(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 9/04 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
H02K9/04 A
(21)【出願番号】P 2023525259
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(86)【国際出願番号】 JP2021021076
(87)【国際公開番号】W WO2022254631
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥山 豪成
(72)【発明者】
【氏名】竹内 智毅
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-43149(JP,A)
【文献】国際公開第98/40956(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータとステータとをハウジングに収容し、気体を用いて前記ステータのコイルを冷却する回転電機であって、
前記コイルは平角線からなり、
前記ステータは、当該ステータの軸方向の端部から突出する円環状のコイルエンドを備え、
前記ハウジングは、前記回転電機を冷却するための気体を前記ハウジングの外部から前記コイルエンドへと向かって導入する導入口を備え、
前記コイルエンドは、前記ステータの前記コイルと前記コイルとの間隙により流路が構成され、前記導入口から導入された気体が、前記流路を外周側から内周側へと通過し、
軸方向における前記コイルエンドと前記ハウジングとの間には、前記導入口から導入された気体を前記コイルエンドの前記流路に導く冷却風制御部材が設けられ、
前記流路は、
前記コイルエンドの軸方向の根元部分において、軸方向に延設される複数の前記平角線の間に形成される空隙からなり、前記コイルエンドを外周側から内周側に径方向に貫通する第1流路と、
前記根元部分よりも端部側において、軸方向に延設される複数の前記平角線の間に形成される開放部からなり、前記コイルエンドを外周側から内周側に径方向に貫通する第2流路と、を備える、
回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記冷却風制御部材は、
前記コイルエンドの内周側に当接し、前記コイルエンドから軸方向に突出する円筒部と、
前記円筒部の周囲に立設され、前記コイルエンドの軸方向端面に対向する対向部と、
前記対向部は、外周に向かって前記ハウジングへと近づく近接部を有する、
回転電機。
【請求項3】
請求項2に記載の回転電機であって、
前記コイルエンドの内周面に前記円筒部が当接することで、開放部の一部が遮られることで前記第2流路の流路断面積が制限される、
回転電機。
【請求項4】
請求項3に記載の回転電機であって、
前記第1流路の流路断面積の総開口面積と、前記円筒部により制限された前記第2流路の流路断面積の総開口面積とが、略等しく構成される、
回転電機。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一つに記載の回転電機であって、
前記近接部の外周端が前記ハウジングの内壁に当接する、
回転電機。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載の回転電機であって、
前記ロータは、軸方向の一方の端部から他方の端部に向かって気体が通過する通風孔を有し、
前記導入口から気体を導入し、前記一方の端部から前記他方の端部へと気体を送るファンが、前記ロータの前記一方の端部に備えられる、
回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機のコイルエンドは電流が流れることにより発熱するため、適切な冷却が必要となる。
【0003】
JP2006-046699Aには、モータの外部に備えられたファンからコイルエンドに冷却空気を送る構成において、冷却空気が効率よくステータのコイルエンド部に当たるように案内板を配置することが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献では、冷却空気の導入口付近に案内板を備えるため、コイルエンドの一部、特にエアギャップ付近のコイルエンドの内周側において、十分に冷却空気が当たらない部分が発生する。このため、必ずしも適切にコイルエンドを冷却できないという問題があった。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、コイルエンドを適切に冷却する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様によれば、ロータとステータとをハウジングに収容し、気体を用いてステータのコイルを冷却する回転電機に適用される。ステータは、当該ステータの軸方向の端部から突出する円環状のコイルエンドを備える。ハウジングは、回転電機を冷却するための気体をハウジングの外部からコイルエンドへと向かって導入する導入口を備える。コイルエンドは、導入口から導入された気体が外周側から内周側に通過する流路を有する。軸方向におけるコイルエンドとハウジングとの間には、導入口から導入された気体をコイルエンドの流路に導く冷却風制御部材が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、軸方向におけるコイルエンドとハウジングとの間に冷却風制御部材を設けたので、導入口から導入された気体が、コイルエンドの流路を外側から内側へと通過するように制御することが可能となり、コイルエンドを適切に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態のモータの断面図である。
【
図2】
図2は、第1コイルエンド付近の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る回転電機としてのモータ10の説明図であり、軸方向断面図を示す。
【0011】
モータ10は、円環状に形成されたステータ20と、ステータ20の内側に回転自在に装着されたロータ30と、ロータ30に嵌装される回転軸31と、ステータ20及びロータ30を内装するハウジング40と、を備えて構成される。
【0012】
ステータ20に形成されるスロットには平角線からなる巻線が挿入されており、ステータ20の軸方向の両端部には第1コイルエンド21、第2コイルエンド22が形成される。ステータ20の一方の端部には、第1コイルエンド21が軸方向に突出する。ステータ20の他方の端部には、第2コイルエンド22が軸方向に突出する。ステータ20の巻線に電流を流すことで、ロータ30に備えられる永久磁石との作用によってロータ30が回転する。
【0013】
巻線は、ステータ20の一方の端部から他方の端部を介して一方の端部へと戻るように折り返し形状を有する複数の平角線から構成される。
【0014】
第1コイルエンド21は、平角線がステータ20の他方の端部から軸方向に起立し、周方向に屈曲する。この部分では複数の平角線が交錯する交錯部213を構成する。平角線は、交錯部213から端部に向かって軸方向に突設する。この端部においては平角線が互いに接合され、軸方向端部に向かって起立して形成される接合部214を有する。すなわち、第1コイルエンド21は、ステータ20におけるコイルの結線側である。
【0015】
第1コイルエンド21のステータ20付近の根元部分は、起立した平角線と平角線との間隙が、第1コイルエンド21の外周側から内周側に冷却風が通過する第1流路211として構成される。
【0016】
第1コイルエンド21の軸方向端部付近の先端部である接合部214は、は、起立した平角線と平角線との間隙により、略U字形状の開放部215が形成される(
図4参照)。この開放部215が、第1コイルエンド21の外周側から内周側に冷却風が通過する第2流路212として構成される。
【0017】
第2コイルエンド22は、平角線がステータ20の他方の端部から軸方向に起立した後、周方向に屈曲し、この屈曲部分からステータ20の方向に軸方向に折り返される。
【0018】
ロータ30は、一方の端部から他方の端部へと軸方向に貫通する通風孔33を備える。通風孔33は、周方向に所定の間隔をもって複数備えられる。通風孔33は、後述するように、第1収容室41から第2収容室42へと冷却風が通過する通路となる。ロータ30は、通風孔33を通過する冷却風により冷却される。
【0019】
ハウジング40は、ステータ20、ロータ30及び回転軸31を内装する。回転軸31は、ベアリング32を介してハウジング40に回転自在に支持される。
【0020】
ハウジング40は、その内周にステータ20を支持する、ステータ20の一方の端部側には第1収容室41が設けられ、ステータ20の他方の端部側には第2収容室42が設けられる。第1収容室41には、ステータ20の一方の端部から突出する第1コイルエンド21が収容される。第2収容室42には、ステータ20の他方の端部から突出する第2コイルエンド22が収容される。
【0021】
第1収容室41の内壁と第1コイルエンド21との間、及び、第2収容室42の内壁と第2コイルエンド22との間は、絶縁のための適切な距離が確保される。
【0022】
第1収容室41には、ハウジング40の外部から空気を導入する導入口44が備えられる。第2収容室には、ハウジング40の外部へと空気を排出する排出口45が備えられる。
【0023】
ロータ30の一方の端部(
図1中右側)には、ファン36が備えられる。ファン36は複数のプロペラ状の羽根を備え、ロータ30の回転に伴って回転することで、第1収容室41内の気体を吸気して、ロータ30の通風孔33を介して第2収容室へと送る。これにより、ファン36は、ハウジング40の内部で、導入口44から、第1収容室41を介して第2収容室42に向かう冷却風の流れを発生させる。
【0024】
このような構成により、モータ10の駆動によりファン36が回転すると、導入口44から導入された外部の空気が冷却風として第1収容室41に導入され、第1コイルエンド21を冷却する。冷却風は、ファン36の回転によりロータ30の通風孔33を通過して第2収容室42に送られる。第2収容室42において冷却風が第2コイルエンド22を冷却する。その後、冷却風は排出口45から排出される。このようにして、モータ10が気体により空冷される。
【0025】
なお、本実施形態の冷却風に用いる気体は、大気から導入される空気を用いるが、これに限られず、他の気体(例えば二酸化炭素や六フッ化硫黄)を用いてもよい。また、モータ10に導入される冷却風は、モータ10の外部で熱交換器により冷却するように構成してもよい。
【0026】
次に、第1収容室41における第1コイルエンド21の冷却について説明する。
【0027】
第1コイルエンド21、第2コイルエンド22は電流が流れることにより発熱するため、適切な冷却が必要となる。本実施形態のモータ10は、ロータ30の一方側の端部にファン36を備え、ファン36が発生する冷却風により、第1コイルエンド21及び第2コイルエンド22が冷却されるように構成されている。
【0028】
ファン36は、回転軸31に対して螺旋状に延設される複数の羽根を備え、ロータ30の回転に伴い、導入口44から第1収容室41に気体を吸気し、通風孔33を介して第2収容室42へと冷却風を送る。
【0029】
第1収容室41において、第1コイルエンド21は、絶縁距離を確保するため、ハウジング40の内壁から離間して配置される。このため、導入口44から導入された冷却風は、その流れの抵抗となる第1コイルエンド21の空隙(第1流路211及び第2流路212)には流れにくく、第1コイルエンド21の端部と第1収容室41の内壁との空間を通過して、ファン36へと流れようとする。このため、第1コイルエンド21が十分に冷却されない可能性がある。
【0030】
そこで、本実施形態のモータ10は、以降に説明するように、第1コイルエンド21に、冷却風の流れを制御して、第1コイルエンド21を適切に冷却するための冷却風制御部材50を備えた。
【0031】
図2から
図4は、本実施形態の第1コイルエンド21に備えられる冷却風制御部材50の説明図である。
図2は、第1コイルエンド21付近の断面図を、
図3は、ステータ20の外観図を、
図4は、第1コイルエンド21の要部の拡大図を、それぞれ示す。
【0032】
図2に示すように、冷却風制御部材50は、第1コイルエンド21と、ハウジング40の第1収容室41の内壁との間に介在する。
【0033】
冷却風制御部材50は、円筒形状の円筒部51と、円筒部51に連接して径方向に延設する略円盤形状の対向部52とを有する。対向部52の外縁部は、外周に向かうほど第1収容室41の内壁に近づくように形成された近接部53を構成する。
【0034】
円筒部51は、その軸方向のステータ20側端部で第1コイルエンド21の内周に当接する。円筒部51のステータ20とは逆側の端部は、第1収容室41の内壁に当接する。対向部52は、第1コイルエンド21の軸方向端面に対向し、円筒部51から径方向外側に向かって円盤状に延設される。対向部52の周辺部に形成された近接部53は、その外周端が第1収容室41の内壁に当接する。
【0035】
このように、冷却風制御部材50を、軸方向における第1コイルエンド21と第1収容室41の内壁との間に設けることで、導入口44から導入される冷却風が、まず、近接部53により第1収容室41の内壁から離間して、第1コイルエンド21に向かうようになる。また、円筒部51が第1コイルエンド21に当接していることで、冷却風が第1コイルエンド21の外側を通過することなく、第1コイルエンド21の第1流路211及び第2流路212を通過する。
【0036】
次に、冷却風制御部材50と第1コイルエンド21との関係を説明する。
【0037】
図4に示すように、第1コイルエンド21のステータ20付近の根元部分には、第1流路211が形成される。また、第1コイルエンド21の軸方向端部には、複数の接合部214によりU字形状に開口する開放部215が形成されており、この開放部215が第2流路212を形成する。冷却風制御部材50の円筒部51は、第1コイルエンド21の内周面に当接することで、この内周面において、U字形状の開放部215の軸方向側の一部を遮る。
【0038】
冷却風制御部材50の円筒部51が開放部215の一部を遮ることで、第2流路212の各空隙が、
図4の矢視Aで示すような孔形状となる。
【0039】
そして、このように構成される第2流路212の各孔形状の流路断面積の総開口面積が、第1コイルエンド21の根元部分の第1流路211の各空隙の流路断面積の総開口面積と、略同一となるように構成する。
【0040】
このように構成することで、第1コイルエンド21の根元部分の第1流路211と、軸方向端部側の第2流路212とに、冷却風が等しく流れるようにすることができ、第1コイルエンド21の全体に冷却風を行き渡らせることができる。
【0041】
なお、円筒部51の軸方向位置を変更することにより、第2流路212の総開口面積と、第1流路211の総開口面積とを変更することもできる。
【0042】
たとえば、第2流路212の総開口面積を第1流路211の総開口面積よりも大きくした場合は、第1コイルエンド21の端部側の冷却風の流量を多くすることができる。第2流路212の総開口面積を第1流路211の総開口面積よりも小さくした場合は、第1コイルエンド21の根元部分の冷却風の流量を多くすることができる。
【0043】
以上説明したように、本発明の実施形態は、ロータ30とステータ20とをハウジング40に収容し、気体を用いてステータ20のコイルを冷却する回転電機としてのモータ10に適用される。ステータ20は、ステータ20の軸方向の端部から突出する円環状の第1コイルエンド21を備え、ハウジング40は、モータ10を冷却するための気体をハウジング40の外部から第1コイルエンド21へと向かって導入する導入口44を備える。第1コイルエンド21は、導入口44から導入された気体が外周側から内周側に通過する流路(第1流路211、第2流路212)を有し、軸方向における第1コイルエンド21とハウジング40との間には、導入口44から導入された気体を第1コイルエンド21の流路に導く冷却風制御部材50が設けられる。
【0044】
このように、第1コイルエンド21とハウジング40との間に、冷却風制御部材50を備え、導入口44から導入された気体を第1コイルエンド21の流路に導くように構成したので、冷却風が、第1コイルエンド21の外側から内側へと通過させるように制御することが可能となり、第1コイルエンド21を適切に冷却できる。
【0045】
また、冷却風制御部材50は、第1コイルエンド21の内周側に当接し、第1コイルエンド21から軸方向に突出する円筒部51と、円筒部51の周囲に立設され、第1コイルエンド21の軸方向端面に対向する対向部52とを備える。対向部52は、外周に向かってハウジング40へと近づく近接部53を有する。
【0046】
このような構成により、近接部53が第1コイルエンド21の周方向に渡って、第1コイルエンド21に近づくので、冷却風が第1コイルエンド21へと向かうように構成できる。
【0047】
また、コイルは平角線からなる。第1コイルエンド21の軸方向の根元部分において、軸方向に延設される複数の平角線の間に形成される空隙からなり、第1コイルエンド21を外周側から内周側に径方向に貫通する第1流路221を備える。根元部分よりも端部側において、軸方向に延設される複数の平角線の間に形成される開放部からなり、第1コイルエンド21を外周側から内周側に径方向に貫通する第2流路212を備える。
【0048】
このような構成により、冷却風制御部材50が、第1コイルエンド21の根元部分と端部側との流路に冷却風を流通させることができるので、第1コイルエンド21の全体を冷却することができる。
【0049】
また、第1コイルエンド21の内周面に円筒部51が当接することで、開放部215の一部が遮られ、第2流路212の流路断面積が制限されるので、第1コイルエンド21の第2流路212に流れる冷却風の流量を制御できる。
【0050】
また、第1流路211の流路断面積の総開口面積と、円筒部51により制限され第2流路212の流路断面積の総開口面積とが、略等しく構成される。
【0051】
このような構成により、第1コイルエンド21の根元部分と先端部分とに、同じ風量の冷却風を流通させることができる。
【0052】
また、近接部53の外周端がハウジング40の内壁に当接するので、冷却風が、第1コイルエンド21の外側を通過することなく、第1流路211及び第2流路212に通過させることができる。
【0053】
また、ロータ30は、軸方向の一方の端部から他方の端部に向かって気体が通過する通風孔33を有し、導入口44から気体を導入し、一方の端部から他方の端部へと気体を送るファン36が、ロータ30の一方の端部に備えられる。
【0054】
このような構成により、ファン36によって冷却風を第1収容室41から第2収容室42へと送風することで、第1コイルエンド21及び第2コイルエンド22を冷却することができる。
【0055】
次に、本発明の実施形態の変形例を説明する。
【0056】
図5は、本実施形態の変形例のモータ10の説明図である。
【0057】
図5に示す変形例は、モータ10に導入する冷却風を、熱交換器を用いて冷却し、ファンをロータ30の端部ではなく、モータ10の外部に備えた構成を示す。なお、モータ10の構成は
図1で前述した構成と同一であるため、その説明は省略する。
【0058】
第1収容室41の導入口44には第1配管71が連結され、第2収容室42の排出口45には、第2配管72が接続される。第1配管71と第2配管72との間には、熱交換器80が備えられる。
【0059】
また、第1配管71の途中には、熱交換器80からモータ10の導入口44へと冷却風を送るファン37が備えられる。
【0060】
このような構成では、ファン37が回転することで、冷却風がモータ10の第1収容室41に送られる。第1収容室では、前述したように冷却風が第1コイルエンド21を冷却した後、ロータ30の通風孔33を通過して第2収容室42に送られ、第2コイルエンド22を冷却する。
【0061】
第2収容室42の冷却風は、排出口45を介してハウジング40の外部に排出され、第2配管72を介して熱交換器80に送られる。熱交換器80は、熱交換を行うことで冷却風の気体の温度を低下させる。
【0062】
熱交換器80により温度が低下した冷却風は、再びファン37により導入口44を介して、モータ10のハウジング40の第1収容室41に導入される。
【0063】
このような構成により、気体を冷却する熱交換器80を備えて冷却風の温度を低下させることで、モータ10内部に導入される冷却風の温度を制御することができる。
【0064】
さらに、冷却風を送風するためのファン37をモータ10の外部に備えたので、モータ10の構成部品を少なくでき、モータ10が大型化することがない。
【0065】
図6は、本実施形態の別の変形例のモータ10の説明図である。
【0066】
図6に示す変形例は、
図5に示す変形例に類似するが、ファンをロータの一方の端部と他方の端部の双方に備えたことが異なる。なお、その他の構成は、
図5で前述した構成と同一であるため、その説明は省略する。
【0067】
第1収容室41の導入口44には第1配管71が連結され、第2収容室42の排出口45には、第2配管72が接続される。第1配管71と第2配管72との間には、熱交換器80が備えられる。
【0068】
ロータ30の一方の端部には、
図1で説明したファン36(第1ファン)が備えられる。また、ロータ30の他方の端部には、ファン35(第2ファン)が備えられる。ファン35は複数の羽根を備え、ロータ30の回転に伴って回転することで、ロータ30の通風孔33から冷却風を吸気し、ロータ30の他方の端部から第2収容室42の第2コイルエンド22に向かう冷却風の流れを発生させる。
【0069】
このような構成では、ロータ30の回転によりファン36が回転することで、導入口44を介してモータ10の第1収容室41に冷却風を導入する。第1収容室では、前述したように冷却風が第1コイルエンド21を冷却した後、ロータ30の通風孔33を通過する。
【0070】
第2収容室42では、ロータ30の回転によりファン35が回転することで、通風孔33から冷却風を吸気して、第2コイルエンド22に送ることで、第2コイルエンド22が冷却される。
【0071】
第2収容室42の冷却風は、排出口45を介してハウジング40の外部に排出され、第2配管72を介して熱交換器80に送られる。熱交換器80は、熱交換を行うことで冷却風の気体の温度を低下させる。
【0072】
熱交換器80により温度が低下した冷却風は、再び導入口44を介して、モータ10のハウジング40の第1収容室41に導入される。
【0073】
このような構成により、ロータ30の一方の端部および他方の端部の双方に、冷却風を送風するファンを備えたので、冷却風の流量を増加することができ、モータ10の冷却効率を向上することができる。
【0074】
なお、
図6ではロータ30の一方の端部および他方の端部の双方にファンを備えたが、この構成に限られず、ロータ30に、他方の端部(
図7中左側)のファン35のみを備えるように構成してもよい。この場合の冷却風の流量は、
図1で説明したロータ30の一方の端部にファン35を備えた構成と、ほぼ同じとなる。
【0075】
以上、本発明の実施形態、及びその変形例について説明したが、上記実施形態及び変形例は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0076】
本実施形態のモータ10は、例えば電動自動車に搭載され、車輪を駆動する電動機として機能する。また、モータ10は、車輪の回転による駆動力を受けて発電(回生)を行なう発電機としても機能する。なお、モータ10は、自動車以外の装置、例えば各種電気機器又は産業機械の駆動装置として用いられてもよい。