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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】シャボン玉器具及びシャボン玉生成方法
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/28 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
A63H33/28 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024074261
(22)【出願日】2024-05-01
【審査請求日】2024-05-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504461194
【氏名又は名称】飯島 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100135149
【弁理士】
【氏名又は名称】岡沢 理華
(72)【発明者】
【氏名】飯島 弥生
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-078561(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0440556(KR,Y1)
【文献】実開昭57-037000(JP,U)
【文献】(3)多重うちわ型,[online],2017年08月03日,<URL:http://ww8.tiki.ne.jp/~takam/syabo/ken/dogu/dogu3.htm>,2024年6月11日検索
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にリング部を具備するシャフトを備える複数のシャボン玉生成部材により構成され、
各前記シャボン玉生成部材の各前記シャフトの他端をまとめて把持する把持部、を備え、
各前記シャボン玉生成部材の各前記シャフトは可撓性を有し、
各前記シャボン玉生成部材の各前記リング部の大きさは互いに異なり、
一の前記シャボン玉生成部材の前記リング部を含む面と、他の前記シャボン玉生成部材の前記リング部を含む面が、互いに間隔を開けて角度を有して位置し、
前記リング部の一部をシャボン玉液を入れた皿底に当接させた状態で、前記把持部にて各前記シャフトに力を加えることにより、前記リング部の一部を支点として、各前記シャフトが撓り、前記一のシャボン玉生成部材の前記リング部を含む面と、前記他のシャボン玉生成部材の前記リング部を含む面と、が重なり略同一面となり、各前記リング部全体がシャボン玉液につかり、力を加えることを停止すると、各前記シャフトが元の形状に戻り、各前記リング部にシャボン玉液を付着させることを特徴とするシャボン玉器具。
【請求項2】
前記一のシャボン玉生成部材の前記リング部を含む面と、前記他のシャボン玉生成部材の前記リング部を含む面と、が重なり略同一面となる際に、前記一のシャボン玉生成部材の前記リング部の内側領域に、前記他のシャボン玉生成部材の前記リング部が位置して、各前記面が略同一面となることを特徴とする請求項1に記載のシャボン玉器具。
【請求項3】
リング部を備えるアタッチメントを、前記シャボン玉生成部材に着脱可能に備え、
前記アタッチメントの前記リング部の大きさは、各前記シャボン玉生成部材の各前記リング部の大きさと互いに異なり、
前記アタッチメントを前記シャボン玉生成部材に装着した状態において、前記アタッチメントの前記リング部を含む面は、当該アタッチメントが装着された前記シャボン玉生成部材の前記リング部を含む面と、互いに間隔を開けて角度を有して位置することを特徴とする請求項1又は2に記載のシャボン玉器具。
【請求項4】
シャボン玉器具によるシャボン玉生成方法において、
前記シャボン玉器具は、
一端にリング部を具備するシャフトを備える複数のシャボン玉生成部材と、
各前記シャボン玉生成部材の各前記シャフトの他端をまとめて把持する把持部を備え、
各前記シャボン玉生成部材の各前記シャフトは可撓性を有し、
各前記シャボン玉生成部材の各前記リング部の大きさは互いに異なり、
一の前記シャボン玉生成部材の前記リング部を含む面と、他の前記シャボン玉生成部材の前記リング部を含む面が、互いに間隔を開けて角度を有して位置するよう構成されており、
前記リング部の一部をシャボン玉液を入れた皿底に当接させた状態で、前記把持部にて各前記シャフトに力を加えることにより、各前記シャフトが撓り、前記一のシャボン玉生成部材の前記リング部を含む面と、前記他のシャボン玉生成部材の前記リング部を含む面と、が重なり略同一面となり、各前記リング部全体がシャボン玉液につかり、力を加えることを停止することにより、各前記シャフトが元の形状に戻り、各前記リング部にシャボン玉液を付着させることを特徴とするシャボン玉生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャボン玉を生成するシャボン玉器具及びシャボン玉生成方法に関し、特に、容易に綺麗な多重シャボン玉を生成することができるシャボン玉器具及びシャボン玉生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シャボン玉を生成することができるシャボン玉玩具が広く知られているが、その中でも、一つのシャボン玉の中に一つ又は複数のシャボン玉を生成する、いわゆる多重、複合シャボン玉を生成することができるシャボン玉玩具がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、それぞれ大きさの異なる環状のリングを備えた複数のシャボン玉部材から構成され、各シャボン玉部材をリング同士が平行になるよう間隔をあけて連結させて使用する「多重シャボン玉が簡単にできる器具」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3225426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シャボン玉を作るには、リング部分をシャボン玉液に浸して当該リング部分にシャボン玉液を膜状に付着させる必要がある。
特許文献1に記載の器具では、複数のシャボン玉部材を横方向に連結させた状態で各リング部分にシャボン液を付けなければならない。そのため各リング部分が収まる、例えばバケツ様の容器にシャボン玉液を準備し、シャボン玉液中にリング部分を浸して使用することとなり、大量のシャボン玉液が必要になる。3重、4重と連結するシャボン玉部材が増えるほど、平行に配置された各リング部分にシャボン玉液を浸すために、シャボン玉液の容器を横方向に大きくする必要があり、さらに大量のシャボン玉液が必要になる。
【0006】
シャボン玉液をできるだけ少なくするために、例えば、リング部分が収まる縦長の容器を用意することも考えられる。この場合、リング部分全体を縦長の容器に差し込んでシャボン玉液をリング部分に付着させる。しかし、シャボン玉を作って遊んでいるうちに、シャボン液は徐々に減っていき、液面が下がる。リング部分全体をシャボン玉液に浸すために、シャボン玉液は一定の液面を保たなければならず、何度もシャボン玉液を補充しなければならない。また、各リング部分に一つ一つ順番に液体を付着させることも考えられるが、手間も時間もかかる。
【0007】
さらにまた、特許文献1に記載の器具の場合、リング同士が平行に保たれているため、大きいリングと小さいリングの外周同士の間にもシャボン玉液の膜が張ってしまい、シャボン玉液が全体として円錐台形状となることがある。この状態で空気を送ると、団子やイモムシのような形状の連結したシャボン玉ができてしまい、シャボン玉の中にシャボン玉が入った多重のシャボン玉を作ることはできない。
【0008】
また、出願人による実験において、リング同士が同一面上にある場合にも、同様に、連結したシャボン玉ができてしまい、多重のシャボン玉を作ることはできないことが分かっている。
【0009】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、大量のシャボン玉液を必要とせず、かつ、シャボン玉液の頻回な補充も必要とせず、比較的少量のシャボン玉液を使用して、一回の動作でリング部分にのみシャボン玉液を付着させることができ、誰でも容易に多重シャボン玉を作ることができるシャボン玉生成器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のシャボン玉器具は、一端にリング部(12、22)を具備するシャフト(11、21)を備える複数のシャボン玉生成部材(10、20)により構成され、各前記シャボン玉生成部材(10、20)の各前記シャフト(11、21)の他端をまとめて把持する把持部(50)、を備え、各前記シャボン玉生成部材(10、20)の各前記シャフト(11、21)は可撓性を有し、各前記シャボン玉生成部材(10、20)の各前記リング部(12、22)の大きさは互いに異なり、一の前記シャボン玉生成部材(10)の前記リング部(12)を含む面と、他の前記シャボン玉生成部材(20)の前記リング部(22)を含む面が、互いに間隔を開けて角度を有して位置し、前記リング部(12、22)の一部をシャボン玉液を入れた皿底に当接させた状態で、前記把持部(50)にて各前記シャフト(11、21)に力を加えることにより、前記リング部(12、22)の一部を支点として、各前記シャフト(11、21)が撓り、前記一のシャボン玉生成部材(10)の前記リング部(12)を含む面と、前記他のシャボン玉生成部材(20)の前記リング部(22)を含む面と、が重なり略同一面となり、各前記リング部(12、22)全体がシャボン玉液につかり、力を加えることを停止すると、各前記シャフト(11、21)が元の形状に戻り、各前記リング部(12、22)にシャボン玉液を付着させることを特徴とする。
【0012】
前記一のシャボン玉生成部材(10)の前記リング部(12)を含む面と、前記他のシャボン玉生成部材(20)の前記リング部(22)を含む面と、が重なり略同一面となる際に、前記一のシャボン玉生成部材(10)の前記リング部(12)の内側領域に、前記他のシャボン玉生成部材(20)の前記リング部(22)が位置して、各前記面が略同一面となるよう構成してもよい。
【0013】
リング部(72)を備えるアタッチメント(70)を、前記シャボン玉生成部材に着脱可能に備え、前記アタッチメントの前記リング部(72)の大きさは、各前記シャボン玉生成部材(10、20)の各前記リング部(12、22)の大きさと互いに異なり、前記アタッチメントを前記シャボン玉生成部材に装着した状態において、前記アタッチメントの前記リング部(72)を含む面は、当該アタッチメントが装着された前記シャボン玉生成部材の前記リング部を含む面と、互いに間隔を開けて角度を有して位置するよう構成してもよい。
【0014】
本発明のシャボン玉生成方法は、シャボン玉器具(100)によるシャボン玉生成方法において、前記シャボン玉器具100は、一端にリング部(12、22)を具備するシャフト(11、21)を備える複数のシャボン玉生成部材(10、20)と、各前記シャボン玉生成部材(10、20)の各前記シャフト(11、21)の他端をまとめて把持する把持部(50)を備え、各前記シャボン玉生成部材(10、20)の各前記シャフト(11、21)は可撓性を有し、各前記シャボン玉生成部材(10、20)の各前記リング部(12、22)の大きさは互いに異なり、一の前記シャボン玉生成部材(10)の前記リング部(12)を含む面と、他の前記シャボン玉生成部材(20)の前記リング部(22)を含む面が、互いに間隔を開けて角度を有して位置するよう構成されており、前記リング部(12、22)の一部をシャボン玉液を入れた皿底に当接させた状態で、前記把持部にて各前記シャフト(11、21)に力を加えることにより、各前記シャフト(11、21)が撓り、前記一のシャボン玉生成部材(10)の前記リング部(12)を含む面と、前記他のシャボン玉生成部材(20)の前記リング部(22)を含む面と、が重なり略同一面となり、各前記リング部(12、22)全体がシャボン玉液につかり、力を加えることを停止することにより、各前記シャフト(11、21)が元の形状に戻り、各前記リング部(12、22)にシャボン玉液を付着させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシャボン玉器具及びシャボン玉生成方法によれば、大量のシャボン玉液を必要とせず、かつ、シャボン玉液の頻回な補充も必要とせず、比較的少量のシャボン玉液で多重シャボン玉を作ることができる。また、一回の動作で、かつ、片手で、シャボン玉液を付着させることができ、誰でも容易に多重シャボン玉を作ることができる。さらに、各シャボン玉を生成するリング部とリング部の外周同士の間のシャボン玉液の膜張りを防いで、シャボン玉液が全体として円錐台形状となることを防止して、リング部分にのみシャボン玉液を付着させることができるので、綺麗な多重シャボン玉を安定的に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るシャボン玉器具100の側面図である。
図2】シャボン玉器具100の概略斜視図である。
図3】リング部12、22をシャボン玉液につけた状態を示す説明図である。
図4】リング部12、22をシャボン玉液につける様子を示す説明図である。
図5】シャボン玉器具200の側面図である。
図6】シャボン玉器具300の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その効果を奏する限りにおいて種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。また、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするために、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係るシャボン玉器具100の側面図である。図2はシャボン玉器具100の概略斜視図である。
本発明のシャボン玉器具100は、一端にリング部12、22を具備するシャフト11、21を備える複数のシャボン玉生成部材10、20により構成され、各前記シャボン玉生成部材10、20の各前記シャフト11、21は可撓性を有し、各前記シャボン玉生成部材10、20の各前記リング部12、22の大きさは互いに異なり、一の前記シャボン玉生成部材10の前記リング部12を含む面と、他の前記シャボン玉生成部材20の前記リング部22を含む面が、互いに間隔を開けて角度を有して位置し、前記リング部12、22の一部を支点として、各前記シャフト11、21が撓ることにより、前記一のシャボン玉生成部材10の前記リング部12を含む面と、前記他のシャボン玉生成部材20の前記リング部22を含む面と、が重なり略同一面となることを必須の構成とする。
【0019】
本実施形態のシャボン玉器具100は、2つのシャボン玉生成部材10、20と、把持部50を備える。
一のシャボン玉生成部材の一例であるシャボン玉生成部材10は、一端にリング部12を具備するシャフト11を備える。
シャフト11は、可撓性を有する材料により構成される。例えば、釣り竿に使用されるグラファィトやカーボン製のパイプ材、密着コイルバネなど、力を加えていないときには元の形状に戻る形状記憶素材を使用することが好ましい。
【0020】
リング部12は、シャボン玉液を膜状に保持するためのものである。シャボン玉液に対して耐性があれば、例えば、金属、アルミ等の非鉄金属、樹脂、木材、竹材、布材等どのような材質であってもよい。なお、シャボン玉液の膜の保持力を高めるため、リング外周に布を巻いてシャボン玉液を保持しやすくしてもよい。針金等よりなる芯材の表面にタコ糸を巻き付けて構成してもよい。リング表面に凹凸や極小突起を形成してもよい。なお、本実施形態のシャボン玉器具100の例では、リング部12を環状(丸形)で図示したが、毛細管現象にてシャボン玉液を保持できれば形状は問わない。四角形でも三角形でも月形形状でもどのような形状でもよい。
【0021】
他のシャボン玉生成部材の一例であるシャボン玉生成部材20は、一端にリング部22を具備するシャフト21を備える。なお、シャフト21についてシャフト11と同様の構成については説明を省略する。リング部22についてリング部12と同様の構成については説明を省略する。
【0022】
シャボン玉生成部材10のリング部12の大きさと、シャボン玉生成部材20のリング部22の大きさは互いに異なる。本実施形態においては、リング部22の大きさはリング部12より小さい。
【0023】
把持部50は、操作者が当該把持部50を把持してシャボン玉器具100を操作するためのものである。シャボン玉生成部材10、20の各シャフト11、21の他端をまとめて把持することができるよう構成している。
【0024】
リング部12、22にシャボン玉液をつける前、つけ終わった後、空気を送りシャボン玉を生成する際、すなわち、シャフト11、21に外力が加わらない状態において、シャボン玉生成部材10のリング部12を含む面と、シャボン玉生成部材20のリング部22を含む面は、互いに間隔を開けて角度を有して位置する。
【0025】
把持部50から延びるシャフト11とシャフト21が所定角度以上離れた状態を保つよう、シャフト11とシャフト21の間の部分60に付勢部材を備えてもよい。所定角度は、例えば、15度乃至30度程度であることが好ましい。なお、当該所定角度はシャボン玉液の材料、シャフト11、21及びリング部12、22の使用材料、シャフト11、21の可撓度合い、部分60に付勢部材がある場合には当該付勢部材の使用材料などに応じて、リング部12とリング部22外周同士の間に膜が張り円錐台形状の膜が持続してしまうことが無いような角度で、かつ、各リング部12、22で生成されたシャボン玉により多重シャボン玉が綺麗に生成される角度であれば、この範囲に限定されるものではない。付勢部材は、例えば、コイルばね、板ばね、或いは、ゴムやスポンジなどの弾性体でもよい。
【0026】
リング部12、22にシャボン玉液をつける際には、リング部12、22の一部を支点として、シャフト11、21が撓ることにより、シャボン玉生成部材10のリング部12を含む面と、シャボン玉生成部材20のリング部22を含む面が、重なり略同一面となる。より具体的には、シャボン玉生成部材10のリング部12の内側領域に、シャボン玉生成部材20のリング部22が位置して、各面が略同一面となる。なお、このとき、リング部12とリング部22が同心円となることが好ましい。より安定して多重シャボン玉を生成することができるためである。
【0027】
以下、本実施形態におけるシャボン玉器具100によるシャボン玉生成方法について説明する。
図3は、リング部12、22をシャボン玉液につけた状態示す説明図、図4(A)乃至図4(C)は、リング部12、22をシャボン玉液につける様子を示す説明図である。
平らな場所にシャボン玉液を入れた植木鉢の受け皿程度の浅皿を用意する。皿の大きさは、内部にリング部が入る程度の大きさでよく、具体的には大きい方のリング部12の直径より若干大きければよい。
【0028】
図4(A)乃至図4(C)に示す如く、把持部50を操作して、リング部12、22の一部を、シャボン玉液を入れた皿底に当接させた状態で、シャボン玉生成部材20の側からシャボン玉生成部材10の側へ力を加えると、シャフト11、21が撓りリング部12、22をシャボン玉液に浸すことができる。
【0029】
具体的には、まず、皿底に当接するリング部12の一部が支点12aとなりシャフト11が撓り始める(図4(A)、(B))。シャボン玉生成部材20の側からシャボン玉生成部材10の側へさらに力を加えると、さらにシャフト11が撓り、リング部12全体がシャボン玉液に浸り、かつ、リング部22の一部が支点22aとなりシャフト21の撓りが進み、リング部22がシャボン玉液に浸る(図4(C))。図3に示す如く、リング部12の内側領域にリング部22がほぼ収まった状態となって、リング部12、22が共にシャボン玉液に浸る。
なお、リング部22をシャボン玉液に入れる際、図3に示す如く、シャフト21を指で押さえてリング部22のシャボン玉液への浸水を補助するようにしてもよい。
【0030】
次いで、把持部50にてシャボン玉器具100を持ち上げてリング部12、22をシャボン玉液から出す。シャフト11、21に対して力を加えることが停止されるとシャフト11、21は再び元の撓りのない状態(形状)に戻り、再びリング部12、22同士に距離ができる。すなわち、リング部12を含む面とリング部22を含む面は、互いに間隔を開けて角度を有して位置し、図1及び図2に示す状態に戻る。
【0031】
続いて、小さい方のリング部22の側から大きい方のリング部12の側に空気を送り込むことで、各リング部12、22から独立したシャボン玉がそれぞれ生成され、大きい方のリング部12により生成された大きなシャボン玉の中に、小さい方のリング部22により生成された小さなシャボン玉が入った二重のシャボン玉が生成される。
【0032】
なお、シャボン玉液を付着させた直後に、リング部12とリング部22の外周同士の間にシャボン玉液の膜が張って円錐台形状となりかけたとしても、リング部12を含む面とリング部22を含む面の間に距離と角度があるため、リング部12、22が上になるようにシャボン玉器具100を持ち上げるとリング部12とリング部22外周同士の間に膜を張っているシャボン玉液は把持部50の側に下がって垂れ流れていくため膜がはじけ、円錐台形状の膜が持続することはない。なお、リング部12、22が下になるように持った場合も、同様である。すなわち、リング部12とリング部22外周同士の間に膜を張っているシャボン玉液は、リング部の端に垂れ流れていくため膜がはじけ、円錐台形状の膜が持続することはない。
よって、リング部12とリング部22の膜だけが残り、綺麗な二重シャボン玉だけが生成される。
【0033】
本実施形態のシャボン玉器具100によれば、リング部の高さ程度の量のシャボン玉液を浅皿に用意すればよいため、大量のシャボン玉液を必要とせず、かつ、シャボン玉液の頻回な補充も必要とせず、比較的少量のシャボン玉液で多重シャボン玉を作ることができる。また、シャフト11、21を撓らせることにより各リング部12、22にシャボン玉液を付着させることができるため、一回の動作で、かつ、片手で、シャボン玉液を付着させることができ、誰でも容易に多重シャボン玉を作ることができる。
【0034】
さらに、空気を送りシャボン玉を生成する際の、シャボン玉生成部材10のリング部12を含む面と、シャボン玉生成部材20のリング部22を含む面が、互いに平行にならず、角度を有して位置するよう構成したので、リング部12とリング部22の外周同士の間のシャボン玉液の膜張りを防いで、シャボン玉液が全体として円錐台形状となることを防止することができる。リング部分にのみシャボン玉液を付着させることができるので、綺麗な多重シャボン玉を安定的に生成することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、図4(A)乃至図4(C)を用いて、シャボン玉生成部材20の側からシャボン玉生成部材10の側へ力を加えて、最初にリング部12をシャボン玉液につけた付けた例を示したが、シャボン玉生成部材10の側からシャボン玉生成部材20の側へ力を加えて、最初にリング部22をシャボン玉液につけてもよい。リング部12、22が共にシャボン玉液につかればよい。
【0036】
また、本実施形態においては、シャボン玉生成部材10はシャフト11を2本備え、シャボン玉生成部材20はシャフト21を1本備えた構成としたが、シャボン玉生成部材を構成するシャフトの数は限定されるものではない。シャフトを撓らせてリング部を皿内のシャボン玉液に浸すことができればよく、シャフト及びリング部の使用材料、シャフトの可撓度合い、操作性等に応じて適宜調整する。
【0037】
シャボン玉生成部材10、20は、シャボン玉器具100に着脱可能に構成してもよい。例えば、把持部50においてシャフト11、21を抜き差し可能に構成すればよい。
【0038】
多重シャボン玉を生成する際のシャボン玉器具100の使用法は、操作者が把持部50を握り小さい方のリング部22の側から大きい方のリング部12の側に息を吹きかけてもよく、或いは、操作者が把持部50を握り、風の流れを考慮しつつ、小さい方のリング部22の側から大きい方のリング部12の側に空気が吹き込まれるような方向へシャボン玉器具100を弧を描くように振りながら動かすなどして使用してもよい。
【0039】
上述した実施形態では、2つのシャボン玉生成部材10、20を用いて、二重シャボン玉を作成した場合を例に説明したが、さらにシャボン玉生成部材を備えれば、三重以上のシャボン玉を生成することもできる。
図5は、三重のシャボン玉を生成するためのシャボン玉器具200の側面図である。
【0040】
シャボン玉器具200は、3つのシャボン玉生成部材10、20、30を含んで構成される。シャボン玉生成部材10、20の構成はシャボン玉器具100の構成と同様のため説明を省略する。
【0041】
シャボン玉生成部材30は、他のシャボン玉生成部材の一例であり、一端にリング部32を具備するシャフト31を備える。なお、シャフト31についてシャフト11と同様の構成については説明を省略する。リング部32についてリング部12と同様の構成については説明を省略する。
【0042】
把持部50は、シャボン玉生成部材10、20、30の各シャフト11、21、31の他端をまとめて把持している。
シャボン玉生成部材10のリング部12の大きさと、シャボン玉生成部材20のリング部22の大きさと、シャボン玉生成部材30のリング部32の大きさは互いに異なる。図5の例では、リング部22の大きさはリング部12より小さく、リング部32の大きさはリング部22より小さい。
【0043】
リング部12、22、32にシャボン玉液を付ける際には、リング部12、22、32の一部を支点として、シャフト11、21、31が撓ることにより、シャボン玉生成部材10のリング部12を含む面と、シャボン玉生成部材20のリング部22を含む面と、シャボン玉生成部材30のリング部32を含む面が、重なり略同一面となる。
【0044】
リング部22内にリング部32がほぼ収まった状態、かつ、リング部12内にリング部22がほぼ収まった状態となって、リング部12、22、32が全てシャボン玉液につかる。リング部12、22、32をシャボン玉液につける様子は、図4(A)乃至図4(C)を用いて説明したシャボン玉器具100の動作と同様のため詳細な説明を省略する。
【0045】
シャボン玉器具200を持ち上げてリング部12、22、32をシャボン玉液から出すと、シャフト11、21、31は再び元の撓りのない状態に戻り、再びリング部12、22、32同士に距離ができる。すなわち、リング部12を含む面と、リング部22を含む面と、リング部32を含む面は、互いに間隔を開けて角度を有して位置し、図5に示す状態に戻る。
【0046】
続いて、小さい方のリング部32の側から大きい方のリング部12の側に空気を送り込むことで、各リング部12、22、32から独立したシャボン玉がそれぞれ生成され、一番大きいリング部12により生成された一番大きなシャボン玉の中に、二番目に大きいリング部22により生成された二番目に大きなシャボン玉が入り、さらに、当該二番目に大きなシャボン玉の中に一番小さなリング部32により生成された一番小さなシャボン玉が入った三重のシャボン玉が生成される。
【0047】
シャボン玉生成部材10、20、30を着脱可能に構成すれば、重ねるシャボン玉の数や大きさを変更することができ、シャボン玉の遊び方の幅が広がる。例えば、把持部50においてシャフト11、21、31を抜き差し可能に構成した場合には、シャフト11、21、31を抜き差しするだけで、簡単にシャボン玉生成部材10、20、30を着脱することができ、遊びながらシャボン玉の重なる数、シャボン玉の大きさなどを変更できる。
【0048】
(応用例)
任意のシャボン玉生成部材に、アタッチメントを着脱可能に備えてもよい。
図6はシャボン玉器具300の側面図である。シャボン玉器具300は、上述したシャボン玉器具100のシャボン玉生成部材20にアタッチメント70を備えた構成である。
【0049】
アタッチメント70は、シャフト71の一端にシャボン玉液を膜状に保持するためのリング部72を備える。
同図の例では、シャボン玉生成部材20のアタッチメント取り付け部81に、シャフト71を着脱可能に取り付けた。
リング部72の大きさはリング部22より小さい。リング部72についてリング部12、22と同様の構成については説明を省略する。
【0050】
アタッチメント70をシャボン玉生成部材20に装着した状態において、シャボン玉生成部材20のリング部22を含む面と、アタッチメント70のリング部72を含む面は、互いに間隔を開けて角度を有して位置するよう構成した。
【0051】
アタッチメント70のシャフト71が可撓性を有する材料により構成されている場合、リング部12、22、72にシャボン玉液を付ける際には、リング部12、22、72の一部を支点として、シャフト11、21、71が撓ることにより、リング部12を含む面と、リング部22を含む面と、リング部72を含む面が、重なり略同一面となる。リング部22内にリング部72がほぼ収まった状態、かつ、リング部12内にリング部22がほぼ収まった状態となって、リング部12、22、72が全てシャボン玉液につかる。
【0052】
アタッチメント70のシャフト71が可撓性を有する材料により構成されていない場合、リング部12、22、72にシャボン玉液を付ける際に、シャボン玉生成部材10の側を下にして力を加えても、アタッチメント70は撓らない。従って、アタッチメント70の側を下にして、シャボン玉生成部材20、10の側へ力を加えることにより、リング部22、12の一部を支点として、シャフト11、21が撓り、リング部12を含む面と、リング部22を含む面と、リング部72を含む面が重なり略同一面となって、リング部22内にリング部72がほぼ収まった状態、かつ、リング部12内にリング部22がほぼ収まった状態となって、リング部12、22、72が全てシャボン玉液につかる。
【0053】
或いは、シャボン玉生成部材20のリング部22を含む面と、アタッチメント70のリング部72を含む面の間隔を、少なくとも、シャボン玉液を入れた皿底から液面までの距離より短くなるよう構成してもよい。これにより、どちらの側からシャボン玉液につけた場合であっても、すなわち、シャボン玉生成部材10の側を下にして力を加えた場合であっても、リング部72をシャボン玉液に浸すことができる。
【0054】
各リング部12、22、72にシャボン玉液をつけた後、小さい方のリング部72の側から大きい方のリング部12の側に空気を送り込むことで、各リング部12、22、72から独立したシャボン玉がそれぞれ生成され、一番大きいリング部12により生成された一番大きなシャボン玉の中に、二番目に大きいリング部22により生成された二番目に大きなシャボン玉が入り、さらに、当該二番目に大きなシャボン玉の中に一番小さなリング部72により生成された一番小さなシャボン玉が入った三重のシャボン玉が生成される。
【0055】
なお、図6の例では、リング部22がリング部12とリング部72の間に位置するようアタッチメント70をシャボン玉生成部材20に備えた例について説明したが、リング部72がリング部12とリング部22の間に位置するように、アタッチメント70を備えてもよい。例えば、リング部72がリング部12とリング部22の間に位置する場合、当該リング部72の大きさは、リング部12より小さく、リング部22より大きくなるよう構成する。
【0056】
また、アタッチメント70をシャボン玉生成部材10に装着してもよい。アタッチメント70を、例えば、リング部72がリング部12とリング部22の間に位置するようシャボン玉生成部材10に装着する場合には、当該リング部72の大きさは、リング部12より小さく、リング部22より大きくなるよう構成する。或いは、アタッチメント70を、例えば、リング部12がリング部72とリング部22の間に位置するようシャボン玉生成部材10に装着してもよい。この場合もリング部72の大きさは、各リング部22、12、72が順に大きくなるよう構成する。
【0057】
なお、シャボン玉器具100、200、300の大きさは問わない。比較的大きな、例えば、全長50cm~100cm程度の大きさのシャボン玉器具100、200、300によれば、広い場所で大きな多重シャボン玉を生成して楽しむことができる。また、例えば、小さい子どもでも容易に扱うことがでる程度の全長15cm~30cm程度の大きさのシャボン玉器具100、200、300によれば、手元でコンパクトなサイズの多重シャボン玉を生成することができる。
【0058】
本発明の適用範囲は上述した構成に限定されることはない。3以上のシャボン玉生成部材を備えてもよい。本発明は、多重シャボン玉を生成することができるシャボン玉器具及びシャボン玉生成方法に対し、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
100、200、300 シャボン玉器具
50 把持部
10、20、30 シャボン玉生成部材
11、21、31 シャフト
12、22、32 リング部
12a、22a 支点
70 アタッチメント
71 シャフト
72 リング部
【要約】      (修正有)
【課題】容易に綺麗な多重シャボン玉を生成することができるシャボン玉器具及びシャボン玉生成方法を提供する。
【解決手段】一端にリング部12、22を具備するシャフト11、21を備える複数のシャボン玉生成部材10、20により構成される。各前記シャボン玉生成部材10、20の各前記シャフトは可撓性を有し、各前記シャボン玉生成部材10、20の各前記リング部の大きさは互いに異なり、一の前記シャボン玉生成部材の前記リング部を含む面と、他の前記シャボン玉生成部材20の前記リング部を含む面が、互いに間隔を開けて角度を有して位置し、前記リング部の一部を支点として、各前記シャフトが撓ることにより、前記一のシャボン玉生成部材10の前記リング部を含む面と、前記他のシャボン玉生成部材20の前記リング部を含む面と、が重なり略同一面となり、元の形状に戻るとリング部12、22のみに膜を張ることができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6