(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】デンプンの除去のための組成物、方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
D21H 23/50 20060101AFI20240903BHJP
D21F 7/00 20060101ALI20240903BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
D21H23/50
D21F7/00 Z
B08B3/02 A
B08B3/02 F
(21)【出願番号】P 2021512974
(86)(22)【出願日】2019-05-13
(86)【国際出願番号】 AU2019050444
(87)【国際公開番号】W WO2019213718
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-11
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520439793
【氏名又は名称】エコケム オーストラリア ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ECOCHEM AUSTRALIA PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョフレイ グラント リタスキ
(72)【発明者】
【氏名】マルコム ロバート ダドリー
【審査官】中西 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-016718(JP,A)
【文献】特開昭63-120192(JP,A)
【文献】特開2018-024723(JP,A)
【文献】特表平09-510617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B~J、B31B~F、B08B、C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルゲータのデンプンアプリケータシステムの表面から樹脂注入デンプンの蓄積を除去する方法であって、該方法は、
クリーニング液組成物を35℃~90
℃の範囲の温度に加熱して加熱クリーニング液組成物を生成する工程であって、前記クリーニング液
組成物は、
i.前記樹脂注入デンプンの蓄積を水溶性単位に分解するための
、5%~15%w/wの範囲のα-アミラーゼと、
ii.前記樹脂注入デンプンの蓄積とそれが付着している前記表面との界面で反応するための1以上の界面活性剤と、
iii.前記樹脂注入デンプンの蓄積における樹脂を軟化させるのに適した1以上の溶媒と、を含む、工程と、
前記加熱クリーニング液組成物を、前記デンプンアプリケータシステムの前記表面上の前記樹脂注入デンプンの蓄積に適用する工程と、
を有する方法。
【請求項2】
前記加熱クリーニング液組成物を
、前記デンプンアプリケータシステムに前記樹脂注入デンプンを導入するための、デンプンポット、デンプンポンプ、デンプン給送ラインおよびデンプントレーを含むデンプンシステム回路
内で循環させる工程および/または前記加熱クリーニング液組成物を
、前記デンプンアプリケータシステムの前記表面上の前記樹脂注入デンプンの蓄積に適用するにあたって、前記加熱クリーニング液組成物を手動発泡して適用するための手動発泡回路
内で循環させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱クリーニング液組成物を前記デンプンシステム回路
内で循環させる前記工程は、
循環中に前記加熱クリーニング液組成物をヒータを通過させ
て前記加熱クリーニング液組成物を35℃~90℃の範囲の温度に維持する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱クリーニング液組成物を前記手動発泡回路
内で循環させる前記工程は
、前記
加熱クリーニング液組成物を熱交換器を通過さ
せて前記加熱クリーニング液組成物を40℃以上の温度まで加熱する工程を含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記手動発泡回路は、前記コルゲータの周囲に配置された、前記加熱クリーニング液組成物が通過するパイプループを有し、前記方法は、前記パイプループを前記熱交換器に接続する工程
をさらに含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記加熱クリーニング液組成物の前記樹脂注入デンプンの蓄積への接触時間を制御する工程をさらに含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱クリーニング液組成物の手動発泡適用を、30分の期間中に複数回提供する工程をさらに含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
コルゲータのデンプンアプリケータシステムのクリーニングシステムであって、該システムは、
樹脂注入デンプンの蓄積を除去するためのクリーニング液であって、該クリーニング液は、
i.前記樹脂注入デンプンの蓄積を水溶性単位に分解するための
、5%~15%w/wの範囲の量のα-アミラーゼと、
ii.前記樹脂注入デンプンの蓄積と前記コルゲータとの界面にて反応するための1以上の界面活性剤と、
iii.前記樹脂注入デンプンの蓄積における樹脂を軟化させるのに適した1以上の溶媒とを含む、クリーニング液と、
前記クリーニング液を35℃以上90℃未満の範囲の温度に加熱するように構成されているヒータと、
前記クリーニング液を受け取るためのクリーニング液供給ラインと、
を備え、
前記クリーニング液供給ラインは、1以上のクリーニングアプリケータに接続して前記1以上のクリーニングアプリケータに前記クリーニング液を供給するように構成されており、前記1以上のクリーニングアプリケータは、前記デンプンアプリケータシステムの部品に前記クリーニング液を直接適用するように手動操作可能に構成されている、クリーニングシステム。
【請求項9】
前記1以上のクリーニングアプリケータは、前記クリーニング液を発泡させて発泡クリーニング液が前記デンプンアプリケータシステムの部品に適用できるように構成されている1以上の発泡アプリケータを含む、請求項
8に記載のクリーニングシステム。
【請求項10】
前記システムは、
前記ヒータによって加熱されたクリーニング液を前記1以上のクリーニングアプリケータに供給するためのラインを含む
、前記1つ以上の発泡アプリケータを接続する発泡
適用回路内の前記クリーニング液を
循環させる循環手段を含む、請求項
9に記載のクリーニングシステム。
【請求項11】
コルゲータのデンプンアプリケータシステムのためのクリーニングシステムであって、
樹脂注入デンプンの蓄積を除去するためのクリーニング液であって、該クリーニング液は、
i.前記樹脂注入デンプンの蓄積を水溶性単位に分解するための
、5%~15%w/wの範囲の量のα-アミラーゼと、
ii.前記樹脂注入デンプンの蓄積と前記コルゲータとの界面にて反応するための1以上の界面活性剤と、
iii.前記樹脂注入デンプンの蓄積における樹脂を軟化させるのに適した1以上の溶媒とを含む、クリーニング液と、
前記クリーニング
液を加熱することによって
35℃以上90℃未満の範囲の加熱クリーニング液を生成
するように構成されているヒータと、
前記加熱クリーニング液を受け取るように構成されているクリーニング液供給ラインであって、前記クリーニング液供給ラインは、前記樹脂注入デンプンの蓄積に前記加熱クリーニング液の適用を可能にするように、1以上のクリーニングアプリケータおよび/または
前記デンプンアプリケータシステムに前記樹脂注入デンプンを導入するための、デンプンポット、デンプンポンプ、デンプン給送ライン及びデンプントレーを含むデンプンシステム回路に接続するように構成されている、クリーニング液供給ラインと、
前記1以上のクリーニングアプリケータを通して、および/または前記回路の周囲で前記
加熱クリーニング液の適用を制御するように構成されているコントローラと、
を備える、クリーニングシステム。
【請求項12】
前記クリーニングシステムは、
前記樹脂注入デンプンの蓄積とともに前記加熱クリーニング液を除去するすすぎ流体を受け取るためのすすぎ流体供給ラインをさらに備え、
前記すすぎ流体供給ラインは、前記1以上のクリーニングアプリケータおよび/または前記回路に接続可能であり、
前記コントローラは、前記1以上のクリーニングアプリケータを通して、および/または前記回路
内で前記すすぎ流体の
供給を制御するように構成されている、請求項
11に記載のクリーニングシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記1つ以上のクリーニングアプリケータおよび/または前記回路
内に前記クリーニング液を供給することを含むクリーニングサイクルを開始し、次に、前記1つ以上のクリーニングアプリケータおよび/または前記回路
内に前記すすぎ流体を供給して前記クリーニングアプリケータおよび/または前記回路
内に前記すすぎ流体を前記クリーニングアプリケータおよび/または前記回路
内に適用することを含むすすぎサイクルを開始する
ように構成されている、請求項
12に記載のクリーニングシステム。
【請求項14】
前記コントローラは、前記1以上のクリーニングアプリケータを通して、および/または回路
内で前記加熱クリーニング液の適用を制御して、前記加熱クリーニング液の前記樹脂
注入デンプンとの接触時間を制御するように構成されている、請求項
11~
13のいずれか一項に記載のクリーニングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンプンの除去のための組成物、方法およびシステムに関する。
【0002】
本発明は、主として、工業用印刷、製紙産業および段ボール箱産業において表面からデンプンを除去するのに用いるために開発されたものであり、本願を参照して以下に記載する。しかしながら、本発明は、この特定の利用分野に限定されないことが理解されるであろう。
【背景技術】
【0003】
デンプンは産業用途に広く用いられており、例えば、製紙産業で紙の強度および光沢の向上に用いられるとともに、包装用段ボールから石膏ボードに至るあらゆるグレードのボード用のきわめて有効な接着剤として用いられている。デンプンは、最も重要な表面サイズ剤である。サイズプレス加工においては、希釈したデンプン溶液が表面に適用され、このデンプンが紙本体を結合させ、紙の強度を向上させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デンプンは製紙産業で広く用いられている。デンプンは製紙プロセスのさまざまな段階で使用される。製紙産業で用いられる一般的なデンプンは、ジャガイモおよびキャッサバであり、詳細には、オーストラリアでは小麦デンプン、ニュージーランドではタピオカデンプン、米国ではトウモロコシデンプンなど、国によっては一部の形のデンプンが主流となっている。サイジング、印刷、および仕上げの主要な処理では、かなりの量のデンプンが必要とされる。
【0005】
一部のデンプンは水溶性であるが、多くの包装用途、特に包装用段ボール用途で用いられるデンプンは樹脂を含んでいることが多く、非水溶性であるか、または少なくとも水のみで効果的にクリーニング可能なほどに水溶性ではない。また、水の高圧噴射の使用は、装置内のベアリング等の部品を破損させ、装置の動作にかなりの影響を及ぼす可能性があるため問題となり得る。代替案としての手作業による洗浄は、時間がかかり、労力を要するため高コストとなり得る。
【0006】
段ボール接着剤に耐水性を付与するために用いられるデンプン樹脂は機械の表面に残るため、商業的な化学的方法によって装置からデンプンを定期的に除去する必要がある。しかしながら、多くの場合、機械が汚れた状態または過度のデンプンが付着した状態で使用され続け、その結果、その後実施する化学処理での装置の有効性が低下してしまう。機械、特にデンプンアプリケータを清浄な状態に維持することによって、デンプンをより均一に塗布することが可能となり、デンプンの使用量を低減できるとともに、デンプンの硬化に必要な熱も低減できる。この結果、エネルギーおよびコストを削減でき、特に、高い温度下で低下し得る紙またはボードの強度に対し、不必要に高い熱条件が及ぼし得る悪影響を低減することができる。
【0007】
段ボール箱産業において、箱を製造する「コンバータ」は、その機能の一部として、箱の組み立て前に箱の材料に情報を印刷するための印刷機を備える。デンプンアプリケータのクリーニングが困難なことが、時間およびインク材料の多大なロスを生じさせ、装置を劣化させ、デンプンアプリケータを汚れた状態で作動させると、デンプンが均一に塗布されず、デンプンの乾燥速度にばらつきが生じ、硬化時にボードの反りが生じてしまう。この結果、コンバータにボードを供給する際に詰まりが生じ、生産スピードの低下を招き、製造コストが増大する可能性がある。
【0008】
一部の用途では、デンプンを除去するための腐食性または苛性の成分を含む溶液は、装置にダメージを与え、溶液の適用により危険な廃棄物が生成されるため、問題となり得る。さらに、コストまたは職場の安全性に関連する要因のために、このような溶液は、非効果的または非実用的となり得る。さらに、このような溶液から生成される廃棄物の処理は、廃棄のコストおよび/または廃棄前に廃棄物のさらなる処理が必要となるなどの要因によりコスト高となり得る。
【0009】
デンプンの除去には、以下の問題の1つ以上が存在することが理解できる。
a)処理装置を完全に停止させる必要があるため不便である
b)処理時間のロスが生じる、または労働力が必要となるため実施されない
c)定期的にクリーニングが行われないため、装置の性能を最大限に引き出せない、または長い耐用年数にわたり適切なメンテナンスが行われない
d)化学的クリーナーを使用した場合にダメージまたは不具合が生じる
e)耐水加工に用いられる樹脂系デンプンにはクリーナーが有効ではない
f)長いクリーニング時間にわたり表面のクリーニングを維持することが困難である
g)既存のデンプンクリーナーが適切ではない、かつ/あるいは
h)一部の化学的デンプン除去液は危険な廃棄物を生成する
i)デンプン台および他の部品(例えば、デンプンライン、アプリケータ、両面機および片面機)のクリーニングに長い時間がかかる
j)水の使用量が多すぎる
【0010】
本発明は、デンプンの除去のための組成物、方法およびシステムを提供しようとするものであり、これらは、従来技術の欠点の少なくとも1つ以上を解消するか、または実質的に改善するか、または少なくとも代替策を提供する。
【0011】
本明細書において先行技術の情報を引用した場合、そのような引用は、その情報がオーストラリアまたは他のいかなる国においても、当該技術分野における技術常識の一部を構成するものであると認めるものではないことを理解すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、デンプン分子をより小さな水溶性単位に分解するための、好ましくは5~15%の範囲のα-アミラーゼを含む、デンプンの除去のための組成物によってデンプンの除去が提供される。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、表面からデンプンを除去するためのデンプンの除去方法が提供され、同方法は、
(i)デンプン分子をより小さな水溶性単位に分解するためのα-アミラーゼの組成物を提供する工程と、
(ii)デンプンとデンプンが付着している表面との界面で反応するとともに、樹脂を液化させるための1種以上の界面活性剤および/または1種以上の溶媒を提供する工程と、
(iii)α-アミラーゼの所定の接触時間を提供する工程と、を有する。
【0014】
好ましくは、α-アミラーゼ組成物は、デンプンを、グルコースのより短鎖の水溶性重合体に分解するのに適している。好ましい構成では、α-アミラーゼ組成物は、デンプンをフルクトースおよびマルトースなどの、より小さな分子に分解するのに適している。
【0015】
デンプンの除去の本発明は、装置を分解することなく、かつ装置に化学的ダメージを与えることなく、効果的なクリーニング方法の利点を提供することが理解される。
【0016】
一形態では、本発明は、デンプン分子をより小さな水溶性単位に分解するための実質的に5~15%の量のα-アミラーゼと、約0.01%w/w~約0.2%w/wの量の安息香酸ナトリウムと、0.01%w/w~0.5%w/wの量で存在するクエン酸と、を含む、デンプンの除去のための組成物により、除去の改善という目的を実現することが理解される。
【0017】
本発明は、デンプン除去のための組成物およびデンプンの除去方法に関し、詳細には、1種以上の界面活性剤、1種以上の溶媒、および酵素の組み合わせを含む組成物、ならびにその使用のための方法およびシステムに関する。
【0018】
デンプンの分解にさまざまな酵素が使用されてよく、特に、デンプンのアルファ結合を加水分解することによってデンプンを分解するためにα-アミラーゼが使用されてよい。α-アミラーゼ酵素は、デンプンの表面積に作用するので、酵素が作用することができる表面積を広げることが有利となり得る。処理時に、組成物の界面活性剤および/または溶媒が、デンプンの部分(segment portion)をより小さな部分に分離し、これによりデンプンの表面積が広がってよい。組成物に含まれてよい、および/または液の希釈に用いられてよい水に含まれるカルシウムが、α-アミラーゼの活性を向上させるための補酵素として作用し得る。
【0019】
酵素を有効に作用させるために、酵素を適切な酸性度または塩基性度の状態(すなわちpH)に維持することも重要となり得る。デンプン除去組成物が、デンプンと表面との界面で反応し、界面に存在するデンプン樹脂を液化できることが特に有利となり得る。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、処理装置の表面からデンプンを除去する方法が提供され、同方法は、
(a)デンプン分子をより小さな水溶性単位に分解するためのα-アミラーゼの組成物を提供する工程と、
(b)デンプンとデンプンが付着している表面との界面で反応する1種以上の界面活性剤および/または溶媒を提供する工程と、を有する。
【0021】
好ましくは、デンプンが、グルコースのより短鎖の水溶性重合体に分解される。この水溶性分子が、フルクトースおよびマルトースのうちの1つ以上であることがさらに好ましい。
【0022】
本発明の第4の態様によれば、処理装置の表面からデンプンを除去するためのデンプンの除去方法が提供され、同方法は、
a)デンプンの分子をより小さな水溶性分子に分解するためのα-アミラーゼの組成物を提供する工程と、
b)デンプンとデンプンが付着している表面との界面で反応するとともに、樹脂を液化させるための1種以上の界面活性剤および/または1種以上の溶媒を提供する工程と、を有する。
【0023】
本発明の方法は、α-アミラーゼの所定の接触時間を提供する工程をさらに有してよい。好ましくは、所定の接触時間は30分以上である。
【0024】
好ましくは、α-アミラーゼの所定の接触時間が、24時間以内に対象表面への組成物の複数回の適用を含む。好ましくは、各適用が約15~40分の間隔をあけて実施される。
【0025】
所定の接触時間が、1日1回、60分未満の時間での対象表面への組成物の1回以上の適用を含んでよい。特に好ましい形態では、所定の接触時間が、約30分間に組成物の2回の適用を含む。
【0026】
好ましくは、組成物の1回以上の適用の後に、組成物のすすぎが、すすぎ流体により行われる。
【0027】
好ましくは、α-アミラーゼの組成物の所定の接触時間が、対象表面に組成物を再循環させることによって得られる。再循環は、1日1回または週1回など、実質的に一定間隔で実行されてよい。毎日の再循環では、少なくとも30分の所定の接触時間が提供されることが好ましい。週1回の循環では、少なくとも2時間の所定の接触時間が提供されることがさらに好ましい。あるいは、デンプンの多量の蓄積をより低頻度で除去するには、対象表面(relevant surfaces)での再循環が、好ましくは、約4時間以上実行される。
【0028】
再循環の時間が連続することが好ましい。
【0029】
好ましくは、再循環のための組成物の温度範囲は、実質的に35~85℃の範囲内にある。
【0030】
デンプンを除去する再循環方法に替えて、あるいはこれに加えて、手動発泡適用を用いて組成物が適用されるデンプンの除去方法が提供される。手動発泡適用のための組成物の好ましい温度範囲は、40℃超であり、適切な安全機構が適切に設けられていれば85℃までのより高い温度も含む。
【0031】
手動発泡適用は、組成物を発泡させることと、デンプンを除去したい表面に発泡させた組成物を適用することと、を含んでよい。発泡は、発泡手段によって行われてよい。発泡手段は、発泡させた組成物を形成するために、発泡を補助するふるいまたは他の手段を備えるノズルを通してクリーニング液を圧力給送することを含んでよい。圧力は、好ましくは主圧力である。
【0032】
発泡手段は、発泡させた組成物の適用を手動で案内するための発泡ガンを備えてよい。
【0033】
好ましくは、発泡適用は、ほぼ1日1回実行される。1日1回、約30分間に2回または3回の発泡適用が実行されることが特に好ましい。
【0034】
クリーニング液の再循環または発泡適用後、すすぎ流体が適用されることが好ましい。
【0035】
本発明の第5の態様によれば、デンプンアプリケータシステムのクリーニング方法が提供され、同方法は、クリーニング液を受け取るためのクリーニング液供給ラインを提供する工程と、すすぎ流体を受け取るためのすすぎ流体供給ラインを提供する工程と、クリーニング液供給ラインとすすぎ流体供給ラインとを、デンプンアプリケータシステムのデンプンアプリケータロールにクリーニング液またはすすぎ流体を適用するために配置された1つ以上のクリーニングアプリケータに接続する工程と、1つ以上のクリーニングアプリケータを通じてのクリーニング液およびすすぎ流体の適用をデンプンアプリケータロールの長さに制御可能なコントローラを提供する工程と、を有する。
【0036】
1つ以上のクリーニングアプリケータが、デンプンアプリケータロールの長さにわたってクリーニング液またはすすぎ流体を適用するために配置されたスプレーバーを備えてよい。
【0037】
1つ以上のクリーニングアプリケータが、デンプンアプリケータシステムの部品のうち、デンプンポット、デンプントレー、デンプン適用システムの他の外面、またはデンプン給送ラインもしくはデンプン戻しライン、の1つ以上またはそれらの組み合わせへのクリーニング液またはすすぎ流体の適用を可能にするように方向づけおよび/または配置されていてよい。クリーニング液またはすすぎ流体の適用が、クリーニングアプリケータからクリーニング対象の表面に直接行われても、または、デンプンアプリケータもしくはトレーなどの他の部品に直接適用された後にラインを通って循環されるなどによりクリーニングアプリケータから間接的に行われてもよい。
【0038】
コントローラが、1つ以上のクリーニングアプリケータにクリーニング液を供給してデンプンアプリケータロールまたは他の部品にクリーニング液を適用することを含むクリーニングサイクルを開始し、1つ以上のクリーニングアプリケータにすすぎ流体を供給してデンプンアプリケータロールまたは他の部品にすすぎ流体を適用することを含むすすぎサイクルを開始することが可能であってよい。
【0039】
好ましくは、コントローラが、クリーニング液またはすすぎ剤をデンプントレーからデンプンポットに排出させるかまたはそれを阻止するように、戻しラインに接続された戻しバルブを制御可能であり、戻しラインが、デンプントレーとデンプンポットとを接続しており、デンプンポットが、デンプンポンプとデンプン供給ラインとを通じてデンプントレーにデンプンを供給するように構成されていてよい。
【0040】
好ましくは、コントローラが、デンプントレーから排出される流体がデンプンポットに案内されるように戻しバルブを作動させ、デンプンアプリケータロールまたは他の部品に適用するために、1つ以上のクリーニングアプリケータにクリーニング液またはすすぎ流体を供給し、デンプンポット、デンプンポンプ、デンプン給送ラインおよびデンプントレーにクリーニング液またはすすぎ流体を循環させるように、デンプンポンプを作動させて、クリーニング液またはすすぎ流体をデンプンポットからデンプン給送ラインを通ってデンプントレーに戻すためのデンプンシステムクリーニングモードを作動させることが可能である。
【0041】
本発明の好ましい形態では、すすぎ流体が水である。すすぎ液が、他の流体を含んでもよく、水系であっても水系でなくてもよい。
【0042】
好ましくは、本方法が、すすぎ流体供給ラインを設備入水口に接続する工程を有する。
【0043】
本方法が、クリーニング液を水で希釈するための希釈部を提供する工程を有してよい。
【0044】
1つ以上のクリーニング液アプリケータが、それぞれデンプンダム上に設けられ、1つ以上のデンプンダムの外のデンプンアプリケータロールに少なくともすすぎ剤を適用するために配置された1つ以上のデンプンダムアプリケータを備えてよい。好ましくは、コントローラが、1つ以上のデンプンダムが内側に移動されると、1つ以上のデンプンダムアプリケータを作動させて、1つ以上のデンプンダムの外のデンプンアプリケータロールにすすぎ剤を適用するデカール狭小化モードで作動可能である。
【0045】
1つ以上のクリーニング液アプリケータが、1つ以上の発泡アプリケータを備えてよい。発泡適用のために、クリーニング液が1つ以上の発泡アプリケータに供給されてよい。好ましくは、発泡適用はデンプンアプリケータシステムの外面のクリーニングのためのものである。
【0046】
発泡適用は、クリーニング液を発泡させるために、ふるいを備えるノズルを通してクリーニング液を圧力給送することを含んでよい。圧力が主圧力であってよく、主圧力が圧力調節されていてよい。
【0047】
1つ以上の発泡アプリケータが、発泡液の適用を手動で案内するための1つ以上の発泡ガンを備えてよい。1つ以上の発泡アプリケータは手動操作可能であってよい。
【0048】
本方法は、回路内に少なくともクリーニング液を循環または再循環させるために適合された循環手段を提供する工程を有してよい。回路は、閉ループであることが好ましいが、代替形態では、開放端(すなわち、表面を一度循環させた後に配するため)であっても、開と閉とを切り替え可能であってもよい。
【0049】
好ましくは、循環手段が循環ポンプである。上記に替えて、または上記に加えて、循環が、回路内の流体に対する重力および/または主水圧(または圧力調整された主水圧)の作用によって補助されてよい。
【0050】
好ましい形態では、回路が、デンプンポット、デンプンポンプ、デンプン給送ラインおよびデンプントレーを含むデンプンシステム回路である。戻しラインを設けて、デンプンシステム回路の構成要素を含むループを形成し、ループ内で流体を再循環させてもよい。
【0051】
さらに好ましい形態では、回路が、少なくとも1つの発泡アプリケータにクリーニング液を供給するためのラインを含む発泡適用回路である。好ましくは、発泡適用回路が、ループ内で流体を循環させるための閉ループである。
【0052】
好ましくは、本方法が、少なくともクリーニング液を所定の高い温度に加熱するか、または少なくともクリーニング液の温度を維持するように適合されたヒータおよび/または熱交換器および/または他の手段を提供する工程を有する。好ましくは、本方法が、デンプンシステム回路の長さまたは発泡適用回路の長さにわたり、少なくともクリーニング液を所定の高い温度またはその近傍に維持するようになっている。好ましくは、本方法が、実質的にデンプンシステム回路の長さにわたり、少なくともクリーニング液を所定の高い温度またはその近傍に維持するためのヒータ、熱交換器および/または他の手段を提供する工程を有する。
【0053】
好ましくは、本方法が、クリーニング液ライン、すすぎ流体ライン、コントローラ、および本明細書に記載の本発明の方法またはシステムに提供される他の部品により、既存のデンプンアプリケータシステムをレトロフィットすることを含む。クリーニング液ラインおよび/またはすすぎ流体ラインが、既存のデンプンアプリケータシステムの既存の流体ラインを部分的に含んでよい(すなわち、既存の流体ラインを利用する)。
【0054】
本発明の第6の態様によれば、デンプンアプリケータシステムをクリーニングするためのクリーニングシステムであって、同クリーニングシステムは、クリーニング液を受け取るためのクリーニング液供給ラインと、すすぎ流体を受け取るためのすすぎ流体供給ラインと、クリーニング液供給ラインとすすぎ流体供給ラインとが、デンプンアプリケータシステムのデンプンアプリケータロールにクリーニング液またはすすぎ流体を適用するために配置された1つ以上のクリーニングアプリケータに接続可能であり、1つ以上のクリーニングアプリケータを通じてのクリーニング液およびすすぎ流体の適用をデンプンアプリケータロールの長さに制御可能なコントローラと、を備える。
【0055】
好ましくは、1つ以上のクリーニングアプリケータが、デンプンアプリケータロールの長さにわたってクリーニング液またはすすぎ流体を適用するために配置されたスプレーバーを備える。
【0056】
1つ以上のクリーニングアプリケータが、デンプンアプリケータシステムの部品のうち、デンプンポット、デンプントレー、デンプン適用システムの他の外面、またはデンプン給送ラインもしくはデンプン戻しライン、の1つ以上またはそれらの組み合わせへのクリーニング液またはすすぎ流体の適用を可能にするように方向づけおよび/または配置されていてよい。クリーニング液またはすすぎ流体の適用が、クリーニングアプリケータからクリーニング対象の部品の表面に直接行われても、または、デンプンアプリケータもしくはトレーなどの別の部品の表面に直接適用された後にラインを通って循環されるなどによりクリーニングアプリケータから間接的に行われてもよい。
【0057】
好ましくは、コントローラが、1つ以上のクリーニングアプリケータにクリーニング液を供給してデンプンアプリケータロールまたは他の部品にクリーニング液を適用することを含むクリーニングサイクルを開始し、次に、1つ以上のクリーニングアプリケータにすすぎ流体を供給してデンプンアプリケータロールまたは他の部品にすすぎ流体を適用することを含むすすぎサイクルを開始することが可能である。
【0058】
システムが、デンプントレーをデンプンポットに接続する戻しラインを備え、デンプンポットが、デンプンポンプおよびデンプン給送ラインを通じてデンプントレーにデンプンを供給するように構成され、戻しラインが、デンプントレーから排出される流体をデンプンポットに案内させるかまたはそれを阻止するように、コントローラによって制御可能な戻しバルブを備えてよい。
【0059】
好ましくは、コントローラが、クリーニング液またはすすぎ剤をデンプントレーからデンプンポットに排出させるように戻しバルブを制御可能である。
【0060】
好ましくは、コントローラが、デンプントレーから排出される流体がデンプンポットに案内されるように戻しバルブを作動させ、デンプンアプリケータロールまたは他の部品に適用するために、1つ以上のクリーニングアプリケータにクリーニング液またはすすぎ流体を供給し、デンプンポット、デンプンポンプ、デンプン給送ラインおよびデンプントレーにクリーニング液またはすすぎ流体を循環させるように、デンプンポンプを作動させて、クリーニング液またはすすぎ流体をデンプンポットからデンプン給送ラインを通ってデンプントレーに戻すためのデンプンシステムクリーニングモードを作動させることが可能である。
【0061】
すすぎサイクルおよび/またはクリーニングサイクルの間、デンプンアプリケータロールの旋回または回転を操作するための手段が提供されてよい。好ましくは、クリーニングサイクルおよび/またはすすぎサイクルの間にアプリケータの旋回を開始および停止するために、デンプンアプリケータロールが本発明のコントローラによって制御可能である。
【0062】
好ましくは、クリーニングシステムが、デンプントレーおよびデンプンポットから流体を排出するために配置された1つ以上の排出バルブをさらに備え、コントローラが、デンプントレーおよびデンプンポットからクリーニング液を排出するように1つ以上の排出バルブを作動させる、デンプントレーから排出される流体がデンプンポットに案内されるように戻しバルブを作動させる、デンプンアプリケータロールにすすぎ流体を適用するためにクリーニングアプリケータを作動させる、かつ/あるいは、デンプンポット、デンプンポンプ、デンプン給送ラインおよびデンプントレーにすすぎ流体を循環させるように、デンプンポンプを動作させて、戻しラインを通ってデンプンポットに案内されたすすぎ流体をデンプントレーに戻させることがさらに可能である。
【0063】
好ましくは、すすぎ流体は水である。すすぎ流体供給ラインが、設備水投入口に接続可能であってよい。
【0064】
このシステムは、クリーニング液を水で希釈するための希釈部を備えてよい。好ましくは、希釈部が、クリーニング液をヒータの上流の水で希釈するために配置される。
【0065】
1つ以上のクリーニング液アプリケータが、それぞれデンプンダム上に設けられ、1つ以上のデンプンダムの外のデンプンアプリケータロールに少なくともすすぎ剤を適用するために配置された1つ以上のデンプンダムアプリケータを備えてよい。好ましくは、コントローラが、1つ以上のデンプンダムが内側に移動されると、1つ以上のデンプンダムアプリケータを作動させて、1つ以上のデンプンダムの外のデンプンアプリケータロールにすすぎ剤を適用するデカール狭小化モードで作動可能である。
【0066】
1つ以上のクリーニング液アプリケータは、発泡アプリケータを備える。好ましくは、コントローラが、発泡適用のために発泡アプリケータにクリーニング液を供給可能である。好ましくは、発泡適用はデンプンアプリケータシステムの外面のクリーニングのためのものである。
【0067】
クリーニング液が、クリーニング液を発泡させるために、ふるいを備えるノズルを通してクリーニング液を圧力給送されてよい。圧力が主圧力であることが好ましく、主圧力自体が、圧力調整器によって調整されてよい。
【0068】
発泡アプリケータが、発泡液の適用を案内するための発泡ガンを備えてよい。好ましくは、発泡アプリケータが手動操作可能であってよい。
【0069】
システムが、回路内に少なくともクリーニング液を循環または再循環させるための循環手段を備えてよい。回路は、閉ループであってもよいが、代替形態では、開放端(すなわち、表面を一度循環させた後に配するため)であっても、開と閉とを切り替え可能であってもよい。循環または再循環手段が、1つ以上の循環ポンプであってよい。循環ポンプの1つがデンプンポンプであってよい。
【0070】
好ましい形態では、回路が、デンプンポット、デンプンポンプ、デンプン給送ラインおよびデンプントレーを含むデンプンシステム回路である。
【0071】
さらに好ましい形態では、回路が、少なくとも1つの発泡アプリケータにクリーニング液を供給するためのラインを含む発泡適用回路である。
【0072】
本発明のクリーニングシステムが、回路(例えば、デンプンシステム回路および/または発泡適用回路)の長さにわたり、少なくともクリーニング液を所定の高い温度に加熱する、および/または少なくともクリーニング液を所定の高い温度またはその近傍に維持するために適合されたヒータおよび/または熱交換器および/または他の手段を備えてよい。好ましくは、デンプンを除去したい表面にクリーニング液および/またはすすぎ流体を再循環させるために、既存のデンプンポンプが、クリーニングシステムのレトロフィット設置で使用されてよい。好ましくは、クリーニング液および/またはすすぎ流体をデンプンアプリケータロールに給送するために、デンプンの適用のための既存のスプレーバーがレトロフィット設置で使用されてよい。
【0073】
ヒータおよび/または熱交換器および/または他の手段が、実質的に少なくともデンプンシステム回路の全長にわたり、クリーニング液を所定の高い温度またはその近傍に維持することが可能である。好ましくは、クリーニング液の温度を所定のレベルまたはその近傍に維持するために発泡適用回路の少なくとも一部が断熱され、その結果、1つ以上の発泡アプリケータに到達するクリーニング液が、その所定のレベルまたはその近傍となる。
【0074】
好ましくは、本システムが、既存のデンプンアプリケータシステムの1つ以上、または1つ以上のデンプン供給ラインの一部を含め、既存のデンプンアプリケータシステムにレトロフィットされるように適合されている。
【0075】
本発明の第7の態様によれば、デンプンの除去のための組成物が提供され、同組成物は、デンプンを水溶性分子に分解するための約5~15%w/wの範囲の量のα-アミラーゼと、組成物の酸性度/塩基性度を約6~8の範囲に調整するためのpH調整剤と、約3~15%w/wの範囲の非イオン性界面活性剤と、約1~10%w/wの範囲の、デンプン中の樹脂を軟化させるのに適した溶媒と、を含む。
【0076】
好ましい用途では、α-アミラーゼが、デンプンを、グルコースのより短鎖の水溶性重合体に分解することが可能である。
【0077】
好ましい構成では、組成物が、約8~12%w/wの範囲の量のα-アミラーゼを含む。最も好ましい構成では、組成物が、約10%w/wの量のα-アミラーゼを含む。
【0078】
好ましい構成では、pH調整剤が、所定量の1種以上のカルボン酸である。pH調整剤がクエン酸またはシュウ酸のいずれかであることが好ましい。好ましい構成では、クエン酸が約0.01%~0.5%w/wの量で存在する。
【0079】
好ましい構成では、pH調整剤が組成物の酸性度を約6.5に制御する。最も好ましい構成では、クエン酸が約0.05%w/wの量で存在する。
【0080】
好ましい構成では、非イオン性界面活性剤が約8~10%w/wの範囲の量で存在する。最も好ましい構成では、非イオン性界面活性剤が約9%w/wの量で存在する。好ましくは、非イオン性界面活性剤がアルキルポリグルコシドである。
【0081】
好ましい構成では、溶媒が約2%~6%w/wの範囲の量で存在する。最も好ましい構成では、溶媒が約4%w/wの量で存在する。溶媒がD-リモネン、エチレングリコールモノブチルエーテル、またはパインオイルのうちの1つから選択されてよい。最も好ましい形態では、溶媒がエチレングリコールモノブチルエーテルである。
【0082】
組成物が防腐剤を含んでよい。好ましい構成では、防腐剤が安息香酸ナトリウムであり、約0.01%w/w~約0.2%w/w量で存在する。最も好ましい構成では、防腐剤が安息香酸ナトリウムであり、約0.02%の量で存在する。
【0083】
組成物は、約35~85℃の温度でデンプンを除去するのに有効である。
【0084】
組成物が、好ましくは、水を含み、(水を含む)組成物を、水でさらに希釈することができる。組成物の希釈のための主水中に存在し得るカルシウムが、α-アミラーゼの補酵素として作用し得る。
【0085】
本発明の第8の態様によれば、デンプンアプリケータシステムの表面からデンプンを除去する方法が提供され、同方法は、デンプンとデンプンが付着している表面との界面で反応するとともに、樹脂を液化させるための1種以上の非イオン性界面活性剤および/または溶媒を含む、デンプンを水溶性単位に分解するための約5~15%w/wの範囲のα-アミラーゼのクリーニング液組成物を提供する工程と、デンプンとα-アミラーゼの所定の接触時間を提供する工程と、を有する。
【0086】
好ましい構成では、組成物が、デンプン中の樹脂を軟化させるのに適した溶媒を含む。好ましい構成では、組成物が、組成物の酸性度/塩基性度を約6~8の範囲に調整するためのpH調整剤をさらに含む。
【0087】
好ましくは、組成物が、処理中に、デンプンを複数のより小さいグルコース単位に分解する。
【0088】
好ましい構成では、クリーニング液が、デンプンを水溶性分子に分解するための約5~15%w/wの範囲の量のα-アミラーゼと、組成物の酸性度/塩基性度を約6~8の範囲に調整するためのpH調整剤と、約3~15%w/wの範囲の非イオン性界面活性剤と、約1~10%w/wの範囲のデンプン中の樹脂を軟化させるのに適した溶媒と、を含む。
【0089】
好ましくは、所定の接触時間が約30分以上である。
【0090】
好ましくは、α-アミラーゼの所定の接触時間が、24時間以内でより高度なクリーニングを行うために、対象表面への組成物の複数回の適用を含む。
【0091】
好ましくは、各適用が約15~40分の間隔をあけて実施される。
【0092】
所定の接触時間が、1日1回、60分未満の時間での対象表面への組成物の1回以上の適用を含んでよい。特に好ましい形態では、所定の接触時間が、約30分間に組成物の2回の適用を含む。
【0093】
好ましくは、組成物の1回以上の適用の後に、組成物のすすぎが、すすぎ流体により行われる。
【0094】
好ましくは、α-アミラーゼの組成物の所定の接触時間が、対象表面に組成物を再循環させることによって得られる。
【0095】
好ましくは、再循環が、実質的に一定間隔で実行される。再循環が、ほぼ週1回実行されてよい。好ましくは、再循環が、約2時間以上、対象表面に組成物を再循環させることを含む。
【0096】
デンプンの多量の蓄積の除去のために、対象表面での再循環が、好ましくは、約4~6時間実施される。
【0097】
より定期的なクリーニングでは、再循環が、ほぼ1日1回実行されてよい。好ましくは、対象表面での毎日の再循環が、約30~60分間実行される。
【0098】
好ましくは、再循環の時間が、連続する時間(例えば、中断のない45分)である。
【0099】
本方法が、組成物を約35℃以上90℃未満に加熱するさらなる工程を有してよい。約90℃以上の加熱は、活性を有する酵素を変性させることがあるため、避けることが好ましい。好ましくは、組成物の再循環のための所定の温度が、約60~80℃である。
【0100】
本方法が、組成物の手動発泡適用を提供する工程を有してよい。好ましくは、手動発泡適用は、組成物を発泡させることと、デンプンを除去したい表面に発泡させた組成物を手動で適用することと、を含む。好ましくは、発泡適用はデンプンアプリケータシステムの外面のクリーニングのためのものである。
【0101】
好ましくは、発泡適用がほぼ1日1回実行される。発泡適用が約30分間に複数回実行されることが好ましい。特に好ましい用途では、約30分間に2回の発泡適用が実行される。
【0102】
発泡させた組成物の好ましい温度は35℃以上である。高い温度が好ましいが、手動発泡適用に関連する安全性を考慮すると、40℃または50℃の近傍の温度が必要となり得る。
【0103】
本発明の第9の態様によれば、デンプンアプリケータシステムのためのクリーニングシステムが提供され、同クリーニングシステムは、デンプンの除去のためのクリーニング液であって、デンプンを水溶性分子に分解するための約5~15%w/wの範囲の量のα-アミラーゼと、組成物の酸性度/塩基性度を約6~8の範囲に調整するためのpH調整剤と、約3~15%w/wの範囲の非イオン性界面活性剤と、約1~10%w/wの範囲の、デンプン中の樹脂を軟化させるのに適した溶媒と、を含むクリーニング液と、クリーニング液を受け取るためのクリーニング液供給ラインと、すすぎ流体を受け取るためのすすぎ流体供給ラインと、クリーニング液供給ラインとすすぎ流体供給ラインとが、少なくともデンプンアプリケータシステムのデンプンアプリケータロールにクリーニング液またはすすぎ流体を適用するために配置された1つ以上のクリーニングアプリケータにクリーニング液またはすすぎ流体を供給するように接続可能であり、1つ以上のクリーニングアプリケータを通じてのクリーニング液およびすすぎ流体の適用を少なくともデンプンアプリケータロールに制御可能なコントローラと、を備える。
【0104】
好ましくは、1つ以上のクリーニングアプリケータが、デンプンアプリケータロールの長さにわたってクリーニング液またはすすぎ流体を適用するために配置されたスプレーバーを備える。
【0105】
好ましくは、コントローラが、1つ以上のクリーニングアプリケータにクリーニング液を供給して少なくともデンプンアプリケータロールにクリーニング液を適用することを含むクリーニングサイクルを開始し、次に、1つ以上のクリーニングアプリケータにすすぎ流体を供給して少なくともデンプンアプリケータロールにすすぎ流体を適用することを含むすすぎサイクルを開始することが可能である。
【0106】
好ましくは、クリーニングシステムが、デンプントレーをデンプンポットに接続する戻しラインをさらに備え、デンプンポットが、デンプンポンプおよびデンプン給送ラインを通じてデンプントレーにデンプンを供給するように構成され、戻しラインが、デンプントレーから排出される流体をデンプンポットに案内させるかまたはそれを阻止するように、コントローラによって制御可能な戻しバルブを備える。好ましくは、コントローラが、クリーニング液またはすすぎ剤をデンプントレーからデンプンポットに排出させるように戻しバルブを制御可能である。
【0107】
好ましくは、コントローラが、デンプントレーから排出されるクリーニング液またはすすぎ流体がデンプンポットに案内されるように戻しバルブを作動させ、少なくともデンプンアプリケータロールへの適用のため、1つ以上のクリーニングアプリケータにクリーニング液またはすすぎ流体を供給し、デンプンポット、デンプンポンプ、デンプン給送ラインおよびデンプントレーにクリーニング液またはすすぎ流体を循環させるように、デンプンポンプを作動させて、クリーニング液またはすすぎ流体をデンプンポットからデンプン給送ラインを通ってデンプントレーに戻すためのデンプンシステムクリーニングまたはすすぎサイクルを作動可能である。
【0108】
好ましくは、クリーニングシステムが、デンプントレーおよびデンプンポットから流体を排出するために配置された1つ以上の排出バルブをさらに備え、コントローラが、
a.デンプントレーおよびデンプンポットからクリーニング液を排出するように1つ以上の排出バルブを作動させ、
b.デンプントレーからの流体がデンプンポットに案内されるように戻しバルブを作動させ、
c.少なくともデンプンアプリケータロールにすすぎ流体を適用するように1つ以上のクリーニングアプリケータを作動させ、
d.デンプンポット、デンプンポンプ、デンプン給送ラインおよびデンプントレーにすすぎ流体を循環させるように、デンプンポンプを動作させて、戻しラインを通ってデンプンポットに案内されたすすぎ流体をデンプントレーに戻させることがさらに可能である。
【0109】
好ましくは、1つ以上のクリーニングアプリケータが、それぞれデンプンダム上に設けられ、1つ以上のデンプンダムの外のデンプンアプリケータロールに少なくともすすぎ剤を適用するために配置された1つ以上のデンプンダムアプリケータを備える。
【0110】
好ましくは、コントローラが、1つ以上のデンプンダムが内側に移動されると、1つ以上のデンプンダムアプリケータを作動させて、1つ以上のデンプンダムの外のデンプンアプリケータロールにすすぎ剤を適用するデカール狭小化モードで作動可能である。
【0111】
本発明の第10の態様によれば、デンプンアプリケータシステムのためのクリーニングシステムが提供され、同クリーニングシステムは、
デンプンの除去のためのクリーニング液であって、
a.デンプンを水溶性分子に分解するための約5~15%w/wの範囲の量のα-アミラーゼと、
b.組成物の酸性度/塩基性度を約6~8の範囲に調整するためのpH調整剤と、
c.約3~15%w/wの範囲の非イオン性界面活性剤と、
d.約1~10%w/wの範囲の、デンプン中の樹脂を軟化させるのに適した溶媒と、を含むクリーニング液と、
クリーニング液を受け取るためのクリーニング液供給ラインと、すすぎ流体を受け取るためのすすぎ流体供給ラインと、を備え、クリーニング液供給ラインとすすぎ流体供給ラインとが、クリーニング液またはすすぎ流体を供給するために、デンプンアプリケータシステムの選択された部分にクリーニング液を直接適用するために手動操作可能な1つ以上のクリーニングアプリケータに接続可能である。
【0112】
好ましくは、1つ以上のクリーニングアプリケータが、デンプンアプリケータシステムの選択された部分に発泡させたクリーニング液を適用可能なように、組成物を発泡させるための1つ以上の発泡アプリケータを備える。
【0113】
本発明のシステム、方法および組成物は、乾燥したデンプンのクリーニングに特に適している。
【0114】
本発明の1つ以上の態様に関連して説明した特徴は、本発明の他の態様にも適用可能であると理解されるべきである。より一般的には、特許請求の範囲を含め、本明細書の他の箇所に記載する本発明の方法における工程および/または本発明の組成物もしくはシステムの特徴の組み合せが、本明細書の開示の範囲内に包含されるものと理解されるべきである。
【0115】
本発明の他の態様も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【
図1】本発明の一実施形態に係るデンプンアプリケータシステムの模式側面図であり、本発明に従って表面からデンプンを除去する実施形態の詳細の一部を示す。
【
図2】コルゲータロールを省略した状態の
図1のデンプンアプリケータシステムの正面図であり、本発明に従って表面からデンプンを除去する実施形態の追加の詳細を示す。
【
図3】流体ヒータを搭載した
図1および
図2の実施形態の変形例を示すシステムの模式図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るデンプンを除去するクリーニング方法の用途で使用するためのクリーニングシステムの模式図である。
【
図5】本発明の方法に従ってデンプンを除去する方法の工程のフローチャートである。
【
図6】本発明の方法に従ってデンプンを除去する方法の工程のフローチャートであり、任意選択の追加の工程が含まれる。
【
図7】本発明の実施形態に係るデンプンアプリケータロールのためのクリーニングシステムの模式図である。
【
図8】本発明の実施形態に従って、加熱手段を備え、流体の再循環のためのクリーニングシステムを提供する、デンプンアプリケータロールのためのクリーニングシステムの模式図である。
【
図9】本発明の方法に従ってデンプンアプリケータシステムの表面からデンプンを除去するための方法の工程のフローチャートであり、任意選択の追加の工程が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0117】
例示のみを目的として、本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参照して説明するが、他の任意の形態も本明細書で説明する本発明の範囲に包含されてよい。
【0118】
なお、以下の説明において、異なる実施形態における同一または類似の符号は、同一または類似の特徴を示すものとする。
【0119】
図面を参照すると、表面からデンプンを除去するための方法およびシステムが図示される。
【0120】
また、デンプンの除去のための、特に、処理装置の表面からデンプンを除去するための方法も図示されており、同方法は、デンプン分子をより小さな水溶性単位に分解するためのα-アミラーゼの組成物を提供する工程と、デンプンとデンプンが付着している表面との界面で反応するとともに、樹脂を液化させるための界面活性剤を提供する工程と、α-アミラーゼの所定の接触時間を提供する工程と、を有する。
【0121】
[組成物の操作]
本発明の組成物は、表面のデンプンを除去するために、3~15%の界面活性剤(例えば、アルキルポリグルコシド)と、1~10%の溶媒(例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル)とを使用して、デンプンとデンプンが付着している表面との界面で反応するとともに、樹脂を液化させる。これにより、酵素のα-アミラーゼ(5~15%)がデンプン分子をより小さな水溶性単位に分解するための表面積が広がる。
【0122】
本提案の組成物中では、選択されたα-アミラーゼが約6.5~8のpH範囲の近傍で最も良好に作用するので、クエン酸によってpHが約6.5~8に調整される。
【0123】
本発明者らの実験により、本提案のpHにおける本提案の成分の組み合わせが、より有効なデンプン除去、特に樹脂注入デンプンのより効果的な除去、より特には、紙またはボードの製造におけるデンプンアプリケータまたはその周辺の表面からの除去を提供することが判明した。
【0124】
かなりの試験、組成の調整およびさらなる試験により、組成物の成分が特定の範囲内にある場合に効率性が得られることが示された。特に、一部の成分は高価であり、かつクリーニング対象の装置での生産中断による時間依存的な性質も生産コストに大きく影響するため、コストおよびタイミングの要因が重要である。本提案の界面活性剤と溶媒との組み合わせは、α-アミラーゼの効果的な処理のための事前の予備工程として必要であり、特に、デンプン中の樹脂を軟化させるのに適した非イオン性界面活性剤および溶媒が好ましいことが判明した。さらに、関連するコスト/タイミングの指標の効率性を最適化する好ましい範囲は、5~15%w/wのα-アミラーゼ、3~15%の非イオン性界面活性剤、および1~10%のデンプン中の樹脂を軟化させるのに適した溶媒であることがさらに試験によって示された。同じ有効性の指標のための特に好ましい範囲は、8~12%w/wのα-アミラーゼ、8~10%の非イオン性界面活性剤、および2~6%の溶媒である。成分の最も好ましい量は、約10%w/wのα-アミラーゼ、約9%の非イオン性界面活性剤、および約4%の溶媒である。
【0125】
アミラーゼの好ましい上限量は、α-アミラーゼ12%w/wであり、この割合を超えると、組成物のデンプン分解活性が飽和に達し、12%w/wで得られるデンプン分解活性のほとんどが、α-アミラーゼの割合が約10%w/wの場合でも得られる。
【0126】
α-アミラーゼのコストが比較的高く、かつ本明細書に提案するクリーニング液組成物を適用する製造プラントでは、毎日1~2kgものα-アミラーゼが用いられることがある点を考慮すると、本提案の組成物はいくつかの他のクリーニング製品の構成と比較して特に効果的である。さらに、特定の時間枠内でデンプン分解量が不十分であると、組成物の処理の状況で重大な結果につながる可能性があり、所定の時間枠内でのデンプン分解を最適化することが重要である。デンプンアプリケータの表面またはその周囲を効果的にクリーニングするために大量の組成物に必要となるので、酵素の効率を最大化することが重要であると考えることができる。
【0127】
当業者に知られている活性の最も高いα-アミラーゼが選択され、本明細書に記載の方法および/またはシステムに従って、デンプン/表面の界面とこのα-アミラーゼを含有する溶液の接触時間が最適化される。
【0128】
本主題発明のシステムは、一形態では、デンプンの蓄積量に応じて、週1回約2~6時間の、処理装置の対象表面での組成物の再循環を推奨し、別の形態では、生産上の要求を考慮して、発泡させた組成物をシステムの外部品に適用することによる適用を30分に限っての毎日の適用、好ましくは毎日複数回の適用が推奨される。組成物の望ましい温度範囲は、手動発泡適用では少なくとも35℃、再循環では35~85℃(ただし、システムにPVCパイプが用いられている場合を除く、その場合50℃以下)である。
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
本組成物の全ての例について、溶媒の含有量が高すぎると、組成物を保存させる非商業的な時間枠(例えば1年間)の間に酵素が変性する可能性があるため、適切な溶媒の適切な割合と同様に、有効な界面活性剤を含有することが重要である。例2の組成物は、他の例の組成物とは異なるpH(8)で作用する。また、組成物例3は、防腐剤を含まない。
【0133】
組成物は、「その場クリーニング」用のデンプン除去剤として特徴づけることができ、従来のデンプン除去剤よりも生産性をかなり向上させる。組成物は、腐食性を有しかつ危険な苛性または塩素系のクリーナーを使用することなく、夜間またはダウンタイム中にデンプンの蓄積を除去するように設計された酵素ベースの洗浄剤の最適な配合物として理解される。
【0134】
組成物は、デンプンなどの他の生体分子に作用する生体分子触媒である酵素を含む。酵素は、各反応において「消耗」に抵抗性を有し、全てのデンプンが分解され溶解されるまで、適切な条件で作用することができる。酵素は、天然由来であり、完全に生分解可能であることを当業者であれば理解されよう。
【0135】
本提案の処理で廃棄物が生成される場合があるが、量は最小限度である。本提案の組成物を使用することによって腐食性のクリーナーが不要となり、排水から不溶性の固体および腐食性のクリーナーを除去することによる排水処理のコストを低減することができる。
【0136】
組成物は、5%ブリリアントブルー溶液または着色目的のための同様の製品などの添加物を少量の割合で含んでよい。このような組成物では、添加物の添加量に対応する量の水が組成物から除去される。組成物例1では、0.3%の青色染料を添加する場合は0.3%の水が除去される。
【0137】
組成物は、Silifaxなどの消泡剤を少量含んでよく、この場合、消泡剤を含む組成物は、組成物をデンプンの除去に用いた後(例えば、組成物を廃棄物として処理する際)に発泡しにくくなる。発泡が望ましい場合、消泡剤の使用は、発泡量を調整するのを補助する。
【0138】
上に挙げた成分は、安全性が高くかつ有効であることを当業者であれば理解されよう。
【0139】
[システム]
(本提案の自動システムのプラントへの適用)
a)
図4および/または
図1もしくは
図2に示すような自動給送システムを設置する。この設備は、高い温度の制御のための熱交換器ユニットと、ポットへの充填のためのタップおよびホースならびに/または外面への毎日の手動適用のための発泡ガンへの供給のための希釈装置とを備える。
b)システムの高度なクリーニングのため、少なくとも週4時間、デンプン台から手動で希釈した60~80℃/140~158°Fの高い温度の組成物を、特にパイプ、ポンプ、タンク、オーバーロールおよび接着剤ポット内に循環および再循環させる。
c)組成物を貯蔵する1000リットル/264ガロンの容器と、容易かつ安全なフォークリフトの利用とのために適した場所が必要である。
【0140】
[操作説明]
(毎日および毎週のクリーニング作業の例)
i)毎日のクリーニングでは、外部装置の上で組成物を発泡させる。このとき、組成物を、水で20%に希釈し、クリーニング液を通過させることが可能なコイルを備える熱交換システムによる制御により40℃/104°Fに加熱する。この方法ではα-アミラーゼの活性成分が変性を受けにくい。
ii)数回、それぞれ30分の再適用を実施する。温水/湯ですすいで清浄な状態にする。
iii)毎週のクリーニングでは、プラントのデンプン台のボイラーシステムからの60~80℃/140~158°Fに加熱した温水で濃縮物を希釈して、コルゲータに循環させるのに必要な量を調整する。通常の蓄積量の場合、10%(1:10)に希釈した組成物を、60~80℃で少なくとも4時間システム内に循環させる。蓄積量が多い場合、20%(1:5)に希釈し、4~6時間循環させる。組成物への蒸気の注入は、至適温度を超え、酵素を破壊するため、推奨されない。PVC製の配管が用いられている場合、温度を50℃に制限すべきである。
iv)装置全体を温水/湯ですすいでシステムを清浄な状態にし、廃棄物に流す。
【0141】
[製品の供給]
組成物は、1000リットル(264ガロン)のバルク容器で供給され、水で20%(1:5)~10%(1:10)に希釈される。これを手動または自動で適用可能である。
【0142】
(システム例)
次に、
図1および
図2を参照すると、デンプン適用システムのコルゲータロール1は、紙の接着面を提示し、デンプン糊でコーティングされている1つ以上のデンプン適用ロール2と係合して、デンプン糊の層を紙に転写するように適合されている。デンプントレー3はデンプン糊の供給源を含み、デンプン糊はデンプンポット4によってデンプンポンプ5および供給ライン6を通って供給される。当該技術分野で公知のように、デンプンダム7は、接着する紙のデカールに調整するために内側または外側に移動するように適合されている。製造作業では、最も大きなデカールを最初に処理し、紙のデカールが小さくなるとデンプンダム7を内側に移動させる。
【0143】
図2において、黒の太線は流体給送ラインを示し、黒の細線は電気制御または検知の接続を示す。
【0144】
次に、本実施形態のクリーニングシステムの詳細について説明する。
【0145】
本実施形態は、水源44からの水で希釈され、少なくとも1つのクリーニング液タンク45から供給されるクリーニング液または水源44からの水のみを給送するスプレーバーおよびノズル10,11,12,13の形態で、複数のクリーニングアプリケータを備える。
【0146】
有利にも、クリーニング液は、デンプンを水溶性の糖に分解する活性を備えるα-アミラーゼ酵素を含む。有利であることがわかっているさらなる成分としては、アルキルポリグルコシド、パインオイル、D-リモネン、エチレングリコールモノブチルエーテルなどの溶媒または界面活性剤が挙げられる。本特許出願に記載のものを含め、溶媒、界面活性剤および酵素の特定の割合および配合は変更でき、製造プロセスにおいて特定のデンプン糊の組成物に作用させるために選択すべきであることを当業者であれば理解されよう。
【0147】
コントローラ40は、製造サイクルの適切な時点にクリーニング処理を実行するために、1つ以上のサイクルでプログラムされている。コントローラ40は、クリーニング液ポンプ50,51、およびソレノイドバルブ55,56,57を制御して、アプリケータスプレーバー10、デンプントレースプレーノズル11,12、およびデンプンダムスプレーノズル13に案内される流体を制御する。デンプントレースプレーノズル11,12は、適用範囲を有効にカバーするためにデンプントレー3の周囲に配置され、デンプントレークリーニング供給ライン41を通じてクリーニング液を供給される。アプリケータスプレーバー10は、1つ以上のデンプンアプリケータロール2上に噴霧するために配置され、アプリケータロールスプレーバークリーニング供給ライン42を通じてクリーニング液を供給される。アプリケータスプレーバー10は、デンプンアプリケータロール2の幅をカバーするように、その長さにわたり10個以上のスプレーノズルを備える。
【0148】
コントローラ40のプログラムの制御下にあるソレノイド作動式三方バルブ30を介して、戻しライン33が、デンプントレー3の排出ライン31に接続している。三方バルブ30を作動させることにより、デンプトレー3からのクリーニング液が、排液32として流れるか、または戻しライン33を通ってデンプンポット4に流れる。次に、デンプンポット4に貯溜されているクリーニング液がデンプンポンプ5によって圧送されてデンプン供給ライン6をクリーニングし、クリーニング液がデンプントレー3に再循環されてよい。デンプンポット4は、コントローラ40のプログラムの制御下にあるソレノイド作動式デンプンポット排出バルブ60を介して作動可能なデンプンポット排出ライン61を有し、必要に応じて剰余のデンプンまたはクリーニング液をデンプンポット4から排出できるようになっている。この構成により、クリーニング液を、コントローラ40のプログラムの制御下で自動的にデンプン適用システム内に循環させ、必要に応じて排出することができる。
【0149】
コントローラ40は、工場の他の制御とは独立していても、製造マスタコントローラとインターフェースしているかまたはその一部であってもよい。
【0150】
本実施形態では、コントローラ40には2つの動作モードがある。
【0151】
第1のモードは、デカール狭小化クリーニングサイクルである。このモードは、紙のデカールが広い設定から狭い設定に狭小化すると、製造中にデンプンアプリケータロール2の外の領域を水でクリーニングすることを含む。この製造動作中は、デンプンダム7は、製造マスタコントローラの制御下で内側に移動し、デンプンダム7によって画定される隔壁の内側の新しいデカール境界に、デンプントレー3中のデンプンを閉じ込めるというその通常の機能を果たす。
【0152】
クリーニングシステムコントローラ40は、ソレノイドバルブ57を作動させ、給水源44からデンプンダムスプレーノズル13に水を供給する。デンプンダム7が内側に移動すると、デンプンダムスプレーノズル13が、デンプンアプリケータロール2の外の領域に存在する残留デンプンを洗い流し、デンプンアプリケータロール2の狭小化されたデカール境界の外に残るデンプンがコルゲータロール1に付着するのを阻止する。
【0153】
製造中は、製造中にこの領域から除去するデンプンの層はごく薄いため、噴霧に使用する水の量は少量であり、通常、システムの温度によりデンプンから水が蒸発することを特に考慮すると、希釈の程度は少ない。
【0154】
第2のモードは、製造ランの終了後にクリーニング液によるクリーニングを行うシステム完全クリーニングである。このモードは、最初に、剰余のデンプンを、デンプントレー3から三方バルブ30を備えるデンプントレー排出ライン31を通って廃液32に案内し、同様に、デンプンポット排出バルブ60の操作により、剰余のデンプンをデンプンポット4から排出ライン61を通って排出することを含む。
【0155】
最初に行う剰余のデンプンの排出の完了後、オペレータが、不適切なタイミングでのシステムへの誤作動を防ぐためのコードを入力するとクリーニングサイクルが開始される。
【0156】
コードの入力後、コントローラ40は、三方バルブ30を作動させて、デンプンポット4に流体を案内し、バルブ60を閉じ、次にクリーニング液ポンプ50を作動させ、ソレノイドバルブ55および56を開き、スプレーバー10およびデンプントレースプレーノズル11,12にクリーニング液を供給する。クリーニング液がデンプントレー3に流入し、排出ライン31および戻しライン33を通ってデンプンポット4に流入する。デンプンポンプ5は、デンプン供給ライン6を通ってクリーニング液をデンプントレー3に戻し、デンプントレー3、デンプンポット4、デンプンポンプ5およびデンプン供給ライン6の間でクリーニング液のサイクルを形成する。クリーニング液がデンプントレー3に貯まっていき、クリーニングの液面が液面プローブ20まで上昇したことをコントローラ40が検出する。
【0157】
この時点で、クリーニング液ポンプ50と、スプレーバー10およびデンプントレースプレーノズル11,12に供給するソレノイドバルブ55,56とがオフにされる。液面プローブ20がデンプントレー3内のクリーニング液の液面の低下を検出した場合、液面が元に戻ったことを液面プローブ20が検知するまで、デンプントレースプレーノズル11,12への供給を行うクリーニング液ポンプ50および少なくともソレノイドバルブ56が再びオンとなる。このようにしてクリーニング液が所定時間循環され、この時間は、クリーニングを所望の基準で行うためにコントローラ40によって履歴から調整されてよい。
【0158】
所定時間の経過後、クリーニング液ポンプ50および51がオフとなり、三方バルブ30が開放されて、デンプントレー排出ライン32を通してクリーニング液が排出され、同様に、デンプンポット排出バルブ60が開放されて、デンプンポット4からデンプンポット排出ライン61を通してクリーニング液が排出される。
【0159】
クリーニング液の排出に充分な時間が経過した後、コントローラ40によってすすぎサイクルが開始される。三方バルブ30およびデンプン排出バルブ60がコントローラ40によって閉鎖される。ソレノイドバルブ55,56が開放され、クリーニング液を導入するのではなく給水源44からの清水をシステムに導入させ、クリーニング液供給ポンプ50,51を作動させない点を除き、上述したクリーニングサイクルと同様の循環および排出動作が実行される。
【0160】
最後に、所定時間後に、三方バルブ30およびデンプンポット排出バルブ60がコントローラ40によって再度閉鎖され、システム完全クリーニングモードが完了する。この時点で、デンプンアプリケータシステムは、完全にクリーニングされており、新たな製造過程のために、デンプンポット4にデンプンが追加されてよい。
【0161】
次に、
図3を参照すると、少なくともクリーニング液の温度を所望の高い温度に維持するための加熱回路を搭載した上述の実施形態の変形例が図示される。本発明の試作機の試験においては、クリーニング液を所定の高い温度(典型的には40℃超)に加熱可能な場合、操作上の安全性を担保しつつ酵素活性が向上し、効率の向上が得られることが見出された。希釈したクリーニング液または水を、逆流防止バルブ84を通過させ、その一部をヒータ80の入口86と出口87とを通過させて、クリーニング液または水を80℃の初期温度に一時的に加熱する。
【0162】
調温バルブ85により、加熱していないクリーニング液または水が、70℃の所定の高い温度に加熱されたクリーニング液または水と混合され、上述のようにクリーニングまたはすすぎのためにシステムを通過させる。
【0163】
デンプントレー3から排出する戻しライン81が、クリーニング液または水を熱交換器83に再循環させ、クリーニングまたはすすぎ時間の間、スプレーバーにおいて高い温度が維持される。
【0164】
循環ポンプ89は、加熱されたクリーニング液または水を、タンク80の出口から熱交換器83を通ってタンク80の入口86に戻るよう循環させる。逆流防止バルブ88は、循環している加熱されたクリーニング液または水が上流に逆流するのを阻止する。
【0165】
所定の高い温度の好ましい範囲は40℃超であるが、適用のタイプによっては60℃~80℃の範囲の高い温度が有効かつ安全であってよい。
【0166】
別の実施形態では、デンプントレー排出ライン31もしくはデンプン供給ライン6またはそれらの組み合わせに、デンプントレー3に加えてまたはデンプントレー3に替えて戻しライン81が付加的または代替的に接続されてよいことが理解される。
【0167】
また、加熱回路が、コントローラ40および適切なソレノイド制御ゲートバルブ(不図示)によって制御され、選択的に作動されてもよい。
【0168】
図4を参照すると、本発明の実施形態に係るデンプンを除去するクリーニング方法の用途で使用するためのクリーニングシステムの模式図が示される。このシステムは、デンプンを除去したい表面に発泡させた組成物を適用するために発泡ガンを用いてクリーニングするようになっている。また、このシステムは、コルゲータの配管、バルブ、ならびにデンプントレーおよびデンプンポット(不図示)に組成物を再循環させるようになっている。熱交換器は、設備の一部を構成しており、本実施形態では、デンプンの効果的かつ安全な除去のために40℃への温度調節を可能とする温度に、組成物溶液を最初に加熱するために、65℃に設定されている。
【0169】
図4をさらに参照すると、直径約20mmの幅の入水口が設けられた冷水源を備える設備入水口101が図示されている。ラインの下流には、続いて、RPZ試験可能な逆流防止バルブ102、Yフィルタふるい103、圧力制限バルブ(4.5バールに設定)を備える圧力調整器104が順に図示されている。主水源からの圧力が、システムのラインに沿った流体(後に供給源に注入されるクリーニング液を含む)の移動、熱交換器ユニット110内での流体の移動とともに、発泡適用回路内に設けられている発泡ガン115での発泡を支援する。
【0170】
流路に沿って、続いて、いずれも10%に設定されている2つの液圧式注入/噴射装置(例えば、MixRite噴射器)を備える希釈部105が設けられており、この2つの噴射装置は直列に接続されており、噴射装置(不図示)は、いずれも、組成物122を貯蔵している中間バルク容器(IBC)に接続されている。IBCは264ガロンまたは1000Lのタンクを備える。
【0171】
ラインの下流には、続いて、逆流防止バルブ106、(i)ゲートバルブ106を通る冷水および組成物の混合供給源、(ii)熱交換器ユニット110、ならびに(iii)調温バルブ112を接続するように機能するT型パイプフィッティング108が順に設けられている。T型フィッティング108と熱交換器ユニット110との間に遮断バルブ(ここではゲートバルブ)107が設けられている。この用途では熱交換器ユニットは65度に設定されている。
【0172】
T型フィッティング108の上流には、温度を40℃に制御する調温バルブ112への戻りパイプラインを提供する更なるT型フィッティング121が設けられている。さらなるT型フィッティング121と調温バルブ112との間にはさらなる遮断バルブ111が設けられている。調温バルブ112は、コルゲータ(すなわち処理装置)をループする配管113の部分的に断熱されたラインへの接続を提供する。25mmのRifeng配管を含む断熱された配管113のラインに沿って、3つのホースリールが設けられており、そのそれぞれが、コルゲータ(不図示)の各デンプンアプリケータにおいて、発泡ガン115と、タップ付きホースとを備える。調温バルブ112と最下流の発泡ガン115との間の配管に設けられている断熱材は、13mmの厚さの可撓性の保温材114を含む。調温バルブ112と熱交換器ユニット110との間にさらなる遮断バルブ119が設けられている。
【0173】
最下流の発泡ガン115から延びるラインの下流には、配管内で組成物が冷却されるよう、断熱/保温されていない25mmのRifeng配管を含む戻しライン116が設けられている。代替の実施形態では、戻しラインの直径は、最小で20mmでもよいが、サイクルによっては、加熱および冷却による配管の膨張および収縮の許容差を考慮する必要があるため、これよりも小口径は推奨されない。戻しラインに沿って、さらなる遮断バルブ117、ループ内で組成物を圧送するための小型循環ポンプ118、最終遮断バルブ119、逆流防止バルブ120が順に設けられ、ループが完成する。
【0174】
図5を参照すると、処理装置の表面からデンプンを除去する方法が図示されており、本方法は、
a)デンプンとデンプンが付着している表面との界面で反応するとともに、樹脂を液化させるための界面活性剤を含む、デンプンを小さな水溶性単位に分解するためのα-アミラーゼの組成物を提供する工程と、
b)α-アミラーゼとデンプンとに所定の接触時間を提供する工程と、を有する。
【0175】
α-アミラーゼは約10%である。α-アミラーゼの所定の接触時間は、少なくとも30分である。
【0176】
α-アミラーゼの組成物は、除去するデンプンの量に応じて、週1回少なくとも2~6時間再循環させることが可能である。
【0177】
組成物は、クリーニング対象のデンプンアプリケータシステムの表面に、手動発泡適用および/または再循環で適用されてよい。手動発泡適用では、組成物のための好ましい温度範囲は、実質的に35~45℃の範囲内にある。再循環では、好ましい温度範囲は、実質的に60~80℃の範囲内にある。
【0178】
α-アミラーゼの効果を至適化するために、組成物のpHが、クエン酸などのpH調整剤の添加により約6~8に維持される。クエン酸は、実質的に0.01%w/w~0.5%w/wの範囲の量で存在する。
【0179】
図6を参照すると、デンプンアプリケータシステムのデンプンアプリケータロールからデンプンを除去する方法の工程を示すフローチャートが示され、任意選択の追加の工程が含まれる。第1の工程は、クリーニング液供給ラインおよびすすぎ流体供給ラインを提供することを含み、次の工程は、クリーニング液供給ラインおよびすすぎ流体供給ラインを、1つ以上のクリーニングアプリケータに接続することを含み、第3の工程は、クリーニングアプリケータを通じてデンプンアプリケータロールの長さにクリーニング液およびすすぎ流体を適用するためのコントローラを提供することを含む。
【0180】
本方法の次の工程は、それぞれ、本発明の任意選択の工程であることを示す破線で囲まれたテキストボックスに示されており、これらの工程は、それぞれ、最初の2つの工程に加えて、これらの工程のうちの1つ以上が実行されても、いずれも実行されなくてもよいことを示す。任意選択の工程は、すすぎ流体供給ラインを設備入水口に接続すること;クリーニング液を設備水/すすぎ流体で希釈するための希釈部を提供すること;クリーニング液を、所定の高い温度に加熱および/または所定の高い温度もしくはその近傍に維持するための加熱手段を提供すること;ならびに/あるいは、少なくともクリーニング液を回路(例えば、デンプンライン、デンプントレーなどを含むデンプンアプリケータシステム内の回路;または溶液の発泡適用のための発泡適用回路)内で循環させるための循環手段を提供すること、の1つ以上を含んでよい。
【0181】
図7および
図8を参照すると、流体を再循環させるようになっている、デンプンアプリケータロール202用のクリーニングシステム200と、加熱手段390を備えるデンプンアプリケータロール302用のクリーニングシステム300との模式図が示される。
【0182】
図7に関し、アプリケータ202にクリーニング液を供給するためのクリーニング液ライン206を含む第1の流体ラインと、アプリケータ202にすすぎ流体を供給するためのすすぎ流体ライン206Aを含む第2の流体ラインが設けられている。
【0183】
クリーニング液およびすすぎ流体(不図示)は、液体ライン206,206Aを通って、スプレーシャワーヘッド210を備えるアプリケータに給送される。シャワーヘッド210上に設けられた放出口は、デンプンアプリケータロール202の長さにわたって流体を噴霧するように構成されている。
【0184】
図8は、クリーニング液/すすぎ流体を約70℃に加熱するために、熱交換器390に接続されたクリーニング液/すすぎ流体混合ライン306を備えるデンプンクリーニングシステム300を示す。クリーニング液/すすぎ流体は、熱交換器390を通過したのち、アプリケータロール302の長さに延在するスプレーバー310に供給される。クリーニング液またはすすぎ流体のいずれかを含む流体をアプリケータロール302の長さにわたって噴霧するためにスプレーバー310の放出口が配置されている。その後、流体がデンプントレー303に落下し、コントローラ340が従うようにプログラムされている時間にわたり、回路(ライン306、交換器390、スプレーバー310、デンプントレー303および戻しライン333を含む)内で流体が連続的に再循環され得るように、流体が、流体循環ポンプ350の補助により、戻しライン333を通ってコントローラに戻る。
【0185】
熱交換器390は、一連のコイル(不図示)を備え、コイルは高い温度の流体によって囲まれている。クリーニング液/すすぎ剤がコイルを通過し、これにより間接的に加熱される。この構成により、加熱のため発熱体が溶液に直接接触する場合に生じ得るクリーニング液内の酵素の変性のリスクが最小化される。
【0186】
図8のシステムにおける流体の再循環は、回路の一部で循環手段として作用する重力によって補助される。戻しライン333は、関連するサイクルの終了時にクリーニング液およびすすぎ流体を排出するための吐出口(不図示)を備える。
【0187】
熱交換器390とスプレーバー310との間のライン306の一部は、望ましい温度である70度またはその近傍に温度を維持するための断熱材などの他の手段を備えてよい。
【0188】
図7および
図8の両方に関し、クリーニング液は、デンプンを水溶性単位に分解するための約10%w/wの範囲の量のα-アミラーゼと、組成物の酸性度を約6.5に調整するためのpH調整剤と、約9%w/wの非イオン性界面活性剤(アルキルポリグルコシド)と、デンプン中の樹脂を軟化させるのに適した、約4%w/wの範囲の溶媒(エチレングリコールモノブチルエーテル)とを含む。
【0189】
図中のクリーニングシステムの各コントローラ240,340は、クリーニング液供給ライン206,306へのクリーニング液組成物(不図示)の供給を制御し、すすぎ液供給ライン206,306へのすすぎ流体(不図示)の供給を制御する。本実施形態のコントローラ240,340は、それぞれ、クリーニング液の供給源(不図示)と、すすぎ流体の供給源(不図示)とに接続されている。これらのコントローラはいずれも、プログラム可能であり、クリーニングサイクルおよびすすぎサイクルを実行するためのコードを受け取り、事前にプログラムされたサイクルに従って自動動作を実行するためのユーザインターフェイスを備える電気的制御手段によって実現される。
【0190】
図7および
図8の各コントローラは、最初に、少なくとも30分間クリーニング液を適用し、次に、アプリケータロール(および
図8のトレー)からクリーニング液が洗い流されるまで、すすぎ流体を適用するようにプログラムされる。
【0191】
図9を参照すると、任意選択の追加の工程を含む、デンプンの除去方法の工程を示すフローチャートが示される。第1の工程は、デンプンアプリケータシステムの表面からデンプンを除去するための約5~15%w/wのα-アミラーゼを含むクリーニング液組成物を提供することを含む。第2の工程は、デンプンアプリケータシステム表面から除去するデンプンと組成物の約30分以上の所定の接触時間を提供することを含む。
【0192】
本方法の次の工程は、それぞれ、本発明の任意選択の工程であることを示す破線で囲まれたテキストボックスに示されており、これらの工程は、それぞれ、最初の2つの工程に加えて、これらの工程のうちの1つ以上が実行されても、いずれも実行されなくてもよいことを示す。例えば、本方法が、組成物を加熱せずに再循環させても、本方法が、再循環のため約60~80度におよび/または発泡適用のため約40度に組成物を昇温するため、組成物を加熱することを含んでも、これらのいずれも実施されなくてもよい。
【0193】
したがって、本発明は、大きな労働コストを要することなくデンプン適用システムを最適な状態に維持し、デンプン残渣の蓄積を防止するのを支援する、完全自動のクリーニングシステムおよび方法を提供する。
【0194】
本提案の発明によって、生産時間の増加;メンテナンスのための時間の増加;廃水処理コストおよび使用する水のコストの削減;ボードの反りまたは剥離の低減;デンプン使用量の大幅な削減;装置、特にデンプンアプリケータロール、デンプンポンプおよび配管の交換のニーズの減少、の利点のうちの1つ以上が得られることが理解できる。
【0195】
また、本発明は、デンプン除去に特に適し、さらに、本明細書に記載の方法またはシステムにおいてクリーニング液として使用可能な組成物を提供する。
【0196】
特許請求の範囲の最も広い範囲から決定される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明に多くの変形を行ってよいことを当業者であれば理解されよう。
【0197】
例えば、上記の実施形態では、クリーニング液供給ラインと水供給ラインとが共通の経路を共有するように示したが、最も広い範囲では、クリーニング液とすすぎ水とが、別の供給ラインを通じて供給されてもよい。
【0198】
さらに、上記の実施形態では、複数のクリーニング液放出口が、デンプンアプリケータロール2およびデンプントレー3にクリーニング液をそれぞれ独立して案内しているが、最も広い態様では、クリーニング液放出口が、デンプンアプリケータロール2またはデンプントレー3の一方にクリーニング液を直接導き、表面の間で混合させてもよい。
【0199】
さらには、上記の実施形態の戻しバルブは、クリーニング液をデンプンポット4に戻すか、または排出口に排出させるように適合された三方バルブであるが、最も広い態様では、戻しバルブが、再循環のための独立したバルブと独立した出口とであってもよい。
【0200】
さらに、上記の実施形態のクリーニングアプリケータはスプレーアプリケータであるが、当技術分野で公知の流体の他の適用形態も、本発明の最も広い態様の範囲に包含される。
【0201】
さらに、記載の実施形態のクリーニング液は、α-アミラーゼ酵素と溶媒とを含むが、デンプンアプリケータシステムをクリーニングするために有効な他のクリーニング液も、本発明の最も広い範囲に包含される。
【0202】
さらに、単数形または複数形の用語「流体」は、文脈から別段に示唆されない限り、デンプン、クリーニング液および/またはすすぎ剤のいずれか1つまたは任意の組み合わせを指してよい。
【0203】
さらに、それぞれ別のクリーニングサイクルおよびすすぎサイクルが不要で、かつそれぞれ別のクリーニング液ラインおよびすすぎ流体ラインも不要となるように、クリーニング液が、オールインワン型のクリーニング・すすぎ液であってもよい(しかしながら、いずれの場合も、両方が同じラインで別々に供給されてもよいことが考えられる)。
【0204】
本発明の組成物、方法および/またはシステムが、新しいデンプンアプリケータシステム環境に適用されてもよい。しかしながら、本発明の組成物、システムおよび/または方法は、デンプンアプリケータおよび関連の部品を備える既存の装置へのレトロフィット適用に特に適している。本発明は、デンプンアプリケータロール、デンプンライン、デンプントレーおよび周囲の表面などの既存の表面からデンプンを除去することが可能である。特に、組成物の再循環が適用される場合、そのような既存の装置(特に、デンプンラインおよびデンプンポンプ)は、本発明が企図する位置にクリーニング液(および/またはすすぎ流体)を給送するのを補助できるため、本発明はそのような装置を活用するように着想されている。
【0205】
(解釈)
<実施形態>
本明細書の全体にわたり、「一実施形態」または「実施形態」との言及は、実施形態に関して記載した特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体のさまざまな箇所の「一実施形態では」または「実施形態では」という語句は、必ずしも全て同じ実施形態を指すとは限らないが、同じ実施形態を指してもよい。さらに、1つ以上の実施形態では、特定の特徴、構造または特性が、本開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な方法で組み合わされてよい。
【0206】
同様に、本発明の例示的な実施形態の上記の説明において、本発明のさまざまな特徴が、時には、本開示を簡潔にし、本発明のさまざまな態様の1つ以上の理解を助ける目的で、1つの実施形態、図、またはその説明に総括されていることを理解すべきである。しかしながら、本開示の方法は、特許請求される発明が、各請求項に明示的に列挙されている特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲に示されるように、先に開示した1つの実施形態の全ての特徴に発明的要素が存在するわけではない。したがって、特定の実施形態の詳細な説明に続く特許請求の範囲は、特定の実施形態の詳細な説明に明示的に組み込まれ、各請求項は、それ自体、本発明の別個の実施形態である。
【0207】
さらに、本明細書に記載の一部の実施形態は、他の実施形態には含まれないいくつかの他の特徴を含むが、当業者によって理解されるように、異なる実施形態の特徴の組み合わせが、本発明の範囲に包含され、別の実施形態を構成することを意味する。例えば、以下の特許請求の範囲においては、特許請求される実施形態を任意に組み合わせることができる。
【0208】
<対象の異なる出現>
本明細書中で使用される場合、特段の明記のない限り、共通の対象を記述するための順位形容詞「第1」、「第2」、「第3」などの使用は、単に、類似する対象の異なる出現が参照されていることを示し、そのように記述される対象が、時間的、空間的、順位付け、または他の任意の形態のいずれかで、所与の順番に並んでいなければならないことを暗に示すことを意図するものではない。
【0209】
<特定の詳細>
本明細書中に記載する説明においては、多くの特定の詳細が記載されている。しかしながら、本発明の実施形態は、このような特定の詳細がなくとも実施できるということが理解される。場合によっては、本明細書の理解を不明瞭にすることのないよう、公知の方法、構造および技術については詳細に記載していない。
【0210】
<用語>
図面に図示された本発明の好ましい実施形態を説明する際に、明確さを期するために具体的な用語を用いている。しかしながら、本発明は、選択したそのような特定の用語に限定されることを意図するものではなく、各特定の用語は、同様の技術的目的を実現するために同様に機能する全ての技術的均等物を含むことを理解すべきである。「前方」、「後方」、「径方向」、「周辺」、「上方」、「下方」などの用語は、基準点を示すための便宜的な用語として用いられており、限定的な用語として解釈されるべきではない。
【0211】
特許請求の範囲中の用語は、関連日の時点で当業者によって与えられた最も広い意味の範囲を有する。
【0212】
「a」および「an」という用語は、特段の明示的な指示のない限り、「1以上」を意味する。
【0213】
本願の名称および要約書は、いずれも、特許請求される発明の範囲をいかなる形であれ限定するものと解釈されるべきではない。
【0214】
請求項の前提部分に、特許請求される発明の目的、利益または可能な使用が記載されている場合、特許請求される発明が、その目的、利益または可能な使用のみを有すると限定するのではない。
【0215】
本明細書において、「部」、「要素」、「手段」、「セクション」、または「セグメント」などの用語は、単数または複数の項目を指してもよく、1つ以上の部分を有する1つ以上の項目によって行われる一連の特性、機能または特性を指すことを意図する用語である。「部」、「要素」、「手段」、「セクション」、「セグメント」、または類似の用語が単一の項目から構成されると記載される場合、複数の項目からなる機能的に均等な対象も本用語の範囲に包含されるものと考えられ、同様に、「部」、「要素」、「手段」、「セクション」、「セグメント」、または類似の用語が複数の項目から構成されると記載される場合、単一の項目からなる機能的に均等な対象も本用語の範囲に包含されるものと考えられることが想定される。反証が明示的に記載されているか、または文脈上必要とされる場合を除き、本段落に記述するそのような用語の意図された解釈が適用される。
【0216】
用語「接続され」または類似の用語は、直接接続のみに限定されると解釈されるべきではない。したがって、項目Bに接続された項目Aの表現の範囲が、項目Aの出力が項目Bの入力に直接接続される項目またはシステムに限定されるべきではない。Aの出力とBの入力との間に、他の項目または手段を含む経路が存在してもよいことを意味する。「接続され」または類似の用語は、2つ以上の要素が直接物理的または電気的に接触していること、あるいは、2つ以上の要素が直接接触していないものの共働または相互に作用していることを意味してよい。
【0217】
<備えるおよび有する>
以下の特許請求の範囲および上記の本発明の説明において、明示的な文言または必要な暗示のために文脈によりそれ以外が必要とされる場合を除き、用語「含む」、または「有する」、「備える」などのその変形は、包含的な意味で用いられる、すなわち、記載の特徴の存在を特定するために用いられるが、本発明のさまざまな実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を排除するものではない。
【0218】
本明細書で使用される用語「を含む」、または「を有する」、「を備える」のいずれか1つは、この用語の前に列記された要素/特徴を少なくとも含むが、他を排除するものではないことも意味するオープンな用語である。したがって、「含む」は、「備える」および「有する」と同義でありこれを意味する。
【0219】
<発明の範囲>
したがって、本発明の好ましい実施形態であると考えられる形態を記載したが、本発明の趣旨から逸脱することなく、他の変形およびさらなる変形が可能であることを当業者であれば認め、本発明の範囲に包含される全てのそのような変更例および変形例を特許請求することが意図される。例えば、上記に記載した任意の式は、使用され得る手続の単なる表現に過ぎない。ブロック図において、機能が追加または削除されても、機能ブロック間で動作が交換されてもよい。本発明の範囲内で、説明した方法において工程が追加または削除されてもよい。
【0220】
特定の具体例を参照して本発明を説明したが、本発明を多くの他の形態で実施できることを当業者であれば理解されよう。
【産業上の利用可能性】
【0221】
上記から明らかなように、記載の構成は、表面からのデンプンの除去が商業上および実用上に重要である、製紙などの産業に利用可能である。