(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】車載用ワイヤレス充電器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240903BHJP
H04M 1/11 20060101ALI20240903BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240903BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240903BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H04M1/11 C
B60R11/02 T
H02J50/10
(21)【出願番号】P 2020079428
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】391019681
【氏名又は名称】株式会社コムテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】地濃 拓郎
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-034584(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0126843(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02J 50/00 -50/90
H04M 1/02 - 1/23
G01C 21/00 -21/36
G01C 23/00 -25/00
B60R 9/00 -11/06
B60R 25/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末をワイヤレス充電するために車両に搭載される車載用ワイヤレス充電器であって、
充電位置に配置された前記携帯端末をワイヤレス充電するように構成された充電部と、
前記充電位置に配置された前記携帯端末を保持する保持状態と、前記携帯端末を保持しない開放状態と、に切り替わるように構成された端末保持部と、
前記車両の使用者により操作される操作部であって、前記端末保持部を前記保持状態または前記開放状態に切り替えるための状態切替信号を前記端末保持部に対して送信するように構成された操作部と、
前記車両の走行状態を含む車両情報を取得するように構成された情報取得部と、
前記車両情報に基づき、車両使用者による前記携帯端末の操作制限条件が成立したか否か判定し、前記操作制限条件が成立した場合には前記操作部から前記端末保持部への前記状態切替信号の送信を禁止し、前記操作制限条件が成立しない場合には前記操作部から前記端末保持部への前記状態切替信号の送信を許可するように構成された切替禁止判定部と、
を
備え、
前記車両情報は、前記車両のサイドブレーキの状態を含んでおり、
前記切替禁止判定部は、前記サイドブレーキがOFF状態の場合に、前記操作制限条件が成立したと判定する、
車載用ワイヤレス充電器。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用ワイヤレス充電器であって、
前記車両情報は、前記車両の移動速度を含んでおり、
前記切替禁止判定部は、前記移動速度が予め定められた速度閾値を超えた場合に、前記操作制限条件が成立したと判定する、
車載用ワイヤレス充電器。
【請求項3】
請求項1に記載の車載用ワイヤレス充電器であって、
前記車両情報は、前記車両のGPS位置情報を含んでおり、
前記切替禁止判定部は、前記GPS位置情報が変化している場合に、前記操作制限条件が成立したと判定する、
車載用ワイヤレス充電器。
【請求項4】
請求項1に記載の車載用ワイヤレス充電器であって、
前記車両情報は、前記車両のシフトレバーの操作位置に関するシフトレバー情報を含んでおり、
前記切替禁止判定部は、前記シフトレバーの操作位置がドライブレンジまたはニュートラルレンジである場合に、前記操作制限条件が成立したと判定する、
車載用ワイヤレス充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載用ワイヤレス充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設置される車載用ワイヤレス充電器が利用されている。車載用ワイヤレス充電器は、例えば、携帯端末を充電する用途に用いられる。携帯端末は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ノート型パソコンなどがある。
【0003】
車載用ワイヤレス充電器は、車両使用者による操作に応じて、携帯端末を保持する保持状態と、携帯端末を開放する開放状態と、を切替えるように構成されている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-088092号公報
【文献】特開2013-121251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の車載用ワイヤレス充電器は、車両の運転中に、保持状態から開放状態への切替操作が可能であるため、自動車事故が発生する可能性がある。
つまり、車両の運転中に、車両使用者が保持状態から開放状態への切替操作を行うと、車両使用者が携帯端末を操作できる状態になる。これにより、携帯端末を操作しながら車両を運転する、いわゆる「ながら運転」が可能になる。このような場合には、自動車事故に繋がる可能性がある。
【0006】
そこで、本開示の一局面における車載用ワイヤレス充電器は、車両使用者による携帯端末の操作に起因した自動車事故の発生を抑制できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一局面における車載用ワイヤレス充電器は、充電部と、端末保持部と、操作部と、情報取得部と、切替禁止判定部と、を備える。車載用ワイヤレス充電器は、携帯端末をワイヤレス充電するために車両に搭載される。
【0008】
充電部は、充電位置に配置された前記携帯端末をワイヤレス充電するように構成されている。端末保持部は、保持状態と、開放状態と、に切り替わるように構成されている。保持状態は、前記充電位置に配置された前記携帯端末を保持する状態である。開放状態は、前記携帯端末を保持しない状態である。
【0009】
操作部は、車両使用者により操作される。操作部は、状態切替信号を前記端末保持部に対して送信するように構成されている。状態切替信号は、前記端末保持部を前記保持状態または前記開放状態に切り替えるための信号である。
【0010】
情報取得部は、前記車両の走行状態を含む車両情報を取得するように構成されている。
切替禁止判定部は、前記車両情報に基づき、前記車両使用者による前記携帯端末の操作制限条件が成立したか否か判定するように構成されている。切替禁止判定部は、前記操作制限条件が成立した場合には、前記操作部から前記端末保持部への前記状態切替信号の送信を禁止する。切替禁止判定部は、前記操作制限条件が成立しない場合には、前記操作部から前記端末保持部への前記状態切替信号の送信を許可する。
【0011】
このように、車載用ワイヤレス充電器は、車両情報に基づき操作制限条件が成立すると、端末保持部への状態切替信号の送信が禁止されるため、車両使用者による端末保持部の状態切替が制限される。
【0012】
これにより、車載用ワイヤレス充電器は、操作制限条件が成立する場合には、充電位置から携帯端末が取り外されるのを制限することができ、車両使用者による携帯端末の操作に起因した自動車事故の発生を抑制できる。
【0013】
次に、前記車両情報は、前記車両の移動速度を含んでもよい。前記切替禁止判定部は、前記移動速度が予め定められた速度閾値を超えた場合に、前記操作制限条件が成立したと判定してもよい。つまり、車両の移動速度が速度閾値を超えた場合には、実際に車両が移動しているため、車両使用者による携帯端末の操作を制限することで、事故の発生を抑制できる。
【0014】
次に、前記車両情報は、前記車両のGPS位置情報を含んでもよい。前記切替禁止判定部は、前記GPS位置情報が変化している場合に、前記操作制限条件が成立したと判定してもよい。つまり、車両のGPS位置情報が変化している場合には、実際に車両が移動しているため、車両使用者による携帯端末の操作を制限することで、事故の発生を抑制できる。
【0015】
次に、前記車両情報は、前記車両のシフトレバーの操作位置に関するシフトレバー情報を含んでもよい。前記切替禁止判定部は、前記シフトレバーの操作位置がドライブレンジ(以下、Dレンジ、ともいう)またはニュートラルレンジ(以下、Nレンジ、ともいう)である場合に、前記操作制限条件が成立したと判定してもよい。つまり、シフトレバーの操作位置がドライブレンジまたはニュートラルレンジである場合には、車両が移動可能な状態であるため、車両使用者(詳細には、運転者)は車両操作に集中する必要がある。このような場合に、車両使用者による携帯端末の操作を制限することで、事故の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】車載用ワイヤレス充電器の構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
尚、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0018】
[1.第1実施形態]
[1-1.全体構成]
車載用ワイヤレス充電器1は、車両(図示省略)に搭載されるように構成されている。車載用ワイヤレス充電器1は、携帯端末25をワイヤレス充電する。車載用ワイヤレス充電器1は、携帯端末25を保持するように構成されている。
【0019】
車両は、車両制御装置21(以下、車両ECU21ともいう)を備える。車両ECU21は、車両の各部を制御するための制御処理を実行する制御装置である。制御処理は、例えば、エンジン制御、モータ制御、走行制御などである。車両ECU21は、例えば、マイクロコンピュータを備える。マイクロコンピュータは、図示しないCPU、RAM、ROMなどを備える。
【0020】
車両ECU21は、車両情報を取得するように構成されている。車両情報は、サイドブレーキの状態(ON、OFF)、シフトレバーの位置、車両速度、GPS位置情報などを含む。シフトレバーの位置は、パーキング(P)、後退走行(R)、ニュートラル(N)、前進走行(D)などがある。
【0021】
図1に示すように、車載用ワイヤレス充電器1は、制御部11と、端末保持部13と、操作部15と、信号遮断部17と、充電部19と、を備える。
制御部11は、車載用ワイヤレス充電器1における各種の処理を実行する制御装置である。制御部11が実行する処理は、充電制御処理、端末保持制御処理などを含む。制御部11は、マイクロコンピュータを備えて構成されている。制御部11は、CPU11a、RAM11b、ROM11c、入出力部11dなどを備える。制御部11は、換言すれば、ワイヤレス充電制御回路である。
【0022】
制御部11は、第1指令信号Saを端末保持部13(詳細には、後述するモータコントローラ13a)に出力するように構成されている。第1指令信号Saは、端末保持部13を保持状態または開放状態に切り替える信号である。第1指令信号Saは、保持指令信号Sa1と、開放指令信号Sa2と、を含む。保持指令信号Sa1は、端末保持部13を保持状態に設定するための指令信号である。開放指令信号Sa2は、端末保持部13を開放状態に設定するための指令信号である。
【0023】
制御部11は、第2指令信号Sbを信号遮断部17に出力するように構成されている。第2指令信号Sbは、信号遮断部17を閉状態または開状態のいずれかに切り替える信号である。第2指令信号Sbは、閉指令信号Sb1と、開指令信号Sb2と、を含む。閉指令信号Sb1は、信号遮断部17を閉状態に設定するための指令信号である。開指令信号Sb2は、信号遮断部17を開状態に設定するための指令信号である。
【0024】
制御部11は、状態切替信号Smを受信するように構成されている。後述するように、状態切替信号Smは、操作部15が出力する信号である。
制御部11は、入出力部11dが、車両ECU21から車両情報を取得するように構成されている。上述のように、車両情報は、サイドブレーキの状態(ON、OFF)、シフトレバーの位置、車両速度、GPS位置情報などを含む。
【0025】
端末保持部13は、携帯端末25を保持するように構成されている。端末保持部13は、モータコントローラ13aと、モータ13bと、アーム13cと、を備える。
モータコントローラ13aは、モータ13bを制御するように構成されている。モータコントローラ13aは、アーム開閉指令信号を受信するように構成されている。アーム開閉指令信号は、操作部15が出力する状態切替信号Smと、制御部11が出力する第1指令信号Sa、を含む。
【0026】
モータ13bは、アーム13cを移動させる駆動力を発生するように構成されている。モータ13bは、正回転および逆回転するように構成されている。
アーム13cは、第1アーム13c1と、第2アーム13c2と、を備える。アーム13cは、第1アーム13c1と第2アーム13c2との距離(以下、アーム間距離Laともいう)が変化するように構成されている。アーム間距離Laの最大値は、携帯端末25の幅寸法よりも大きく設定されている。アーム間距離Laの最小値は、携帯端末25の幅寸法よりも小さく設定されている。
【0027】
モータ13bは、アーム間距離Laを縮小するための第1駆動力と、アーム間距離Laを拡大するための第2駆動力と、を発生する。
アーム13cは、モータ13bの駆動力によって、アーム間距離Laが変化するように構成されている。アーム13cは、アーム間距離Laを変更することで、携帯端末25を保持する保持状態と、携帯端末25を保持しない開放状態と、に切り替わるように構成されている。保持状態は、充電位置に配置された携帯端末25を保持する状態である。充電位置は、充電部19によりワイヤレス充電が可能な位置である。
【0028】
つまり、端末保持部13は、2つのアーム13cの間に携帯端末25を保持することで、携帯端末25が充電位置から脱落するのを抑制できる。
操作部15は、車両の使用者により操作されるように構成されたアーム開閉スイッチである。操作部15は、状態切替信号Smを端末保持部13に対して送信するように構成されている。状態切替信号Smは、端末保持部13を保持状態または開放状態に切り替えるための信号である。状態切替信号Smは、保持指令信号Sm1と、開放指令信号Sm2と、を含む。保持指令信号Sm1は、端末保持部13を保持状態に設定するための指令信号である。開放指令信号Sm2は、端末保持部13を開放状態に設定するための指令信号である。操作部15は、例えば、押しボタン式スイッチ、トグルスイッチ、スライドスイッチなどを備えてもよい。操作部15は、信号経路Lsを介して端末保持部13と接続されている。信号経路Lsは、状態切替信号Smを伝達するように構成されている。
【0029】
信号遮断部17は、信号経路Lsに設けられている。信号遮断部17は、電気的に導通する導通状態(閉状態)、または電気的に導通していない絶縁状態(開状態)のいずれかに切り替わるように構成されている。信号遮断部17は、信号経路Lsを接続状態(閉状態)または遮断状態(開状態)のいずれかに切り替える。接続状態は、操作部15から端末保持部13へ信号を送信できる状態である。遮断状態は、操作部15から端末保持部13へ信号を送信できない状態である。
【0030】
つまり、信号遮断部17は、操作部15から端末保持部13への状態切替信号Smの送信状態に関して、信号送信を禁止する送信禁止状態と、信号送信を許可する送信許可状態と、を切り替えるように構成されている。
【0031】
充電部19は、充電位置19aに配置された携帯端末25をワイヤレス充電するように構成されている。充電部19は、例えば、電磁誘導方式により携帯端末25を充電することができる。充電部19は、有線ケーブルを用いた有線充電方式ではなく、ワイヤレス充電方式により、充電位置19aに配置された携帯端末25を充電できる。
【0032】
[1-2.端末保持制御処理]
次に、
図2を用いて、制御部11が実行する端末保持制御処理について説明する。
車両の使用者が操作部15を操作して、端末保持部13が携帯端末25を保持した状態になることに応じて、制御部11は、端末保持制御処理を開始する。制御部11は、操作部15からの保持指令信号Sm1を受信することに応じて、端末保持部13が携帯端末25を保持していると判定する。
【0033】
端末保持制御処理を開始すると、制御部11は、まず、S110(Sはステップを表す)において、操作部15による端末保持部13(詳細には、2つのアーム13c)の開操作指令が行われたか否かを判定し、肯定判定するとS120に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。制御部11は、操作部15からの状態切替信号Smに基づいて、開操作指令が行われたか否か判定する。具体的には、制御部11は、操作部15から開放指令信号Sm2が出力されると、肯定判定する。
【0034】
制御部11は、S110で肯定判定されてS120に移行すると、「サイドブレーキがON状態」、「シフトレバーがPレンジ」の各条件がともに成立しているか否かを判定する。なお、Pレンジは、パーキングレンジ(駐車レンジ)である。制御部11は、全ての条件が成立している場合には肯定判定してS130に移行し、いずれか1つの条件が成立していない場合には否定判定してS140に移行する。S120は、車両停止中における操作許可条件(2つのアーム13cの開閉操作を許可する条件)が成立しているか否かを判定するステップである。操作許可条件は、使用者による携帯端末25の操作を許可するための条件である。
【0035】
制御部11は、S130では、端末保持部13の2つのアーム13cの開閉操作を許可する。具体的には、制御部11は、閉指令信号Sb1を信号遮断部17に出力する。これにより、信号遮断部17は閉状態に設定されて、信号経路Lsは接続状態に設定される。この結果、操作部15から端末保持部13へ状態切替信号Smを送信できる状態となる。つまり、制御部11は、使用者による操作部15の操作に基づく、2つのアーム13cの開閉操作を許可する。
【0036】
制御部11は、S140では、「サイドブレーキがON状態」、「シフトレバーがドライブレンジ(Dレンジ)またはニュートラルレンジ(Nレンジ)」の各条件が成立しているか否かを判定する。制御部11は、全ての条件が成立している場合には肯定判定してS150に移行し、いずれか1つの条件が成立していない場合には否定判定してS160に移行する。S140は、車両停止中における操作制限条件(2つのアーム13cの開閉操作を禁止する条件)が成立しているか否かを判定するステップである。操作制限条件は、使用者による携帯端末25の操作を制限するための条件である。
【0037】
制御部11は、S150では、端末保持部13の2つのアーム13cの開閉操作を禁止する。具体的には、制御部11は、開指令信号Sb2を信号遮断部17に出力する。これにより、信号遮断部17は開状態に設定されて、信号経路Lsは遮断状態に設定される。この結果、操作部15から端末保持部13へ状態切替信号Smを送信できない状態となる。つまり、制御部11は、使用者による操作部15の操作に基づく、2つのアーム13cの開閉操作を禁止する。
【0038】
制御部11は、S160では、「車両速度が0km/hよりも大きい」という条件が成立しているか否かを判定する。制御部11は、この条件が成立している場合には肯定判定してS170に移行し、この条件が成立していない場合には否定判定してS180に移行する。S160は、車両運転中における操作制限条件(2つのアーム13cの開閉操作を禁止する条件)が成立しているか否かを判定するステップである。
【0039】
制御部11は、S170では、S150と同様に、端末保持部13の2つのアーム13cの開閉操作を禁止する。
制御部11は、S180では、「GPSによる車両移動が検出されている」という条件が成立しているか否かを判定する。制御部11は、この条件が成立している場合には肯定判定してS190に移行し、この条件が成立していない場合には否定判定して端末保持制御処理を終了する。S180は、車両運転中における操作制限条件(2つのアーム13cの開閉操作を禁止する条件)が成立しているか否かを判定するステップである。
【0040】
制御部11は、S190では、S150と同様に、端末保持部13の2つのアーム13cの開閉操作を禁止する。
制御部11は、S180で否定判定されるか、S190を完了すると、端末保持制御処理を終了する。
【0041】
上記のように、端末保持制御処理は、使用者による2つのアーム13cの開閉操作を、許可するか禁止するかを判定するための制御処理である。
つまり、制御部11は、端末保持制御処理を実行することで、車両情報(サイドブレーキの状態、シフトレバーの位置、車両速度、GPS位置情報など)に基づき、操作制限条件および操作許可条件のうちいずれかが成立したか否かを判定する(S120、S140、S160、S180)。
【0042】
制御部11は、操作制限条件が成立した場合(S140、S160、S180のいずれかで肯定判定)には、操作部15から端末保持部13への状態切替信号Smの送信を禁止する。制御部11は、操作許可条件が成立した場合(S120で肯定判定)には、操作部15から端末保持部13への状態切替信号Smの送信を許可する。
【0043】
[1-3.効果]
以上説明したように、本実施形態の車載用ワイヤレス充電器1は、車両情報に基づき操作制限条件が成立すると(S140、S160、S180のいずれかで肯定判定)、端末保持部13への状態切替信号Smの送信が禁止される。このため、車両使用者による端末保持部13の状態切替が制限される。
【0044】
これにより、車載用ワイヤレス充電器1は、操作制限条件が成立する場合には、充電位置から携帯端末25が取り外されるのを制限することができ、車両使用者による携帯端末25の操作に起因した自動車事故の発生を抑制できる。
【0045】
次に、制御部11は、移動速度が予め定められた速度閾値(0km/h)を超えた場合に、操作制限条件が成立したと判定している(S160)。つまり、車両の移動速度が速度閾値を超えた場合には、実際に車両が移動している。このような場合に、車両使用者による携帯端末25の操作を制限することで、事故の発生を抑制できる。
【0046】
次に、制御部11は、前記GPS位置情報が変化している場合に、前記操作制限条件が成立したと判定している(S180)。つまり、車両のGPS位置情報が変化している場合には、実際に車両が移動している。このような場合に、車両使用者による携帯端末25の操作を制限することで、事故の発生を抑制できる。
【0047】
次に、制御部11は、シフトレバーの操作位置がドライブレンジまたはニュートラルレンジである場合に、前記操作制限条件が成立したと判定している(S140)。つまり、シフトレバーの操作位置がドライブレンジまたはニュートラルレンジである場合には、車両が移動可能な状態である。このような場合、車両使用者(詳細には、運転者)は車両操作に集中する必要があるため、車両使用者による携帯端末25の操作を制限することで、事故の発生を抑制できる。
【0048】
[1-5.文言の対応関係]
ここで、文言の対応関係について説明する。
制御部11が情報取得部の一例に相当し、制御部11および信号遮断部17が切替禁止判定部の一例に相当する。
【0049】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0050】
(a)上記実施形態では、端末保持制御処理のS160における判定条件(操作制限条件)として、「シフトレバーがDレンジまたはNレンジ」という条件を用いたが、本開示の車載用ワイヤレス充電器においては、操作制限条件はこのような条件に限られることはない。例えば、「シフトレバーがDレンジ、Nレンジ、Rレンジのうちいずれか」という条件でもよい。
【0051】
(b)上記実施形態では、端末保持制御処理のS120における判定条件(操作許可条件)として、「サイドブレーキがON状態」、「シフトレバーがPレンジ」という条件を用いたが、本開示の車載用ワイヤレス充電器においては、操作許可条件はこのような条件に限られることはない。例えば、さらに「フットブレーキが踏まれている」という条件を加えて、全ての条件が成立する場合に、操作可能条件が成立したと判定してもよい。これにより、車両使用者は、より安全に車両(自動車)が停止している状態で、携帯端末を使用することができ、事故の発生を抑制できる。
【0052】
(c)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0053】
1…車載用ワイヤレス充電器、11…制御部、13…端末保持部、13a…モータコントローラ、13b…モータ、13c…アーム、15…操作部、17…信号遮断部、19…充電部、19a…充電位置、21…車両制御装置(車両ECU)、25…携帯端末、Ls…信号経路。