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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】森林作業者の安否確認支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20240903BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20240903BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20240903BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20240903BHJP
   H04W 4/90 20180101ALI20240903BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20240903BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20240903BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B25/08 A
G08B25/10 D
H04M11/04
H04W4/90
H04W16/26
H04W84/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022168404
(22)【出願日】2022-10-20
(65)【公開番号】P2024060854
(43)【公開日】2024-05-07
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】512050014
【氏名又は名称】株式会社 アイエスイー
(74)【代理人】
【識別番号】230115336
【弁護士】
【氏名又は名称】山下 あや理
(72)【発明者】
【氏名】高橋 完
(72)【発明者】
【氏名】大西 秀樹
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-153876(JP,A)
【文献】特開2007-166197(JP,A)
【文献】特開2017-69803(JP,A)
【文献】特開2018-139379(JP,A)
【文献】特開2019-121255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 19/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の森林作業者が携帯電話サービスのエリヤ外にある森林作業現場に入山して、その森林の伐採や集木、その他の作業中における負傷事故や急病、行方不明により発生することとなった被捜索者の安否確認を支援するシステムであって、
上記森林作業者の各自が身に付けて使うGPS機能を有する子機と、その子機とLPWA通信すべく携帯電話サービスのエリヤ外に設置された可搬式の小型親機と、その小型親機と同じくLPWA通信すべく携帯電話サービスのエリヤ内に設置された固定式の親機と、その固定式の親機とモバイル回線を介して接続されたクラウドサーバと、そのクラウドサーバとインターネットを介して接続された管理者端末とを備え、
上記子機に設置されたSOSボタンの操作による緊急通報又は体動センサーにおける森林作業者の動きがないことを検知した出力信号による緊急通報が、被捜索者の子機から発信された時には、その緊急通報を上記小型親機と、その小型親機から固定式の親機並びにクラウドサーバを経て、管理者端末へ送信する一方、
その緊急通報を受信した小型親機に設置されている拡声器、ブザー又はパトライト(登録商標)が作動して、アラームを発することにより、上記被捜索者が発生したことをそのほかの捜索支援者となる森林作業者に報知するように設定したことを特徴とする森林作業者の安否確認支援システム。
【請求項2】
複数の森林作業者が身に付けて使う子機には、識別番号が予め登録されており、
緊急通報を受信した小型親機に設置されている拡声器、ブザー又はパトライトが、被捜索者の身に付けている子機の識別番号と同じ数字分だけ、何回も繰り返し作動するように設定したことを特徴とする請求項1記載の森林作業者の安否確認支援システム。
【請求項3】
複数の森林作業者が携帯電話サービスのエリヤ外にある森林作業現場に入山して、その森林の伐採や集木、その他の作業中における負傷事故や急病、行方不明により発生することとなった被捜索者の安否確認を支援するシステムであって、
上記森林作業者の各自が身に付けて使うGPS機能を有する子機と、その子機とLPWA通信すべく携帯電話サービスのエリヤ外に設置された可搬式の小型親機と、その小型親機と同じくLPWA通信すべく携帯電話サービスのエリヤ内に設置された固定式の親機と、その固定式の親機とモバイル回線を介して接続されたクラウドサーバと、そのクラウドサーバとインターネットを介して接続された管理者端末とを備え、
上記子機に設置されたSOSボタンの操作による緊急通報又は体動センサーにおける森林作業者の動きがないことを検知した出力信号による緊急通報が、被捜索者の子機から発信された時には、その緊急通報を上記小型親機と、その小型親機から固定式の親機並びにクラウドサーバを経て、管理者端末へ送信する一方、
その緊急通報を時刻同期受信した被捜索者以外の捜索支援者となる森林作業者の子機に設置されているバイブレーションが作動して、その捜索支援者の身体に振動を与えることにより、上記被捜索者が発生したことを捜索支援者に知らせるように設定したことを特徴とする森林作業者の安否確認支援システム。
【請求項4】
複数の森林作業者が身に付けて使う子機には、識別番号が予め登録されており、
緊急通報を受信した捜索支援者の子機に設置されているバイブレーションが、被捜索者の身に付けている子機の識別番号と同じ数字分だけ、何回も繰り返し作動するように設定したことを特徴とする請求項3記載の森林作業者の安否確認支援システム。
【請求項5】
可搬式の小型親機にはWi-FiやBluetooth(登録商標)、その他の近距離無線通信できる環境エリヤが形成されており、
被捜索者の子機から緊急通報を受信した時には、その捜索支援者となるほかの森林作業者が上記小型親機へ、地図表示部と容態選択部を備えたスマートフォンやタブレット端末、その他のユーザーモバイル端末を近距離無線通信できるように接続使用して、
そのモバイル端末の地図表示部から被捜索者の居場所を確認して、その被捜索者の容態を看取できるように設定すると共に、
その看取できた被捜索者の容態における種別や程度を、同じく上記モバイル端末の容態選択部から選別して、上記小型親機から固定式の親機並びにクラウドサーバを経て、管理者端末へ緊急通報するように設定したことを特徴とする請求項1又は3記載の森林作業者の安否確認支援システム。
【請求項6】
子機から小型親機へのLPWA通信とその小型親機から固定式親機へのそれとが、何れも150MHzのLPWA通信であることを特徴とする請求項1又は3記載の森林作業者の安否確認支援システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話サービスのエリヤ外にある森林作業現場において、作業中の負傷事故や急病、行方不明などにより発生した被捜索者の安否確認を始め、応急処置や救助なども速やかに効率良く行えるようにするための支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、チェーンソーやハーベスターなどを用いて伐採や、その後造材して搬出(集材)する森林作業現場は、携帯電話サービスのエリヤ外であることが多く、そのような場所において例えば切り倒された立木による人身の重傷事故や急病、山腹の斜面を滑落した行方不明などの事態が発生した場合、その事態を他者へ知らせる術がなく、まして応急処置や救助を行うことができないため、死亡に至ることが頻発することとなる。
【0003】
この点、携帯電話サービスのエリヤ外における被災者/被捜索者の安否確認方法/捜索支援システムが、特許文献1、2に開示されている。
【0004】
そのうち、特に特許文献2に開示の捜索支援システムは、無線LANルーター(102)に子機として接続されることにより、その無線LANルーター(102)とネットワーク(100)を介して捜索管理装置(60)と通信を行うと共に、被捜索端末(40)から接続要求(救助要請)があった時、その被捜索端末(40)に親機として接続されることにより、これと無線通信する捜索支援装置(20)を備え、その捜索支援装置(20)が無人小型飛行機(ドローン)や有人飛行機、車両などから成り、上記無線LANルーター(102)の電波が届く範囲まで移動して、被捜索端末(40)及び捜索管理装置(60)と無線LANによる通信を行い、その被捜索端末(40)の位置情報を捜索者へ伝えるようになっている点で、本発明に最も近似する公知技術であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-69803号公報
【文献】特開2018-139379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献2に開示の捜索支援システムは登山の遭難者を被捜索者とするそれであって、電波の届く範囲が数十メートルから百メートル程度という狭い無線LANを使用しているため、その被捜索端末(40)からの救助要請や位置情報を受信できるまでに長時間かかり、被捜索者の容態が重傷や重体の場合、救助の間に合わないことが必至である。
【0007】
その意味で、特許文献2の捜索支援装置(20)は直線的に移動できるドローンや有人飛行機でなければ、現実問題として実施不可能である。そこで、特許文献1に記載された安否確認方法のように、上記捜索支援装置に相当する小型基地局(21)(22)(23)を多数のドローン(201)(202)(203)に搭載して、次々と無線中継するとすれば、多数の機器とその通信エリヤの構築も含む多大な費用を要することになる。
【0008】
何れにしても、上記特許文献2の捜索支援装置(20)はたとえ小型装置であっても、手で持ち運んだり、車両に搭載したり、まして森林伐採作業する現場の入口や集材する林道端などに駐車した車両の荷台や座席へ静止状態に載置したりして、制約なく便利に使用することができないものである。
【0009】
また、上記捜索支援装置(ドローンや有人飛行機)(20)によって、被捜索端末(40)の救助要請や位置情報をたとえ早く受信できたとしても、その位置から拡声器やLEDブザーなどによる報知が届く距離のエリヤ内(近隣の作業現場)に、例えば同じ森林伐採などの作業を行っている他者や仲間などが居なければ、その被捜索者(遭難者)の容態を見たり、応急処置を施したりすることは不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はこのような課題の解決を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では複数の森林作業者が携帯電話サービスのエリヤ外にある森林作業現場に入山して、その森林の伐採や集木、その他の作業中における負傷事故や急病、行方不明により発生することとなった被捜索者の安否確認を支援するシステムであって、
【0011】
上記森林作業者の各自が身に付けて使うGPS機能を有する子機と、その子機とLPWA通信すべく携帯電話サービスのエリヤ外に設置された可搬式の小型親機と、その小型親機と同じくLPWA通信すべく携帯電話サービスのエリヤ内に設置された固定式の親機と、その固定式の親機とモバイル回線を介して接続されたクラウドサーバと、そのクラウドサーバとインターネットを介して接続された管理者端末とを備え、
【0012】
上記子機に設置されたSOSボタンの操作による緊急通報又は体動センサーにおける森林作業者の動きがないことを検知した出力信号による緊急通報が、被捜索者の子機から発信された時には、その緊急通報を上記小型親機と、その小型親機から固定式の親機並びにクラウドサーバを経て、管理者端末へ送信する一方、
【0013】
その緊急通報を受信した小型親機に設置されている拡声器、ブザー又はパトライト(登録商標)が作動して、アラームを発することにより、上記被捜索者が発生したことをそのほかの捜索支援者となる森林作業者に報知するように設定したことを特徴とする。
【0014】
請求項2では複数の森林作業者が身に付けて使う子機には、識別番号が予め登録されており、
【0015】
緊急通報を受信した小型親機に設置されている拡声器、ブザー又はパトライトが、被捜索者の身に付けている子機の識別番号と同じ数字分だけ、何回も繰り返し作動するように設定したことを特徴とする。
【0016】
請求項3では複数の森林作業者が携帯電話サービスのエリヤ外にある森林作業現場に入山して、その森林の伐採や集木、その他の作業中における負傷事故や急病、行方不明により発生することとなった被捜索者の安否確認を支援するシステムであって、
【0017】
上記森林作業者の各自が身に付けて使うGPS機能を有する子機と、その子機とLPWA通信すべく携帯電話サービスのエリヤ外に設置された可搬式の小型親機と、その小型親機と同じくLPWA通信すべく携帯電話サービスのエリヤ内に設置された固定式の親機と、その固定式の親機とモバイル回線を介して接続されたクラウドサーバと、そのクラウドサーバとインターネットを介して接続された管理者端末とを備え、
【0018】
上記子機に設置されたSOSボタンの操作による緊急通報又は体動センサーにおける森林作業者の動きがないことを検知した出力信号による緊急通報が、被捜索者の子機から発信された時には、その緊急通報を上記小型親機と、その小型親機から固定式の親機並びにクラウドサーバを経て、管理者端末へ送信する一方、
【0019】
その緊急通報を時刻同期受信した被捜索者以外の捜索支援者となる森林作業者の子機に設置されているバイブレーションが作動して、その捜索支援者の身体に振動を与えることにより、上記被捜索者が発生したことを捜索支援者に知らせるように設定したことを特徴とする。
【0020】
請求項4では複数の森林作業者が身に付けて使う子機には、識別番号が予め登録されており、
【0021】
緊急通報を受信した捜索支援者の子機に設置されているバイブレーションが、被捜索者の身に付けている子機の識別番号と同じ数字分だけ、何回も繰り返し作動するように設定したことを特徴とする。
【0022】
請求項5では可搬式の小型親機にはWi-FiやBluetooth(登録商標)、その他の近距離無線通信できる環境エリヤが形成されており、
【0023】
被捜索者の子機から緊急通報を受信した時には、その捜索支援者となるほかの森林作業者が上記小型親機へ、地図表示部と容態選択部を備えたスマートフォンやタブレット端末、その他のユーザーモバイル端末を近距離無線通信できるように接続使用して、
【0024】
そのモバイル端末の地図表示部から被捜索者の居場所を確認して、その被捜索者の容態を看取できるように設定すると共に、
【0025】
その看取できた被捜索者の容態における種別や程度を、同じく上記モバイル端末の容態選択部から選別して、上記小型親機から固定式の親機並びにクラウドサーバを経て、管理者端末へ緊急通報するように設定したことを特徴とする。
【0026】
請求項6では子機から小型親機へのLPWA通信とその小型親機から固定式親機へのそれとが、何れも150MHzのLPWA通信であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1及び請求項の上記構成によれば、森林作業現場が携帯電話サービスのエリヤ外にあっても、そのエリヤ外には小型親機が設置され、その小型親機は森林作業者の各自が身に付ける子機並びに携帯電話サービスのエリヤ内に設置された固定式の親機(基地局)と何れもLPWA無線通信できる接続状態にあるため、被捜索者(例えば負傷者)の子機から発信される緊急通報を洩れなく受信して、その受信した小型親機から固定式の親機(基地局)並びにクラウドサーバを経て、管理者端末へ確実に送信することができる。
【0028】
しかも、その小型親機は可搬式であるため、例えば森林作業現場の出入り口、林道端に駐車した車両の荷台や座席、その他の森林作業者の誰もが知る適当な場所へ置いて使うことができるほか、ドローンや救急ヘリコプターなどに搭載して、森林作業現場やその周辺の上空を飛行させることも可能であり、上記子機からの位置情報(GPS)も含む緊急通報を受信しやすい。
【0029】
また、請求項1の構成では小型親機が上記子機からの緊急通報を受信した時、その小型親機に設置されている拡声器、ブザー又はパトライトが作動して、そのアラートにより被捜索者が発生した事態をそのほかの森林作業者に知らせるようになっているため、これに一早く気付いた森林作業者の誰かが捜索支援者となって、被捜索者の居場所へ駆けつけて、速やかに効率良く安否を確認し、その被捜索者の容態にふさわしい必要な応急処置や救助要請などを行うことができる。
【0030】
他方、請求項の構成では被捜索者が身に付けている子機からの緊急通報を、そのほかの捜索支援者となる森林作業者の子機が時刻同期受信した時、その子機に設置されているバイブレーションが作動して、その捜索支援者の身体に振動を付与することにより、被捜索者が発生した事態をその捜索支援者に知らせるようになっているため、同じ上記効果を達成することができる。
【0031】
その場合、請求項及び請求項4の構成を採用するならば、上記アラートの発生回数や振動の付与回数によって、誰が被捜索者であるかを特定できることに加え、その被捜索者が発生した事態をほかの捜索支援者へ確実に、且つ可及的に早く気付かせることもできる効果がある。
【0032】
特に、請求項5の構成を採用するならば、上記捜索支援者となる森林作業者が小型親機へ、その身に付けている子機と別個に携帯(所持)したスマートフォンやタブレット端末などのユーザーモバイル端末を、Wi-FiやBluetooth、その他の近距離無線通信できるように接続使用することによって、そのモバイル端末の地図表示部から被捜索者の居場所を高精度に確認することができ、その上で被捜索者の居場所へ一刻も早く駆けつけて、その容態を看取することが可能となる一方、同じくモバイル端末の容態選択部から被捜索者の容態における種別や程度(例えば軽傷や重傷、重体、行方不明など)を選択して、上記小型親機から固定式の親機(基地局)並びにクラウドサーバを経て、管理者端末へ具体的にわかりやすく緊急通報することができ、その応急処置や救助などに役立つ。
【0033】
更に、請求項6の構成を採用するならば、そのLPWA無線通信の周波数が150MHzとして低いため、起伏の激しい山奥の森林作業現場でも電波の廻り込みが良く、低消費電力で足りることとも相俟ち、携帯電話サービスを受けられないエリヤ外での通信用として有益である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の好適な実施形態に係る安否確認支援システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】子機の構成を示すブロック図である。
図3】小型親機の構成を示すブロック図である。
図4】ユーザーモバイル端末の構成を示すブロック図である。
図5】親機(基地局)の構成を示すブロック図である。
図6】クラウドサーバの構成を示すブロック図である。
図7】管理者端末の構成を示すブロック図である。
図8】上記安否確認支援システムにおける定期通報時の動作シーケンス図である。
図9】安否確認支援システムにおける緊急通報から救助までの第1パターンを示す動作シーケンス図である。
図10】被捜索者の発生に気付くも、その居場所が不明な場合の図9に対応する動作シーケンス図である。
図11】安否確認支援システムにおける緊急通報から救助までの第2パターンを示す動作シーケンス図である。
図12】被捜索者の発生に気付くも、その居場所が不明な場合の図11に対応する動作シーケンス図である。
図13】安否確認支援システムにおける緊急通報から救助までの第3パターンを示す動作シーケンス図である。
図14】被捜索者の発生に気付くも、その居場所が不明な場合の図13に対応する動作シーケンス図である。
図15】安否確認支援システムにおける緊急通報から救助までの第4パターンを示す動作シーケンス図である。
図16】被捜索者の発生に気付くも、その居場所が不明な場合の図15に対応する動作シーケンス図である。
図17】被捜索者が行方不明である場合の安否確認支援システムにおける救助までの第5パターンを示す動作シーケンス図である。
図18】被捜索者が行方不明である場合の安否確認支援システムにおける救助までの第6パターンを示す動作シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の本発明に係る図示実施形態では、携帯電話サービスのエリヤ外にある山奥の森林作業現場(F)において、チーム編成した複数(図例では4人)の作業者(A)(B)(C)(D)が立木の伐採作業を行っており、そのうちの誰か1人が例えば作業中の事故によって重傷を負ったり、山の斜面を滑落して行方不明になったり、或いは急病での重体になったりした場合に、これらに該当する誰か1人を被捜索者(A)として、その被捜索者(A)の好適な安否確認支援システムを詳述する。
【0036】
上記安否確認支援システムはその全体構成を示す図1のブロック図から明白なように、上記森林作業者(A)(B)(C)(D)の各自が常時身に付ける子機(10a)(10b)(10c)(10d)と、携帯電話サービスのエリヤ外において持ち運びできる(可搬式の)小型(簡易)親機(P)と、同じく携帯電話サービスのエリヤ内に設置された親機(基地局)(R)と、その固定式の親機(R)とモバイル回線を介して接続されたクラウドサーバ(W)と、そのクラウドサーバ(W)とインターネットを介して接続された管理者端末(M)とを備えている。
【0037】
しかも、上記可搬式の小型親機(P)にはWi-FiやBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信できる環境エリヤ(Z)が形成されており、被捜索者(A)以外の森林作業者(捜索支援者)(B)(C)(D)が所持(携帯)するスマートフォンやタブレット端末、ノートパソコンなどのユーザーモバイル端末(U)を接続使用して、その小型親機(P)における子機(10a)(10b)(10c)(10d)から受信した緊急通報やその他の記録内容(位置情報や地図情報)を目視確認できるようになっている。
【0038】
上記主要な構成部材のうち、先ず子機(10a)(10b)(10c)(10d)は本発明の実施形態に係る被捜索者(A)の安否確認支援システムにより捜索される対象の端末であって、図2のような制御部(11)やその電源となるバッテリー(12)、上記可搬式の小型親機(P)及び親機(基地局)(R)との無線通信部(13)、GPS取得部(14)並びにSOS(救急)ボタン(15)を備えているほか、好ましくはウェアラブル端末として、体動センサー(16)とバイブレーション(17)も具備しており、上記携帯電話サービスのエリヤ外にある森林作業現場(F)において、立木の伐採や造材、集材(搬出)、枝打ち、その他の作業を行うすべての森林作業者(A)(B)(C)(D)が、その作業中着衣も含む身体の一部(好ましくは腕や腰)に取り付け使用するようになっている。
【0039】
一組のチームを編成する複数(図例では4人)の森林作業者(A)(B)(C)(D)が身に付ける上記子機(10a)(10b)(10c)(10d)は、その各個に予め登録されている識別番号を除けば、すべて同じ上記構成を有しており、時刻同期環境にあるところ、作業中に被捜索者(A)となった森林作業者の子機(10a)を特別に「被捜索端末」と称し、これと必要に応じて区別するために、そのほかの平常な森林作業者(捜索支援者)(B)(C)(D)の子機(10b)(10c)(10d)を「捜索支援端末」と称して説明する。
【0040】
上記子機(10a)(10b)(10c)(10d)はこれに登録されている識別番号とGPS取得部(14)により取得した位置情報(GPS)並びにバッテリー(12)の電圧情報を、一定時間(例えば60分や90分)毎に小型親機(P)にはもとより、無線電波が届けば親機(基地局)(R)にも定期通報するようになっている。そのため、平常時から管理者端末(M)において、各森林作業者(A)(B)(C)(D)の位置や行動を把握・管理することができ、不法な伐採などの監視に役立つ。
【0041】
上記体動センサー(16)は加速度センサーやジャイロセンサー、地磁気コンパスセンサーなどから成り、これによって森林作業者(A)(B)(C)(D)の体動や行動を検知し、その身体の動きを予め設定された一定時間(例えば10分以上)検知しなければ、制御部(11)がその子機(10a)(10b)(10c)(10d)を身に付けている森林作業者(A)(B)(C)(D)を、意識がなくなった被捜索者(A)であると判定するようになっている。被捜索者(A)であっても意識があれば、SOS(救急)ボタン(15)を押圧操作できるものと想定されている。
【0042】
また、バイブレーション(17)は森林作業者(A)(B)(C)(D)の身体に振動を与えることにより、上記被捜索者(A)が発生したことの緊急通報を、小型親機(P)の後述する拡声器やブザー、パトライト(登録商標)が発する音声(アラーム)の代わりとして、そのほかの平常な森林作業者(捜索支援者)(B)(C)(D)に知らせるためのものである。但し、バイブレーション(17)に代わる光の点滅によって、その緊急通報をほかの森林作業者(B)(C)(D)へ知らせるように定めても良い。
【0043】
何れにしても、上記定期通報や緊急通報は子機(10a)(10b)(10c)(10d)の無線通信部(13)から150MHzのLPWA無線通信により、例えば約500m~3kmの遠距離にある小型親機(P)と、電波が届けば更に遠くの親機(基地局)(R)へ送信されるようになっている。その子機(10a)(10b)(10c)(10d)同士も150MHzのLPWA通信し合えるようになっている。
【0044】
その場合、省電力通信方式の遠距離無線通信である150MHzのLPWA通信を採用しているため、例えば920MHzという高い周波数のLPWA通信に比して、電波の飛びが良く、山間部の障害物に遮断されるおそれがない結果、携帯電話サービスを受けられない森林作業現場(F)での無線通信用として著しく有効である。
【0045】
次に、上記可搬式の小型親機(P)は図3のブロック図に示す如く、やはり制御部(18)とその電源になるバッテリー(19)並びに無線通信部(20)のほか、上記被捜索者(A)の被捜索端末(10a)からSOS(救急)ボタン(15)の操作による緊急通報や、体動センサー(16)の検知出力信号による緊急通報を受けた時に、これらの緊急通報をほかの平常な森林作業者(捜索支援者)(B)(C)(D)に知らせるべく、言わば非常警報(アラーム)を発する拡声器(21)、LEDブザー(22)又はパトライト(登録商標)(LED回転灯)(23)も具備している。
【0046】
その場合、小型親機(P)は持ち運び可能であるため、携帯電話サービスのエリヤ外にある森林作業現場(F)のみならず、その作業現場(F)の出入り口や林道端、その他の適当な場所に駐車した軽トラックなどの車両における荷台や座席へ載置しておくことができ、上記緊急の非常警報(アラーム)に気付いた捜索支援者(B)(C)(D)の誰もが、その小型親機(P)の置き場所へ駆けつけるようになっている。
【0047】
また、例えば山腹の斜面を滑落して、被捜索者(A)が行方不明となり、その被捜索端末(10a)からの無線電波が届かないような場合には、小型親機(P)をドローン(無人小型飛行機)や救急ヘリコプターなどに搭載して、上記被捜索端末(10a)や捜索支援端末(10b)(10c)(10d)の無線電波を容易に捕捉(受信)するため、上空を飛行させることもできる。その際には、ドローンなどを森林作業者(A)(B)(C)(D)が情報共有できる上記場所に駐車した車両の荷台や座席へ、予備的に載置しておけば良い。
【0048】
しかも、その小型親機(P)には既述のとおり、Wi-FiやBluetooth(登録商標)、その他の近距離無線通信できる環境エリヤ(Z)が形成されているので、上記捜索支援者(B)(C)(D)がその無線通信機能を有するスマートフォンやタブレット端末、ノートパソコンなどのユーザーモバイル端末(U)を、子機(捜索支援端末)(10b)(10c)(10d)とは別個に携帯(所持)して、図3に記入した小型親機(P)のWi-Fi/Bluetooth部(24)へ接続使用し、そのモバイル端末(U)の地図表示部(27)から被捜索者(A)の居場所を確認して、その小型親機(P)の無線通信部(20)から携帯電話サービスのエリヤ内にある親機(基地局)(R)へ、その親機(基地局)(R)のモバイル回線部(32)から更にクラウドサーバ(W)を経て、管理者端末(M)へ緊急通報する一方、被捜索者(A)の居場所まで駆けつけ、その被捜索者(A)の容態を見て、必要な応急処置を行い、更にはレスキュー隊や救急車、救急ヘリコプターなどの救助要請を行うようになっている。
【0049】
その際、ユーザーモバイル端末(U)には図4のような制御部(25)と無線通信部(26)のほか、地図表示部(27)と特に容態選択部(28)も具備させて、そのモバイル端末(U)の地図表示部(27)から被捜索者(A)の居場所(被捜索端末(10a)の位置)を確認すると共に、容態選択部(28)の表示から被捜索者(A)の容態が例えば「軽傷」にとどまるか、「重傷」であるか、生命にかかわる「重体」か、或いは「行方不明」であるかなどの種別や程度(軽重)を具体的に選択して、管理者端末(M)でのわかり易く通報できるように設定しておくことが望ましい。
【0050】
そして、このような被捜索者(A)の居場所と容態を、望ましくはその被捜索者(A)を撮影した写真なども含めて、ユーザーモバイル端末(U)の無線通信部(26)から上記小型親機(P)の無線通信部(20)を介して、やはり150MHzのLPWA無線通信により、携帯電話サービスのエリヤ内にある固定式の親機(基地局)(R)へ送信するようになっている。その親機(基地局)(R)は図5のブロック図に示すように制御部(29)と、太陽光によって充電されるバッテリー(30)のほか、上記小型親機(P)から無線通信部(31)に受信した被捜索者(A)の居場所と容態を、クラウドサーバ(W)へ送信(通報)するためのモバイル回線部(32)も具備している。
【0051】
つまり、親機(基地局)(R)は上記森林作業現場(F)での作業中にある森林作業者(A)(B)(C)(D)の子機(10a)(10b)(10c)(10d)と言わばデータ通信を行って、定期通報や被捜索者(A)の緊急通報を受信し、LTEや5Gなどのモバイル回線を介してクラウドサーバ(W)へ無線送信するようになっている。
【0052】
また、そのクラウドサーバ(W)は図6のブロック図に示す如く、制御部(33)と無線通信部(34)のほかに、データベース(35)と地図表示部(36)も備えており、上記親機(基地局)(R)から定期通報や被捜索者(A)の緊急通報を受信した時、その子機(10a)(10b)(10c)(10d)の識別番号と位置情報(GPS)などをデータベース(35)に記憶(蓄積)すると共に、被捜索者(A)が居る場所の地図を地図表示部(36)へ表示する。その識別番号又は/及び位置情報によって、被捜索者(A)が誰であるかを特定することができる。
【0053】
更に、上記管理者端末(M)は森林組合の事務所や国有林の管理事務所、民間の林業会社などに設置されたデスクトップパソコン、これらのスタッフが所持するスマートフォンやタブレット端末などとして、図7のブロック図に示す制御部(37)と地図表示部(38)のほか、上記クラウドサーバ(W)の無線通信部(34)へインターネットを介して接続された無線通信部(39)と入出力部(40)も具備している。
【0054】
そして、クラウドサーバ(W)から受信した定期通報や被捜索者(A)の緊急通報は、入出力部(40)に出力されるので、その被捜索者(A)の居場所を地図表示部(38)から確認して、その捜索エリヤや応急処置の指示、救助の要請などを、上記入出力部(40)からの入力操作によって行えば良いようになっている。尚、図1では複数の管理者端末(M)を示しているが、その管理者端末(M)は1個であってもさしつかえない。
【0055】
次に、図8~18の動作シーケンス図を参照して、上記実施形態に係る安否確認支援システムの動作(安否確認支援方法)を説明する。複数(図例では4人)の森林作業者(A)(B)(C)(D)が一組のチームを編成して森林作業現場(F)へ入山し、互いに適当な間隔距離を保った位置において、チェンソーの使用による立木の伐採作業中にあるものとする。
【0056】
上記森林作業者(A)(B)(C)(D)のすべて平常に作業中は図8のように、その身に付けている子機(10a)(10b)(10c)(10d)の識別番号と位置情報(GPS)並びにバッテリー(12)の消耗度を示す電圧情報が、例えば60分や90分の一定時間毎にその子機(10a)(10b)(10c)(10d)から150MHzのLPWA通信により、可搬式の小型親機(P)へ定期通報される。
【0057】
その定期通報は子機(10a)(10b)(10c)(10d)から無線電波の届く限り、携帯電話サービスのエリヤ内にある親機(基地局)(R)へ直接に、又は上記小型親機(P)を中継機として間接的に親機(基地局)(R)へ発信され、何れにしてもその親機(基地局)(R)からモバイル通信によってクラウドサーバ(W)へ、そのクラウドサーバ(W)から更にインターネットを介して管理者端末(M)へ送信される。
【0058】
そのため、その管理者端末(M)においてクラウドサーバ(W)の地図表示部(36)を閲覧することにより、森林作業者(A)(B)(C)(D)の作業している位置や行動を確認・把握することができるほか、定期通報を受信した更新履歴がなければ、その子機(10a)(10b)(10c)(10d)からは無線電波が届いていないものとして、これを身に付けている森林作業者(A)(B)(C)(D)の行方不明に気付くことも可能となる。
【0059】
そして、上記森林作業現場(F)での伐採作業中に誰か1人の森林作業者(A)が、例えば切り倒された立木により負傷して、被捜索者(負傷者)(A)となった場合に、その被捜索者(A)に意識があって、身に付けている子機(10a)のSOS(救急)ボタン(15)が押圧操作されると、図9、10に示す第1パターンの動作シーケンス図から明白なように、そのボタン操作による緊急通報が被捜索者(A)の子機(被捜索端末)(10a)から小型親機(P)と、その中継により延いては親機(基地局)(R)へ発信され、その親機(基地局)(R)から更にクラウドサーバ(W)と管理者端末(M)へ順次送信されるのである。上記緊急通報には被捜索端末(10a)の識別番号と位置情報(GPS)も含まれている。
【0060】
上記小型親機(P)は常時受信状態にあって、被捜索端末(10a)からタイムリーに緊急通報を受信することができ、その緊急通報を受信した時には制御部(18)が拡声器(21)、ブザー(22)又はパトライト(登録商標)(23)を作動させ、その音声(アラーム)によりほかの正常な森林作業者(捜索支援者)(B)(C)(D)に対して、被捜索者(負傷者)(A)が発生した事態を報知する。
【0061】
その場合、ほかの森林作業者(捜索支援者)(B)(C)(D)がチェンソーを使用しての伐採作業中にあると、上記拡声器(21)やパトライト(23)などの音声(緊急の非常警報)に気付き難く、安否確認の遅れを生ずるおそれがあるため、その拡声器(21)やパトライト(23)などを被捜索端末(10a)に予め登録されている識別番号と同じ数字分だけ、何回も繰り返し作動させることが好ましい。
【0062】
例えば、被捜索端末(10a)の識別番号が「5」番であるとすれば、上記小型親機(P)の拡声器(21)やパトライト(23)などを適当な間隔おきに5回作動させ、同じく識別番号が「8」番であれば、やはり適当な間隔おきに8回作動させるというように、その被捜索者(A)が誰であるか、今どの位置に居るか(誰の身に付けている子機が緊急通報を発信しているか)を、一刻も早く特定できるようにする。
【0063】
複数の森林作業者(A)(B)(C)(D)はチーム編成しており、その各自の作業している位置や互いの間隔距離、作業現場(F)の地形などを予備的に知っているため、上記拡声器(21)やパトライト(23)などの音声(緊急の非常警報)に一早く気付いた捜索支援者(B)(C)(D)において、被捜索者(負傷者)(A)の居場所をかなり正確に分かっておれば、図9の動作シーケンス図に示す如く、その居場所へその捜索支援者(B)(C)(D)が真っ先に直行して、被捜索者(A)の容態を看取すると共に、必要な応急処置を行う。
【0064】
万一、上記音声に気付いた捜索支援者(B)(C)(D)において、被捜索者(負傷者)(A)の居場所が分からない場合、その捜索支援者(B)(C)(D)は図10の動作シーケンス図から明白なように、一旦小型親機(P)の置かれている場所付近へ駆けつけて、子機(捜索支援端末)(10b)(10c)(10d)とは別個に携帯(所持)したスマートフォンやタブレット端末などのユーザーモバイル端末(U)を小型親機(P)へ、Wi-FiやBluetoothなどの近距離無線通信できるように接続使用し、そのモバイル端末(U)の地図表示部(27)により知得した(把握できた)被捜索者(負傷者)(A)の居場所へ出向き、その容態を見ると共に必要な応急処置を行う。
【0065】
何れにしても、被捜索者(負傷者)(A)の容態を看取した上記捜索支援者(B)(C)(D)は、図9、10のように小型親機(P)の置かれている場所へ行き、自分の携帯(所持)した上記ユーザーモバイル端末(U)を小型親機(P)へ、Wi-FiやBluetoothなどの無線通信できるように接続使用して、そのモバイル端末(U)の容態選択部(28)から具体的に選択した容態の種別や程度(被捜索者の負傷が例えば「重傷」であること)を、その小型親機(P)から携帯電話サービスのエリヤ内にある固定式の親機(基地局)(R)へ、更にその親機(基地局)(R)からクラウドサーバ(W)を経て管理者端末(M)へ緊急通報する。
【0066】
そこで、その緊急通報を受信した管理者端末(M)では、クラウドサーバ(W)にアクセスして、その地図表示部(38)から被捜索者(負傷者)(A)の居場所を確認すると共に、その容態の種別や程度次第によって、レスキュー隊や救急車、救急ヘリコプターなどの救助要請を行い、その要請を受けたレスキュー隊や救急ヘリコプターなどが被捜索者(負傷者)(A)の居場所へ向かうのである。
【0067】
図11、12は先の図9、10に示した第1パターンにおいて、被捜索者(A)以外の森林作業者(捜索支援者)(B)(C)(D)が誰も小型親機(P)の上記拡声器(21)やブザー(22)又はパトライト(23)から発する音声(緊急の非常警報)に気付かなかった場合を第2パターンとして示す動作シーケンス図である。
【0068】
その場合、複数の森林作業者(A)(B)(C)(D)が身に付けている子機(10a)(10b)(10c)(10d)は、言うまでもなく時刻同期環境にあり、被捜索端末(10a)のSOSボタン操作による緊急通報がすべての捜索支援端末(10b)(10c)(10d)において、時刻同期受信モードで受信されることになるため、その緊急通報の受信時に捜索支援端末(10b)(10c)(10d)の制御部(11)がバイブレーション(17)を作動させ、捜索支援者(B)(C)(D)の身体に振動を与えることにより、被捜索者(負傷者)(A)が発生したことを知らせる。
【0069】
その時にも、捜索支援者(B)(C)(D)がチェンソーの使用中であると、バイブレーション(17)の振動を感知し難いので、上記小型親機(P)の拡声器(21)やパトライト(23)などと同様に、そのバイブレーション(17)を被捜索端末(10a)に予め登録されている識別番号と同じ数字の回数分だけ、繰り返し作動させることが好ましい。その識別番号が例えば「5」番であるとすれば、上記捜索支援端末(10b)(10c)(10d)のバイブレーション(17)をやはり適当な間隔おきでの5回作動させるのである。
【0070】
尚、チーム編成する複数の森林作業者(A)(B)(C)(D)が身に付ける子機(10a)(10b)(10c)(10d)の識別番号については、上記拡声器(21)やパトライト(23)などの音声と上記バイブレーション(17)の振動を、その隣り合う同士での明確に聴き分けたり、感知し分けたりすることができる数字として、予め付与しておくことが望ましい。
【0071】
例えば、その識別番号が「5」番と「6」番であると、その繰り返し作動する回数が隣り合う同士で近いため、その聴き分けや感じ分けが困難となり、その結果として起こる誤認を防ぐ趣旨である。
【0072】
上記バイブレーション(17)の振動により被捜索者(負傷者)(A)の発生に一早く気付いた捜索支援者(B)(C)(D)は、その被捜索者(A)の居場所を分かっている場合、図11のように被捜索者(A)の居場所へ直行して、容態を見ると共に、必要な応急処置を行う一方、被捜索者(A)の居場所が分からない場合には、図12のように先ず小型親機(P)の置かれている場所付近へ直行して、その小型親機(P)へWi-FiやBluetoothなどの無線通信できるように接続使用した自分のユーザーモバイル端末(U)により、小型親機(P)に記録されている地図情報から、被捜索者(A)の居場所を確認(把握)した上で、その居場所へ駆けつけて容態を看取し、必要であれば応急処置を行う。
【0073】
そして、その何れにしても上記被捜索者(負傷者)(A)の容態を見た捜索支援者(B)(C)(D)が、その後図11、12のように小型親機(P)の置かれている場所へ行き、その小型親機(P)に自分の携帯(所持)したユーザーモバイル端末(U)を接続使用して行う動作は、図9、10の上記第1パターンと同じであり、更にその小型親機(P)から固定式の親機(基地局)(R)とクラウドサーバ(W)を経て、上記容態の種別や程度も含む緊急通報を受信した管理者端末(M)において、その後に行う動作も図9、10の第1パターンと同じであるため、図11、12の第2パターンにおけるその他の詳細な説明を省略する。
【0074】
尚、図11、12の動作シーケンス図では小型親機(P)における拡声器(21)やブザー(22)、パトライト(23)などの作動と、捜索支援端末(10b)(10c)(10d)におけるバイブレーション(17)の作動との相互間に、前者が先で、後者が後の時間差があるが、その両者の作動は長時間になる程重複(オーバーラップ/同時進行)して、捜索支援者(B)(C)(D)に与えられるため、上記緊急通報を確実に知得させることができる。
【0075】
先の図9~12では被捜索者(A)に意識がある場合の動作シーケンスを示したが、次の図13~16では被捜索者(A)に意識がなく、被捜索端末(10a)のSOSボタン操作を行えない場合を示しており、そのうちの図13、14は図9、10と同じく、被捜索者(A)以外の森林作業者(捜索支援者)(B)(C)(D)が小型親機(P)の拡声器(21)やパトライト(23)などから発生する音声(アラーム)によって、被捜索者(A)の発生したことに気付いた場合を第3パターンとして示す動作シーケンス図であり、図15、16は図11、12と同じく、捜索支援者(B)(C)(D)の誰一人として小型親機(P)からの上記音声(アラーム)を聴取できず、その捜索支援端末(10b)(10c)(10d)に具備されたバイブレーション(17)の振動により初めて、被捜索者(A)の発生に気付いた場合を第4パターンとして示す動作シーケンス図である。
【0076】
複数の森林作業者(A)(B)(C)(D)が身に付ける子機(10a)(10b)(10c)(10d)には、上記したように体動センサー(16)が具備されており、その体動センサー(16)が予め設定された一定時間(例えば10分以上)を経過するも、森林作業者(A)(B)(C)(D)の動きを検知しなかった時には、制御部(11)がその森林作業者(A)(B)(C)(D)を意識のなくなった被捜索者(例えば生命にかかわる重体者)(A)であると自動判断して、その検知出力信号(緊急通報)が図13~16のように、被捜索端末(10a)から小型親機(P)と延いては親機(基地局)(R)へ発信され、その親機(基地局)(R)から更にクラウドサーバ(W)を経て、管理者端末(M)へ送信される。
【0077】
そして、その緊急通報(上記体動センサーの検知出力信号)を受信した小型親機(P)の制御部(18)が、その上記拡声器(21)、ブザー(22)又はパトライト(23)を作動させ、その音声(アラーム)に捜索支援者(B)(C)(D)の誰かが気付いた場合に、その気付いた捜索支援者(B)(C)(D)が被捜索者(重体者)(A)の居場所を分かっておれば、その後図13の動作シーケンス図に示す一連の動作を行う一方、被捜索者(重体者)(A)の居場所が分からなければ、その後その捜索支援者(B)(C)(D)は図14の動作シーケンス図に示す一連の動作を行う。その図13、14に示す動作は図9、10に示すそれと同じであるため、その動作の説明を省略する。
【0078】
また、上記捜索支援者(B)(C)(D)の誰一人として小型親機(P)の拡声器(21)やパトライト(23)などから発する音声(アラーム)に気付かなかったとしても、被捜索端末(10a)から発信された緊急通報(上記体動センサーの検知出力信号)を、時刻同期受信モードのもとで受信した捜索支援端末(10b)(10c)(10d)の制御部(11)が作動させたバイブレーション(17)によって、捜索支援者(B)(C)(D)の誰かが被捜索者(重体者)(A)の発生した事態に気付けば良い。
【0079】
しかも、その場合に気付いた捜索支援者(B)(C)(D)が被捜索者(重体者)(A)の居場所を分かっておれば、その後図15の動作シーケンス図に示す一連の動作を実行する一方、被捜索者(重体者)(A)の居場所が分からなければ、その捜索支援者(B)(C)(D)はその後図16の動作シーケンス図に示す一連の動作を行うのである。その図15、16に示す動作は図11、12に示すそれと同じであるため、その動作の説明をやはり省略する。
【0080】
更に、図17、18は何れも被捜索者(A)の行方不明になった場合の動作シーケンス図であり、そのうちの図17では被捜索者(A)に意識がある場合を第5パターンとして、図18では同じく被捜索者(A)に意識がない場合を第6パターンとして各々示している。
【0081】
図17の第5パターンでは被捜索者(A)に意識があり、その被捜索端末(10a)におけるSOS(救急)ボタン(15)の押圧操作によって、緊急通報が発信されることになる一方、図18の第6パターンでは被捜索者(A)の意識がなくなっており、そのことが被捜索端末(10a)の体動センサー(16)によって検知され、その検知出力信号が緊急通報として発信されることになるが、何れの場合も行方不明であるため、その発信電波が被捜索端末(10a)から小型親機(P)や、まして携帯電話サービスのエリヤ内にある固定の親機(基地局)(R)まで届くとは限らない。
【0082】
そのため、被捜索端末(10a)から発信される上記緊急通報の電波を受信できないことに気付いた場合には、図17、18のように捜索支援者(B)(C)(D)が小型親機(P)の置かれている場所付近へ直行して、自分の子機(捜索支援端末)(10b)(10c)(10d)とは別個に所持(携帯)したスマートフォンやタブレット端末などのユーザーモバイル端末(U)を、その小型親機(P)へWi-FiやBluetoothなどの無線通信できるように接続使用し、その容態選択部(28)から選択した容態の種別を「行方不明」として、その小型親機(P)から親機(基地局)(R)へ、更にその親機(基地局)(R)からクラウドサーバ(W)を経て、管理者端末(M)へ緊急通報する。その緊急通報を受信した管理者端末(M)では、レスキュー隊や救急ヘリコプター、救急車などの救助要請を行う。
【0083】
そして、上記小型親機(P)は可搬式として持ち運べるため、これをドローンや救急ヘリコプター(有人飛行機)などに搭載して、森林作業現場(F)やその周辺の上空を飛行することにより、被捜索者(行方不明者)(A)の捜索を行い、その被捜索端末(10a)から発信する緊急通報(無線電波)の受信(捕捉)に努める。
【0084】
つまり、ドローンによる被捜索者(A)の捜索について言えば、その飛行中のドローンが当初置かれていた場所(例えば森林作業現場の出入り口に駐車した軽トラックの荷台)へ戻って来る(着陸する)たびに、その搭載した小型親機(P)へ捜索支援者(B)(C)(D)が、スマートフォンやタブレット端末などのユーザーモバイル端末(U)を近距離無線通信、好ましくはWi-Fi通信できるように接続使用して、被捜索端末(10a)から発信する緊急通報を受信できているかを確認し、未だ受信できていなければ、引き続き捜索飛行を繰り返す。
【0085】
やがて、ドローン搭載の小型親機(P)が上記緊急通報を受信したならば、その被捜索者(A)の居場所を確認(把握)するために、着陸した小型親機(P)へ捜索支援者(B)(C)(D)がやはり上記モバイル端末(U)を同じくWi-Fi通信できるように接続使用して、そのモバイル端末(U)の地図表示部(27)から知得した居場所へ、捜索支援者(B)(C)(D)が直行することにより、被捜索者(A)の容態を見て、必要な応急処置を行い、救急ヘリコプターや救急車などが到着次第に救助するのである。
【0086】
尚、救急ヘリコプターに上記小型親機(P)を搭載して、被捜索者(行方不明者)(A)の捜索を行う場合には、捜索支援者(B)(C)(D)やその他の誰かも一緒に搭乗することにより、これらの搭乗者がドローンの着陸するたび毎に繰り返し行っていた上記小型親機(P)に対するユーザーモバイル端末(U)の接続通信や緊急通報の受信確認などを、飛行中の機内において行えるため、非常に効率が良く、被捜索者(A)の一刻も早い安否確認や救助に役立つ。
【0087】
図示実施形態の上記安否確認支援システムによれば、携帯電話サービスのエリヤ外にある森林作業現場(F)において、作業中の負傷事故や、急病、行方不明などにより被捜索者(A)が発生したとしても、そのサービスエリヤ外の適当な選定場所に置かれた小型親機(P)によって、被捜索端末(10a)の発信する緊急通報(無線電波)を確実に受信(補捉)することができ、この効果の達成には被捜索端末(10a)から小型親機(P)への無線通信が、150MHzのLPWA通信であることも寄与する。
【0088】
上記緊急通報には被捜索端末(10a)の識別番号と位置情報(GPS)が含まれているため、これを小型親機(P)において受信することにより、誰が被捜索者(A)であるかを知得(特定)できるとしても、その被捜索者(A)の居場所までは未だ不明であるところ、その際ほかの捜索支援者(B)(C)(D)が被捜索者(A)の居場所を分かっておればともかく、その居場所が分からなければ、上記小型親機(P)にはWi-FiやBluetoothなどの近距離無線通信できる環境エリヤ(Z)が形成されているため、捜索支援者(B)(C)(D)が携帯(所持)したスマートフォンやタブレット端末などのユーザーモバイル端末(U)を、その小型親機(P)へ接続使用して近距離通信することにより、そのモバイル端末(U)の地図表示部(27)から被捜索者(A)の居場所をほぼ正確に把握した上、そこまで捜索支援者(B)(C)(D)が直行して、被捜索者(A)の容態を看取することができ、更にその看取した容態の種別や程度(重傷や重体など)も、上記モバイル端末(U)の容態選択部(28)から選別して、小型親機(P)から固定式の親機(基地局)(R)とクラウドサーバ(W)を経て、管理者端末(M)へ具体的に対応しやすく緊急通報することができるのである。
【0089】
また、森林作業現場(F)にはチーム編成した複数の森林作業者(A)(B)(C)(D)が入山しており、そのうちの誰かが被捜索者(A)として発生した時、その事態を小型親機(P)の拡声器(21)、ブザー(22)又はパトライト(登録商標)(23)から発する音声(アラーム)と、そのほかの捜索支援端末(10b)(10c)(10d)に設置されているバイブレーション(17)が捜索支援者(B)(C)(D)の身体に与える振動によって、その捜索支援者(B)(C)(D)へ知らせるようになっているため、その音声(アラーム)と振動との何れか一方に気付くまでの時間が長くなる程、他方との重畳的な知らせ受けることとなり、その結果被捜索者(A)の安否確認を可及的に早く確実に行えるのである。
【0090】
その場合、上記小型親機(P)は持ち運びできるため、これをドローンに搭載して、森林作業現場(F)やその周辺の上空を飛行させることにより、特に上記拡声器(21)やパトライト(23)などの音声(アラーム)を広範囲に効率良く波及させることができ、被捜索者(A)の早期な安否確認と応急処置並びに救助に役立つのである。
【符号の説明】
【0091】
(10a)・・・子機(被捜索端末)
(10b)(10c)(10d)・・・子機(捜索支援端末)
(14)・・・GPS取得部
(15)・・・SOSボタン
(16)・・・体動センサー
(17)・・・バイブレーション
(21)・・・拡声器
(22)・・・ブザー
(23)・・・パトライト(LED回転灯)
(24)・・・Wi-Fi/Bluetooth部
(27)(36)(38)・・・地図表示部
(28)・・・容態選択部
(32)・・・モバイル回線部
(35)・・・データベース
(40)・・・入出力部
(A)・・・森林作業者(被捜索者)
(B)(C)(D)・・・森林作業者(捜索支援者)
(F)・・・森林作業現場
(M)・・・管理者端末
(P)・・・可搬式小型親機
(R)・・・親機(基地局)
(U)・・・ユーザーモバイル端末
(W)・・・クラウドサーバ
(Z)・・・近距離通信環境エリヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図17
図18