(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】光導波路および光配線部品
(51)【国際特許分類】
G02B 6/125 20060101AFI20240903BHJP
G02B 6/30 20060101ALI20240903BHJP
G02B 6/36 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G02B6/125 301
G02B6/30
G02B6/36
(21)【出願番号】P 2024502565
(86)(22)【出願日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 JP2023036575
【審査請求日】2024-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2022165809
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】寺田 信介
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111913253(CN,A)
【文献】特開2018-013640(JP,A)
【文献】特開2004-233665(JP,A)
【文献】特開平08-082719(JP,A)
【文献】特開平11-119158(JP,A)
【文献】特開2004-151175(JP,A)
【文献】特開2005-250291(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0276878(US,A1)
【文献】特開平11-311814(JP,A)
【文献】特開2016-212128(JP,A)
【文献】特開2004-170668(JP,A)
【文献】特開2017-151275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12 - 6/14
G02B 6/255 - 6/27
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/36 - 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面に沿って広がるシート状をなす光導波路であって、
前記平面内において互いに直交する2本の直線を第1直線および第2直線とするとき、前記第1直線を介して両側に独立して配置されている第1コアパターンおよび第2コアパターンを含むコア層と、
前記コア層の一方の面に積層されている第1クラッド層と、
前記コア層の他方の面に積層されている第2クラッド層と、
を備える積層体で構成され、
前記積層体は、樹脂材料で構成され、
前記第1コアパターンは、
前記第1コアパターンの一端に設けられた第1入出射面および第2入出射面と、前記第1コアパターンの他端に設けられた第3入出射面および第4入出射面と、
前記第1直線に沿って延在する第1整流部と、
前記第1整流部の一端と前記第1入出射面および前記第2入出射面とを接続する第1分岐部と、
前記第1整流部の他端と前記第3入出射面および前記第4入出射面とを接続する第2分岐部と、
を備え、
前記第2コアパターンは、
前記第2コアパターンの一端に設けられた第5入出射面および第6入出射面と、前記第2コアパターンの他端に設けられた第7入出射面および第8入出射面と、
前記第1直線に沿って延在する第2整流部と、
前記第2整流部の一端と前記第5入出射面および前記第6入出射面とを接続する第3分岐部と、
前記第2整流部の他端と前記第7入出射面および前記第8入出射面とを接続する第4分岐部と、
を備え、
前記第1入出射面、前記第2入出射面、前記第3入出射面および前記第4入出射面と、前記第5入出射面、前記第6入出射面、前記第7入出射面および前記第8入出射面と、の間には、前記第1直線を対称軸とする線対称の関係が成り立っており、
前記第1入出射面および前記第3入出射面と、前記第2入出射面および前記第4入出射面と、の間には、前記第2直線を対称軸とする線対称の関係が成り立っており、
前記第5入出射面および前記第7入出射面と、前記第6入出射面および前記第8入出射面と、の間には、前記第2直線を対称軸とする線対称の関係が成り立っており、
前記第2入出射面に光信号S2が入射されたとき、前記光信号S2が、前記第3入出射面および前記第4入出射面に
前記光信号S2と波長が同じ光信号S3および光信号S4として分配されるように構成され、
前記第8入出射面に前記光信号S2と波長が同じ光信号S8が入射されたとき、前記光信号S8が、前記第5入出射面および前記第6入出射面に
前記光信号S8と波長が同じ光信号S5および光信号S6として分配されるように構成され
、
前記第1整流部および前記第2整流部が、それぞれ、1本のコアで構成されていることを特徴とする光導波路。
【請求項2】
前記第1分岐部は、
前記第1整流部の前記一端と前記第1入出射面とを接続する第1コアと、
前記第1整流部の前記一端と前記第2入出射面とを接続する第2コアと、
を有し、
前記第2分岐部は、
前記第1整流部の前記他端と前記第3入出射面とを接続する第3コアと、
前記第1整流部の前記他端と前記第4入出射面とを接続する第4コアと、
を有し、
前記第1整流部の長さの中間における幅をWM1とし、
前記第1整流部と前記第1分岐部との接続部における前記第1コアの幅をWC1とし、
前記第1整流部と前記第1分岐部との接続部における前記第2コアの幅をWC2とし、
前記第1整流部と前記第2分岐部との接続部における前記第3コアの幅をWC3とし、
前記第1整流部と前記第2分岐部との接続部における前記第4コアの幅をWC4とし、
前記第1入出射面の幅をWP1とし、
前記第2入出射面の幅をWP2とし、
前記第3入出射面の幅をWP3とし、
前記第4入出射面の幅をWP4とするとき、
0.9×(WC1+WC2)≦WM1≦1.1×(WC1+WC2)、
0.9×(WC3+WC4)≦WM1≦1.1×(WC3+WC4)、
WA=WP1=WP3、
WB=WP2=WP4、および、
0.9×(WA+WB)≦WM1≦1.1×(WA+WB)、
を満たす請求項1に記載の光導波路。
【請求項3】
前記第3分岐部は、
前記第2整流部の前記一端と前記第5入出射面とを接続する第5コアと、
前記第2整流部の前記一端と前記第6入出射面とを接続する第6コアと、
を有し、
前記第4分岐部は、
前記第2整流部の前記他端と前記第7入出射面とを接続する第7コアと、
前記第2整流部の前記他端と前記第8入出射面とを接続する第8コアと、
を有し、
前記第2整流部の長さの中間における幅をWM2とし、
前記第2整流部と前記第3分岐部との接続部における前記第5コアの幅をWC5とし、
前記第2整流部と前記第3分岐部との接続部における前記第6コアの幅をWC6とし、
前記第2整流部と前記第4分岐部との接続部における前記第7コアの幅をWC7とし、
前記第2整流部と前記第4分岐部との接続部における前記第8コアの幅をWC8とし、
前記第5入出射面の幅をWP5とし、
前記第6入出射面の幅をWP6とし、
前記第7入出射面の幅をWP7とし、
前記第8入出射面の幅をWP8とするとき、
0.9×(WC5+WC6)≦WM2≦1.1×(WC5+WC6)、
0.9×(WC7+WC8)≦WM2≦1.1×(WC7+WC8)、
WA=WP5=WP7、
WB=WP6=WP8、および、
0.9×(WA+WB)≦WM2≦1.1×(WA+WB)、
を満たす請求項2に記載の光導波路。
【請求項4】
前記第1整流部の長さをLM1、長さLM1の中間における幅をWM1とし、
前記第2整流部の長さをLM2、長さLM2の中間における幅をWM2とするとき、
100×WM1≦LM1、および、
100×WM2≦LM2、
を満たす請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光導波路。
【請求項5】
前記第1分岐部の線形状と前記第3分岐部の線形状との間、および、前記第2分岐部の線形状と前記第4分岐部の線形状との間には、それぞれ、前記第1直線を対称軸とする線対称の関係が成り立っており、
前記第1分岐部の線形状と前記第2分岐部の線形状との間、および、前記第3分岐部の線形状と前記第4分岐部の線形状との間には、それぞれ、前記第2直線を対称軸とする線対称の関係が成り立っている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光導波路。
【請求項6】
前記積層体は、前記平面に平行で前記コア層の厚さの中間を通過する面について面対称の関係を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光導波路。
【請求項7】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光導波路と、
前記光導波路を収容するハウジングと、
前記第1入出射面および前記第2入出射面の少なくとも一方と第1A光ファイバーとを接続し、かつ、前記第5入出射面および前記第6入出射面の少なくとも一方と第2A光ファイバーとを接続する第1接続部と、
前記第3入出射面および前記第4入出射面と第1B光ファイバーとを接続し、かつ、前記第7入出射面および前記第8入出射面と第2B光ファイバーとを接続する第2接続部と、
を備えることを特徴とする光配線部品。
【請求項8】
前記第1A光ファイバーと、
前記第1B光ファイバーと、
前記第2A光ファイバーと、
前記第2B光ファイバーと、
前記第1A光ファイバーを介して前記第1コアパターンに光を入射させる1つまたは2つの第1発光部と、
前記第1B光ファイバーを介して前記第1コアパターンから射出される光を受光する2つの第1受光部と、
前記第2B光ファイバーを介して前記第2コアパターンに光を入射させる2つの第2発光部と、
前記第2A光ファイバーを介して前記第2コアパターンから射出される光を受光する1つまたは2つの第2受光部と、
を備える請求項7に記載の光配線部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路および光配線部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入力された光信号を分配したり、入力された2つの光信号を1つに混合したりする分岐型光導波路が開示されている。この分岐型光導波路は、第1コア部と、第1コア部から2つに分岐されてなる第2コア部および第3コア部と、を有し、Y字状をなしている。
【0003】
特許文献2には、コア部同士がX字状に合流、分岐してなる光導波路が開示されている。この光導波路では、光信号の混合と、混合した光信号の分配と、が可能になる。
【0004】
これらの光導波路を用いることにより、光信号を電気信号に変換することなく、分配や混合が可能になる。このため、大容量データの分配、混合における高速化、省電力化を図ることができる。
【0005】
また、特許文献1には、波長の異なる光を多重化させる技術について開示され、特許文献2には、光信号の波長を変えることにより、1つの光導波路で上り方向と下り方向の光信号を伝送させる技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-151275号公報
【文献】国際公開第2021/192674号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の分岐型光導波路では、コア部がY字状の線形を有している。このため、構造に方向性があり、接続作業には十分な注意を要する。例えば、コア部の線形を外観から判別できないとき、あるいは、判別できたとしても不注意によって、入力側と出力側を誤って逆に接続してしまうおそれがある。また、光導波路をハウジングに収容する組み立て作業においても、光導波路の入力側と出力側を逆にして組み立ててしまうおそれがある。
【0008】
特許文献2に記載の光導波路では、コア部がX字状の線形を有している。このため、構造を等方的に設計すれば、方向性を無視できる。しかしながら、特許文献2では、そのような構成までは考慮されていない。
【0009】
また、異なる波長の光を用いて、1つの光導波路に上り方向の光信号と下り方向の光信号を伝送させる場合、光導波路に接続される機器において、異なる波長の光を取り扱う必要がある。そうすると、機器の構造の複雑化を招くおそれがある。
【0010】
本発明の目的は、接続作業や組み立て作業の負担を軽減することができ、かつ、接続される機器の構造の簡略化に寄与できる光導波路および光配線部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的は、下記(1)~(8)の本発明により達成される。
(1) 平面に沿って広がるシート状をなす光導波路であって、
前記平面内において互いに直交する2本の直線を第1直線および第2直線とするとき、前記第1直線を介して両側に独立して配置されている第1コアパターンおよび第2コアパターンを含むコア層と、
前記コア層の一方の面に積層されている第1クラッド層と、
前記コア層の他方の面に積層されている第2クラッド層と、
を備える積層体で構成され、
前記積層体は、樹脂材料で構成され、
前記第1コアパターンは、
前記第1コアパターンの一端に設けられた第1入出射面および第2入出射面と、前記第1コアパターンの他端に設けられた第3入出射面および第4入出射面と、
前記第1直線に沿って延在する第1整流部と、
前記第1整流部の一端と前記第1入出射面および前記第2入出射面とを接続する第1分岐部と、
前記第1整流部の他端と前記第3入出射面および前記第4入出射面とを接続する第2分岐部と、
を備え、
前記第2コアパターンは、
前記第2コアパターンの一端に設けられた第5入出射面および第6入出射面と、前記第2コアパターンの他端に設けられた第7入出射面および第8入出射面と、
前記第1直線に沿って延在する第2整流部と、
前記第2整流部の一端と前記第5入出射面および前記第6入出射面とを接続する第3分岐部と、
前記第2整流部の他端と前記第7入出射面および前記第8入出射面とを接続する第4分岐部と、
を備え、
前記第1入出射面、前記第2入出射面、前記第3入出射面および前記第4入出射面と、前記第5入出射面、前記第6入出射面、前記第7入出射面および前記第8入出射面と、の間には、前記第1直線を対称軸とする線対称の関係が成り立っており、
前記第1入出射面および前記第3入出射面と、前記第2入出射面および前記第4入出射面と、の間には、前記第2直線を対称軸とする線対称の関係が成り立っており、
前記第5入出射面および前記第7入出射面と、前記第6入出射面および前記第8入出射面と、の間には、前記第2直線を対称軸とする線対称の関係が成り立っており、
前記第2入出射面に光信号S2が入射されたとき、前記光信号S2が、前記第3入出射面および前記第4入出射面に前記光信号S2と波長が同じ光信号S3および光信号S4として分配されるように構成され、
前記第8入出射面に前記光信号S2と波長が同じ光信号S8が入射されたとき、前記光信号S8が、前記第5入出射面および前記第6入出射面に前記光信号S8と波長が同じ光信号S5および光信号S6として分配されるように構成され、
前記第1整流部および前記第2整流部が、それぞれ、1本のコアで構成されていることを特徴とする光導波路。
【0012】
(2) 前記第1分岐部は、
前記第1整流部の前記一端と前記第1入出射面とを接続する第1コアと、
前記第1整流部の前記一端と前記第2入出射面とを接続する第2コアと、
を有し、
前記第2分岐部は、
前記第1整流部の前記他端と前記第3入出射面とを接続する第3コアと、
前記第1整流部の前記他端と前記第4入出射面とを接続する第4コアと、
を有し、
前記第1整流部の長さの中間における幅をWM1とし、
前記第1整流部と前記第1分岐部との接続部における前記第1コアの幅をWC1とし、
前記第1整流部と前記第1分岐部との接続部における前記第2コアの幅をWC2とし、
前記第1整流部と前記第2分岐部との接続部における前記第3コアの幅をWC3とし、
前記第1整流部と前記第2分岐部との接続部における前記第4コアの幅をWC4とし、
前記第1入出射面の幅をWP1とし、
前記第2入出射面の幅をWP2とし、
前記第3入出射面の幅をWP3とし、
前記第4入出射面の幅をWP4とするとき、
0.9×(WC1+WC2)≦WM1≦1.1×(WC1+WC2)、
0.9×(WC3+WC4)≦WM1≦1.1×(WC3+WC4)、
WA=WP1=WP3、
WB=WP2=WP4、および、
0.9×(WA+WB)≦WM1≦1.1×(WA+WB)、
を満たす上記(1)に記載の光導波路。
【0013】
(3) 前記第3分岐部は、
前記第2整流部の前記一端と前記第5入出射面とを接続する第5コアと、
前記第2整流部の前記一端と前記第6入出射面とを接続する第6コアと、
を有し、
前記第4分岐部は、
前記第2整流部の前記他端と前記第7入出射面とを接続する第7コアと、
前記第2整流部の前記他端と前記第8入出射面とを接続する第8コアと、
を有し、
前記第2整流部の長さの中間における幅をWM2とし、
前記第2整流部と前記第3分岐部との接続部における前記第5コアの幅をWC5とし、
前記第2整流部と前記第3分岐部との接続部における前記第6コアの幅をWC6とし、
前記第2整流部と前記第4分岐部との接続部における前記第7コアの幅をWC7とし、
前記第2整流部と前記第4分岐部との接続部における前記第8コアの幅をWC8とし、
前記第5入出射面の幅をWP5とし、
前記第6入出射面の幅をWP6とし、
前記第7入出射面の幅をWP7とし、
前記第8入出射面の幅をWP8とするとき、
0.9×(WC5+WC6)≦WM2≦1.1×(WC5+WC6)、
0.9×(WC7+WC8)≦WM2≦1.1×(WC7+WC8)、
WA=WP5=WP7、
WB=WP6=WP8、および、
0.9×(WA+WB)≦WM2≦1.1×(WA+WB)、
を満たす上記(2)に記載の光導波路。
【0014】
(4) 前記第1整流部の長さをLM1、長さLM1の中間における幅をWM1とし、
前記第2整流部の長さをLM2、長さLM2の中間における幅をWM2とするとき、
100×WM1≦LM1、および、
100×WM2≦LM2、
を満たす上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の光導波路。
【0015】
(5) 前記第1分岐部の線形状と前記第3分岐部の線形状との間、および、前記第2分岐部の線形状と前記第4分岐部の線形状との間には、それぞれ、前記第1直線を対称軸とする線対称の関係が成り立っており、
前記第1分岐部の線形状と前記第2分岐部の線形状との間、および、前記第3分岐部の線形状と前記第4分岐部の線形状との間には、それぞれ、前記第2直線を対称軸とする線対称の関係が成り立っている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の光導波路。
【0017】
(6) 前記積層体は、前記平面に平行で前記コア層の厚さの中間を通過する面について面対称の関係を有する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の光導波路。
【0019】
(7) 上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の光導波路と、
前記光導波路を収容するハウジングと、
前記第1入出射面および前記第2入出射面の少なくとも一方と第1A光ファイバーとを接続し、かつ、前記第5入出射面および前記第6入出射面の少なくとも一方と第2A光ファイバーとを接続する第1接続部と、
前記第3入出射面および前記第4入出射面と第1B光ファイバーとを接続し、かつ、前記第7入出射面および前記第8入出射面と第2B光ファイバーとを接続する第2接続部と、
を備えることを特徴とする光配線部品。
【0020】
(8) 前記第1A光ファイバーと、
前記第1B光ファイバーと、
前記第2A光ファイバーと、
前記第2B光ファイバーと、
前記第1A光ファイバーを介して前記第1コアパターンに光を入射させる1つまたは2つの第1発光部と、
前記第1B光ファイバーを介して前記第1コアパターンから射出される光を受光する2つの第1受光部と、
前記第2B光ファイバーを介して前記第2コアパターンに光を入射させる2つの第2発光部と、
前記第2A光ファイバーを介して前記第2コアパターンから射出される光を受光する1つまたは2つの第2受光部と、
を備える上記(7)に記載の光配線部品。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、接続作業や組み立て作業の負担を軽減することができ、かつ、接続される機器の構造の簡略化に寄与できる光導波路および光配線部品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施形態に係る光配線部品を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る光導波路を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す光導波路の符号を書き換えた平面図である。
【
図4】
図4は、
図1の光導波路の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図5】
図5は、フェルール付き光導波路の一例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5のフェルール付き光導波路、ハウジング、第1接続部および第2接続部を備える光配線部品、ならびにファイバーリボンを、一部分解して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の光導波路および光配線部品について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0024】
1.光配線部品
まず、実施形態に係る光導波路および光配線部品について説明する。
【0025】
図1は、実施形態に係る光配線部品10を示す模式図である。
図2は、実施形態に係る光導波路1を示す平面図である。
【0026】
なお、本願の各図では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を設定し、矢印で示している。また、矢印の先端側を「プラス側」といい、基端側を「マイナス側」という。また、Z軸プラス側を特に「上」ともいい、Z軸マイナス側を特に「下」ともいう。
【0027】
図1に示す光配線部品10は、光導波路1と、第1A光ファイバーF1A、第2A光ファイバーF2A、第1B光ファイバーF1Bおよび第2B光ファイバーF2Bと、を備える。
【0028】
光導波路1は、第1A光ファイバーF1Aおよび第2A光ファイバーF2Aと、第1B光ファイバーF1Bおよび第2B光ファイバーF2Bと、の間に配置され、これらを光学的に接続して、光信号を中継する。
【0029】
また、
図1に示す光配線部品10は、第1送信部T1(第1発光部)と、第1受信部R1(第2受光部)と、第2送信部T2および第3送信部T3(2つの第2発光部)と、第2受信部R2および第3受信部R3(2つの第1受光部)と、を備える。
【0030】
図1には、第1電子機器E1、第2電子機器E2、および、第3電子機器E3が図示されている。
【0031】
第1電子機器E1は、第1送信部T1(第1発光部)および第1受信部R1(第2受光部)と電気的に接続されている。第2電子機器E2は、第2送信部T2(第2発光部)および第2受信部R2(第1受光部)と電気的に接続されている。第3電子機器E3は、第3送信部T3(第2発光部)および第3受信部R3(第1受光部)と電気的に接続されている。
【0032】
第1送信部T1は、第1A光ファイバーF1Aを介して第1コアパターンCP1に光を入射させる。第2受信部R2および第3受信部R3は、第1B光ファイバーF1Bを介して第1コアパターンCP1から射出される光を受光する。
【0033】
第2送信部T2および第3送信部T3は、第2B光ファイバーF2Bを介して第2コアパターンCP2に光を入射させる。第1受信部R1は、第2A光ファイバーF2Aを介して第2コアパターンCP2から射出される光を受光する。
【0034】
2.光導波路
各送信部から出力された光信号は、前述した光ファイバーおよび光導波路1を介して、各受信部で受光される。このように動作する光配線部品10を介することにより、電子機器同士での光通信が可能になる。
図1の例では、第1電子機器E1と第2電子機器E2との間、および、第1電子機器E1と第3電子機器E3との間で、光通信を行うことができる。
【0035】
2.1.コアパターンの概要
図2に示す光導波路1は、X-Y面に平行な平面に沿って広がるシート状をなしている。そして、この平面内において互いに直交する2本の直線を第1直線L1および第2直線L2とするとき、光導波路1は、第1直線L1を介して両側に独立して配置されている第1コアパターンCP1および第2コアパターンCP2を含む。第1コアパターンCP1および第2コアパターンCP2は、それぞれ光信号を伝送するコア部(光伝送部)で構成されている。
【0036】
第1コアパターンCP1は、第1コアパターンCP1の一端に設けられた第1入出射面P1および第2入出射面P2と、第1コアパターンCP1の他端に設けられた第3入出射面P3および第4入出射面P4と、第1整流部M1と、第1分岐部B1と、第2分岐部B2と、を備える。第1整流部M1は、第1直線L1に沿って延在している。本明細書において「直線に沿って延在」とは、直線と平行に、直線状に延びていることをいう。
【0037】
第1分岐部B1は、第1コアC1と、第2コアC2と、を有する。第1コアC1および第2コアC2は、それぞれ曲線状をなし、第1整流部M1の一端(Y軸マイナス側の端)からY軸マイナス側に向かうにつれてX軸方向の距離が離れるように延在し、第1整流部M1の一端と第1入出射面P1および第2入出射面P2とを接続する。
【0038】
第2分岐部B2は、第3コアC3と、第4コアC4と、を有する。第3コアC3および第4コアC4は、それぞれ曲線状をなし、第1整流部M1の他端(Y軸プラス側の端)からY軸プラス側に向かうにつれてX軸方向の距離が離れるように延在し、第1整流部M1の他端と第3入出射面P3および第4入出射面P4とを接続する。
【0039】
第2コアパターンCP2は、第2コアパターンCP2の一端に設けられた第5入出射面P5および第6入出射面P6と、第2コアパターンCP2の他端に設けられた第7入出射面P7および第8入出射面P8と、第2整流部M2と、第3分岐部B3と、第4分岐部B4と、を備える。第2整流部M2は、第1直線L1に沿って延在している。
【0040】
第3分岐部B3は、第5コアC5と、第6コアC6と、を有する。第5コアC5および第6コアC6は、それぞれ曲線状をなし、第2整流部M2の一端(Y軸マイナス側の端)からY軸マイナス側に向かうにつれてX軸方向の距離が離れるように延在し、第2整流部M2の一端と第5入出射面P5および第6入出射面P6とを接続する。
【0041】
第4分岐部B4は、第7コアC7と、第8コアC8と、を有する。第7コアC7および第8コアC8は、それぞれ曲線状をなし、第2整流部M2の他端(Y軸プラス側の端)からY軸プラス側に向かうにつれてX軸方向の距離が離れるように延在し、第2整流部M2の他端と第7入出射面P7および第8入出射面P8とを接続する。
【0042】
このような2つのコアパターンを備えることにより、光信号の下りと上りを区別することができる。例えば、第1コアパターンCP1は、Y軸プラス側に向かう光信号の伝送に用い、第2コアパターンCP2は、Y軸マイナス側に向かう光信号の伝送に用いる。
【0043】
仮に、1つのコアパターンで下りの光信号と上りの光信号の双方を伝送する場合、異なる波長の光を用いる必要がある。このため、光導波路を介して情報を送受信する機器では、同一線路で下りと上りを共用するための特別な装置、例えば波長多重光通信に用いる装置を必要とする。このような装置を必要とすることは、情報を送受信する機器の構造の複雑化、高コスト化を招く原因となっていた。また、下りの光信号と上りの光信号を分離する光学素子を用いる場合、伝送品質の低下も課題となっていた。さらに、光導波路1の構造、材質、製造方法等によっては、波長によって伝送品質が異なる場合があった。
【0044】
これに対し、
図2に示す光導波路1では、光信号の伝送方向を区分けできるため、1つのコアパターンで双方向の光信号を伝送するのに必要とされていた特別な装置が不要となる。このため、光導波路1を介して情報を送受信する第1電子機器E1、第2電子機器E2および第3電子機器E3の構造または発光部や受光部の構造を簡略化することができる。また、下りの光信号と上りの光信号を分離する光学素子が不要になるため、伝送品質の低下が抑制され、高速、大容量の通信が可能になる。さらに、下りの光信号と上りの光信号とで、同一の波長の光を用いることにより、波長によって伝送品質が異なるという課題も解消することができる。
【0045】
また、第1コアパターンCP1および第2コアパターンCP2は、それぞれ、光信号の混合と分配の機能を有している。
【0046】
図1の例では、第1送信部T1から射出された光信号S2が、第1A光ファイバーF1Aを介して、第1コアパターンCP1の第2入出射面P2で受光される。光信号S2は、第1整流部M1から第2分岐部B2に伝送され、光信号S3と光信号S4の2つに分配される。そして、第3入出射面P3から射出される光信号S3は、第1B光ファイバーF1Bを介して、第2受信部R2で受光される。また、第4入出射面P4から射出される光信号S4は、第1B光ファイバーF1Bを介して、第3受信部R3で受光される。なお、以下の説明では、以上のような光信号S2が光信号S3、S4に分配される信号伝送を「上りの通信」という。
【0047】
一方、
図1の例では、第2送信部T2から射出された光信号S8が、第2B光ファイバーF2Bを介して、第2コアパターンCP2の第8入出射面P8で受光される。また、第3送信部T3から射出された光信号S7が、第2B光ファイバーF2Bを介して、第7入出射面P7で受光される。光信号S7、S8は、第4分岐部B4で混合され、第2整流部M2に伝送される。混合された光信号S7、S8は、第2整流部M2から第3分岐部B3に伝送され、光信号S5と光信号S6の2つに分配される。そして、第6入出射面P6から射出される光信号S6は、第2A光ファイバーF2Aを介して、第1受信部R1で受光される。一方、光信号S5は、強制的に減衰させるか、または、空間に放射させればよい。なお、以下の説明では、以上のような光信号S7、S8を混合した後、光信号S5、S6に分配する信号伝送を「下りの通信」という。
【0048】
このように
図1の例では、第1電子機器E1が出力した情報を、第1コアパターンCP1を介して、第2電子機器E2および第3電子機器E3に分配することができる。このような光通信技術は、例えば、受動光ネットワーク(PON)に好適に用いられる。また、受動光ネットワークは、車載用ネットワークであってもよい。
【0049】
第1電子機器E1としては、特に限定されないが、例えば、第1電子機器E1が車載機器の場合、カメラのような画像センサー、LiDAR(Laser Imaging, Detection and Ranging)やミリ波センサーのような測距センサー等の各種センサーの他、アンテナモジュール等が挙げられる。以下の説明では、第1電子機器E1を「スレーブ機能部」ということがある。これらの機器は、短時間に大容量の情報を生成する。このため、上りの通信には、大きな通信容量が求められる。
【0050】
なお、本実施形態では、光導波路1よりもY軸マイナス側に接続される機器が、第1電子機器E1の1つだけであるが、第1電子機器E1と並列するように、別のスレーブ機能部としての電子機器が追加されていてもよい。つまり、図示しない光ファイバーを介して、第1入出射面P1および第5入出射面P5と別の電子機器とが接続されていてもよい。この場合、複数のスレーブ機能部から出力された光信号が、混合、分配されることになる。そこで、複数のスレーブ機能部から出力された情報が衝突するのを避ける技術として、例えば、時分割多元接続TDMA(Time Division Multiple Access)、時分割多重化TDM(Time Division Multiplexing)等が用いられてもよい。また、分波や合波等に要するコストが許容できる範囲内であれば、波長分割多重WDM(Wavelength Division Multiplexing)が用いられてもよい。
【0051】
第2電子機器E2および第3電子機器E3は、これらの大容量の情報を受信し、好ましくはリアルタイムに処理する。したがって、第2電子機器E2および第3電子機器E3としては、特に限定されないが、例えば、マイコンのような演算装置が挙げられる。具体的には、第2電子機器E2および第3電子機器E3がそれぞれ車載機器の場合、ECU(Electronic Control Unit)、ナビゲーション装置、TCU(Telematics Communication Unit)、ゲートウェイ装置等が挙げられる。以下の説明では、第2電子機器E2および第3電子機器E3を、それぞれ「マスター機能部」ということがある。これらの機器における演算結果に基づいて様々な機能が実現される。多くの場合、情報の処理にはリアルタイム性が求められるため、上りの通信には、高速な通信速度が求められる。
【0052】
上述した第1コアパターンCP1によれば、上りの通信において、従来よりも高速、大容量の通信が可能である。このため、光導波路1を用いた光通信によれば、大容量の情報をリアルタイムに処理可能なシステムを実現することができる。また、上記のような情報の分配は、光信号のままで情報を分配できるため、消費電力を抑えつつ情報の処理部を並列化することができ、例えばシステムの冗長化等に寄与する。つまり、第2電子機器E2および第3電子機器E3が、同一の情報を並行して処理することにより、システムの障害耐性を高めることができる。
【0053】
一方、上述した第2コアパターンCP2によれば、下りの通信においても、上りの通信と同様、高速、大容量の通信が可能である。なお、下りの通信でも、複数のマスター機能部から出力された光信号が、混合、分配されることになる。そこで、下りの通信でも、複数のマスター機能部から出力された情報が衝突するのを避ける技術として、例えば、時分割多重化TDM、時分割多元接続TDMA等が用いられてもよい。また、分波や合波等に要するコストが許容できる範囲内であれば、波長分割多重WDMが用いられてもよい。
【0054】
2.2.入出射面の対称性
ここで、
図2に示す光導波路1では、第1入出射面P1、第2入出射面P2、第3入出射面P3および第4入出射面P4と、第5入出射面P5、第6入出射面P6、第7入出射面P7および第8入出射面P8と、の間で、第1直線L1を対称軸とする線対称の関係が成り立っている。この線対称の関係とは、具体的には、対応する入出射面同士の間で、それらの幅および位置が、線対称の関係にあることをいう。換言すれば、第1直線L1で光導波路1を折り畳んだと仮定したとき、第1入出射面P1と第5入出射面P5との間、第2入出射面P2と第6入出射面P6との間、第3入出射面P3と第7入出射面P7との間、および、第4入出射面P4と第8入出射面P8との間で、それぞれ幅および位置が一致している。なお、入出射面の幅とは、入出射面のX軸方向の長さのことをいう。
【0055】
このような関係が成り立っているとき、光導波路1では、第1直線L1を回転軸として180°回転(反転)させたとしても、各入出射面の幅および位置において変化がない。つまり、各入出射面の幅および位置は、反転前後で等価である。このため、光導波路1では、光ファイバー同士の接続作業に供されるとき、第1直線L1を回転軸とした反転を気にする必要がない。したがって、光導波路1は、接続作業の負担を軽減することに寄与する。また、光導波路1は、図示しないハウジング等に収容され、光接続部品の状態で用いられる場合もある。光導波路1は、このような光接続部品の組み立て作業においても、第1直線L1を回転軸とする反転を気にする必要がないため、組み立て作業の負担を軽減できる。
【0056】
また、
図2に示す光導波路1では、第1入出射面P1および第3入出射面P3と、第2入出射面P2および第4入出射面P4と、の間で、第2直線L2を対称軸とする線対称の関係が成り立っている。換言すれば、第2直線L2で光導波路1を折り畳んだと仮定したとき、第1入出射面P1と第3入出射面P3との間、および、第2入出射面P2および第4入出射面P4との間で、それらの幅および位置が一致している。
【0057】
さらに、
図2に示す光導波路1では、第5入出射面P5および第7入出射面P7と、第6入出射面P6および第8入出射面P8と、の間で、第2直線L2を対称軸とする線対称の関係が成り立っている。換言すれば、第2直線L2で光導波路1を折り畳んだと仮定したとき、第5入出射面P5と第7入出射面P7との間、および、第6入出射面P6および第8入出射面P8との間で、それらの幅および位置が一致している。
【0058】
このような関係が成り立っているとき、光導波路1では、第2直線L2を回転軸として180°回転(反転)させたとしても、各入出射面の幅および位置において変化がない。つまり、各入出射面の幅および位置は、反転前後で等価である。このため、光導波路1が光ファイバー同士の接続作業に供されるとき、第2直線L2を回転軸とした反転を気にする必要がない。したがって、光導波路1は、接続作業の負担を軽減することに寄与する。また、光導波路1は、光接続部品の組み立て作業においても、第2直線L2を回転軸とする反転を気にする必要がないため、組み立て作業の負担を軽減できる。
【0059】
なお、幅が一致しているとは、対応する2つの入出射面同士の間で、幅の差が、2つの入出射面の平均幅の20%以下であることをいう。具体的には、対応する2つの入出射面の平均幅が50μmであるとき、前述した幅の差が10μm以下であればよい。
【0060】
また、位置が一致しているとは、第1直線L1や第2直線L2で光導波路1を折り畳んだと仮定したとき、対応する2つの入出射面同士の間で、幅の中間点同士のずれ量が、2つの入出射面の平均幅の20%以下であることをいう。具体的には、対応する2つの入出射面の平均幅が50μmであるとき、前述したずれ量が10μm以下であればよい。
【0061】
2.3.コアパターンの形状
次に、第1コアパターンCP1および第2コアパターンCP2の形状について説明する。
図3は、
図2に示す光導波路1の符号を書き換えた平面図である。
【0062】
2.3.1.第1コアパターンの各部の幅
図3に示す第1分岐部B1は、第1コアC1と、第2コアC2と、を有する。第1コアC1は、第1整流部M1の一端と第1入出射面P1とを接続している。第2コアC2は、第1整流部M1の一端と第2入出射面P2とを接続している。
【0063】
図3に示す第2分岐部B2は、第3コアC3と、第4コアC4と、を有する。第3コアC3は、第1整流部M1の他端と第3入出射面P3とを接続している。第4コアC4は、第1整流部M1の他端と第4入出射面P4とを接続している。
【0064】
また、第1整流部M1の長さをLM1とする。さらに、長さLM1の中間における幅をWM1とする。
【0065】
第1整流部M1と第1分岐部B1との接続部における第1コアC1の幅をWC1とし、第1整流部M1と第1分岐部B1との接続部における第2コアC2の幅をWC2とし、第1整流部M1と第2分岐部B2との接続部における第3コアC3の幅をWC3とし、第1整流部M1と第2分岐部B2との接続部における第4コアC4の幅をWC4とする。なお、接続部とは、第1整流部M1から各コアが分岐し始める起点のことをいう。
【0066】
このとき、光導波路1では、下記式(1)、(2)で表される関係が成り立っていることが好ましい。
【0067】
0.9×(WC1+WC2)≦WM1≦1.1×(WC1+WC2) … (1)
0.9×(WC3+WC4)≦WM1≦1.1×(WC3+WC4) … (2)
【0068】
上記式(1)および式(2)は、第1整流部M1の幅WM1が、第1コアC1の幅WC1と第2コアC2の幅WC2との和、および、第3コアC3の幅WC3と第4コアC4の幅WC4との和、と同程度であることを意味している。光導波路1が上記式(1)および式(2)を満たすことにより、第1整流部M1と第1分岐部B1との接続部、および、第1整流部M1と第2分岐部B2との接続部において、コアの幅の変化に伴う損失を抑制することができる。
【0069】
また、第1入出射面P1の幅をWP1とし、第2入出射面P2の幅をWP2とし、第3入出射面P3の幅をWP3とし、第4入出射面P4の幅をWP4とする。
【0070】
このとき、光導波路1では、下記式(3)、式(4)および式(5)で表される関係が成り立っていることが好ましい。
【0071】
WA=WP1=WP3 … (3)
WB=WP2=WP4 … (4)
0.9×(WA+WB)≦WM1≦1.1×(WA+WB) … (5)
【0072】
上記式(3)では、第1入出射面P1の幅WP1および第3入出射面P3の幅WP3を、それぞれ幅WAと定義している。上記式(4)では、第2入出射面P2の幅WP2および第4入出射面P4の幅WP4を、それぞれ幅WBと定義している。なお、上記式(3)および式(4)における等号は、前述した「幅が一致している」ことを意味している。
【0073】
また、上記式(5)では、第1整流部M1の幅WM1が、幅WAと幅WBとの和と同程度であることを意味している。
【0074】
したがって、上記式(1)~(5)では、第1整流部M1の幅WM1が、第1分岐部B1を構成する2本のコアの幅の和および第2分岐部B2を構成する2本のコアの幅の和と同程度であること、ならびに、第1分岐部B1に接続されている入出射面の幅の和および第2分岐部B2に接続されている入出射面の幅の和と同程度であること、を意味している。
【0075】
光導波路1が上記式(1)~(5)を満たすことにより、第1整流部M1から第1入出射面P1および第2入出射面P2に至るまでの範囲内、ならびに、第1整流部M1から第3入出射面P3および第4入出射面P4に至るまでの範囲内において、コアの幅の変化に伴う損失を抑制することができる。
【0076】
なお、上記式(1)において第1整流部M1の幅WM1が前記下限値を下回ると、第1分岐部B1と第1整流部M1との接続部において光信号が混合されるとき、損失が大きくなるおそれがある。一方、上記式(1)において第1整流部M1の幅WM1が前記上限値を上回ると、第1分岐部B1と第1整流部M1との接続部において光信号が分配されるとき、損失が大きくなるおそれがある。
【0077】
また、上記式(2)において第1整流部M1の幅WM1が前記下限値を下回ると、第2分岐部B2と第1整流部M1との接続部において光信号が混合されるとき、損失が大きくなるおそれがある。一方、上記式(2)において第1整流部M1の幅WM1が前記上限値を上回ると、第2分岐部B2と第1整流部M1との接続部において光信号が分配されるとき、損失が大きくなるおそれがある。
【0078】
さらに、上記式(5)において第1整流部M1の幅WM1が前記下限値を下回ると、第1コアパターンCP1で光信号が混合されるとき、損失が大きくなるおそれがある。一方、上記式(5)において第1整流部M1の幅WM1が前記上限値を上回ると、第1コアパターンCP1で光信号が分配されるとき、損失が大きくなるおそれがある。
【0079】
なお、幅WC1~WC4は、それぞれ、5~100μm程度であるのが好ましく、10~70μm程度であるのがより好ましい。これにより、良好な寸法精度を有し、かつ、伝送損失の少ないコアが得られる。
【0080】
また、幅WA、WBは、それぞれ、5~100μm程度であるのが好ましく、10~70μm程度であるのがより好ましい。これにより、光ファイバーとの接続損失の少ない光導波路1が得られる。
【0081】
2.3.2.第2コアパターンの各部の幅
第3分岐部B3は、第5コアC5と、第6コアC6と、を有する。第5コアC5は、第2整流部M2の一端と第5入出射面P5とを接続している。第6コアC6は、第2整流部M2の一端と第6入出射面P6とを接続している。
【0082】
第4分岐部B4は、第7コアC7と、第8コアC8と、を有する。第7コアC7は、第2整流部M2の他端と第7入出射面P7とを接続している。第8コアC8は、第2整流部M2の他端と第8入出射面P8とを接続している。
【0083】
また、第2整流部M2の長さをLM2とする。さらに、長さLM2の中間における幅をWM2とする。
【0084】
第2整流部M2と第3分岐部B3との接続部における第5コアC5の幅をWC5とし、第2整流部M2と第3分岐部B3との接続部における第6コアC6の幅をWC6とし、第2整流部M2と第4分岐部B4との接続部における第7コアC7の幅をWC7とし、第2整流部M2と第4分岐部B4との接続部における第8コアC8の幅をWC8とする。なお、接続部とは、第2整流部M2から各コアが分岐し始める起点のことをいう。
【0085】
このとき、光導波路1では、下記式(6)、(7)で表される関係が成り立っていることが好ましい。
【0086】
0.9×(WC5+WC6)≦WM2≦1.1×(WC5+WC6) … (6)
0.9×(WC7+WC8)≦WM2≦1.1×(WC7+WC8) … (7)
【0087】
上記式(6)および式(7)は、第2整流部M2の幅WM2が、第5コアC5の幅WC5と第6コアC6の幅WC6との和、および、第7コアC7の幅WC7と第8コアC8の幅WC8との和、と同程度であることを意味している。光導波路1が上記式(6)および式(7)を満たすことにより、第2整流部M2と第3分岐部B3との接続部、および、第2整流部M2と第4分岐部B4との接続部において、コアの幅の変化に伴う損失を抑制することができる。
【0088】
また、第5入出射面P5の幅をWP5とし、第6入出射面P6の幅をWP6とし、第7入出射面P7の幅をWP7とし、第8入出射面P8の幅をWP8とする。
【0089】
このとき、光導波路1では、下記式(8)、式(9)および式(10)で表される関係が成り立っていることが好ましい。
【0090】
WA=WP5=WP7 … (8)
WB=WP6=WP8 … (9)
0.9×(WA+WB)≦WM2≦1.1×(WA+WB) … (10)
【0091】
上記式(8)では、第5入出射面P5の幅WP5および第7入出射面P7の幅WP7を、それぞれ幅WAと定義している。上記式(9)では、第6入出射面P6の幅WP6および第8入出射面P8の幅WP8を、それぞれ幅WBと定義している。なお、上記式(8)および式(9)における等号は、前述した「幅が一致している」ことを意味している。
【0092】
また、上記式(10)では、第2整流部M2の幅WM2が、幅WAと幅WBとの和と同程度であることを意味している。
【0093】
したがって、上記式(6)~(10)では、第2整流部M2の幅WM2が、第3分岐部B3を構成する2本のコアの幅の和および第4分岐部B4を構成する2本のコアの幅の和と同程度であること、ならびに、第3分岐部B3に接続されている入出射面の幅の和および第4分岐部B4に接続されている入出射面の幅の和と同程度であること、を意味している。
【0094】
光導波路1が上記式(6)~(10)を満たすことにより、第2整流部M2から第5入出射面P5および第6入出射面P6に至るまでの範囲内、ならびに、第2整流部M2から第7入出射面P7および第8入出射面P8に至るまでの範囲内において、コアの幅の変化に伴う損失を抑制することができる。
【0095】
なお、上記式(6)において第2整流部M2の幅WM2が前記下限値を下回ると、第3分岐部B3と第2整流部M2との接続部において光信号が混合されるとき、損失が大きくなるおそれがある。一方、上記式(6)において第2整流部M2の幅WM2が前記上限値を上回ると、第3分岐部B3と第2整流部M2との接続部において光信号が分配されるとき、損失が大きくなるおそれがある。
【0096】
また、上記式(7)において第2整流部M2の幅WM2が前記下限値を下回ると、第4分岐部B4と第2整流部M2との接続部において光信号が混合されるとき、損失が大きくなるおそれがある。一方、上記式(7)において第2整流部M2の幅WM2が前記上限値を上回ると、第4分岐部B4と第2整流部M2との接続部において光信号が分配されるとき、損失が大きくなるおそれがある。
【0097】
さらに、上記式(10)において第2整流部M2の幅WM2が前記下限値を下回ると、第2コアパターンCP2で光信号が混合されるとき、損失が大きくなるおそれがある。一方、上記式(10)において第2整流部M2の幅WM2が前記上限値を上回ると、第2コアパターンCP2で光信号が分配されるとき、損失が大きくなるおそれがある。
【0098】
なお、幅WC5~WC8は、それぞれ、5~100μm程度であるのが好ましく、10~70μm程度であるのがより好ましい。これにより、良好な寸法精度を有し、かつ、伝送損失の少ないコアが得られる。
【0099】
2.3.3.第1整流部および第2整流部の各形状
光導波路1は、第1整流部M1および第2整流部M2について、下記式(11)および式(12)を満たすことが好ましい。
【0100】
100×WM1≦LM1 … (11)
100×WM2≦LM2 … (12)
【0101】
上記式(11)は、第1整流部M1の長さLM1が、幅WM1の100倍以上であることを意味している。光導波路1が上記式(11)を満たすことにより、第1整流部M1において目的とする分配比で光信号を分配することができる。つまり、第1コアパターンCP1における分配比は、第1整流部M1に接続されている各コアの幅の比で設定できる。ただし、第1整流部M1の長さLM1が不十分である場合、この設定した幅の比が分配比に正しく反映されない場合がある。そこで、光導波路1が上記式(11)を満たすことにより、第1コアパターンCP1では、目的とする分配比で光信号を分配することができる。
【0102】
上記式(12)は、第2整流部M2の長さLM2が、幅WM2の100倍以上であることを意味している。光導波路1が上記式(12)を満たすことにより、第2整流部M2において目的とする分配比で光信号を分配することができる。つまり、第2コアパターンCP2における分配比は、第2整流部M2に接続されている各コアの幅の比で設定できる。ただし、第2整流部M2の長さLM2が不十分である場合、この設定した幅の比が分配比に正しく反映されない場合がある。そこで、光導波路1が上記式(12)を満たすことにより、第2コアパターンCP2では、目的とする分配比で光信号を分配することができる。
【0103】
また、光導波路1は、下記式(13)および式(14)を満たすことがより好ましい。
200×WM1≦LM1≦1000[μm] … (13)
200×WM2≦LM2≦1000[μm] … (14)
【0104】
なお、長さLM1および長さLM2は、それぞれ前記上限値を上回ってもよいが、それに伴う分配比の改善効果が乏しく、一方で光導波路1のY軸方向の長さが必要以上に長くなってしまうおそれがある。
【0105】
2.3.4.各分岐部の線形状
第1分岐部B1の線形状と第3分岐部B3の線形状との間、および、第2分岐部B2の線形状と第4分岐部B4の線形状との間には、それぞれ、第1直線L1を対称軸とする線対称の関係が成り立っているのが好ましい。
【0106】
このような関係が成り立っているとき、光導波路1では、第1直線L1を回転軸として180°回転(反転)させたとしても、各分岐部の線形状に変化がない。つまり、反転の前後で、各分岐部での曲げ損失に差がない。このため、このような光導波路1では、光ファイバー同士の接続作業に供されるとき、第1直線L1を回転軸とした反転を気にする必要がない。したがって、このような光導波路1は、接続作業の負担を軽減することに寄与する。また、このような光導波路1は、光接続部品の組み立て作業においても、第1直線L1を回転軸とする反転を気にする必要がないため、組み立て作業の負担を軽減できる。
【0107】
なお、前述した第1直線L1を対称軸とする線対称の関係とは、第1直線L1で光導波路1を折り畳んだと仮定したとき、第1分岐部B1を構成する各コアと、第3分岐部B3を構成する各コアと、が重なるとともに、第2分岐部B2を構成する各コアと、第4分岐部B4を構成する各コアと、が重なる関係であることをいう。
【0108】
第1分岐部B1の線形状と第2分岐部B2の線形状との間、および、第3分岐部B3の線形状と第4分岐部B4の線形状との間には、それぞれ、第2直線L2を対称軸とする線対称の関係が成り立っているのが好ましい。
【0109】
このような関係が成り立っているとき、光導波路1では、第2直線L2を回転軸として180°回転(反転)させたとしても、各分岐部の線形状に変化がない。つまり、反転の前後で、各分岐部での曲げ損失に差がない。このため、このような光導波路1では、光ファイバー同士の接続作業に供されるとき、第2直線L2を回転軸とした反転を気にする必要がない。したがって、このような光導波路1は、接続作業の負担を軽減することに寄与する。また、このような光導波路1は、光接続部品の組み立て作業においても、第2直線L2を回転軸とする反転を気にする必要がないため、組み立て作業の負担を軽減できる。
【0110】
なお、前述した第2直線L2を対称軸とする線対称の関係とは、第2直線L2で光導波路1を折り畳んだと仮定したとき、第1分岐部B1を構成する各コアと、第2分岐部B2を構成する各コアと、が重なるとともに、第3分岐部B3を構成する各コアと、第4分岐部B4を構成する各コアと、が重なる関係であることをいう。
【0111】
また、コアが重なるとは、コア同士が多少ずれている状態も含む。具体的には、対応する2つのコアの中心線同士の間で、中心線のずれ量が、対応する2つのコアの最小幅の20%以下であればよい。
【0112】
2.4.積層構造
図4は、
図1の光導波路1の一部を拡大して示す斜視図である。
【0113】
図4に示す光導波路1は、前述したように、X-Y面に平行な平面に沿って広がるシート状をなしている。
図4に示す光導波路1は、下方から、第1支持層18、第1クラッド層11、コア層13、第2クラッド層12および第2支持層19がこの順で積層されてなる積層体16を備える。
【0114】
コア層13に形成されているコア部14は、
図4に示すように、その側面が、側面クラッド部15、第1クラッド層11および第2クラッド層12で囲まれている。そして、コア部14の屈折率は、これらのクラッド領域の屈折率よりも高くなっている。これにより、コア部14に光を閉じ込めて伝搬させることができる。このようなコア部14により、第1コアパターンCP1および第2コアパターンCP2が構成されている。
【0115】
積層体16は、積層構造を有するため、製造が比較的容易である。また、コア層13を第1クラッド層11および第2クラッド層12で挟んでいるため、界面の屈折率差が安定する。このため、伝送損失の少ないコア部14を含むコア層13を形成することができる。
【0116】
なお、側面クラッド部15の少なくとも一部と、第1クラッド層11および第2クラッド層12の少なくとも一方とが、一体になっていてもよい。
【0117】
コア層13において、コア部14の光路に直交する面内における屈折率分布は、いかなる分布であってもよく、例えば屈折率が不連続的に変化した、いわゆるステップインデックス(SI)型の分布であってもよく、屈折率が連続的に変化した、いわゆるグレーデッドインデックス(GI)型の分布であってもよい。
【0118】
X-Z面によるコア部14の断面形状、つまりコア部14の横断面形状は、特に限定されないが、例えば、真円、楕円形、長円形等の円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形、その他の異形状が挙げられる。
【0119】
コア層13の平均厚さは、特に限定されないが、1~200μm程度であるのが好ましく、5~100μm程度であるのがより好ましく、10~70μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、コア層13に必要とされる光学的特性および機械的強度が確保される。
【0120】
コア層13の構成材料は、特に限定されないが、例えば樹脂材料、ガラス材料、シリコン材料、またはこれらと他の材料との複合材料等が挙げられる。このうち、耐衝撃性、取り扱いの容易性等の観点から、樹脂材料が好ましく用いられる。
【0121】
第1クラッド層11および第2クラッド層12の平均厚さは、それぞれ1~200μm程度であるのが好ましく、3~100μm程度であるのがより好ましく、5~60μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、第1クラッド層11および第2クラッド層12に必要とされる光学的特性および機械的強度が確保される。
【0122】
また、第1クラッド層11および第2クラッド層12の構成材料は、例えば、前述したコア層13の構成材料として挙げた材料から適宜選択して用いられる。
【0123】
なお、第1クラッド層11および第2クラッド層12の少なくとも一方は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
【0124】
第1支持層18は、第1クラッド層11の下面に設けられている。第2支持層19は、第2クラッド層12の上面に設けられている。このような第1支持層18および第2支持層19を設けることにより、コア層13、第1クラッド層11および第2クラッド層12が熱や外力等から保護される。
【0125】
第1支持層18および第2支持層19の構成材料は、特に限定されないが、例えば樹脂材料、ガラス材料、シリコン材料、またはこれらと他の材料との複合材料等が挙げられる。このうち、耐衝撃性、取り扱いの容易性等の観点から、樹脂材料が好ましく用いられる。
【0126】
第1支持層18および第2支持層19は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
【0127】
積層体16は、前述したように、第1クラッド層11、コア層13および第2クラッド層12を備える。
【0128】
図4では、平面であるX-Y面に平行で、かつ、コア層13の中間を通過する面Fを仮想している。積層体16は、この面Fについて面対称の関係を有しているのが好ましい。面対称の関係とは、面Fを介して向かい合っている任意の2点を結ぶ線分が、面Fによって垂直に2等分される関係のことをいう。
【0129】
積層体16がこのような関係を有することにより、積層体16で構成された光導波路1では、第1直線L1または第2直線L2を回転軸として180°回転させたとしても、光導波路1の厚さ方向における入出射面の位置に変化がない。このため、このような光導波路1では、光ファイバー同士の接続作業に供されるとき、第1直線L1または第2直線L2を回転軸とした反転を気にする必要がない。したがって、このような光導波路1は、接続作業の負担を軽減することに寄与する。また、このような光導波路1は、光接続部品の組み立て作業においても、第1直線L1または第2直線L2を回転軸とする反転を気にする必要がないため、組み立て作業の負担を軽減できる。
【0130】
また、積層体16は、樹脂材料で構成されているのが好ましい。これにより、耐衝撃性および取り扱いの容易性に優れる光導波路1が得られる。
【0131】
3.フェルール付き光導波路
光導波路1は、一端または両端にフェルールを取り付けた状態、つまり、フェルール付き光導波路の状態で用いられてもよい。
【0132】
図5は、フェルール付き光導波路2の一例を示す斜視図である。
フェルール付き光導波路2は、光導波路1と、フェルール24、26と、を備える。フェルール24、26としては、PMTフェルール等が挙げられる。
【0133】
4.ハウジングおよび接続部
フェルール付き光導波路2は、ハウジングに収容された状態で用いられてもよい。
【0134】
図6は、
図5のフェルール付き光導波路2、ハウジング3、第1接続部83および第2接続部93を備える光配線部品20、ならびにファイバーリボン81、91を、一部分解して示す斜視図である。
【0135】
図6に示すハウジング3は、光導波路収容体31、32を備える。これらは、組み合わされることにより、内部にフェルール付き光導波路2を収容する空間を形成する。
【0136】
図6に示すファイバーリボン81は、第1A光ファイバーF1Aおよび第2A光ファイバーF2Aを含む複数の光ファイバーが、1本のリボン状にまとめられた部材である。
図6に示すファイバーリボン91は、第1B光ファイバーF1Bおよび第2B光ファイバーF2Bを含む複数の光ファイバーが、1本のリボン状にまとめられた部材である。また、ファイバーリボン81、91には、フェルール82、92が取り付けられている。
【0137】
図6には、2つの部品830、830の組み立て体である第1接続部83と、2つの部品930、930の組み立て体である第2接続部93と、を示している。第1接続部83は、フェルール付き光導波路2の一端と、フェルール82を取り付けたファイバーリボン81と、を接続する。第2接続部93は、フェルール付き光導波路2の他端と、フェルール92を取り付けたファイバーリボン91と、を接続する。
【0138】
以上のようなフェルール付き光導波路2、ハウジング3、第1接続部83、第2接続部93、および、フェルール82、92が取り付けられたファイバーリボン81、91により、
図6に示す光配線部品20が構成されている。このような光配線部品20では、光導波路1をハウジング3に収容する組み立て作業や組み立て後の部品を光ファイバーと接続する接続作業において、光導波路1の姿勢の自由度が高いことから、作業者の負担を軽減することができる。なお、このような光配線部品20は、
図1に示す光配線部品10の一部に適用することもできる。
【0139】
5.前記実施形態が奏する効果
以上のように、光導波路1は、X-Y面(平面)に沿って広がるシート状をなす光導波路であって、第1コアパターンCP1および第2コアパターンCP2を含む。第1コアパターンCP1および第2コアパターンCP2は、X-Y面内において互いに直交する2本の直線を第1直線L1および第2直線L2とするとき、第1直線L1を介して両側に独立して配置されている。
【0140】
第1コアパターンCP1は、第1入出射面P1、第2入出射面P2、第3入出射面P3および第4入出射面P4と、第1整流部M1と、第1分岐部B1と、第2分岐部B2と、を備える。第1整流部M1は、第1直線L1に沿って延在する。第1分岐部B1は、第1整流部M1の一端と第1入出射面P1および第2入出射面P2とを接続する。第2分岐部B2は、第1整流部M1の他端と第3入出射面P3および第4入出射面P4とを接続する。
【0141】
第2コアパターンCP2は、第5入出射面P5、第6入出射面P6、第7入出射面P7および第8入出射面P8と、第2整流部M2と、第3分岐部B3と、第4分岐部B4と、を備える。第2整流部M2は、第1直線L1に沿って延在する。第3分岐部B3は、第2整流部M2の一端と第5入出射面P5および第6入出射面P6とを接続する。第4分岐部B4は、第2整流部M2の他端と第7入出射面P7および第8入出射面P8とを接続する。
【0142】
第1入出射面P1、第2入出射面P2、第3入出射面P3および第4入出射面P4と、第5入出射面P5、第6入出射面P6、第7入出射面P7および第8入出射面P8と、の間には、第1直線L1を対称軸とする線対称の関係が成り立っている。
【0143】
第1入出射面P1および第3入出射面P3と、第2入出射面P2および第4入出射面P4と、の間には、第2直線L2を対称軸とする線対称の関係が成り立っている。
【0144】
第5入出射面P5および第7入出射面P7と、第6入出射面P6および第8入出射面P8と、の間には、第2直線L2を対称軸とする線対称の関係が成り立っている。
【0145】
このような光導波路1では、光信号の伝送方向を区分けできるため、1つのコアパターンで双方向の光信号を伝送するのに必要とされていた特別な装置が不要となる。このため、光導波路1を介して情報を送受信する第1電子機器E1、第2電子機器E2および第3電子機器E3の構造または発光部や受光部の構造を簡略化することができる。また、下りの光信号と上りの光信号を分離する光学素子が不要になるため、伝送品質の低下が抑制され、高速、大容量の通信が可能になる。さらに、下りの光信号と上りの光信号とで、同一の波長の光を用いることにより、波長によって伝送品質が異なるという課題も解消することができる。
【0146】
また、光導波路1では、光信号のままで情報を分配できるため、消費電力を抑えつつ、例えば情報の処理部を並列化することができ、システムの冗長化等に寄与する。
【0147】
さらに、光導波路1は、第1直線L1または第2直線L2を回転軸として180°回転(反転)させたとしても、各入出射面の幅および位置において変化がない。このため、光導波路1が光ファイバー同士の接続作業に供されるとき、第1直線L1または第2直線L2を回転軸とした反転を気にする必要がない。したがって、光導波路1は、接続作業や光接続部品の組み立て作業において、作業者の負担を軽減できる。
【0148】
また、第1分岐部B1は、第1コアC1と、第2コアC2と、を有する。第1コアC1は、第1整流部M1の一端と第1入出射面P1とを接続している。第2コアC2は、第1整流部M1の一端と第2入出射面P2とを接続している。
【0149】
第2分岐部B2は、第3コアC3と、第4コアC4と、を有する。第3コアC3は、第1整流部M1の他端と第3入出射面P3とを接続している。第4コアC4は、第1整流部M1の他端と第4入出射面P4とを接続している。
また、第1整流部M1の長さLM1の中間における幅をWM1とする。
【0150】
第1整流部M1と第1分岐部B1との接続部における第1コアC1の幅をWC1とし、第1整流部M1と第1分岐部B1との接続部における第2コアC2の幅をWC2とし、第1整流部M1と第2分岐部B2との接続部における第3コアC3の幅をWC3とし、第1整流部M1と第2分岐部B2との接続部における第4コアC4の幅をWC4とする。
【0151】
このとき、光導波路1は、下記式(1)、(2)で表される関係を満たすことが好ましい。
【0152】
0.9×(WC1+WC2)≦WM1≦1.1×(WC1+WC2) … (1)
0.9×(WC3+WC4)≦WM1≦1.1×(WC3+WC4) … (2)
【0153】
また、第1入出射面P1の幅をWP1とし、第2入出射面P2の幅をWP2とし、第3入出射面P3の幅をWP3とし、第4入出射面P4の幅をWP4とする。
【0154】
このとき、光導波路1は、下記式(3)、式(4)および式(5)で表される関係を満たすことが好ましい。
【0155】
WA=WP1=WP3 … (3)
WB=WP2=WP4 … (4)
0.9×(WA+WB)≦WM1≦1.1×(WA+WB) … (5)
【0156】
このような光導波路1では、第1整流部M1から第1入出射面P1および第2入出射面P2に至るまでの範囲内、ならびに、第1整流部M1から第3入出射面P3および第4入出射面P4に至るまでの範囲内において、コアの幅の変化に伴う損失を抑制することができる。
【0157】
また、第3分岐部B3は、第5コアC5と、第6コアC6と、を有する。第5コアC5は、第2整流部M2の一端と第5入出射面P5とを接続している。第6コアC6は、第2整流部M2の一端と第6入出射面P6とを接続している。
【0158】
第4分岐部B4は、第7コアC7と、第8コアC8と、を有する。第7コアC7は、第2整流部M2の他端と第7入出射面P7とを接続している。第8コアC8は、第2整流部M2の他端と第8入出射面P8とを接続している。
また、第2整流部M2の長さLM2の中間における幅をWM2とする。
【0159】
第2整流部M2と第3分岐部B3との接続部における第5コアC5の幅をWC5とし、第2整流部M2と第3分岐部B3との接続部における第6コアC6の幅をWC6とし、第2整流部M2と第4分岐部B4との接続部における第7コアC7の幅をWC7とし、第2整流部M2と第4分岐部B4との接続部における第8コアC8の幅をWC8とする。
【0160】
このとき、光導波路1は、下記式(6)、(7)で表される関係を満たすことが好ましい。
【0161】
0.9×(WC5+WC6)≦WM2≦1.1×(WC5+WC6) … (6)
0.9×(WC7+WC8)≦WM2≦1.1×(WC7+WC8) … (7)
【0162】
また、第5入出射面P5の幅をWP5とし、第6入出射面P6の幅をWP6とし、第7入出射面P7の幅をWP7とし、第8入出射面P8の幅をWP8とする。
【0163】
このとき、光導波路1は、下記式(8)、式(9)および式(10)で表される関係を満たすことが好ましい。
【0164】
WA=WP5=WP7 … (8)
WB=WP6=WP8 … (9)
0.9×(WA+WB)≦WM2≦1.1×(WA+WB) … (10)
【0165】
このような光導波路1では、第2整流部M2から第5入出射面P5および第6入出射面P6に至るまでの範囲内、ならびに、第2整流部M2から第7入出射面P7および第8入出射面P8に至るまでの範囲内において、コアの幅の変化に伴う損失を抑制することができる。
【0166】
また、第1整流部M1の長さLM1、長さLM1の中間における幅をWM1とし、第2整流部M2の長さLM2、長さLM2の中間における幅をWM2とするとき、光導波路1は、下記式(11)および式(12)を満たすことが好ましい。
【0167】
100×WM1≦LM1 … (11)
100×WM2≦LM2 … (12)
【0168】
このような光導波路1では、目的とする分配比で光信号を分配することができる。
また、第1分岐部B1の線形状と第3分岐部B3の線形状との間、および、第2分岐部B2の線形状と第4分岐部B4の線形状との間には、それぞれ、第1直線L1を対称軸とする線対称の関係が成り立っていることが好ましい。
【0169】
また、第1分岐部B1の線形状と第2分岐部B2の線形状との間、および、第3分岐部B3の線形状と第4分岐部B4の線形状との間には、それぞれ、第2直線L2を対称軸とする線対称の関係が成り立っていることが好ましい。
【0170】
このような光導波路1では、第1直線L1または第2直線L2を回転軸として180°回転(反転)させたとしても、各分岐部の線形状に変化がない。このような光導波路1では、光ファイバー同士の接続作業に供されるとき、第1直線L1または第2直線L2を回転軸とした反転を気にする必要がない。したがって、このような光導波路1は、接続作業や光接続部品の組み立て作業において、作業者の負担を軽減できる。
【0171】
また、光導波路1は、コア層13と、第1クラッド層11と、第2クラッド層12と、を備える積層体16で構成されていることが好ましい。コア層13は、第1コアパターンCP1および第2コアパターンCP2を含む。第1クラッド層11は、コア層13の一方の面に積層されている。第2クラッド層12は、コア層13の他方の面に積層されている。
【0172】
積層体16は、積層構造を有するため、製造が比較的容易である。また、コア層13を第1クラッド層11および第2クラッド層12で挟んでいるため、界面の屈折率差が安定する。このため、伝送損失の少ないコア部14を含むコア層13を形成することができる。
【0173】
また、積層体16は、X-Y面(平面)に平行でコア層13の厚さの中間を通過する面Fについて面対称の関係を有することが好ましい。
【0174】
積層体16で構成された光導波路1では、第1直線L1または第2直線L2を回転軸として180°回転させたとしても、光導波路1の厚さ方向における入出射面の位置に変化がない。このため、このような光導波路1では、光ファイバー同士の接続作業に供されるとき、第1直線L1または第2直線L2を回転軸とした反転を気にする必要がない。したがって、このような光導波路1は、接続作業や光接続部品の組み立て作業において、作業者の負担を軽減できる。
【0175】
また、積層体16は、樹脂材料で構成されていることが好ましい。これにより、耐衝撃性および取り扱いの容易性に優れる光導波路1が得られる。
【0176】
実施形態に係る光配線部品20は、光導波路1と、ハウジング3と、第1接続部83と、第2接続部93と、を備える。
【0177】
ハウジング3は、光導波路1を収容する。第1接続部83は、第1入出射面P1および第2入出射面P2の少なくとも一方と第1A光ファイバーF1Aとを接続し、かつ、第5入出射面P5および第6入出射面P6の少なくとも一方と第2A光ファイバーF2Aとを接続する。第2接続部93は、第3入出射面P3および第4入出射面P4と第1B光ファイバーF1Bとを接続し、かつ、第7入出射面P7および第8入出射面P8と第2B光ファイバーF2Bとを接続する。
【0178】
このような光配線部品20では、光導波路1の姿勢の自由度が高いことから、光導波路1をハウジング3に収容する組み立て作業や組み立て後の部品を光ファイバーと接続する接続作業において、作業者の負担を軽減することができる。
【0179】
また、光配線部品10は、さらに、第1A光ファイバーF1Aと、第1B光ファイバーF1Bと、第2A光ファイバーF2Aと、第2B光ファイバーF2Bと、1つまたは2つの第1発光部(第1送信部T1)と、2つの第1受光部(第2受信部R2および第3受信部R3)と、2つの第2発光部(第2送信部T2および第3送信部T3)と、1つまたは2つの第2受光部(第1受信部R1)と、を備える。
【0180】
第1発光部(第1送信部T1)は、第1A光ファイバーF1Aを介して第1コアパターンCP1に光(光信号S2)を入射させる。第1受光部(第2受信部R2および第3受信部R3)は、第1B光ファイバーF1Bを介して第1コアパターンCP1から射出される光(光信号S3、S4)を受光する。第2発光部(第2送信部T2および第3送信部T3)は、第2B光ファイバーF2Bを介して第2コアパターンCP2に光(光信号S8、S7)を入射させる。第2受光部(第1受信部R1)は、第2A光ファイバーF2Aを介して第2コアパターンCP2から射出される光(光信号S6)を受光する。
【0181】
このような光配線部品10では、光導波路1の姿勢の自由度が高い、つまり、接続時の光導波路1の姿勢に対する制約が少ないことから、光導波路1を光ファイバーと接続する接続作業において、作業者の負担を軽減することができる。
【0182】
以上、本発明の光導波路および光配線部品を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されない。例えば、本発明の光導波路および光配線部品は、前記実施形態の各部が同様の機能を有する任意の構成に置換されてもよく、前記実施形態に任意の構成物が付加されてもよい。また、各分岐部では、3つ以上に分岐していてもよい。さらに、前記実施形態の各分岐部で整流部が2つのコアに分岐しているが、分岐後のコアがさらに2つ以上に分岐するように構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0183】
本発明によれば、接続作業や組み立て作業の負担を軽減することができ、かつ、接続される機器の構造の簡略化に寄与できる光導波路および光配線部品が得られる。したがって、本発明は、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0184】
1 光導波路
2 フェルール付き光導波路
3 ハウジング
10 光配線部品
11 第1クラッド層
12 第2クラッド層
13 コア層
14 コア部
15 側面クラッド部
16 積層体
18 第1支持層
19 第2支持層
20 光配線部品
24 フェルール
26 フェルール
31 光導波路収容体
32 光導波路収容体
81 ファイバーリボン
82 フェルール
83 第1接続部
91 ファイバーリボン
92 フェルール
93 第2接続部
830 部品
930 部品
B1 第1分岐部
B2 第2分岐部
B3 第3分岐部
B4 第4分岐部
C1 第1コア
C2 第2コア
C3 第3コア
C4 第4コア
C5 第5コア
C6 第6コア
C7 第7コア
C8 第8コア
CP1 第1コアパターン
CP2 第2コアパターン
E1 第1電子機器
E2 第2電子機器
E3 第3電子機器
F 面
F1A 第1A光ファイバー
F1B 第1B光ファイバー
F2A 第2A光ファイバー
F2B 第2B光ファイバー
L1 第1直線
L2 第2直線
M1 第1整流部
M2 第2整流部
P1 第1入出射面
P2 第2入出射面
P3 第3入出射面
P4 第4入出射面
P5 第5入出射面
P6 第6入出射面
P7 第7入出射面
P8 第8入出射面
R1 第1受信部
R2 第2受信部
R3 第3受信部
S2 光信号
S3 光信号
S4 光信号
S5 光信号
S6 光信号
S7 光信号
S8 光信号
T1 第1送信部
T2 第2送信部
T3 第3送信部
LM1 長さ
LM2 長さ
WC1 幅
WC2 幅
WC3 幅
WC4 幅
WC5 幅
WC6 幅
WC7 幅
WC8 幅
WM1 幅
WM2 幅
WP1 幅
WP2 幅
WP3 幅
WP4 幅
WP5 幅
WP6 幅
WP7 幅
WP8 幅
【要約】
本発明の光導波路は、第1コアパターンおよび第2コアパターンを含み、第1コアパターンは、第1コアパターンの一端に設けられた第1入出射面および第2入出射面と、第1コアパターンの他端に設けられた第3入出射面および第4入出射面と、第1整流部と、第1分岐部と、第2分岐部と、を備え、第2コアパターンは、第2コアパターンの一端に設けられた第5入出射面および第6入出射面と、第2コアパターンの他端に設けられた第7入出射面および第8入出射面と、第2整流部と、第3分岐部と、第4分岐部と、を備え、第1~第4入出射面と第5~第8入出射面との間には、第1直線を対称軸とする線対称の関係が成り立っており、第1入出射面および第3入出射面と第2入出射面および第4入出射面との間、ならびに、第5入出射面および第7入出射面と第6入出射面および第8入出射面との間には、第2直線を対称軸とする線対称の関係が成り立っている。