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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ブロックシート
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20240903BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20240903BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20240903BHJP
   H04M 1/17 20060101ALI20240903BHJP
   H04M 1/21 20060101ALI20240903BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H05K9/00 V
H05K5/03 A
B32B7/025
H04M1/17 Z
H04M1/21 Z
G06F1/16 312L
G06F1/16 312G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019190993
(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2021068746
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】517147249
【氏名又は名称】フラッグス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】松江 慎太郎
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-047798(JP,A)
【文献】特開2004-138833(JP,A)
【文献】特開2000-307287(JP,A)
【文献】特開2004-358708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
H05K 5/03
B32B 7/025
H04M 1/17
H04M 1/21
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機を含む携帯用の電子機器又はこの電子機器を保護する保護カバー、或いは不特定多数の人の手が触れることが多い各種の商品の手での把持部位に貼着するブロックシートであって、
消石灰を主体とした殺菌剤若しくは抗菌剤で構成され、最外面に設けられた殺菌層と、
この殺菌層よりも内面側に設けられたシート本体と、
前記殺菌層の下面またはシート本体の下面に、接着層を介して接着され、広告宣伝機能を有する情報報知手段と、
前記情報報知手段の下面またはシート本体下面に接着されて最内面に設けられ、引き剥がし可能な剥離紙で被覆された貼着層と、
前記接着層及び/又は貼着層に混入され、有害電磁波をシールドさせる電磁シールド手段と、
を備え、
前記接着層は、接着剤を主体とした材料で形成されたものであって、
前記殺菌層を構成する殺菌剤若しくは抗菌剤を前記接着層の材料に混錬させてなる混錬物を、前記情報報知手段の表面に塗布することで、前記殺菌層が一体となって前記情報報知手段表面に設けられ、
前記情報報知手段は、
文字、図形、記号、その他の広告宣伝情報が記載された繊維質を含んだ材料を用いてシート状のもので構成されているとともに、下面に前記接着層となる接着剤が塗布され、前記シート本体の上面に接着され、
さらに、適宜間隔で小さな孔を多数箇所打ち抜き、目打ちすることで、多数の小孔を形成した
ことを特徴とするブロックシート。
【請求項2】
前記接着層、シート本体、及び貼着層は、光透過性を有する構成であって、
前記電磁シールド手段は、少なくとも前記接着層又は貼着層のいずれか一方に混入させた、銀、アルミニウム、その他の金属粉体又は金属網、不純物ドープ透明金属酸化物の粉体、誘電体多層膜、或いは電波吸収材料で形成され、
前記接着層と貼着層とのうち、特に前記金属粉体又は金属網、透明金属酸化物粉体、誘電体多層膜、或いは電波吸収材料を混入させる層は、光透過性の高い接着剤を主たる成分とする
ことを特徴とする請求項1に記載のブロックシート。
【請求項3】
前記ブロックシートは、前記携帯電話機を含む電子機器の、少なくとも本体の表示画面を設けた表面又は裏面、若しくは前記電子機器の保護カバーの、少なくとも表面又は裏面に貼着した
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブロックシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スマートフォン等の携帯電話機を含む携帯用の電子機器又はこのケース、或いは不特定多数の人の手が触れることが多い各種の商品の手での把持部位に貼着して使用することで、細菌等の殺菌と共に、電子機器等から輻射される有害な電磁波をブロックして電磁波による頭脳への悪影響を防ぎ、かつ、携行する電子機器等の所持者だけでなくその周辺者に対しても、或いは不特定多数の人の手が触れることが多い各種の商品、例えば、電車やバスのつり革や手摺、ショッピングカートやベビーカーに設けた手の把持部位、更には車のハンドル等において、有効な広告宣伝媒体としての機能も果たすことができるブロックシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、常時携帯して使用するスマートフォン等の携帯電話機は、使用時に手で把持するため手との接触時間が長く、手に付着した病原菌その他の細菌が携帯電話機やそのケース表面に付着する虞がある。しかも、人間の手は、日常多様なものと接触することが多いので、その分、細菌類が手に付着する頻度が高い。従って、常時手と接触することが多い携帯電話機やそのケースの表面は、細菌類の繁殖培地となって不衛生極まりない。このような事情から、携帯電話機やそのケースは、衛生管理上問題視されている。
【0003】
また更に、携帯電話機の通話中は、外耳、特に耳介に音声部を押し当てて使用するため、直接的に携帯電話機から発信される電磁波が聴覚神経伝導路や聴皮質を介して頭脳に到達し、脳細胞に悪影響を及ぼす虞があった。そのため、電磁波をブロックする技術も知られている。また、これとは別に、携帯電話機表面の殺菌或いは抗菌を可能とする各種の手段も知られている。
【0004】
このように携帯電話機等にあっては、携帯電話機等使用時の電磁波からの影響を可及的に少なくする電磁波の防御手段や細菌等の病原菌から人体を保護する殺菌手段を併用することが切望されている。しかしながら、従来、これらを実現するための技術や手段は別々のものとなっているので、使い勝手が悪かった。また、これらを併用させるのは、極めて面倒である。
【0005】
即ち、現実には、先述したように、それぞれ単体で除去する方策は多数実施されていた。例えば、電磁波をブロックするための防御手段として、薄膜をコーテングしたカバー体をケースに装着するものが知られている(特許文献1)。
一方、殺菌手段として殺菌シートを用い、この殺菌シートを常時持ち歩いてその都度携帯電話機等の表面を払拭したりすることが現実に可能である。また、携帯電話機等の表面に殺菌シートを貼付することで、把持する手を殺菌・抗菌することも可能である。このような殺菌シートとしては、例えば酸化チタン(TiO2)を有する多孔質膜などのシートを用い、酸化チタン特有の光触媒活性を利用して殺菌を行うものが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-45743号公報
【文献】特開2002-38054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、かかる方策は確かに有効ではあるが、それぞれ個別に実施しなければならず、極めて煩雑であって使い勝手が悪く、現実的ではなかった。
そこで、携帯電話機等にあっては、電磁波や病原菌等のように、携帯電話機等特有の人体への悪影響要因を一度に単一手段で可及的に除去できるものが望まれていた。換言すれば、携帯電話機等に特有の電磁波の影響除去機能と、常時携行するとともに手で把持する必然性から衛生面における殺菌・抗菌機能と、の双方を兼用する手段を施すことで、同時に課題解決を行うことができる、携帯電話機などの携帯用の電子機器における関係技術が求められていた。
【0008】
本発明は、かかる技術的課題を解消するために考えられたものであり、携帯電話機などの携帯用の電子機器使用時の電磁波を防止しつつ、同時に、電子機器またはそのケースに対する殺菌・抗菌機能を備え、さらに、使用者及び周辺者に対する宣伝広告機能も付与できるようにしたブロックシートを提供することを目的とする。
また、本発明は、さらに、不特定多数の人などが触れることが多い電車、バスのつり革や手摺、或いはショッピングカートやベビーカー、更には、自動車のハンドルなどの部位に対して、殺菌・抗菌機能とともに、車内や周囲に飛び交う有害電磁波を吸収させ、しかも、使用者及び周辺者に対する宣伝広告媒体としての機能も付与できるようにしたブロックシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、携帯電話機を含む携帯用の電子機器又はこの電子機器を保護する保護カバー、或いは不特定多数の人の手が触れることが多い各種の商品の手での把持部位に貼着するブロックシートであって、消石灰を主体とした殺菌剤若しくは抗菌剤で構成され、最外面に設けられた殺菌層と、この殺菌層よりも内面側に設けられたシート本体と、前記殺菌層の下面またはシート本体の下面に、接着層を介して接着され、広告宣伝機能を有する情報報知手段と、前記情報報知手段の下面またはシート本体下面に接着されて最内面に設けられ、引き剥がし可能な剥離紙で被覆された貼着層と、前記接着層及び/又は貼着層に混入され、有害電磁波をシールドさせる電磁シールド手段と、を備え、前記接着層は、接着剤を主体とした材料で形成されたものであって、前記殺菌層を構成する殺菌剤若しくは抗菌剤を前記接着層の材料に混錬させてなる混錬物を、前記情報報知手段の表面に塗布することで、前記殺菌層が一体となって前記情報報知手段表面に設けられ、前記情報報知手段は、文字、図形、記号、その他の広告宣伝情報が記載された繊維質を含んだ材料を用いてシート状のもので構成されているとともに、下面に前記接着層となる接着剤が塗布され、前記シート本体の上面に接着され、さらに、適宜感覚で小さな孔を多数箇所打ち抜き、目打ちすることで、多数の小孔を形成したことを特徴とするブロックシートを提供せんとするものである。
【0010】
また、この発明は、前記接着層、シート本体、及び貼着層は、光透過性を有する構成であって、前記電磁シールド手段は、少なくとも前記接着層又は貼着層のいずれか一方に混入させた、銀、アルミニウム、その他の金属粉体又は金属網、不純物ドープ透明金属酸化物の粉体、誘電体多層膜、或いは電波吸収材料で形成され、前記接着層と貼着層とのうち、特に前記金属粉体又は金属網、透明金属酸化物粉体、誘電体多層膜、或いは電波吸収材料を混入させる層は、光透過性の高い接着剤を主たる成分とすることを特徴とする。
【0011】
また、この発明は、前記ブロックシートが、前記電子機器の本体の表示画面を設けた表面側、前記電子機器本体の表面とは反対の電子機器本体の裏面側、若しくは前記電子機器の保護カバーの、少なくとも表裏いずれかの面に貼着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、携帯電話機を含む携帯用の電子機器又はこの電子機器を保護する保護カバー、或いは不特定多数の人の手が触れることが多い各種の商品の手での把持部位に貼着するブロックシートであって、消石灰を主体とした殺菌剤若しくは抗菌剤で構成され、最外面に設けられた殺菌層と、この殺菌層よりも内面側に設けられたシート本体と、前記殺菌層の下面またはシート本体の下面に、接着層を介して接着され、広告宣伝機能を有する情報報知手段と、前記情報報知手段の下面またはシート本体下面に接着されて最内面に設けられ、引き剥がし可能な剥離紙で被覆された貼着層と、前記接着層及び/又は貼着層に混入され、有害電磁波をシールドさせる電磁シールド手段と、を備えたので、電磁シールド手段によって、有害電磁波を遮断できる。また、特に、このブロックシートを携帯電話機などの携帯用の電子機器に貼着した場合には、電磁シールド手段による電磁シールド作用により、この携帯用の電子機器から生起される電磁波を遮断するのと同時に、逆に外部から電子機器へ流入しようとする電磁波を遮断することもでき、その分、ノイズの少ない高品質の通信状態を形成できる。また、このブロックシート表面に消石灰を主体とした抗殺菌剤を塗布してあることにより、同時に、消石灰自体が有する殺菌作用を利用して、携帯電話機などの電子機器を把持する手などを殺菌・抗菌することもできる。さらに、電子機器の所有者やその周辺者に対する広告宣伝機能を有する情報報知手段を備えることにより、これに記載の各種情報が使用者やその周辺者に対して広告宣伝としても機能する。
【0013】
また、本発明のブロックシートは、前記接着層が、接着剤を主体とした材料で形成されたものであって、前記殺菌層を構成する殺菌剤若しくは抗菌剤を前記接着層の材料に混錬させてなる混錬物を、前記情報報知手段の表面に塗布することで、前記殺菌層が一体となって前記情報報知手段表面に設けられため、殺菌層をシート本体の表面にしっかり固着できる。
【0014】
また、本発明のブロックシートは、前記接着層、シート本体、及び貼着層は、光透過性を有する構成であって、前記電磁シールド手段は、少なくとも前記接着層又は貼着層のいずれか一方に混入させた、銀、アルミニウム、その他の金属粉体又は金属網、不純物ドープ透明金属酸化物の粉体、誘電体多層膜、或いは電波吸収材料で形成され、前記接着層と貼着層とのうち、特に前記金属粉体又は金属網、透明金属酸化物粉体、誘電体多層膜、或いは電波吸収材料を混入させる層は、光透過性の高い接着剤を主たる成分とするので、金属製の粉体又は金属網、透明金属酸化物粉体、誘電体多層膜、或いは電波吸収材料を混入させた状態の接着層又は貼着層であっても、電磁シールド手段である金属製の粉体又は金属網、透明金属酸化物粉体、誘電体多層膜、或いは電波吸収材料をしっかりと殺菌層又はシート本体に固着できる。
【0015】
また、本発明のブロックシートは、情報報知手段は、文字、図形、記号、その他の広告宣伝情報が記載されたシート状のもので構成されているとともに、下面に前記接着層となる接着剤が塗布され、前記シート本体の上面に接着された構成としたので、携帯電話機などの携帯用の電子機器又はこの電子機器を保護する保護カバーを使用若しくは携帯することで、宣伝媒体として有効に機能することができる。
【0016】
また、本発明のブロックシートは、前記電子機器の、少なくとも本体の表示画面を設けた表面又は裏面、若しくは前記電子機器の保護カバーの、少なくとも表面又は裏面に貼着したので、電子機器本体の表示画面を設けた表面側に貼着したものにあっては、携帯電話機を手で把持するとともに顔に押し当てても、これらの部位が細菌などで汚損することを抑制でき、衛生面での安全性が高まる。また、本発明のブロックシートを、表示画面を設けた電子機器本体の表側の面とは反対の、裏側の外面に貼着したものにあっては、電子機器本体を把持する手や指を細菌などの汚損から防止できる。さらに、また、本発明のブロックシートを、電子機器本体の保護カバーの、表裏いずれかの面に貼着したものにあっては、保護カバーに触れる手や指などが細菌などで汚損されるのを防止できる。また、本発明のブロックシートが何れの部分に貼着されたものであっても、電磁シールド機能及び広告宣伝機能も同時に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係るブロックシートを携帯電話機本体に貼着した状態を示す斜視図、(b)はそのブロックシートを携帯電話機本体に貼着する直前の状態を示す斜視図。
図2図1に示すブロックシートの構成を示す分解斜視図。
図3】(a)は携帯電話機本体表面に貼着したブロックシートの積層構造を示す断面図、(b)は本実施形態の情報報知手段の断面拡大図。
図4】(a)は図2におけるA部の拡大図、(b)は(a)の分解斜視図。
図5】本発明の第2の実施形態を示すものであって、(a)は携帯電話機本体の裏面に貼着させるブロックシートの構成を示す分解斜視図,(b)はそのブロックシートを携帯電話機本体に貼着する直前の状態を示す斜視図。
図6図5に示すブロックシートの構成を示す分解斜視図。
図7】本発明の第2の実施形態の変形例に係るブロックシートを保護カバーに貼着させるときの状態を示す斜視図。
図8】(a)は本発明のブロックシートを携帯電話機本体の表裏両面に貼着して使用するときの状態を示す説明図、(b)はそれらのブロックシートの共同作用により実質的に形成される導波路の機能を示す説明図である。
図9】(a)は本発明の第4の実施形態に係るブロックシートを設置するバスや電車などのつり革を示す説明図、(b)は第4の実施形態に係るブロックシートを設置するバスや電車の手摺を示す説明図。
図10】(a)は本発明の第5の実施形態に係るブロックシートを設置するショッピングカートを示す要部斜視図、(b)は第5の実施形態に係るブロックシートを設置するベビーカーを示す要部斜視図。
図11】本発明の第6の実施形態に係るブロックシートを取り付ける自動車のハンドルを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の要旨は、携帯電話機などを含む携帯用の電子機器本体或いはこの電子機器保護カバーのいずれかに貼着するためのブロックシートにおいて、このブロックシートは、シート本体の表面に消石灰を主体とした抗殺菌剤を塗布すると共に、裏面の接着面に電磁波防御のための銀又はアルミニウムなどの金属粉を混入した接着剤を塗布し、かつ、裏面接着剤には剥離自在の剥離紙を貼着し、しかも、シート本体には所定の情報報知手段を表示したことを特徴とするブロックシートを提供せんとするものである。
また、このブロックシートは、携帯電話機等の電子機器本体の、少なくとも表面又は裏面に貼着したことにあり、また、このブロックシートは、電子機器保護カバーの、少なくとも表面又は裏面に貼着したことにあり、また、接着層又は粘着層に、の銀又はアルミニウム等の金属粉体又は透明金属酸化物粉体を混入した接着剤を使用したことにあるので、接着機能とともに電磁シールド機能を付与するものである。
また、このブロックシートは、不特定多数の人が触れるおそれがある、電車やバスのつり革や手摺、或いはショッピングカートやベビーカーの取手、更には自動車のハンドルに貼着したことにあり、これらの部位にブロックシートを貼着させることで、その部位の殺菌、除菌させるだけでなく、或いはその周辺に有害な電磁波が飛び交っていた場合であってもその有害電磁波を吸収可能となり、さらに、その近傍の人に対する広告宣伝物としても機能するものである。
【0019】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、第1の実施形態から第6の実施形態を説明する図1図11では、ブロックシートの厚さを、便宜上、携帯電話機の本体厚さや、貼着する各種商品の対象部位(即ち、つり革、手摺、ショッピングカートやベビーカーの把持部、ハンドル)の大きさや厚さに比べ誇張して記載してある。なお、携帯用の電子機器としては、携帯電話機の他に、例えばPDA(personal digital assistant)、タブレット端末、その他、各種のものが適用可能である。
【0020】
(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明の殺菌及び電磁波防御機能を有するブロックシート1から剥離紙6(後述する)を引き剥がしたもの(以下、これをブロックシート1´とよぶ)を携帯電話機の本体10に貼着させた状態を示す斜視図、同図(b)は携帯電話機本体10にブロックシート1´を貼着させるときの様子を示す斜視図である。本実施形態のブロックシート1´は、携帯電話機本体10の表面10Aに貼着させてある。
【0021】
携帯電話機本体10は、大略薄箱状の筐体で構成されており、表面10Aに、カメラ部10Cと、指操作自在の液晶画面10Dと、スピーカ部10Eと、ホームボタン10Fなどとが設けられている。また、図3に示すように、内部には、携帯電話機としての各種の電子的な機能部分10Gが収納されている。この携帯電話機は、使用時にはスピーカ部10Eに人体耳部を押し当てた状態で音声を受信する。なお、オン状態の時には携帯電話機本体10内部で作動する各種の電子機器及び電子部品から外部へ通信用の電波とともに不要な電磁波が常時出射されるとともに、これらの電子機器及び電子部品からはジュール熱も発生している。
【0022】
図2は、ブロックシート1の具体的な構成要素を示す分解斜視図であって、表面1Aから裏面1Bに向かって順に、殺菌層2と、情報報知手段3と、シート本体4と、シールド層7(以下、これを「電磁シールド手段7」とよぶ)を一体に設けた貼着層5と、剥離紙6とを積層して構成している。また、本実施形態のブロックシート1は、携帯電話機本体10の表面10Aに貼着させるので、液晶画面10Dの視認性を確保させるため、殺菌層2と情報報知手段3を除き、光透過性を有する透明性の高いもので構成されている。なお、殺菌層2と情報報知手段3とが透明性の高いものであれば、後述する視認窓2A、3A等は勿論必要ない。
【0023】
殺菌層2は、殺菌性・抗菌性を有する消石灰(Ca(OH)2)を主体とした殺菌剤(若しくは抗菌剤)を主成分として含有するシート状のものが使用されている。本実施形態の殺菌層2では、消石灰とともに、スサ、海藻類、水性塗料樹脂などを混合して形成してある。本実施形態の場合、殺菌層2における消石灰の具体的な使用量は、0.36kg/m2であって、この分の消石灰を投入することで、殺菌・抗菌・除菌性を確保させている。なお、この消石灰の使用量は、所要の殺菌・抗菌・除菌機能を担保できるのであれば、ここでの使用割合に限定されるものではない。
【0024】
また、この殺菌層2では、図2に示すように、液晶画面10Dに対応する部位に開口した視認窓2Aとともに、カメラ窓2Bと、スピーカ窓2Cなどが、携帯電話機本体10の各部に合わせた適宜位置に設けてある。さらに、この殺菌層2は、後述する情報報知手段3の広告宣伝用の情報エリアが外部に直接露出できるよう、縦寸法を情報報知手段3より小さく形成してある。
【0025】
情報報知手段3は、所定エリア3Eに、適宜の図形、文字、記号、又はロゴなどの各種情報が広告宣伝として印刷・印字されてある。また、この情報報知手段3は、液晶画面10Dに対応する部位に開口した視認窓3Aとともに、カメラ窓3Bと、スピーカ窓3C、切欠き3Dなどが設けてある。また、この情報報知手段3は、図3に示すように、上面が殺菌層2下面と接着層31で接着されているとともに、下面がシート本体4上面と接着層32で接着されている。
【0026】
なお、この情報報知手段3には、適宜の繊維質を含んだ材料を用いてシート状に形成してあるが、広告宣伝用の文字などの情報が印字、印刷しやすい適宜材料、例えば草・藁・竹などの植物繊維を用いた適宜の材料などで形成してもよい。また、さらに、この情報報知手段3では、図3(b)に示すように、適宜間隔で小さな孔を多数箇所打ち抜き、目打ちすることで、多数の小孔33を形成してある。特に、本実施形態では、裏面30A側から表面30B側に向けて目打ちすることで小孔33を穿設してある。また、この材質及び打ち抜き方向の関係から、表面30B側にはその小孔33の周縁に、微細な内部繊維が剥き出た、けば(毛羽/毳)34を形成させることもできる。これにより、そのけば34が露出するエリア、つまり殺菌層2が貼り付いていない情報の印刷・印字エリア(図1では携帯電話機本体10の表面1Aの下端部付近のエリア3E)では、このけば34に使用者の掌等が触れたときにそのけば34が摩擦手段として機能し、掌から携帯電話機本体10が滑り落ちそうになるのを防止できる。
【0027】
また、この小孔33を多数箇所に設けた情報報知手段3では、携帯電話機本体10内部の各種電子部品や電子機器の作動に伴い発生するジュール熱や電磁波吸収に起因する発熱を、携帯電話機本体10の内部に籠らせることなく小孔33から外部へ効果的に放熱できる。このため、本実施形態のブロックシート1´を貼着させた携帯電話機にあっては、品質上の安全性も高まるので便宜である。
また、携帯電話機本体10内部で発生するジュール熱等を小孔33から外部へ効果的に放出させることで、情報報知手段3に触れている掌などにそのジュール熱等が伝播して発汗し、これによって湿潤機能をもたらすこともできる。その結果、掌からの湿気が上層、つまり最外層である殺菌層2に波及し、その殺菌層2に含まれる消石灰が活性化され、殺菌・抗菌・除菌性能を一層高めることもできる。
【0028】
また、この情報報知手段3では、情報を印刷・印字するインクなどの代替手段として、小孔33の目打ち箇所のうち、特に例えばその情報を表示すべき文字や記号の印刷・印字部位を順次追っていくようにして、適宜間隔で目打ちして小孔33を穿設してもよい。このように目打ちすれば、つまり、目打ちする小孔33の形成位置を情報文字などと一致させるように調整すれば、広告宣伝情報用の印刷・印字の代替手段とすることもできる。
【0029】
なお、接着層31は、適宜の接着剤、例えばアクリルゴム(アクリル酸エステル共重合体及びその他の構成成分を所定割合で配合させたもの)を用い、この接着剤を殺菌層2の下面全体に塗布して情報報知手段3と接着させればよい。また、殺菌層2として表裏いずれか一方面に粘着剤を予め塗布させておけば、粘着剤を利用して情報報知手段3上面に殺菌層2が簡単に積層・形成できる。
さらに、情報報知手段3は、接着層31となる接着剤を主体とした材料に、殺菌層2を構成する殺菌剤若しくは抗菌剤を混錬させた混錬物を、情報報知手段3の表面に塗布することで、殺菌層2を情報報知手段3表面に一体形成するようにしてもよい。
【0030】
シート本体4は、携帯電話機本体10の液晶画面10Dを外部から容易に視認できる光透過性の高い材料、例えば透明プラスチック樹脂材料などで形成されている。即ち、PMMA(ポリメチルメタアクリレート)などの非常に透明性の高い高分子材料を用いることができる。
【0031】
貼着層5は、図3に示すように、シート本体4の裏面に貼着されており、透明性及び耐候性の高い適宜の透明接着剤、例えば前述のアクリルゴムなどが使用されている。なお、この貼着層5には、裏面に剥離紙6が剥離可能に貼着されており、この剥離紙6を剥がして貼着層5を露出させることで、ブロックシート1´を携帯電話機本体10にしっかりと貼着できる。さらに、剥離紙6には、図2に示すように、この剥離紙6を容易に剥がしやすくするため引剥部6Aを設けている。なお、この引剥部6Aは、必須のものではない。
【0032】
また、本実施形態では、貼着層5には、適宜の金属粉体で構成された電磁シールド手段7が一体に設けられている。本実施形態の電磁シールド手段7は、微細な粉体状の金属(導体)、例えば銀(Ag)又はアルミニウム(Al)で構成されている。この金属粉体は、液晶画面10Dを外部から視認できる透光性を確保させるため、例えば粒形が10~50μmの大きさを有するとともに、特定の濃度割合で混入されている。
【0033】
なお、この実施形態の電磁シールド手段7を構成する金属粉体は、粉状の銀(Ag)又はアルミニウム(Al)に限定されるものではなく、同様の効果を奏する各種の金属粉体が適宜適用可能である。さらに、このシールド手段7を構成する材料としては、このような金属粉体だけに限定されず、透明導電膜(或いは透明電極)の材料として知られたワイドギャップ半導体である高濃度不純物ドープ金属酸化物(TCO)、例えば錫ドープ酸化インジウム(In2O3-SnO2:所謂、ITO)などを使用してもよい。
【0034】
このように、貼着層5を構成する接着剤の中に電磁シールド手段7となる銀(Ag)又はアルミニウム(Al)からなる金属粉体を、視認性が低下しない範囲で散在させることで、視認性を確保しつつ、携帯電話機本体10からの不要電磁波を有効にシールディング(若しくはブロック)できる。
【0035】
即ち、このブロックシート1では、携帯電話機本体10内部に実装されている各種の電子部品などから発生する不要電磁波を有効にブロックさせる。さらに、この電磁シールド手段7のブロック作用により、付随的な効果として、逆に外界からの不要な電波・電磁波が携帯電話機本体10の内部へ侵入して、本体10内部のアンテナからの通信用電波との干渉作用による通信の劣化なども防止可能となる。つまり、外部から電子機器内部へ流入しようとする不要電磁波を遮断することもできる分、ノイズの少ない高品質の通信ができるわけである。
【0036】
本実施形態でのシールディング作用は、携帯電話機本体10の内部の電磁波発生源となる適宜の回路や電子部品に対して、その前面(又は対面)位置に金属導体(金属粉体で構成)を配置することで、電磁波の伝播を遮断させる。
【0037】
また、特に本実施形態では、金属粉体を貼着層5の全面エリアにおいて、巨視的に見てほぼ均一な密度間隔で点在させてあるが、例えば携帯電話機10の液晶画面10Dに対応する特定エリア71(図2参照)に対しては、必要最小限の電磁波ブロック機能を確保できる範囲内で貼着層5への金属粉体の混入割合を抑えてもよい。このように構成すれば、電磁ブロック機能を最小限に確保する一方、液晶画面10Dの表示内容をブロックシート1の外側(外部)からしっかり視認できる。
【0038】
なお、この金属粉体は、貼着層5を構成する接着剤と混錬させて混錬物を形成し、この混錬物をシート本体4の裏面に塗布することで、貼着層5と電磁シールド手段7とが一体に形成される。この金属粉体の貼着層5への混入割合は、電磁シールド作用を発揮できる構成であればよいが、上述したように、液晶画面10Dに対する視認性を確保できるだけの光透過性も必要である。このため、本実施形態では、接着剤と金属粉体との配合割合を適宜に設定させることで、十分な視認性及び電磁シールド性の双方を同時に確保できるように構成されている。また、この電磁シールド手段7は、貼着層5に形成されているが、金属粉体を接着層31又は32に混入させて形成してもよいし、双方の接着層31及び32に混入させて形成してもよい。
【0039】
次に、本実施形態のブロックシート1の作用などについて説明する。
初めに、その取付け方法から説明する。
図1に示すブロックシート1において、剥離紙6を剥がすと、貼着層5が露出したブロックシート1´が得られる。そこで、この貼着層5を携帯電話機本体10の表面10Aに貼着させる(図1(a)及び図3(a)参照)。
【0040】
このようにして、ブロックシート1´を携帯電話機本体10の表面10Aに貼着させれば、携帯電話機本体10の使用にあたり、電磁シールド手段7によって電磁波がシールドされるので、電磁波の漏れによる使用者の生体への影響を可及的に抑えられる。また、同時に、携帯電話機本体10の表面10Aに各種の細菌やウイルスなどが付着したとしても、殺菌層2の殺菌作用で殺菌若しくは除菌される。さらに、情報報知手段3が殺菌層2の直下に積層されており、各種情報が印刷・印字されてあるエリア3Eが外部に露出しているので、使用者やその周辺者に対して広告宣伝として機能する。
【0041】
従って、本実施形態のブロックシート1´が貼着された携帯電話機によれば、たとえ携帯電話機本体10の表面10Aに使用者の顔、口、鼻、指或いは耳などが触れることがあっても、細菌やウイルスなどに汚染されるのを防止できる。さらに、この細菌等汚染防止効果と同時に、携帯電話機本体10からの不要な電磁波の漏れによる使用者への悪影響を可及的に減殺できる。
しかも、また情報報知手段3も設けてあり、広告宣伝機能も付与されている。従って、例えばブロックシート1をスポーツイベントの景品や、顧客への配布グッズとして、或いは自社名称を入れて無料配布する記念品としてのノベルティなどに使用すれば、自社の広告宣伝効果も発揮できる。また、流行の人気キャラクターなどの図形を表示すれば、ブロックシート1の商品価値が一層高まる。
【0042】
このように、衛生的に安全であるだけでなく、電磁波カット例えば電磁波過敏症の使用者であっても、電磁波による生体への深刻なトラブルなどが防止可能になるので、長時間携帯電話機を使用できる。また、使用態様を工夫することによって、比較的廉価な価格でも大規模な広告宣伝が可能となるので、新規のビジネスモデルとしても便宜できる。
【0043】
(第1の実施形態の変形例)
この変形例では、第1の実施形態と異なるのが、電磁シールド手段7の構成部分である。即ち、カット(ブロック)したい有害電磁波(若しくは有害電波)の波長が、例えば複数の不連続な(バラバラな)固有波長帯WB1、WB2、WB3・・・(但し、WB1>WB2>WB3・・・)であるならば、例えば、
(1)網目状の多孔金属、
(2)誘電体多層膜、又は
(3)電磁波吸収材料等
の何れかを複数組合せて使用することで、複数の不連続な有害電磁波帯をカットできる。なお、上述した有害電磁波の各固有波長帯WBでは、それぞれ、最短波長λa~最長波長λzまで一つのスペクトルとなって連続的に広がっているものとする。
この場合、例えば次に説明する固有波長帯W内の最短波長λaの電磁波をブロックするハニカム孔を有した網目状の多孔金属が一枚あれば、これを所謂ハイパスフィルタとして機能させることができる。即ち、この多孔金属一枚で、上記の同一固有波長帯WB(つまり、一つのスペクトル)内の最最短波長λaから長波長λzまで、全波長の有害電磁波をブロックできる。
【0044】
(1)網目状の多孔金属(以下、これを「金属網」と呼ぶ場合もある。)を用いる場合:
仮に、例えば携帯電話機本体10内部の電子部品や機器から輻射される有害で不要な固有(一定幅に広がった連続するスペクトル)波長帯の電磁波をブロックさせる場合には、第1の実施形態のような金属粉体ではなく、所定内径寸法dを有する、ハニカム孔を多数形成した単層の金属網で構成してもよい。この金属網の孔形状、つまり網目の形状については、ハニカム状の六角形に限定するものではなく、適宜形状の網目が適用可能である。また、金属網の製造方法としては、プリント基板等のような微細パターンの薄膜製造等に用いる公知の手段、例えばフォトリソグラフィ法、スクリーン印刷法、或いはメタルマスクなどを用いたスパッタリング法、その他の適宜方法が適用可能である。なお、この有害電磁波をブロックする手段として、前述の網目状の多孔金属ではなく、第1の実施形態で述べた、透明導電膜(或いは透明電極)の材料である高濃度不純物ドープ金属酸化物(TCO)、例えば錫ドープ酸化インジウム(In2O3-SnO2:所謂、ITO)などを使用し、網目状のハニカム孔などを形成してもよく、その場合スパッタリング法等の上述した方法で製造すればよい。
【0045】
この金属網の孔の内径寸法(メッシュ間隔)dは、シールドすべき有害電磁波の波長λに対応させることが必要であるが、例えば携帯電話機本体10内部の電子部品や内部機器から輻射される有害で不要な電磁波の波長が固有の幅分布で(不連続ではなく)連続したスペクトルとなって一定の広がりを有するならば、上述したように、そのうちの最小波長の電磁波をブロックさせるようにすれば、それより長波長の電磁波は全てブロックさせることが可能である。
【0046】
ここで、特定波長の電磁波を金属網でブロックさせるには、特に本実施形態では有害電波のうち最小波長のもの(以下、「遮断波長λ0」とよぶ)をブロックさせるには、金属網の孔の内径寸法d0と遮断波長λ0とについて、次の関係を満たすことが必要である。
d0=λ0/2 ・・・(1)
なお、一般に、電磁波の波長λと周波数fとには、周知のように
c=λ・f (c:光速度;2.998×1010cm/sec)
の関係があるから、この有害電波についても、
c=λ0・f0 ・・・(2)
を満たす必要がある(以下、この有害電波の周波数を「遮断周波数f0」とよぶ)。
従って、(1)、(2)より、金属網の内径寸法d0と有害電磁波の遮断周波数f0との関係については、
d0=c/(2・f0) ・・・(1)´
となるので、形成すべき金属網の孔は(1)´式を満たすような内径寸法(メッシュ間隔)d0であればよい。
なお、本実施形態でも、第1の実施形態と同様、貼着層5と電磁シールド手段7とを一体で形成する構成であり、ここでは、単層構造の金属網で構成させるので、貼着層5にこの金属網一層を一体に形成すればよい。
【0047】
一方、カットしたい有害電波の数が、上記のような単一のスペクトル(連続したスペクトル)をなすタイプではなく、スペクトルをなす波長帯域がn個(但し、n≧2;nは整数)ある場合、即ち有害電磁波の波長帯域どうしがばらばらに離れていて、不連続なn個のスペクトルに分割されている場合には、図2の要部Aの拡大図である図4に示すように、貼着層5と一体化させる電磁シールド手段7の金属網を、複数枚の多孔金属薄膜で構成すればよい。つまり、多孔金属薄膜は最大でn枚積層すればよい。
ここで、貼着層5と一体化させた電磁シールド手段7の裏面70Aから表面70Bに向けて、第1層Aから第n層Nの薄膜での各層に形成する金属網については、その内径孔寸法dとこの孔でブロックされる電磁波波長λとの関係が、先の単層構造の場合と同様に、次式、
d=λ/2 ・・・(3)
但し、c:光速度、f:カットしたい不要電磁波の周波数(以下、遮断周波数とよぶ)、
を満足することが要求されている。また、光速度cと波長λ及び周波数fとについては、前述のように、c=f・λである。
従って、前述の単層膜構造の電磁シールド手段7と全く同様に、各膜での多孔金属の内径dと波長λとの間でも、次式
d=c/(2・f) ・・・(3)´
が成立する。
【0048】
従って、第1層Aにおいて、電磁波のブロック波長λ1(ブロック周波数f1)を遮断するために必要な金属網の内径d1については、(1)´から
d1=c/(2f1)
を満たすことが必要である。
【0049】
以下、同様に第2層Bにおいて、電磁波のブロック波長λ2(ブロック周波数f2)を遮断するために必要な金属網の内径d2については、
d2=c/(2f2)
となる。
【0050】
以下同様にして、第3層Cでのブロック波長λ3をブロックする多孔金属の内径d3についても、d3=c/(2f3)、以下同じように、第(n-1)層N-1でのブロック波長λn-1(ブロック周波数fn-1)を遮断するために必要な内径d1は、dn-1=c/(2fn-1)、そして、第n層Nでのブロック波長λn(ブロック周波数fn)を遮断するために必要な内径dnは、dn=c/(2fn)となる。
なお、これら多孔金属を形成した各層を積層した状態で貼着層5と一体に形成することで、各層での金属網どうしは粘着層の成分がスペーサとして各層間に侵入しているので、相互間の絶縁性も確保可能である。
【0051】
このような構成を有する複数層構造の電磁シールド手段7の製造方法等について、以下に具体的に説明する。但し、この実施形態では、携帯電話機で発生する有害電磁波(有害電波)の周波数が、例えば800MHz~2000MHz(=2GHz)近傍までであって、これらのものが仮に12帯域(12種類)のスペクトル帯域にばらばらに分離・分割して(分布して)輻射されているものとする。勿論、本発明ではこの周波数帯域に対する電磁シールドに限定されるものではなく、多孔金属の内径寸法dを上記(3)´に従って適宜のサイズに形成することで所望の波長帯域の有害電磁波をブロックさせることが可能となる。
ここで、本実施形態では、遮断周波数帯域を100MHzずつのブロックに分割させブロックごとに分けて有害電磁波をシールドさせるように構成しため、換言すれば、これに対応させて全12種類の金属網で12種類の有害電磁波遮断を行うため、12層の金属網を形成して一体に積層させてある。また、本実施形態の電磁シールド手段7でも、各金属網は貼着層5と一体をなしているが、貼着層5の内側から外側に向けて順に、第1層Aの金属網~第12層Lの金属網で構成されている。
【0052】
第1層Aの金属網では、最小周波数f1=800MHzまでの有害電磁波(長波長、最低周波側のスペクトル)をブロックさせるために、第1層Aに形成する金属網の孔の内径寸法d1は、上述の(3)´から、
d1=2.998×1010/(2×800×106)
≒3/(16×102)
≒18.7(cm)
となる。ところが、携帯電話機本体10は、その筐体としての縦寸法が、この内径寸法d1に比べて同等か若しくはそれより小さいので、この第1層には貼着層5全体を囲むような大きなサイズの単一孔の金属網で十分である。
次の第2層Bでは、同様にして、f2=900MHzまでの有害電磁波をブロックさせるために、金属網の孔の内径寸法d2は、上述の(3)´から、
d2=3.00×1010/(2×900×106)
=(1/6)×102
=16.6(cm)
となる。ところが、この場合も、金属網の内径寸法d2は、携帯電話機本体10の筐体としての縦寸法に比べて略同等か若しくはそれより大きいので、前述の第1層Aの金網で兼用させることができ、設置は省略できる。
次の第3層Cでは、f3=1000MHzまでの有害電磁波をブロックさせるために、ここに形成する金属網の孔の内径寸法d3は、同様に(3)´から、
d3=3.00×1010/(2×1000×106)
=15(cm)
となる。同様に、この内径寸法d3は、携帯電話機本体10の筐体の縦寸法に比べて、略同等なので、この第3層Cも第1層Aの金属網で兼用させることができ、設置は省略できる。
次の第4層Dでは、f3=1100MHzまでの有害電磁波をブロックさせるために、ここに形成する金属網の孔の内径寸法d4は、同様にして、
d4=3.00×1010/(2×1100×106)
≒13.6(cm)
となるが、携帯電話機本体10の筐体としての縦寸法が、この内径寸法d1に比べてやや大きいので、この第4層Dでは、携帯電話機本体10の縦方向には、サイズd4程度の孔をせいぜい2つ形成してあればよい。
以下、同様にして、2000MHzの有害電磁波をブロックする第12層Lまで、所要の孔dの内径寸法を有する金属網を夫々一枚ずつ形成し、これら12枚を重ねて積層し、貼着層5となる接着剤を用いてこれら各金属網を貼着層5と一体に形成すれば、電磁シールド手段7が出来上がる。
これにより、不要な有害電磁波(有害電波)、特に800~2000MHz(=2GHz)の周波数帯の有害電磁波を効率よく除去できる。
【0053】
(2)誘電体多層膜を用いる場合:
本実施形態の誘電体多層膜は、所定波長λの光(電磁波)のみを選択的に反射させるミラー機能を果たすものであって、別言すれば、所定波長λの有害電波のみを選択的に反射させてカットさせるものである。この誘電体多層膜は、平坦面に研磨されたガラスなどの薄手の透明基板に、屈折率が高い透明膜である誘電体(例えば、TiO2:酸化チタン、HfO2:酸化ハフニウム等)と屈折率が低い透明膜である誘電体(例えば、SiO2:酸化シリコン、MgF2:フッ化マグネシウム等)とを、λ/4の膜厚で交互に、例えば十数~数十層程度積層させたものであって、特定波長のみの有害電磁波を反射させる(透過するのをカットさせる)ことができる。この誘電体多層膜は、反射帯域が非常に狭い(Q値が高い)、換言すれば波長依存性が非常に高い反射膜であるが、透明物質である誘電体多層膜を使用することができるので、携帯電話機本体10の液晶画面10Dに対する視認性確保の点で好都合である。
従って、この誘電体多層膜を用いれば、特定波長λの光(電磁波)はこの膜を透過できないので、電磁波のブロック用として機能させることができる。なお、この誘電体多層膜は、スパッタリングなどの蒸着法によって高精度での膜厚制御が行えるので、例えば前述の(1)網目状の多孔金属、の場合における金属網の代替手段としてこの誘電体多層膜を多重積層して使用すれば、金属網に比べ、膜厚の薄型化とともに著しく透明性を高めたものが提供できる。
なお、電磁シールド手段7としての誘電体多層膜では、この一面側に貼着層5を設けることで貼着層5との一体化も可能であり、ただ1種類の波長の有害電磁波のカットだけでなく、複数種類波長の有害電磁波カットについても、それらの波長に対応した誘電体多層膜をそれぞれ形成し、それら複数枚からなる誘電体多層膜を(1)と同様に多重に積層させれば、複数種類波長の有害電磁波のカット(ブロック)手段として、透明性の高いものが製造可能である。
【0054】
(3)電磁波吸収材料を用いる場合:
この電波吸収材料としては、
i)カーボン抵抗体のような導電性吸収材料、ii)カーボンゴムのような誘電性吸収材料、iii)フェライト焼結体のような磁性吸収材料、の都合3種類の何れかのものを用いることが可能である。即ち、何れのタイプの電波吸収材料を使用しても、吸収させる有害電磁波は、単一波長及び複数種類の波長の何れかを吸収させる場合であっても、単一シートまたは複数シートの積層したものの何れかを使用することで実現可能であり、また、貼着層5を一面に貼着させてあればよいので、(1)網目状の多孔金属、(2)誘電体多層膜、の場合と同様に、電波吸収シートと貼着層5とが一体に形成できる。
【0055】
(第2の実施形態)
図5及び図6に示す第2の実施形態のブロックシート8では、剥離紙6を引き剥がした後のブロックシート8´を携帯電話機本体10の裏面10Bに貼着させてある。なお、携帯電話機本体10の裏面10Bには、カメラ部10Iが設けられている。
この実施形態のブロックシート8は、第1の実施形態と同様の積層構造であるが、第1の実施形態の各層、つまり、殺菌層2と、情報報知手段3、シート本体4と、貼着層5とは形状が若干異なるので、それぞれ、殺菌層2´、情報報知手段3´、シート本体4´、貼着層5´とよぶことにする。
【0056】
殺菌層2´、情報報知手段3´、シート本体4´、貼着層5´には、図6に示すように、それぞれ、携帯電話機本体10のカメラ部10Iと対応する位置に、カメラ窓が開口されている。
【0057】
殺菌層2´は、第1の実施形態の殺菌層2とは異なり、携帯電話機10の表面に貼着するのではないから視認窓は開口されていないが、情報報知手段3の表示情報を上から明瞭に確認できるようにするため、透視窓2´A,2´Bが開口されている点が殺菌層2とは異なる。
【0058】
情報報知手段3´には、第1の実施形態に比べ広いエリアに、具体的には第1、第2のエリア3F,3Gに、適宜の図形、文字、記号、又はロゴなどの各種情報が広告宣伝用として印刷・印字されてある。
剥離紙6は、第1の実施形態と同一のものが使用可能である。
電磁シールド手段7は、第1の実施形態と同様、貼着層5´と一体に形成されているが、貼着層5と一体ではなく、接着層31、又は接着層32に一体に成形されていてもよい。
【0059】
従って、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、ブロックシート8の有する殺菌作用で衛生的に安全であるだけでなく、電磁波カット作用、及び広告宣伝機能の3種の機能を発揮できる。特に、本実施形態では、ブロックシート8に液晶画面10Dの視認確認エリアを確保する必要がないので、その分、大きく広範囲に情報報知手段3´の情報表示エリア3F,3Gを形成できる。その結果、携帯電話機を手で持っているときや通話しているようなときには、携帯電話機本体10の裏面10Bが外部側に露呈する。このため、周辺の者はこの情報報知手段3´の表示情報が目に入りやすく、広告宣伝情報が大きく目に飛び込んできて、宣伝効果を大いに発揮させることができる。つまり、特に広告宣伝媒体としての価値が高いものを提供できる。
【0060】
(第2の実施形態の変形例)
図7に示すように、使用者の趣向により携帯電話機本体10に保護カバー20が別途取付けてある場合には、その保護カバー20にブロックシート9を貼着させてもよい。
この保護カバー20は、通常、図7に示すように、表板20Aと裏板20Bとで携帯電話本体10を挟持する二つ折り構造となっており、携帯電話本体10と一体に取付けられている。つまり、表板20Aである扉体は、片開きの開閉携帯として機能する一方、裏板20Bは携帯電話機本体10の裏面に一体に固定してある。
【0061】
保護カバー20には、以下に説明する本実施形態のブロックシート9が貼着されることにより、本発明に特有の電磁波ブロックと、細菌類などからの感染防止と、所持者やその周辺の者(この保護カバー20が目に入る者)に対する広告宣伝としてのPR機能とを果たすことができる。
【0062】
図7に示すブロックシート9は、各層の形状が若干異なるものの図6に示すブロックシート8と同様の積層構造であって、いずれも図示しないが、最外面から順に、殺菌層と、情報報知手段、シート本体と、電磁シールド手段を一体となった粘着層と、剥離紙とを備えている。但し、剥離紙は第1の実施形態と同一のものである。
【0063】
次に、本実施形態のブロックシート9の作用について説明する。
初めに、その取付け方法から説明する。
このブロックシート9´を保護カバー20の表板20Aである扉体に貼着させれば、携帯電話機の使用にあたり、第2の実施形態と同様、電磁シールド作用、殺菌若しくは除菌作用、さらに、携帯電話機の所持者やその周辺の者に対して広告宣伝機能、以上の都合3種の機能を1枚のブロックシート9´でまとめて発揮させることができる。
【0064】
従って、携帯電話機を長時間携行する場合であっても、電磁波漏れによる使用者への悪影響を可及的に減殺できる。そのため、細菌やウイルスなどの付着による感染症防止など衛生上の観点から好都合であるのみならず、携行者への電磁波の悪影響を防止できる。従って、携帯電話機を長期間に亘り安全かつ衛生的に携行可能になる。特に、電磁波過敏症の使用者等であっても長時間の安全な携行が可能となる。
【0065】
また、本実施形態によれば、携帯電話機本体10の裏面10B貼着したブロックシート8では、第1の実施形態のブロックシート1に比べ、自社の社名やロゴマークなど広告宣伝情報を大きなエリア3F,3Gを専有して印刷・印字してあるので、電磁シールド作用及び殺菌作用の他に、大きな宣伝広告機能が発揮できる。つまり、第2の実施形態と同様、特に広告宣伝媒体としての価値が高いものが得られる。
【0066】
(第3の実施形態)
図8(a)に示す本実施形態では、携帯電話機本体10の表面10Aにブロックシート1´が、また、裏面10Bにブロックシート8´が、それぞれ取り付けてある。
これらのブロックシート1´及び8´を設けることで、貼着層5(図2参照)及び貼着層5´(図6参照)にそれぞれ一体をなして設けた電磁シールド手段7,7が共同作用して導波路的な機能を構成する。即ち、ブロックシート1´及び8´の同時使用により、各貼着層5、5´に一体に設けた電磁シールド手段7,7は、図8(b)に示すように、互いに一定距離Dだけ離間した平行平板を構成しており、これらが導波路的に機能する。
【0067】
次に本実施形態の作用について詳細に説明する。
本実施形態では、図8(a)に示すような恰好で、表面10A及び裏面10Bに、それぞれブロックシート1´及び8´を貼着させた携帯電話機本体10を顔或いは耳にかざしたとする。
すると、図8(a)において、携帯電話機本体10内部で発生した不要な電磁波のうち、特に携帯電話機本体10の表面10A部分から+Z方向に漏出しようとする電磁波については、その多くが、表面10Aに貼着したブロックシート1´の方の電磁シールド手段7でブロックされる。
一方、携帯電話機本体10内部で発生した不要な電磁波のうち、特に携帯電話機本体10の裏面10Bから-Z方向に漏出しようとする不要な電磁波については、その多くが、裏面10Bに貼着したブロックシート8´の方の電磁シールド手段7でブロックされる。
【0068】
このように、一対の電磁シールド手段7,7の間でブロックされた不要な電磁波は、その進行方向が+/-Z方向へ向かうのを阻止(ブロック)される。即ち、平行平板を構成する電磁シールド手段7,7が導波路的な機能を有しているので、進行を阻止された電磁波hνは、電磁シールド手段7,7間で進路を90度折曲され、+/-Y方向に沿った左右両側の、電磁シールドが及びにくい開口部α及びβへ強制的に誘導される。
【0069】
これにより、携帯電話機本体10内部で発生した不要な電磁波が、開口部α及びβから効果的に外部へ放出される。換言すれば、携帯電話機本体10内部で発生した不要な電磁波の大部分が使用者の頭部等に進行・入射することなく開口部α、βに向け誘導・放出される。このように、不要な電磁波hνの伝播進路を、+/-Z方向から+/-Y方向に90度折り曲げ、電磁波の影響がもたらされる虞が少ない携帯電話機本体10の側面外部へ誘導できるので、大脳などの生体への深刻な影響を防止できる。
【0070】
従って、このような構成のブロックシート1´及び8´の組み合わせによれば、一対の電磁シールド手段7、7が、図8(b)に示すように、一対の導電体として平行平板を構成している。即ち、携帯電話機本体10内部から発生する不要な電磁波を使用者の耳や脳などを避けた特定方向α、βに導き、外部へ誘導し放出させるように、導波路的に機能する。このため、この電磁シールド手段7、7は、例えば、携帯電話機本体10を手で把持し、顔や耳をブロックシート1´の表面に押し当てて通話を行うような場合、携帯電話機本体10の内部から発生する不要電磁波が、顔などに放射されずにすむ。その結果、脳細胞などに悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0071】
(第4の実施形態)
本実施形態では、図9(a),(b)に示すように、夫々、電車やバスのつり革1000や手摺2000の部分にブロックシート100,200を設置したものであって、このブロックシート100,200は、第2の実施形態とほぼ同等の構成であるが、図示外の電磁シールド手段として図示外の電磁波吸収材を用いている点が異なる。なお、本実施形態のつり革や手摺に貼着するタイプのブロックシートにあっても、電磁シールド手段の使用材料として上記した電磁波吸収材に限定されるものではなく、金属粉体、金属網、不純物ドープ透明金属酸化物の粉体、誘電体多層膜など各種の材料が使用可能である。
【0072】
即ち、本実施形態のブロックシート100,200では、電車やバスのつり革1000や手摺2000の部分に貼着して設置している。本実施形態のブロックシート100,200は、第2の実施形態のような携帯電話機などの携帯用の電子機器やそのケースに貼着させるものではないから、つまり、貼着する電子機器から輻射される有害電磁波をブロックする必要がないので、電磁シールド手段には、電車やバスの内部を飛び交う有害電磁波を吸収させる目的で、電波吸収材を設けた構成としている。
電磁シールド手段に用いる電波吸収材については、第1の実施形態の変形例の中で説明してある電波吸収材料をそのまま使用して構わないが、例えば、共振タイプの電波吸収体の場合、原理的には、吸収させる対象となる有害電磁波の波長fに対して、その波長fの1/100~1/400の厚さを有する焼結フェライトを用いることができる。従って、特に大幅な薄型化を図ることができ、つり革や手摺に貼着するには好都合である。
【0073】
なお、本実施形態のブロックシート100では、この電磁シールド手段以外の構成要素は第2の実施形態と同様であるので、これらの構成要素の説明は省略するが、全体としてのサイズは、例えばつり革に貼着させる場合には、その貼着部位の大きさに合わせた適宜のサイズに形成させてある。
【0074】
従って、図9(a)に示すように、本実施形態のブロックシート100を、電車やバスのつり革1000に貼着させておけば、殺菌層の消石灰による殺菌、除菌、抗菌効果によりつり革1000の吊輪1000´に付着した不特定多数の乗客の手の細菌などを殺菌、除菌して衛生的であるばかりでなく、電車内に飛び交う有害電波を電磁シールド手段が効果的に吸収してくれるので、電波障害の防止とともに安全性も向上する。さらに、このブロックシート100によれば、情報報知手段として設けた広告宣伝情報がつり革1000につかまる乗客の目にとまり易く、企業などのPR効果をもたらす。また、図9(b)に示すように、本実施形態のブロックシート200を電車やバスの手摺2000に貼着したものにあっても、つり革1000に貼着したブロックシート100と同様の3種類の効果をもたらすことができ、便宜である。特に、不特定多数の乗客の手が触れる手摺2000に対する衛生面での効果は勿論のこと、常に乗客の目にさらされる可能性の高い手摺2000に対する有効な広告宣伝媒体としても活用でき、経済的な効果も大いに期待される。
【0075】
(第5の実施形態)
本実施形態では、図10(a),(b)に示すように、夫々、ショッピングカート3000及びベビーカー4000の各取手等の部位にブロックシート300,400が貼着されている。本実施形態のブロックシート300,400は、夫々、貼着する部位の大きさに合わせて適宜の大きさに形成されており、第4の実施形態と同様、本実施形態でも、殺菌層での殺菌、除菌、抗菌機能、電磁シールド手段による電磁波吸収機能、及び情報報知手段による公告宣伝機能の3種類の機能を備えている。なお、本実施形態のブロックシート300,400は、第4の実施形態と同一構成であるので、具体的な構成については説明を省略する。
【0076】
図10(a)に示すように、本実施形態のブロックシート300をスーパーマーケットなどに用意してあるショッピングカート3000に貼着したものにあっては、特につり革と同じように不特定多数の客が取手を握るので、従来のショッピングカートでは不衛生であるとして取手を握ることに嫌悪感を抱く買物客に対しても、殺菌層の消石灰による取手への殺菌、除菌、抗菌作用によって、安心感をもたらすことができる。
従って、ショッピングカート置き場において、これらのショピングカート3000にはこのような3種の機能を有するブロックシート300を取り付けてあることを謳った掲示板等を立てておいたり、各ショッピングカート3000にはこれらの機能を備えたブロックシートを貼着してあることを説明するステッカーなどを同時に貼着しておけば、他のスーパーマーケットに対して差別化を図ることができ、宣伝効果を高めることができる。
【0077】
また、図10(b)に示すように、本実施形態のブロックシート400を、ベビーカー4000の取手に貼着させておけば、上記したブロックシート300と同様の殺菌層の殺菌、除菌、抗菌効果により、母親などが把持する手などを、常時、殺菌、除菌して衛生的であるばかりでなく、ベビーカー4000の近傍で有害電波が飛び交っていたとしてもこれらを電磁シールド手段が効果的に吸収してくれるので、ベビーカー4000に載せている赤ん坊に対しても安全性の向上を図ることができる。さらに、このブロックシート400によれば、情報報知手段として設けた広告宣伝情報が、このベビーカー4000周辺に集まっている使用者の友人や傍を通り過ぎる人達の目にとまり、情報報知手段に記載された企業などへのPR効果も期待できる。
【0078】
(第6の実施形態)
本実施形態では、図11に示すように、ハンドル5000の運転者の目に付き易い外側ホイール部分に、第4、第5の実施形態と同じ構成のブロックシート500,600が貼着されている。
【0079】
本実施形態のブロックシート500,600についても、夫々、貼着する部位の大きさに合わせて適宜の大きさに形成されており、ブロックシート500は手元近くの運転者が最も頻繁に手で掴む左右外側下部付近に、ブロックシート600は運転者の目に付き易い最上部付近に貼着されている。なお、本実施形態のブロックシート500,600も、第4、第5の実施形態と同一構成であるので、具体的な構成については説明を省略する。
【0080】
従って、本実施形態によれば、ブロックシート500については、車の運転者が普段手で把持する左右両側下部付近に貼着させてあるので、運転中に把持する手に細菌などが付着していてもその手の殺菌、除菌を常時行うことができるばかりか、把持する掌が汗ばんでも掌が接触する殺菌層を構成する消石灰がこれをうまく吸収してくれる。このため、ハンドルを握る手が汗で滑るといったトラブルを防止できるばかりか、殺菌層がその汗の水分を吸収して活性化され、殺菌作用が一層高まるといった効果も期待できる。勿論、この殺菌作用の他に、車内に飛び交う有害な電磁波をこのブロックシート500で吸収してくれるとともに、運転席に着座するたびに情報報知手段として記載されている広告宣伝情報を運転者の目に焼付けることができ、広告宣伝効果としての存在意義が大きい。
【0081】
他方、ブロックシート600については、有害電波の吸収作用は勿論、情報報知手段の広告宣伝情報が、運転席に着座しているときだけでなく、運転中にも無意識のうちに何気なく目に入ることもあり、ブロックシート500と同様、大きな広告宣伝効果が期待できる。また、このブロックシート600に設けた殺菌層により、車内の空気中に浮遊する雑菌などの浄化などの抗菌作用も期待できるので、殺菌フィルターを態々設けなくてもその代替手段としての機能も期待できるのでその分、付加価値が高まる。
【0082】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。
また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0083】
1 ブロックシート
1´ ブロックシート(剥離紙を剥がしたもの)
2 殺菌層
3 情報報知手段
4 シート本体
5 貼着層
6 剥離紙
7 電磁シールド手段
8 ブロックシート
8´ ブロックシート(剥離紙を剥がしたもの)
9 ブロックシート
9´ ブロックシート(剥離紙を剥がしたもの)
10 携帯電話機本体
10D 液晶画面
20 保護カバー
31、32 接着層
33 小孔
34 けば(毛羽/毳)
100 ブロックシート
200 ブロックシート
300 ブロックシート
400 ブロックシート
500 ブロックシート
600 ブロックシート
1000 (電車、バスなどの)つり革
2000 (電車、バスなどの)手摺
3000 ショピングカート
4000 ベビーカー
5000 車のハンドル
α、β 開口部(携帯電話機本体を把持する手に対応する不要電磁波出口部分)
h・ν 有害電磁波(従来ならば使用者の顔などへ向かうはずの有害な一部電磁波)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11