(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】睡眠改善用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/405 20060101AFI20240903BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20240903BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20240903BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240903BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240903BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240903BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20240903BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240903BHJP
A23L 33/175 20160101ALI20240903BHJP
【FI】
A61K31/405
A61K31/198
A61K9/16
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
A61P25/20
A61P43/00 121
A23L33/175
(21)【出願番号】P 2020116576
(22)【出願日】2020-07-06
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】楊 輝
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 将盛
(72)【発明者】
【氏名】王丸 智香子
(72)【発明者】
【氏名】神谷 智康
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102526698(CN,A)
【文献】特開2014-65695(JP,A)
【文献】特開平07-324030(JP,A)
【文献】国際公開第2005/097101(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
9/00-9/72
A61P 1/00-43/00
A23L 33/00-33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テアニン及びトリプトファン、並びにロイシンを含有することを特徴とする睡眠改善用組成物
(ただし、冬虫夏草を含有する組成物を除く)。
【請求項2】
睡眠改善が、入眠改善又は睡眠時間延長によるものであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テアニン及びトリプトファン、並びにロイシンを含有することを特徴とする睡眠改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
社会の環境や日常のストレスなどにより、睡眠障害や不眠症に悩む人々が非常に多い。質の悪い睡眠は生活習慣病の罹患リスクを高め、かつ症状を悪化させることも知られており、睡眠障害や不眠症の改善が求められている。
【0003】
睡眠を改善するために、医薬品である催眠剤、漢方薬の服用や、寝具や睡眠時の環境の改善などが提案されてきたが、睡眠状況は食生活にも大きく左右されることから、長期間安全に摂取できる食品による予防が重要であると考えられ、睡眠改善作用を有する食品の開発が試みられている。例えば、セサミン類による睡眠改善や(特許文献1)、ホップやカモミールなどの生薬による睡眠改善が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-188234号公報
【文献】特開2005-281201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本発明者らが調べたところによれば、セサミン類やホップ、カモミールによる睡眠改善作用や入眠改善作用、睡眠時間延長作用は十分とはいえない。
【0006】
そこで、本発明においては、長期間安全に摂取できる成分を含有し、優れた睡眠改善作用を発揮する睡眠改善用組成物を提供することを課題として、種々の検討を行った。
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を積み重ねた結果、驚くべきことに、テアニンとトリプトファンに、ロイシンを組み合わせたところ、優れた睡眠改善作用が発揮されることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき、完成された発明である。
【0008】
本発明の概要は、以下の通りである。
[1]テアニン及びトリプトファン、並びにロイシンを含有することを特徴とする睡眠改善用組成物。
[2]睡眠改善が、入眠改善又は睡眠時間延長によるものであることを特徴とする[1]に記載の組成物。
[3]テアニン及びトリプトファン、並びにロイシンを含有することを特徴とする入眠改善用組成物。
[4]テアニン及びトリプトファン、並びにロイシンを含有することを特徴とする睡眠時間延長用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の組成物は、入眠改善作用及び睡眠時間延長作用によって、優れた睡眠改善効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例及び比較例の被験物質を使用した際の入眠改善作用の評価結果である。
【
図2】
図2は、実施例及び比較例の被験物質を使用した際の睡眠時間延長作用の評価結果である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
テアニン]
本発明は、テアニンを必須成分とする。テアニンとは、グルタミン酸の誘導体(γ-グルタミルエチルアミド)であり、天然には茶葉に多く含まれるアミノ酸である。
【0013】
テアニンは、グルタミン、グルタミン酸又はピログルタミン酸とエチルアミン又はエチルアミン誘導体を由来とする合成物や茶などの植物由来物、乳酸菌などの微生物による発酵由来物を用いることができ、睡眠改善作用の観点から、合成物及び茶などの植物由来物が好ましく、合成物がより好ましい。
【0014】
テアニンの製造方法としては、例えば、分離精製法、細胞による組織培養法、酵素反応法、合成法、発酵法などが挙げられる。本発明においては、分離精製法や酵素反応法が好ましく、睡眠改善作用の観点から、グルタミンとエチルアミンを用いた酵素反応法が特に好ましい。
【0015】
テアニンは、L-体、D-体及びDL-体のいずれも使用可能であるが、睡眠改善作用の観点から、L-体およびDL-体が好ましく、L-体がより好ましい。
【0016】
本発明の組成物に配合されるテアニンの配合割合としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその配合割合を適宜設定できる。例えば、本発明の睡眠改善用組成物が固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合には、0.001~50質量%が好ましく、0.01~40質量%がより好ましく、0.1~30質量%が特に好ましい。また、例えば、本発明の睡眠改善用組成物が液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合には、0.0001~30質量%が好ましく、0.001~20質量%がより好ましく、0.01~10質量%が特に好ましい。
【0017】
トリプトファン]
本発明は、トリプトファンを必須成分とする。トリプトファンとは、必須アミノ酸の一種である。
【0018】
トリプトファンは、合成物や、乳や羽毛などの動物由来物、大豆やトウモロコシなどの植物由来物を用いることができ、睡眠改善の観点から、乳や羽毛などの動物由来物及び大豆やトウモロコシなどの植物由来物が好ましく、大豆やトウモロコシなどの植物由来物がより好ましい。
【0019】
トリプトファンの製造方法として、抽出法や、酸、アルカリ、酵素による加水分解法、酵母などの微生物による発酵法、合成法などが挙げられるが、酸、アルカリ、酵素による加水分解法及び酵母などの微生物による発酵法が好ましく、睡眠改善の観点から、大豆やトウモロコシ等の植物由来物を基質とした酵母などの微生物による発酵法が特に好ましい。
【0020】
トリプトファンは、L-体、D-体、DL-体のいずれも使用できるが、睡眠改善作用の観点から、L-体およびDL-体が好ましく、L-体がより好ましい。
【0021】
トリプトファンは、遊離体のみならず、塩の形態でも使用することができる。塩の形態としては、酸付加塩や塩基との塩等を挙げることができ、薬理学上許容される塩を選択することが好ましい。トリプトファンの塩としては、具体的には無機塩基、有機塩基、無機酸、有機酸との塩およびアミノ酸との塩等が挙げられる。無機塩基との塩としては、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウム塩等が挙げられる。有機塩基との塩としては、たとえばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンとの塩、モルホリン、ピペリジン等の複素環式アミンとの塩等が挙げられる。無機酸との塩としては、たとえば、ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等)、硫酸、硝酸、リン酸等との塩等が挙げられる。有機酸との塩としては、たとえば、ギ酸、酢酸、プロパン酸等のモノカルボン酸との塩;シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸等の飽和ジカルボン酸との塩;マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸との塩;クエン酸等のトリカルボン酸との塩;α-ケトグルタル酸等のケト酸との塩等が挙げられる。アミノ酸との塩としては、グリシン、アラニン等の脂肪族アミノ酸との塩;フェニルアラニン等の芳香族アミノ酸との塩;アルギニン、リシン等の塩基性アミノ酸との塩;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との塩;ピログルタミン酸等のラクタムを形成したアミノ酸との塩等が挙げられる。睡眠改善作用の観点から、遊離体および有機酸塩が好ましく、遊離体又は塩酸塩がより好ましく、遊離体が特に好ましい。
【0022】
本発明の組成物に配合されるトリプトファンの配合割合としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその配合割合を適宜設定できる。例えば、本発明の睡眠改善用組成物が固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合には、0.001~50質量%が好ましく、0.01~40質量%がより好ましく、0.1~30質量%が特に好ましい。また、例えば、本発明の睡眠改善用組成物が液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合には、0.0001~30質量%が好ましく、0.001~20質量%がより好ましく、0.01~10質量%が特に好ましい。
【0023】
[3.ロイシン]
本発明は、テアニン、トリプトファンに加え、ロイシンを含有する。ロイシンとは、必須アミノ酸の一種であり、分岐鎖アミノ酸にも分類される。
【0024】
ロイシンは、合成物や、乳や羽毛などの動物由来物、大豆やトウモロコシなどの植物由来物を用いることができ、睡眠改善の観点から、乳や羽毛などの動物由来物及び大豆やトウモロコシなどの植物由来物が好ましく、乳や羽毛などの動物由来物がより好ましい。
【0025】
ロイシンの製造方法として、抽出法や、酸、アルカリ、酵素による加水分解法、酵母などの微生物による発酵法、合成法などが挙げられるが、酸、アルカリ、酵素による加水分解法及び酵母などの微生物による発酵法が好ましく、睡眠改善の観点から、乳や羽毛などの動物由来物を原料とした酸、アルカリ、酵素による加水分解法がより好ましい。
【0026】
ロイシンとしては、L-体、D-体、DL-体のいずれも使用できるが、睡眠改善作用の観点から、L-体およびDL-体が好ましく、L-体がより好ましい。
【0027】
ロイシンは、遊離体のみならず、塩の形態でも使用することができる。塩の形態としては、酸付加塩や塩基との塩等を挙げることができ、薬理学上許容される塩を選択することが好ましい。トリプトファン以外の必須アミノ酸の塩としては、具体的には無機塩基、有機塩基、無機酸、有機酸との塩およびアミノ酸との塩等が挙げられる。無機塩基との塩としては、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウム塩等が挙げられる。有機塩基との塩としては、たとえばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンとの塩、モルホリン、ピペリジン等の複素環式アミンとの塩等が挙げられる。無機酸との塩としては、たとえば、ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等)、硫酸、硝酸、リン酸等との塩等が挙げられる。有機酸との塩としては、たとえば、ギ酸、酢酸、プロパン酸等のモノカルボン酸との塩;シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸等の飽和ジカルボン酸との塩;マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸との塩;クエン酸等のトリカルボン酸との塩;α-ケトグルタル酸等のケト酸との塩等が挙げられる。アミノ酸との塩としては、グリシン、アラニン等の脂肪族アミノ酸との塩;フェニルアラニン等の芳香族アミノ酸との塩;アルギニン、リシン等の塩基性アミノ酸との塩;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との塩;ピログルタミン酸等のラクタムを形成したアミノ酸との塩等が挙げられる。睡眠改善作用の観点から、遊離体および塩酸塩が好ましく、遊離体がより好ましい。
【0028】
本発明の組成物に配合されるロイシンの配合割合としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその配合割合を適宜設定できる。例えば、本発明の睡眠改善用組成物が固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合には、0.01~60質量%が好ましく、0.1~50質量%がより好ましく、1.0~40質量%が特に好ましい。また、例えば、本発明の睡眠改善用組成物が液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合には、0.0001~30質量%が好ましく、0.001~20質量%がより好ましく、特に好ましくは0.01~10質量%が特に好ましい。
【0029】
本発明の組成物に配合されるテアニンとトリプトファンとロイシンの合計の配合割合としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその配合割合を適宜設定できる。例えば、本発明の睡眠改善用組成物が固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合には、0.02~100質量%が好ましく、0.1~80質量%がより好ましく、1.0~60質量%が特に好ましい。また、例えば、本発明の睡眠改善用組成物が液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合には、0.0001~30質量%が好ましく、0.001~20質量%がより好ましく、0.01~10質量%が特に好ましい。
【0030】
本発明の組成物において、テアニンとトリプトファンの合計に対するロイシンの含有比は特に限定されないが、睡眠改善作用の観点から、テアニンとトリプトファンの合計質量に対するロイシンの質量比は、テアニンとトリプトファンの合計質量1に対して0.00001~100倍であることが好ましく、0.001~65倍であることがより好ましく、0.01~30倍であることが特に好ましい。
【0031】
本発明の組成物において、テアニンに対するトリプトファンの含有比は特に限定されないが、睡眠改善作用の観点から、テアニンの質量に対するトリプトファンの質量比は、テアニンの質量1に対して0.0001~100倍であることが好ましく、0.001~65倍であることがより好ましく、0.01~30倍であることが特に好ましい。
【0032】
本発明の組成物において、テアニンに対するロイシンの含有比は特に限定されないが、睡眠改善作用の観点から、テアニンの質量に対するロイシンの質量比は、テアニンの質量1に対して0.0001~500倍であることが好ましく、0.001~250倍であることがより好ましく、0.01~100倍であることが特に好ましい。
【0033】
本発明の組成物において、トリプトファンに対するロイシンの含有比は特に限定されないが、睡眠改善作用の観点から、トリプトファンの質量に対するロイシンの質量比は、トリプトファンの質量1に対して0.0001~2000倍であることが好ましく、0.001~800倍であることがより好ましく、0.01~400倍であることが特に好ましい。
【0034】
本発明の組成物の1日の摂取量は特に限定されず、使用態様や使用者の使用内容などに応じて適宜設定できる。例えば、本発明の睡眠改善用組成物が固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合には、使用者の体重を基準として、好ましくは2~2000mg/kgであり、より好ましくは4~1000mg/kgであり、睡眠改善作用の観点から、特に好ましくは30~400mg/kgである。また、例えば、本発明の睡眠改善用組成物が液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合には、使用者の体重を基準として、好ましくは100~40000mg/kgであり、より好ましくは300~30000mg/kgであり、睡眠改善作用の観点から、特に好ましくは500~20000mg/kgである。
【0035】
本発明の組成物の1回の摂取量についても同様に特に限定されない。例えば、本発明の睡眠改善用組成物が固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合には、使用者の体重を基準として、好ましくは1~2000mg/kgであり、より好ましくは2~1000mg/kgであり、睡眠改善作用の観点から、特に好ましくは10~400mg/kgである。また、例えば、本発明の睡眠改善用組成物が液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合には、使用者の体重を基準として、好ましくは50~40000mg/kgであり、より好ましくは100~30000mg/kgであり、睡眠改善作用の観点から、特に好ましくは300~20000mg/kgである。
【0036】
また、本発明の組成物の1日の摂取量は特に限定されず、例えば、本発明の睡眠改善用組成物が固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合には、好ましくは0.2~50g、より好ましくは0.4~25g、睡眠改善作用の観点から、特に好ましくは3~10gとすることができる。また、例えば、本発明の睡眠改善用組成物が液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合には、好ましくは10~1000g、より好ましくは30~750g、睡眠改善作用の観点から、特に好ましくは50~500gとすることができる。
【0037】
本発明の組成物の1回の摂取量は、例えば、本発明の睡眠改善用組成物が固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合には、好ましくは0.1~50g、より好ましくは0.2~25g、睡眠改善作用の観点から、特に好ましくは1~10gとすることができる。また、例えば、本発明の睡眠改善用組成物が液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合には、好ましくは5~1000g、より好ましくは10~750g、睡眠改善作用の観点から、特に好ましくは30~500gとすることができる。
【0038】
本発明の組成物は、テアニンとトリプトファンとロイシンのみを含むものであってもよいし、上記成分に加えて、その他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、添加剤、化粧品原料、医薬品原料などを挙げることができる。その他の成分の含有量は、本発明の睡眠改善用組成物の利用形態などに応じて適宜選択することができる。
【0039】
本発明の組成物は、睡眠改善作用を得ることを目的とした種々の形態で利用され得る。
【0040】
本発明の組成物は、睡眠改善に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに睡眠改善作用、入眠改善作用、又は睡眠時間延長作用の機能がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品や、飼料等を挙げることができる。いわゆる健康食品においては、「睡眠の質の向上」、「熟眠感の改善」、「睡眠時の中途覚醒回数を減らす」、「眠りの深さの改善」、「睡眠リズムの改善」、「日中の眠気の改善」、「起床時の満足感の向上」、「睡眠時間延長感の改善」、「夜間の良質な睡眠をサポート」等を表示したものを例示することができる。
【0041】
本発明の組成物の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。例えば、経口組成物に適した形態、具体的には、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、液状、ジェル状、ペースト状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、チュアブル状などの各形態が挙げられ、使用する形態に合わせて、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、ゲル化剤、乳化剤、着色料、香料、甘味料、添加剤などを配合することができる。本発明の組成物は、睡眠改善作用の観点から、顆粒状、錠状、液状、ジェル状、カプセル状、チュアブル状が好ましく、顆粒状、錠状、カプセル状がより好ましい。ここで、顆粒状とは粉末を造粒した組成物のことを言い、直接飲用してもよく、水などの液体に溶かして飲用してもよい。また、ジェル状とは水とゲル化剤を含有し、粘性又は弾性を有する組成物のことを言う。
【0042】
本発明の組成物の包装形態は特に限定されず、剤形などに応じて適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパック、ストリップ包装、ヒートシール、アルミパウチ、プラスチックや合成樹脂などを用いるフィルム包装、バイアルなどのガラス容器、アンプルなどのプラスチック容器などが挙げられる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
【0044】
<試験 入眠改善作用及び睡眠時間延長作用の評価>
本発明の組成物を摂取することにより、入眠改善作用及び睡眠時間延長作用が発揮されることを確認するため、以下の試験を実施した。
【0045】
[被験物質]
テアニンとしてL-テアニン、トリプトファンとしてL-トリプトファン、及びロイシンとしてL-ロイシンを使用した。これらの成分が表1の割合となるように調製し、実施例及び比較例の被験物質を作成した。L-テアニン、L-トリプトファン、及びL-ロイシンはいずれも市販のものを使用した。
【0046】
[試験動物]
雄性ICR系マウス(10週齢:日本エスエルシー株式会社)を馴化後、体重値に基づいて4群に群分けした。
【0047】
【0048】
[試験方法]
各被験物質は純水を用いて所定の濃度に調製した。各被験物質を強制経口投与(10ml/kg)し、その30分後に生理食塩水で4mg/mlに調製したペントバルビタールナトリウムを腹腔内投与(10ml/kg)した。腹腔内投与後からマウスの姿勢反射消失までの時間を入眠時間とし、姿勢反射の消失から回復までの時間を睡眠時間として測定した。
【0049】
[結果(入眠改善作用)]
試験結果を
図1に示す(数値は平均値)。L-テアニン、L-トリプトファン、並びにL-ロイシンを投与した群(実施例1)は、被験物質未投与群(比較例1)、L-テアニンとL-トリプトファンを投与した群(比較例2)及び、L-ロイシンのみを投与した群(比較例3)に比べて、入眠時間の短縮が確認された。この結果から、L-テアニンとL-トリプトファンにL-ロイシンを組み合わせることにより、優れた入眠改善作用が発揮されることが明らかとなった。
【0050】
[結果(睡眠時間延長作用)]
試験結果を
図2に示す(数値は平均値)。L-テアニン、L-トリプトファン、並びにL-ロイシンを投与した群(実施例1)は、被験物質未投与群(比較例1)、L-テアニンとL-トリプトファンを投与した群(比較例2)及び、L-ロイシンのみを投与した群(比較例3)に比べて、睡眠時間の延長が確認された。この結果から、L-テアニンとL-トリプトファンにL-ロイシンを組み合わせることにより、優れた睡眠時間延長作用が発揮されることが明らかとなった。
【0051】
図1~
図2に示すように、L-テアニンとL-トリプトファンにL-ロイシンを組み合わせることにより、優れた入眠改善作用及び睡眠時間延長作用が発揮されることから、本発明の組成物を摂取することにより、優れた睡眠眠改善作用を得ることができる。
【0052】
(製造例)
実施例の結果に基づいて、以下に本発明の製造例を示す。
【0053】
[製造例1-4:顆粒剤1]
表2の配合の通り、テアニン、トリプトファン及び、ロイシンと他の原料を混合後、造粒機を用いて流動層造粒を行い、製造例1-4に記載の顆粒剤を製造した。製造例1-4に記載の顆粒剤は、1日あたり3gを摂取すればよく、100mlの水などの溶媒に溶かして摂取してもよく、溶かさずにそのまま摂取してもよい。製造例1-4のいずれの顆粒剤も、睡眠改善に有効である。
【0054】
【0055】
[製造例5-8:顆粒剤2]
表3の配合の通り、テアニン、トリプトファン及び、ロイシンと他の原料を混合後、造粒機を用いて流動層造粒を行い、製造例5-8に記載の顆粒剤を製造した。製造例5-8に記載の顆粒剤は、1日あたり10gを摂取すればよく、100mlの水などの溶媒に溶かして摂取してもよく、溶かさずにそのまま摂取してもよい。製造例5-8のいずれの顆粒剤も睡眠改善に有効である。
【0056】
【0057】
[製造例9-13:錠剤]
表4の配合の通り、テアニン、トリプトファン及び、ロイシンと他の原料を混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠を行い、製造例9-13の錠剤を製造した。錠剤は、錠径8mmφ、錠厚4.5mm、重量300mg、硬度5kgf以上で製造した。製造例9-13に記載の錠剤は1日あたり1~2粒を摂取すればよく、100mlの水などと共に摂取することができる。製造例9-13のいずれの錠剤も睡眠改善に有効である。
【0058】
【0059】
[製造例14-17:ハードカプセル]
表5の配合の通り、テアニン、トリプトファン及び、ロイシンと他の原料を混合し、ゼラチン又はヒドロキシプロピルセルロースを含む被膜で被包することで、ハードカプセルを製造した。ハードカプセルは1粒300mgで製造した。1日あたり1~2粒摂取すればよく、100mlの水などと共に摂取することができる。また、製造例14-17のいずれのハードカプセルも睡眠改善に有効である。
【0060】
【0061】
[製造例18-21:PET飲料]
表6の配合の通り、テアニン、トリプトファン及び、ロイシンと他の原料を混合した液剤をPET容器に詰め、PET飲料を製造した。PET飲料は1本500mlで製造した。1日あたり1本摂取すればよい。また、製造例18-21のいずれのPET飲料も睡眠改善に有効である。
【0062】
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の組成物は、入眠改善作用及び睡眠時間延長作用によって、優れた睡眠改善効果を発揮することから、産業上の有用性は高い。