(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】交通イベント検知装置、交通イベント検知システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
G08G1/00 A
(21)【出願番号】P 2023530308
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(86)【国際出願番号】 JP2020043683
(87)【国際公開番号】W WO2022113173
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ペトラードワラー ムルトゥザ
(72)【発明者】
【氏名】樋野 智之
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0275788(US,A1)
【文献】国際公開第2020/116030(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/116031(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/194494(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動信号が移動体の交通によって引き起こされるところ、ディープニューラルネットワークを用いて前記振動信号に基づき前記移動体の軌跡を推定する軌跡推定手段と、
前記移動体の前記軌跡に基づいて前記移動体のタイムスタンプを抽出するタイムスタンプ抽出手段と、
前記移動体の前記タイムスタンプに対応する前記振動信号の一部を抽出するイベント抽出手段と、
を備える交通イベント検知装置。
【請求項2】
前記振動信号に基づいて時間距離グラフを生成するグラフ生成手段をさらに備え、
前記軌跡推定手段は、前記ディープニューラルネットワークを用いて、前記時間距離グラフに存在する前記移動体の前記軌跡を推定する、
請求項1に記載の交通イベント検知装置。
【請求項3】
前記グラフ生成手段は、前記振動信号の所定長のウィンドウに絶対強度の和を適用して前記時間距離グラフを生成する、
請求項2に記載の交通イベント検知装置。
【請求項4】
前記振動信号の一部に基づいて交通イベントを監視するイベント監視手段をさらに備える、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の交通イベント検知装置。
【請求項5】
前記イベント監視手段は、前記交通イベントを監視して、前記移動体が通過するインフラの性質、及び/又は、交通の流れの性質を分析する、
請求項4に記載の交通イベント検知装置。
【請求項6】
前記軌跡推定手段は、前記移動体の前記軌跡を表すマスク行列を推定し、
前記タイムスタンプ抽出手段は、前記マスク行列を用いて前記タイムスタンプを抽出する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の交通イベント検知装置。
【請求項7】
前記タイムスタンプ抽出手段は、前記移動体の出入りのタイムスタンプを抽出し、
前記イベント抽出手段は、前記移動体の前記出入りのタイムスタンプに対応する前記振動信号の一部を抽出する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の交通イベント検知装置。
【請求項8】
センサと、
交通イベント検知装置と、を備え、
前記交通イベント検知装置は、
振動信号が移動体の交通によって引き起こされて前記センサで検知されるところ、ディープニューラルネットワークを用いて前記振動信号に基づき前記移動体の軌跡を推定する軌跡推定手段と、
前記移動体の前記軌跡に基づいて前記移動体のタイムスタンプを抽出するタイムスタンプ抽出手段と、
前記移動体の前記タイムスタンプに対応する前記振動信号の一部を抽出するイベント抽出手段と、を有する、
交通イベント検知システム。
【請求項9】
光ファイバケーブルをさらに備え、
前記センサは前記光ファイバケーブルの前記振動信号を検知する、
請求項8に記載の交通イベント検知システム。
【請求項10】
前記振動信号は、前記光ファイバケーブルが付随する道路を通過する車両の車軸によって引き起こされる、
請求項9に記載の交通イベント検知システム。
【請求項11】
振動信号が移動体の交通によって引き起こされるところ、ディープニューラルネットワークを用いて前記振動信号に基づき前記移動体の軌跡を推定し、
前記移動体の前記軌跡に基づいて前記移動体のタイムスタンプを抽出し、
前記移動体の前記タイムスタンプに対応する前記振動信号の一部を抽出する、
交通イベント検知方法。
【請求項12】
振動信号が移動体の交通によって引き起こされるところ、ディープニューラルネットワークを用いて前記振動信号に基づき前記移動体の軌跡を推定し、
前記移動体の前記軌跡に基づいて前記移動体のタイムスタンプを抽出し、
前記移動体の前記タイムスタンプに対応する前記振動信号の一部を抽出する、
ことをコンピュータに実行させるプログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、交通イベント検知装置、交通イベント検知システム、方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、道路又は鉄道といったインフラの監視システムが開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、鉄道監視システムを開示する。この鉄道監視システムは、鉄道に敷設された通信用光ファイバと、鉄道の状態に応じてパターンを検知する検知部を備える。これにより、鉄道監視システムは鉄道の異常を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
道路又は鉄道といったインフラを正確に分析するためには、インフラを通過する各車両又は歩行者を区別することが望ましい。特許文献1は、鉄道の異常を予測する方法を開示しているが、この問題は開示していない。
【0006】
本開示の目的は、交通イベントを正確に検知することができる交通イベント検知装置、交通イベント検知システム、方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の側面によれば、振動信号が移動体の交通によって引き起こされるところ、ディープニューラルネットワークを用いて振動信号に基づき移動体の軌跡を推定する軌跡推定手段と、移動体の軌跡に基づいて移動体のタイムスタンプを抽出するタイムスタンプ抽出手段と、移動体のタイムスタンプに対応する振動信号の一部を抽出するイベント抽出手段と、を備える交通イベント検知装置がある。
【0008】
本開示の第2の側面によれば、センサと、交通イベント検知装置を備え、交通イベント検知装置は、振動信号が移動体の交通によって引き起こされてセンサで検知されるところ、ディープニューラルネットワークを用いて振動信号に基づき移動体の軌跡を推定する軌跡推定手段と、移動体の軌跡に基づいて移動体のタイムスタンプを抽出するタイムスタンプ抽出手段と、移動体のタイムスタンプに対応する振動信号の一部を抽出するイベント抽出手段と、を有する交通イベント検知システムがある。
【0009】
本開示の第3の側面によれば、振動信号が移動体の交通によって引き起こされるところ、ディープニューラルネットワークを用いて振動信号に基づき移動体の軌跡を推定し、移動体の軌跡に基づいて移動体のタイムスタンプを抽出し、移動体のタイムスタンプに対応する振動信号の一部を抽出する、交通イベント検知方法がある。
【0010】
本開示の第4の側面によれば、振動信号が移動体の交通によって引き起こされるところ、ディープニューラルネットワークを用いて振動信号に基づき移動体の軌跡を推定し、移動体の軌跡に基づいて移動体のタイムスタンプを抽出し、移動体のタイムスタンプに対応する振動信号の一部を抽出することをコンピュータに実行させるプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体がある。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、本開示の目的である、交通イベントを正確に検知することができる交通イベント検知装置、交通イベント検知システム、方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施の形態1にかかる交通イベント検知装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1にかかる交通イベント検知装置の方法を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施の形態2にかかる交通イベント検知システムと道路の側面図を示す。
【
図4】
図4は、実施の形態2にかかる交通イベント検知装置のブロック図である。
【
図5A】
図5Aは、実施の形態2にかかる時間距離グラフの一例である。
【
図5B】
図5Bは、実施の形態2にかかる未加工データセットの信号の一例である。
【
図6】
図6は、実施の形態2にかかる交通イベント検知装置の方法を示すフローチャートである。
【
図7A】
図7Aは、実施の形態2にかかる車両のダイアグラムの一例である。
【
図7B】
図7Bは、実施の形態2にかかる車両のダイアグラムの一例である。
【
図7C】
図7Cは、実施の形態2にかかるタイムスタンプによって設定されたイベントの一例を示す。
【
図8】
図8は、実施形態にかかるコンピュータ装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(関連技術の概要)
本開示にかかる実施形態を説明する前に、関連技術の概要を説明する。
【0014】
道路または高速道路上の通行車両について測定された応答を用いた検知に関して、Huiyong Liu, Jihui Ma, Wenfa Yan, Wensheng Liu, Xi Zhang, Congcong Li, “Traffic Flow Detection Using Distributed Fiber Optic Acoustic Sensing”, IEEE Access, September 3, 2018, Volume 6, p.68968-68980(以下、非特許文献1とする)は、交通負荷がかかっている道路の分散されたファイバの光学音響応答データ(時間履歴)を取得し、車両の存在を検知し、車速を計算する交通フロー検知アルゴリズムを開示する。非特許文献1の交通の流れの検知アルゴリズムは、ある時間間隔内に通過した車両の出入り(in and out)のタイムスタンプの検知など、交通イベントに関する情報を提供する。ウェーブレット(Wavelet)閾値雑音除去及び二重閾値法も非特許文献1で開示されており、これらはファイバケーブル上の指定位置で測定された応答データにおける車両の出入りのタイムスタンプを提供する。非特許文献1の
図11に示されるように、車両の出入りのタイムスタンプまたは交通イベントは、ウェーブレット閾値雑音除去法によって計算され、ウェーブレット閾値雑音除去法は、信号ウェーブレット分解、ウェーブレット係数の閾値処理、および閾値処理後の信号再構成の3ステップを有する。二重閾値法では、応答データにおいて車両が通過しているかどうかを判断するために、短期のエネルギーと短期のゼロ交差率を使用する。
【0015】
Arslan Basharat, Necati Catbas, Mubarak Shah, "A Framework for Intelligent Sensor Network with Video Camera for Structural Health Monitoring of Bridges” Third IEEE International Conference on Pervasive Computing and Communications Workshops, March 8 - 12, 2005(以下、非特許文献2とする)は、ローカルセンサデータからスマートイベントをトリガする無線センサネットワークフレームワークを開示する。交通イベントは、インテリジェントデータ記録とビデオカメラ制御の両方に有用である。このフレームワークの動作は、アクティブ&パッシブセンシングモードで構成される。これらのモードでは、応答データにおいて車両の出入りのタイムスタンプを提供するローカルセンサの同期されたタイムスタンプで構成されたカメラセンサによって、交通イベントの測定がトリガされる。
【0016】
国際公開第2017/072505号(以下、関連特許文献1とする)は、交通イベントと交通の流れのパラメータの検知を開示する。具体的には、その要約には、「センシング部分からの測定信号は、道路を走行する車両を検知し、少なくとも1つの交通の流れの性質を判定するために処理される」と記載されている。関連特許文献1の測定信号は、ウォーターフォールデータ(Waterfall data)と呼ぶことができる。
【0017】
上記の関連技術を考慮し、本開示の発明者によって以下の分析がなされる。
【0018】
非特許文献1で開示された交通の流れの検知アルゴリズムは、A地点からB地点までの指定された監視位置の領域における個々の車両とその出入りのタイムスタンプを検知することができる。しかしながら、膨大なデータセットから、(特に出入りのタイムスタンプの検索のための)交通イベントを検知するのは時間がかかる。さらに、非特許文献1で開示された検知アルゴリズムは、異なる種類の構造物、環境および気象条件に影響を受けやすく、これは、不正確な交通イベントの詳細を提供する可能性がある。また、高速道路に複数の監視領域がある場合、検知アルゴリズムのための追加のパラメータ校正が必要になる。非特許文献2で開示された無線センサネットワークフレームワークも、橋やトンネルのようなインフラ内で空間が限られているために、複数の監視領域について道路または高速道路全体に配置することが困難である。
【0019】
したがって、時系列で交通イベントを検知するための交通イベント検知装置、交通イベント検知システム、方法および非遷移的なコンピュータ可読媒体を提供することは、本開示の目的の一つである。具体的には、本開示は、道路または高速道路の複数の監視領域における交通イベントを検知し、抽出することを可能にする装置を提供することができる。さらに、橋やトンネルのような限られたインフラ空間であっても、この装置によってインフラの健全性を監視することができる。
【0020】
本開示の説明において、“a”、“an”及び“the”のような単数形を使用して記述される要素は、明示されていない限り、複数の要素であってもよいことに注意されたい。
【0021】
(実施の形態1)
まず、本開示の実施の形態1にかかる交通イベント検知装置10について、
図1を参照して説明する。
【0022】
図1を参照すると、交通イベント検知装置10は、軌跡推定部11、タイムスタンプ抽出部12及びイベント抽出部13を備える。交通イベント検知装置10は、例えばコンピュータ又は機械である。一例として、交通イベント検知装置10の要素のうち少なくとも1つは、1または複数のメモリと1または複数のプロセッサの組み合わせとしてコンピュータに搭載することができる。
【0023】
軌跡推定部11は、ディープニューラルネットワークを用いて振動信号に基づき移動体の軌跡を推定し、振動信号は、移動体の交通によって誘発される(引き起こされる)。移動体は、車両、列車、歩行者(歩行する人)等であってもよい。軌跡は、移動体の位置情報及び対応する時間情報を含んでもよい。振動信号は、道路、橋、トンネルなどのインフラに配置されたセンサ、ケーブル、ワイヤといった物質に引き起こされ、センサによって検知されてもよい。また、センサ及び交通イベント検知装置10は、交通イベント検知システムを構成することができる。振動信号は波の振幅を有し、振動信号は音響又は震動データであってもよい。ディープニューラルネットワークシステムは、交通イベント検知装置10に搭載されてもよいが、別のコンピュータに搭載されてもよい。後者の場合、軌跡推定部11は、振動信号データを別のコンピュータに送信し、移動体の軌跡を推定するように別のコンピュータに指示することができる。推定後、別のコンピュータは、推定結果、すなわち移動体の軌跡を交通イベント検知装置10に返信する。
【0024】
タイムスタンプ抽出部12は、移動体の軌跡に基づき、移動体の1又は複数のタイムスタンプを抽出する。例えば、タイムスタンプは、インフラの特定の事前指定された位置又は領域における移動体の交通イベントの開始及び/又は終了を示してもよい。
【0025】
イベント抽出部13は、移動体のタイムスタンプに対応する振動信号の一部を抽出する。このようにして、交通イベント検知装置10は、振動信号から移動体の交通イベントを正確に検知することができる。
【0026】
次に、
図2のフローチャートを参照して、本実施形態の動作例を説明する。
【0027】
まず、振動信号が移動体の交通によって引き起こされるところ、軌跡推定部11は、ディープニューラルネットワークを用いて、振動信号に基づいて移動体の軌跡を推定する(ステップS11)。
【0028】
次に、タイムスタンプ抽出部12は、移動体の軌跡に基づいて移動体のタイムスタンプを抽出する(ステップS12)。そして、イベント抽出部13は、移動体のタイムスタンプに対応する振動信号の一部を抽出する(ステップS13)。
【0029】
なお、交通イベント検知装置10は、これらのステップを単一の移動体に対してだけでなく、複数の移動体のそれぞれに対して処理してもよいことに注意されたい。
【0030】
交通イベント検知装置10は、ディープニューラルネットワークを用いて推定された軌跡を用いるため、移動体の正確なタイムスタンプを抽出することができる。したがって、交通イベント検知装置10は、移動体の交通イベントを正確に検知することができる。
【0031】
(実施の形態2)
次に、添付図面を参照して、本開示の実施の形態2について以降で説明する。この実施の形態2では、実施の形態1の具体例の1つについて説明するが、実施の形態1の具体例はこの実施の形態に限定されない。
【0032】
図3は、光ファイバケーブルF(センシング光ファイバ)、センサS(センシング装置)、及び交通イベント検知装置20を備える交通イベント検知システムTを示す。また、
図3は、光ファイバケーブルFが道路Rに沿って配置された道路Rの側面図の概略図を示す。光ファイバケーブルFは、道路Rに沿って分散し、光ファイバケーブルFに沿って通過する、
図3に示す車両による道路Rの応答振動の測定に使用される。さらに、光ファイバケーブルFは、複数のセンシング部分を含む。
【0033】
道路は、橋B1、B2及びB3を有し、車両は、
図3の左側から右側に向かってこれらの橋を通過する。各橋の下には、光ファイバケーブルFが設けられる。橋B1には劣化箇所D1、橋B2には劣化箇所D2がある。この例では、以下に説明するように、交通イベント検知装置20は、橋B1を含む監視領域を監視し、車両の各交通イベントや橋B1の状態、特に劣化箇所D1を検知することができる。監視領域は、横軸の位置で揃えられる。
図3では、車両Cが橋B1を通過しており、以下に説明するように、車両Cの軌跡が記録される。
【0034】
車両によって(特に光ファイバケーブルが付随する道路Rを通過する車両の車軸によって)、光ファイバケーブルFに振動信号(例えば、音響又は震動データ)が引き起こされる。つまり、振動信号は道路R上の振動を表す。センサS(センシング装置)は、光ファイバケーブルFの複数のセンシング部分のそれぞれで振動信号を検知する。センサSは、車両が道路Rの任意の車線を通過しているときに、車両の車軸によって引き起こされる道路R(対象物)の振動信号を検知することができる。センサSは、デジタルデータの振動信号を有線通信で交通イベント検知装置20に送信する。ただし、センサSと交通イベント検知装置20との通信は、無線通信で行うこともできる。
【0035】
図4は、交通イベント検知装置20の構成を示す。
図4を参照すると、交通イベント検知装置20は、信号取得部21、グラフ生成部22(ウォーターフォールデータセット処理部)、未加工データセット処理部23、軌跡推定部24、タイムスタンプ抽出部25、イベント抽出部26及びイベント処理部27を備える。交通イベント検知装置20は、交通イベント検知装置10の1つの具体例であり、他の計算用ユニットを備えてもよい。交通イベント検知装置20の各部について詳細に説明する。
【0036】
信号取得部21は交通イベント検知装置20のインターフェースとして機能し、センサSから振動信号を取得する。信号取得部21は、振動信号をグラフ生成部22と未加工データセット処理部23に出力する。さらに、必要に応じて、信号取得部21は振動信号を前処理してもよい。例えば、信号取得部21は、振動信号をフィルタリングし、フィルタリングされた振動信号を出力してもよい。
【0037】
グラフ生成部22は、振動信号の所定長のウィンドウに絶対強度の和を適用して、光ファイバケーブルFの複数のセンシング部分毎に、振動信号から時間距離グラフを算出する。時間距離グラフで構成されるデータは、本開示ではウォーターフォールデータセットとも呼ばれる。グラフ生成部22は、時間距離グラフのデータを軌跡推定部24に出力する。
【0038】
図5Aは、ウォーターフォールデータセットのスナップ例を示す。
図5Aに示される時間距離グラフは、時間t
Aから時間t
Bまでのウォーターフォールデータセットを示す。
図5Aの各線は、
図3の道路R上の車両の各軌跡を示し、各線種は車両の各種類を表し、例えば車両が乗用車かトラックかを表す。この例では、車両は道路R(光ファイバケーブルF)に沿って走行しており、センサSから離れている。光ファイバケーブルFの振動強度(振動信号)が視認可能であり、これは道路R上を通過する車両の種類に釣り合う。
図5Aでは、車両の高振動強度が実線で、車両の低振動強度が点線で示される。
【0039】
図5Aの破線のボックスDは、入る時間(time-in)t
inから出る時間(time-out)t
outまでの監視領域を表す。入る時間t
inは車両が監視領域に入った時間を表し、出る時間t
outは車両が監視領域から出た時間を表す。この場合、入る時間t
inは車両Cが橋B1(監視領域)を通過し始めた時間を表し、出る時間t
outは車両が橋B1を通過し終えた時間を表す。したがって、ボックスDは橋B1を通過する車両Cの軌跡を表す。
【0040】
図4に戻ると、未加工データセット処理部23は、光ファイバケーブルFの複数のセンシング部分のそれぞれについて振動信号(例えば、フィルタリングされた振動信号)を計算し、その計算結果、すなわち、光ファイバケーブルFの各位置に対応する未加工の振動信号を、イベント抽出部に出力する。
【0041】
軌跡推定部24は、TrafficNetモデルを用いてマスク行列を推定する。マスク行列は、時間距離グラフに存在する各車両の軌跡を表す。マスク行列の固有値は、特定の行と列に存在する各車両を表す。さらに、マスク行列の行と列は、それぞれウォーターフォールデータセットの時間と距離のインデックスを表す。TrafficNetモデルは、入力される時間距離グラフのマスク行列を出力するディープニューラルネットワークモデルである。軌跡推定部24は、マスク行列データをタイムスタンプ抽出部25に出力する。
【0042】
タイムスタンプ抽出部25は、マスク行列の列インデックスを各車両の軌跡について対応する行インデックスに線形マッピングすることにより、時間距離グラフ上の事前に指定された監視領域から、各車両の入る時間tinと出る時間toutを抽出する。タイムスタンプ抽出部25は、これらのタイムスタンプのデータをイベント抽出部26に出力する。
【0043】
イベント抽出部26は、タイムスタンプ抽出部25によって計算されたtin及びtoutのタイムスタンプを用いて、未加工データセット(振動信号)の一部を抽出する。tin及びtoutタイムスタンプでスライスされた未加工データの単一のスライスは単一のイベントを表し、単一のイベントは、道路上を通過した1または複数の車両振動を含んでもよい。この場合、未加工データの単一のスライスは、対象車両が事前に指定された監視領域を通過したイベントに対応する。イベント抽出部26は、抽出されたイベントをイベント処理部27に出力する。
【0044】
図5Bは、未加工データセットの信号例を示す。
図5Bの破線のボックスは、入る時間t
inから出る時間t
outまでの監視領域のイベントを表す。この例では、イベントは、入る時間t
inから出る時間t
outまでの期間に、車両Cが橋B1を通過したことを示す。
【0045】
図4に戻ると、イベント処理部27は、イベント抽出部26によって抽出されたイベントを処理し、インフラの性質及び/又は交通の流れの性質を推定する。インフラの性質の一例は、橋B1の構造の健全性であってもよいし、交通の流れの性質の一例は、道路Rの各車線を通過する車両の数であってもよい。さらに、イベント毎の未加工のデータセットは、さまざまな交通負荷を伴う構造物の応答の周波数分析に使用される。イベント処理部27の詳細な処理には、任意の常套技術を適用できる。
【0046】
図6は、車両の軌跡を用いて交通イベントを推定し、未加工のデータセットを取得する交通イベント検知装置20の動作例を示すフローチャートである。
【0047】
まず、信号取得部21がセンサSから振動信号を受信する。グラフ生成部22と未加工データセット処理部23は、時間距離グラフ(以下、TDwaterfallとする)と未加工の振動信号データ(以下、Xrawとする)を、それぞれ処理する(ステップS21)。具体的には、前述したように、グラフ生成部22が、光ファイバケーブルFの複数のセンシング部分毎に振動信号からTDwaterfall(車両のダイアグラム)を生成し、未加工データセット処理部23が、光ファイバケーブルFの各位置に対応するXrawを出力する。
【0048】
軌跡推定部24は、TDwaterfallを推定し、TrafficNetモデルを用いてマスク行列を生成する(ステップS22)。TrafficNetモデルは、TDwaterfallのマスク行列を生成できるディープニューラルネットワークである。このようにして、軌跡推定部24は、マスク行列の形式として車両の軌跡を推定する。
【0049】
タイムスタンプ抽出部25は、軌跡推定部24で生成されたマスク行列に基づいて、3列の行列を計算する(ステップS23)。3列の行列では、第1の列は各車両のマスク番号(マスクID)を示し、第2の列は時間を示し、第3の列は軌跡から抽出された特定の車両の距離(例えば、センサSからのメートル単位の距離)を示す。タイムスタンプ抽出部25は、センサSの測定タイミング数に応じて、複数の3列の行列を生成することができる。
【0050】
3列の行列は、マスク行列から取り出される圧縮された疎(sparse)行列と呼ぶこともできる。以下は3列の行列の例である。
(a)時刻:0
【0051】
【0052】
【0053】
【表3】
ここで、
N=車両数、
t=開始からの総経過時間、及び
loc=時間距離グラフ上の位置。
【0054】
圧縮された疎行列の例に基づいて、次の処理のためにマスクIDを用いて目的の車両(対象車両)が選択されてもよい。
【0055】
タイムスタンプ抽出部25は、監視領域のパラメータとして提供される、事前に指定された入域locenter及び出域locexitの位置を取得する(ステップS24)。事前に指定された入域locenter及び出域locexitのデータは、交通イベント検知装置20に格納されてもよい。
【0056】
タイムスタンプ抽出部25は、特定の目的の車両の圧縮された疎行列から、locenter及びlocexitに対応するイベントタイムスタンプtin及びtoutを抽出する(ステップS25)。前述のように、圧縮された疎行列はステップS23で得られる。
【0057】
イベント抽出部26は、未加工データセット処理部23から未加工データセットX
rawを取得し、タイムスタンプt
in及びt
outを用いてこれをスライスする(ステップS26)。この方法で、イベント抽出部26は、単一のイベントを表す未加工データの単一のスライスを取得する。イベント抽出部26は、抽出されたイベントをイベント処理部27に出力する。イベント処理部27は、イベント抽出部26が抽出したイベントを用いて、道路R(例えば、
図3の橋B1)の構造の健全性の推定や、交通の流れの性質の推定を行う。例えば、イベント処理部27は、イベントを分析して、劣化箇所D1の存在を検知する、及び/又は、劣化箇所D1の劣化度を推定する。
【0058】
図7A~7Cは、
図6の処理工程で生成されるデータの例を示す。
図7Aは、ステップS21でグラフ生成部22が生成する車両の時間距離グラフのダイアグラムの例を示す。
図7Aの線は、各車両の軌跡を表す。
【0059】
図7Bは、車両の時間距離グラフのダイアグラムで、事前に指定された監視領域とイベントのタイムスタンプt
in及びt
outとを示し、事前に指定された監視領域は、入域loc
enter及び出域loc
exitの位置を用いて定義される。タイムスタンプ抽出部25によって、ステップS24で監視領域のパラメータが設定され、ステップS25でイベントのタイムスタンプt
in及びt
outが設定される。
【0060】
図7Cは、タイムスタンプt
in及びt
outを用いて設定されるイベントの例を示す。
図7Cでは、タイムスタンプt
in及びt
outを用いて未加工データセットがスライスされることで、イベントが抽出される。イベント抽出部26は、ステップS25でこの抽出を行う処理をする。
【0061】
交通イベント検知装置20はTrafficNetモデルを用いて軌跡を特定できるため、交通イベント検知装置20は、膨大なデータセットから、より少ない時間で(特に、出入りのタイムスタンプの検索についての)交通イベントを検知することができる。また、橋やトンネルなどの限られたインフラ空間であっても、交通イベント検知装置20は、インフラの健全性を監視することを可能にする。
【0062】
この実施形態では、グラフ生成部22は、振動信号に基づいて時間距離グラフを生成し、軌跡推定部24は、ディープニューラルネットワークを用いて、時間距離グラフに存在する移動体の軌跡を推定する。従って、時間距離グラフは処理が容易であるため、交通イベント検知装置20は、少ない計算量で軌跡を推定することができる。
【0063】
この実施形態では、グラフ生成部22は、振動信号の所定長のウィンドウに絶対強度の和を適用して時間距離グラフを生成する。したがって、グラフ生成部22は正確な方法を用いるため、交通イベント検知装置20は軌跡を正確に検知することができる。
【0064】
この実施形態では、イベント処理部27(イベント監視手段)は、振動信号の一部に基づいて交通イベントを監視する。結果として、イベント処理部27は、移動体が通過するインフラの性質、及び/又は、交通の流れの性質を分析することができる。これにより、交通イベント検知装置20は、より正確な分析結果を得ることができる。
【0065】
この実施形態では、軌跡推定部24は、ディープニューラルネットワークモデルを適用して、時間距離グラフのマスク行列を推定する。このため、交通イベント検知装置20は、マスク行列を用いる計算を容易な方法で処理することができる。
【0066】
この実施形態では、タイムスタンプ抽出部25は、時間距離グラフ上の移動体の出入りのタイムスタンプを抽出し、イベント抽出部26は、移動体の出入りのタイムスタンプに対応する振動信号の一部を抽出する。そのため、交通イベント検知装置20は、振動信号の一部に対応するイベントを抽出することができる。
【0067】
この実施形態では、交通イベント検知システムTは光ファイバケーブルFを備え、センサSは光ファイバケーブルFの振動信号を検知する。そのため、交通イベント検知システムTは、光ファイバケーブルを設置できる様々な種類のインフラに関するデータを取得することができる。
【0068】
この実施形態では、振動信号は、光ファイバケーブルFが付随する道路を通過する車両の車軸によって引き起こされる。そのため、交通イベント検知装置20は、車両の交通イベントを検知することができる。
【0069】
上記の関連特許文献1及び非特許文献1~2の各開示は、参照により本明細書に組み込まれる。各実施形態及び各例の修正及び調整は、本開示の(特許請求の範囲を含む)全体的な開示の範囲内で、本開示の基本的な技術概念に基づいて可能である。したがって、本実施形態は、すべての点で例示的であり、制限的ではないとみなされる。
【0070】
例えば、実施の形態2では、光ファイバケーブルFは道路Rに沿って配置される。しかしながら、光ファイバケーブルFは、高速道路、鉄道、またはその他の種類のインフラに沿って配置することができる。もちろん、複数の監視領域が交通イベント検知装置20によって設定されてもよい。
【0071】
次に、上記の複数の実施形態で説明された交通イベント検知装置の構成例を、
図8を参照して以下で説明する。
【0072】
交通イベント検知装置は、
図8に示されるようにコンピュータシステム上に実装されてもよく、交通イベント検知装置は、交通イベント検知装置10と交通イベント検知装置20の両方の例を含む。
図8を参照すると、サーバなどのコンピュータ装置90は、通信インターフェース91、メモリ92、プロセッサ93及び表示装置94を備える。
【0073】
通信インターフェース91(例えば、ネットワークインターフェイスコントローラ(NIC))は、インフラに設けられるセンサと通信可能なように接続するように構成されてもよい。例えば、
図3に示されるように、センサは橋の車線の下に設けられてもよい。さらに、通信インターフェース91は、他のコンピュータ及び/又は機械と通信することで、コンピュータ装置の計算に関連するデータを受信及び/又は送信してもよい。
【0074】
メモリ92には、コンピュータ装置90が交通イベント検知装置10または交通イベント検知装置20として機能できるようにするためのプログラム95(プログラム命令)が格納される。メモリ92は、例えば、半導体メモリ(例えば、Random Access Memory(RAM)、Read Only Memory(ROM)、Electrically Erasable and Programmable ROM(EEPROM)、及び/又は、Hard Disk Drive(HDD)、SSD(Solid State Drive)、Compact Disc(CD)、Digital Versatile Disc (DVD)などの少なくとも一つを含む記憶装置である。別の観点からは、メモリ92は揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリで形成される。メモリ92は、プロセッサ93と離間して配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ93はI/Oインターフェース(不図示)を介して、メモリ92にアクセスしてもよい。
【0075】
プロセッサ93は、メモリ92からプログラム95(プログラム命令)を読み込んでプログラム95(プログラム命令)を実行し、上記の複数の実施形態の機能及びプロセスを実現するように構成される。プロセッサ93は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。さらに、プロセッサ93は、複数のプロセッサを含んでもよい。この場合、各プロセッサは、命令群を含む1または複数のプログラムを実行して、図面を参照して前述されたアルゴリズムをコンピュータに実行させる。
【0076】
表示装置94は、抽出されたイベント、イベント処理部27で推定されたインフラの性質及び/又は交通の流れの性質を表示することができる。一例として、表示装置94は、各車線を通過する車両の数を検知した結果を表示することができる。他の例として、表示装置94は、橋B1の構造の健全性を表示することができる。
【0077】
プログラム95は、上記の複数の実施形態における交通イベント検知装置の各部の処理を実行するためのプログラム命令(プログラムモジュール)を含む。
【0078】
上記の例では、任意の種類の非一時的なコンピュータ可読媒体を用いてプログラムが格納され、コンピュータに提供されることができる。非一時的なコンピュータ可読媒体には、任意の種類の有形記憶媒体が含まれる。非一時的なコンピュータ可読媒体の例としては、磁気記憶媒体(例えば、フロッピーディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブなど。)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、Compact Disc(CD)(例えば、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Compact Disc Recordable)、CD-R/W(Compact Disc Rewritable))、Digital Versatile Disc(DVD)及び半導体メモリ(ROM、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、Electrically and Erasable Programmable Read Only Memory(EEPROM)など)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)、Hard Disk Drive(HDD)、Solid State Drive(SSD)など)がある。プログラムは、任意の種類の一時的なコンピュータ可読媒体を用いてコンピュータに提供されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例としては、電気信号、光信号及び電磁波がある。一時的なコンピュータ可読媒体は、有線通信回線(例えば、電線及び光ファイバ)又は無線通信回線を介してコンピュータにプログラムを提供することができる。
【0079】
上記の実施形態の一部又は全部は以下の付記のように記載され得るが、本開示はこれに限定されない。
(付記1)
振動信号が移動体の交通によって引き起こされるところ、ディープニューラルネットワークを用いて前記振動信号に基づき前記移動体の軌跡を推定する軌跡推定手段と、
前記移動体の前記軌跡に基づいて前記移動体のタイムスタンプを抽出するタイムスタンプ抽出手段と、
前記移動体の前記タイムスタンプに対応する前記振動信号の一部を抽出するイベント抽出手段と、
を備える交通イベント検知装置。
(付記2)
前記振動信号に基づいて時間距離グラフを生成するグラフ生成手段をさらに備え、
前記軌跡推定手段は、前記ディープニューラルネットワークを用いて、前記時間距離グラフに存在する前記移動体の前記軌跡を推定する、
付記1に記載の交通イベント検知装置。
(付記3)
前記グラフ生成手段は、前記振動信号の所定長のウィンドウに絶対強度の和を適用して前記時間距離グラフを生成する、
付記2に記載の交通イベント検知装置。
(付記4)
前記振動信号の一部に基づいて交通イベントを監視するイベント監視手段をさらに備える、
付記1乃至3のいずれか1項に記載の交通イベント検知装置。
(付記5)
前記イベント監視手段は、前記交通イベントを監視して、前記移動体が通過するインフラの性質、及び/又は、交通の流れの性質を分析する、
付記4に記載の交通イベント検知装置。
(付記6)
前記軌跡推定手段は、前記移動体の前記軌跡を表すマスク行列を推定し、
前記タイムスタンプ抽出手段は、前記マスク行列を用いて前記タイムスタンプを抽出する、
付記1乃至5のいずれか1項に記載の交通イベント検知装置。
(付記7)
前記タイムスタンプ抽出手段は、前記移動体の出入りのタイムスタンプを抽出し、
前記イベント抽出手段は、前記移動体の前記出入りのタイムスタンプに対応する前記振動信号の一部を抽出する、
付記1乃至6のいずれか1項に記載の交通イベント検知装置。
(付記8)
センサと、
交通イベント検知装置と、を備え、
前記交通イベント検知装置は、
振動信号が移動体の交通によって引き起こされて前記センサで検知されるところ、ディープニューラルネットワークを用いて前記振動信号に基づき前記移動体の軌跡を推定する軌跡推定手段と、
前記移動体の前記軌跡に基づいて前記移動体のタイムスタンプを抽出するタイムスタンプ抽出手段と、
前記移動体の前記タイムスタンプに対応する前記振動信号の一部を抽出するイベント抽出手段と、を有する、
交通イベント検知システム。
(付記9)
光ファイバケーブルをさらに備え、
前記センサは前記光ファイバケーブルの前記振動信号を検知する、
付記8に記載の交通イベント検知システム。
(付記10)
前記振動信号は、前記光ファイバケーブルが付随する道路を通過する車両の車軸によって引き起こされる、
付記9に記載の交通イベント検知システム。
(付記11)
振動信号が移動体の交通によって引き起こされるところ、ディープニューラルネットワークを用いて前記振動信号に基づき前記移動体の軌跡を推定し、
前記移動体の前記軌跡に基づいて前記移動体のタイムスタンプを抽出し、
前記移動体の前記タイムスタンプに対応する前記振動信号の一部を抽出する、
交通イベント検知方法。
(付記12)
振動信号が移動体の交通によって引き起こされるところ、ディープニューラルネットワークを用いて前記振動信号に基づき前記移動体の軌跡を推定し、
前記移動体の前記軌跡に基づいて前記移動体のタイムスタンプを抽出し、
前記移動体の前記タイムスタンプに対応する前記振動信号の一部を抽出する、
ことをコンピュータに実行させるプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0080】
(各付記の各要素、各例の各要素、各図面の各要素等を含む)様々な開示要素の様々な組み合わせ及び選択は、本開示の特許請求の範囲の範囲内で可能である。すなわち、本開示は当然に、特許請求の範囲及び技術的思想を含む全体的な開示に応じて、当業者が行うことができる様々なバリエーション及び修正を含む。
【符号の説明】
【0081】
10 交通イベント検知装置
11 軌跡推定部
12 タイムスタンプ抽出部
13 イベント抽出部
20 交通イベント検知装置
21 信号取得部
22 グラフ生成部
23 未加工データセット処理部
24 軌跡推定部
25 タイムスタンプ抽出部
26 イベント抽出部
27 イベント処理部
F 光ファイバケーブル
S センサ
T 交通イベント検知システム
90 コンピュータ装置
91 通信インターフェース
92 メモリ
93 プロセッサ
94 表示装置
95 プログラム