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特許7548574ウォ-ム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ウォ-ム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20240903BHJP
   F16H 1/16 20060101ALI20240903BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20240903BHJP
   H02K 1/16 20060101ALI20240903BHJP
   H02K 21/14 20060101ALI20240903BHJP
   H02K 16/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B62D5/04
F16H1/16 Z
H02K7/116
H02K1/16 Z
H02K21/14 M
H02K16/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021040420
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139857
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】523207386
【氏名又は名称】NSKステアリング&コントロール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 光輝
(72)【発明者】
【氏名】田口 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】樫本 圭司
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-192787(JP,A)
【文献】特開2012-102799(JP,A)
【文献】特開2004-224280(JP,A)
【文献】特開2005-201381(JP,A)
【文献】特開2012-154432(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0164915(US,A1)
【文献】特開2019-030145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/00-5/32
F16H 1/00-1/26、57/00-57/12
H02K 1/16、7/00-7/20、16/00、21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングシャフトに接続され、第1中心軸の軸回り方向に回転可能で、且つ、外周にホイール歯部が設けられるウォームホイールと、
前記第1中心軸と交差する第2中心軸の軸方向に延びるシャフト部と、前記シャフト部に設けられ、且つ、前記ホイール歯部に噛み合うシャフト歯部と、前記シャフト部に設けられるロータと、を有するウォームシャフトと、
前記ロータの外周側に位置し、且つ、前記第2中心軸の周方向に沿って延びるステータと、を備え、
前記ステータは、前記周方向の一部に切欠き部を有し、当該切欠き部に前記ホイール歯部の一部が挿入さ
前記ステータの前記切欠き部は、前記第2中心軸の軸方向に沿って前記ステータの全幅を貫通する、
ウォーム減速機付き電動機。
【請求項2】
前記ロータは、前記シャフト部における前記シャフト歯部の両側に設けられる、
請求項1に記載のウォーム減速機付き電動機。
【請求項3】
ステアリングシャフトに接続され、第1中心軸の軸回り方向に回転可能で、且つ、外周にホイール歯部が設けられるウォームホイールと、
前記第1中心軸と交差する第2中心軸の軸方向に延びるシャフト部と、前記シャフト部に設けられ、且つ、前記ホイール歯部に噛み合うシャフト歯部と、前記シャフト部に設けられるロータと、を有するウォームシャフトと、
前記ロータの外周側に位置し、且つ、前記第2中心軸の周方向に沿って延びるステータと、を備え、
前記ステータは、前記周方向の一部に切欠き部を有し、当該切欠き部に前記ホイール歯部の一部が挿入され
前記ステータは、前記第2中心軸を挟んで前記切欠き部の反対側に位置する第1部位を有し、
前記ステータは、ティースと、前記ティースに巻回されるコイルと、を備え、
前記コイルは、前記第2中心軸の周方向において、前記切欠き部と前記第1部位との間に設けられる
ォーム減速機付き電動機。
【請求項4】
ステアリングシャフトに接続され、第1中心軸の軸回り方向に回転可能で、且つ、外周にホイール歯部が設けられるウォームホイールと、
前記第1中心軸と交差する第2中心軸の軸方向に延びるシャフト部と、前記シャフト部に設けられ、且つ、前記ホイール歯部に噛み合うシャフト歯部と、前記シャフト部に設けられるロータと、を有するウォームシャフトと、
前記ロータの外周側に位置し、且つ、前記第2中心軸の周方向に沿って延びるステータと、を備え、
前記ステータは、前記周方向の一部に切欠き部を有し、当該切欠き部に前記ホイール歯部の一部が挿入され
前記ロータは、前記第2中心軸の軸方向の中央側に向かうに従って径が小さくなるテーパー部を有し、
前記テーパー部は、前記ウォームホイールの前記ホイール歯部に対向して配置される
ォーム減速機付き電動機。
【請求項5】
前記第1中心軸の軸方向および前記第2中心軸の軸方向と交差する第3の軸方向から見た場合に、
前記テーパー部は、前記ウォームホイールの前記ホイール歯部に重畳して配置される、
請求項に記載のウォーム減速機付き電動機。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載のウォーム減速機付き電動機を備える、
電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウォ-ム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の電動パワーステアリング装置は、減速機構を備え、当該減速機構は、ウォームシャフトと、ウォームホイールと、を有する。ウォームシャフトのウォーム歯部は、ウォームホイールのホイール歯部と噛み合っており、ウォームシャフトが回転駆動することにより、ウォームホイールも回転する。具体的には、ウォームシャフトは、軸方向中央部にウォーム歯部を有し、軸方向の両端部にロータを有する。また、ロータの外周側には、ステータが設けられる。ステータは、ウォームシャフトの中心軸の軸回りの周方向に沿った円筒状の形状を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-192787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電動パワーステアリング装置は、小型化のためにウォームシャフトの軸方向長さを小さくすると、ステータが軸方向に沿ってウォーム歯部に近づき、ステータがホイール歯部に干渉する可能性がある。
【0005】
本開示は、前述の課題に鑑みてなされたものであって、より小型化された、ウォ-ム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、一態様に係るウォ-ム減速機付き電動機または電動パワーステアリング装置は、ステアリングシャフトに接続され、第1中心軸の軸回り方向に回転可能で、且つ、外周にホイール歯部が設けられるウォームホイ-ルと、前記第1中心軸と交差する第2中心軸の軸方向に延びるシャフト部と、前記シャフト部に設けられ、且つ、前記ホイール歯部に噛み合うシャフト歯部と、前記シャフト部における前記シャフト歯部に設けられるロータと、を有するウォームシャフトと、前記ロータの外周側に位置し、且つ、前記第2中心軸の周方向に沿って延びるステータと、を備え、前記ステータは、前記周方向の一部に切欠き部を有し、当該切欠き部に前記ホイール歯部の一部が挿入される。
【0007】
前述したように、特許文献1においては、ステータは、ウォームシャフトの中心軸の軸回りの周方向に沿った円筒状の形状を有する。従って、ステータを軸方向に沿ってウォーム歯部に近づけ過ぎると、ステータがホイール歯部に干渉する可能性がある。
【0008】
これに対して、本開示のステータは、周方向の一部に切欠き部を有し、当該切欠き部にホイール歯部の一部が挿入される。従って、特許文献1よりもステータを軸方向中央側に寄せて配置することによって、ウォームシャフトの軸方向長さを小さくすることが可能となるため、本開示によれば、より小型化された、ウォ-ム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置が提供される。
【0009】
望ましい態様として、前記ロータは、前記シャフト部における前記シャフト歯部の両側に設けられる。これによれば、ウォームシャフトの軸方向長さをより小さくすることが可能となる。従って、より小型化された、ウォ-ム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置が提供される。
【0010】
望ましい態様として、前記ステータの前記切欠き部は、前記第2中心軸の軸方向に沿って前記ステータの全幅を貫通する。これによれば、ウォームシャフトの軸方向長さを更に小さくして、ウォ-ム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置がより小型化される。
【0011】
望ましい態様として、前記ステータは、前記第2中心軸を挟んで前記切欠き部の反対側に位置する第1部位を有し、前記ステータは、ティースと、前記ティースに巻回されるコイルと、を備え、前記コイルは、前記第2中心軸の周方向において、前記切欠き部と前記第1部位との間に設けられる。
【0012】
ステータの切欠き部には、コイルを設けることができない。このため、切欠き部には、回転駆動力を発生させるモータ部を形成することができない。従って、仮に、第2中心軸を挟んで切欠き部の反対側にもティースを形成し、且つ、当該ティースにコイルを巻回させる場合、第2中心軸を挟んだ切欠き部の反対側にもモータ部が形成される。そうすると、ステータの周方向部位において切欠き部のみにモータ部が形成されないため、ロータが一定の速度で回転することが困難になる。
【0013】
そこで、前記第1部位と切欠き部との間にコイルを設けることにより、モータ部を形成する周方向部位をより均等に設定することができるため、ステータの周方向において切欠き部のみにモータ部が形成されない場合に対して、ロータがより一定の速度で回転することが可能となる。
【0014】
望ましい態様として、前記ロータは、前記第2中心軸の軸方向の中央側に向かうに従って径が小さくなるテーパー部を有し、前記テーパー部は、前記ウォームホイ-ルの前記ホイール歯部に対向して配置される。このように、テーパー部は、第2中心軸の軸方向の中央側に向かうに従って径が小さくなるため、テーパー部を第2中心軸の軸方向の中央側に近づけても、テーパー部がウォームホイ-ルに干渉しない。従って、テーパー部がないロータに対して、本開示は、ロータの軸方向の長さをより短く設定することが可能となる。従って、本開示によれば、より小型化された、ウォ-ム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置が提供される。
【0015】
望ましい態様として、前記第1中心軸の軸方向および前記第2中心軸の軸方向と交差する第3の軸方向から見た場合に、前記テーパー部は、前記ウォームホイ-ルの前記ホイール歯部に重畳して配置される。この場合も同様に、テーパー部がないロータに対して、本開示は、ロータの軸方向の長さをより短く設定することが可能となる。従って、本開示によれば、より小型化された、ウォ-ム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、より小型化された、ウォ-ム減速機付き電動機および電動パワーステアリング装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1実施形態の電動パワーステアリング装置の模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係るウォーム減速機付き電動機を斜め後方から見た模式的な斜視図である。
図3図3は、第1実施形態に係るウォーム減速機付き電動機を斜め前方から見た模式的な斜視図である。
図4図4は、図3の分解斜視図である。
図5図5は、第1実施形態に係る第1弾性部材を示す模式的な平面図である。
図6図6は、図2のVI-VI線による断面図である。
図7図7は、図2のVII-VII線による断面図である。
図8図8は、図2のVIII-VIII線による断面図である。
図9図9は、図8の一部を拡大した模式図である。
図10図10は、第1実施形態に係るウォーム減速機付き電動機の第2構造体を斜め下方から見上げた斜視図である。
図11図11は、図10の第2構造体を下方から見上げた底面図である。
図12図12は、第2実施形態に係るウォーム減速機付き電動機を斜め後方から見た模式的な斜視図である。
図13図13は、第2実施形態に係るウォーム減速機付き電動機を斜め前方から見た模式的な斜視図である。
図14図14は、図13の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、同一構造の部位には同一符号を付けて、説明を省略する。なお、三次元座標において、X方向は車体の前後方向、Y方向は車幅方向、Z方向は上下方向を示す。さらに、X1方向は、車体における後方を示し、X2方向は前方を示す。Y1方向は、車幅方向のうち左方向を示し、Y2方向は、右方向を示す。Z1方向は、上方を示し、Z2方向は、下方を示す。従って、以下の説明において、例えば、後方をX1方向と称したり、上方をZ1方向と称したりする場合などがある。
【0019】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態の電動パワーステアリング装置の模式図である。図2は、第1実施形態に係るウォーム減速機付き電動機を斜め後方から見た模式的な斜視図である。図3は、第1実施形態に係るウォーム減速機付き電動機を斜め前方から見た模式的な斜視図である。図4は、図3の分解斜視図である。図5は、第1実施形態に係る第1弾性部材を示す模式的な平面図である。図6は、図2のVI-VI線による断面図である。図7は、図2のVII-VII線による断面図である。図8は、図2のVIII-VIII線による断面図である。図9は、図8の一部を拡大した模式図である。図10は、第1実施形態に係るウォーム減速機付き電動機の第2構造体を斜め下方から見上げた斜視図である。図11は、図10の第2構造体を下方から見上げた底面図である。
【0020】
図1に示すように、第1ステアリングシャフト82は、入力軸82aと、出力軸82bとを備える。入力軸82aの一方の端部がステアリングホイール81に連結され、入力軸82aの他方の端部が出力軸82bに連結される。また、出力軸82bの一方の端部が入力軸82aに連結され、出力軸82bの他方の端部が第1ユニバーサルジョイント84に連結される。
【0021】
図1に示すように、第2ステアリングシャフト85は、第1ユニバーサルジョイント84と第2ユニバーサルジョイント86とを連結している。第2ステアリングシャフト85の一方の端部が第1ユニバーサルジョイント84に連結され、他方の端部が第2ユニバーサルジョイント86に連結される。第3ステアリングシャフト87の一方の端部が第2ユニバーサルジョイント86に連結され、第3ステアリングシャフト87の他方の端部がステアリングギヤ88に連結される。
【0022】
図1に示すように、ステアリングギヤ88は、ピニオン88aと、ラック88bとを備える。ピニオン88aは、第3ステアリングシャフト87に連結される。ラック88bは、ピニオン88aに噛み合う。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。ラック88bは、タイロッド89に連結される。ラック88bが移動することで車輪の角度が変化する。
【0023】
図1に示すように、操舵力アシスト機構83は、ウォーム減速機付き電動機100を備える。ウォーム減速機付き電動機100は、出力軸82bに補助操舵トルクを与える。ウォーム減速機付き電動機100については、詳細に後述する。
【0024】
図1に示すように、電動パワーステアリング装置80は、ウォーム減速機付き電動機100と、ECU(Electronic Control Unit)90と、トルクセンサ94と、車速センサ95と、を備える。ウォーム減速機付き電動機100、トルクセンサ94および車速センサ95は、ECU90と電気的に接続される。トルクセンサ94は、入力軸82aに伝達された操舵トルクをCAN(Controller Area Network)通信によりECU90に出力する。車速センサ95は、電動パワーステアリング装置80が搭載される車体の走行速度(車速)を検出する。車速センサ95は、車体に備えられ、車速をCAN通信によりECU90に出力する。
【0025】
ECU90は、ウォーム減速機付き電動機100の第1モータ部3および第2モータ部4(図2参照)の動作を制御する。ECU90は、トルクセンサ94および車速センサ95のそれぞれから信号を取得する。ECU90には、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)から電力が供給される。ECU90は、操舵トルクおよび車速に基づいて補助操舵指令値を算出する。ECU90は、補助操舵指令値に基づいて第1モータ部3および第2モータ部4へ供給する電力値を調節する。ECU90は、第1モータ部3および第2モータ部4から誘起電圧の情報または第1モータ部3および第2モータ部4に設けられたレゾルバ等から出力される情報を取得する。ECU90が第1モータ部3および第2モータ部4を制御することで、ステアリングホイール81の操作に要する力が小さくなる。
【0026】
図2および図3に示すように、第1実施形態に係るウォーム減速機付き電動機100は、第1構造体110と、第2構造体120と、第1弾性部材(弾性部材)5と、を備える。第1構造体110、第2構造体120および第1弾性部材(弾性部材)5は、上下方向に配置される。第1構造体110が最も下側(Z2側)に位置し、第1構造体110の上に第1弾性部材5が配置され、第2構造体120が最も上側に配置される。即ち、第1構造体110と第2構造体120とで、第1弾性部材5を上下から挟持している。なお、ウォームホイ-ル11とウォームシャフト12とでウォーム減速機が構成される。
【0027】
図2図3図4および図6に示すように、第1構造体110は、第1ハウジング21と、ウォームホイ-ル11と、を有する。第1ハウジング21は、本体部211と、蓋体部212を備え、ウォームホイ-ル11を収容する。本体部211は、前後方向(X方向)において、後方(X1側)に位置し、蓋体部212は、本体部211の前側(X2側)の開口を覆う。ウォームホイ-ル11の第1中心軸AX1は、X方向に沿って延びる。以下、ウォームホイ-ル11の第1中心軸AX1に沿った方向を第1軸方向、第1中心軸AX1の軸回り方向を第1周方向、および、第1中心軸AX1に直交する方向を第1径方向とも称する。また、図3および図5に示すように、第1ハウジング21は、ウォームホイ-ル11が露出する第1開口部213と、第1開口部213の周縁部213aと、を有する。
【0028】
図6に示すように、本体部211は、第1周面部211aと、後壁面部211bと、第2周面部211cと、フランジ211dと、円盤部211eと、スプライン軸211fと、を有する。第1周面部211aは、第1中心軸AX1の軸回りの第1周方向に延びる円筒面である。後壁面部211bは、第1周面部211aのX1側の端から第1径方向の内側に延びる。第2周面部211cは、第1周方向に延びる円筒面である。第2周面部211cは、後壁面部211bの第1径方向の内側の端からX1側に向けて延びる。第2周面部211cの内周側には、円盤部211eが嵌合される。フランジ211dは、第2周面部211cのX1側の端から第1径方向の内側に向けて延びる。なお、図1に示すように、スプライン軸211fは、円盤部211eに対して回転可能に支持されており、スプライン軸211fは、ウォームホイ-ル11に連結される。
【0029】
図6に示すように、蓋体部212は、前面部212aと、筒状部212bと、プレート部212cと、を有する。前面部212aは、第1径方向の内側に向けて延びる。前面部212aの周縁部は、第1周面部211aのX2側の端に対向する。筒状部212bは、前面部212aの第1径方向の内側の端からX1側に向けて円筒状に延びる。プレート部212cは、筒状部212bの内周側に嵌合される。なお、図3に示すように、プレート部212cから円筒状の突設部212dがX2側に向けて突出している。
【0030】
さらに、図6に示すように、プレート部212cと円盤部211eとの間には、ウォームホイ-ル11が配置される。ウォームホイ-ル11は、第1径方向の中央に位置する中央部11aと、中央部11aの外周側に位置するホイール歯部11bと、を備える。中央部11aは、ホイール歯部11bよりもX方向の厚さが厚く形成される。中央部11aには、図1に示すスプライン軸211fが連結されている。
【0031】
図4に示すように、第1ハウジング21の上面21aには、凹溝210が設けられる。上面21aは、第1開口部213の周縁部213aでもある。凹溝210には、第1弾性部材(弾性部材)5が嵌められる。第1弾性部材(弾性部材)5は、例えばゴムである。次に、図5を参照して、第1弾性部材(弾性部材)5を説明する。図5に示すように、第1弾性部材(弾性部材)5は、第1環状部51と、第2環状部52と、第1連結部53と、第2連結部54と、を備える。第1環状部51および第2環状部52は、平面視で略矩形状である。具体的には、第1環状部51は、第1辺部511と、第2辺部512と、第3辺部513と、第4辺部514と、を有する。第1辺部511および第2辺部512は、X方向に沿って延びる。第1辺部511および第2辺部512は、Y方向に離隔している。第3辺部513および第4辺部514は、Y方向に沿って延びる。第3辺部513および第4辺部514は、X方向に離隔している。
【0032】
第2環状部52は、第1辺部521と、第2辺部522と、第3辺部523と、第4辺部524と、を有する。第1辺部521および第2辺部522は、X方向に沿って延びる。第1辺部521および第2辺部522は、Y方向に離隔している。第3辺部523および第4辺部524は、Y方向に沿って延びる。第3辺部523および第4辺部524は、X方向に離隔している。
【0033】
第1連結部53は、第1環状部51の第3辺部513と、第2環状部52の第3辺部523とを連結する。第1連結部53は、平坦部531と、湾曲部532と、を有する。平坦部531は、第3辺部513および第3辺部523に接続される。第1環状部51と、第2環状部52と、平坦部531とは、図4に示すように、同一高さで延びる。湾曲部532は、端531aから端532aまで、上方(Z1側)に向けて湾曲して延びる。
【0034】
第2連結部54は、第1環状部51の第4辺部514と、第2環状部52の第4辺部524とを連結する。第2連結部54は、平坦部541と、湾曲部542と、を有する。平坦部541は、第4辺部514および第4辺部524に接続される。第1環状部51と、第2環状部52と、平坦部541、平坦部541とは、図4に示すように、同一高さで延びる。湾曲部542は、端541aから端542aまで、上方(Z1側)に向けて湾曲して延びる。以上より、平坦部531、平坦部541、第1環状部51および第2環状部52は、湾曲部532,542よりもZ2側に位置する。
【0035】
なお、図4に示すように、第1ハウジング21の上面21aは、平坦部21bと、湾曲部21c、21dと、を備える。平坦部21bおよび湾曲部21c、21dには、凹溝210が設けられる。湾曲部21c、21dは、Z1側(上方側)に凸の湾曲状である。湾曲部21cは、上面21aにおけるX2側の部位であり、湾曲部21dは、上面21aにおけるX1側の部位である。
【0036】
ここで、第1ハウジング21の平坦部21bの凹溝210には、第1弾性部材5における第1環状部51、第2環状部52および平坦部531、541が嵌められる。第1ハウジング21の湾曲部21cの凹溝210には、第1弾性部材5の湾曲部532が嵌められる。第1ハウジング21の湾曲部21dの凹溝210には、第1弾性部材5の湾曲部542が嵌められる。
【0037】
次に、第2構造体120を説明する。図4に示すように、第2構造体120は、第2ハウジング22と、ウォームシャフト12と、第1モータ部3と、第2モータ部4と、を備える。ウォームシャフト12の第2中心軸AX2は、Y方向に沿って延びる。以下、ウォームシャフト12の第2中心軸AX2に沿った方向を第2軸方向、第2中心軸AX2の軸回り方向を第2周方向、および、第2中心軸AX2に直交する方向を第2径方向とも称する。
【0038】
図4に示すように、第2ハウジング22は、下枠部221と、軸受固定部222と、フランジ223と、カバー23と、を有する。図10および図11に示すように、下枠部221は、平面視で長方形であり、Y方向が長手方向である。図2図3および図4に示すように、下枠部221は、平坦部221aと、湾曲部221bと、湾曲部221cと、を有する。湾曲部221bは、上側(Z1側)に向けて凸の湾曲形状を有する。湾曲部221bは、下枠部221のX2側において、Y1側の平坦部221aと、Y2側の平坦部221aと、を連結する。湾曲部221bのZ方向厚さは、湾曲部221cのZ方向厚さよりも厚い。湾曲部221cは、下枠部221のX1側において、Y1側の平坦部221aと、Y2側の平坦部221aと、を連結する。図10および図11に示すように、下枠部221の四隅の角部には、ボルトが突き出ている。当該ボルトを介して、第2ハウジング22は第1ハウジング21の上面21aに固定される。図4に示すように、軸受固定部222は、下枠部221の上側に設けられる。軸受固定部222は、Y1側とY2側とにそれぞれ設けられる。軸受固定部222は、Y方向から見た場合に、円環状である。軸受固定部222の内周側には、軸受130が嵌合されている。軸受130は、内輪、外輪および転動体を有する。軸受130の内輪の内周側には、ウォームシャフト12の軸部12aが嵌合される。従って、ウォームシャフト12のY1側およびY2側は、軸受130を介して、第2ハウジング22に回転可能に支持される。図4に示すように、フランジ223は、Z方向およびY方向に延びる。即ち、フランジ223は、軸受固定部222の上端から上方(Z1側)に延びる。フランジ223は、Y1側の軸受固定部222の上端と、Y1側の軸受固定部222の上端と、を連結する。なお、点ハッチングで示すカバー23は、ウォームシャフト12を覆っている。カバー23は、ウォームシャフト12に金属粉などの異物が付着することを抑制する。
【0039】
図8図10および図11に示すように、ウォームシャフト12は、軸部12aと、シャフト歯部12bと、大径部12cと、テーパー部12dと、を有する。軸部12aは、前述のように、軸受130を介して、第2ハウジング22に回転可能に支持される。大径部12cは、軸部12aの第2軸方向の内側に位置する。換言すると、大径部12cは、軸部12aに対して、ウォームシャフト12の第2軸方向の中心側に設けられる。大径部12cの外周面は、第2中心軸AX2の軸回りの第2周方向に沿った円筒面である。大径部12cの径は、軸部12aの径よりも大きい。テーパー部12dは、大径部12cの第2軸方向の内側に位置する。テーパー部12dの径は、第2軸方向の内側(ウォームシャフト12の第2軸方向の中心側)に行くに従って径が小さくなる。換言すると、第2中心軸AX2を含む断面において、テーパー部12dの外周面は、ウォームシャフト12の第2軸方向の中心側に行くに従って第2中心軸AX2に近づく。また、Y1側のテーパー部12dと、Y2側のテーパー部12dと、の間には、シャフト歯部12bが設けられる。ウォームシャフト12のシャフト歯部12bは、ウォームホイ-ル11のホイール歯部11bと噛み合う。即ち、ウォームシャフト12が第2中心軸AX2の軸回り方向に回転すると、ウォームホイ-ル11は第1中心軸AX1の軸回り方向に回転する。また、図10および図11に示すように、大径部12cおよびテーパー部12dは、ロータ250である。ロータ250は、電磁鋼板および冷間圧延鋼板などの薄板を積層し、ウォームシャフト12に対してカシメ等により固定することで製造される。永久磁石同期モータのように、ロータに永久磁石を用いる場合には、ロータ250を形成するために用いる薄板に、あらかじめ磁石挿入用の開口を設けることができる。薄板を積層することにより、前述した磁石挿入用の開口部に、磁石挿入用の挿入孔が形成される。この挿入孔に永久磁石を挿入することにより、ロータ250を製造することができる。その他、磁性粉体を焼結することにより、ロータを製造してもよい。なお、図10に示すように、第2ハウジング22は、第2開口部224と、第2開口部224の周縁部224aと、を有する。第2開口部224からウォームシャフト12が露出する。
【0040】
図9に示すように、第2中心軸AX2を含む断面において、テーパー部12dの最も径方向内側の端P1はテーパー部12dの第2軸方向の中央側(図9の右側)の端と同一であり、テーパー部12dの最も径方向外側の端P2はテーパー部12dの第2軸方向の外側(図9の左側)の端と同一である。端P1を通ってZ方向に延びる直線をL1とし、端P2を通ってY方向に延びる直線をL2とする。直線L1と直線L2との交点を交点P3とする。また、図9の仮想線11cは、図8に示すウォームホイ-ル11のホイール歯部11bの先端(刃先)を結んだ円弧状の仮想線であり、ウォームホイ-ル11の最外径の部分を繋いだ円弧を示す。そして、交点P3は、仮想線11cよりも第1中心軸AX1寄りに配置されることが望ましい。換言すると、交点P3は、仮想線11cの円の内側に配置されることが望ましい。また、第2中心軸AX2を含む断面において、テーパー部12dは、仮想線11c(ホイール歯部11b)に対向している。さらに、図9に示すように、第2中心軸AX2を含む断面において、第1中心軸の軸方向および第2中心軸の軸方向と交差する第3の軸方向(Z方向)から見た場合に、テーパー部12dは、仮想線11cに重畳して配置される。
【0041】
図6に示すように、第1モータ部3は、ステータ31、34と、支持プレート38と、保護カバー170と、を有する。ステータ31、34は、例えば、電磁鋼板および冷間圧延鋼板などの薄板が積層されカシメなどの手段により固定されることによって製造される。図6に示すように、ステータ31は、第2中心軸AX2よりもX1側に配置され、ステータ34は、第2中心軸AX2よりもX2側に配置される。ステータ31とステータ34とは、第2中心軸AX2を挟んで互いに反対側に配置される。換言すると、第2中心軸AX2を含む断面において、ステータ31とステータ34とは、第2中心軸AX2を通ってZ方向に延びる直線に対して対称である。
【0042】
図6に示すように、ステータ31は、周方向端31aから周方向端31bまで第2周方向に沿って設けられる。周方向端31aは、ステータ31におけるZ1側の端である。周方向端31bは、ステータ31におけるZ2側の端である。ステータ31は、ステータ本体32と、ティース33と、コイル240と、を有する。ステータ本体32は、第2周方向に沿って円弧状に延びる。ティース33は、ステータ本体32から第2径方向の内側に向けて突出している。換言すると、ティース33は、ステータ本体32から第2中心軸AX2に向けて突出している。ティース33は、第1ティース33aと、第2ティース33bと、第3ティース33cと、を含む。第1ティース33aは、3つのティース33のうちで、最もZ1側に位置する。第3ティース33cは、3つのティース33のうちで、最もZ2側に位置する。第2ティース33bは、Z方向において、第1ティース33aと第3ティース33cとの間に位置する。3つのティース33のそれぞれには、コイル240が巻回されている。
【0043】
図6に示すように、ステータ34は、周方向端34aから周方向端34bまで第2周方向に沿って設けられる。周方向端34aは、ステータ34におけるZ1側の端である。周方向端34bは、ステータ34におけるZ2側の端である。ステータ34は、ステータ本体35と、ティース36と、コイル240と、を有する。ステータ本体35は、第2周方向に沿って円弧状に延びる。ティース36は、ステータ本体35から第2径方向の内側に向けて突出している。換言すると、ティース36は、ステータ本体35から第2中心軸AX2に向けて突出している。ティース36は、第1ティース36aと、第2ティース36bと、第3ティース36cと、を含む。第1ティース36aは、3つのティース36のうちで、最もZ1側に位置する。第3ティース36cは、3つのティース36のうちで、最もZ2側に位置する。第2ティース36bは、Z方向において、第1ティース36aと第3ティース36cとの間に位置する。3つのティース36のそれぞれには、コイル240が巻回されている。なお、図6に示すように、ティース33、36にコイル240が巻回されることにより、例えば、時計回り方向に沿って、U相コイル、V相コイル、W相コイルとして機能する。さらに、図7に示すように、ティース43、46にコイル240が巻回されることにより、例えば、時計回り方向に沿って、U相コイル、V相コイル、W相コイルとして機能する。
【0044】
ここで、図6および図7に示すように、ステータ31とステータ34との間には、周方向に沿った切欠き部150が設けられる。具体的には、ステータ31の周方向端31bと、ステータ34の周方向端34aとは、周方向に離隔されており、この離隔部位が切欠き部150(または間隙)になっている。切欠き部150は、ステータ31、34の全幅に亘って形成される。切欠き部150は、Z2側(下方)に位置する。そして、第1中心軸AX1を含む断面において、ウォームホイ-ル11のホイール歯部11bが切欠き部150の間に位置する。また、第2中心軸AX2を挟んで切欠き部150の反対側(即ち、Z1側である上方)には、第1部位160が設けられる。第1部位160は、ステータ31の周方向端31aとステータ34の周方向端34aとの間隙である。切欠き部150および第1部位160には、コイル240が巻回されていない。
【0045】
なお、図11に示すように、ステータ31の内周は、ストレート部31cと、傾斜部31dと、を有する。ステータ34の内周は、ストレート部34cと、傾斜部34dと、を有する。ストレート部31c、34cおよび傾斜部31d、34dは、具体的には、ティース33、36の内周側の端である。ストレート部31c、34cは、第2軸方向(Y方向)に沿って延びる。換言すると、ストレート部31c、34cは、ウォームシャフト12の大径部12cに沿って延びる。傾斜部31d、34dは、ウォームシャフト12のテーパー部12dに沿って延びる。即ち、傾斜部31d、34dは、ウォームシャフト12のY方向(第2軸方向)の中心側に行くに従って第2中心軸AX2に近づく。
【0046】
また、ステータ41の内周は、ストレート部41cと、傾斜部41dと、を有する。ステータ44の内周は、ストレート部44cと、傾斜部44dと、を有する。ストレート部41c、44cおよび傾斜部41d、44dは、具体的には、ティース43、46の内周側の端である。ストレート部41c、44cは、第2軸方向(Y方向)に沿って延びる。換言すると、ストレート部41c、44cは、ウォームシャフト12の大径部12cに沿って延びる。傾斜部41d、44dは、ウォームシャフト12のテーパー部12dに沿って延びる。即ち、傾斜部41d、44dは、ウォームシャフト12のY方向(第2軸方向)の中心側に行くに従って第2中心軸AX2に近づく。
【0047】
図6に示すように、支持プレート38は、Y方向から見た場合に、略半円状である。支持プレート38は、X1側とX2側とにそれぞれ設けられる。具体的に説明する。支持プレート38は、上端フランジ38aと、円弧部38bと、下端フランジ38cと、を備える。第2中心軸AX2を含む断面において、上端フランジ38aは、Z方向に直線状に延び、円弧部38bは、上端フランジ38aから下端フランジ38cまで円弧状に延びる。円弧部38bの内周面に、ステータ31、34が固定される。X1側の支持プレート38の上端フランジ38aと、X2側の支持プレート38の上端フランジ38aと、第2ハウジング22のフランジ223とは、ボルトを介して一体に固定される。また、図4に示すように、下端フランジ38cは、下枠部221の平坦部221aにボルトを介して固定される。保護カバー170は、支持プレート38の表面側に設けられる。支持プレート38は鉄系材料に代表される磁性材料により構成することができる。保護カバー170は省略することができる。
【0048】
次に、図7を参照して、第2モータ部4を説明するが、第2モータ部4の構成は、第1モータ部3の構成と略同一であるため、簡単に説明する。
【0049】
第2モータ部4は、ステータ41、44と、支持プレート37と、を有する。ステータ41とステータ44とは、第2中心軸AX2を挟んで互いに反対側に配置される。換言すると、第2中心軸AX2を含む断面において、ステータ41とステータ44とは、第2中心軸AX2を通ってZ方向に延びる直線に対して対称である。
【0050】
図7に示すように、ステータ41は、周方向端41aから周方向端41bまで第2周方向に沿って設けられる。ステータ41は、ステータ本体42と、ティース43と、コイル240と、を有する。ティース43は、第1ティース43aと、第2ティース43bと、第3ティース43cと、を含む。
【0051】
図7に示すように、ステータ44は、周方向端44aから周方向端44bまで第2周方向に沿って設けられる。ステータ44は、ステータ本体45と、ティース46と、コイル240と、を有する。ティース46は、第1ティース46aと、第2ティース46bと、第3ティース46cと、を含む。
【0052】
支持プレート37は、X1側とX2側とにそれぞれ設けられる。具体的に説明する。支持プレート37は、上端フランジ37aと、円弧部37bと、下端フランジ37cと、を備える。円弧部37bの内周面に、ステータ41、44が固定される。保護カバー170は、支持プレート37の表面側に設けられる。
【0053】
なお、図4に示すように、下枠部221には、ボルト(固定部材)140がZ方向に貫通し、ボルト140の下端部140aが下枠部221の下面から下方に突出している。また、第1ハウジング21の上面21aには、ボルト孔210Bが設けられる。ボルト孔210Bには、ボルト140の下端部140aが挿入および締結される。従って、ボルト140の下端部140aをボルト孔210Bに挿入および締結することにより、第2構造体120と第1構造体110との間に第1弾性部材5が挟まれた状態で、第2構造体120が第1構造体110に組み付けられる。このとき、第1弾性部材5は、第2構造体120と第1構造体110とによって弾性変形している。
【0054】
以上説明したように、第1実施形態に係るウォーム減速機付き電動機100は、第1第1中心軸AX1の軸回り方向に回転可能で、且つ、外周にホイール歯部11bが設けられるウォームホイ-ル11と、第2中心軸AX2の軸方向に延びる軸部12aと、軸部12aに設けられ、且つ、ホイール歯部11bに噛み合うシャフト歯部12bと、軸部12aにおけるシャフト歯部12bの両側に設けられるロータ250と、を有するウォームシャフト12と、ロータ250の外周側に位置し、且つ、第2中心軸AX2の周方向に沿って延びるステータ31、34、41、44と、を備える。ステータ31、34、41、44は、周方向の一部に切欠き部150を有し、切欠き部150にホイール歯部11bの一部が挿入される。
【0055】
前述したように、特許文献1においては、ステータは、ウォームシャフトの中心軸の軸回りの周方向に沿った円筒状の形状を有する。従って、ステータを軸方向に沿ってウォーム歯部に近づけ過ぎると、ステータがホイール歯部に干渉する可能性がある。
【0056】
これに対して、本開示のステータ31、34、41、44は、周方向の一部に切欠き部150を有し、切欠き部150にホイール歯部11bが挿入される。従って、特許文献1よりもステータ31、34、41、44を第2中心軸AX2の軸方向中央側に寄せて配置することができる。これによって、ウォームシャフト12の軸方向長さを小さくすることが可能となるため、本開示によれば、より小型化されたウォーム減速機付き電動機100が提供される。
【0057】
ステータ31、34、41、44の切欠き部150は、第2中心軸AX2の軸方向に沿ってステータ31、34、41、44の全幅を貫通する。これによれば、ウォームシャフト12の軸方向長さを更に小さくして、ウォーム減速機付き電動機100がより小型化される。
【0058】
コイル240は、第2中心軸AX2の周方向において、切欠き部150と第1部位160との間に設けられる。
【0059】
ステータの切欠き部には、コイルを設けることができない。このため、切欠き部には、回転駆動力を発生させるモータ部を形成することができない。従って、仮に、第2中心軸AX2を挟んで切欠き部の反対側にもティースを形成し、且つ、当該ティースにコイルを巻回させる場合、第2中心軸AX2を挟んだ切欠き部の反対側にもモータ部が形成される。そうすると、ステータの周方向において切欠き部のみにモータ部が形成されないため、ロータが一定の速度で回転することが困難になる。
【0060】
そこで、第1部位と切欠き部との間にコイルを設けることにより、モータ部を形成する部位を均等に設定することができるため、ステータの周方向において切欠き部のみにモータ部が形成されない場合に対して、ロータがより一定の速度で回転することが可能となる。
【0061】
ロータ250は、第2中心軸AX2の軸方向の中央側に向かうに従って径が小さくなるテーパー部12dを有し、第2中心軸AX2を含む断面において、テーパー部12dは、ウォームホイ-ル11のホイール歯部11bに対向して配置される。また、第1中心軸AX1の軸方向および第2中心軸AX2の軸方向と交差する第3の軸方向(Z方向)から見た場合に、第2中心軸AX2を含む断面において、テーパー部12dは、ウォームホイ-ル11のホイール歯部11bに重畳して配置される。
【0062】
テーパー部12dは、第2中心軸AX2の軸方向の中央側に向かうに従って径が小さくなるため、本実施形態のテーパー部12dを第2中心軸AX2の軸方向の中央側に移動させて、ウォームホイ-ル11のホイール歯部11bに近接させても、ホイール歯部11bに干渉しない。従って、テーパー部がないロータに対して、本実施形態のロータ250の方が、第2軸方向の長さを短く設定することが可能となる。
【0063】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。図11は、第2実施形態に係るウォーム減速機付き電動機を斜め後方から見た模式的な斜視図である。図12は、第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置を斜め前方から見た模式的な斜視図である。図13は、図12の分解斜視図である。
【0064】
図11から図13に示す第2実施形態のウォーム減速機付き電動機100Aは、第1実施形態のウォーム減速機付き電動機100に対して、弾性部材が相違する。具体的には、ウォーム減速機付き電動機100では、第1弾性部材(弾性部材)5を備えたが、ウォーム減速機付き電動機100Aでは、第2弾性部材(弾性部材)5Aを備える。以下に詳細に説明する。
【0065】
図13に示すように、第2弾性部材5Aは、ゴム製のOリングである。即ち、Oリング(第2弾性部材5A)は、円環状である。また、中心軸を含む断面において、Oリング(第2弾性部材5A)の断面形状は円形である。第2弾性部材5Aは、4つ設けられる。具体的には、第2弾性部材5Aは、第2弾性部材5A1、5A2、5A3、5A4を有する。
【0066】
また、図13に示すように、第1ハウジング21Aの上面21Aaには、凹溝210Aが4つ設けられる。凹溝210Aは、Z方向から見た場合に、円環状である。即ち、上面21AaをZ方向から見た場合に、上面21Aaの四隅の角部に凹溝210A1、210A2、210A3、210A4が設けられる。4つの凹溝210Aのうち、凹溝210A1は、Y2側且つX2側に位置する。また、凹溝210A2は、Y2側且つX1側に位置する。凹溝210A3は、Y1側且つX2側に位置する。凹溝210A4は、Y1側且つX1側に位置する。
【0067】
そして、凹溝210A1には、第2弾性部材5A1が挿入される。凹溝210A2には、第2弾性部材5A2が挿入される。凹溝210A3には、第2弾性部材5A3が挿入される。凹溝210A4には、第2弾性部材5A4が挿入される。換言すると、4つの第2弾性部材5Aは、ウォームホイ-ル11を挟んだ一方側(Y1側)と他方側(Y2側)とにそれぞれ2つずつ設けられる。
【0068】
次に、第2弾性部材5Aの装着手順を簡単に説明する。まず、凹溝210A1に第2弾性部材5A1を挿入し、凹溝210A2に第2弾性部材5A2を挿入し、凹溝210A3に第2弾性部材5A3を挿入し、凹溝210A4に第2弾性部材5A4を挿入する。その後、第2構造体120の下枠部221を、第1構造体110における第1ハウジング21Aの上面21Aaに載置する。なお、上面21Aaは、第1開口部213の周縁部213aである。
【0069】
ここで、図13に示すように、下枠部221には、ボルト140がZ方向に貫通し、ボルト140の下端部140aが下枠部221の下面から下方に突出している。また、凹溝210Aの中央には、ボルト孔210Bが設けられる。ボルト孔210Bには、ボルト140の下端部140aが挿入および締結される。よって、ボルト140の下端部140aをボルト孔210Bに挿入することにより、ボルト140の下端部140aが第2弾性部材5Aの中央の孔を通る。
【0070】
従って、ボルト140の下端部140aをボルト孔210Bに挿入および締結することにより、第2構造体120と第1構造体110との間に第2弾性部材5Aが挟まれた状態で、第2構造体120が第1構造体110に組み付けられる。
【0071】
以上説明したように、第2実施形態においても、本開示のステータ31、34、41、44は、周方向の一部に切欠き部150を有し、切欠き部150にホイール歯部11bが挿入される。従って、特許文献1よりもステータ31、34、41、44を第2中心軸AX2の軸方向中央側に寄せて配置することができる。これによって、ウォームシャフト12の軸方向長さを小さくすることが可能となるため、本開示によれば、より小型化されたウォーム減速機付き電動機100Aが提供される。
【符号の説明】
【0072】
3 第1モータ部
4 第2モータ部
5 第1弾性部材(弾性部材)
5A、5A1、5A2、5A3、5A4 第2弾性部材(弾性部材)
11 ウォームホイ-ル(ウォーム減速機)
11a 中央部
11b ホイール歯部
11c 仮想線
12 ウォームシャフト(ウォーム減速機)
12a 軸部
12b シャフト歯部
12c 大径部
12d テーパー部
21、21A 第1ハウジング
21a、21Aa 上面
21b 平坦部
21c、21d 湾曲部
22 第2ハウジング
23 カバー
31 ステータ
31a、31b 周方向端
31c ストレート部
31d 傾斜部
32 ステータ本体
33 ティース
33a 第1ティース
33b 第2ティース
33c 第3ティース
34 ステータ
34a、34b 周方向端
34c ストレート部
34d 傾斜部
35 ステータ本体
36 ティース
36a 第1ティース
36b 第2ティース
36c 第3ティース
37 支持プレート
37a 上端フランジ
37b 円弧部
37c 下端フランジ
38 支持プレート
38a 上端フランジ
38b 円弧部
38c 下端フランジ
41 ステータ
41a、41b 周方向端
41c ストレート部
41d 傾斜部
42 ステータ本体
43 ティース
43a 第1ティース
43b 第2ティース
43c 第3ティース
44 ステータ
44a、44b 周方向端
44c ストレート部
44d 傾斜部
45 ステータ本体
46 ティース
46a 第1ティース
46b 第2ティース
46c 第3ティース
51 第1環状部
52 第2環状部
53 第1連結部
54 第2連結部
80 電動パワーステアリング装置
81 ステアリングホイール
82 第1ステアリングシャフト
82a 入力軸
82b 出力軸
83 操舵力アシスト機構
84 第1ユニバーサルジョイント
85 第2ステアリングシャフト(ステアリングシャフト)
86 第2ユニバーサルジョイント
87 第3ステアリングシャフト
88 ステアリングギヤ
88a ピニオン
88b ラック
89 タイロッド
90 ECU(Electronic Control Unit)
94 トルクセンサ
95 車速センサ
100、100A ウォーム減速機付き電動機
110 第1構造体
120 第2構造体
130 軸受
140 ボルト(固定部材)
140a 下端部
150 切欠き部
160 第1部位
170 保護カバー
210、210A、210A1、210A2、210A3、210A4 凹溝
211 本体部
211a 第1周面部
211b 後壁面部
211c 第2周面部
211d フランジ
211e 円盤部
211f スプライン軸
212 蓋体部
212a 前面部
212b 筒状部
212c プレート部
212d 突設部
213 第1開口部
213a 周縁部
221 下枠部
221a 平坦部
221b、221c 湾曲部
222 軸受固定部
223 フランジ
224 第2開口部
224a 周縁部
240 コイル
250 ロータ
511 第1辺部
512 第2辺部
513 第3辺部
514 第4辺部
521 第1辺部
522 第2辺部
523 第3辺部
524 第4辺部
531 平坦部
531a 端
532 湾曲部
532a 端
541 平坦部
541a 端
542 湾曲部
AX1 第1中心軸
AX2 第2中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14