(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】マグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機
(51)【国際特許分類】
F03D 3/06 20060101AFI20240903BHJP
F03G 7/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
F03D3/06 H
F03G7/00 B
(21)【出願番号】P 2021036128
(22)【出願日】2021-03-08
【審査請求日】2023-12-08
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515043772
【氏名又は名称】株式会社チャレナジー
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100227455
【氏名又は名称】莊司 英史
(72)【発明者】
【氏名】清水 敦史
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-016169(JP,A)
【文献】特開2005-256605(JP,A)
【文献】国際公開第2017/002757(WO,A1)
【文献】特表2013-543459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 3/06
F03G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持筐体と、
前記支持筐体に対して第1の回転軸を中心として回転可能な回転部と、
前記第1の回転軸を中心として公転可能であって、前記第1の回転軸に対して平行な第2の回転軸を中心として自転可能な複数の円筒翼と、
複数の前記円筒翼とともに各組を構成し、前記各組の前記円筒翼の軸方向に沿って長手方向が配置される複数の整流板と、
前記回転部に固定されることで前記第1の回転軸を中心として回転可能であって、前記各組毎に、前記第1の回転軸を中心とする円周上に前記円筒翼を支持するとともに、前記円筒翼が公転するときの進行方向とは反対側に前記整流板を支持する支持部とを備え、
前記整流板は、
前記整流板の幅方向に対する両縁部のうち前記円筒翼から遠い後端縁部側に、前記長手方向に対する前記整流板の端部に近づくにつれて前記整流板の幅が狭くなるテーパ部を備える、
マグナス式推力発生装置。
【請求項2】
前記整流板は、
前記長手方向に対する前記整流板の両端部に、前記テーパ部をそれぞれ備える、
請求項1に記載のマグナス式推力発生装置。
【請求項3】
前記支持部は、
前記長手方向に対する前記整流板の両端部間に亘って前記長手方向に沿うように前記整流板を支持する整流板支持部を、前記各組毎に備え
、
前記整流板支持部は、
前記整流板の前記両端部間に亘って前記長手方向に沿うように配置されて、前記整流板を支持する整流板支持アーム部と、
前記長手方向に対して所定の間隔で配置されるとともに、前記両縁部間に亘って前記長手方向に対して所定の角度を有するように配置されて、前記整流板を支持する複数の整流板補強部材とを備える、
請求項1又は請求項2に記載のマグナス式推力発生装置。
【請求項4】
前記整流板は、
前記長手方向に対して並べられて配置される複数の板材により構成され、
複数の前記板材は、
前記テーパ部に配置される複数の異形状板材と、
前記テーパ部以外に配置される複数の矩形状板材とからなる、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のマグナス式推力発生装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のマグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置または潮力回転装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のマグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機または潮力発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体中で回転する略円筒形状の円筒翼が発生するマグナス力を用いたマグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機などの流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、流体中で回転する円筒翼が発生するマグナス力を利用する装置が知られている。例えば、特許文献1には、発電機軸を中心として回転するとともに円筒翼を軸支する支持部材と、支持部材上に垂設され、各個に独立して回転する複数の円筒翼とを備え、支持部材上に垂設される円筒翼が発電機軸を中心とする円周軌道上に配設される、マグナス式推力発生装置(縦軸式マグナス型風力発電装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、装置の軽量化及び低コスト化を図るとともに、円筒翼に発生するマグナス力によって効率的に回転力を得ることが可能なマグナス式推力発生装置、前記マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置、水力回転装置、潮力回転装置、ならびに前記マグナス式推力発生装置を用いた風力発電機、水力発電機、潮力発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような問題を解決するものであって、本発明の一実施形態に係るマグナス式推力発生装置は、
支持筐体と、
前記支持筐体に対して第1の回転軸を中心として回転可能な回転部と、
前記第1の回転軸を中心として公転可能であって、前記第1の回転軸に対して平行な第2の回転軸を中心として自転可能な複数の円筒翼と、
複数の前記円筒翼とともに各組を構成し、前記各組の前記円筒翼の軸方向に沿って長手方向が配置される複数の整流板と、
前記回転部に固定されることで前記第1の回転軸を中心として回転可能であって、前記各組毎に、前記第1の回転軸を中心とする円周上に前記円筒翼を支持するとともに、前記円筒翼が公転するときの進行方向とは反対側に前記整流板を支持する支持部とを備え、
前記整流板は、前記整流板の幅方向に対する両縁部のうち前記円筒翼から遠い後端縁部側に、前記長手方向に対する前記整流板の端部に近づくにつれて前記整流板の幅が狭くなるテーパ部を備える。
【0006】
また、本発明の一実施形態に係る風力回転装置、水力回転装置または潮力回転装置は、前記マグナス式推力発生装置を用いたものである。
【0007】
また、本発明の一実施形態に係る風力発電機、水力発電機または潮力発電機は、前記マグナス式推力発生装置を用いたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態に係るマグナス式推力発生装置によれば、整流板は、整流板の幅方向に対する両縁部のうち円筒翼から遠い後端縁部側に、長手方向に対する整流板の端部に近づくにつれて整流板の幅が狭くなるテーパ部を備える。そのため、テーパ部が形成された分だけ整流板の表面積が小さくなるので、整流板が受ける流体荷重(例えば、風荷重)が低減される。また、長手方向に対する円筒翼の端部では、長手方向に対する円筒翼の中央部に比べて円筒翼に発生するマグナス力が小さいため、テーパ部が装置性能に与える影響は小さく、テーパ部による部材の削減や整流板が受ける流体荷重(例えば、風荷重)の低減により得られる効果の方が大きい。これにより、装置の軽量化及び低コスト化を図るとともに、円筒翼に発生するマグナス力によって効率的に回転力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示す分解正面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示す平面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示すV-V線断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る整流板5、遮蔽板7及び整流板支持部61の一例を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る整流板5、遮蔽板7及び整流板支持部61の一例を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る整流板5、遮蔽板7及び整流板支持部61の一例を示し、(a)は背面図、(b)は左側面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る整流板5、遮蔽板7及び整流板支持部61の一例を示し、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【
図10】
図7(b)に示すIX部の拡大側面図である。
【
図11】
図8(a)に示すX部の拡大背面図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る円筒翼4とマグナス力の分布との関係、及び、整流板5のテーパ部53と装置性能との関係を示す説明図である。
【
図13】本発明の他の実施形態に係る整流板5及び整流板支持部61の第1の変形例を示す正面図である。
【
図14】本発明の他の実施形態に係る整流板5及び整流板支持部61の第2の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の具体的な実施形態を示す。実施形態はあくまで一例であり、この例に限定されるものではない。なお、以下の実施形態では、マグナス式推力発生装置の適用例の1つとして、マグナス式推力発生装置を用いた垂直軸型マグナス式風力発電機1について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示す正面図である。
図3は、本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示す分解正面図である。
図4は、本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示す平面図である。
図5は、本発明の実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1の一例を示すV-V線断面図である。
【0012】
垂直軸型マグナス式風力発電機1は、設置面Sに対して設置される支持筐体2と、支持筐体2の内部に配置される発電機21及び増速機22と、増速機22を介して発電機21に連結されるとともに、設置面Sに対して垂直な第1の回転軸O1を中心として回転可能な回転部3と、第1の回転軸O1を中心として公転可能であって、第1の回転軸O1に対して平行な第2の回転軸O2を中心として自転可能な複数の円筒翼4と、複数の円筒翼4とともに各組を構成し、各組の円筒翼4の軸方向に沿って長手方向5Lが配置される複数の整流板5及び複数の遮蔽板7と、回転部3に固定されることで第1の回転軸O1を中心として回転可能であって、円筒翼4、整流板5及び遮蔽板7の各組毎に、第1の回転軸O1を中心とする円周C1上に円筒翼4を支持するとともに、円筒翼4が公転するときの進行方向とは反対側に整流板5及び遮蔽板7を支持する支持部6とを備える。
【0013】
なお、本実施形態の説明において、「平行」とは、完全に平行な場合だけでなく、垂直軸型マグナス式風力発電機1の機能が損なわれない程度のずれを許容した略平行な場合も含む。同様に、「垂直」とは、完全に垂直な場合でだけでなく、垂直軸型マグナス式風力発電機1の機能が損なわれない程度のずれを許容した略垂直な場合も含む。また、本実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機1は、
図1に示すように、2つの円筒翼4と、2つの整流板5とを備え、円筒翼4、整流板5及び遮蔽板7の組数は、2組であるものとして説明する。
【0014】
支持筐体2は、第1の回転軸O1と同軸状に配置される円筒状の筐体である。支持筐体2の上部には、その上部から回転部3の上部30を突設させるとともに、第1の回転軸O1が設置面Sに対して垂直となるように、回転部3を軸支する軸受ユニット20を備える。なお、支持筐体2は、トラス状の筐体としてもよい。
【0015】
回転部3は、軸受ユニット20に軸支される回転シャフト等で構成されており、軸受ユニット20の上面に対して突設された上部30の周壁部分に支持部6が固定される。
【0016】
発電機21は、増速機22を介して回転部3に連結されており、回転部3が回転する際の回転エネルギーを電気エネルギーに変換することで発電するように構成されている。なお、発電機21は、増速機22を介さずに直接回転部3に連結してもよい。
【0017】
垂直軸型マグナス式風力発電機1の定格出力として、例えば、10kw程度を想定する場合には、円筒翼4の外寸は、長さ10m程度、直径1m程度であり、整流板5の外寸は、長さ10m程度、幅1.5~2m程度、厚さ0.5~3mm程度である。
【0018】
複数の円筒翼4は、支持部6により円周C1上に支持されることで、
図5に示すように、第1の回転軸O1及び第2の回転軸O2に垂直な平面上において、複数の第2の回転軸O2は、円周C1上で所定の間隔(円筒翼支持間隔)を空けるようにして円周C1上に配置される。本実施形態では、2つの円筒翼4に対する2つの第2の回転軸O2は、第1の回転軸O1を挟んで対向するようにして円周C1上に配置される。
【0019】
円筒翼4は、円筒状に形成された円筒状の円筒翼本体40を備え、円筒翼本体40は、第2の回転軸O2と平行な円筒翼4の軸方向に対する両端部として、鉛直方向の上側に配置される上端部(一端部)40aと、鉛直方向の下側に配置される下端部(他端部)40bとを備える。また、円筒翼4は、上端部40a及び下端部40bにそれぞれ配置されて、円筒翼4の直径よりも大きな円板状の翼端板41と、第2の回転軸O2を中心として円筒翼4を時計回りR2に回転(自転)させる円筒翼モータ(回転駆動部)42と、円筒翼本体40に連結されて、上端部40a及び下端部40bにおいて第2の回転軸O2と同軸上にそれぞれ配置される上部回転伝達軸部(一端側回転伝達軸部)45及び下部回転伝達軸部(他端側回転伝達軸部)46とを備える。
【0020】
整流板5は、平板状に形成されており、整流板5の長手方向5Lに対する両端部として、上端部(一端部)50aと、下端部(他端部)50bとを備え、整流板5の幅方向5Wに対する両縁部として、円筒翼4側に配置されて円筒翼4に近い前端縁部50cと、前端縁部50cとは反対側に配置されて円筒翼4から遠い後端縁部50dとを備える。また、整流板5は、整流板5の板厚方向に対して垂直な表面として、第1の回転軸O1側に配置される内側表面50eと、内側表面50eとは反対側の外側表面50fとを備える。
【0021】
整流板5は、整流板5の後端縁部50dに、整流板5の上端部50a及び下端部50bに近づくにつれて整流板5の幅が狭くなるテーパ部53を備える。テーパ部53は、直線形状でもよいし、例えば、放物線を描くような曲線形状でもよいし、直線形状と曲線形状とを組み合わせたものでもよい。なお、本実施形態では、整流板5は、整流板5の両端部50a、50bに、同一の直線形状のテーパ部53をそれぞれ備えるが、整流板5は、整流板5の両端部50a、50bに、異なる形状のテーパ部53をそれぞれ備えていてもよいし、上端部50a及び下端部50bのいずれか一方にだけテーパ部53を備えていてもよい。
【0022】
遮蔽板7は、整流板5と同様に平板状に形成されており、遮蔽板7の長手方向は、整流板5の長手方向5Lと平行に配置される。遮蔽板7は、遮蔽板7の幅方向に対する両縁部として、整流板5側に配置される基端縁部70aと、基端縁部70aとは反対側の先端縁部70bとを備える。
【0023】
整流板5及び遮蔽板7は、支持部6により支持されることで、
図5に示すように、第1の回転軸O1及び第2の回転軸O2に垂直な平面上において、円筒翼4の進行方向とは反対側に配置される。整流板5は、円筒翼4の進行方向とは反対側に伸びるように、前端縁部50c及び後端縁部50dが配置される。遮蔽板7は、整流板5の前端縁部50c側に配置されて、整流板5に対して第1の回転軸O1側(内側表面50e側)に立設するように支持される。このとき、円筒翼4と整流板5の前端縁部50cとの間には隙間が形成されるとともに、円筒翼4と遮蔽板7の先端縁部70bとの間には隙間が形成される。なお、整流板5及び遮蔽板7の具体的構成は後述する。
【0024】
支持部6は、円筒翼4、整流板5及び遮蔽板7の各組毎に、第1の回転軸O1を中心とする円周C1上に円筒翼4を配置するように、軸方向に対する円筒翼4の両端部40a、40bを軸支するとともに、円筒翼4が第1の回転軸O1を中心として時計回りR1に公転するときの進行方向とは反対側に整流板5及び遮蔽板7を配置するように、整流板5及び遮蔽板7を支持する。
【0025】
支持部6が、円周C1上に円筒翼4を支持する態様としては、支持部6が、
図5に示すように、円筒翼4の中心である第2の回転軸O2と円周C1とが重なった状態で円筒翼4を支持する場合だけでなく、第2の回転軸O2と円周C1との間には、垂直軸型マグナス式風力発電機1の機能が損なわれない程度のずれが許容されるものであり、支持部6が、例えば、円筒翼4の円形状の断面と円周C1とが重なった状態で円筒翼4を支持する場合も含む。なお、支持部6の具体的構成は後述する。
【0026】
垂直軸型マグナス式風力発電機1は、円筒翼モータ42により第2の回転軸O2を中心として円筒翼4を時計回りR2に回転(自転)させた状態において、所定の方向から風(空気流)を受けると、円筒翼4にマグナス力が発生する。そして、円筒翼4に発生したマグナス力は、第1の回転軸O1を中心として円筒翼4を時計回りR1に公転させる方向に作用する。
【0027】
このとき、整流板5は、風向に対して円筒翼4が存在する位置に応じて、マグナス力の大きさを制御する。具体的には、円筒翼4が、風上側に存在する場合には、整流板5は、風向と円筒翼4の自転方向とが逆方向になる領域(流れ減速側)に存在する。そのため、整流板5は、流れ減速側における風の流れを阻害することになるが、円筒翼4に発生するマグナス力を大きく低下させることにはならないため、マグナス力は、円筒翼4を公転させる回転力として作用する。
【0028】
一方、円筒翼4が、風下側に存在する場合には、整流板5は、風向と円筒翼4の自転方向とが一致する領域(流れ加速側)に存在する。そのため、整流板5は、流れ加速側における風の流れを阻害することにより、円筒翼4に発生するマグナス力を低下させるため、マグナス力が、円筒翼4を公転させる回転力を打ち消すように作用することを抑制する。
【0029】
以上のように、円筒翼4が、整流板5により円筒翼4に発生するマグナス力が制御された状態で時計回りR1に公転することにより、回転部3を時計回りに回転させて、回転部3に連結された発電機21で発電する。
【0030】
(整流板5、遮蔽板7及び支持部6の具体的構成)
支持部6は、整流板5に対して第1の回転軸O1側に配置されて、長手方向5Lに対する整流板5の両端部50a、50b間に亘って整流板5の長手方向5Lに沿うように整流板5及び遮蔽板7を支持する整流板支持部61と、整流板支持部61の上端部(一端部)610aと回転部3とを連結する第1の連結アーム部62と、整流板支持部61の下端部(他端部)610bと回転部3とを連結する第2の連結アーム部63と、円筒翼4の上端部40a側を軸支するとともに、第1の連結アーム部62に連結される第1の円筒翼支持部(一端側支持部)64と、円筒翼4の下端部40b側を軸支するとともに、第2の連結アーム部63に連結される第2の円筒翼支持部(他端側支持部)65とを、円筒翼4、整流板5及び遮蔽板7の各組毎(本実施形態では2組)に備える。
【0031】
整流板支持部61は、両端部50a、50b間に亘って整流板5の長手方向5Lに沿うように配置されて、整流板5を支持する整流板支持アーム部610と、整流板5の長手方向5Lに対して所定の間隔(補強間隔)で配置されるとともに、整流板5の幅方向5Wに対する整流板5の両縁部50c、50d間に亘って長手方向5Lに対して所定の角度(本実施形態では直角)を有するように配置されて、整流板5及び遮蔽板7を支持する複数の整流板補強部材611とを備える。
【0032】
第1の円筒翼支持部64は、円筒翼4の上端部40a側において円筒翼4の軸心を揺動可能な状態で軸支する揺動軸支構造部640と、第1の連結アーム部62の先端部620bと揺動軸支構造部640とを連結する第1の円筒翼支持アーム部641と、第1の連結アーム部62の屈曲部620cと揺動軸支構造部640とを連結する第2の円筒翼支持アーム部642とを備える。揺動軸支構造部640は、その内部に、円筒翼4の上端部40aに設けられた回転軸を軸支する第1の軸受(不図示)等を備える。
【0033】
第2の円筒翼支持部65は、円筒翼4の下端部40b側において円筒翼4の軸心を固定した状態で軸支するとともに、円筒翼モータ42を支持する固定軸支構造部650と、第2の連結アーム部63の先端部630bと固定軸支構造部650とを連結する第1の円筒翼支持アーム部651と、第2の連結アーム部63の屈曲部630cと固定軸支構造部650とを連結する第2の円筒翼支持アーム部652とを備える。固定軸支構造部650は、その内部に、円筒翼4の下端部40bに設けられた回転軸を軸支する第2の軸受(不図示)等を備えるとともに、円筒翼モータ42の回転駆動力が、その円筒翼4の回転軸に伝達されるように、円筒翼モータ42を支持する。
【0034】
また、支持部6は、整流板5の長手方向5Lに対する整流板支持アーム部610の中間部610cと、第1の連結アーム部62の回転部3側の固定端部620a及び第2の連結アーム部63の回転部3側の固定端部630aが隣接する隣接部661とを連結する第3の連結アーム部66を、円筒翼4、整流板5及び遮蔽板7の各組毎(本実施形態では2組)にさらに備える。
【0035】
支持部6が備える各アーム部(整流板支持アーム部610、第1の連結アーム部62、第2の連結アーム部63、第1の円筒翼支持アーム部641、651、第2の円筒翼支持アーム部642、652、及び、第3の連結アーム部66)は、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料や、炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂等の樹脂材料を用いて、円形、楕円形、多角形等の任意の断面形状を有する管状部材、L型、H型、I型等の任意の断面形状を有する板状部材、又は、ワイヤー部材として形成されている。なお、支持部6が備える各アーム部は、各アーム部が配置される場所や各部が支持する荷重に応じて、各部の外形形状、断面形状、断面積、及び、材料等を変更するようにしてもよい。
【0036】
また、支持部6が備える各アーム部は、複数のアーム部が一体的に形成された複数の複合アーム部材により構成されており、各複合アーム部材間は、任意の接合方法(溶接、接着、ねじ固定、圧入、リベット、ピン結合、継手等)による接合部を介して接合される。
【0037】
本実施形態では、例えば、第1の連結アーム部62、第2の連結アーム部63、第1の円筒翼支持アーム部641、651及び第2の円筒翼支持アーム部642、652が一体的に形成されることで、第1の複合アーム部材60Aを構成する。また、整流板支持アーム部610及び第3の連結アーム部66が一体的に形成されることで、第2の複合アーム部材60Bを構成する。そして、第1の複合アーム部材60Aは、接合部600A、600Bを介して回転部3に接合される。第2の複合アーム部材60Bは、接合部601A~601Cを介して第1の複合アーム部材60Aに接合される。
【0038】
図6は、本発明の実施形態に係る整流板5、遮蔽板7及び整流板支持部61の一例を示す斜視図である。
図7乃至
図9は、本発明の実施形態に係る整流板5、遮蔽板7及び整流板支持部61の一例を示し、
図7(a)は正面図、
図7(b)は右側面図、
図8(a)は背面図、
図8(b)は左側面図、
図9(a)は平面図、
図9(b)は底面図である。
図10は、
図7(b)に示すIX部の拡大側面図である。
図11は、
図8(a)に示すX部の拡大背面図である。
【0039】
整流板5は、
図7(a)に示すように、整流板5の長手方向5Lに対して並べられて配置される複数の板材51(51a~51d)により構成される。複数の板材51は、テーパ部53に配置される複数の異形状板材51a、51bと、テーパ部53以外に配置される複数の矩形状板材51c、51dとからなる。本実施形態では、複数の異形状板材51a、51bは、直線形状のテーパ部53を形成するため、両端部50a、50b側に配置される台形状の異形状板材51aと、その台形状の異形状板材51aに隣接して配置される、五角形状(矩形の1つの角が面取りされた)の異形状板材51bとからなる。また、複数の矩形状板材51c、51dは、長手方向5Lに対する外寸が異なるものであり、大きい方の矩形状板材51cと、小さい方の矩形状板材51dとからなる。
【0040】
遮蔽板7は、
図8(b)に示すように、整流板5と同様に、整流板5(遮蔽板7)の長手方向5Lに対して並べられて配置される複数の板材71により構成される。
【0041】
整流板5及び遮蔽板7の長手方向5Lの長さが、例えば、10m程度である場合、板材51、71の1枚当たりの長さは、例えば、1m~2m程度とすればよい。その場合には、複数の板材51、71は、長手方向5Lに対して所定の長さ分だけ重畳された重畳部510、710を形成した状態で隙間なく配置される。
【0042】
板材51、71は、例えば、亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム板、ステンレス板等の金属材料、を用いて形成されている。なお、板材51、71は、金属材料に代えて、炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂等の繊維強化樹脂材料、硬質なポリカーボネイトや塩化ビニル等の硬質樹脂材料、プラスチックフィルム等の薄膜材料、帆布やテント生地等の生地を用いてもよい。
【0043】
整流板支持部61は、上述したように、整流板支持アーム部610と、複数の整流板補強部材611とを備えるとともに、整流板5の長手方向5Lに対して整流板補強部材611の補強間隔と同じ間隔で配置されて、複数の整流板補強部材611の各々が取り付けられる複数の取付ブラケット612と、複数の整流板補強部材611の前端縁部50c側に取り付けられる複数のステー部材613とをさらに備える。整流板補強部材611、取付ブラケット612、及び、ステー部材613は、整流板支持アーム部610や板材51、71と同様の金属材料や樹脂材料で形成されている。
【0044】
整流板支持アーム部610は、
図11に示すように、整流板5の幅方向5Wに対して整流板5の表面(内側表面50e又は外側表面50f)を、領域52a~52cのように3等分したとき、整流板5の幅方向5Wに対して中央の領域52bに配置されるのが好ましい。このとき、遮蔽板7は、整流板5の幅方向5Wに対して前端縁部50c側の領域52aに配置されるのが好ましい。
【0045】
整流板補強部材611は、整流板5(異形状板材51a、51b又は矩形状板材51c、51d)の幅と同程度の長さを有し、整流板支持アーム部610に対して所定の角度(本実施形態では直角)を有するようにして配置される。すなわち、整流板補強部材611は、整流板5の幅方向5Wに対して平行に配置されて、整流板5の前端縁部50cと後端縁部50dとの間に亘って整流板5の幅方向5Wに沿うように整流板5を支持する。また、整流板補強部材611は、板材51と取付ブラケット612とを連結し、両者を取り付ける取付部材として機能する。
【0046】
整流板補強部材611は、
図10に示すように、例えば、コ字状の断面形状を有することにより、整流板5の内側表面50eに対して平行に配置される第1の補強板片611aと、第1の補強板片611aに対して垂直に配置される第2の補強板片611bと、第2の補強板片611bに対して垂直に配置される第3の補強板片611cとを備える。なお、整流板補強部材611は、その断面形状として、
図10に示すようなコ字状の断面形状に代えて、例えば、L字状、逆T字状、略Z字状等の断面形状を有するものでもよいし、角パイプ形状を有するものでもよい。
【0047】
取付ブラケット612は、整流板支持アーム部610の径方向両側から径方向外側に向かって延設されるように、上記の任意の接合方法(本実施形態では、溶接)により整流板支持アーム部610に取り付けられる。取付ブラケット612は、
図10に示すように、例えば、L字状の断面形状を有することにより、整流板5の内側表面50eに対して平行に配置される第1の取付板片612aと、第1の取付板片612aに対して垂直に配置される第2の取付板片612bとを備える。
【0048】
ステー部材613は、
図6、
図9に示すように、前端縁部50c側に配置されて、整流板補強部材611の端部を覆うカバー部613aと、整流板5に対して所定の角度θ1をなすように遮蔽板7を固定する固定部613bとを有する。所定の角度θ1は、
図9の例では、鈍角に設定されているが、直角や鋭角に設定されていてもよい。
【0049】
ステー部材613は、カバー部613aにより整流板補強部材611の端部を覆うようにして第2の補強板片611bに取り付けられる。これにより、円筒翼4が、何らかの理由で整流板補強部材611の端面に接触した場合でも、円筒翼4の損傷を防止することができる。
【0050】
整流板5、遮蔽板7及び整流板支持部61の組立方法の一例としては、まず、整流板支持アーム部610に取り付けられた複数の取付ブラケット612に対して、複数の整流板補強部材611及びステー部材613をそれぞれ固定する。このとき、整流板補強部材611の第1の補強板片611aを、取付ブラケット612の第1の取付板片612aに面接触させて、複数の固定ボルト614Aにより第1の取付板片612aに固定する。また、整流板補強部材611の第2の補強板片611bを、取付ブラケット612の第2の取付板片612bに面接触させて、複数の固定ボルト614Bにより第2の取付板片612bに固定する。なお、上記固定ボルト614A、614Bによる固定に加えて又は代えて、接着剤や両面テープにより接着してもよいし、溶接してもよい。
【0051】
そして、取付ブラケット612に固定された整流板補強部材611に対して板材51(51a~51d)を1枚ずつ固定していくことにより、複数の板材51を隙間なく並べて固定する。なお、本実施形態では、複数の整流板補強部材611は、1枚の板材51に対して3つ又は4つの整流板補強部材611が割り当てられるような補強間隔で配置されている。
【0052】
具体的には、板材51の表面を、複数の整流板補強部材611における第3の補強板片611cにそれぞれ面接触させて、複数のリベット615により第3の補強板片611cに固定する。そして、隣接する板材51の間の重畳部510では、
図10に示すように、例えば、下端部50b側の板材51の上縁部に、上端部50a側の板材51の下縁部を重畳させた状態で、複数のリベット615により重畳部510の高さに配置される整流板補強部材611の第3の補強板片611cに共締めするように固定する。
【0053】
また、遮蔽板7についても同様に、ステー部材613の固定部613bに対して板材71を1枚ずつ固定していくことにより、複数の板材71を隙間なく並べて固定する。なお、本実施形態では、複数のステー部材613は、1枚の板材71に対して3つ又は4つのステー部材613が割り当てられるような補強間隔で配置されている。
【0054】
上記のように、整流板5、遮蔽板7及び整流板支持部61が組み立てられることで、整流板支持アーム部610及び整流板補強部材611が、
図8(a)に示すように、魚骨形状の骨組となって、整流板5及び遮蔽板7を補強した状態で支持する。このとき、整流板支持アーム部610は、整流板5の長手方向5Lに対する補強部材として機能する。また、整流板補強部材611は、整流板5の幅方向5Wに対する補強部材として機能するとともに、整流板5及び遮蔽板7を整流板支持アーム部610に取り付けるための取付部材としても機能する。
【0055】
(整流板5のテーパ部53と装置性能との関係)
図12は、本発明の実施形態に係る円筒翼4とマグナス力の分布との関係、及び、整流板5のテーパ部53と装置性能との関係を示す説明図である。
【0056】
図12には、円筒翼4の外寸が長さ10m、直径1.0mである場合において、円筒翼4に作用するマグナス力の分布をシミュレーションにより計算したときの計算結果が比率で図示されている。円筒翼4の長手方向5Lに対する中央付近の比率を1とすると、円筒翼4の両端部40a、40bでは、マグナス力は小さくなっており、特に、両端部40a、40bからの距離が2.0m付近の位置から両端部40a、40bに近づくほどマグナス力が小さくなっていることが確認できる。
【0057】
また、
図12には、整流板5の外寸が、長さ10m、幅2.0mである場合において、テーパ部53のテーパ長さを変化させたときの装置性能比をシミュレーションにより計算したきの計算結果が比率で図示されている。装置性能比は、テーパ部53がないときの装置性能(例えば、風車性能Cp等)を基準(=1)として、テーパ部53のテーパ長さを、1.25m、1.65m、2.0m、2.5m、5.0mにそれぞれ設定したときの装置性能の比率を表している。テーパ部53のテーパ長さは、両端部50a、50bのいずれかと、後端縁部50dにおいてテーパ部53が形成された開始点との間の距離を表している。
【0058】
テーパ部53のテーパ長さが、2.0mまでの範囲にある場合、装置性能比が低下する度合いは相対的に小さいが、テーパ部53のテーパ長さが、2.0mを超える場合、装置性能比が低下する度合いが相対的に大きくなる。これは、円筒翼4の両端部40a、40bからの距離が2.0m付近までの位置では、円筒翼4に作用するマグナス力が相対的に小さくなっているため、テーパ部53のテーパ長さが、2.0mまでの範囲であれば、整流板5にテーパ部53を設けたことによる装置性能の低下の度合いが小さいからである。テーパ部53のテーパ長さが、2.0mを超えると、円筒翼4に作用するマグナス力が大きい領域において整流板の幅が小さくなるために、装置性能の低下の度合いが大きくなる。一方、円筒翼4に作用するマグナス力の分布は、円筒翼4の長さや直径により変化する。これらの状況を踏まえると、テーパ部53のテーパ長さは、マグナス力の分布に応じて決定されるのが好ましい。そして、本実施形態の場合では、マグナス力の分布は、
図12に示すとおりであるから、テーパ部53のテーパ長さは、円筒翼4の長さの20%以下であることが好ましい。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る垂直軸型マグナス式風力発電機(マグナス式推力発生装置)1によれば、整流板5は、整流板5の幅方向5Wに対する両縁部50c、50dのうち円筒翼4から遠い後端縁部50d側に、長手方向5Lに対する整流板5の端部50a、50bに近づくにつれて整流板5の幅が狭くなるテーパ部53を備える。そのため、テーパ部53が形成された分だけ整流板5の表面積が小さくなるので、整流板5が受ける流体荷重(例えば、風荷重)が低減される。また、長手方向5Lに対する円筒翼4の端部40a、40bでは、
図12に示すように、長手方向5Lに対する円筒翼4の中央部に比べて円筒翼4に発生するマグナス力が小さいため、テーパ部53が装置性能に与える影響は小さく、テーパ部53による部材の削減や整流板が受ける流体荷重(例えば、風荷重)の低減により得られる効果の方が大きい。これにより、装置の軽量化及び低コスト化を図るとともに、円筒翼4に発生するマグナス力によって効率的に回転力を得ることができる。
【0060】
(他の実施形態)
上記のように、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0061】
例えば、上記実施形態では、整流板5は、
図7(a)に示すように、直線形状のテーパ部53を備え、複数の板材51(異形状板材51a、51b及び矩形状板材51c、51d)により構成されるものとして説明した。これに対し、複数の板材51は、その外寸や形状を適宜変更してもよい。また、テーパ部53は、直線形状に限られず、曲線形状でもよいし、直線形状と曲線形状とを組み合わせたものでもよい。
【0062】
図13は、本発明の他の実施形態に係る整流板5及び整流板支持部61の第1の変形例を示す正面図である。
図13に示す複数の板材51は、テーパ部53に配置される台形状の異形状板材51eと、テーパ部53以外に配置される矩形状の矩形状板材51fとからなる。この場合、2つの異形状板材51eが、両端部50a、50bにそれぞれ配置されるとともに、それらの間に複数の矩形状板材51fが配置される。そのため、整流板5を構成する板材51としては、2種類の板材51を作製すればよい。なお、テーパ部53の直線形状は、一直線状に限られず、折れ線状としてもよい。
【0063】
図14は、本発明の他の実施形態に係る整流板5及び整流板支持部61の第2の変形例を示す正面図である。
図14に示す複数の板材51は、テーパ部53に配置されて、テーパ部53の曲線形状を形成する異形状板材51gと、テーパ部53以外に配置される矩形状の矩形状板材51fとからなる。この場合、2つの異形状板材51gが、両端部50a、50bにそれぞれ配置されるとともに、それらの間に複数の矩形状板材51fが配置される。そのため、整流板5を構成する板材51としては、2種類の板材51を作製すればよい。なお、テーパ部53の曲線形状は、例えば、凸状に膨らむような曲線であり、
図12に示すマグナス力の分布のカーブに合わせてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、円筒翼4が、第1の回転軸O1を中心として時計回りR1に公転するものとして説明したが、反時計回りに公転するようにしてもよい。その場合には、円筒翼4が自転する方向を時計回りR2から反時計回りに変更するとともに、それに合わせて整流板5の配置を変更すればよい。
【0065】
また、上記実施形態では、円筒翼4、整流板5及び遮蔽板7の組数は、2組であるものとして説明したが、円筒翼4、整流板5及び遮蔽板7の組数は適宜変更してもよく、垂直軸型マグナス式風力発電機1は、3組以上の円筒翼4、整流板5及び遮蔽板7を備えるようにしてもよい。なお、垂直軸型マグナス式風力発電機1は、複数組の円筒翼4及び整流板5を少なくとも備えていればよく、遮蔽板7を備えなくてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、第1の回転軸O1及び第2の回転軸O2を、設置面Sに対して垂直に配置した、すなわち、鉛直方向に対して平行に配置したものとして説明したが、鉛直方向に対して斜めに配置してもよいし、鉛直方向に対して直角に、すなわち、水平方向に配置してもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、マグナス式推力発生装置の適用例の1つとして、マグナス式推力発生装置を用いた垂直軸型マグナス式風力発電機1について説明したが、回転部3を発電機21に連結することに代えて、回転部3をポンプ等の回転機械に連結することにより、マグナス式推力発生装置を用いた風力回転装置としてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、マグナス式推力発生装置の適用例の1つとして、マグナス式推力発生装置を用いた垂直軸型マグナス式風力発電機1について説明したが、エネルギー源として、風(空気流)を用いることに代えて、水流、波、潮流等を用いることにより、マグナス式推力発生装置を用いた水力発電機又は潮力発電機としてもよいし、さらに回転部3を発電機21に連結することに代えて、回転部3をポンプ等の回転機械に連結することにより、マグナス式推力発生装置を用いた水力回転装置又は潮力回転装置としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のマグナス式推力発生装置は、整流板が、整流板の幅方向に対する両縁部のうち円筒翼から遠い後端縁部側に、長手方向に対する整流板の端部に近づくにつれて整流板の幅が狭くなるテーパ部を備えることによって、装置の軽量化及び低コスト化を図るとともに、円筒翼に発生するマグナス力によって効率的に回転力を得ることを可能とし、風力回転装置、水力回転装置及び潮力回転装置並びに風力発電機、水力発電機及び潮力発電機としても利用できる。
【符号の説明】
【0070】
1…垂直軸型マグナス式風力発電機(マグナス式推力発生装置)、
2…支持筐体、20…軸受ユニット、21…発電機、22…増速機、3…回転部、
4…円筒翼、40…円筒翼本体、
40a…上端部(一端部)、40b…下端部(他端部)、42…円筒翼モータ、
45…上部回転伝達軸部(一端側支持部)、46…下部回転伝達軸部(他端側支持部)、
5…整流板、5L…長手方向、5W…幅方向、
50a…上端部(一端部)、50b…下端部(他端部)、
50c…前端縁部、50d…後端縁部、50e…内側表面、50f…外側表面、
51…板材、51a、51b、51e、51g…異形状板材、
51c、51d、51f…矩形状板材、510…重畳部、
52a~52c…領域、53…テーパ部、
6…支持部、61…整流板支持部、62…第1の連結アーム部、
63…第2の連結アーム部、64…第1の円筒翼支持部、65…第2の円筒翼支持部、
66…第3の連結アーム部、610…整流板支持アーム部、
611…整流板補強部材、612…取付ブラケット、
613…ステー部材、613a…カバー部、613b…固定部、
640…揺動軸支構造部、
641…第1の円筒翼支持アーム部、642…第2の円筒翼支持アーム部、
650…固定軸支構造部、
651…第1の円筒翼支持アーム部、652…第2の円筒翼支持アーム部、
7…遮蔽板、70a…基端縁部、70b…先端縁部、71…板材、710…重畳部、
O1…第1の回転軸、O2…第2の回転軸、S…設置面