(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】播種装置および播種装置の同期調節方法
(51)【国際特許分類】
A01C 7/08 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
A01C7/08 320H
A01C7/08 320D
(21)【出願番号】P 2020136956
(22)【出願日】2020-08-14
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000132219
【氏名又は名称】株式会社スズテック
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】黒子 仁
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-245603(JP,A)
【文献】特開2013-141429(JP,A)
【文献】実開昭56-055309(JP,U)
【文献】実開昭56-015318(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0183066(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送台1の移送手段2による移送中の育苗容器AのポットPに床土と種子を供給し、ポットP内の床土と種子を鎮圧突起31を有する鎮圧突起ローラ32、32Aにより鎮圧する鎮圧装置を前後に並設したものにおいて、前後の鎮圧突起ローラ32、32Aの回転軸37に後側歯車45と前側歯車46をそれぞれ設け、後側歯車45と前側歯車46にチェン47を掛け回し、チェン47は移送手段2による育苗容器Aの移送と同期させて駆動回転させ、後側歯車45と前側歯車46との間の距離より余裕を持たせた長さとし、チェン47にはバネで上下する歯車48とチェン47に対して位置調節自在の歯車50とを噛み合わせた播種装置。
【請求項2】
請求項1
に記載された播種装置において、位置調節用の歯車50は後側歯車45と前側歯車46の間のチェン47のうちの張り側を移動するチェン47Bに噛み合わせた播種装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2
に記載された播種装置において、位置調節用の歯車50はアーム55の先端に軸装し、アーム55は支持フレーム38に軸56により回動自在に取付け、アーム55と支持フレーム38の間には調節ボルト58を設け、調節ボルト58を移動させることにより、位置調節用の歯車50のチェン47の移動路に対する位置を変更しうるように構成した播種装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3
の何れかに記載された播種装置において、前記育苗容器Aを移送させる移送突起43を駆動させるモーター69の駆動回転を後側歯車45の中間軸73に伝達し、中間軸73に設けた後側伝達歯車61に鎮圧突起ローラ32の受動歯車76を噛み合わせ、前側歯車46の前側中間軸77に設けた前側伝達歯車60に鎮圧突起ローラ32Aの受動歯車78を噛み合わせた播種装置。
【請求項5】
移送台1の移送手段2の上方に、育苗容器AのポットP内に床土を供給する床土供給装置10と、種子を供給する種子供給装置15とを設け、床土供給装置10の前側と種子供給装置15の前側のそれぞれにポットP内を鎮圧する鎮圧突起31を有する鎮圧突起ローラ32、32Aを設け、育苗容器AのポットPの移送に同期させて鎮圧突起ローラ32に回転伝達する後側歯車45と、前側の鎮圧突起ローラ32Aに回転伝達する前側歯車46との間にチェン47を掛け回し、後側歯車45と前側歯車46との間の距離より余裕を持たせた長さとしたチェン47には、バネで上下する歯車48と張り側のチェン47Bに対して位置調節自在の歯車50とを噛み合わせ、回転伝達中の張り側のチェン47に対して位置調節用の歯車50を遠近移動させて、鎮圧突起ローラ32と鎮圧突起ローラ32Aとの鎮圧突起31の回転を同期させる同期調節する播種装置の同期調節方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、播種装置および播種装置の同期調節方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、移送中の育苗容器の縦横の各ポットに床土を供給し、次ぎに、ポットに嵌合する鎮圧突起によりポット内の床土を鎮圧し、次ぎに種子を供給し、供給した種子を鎮圧する方法は公知である(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、床土を鎮圧する床土鎮圧装置と種子を鎮圧する種子鎮圧装置を設けているが、床土鎮圧装置の鎮圧突起ローラと種子鎮圧装置の鎮圧突起ローラは育苗容器の係合孔に係合させた係合突起の回転により回転させる構成のため、回転力が十分でなく、そのため、鎮圧力が弱くなるという課題がある。
また、床土鎮圧装置の鎮圧突起ローラと種子鎮圧装置の鎮圧突起ローラは育苗容器の係合孔に係合させた係合突起の回転により別々に回転させる構成のため、前後の鎮圧ローラの鎮圧突起の回転の同期調節が非常に面倒であるという課題がある。
本願は、播種装置の駆動機構を工夫し、鎮圧力を強く(大きく)すると共に、前後の鎮圧突起ローラの鎮圧突起の回転の同期調節を容易にしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、移送台1の移送手段2による移送中の育苗容器AのポットPに床土と種子を供給し、ポットP内の床土と種子を鎮圧突起31を有する鎮圧突起ローラ32、32Aにより鎮圧する鎮圧装置を前後に並設したものにおいて、前後の鎮圧突起ローラ32、32Aの回転軸37に後側歯車45と前側歯車46をそれぞれ設け、後側歯車45と前側歯車46にチェン47を掛け回し、チェン47は移送手段2による育苗容器Aの移送と同期させて駆動回転させ、後側歯車45と前側歯車46との間の距離より余裕を持たせた長さとし、チェン47にはバネで上下する歯車48とチェン47に対して位置調節自在の歯車50とを噛み合わせた播種装置としたものである。
請求項2の発明は、位置調節用の歯車50は後側歯車45と前側歯車46の間のチェン47のうちの張り側を移動するチェン47Bに噛み合わせた播種装置としたものである。
請求項3の発明は、位置調節用の歯車50はアーム55の先端に軸装し、アーム55は支持フレーム38に軸56により回動自在に取付け、アーム55と支持フレーム38の間には調節ボルト58を設け、調節ボルト58を移動させることにより、位置調節用の歯車50のチェン47の移動路に対する位置を変更しうるように構成した播種装置としたものである。
請求項4の発明は、前記育苗容器Aを移送させる移送突起43を駆動させるモーター69の駆動回転を後側歯車45の中間軸73に伝達し、中間軸73に設けた後側伝達歯車61に鎮圧突起ローラ32の受動歯車76を噛み合わせ、前側歯車46の前側中間軸77に設けた前側伝達歯車60に鎮圧突起ローラ32Aの受動歯車78を噛み合わせた播種装置としたものである。
請求項5の発明は、移送台1の移送手段2の上方に、育苗容器AのポットP内に床土を供給する床土供給装置10と、種子を供給する種子供給装置15とを設け、床土供給装置10の前側と種子供給装置15の前側のそれぞれにポットP内を鎮圧する鎮圧突起31を有する鎮圧突起ローラ32、32Aを設け、育苗容器AのポットPの移送に同期させて鎮圧突起ローラ32に回転伝達する後側歯車45と、前側の鎮圧突起ローラ32Aに回転伝達する前側歯車46との間にチェン47を掛け回し、後側歯車45と前側歯車46との間の距離より余裕を持たせた長さとしたチェン47には、バネで上下する歯車48と張り側のチェン47Bに対して位置調節自在の歯車50とを噛み合わせ、回転伝達中の張り側のチェン47に対して位置調節用の歯車50を遠近移動させて、鎮圧突起ローラ32と鎮圧突起ローラ32Aとの鎮圧突起31の回転を同期させる同期調節する播種装置の同期調節方法としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、後側歯車45と前側歯車46に掛け回した後側歯車45と前側歯車46との間の距離より余裕を持たせた長さとし、チェン47にはバネで上下する歯車48とチェン47に対して位置調節自在の歯車50とを噛み合わせているので、位置調節用の歯車50を上下させると、チェン47の内の上側チェン47Bと下側チェン47Bの長さが変化し、これにより、後側歯車45に対する前側歯車46の位相位置が変化し、その結果、チェン47を止めることなく、床土鎮圧装置30の鎮圧突起ローラ32と種子鎮圧装置35の鎮圧突起ローラ32Aの鎮圧突起31の同期調節ができ、作業性を向上させられ、播種精度を向上させられる。
請求項2の発明では、位置調節用の歯車50は後側歯車45と前側歯車46の間のチェン47のうちの張り側(下側)を移動するチェン47Bに噛み合わせているので、
位置調節用の歯車50のチェン47Bに対する遠近(上下)移動によって前側歯車46の位相を変位させ、床土鎮圧装置30の鎮圧突起ローラ32と種子鎮圧装置35の鎮圧突起ローラ32Aの鎮圧突起31の同期調節ができ、また、位置調節用の歯車50のチェン47Bに対する遠近(上下)移動に伴ってバネで上下する歯車48がチェン47Aを弛めることなく緊張させることができ、チェン47の歯跳び(コマ跳び)現象を発生させずに、同期調節を可能にでき、また、重力により弛みがちなチェン47Bを位置調節用の歯車50が支持することができ、チェン47による動力伝達効率を向上させられて、合理的な構成となる。
請求項3の発明では、位置調節用の歯車50はアーム55に軸装し、アーム55は支持フレーム38に軸56により回動自在に取付け、アーム55と支持フレーム38の間には調節ボルト58を設け、調節ボルト58を移動させることにより、位置調節用の歯車50のチェン47に対する位置を変更するので、一層、位置調節用の歯車50によるチェン47Bの支持を確実にすると共に、同期調節を容易にできる。
請求項4の発明では、育苗容器Aを移送させる移送突起43を駆動させるモーター69の駆動回転を後側歯車45の中間軸73に伝達し、中間軸73に設けた歯車76に鎮圧突起ローラ32の受動歯車76を噛み合わせ、前側歯車46の前側中間軸77に設けた前側伝達歯車60に種子鎮圧突起ローラ32Aの受動歯車78を噛み合わせているので、移送手段2による育苗容器Aの移送と前後の鎮圧突起ローラ32の回転との同期調節を容易にできる。
請求項5の発明では、移送台1の移送手段2の上方に、育苗容器AのポットP内に床土を供給する床土供給装置10と、種子を供給する種子供給装置15とを設け、床土供給装置10の前側と種子供給装置15の前側にポットP内を鎮圧する鎮圧突起31を有する鎮圧突起ローラ32、32Aを設け、育苗容器AのポットPの移送に同期させて鎮圧突起ローラ32に回転伝達する後側歯車45と、前側の鎮圧突起ローラ32Aに回転伝達する前側歯車46との間にチェン47を掛け回し、後側歯車45と前側歯車46との間の距離より余裕を持たせた長さとし、チェン47にはバネで上下する歯車(テンション歯車)48とチェン47に対して位置調節自在の歯車50とを噛み合わせ、回転伝達中のチェン47に対して位置調節用の歯車50を上下させて、鎮圧突起ローラ32と鎮圧突起ローラ32Aの鎮圧突起31との同期調節する播種装置の同期調節方法であるので、播種作業に影響を与えずに、ポットPの移送に対する前後の鎮圧突起ローラ32、32Aの回転を同期させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】種子供給装置の横軸繰出ロールと掻出体の展開状態平面図。
【
図5】播種装置の伝動機構部分の平面図および側面図。
【
図7】鎮圧ローラの伝動機構部分の概略平面図および概略側面図。
【
図8】(A)鎮圧ローラの同期調節前の側面図。 (B)鎮圧ローラの同期調節後の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図により説明すると、1は播種装置の移送台であり、移送手段2を有するフレーム3に支脚4を設けて床上に載置する(
図1)。
移送手段2は育苗容器A(
図2)を始端部から終端部へ移送し、育苗容器Aはセルトレイあるいはポットシート等と当業者に称され、前後左右に多数のポットPを並設して形成している。
移送台1の始端部上方位置には、育苗容器Aの供給スペース6を設け、供給スペース6の前側には移送中の育苗容器Aに上方より床土を供給する床土供給装置10を設ける。
床土供給装置10の構成は任意であり、少なくとも、上部の床土供給ホッパー11と床土供給ホッパー11の下方の床土供給ベルト12を有して構成していればよい(
図1)。
【0009】
床土供給装置10の前側には育苗容器AのポットPに種子を供給する種子供給装置15を設ける。
種子供給装置15は上方に種子供給ホッパー16を設け、種子供給ホッパー16の下方に横軸繰出ロール17を設ける(
図2)。横軸繰出ロール17の外周面には、複数の種子が嵌合する繰出凹部18を形成する(
図3,4)。繰出凹部18はポットPに複数の種子が嵌合する大きさに形成している。本実施形態の繰出凹部18は、平均4粒の種子が嵌合する大きさに形成している。
すなわち、繰出凹部18を1粒あるいは2粒の種子が嵌合する大きさにすると、育苗容器Aの各ポットPに種子が嵌合しないことがあり、この種子が嵌合しないポットPは欠株となるので、好ましくなく、繰出凹部18を平均4粒の種子が嵌合する大きさに形成すると、必ず、少なくとも、2粒以上の種子がポットPに入るので、欠株発生を防止でき、好適である(1粒が嵌合しても、発芽率が100%でないので、欠株に虞があり、当業者は欠株扱いにしている)。
【0010】
繰出凹部18は、育苗容器AのポットPに合わせて円周方向および母線方向にも並設し、円周方向の各繰出凹部18にはスリット19を形成する。スリット19は円周方向に形成し、スリット19には繰出凹部18に嵌合して落下しない種子を掻き出す掻出体20を設ける。掻出体20は前記スリット19より幅狭に形成し、各スリット19に嵌合させる。
なお、繰出凹部18には平均4粒の種子を嵌合させるので、一つの繰出凹部18に2本のスリット19を形成し、種子の落下を確実にさせている。
前記横軸繰出ロール17の直上位置より回転下降側の上方位置には、繰出凹部18に嵌合しない種子を戻す回転戻しブラシ21を設ける(
図2)。回転戻しブラシ21は横軸繰出ロール17との接触面において反対の駆動回転させる。回転戻しブラシ21より回転下降側の横軸繰出ロール17の側面には種子誘導体22を設ける。種子誘導体22は図示省略するがウレンタン等の表面に合成樹脂のシートを重合させ、該シート部材を横軸繰出ロール17の外周面に当接させ、横軸繰出ロール17は回転戻しブラシ21に摺接しながら回転させ、繰出凹部18に嵌合している種子を横軸繰出ロール17の下面部分まで案内誘導する。
【0011】
種子供給装置15の前側の移送台1の上方位置には、移送中の育苗容器Aに上方より覆土を供給する覆土供給装置25を設ける(
図1)。
覆土供給装置25の構成は任意であり、少なくとも、上部の覆土供給ホッパー26と覆土供給ホッパー26の下方の覆土供給ベルト27を有して構成していればよい。
しかして、床土供給装置10の前側の移送台1には床土鎮圧装置(後側鎮圧装置)30を設ける。床土鎮圧装置30は前記育苗容器Aの各ポットP内の床土を鎮圧する(
図1)。
床土鎮圧装置30は、育苗容器Aの各ポットPに嵌合する鎮圧突起31を有する鎮圧突起ローラ32により構成する。鎮圧突起31は鎮圧突起ローラ32の回転方向に育苗容器AのポットPと同期回転するように複数並設すると共に、育苗容器AのポットPに対応させて左右方向にも複数並設して構成する。
また、種子供給装置15の前側の移送台1には種子鎮圧装置(前側鎮圧装置)35を設ける。種子鎮圧装置35は前記育苗容器Aの各ポットP内に播種された種子を鎮圧するものであり、床土鎮圧装置30と同一構成としており、種子鎮圧装置35も、育苗容器AのポットPに対応させて設けた鎮圧突起31を有する種子鎮圧突起ローラ32Aを設けて構成している。
【0012】
鎮圧突起ローラ32および種子鎮圧突起ローラ32Aは、その回転軸37を移送台1側に設けた支持フレーム38の透孔39に上下自在に挿通し、バネ40の弾力により常時透孔39内の下方に位置するように付勢されている(
図6)。
移送台1の移送手段2は、移送台1の供給スペース6に供給した育苗容器Aを移送突起43により移送する構成とし、移送突起43によるポットPの移動と種子供給装置15の繰出凹部18による種子繰出とが同期するように構成としている。
同様に、移送突起43による育苗容器Aの移送と鎮圧突起ローラ32(種子鎮圧突起ローラ32A)の鎮圧突起31の回転とを同期させ、鎮圧突起ローラ32(種子鎮圧突起ローラ32A)の鎮圧突起31がポットPに嵌合するように構成する。
【0013】
この場合、床土鎮圧装置30の鎮圧突起31と種子鎮圧装置35の鎮圧突起31とを同期させて回転させないと、種子鎮圧装置35の鎮圧突起31が育苗容器AのポットPに上手く嵌合せず、種子の鎮圧不良や育苗容器Aの破損等の不都合が生じるが、従来の伝動構成では床土鎮圧装置30の鎮圧突起31と種子鎮圧装置35の鎮圧突起31とを同期させる調節は非常に面倒であり、しかも、播種装置を停止させなければならず、この点でも、床土鎮圧装置30の鎮圧突起31と種子鎮圧装置35の鎮圧突起31とを同期調節は面倒あった。
本発明では、播種装置の床土鎮圧装置30と種子鎮圧装置35の回転伝動経路中の、床土鎮圧装置30の鎮圧突起ローラ32と種子鎮圧装置35の種子鎮圧突起ローラ32Aを駆動回転させる後側歯車45と前側歯車46の間に掛け回したチェン47に、チェン47を常時緊張させる歯車(テンション歯車)48とチェン位置変更用の歯車(位置調節用支持歯車)50とを噛み合わせ、位置調節用支持歯車50のチェン47に対する位置を変更することにより、同期調節可能に構成する。
【0014】
テンション歯車48はテンションアーム51の先端に取付け、テンションアーム51にテンションバネ52の一端を係止し、常時チェン47を緊張させる構成とする。
一方、位置調節用支持歯車50はテンション歯車48を噛み合わせたチェン47とは上下反対側の張り側の下側チェン47Bに噛み合わせると共に、噛み合わせ位置を上下位置変更可能に構成する。
位置調節用支持歯車50はアーム55に軸装し、アーム55は移送台1のフレーム3に軸56により回動自在に取付け、アーム55とフレーム3の間には調節ボルト58を設け、調節ボルト58を前後移動させることにより、位置調節用支持歯車50のチェン47に対する位置を変更しうるように構成している。
【0015】
そのため、位置調節用支持歯車50は下側チェン47Bに対して下動させると、下側チェン47Bを弛緩させ、位置調節用支持歯車50を下側チェン47Bに対して上動させると、下側チェン47Bを緊張させる。
これにより、
図8(A)の状態から位置調節用支持歯車50を下側チェン47Bに対して下動させると、前側歯車46と同芯の前側伝達歯車60とを、
図8(A)において反時計回りに回転させ、位置調節用支持歯車50を下側チェン47Bに対して上動させると、前側歯車46と前側伝達歯車60とを
図8(A)において時計回りに回転させることになる。
【0016】
この位置調節用支持歯車50の上下の作用を、理解を容易にするため、チェン47を停止させた状態と仮定して説明すると、
図8(A)では位置調節用支持歯車50を下側チェン47Bを押し上げた状態であり、この状態では前側歯車46と前側伝達歯車60の仮想センター線Tは垂直より時計回転方向に傾斜し、これに対して、後側歯車45と後側伝達歯車61との仮想センター線tは垂直位置に位置しており、仮想センター線Tと仮想センター線tの不一致が床土鎮圧装置30の鎮圧突起ローラ32と種子鎮圧装置35の種子鎮圧突起ローラ32Aが同期していないことを示している。
【0017】
この状態では、床土鎮圧装置30の後側伝達歯車61と同芯の後側歯車45と種子鎮圧装置35の前側伝達歯車60と同芯の前側歯車46との間の上側チェン47Aはロックされて移動しないが、位置調節用支持歯車50を調節ボルト58により下動させると、床土鎮圧装置30の前側伝達歯車60と種子鎮圧装置35の前側伝達歯車60の間の下側チェン47Bは位置調節用支持歯車50が下がった分弛み、この弛み分を、テンション歯車48が下動し、その結果、上側チェン47Aが
図8(B)のように後側歯車45に向けて引っ張れ、前側歯車46と前側伝達歯車60は
図8(A)から反時計回転し、
図8(A)において垂直より時計回転方向に傾斜していた前側歯車46と前側伝達歯車60の仮想センター線Tは、
図8(B)のように垂直となる。
【0018】
反対に、位置調節用支持歯車50を調節ボルト58により上動させると、
図8(B)の垂直の前側歯車46と前側伝達歯車60の仮想センター線Tは、
図8(A)のように時計回転方向に回転して傾斜する。
したがって、種子供給装置15を移送台1に対して着脱自在に取付け、種子供給装置15を移送台1に装着する前に床土鎮圧装置30と種子鎮圧装置35を移送台1に取付け、床土鎮圧装置30の後側伝達歯車61と種子鎮圧装置35の前側伝達歯車60とを大凡同期するように目視しつつ組み付け、次に、種子供給装置15を移送台1に組み付け、次に、床土鎮圧装置30の後側歯車45と種子鎮圧装置35の前側歯車46との間にチェン47を掛け回すと、組付が完了し、この状態で、移送手段2を空運転させて育苗容器Aを移送し、育苗容器AのポットPに種子鎮圧装置35の鎮圧突起31が嵌合する状態を見つつ、チェン47の位置調節用支持歯車50を上下させると、床土鎮圧装置30の鎮圧突起ローラ32と種子鎮圧装置35の種子鎮圧突起ローラ32Aとの同期の初期設定は完了し、播種作業を行える。
【0019】
また、播種作業中であっても、種子鎮圧装置35の鎮圧突起31が上手くポットPに嵌合しないときは、位置調節用支持歯車50をチェン47に対して上下させると、ポットPに対する種子鎮圧装置35の鎮圧突起31の嵌合位置が変化して同期調節できるので、円滑に播種作業を続行でき、一々播種装置を停止させることなく同期調節できるので、作業効率を向上させられる。
なお、調節ボルト58は位置調節用支持歯車50を取付けたアーム55の起立部55Aに当接してアーム55を軸56中心に上方回動させるように設ければよく、移送台1のフレーム3に設けた取付部材59に移動自在に螺合させている。また、調節ボルト58を起立部55Aから離れる方向(後側)に移動させると、下側チェン47Bに押されて位置調節用支持歯車50とアーム55は下方回動する。
【0020】
しかして、播種装置の床土鎮圧装置30と種子鎮圧装置35の回転伝動機構の構成は任意であるが、一例を示すと、移送突起43は移送チェン65に所定間隔をおいて設け、移送チェン65は前側駆動歯車66と後側歯車67とに掛け回し、移送チェン65にモーター69の出力歯車70の回転を伝達して駆動される構成とし、出力歯車70の出力軸71には別途中間出力歯車72を設け、中間出力歯車72と中間軸73の歯車74との間にチェン75を掛け回し、中間軸73に別途設けた後側伝達歯車61に鎮圧突起ローラ32の回転軸37に固定の受動歯車76を噛み合わせ、育苗容器Aの移送と床土鎮圧装置30の鎮圧突起ローラ32の回転とを同期させる。
【0021】
そして、歯車74を設けた中間軸73には別途前記後側歯車45を設け、後側歯車45と前側中間軸77の前側歯車46との間にチェン47を掛け回し、前側中間軸77に固定の前側伝達歯車60に種子鎮圧突起ローラ32Aの回転軸37に固定の受動歯車78を噛み合わせ、種子鎮圧突起ローラ32Aに回転伝達させる構成とする。
この場合、伝達歯車60、61と鎮圧突起ローラ32および種子鎮圧突起ローラ32Aの受動歯車76、78とはギヤ比を1:1の関係とし、同期調節を一層容易にしている。
【0022】
(実施形態の作用)
本発明は上記構成であり、モーター69を駆動させると、モーター69の駆動回転が移送チェン65に伝達され、移送チェン65に設けた移送突起43が移動し、モーター69の駆動が中間出力歯車72とチェン75を介して歯車74に伝達され、中間軸73を駆動回転させ、中間軸73の駆動回転を後側伝達歯車61と受動歯車76により床土鎮圧装置30の鎮圧突起ローラ32に伝達され、床土鎮圧装置30の鎮圧突起31は移送突起43が移送する育苗容器AのポットPに合わせて同期回転する。
また、中間軸73に設けた後側歯車45の回転がチェン47を介して前側中間軸77の前側歯車46を駆動回転させ、前側中間軸77の前側伝達歯車60が種子鎮圧装置35の種子鎮圧突起ローラ32Aの受動歯車78を、床土鎮圧装置30の鎮圧突起ローラ32と同期回転させる。
【0023】
この状態で、移送台1の供給スペース6に育苗容器Aを供給すると、育苗容器Aは移送突起43により移送されて床土供給装置10の下方に至り、床土供給装置10にて床土の供給を受け、育苗容器AのポットPに供給された床土は床土鎮圧装置30の鎮圧突起31により鎮圧される。
このとき、床土鎮圧装置30の鎮圧突起31はポットP内の床土を鎮圧すると共に、
図1において反時計回転するので、反時計回転する鎮圧突起31がポットPを前方に押し出し、育苗容器Aを前進移動させ、育苗容器Aの係合孔17Bに係合させた種子供給装置15の係合突起17Aを回転させて、種子供給装置15の横軸繰出ロール17の繰出凹部18を育苗容器AのポットPの移送と同期回転させ、ポットPの複数粒の種子を繰出供給する。
【0024】
種子の供給を受けた育苗容器Aは後続の育苗容器Aに押されて前進し、種子鎮圧装置35の下方に至り、種子鎮圧装置35の種子鎮圧突起ローラ32Aの鎮圧突起31によりポットP内の種子が鎮圧されつつ前進し、覆土供給装置25の下方に至り、覆土供給装置25により覆土の供給を受けて播種が完了する。
しかして、床土供給装置10の前側の移送台1には床土鎮圧装置(後側鎮圧装置)30を設け、種子供給装置15の前側の移送台1には種子鎮圧装置(前側鎮圧装置)35を設け、床土鎮圧装置30の鎮圧突起ローラ32と種子鎮圧装置35の種子鎮圧突起ローラ32Aは移送突起43によるポットPの移送と同期して回転し、移送中のポットPに鎮圧突起ローラ32の鎮圧突起31と種子鎮圧突起ローラ32Aの鎮圧突起31が嵌合してポットP内の床土または種子を鎮圧するが、床土鎮圧装置30の鎮圧突起31と種子鎮圧装置35の鎮圧突起31とを同期させて回転させないと、種子鎮圧装置35の鎮圧突起31が育苗容器AのポットPに上手く嵌合せず、種子の鎮圧不良や育苗容器Aの破損等の不都合が生じるが、従来の伝動構成では床土鎮圧装置30の鎮圧突起31と種子鎮圧装置35の鎮圧突起31との同期調節は非常に面倒であり、しかも、播種装置を停止させなければならず、この点でも、床土鎮圧装置30の鎮圧突起31と種子鎮圧装置35の鎮圧突起31との同期調節は面倒あった。
【0025】
本発明では、播種装置の床土鎮圧装置30と種子鎮圧装置35の回転伝動経路中の、床土鎮圧装置30の鎮圧突起ローラ32と種子鎮圧装置35の種子鎮圧突起ローラ32Aを駆動回転させる後側歯車45と前側歯車46の間に掛け回したチェン47に、チェン47を常時緊張させるテンション歯車48とチェン位置変更用の位置調節用支持歯車50とを噛み合わせているので、位置調節用支持歯車50をチェン47に対する位置を変更することにより、鎮圧突起ローラ32の鎮圧突起31と種子鎮圧突起ローラ32Aの鎮圧突起31との同期調節できる。
【0026】
すなわち、位置調節用支持歯車50はチェン47に対して下動させると、チェン47を弛緩させ、位置調節用支持歯車50をチェン47に対して上動させると、チェン47を緊張させるから、これにより、位置調節用支持歯車50をチェン47に対して下動させると、前側歯車46と前側伝達歯車60を
図8において反時計回りに回転させ、位置調節用支持歯車50をチェン47に対して上動させると、前側歯車46と前側伝達歯車60を
図8において時計回りに回転させることになり、その結果、床土鎮圧装置30の鎮圧突起ローラ32の鎮圧突起31と種子鎮圧装置35の種子鎮圧突起ローラ32Aの鎮圧突起31とを同期回転させることができる。
【0027】
テンション歯車48はテンションアーム51の先端に取付け、テンションアーム51にテンションバネ52により常時チェン47を緊張させる構成としているので、テンション歯車48はテンションバネ52に常時チェン47を押し下げるように作用し、チェン47を常に緊張させる。
一方、位置調節用支持歯車50はテンション歯車48を噛み合わせたチェン47とは上下反対側のチェン47に噛み合わせると共に、噛み合わせ位置を上下変更可能に構成しているので、位置調節用支持歯車50をチェン47に対して下動させると、前側伝達歯車60を
図8において反時計回りに回転させ、位置調節用支持歯車50をチェン47に対して上動させると、前側伝達歯車60を
図8において時計回りに回転させることになり、鎮圧突起ローラ32の鎮圧突起31と種子鎮圧突起ローラ32Aの鎮圧突起31とを同期回転させられる。
【0028】
理解を容易にするため、チェン47を停止させた状態と仮定して以下説明すると、
図8(A)では位置調節用支持歯車50をチェン47を押し上げ状態とし、この状態では前側伝達歯車60の仮想センター線Tは垂直より時計回転方向に傾斜しているが、この状態では、床土鎮圧装置30の前側伝達歯車60と種子鎮圧装置35の前側伝達歯車60の間の上側チェン47Aはロックされて移動しないが、位置調節用支持歯車50を調節ボルト58により上下させることにより、床土鎮圧装置30の後側歯車45と種子鎮圧装置35の前側歯車46の間の下側チェン47Bは前側歯車45を回転させることが可能となり、例えば、位置調節用支持歯車50を調節ボルト58により下動させると、前側歯車46は反時計回転し、
図8(A)において垂直より時計回転方向に傾斜していた前側歯車46の仮想センター線Tは、
図8(B)のように垂直となる。反対に、位置調節用支持歯車50を調節ボルト58により上動させると、
図8(B)の垂直の前側歯車46の仮想センター線Tは、
図8(A)のように時計回転方向に回転して傾斜することになる。
【0029】
したがって、種子供給装置15を移送台1に対して着脱自在に取付け、種子供給装置15を移送台1に装着する前に床土鎮圧装置30と種子鎮圧装置35を移送台1に取付け、床土鎮圧装置30の前側伝達歯車60と種子鎮圧装置35の前側伝達歯車60とを大凡同期するように目視しつつ組み付け、次に、種子供給装置15を移送台1に組み付け、次に、床土鎮圧装置30の前側伝達歯車60の後側歯車45と種子鎮圧装置35の前側伝達歯車60の前側歯車46との間にチェン47を掛け回すと、組付が完了し、この状態で、移送手段2を空運転させて育苗容器Aを移送し、育苗容器AのポットPに種子鎮圧装置35の鎮圧突起31が嵌合する状態を見つつ、チェン47の位置調節用支持歯車50を上下させると、床土鎮圧装置30と種子鎮圧装置35の同期の初期設定は完了し、播種作業を行える。
【0030】
また、播種作業中であっても、種子鎮圧装置35の鎮圧突起31が上手くポットPに嵌合しないときは、位置調節用支持歯車50をチェン47に対して上下させると、ポットPに対する種子鎮圧装置35の鎮圧突起31の嵌合位置が変化して同期調節できるので、円滑に播種作業を続行でき、一々播種装置を停止させることなく同期調節できるので、作業効率を向上させられる。
【符号の説明】
【0031】
1…移送台、2…移送手段、3…フレーム、4…支脚、6…供給スペース、10…床土供給装置、11…床土供給ホッパー、12…床土供給ベルト、15…種子供給装置、16…種子供給ホッパー、17…横軸繰出ロール、18…繰出凹部、19…スリット、20…掻出体、21…回転戻しブラシ、22…種子誘導体、25…覆土供給装置、26…覆土供給ホッパー、27…覆土供給ベルト、30…床土鎮圧装置、31…鎮圧突起、32…鎮圧突起ローラ、32A…種子鎮圧突起ローラ、35…種子鎮圧装置、37…回転軸、38…支持フレーム、39…透孔、40…バネ、43…移送突起、45…後側歯車、46…前側歯車、47…チェン、48…テンション歯車、50…位置調節用支持歯車、51…テンションアーム、52…テンションバネ、55…アーム、56…軸、58…調節ボルト、60…前側伝達歯車、65…移送チェン、66…前側駆動歯車、67…後側歯車、69…モーター、70…出力歯車、71…出力軸、72…中間出力歯車、73…中間軸、74…歯車、75…チェン、76…受動歯車、77…前側中間軸、78…受動歯車。