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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ロータリバルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/076 20060101AFI20240903BHJP
   F16K 11/085 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
F16K11/076 Z
F16K11/085 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022157437
(22)【出願日】2022-09-30
(65)【公開番号】P2024051330
(43)【公開日】2024-04-11
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】591012200
【氏名又は名称】株式会社東海理機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐賀 勇紀
(72)【発明者】
【氏名】黒川 昌久
(72)【発明者】
【氏名】篠田 和希
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-321868(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0004451(KR,A)
【文献】特開昭60-109672(JP,A)
【文献】特開2003-065450(JP,A)
【文献】中国実用新案第216200823(CN,U)
【文献】特許第7185765(JP,B2)
【文献】特開2018-141508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れるハウジング外流路の途中に配置され、かつ収容部を有するハウジングと、前記収容部に収容され、かつ可動流路が形成された弁本体部、及び前記弁本体部を前記ハウジングに回転可能に支持する軸部を有する弁体とを備え、
前記ハウジングにはハウジング内流入路及び複数のハウジング内流出路が形成され、
前記ハウジング内流入路は、前記ハウジングの外面において開口し、かつ前記ハウジングよりも上流の前記ハウジング外流路が接続される外流入口を上流端に有するとともに、前記ハウジングの内面において前記収容部に面して開口する内流入口を下流端に有し、
前記ハウジング内流出路は、前記ハウジングの前記内面において前記収容部に面して開口する内流出口を上流端に有するとともに、前記ハウジングの前記外面において開口し、かつ前記ハウジングよりも下流の前記ハウジング外流路が接続される外流出口を下流端に有し、
前記軸部を中心とする前記弁本体部の回転により、前記可動流路を介して前記内流入口に連通される前記内流出口が切り替えられるロータリバルブであって、
前記軸部の軸線に沿う方向を軸方向とし、前記軸線を中心として放射状に延びる方向を径方向とした場合、前記ハウジングは、前記軸方向における両方の端面をそれぞれ外端面として有し、全ての前記外流入口及び全ての前記外流出口は、前記外端面で開口し、
前記可動流路は、前記軸線上に形成され、かつ前記軸方向における前記弁本体部の一方の端面において開口する共通流路部と、前記共通流路部を起点として前記径方向における外方へ延びて、前記弁本体部の外周面において開口する分岐流路部とを備えるものを含み、
前記共通流路部及び前記分岐流路部を備える前記可動流路は、複数設けられ、かつ前記共通流路部を互いに共通の流路部とし
全ての前記外流入口及び全ての前記外流出口は、一方の前記外端面のみにおいて開口し、
全ての前記外流入口及び全ての前記外流出口のそれぞれに対する前記ハウジング外流路の接続部分は、前記ハウジングの外部に配置された補助機能部に設けられ、
前記ハウジングは、前記補助機能部に連結するための連結部を有しており、
前記ハウジングが前記連結部により前記補助機能部に連結された状態では、全ての前記外流入口及び全ての前記外流出口が、対応する前記ハウジング外流路の前記接続部分に接続されているロータリバルブ。
【請求項2】
前記ハウジングには、前記軸方向へ延び、かつ前記外端面において開口する軸方向流路部と、前記軸方向流路部から前記径方向における内方へ延び、かつ前記ハウジングの前記内面において前記収容部に面して開口する径方向流路部とが設けられ、
全ての前記ハウジング内流入路及び全ての前記ハウジング内流出路のうちの少なくとも1つは、前記軸方向流路部及び前記径方向流路部の組み合わせにより構成されている請求項1に記載のロータリバルブ。
【請求項3】
前記弁本体部と前記ハウジングの前記内面との間には、前記内流出口を取り囲んだ状態でパッキンが配置されている請求項1又は請求項2に記載のロータリバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体を回転させて流体の流路を切り替えるロータリバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたロータリバルブは、図16に示すように、ハウジング203及び弁体214を備えている。ロータリバルブ200におけるハウジング203は、流体FL1,FL2が流れるハウジング外流路201,202の途中に配置され、かつ収容部204を有している。弁体214は、収容部204に収容された弁本体部215と、弁本体部215をハウジング203に回転可能に支持する軸部217とを有している。
【0003】
ここで、軸部217の軸線ALに沿う方向を軸方向というものとする。また、軸線ALを中心として放射状に延びる方向を径方向というものとする。
ハウジング203は、軸方向における両方の端面をそれぞれ外端面212として有している。また、ハウジング203は、両外端面212間で軸線ALを取り囲む外面を外側面213として有している。
【0004】
ハウジング203には、複数のハウジング内流入路205及び複数のハウジング内流出路208が形成されている。
各ハウジング内流入路205は、ハウジング外流路201を流れる流体FL1,FL2を収容部204に導くための流路である。各ハウジング内流入路205は、内流入口207を下流端に有している。ハウジング内流入路205毎の内流入口207は、ハウジング203の内面において収容部204に面して開口している。図16中左側のハウジング内流入路205は、ハウジング203の外端面212から軸方向に延びている。図16中右側のハウジング内流入路205の下流部は、外端面212から軸方向に延びている。上流部は、上記下流部の上流端から径方向へ延びている。いずれのハウジング内流入路205も上流端に外流入口206を有している。各ハウジング内流入路205(外流入口206)に対しては、ハウジング203よりも上流のハウジング外流路201が接続される。
【0005】
各ハウジング内流出路208は、収容部204に導かれて弁本体部215を通過した流体FL1,FL2を、ハウジング外流路202へ導くための流路である。各ハウジング内流出路208は、内流出口209を上流端に有している。ハウジング内流出路208毎の内流出口209は、ハウジング203の内面において収容部204に面して開口している。各ハウジング内流出路208は、ハウジング203の外側面213から径方向における外方へ延びている。いずれのハウジング内流出路208も、下流端に外流出口211を有している。ハウジング内流出路208(外流出口211)に対しては、ハウジング203よりも下流のハウジング外流路202が接続される。
【0006】
弁本体部215には、内流入口207と内流出口209とを連通させる可動流路216が形成されている。そして、軸部217を中心とする弁本体部215の回転により、可動流路216を介して内流入口207に連通される内流出口209が切り替えられる。可動流路216を介してハウジング内流入路205に連通されるハウジング内流出路208が切り替えられる。もって、ハウジング外流路201に連通されるハウジング外流路202が切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2021-143743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ロータリバルブに対しては、搭載性の観点から、径方向の小型化を要求される場合がある。この点、上記特許文献1を含む従来のロータリバルブ200では、ハウジング203におけるハウジング内流出路208が、外側面213において開口する内流出口209から径方向における外方へ延びている。そのため、ロータリバルブ200が径方向に大きくなる。従って、従来のロータリバルブ200には、搭載性の点で改善の余地が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためのロータリバルブの各態様を記載する。
[態様1]流体の流れるハウジング外流路の途中に配置され、かつ収容部を有するハウジングと、前記収容部に収容され、かつ可動流路が形成された弁本体部、及び前記弁本体部を前記ハウジングに回転可能に支持する軸部を有する弁体とを備え、前記ハウジングにはハウジング内流入路及び複数のハウジング内流出路が形成され、前記ハウジング内流入路は、前記ハウジングの外面において開口し、かつ前記ハウジングよりも上流の前記ハウジング外流路が接続される外流入口を上流端に有するとともに、前記ハウジングの内面において前記収容部に面して開口する内流入口を下流端に有し、前記ハウジング内流出路は、前記ハウジングの内面において前記収容部に面して開口する内流出口を上流端に有するとともに、前記ハウジングの外面において開口し、かつ前記ハウジングよりも下流の前記ハウジング外流路が接続される外流出口を下流端に有し、前記軸部を中心とする前記弁本体部の回転により、前記可動流路を介して前記内流入口に連通される前記内流出口が切り替えられるロータリバルブであって、前記軸部の軸線に沿う方向を軸方向とし、前記軸線を中心として放射状に延びる方向を径方向とした場合、前記ハウジングは、前記軸方向における両方の端面をそれぞれ外端面として有し、全ての前記外流入口及び全ての前記外流出口は、前記外端面で開口しているロータリバルブ。
【0010】
上記の構成によれば、ロータリバルブよりも上流のハウジング外流路を流れる流体は、ハウジングに導かれる。ハウジングでは、流体は、ハウジング内流入路における外流入口及び内流入口を通って収容部に導かれる。弁体が軸部を中心として回転して、弁本体部における可動流路を介して、いずれかの内流出口が上記内流入口に連通されると、同内流入口を通過した流体が可動流路を通って、内流出口に導かれる。この流体は、ハウジング内流出路における内流出口及び外流出口を通ることでハウジングの外に出て、ロータリバルブよりも下流のハウジング外流路に導かれる。可動流路を介して内流入口に連通される内流出口は、弁体の回転により切り替えられる。
【0011】
ところで、上記ロータリバルブが搭載された状態では、全てのハウジング内流入路における外流入口がハウジングの外端面で開口している。各ハウジング内流入路において、少なくとも外流入口に近い箇所は、軸方向に延びている。ハウジング内流入路毎の外流入口には、ロータリバルブよりも上流のハウジング外流路が接続される。
【0012】
また、ロータリバルブが搭載された状態では、全てのハウジング内流出路における外流出口がハウジングの外端面で開口している。各ハウジング内流出路において、少なくとも外流出口に近い箇所は、軸方向に延びている。ハウジング内流出路毎の外流出口には、ハウジングよりも下流のハウジング外流路が接続される。
【0013】
上記構成のロータリバルブには、従来のロータリバルブとは異なり、流体の流れる流路として、外流出口から径方向における外方へ延びる部分がない。その分、ロータリバルブの径方向の寸法が小さくなる。
【0014】
[態様2]全ての前記外流入口及び全ての前記外流出口は、一方の前記外端面のみにおいて開口し、全ての前記外流入口及び全ての前記外流出口のそれぞれに対する前記ハウジング外流路の接続部分は、前記ハウジングの外部に配置された補助機能部に設けられ、前記ハウジングは、前記補助機能部に連結するための連結部を有しており、前記ハウジングが前記連結部により前記補助機能部に連結された状態では、全ての前記外流入口及び全ての前記外流出口が、対応する前記ハウジング外流路の前記接続部分に接続されている[態様1]に記載のロータリバルブ。
【0015】
上記の構成によれば、ハウジングを連結部によって補助機能部に連結する作業が行なわれることで、全ての外流入口及び全ての外流出口が、対応するハウジング外流路の接続部分に接続される。各外流入口及び各外流出口が、対応するハウジング外流路に対し別々に接続される場合に比べ、接続作業が簡単になる。また、接続作業の数(工数)が少なくなる。
【0016】
[態様3]前記ハウジングには、前記軸方向へ延び、かつ前記外端面において開口する軸方向流路部と、前記軸方向流路部から前記径方向における内方へ延び、かつ前記ハウジングの内面において前記収容部に面して開口する径方向流路部とが設けられ、全ての前記ハウジング内流入路及び全ての前記ハウジング内流出路のうちの少なくとも1つは、前記軸方向流路部及び前記径方向流路部の組み合わせにより構成されている[態様1]又は[態様2]に記載のロータリバルブ。
【0017】
上記の構成によれば、ハウジング内流入路のうち、軸方向流路部及び径方向流路部の組み合わせにより構成されたものでは、外流入口がハウジングの外端面において開口し、内流入口がハウジングの内面において収容部に面して開口する。
【0018】
そのため、外流入口に接続されたハウジング外流路を流れる流体は、外流入口に対し軸方向から流入する。流体は、ハウジング内流入路では、軸方向流路部に沿って軸方向に流れた後に、径方向流路部に沿って径方向における内方へ流れる。その後、流体は、内流入口から弁本体部の可動流路に流入する。
【0019】
また、ハウジング内流出路のうち、軸方向流路部及び径方向流路部の組み合わせにより構成されたものでは、内流出口がハウジングの内面において収容部に面して開口し、外流出口がハウジングの外端面において開口する。
【0020】
そのため、上記可動流路を流れた流体は、内流出口を通ってハウジング内流出路に流入する。流体は、径方向流路部に沿って径方向における外方へ流れた後に、軸方向流路部に沿って軸方向に流れる。その後、流体は、外流出口から、同外流出口に接続されたハウジング外流路に対し軸方向へ流出する。
【0021】
なお、ハウジング内流入路及びハウジング内流出路のうち、軸方向流路部及び径方向流路部の組み合わせにより構成されたものでは、径方向流路部が径方向へ延びる。しかし、径方向流路部は、ハウジングの内面と軸方向流路部とを連通させるためのものであり、ハウジング外流路が直接接続される箇所ではない。従って、ハウジング内流出路の全体が径方向に延び、かつ同ハウジング内流出路にハウジング外流路が接続される従来のロータリバルブに比べ、径方向流路部は非常に短い。径方向流路部がロータリバルブの径方向の寸法に及ぼす影響は、僅かである。
【発明の効果】
【0022】
上記ロータリバルブによれば、径方向の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(A),(B)は、一実施形態におけるロータリバルブ及び補助機能部の斜視図である。
図2】上記実施形態における補助機能部の底面図である。
図3図1(A)の分解斜視図である。
図4図1(B)の分解斜視図である。
図5】上記実施形態における弁体の斜視図である。
図6】上記実施形態における補助機能部の断面斜視図である。
図7】上記実施形態におけるロータリバルブの平面図である。
図8図7における8-8線断面図である。
図9図8における9-9線断面図である。
図10図7における10-10線断面図である。
図11図10における11-11線断面図である。
図12図7の状態から弁体が回転されたロータリバルブの平面図である。
図13図12における13-13線断面図である。
図14図13における14-14線断面図である。
図15図13における15-15線断面図である。
図16】従来のロータリバルブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、ロータリバルブの一実施形態について、図1図15を参照して説明する。
図3及び図4に示すように、ロータリバルブ10は、ハウジング20、カバー75、弁体81、アクチュエータ93、径方向パッキン94及びシール部材97を備えている。
【0025】
ここで、ロータリバルブ10の各部を説明するために、図5に示すように、弁体81の軸線AL1を基準とする。弁体81は、後述するように、軸線AL1を有する軸部86,87を中心として回転可能である。軸線AL1に沿う方向を「軸方向」という。軸線AL1を中心として放射状に延びる方向を「径方向」という。軸線AL1を中心として回転する方向を「周方向」というものとする。これらの点は、後述する補助機能部100の軸線AL2についても同様である。
【0026】
<ハウジング20>
図2図8及び図10に示すように、ハウジング20は、流体FLの流れるハウジング外流路11,12A,12B,12C,12Dの途中に配置される。
【0027】
ここで、流体FLには、液体及び気体のいずれか一方又は両者が含まれる。また、流体FLは、単一であってもよいし、複数であってもよい。複数の流体FLには、成分の異なる複数種類の流体FLが含まれるほか、同一種類の複数の流体FLも含まれる。同一種類の複数の流体FLには、同一の複数の流体FLが含まれるほか、成分は同一であるが、温度又はその他の要素、例えば粘度等の異なる複数の流体FLが含まれる。本実施形態では、一例として1種類の冷却水を流体FLとしている。
【0028】
図1(A),(B)に示すように、ハウジング20は、軸方向に延びる多角柱状、本実施形態では5角柱状の外形形状を有している。ハウジング20の軸線AL1を取り囲む面は、1つの外側面21(図9参照)と複数(4つ)の外側面22とによって構成されている。いずれの外側面21,22も平面によって構成されている。
【0029】
図3及び図4に示すように、ハウジング20は収容部23を有している。収容部23は、軸方向に延びる円柱状の空間によって構成されている。ハウジング20は、軸方向における両方の端部をそれぞれ端壁部25,31として有している。ハウジング20は、端壁部25,31間に位置し、かつ収容部23を取り囲む部分を環状壁部41として有している。端壁部25は、収容部23の一方(図3では上方)の端部の周りに位置しており、同端部を閉塞していない。そのため、収容部23の同端部は開放されている。端壁部25の外端面26は軸線AL1に対し直交する平面によって構成されている。これに対し、端壁部31は、軸方向における収容部23の他方(図4では下方)の端部を閉塞している。
【0030】
ハウジング20において、収容部23の周囲の複数箇所には溝部51が形成されている。各溝部51は、ハウジング20における複数の上記外側面22に対し、それぞれ径方向における内方となる箇所で、軸方向に延びている。各溝部51は、収容部23に面して開放されるとともに、外端面26において開放されている。
【0031】
図8及び図10に示すように、ハウジング20には、1つ又は複数のハウジング内流入路52と、複数のハウジング内流出路57,61,64,67とが形成されている。ハウジング内流入路52は、上流端に外流入口53を有し、下流端に内流入口54を有している。外流入口53は、ハウジング20の外面において開口している。外流入口53に対しては、上記ハウジング外流路11(図2参照)が接続される。
【0032】
本実施形態では、端壁部31の中心部に、貫通孔33及び軸受孔34が、軸方向に互いに隣接した状態で形成されている。これらの貫通孔33及び軸受孔34によって上記ハウジング内流入路52が構成されている。貫通孔33は外端面32において開口しており、この開口部分が上記外流入口53を構成している。軸受孔34は収容部23に面して開口しており、この開口部分が上記内流入口54を構成している。
【0033】
ハウジング内流出路57は、上流端に内流出口58を有し、下流端に外流出口59を有している(図8参照)。ハウジング内流出路61は、上流端に内流出口62を有し、下流端に外流出口63を有している(図10参照)。ハウジング内流出路64は、上流端に内流出口65を有し、下流端に外流出口66を有している(図10参照)。ハウジング内流出路67は、上流端に内流出口68を有し、下流端に外流出口69を有している(図8参照)。
【0034】
内流出口58,62,65,68は、ハウジング20の内面、より詳しくは溝部51の内底面において収容部23に面して開口している(図3参照)。
外流出口59,63,66,69は、ハウジング20の外面において開口している。外流出口59に対しては、上記ハウジング外流路12Aが接続される。外流出口63に対しては、上記ハウジング外流路12Bが接続される。外流出口66に対しては、上記ハウジング外流路12Cが接続される。外流出口69に対しては、上記ハウジング外流路12Dが接続される。
【0035】
一方で、図9及び図11に示すように、ハウジング20には、複数(5つ)の軸方向流路部71が周方向に等角度毎に形成されている。各軸方向流路部71は、外側面21,22に対し平行な状態で軸方向へ延びている。上記軸線AL1に対し直交する面における各軸方向流路部71の断面形状は、扁平な台形状をなしている。各軸方向流路部71は、周方向における両隣の軸方向流路部71から一定距離ずつ離れている。
【0036】
図8及び図10に示すように、全ての軸方向流路部71の一方の端部は、上記外端面32において開口している。
ハウジング20には、複数の上記軸方向流路部71と同数又はそれよりも少ない複数の径方向流路部72が形成されている。本実施形態では、軸方向流路部71よりも1つ少ない数の径方向流路部72が形成されている。各径方向流路部72は、軸方向流路部71から径方向における内方へ延びている。各径方向流路部72は、環状壁部41の内面、より正確には、上記溝部51の内底面において収容部23に面して開口している。
【0037】
ここで、各軸方向流路部71が、上記外端面32において開口している部分は、外流入口にもなり得るし、外流出口にもなり得る。また、各径方向流路部72が、収容部23に面して開口している部分は、内流入口にもなり得るし、内流出口にもなり得る。
【0038】
そこで、本実施形態では、環状壁部41の内面において収容部23に面して開口する部分を内流出口58,62,65,68としている。また、軸方向流路部71が、外端面32において開口する部分を外流出口59,63,66,69としている。
【0039】
内流出口58を有する径方向流路部72と、外流出口59を有する軸方向流路部71とによってハウジング内流出路57が構成されている(図8参照)。内流出口62を有する径方向流路部72と、外流出口63を有する軸方向流路部71とによってハウジング内流出路61が構成されている(図10参照)。内流出口65を有する径方向流路部72と、外流出口66を有する軸方向流路部71とによってハウジング内流出路64が構成されている(図10参照)。内流出口68を有する径方向流路部72と、外流出口69を有する軸方向流路部71とによってハウジング内流出路67が構成されている(図8参照)。
【0040】
このように、本実施形態では、軸方向流路部71及び径方向流路部72の組み合わせによって、ハウジング内流出路57,61,64,67が構成されている。
図4に示すように、上記外端面32には、シール部材97を装着するための装着溝35が形成されている。装着溝35の一部は、外流入口53を取り囲む箇所に形成されている。装着溝35の一部は、外流出口59,63,66,69を取り囲む箇所に形成されている。
【0041】
<カバー75>
図3及び図4に示すように、カバー75は、収容部23の開放部分を閉塞した状態で、端壁部25に装着されている。ここでは、カバー75として円板状をなすものが用いられているが、他の形状をなすものが用いられてもよい。カバー75の中心部には、軸方向に貫通する軸受孔76が形成されている。カバー75のハウジング20側の面には、円環状のシール部77が形成されている。シール部77は、収容部23の開放部分を取り囲んだ状態で外端面26に接触している。シール部77は、収容部23内の流体FLが、端壁部25とカバー75との間の隙間を通って、ロータリバルブ10の外部へ漏れ出るのを規制する。なお、図8図10及び図13では、シール部77の図示が省略されている。
【0042】
<弁体81>
図3及び図4に示すように、弁体81は、弁本体部82及び一対の軸部86,87を備えている。弁本体部82は、軸方向に延びる円柱状をなしており、収容部23に収容されている。弁本体部82は、収容部23に収容された状態で、環状壁部41の内面に対向する外周面85を有している。外周面85は、軸線AL1を中心とする円筒面によって構成されている。
【0043】
図8及び図10に示すように、弁体81は、軸受孔76に挿通された軸部86においてカバー75に回転可能に支持されている。弁体81は、軸受孔34に挿通された軸部87において端壁部31に回転可能に支持されている。
【0044】
図5図8及び図10に示すように、弁本体部82は、流体FLが流れる可動流路88を有している。可動流路88は、1本の共通流路部89と、2本の分岐流路部91,92とからなる。共通流路部89は軸線AL1上に形成され、軸部87を貫通している。共通流路部89の上流端は、軸部87の端面において開口されている(図4参照)。共通流路部89は、弁体81の回転位相に拘わらず常に内流入口54に連通している。
【0045】
分岐流路部91は、共通流路部89の下流端を起点として、径方向における外方へ延びている。分岐流路部91の下流端は、弁本体部82の外周面85において開口されている。分岐流路部92は、共通流路部89の軸方向における中間部を起点として、径方向における外方へ延びている。分岐流路部92の下流端は、上記外周面85であって、上記分岐流路部91の下流端に対し、軸方向にも周方向にも異なる箇所において開口されている。
【0046】
可動流路88は、弁体81の回転に伴い、分岐流路部91,92が軸線AL1の周りを移動(旋回)することで、可動流路88を介した内流入口54と内流出口58,62,65,68との連通状態を変更する。
【0047】
<アクチュエータ93>
図3及び図4に示すように、アクチュエータ93は、軸部86,87を中心として弁体81を回転させて、回転位相を変更するためのものである。アクチュエータ93は、例えば、電動モータによって構成されている。アクチュエータ93の図示しない出力軸は、軸部86に対し一体回転可能に連結されている。
【0048】
<径方向パッキン94>
径方向パッキン94は、溝部51と同数用いられている。径方向パッキン94は、ゴム等の弾性材料によって、互いに同一の形状に形成されている。径方向パッキン94の外形形状は矩形をなしている。上記径方向における径方向パッキン94の内側面は、弁本体部82の外周面85に沿って凹状に湾曲している。また、各径方向パッキン94は、上記径方向に貫通する円形の孔95を有している。
【0049】
また、各径方向パッキン94は、環状のシール部96を備えている。シール部96は、孔95の周縁部から、上記径方向における内方へ突出している。シール部96は、上記外周面85に沿って凹状に湾曲しており、同外周面85に密着可能である。
【0050】
図8及び図10に示すように、径方向パッキン94は、内流出口58,62,65,68の周囲であって、溝部51の内底面と上記外周面85との間に配置されている。
各径方向パッキン94のシール部96は、孔95の径方向における内側の領域と外側の領域との間をシールし、両領域間で流体FLが行き来するのを規制する。
【0051】
なお、上記径方向における径方向パッキン94の内側面が、同径方向パッキン94よりも摩擦係数の低い材料、例えばフッ素樹脂等によってコーティングされてもよい。また、コーティングに代え、フッ素樹脂製の低摩擦シートが上記内側面に貼り付けられてもよい。このようにすると、径方向パッキン94と弁本体部82との間の摩擦が小さくなり、弁体81を回転させるために必要な荷重を小さくすることができる。
【0052】
<シール部材97>
図3及び図4に示すように、シール部材97は、ゴム等の弾性材料によって、上記装着溝35に対応した形状に形成されている。そして、シール部材97は装着溝35に嵌合された状態で装着されている。シール部材97の一部は、外端面32から突出している。
【0053】
ロータリバルブ10は上記のように構成されている。このロータリバルブ10は、本実施形態では、ハウジング20の外部に配置された補助機能部100に連結された状態で使用される。
【0054】
<補助機能部100>
図2及び図4に示すように、補助機能部100には、外流入口53及び全ての外流出口59,63,66,69のそれぞれに対する複数のハウジング外流路11,12A,12B,12C,12Dの接続部分が設けられている。
【0055】
補助機能部100は、互いに共通の軸線AL2(図6参照)を有する大機能部101及び小機能部104を備えている。大機能部101及び小機能部104は、軸線AL2に沿う方向である軸方向に互いに隣接した状態で配置されている。大機能部101及び小機能部104は、いずれも軸方向へ延びる多角柱状(5角柱状)の外形形状を有している。大機能部101は、ハウジング20と同程度の大きさに形成されている(図1(A),(B)参照)。小機能部104は、多角柱状の外形形状を維持しつつ大機能部101よりも小型に形成されている。
【0056】
図2図4に示すように、大機能部101の軸線AL2を取り囲む外面は、複数の外側面102によって構成されている。いずれの外側面102も平面によって構成されている。大機能部101は、軸方向におけるロータリバルブ10側の面を端面103として有している(図3参照)。
【0057】
図3及び図6に示すように、補助機能部100は、複数の凹部105と、1本の内部流路106と、複数本の内部流路107とを有している。各凹部105は、ロータリバルブ10が補助機能部100に連結された状態で、外端面32における軸方向流路部71の開口部分と合致する箇所に形成されている。すなわち、各凹部105は、上記外側面102に対し、径方向における内方となる箇所に形成されている。各凹部105は、上記外側面102に対し平行な状態で周方向に直線状に延びている。各凹部105は、端面103において、軸方向流路部71の開口部分と同一形状(扁平な台形状)に開口されている。
【0058】
図2及び図4に示すように、小機能部104には、軸方向のうち大機能部101から遠ざかる側へそれぞれ突出する複数の被接続部108,109A,109B,109C,109Dが形成されている。被接続部108は、小機能部104の径方向における中心部に位置している。被接続部109A,109B,109C,109Dは、上記被接続部108の周りに位置している。
【0059】
図2及び図6に示すように、内部流路106は、被接続部108、小機能部104及び大機能部101のそれぞれの内部であって、各軸線AL2上に形成されている。内部流路106の一方(図6の下方)の端部は、被接続部108の先端面において開口している。内部流路106の他方(図6の上方)の端部は、端面103の中心部において開口している。
【0060】
内部流路106は、ハウジング外流路11によって送られてきた流体FLを、上記外流入口53(図8参照)に導く流路とされている。表現を変えると、上記内部流路106は、外流入口53に対するハウジング外流路11の接続部分を構成している。
【0061】
複数の内部流路107におけるそれぞれの一方(図6の下方)の端部は、被接続部109A,109B,109C,109Dの先端面において開口している。上記複数の内部流路107におけるそれぞれの他方(図6の上方)の端部は、対応する凹部105の内底面において開口している。本実施形態では、上記内部流路107及び凹部105の組み合わせは、ロータリバルブ10の外流出口59,63,66,69(図8図10参照)から流出された流体FLを、ハウジング外流路12A,12B,12C,12Dへ導く流路とされている。表現を変えると、上記内部流路107及び凹部105は、次の接続部分を構成している。
【0062】
・外流出口59に対するハウジング外流路12Aの接続部分。
・外流出口63に対するハウジング外流路12Bの接続部分。
・外流出口66に対するハウジング外流路12Cの接続部分。
【0063】
・外流出口69に対するハウジング外流路12Dの接続部分。
上述したように、ロータリバルブ10は、補助機能部100に連結された状態で搭載される。この連結のために、端壁部31の外端面32の多くの部分は、上記軸線AL1に対し直交する平面によって構成されている(図4参照)。大機能部101の端面103の多くの部分は、軸線AL2に直交する平面によって構成されている(図6参照)。
【0064】
さらに、図3及び図6に示すように、ハウジング20の外側面21,22における補助機能部100側の端部(端壁部31)であって、周方向における複数箇所には、径方向における外方へそれぞれ突出する連結部42が形成されている。各連結部42は、軸方向に貫通する挿通孔43を有している。
【0065】
また、大機能部101の外側面102におけるロータリバルブ10側の端部であって、周方向における複数箇所には、径方向における外方へそれぞれ突出する被連結部111が形成されている。各被連結部111は、軸方向に貫通する挿通孔112を有している。
【0066】
そして、軸線AL1を軸線AL2に合致させた状態で、ロータリバルブ10が補助機能部100に重ね合わされ、各連結部42が、対応する被連結部111に重ね合わされている。この状態で、両挿通孔43,112に対し、図示しないボルトが挿通され、そのボルトに図示しないナットが締め付けられることにより、ロータリバルブ10が補助機能部100に連結されている。なお、上記ボルト及びナットを用いた締結は一例にすぎず、他の手法、例えば、溶着等によって、上記連結が行なわれてもよい。
【0067】
図6図8及び図10に示すように、この連結状態では、ロータリバルブ10の外流入口53が、補助機能部100の端面103における内部流路106の開口部分に対向している。ハウジング内流入路52と内部流路106とが、上記外流入口53及び上記開口部分を介して相互に連通している。ロータリバルブ10の複数の外流出口59,63,66,69が、複数の凹部105に対向している。ハウジング内流出路57,61,64,67と内部流路107とが、上記外流出口59,63,66,69及び凹部105を介して相互に連通している。
【0068】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。
<ロータリバルブ10内での流体FLの流れについて>
図7図11は、可動流路88における分岐流路部91の下流端が内流出口62に対向し、かつ分岐流路部92の下流端が内流出口58に対向した状態を示している。ハウジング内流出路57,61は、可動流路88を介してハウジング内流入路52に連通した状態となる。なお、内流出口65,68に対しては、いずれの分岐流路部91,92の下流端も対向しない。ハウジング内流出路64,67は、ハウジング内流入路52に対し連通しない。
【0069】
ロータリバルブ10よりも上流のハウジング外流路11を経由して補助機能部100に送られてきた流体FLは、図2及び図6に示すように、中心部の被接続部108から補助機能部100の内部流路106に流入する。流体FLは、内部流路106を流れることでロータリバルブ10の外流入口53に導かれる。図8及び図10に示すように、流体FLは、外流入口53に対し軸方向から流入する。流体FLは、ハウジング内流入路52を流れ、内流入口54から、可動流路88における共通流路部89に流入する。流体FLは、共通流路部89を流れる際に、分岐流路部92に流入するものと、分岐流路部91に流入するものとに分かれる。
【0070】
前者の分岐流路部92を流れた流体FLは、図8に示すように、内流出口58を通ってハウジング内流出路57に流入する。流体FLは、径方向流路部72では径方向に流れ、軸方向流路部71では軸方向に流れる。流体FLは、径方向流路部72から軸方向流路部71へ移る際に流れ方向を変え、外流出口59から軸方向へ流出する。流出した流体FLは、図6に示すように、補助機能部100の凹部105及び内部流路107を流れた後に被接続部109Aから流出し、図2のハウジング外流路12Aを通って、流体FLの供給先に送られる。
【0071】
後者の分岐流路部91を流れた流体FLは、図10に示すように、内流出口62を通ってハウジング内流出路61に流入する。流体FLは、径方向流路部72では径方向に流れ、軸方向流路部71では軸方向に流れる。流体FLは、径方向流路部72から軸方向流路部71へ移る際に流れ方向を変え、外流出口63から軸方向へ流出する。流出した流体FLは、図6に示すように、補助機能部100の凹部105及び内部流路107を流れた後に被接続部109Bから流出し、図2のハウジング外流路12Bを通って流体FLの供給先に送られる。
【0072】
このように、ロータリバルブ10は、流体FLを外流入口53から流入させて外流出口59,63から流出させるモードになる。
<ロータリバルブ10による流路の切り替えについて>
上記のような状況のもと、アクチュエータ93によって弁本体部82が軸部86,87を中心として回転されると、その回転に伴って可動流路88が移動する。共通流路部89が軸線AL1を中心として回転するとともに、2つの分岐流路部91,92が軸線AL1の周りを旋回する。外流入口53の位置は変わらないが、各分岐流路部91,92の下流端の周方向における位置が変化する。図12は、図7の状態から、分岐流路部92の下流端が内流出口65に対向し、かつ分岐流路部91の下流端が内流出口68に対向する回転位相まで回転したときの状態を示している。ハウジング内流出路64,67は、可動流路88を介してハウジング内流入路52に連通した状態となる。なお、図14及び図15に示すように、内流出口58,62に対しては、いずれの分岐流路部91,92の下流端も対向しない。ハウジング内流出路57,61は、ハウジング内流入路52に対し連通しない。
【0073】
図13図15に示すように、内流入口54から可動流路88に流入した流体FLは、共通流路部89を流れる際に、分岐流路部92に流入するものと、分岐流路部91に流入するものとに分かれる。
【0074】
図13及び図15に示すように、前者の分岐流路部92を流れた流体FLは、内流出口65を通ってハウジング内流出路64に流入する。流体FLは、径方向流路部72では径方向に流れ、軸方向流路部71では軸方向に流れる。流体FLは、径方向流路部72から軸方向流路部71へ移る際に流れ方向を変え、外流出口66から軸方向へ流出する。流出した流体FLは、図2及び図6に示すように、補助機能部100の凹部105及び内部流路107を流れた後に被接続部109Cから流出し、図2のハウジング外流路12Cを通って、流体FLの供給先に送られる。
【0075】
図14に示すように、後者の分岐流路部91を流れた流体FLは、内流出口68を通ってハウジング内流出路67に流入する。流体FLは、径方向流路部72では径方向に流れ、軸方向流路部71では軸方向に流れる。流体FLは、径方向流路部72から軸方向流路部71へ移る際に流れ方向を変え、外流出口69(図8参照)から軸方向へ流出する。流出した流体FLは、図2及び図6に示すように、補助機能部100の凹部105及び内部流路107を流れた後に被接続部109Dから流出し、図2のハウジング外流路12Dを通って流体FLの供給先に送られる。
【0076】
ロータリバルブ10は、流体FLを外流入口53から流入させて外流出口66,69から流出させるモードに切り替わる。
このように、本実施形態によると、1つのロータリバルブ10でありながら、弁体81を回転させて回転位相を変えることで、流体FLについて、流れに関するモードを切り替えることができる。
【0077】
<ロータリバルブ10の径方向の寸法について>
ロータリバルブ10が搭載された状態では、ハウジング内流入路52における外流入口53がハウジング20の外端面32で開口している。ハウジング内流入路52において、少なくとも外流入口53に近い箇所(本実施形態ではハウジング内流入路52の全体)が、軸方向に延びている。外流入口53には、ロータリバルブ10よりも上流のハウジング外流路11が接続される。
【0078】
また、ロータリバルブ10が搭載された状態では、全てのハウジング内流出路57,61,64,67における外流出口59,63,66,69が上記外端面32で開口している。各ハウジング内流出路57,61,64,67において、少なくとも外流出口59,63,66,69に近い箇所は、軸方向に延びている。ハウジング内流出路57,61,64,67毎の外流出口59,63,66,69には、ハウジング20よりも下流のハウジング外流路12A,12B,12C,12Dが接続される。
【0079】
ロータリバルブ10では、従来のロータリバルブ200とは異なり、外流出口59,63,66,69が、ハウジング20の外側面21,22において開口していない。ロータリバルブ10には、流体FLの流れる流路として、外側面21,22から径方向における外方へ延びる部分がない。その分、ロータリバルブ10の径方向の寸法が小さくなる。
【0080】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態では、図8及び図10に示すように、外流入口53及び全ての外流出口59,63,66,69を、ハウジング20の軸方向における外端面32で開口させている。そのため、ハウジング外流路11により送られてきた流体FLをハウジング20に対し外流入口53から軸方向に流入させることができる。また、弁体81により流路を切り替えられた流体FLを、外流出口59,63,66,69を通じてハウジング20から軸方向に流出させて、ハウジング外流路12A,12B,12C,12Dへ導くことができる。
【0081】
また、流体FLの流れる流路として、外側面21,22(外流出口59,63,66,69)から径方向における外方へ延びる部分を無くし、ロータリバルブ10を径方向に小型にすることができる。径方向に十分広くないスペースでも、ロータリバルブ10を搭載することが可能となり、ロータリバルブ10の搭載性の向上を図ることができる。
【0082】
なお、本実施形態では、ハウジング内流出路57,61,64,67が、軸方向へ延びる軸方向流路部71だけでなく、径方向へ延びる径方向流路部72も含んでいる。しかし、径方向流路部72は、ハウジング20(環状壁部41)の内面と軸方向流路部71とを連通させるためのものであり、ハウジング外流路12A,12B,12C,12Dが直接接続される箇所ではない。従って、従来のロータリバルブ200において、全体が径方向に延び、かつハウジング外流路202が接続されるハウジング内流出路208に比べ、径方向流路部72は非常に短い。径方向流路部72がロータリバルブ10の径方向の寸法に及ぼす影響は、僅かである。
【0083】
(2)特に、本実施形態では、外流入口53及び全ての外流出口59,63,66,69を、一方の外端面32のみにおいて開口させている。外流入口53及び全ての外流出口59,63,66,69を、軸方向におけるハウジング20の片側に集約している。そのため、外流入口53及び全ての外流出口59,63,66,69のうちの一部が、一方の外端面32において開口され、残部が他方の外端面26において開口される場合に比べ、ロータリバルブ10を軸方向に小型にすることができる。ロータリバルブ10の搭載性のさらなる向上を図ることができる。
【0084】
(3)外流入口53にハウジング外流路11を接続する作業と、外流出口59,63,66,69に対し、対応するハウジング外流路12A,12B,12C,12Dを接続する作業とは、軸方向におけるハウジング20の片側で行なわれる。そのため、両側で行なわれる場合に比べ、接続作業がしやすくなる。
【0085】
(4)本実施形態では、ロータリバルブ10とは別に補助機能部100を設けている。外流入口53及び全ての外流出口59,63,66,69のそれぞれに対するハウジング外流路11,12A,12B,12C,12Dの接続部分を、補助機能部100に設けている。そして、連結部42を被連結部111に連結することで、ロータリバルブ10を補助機能部100に連結している。
【0086】
そのため、連結部42を被連結部111に連結するといった簡単な作業を行なうことで、外流入口53及び全ての外流出口59,63,66,69に対し、対応するハウジング外流路11,12A,12B,12C,12Dを接続することができる。外流入口53及び各外流出口59,63,66,69を、対応するハウジング外流路11,12A,12B,12C,12Dに対し、別々に接続する場合に比べ、接続作業が簡単になる。接続のための作業の数(工数)も少なくなる。
【0087】
(5)本実施形態では、ハウジング内流出路57,61,64,67を、軸方向流路部71及び径方向流路部72の組み合わせにより構成している。そのため、可動流路88によって内流出口58,62,65,68に導かれた流体FLを、軸方向流路部71及び径方向流路部72の順に流れされることで、流体FLの流れ方向を径方向から軸方向に変えることができる。そして、流体FLを、ハウジング20の外端面32で開口する外流出口59,63,66,69から軸方向へ流出させることができる。
【0088】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変更例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0089】
<ハウジング20に関する事項>
・ハウジング20の外形形状が、上記実施形態とは異なる数の多角柱状に変更されてもよいし、多角柱状とは異なる形状に変更されてもよい。
【0090】
・ハウジング内流入路52が複数設けられてもよい。この場合、ハウジング内流入路52の少なくとも1つが、軸方向流路部71及び径方向流路部72によって構成されてもよい。このようにすると、ハウジング内流入路52のうち、軸方向流路部71及び径方向流路部72により構成されたものでは、外流入口53が外端面32において開口し、内流入口54が環状壁部41の内面において収容部23に面して開口する。
【0091】
そのため、ハウジング外流路11を流れる流体FLは、外端面32において開口する外流入口53から、同外流入口53を通ってハウジング内流入路52に対し軸方向から流入する。流体FLは、ハウジング内流入路52では、軸方向流路部71に沿って軸方向に流れた後に、径方向流路部72に沿って径方向に流れる。その後、流体FLは、環状壁部41の内面において収容部23に面して開口する内流入口54から可動流路88に対し径方向に流入する。
【0092】
この場合にも、径方向流路部72が径方向へ延びる。しかし、径方向流路部72は、ハウジング20(環状壁部41)の内面と軸方向流路部71とを連通させるためのものであり、ハウジング外流路11が直接接続される箇所ではない。従って、従来のロータリバルブ200において、全体が径方向に延び、かつハウジング外流路202が接続されるハウジング内流出路208に比べ、径方向流路部72は非常に短い。径方向流路部72がロータリバルブ10の径方向の寸法に及ぼす影響は、僅かである。
【0093】
・全ての外流入口53及び全ての外流出口59,63,66,69のうちの一部が、一方の外端面26で開口され、残部が他方の外端面32で開口されてもよい。この変更例によると、外流入口53及び全ての外流出口59,63,66,69が外端面32で開口される上記実施形態ほどではないにせよ、ロータリバルブ10を径方向に小型にし、搭載性を向上させる効果が得られる。
【0094】
<弁体81に関する事項>
・弁本体部82は、円柱状に代えて球状に形成されてもよい。
・弁体81における軸部86,87の一方が省略されてもよい。
【0095】
・弁本体部82は、可動流路88を複数有していてもよい。
図5を含む各図に示すように、可動流路として、上流端及び下流端がともに弁本体部82の外周面85において、互いに周方向に異なる箇所で開口する可動流路120が設けられてもよい。この場合、可動流路120は、同図5に示すように、屈曲してもよいし、屈曲せずに一直線状に延びてもよい。また、可動流路120の上流端及び下流端は、同図5に示すように、軸方向に互いに異なる箇所で開口してもよいし、図示はしないが、軸方向に互いに同一の箇所であり、かつ周方向に互いに異なる箇所で開口してもよい。これらの変更例の可動流路120は、弁体81の回転に伴い、軸線AL1の周りを移動(旋回)することで、同可動流路120を介した内流入口及び内流出口の連通状態を変更する。
【0096】
<補助機能部100に関する事項>
・補助機能部100の外形形状が、上記実施形態とは異なる数の多角柱状に変更されてもよいし、多角柱状とは異なる外形形状に変更されてもよい。
【0097】
・内部流路106,107の形状が、上記実施形態とは異なる形状に変更されてもよい。
<その他>
・補助機能部100が用いられずに、外流入口53に対しハウジング外流路11が接続されてもよい。また、補助機能部100が用いられずに、各外流出口59,63,66,69に対してハウジング外流路12A,12B,12C,12Dのうち対応するものが接続されてもよい。
【0098】
・上記実施形態では、可動流路88は、弁体81の回転に伴い移動することで、内流入口54及び内流出口58,62,65,68の連通状態を変更する。
この連通状態の変更には、弁体81の回転量を調整することで、可動流路88の下流端と内流出口58,62,65,68との間における流路面積を連続的に変化させることが含まれる。この場合、外流出口59,63,66,69から流出される流体FLの量を調整することが可能である。
【0099】
また、次の条件を満たす場合には、弁体81の回転量を調整することで、可動流路88の上流端と内流入口54との間における流路面積を連続的に変化させることも、上記連通状態の変更に含まれる。
【0100】
上記条件とは、可動流路88の上流端が、弁本体部82の外周面85に開口していて、内流入口54が環状壁部41の内面において収容部23に面して開口していることである。この場合にも、上記と同様、外流出口59,63,66,69から流出される流体FLの量を調整することが可能である。
【符号の説明】
【0101】
10…ロータリバルブ
11,12A,12B,12C,12D…ハウジング外流路
20…ハウジング
23…収容部
26,32…外端面
42…連結部
52…ハウジング内流入路
53…外流入口
54…内流入口
57,61,64,67…ハウジング内流出路
58,62,65,68…内流出口
59,63,66,69…外流出口
71…軸方向流路部
72…径方向流路部
81…弁体
82…弁本体部
86,87…軸部
88,120…可動流路
100…補助機能部
AL1,AL2…軸線
FL…流体
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