(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ガスタービンシステム
(51)【国際特許分類】
F02C 7/22 20060101AFI20240903BHJP
F02C 3/22 20060101ALI20240903BHJP
F02C 6/00 20060101ALI20240903BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
F02C7/22 D
F02C3/22
F02C6/00 E
F02C7/00 B
F02C7/22 B
(21)【出願番号】P 2023535131
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2022014107
(87)【国際公開番号】W WO2023286381
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2021116151
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慎太朗
(72)【発明者】
【氏名】藤森 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】崔 原栄
(72)【発明者】
【氏名】内田 正宏
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-76794(JP,A)
【文献】特開2018-188315(JP,A)
【文献】国際公開第2019/104375(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 3/22
F02C 6/00
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器と、
前記燃焼器と接続される吸気流路と、
前記燃焼器と接続される排気流路と、
前記吸気流路に設けられる圧縮機と、
前記排気流路に設けられるタービンと、
アンモニアタンクと、
前記アンモニアタンクと接続されるアンモニア供給口と、前記燃焼器と接続される水素排出口とを有し、前記排気流路のうち前記タービンより下流側、または、前記吸気流路のうち前記圧縮機より下流側に配置され、アンモニア分解触媒および水素分離膜を有する水素発生分離装置と、
を備え
、
前記水素発生分離装置は、窒素排出口を有し、
前記水素発生分離装置の前記窒素排出口は、前記燃焼器と接続される、
ガスタービンシステム。
【請求項2】
前記水素発生分離装置の前記窒素排出口は、第2ガス貯蔵器を介して前記燃焼器と接続される、
請求項
1に記載のガスタービンシステム。
【請求項3】
燃焼器と、
前記燃焼器と接続される吸気流路と、
前記燃焼器と接続される排気流路と、
前記吸気流路に設けられる圧縮機と、
前記排気流路に設けられるタービンと、
アンモニアタンクと、
前記アンモニアタンクと接続されるアンモニア供給口と、前記燃焼器と接続される水素排出口とを有し、前記排気流路のうち前記タービンより下流側、または、前記吸気流路のうち前記圧縮機より下流側に配置され、アンモニア分解触媒および水素分離膜を有する水素発生分離装置と、
を備え
、
前記水素発生分離装置は、窒素排出口を有し、
前記排気流路のうち前記タービンより下流側には、脱硝装置が設けられ、
前記水素発生分離装置の前記窒素排出口は、前記脱硝装置と接続される、
ガスタービンシステム。
【請求項4】
燃焼器と、
前記燃焼器と接続される吸気流路と、
前記燃焼器と接続される排気流路と、
前記吸気流路に設けられる圧縮機と、
前記排気流路に設けられるタービンと、
アンモニアタンクと、
前記アンモニアタンクと接続されるアンモニア供給口と、前記燃焼器と接続される水素排出口とを有し、前記排気流路のうち前記タービンより下流側、または、前記吸気流路のうち前記圧縮機より下流側に配置され、アンモニア分解触媒および水素分離膜を有する水素発生分離装置と、
を備え
、
前記水素発生分離装置は、窒素排出口を有し、
前記水素発生分離装置の前記窒素排出口は、前記タービンと接続される、
ガスタービンシステム。
【請求項5】
燃焼器と、
前記燃焼器と接続される吸気流路と、
前記燃焼器と接続される排気流路と、
前記吸気流路に設けられる圧縮機と、
前記排気流路に設けられるタービンと、
アンモニアタンクと、
前記アンモニアタンクと接続されるアンモニア供給口と、前記燃焼器と接続される水素排出口とを有し、前記排気流路のうち前記タービンより下流側、または、前記吸気流路のうち前記圧縮機より下流側に配置され、アンモニア分解触媒および水素分離膜を有する水素発生分離装置と、
を備え
、
前記水素発生分離装置は、窒素排出口を有し、
前記水素発生分離装置の前記窒素排出口は、アンモニアを浄化する浄化装置と接続される、
ガスタービンシステム。
【請求項6】
前記水素発生分離装置の前記水素排出口は、第1ガス貯蔵器を介して前記燃焼器と接続される、
請求項1
から5のいずれか一項に記載のガスタービンシステム。
【請求項7】
前記アンモニアタンクと前記水素発生分離装置の前記アンモニア供給口とを接続する流路には、ポンプが設けられる、
請求項1から
6のいずれか一項に記載のガスタービンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービンシステムに関する。本出願は2021年7月14日に提出された日本特許出願第2021-116151号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
燃焼器で燃料を燃焼させることによって動力を得るガスタービンシステムが利用されている。ガスタービンシステムとして、アンモニアを燃料として用いるものがある。アンモニアを燃料として用いることによって、二酸化炭素の排出が抑制される。アンモニアは、他の燃料と比べると燃焼しにくく、難燃性を有する。ゆえに、例えば、特許文献1に開示されているように、燃焼性を向上させるために、アンモニアを水素および窒素に分解し、得られた水素を燃焼器に供給する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンモニアから水素を生成するためにはエネルギが必要なので、水素の燃焼器への供給量を確保するために消費されるエネルギを小さくし、ガスタービンシステム全体の効率を向上させることが望まれている。
【0005】
本開示の目的は、ガスタービンシステムの効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のガスタービンシステムは、燃焼器と、燃焼器と接続される吸気流路と、燃焼器と接続される排気流路と、吸気流路に設けられる圧縮機と、排気流路に設けられるタービンと、アンモニアタンクと、アンモニアタンクと接続されるアンモニア供給口と、燃焼器と接続される水素排出口とを有し、排気流路のうちタービンより下流側、または、吸気流路のうち圧縮機より下流側に配置され、アンモニア分解触媒および水素分離膜を有する水素発生分離装置と、を備え、水素発生分離装置は、窒素排出口を有し、水素発生分離装置の窒素排出口は、燃焼器と接続される。
水素発生分離装置の窒素排出口は、第2ガス貯蔵器を介して燃焼器と接続されてもよい。
上記課題を解決するために、本開示のガスタービンシステムは、燃焼器と、燃焼器と接続される吸気流路と、燃焼器と接続される排気流路と、吸気流路に設けられる圧縮機と、排気流路に設けられるタービンと、アンモニアタンクと、アンモニアタンクと接続されるアンモニア供給口と、燃焼器と接続される水素排出口とを有し、排気流路のうちタービンより下流側、または、吸気流路のうち圧縮機より下流側に配置され、アンモニア分解触媒および水素分離膜を有する水素発生分離装置と、を備え、水素発生分離装置は、窒素排出口を有し、排気流路のうちタービンより下流側には、脱硝装置が設けられ、水素発生分離装置の窒素排出口は、脱硝装置と接続される。
上記課題を解決するために、本開示のガスタービンシステムは、燃焼器と、燃焼器と接続される吸気流路と、燃焼器と接続される排気流路と、吸気流路に設けられる圧縮機と、排気流路に設けられるタービンと、アンモニアタンクと、アンモニアタンクと接続されるアンモニア供給口と、燃焼器と接続される水素排出口とを有し、排気流路のうちタービンより下流側、または、吸気流路のうち圧縮機より下流側に配置され、アンモニア分解触媒および水素分離膜を有する水素発生分離装置と、を備え、水素発生分離装置は、窒素排出口を有し、水素発生分離装置の窒素排出口は、タービンと接続される。
上記課題を解決するために、本開示のガスタービンシステムは、燃焼器と、燃焼器と接続される吸気流路と、燃焼器と接続される排気流路と、吸気流路に設けられる圧縮機と、排気流路に設けられるタービンと、アンモニアタンクと、アンモニアタンクと接続されるアンモニア供給口と、燃焼器と接続される水素排出口とを有し、排気流路のうちタービンより下流側、または、吸気流路のうち圧縮機より下流側に配置され、アンモニア分解触媒および水素分離膜を有する水素発生分離装置と、を備え、水素発生分離装置は、窒素排出口を有し、水素発生分離装置の窒素排出口は、アンモニアを浄化する浄化装置と接続される。
【0007】
水素発生分離装置の水素排出口は、第1ガス貯蔵器を介して燃焼器と接続されてもよい。
【0010】
アンモニアタンクと水素発生分離装置のアンモニア供給口とを接続する流路には、ポンプが設けられてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、ガスタービンシステムの効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係るガスタービンシステムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係る水素発生分離装置の構成を示す模式断面図である。
【
図3】
図3は、第1の変形例に係るガスタービンシステムの構成を示す模式図である。
【
図4】
図4は、第2の変形例に係るガスタービンシステムの構成を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第3の変形例に係るガスタービンシステムの構成を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第4の変形例に係るガスタービンシステムの構成を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第5の変形例に係るガスタービンシステムの構成を示す模式図である。
【
図8】
図8は、第6の変形例に係るガスタービンシステムの構成を示す模式図である。
【
図9】
図9は、第7の変形例に係るガスタービンシステムの構成を示す模式図である。
【
図10】
図10は、第8の変形例に係るガスタービンシステムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態に係るガスタービンシステム1の構成を示す模式図である。
図1に示すように、ガスタービンシステム1は、過給機11と、発電機12と、燃焼器13と、アンモニアタンク14と、気化器15と、水素発生分離装置16と、第1ポンプ21と、第2ポンプ22と、第1流量制御弁31と、第2流量制御弁32と、第1冷却装置41とを備える。
【0017】
過給機11は、圧縮機11aとタービン11bとを有する。圧縮機11aおよびタービン11bは、一体として回転する。圧縮機11aとタービン11bとは、シャフトによって連結されている。
【0018】
圧縮機11aは、燃焼器13と接続される吸気流路101に設けられている。吸気流路101には、燃焼器13に供給される空気が流通する。吸気流路101の上流側の端部には、空気が外部から取り込まれる不図示の吸気口が設けられる。吸気口から取り込まれた空気は、圧縮機11aを通過して、燃焼器13に送られる。圧縮機11aは、空気を圧縮して下流側に吐出する。
【0019】
タービン11bは、燃焼器13と接続される排気流路102に設けられている。排気流路102には、燃焼器13から排出された排気ガスが流通する。排気流路102の下流側の端部には、排気ガスが外部に排出される不図示の排気口が設けられる。燃焼器13から排出された排気ガスは、タービン11bを通過して、排気口に送られる。タービン11bは、排気ガスによって回されることによって、回転動力を生成する。
【0020】
発電機12は、過給機11と接続される。発電機12は、過給機11によって生成された回転動力を用いて発電する。
【0021】
燃焼器13は、図示しない燃焼室を有する。燃焼器13の燃焼室には、圧縮機11aにより圧縮された空気が吸気流路101から供給される。燃焼器13の燃焼室には、後述するように、水素発生分離装置16から水素が燃料として供給される。燃焼器13の燃焼室において、燃料と空気を含む混合気が生成される。燃焼器13の燃焼室内での燃焼により生じた排気ガスは、排気流路102に排出される。
【0022】
アンモニアタンク14には、液体のアンモニアが貯蔵される。アンモニアタンク14は、流路103を介して水素発生分離装置16と接続される。それにより、アンモニアタンク14から水素発生分離装置16へアンモニアが供給可能となる。
【0023】
流路103には、上流側から順に、第1ポンプ21、第1流量制御弁31および気化器15が設けられている。第1ポンプ21は、アンモニアタンク14から供給されるアンモニアを圧縮して下流側に送出する。第1ポンプ21により送出された液体のアンモニアは、第1流量制御弁31を通過して、気化器15に送られる。第1流量制御弁31は、流路103を流通するアンモニアの流量を制御する。第1流量制御弁31の開度が調整されることによって、アンモニアタンク14から気化器15へ供給される液体のアンモニアの量が調整される。気化器15は、排気流路102のうちタービン11bより下流側に配置される。具体的には、気化器15の内部と排気流路102の内部とが連通しない状態で、気化器15内のアンモニアと、排気流路102を流れる排気ガスとが熱交換可能となっている。気化器15に送られた液体のアンモニアは、排気流路102を流れる排気ガスによって加熱されて気化する。気化器15で気化されたアンモニアは、水素発生分離装置16に送られる。
【0024】
水素発生分離装置16は、アンモニアを水素と窒素とに分解し、水素および窒素を含む分解ガスから水素を分離する。水素発生分離装置16は、アンモニア供給口16aと、水素排出口16bと、窒素排出口16cとを有する。
【0025】
アンモニア供給口16aには、流路103を介してアンモニアタンク14が接続されている。アンモニアタンク14から送られたアンモニアは、アンモニア供給口16aを介して、水素発生分離装置16の内部に供給される。水素排出口16bには、流路104を介して燃焼器13が接続されている。水素発生分離装置16内で発生し分離された水素は、水素排出口16bを介して、流路104に送られる。流路104に送られた水素は、燃焼器13に供給される。窒素排出口16cには、流路105が接続されている。水素発生分離装置16内でアンモニアの分解により生成された窒素と分解されずに残存した残存アンモニアを含むガスは、窒素排出口16cを介して、流路105に送られる。流路105に送られた残存アンモニアを含むガスは、例えば、不図示の浄化装置により浄化され、外部に排出される。
【0026】
図2は、水素発生分離装置16の構成を示す模式断面図である。
図2に示すように、水素発生分離装置16は、ハウジング16dと、アンモニア分解触媒16eと、水素分離膜16fとを有する。アンモニア分解触媒16eは、アンモニアを水素と窒素とに分解する触媒である。水素分離膜16fは、アンモニアの分解により得られる分解ガスに含まれる水素を選択的に透過させる膜である。水素分離膜16fは、例えば、パラジウム、パラジウムを含む合金、バナジウム、または、バナジウムを含む合金等によって形成される。アンモニア分解触媒16eおよび水素分離膜16fは、ハウジング16dに収容される。水素発生分離装置16は、メンブレンリアクタとも呼ばれる。
【0027】
ハウジング16dは、例えば、円筒形状を有する。
図2の例では、ハウジング16dは、左右方向に延在している。水素分離膜16fは、円筒形状を有し、ハウジング16dと同軸上に配置される。水素分離膜16fは、ハウジング16dの左端から右側に延在する。水素分離膜16fの左端は開口している。一方、水素分離膜16fの右端は、閉じられている。アンモニア分解触媒16eは、水素分離膜16fの外面とハウジング16dの内周面との間に充填される。水素分離膜16fの右端面は、右側からアンモニア分解触媒16eによって覆われる。水素分離膜16fの右側(つまり、アンモニア供給口16a側)の部分の外周面は、径方向外側からアンモニア分解触媒16eによって覆われる。ハウジング16d内の空間のうち水素分離膜16fより外側の空間は、アンモニア分解触媒16eによって、アンモニア分解触媒16eよりも右側の空間と左側の空間とに区切られる。
【0028】
アンモニア供給口16aは、ハウジング16dの右端に設けられる。アンモニア供給口16aは、ハウジング16d内の空間のうち、アンモニア分解触媒16eよりも右側の空間と連通する。水素排出口16bは、ハウジング16dの左端に設けられる。水素排出口16bは、水素分離膜16f内の空間と連通している。窒素排出口16cは、ハウジング16dの外周面のうちアンモニア分解触媒16eよりも左側に設けられる。窒素排出口16cは、水素分離膜16fの外周面とハウジング16dの内周面との間の空間のうち、アンモニア分解触媒16eより左側の空間と連通する。
【0029】
アンモニア供給口16aからハウジング16d内に供給されたアンモニアは、アンモニア分解触媒16eによって水素と窒素とに分解される。このように、アンモニアの分解により得られる分解ガスは、水素および窒素を含む。分解ガスには、水素および窒素の他に、分解されずに残存した残存アンモニアも含まれ得る。水素発生分離装置16は、排気流路102のうちタービン11bより下流側に配置される。具体的には、水素発生分離装置16の内部と排気流路102の内部とが連通しない状態で、水素発生分離装置16と、排気流路102を流れる排気ガスとが熱交換可能となっている。ゆえに、水素発生分離装置16のアンモニア分解触媒16eは、アンモニアの分解が活発に行われる状態となる程度の温度まで、排気流路102を流れる排気ガスによって加熱される。
【0030】
分解ガスに含まれる水素は、水素分離膜16fを透過し、水素分離膜16f内の空間に送られる。水素分離膜16fを透過した水素は、水素排出口16bから排出される。残存アンモニア、および、分解ガスに含まれる窒素は、水素分離膜16fを透過せず、窒素排出口16cから排出される。なお、分解ガスに含まれる水素の一部も、水素分離膜16fを透過せず、窒素排出口16cから排出され得る。
【0031】
上記では、
図2を参照して、水素発生分離装置16の例を説明した。ただし、水素発生分離装置16における構成要素の形状および配置は、
図2の例に限定されない。例えば、水素分離膜16f内の空間にアンモニア分解触媒16eが設けられてもよい。例えば、水素分離膜16f内の空間は、アンモニア分解触媒16eによって2つの空間に区切られる。水素分離膜16f内においてアンモニア分解触媒16eによって区切られた一方の空間には、アンモニア供給口16aが連通する。水素分離膜16f内においてアンモニア分解触媒16eによって区切られた他方の空間には、窒素排出口16cが連通する。水素排出口16bは、ハウジング16d内の空間のうち水素分離膜16fより外側の空間と連通する。この場合、水素分離膜16f内にアンモニアが供給され、水素分離膜16f内でアンモニアが分解される。水素分離膜16f内で生じた分解ガスに含まれる水素は、水素分離膜16fを外側に向けて透過し、ハウジング16d内の空間のうち水素分離膜16fより外側の空間から水素排出口16bを介して排出される。
【0032】
図1に示すように、水素発生分離装置16は、排気流路102のうち気化器15より上流側に配置される。気化器15でのアンモニアの気化に必要な熱エネルギは、アンモニア分解触媒16eの加熱に必要な熱エネルギと比べて小さい。ゆえに、水素発生分離装置16が排気流路102のうち気化器15より上流側に配置されることによって、アンモニアを気化させつつ、アンモニアの分解が活発に行われる状態となる程度の温度までアンモニア分解触媒16eを加熱することが適切に実現される。
【0033】
流路104には、上流側から順に、第1冷却装置41、第2ポンプ22および第2流量制御弁32が設けられている。第1冷却装置41は、流路104のうち第2ポンプ22より上流側を流通する水素を冷却する。例えば、第1冷却装置41は、流路104を流通する水素を冷却水または空気によって冷却する装置である。なお、第1冷却装置41は、流路103のうち気化器15より上流側と、流路104のうち第2ポンプ22より上流側とを熱交換する装置であってもよい。流路104のうち第2ポンプ22より上流側を流通する水素が冷却されることによって、第2ポンプ22に送られる水素の温度が低くなる。ゆえに、第2ポンプ22に送られる水素の体積が小さくなるので、第2ポンプ22による水素の圧縮に費やされるエネルギが小さくなる。
【0034】
第2ポンプ22は、水素発生分離装置16から排出される水素を圧縮して下流側に送出する。第2ポンプ22により送出された水素は、第2流量制御弁32を通過して、燃焼器13に送られる。第2流量制御弁32は、流路104を流通する水素の流量を制御する。第2流量制御弁32の開度が調整されることによって、水素発生分離装置16から燃焼器13へ供給される水素の量が調整される。
【0035】
以上説明したように、ガスタービンシステム1では、水素発生分離装置16のアンモニア供給口16aに、アンモニアタンク14が接続されている。水素発生分離装置16の水素排出口16bに、燃焼器13が接続されている。ゆえに、アンモニアを水素および窒素に分解し、得られた水素を燃焼器13に供給することが実現される。
【0036】
水素発生分離装置16は、排気流路102のうちタービン11bより下流側に配置されている。それにより、水素発生分離装置16のアンモニア分解触媒16eは、アンモニアの分解が活発に行われる状態となる程度の温度まで、排気流路102を流通する排気ガスによって加熱される。このように、排気流路102を流通する排気ガスの熱を有効利用することによって、アンモニアを水素および窒素に分解し、得られた水素を燃焼器13に供給することが適切に実現される。
【0037】
さらに、水素発生分離装置16では、水素分離膜16fを利用して水素が分離されるので、アンモニアの分解が促進される。ゆえに、水素発生分離装置16に与える熱エネルギがある程度小さくても、水素の燃焼器13への供給量を所定の水準に維持できる。例えば、アンモニア分解触媒16eのみを用いてアンモニアから水素を生成する方法と比べ、水素の燃焼器13への供給量を確保するために消費されるエネルギを小さくすることができる。ゆえに、本実施形態によれば、ガスタービンシステム1の効率が向上する。
【0038】
以下、
図3~
図10を参照して、各変形例に係るガスタービンシステムについて説明する。
【0039】
図3は、第1の変形例に係るガスタービンシステム1Aの構成を示す模式図である。
図3に示すように、第1の変形例に係るガスタービンシステム1Aでは、上述したガスタービンシステム1と比較して、水素発生分離装置16の配置が異なる。
【0040】
図3に示すように、第1の変形例に係るガスタービンシステム1Aでは、水素発生分離装置16は、吸気流路101のうち圧縮機11aより下流側に配置されている。それにより、水素発生分離装置16のアンモニア分解触媒16eは、アンモニアの分解が活発に行われる状態となる程度の温度まで、吸気流路101を流通する空気によって加熱される。このように、吸気流路101を流通する空気の熱を有効利用することによって、アンモニアを水素および窒素に分解し、得られた水素を燃焼器に供給することが適切に実現される。ゆえに、上述したガスタービンシステム1と同様に、ガスタービンシステム1Aの効率が向上する。
【0041】
上記のように、水素発生分離装置16は、排気流路102のうちタービン11bより下流側に配置されていてもよく、吸気流路101のうち圧縮機11aより下流側に配置されていてもよい。ただし、圧縮機11aにより吐出される空気の圧力は、タービン11bを通過した排気ガスの圧力と比べて高い。ゆえに、水素発生分離装置16を、吸気流路101のうち圧縮機11aより下流側に配置する場合には、水素発生分離装置16の耐圧性を高くしなければならない。よって、水素発生分離装置16の耐圧性の自由度を向上させる観点では、水素発生分離装置16は、排気流路102のうちタービン11bより下流側に配置されていることが好ましい。
【0042】
図4は、第2の変形例に係るガスタービンシステム1Bの構成を示す模式図である。
図4に示すように、第2の変形例に係るガスタービンシステム1Bでは、上述したガスタービンシステム1と比較して、第1ガス貯蔵器51が追加されている点が異なる。
【0043】
図4に示すように、第2の変形例に係るガスタービンシステム1Bでは、水素発生分離装置16の水素排出口16bは、第1ガス貯蔵器51を介して燃焼器13と接続される。第1ガス貯蔵器51は、水素を貯蔵する。第1ガス貯蔵器51は、流路104のうち第2ポンプ22より下流側、かつ、第2流量制御弁32より上流側に設けられる。第2ポンプ22により送出された水素は、第1ガス貯蔵器51に送られ貯蔵される。第1ガス貯蔵器51に貯蔵された水素は、第2流量制御弁32を通過して、燃焼器13に送られる。
【0044】
上記の通り、第2の変形例では、水素発生分離装置16から排出される水素が、第1ガス貯蔵器51に貯蔵される。ゆえに、水素発生分離装置16による水素の生成が行われないガスタービンシステム1Bの起動時にも、第1ガス貯蔵器51に貯蔵された水素を燃焼器13に供給することができる。また、燃焼器13への水素の供給量の要求値が急激に増減する場合に、燃焼器13への水素の供給量を応答性良く変化させることができる。ゆえに、燃焼器13への水素の供給量の過不足が抑制される。
【0045】
図5は、第3の変形例に係るガスタービンシステム1Cの構成を示す模式図である。
図5に示すように、第3の変形例に係るガスタービンシステム1Cでは、上述したガスタービンシステム1Bと比較して、水素発生分離装置16の窒素排出口16cが燃焼器13と接続される点が異なる。
【0046】
水素発生分離装置16の窒素排出口16cには、流路106を介して燃焼器13が接続されている。流路106には、上流側から順に、第2冷却装置42、第3ポンプ23、第2ガス貯蔵器52および第3流量制御弁33が設けられている。第2冷却装置42は、流路106のうち第3ポンプ23より上流側を流通する残存アンモニアを含むガスを冷却する。例えば、第2冷却装置42は、流路106を流通するガスを冷却水または空気によって冷却する装置である。なお、第2冷却装置42は、流路103のうち気化器15より上流側と、流路106のうち第3ポンプ23より上流側とを熱交換する装置であってもよい。流路106のうち第3ポンプ23より上流側を流通するガスが冷却されることによって、第3ポンプ23に送られるガスの温度が低くなる。ゆえに、第3ポンプ23に送られるガスの体積が小さくなるので、第3ポンプ23によるガスの圧縮に費やされるエネルギが小さくなる。
【0047】
第3ポンプ23は、水素発生分離装置16から排出される残存アンモニアを含むガスを圧縮して下流側に送出する。第3ポンプ23により送出されたガスは、第2ガス貯蔵器52に送られ貯蔵される。第2ガス貯蔵器52に貯蔵されたガスは、第3流量制御弁33を通過して、燃焼器13に送られる。第3流量制御弁33は、流路106を流通するガスの流量を制御する。第3流量制御弁33の開度が調整されることによって、水素発生分離装置16から燃焼器13へ供給される残存アンモニアを含むガスの量が調整される。
【0048】
上記の通り、第3の変形例では、水素発生分離装置16の窒素排出口16cが燃焼器13と接続される。それにより、水素に加えて、残存アンモニアも燃料として燃焼器13へ供給することができる。ゆえに、窒素排出口16cから排出される残存アンモニアを浄化するための浄化装置が不要となる。さらに、燃焼器13での燃焼により得られるエネルギを増大させることができる。
【0049】
また、上記の通り、第3の変形例では、水素発生分離装置16の窒素排出口16cは、第2ガス貯蔵器52を介して燃焼器13と接続される。ゆえに、水素発生分離装置16から排出される残存アンモニアを含むガスが、第2ガス貯蔵器52に貯蔵される。よって、燃焼器13での燃焼が安定し、残存アンモニアの燃焼処理に適した燃焼状態になったときに、第2ガス貯蔵器52に貯蔵された残存アンモニアを燃焼器13に供給することができる。
【0050】
図6は、第4の変形例に係るガスタービンシステム1Dの構成を示す模式図である。
図6に示すように、第4の変形例に係るガスタービンシステム1Dでは、上述したガスタービンシステム1Cと比較して、第2ポンプ22および第3ポンプ23が設けられていない点が異なる。
【0051】
燃焼器13に燃料となるガスを供給する場合、供給されるガスの圧力を燃焼器13内の圧力よりも高くする必要がある。そのため、ガスタービンシステム1Cでは、燃焼器13に供給される水素の圧力を第2ポンプ22により昇圧し、燃焼器13に供給される残存アンモニアを含むガスの圧力を第3ポンプ23より昇圧している。第2ポンプ22および第3ポンプ23を駆動するためには、エネルギが必要となる。
【0052】
上記の通り、第4の変形例では、水素発生分離装置16の水素排出口16bと燃焼器13とを接続する流路104、および、水素発生分離装置16の窒素排出口16cと燃焼器13とを接続する流路106には、ポンプが設けられない。アンモニアタンク14と水素発生分離装置16のアンモニア供給口16aとを接続する流路103には、第1ポンプ21がポンプとして設けられている。第1ポンプ21によって液体のアンモニアの圧力を十分に高い圧力まで昇圧することにより、第2ポンプ22および第3ポンプ23が設けられない場合であっても、水素と、残存アンモニアを含むガスとを燃焼器13に供給することができる。よって、第2ポンプ22および第3ポンプ23を駆動するためのエネルギを削減することができる。したがって、ガスタービンシステム1Dの効率が向上する。
【0053】
なお、第4の変形例に係るガスタービンシステム1Dにおいても、上述したガスタービンシステム1Cと同様に、第1冷却装置41および第2冷却装置42が設けられることが好ましい。流路104のうち第1ガス貯蔵器51より上流側を流通する水素が第1冷却装置41によって冷却されることによって、第1ガス貯蔵器51に送られる水素の温度が低くなる。ゆえに、第1ガス貯蔵器51に貯蔵されている水素の温度が貯蔵中に低下し、第1ガス貯蔵器51内の圧力が過度に低くなることが抑制される。流路106のうち第2ガス貯蔵器52より上流側を流通する残存アンモニアを含むガスが第2冷却装置42によって冷却されることによって、第2ガス貯蔵器52に送られるガスの温度が低くなる。ゆえに、第2ガス貯蔵器52に貯蔵されているガスの温度が貯蔵中に低下し、第2ガス貯蔵器52内の圧力が過度に低くなることが抑制される。
【0054】
図7は、第5の変形例に係るガスタービンシステム1Eの構成を示す模式図である。
図7に示すように、第5の変形例に係るガスタービンシステム1Eでは、上述したガスタービンシステム1Cと比較して、水素発生分離装置16の窒素排出口16cが脱硝装置61と接続される点が異なる。
【0055】
脱硝装置61は、排気流路102を流通する窒素酸化物(NOx)をアンモニアと反応させて窒素と水に分解する。脱硝装置61は、排気流路102のうちタービン11bより下流側に設けられる。
図7の例では、脱硝装置61は、排気流路102のうち水素発生分離装置16より下流側、かつ、気化器15より上流側に配置されている。ただし、脱硝装置61は、排気流路102のうち気化器15より下流側に配置されていてもよい。気化器15でのアンモニアの気化に必要な熱エネルギは、脱硝装置61での窒素酸化物の分解に必要な熱エネルギと比べて小さい。ゆえに、脱硝装置61が排気流路102のうち気化器15より上流側に配置されることによって、アンモニアを気化させつつ、窒素酸化物を分解することが適切に実現される。
【0056】
図7に示すように、第5の変形例に係るガスタービンシステム1Eでは、第2ガス貯蔵器52と、脱硝装置61とが、流路107を介して接続されている。流路107には、第4流量制御弁34が設けられている。第2ガス貯蔵器52に貯蔵された残存アンモニアを含むガスは、第4流量制御弁34を通過して、脱硝装置61に送られる。第4流量制御弁34は、流路107を流通するガスの流量を制御する。第4流量制御弁34の開度が調整されることによって、第2ガス貯蔵器52から脱硝装置61へ供給される残存アンモニアを含むガスの量が調整される。
【0057】
上記の通り、第5の変形例では、水素発生分離装置16の窒素排出口16cが脱硝装置61と接続される。それにより、水素発生分離装置16から排出される残存アンモニアを、脱硝装置61での窒素酸化物の分解に有効利用することができる。
【0058】
なお、
図7の例では、水素発生分離装置16の窒素排出口16cが、第2ガス貯蔵器52を介して脱硝装置61と接続されている。ただし、例えば、第2ガス貯蔵器52が設けられない場合等には、水素発生分離装置16の窒素排出口16cは、第2ガス貯蔵器52を介さずに脱硝装置61と接続されてもよい。
【0059】
図8は、第6の変形例に係るガスタービンシステム1Fの構成を示す模式図である。
図8に示すように、第6の変形例に係るガスタービンシステム1Fでは、上述したガスタービンシステム1Bと比較して、水素発生分離装置16の窒素排出口16cがタービン11bと接続される点が異なる。
【0060】
図8に示すように、第6の変形例に係るガスタービンシステム1Fでは、水素発生分離装置16の窒素排出口16cは、流路108を介して、タービン11bと接続されている。窒素排出口16cから排出される残存アンモニアを含むガスは、流路108を介して、タービン11bに送られる。なお、タービン11bが複数段の翼体を有する場合、例えば、水素発生分離装置16の窒素排出口16cは、タービン11bのうち翼体の間の部分である中間段と接続されてもよく、最上流の翼体より上流側と接続されてもよい。
【0061】
上記の通り、第6の変形例では、水素発生分離装置16の窒素排出口16cがタービン11bと接続される。それにより、タービン11bは、水素発生分離装置16から排出される残存アンモニアを含むガスによって回される。ゆえに、過給機11によって生成される回転動力を増大させることができる。また、タービン11bを通過した残存アンモニアは、排気流路102に設けられる不図示の脱硝装置に供給され、窒素酸化物の分解にも有効利用される。
【0062】
図9は、第7の変形例に係るガスタービンシステム1Gの構成を示す模式図である。
図9に示すように、第7の変形例に係るガスタービンシステム1Gでは、上述したガスタービンシステム1Cと比較して、別のシステム2と一部が共有される点が異なる。
【0063】
システム2は、流路109と、熱交換器71と、熱交換器72とを含む発電システムである。流路109には、水が流通する。
図9では、流路109が簡略化して示されているが、流路109は、閉回路となっている。つまり、流路109内を水が環路している。流路109には、図示しないタービンが設けられており、水蒸気の流れを用いて当該タービンにより動力が得られるようになっている。
【0064】
熱交換器71および熱交換器72は、排気流路102のうち水素発生分離装置16より下流側、かつ、気化器15より上流側に配置されている。熱交換器71は、排気流路102のうち熱交換器72より下流側に設けられる。熱交換器71は、流路109のうち熱交換器72より上流側に設けられる。熱交換器71において、流路109を流通する液体の水は、排気流路102を流通する排気ガスによって加熱される。そして、加熱された液体の水は、熱交換器72において、排気流路102を流通する排気ガスによって再度加熱され、気化して水蒸気になる。そして、水蒸気によって図示しないタービンが回され、回転動力が生成される。
【0065】
上記の通り、第7の変形例では、ガスタービンシステム1Gは、別のシステム2と一部を共有する。なお、ガスタービンシステム1Gと一部が共有される別のシステム2の構成および用途は、上記の例に限定されない。例えば、上記では、システム2が水蒸気を用いて発電が行われるコンバインドサイクルである例を説明した。ただし、システム2は、水蒸気を発生させるものの発電は行われないコジェネレーションシステムであってもよい。このような場合においても、上述したガスタービンシステム1と同様の効果が奏される。
【0066】
なお、
図9の例では、熱交換器71および熱交換器72は、排気流路102のうち水素発生分離装置16より下流側、かつ、気化器15より上流側に配置されている。ただし、熱交換器71および熱交換器72は、排気流路102のうち気化器15より下流側に配置されていてもよい。気化器15でのアンモニアの気化に必要な熱エネルギは、熱交換器71および熱交換器72において流路109中の水を加熱するために必要な熱エネルギと比べて小さい。ゆえに、熱交換器71および熱交換器72が排気流路102のうち気化器15より上流側に配置されることによって、アンモニアを気化させつつ、流路109中の水を十分に加熱することが適切に実現される。
【0067】
図10は、第8の変形例に係るガスタービンシステム1Hの構成を示す模式図である。
図10に示すように、第8の変形例に係るガスタービンシステム1Hでは、上述したガスタービンシステム1Cと比較して、別のシステム2と一部が共有される点が異なる。
【0068】
システム2は、上述したガスタービンシステム1Gと同様に、流路109と、熱交換器71と、熱交換器72とを含む発電システムである。流路109、熱交換器71および熱交換器72の構成については、上述したガスタービンシステム1Gと同様であるので、説明を省略する。
【0069】
図10に示すように、第8の変形例に係るガスタービンシステム1Hでは、熱交換器71および熱交換器72は、排気流路102のうち水素発生分離装置16より下流側に配置されている。熱交換器71は、排気流路102のうち熱交換器72より下流側に設けられる。熱交換器71は、流路109のうち熱交換器72より上流側に設けられる。ガスタービンシステム1Hでは、気化器15は、流路109のうち熱交換器71より下流側、かつ、熱交換器72より上流側に配置される。具体的には、気化器15の内部と流路109の内部とが連通しない状態で、気化器15内のアンモニアと、流路109を流れる水とが熱交換可能となっている。気化器15に送られた液体のアンモニアは、流路109を流れる水によって加熱されて気化する。
【0070】
上記の通り、第8の変形例では、ガスタービンシステム1Hは、別のシステム2と一部を共有する。なお、ガスタービンシステム1Hと一部が共有される別のシステム2の構成および用途は、上述したガスタービンシステム1Gと同様に、上記の例に限定されない。このような場合においても、上述したガスタービンシステム1と同様の効果が奏される。
【0071】
上述したガスタービンシステム1Gでは、気化器15を排気ガスと熱交換させるために、例えば、気化器15の近傍に排気ガスの配管が配置される。一方、ガスタービンシステム1Hでは、気化器15を水と熱交換させるために、例えば、気化器15の近傍に水の配管が配置される。水の配管は、一般に排気ガスの配管よりも細い。ゆえに、ガスタービンシステム1Hでは、上述したガスタービンシステム1Gと比べて気化器15の近傍に配管を配置しやすくなる。
【0072】
また、ガスタービンシステム1Hでは、流路109を流通する水が気化器15内のアンモニアの加熱に用いられる。一方、上述したガスタービンシステム1Gでは、流路109を流通する水が気化器15内のアンモニアの加熱には用いられない。ゆえに、上述したガスタービンシステム1Gでは、ガスタービンシステム1Hと比べてシステム2におけるエネルギ効率が向上する。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0074】
上記では、ガスタービンシステム1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1Hにおいて、過給機11によって生成された回転動力が発電機12を駆動させるエネルギとして利用される例を説明した。ただし、ガスタービンシステム1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1Hにおいて、過給機11によって生成された回転動力が、例えば、船舶等の移動体を駆動させる目的等の他の用途に利用されてもよい。
【0075】
上記では、ガスタービンシステム1Aにおいて、水素発生分離装置16が吸気流路101のうち圧縮機11aより下流側に配置されている例を説明した。ただし、ガスタービンシステム1B、1C、1D、1E、1F、1G、1Hにおいて、水素発生分離装置16が吸気流路101のうち圧縮機11aより下流側に配置されていてもよい。
【0076】
上記では、ガスタービンシステム1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1Hにおいて、第1ポンプ21が設けられている例を説明した。ただし、ガスタービンシステム1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1Hにおいて、水素発生分離装置16に供給されるアンモニアの圧力を所定水準以上に高めることができれば、第1ポンプ21が設けられなくてもよい。例えば、第1ポンプ21が圧力調整弁に置き換えられてもよい。
【0077】
上記では、ガスタービンシステム1C、1D、1E、1F、1G、1Hにおいて、第1ガス貯蔵器51が設けられている例を説明した。ただし、ガスタービンシステム1C、1D、1E、1F、1G、1Hにおいて、第1ガス貯蔵器51が設けられていなくてもよい。
【0078】
上記では、ガスタービンシステム1C、1D、1E、1G、1Hにおいて、第2ガス貯蔵器52が設けられている例を説明した。ただし、ガスタービンシステム1C、1D、1E、1G、1Hにおいて、第2ガス貯蔵器52が設けられていなくてもよい。
【0079】
上記では、ガスタービンシステム1、1A、1B、1C、1E、1F、1G、1Hにおいて、第2ポンプ22が設けられている例を説明した。ただし、ガスタービンシステム1、1A、1B、1C、1E、1F、1G、1Hにおいて、第2ポンプ22が設けられていなくてもよい。
【0080】
上記では、ガスタービンシステム1C、1E、1G、1Hにおいて、第3ポンプ23が設けられている例を説明した。ただし、ガスタービンシステム1C、1E、1G、1Hにおいて、第3ポンプ23が設けられていなくてもよい。
【0081】
上記では、ガスタービンシステム1Eにおいて、水素発生分離装置16の窒素排出口16cが脱硝装置61と接続される例を説明した。ただし、ガスタービンシステム1、1A、1B、1C、1D、1F、1G、1Hにおいて、水素発生分離装置16の窒素排出口16cが脱硝装置61と接続されていてもよい。
【0082】
上記では、ガスタービンシステム1Fにおいて、水素発生分離装置16の窒素排出口16cがタービン11bと接続される例を説明した。ただし、ガスタービンシステム1、1A、1B、1C、1D、1E、1G、1Hにおいて、水素発生分離装置16の窒素排出口16cがタービン11bと接続されていてもよい。
【0083】
上記では、ガスタービンシステム1G、1Hにおいて、別のシステム2と一部が共有される例を説明した。ただし、ガスタービンシステム1、1A、1B、1C、1D、1E、1Fにおいて、ガスタービンシステム1Gと同様に、または、ガスタービンシステム1Hと同様に、別のシステム2と一部が共有されていてもよい。
【0084】
上記では、ガスタービンシステム1C、1D、1E、1G、1Hにおいて、水素に加えて、残存アンモニアも燃料として燃焼器13へ供給される例を説明した。この場合において、水素および残存アンモニアが別々に燃焼器13へ供給されてもよく、水素および残存アンモニアが予め混合されてから燃焼器13へ供給されてもよい。
【0085】
上記では、図面を参照して、各流路について説明した。ただし、上記で説明した流路は、複数の配管に分岐していてもよい。例えば、第1ガス貯蔵器51と燃焼器13とが複数の配管によって接続されていてもよく、第2ガス貯蔵器52と燃焼器13とが複数の配管によって接続されていてもよい。
【0086】
上記では、燃焼器13へ供給される燃料が水素である例と、水素および残存アンモニアである例とを説明した。ただし、水素および残存アンモニア以外の燃料が燃焼器13へさらに供給されてもよい。例えば、アンモニアタンク14に貯蔵される液体のアンモニアが水素発生分離装置16を介さずに燃焼器13へ供給されるようになっていてもよい。また、例えば、アンモニアタンク14に貯蔵される液体のアンモニアが気化された後に、水素発生分離装置16を介さずに燃焼器13へ供給されるようになっていてもよい。水素発生分離装置16を介さずに燃焼器13へアンモニアを供給するために、例えば、流路103から分岐し、水素発生分離装置16を迂回して燃焼器13に接続される流路が追加され得る。水素発生分離装置16を介さずに燃焼器13へアンモニアを供給するために、ポンプが追加されてもよい。水素発生分離装置16を介さずに燃焼器13へ気体のアンモニアを供給するために、気化器が追加されてもよい。
【0087】
本開示は、ガスタービンシステムの効率の向上に資するので、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0088】
1:ガスタービンシステム 1A:ガスタービンシステム 1B:ガスタービンシステム 1C:ガスタービンシステム 1D:ガスタービンシステム 1E:ガスタービンシステム 1F:ガスタービンシステム 1G:ガスタービンシステム 1H:ガスタービンシステム 11a:圧縮機 11b:タービン 13:燃焼器 14:アンモニアタンク 16:水素発生分離装置 16a:アンモニア供給口 16b:水素排出口 16c:窒素排出口 16e:アンモニア分解触媒 16f:水素分離膜 21:第1ポンプ 22:第2ポンプ 23:第3ポンプ 51:第1ガス貯蔵器 52:第2ガス貯蔵器 61:脱硝装置 101:吸気流路 102:排気流路 103:流路 104:流路 106:流路