(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】GLP-1アナログ、またはその薬学的に許容可能な塩を含む徐方型微粒球を含む薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 9/16 20060101AFI20240903BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240903BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240903BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240903BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240903BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240903BHJP
A61K 38/26 20060101ALI20240903BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240903BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240903BHJP
C07K 14/605 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
A61K9/16
A61P3/10
A61P3/04
A61P1/16
A61P25/00
A61K47/34
A61K38/26
A61K47/12
A61K47/32
C07K14/605 ZNA
(21)【出願番号】P 2022548939
(86)(22)【出願日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2021001928
(87)【国際公開番号】W WO2021162532
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0018640
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519426014
【氏名又は名称】ジー2ジーバイオ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】G2GBIO, INC.
【住所又は居所原語表記】21 UIRYODANJI-GIL, OSONG-EUP, HEUNGDEOK-GU, CHEONGJU-SI, CHUNGCHEONGBUK-DO, 28161 REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ナ,ヨンハ
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,ドンピル
(72)【発明者】
【氏名】キム,イェジン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュハン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ヒキョン
(72)【発明者】
【氏名】ソル,ウニョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒヨン
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/108030(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/221884(WO,A1)
【文献】特表2013-525471(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0004198(US,A1)
【文献】薬剤学,2008年,68(2),136-142
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩、および、生分解性高分子からなる徐放型微粒球を含み、
前記セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩は、微粒球の全体重量に対して、セマグルチドとして3重量%以上で含まれ、
前記生分解性高分子は、2種以上の生分解性高分子を含み
、
前記生分解性高分子は、ポリラクチド(Polylactide、PLA)、およびポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(Polylactide-co-glycolide、PLGA)からなる群の中から選択された2種以上の高分子であり、
少なくとも1種以上のPLGAを含み、
前記少なくとも1種のPLGAの固有粘度が0.25dL/g~0.44dL/gであり、
前記徐放型微粒球は、セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および前記2種以上の生分解性高分子を有機溶媒に溶解させてセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液を製造する工程を含む製造方法により製造されたものであり、
前記セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩が1ヶ月~6ヶ月間放出されるようにすることを特徴とする、薬学的組成物。
【請求項2】
前記セマグルチドの薬学的に許容可能な塩は、セマグルチドの酢酸塩、安息香酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ナパジシレートまたはパモエートである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する微粒球の平均粒度が5μm~100μmである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する微粒球のスパン値が1.5以下であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する微粒球の重量が20~1000mgである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、イソクロトン酸、オレイン酸、エライジン酸、ソルビン酸、リノール酸、アラキドン酸、ヒドロキシナフトエ酸、ナパジシル酸およびパモ酸からなる群より選択される1種以上の放出調節剤を含むものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
(a)セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩と生分解性高分子を有機溶媒に溶解させてセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液(分散相)を製造する工程;
(b)前記工程(a)で製造されたセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液を界面活性剤を含有した水溶液相(連続相)に添加してエマルジョンを製造する工程;
(c)前記工程(b)で製造されたエマルジョン状態の分散相から有機溶媒を連続相で抽出および蒸発させて微粒球を形成させる工程;および、
(d)前記工程(c)の連続相から微粒球を回収してセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む微粒球を製造する工程を含む、セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有し、
前記生分解性高分子は、2種以上の生分解性高分子を含
み、
前記生分解性高分子は、ポリラクチド(Polylactide、PLA)、およびポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(Polylactide-co-glycolide、PLGA)からなる群の中から選択された2種以上の高分子であり、
少なくとも1種以上のPLGAを含み、
前記少なくとも1種のPLGAの固有粘度が0.25dL/g~0.44dL/gであり、
前記微粒球のうちのセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩が1ヶ月~6ヶ月間放出されるようにすることを特徴とする注射用の徐放型微粒球の製造方法。
【請求項8】
前記工程(a)の有機溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、エチルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、Nメチルピロリドン、酢酸、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびベンジルアルコールからなる群の中から選択された1種以上の有機溶媒である、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記工程(c)と工程(d)との間に篩過工程をさらに含む、請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記工程(b)の界面活性剤は、ポリビニルアルコールである、請求項7に記載の製造方法。
【請求項11】
前記工程(b)の連続相は、水、または水およびメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびエチルアセテートからなる群より選択される1種以上の混合溶媒である、請求項7に記載の製造方法。
【請求項12】
前記工程(b)の連続相のpHは、5以下である、請求項7に記載の製造方法。
【請求項13】
(a’)セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩と互いに異なる2種以上の生分解性高分子を有機溶媒に溶解させてセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液(分散相)を製造する工程;
(b’)前記工程(a’)で製造されたセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液を界面活性剤を含有した水溶液相(連続相)に添加してエマルジョンを製造する工程;
(c’)前記工程(b’)で製造されたエマルジョン状態の分散相から有機溶媒を連続相で抽出および蒸発させて微粒球を形成させる工程;
(d’)前記工程(c’)の連続相から微粒球を回収して微粒球を製造する工程を含む微粒球を製造する過程を2回以上繰り返して2つ以上の互いに異なる微粒球を製造し、
(e’)互いに異なる種類の高分子からなる2種以上の微粒球を混合して、セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有し、
前記生分解性高分子は、2種以上の生分解性高分子を含み
、
前記生分解性高分子は、ポリラクチド(Polylactide、PLA)、およびポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(Polylactide-co-glycolide、PLGA)からなる群の中から選択された2種以上の高分子であり、
少なくとも1種以上のPLGAを含み、
前記少なくとも1種のPLGAの固有粘度が0.25dL/g~0.44dL/gであり、
前記微粒球のうちのセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩が1ヶ月~6ヶ月間放出されるようにすることを特徴とする注射用の徐放型微粒球の製造方法。
【請求項14】
前記工程(a’)の有機溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、エチルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、Nメチルピロリドン、酢酸、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびベンジルアルコールからなる群の中から選択された1種以上の有機溶媒である、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記工程(c’)と工程(d’)との間に篩過工程をさらに含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項16】
前記工程(b’)の界面活性剤は、ポリビニルアルコールである、請求項13に記載の製造方法。
【請求項17】
前記工程(b’)の連続相は、水、または水およびメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびエチルアセテートからなる群より選択される1種以上の混合溶媒である、請求項13に記載の製造方法。
【請求項18】
前記工程(b’)の連続相のpHは、5以下である、請求項13に記載の製造方法。
【請求項19】
(a”)セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩と互いに異なる2種以上の生分解性高分子をそれぞれ有機溶媒に溶解させて2種以上のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液(分散相)を製造する工程;
(b”)前記工程(a”)で製造された2種以上のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液をそれぞれ界面活性剤を含有した水溶液相(連続相)に添加して2種以上のエマルジョンを製造する工程;
(c”)前記工程(b”)で製造された2種以上のエマルジョン状態の分散相を同一の反応器内に投入して、前記エマルジョン状態の分散相から有機溶媒を連続相で抽出および蒸発させて微粒球を形成させる工程;および、
(d”)前記工程(c”)の連続相から微粒球を回収する工程を含む、セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有し
、
前記生分解性高分子は、ポリラクチド(Polylactide、PLA)、およびポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(Polylactide-co-glycolide、PLGA)からなる群の中から選択された高分子からなる群から選択される2種以上であり、
少なくとも1種以上のPLGAを含み、
前記少なくとも1種のPLGAの固有粘度が0.25dL/g~0.44dL/gであり、
前記微粒球のうちのセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩が1ヶ月~6ヶ月間放出されるようにすることを特徴とする注射用の徐放性微粒球の製造方法。
【請求項20】
前記工程(a”)の有機溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、エチルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、Nメチルピロリドン、酢酸、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびベンジルアルコールからなる群の中から選択された1種以上の有機溶媒である、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記工程(c”)と工程(d”)との間に篩過工程をさらに含む、請求項19に記載の製造方法。
【請求項22】
前記工程(b”)の界面活性剤は、ポリビニルアルコールである、請求項19に記載の製造方法。
【請求項23】
前記工程(b”)の連続相は、水、または水およびメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびエチルアセテートからなる群より選択される1種以上の混合溶媒である、請求項19に記載の製造方法。
【請求項24】
前記工程(b’)の連続相のpHは、5以下である、請求項19に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GLP-1アナログ、またはその薬学的に許容可能な塩を含む徐方型微粒球を含む薬学的組成物および前記徐方型微粒球の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、異なる組織でプロセッシングされる158アミノ酸前駆体ポリペプチドであるプレ-プログルカゴンに由来して、グルコース恒常性、インスリン分泌、胃排出および腸内成長をはじめとした多様な生理的機能だけでなく、食べ物摂取の調節に関与するグルカゴン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)およびオキシントモジュリン(OXM)を含む、数多くの異なるプログルカゴン-誘導されたペプチドを形成する。GLP-1は、プログルカゴンのアミノ酸72~108(プレプログルカゴン92~128)に相当する37-アミノ酸ペプチドで生産される。GLP-1(7-36)アミドまたはGLP-1(7-37)酸は、GLP-1受容体で本質的に同等な活性を示すGLP-1の生物学的活性形態である。GLP-1受容体でアゴニストとして作用するGLP-1およびGLP-1アナログは、例えば、2型糖尿病患者を治療するための効果的な血糖調節を提供し、その他にも、体重減少効果、ベータ-細胞機能保存および高血圧、低血糖症および/または高脂血症の軽減を提供することが明らかになった。Byetta(登録商標)&Bydureon BCise(登録商標)(エキセナチド)、Ozempic(登録商標)(セマグルチド)、Victoza(登録商標)(リラグルチド)、Adlyxin(登録商標)(リキシセナチド);Tanzeum(登録商標)(アルビグルチド)、およびTrulicity(登録商標)(デュラグルチド)を含む、特定のGLP-1アナログが市販、または開発中にある。
【0003】
このようなセマグルチドのようなGLP-1アゴニストはペプチドであって、このようなペプチドの投与はよく胃腸管および腸粘膜での酵素的分解、腸粘膜からの不十分な吸収、その他にも肝での初回通過代謝(first pass metabolism)のような様々な障壁のために主に注射により投与されており、最近、経口投与剤も商業化されたが、注射剤に比べて生体利用率が非常に低くて投与量が非常に高い。さらに、セマグルチドを含む製剤は、肥満や糖尿病の持続的な管理のために患者自らが直接投与(自己投与)する形態に製剤化されていて、投与部位で発生し得る痛み、炎症反応などを管理することが大変重要である。
【0004】
一方、前記GLP-1アゴニストのようなペプチドの長期間溶出のために、このようなペプチドを微粒球などに封入させる技術が公知であるが、長期間有効な薬理効果を示すためには、微粒球に高い含有量のペプチドを含めなければならない。しかし、この場合、薬物の初期過度放出現象(initial burst)が必然的に発生し、特にGLP-1アゴニストの場合、このような初期過度放出現象により致命的な副作用をもたらしうる問題点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、セマグルチドの薬物初期過多放出を防止し、長期間安定した薬物放出の特性を示すセマグルチド、その薬学的に許容可能な塩、水和物または溶媒和物を含む徐方型微粒球を含む薬学的組成物および前記徐方型微粒球の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、
本発明は、一側面として、生分解性高分子を含み、セマグルチドの含有量が全体微粒球の重量に対して、セマグルチドとして3重量%以上のセマグルチド徐方型微粒球を含む薬学的組成物を提供する。
【0007】
他の側面として、前記生分解性高分子は、
ポリラクチド(Polylactide、PLA)、ポリグリコリド(Polyglycolide、PGA)、ラクチドとグリコリドとの共重合体であるポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(Polylactide-co-glycolide、PLGA)、ポリオルトエステル(Polyorthoester)、ポリアンハイドライド(Polyanhydride)、ポリヒドロキシ酪酸(Polyhydroxybutyric acid)、ポリカプロラクトン(Polycaprolactone)およびポリアルキルカーボネート(Polyalkylcarbonate)からなる群の中から選択された高分子;これらの2種以上の共重合体または単純混合物;前記高分子とポリエチレングリコール(Polyethylenglycol、PEG)との共重合体;および前記高分子または共重合体と糖とが結合した高分子-糖複合体からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0008】
さらに他の側面として、前記セマグルチドの薬学的に許容可能な塩は、セマグルチドの酢酸塩、安息香酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ナパジシレートまたはパモエートであってもよい。
【0009】
さらに他の側面として、前記生分解性高分子中、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)またはポリラクチドの固有粘度が0.16~1.7dL/gであることを特徴とするものであってもよい。
【0010】
さらに他の側面として、前記セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する微粒球の平均粒度が5μm~100μmであってもよい。
【0011】
さらに他の側面として、前記セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する微粒球のスパン値が1.5以下であることを特徴とするものであってもよい。
【0012】
さらに他の側面として、前記セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する微粒球の重量が20~1000mg、20mg~800mg、20mg~600mg、20mg~500mg、30mg~1000mg、30mg~800mg、30mg~600mg、30mg~500mg、40mg~1000mg、40mg~800mg、40mg~600mg、40mg~500mg、50mg~1000mg、50mg~800mg、50mg~600mg、50mg~500mgであってもよい。
【0013】
さらに他の側面として、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、イソクロトン酸、オレイン酸、エライジン酸、ソルビン酸、リノール酸、アラキドン酸、ヒドロキシナフトエ酸、ナパジシル酸およびパモ酸から選択される1種以上の放出調節剤を含むものであってもよい。
【0014】
さらに他の側面として、本発明は、以下の工程を含むセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐方型微粒球の製造方法を提供する:
(a)セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩と生分解性高分子を有機溶媒に溶解させてセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液(分散相)を製造する工程;
(b)前記工程(a)で製造されたセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液を界面活性剤を含有した水溶液相(連続相)に添加してエマルジョンを製造する工程;
(c)前記工程(b)で製造されたエマルジョン状態の分散相から有機溶媒を連続相で抽出および蒸発させて微粒球を形成させる工程;および
(d)前記工程(c)の連続相から微粒球を回収してセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む微粒球を製造する工程。
【0015】
さらに他の側面として、前記生分解性高分子は、2種以上の互いに異なる生分解性高分子の混合物であってもよい。
【0016】
さらに他の側面として、本発明は、以下の工程を含むセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐方型微粒球の製造方法を提供する:
(a’)セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩と互いに異なる2種以上の生分解性高分子を有機溶媒に溶解させてセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液(分散相)を製造する工程;
(b’)前記工程(a’)で製造されたセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液を界面活性剤を含有した水溶液相(連続相)に添加してエマルジョンを製造する工程;
(c’)前記工程(b’)で製造されたエマルジョン状態の分散相から有機溶媒を連続相で抽出および蒸発させて微粒球を形成させる工程;
(d’)前記工程(c’)の連続相から微粒球を回収して微粒球を製造する工程を含む微粒球を製造する過程を2回以上繰り返して2つ以上の互いに異なる微粒球を製造し、
(e’)互いに異なる種類の高分子からなる2種以上の微粒球を混合する工程。
【0017】
さらに他の側面として、本発明は、以下の工程を含むセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐方型微粒球の製造方法を提供する:
(a”)セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩と互いに異なる2種以上の生分解性高分子をそれぞれ有機溶媒に溶解させて2種以上のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液(分散相)を製造する工程;
(b”)前記工程(a”)で製造された2種以上のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液をそれぞれ界面活性剤を含有した水溶液相(連続相)に添加して2種以上のエマルジョンを製造する工程;
(c”)前記工程(b”)で製造された2種以上のエマルジョン状態の分散相を同一の反応器内に投入して、前記エマルジョン状態の分散相から有機溶媒を連続相で抽出および蒸発させて微粒球を形成させる工程;および
(d”)前記工程(c”)の連続相から微粒球を回収する工程。
【0018】
さらに他の側面として、前記製造方法で使用される連続相のpHは、5以下であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一製造例によるセマグルチド、その薬学的に許容可能な塩、水和物または溶媒和物を含む徐方型薬学的組成物は、薬物の急激な初期放出(initial burst)を防止して致命的な副作用を効果的に抑制することができ、粒子の大きさに比べて高い含有量の薬物を含めることが可能で、投与時に発生しうる患者の苦痛および炎症反応を最小化できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】比較例1~4で製造されたセマグルチドを含む微粒球をラットに投与し、時間の経過による血中薬物濃度の変化を確認したグラフである。
【
図2】実施例1、実施例2および実施例4で製造されたセマグルチドを含む微粒球をラットに投与し、時間の経過による血中薬物濃度の変化を確認したグラフである。
【
図3】実施例4、実施例6、実施例7および実施例8で製造されたセマグルチドを含む微粒球をラットに投与し、時間の経過による薬物の累積放出率の変化を確認したグラフである。
【
図4】実施例4、実施例6、実施例7および実施例8で製造されたセマグルチドを含む微粒球をラットに投与し、時間の経過による血中薬物濃度の変化を確認したグラフである。
【
図5】実施例4により製造された微粒球を電子顕微鏡を用いて形態学的な分析を実施した結果を示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明は、有効成分として、セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0023】
セマグルチドは、GLP-1受容体アゴニストN
6.26-{18-[N-(17-カルボキシ-ヘプタデカノイル)-L-γ-グルタミル]-10-オキソ3,6,12,15-テトラオキサ-9,18-ジアザオクタデカノイル}-[8-(2-アミノ-2-プロパン酸)、34-L-アルギニン]ヒトグルカゴン様ペプチド1(7-37)であり、また、N-エプシロン26-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)と呼ばれることもある。セマグルチドの構造は、下記の化学式1で表した通りである。
【化1】
【0024】
このようなセマグルチドは、国際特許公開公報WO2006/097537の製造例4で記述されたように製造され、市販中のセマグルチドを使用することもできる。
【0025】
セマグルチドは、塩、特に薬学的に許容可能な塩の形態で存在することができる。塩としては、当業界にて通常使用される塩を制限なく使用可能である。本発明の用語「薬学的に許容される塩」は、患者に比較的非毒性であり無害な有効作用を有する濃度として、この塩に起因した副作用が有効成分の有利な効能を低下させない前記化合物の任意のすべての有機または無機付加塩を意味する。具体例としては、セマグルチドの酢酸塩、安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸塩、ナパジシレートまたはパモエートなどが挙げられるが、これらに制限されるわけではない。
【0026】
本発明の有効成分であるセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩は、多様な形態、例えば、無定形または結晶形であってもよい。
【0027】
本発明による薬学的組成物に含まれるセマグルチド徐方型微粒球に含まれる生分解性高分子は、ポリラクチド(Polylactide、PLA)、ポリグリコリド(Polyglycolide、PGA)、ラクチドとグリコリドとの共重合体であるポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(Polylactide-co-glycolide、PLGA)、ポリオルトエステル(Polyorthoester)、ポリアンハイドライド(Polyanhydride)、ポリヒドロキシ酪酸(Polyhydroxybutyric acid)、ポリカプロラクトン(Polycaprolactone)およびポリアルキルカーボネート(Polyalkylcarbonate)からなる群の中から選択された高分子、2種以上の共重合体または単純混合物、前記高分子とポリエチレングリコール(Polyethylenglycol、PEG)との共重合体、および前記高分子または共重合体と糖とが結合した高分子-糖複合体からなる群の中から選択されたものである。具体的な一つの態様として、本発明による薬学的組成物は、前記生分解性高分子が2種以上含まれている微粒球を含むことができる。他の具体的な実施態様として、本発明による薬学的組成物には、前記生分解性高分子から選択された2つ以上の高分子をそれぞれ1種以上含む微粒球を2種以上含むものであってもよい。
【0028】
前記ポリ-ラクチド-コ-グリコリドおよびポリラクチド高分子からなる群より選択された2種以上の高分子は、これに制限されるわけではないが、ラクチドとグリコリドとの比率が50:50から100:0、60:40~90:10、または70:30~80:20であり、固有粘度が0.16dL/g~1.7dL/g、0.2dL/g~1.3dL/g、または0.24dL/g~1.2dL/gであってもよい。
【0029】
本発明で使用したポリ-ラクチド-コ-グリコリドまたはポリラクチドの固有粘度は、ウベローデ(Ubbelohde)粘度計を用いて、25℃でクロロホルム中で0.1%(w/v)濃度で測定されたものをいう。ポリ-ラクチド-コ-グリコリドまたはポリラクチドの固有粘度が0.16dL/g未満の場合には、高分子の分子量が十分でなくて、セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩の徐方型効果を示しにくく、固有粘度が1.7dL/gを超える場合には、セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩の放出が過度に遅延する効果が現れる。また、固有粘度が高い高分子を用いて微粒球の製造時、高分子の高い粘度によって製造溶媒を過剰使用しなければならない問題があり、再現性のある微粒球を製造しにくい。前記特性を有する市販中の高分子の例としては、Evonik社のResomer系のRG502H、RG503H、RG504H、RG502、RG503、RG504、RG653H、RG752H、RG752S、RG755S、RG750S、RG757S、RG858S、R202H、R203H、R205H、R202S、R203S、R205S、R206S、およびR207S、Corbion社のPDL0 2A、PDL 02、PDL 04、PDL 05、PDLG 7502A、PDLG 7502、PDLG 7507、PDLG 5002A、PDLG 5002、PDLG 5004AおよびPDLG 5004などが挙げられる。
【0030】
本発明によるセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐方型微粒球中のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩の含有量は、微粒球の全体重量に対して、セマグルチドとして3重量%以上、3.5重量%以上、3.9重量%以上であることが好ましい。微粒球中のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩の含有量がセマグルチドを基準として3重量%未満の場合には、薬物に比べて使用される高分子の量が過度に多くて、セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩の生体利用率が低くなり、含有量が過度に高ければ、セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩の初期放出が高まる問題があるので、好ましくない。
【0031】
本発明によるセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する微粒球は、平均粒度が5μm~100μm、5~90μm、5μm~80μm、10μm~90μm、10μm~80μm、15μm~100μm、15μm~90μm、15μm~80μm、70μm~100μm、70μm~90μm、70μm~80μm、60μm~100μm、60μm~80μm、60μm~70μm、90μm~100μm、20μm~90μm、20μm~70μm、20μm~60μm、30μm~80μm、30μm~60μm、40μm~70μm、40μm~50μm、30μm~40μm、20μm~30μm、5μm~30μm、5μm~20μm、10μm~20μm、または5μm~10μmの均一な粒子分布度を有することが好ましい。本発明で使用される用語「平均粒度」とは、粒度分布曲線において体積%の50%に相当する粒度であって、中位径(Median Diameter)を意味するもので、D50またはD(v,0.5)で表示する。
【0032】
セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する微粒球の平均粒度が5μm未満の場合には、微粒球からセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩薬物の放出が過度に速くなって好ましくない。平均粒度が100μmを超える場合には、人体投与時に注射針が過度に厚くなって、注射時に痛みを生じたり、注射後に注射部位に薬物が漏れ出ることがあるので、好ましくない。
【0033】
本発明のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する微粒球は、均一な粒子分布度を有することが好ましい。均一な粒子分布度を有するセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する微粒球は、不均一な微粒球に比べて、注射時に偏差が小さくてより正確な量で投与可能である。本発明のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する微粒球の大きさ分布度またはスパン値(Span value)が1.5以下であることが好ましい。より好ましくは、大きさ分布度が1.2以下であることが好ましい。より具体的には、大きさ分布度またはスパン値が1.5以下、1.2以下、0.1~1.5、0.3~1.5、0.5~1.5、0.1~1.0、0.4~1.0、0.6~1.0、0.2~0.8、0.4~0.8であってもよい。本発明で使用する用語「大きさ分布度」または「スパン値(Span value)」とは、微粒球の粒子サイズの均一性を示す指標であって、大きさ分布度(Span value)=(Dv0.9-Dv0.1)/Dv0.5の数式で求めた値を意味する。ここで、Dv0.1は、微粒球の粒度分布曲線において体積%の10%に相当する粒度、Dv0.5は、微粒球の粒度分布曲線において体積%の50%に相当する粒度、Dv0.9は、微粒球の粒度分布曲線において体積%の90%に相当する粒度を意味する。
【0034】
本発明のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐放性微粒球は、注射経路、例えば、皮下注射によって投与され、特に自己投与可能なため、相対的に長期間セマグルチドが放出されることが好ましい。好ましくは、本発明による薬学的組成物中の徐放性微粒球はこれに制限されるわけではないが、セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を1ヶ月以上、2ヶ月以上、3ヶ月以上、1ヶ月~2ヶ月、1ヶ月~3ヶ月、1ヶ月~4ヶ月、1ヶ月~5ヶ月、1ヶ月~6ヶ月、2ヶ月~6ヶ月、2ヶ月~5ヶ月、2ヶ月~4ヶ月、2ヶ月~3ヶ月、3ヶ月~5ヶ月、または3ヶ月~4ヶ月放出することができる。また、本発明のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐放性微粒球は、特にこのような放出様相が制限されないが、生体内に投与された時、24時間以内にセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩が10%未満、15%未満または20%未満で放出されることが好ましい。また、本発明のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐放性微粒球は、
【0035】
また、本発明の薬学的組成物において前記セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む徐方型微粒球製剤の総量は、20~1000mg、20mg~800mg、20mg~600mg、20mg~500mg、30mg~1000mg、30mg~800mg、30mg~600mg、30mg~500mg、40mg~1000mg、40mg~800mg、40mg~600mg、40mg~500mg、50mg~1000mg、50mg~800mg、50mg~600mg、または50mg~500mgであってもよい。組成物中のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む徐放性微粒球を前記範囲で含むことで、本発明による組成物は、投与部位で炎症反応を最小化させるだけでなく、患者の自己投薬が可能であるというメリットを有する。
【0036】
本発明の組成物に含まれるセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む微粒球は、放出調節剤を追加的に含むことができる。放出調節剤として使用される物質は、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、イソクロトン酸、オレイン酸、エライジン酸、ソルビン酸、リノール酸、アラキドン酸、安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸、ナパジシル酸およびパモ酸から選択される1種以上が例に挙げられるが、これに制限されるわけではない。好ましくは、前記放出調節剤は、ヒドロキシナフトエ酸、ナパジシル酸またはパモ酸であってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0037】
本発明によるセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む微粒球を含む薬学的組成物は、多様な形態の製剤に剤形化され、例えば、公知の非経口投与製剤の剤形であってもよい。これによって、本発明による薬学的組成物は、前記セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩のほか、粘増剤、安定化剤、等張化剤、pH調節剤、界面活性剤、賦形剤および/または担体をさらに含むことができる。使用可能な等張化剤は、マンニトール、スクロース、ソルビトール、トレハロース、ラクトース、塩化ナトリウムなどの水溶性賦形剤または糖類になってもよく、粘増剤としては、カメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポビドンなどが例に挙げられる。界面活性剤は、ポリビニルアルコールなどが可能である。また、緩衝剤としては、リン酸一水素ナトリウム、無水クエン酸、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウムなどを使用することができる。
【0038】
本発明による薬学的組成物は、セマグルチドの治療的有効量、例えば、糖尿病、具体的には、2型糖尿病、ベータ-細胞機能保存、高血圧、高脂血症、肥満、非アルコール性脂肪肝炎、またはアルツハイマー病およびパーキンソン病などの退行性神経疾患を治療するために効果的な量で投与可能である。セマグルチドの治療的有効量は、医師によって評価される。セマグルチドを含む本発明による薬学的組成物は、月1回~四半期1回投与されてもよい。一部の具体例において、本発明による組成物の1ヶ月の投薬量は、セマグルチドを基準として、1.0mg~100mg、1.0mg~80mg、1.0mg~30mg、1.0mg~20mg、2.0mg~100mg、2.0mg~80mg、2.0mg~30mg、2.0mg~20mg、4.0mg~100mg、4.0mg~80mg、4.0mg~30mg、4.0mg~20mg、8.0mg~100mg、8.0mg~80mg、8.0mg~30mg、8.0mg~20mg、9.6mg~100mg、9.6mg~80mg、9.6mg~30mg、9.6mg~20mg、10mg~100mg、10mg~80mg、10mg~30mg、10mg~20mg、1.0mg~10mg、1.0mg~9.6mg、1.0mg~8.0mg、1.0mg~6.0mg、2.0mg~10.0mg、2.0mg~9.6mg、2.0mg~8.0mg、2.0mg~6.0mg、2.0mg~24.0mg、2.0mg~12mgであってもよい。本発明によるセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む微粒球を含む本発明による薬学的組成物は、非経口投与、例えば、皮下注射により投与されてもよい。本発明による薬学的組成物は、事前充填注射器、例えば、ペン-注射器を用いて投与されてもよいし、このようなペン-注射器は、1回投与量が含まれている使い捨て注射器であるか、あるいは投与時に1回投与量だけ注射される定量式注射器(metered dose syringe;syringe with does metering device)であってもよい。
【0039】
具体的な一実施態様において、本発明による薬学的組成物に含まれるセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐放性微粒球は、微粒球の含有量に比べて高い薬物の含有量を有しながらも、致命的な副作用をもたらしうる薬物の初期過度な放出を抑制し、所望の期間、十分にGLP-1アゴニストとしての薬効を示して、糖尿病、具体的には、2型糖尿病、ベータ-細胞機能保存、高血圧、高脂血症、肥満、非アルコール性脂肪肝炎またはアルツハイマー病およびパーキンソン病などの退行性神経疾患の予防または治療に有用である。
【0040】
他の態様として、本発明は、セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐方型微粒球を製造する方法を提供する。
【0041】
以下、本発明のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐方型微粒球注射剤の製造方法を具体的に説明する。
【0042】
本発明によるセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐方型微粒球注射剤は、例えば、「溶媒抽出および蒸発法」を用いて製造できるが、製造方法はこれに限定されない。
【0043】
本発明によるセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐方型微粒球の製造方法の具体的な一例として、このような製造方法は、(a)セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩と生分解性高分子を有機溶媒に溶解させてセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩-高分子溶液(分散相)を製造する工程、(b)前記工程(a)で製造されたセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩-高分子溶液を界面活性剤を含有した水溶液相(連続相)に添加してエマルジョンを製造する工程、(c)前記工程(b)で製造されたエマルジョン状態の分散相から有機溶媒を連続相で抽出および蒸発させて微粒球を形成させる工程、および(d)前記工程(c)の連続相から微粒球を回収してセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩の微粒球を製造する工程を含む。
【0044】
本発明によるセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐方型微粒球の製造にあたり、微粒球の重量に比べて高いセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含みながらも、初期セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩の過度な放出を抑制させ、所望の長期間、例えば、1ヶ月以上、3ヶ月以上、1ヶ月~2ヶ月、1ヶ月~3ヶ月、1ヶ月~4ヶ月、1ヶ月~5ヶ月、1ヶ月~6ヶ月、2ヶ月~6ヶ月、2ヶ月~5ヶ月、2ヶ月~4ヶ月、2ヶ月~3ヶ月、3ヶ月~5ヶ月、または3ヶ月~4ヶ月の一定の濃度で放出されるために、生分解性高分子として、具体的には、ポリラクチド(Polylactide、PLA)、ポリグリコリド(Polyglycolide、PGA)、ラクチドとグリコリドとの共重合体であるポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(Polylactide-co-glycolide、PLGA)、ポリオルトエステル(Polyorthoester)、ポリアンハイドライド(Polyanhydride)、ポリヒドロキシ酪酸(Polyhydroxybutyric acid)、ポリカプロラクトン(Polycaprolactone)およびポリアルキルカーボネート(Polyalkylcarbonate)からなる群の中から選択された高分子、2種以上の共重合体または単純混合物、前記高分子とポリエチレングリコール(Polyethylenglycol、PEG)との共重合体、および前記高分子または共重合体と糖とが結合した高分子-糖複合体からなる群の中から選択された1種以上の高分子、好ましくは、2種以上の高分子を使用することが好ましい。具体的な一実施態様として、本発明による製造方法では、生分解性高分子として、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)および/またはポリラクチド高分子を使用することができる。
【0045】
本発明において、互いに異なる2種以上の生分解性高分子は、高分子を構成する繰り返し単位が異なる2以上の高分子および2以上の繰り返し単位を含む場合、繰り返し単位のモル比率が異なる2以上の高分子を含むことができる。また、前記微粒球は、ポリ-ラクチド-コ-グリコリドを含む微粒球とポリラクチド高分子を含む微粒球との混合物であるか、ポリ-ラクチド-コ-グリコリドとポリラクチド高分子を共に含む微粒球であってもよい。前記2以上の繰り返し単位を含む場合、繰り返し単位のモル比率が異なる2以上の高分子は、例えば、ポリ-ラクチド-グリコリド中、ラクチドとグリコリドの繰り返し単位のモル比率(ラクチド:グリコリド)が50:50~100:0、60:40~90:10、または70:30~80:20であってもよい。
【0046】
具体的な一例として、前記互いに異なる生分解性高分子が2種の場合、これら生分解性高分子の含有量比は、重量比として0.5:10~10:0.5、0.5:8~8:0.5、1:10~10:1、1:4~4:1、1:3~3:1または1:2~2:1であってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0047】
より具体的な態様として、本発明によるセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐方型微粒球を作るために、2種以上の生分解性高分子としてポリラクチド-コ-グリコリドを使用する時、固有粘度が0.25dL/g~0.44dL/gの生分解性高分子が少なくとも1種以上含まれる。より好ましくは、前記生分解性高分子のラクチドとグリコリドの繰り返し単位のモル比率(ラクチド:グリコリド)が95:5~50:50、85:15~50:50、75:25~50:50であってもよい。
【0048】
具体的な態様として、本発明によるセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐方型微粒球は、前記工程(a)でセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩と2種以上の生分解性高分子、例えば、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)およびポリラクチド高分子からなる群より選択された2つ以上の高分子を同時に有機溶媒に溶解させることによって、2種以上の高分子を含むセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩徐方型微粒球を製造することができる。
【0049】
また、本発明によるセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐方型微粒球は、2種以上の互いに異なる生分解性高分子、例えば、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)またはポリラクチド高分子を用いて前記工程(a)から工程(d)を経て製造された互いに異なる高分子を含む2種以上の互いに異なるセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する微粒球を混合することによって製造することができる。具体的には、このように互いに異なる高分子を含む2種以上の互いに異なるセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する微粒球は、次の工程を含む製造方法によって製造できる。
(a’)セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩と1種以上の生分解性高分子を有機溶媒に溶解させてセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液(分散相)を製造する工程;
(b’)前記工程(a’)で製造されたセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液を界面活性剤を含有した水溶液相(連続相)に添加してエマルジョンを製造する工程;
(c’)前記工程(b’)で製造されたエマルジョン状態の分散相から有機溶媒を連続相で抽出および蒸発させて微粒球を形成させる工程;
(d’)前記工程(c’)の連続相から微粒球を回収して微粒球を製造する工程を含む微粒球を製造する過程を2回以上繰り返して2種以上の互いに異なる微粒球を製造し、
(e’)互いに異なる種類の高分子からなる2種以上の微粒球を混合する工程。
【0050】
あるいは、次の工程を含む製造方法によって製造されてもよい。
(a”)セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩と1種以上の生分解性高分子をそれぞれ有機溶媒に溶解させてセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液(分散相)を製造する工程;
(b”)前記工程(a”)で製造された2種以上のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩および高分子含有溶液をそれぞれ界面活性剤を含有した水溶液相(連続相)に添加して2種以上のエマルジョンを製造する工程;
(c”)前記工程(b”)で製造された2種以上のエマルジョン状態の分散相を同一の反応器内に投入して、前記エマルジョン状態の分散相から有機溶媒を連続相で抽出および蒸発させて微粒球を形成させる工程;
(d”)前記工程(c”)の連続相から微粒球を回収する工程。
【0051】
前記工程(a)、(a’)または(a”)において、前記1種以上の生分解性高分子は、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)またはポリラクチドであってもよい。前記ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)またはポリラクチドの固有粘度は、0.16~1.7dL/gの範囲が好ましい。
【0052】
前記工程(a)、(a’)または(a”)において、セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩と1種以上の生分解性高分子を溶解させるのに使用される有機溶媒は、1種以上の有機溶媒である。また、前記有機溶媒は、1種以上の有機溶媒を混合した混合有機溶媒を使用することもできる。具体的な一態様として、前記混合溶媒は、水と混和される有機溶媒および水と混和されない有機溶媒の混合溶媒であってもよい。この場合、水と混和されない性質の有機溶媒を少なくとも50%(v/v)以上使用することが好ましい。有機溶媒の水と混和されない性質を利用することによって、後述する工程(b)、(b’)または(b”)で界面活性剤を含有した連続相で分散相を均質に混合してエマルジョンを形成することができる。このようなセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩と1種以上の生分解性高分子を溶解させる有機溶媒の種類は特に制限されないが、好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、エチルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、Nメチルピロリドン、酢酸、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびベンジルアルコールからなる群の中から選択された1種以上の溶媒の混合溶媒、さらに好ましくは、ジクロロメタン、エチルアセテートの中から選択された1つの溶媒、およびジメチルスルホキシド、Nメチルピロリドン、メチルアルコール、酢酸の中から選択された1種以上の有機溶媒を使用することができる。
【0053】
前記工程(b)、(b’)または(b”)において、セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩-高分子溶液と界面活性剤を含有した連続相を均質に混合する方法は特に制限されないが、高速撹拌機、インラインミキサー、メンブレンエマルジョン法、マイクロフルイディクスエマルジョン法、超音波混合器またはスタティックミキサー(static mixer)などを用いて行うことができる。高速撹拌機、インラインミキサー、超音波混合器またはスタティックミキサー(static mixer)を用いてエマルジョンを形成する場合、均一なエマルジョンを得にくいため、後述する工程(c)と工程(d)との間、工程(c’)と工程(d’)との間、または工程(c”)と工程(d”)との間で追加的に篩過工程などを行うことが好ましい。メンブレンエマルジョン法とマイクロフルイディクスエマルジョン法を用いる場合、均一な大きさのエマルジョンが得られて、後述する工程(c)と工程(d)との間、工程(c’)と工程(d’)との間または工程(c”)と工程(d”)との間で追加的に篩過工程などを必要としないので、より好ましい。
【0054】
前記工程(b)、(b’)または(b”)で使用される界面活性剤の種類は特に制限されず、セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩-高分子溶液が連続相中で安定した液滴の分散相を形成できるように補助できるものであれば、いかなるものでも使用可能である。前記界面活性剤は、ポリビニルアルコールを使用することができる。
【0055】
前記工程(b)、(b’)または(b”)において、界面活性剤を含有した連続相中の界面活性剤の含有量は、界面活性剤を含有した連続相の全体体積を基準として、0.01w/v%~20w/v%、好ましくは0.03w/v%~18w/v%、0.05w/v%~15w/v%、0.07w/v%~10w/v%または0.1w/v%~5w/v%であってもよい。界面活性剤の含有量が0.01w/v%未満の場合には、連続相中に液滴形態の分散相またはエマルジョンが形成されないことがあり、界面活性剤の含有量が20w/v%を超える場合には、過剰の界面活性剤によって連続相中に微粒子が形成された後、界面活性剤を除去することに困難がありうる。
【0056】
前記工程(b)、(b’)または(b”)で使用される連続相は、水を使用することができ、エマルジョン状態の分散相から有機溶媒の抽出速度を調節するために、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびエチルアセテートからなる群より選択される1種以上が一部含有された水を使用することができる。
【0057】
また、前記連続相のpHは、5以下、4以下、3以下、2~5、2~4、2~3または2.5~3であってもよいが、これに制限されるわけではない。連続相のpHを前記範囲内に調節する場合、Hおよびイオン濃度が調節されて微粒球内のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩の初期放出が調節されてより低くなる。
【0058】
前記工程(c)、(c’)または(c”)において、液滴形態の分散相および界面活性剤を含有した連続相を含むエマルジョンを有機溶媒の沸点未満の温度で一定時間、例えば、2時間~48時間維持または撹拌すれば、分散相である液滴形態のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩-高分子溶液から連続相で有機溶媒が抽出される。連続相で抽出された有機溶媒の一部は表面から蒸発される。液滴形態のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩-高分子溶液から有機溶媒が抽出および蒸発されることによって、前記液滴形態の分散相は、固形化されて微粒球を形成することができる。
【0059】
前記工程(c)、(c’)または(c”)で有機溶媒を追加的に効率的に除去するために、連続相の温度を一定時間熱を加えることができる。加温温度は制限されず、使用する有機溶媒に応じて当業界における通常の技術者が適切に調節可能である。例えば、有機溶媒をジクロロメタンを使用する場合には、30℃以上、40℃以上、45℃以上、30~50℃、40~50℃、または45℃に維持されるように熱を加えることができる。
【0060】
前記工程(d)、(d’)または(d”)において、セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する微粒球を回収する方法は、様々な公知技術を用いて行われ、例えば、ろ過または遠心分離などの方法を用いることができる。
【0061】
前記工程(c)および工程(d)の間、工程(c’)および工程(d’)の間、または工程(c”)および工程(d”)の間に、ろ過および洗浄により残留する界面活性剤を除去し、再びろ過させて微粒球を回収することができる。
【0062】
残存する界面活性剤を除去するための洗浄工程は、通常水を用いて行うことができ、前記洗浄工程は、数回にわたって繰り返すことができる。
【0063】
また、前述のように、前記工程(b)、(b’)または(b”)で高速撹拌機またはインラインミキサーを用いてエマルジョンを形成した場合、前記工程(c)および工程(d)の間、工程(c’)および工程(d’)または工程(c”)および工程(d”)の間ごとに、篩過工程を追加的に使用することで均一な微粒球を得ることができる。公知技術を用いて篩過工程を行うことができ、大きさが互いに異なる篩を用いて小さい粒子と大きい粒子の微粒球をろ過して均一な大きさの微粒球を得ることができる。
【0064】
本発明の製造方法は、前記工程(d)、工程(d’)または工程(d”)の後、または前記ろ過および洗浄工程の後、得られた微粒球を通常の乾燥方法を用いて乾燥させて、最終的に乾燥した微粒球を得ることができる。
【0065】
上記の事項のほか、別途に定義されていないセマグルチド、生分解性高分子およびこれらの含有量をはじめとする事項はすべて前記薬学的組成物で定義された事項がそのまま適用可能である。
【0066】
本発明の製造方法によりセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩薬物が急激な一時的な放出なく、所望の期間有効濃度に維持されるセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐方型微粒球注射剤を製造することができる。また、投与能が良い均一な粒子のセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する徐方型微粒球注射剤を製造することができる。
【実施例】
【0067】
実施例
以下、本発明を下記の製造例によってさらに詳細に説明する。ただし、下記の製造例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0068】
[製造例]
実施例1-37および比較例1~4:セマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む生分解性高分子微粒球の製造
分散相は、生分解性高分子としてPLGAまたはPLAの中から選択される1種以上(商標名:Resomer(登録商標)、製造会社:Evonik、ドイツ)と、薬物としてセマグルチド(製造会社:Chengdu、中国)またはその薬学的に許容可能な塩(製造会社:G2GBIO、大韓民国)および放出調節剤をジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)と氷酢酸(製造会社:Daejeong、大韓民国)との混合溶媒(重量比約1.7:1)を表1に記載の組成で混合して製造した。分散相は30分以上撹拌して十分に溶解させた後に使用した。連続相は1%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相を直径20μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に、用意された分散相を注入してセマグルチドを含む生分解性高分子微細液滴が分散したエマルジョンを製造し、このようなエマルジョンは調製容器に入れて、200rpmの速度で撹拌した。
【0069】
メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持し、分散相の注入が終わると、本発明による組成物懸濁液の温度を45℃で3時間維持しながら有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が終わると前記懸濁液の温度を25℃に下げた。前記懸濁液を超純水で数回繰り返し洗浄して残留ポリビニルアルコールを除去し、得られた粒子形態の組成物を凍結乾燥した。
【0070】
【0071】
実施例38~実施例43:互いに異なる高分子を含む微粒球を2種以上含む製剤の製造
前記製造例で製造されたセマグルチドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む徐放性微粒球製剤を下記の表2のように混合して実施例38~43とした。
【0072】
【0073】
実験例1:微粒球内セマグルチド封入量の測定
製造例1~19で製造された微粒球のセマグルチドの封入量を測定するために、微粒球6mgをDMSOに完全に溶解させた後、移動相で希釈した。希釈した溶液20μLをHPLCに注入して、検出波長214nmで測定した。本実験例で活用したカラムはZORBAX 300SB-C18、5um、4.6x150mmであり、移動相は45%0.1%TFAアセトニトリル、55%0.1%TFA水溶液isocratic modeで使用した。測定された封入量を下記表3に示した。
【0074】
【0075】
実験例2:電子顕微鏡による微粒球の形態学的分析
製造された微粒球の形態学的特性を分析するために、走査電子顕微鏡観察を実施した。
【0076】
実施例4により製造された微粒球5mgをカーボンテープ付きアルミニウムスタブに載せて、ION-COATER(COXEM、Korea)を用いて白金コーティングした。アルミニウムスタブを走査電子顕微鏡(COXEM EM-30、Korea)に装着し、加速電圧15kVで微粒球の形態学特性を観察した。
図4は、前記徐放性生分解性高分子微粒球の電子顕微鏡撮影イメージである。
図5から確認できるように、本発明において、前記の微粒球の製造のために酢酸を共溶媒として使用するにかかわらず、比較的均一な粒度を有する完全な球状の微粒球が製造され、表面が滑らかであり、粒度が均一であることを確認することができた。
【0077】
実験例3:レーザ回折法を用いた微粒球の粒度分析
製造された微粒球の平均粒度、分布および均一性を定量的に測定するために実施した。実験手順は次の通りである。
【0078】
微粒球50mgを1mL超純水と混合して20秒間ボルテックスミキサーで混合した後、1分間超音波発生器に入れて分散させた。微粒球分散液を粒度分析装置(Microtrac Bluewave、Japan)に入れて20秒間測定した。
【0079】
粒度サイズ均一性の指標として、スパン値は、下記の数式1で求めた。
【0080】
[数1]
スパン値(Span Value)=(Dv,0.9-Dv,0.1)/Dv,0.5
【0081】
【0082】
実験例4:体外(in-vitro)初期溶出試験
セマグルチド徐放性微粒球の薬物伝達能力を評価するために、体外(in-vitro)でセマグルチド溶出試験を実施した。実験手順は次の通りである。
微粒球25mgと10mMリン酸緩衝液(pH7.4)6mlを8ml HDPE bottleに入れて、37℃でセッティングされたインキュベータに保管した。予め定めた時間ごとに1mlずつ取って、1分間13000rpmで遠心分離し、上澄液0.5mlを取って、HPLCに20μl注入した。この時、HPLCカラムおよび運用条件は実験例1のHPLC分析条件と同一である。結果を下記表5に示した。
【0083】
【0084】
前記表5の結果から確認できるように、連続相のpHが酸性条件の場合、相対的に高いpHである5.6の連続相を用いて製造した微粒球に比べて24時間以内の初期放出率が1/2程度と低いことを確認することができた。また、実施例6の微粒球の製造段階で連続相のpHおよびpH調節のための緩衝液の組成を異ならせて製造した実施例9~14の微粒球の体外初期溶出試験の結果、pHを調節していない実施例6の微粒球に比べて、24時間以内の初期放出率が60%~75%程度と減少したことを確認した。
【0085】
実験例6:ラットを用いた体内(in-vivo)薬物動態試験
本発明によるセマグルチド徐放性微粒球の体内薬物放出様相を評価するために、ラットに投薬後、血中のセマグルチド濃度を測定した。
【0086】
セマグルチド投与用量は12.0mg/kgとなるように微粒球を計測し、0.5mL懸濁液に分散させた後、SDラット(Sprague-Dawley Rat)に注射した。予め計画された時間ごとに0.5mL血液を採取し、HPLCを用いて血中内セマグルチド濃度を測定した。前記測定されたセマグルチドの血中薬物濃度の変化を
図1、
図2および
図4に、累積放出率を
図3に示した。
【0087】
前記
図1から確認できるように、本願発明の比較例1~3で製造されたセマグルチドを含む微粒球の場合、投与直後に非常に高い血中薬物濃度を示した後、投与後2~3週以内に薬物の放出が終わることを確認することができ、比較例4の微粒球は、低い初期放出後に2ヶ月間薬物がほとんど放出されない様相を示すことを確認することができた。
【0088】
これに対し、前記
図2は、本願発明の実施例1、実施例2および実施例4で製造されたセマグルチドを含む微粒球をラットに投与し、時間の経過による血中薬物濃度の変化を確認したもので、本願発明の実施例による高分子の組成により製造された微粒球の場合、比較例と比較して相対的に低い薬物の初期放出を示し、その後、1ヶ月以上持続的に薬物が放出されることを確認することができた。
【0089】
また、前記
図4は、本願発明の実施例4および実施例6~実施例8で製造されたセマグルチドを含む微粒球の投与後、時間の経過による血中薬物濃度の変化を確認したもので、実施例4に比べて、実施例6および微粒球の製造段階で連続相のpHを調節した実施例7および実施例8の場合、薬物の初期放出が顕著に減少する結果を確認することができた。
【0090】
前記
図3は、本願発明の実施例4および実施例6~実施例8の微粒球を投与した後、時間の経過による薬物の累積放出率の変化を確認したもので、本願発明の実施例による高分子の組成により製造された微粒球は、投与後5週以上薬物が持続的に放出されることを確認することができた。また、連続相のpHの調節による初期放出率が顕著に低く、投与後63日まで薬物が持続的に放出される結果を確認することができた。