前記一括承諾モードが設定されている場合に、前記最初の車線変更が実行される前に、前記第1進路表示又は前記第2進路表示が重畳された前記車線変更画像を表示し、
前記個別承諾モードが設定されている場合に、前記最初の車線変更が実行される前に、前記自車線から前記隣接車線へ車線変更する進路を表す第3進路表示が前記道路画像に重畳された車線変更画像を表示する、
ことを特徴とする画像制御装置。
【請求項6】
自車両が走行する車線である自車線と、前記自車線の少なくとも一側方に存在し且つ前記自車線に隣接する隣接車線を少なくとも含んだ1車線以上の他車線と、を表す道路画像を生成する処理と、
前記自車両を自律走行制御によって車線変更させる場合に車線変更先の車線として決定された対象車線へ車線変更する進路を表す進路表示を前記道路画像に重畳して車線変更画像を生成する処理と、
前記対象車線への車線変更が連続して実行される複数の車線変更を含む場合に前記複数の車線変更を一括して承諾する一括承諾モードか、前記複数の車線変更を個別に承諾する個別承諾モードのいずれかを選択する乗員による設定を記憶する処理と、
前記複数の車線変更に含まれる最初の車線変更として前記自車線から前記隣接車線への車線変更が実行される前に、前記車線変更画像を表示装置に表示する処理と、
をコントローラに実行させ、
前記車線変更画像は、前記一括承諾モードか前記個別承諾モードのいずれが設定されているかに応じて、1回の承諾行為に基づいて実行される車線変更の範囲を表示する、
ることを特徴とする画像制御方法。
【請求項7】
自車両が走行する車線である自車線と、前記自車線の少なくとも一側方に存在し且つ前記自車線に隣接する隣接車線を少なくとも含んだ1車線以上の他車線と、を表す道路画像を生成する処理と、
前記自車両を自律走行制御によって車線変更させる場合に車線変更先の車線として決定された対象車線へ車線変更する進路を表す進路表示を前記道路画像に重畳して車線変更画像を生成する処理と、
前記対象車線への車線変更が連続して実行される複数の車線変更を含む場合に前記複数の車線変更を一括して承諾する一括承諾モードか、前記複数の車線変更を個別に承諾する個別承諾モードのいずれかを選択する乗員による設定を記憶する処理と、
前記複数の車線変更に含まれる最初の車線変更として前記自車線から前記隣接車線への車線変更が実行される前に、前記車線変更画像を表示装置に表示する処理と、
を実行するコントローラを備え、
前記車線変更画像は、前記一括承諾モードか前記個別承諾モードのいずれが設定されているかに応じて、1回の承諾行為に基づいて実行される車線変更の範囲を表示する、
ることを特徴とする画像制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像制御方法及び画像制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、自車線と隣接車線を表した道路画像に自車線から隣接車線へ伸びる矢印を表示することにより、自動運転によって自車線から隣接車線へ車線変更することを知らせる表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自律走行制御によって自車両を車線変更させる際に、複数回連続して車線変更を行うことにより自車両を隣接車線よりも遠い車線へ車線変更する場合がある。このような車線変更の場合、特許文献1の画像表示では、最終的に隣接車線に車線変更するのか、それとも更に車線変更が続くのかを、車線変更の開始前に乗員に知らせることができない。
本発明は、自律走行制御による車線変更の開始前に、最終的に隣接車線に車線変更するのか、それとも更に車線変更が続くのかを知らせる画像表示を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様の画像制御方法では、自車両が走行する車線である自車線と、自車線の少なくとも一側方に存在し且つ自車線に隣接する隣接車線を少なくとも含んだ1車線以上の他車線と、を表す道路画像を生成する処理と、自車両を自律走行制御によって車線変更させる場合に車線変更先の車線として決定された対象車線が、道路画像に表された他車線である被表示他車線のいずれかであると判定された場合には、自車線から被表示他車線に含まれる対象車線へ車線変更する進路を表す第1進路表示を道路画像に重畳し、対象車線が被表示他車線のいずれでもないと判定された場合には、自車線から被表示他車線へ車線変更して更に被表示他車線の外側へ車線変更する進路を表す第2進路表示を道路画像に重畳して車線変更画像を生成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、自律走行制御による車線変更の開始前に、最終的に隣接車線に車線変更するのか、それとも更に車線変更が続くのかを知らせる画像表示を提供できる。
本発明の目的及び利点は、特許請求の範囲に示した要素及びその組合せを用いて具現化され達成される。前述の一般的な記述及び以下の詳細な記述の両方は、単なる例示及び説明であり、特許請求の範囲のように本発明を限定するものでないと解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態の運転支援装置を搭載する車両の概略構成の一例を示す図である。
【
図3】車線変更提案中の車線変更画像の第1例を示す図である。
【
図4】車線変更提案中の車線変更画像の第2例を示す図である。
【
図5】車線変更提案中の車線変更画像の第3例を示す図である。
【
図6】車線変更開始後の車線変更画像の第1例を示す図である。
【
図7】車線変更開始後の車線変更画像の第2例を示す図である。
【
図8】車線変更提案中の車線変更画像の第4例を示す図である。
【
図9】
図1の運転支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図9の一括車線変更処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図9の個別車線変更処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(構成)
図1は、実施形態の運転支援装置を搭載する車両の概略構成の一例を示す図である。車両1に搭載された運転支援装置10は、センサ11と、測位装置12と、地図データベース(地
図DB)13と、車載機器14と、ナビゲーションシステム15と、表示装置16と、音声出力装置17と、入力装置18と、車両挙動制御装置19と、コントローラ20を備える。これらの装置は、相互に情報の送受信を行うために、たとえばCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
【0009】
センサ11は、車両1の走行状態を検出する。たとえば、センサ11は、車両1の前方を撮像する前方カメラ、車両1の後方を撮像する後方カメラ、車両1の左右の側方を撮像する側方カメラ等のカメラを含む。また、センサ11は、車両1の前方の障害物を検出する前方レーダ、車両1の後方の障害物を検出する後方レーダ、車両1の左右の側方に存在する障害物を検出する側方レーダ等のレーダを含む。さらに、センサ11は、車両1の車速を検出する車速センサ、乗員(例えば運転者)によるハンドルの保持を検出するタッチセンサ(静電容量センサ)および乗員を撮像する車内カメラなどを含む。
【0010】
測位装置12は、GPSユニット、ジャイロセンサ、および車速センサなどを備える。測位装置12は、GPSユニットにより複数の衛星通信から送信される電波を検出し、車両1の位置情報を周期的に取得する。また、測位装置12は、取得した車両1の位置情報と、ジャイロセンサから取得した角度変化情報と、車速センサから取得した車速とに基づいて、車両1の現在位置を検出する。
【0011】
地図データベース13は、各種施設や特定の地点の位置情報を含む三次元高精度地図情報を格納し、コントローラ20からアクセス可能とされたメモリである。三次元高精度地図情報は、データ取得用車両を用いて実際の道路を走行した際に検出された道路形状に基づく三次元地図情報である。三次元高精度地図情報は、地図情報とともに、カーブ路及びそのカーブの大きさ(たとえば曲率又は曲率半径)、道路の合流地点、分岐地点、料金所、車線数の減少位置などの詳細かつ高精度の位置情報が、三次元情報として関連付けられた地図情報である。
【0012】
車載機器14は、車両1に搭載された各種機器であり、乗員の操作により動作する。このような車載機器としては、ハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル、方向指示器、ワイパー、ライト、クラクション、その他の特定のスイッチなどが挙げられる。
ナビゲーションシステム15は、測位装置12から車両1の現在の位置情報を取得し、ナビゲーション用の地図情報に車両1の位置を重ね合わせてディスプレイなどに表示する。また、ナビゲーションシステム15は、目的地が設定された場合に、その目的地までのルートを設定し、設定したルートを乗員に案内するナビゲーション機能を備える。このナビゲーション機能は、ディスプレイの地図上にルートを表示し、音声等によってルートを乗員に知らせる。ナビゲーションシステム15で設定されたルートは、コントローラ20が備えるルート走行支援機能でも利用される。ルート走行支援機能は、設定されたルートに基づいて、車両1を目的地まで自律走行させる機能である。
【0013】
表示装置16は、たとえば、ナビゲーションシステム15が備えるディスプレイ、ルームミラーに組み込まれたディスプレイ、メータ部に組み込まれたディスプレイ、フロントガラスに映し出されるヘッドアップディスプレイ等の各種ディスプレイを含む。表示装置16は、コントローラ20の制御に従って、各種の提示情報を乗員に報知する。
音声出力装置17は、ナビゲーションシステム15が備えるスピーカ、オーディオ装置のスピーカ、ブザー等の聴覚的情報を出力する装置である。音声出力装置17は、コントローラ20の制御に従って、各種の提示情報を乗員に報知する。
【0014】
入力装置18は、たとえば、乗員の手動操作による入力が可能なボタンスイッチ、ディスプレイ画面上に配置されたタッチパネル、又は乗員の音声による入力が可能なマイクなどの装置である。乗員が入力装置18を操作することで、表示装置16や音声出力装置17により提示された提示情報に対する設定情報を入力することができる。
図2は、本実施形態の入力装置18の一部を示す図である。入力装置18は、例えばハンドルのスポーク部などに配置されたボタンスイッチ群であってよい。入力装置18は、コントローラ20が備える自律走行制御機能のオン/オフ等を設定する際に使用する。入力装置18は、メインスイッチ181と、リジューム・アクセラレートスイッチ182と、セット・コーストスイッチ183と、キャンセルスイッチ184と、車間調整スイッチ185と、車線変更支援スイッチ186とを備える。
【0015】
メインスイッチ181は、コントローラ20の自律走行制御機能をオン/オフするスイッチである。リジューム・アクセラレートスイッチ182は、自律走行制御機能をオフしたのちオフ前の設定速度で自律走行制御機能を再開することを設定したり、設定速度を上げるスイッチである。セット・コーストスイッチ183は、自律走行制御機能を開始するスイッチである。自律走行制御機能を開始するには、メインスイッチ181により自律走行制御機能をオンした後に、セット・コーストスイッチ183を押下する。またセット・コーストスイッチ183は、設定速度を下げるスイッチである。キャンセルスイッチ184は、自律走行制御機能を解除するスイッチである。車間調整スイッチ185は、先行車両との車間距離を設定するためのスイッチである。車線変更支援スイッチ186は、コントローラ20が車線変更の開始を乗員に確認した場合に車線変更の開始を指示する(承諾する)ためのスイッチである。
なお、
図2に示すボタンスイッチ群以外にも、方向指示器の方向指示レバーやその他の車載機器14のスイッチを入力装置18として用いることができる。例えば、コントローラ20から自動で車線変更を行うか否かを提案された場合に、乗員が方向指示レバーを操作すると、提案された車線変更ではなく、方向指示レバーが操作された方向に向かって車線変更を行う。
【0016】
車両挙動制御装置19は、車両1の車両挙動を制御する。たとえば、車両挙動制御装置19は、自律走行制御機能により車両1が設定速度で定速走行する場合には、車両1が設定速度となるように、加減速度および走行速度を実現するための駆動機構の動作およびブレーキ動作を制御する。また、車両挙動制御装置19は、自律走行制御機能により車両1が先行車両に追従走行する場合にも、同様に駆動機構及びブレーキの動作を制御する。なお、駆動機構の動作制御は、エンジン自動車にあっては内燃機関の動作、電気自動車系にあっては走行用モータの動作を含む。また、ハイブリッド自動車にあっては、内燃機関と走行用モータとのトルク配分を含む。
また車両挙動制御装置19は、自律走行制御機能により、後述するレーンキープ制御、車線変更支援機能、追い越し支援機能又はルート走行支援機能を実行する場合に、駆動機構とブレーキの動作制御に加えて、ステアリングアクチュエータの動作を制御することで、車両1の操舵制御を実行する。
【0017】
コントローラ20は、車両1の走行を制御するための1つ又は複数の電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)であり、プロセッサ21と、記憶装置22等の周辺部品とを含む。プロセッサ21は、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。記憶装置22は、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。記憶装置22は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んでよい。
以下に説明するコントローラ20の機能は、例えばプロセッサ21が、記憶装置22に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、コントローラ20を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。例えば、コントローラ20は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えばコントローラ20はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD:Programmable Logic Device)等を有していてもよい。
【0018】
コントローラ20は、車両1の走行状態に関する情報を取得する走行情報取得機能と、車両1の走行速度及び/又は操舵を自律制御する自律走行制御機能とを実現する。コントローラ20の走行情報取得機能は、車両1の走行状態に関する走行情報を取得する機能である。たとえば、コントローラ20は、走行情報としてセンサ11の前方カメラ、後方カメラ及び側方カメラにより撮像された車両外部の画像情報を取得してよい。また、コントローラ20は、走行情報として前方レーダ、後方レーダ及び側方レーダによる検出結果を取得する。さらに、コントローラ20は、走行情報としてセンサ11の車速センサにより検出された車両1の車速情報や、車内カメラにより撮像された乗員の顔の画像情報も走行情報として取得する。
【0019】
さらに、コントローラ20は、走行情報として、車両1の現在の位置情報を測位装置12から取得する。また、コントローラ20は、設定された目的地及び目的地までのルートを走行情報としてナビゲーションシステム15から取得する。さらに、コントローラ20は、走行情報として、カーブ路及びそのカーブの大きさ(たとえば曲率又は曲率半径)、合流地点、分岐地点、料金所、車線数の減少位置などの位置情報を走行情報として地図データベース13から取得する。加えて、コントローラ20は、走行情報として、乗員による車載機器14の操作情報を、車載機器14から取得する。
【0020】
コントローラ20の自律走行制御機能は、車両1の走行を乗員の操作に依ることなく自律制御する機能である。コントローラ20の自律走行制御機能は、車両1の走行速度を自律制御する自律速度制御機能と、車両1の操舵を自律制御する自律操舵制御機能とを含む。以下、本実施形態の自律速度制御機能と自律操舵制御機能について説明する。
《自律速度制御機能》
自律速度制御機能は、先行車両を検出しているときは、乗員が設定した車速を上限にして、車速に応じた車間距離を保つように車間制御を行いつつ先行車両に追従走行する機能である。一方、先行車両を検出していない場合には、自律速度制御機能は、乗員が設定した車速で定速走行を行う。前者を車間制御、後者を定速制御ともいう。なお、自律速度制御機能は、センサ11により道路標識から走行中の道路の制限速度を検出し、あるいは地図データベース13の地図情報から制限速度を取得して、その制限速度を自動的に設定車速にする機能を含んでもよい。
【0021】
定速制御は、センサ11の前方レーダ等により、自車線の前方に先行車両が存在しないことが検出された場合に実行される。定速制御では、設定された走行速度を維持するように、車速センサによる車速データをフィードバックしながら、車両挙動制御装置19によりエンジンやブレーキなどの駆動機構の動作を制御する。
車間制御は、センサ11の前方レーダ等により、自車線の前方に先行車両が存在することが検出された場合に実行される。車間制御では、設定された走行速度を上限にして、設定された車間距離を維持するように、前方レーダにより検出した車間距離データをフィードバックしながら、車両挙動制御装置19によりエンジンやブレーキなどの駆動機構の動作を制御する。
【0022】
《自律操舵制御機能》
自律操舵制御機能は、ステアリングアクチュエータの動作を制御することで、車両1の操舵制御を実行する機能である。
自律操舵制御機能は、例えば、レーンキープ機能、車線変更支援機能、追い越し支援機能、及びルート走行支援機能などを含む。
レーンキープ機能とは、例えば車線の中央付近を走行するようにステアリングアクチュエータを制御して、乗員のハンドル操作を支援する機能である。
【0023】
メインスイッチ181により自律走行制御機能をオンした後に、セット・コーストスイッチ183が押下されると、コントローラ20は所定の自律走行制御開始条件が成立するか否かを判定する。自律走行制御開始条件が成立すると判定した場合に、コントローラ20は、自律操舵制御機能のレーンキープ機能を実行する。
または、メインスイッチ181により自律走行制御機能をオンした後に、自律走行制御開始条件が成立すると、コントローラ20は、セット・コーストスイッチ183が押下されるのを待つ。セット・コーストスイッチ183が押下されると、コントローラ20は、自律走行制御を開始して自律操舵制御機能のレーンキープ機能を実行する。
【0024】
《車線変更支援機能》
車線変更支援機能は、乗員が方向指示レバーを操作すると方向指示器を点灯し、所定の車線変更開始条件を満たした場合に、自動車線変更の一連の処理である車線変更操作を開始する。車線変更支援機能は、走行情報取得機能により取得した各種の走行情報に基づいて、所定の車線変更開始条件が成立したか否かを判断する。
車線変更支援機能は、車線変更開始条件を満たした場合に車線変更操作を開始する。車線変更操作では、車両1を隣接車線へ横移動させ、隣接車線への移動が完了すると方向指示器を消灯し、隣接車線でのレーンキープ機能の実行を開始する。
【0025】
《追い越し支援機能》
追い越し支援機能は、自車線の前方に車両1よりも遅い先行車両が存在し、かつ、所定の追い越し提案条件を満たした場合に、追い越し情報を表示装置16により乗員に提示する。ここで、追い越し情報とは、先行車両の追い越しを行なうことを乗員に提案するための情報である。追い越し支援機能は、追い越し情報の提示に対し、乗員が入力装置18の車線変更支援スイッチ186を操作して承諾し、かつ、予め設定された追い越し開始条件を満たした場合に、方向指示器を点灯して上述した車線変更操作を開始する。追い越し支援機能は、走行情報取得機能により取得した各種走行情報に基づいて、追い越し提案条件及び追い越し開始条件が成立したか否かを判断する。
【0026】
《ルート走行支援機能》
ルート走行支援機能は、設定されたルートに分岐地点や合流地点、出口や料金所等の走行方向変更地点が存在し、走行方向変更地点までの距離が所定距離以内であり、かつ、所定のルート走行提案条件を満たした場合に、ルート走行情報を表示装置16により提示し、走行方向変更地点への車線変更を提案する。また、ルート走行支援機能は、車線変更の提案が車線変更支援スイッチ186の操作により承諾され、かつ、所定のルート走行開始条件を満たした場合に車線変更操作を開始する。
ルート走行支援機能は、走行情報取得機能により取得した各種走行情報に基づいて、ルート走行提案条件及びルート走行開始条件が成立したか否かを判断する。
【0027】
ルート走行支援機能では、車両1が走行している道路が3車線以上の車線を有する場合に、複数の車線変更を連続して実行する場合がある。車線変更が提案される前の車両1の走行車線を「自車線」と表記すると、自車線から自車線の隣接車線に1回目の車線変更を行い、隣接車線から、隣接車線の自車線とは反対側の更なる隣接車線に2回目の車線変更を行う場合などがある。以下、ルート走行支援機能により車両1を車線変更させる最終的な車線変更先の車線を「対象車線」と表記する。
【0028】
このように、ルート走行支援機能において、連続して実行される複数の車線変更(以下、単に「複数の車線変更」と表記する)を提案する場合に、乗員は、車線変更を承諾する方法として「一括承諾モード」か「個別承諾モード」を選択できる。
一括承諾モードでは、乗員は、複数の車線変更を一括して承諾する。コントローラ20は、複数の車線変更に含まれる1回目の車線変更である自車線から隣接車線への車線変更を行う前に、複数の車線変更を一括して提案する。乗員が車線変更支援スイッチ186を操作して車線変更を承諾すると、コントローラ20は、複数の車線変更に含まれる2回目以後の車線変更については提案を行うことなく、複数の車線変更に含まれる全ての車線変更を実行する。
【0029】
個別承諾モードでは、乗員は、複数の車線変更に含まれる各々の車線変更を個別に承認する。コントローラ20は、複数の車線変更に含まれる各々の車線変更を開始する前に、その都度、車線変更を提案する。乗員は、車線変更支援スイッチ186を操作して各々の車線変更を承諾する。
例えば、乗員はナビゲーションシステム15を操作することにより、「一括承諾モード」と「個別承諾モード」のいずれを選択するのかを設定できる。
【0030】
ルート走行支援機能は、車線変更を提案する際に、提案する車線変更の進路を表わす車線変更画像を表示装置16に表示する。
図3は、一括承諾モードにおいて車線変更を提案している時の車線変更画像の一例を示す。表示装置16は、運転席のメータ部に車線変更画像161aを表示してよい。例えば車線変更画像161aは、メータ部のスピードメータとタコメータとの間に表示されてよい。後述する車線変更画像161b、161cも同様である。車線変更画像161a~161cを総称して「車線変更画像161」と表記する。
車線変更画像161は、車両1が現在走行している車線である自車線162と、自車線162の少なくとも一側方に存在し且つ自車線162に隣接する隣接車線163a及び163bを少なくとも含んだ1車線以上の他車線と、を表す道路画像を含む。車線変更画像161に表示されている他車線は、自車線162以外の自車線162と同じ進行方向の車線であり、
図3の例では隣接車線163a及び163bのみである。以下の説明において、車線変更画像161に現在表示されている他車線を「被表示他車線」と表記する。
なお、例えば車両1が右側へ車線変更することにより、隣接車線163aとして表示されていた車線を車両1が走行し始めると、車線変更前に隣接車線163aとして表示されていた車線が自車線162として車線変更画像161に表示される。
また、車線変更前に隣接車線163aとして表示されていた車線よりも更に右側に隣接車線が存在する場合、このような隣接車線は、車線変更前には車線変更画像161に表示されていないが、車線変更後には隣接車線163aとして(すなわち被表示他車線として)表示されるようになる。
なお、車線変更の進路を表わす車線変更画像161は、ルート走行支援機能のみで表示し、車線変更を伴う他の機能、例えば上記の車線変更支援機能、追い越し支援機能では表示しなくてもよい。
【0031】
図3は、車両1を車線変更させる車線変更先の車線である対象車線が自車線162から見て被表示他車線よりも外側の車線でない場合、すなわち対象車線が被表示他車線のいずれかである場合の車線変更画像161aの例を示す。
図3の例では、対象車線は隣接車線163aである。このような場合、車線変更画像161aには、自車線162から被表示他車線に含まれる対象車線163aへ車線変更する進路を表す進路表示164aが道路画像に重畳される。
進路表示164aは、例えば
図3に示すように、車両1が車線変更する際に通過する路面の範囲を模式的に表示した帯状表示であってもよく、自車線162から対象車線まで伸びる矢印の表示であってもよい。
【0032】
車線変更画像161には、車両1のアイコン165を道路画像に重畳してもよい。設定に応じて車両1のアイコン165を省略してもよい。
また、車線変更提案中(すなわち車線変更開始前)の車線変更画像161には、車線変更しない場合の進路表示166を道路画像に重畳してもよい。
以下、一括承諾モードにおいて対象車線が被表示他車線よりも外側の車線でない場合に表示される車線変更画像161aを「第1車線変更画像」と表記することがある。
【0033】
図4は、対象車線が自車線162から見て被表示他車線よりも外側の車線である場合(すなわち、対象車線が被表示他車線のいずれでもない場合)に表示される車線変更画像161bの例を示す。
図4の例では、対象車線は、自車線162の右側の5つ隣の車線である。
このような場合、車線変更画像161bには、自車線162から被表示他車線(
図4の場合には隣接車線163a)へ車線変更して更に被表示他車線の外側へ車線変更する進路を表す進路表示164bが道路画像に重畳される。進路表示164bは、例えば
図4に示すように、車両1が車線変更する際に通過する路面の範囲を模式的に表示した帯状表示であってもよく、自車線162から被表示他車線を通って被表示他車線の外側まで伸びる矢印の表示であってもよい。
また、ルート走行支援機能により提案される車線変更のうちまだ実行されていない車線変更の回数(残り回数)が2回以上である場合に、残り回数を示す数字167を車線変更画像161b上に表示してもよい。
以下、一括承諾モードにおいて、対象車線が被表示他車線よりも外側の車線である場合に表示される車線変更画像161bを「第2車線変更画像」と表記することがある。
【0034】
車線変更画像161bに表示される車線数は、
図3及び
図4の例のような3車線に限定されない。車線変更画像161bに表示される車線数は、例えば2車線であってもよく、4車線以上の複数車線であってもよい。
図5は、車線変更画像161bに表示される車線数が5車線である場合の第2車線変更画像161bの一例を示す。この場合、被表示他車線163a~163dとして、隣接車線163a及び163bと、隣接車線163a及び163bの更なる隣接車線163c及び163dとが表示されている。
したがって、車両1を車線変更させる車線変更先の車線である対象車線がこれらの車線163cや163dである場合には、自車線162から対象車線163c又は163dへ車線変更する進路を表す進路表示が道路画像に重畳された第1車線変更画像(図示せず)が表示される。
【0035】
図6は、
図4の第2車線変更画像161bを表示して車線変更を提案した後に、車線変更を開始した時点の第2車線変更画像161bの例を示す図である。乗員が車線変更を承諾することによりルート走行支援機能による車線変更が開始すると、第2車線変更画像161bは、車線変更しない場合の進路表示166が無い画像に変化する。
その後、車線変更が実行されると、車線変更後に車両1が走行する車線を自車線162と表示するように車線変更画像が更新される。このとき、複数回の車線変更が行われると、1回の車線変更が行われる毎に、車線変更後に車両1が走行する車線が順番に自車線162と表示されるように、車線変更画像が切り替わる。
このように、1回の車線変更が行われる毎に車線変更画像が切り替わり、ルート走行支援機能により提案される車線変更の残り回数が1回になると、車線変更画像は
図7に示すようになる。すなわち、車線変更画像が更新されて、対象車線が被表示他車線よりも外側の車線でなくなると、コントローラ20は、表示装置16に表示する車線変更画像を、第2車線変更画像161bから
図7に示すような第1車線変更画像161aに変化させる。
図7の例では、
図6の第2車線変更画像161bを表示した後に4回の車線変更が実行されることにより、対象車線が隣接車線163aとして表示されている。
【0036】
図8は、個別承諾モードにおいて車線変更を提案している時の車線変更画像の一例を示す。個別承諾モードでは、対象車線が自車線162から見て被表示他車線よりも外側の車線であるか否かに関わらず、自車線162から隣接車線163aへ車線変更する進路を表す進路表示が道路画像に重畳された車線変更画像161cが表示される。個別承諾モードにおいて表示される車線変更画像161cを「第3車線変更画像」と表記することがある。車線変更画像161cには、自車線162から隣接車線へ車線変更する進路を表す進路表示164cが道路画像に重畳される。
図8の第3車線変更画像161cの例には、ルート走行支援機能により提案される車線変更のうちまだ実行されていない車線変更の回数(残り回数)を示す数字167(
図3~
図7を参照)を表示していないが、第3車線変更画像161cにこのような数字167を表示してもよい。
【0037】
(動作)
図9は、実施形態の運転支援装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS1においてナビゲーションシステム15は、車両1の現在位置から目的地までのルートを算出する。
ステップS2においてコントローラ20は、ルート走行支援機能を実行中に、ルート上に存在する分岐地点等の走行方向変更地点まで所定距離の地点に到達しているか否かを判定する。走行方向変更地点まで所定距離の地点に到達している場合(ステップS2:Y)に処理はステップS3へ進む。走行方向変更地点まで所定距離の地点に到達していない場合(ステップS2:N)に処理はステップS7へ進む。
【0038】
ステップS3においてコントローラ20は、ステップS1で選出したルートに基づいて車線変更の対象車線を決定する。
ステップS4においてコントローラ20は、車線変更の承諾方法が、一括承諾モードに設定されているか、個別承諾モードに設定されているかを判定する。一括承諾モードに設定されている場合(ステップS4:Y)に処理はステップS5へ進む。個別承諾モードに設定されている場合(ステップS4:N)に処理はステップS6へ進む。
ステップS5においてコントローラ20は、一括車線変更処理を実行する。一括車線変更処理は
図10を参照して後述する。その後に処理はステップS7へ進む。
【0039】
ステップS6においてコントローラ20は、個別車線変更処理を実行する。個別車線変更処理は
図11を参照して後述する。その後に処理はステップS7へ進む。
ステップS7においてコントローラ20は、車両1のイグニションキーがオフになったか否かを判定する。イグニションキーがオフになっていない場合(ステップS7:N)に処理はステップS2へ戻る。イグニションキーがオフになった場合(ステップS7:Y)に処理は終了する。
【0040】
次に、
図10を参照して一括車線変更処理の一例を説明する。
ステップS10においてコントローラ20は、対象車線が自車線から見て被表示他車線より外側の車線であるか否かを判定する。対象車線が被表示他車線より外側の車線でない場合(ステップS10:N)に処理はステップS11へ進む。対象車線が被表示他車線より外側の車線である場合(ステップS10:Y)に処理はステップS12へ進む。
ステップS11においてコントローラ20は、第1車線変更画像161aを表示装置16に表示して対象車線への車線変更を提案する。その後に処理はステップS13へ進む。
【0041】
ステップS12においてコントローラ20は、第2車線変更画像161bを表示装置16に表示して対象車線への車線変更を提案する。その後に処理はステップS13へ進む。
ステップS13においてコントローラ20は、提案した車線変更が乗員により承諾されたか否かを判定する。車線変更が承諾された場合(ステップS13:Y)に処理はステップS14へ進む。車線変更が承諾されない場合(ステップS13:N)には一括車線変更処理を終了する。
ステップS14においてコントローラ20は、車両1が現在走行している自車線から隣接車線への1回の車線変更を実行する。
ステップS15においてコントローラ20は、車線変更を全て完了したか否か(すなわち車両1が対象車線に到達したか否か)を判定する。車線変更を完了した場合(ステップS15:Y)には一括車線変更処理を終了する。
車線変更を完了していない場合(ステップS15:N)には、車線変更画像161を更新して車線変更後の車両1の走行車線を自車線162として表示するために処理はステップS16へ進む。
【0042】
ステップS16においてコントローラ20は、対象車線が自車線から見て被表示他車線より外側の車線であるか否かを判定する。対象車線が被表示他車線より外側の車線でない場合(ステップS16:N)に処理はステップS17へ進む。対象車線が被表示他車線より外側の車線である場合(ステップS16:Y)に処理はステップS18へ進む。
ステップS17においてコントローラ20は、第1車線変更画像161aを表示装置16に表示する。その後に処理はステップS14へ戻る。
ステップS18においてコントローラ20は、第2車線変更画像161bを表示装置16に表示する。その後に処理はステップS14へ戻る。
【0043】
次に、
図11を参照して個別車線変更処理の一例を説明する。
ステップS20においてコントローラ20は、第3車線変更画像161cを表示装置16に表示して隣接車線への車線変更を提案する。
ステップS21においてコントローラ20は、提案した車線変更が乗員により承諾されたか否かを判定する。車線変更が承諾された場合(ステップS21:Y)に処理はステップS22へ進む。車線変更が承諾されない場合(ステップS21:N)には個別車線変更処理を終了する。
【0044】
ステップS22においてコントローラ20は、車両1が現在走行している自車線から隣接車線への1回の車線変更を実行する。
ステップS23においてコントローラ20は、車線変更を全て完了したか否か(すなわち車両1が対象車線に到達したか否か)を判定する。車線変更を完了していない場合(ステップS23:N)には、車線変更画像161cを更新して車線変更後の車両1の走行車線を自車線162として表示するために処理はステップS20へ進む。車線変更を完了した場合(ステップS23:Y)には個別車線変更処理を終了する。
【0045】
(実施形態の効果)
(1)コントローラ20は、車両1が走行する車線である自車線と、自車線の少なくとも一側方に存在し且つ自車線に隣接する隣接車線を少なくとも含んだ1車線以上の他車線と、を表す道路画像を生成する処理と、自律走行制御によって車両1を車線変更させる際に、車線変更先の車線である対象車線が、道路画像に表された他車線である被表示他車線にいずれかであると判定された場合には、自車線から被表示他車線に含まれる対象車線へ車線変更する進路を表す第1進路表示を道路画像に重畳し、対象車線が被表示他車線のいずれでもないと判定された場合には、自車線から被表示他車線へ車線変更して更に被表示他車線の外側へ車線変更する進路を表す第2進路表示を道路画像に重畳して車線変更画像を生成する処理と、車線変更画像を表示装置16に表示する処理と、を実行する。
【0046】
これにより、自律走行制御によって車両1を車線変更させる際に、車線変更の開始前に、表示装置16に表示される被表示他車線(例えば隣接車線)へ車線変更するのか、更に車線変更が続くのかを乗員に知らせることができる。
上記の特許文献1の表示装置では、複数の車線変更を連続して実行する場合であっても、自車線から隣接車線へ車線変更することしか表示できない。これに対して実施形態の運転支援装置10は、自律走行制御によって実行される車線変更により、表示装置16に表示されている被表示他車線へ車線変更するのか、それともその外側へ車線変更するのかを表示装置16に表示できる。すなわち、自律走行制御によって実行される制御内容と、表示装置16上への表示とを一致させることができる。これにより、自律走行制御に関する乗員への情報提示を改善できる。
【0047】
(2)コントローラ20は、車両1の現在位置から目的地までの目標経路(ルート)に基づいて対象車線を決定してよい。これにより、車両1を目標経路に沿って走行させるための車線変更が可能になる。
(3)対象車線への車線変更は、連続して実行される複数の車線変更を含み、複数の車線変更に含まれる最初の車線変更は、自車線から隣接車線への車線変更であってよい。コントローラ20は、最初の車線変更が実行される前に車線変更画像を表示してよい。これにより、最初の車線変更が実行される前に、連続して実行される複数の車線変更によって被表示他車線に車線変更するのか、それともその外側へ車線変更するのかを乗員に提示できる。
【0048】
(4)ナビゲーションシステム15又はコントローラ20は、複数の車線変更を一括して承諾する一括承諾モードか、複数の車線変更を個別に承諾する個別承諾モードのいずれかを選択する乗員による設定を記憶してもよい。
コントローラ20は、一括承諾モードが設定されている場合に、第1進路表示又は第2進路表示が重畳された車線変更画像を表示し、個別承諾モードが設定されている場合に、最初の車線変更が実行される前に、自車線から隣接車線へ車線変更する進路を表す第3進路表示が道路画像に重畳された車線変更画像を表示してもよい。
これにより、一括承諾モード又は個別承諾モードのいずれが設定されているかに応じて、1回の承諾行為に基づいて実行される車線変更の範囲(すなわち、1回の承諾行為に基づいて自律走行制御が実行する制御範囲)と、表示装置16上への表示とを一致させることができる。これにより、自律走行制御に関する乗員への情報提示を改善できる。
【0049】
(5)コントローラ20は、複数の車線変更のうち残りの車線変更の回数を示す数字を車線変更画像上に表示してもよい。これにより、対象車線が、被表示他車線よりも自車線から見て外側の車線であっても、何回車線変更を行うかを乗員に提示できる。
(6)第2進路表示が道路画像に重畳された車線変更画像を表示した後に車線変更が実行され、対象車線が被表示他車線のいずれかになった場合に、コントローラ20は、第1進路表示が道路画像に重畳された車線変更画像を表示してもよい。これにより、車線変更の進展に応じて車線変更画像を変化させることができる。
【0050】
ここに記載されている全ての例及び条件的な用語は、読者が、本発明と技術の進展のために発明者により与えられる概念とを理解する際の助けとなるように、教育的な目的を意図したものであり、具体的に記載されている上記の例及び条件、並びに本発明の優位性及び劣等性を示すことに関する本明細書における例の構成に限定されることなく解釈されるべきものである。本発明の実施例は詳細に説明されているが、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であると解すべきである。
【符号の説明】
【0051】
1…車両、10…運転支援装置、11…センサ、12…測位装置、13…地図データベース、14…車載機器、15…ナビゲーションシステム、16…表示装置、17…音声出力装置、18…入力装置、19…車両挙動制御装置、20…コントローラ、21…プロセッサ、22…記憶装置