(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】コンクリートブロックの製造方法
(51)【国際特許分類】
B28B 7/10 20060101AFI20240903BHJP
B28B 7/00 20060101ALI20240903BHJP
B28B 1/16 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B28B7/10 A
B28B7/00 D
B28B7/00 B
B28B1/16
(21)【出願番号】P 2022201509
(22)【出願日】2022-12-16
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】511124862
【氏名又は名称】株式会社総合開発
(73)【特許権者】
【識別番号】721003931
【氏名又は名称】株式会社ヤマウ
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田島 勉
(72)【発明者】
【氏名】葛西 博文
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-188714(JP,A)
【文献】特開2008-074033(JP,A)
【文献】特開2014-173399(JP,A)
【文献】特開2004-210487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 1/00-23/22
B66C 1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と周囲の側板で囲まれ上面が開放されている型枠にインサートを取付けるインサート固定工程、
前記型枠にブロック原材料を投入する原材料投入工程、
型板を用いて加圧しブロック原材料を成型する成型工程、
前記型板を前記型枠から離脱させる型板離脱工程、
前記型枠をパレットに載せ反転させる反転工程、
前記型枠から前記パレットを下降させて成型済みコンクリート製品を抜き取る脱型工程、を順に実行する製法であって、
前記インサート固定工程では、開放面を上に向けて設置した型枠の底板に
、底付き円筒形の部材であるインサート固定治具を
固定し、該インサート固定治具
の内部空洞に
前記インサートを上向きにして該インサートの下部を挿入
し、挿入された状態で該インサートの先端は上向きになり、かつ前記成型済みコンクリート製品の上面と面一に位置させ、
前記脱型工程では、前記型枠の底板に前記インサート固定治具を取付けたままの状態で、成型済みコンクリート製品を、その内部に埋め込まれたインサートと共に前記型枠から離脱させる
ことを特徴とするコンクリートブロックの製造方法
。
【請求項2】
前記ブロック原材料が、生コンクリートであり、
前記コンクリートブロックが、ブロック本体と、該ブロック本体の両側に脚が形成された門型ブロックである
ことを特徴とする請求項
1記載のコンクリートブロックの製造方法。
【請求項3】
前記ブロック原材料が、生コンクリートを用いる基層材料と、ブロック表面用の表層材料とからなり、
前記コンクリートブロックが、前記基層材料を用いて成型したブロック本体と、該ブロック本体の上面に前記表層材料からなる表層を積層した表層付きブロックである
ことを特徴とする請求項
1記載のコンクリートブロックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートブロックの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、吊下げ搬送が容易に行えるコンクリートブロックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートブロックの製法として、特許文献1の従来技術がある。
この従来技術の製法は、コンクリートブロック成形用の凹所が形成され上面が開口している型枠を用い、i:型枠を上向きにして、凹所に生コンクリートを投入するコンクリート投入工程、ii:型枠に投入された生コンクリートの上面に型板を用いて加圧し成型する成型工程、iii:型板を除去した後で、型枠の上面に保護板を固定し、保護板を固定した形態のままで型枠を上下反転させる反転工程、iv:型枠の下方に受台を配置して、受台に未硬化コンクリート品を保護板を敷いた状態で転載し、受台を下降させて未硬化コンクリート品を型枠から下向きに抜き取る脱型工程、v:保護板上の未硬化コンクリート品を移動させたうえで養生硬化させる養生硬化工程からなる各工程を順に実行するものである。
【0003】
上記製法で得られるコンクリートブロックには、輸送や施工現場で吊下げ移動するためには吊具が用いられる。吊具は、コンクリートブロックに埋め込まれるインサートと、インサートに挿脱自在に取付けられる吊環とからなる。インサートに吊環を挿入して係合すれば、吊環にワイヤロープ等を通して移動式クレーン等で吊下げてコンクリートブロックを搬送できる。
【0004】
インサートは、コンクリートブロックに埋め込まれるものであるため上記の製造工程の最初に型枠に取付けられる。具体的には、コンクリート投入工程iにおいて、型枠は上面が開放しており、型枠内の凹所は底板と周囲の側板とで囲まれた状態で使用される。型枠に投入した生コンクリートが硬化すると、コンクリートブロックが得られるが、型枠の底板の上面に対応する面はコンクリートブロックの裏面となる。そして、型枠に予め固定されているピン等の金具にインサートを下向きにして吊環挿入用の空洞を挿入し、インサートの先端を型枠の内壁面に向けて取付ける。そして、生コンクリートを型枠内に投入すると、インサートの周囲に生コンクリートが充満する。
その後、型押し工程ii、反転工程iii、脱型工程iv、および養生硬化工程vを実行すると、インサート付きのコンクリートブロックが得られる。
【0005】
しかるに、上記従来技術の手順により、門型コンクリートブロックを製造した場合は、インサートは型枠の底板に立設されたピン等に下向きに挿入していたので、インサートの先端がブロック本体の裏面で下方に向いた状態で取付けられている。
そうすると、コンクリートブロックを吊下げ移動する際は、
図12に示すようにワイヤロープ7等をコンクリートブロックCBの上から側面に掛け回し、さらにブロック本体b1の裏面に導き、インサート1に取付けられた吊環2に通す作業が必要となる。
したがって、吊下げ移動に、ワイヤロープ7を側面に掛けてから裏面に回す手間が余分にかかり、施工現場での能率を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、吊下げ搬送が容易に行うことができるコンクリートブロックの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明のコンクリートブロックの製造方法は、底板と周囲の側板で囲まれ上面が開放されている型枠にインサートを取付けるインサート固定工程、前記型枠にブロック原材料を投入する原材料投入工程、型板を用いて加圧しブロック原材料を成型する成型工程、前記型板を前記型枠から離脱させる型板離脱工程、前記型枠をパレットに載せ反転させる反転工程、前記型枠から前記パレットを下降させて成型済みコンクリート製品を抜き取る脱型工程、を順に実行する製法であって、前記インサート固定工程では、開放面を上に向けて設置した型枠の底板に、底付き円筒形の部材であるインサート固定治具を固定し、該インサート固定治具の内部空洞に前記インサートを上向きにして該インサートの下部を挿入し、挿入された状態で該インサートの先端は上向きになり、かつ前記成型済みコンクリート製品の上面と面一に位置させ、前記脱型工程では、前記型枠の底板に前記インサート固定治具を取付けたままの状態で、成型済みコンクリート製品を、その内部に埋め込まれたインサートと共に前記型枠から離脱させることを特徴とする。
第2発明のコンクリートブロックの製造方法は、第1発明において、前記ブロック原材料が、生コンクリートであり、前記コンクリートブロックが、ブロック本体と、該ブロック本体の両側に脚が形成された門型ブロックであることを特徴とする。
第3発明のコンクリートブロックの製造方法は、第1発明において、前記ブロック原材料が、生コンクリートを用いる基層材料と、ブロック表面用の表層材料とからなり、前記コンクリートブロックが、前記基層材料を用いて成型したブロック本体と、該ブロック本体の上面に前記表層材料からなる表層を積層した表層付きブロックであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、つぎの効果を奏する。
a)門型コンクリートブロックの製造が完了した状態でインサートは上向きでブロック本体に埋め込まれており、しかもインサートの先端は成型済みコンクリート製品の上面と面一に位置している。このため、ワイヤロープ等をコンクリートブロックの側面に巻き掛けなくても、吊下げることができ、吊下げ搬送の作業能率が高くなる。
b)インサート固定治具は、脱型工程の際に型枠と共にコンクリート中間品から外されるので、手作業で取り外す手間がかからない。
第2発明によれば、門型コンクリートブロックであっても、ワイヤロープ等をコンクリートブロックの側面に巻き掛けなくても吊下げることができ、作業能率が高くなる。
第3発明によれば、ブロック本体と該ブロック本体の上面に積層した表層からなる表層付きブロックであっても、型枠内においてインサートが上向きに取付けられているので、コンクリートブロックの製造が完了した状態でもインサートが上向きでブロック本体に埋め込まれている。このため、ワイヤロープ等をコンクリートブロックの側面に巻き掛けなくても、吊下げることができ、吊下げ搬送の作業能率が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(A)図は本発明の第1実施形態に係る製造方法により得られた第1形態に係るコンクリートブロックCBの断面図、(B)図はその斜視図である。
【
図2】(I)図はインサート固定工程の説明図、(II)図は原材料投入工程の説明図である。
【
図3】(III)図は成型工程の説明図、(IV)図は型板離脱工程の説明図である。
【
図4】(V)図は反転工程の説明図、(VI)図は脱型工程の説明図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る製造方法により得られた第2形態の門型コンクリートブロックCBの断面図である。
【
図6】(A)図は本発明の第2実施形態に係る製造方法により得られた第3形態に係るコンクリートブロックCBの断面図、(B)図はその斜視図である。
【
図7】(I)図はインサート固定工程の説明図、(II)図は原材料投入工程の説明図である。
【
図8】(III)図は成型工程の説明図、(IV)図は型板離脱工程の説明図である。
【
図9】(V)図は反転工程の説明図、(VI)図は脱型工程の説明図である。
【
図10】(A)図はインサート1と吊環2の断面図、(B)図は(A)図に対し直角方向からみた断面図である。
【
図11】(a)はインサート1の平面図、(b)は側面図、(c)はインサート固定治具3の側面図である。
【
図12】従来の製造方法で得た門型コンクリートブロックCBの問題点の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
以下の説明において、製造方法の発明は第1実施形態と第2実施形態に分けて説明する。第1実施形態の製造方法によって得られたコンクリートブロックは、第1形態と第2形態に分けて説明し、第2実施形態の製造方法によって得られたコンクリートブロックは第3形態として説明する。
【0012】
本発明の第1実施形態に係るコンクリートブロックCBの製造方法を
図1~
図4に基づき説明するが、その前にコンクリートブロックの吊下げに用いる吊金具を、
図10および
図11に基づき説明する。吊金具はインサート1と吊環2とからなる。
【0013】
図10の(A)図および(B)図はコンクリートブロックCBの一部の断面を示している。1はインサートでありコンクリートブロックCBの内部に埋め込まれている。インサート1は、概ね筒状の円筒体11の外側に三角形状の回転防止羽根12が付き、円筒体11の内部は空洞13になっている。空洞13の下端部には段差を付けた係止部14が形成されている。
2は吊環であり環21と軸体22を備え、軸体22の下端には係止片23が設けられている。
【0014】
図10の(A)に示すように、インサート1の空洞13内に吊環2の軸体22を挿入し、約90°回転させると、同図(B)に示すように、吊環2の係止片23がインサート1の係止部14の下面を支えるようになる。この状態で吊環2にワイヤロープ等を通すと、コンクリートブロックCBを吊下げて搬送することができる。
【0015】
本発明の製造方法に好適なインサート1の詳細を、
図11に基づき説明する。
平面図(a)および側面図(b)に示すように円筒体11は上部筒11aと下部筒11bが一体に形成されたものである。
上部筒11aの外側には4枚の回転防止羽根12が付いており、下部筒11bは円筒形のままに仕上げられている。空洞13は上部の中径部13aと中間部の小径部13bと下部の大径部13cとからなる。小径部13bと大径部13cの境の肩部は吊環2の係止片23を支える係止部14となっている。
【0016】
図11の(c)はインサート固定治具3を示している。インサート固定治具3はコンクリートブロックCBの製造時にインサート1を型枠4に取付けするための金具である。
このインサート固定治具3の構造は、円筒形の置台31に内部空洞32を形成したもので、内部空洞32はインサート1の下部筒11bを収容して保持できるようになっている。置台31は、型枠4の大きさに合わせ、その長さが短いもの(
図11に図示)や長いもの(
図7に図示)が適宜用いられる。インサート固定治具3の型枠への取付けは、ねじ止め、または溶接止めなど、任意の手段を用いることができる。
【0017】
(製造方法の第1実施形態)
図2~
図4に基づき、コンクリートブロック製造方法の第1実施形態を説明する。
第1実施形態に係る製造方法の対象は、ブロック本体の両側に脚の付いた門型コンクリートブロックである。
また、このコンクリートブロックには、
図11で説明したインサート1とインサート固定治具3が用いられる。
【0018】
I インサート固定工程
図2の(I)に示すように、型枠4は開放面を上に向けて設置されている。型枠4は底板41と、四周を囲む側壁42と、底板41の中央に設けられた台部43とからなる。本明細書では、この台部43を含めて底板41と称することがある。
台部43の上面には、インサート固定治具3がねじ止め等で固定される。インサート固定治具3は、
図11(c)に示すように、底付き円筒形の部材であり、内部空洞32にはインサート1の下端部を収容することができる。そして、インサート固定治具3の内部空洞32にインサート1の下部が挿入されると、インサート1はこの状態で勝手に動かない程度に拘束され上向きに保持される。
【0019】
II コンクリート投入工程
図2の(II)に示すように、型枠4に生コンクリートcを投入する。この生コンクリートは、特許請求の範囲にいうブロック原材料である。型枠4の台部43の左右両側には凹所a1,a2があり、そこに投入された生コンクリートcが硬化すると、コンクリートブロックCBの脚部b2,b2(
図1参照)となる。
型枠4の上方からは型板5が降下してくる。型板5には貫通孔51が形成されている。この貫通孔51の形成位置は、インサート1の設置位置に対応している。
【0020】
III 成型工程
図3の(III)に示すように、型板5で生コンクリートcを加圧しつつ、型枠4全体に振動を加える。この加圧と加振動により生コンクリートcが成型される。この成型作業中に余分な生コンクリートcは貫通孔51から抜け出ていくので、充分な加圧が行える。また、余分な生コンクリートcがインサート1を押し倒すこともなく、当所の設置位置をそのまま保持できる。
【0021】
IV 型板離脱工程
加圧が充分に行えたら、
図3の(IV)に示すように型板5を上昇させて型枠4からの離脱を行う。
【0022】
V 反転工程
型板5を上方に退避させると、
図4の(V)に示すようにパレット6を載せる。その状態で型枠4とパレット6を反転させる(180°回転させる)。
【0023】
VI 脱型工程
図4の(VI)に示すように反転の結果、パレット6がコンクリート中間品(生コンクリートが成型はされたが、充分に硬化してないものをいう。)の下を支えると、パレット6が下方に下がり型枠4からコンクリート中間品を抜き取る。このとき、インサート固定治具3は型枠4に結合したままであり、コンクリート中間品からは外される。
この状態で、インサート1はコンクリート中間品の中に埋め込まれており、その先端は下向きになっている。
【0024】
パレット6上のコンクリート中間品は、製造機械からコンベヤ等で養生区画へ搬送されて養生硬化される。
必要な期間養生すると、コンクリート中間品は、コンクリートブロックCBとして完成する。
【0025】
(コンクリートブロックの第1形態)
上記製造方法によると、
図1に示す門型コンクリートブロックCBが得られる。
図1の(A)図はコンクリートブロックCBの断面を示しており、(B)図は斜め上方から見た姿を示している。
図1(A)に示すように、第1形態の門型コンクリートブロックCBは、ブロック本体b1の両端部の下側に脚部b2,b2がそれぞれ設けられたものである。左右一対の脚部b2,b2の外面はブロック本体b1の外面と面一となっている。
その完成したコンクリートブロックCBは、
図1の(A)に示すように、インサート1が埋め込まれており、インサート1の先端は上向きになっており、かつブロック本体b1の上面と面一に位置している。
【0026】
(コンクリートブロックの第2形態)
上記製造方法によると、
図5に示す門型コンクリートブロックCBも得ることができる。
図5に示す第2形態の門型コンクリートブロックCBは、ブロック本体b1の両端部の下側に一対の脚部b2,b2が設けられている点は
図1(A)のものと共通するが、一対の脚部b2,b2の外面はブロック本体b1の外面より内側に引き込まれている。
【0027】
図1の(B)に示すように、第1形態および第2形態の門型コンクリートブロックCBは、インサート1の先端がブロック本体b1の上面に臨んでいるので、ワイヤロープ7等で吊り上げ作業するときに、吊環2をインサート1に挿入する作業が作業員の下向き作業で行えるので容易であり、かつワイヤロープ7を吊環2に通す作業も容易に行える。換言すれば、ワイヤロープ7をコンクリートブロックCBの横から底面へ掛け回す必要がない。そのうえで、コンクリートブロックCBの天面を上に、脚部b2,b2を下向きにして、吊上げることができるので、施工時の作業性が良くなる。
【0028】
(製造方法の第2実施形態)
つぎに、本発明の第2実施形態に係るコンクリートブロック製造方法を
図7~
図9に基づき説明する。
第2実施形態の製造方法の対象は、ブロック本体の上面に装飾効果のある表層を備える表層付きコンクリートブロックである。
また、このコンクリートブロックにも、
図11で説明したインサート1とインサート固定治具3が用いられる。
【0029】
I インサート固定工程
図7の(I)に示すように、型枠4は開放面を上に向けて設置されている。型枠4は底板41と、四周を囲む側壁42とからなる。
底板41の上面には、インサート固定治具3がねじ止め等で固定される。インサート固定治具3は、底付き円筒形の部材であり、内部空洞32にはインサート1の下端部を収容することができる。そして、インサート固定治具3の内部空洞32にインサート1の下部が挿入されると、インサート1はこの状態で勝手に動かない程度に拘束され上向きに保持される。
【0030】
II コンクリート投入工程
図7の(II)に示すように、型枠4に基層材料としての生コンクリートcを投入し、その上面に表層を構成する表層材料dを投入する。この表層材料は、特許請求の範囲にいうブロック原材料である。表層材料dとしては、特に制限はないが、ポーラスコンクリートなどが用いられる。ポーラスコンクリートは、表面に凹凸による影ができて明度を下げ、施工地周辺の景観になじんだり、空隙に植物や生物の棲み処を提供できるという利点がある。
型枠4の上方からは型板5が降下してくる。型板5には貫通孔51が形成されている。この貫通孔51の形成位置は、インサート1の設置位置に対応している。
【0031】
III 成型工程
図8の(III)に示すように、型板5で表層材料dと生コンクリートcを加圧しつつ、型枠4全体に振動を加える。この加圧と加振動により表層材料dと生コンクリートcが成型される。この成型作業中に余分な表層材料dまたは生コンクリートcは貫通孔51から抜け出ていくので、充分な加圧が行える。また、余分な表層材料dや生コンクリートcがインサート1を押し倒すこともなく、当所の設置位置をそのまま保持できる。
【0032】
IV 型板離脱工程
加圧が充分に行えたら、
図8の(IV)に示すように型板5を上昇させて型枠4からの離脱を行う。
【0033】
V 反転工程
型板5を上方に退避させると、
図9の(V)に示すようにパレット6を載せる。その状態で型枠4とパレット6を反転させる(180°回転させる)。
【0034】
VI 脱型工程
図9の(VI)に示すように反転の結果、パレット6がコンクリート中間品(表層材料dと生コンクリートcが成型はされたが、充分に硬化してないものをいう。)の下を支えると、パレット6が下方に下がり型枠4からコンクリート中間品を抜き取る。このとき、インサート固定治具3は型枠4に結合したままであり、コンクリート中間品からは外される。
この状態で、インサート1はコンクリート中間品の中に埋め込まれており、その先端は下向きになっている。
【0035】
パレット6上のコンクリート中間品は、製造機械からコンベヤ等で養生区画へ搬送されて養生硬化される。
必要な期間養生すると、コンクリート中間品は、表層付きコンクリートブロックCBとして完成する。
【0036】
(コンクリートブロックの第3形態)
上記製法によると、
図6に示す表層付きコンクリートブロックCBが得られる。
図6の(A)図は表層付きコンクリートブロックCBの断面を示しており、(B)図は斜め上方から見た姿を示している。
【0037】
(表層付きコンクリートブロック)
図6の(A)に示す第3形態に係るコンクリートブロックCBは、ブロック本体b1の上面(表面)に表層b3が付いた表層付きコンクリートブロックとなっている。また、インサート1が埋め込まれており、インサート1の先端は上向きになっており、かつブロック本体b1の上面と面一に位置している。
【0038】
そして、同図(B)に示すように、第3形態の表層付きコンクリートブロックCBは、インサート1の先端がブロック本体b1の上面に臨んでいるので、ワイヤロープ7等で吊り上げ作業するときに、吊環2をインサート1に挿入する作業が作業員の下向き作業で行えるので容易であり、かつワイヤロープ7を吊環2に通す作業も容易に行える。換言すれば、ワイヤロープ7を表層付きコンクリートブロックCBの横から底面へ掛け回す必要がない。そのうえで、表層付きコンクリートブロックCBの天面を上に、脚部b2,b2を下向きにして、吊上げることができるので、施工時の作業性が良くなる。
【符号の説明】
【0039】
1 インサート
2 吊環
3 インサート固定治具
4 型枠
5 型板
51 貫通孔
CB コンクリートブロック
b1 ブロック本体
b2 脚部
b3 表層