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特許7548606三環系ピリミジノン類化合物、その製造方法、その組成物及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】三環系ピリミジノン類化合物、その製造方法、その組成物及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 498/14 20060101AFI20240903BHJP
   A61K 31/5383 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C07D498/14 CSP
A61K31/5383
A61P43/00 111
A61P25/28
A61P27/06
A61P9/00
A61P13/08
A61P9/10 101
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022580773
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 CN2021104826
(87)【国際公開番号】W WO2022007810
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】202010661516.6
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522130966
【氏名又は名称】上海紐思克生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】顧 正華
(72)【発明者】
【氏名】王 冬琴
(72)【発明者】
【氏名】胡 有洪
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-521456(JP,A)
【文献】特表2013-537203(JP,A)
【文献】特表2016-505058(JP,A)
【文献】特表2017-520613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 498/
A61K 31/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)
【化1】
式中、
、nはそれぞれ独立して、0、1又は2であり、
は、-Hアルキル基、重水素化アルキル基、重水素化アルコキシ基ハロアルキル基、ハロアルコキシ基アルコキシ基から選択され、
は、-Hハロゲン、アルキル基、重水素化アルキル基、重水素化アルコキシ基ハロアルキル基、ハロアルコキシ基アルコキシ基から選択され、
、Xはそれぞれ独立して、アルキレン基、又は-Oから選択され、
Arは、アリーレン基あり、前記アリーレン基おける水素原子は、1個又は複数個の置換基で置換されてもよく、前記置換基はそれぞれ独立して、ハロゲンら選択され、
Yは、-H、ハロゲン、又は-OAr’あり、
各Ar’はそれぞれ独立して、アリール基又はヘテロアリール基から選択され、前記アリール基又はヘテロアリール基における水素原子は、1個又は複数個の置換基で置換されてもよく、前記置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基ハロアルコキシ基、重水素化アルキル基、又は重水素化アルコキシ基ら選択され、
前記の「ハロゲン」、「ハロアルキル基」、「ハロアルコキシ基」に含まれるハロゲン原子はそれぞれ独立して、F、Cl、Br、又はIから選択され、
前記の「アルキル基」、「重水素化アルキル基」、「重水素化アルコキシ基」、「ハロアルキル基」、「ハロアルコキシ基」、「アルコキシ基」に含まれるアルキル基はそれぞれ独立して、C -C 10 直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、
前記「アルキレン基」はそれぞれ独立して、C -C 10 の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であり、
前記「アリール基」は、6~10員のアリール基であり、
前記「アリーレン基」は、6~10員のアリーレン基であり、
前記「ヘテロアリール基」の複素芳香環は、Nから選択されるヘテロ原子を環上に1~2個有する5~10員の複素芳香環である、
で示される化合物、その薬学的に許容される塩、又はそれらの互変異性体、メソ異性体、ラセミ異性体、ジアステレオ異性体、エナンチオ異性体、若しくはこれら異性体の混合物形態。
【請求項2】
前記の「アルキル基」、「重水素化アルキル基」、「重水素化アルコキシ基」、「ハロアルキル基」、「ハロアルコキシ基」、「アルコキシ基」に含まれるアルキル基はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、イソペンチル基、1-エチルプロピル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、イソヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、又は2,2,3-トリメチルブチル基であることを特徴とする請求項1に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
前記「アルキレン基」はそれぞれ独立して、C -C 直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であってもよく、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、t-ブチレン基、s-ブチレン基、n-ペンチレン基、1-メチルブチレン基、2-メチルブチレン基、3-メチルブチレン基、イソペンチレン基、1-エチルプロピレン基、ネオペンチレン基、n-ヘキシレン基、1-メチルペンチレン基、2-メチルペンチレン基、3-メチルペンチレン基、イソヘキシレン基、1,1-ジメチルブチレン基、2,2-ジメチルブチレン基、3,3-ジメチルブチレン基、1,2-ジメチルブチレン基、1,3-ジメチルブチレン基、2,3-ジメチルブチレン基、2-エチルブチレン基、n-ヘプチレン基、2-メチルヘキシレン基、3-メチルヘキシレン基、2,2-ジメチルペンチレン基、3,3-ジメチルペンチレン基、2,3-ジメチルペンチレン基、2,4-ジメチルペンチレン基、3-エチルペンチレン基、又は2,2,3-トリメチルブチレン基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
前記「アリール基」は、フェニル基、1-ナフチル基、又は2-ナフチル基であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
前記「アリーレン基」は、フェニレン基、又はナフチレン基であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
前記「ヘテロアリール基」はピリジン-2-イル基、ピリジン-3-イル基、ピリジン-4-イル基、ピリミジン-2-イル基、ピリミジン-4-イル基、又はピリミジン-5-イル基であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
は0又は1であ は1であ
、Rはそれぞれ独立して、-Hメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、イソペンチル基、1-エチルプロピル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、イソヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基2,2,3-トリメチルブチル基-CD、-C -C -OCD、-OC -OC -CF、-C -C -Cハロアルコキシ基、C-Cアルコキシ基から選択され
、Xはそれぞれ独立して、C-Cアルキレン基、又は-O-から選択され
Arは、フェニレン基であり、前記フェニレン基における水素原子は、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく、前記置換基はそれぞれ独立して、F、Cl、Br、Iから選択され、
Yは、-H、-F、-Cl、-Br、-又は-OAr’であり
r’は、フェニル基、ピリジル基、ピリミジル基、チエニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、又はキノリル基から選択されてもよく、前記フェニル基、ピリジル基、ピリミジル基、チエニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、又はキノリル基の環における水素原子はそれぞれ独立して、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく、前記置換基はそれぞれ独立して、F、Cl、Br、-CNメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、イソペンチル基、1-エチルプロピル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、イソヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基2,2,3-トリメチルブチル基-CD、-OCD -CF、-CHF、-CHF、-CHCF -OCH、-OC、-OC -OCF、-OCHF、-OCHF、-OCHCF から選択されことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
前記ヘテロアリール基は、ピリジン-2-イル基、ピリジン-3-イル基、ピリジン-4-イル基、ピリダジン-3-イル基、ピリダジン-4-イル基、ピリミジン-2-イル基、ピリミジン-4-イル基、ピリミジン-5-イル基、ピラジン-2-イル基、ピラジン-3-イル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、インドリジニル基、キノリジジニル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピロロ[2,3-b]ピリジル基、ピロロ[3,2-c]ピリジル基、ピロロ[3,2-b]ピリジル基、ピラゾロ[4,3-d]ピリジル基、ピラゾロ[4,3-c]ピリジル基、ピラゾロ[3,4-c]ピリジル基、ピラゾロ[3,4-d]ピリジル基、ピラゾロ[3,4-b]ピリジル基、ピラゾロ[1,5-a]ピリジル基、から選択されることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
は1であり、n は1であり、
は-Hであり、
は-Hであり、
は、-CH -、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、又はイソブチレン基、又は-O-であり、
は、-O-であり、
Arは、フェニレン基であり、前記フェニレン基における水素原子は、1個又は2個の置換基で置換されてもよく、前記置換基はFであり、
Yは、H、F、又は-OAr’であり、
Ar’はフェニル基であり、前記フェニル基における水素原子は、1個又は2個の置換基で置換されてもよく、前記置換基はFであることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
前記式(I)化合物は、下記の化合物
【化2(1)】
【化2(2)】
から選択される請求項1~のいずれか1項に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
前記薬学的に許容される塩は、式(I)化合物のアルカリ金属の塩、アルカリ土類金属の塩、又はアンモニウム塩を含み、前記アルカリ金属は、ナトリウム、カリウム、リチウム、又はセシウムを含み、前記アルカリ土類金属は、マグネシウム、カルシウム、又はストロンチウムを含むことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
前記薬学的に許容される塩は、式(I)化合物と有機塩基とで形成された塩を含み
前記有機塩基は、トリアルキルアミン、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、メチルピリジン、ジメチルアミノピリジン、ジメチルアニリン、N-アルキルモルホリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含んでもよく、前記トリアルキルアミンは、トリメチルアミン、トリエチルアミン、又はN-エチルジイソプロピルアミンを含み、前記N-アルキルモルホリンは、N-メチルモルホリンを含むことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
前記薬学的に許容される塩は、式(I)化合物と酸とで形成された塩を含み、
前記酸は、無機酸、又は有機酸を含み、前記無機酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、又は炭酸を含み、前記有機酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、枸櫞酸、酒石酸、炭酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、グルタミン酸、又はパモ酸を含むことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
下記の反応ルート
【化3】
各式において、n、n、R、R、X、X、Ar及びYの定義は請求項1~13のいずれか1項に記載されたとおりである、
を含むことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩の製造方法。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩の1種又は複数種と、存在してもよい薬学的に許容される補助剤とを含む医薬組成物であって、
前記医薬組成物の剤形は、経口製剤、直腸投与用製剤、又は非経口投与用製剤を含み、
前記経口製剤は、固体製剤、又は液体製剤を含
前記固体製剤は、錠剤、粉末剤、粒剤、又はカプセル剤を含
前記液体製剤は、水性もしくは油性の懸濁剤、又はシロップ剤を含
前記非経口投与用製剤は、注射用の溶液、又は水性もしくは油性の懸濁剤を含医薬組成物。
【請求項16】
Lp-PLA2阻害剤を製造するための、請求項1~13のいずれか1項に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩、或いは、請求項15に記載の医薬組成物の使用。
【請求項17】
神経変性関連疾患の治療薬を製造するための、請求項1~13のいずれか1項に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩、或いは、請求項15に記載の医薬組成物の使用であって、
前記神経変性関連疾患は、アルツハイマー病(AD)、緑内障、又は加齢黄斑変性症(AMD)を含、使用。
【請求項18】
心血管疾患、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、又は前立腺疾患の治療薬を製造するための、請求項1~13のいずれか1項に記載の式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩、或いは、請求項15に記載の医薬組成物の使用であって、
前記心血管疾患は、アテローム性動脈硬化症を含、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬分野に属し、詳しくは、三環系ピリミジノン類化合物、又はその互変異性体、メソ体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、エナンチオ異性体、或いはそれらの混合物形態、その製造方法、その組成物、及びその医薬での使用に関する。特に、本明細書は、一般式(I)で示される三環系ピリミジノン類誘導体、その製造方法及びこの誘導体を含有する医薬組成物、並びに、そのLpPLA2阻害剤としてのアルツハイマー病、緑内障、加齢黄斑変性症(AMD)などの神経変性疾患、或いは、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性黄斑浮腫の治療での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リポタンパク質に関連するホスホリパーゼA2(Lp-PLA2)は、ホスホリパーゼA2スーパーファミリーのメンバーである(Dennis EA,Cao J,Hsu YH,Magrioti V,Kokotos G.Chem Rev.2011,111,6130-6185)。主に、単球、マクロファージ、Tリンパ球、及び主細胞により分泌される(Stafforini DM,Elstad MR,McIntyre TM,Zimmerman GA,Prescott SM.J Biol Chem.1990,265:9682-9687;Nakajima K,Murakami M,Yanoshita R,Samejima Y,Karasawa K,Setaka M,Nojima S Kudo I.J Biol Chem.1997,272,19708-19713)。ホスファチジルコリンsn-2エステルは、低密度リポタンパク質(LDL)の酸化過程で生じるものであり、Lp-PLA2が酸化・修飾されたホスファチジルコリンsn-2エステルを加水分解して、酸化脂肪酸及びリゾホスファチジルコリン(LysoPC)を生じさせる役割を果す(Caslake MJ,Packard CJ,Suckling KE,Holmes SD,Chamberlain P,Macphee CH.Atherosclerosis.2000,150,413-419;MacPhee CH,Moores KE,Boyd HF,Dhanak D,Ife RJ,Leach CA,Leake DS,Milliner KJ,Patterson RA,Suckling KE,Tew DG,Hickey DM.Biochem J.1999,338,479-487)。酸化脂肪酸及びLysoPCはいずれも、マクロファージの活性化、酸化ストレスの増加、Tリンパ球機能への影響、及び炎症反応の誘発において作用する(Quinn MT,Parthasarathy S,Steinberg D.Proc Natl Acad Sci U S A.1988,85,2805-2809)。報告によると、LysoPCは、複数種の細胞毒性炎症性サイトカインの放出を誘発する(Shi,et al,Atherosclerosis,2007,191,54-62)。また、LysoPCは、白血球の活性化、アポトーシスの誘発、及び内皮機能障害の媒介にも関係する(Wilensky et al,Current Opinion in Lipidology,2009,20,415-420)。
【0003】
文献の報告によると、血漿におけるLp-PLA2レベルは、心血管疾患(Fitzpatrick AL,Irizarry MC,Cushman M,Jenny NS,Chi GC,Koro C.Atherosclerosis.2014,235,384-391)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)(Staurenghi G,Ye L,Magee MH,Danis RP,Wurzelmann J,Adamson P,McLaughlin MM,Darapladib DMESG.Ophthalmology.2015,122,990-996)、前立腺癌(Bertilsson H,Tessem MB,Flatberg A,Viset T,Gribbestad I,Angelsen A,Halgunset J.Clin Cancer Res.2012,18,3261-3269)に関係する。
【0004】
アルツハイマー病(AD)は、1種の慢性神経変性疾患であり、認知能力の低下、情緒不安定、不可逆的な記憶喪失、道順障害、言語障害、及び自己防衛能力の喪失を招くことがある(Hardy J,et al.Science 2002,297,353-356.)。アルツハイマー病は、通常、時間が経つのにつれてゆっくりと次第に悪化するものであり、60%~70%の認知症の原因であり、65歳以上の人口の約6%に影響を与えている。AD患者は、次第に家庭と社会から退き、ますます他人の助けを頼ることになり、最終的には死亡へと進展する。ADは、先進国では治療コストが最も高い疾患の一つであり、他の国でもコストが高い。特に、高齢化が重要な社会問題になっていくのに連れ、これらのコストが急激に増加する見込みである。無論、ADは、複雑で複数種の要因が関係する疾患である。ADの病因はまだ完全に解明されていないが、明らかに、凝集したtauタンパクとAβペプチド、酸化ストレス、及び神経炎症を含むいくつかの要因が疾患の発症と進展に関係する(Echeverria V,Yarkov A,Aliev G.Prog Neurobiol.2016,144,142-157)。現在のAD薬の研究開発は主に、Aβアミロイドーシス及びtauの標的に集中している(Chiang K,Koo EH.Annu Rev Pharmacol Toxicol.2014,54,381-405;Awasthi M,Singh S,Pandey VP,Dwivedi UN.J Neurol Sci.2016,361,256-271)。しかし、前臨床データは強いものの、後期臨床試験の結果ではまだ臨床効果が証明されていない。これらの失望的な結果は、ADへの治療が他の神経病理学的メカニズム、例えば、酸化ストレス及び神経炎症について探求する必要があることを示唆しているかもしれない。
【0005】
血漿におけるLp-PLA2レベルの上昇により、ADを含む認知症を罹患するリスクが増し(Van Oijen,et al.Annals of Neurology,2006,59、139)、AD患者では、血管性認知症と混合型認知症、及び高い酸化LDLレベルが発見されている(Maher-Edwards G,De’Ath J,Barnett C,Lavrov A,Lockhart A,Alzheimer’s & Dementia:Translational Research & Clinical Interventions.2015,1,131-140;Kassner et al.Current Alzheimer Research,2008,5,358-366;Dildar,et al.,Alzheimer Dis Assoc Disord,24,April-June(2010);Sinem,et al.Current Alzheimer Research,2010,7,463-469)。また、AD患者では、神経炎症及び上昇した複数種の炎症性サイトカインも発見されている(Colangelo,et al.,Journal of Neuroscience Research,2002,70,462-473;Wyss-Coray,Nature Medicine,2006,12,Sept.)。
【0006】
これらすべての発見に基づき、Lp-PLA2は、ADを治療する潜在的標的であり、そして、この点はLp-PLA2阻害剤RilapladibのAD患者に対する臨床結果によっても証明されている(Maher-Edwards G,De’Ath J,Barnett C,Lavrov A,Lockhart A,Alzheimer’s & Dementia:Translational Research & Clinical Interventions.2015,1,131-140)。
【0007】
緑内障及び加齢黄斑変性症(AMD)は、網膜神経変性疾患である。Buschiniらは、TNF-αシグナルを含む炎症が緑内障及びAMDの発病機構において重要な役割を果たす可能性があることを報告している(Buschini et al,Progress in Neurobiology,2011,95,14-25;Tezel,Progress in Brain Research,vol.173,ISSN0079-6123,Chapter 28)。なお、Shiらは、Lp-PLA2阻害剤が炎症性サイトカインの放出を遮断できることを実証している(Shi,et al,Atherosclerosis,2007,191,54-62)。Lp-PLA2への阻害は、緑内障及びAMDの潜在的な治療法である。
【0008】
Lp-PLA2阻害剤は、β-ラクタム(Tew DG,Boyd HF,Ashman S,Theobald C,Leach CA.Biochemistry.1998,37,10087-10093)、オキシム(Jeong TS,Kim MJ,Yu H,Kim HS,Choi JK,Kim SS,Lee WS.Bioorg Med Chem Lett.2005,15,1525-1527;Jeong HJ,Park YD,Park HY,Jeong IY,Jeong TS,Lee WS.Bioorg Med Chem Lett.2006,16,5576-5579)、キサンツレン酸のアミド(Lin EC,Hu Y,Amantea CM,Pham LM,Cajica J,Okerberg E,Brown HE,Fraser A,Du L,Kohno Y,Ishiyama J,Kozarich JW,Shreder KR.Bioorg Med Chem Lett.2012,22,868-871;Hu Y,Lin EC,Pham LM,Cajica J,Amantea CM,Okerberg E,Brown HE,Fraser A,Du L,Kohno Y,Ishiyama J,Kozarich JW,Shreder KR.Bioorg Med Chem Lett.2013,23,1553-1556.)、及びカーバメート(Nagano JM,Hsu KL,Whitby LR,Niphakis MJ,Speers AE,Brown SJ,Spicer T,Fernandez-Vega V,Ferguson J,Hodder P,Srinivasan P,Gonzalez TD,Rosen H,Bahnson BJ,Cravatt BF.Bioorg Med Chem Lett.2013,23,839-843)を含め、数多く報告されている。
【0009】
報告によると、Lp-PLA2阻害剤であるDarapladibは、アテローム性動脈硬化症及びDMEへの潜在的な治療法である(Magrioti V,Kokotos G.Expert Opin Ther Pat.2013;23:333-344)。
【発明の概要】
【0010】
本発明者は、Lp-PLA2阻害剤が、神経変性関連疾患、例えば、アルツハイマー病(AD)、緑内障、及び加齢黄斑変性症(AMD)、或いは、アテローム性動脈硬化症などを含む心血管疾患の治療において重要な役割を果たしていることを見出した。このことに基づき、本発明者は、斬新なLp-PLA2阻害剤である三環系ピリミジノン類化合物の開発に取り組んだ。
【0011】
この三環系ピリミジノン類化合物は、式(I)で示される構造を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【化1】
【0012】
式中、
、nはそれぞれ独立して、0、1又は2であり、
は、-H、シアノ基、アルキル基、重水素化アルキル基、重水素化アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキル基、アルコキシ基から選択され、
は、-H、シアノ基、ハロゲン、アルキル基、重水素化アルキル基、重水素化アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキル基、アルコキシ基から選択され、
、Xはそれぞれ独立して、アルキレン基、-O-、-S-、又は-NR’-から選択され、
R’は、-H、アルキル基、重水素化アルキル基、又はシクロアルキル基から選択され、
Arは、アリーレン基又はヘテロアリーレン基であり、前記アリーレン基又はヘテロアリーレン基における水素原子は、1個又は複数個の置換基で置換されてもよく、前記置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、アルキル基、重水素化アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、重水素化アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、モノアルキル基もしくはジアルキル基で置換されたアミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルデヒド基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基から選択され、
Yは、-H、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキル基、アルコキシ基、重水素化アルキル基、重水素化アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、-OAr’、-SAr’、-NR’’-Ar’、-NR’’R’’、又は-R’’’-Ar’であり、
各Ar’はそれぞれ独立して、アリール基又はヘテロアリール基から選択され、前記アリール基又はヘテロアリール基における水素原子は、1個又は複数個の置換基で置換されてもよく、前記置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、ハロアルコキシ基、重水素化アルキル基、重水素化アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルデヒド基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基から選択され、
各R’’はそれぞれ独立して、H、アルキル基、又はシクロアルキル基であり、
R’’’は、アルキレン基である。
【0013】
好ましくは、前記の「ハロゲン」、「ハロアルキル基」、「ハロアルコキシ基」に含まれるハロゲン原子はそれぞれ独立して、F、Cl、Br、又はIから選択され、
前記の「アルキル基」、「重水素化アルキル基」、「重水素化アルコキシ基」、「ヒドロキシアルキル基」、「ハロアルキル基」、「ハロアルコキシ基」、「アルコキシ基」、「モノアルキル基もしくはジアルキル基で置換されたアミノ基」に含まれるアルキル基はそれぞれ独立して、C-C10直鎖又は分岐鎖のアルキル基であってもよく、C-C直鎖又は分岐鎖のアルキル基であってもよく、C-C直鎖又は分岐鎖のアルキル基であってもよく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、イソペンチル基、1-エチルプロピル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、イソヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、又は2,2,3-トリメチルブチル基から選択されてもよく、
前記「アルキレン基」はそれぞれ独立して、C-C10の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であってもよく、C-C直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であってもよく、C-C直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であってもよく、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、t-ブチレン基、s-ブチレン基、n-ペンチレン基、1-メチルブチレン基、2-メチルブチレン基、3-メチルブチレン基、イソペンチレン基、1-エチルプロピレン基、ネオペンチレン基、n-ヘキシレン基、1-メチルペンチレン基、2-メチルペンチレン基、3-メチルペンチレン基、イソヘキシレン基、1,1-ジメチルブチレン基、2,2-ジメチルブチレン基、3,3-ジメチルブチレン基、1,2-ジメチルブチレン基、1,3-ジメチルブチレン基、2,3-ジメチルブチレン基、2-エチルブチレン基、n-ヘプチレン基、2-メチルヘキシレン基、3-メチルヘキシレン基、2,2-ジメチルペンチレン基、3,3-ジメチルペンチレン基、2,3-ジメチルペンチレン基、2,4-ジメチルペンチレン基、3-エチルペンチレン基、又は2,2,3-トリメチルブチレン基から選択されてもよく、
前記「シクロアルキル基」は、C-C10単環式又は二環式のシクロアルキル基であってもよく、C-C単環式シクロアルキル基であってもよく、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、又はシクロヘプチル基であってもよく、
前記「ヘテロシクリル基」の複素環は、N、O、Sから選択されるヘテロ原子を環上に1個、2個又は3個有する3~10員の非芳香族複素環であってもよく、前記複素環は、N、Oから選択されるヘテロ原子を環上に1個又は2個有する3~10員の非芳香環であってもよく、前記複素環は、N、Oから選択されるヘテロ原子を環上に1個又は2個有する3~6員の非芳香環であってもよく、前記複素環は、N、Sから選択されるヘテロ原子を環上に1個又は2個有する3~10員の非芳香環であってもよく、前記複素環は、N、Sから選択されるヘテロ原子を環上に1個又は2個有する3~6員の非芳香環であってもよく、
前記「アリール基」は、6~10員のアリール基であってもよく、フェニル基、又はナフチル基から選択されてもよく、フェニル基、1-ナフチル基、又は2-ナフチル基から選択されてもよく、
前記「アリーレン基」は、6~10員の基であってもよく、フェニレン基、又はナフチレン基から選択されてもよく、
前記「ヘテロアリール基」の複素芳香環は、N、O及びSから選択されるヘテロ原子を環上に1~3個有する5~10員の複素芳香環であってもよく、前記複素芳香環は、N、O及びSから選択されるヘテロ原子を環上に1~2個有する5~10員の複素芳香環であってもよく、前記複素芳香環は、ピリジン環、ピロール環、ピラゾール環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、チオフェン環、又はフラン環から選択されてもよく、前記ヘテロアリール基は、ピリジン-2-イル基、ピリジン-3-イル基、ピリジン-4-イル基、ピリダジン-3-イル基、ピリダジン-4-イル基、ピリミジン-2-イル基、ピリミジン-4-イル基、ピリミジン-5-イル基、ピラジン-2-イル基、ピラジン-3-イル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、インドリジニル基、プリニル基、キノリジジニル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キナゾリル基、キノキサリニル基、チエノ[2,3-b]フリル基、フロ[3,2-b]-ピラニル基、ピリド[2,3-d]オキサジニル基、ピラゾロ[4,3-d]オキサゾリル基、イミダゾ[4,5-d]チアゾリル基、ピラジノ[2,3-d]ピリダジニル基、イミダゾ[2,1-b]チアゾリル基、イミダゾ[1,2-b][1,2,4]トリアジニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキシゲニル基、ベンゾオキサジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾトリアゾリル基、ピロロ[2,3-b]ピリジル基、ピロロ[3,2-c]ピリジル基、ピロロ[3,2-b]ピリジル基、イミダゾ[4,5-b]ピリジル基、イミダゾ[4,5-c]ピリジル基、ピラゾロ[4,3-d]ピリジル基、ピラゾロ[4,3-c]ピリジル基、ピラゾロ[3,4-c]ピリジル基、ピラゾロ[3,4-d]ピリジル基、ピラゾロ[3,4-b]ピリジル基、イミダゾ[1,2-a]ピリジル基、ピラゾロ[1,5-a]ピリジル基、ピロロ[1,2-b]ピリダジニル基、イミダゾ[1,2-c]ピリミジル基、ピリド[3,2-d]ピリミジル基、ピリド[4,3-d]ピリミジル基、ピリド[3,4-d]ピリミジル基、ピリド[2,3-d]ピリミジル基、ピリド[2,3-b]ピラジニル基、ピリド[3,4-b]ピラジニル基、ピリミド[5,4-d]ピリミジル基、ピラゾロ[2,3-b]ピラジニル基、又はピリミド[4,5-d]ピリミジル基から選択されてもよく、ピリジン-2-イル基、ピリジン-3-イル基、ピリジン-4-イル基、ピリミジン-2-イル基、ピリミジン-4-イル基、又はピリミジン-5-イル基から選択されてもよく、
前記ヘテロアリーレン基のイリデン複素芳香環は、N、O及びSから選択されるヘテロ原子を環上に1~3個有する5~10員のイリデン複素芳香環であってもよく、前記イリデン複素芳香環は、N、O及びSから選択されるヘテロ原子を環上に1~2個有する5~10員のイリデン複素芳香環であってもよく、前記イリデン複素芳香環は、ピリジリデン環、ピロリジリデン環、ピラゾジリデン環、ピリミジリデン環、ピラジリデン環、ピリダジリデン環、チエニリデン環、又はフリリデン環から選択されてもよい。
【0014】
好ましくは、前記式(I)で示される化合物は、その互変異性体、メソ体、ラセミ体、ジアステレオ異性体、エナンチオ異性体、又はこれら異性体の混合物形態である。
【0015】
好ましくは、n、nはそれぞれ独立して、0、1又は2である。
【0016】
好ましくは、nは0又は1であり、nは1であってもよく。
【0017】
好ましくは、nは1である。
【0018】
好ましくは、R、Rはそれぞれ独立して、-H、C-Cヒドロキシアルキル基(例えば、-CHOH、-CHCHOH)、シアノ基、C-Cアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、イソペンチル基、1-エチルプロピル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、イソヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、又は2,2,3-トリメチルブチル基)、C-C重水素化アルキル基(例えば、-CD、-C、又は-C)、C-C重水素化アルコキシ基(例えば、-OCD、-OC、又は-OC)、C-Cハロアルキル基(例えば、-CF、-C、-C)、C-Cハロアルコキシ基、C-Cアルコキシ基、シクロプロピル基、シクロブチル基、又はシクロペンチル基から選択され、Rは-H、-CH又は-Cであってもよく、Rは-Hであってもよく、Rは-Hであってもよく、
、Xはそれぞれ独立して、C-Cアルキレン基、-O-、-S-、又は-NR’-から選択されてもよく、XはC-Cアルキレン基(-CH-、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、又はイソブチレン基から選択されてもよい)、-O-、又は-S-であってもよく、Xは、C-Cアルキレン基(-CH-、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、又はイソブチレン基から選択されてもよい)、又は-O-であってもよく、Xは-CH-又は-O-であってもよく、Xは-O-であってもよく、Xは-O-又は-S-であってもよく、Xは-O-であってもよく、
R’は、-H、C-Cアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、イソペンチル基、1-エチルプロピル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、イソヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1、2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基又は2,2,3-トリメチルブチル基)、重水素化アルキル基(-CD、-C、又は-Cから選択されてもよい)、又はC-Cシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、又はシクロヘキシル基)から選択されてもよく、
Arは、フェニレン基又はピリジレン基であってもよく、前記フェニレン基又はピリジレン基における水素原子は、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく、前記置換基はそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、-CN、-Me、-CF、-C、-C、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、-CD、-OCD、-OMe、又は-OCFから選択され、
Arは、アリーレン基であってもよく、Arは、フェニレン基であってもよく、前記フェニレン基における水素原子は、1個又は2個の置換基で置換されてもよく、前記置換基はハロゲンであり、前記置換基は、Fであってもよく、
Yは、-H、-F、-Cl、-Br、-I、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、-CD、-OCD、-CF、-CHF、-CHF、-CHCF、-OCF、-OCHF、-OCHF、シクロプロピル基、-シクロブチル基、-シクロペンチル基、シクロヘキシル基、-OCH、-OC、-OC、又は-OAr’であってもよく、
Yは、H、ハロゲン、又は-OAr’であってもよく、Yは、H、-F、又は-OAr’であってもよく、
各Ar’はそれぞれ独立して、フェニル基、ピリジル基、ピリミジル基、チエニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、又はキノリル基から選択されてもよく、前記フェニル基、ピリジル基、ピリミジル基、チエニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、又はキノリル基の環における水素原子はそれぞれ独立して、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく、前記置換基はそれぞれ独立して、F、Cl、Br、-CN、C-Cアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、イソペンチル基、1-エチルプロピル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、イソヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、又は2,2,3-トリメチルブチル基から選択されてもよい)、-CD、-OCD、C-Cハロアルキル基(例えば、-CF、-CHF、-CHF、-CHCF)、-OCH、-OC、-OC、C-Cハロアルコキシ基(例えば、-OCF、-OCHF、-OCHF、-OCHCF)、ヒドロキシル基、C-Cヒドロキシアルキル基(例えば、-CHOH、-CHCHOH)、シアノ基、又はC-Cシクロアルキル基(シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基から選択されてもよい)から選択される。
【0019】
好ましくは、前記式(I)化合物、又はその薬学的に許容される塩において、前記式(I)化合物は、下記の化合物から選択される。
【化2(1)】
【化2(2)】
【0020】
好ましくは、前記薬学的に許容される塩は、式(I)化合物のアニオン塩又はカチオン塩を含み、
前記薬学的に許容される塩は、式(I)化合物のアルカリ金属の塩、アルカリ土類金属の塩、又はアンモニウム塩を含んでもよく、好ましくは、前記アルカリ金属は、ナトリウム、カリウム、リチウム、又はセシウムを含み、前記アルカリ土類金属は、マグネシウム、カルシウム、又はストロンチウム含み、
前記薬学的に許容される塩は、式(I)化合物と有機塩基とで形成された塩を含んでもよく、
前記有機塩基は、トリアルキルアミン、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、メチルピリジン、ジメチルアミノピリジン、ジメチルアニリン、N-アルキルモルホリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含んでもよく、前記トリアルキルアミンは、トリメチルアミン、トリエチルアミン、又はN-エチルジイソプロピルアミンを含んでもよく、前記N-アルキルモルホリンは、N-メチルモルホリンを含んでもよく、
前記薬学的に許容される塩は、式(I)化合物と酸とで形成された塩を含んでもよく、
前記酸は、無機酸、又は有機酸を含んでもよく、前記無機酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、又は炭酸を含んでもよく、前記有機酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、枸櫞酸、酒石酸、炭酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、グルタミン酸、又はパモ酸を含んでもよいことを特徴とする前記式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0021】
別の局面では、下記の反応ルートを含むことを特徴とする式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩の製造方法を提供し、
【化3】
上記製造方法の各式において、n、n、R、R、X、X、Ar及びYの定義は上述したとおりである。
【0022】
上記各反応の具体的な反応条件は特に制限されておらず、従来の通常の反応条件又は工程を用いても良い。
【0023】
別の局面では、治療有効用量の上記式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩の1種又は複数種と、存在してもよい薬学的に許容される補助剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0024】
好ましくは、前記医薬組成物の剤形は、経口製剤、直腸投与用製剤、又は非経口投与用製剤を含み、
前記経口製剤は、固体製剤、又は液体製剤を含んでもよく、
前記固体製剤は、錠剤、粉末剤、粒剤、又はカプセル剤を含んでもよく、
前記液体製剤は、水性又は油性の懸濁剤、又はシロップ剤を含んでもよく、
前記非経口投与用製剤は、注射用の溶液、又は水性もしくは油性の懸濁剤を含んでもよい。
【0025】
別の局面では、Lp-PLA2阻害剤を製造するための、上記式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩、或いは、上記医薬組成物の使用を提供する。
【0026】
別の局面では、神経変性関連疾患の治療薬を製造するための、上記式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩、或いは、上記医薬組成物の使用を提供し、前記神経変性関連疾患は、アルツハイマー病(AD)、緑内障、加齢黄斑変性症(AMD)を含んでもよい。
【0027】
別の局面では、心血管疾患、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、又は前立腺疾患の治療薬を製造するための、上記式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩、或いは、上記医薬組成物の使用を提供し、前記心血管疾患は、アテローム性動脈硬化症を含んでもよい。
【0028】
有利な効果:
式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩は、三環系ピリミジノン類化合物であり、斬新なLp-PLA2阻害剤である。神経変性関連疾患、例えば、アルツハイマー病(AD)、緑内障、及び加齢黄斑変性症(AMD)、或いは、アテローム性動脈硬化症などを含む心血管疾患、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、或いは、前立腺疾患などの治療に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、実施例によって本発明について更に説明する。ここの実施例は本発明を例示的に説明するものに過ぎず、本発明を制限するものではない、と理解すべきである。
【0030】
本発明の出発原料は、当業界で周知の方法を採用・準拠して合成してもよく、ABCR GmbH & Co.KG、Acros Organics、Aldrich Chemical Company、韶遠化学科技(Accela ChemBio Inc)、達瑞化学品などの会社から購入してもよい。
【0031】
実施例において特に断りがない限り、溶液とは、水溶液を指す。
【0032】
実施例において特に断りがない限り、反応の温度は室温であり、例えば20℃~30℃である。
【0033】
実施例1 化合物1の調製
【化4】
【化5】
ステップ1:化合物1cの調製
【化6】
0℃で1a(300mg、1.79mmol)、1b(360mg、1.96mmol)を、2mLのアセトニトリルに溶解して、DIPEA(0.6ml、5.37mmol)を加えて、室温で1時間撹拌して反応させた後、減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物1cを得た(220mg、収率:44.2%)。
【0034】
ステップ2、3:化合物1eの調製
【化7】
0℃でMsCl(0.07mL、0.87mmol)及び1c(220mg、0.79mmol)を、8mLのジクロロメタンに溶解して、トリエチルアミン(0.33mL、2.37mmol)を加えて、室温で1時間撹拌して反応させ、反応液を減圧濃縮して、そのまま次の反応を行った。前工程の粗製品を2mLのジオキサン/水(3:1)に溶解して、室温で炭酸カリウム(327mg、2.37mmol)を加えて、100℃で3時間撹拌して反応させ、減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物1eを得た(147mg、77%)。
【0035】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 5.69(s,1H),4.39(m,1H),3.99(m,1H),3.96(m,1H),3.61-3.58(m,3H),3.53(m,1H),3.35-3.25(m,2H),2.18(m,1H),1.72(m,1H).MS(ESI):m/z 242.0[M+H]
【0036】
ステップ4:化合物1の調製
【化8】
(3,4,5-トリフルオロフェニル)メタノール1f(39mg、0.24mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物1e(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物1を得た(9.7mg、12.0%)。
【0037】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.30(m,2H),5.42(s,2H),5.21(s,1H),4.33(m,1H),4.01(m,1H),3.94(m,1H),3.72(m,1H),3.62-3.56(m,2H),3.51(m,1H),3.32-3.25(m,2H),2.15(m,1H),1.72(m,1H).MS(ESI):m/z 368.1[M+H]
【0038】
実施例2 化合物2の調製
【化9】
(2,3-ジフルオロフェニル)メタノール(35mg、0.24mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物1e(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物2を得た(11.5mg、15%)。
【0039】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.49(m,1H),6.94-6.80(m,2H),5.42(s,2H),5.22(s,1H),4.34(m,1H),4.01(m,1H),3.93(m,1H),3.71(m,1H),3.63-3.57(m,2H),3.52(m,1H),3.33-3.25(m,2H),2.17(m,1H),1.73(m,1H).MS(ESI):m/z 350.1[M+H]
【0040】
実施例3 化合物3の調製
【化10】
(2,4,5-トリフルオロフェニル)メタノール(39mg、0.24mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物1e(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物3を得た(14.5mg、18%)。
【0041】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.30(m,1H),6.92(m,1H),5.41(s,2H),5.23(s,1H),4.32(m,1H),4.00(m,1H),3.94(m,1H),3.71(m,1H),3.63-3.56(m,2H),3.52(m,1H),3.34-3.25(m,2H),2.16(m,1H),1.72(m,1H).MS(ESI):m/z 368.1[M+H]
【0042】
実施例4 化合物4の調製
【化11】
【化12】
ステップ1:化合物4cの調製
室温下、2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-オール4b(0.85g、5.2mmol)、3,4,5-トリフルオロベンズアルデヒド4a(1g、6.2mmol)及び炭酸カリウム(0.93g、6.76mmol)を、30mL N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、90℃で1時間撹拌して反応させ、室温まで冷却した後、100mLの氷水を注いで、酢酸エチルで抽出し(50mL×3)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)で精製して、黄色固体生成物4cを得た(1.47g、収率:93.2%)。
【0043】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 9.97(s,1H),8.65(m,1H),7.63(m,2H),7.27(m,1H),7.01(m,1H)。
【0044】
ステップ2:化合物4dの調製
室温下、3,5-ジフルオロ-4-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)オキシ)ベンズアルデヒド4c(1.47g、4.85mmol)を、50mLエタノールに溶解して、0℃でNaBH(184mg、4.85mmol)を加えて、室温で0.5時間撹拌して反応させ、減圧濃縮して、水を加えて、酢酸エチルで抽出し(100mL×2)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=2/1)で精製して、白色固体生成物4dを得た(1.04g、収率:70.3%)。
【0045】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.59(m,1H),7.24(m,1H),7.11(m,2H),6.99(m,1H),4.75(m,2H),2.19(m,1H)。
【0046】
ステップ3:化合物4の調製
(3,5-ジフルオロ-4-((2-(トリフルオロメチルピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)メタノール4d(67mg、0.22mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物1e(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物4を得た(18mg、16%)。
【0047】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.60(m,1H),7.25(m,1H),7.12(m,2H),6.98(m,1H),5.41(s,2H),5.22(s,1H),4.32(m,1H),4.00(m,1H),3.93(m,1H),3.73(m,1H),3.63-3.56(m,2H),3.51(m,1H),3.31-3.25(m,2H),2.16(m,1H),1.73(m,1H).MS(ESI):m/z 511.1[M+H]
【0048】
実施例5 化合物5の調製
【化13】
【化14】
【0049】
ステップ1:化合物5bの調製
室温下、2-メチルピリジン-4-オール5a(0.5g、4.6mmol)、3,4,5-トリフルオロベンズアルデヒド4a(0.88g、5.5mmol)及び炭酸カリウム(0.823g、5.95mmol)を、30mL N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、90℃で2時間撹拌して反応させ、室温まで冷却した後、100mLの氷水を注いで、酢酸エチルで抽出し(50mL×3)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製して、黄色固体生成物5bを得た(0.4g、収率:34.9%)。
【0050】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 9.94(s,1H),8.39(m,1H),7.62-7.56(m,2H),6.70-6.66(m,2H),2.52(s,3H)。
【0051】
ステップ2:化合物5cの調製
室温下、3,5-ジフルオロ-4-((2-メチルピリジン-4-イル)オキシ)ベンズアルデヒド5b(0.4g、1.6mmol)を、50mLメタノールに溶解して、0℃でNaBH(71mg、1.86mmol)を加えて、室温で0.5時間撹拌して反応させ、減圧濃縮して、水を加えて、酢酸エチルで抽出し(100mL×2)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=4/1)で精製して、無色油状生成物5cを得た(0.40g、収率:99%)。
【0052】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.29(m,1H),7.07(m,2H),6.70-6.64(m,2H),4.73(s,2H),3.20(m,1H),2.50(s,3H)。
【0053】
ステップ3:化合物5の調製
(3,5-ジフルオロ-4-((2-メチル)ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)メタノール5c(55mg、0.22mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物1e(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体目的生成物5を得た(10mg、10%)。
【0054】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.35(m,1H),7.12(m,2H),6.72-6.65(m,2H),5.42(s,2H),5.22(s,1H),4.33(m,1H),4.02(m,1H),3.94(m,1H),3.73(m,1H),3.65-3.56(m,2H),3.52(m,1H),3.33-3.25(m,2H),2.51(s,3H),2.17(m,1H),1.73(m,1H).MS(ESI):m/z 457.1[M+H]
【0055】
実施例6 化合物6の調製
【化15】
【化16】
【0056】
ステップ1:化合物6bの調製
室温下、6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オール6a(0.85g、5.2mmol)、3,4,5-トリフルオロベンズアルデヒド4a(1g、6.2mmol)及び炭酸カリウム(0.93g、6.76mmol)を、30mL N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、90℃で1時間撹拌して反応させ、室温まで冷却した後、100mLの氷水を注いで、酢酸エチルで抽出し(50mL×3)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)で精製して、黄色固体生成物6bを得た(1.34g、収率:84.6%)。
【0057】
ステップ2:化合物6c化合物の調製
室温下、3,5-ジフルオロ-4-((6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンズアルデヒド6b(1.34g、4.4mmol)を、50mLメタノールに溶解して、0℃でNaBH(167mg、4.4mmol)を加えて、室温で0.5時間撹拌して反応させ、減圧濃縮して、水を加えて、酢酸エチルで抽出し(100mL×2)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=2/1)で精製して、無色油状生成物6cを得た(0.77g、収率:57.4%)。
【0058】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.46(s,1H),7.63(m,1H),7.30(m,1H),7.09(m,2H),4.73(m,2H),2.40(m,1H)。
【0059】
ステップ3:化合物6の調製
(3,5-ジフルオロ-4-((6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)オキシ)フェニル)メタノール6c(67mg、0.22mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、17mg、0.42mmol)を加えて、室温で20分間撹拌して反応させた後、化合物1e(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物6を得た(24.7mg、収率:22%)。
【0060】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.51(m,1H),7.63(m,1H),7.30(m,1H),7.11(m,2H),5.41(s,2H),5.21(s,1H),4.33(m,1H),4.00(m,1H),3.93(m,1H),3.75(m,1H),3.63-3.56(m,2H),3.52(m,1H),3.31-3.25(m,2H),2.16(m,1H),1.75(m,1H).MS(ESI):m/z 511.0[M+H]
【0061】
実施例7 化合物7の調製
【化17】
【化18】
【0062】
ステップ1:化合物7bの調製
室温下、6-メチルピリジン-3-オール7a(0.57g、5.2mmol)、3,4,5-トリフルオロベンズアルデヒド4a(1g、6.2mmol)及び炭酸カリウム(0.93g、6.76mmol)を、30mL N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、90℃で1時間撹拌して反応させ、室温まで冷却した後、100mLの氷水を注いで、酢酸エチルで抽出し(50mL×3)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製して、黄色固体生成物7bを得た(0.91g、収率:69.2%)。
【0063】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 9.92(s,1H),8.28(s,1H),7.62-7.49(m,2H),7.18-7.10(m,2H),2.54(s,3H)。
【0064】
ステップ2:化合物7cの調製
室温下、3,5-ジフルオロ-4-((6-メチルピリジン-3-イル)オキシ)ベンズアルデヒド7b(0.91g、3.6mmol)を、50mLメタノールに溶解して、0℃でNaBH4(161mg、4.3mmol)を加えて、室温で0.5時間撹拌して反応させ、減圧濃縮して、水を加えて、酢酸エチルで抽出し(100mL×2)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=4/1)で精製して、無色油状生成物7cを得た(0.89g、収率:98.4%)。
【0065】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.20(m,1H),7.16-6.98(m,4H),4.69(m,2H),2.88(m,1H),2.50(s,3H)。
【0066】
ステップ3:化合物7の調製
(3,5-ジフルオロ-4-((6-メチルピリジン-3-イル)オキシ)フェニル)メタノール7c(56mg、0.22mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物1e(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物7を得た(20mg、20%)。
【0067】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.28(m,1H),7.12(m,4H),5.42(s,2H),5.21(s,1H),4.34(m,1H),4.01(m,1H),3.95(m,1H),3.73(m,1H),3.65-3.56(m,2H),3.51(m,1H),3.35-3.25(m,2H),2.50(s,3H),2.17(m,1H),1.73(m,1H).MS(ESI):m/z 457.0[M+H]
【0068】
実施例8 化合物8の調製
【化19】
【化20】
【0069】
ステップ1:化合物8bの調製
室温下、2-メチルピリミジン-5-オール8a(0.25g、2.3mmol)、3,4,5-トリフルオロベンズアルデヒド4a(0.44g、2.8mmol)及び炭酸カリウム(0.41g、2.9mmol)を、30mL N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、90℃で2時間撹拌して反応させ、冷却した後に100mLの氷水を注いで、酢酸エチルで抽出し(50mL×3)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製して、黄色固体生成物8bを得た(0.24g、収率:41.7%)。
【0070】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 9.93(s,1H),8.39(s,2H),7.64-7.54(m,2H),2.72(s,3H)。
【0071】
ステップ2:化合物8cの調製
室温下、3,5-ジフルオロ-4-((2-メチルピリミジン-5-イル)オキシ)ベンズアルデヒド8b(0.24g、0.96mmol)を、50mLメタノールに溶解して、0℃でNaBH(30mg、0.79mmol)を加えて、室温で0.5時間撹拌して反応させ、減圧濃縮して、水を加えて、酢酸エチルで抽出し(100mL×2)、有機相を合併して、塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=4/1)で精製して、無色油状生成物8cを得た(0.17g、収率:70.2%)。
【0072】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.33(s,2H),7.04(m,2H),4.71(m,2H),2.70(s,3H)。
【0073】
ステップ3:化合物8の調製
(3,5-ジフルオロ-4-((2-メチルピリミジン-5-イル)オキシ)フェニル)メタノール8c(56mg、0.22mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物1e(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物8を得た(13mg、13%)。
【0074】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.34(s,2H),7.10(m,2H),5.44(s,2H),5.23(s,1H),4.34(m,1H),4.02(m,1H),3.93(m,1H),3.73(m,1H),3.64-3.56(m,2H),3.53(m,1H),3.34-3.25(m,2H),2.71(s,3H),2.18(m,1H),1.73(m,1H).MS(ESI):m/z 458.0[M+H]
【0075】
実施例9 化合物9の調製
【化21】
【化22】
【0076】
ステップ1:化合物9bの調製
室温下、3-(トリフルオロメチル)フェノール9a(1g、6.2mmol)、3,4,5-トリフルオロベンズアルデヒド4a(1.09g、6.8mmol)及び炭酸カリウム(1.1g、8.02mmol)を、30mL N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、90℃で2時間撹拌して反応させ、冷却した後に100mLの氷水を注いで、酢酸エチルで抽出し(50mL×3)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製して、黄色固体生成物9bを得た(1.7g、収率:90.7%)。
【0077】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 9.94(s,1H),7.63-7.55(m,2H),7.46(m,1H),7.39(m,1H),7.21(s,1H),7.13(m,1H)。
【0078】
ステップ2:化合物9cの調製
室温下、3,5-ジフルオロ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ベンズアルデヒド9b(1.7g、5.6mmol)を、50mLメタノールに溶解して、0℃でNaBH(213mg、5.6mmol)を加えて、室温で0.5時間撹拌して反応させ、減圧濃縮して、水を加えて、酢酸エチルで抽出し(100mL×2)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=4/1)で精製して、無色油状生成物9cを得た(1.27g、収率:74.5%)。
【0079】
ステップ3:化合物9の調製
(3,5-ジフルオロ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニル)メタノール9c(73mg、0.24mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物1e(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物9を得た(8.4mg、7.5%)。
【0080】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.42(m,1H),7.31(m,1H),7.18(s,1H),7.10(m,3H),5.41(s,2H),5.21(s,1H),4.33(m,1H),4.01(m,1H),3.93(m,1H),3.72(m,1H),3.64-3.56(m,2H),3.53(m,1H),3.35-3.25(m,2H),2.16(m,1H),1.72(m,1H).MS(ESI):m/z 510.0[M+H]
【0081】
実施例10 化合物10の調製
【化23】
【化24】
【0082】
ステップ1:化合物10bの調製
室温下、3-(トリフルオロメトキシ)フェノール10a(0.50g、2.8mmol)、3,4,5-トリフルオロベンズアルデヒド4a(0.5g、3.1mmol)及び炭酸カリウム(0.5g、3.64mmol)を、30mL N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、90℃で2時間撹拌して反応させ、冷却した後に100mLの氷水を注いで、酢酸エチルで抽出し(50mL×3)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製して、黄色固体生成物10bを得た(0.73g、収率:91.8%)。
【0083】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 9.94(s,1H),7.64-7.54(m,2H),7.34(m,1H),7.00(m,1H),6.87(m,2H)。
【0084】
ステップ2:化合物10cの調製
室温下、4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)-3,5-ジフルオロベンズアルデヒド10b(0.73g、2.3mmol)を、50mLメタノールに溶解して、0℃でNaBH4(86mg、2.28mmol)を加えて、室温で0.5時間撹拌して反応させ、減圧濃縮して、水を加えて、酢酸エチルで抽出し(100mL×2)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=4/1)で精製して、無色油状生成物10cを得た(0.57g、収率:77.4%)。
【0085】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.30(m,1H),7.06(m,2H),6.94(m,1H),6.85(m,1H),6.81(s,1H),4.72(m,2H),1.94(m,1H)。
【0086】
ステップ3:化合物10の調製
4-(3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニル)メタノール10c(70mg、0.22mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物1e(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物10を得た(8.1mg、7.0%)。
【0087】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.28(m,1H),7.08(m,2H),6.91(m,1H),6.88-6.78(m,2H),5.42(s,2H),5.21(s,1H),4.34(m,1H),4.01(m,1H),3.94(m,1H),3.72(m,1H),3.65-3.56(m,2H),3.53(m,1H),3.34-3.25(m,2H),2.18(m,1H),1.74(m,1H)MS(ESI):m/z 526.0[M+H]
【0088】
実施例11 化合物11の調製
【化25】
【化26】
【0089】
ステップ1:化合物11bの調製
室温下、4-(トリフルオロメチル)フェノール11a(0.84g、5.2mmol)、3,4,5-トリフルオロベンズアルデヒド4a(1g、6.2mmol)及び炭酸カリウム(0.93g、6.76mmol)を、30mL N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、90℃で1時間撹拌して反応させ、室温まで冷却して100mLの氷水を注いで、酢酸エチルで抽出し(50mL×3)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)で精製して、黄色固体生成物11bを得た(1.33g、収率:84.6%)。
【0090】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 9.94(m,1H),7.59(m,4H),7.04(m,2H)。
【0091】
ステップ2:化合物11cの調製
室温下、3,5-ジフルオロ-4-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)ベンズアルデヒド11b(1.33g、4.4mmol)を、50mLメチルエタノールに溶解して、0℃でNaBH(166mg、4.4mmol)を加えて、室温で0.5時間撹拌して反応させ、減圧濃縮して、水を加えて、酢酸エチルで抽出し(100mL×2)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=2/1)で精製して、無色油状生成物11cを得た(0.85g、収率:63.5%)。
【0092】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.57(m,2H),7.09-7.00(m,4H),4.72(m,2H),2.03(m,1H)。
【0093】
ステップ3:化合物11の調製
3,5-ジフルオロ-4-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニル)メタノール11c(67mg、0.22mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物1e(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物11を得た(13.4mg、12%)。
【0094】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.58(m,2H),7.10(m,2H),7.03(m,2H),5.42(s,2H),5.21(s,1H),4.34(m,1H),4.01(m,1H),3.94(m,1H),3.73(m,1H),3.64-3.55(m,2H),3.53(m,1H),3.34-3.25(m,2H),2.17(m,1H),1.72(m,1H).MS(ESI):m/z 510.0[M+H]
【0095】
実施例12 化合物12の調製
【化27】
【化28】
【0096】
ステップ1:化合物12bの調製
室温下、3-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェノール12a(0.25g、1.23mmol)、3,4,5-トリフルオロベンズアルデヒド4a(0.22g、1.4mmol)及び炭酸カリウム(0.23g、1.65mmol)を、20mL N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、90℃で2時間撹拌して反応させ、冷却した後に100mLの氷水を注いで、酢酸エチルで抽出し(50mL×3)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製して、黄色固体生成物12bを得た(0.32g、収率:77.3%)。
【0097】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 9.95(s,1H),7.69-7.56(m,3H),7.10(m,1H),6.92(m,1H)。
【0098】
ステップ2:化合物12cの調製
室温下、4-(3-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-3,5-ジフルオロベンズアルデヒド12b(0.32g、0.95mmol)を、50mLメタノールに溶解して、0℃でNaBH(36mg、0.94mmol)を加えて、室温で0.5時間撹拌して反応させ、減圧濃縮して、水を加えて、酢酸エチルで抽出し(100mL×2)、有機相を合併して、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、乾燥剤をろ過して除去し、ろ液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(石油エーテル/酢酸エチル=4/1)で精製して、白色固体状生成物12cを得た(0.15g、収率:46.6%)。
【0099】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.62(m,1H),7.13-7.00(m,3H),6.90(m,1H),4.74(m,2H),1.88(m,1H)。
【0100】
ステップ3:化合物12の調製
(4-(3-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-3,5-ジフルオロフェニル)メタノール12c(74.5mg、0.22mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物1e(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物12を得た(17.4mg、14.5%)。
【0101】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.61(m,1H),7.12(m,2H),7.09(m,1H),6.93(m,1H),5.43(s,2H),5.22(s,1H),4.35(m,1H),4.01(m,1H),3.95(m,1H),3.73(m,1H),3.65-3.55(m,2H),3.54(m,1H),3.35-3.25(m,2H),2.17(m,1H),1.73(m,1H).MS(ESI):m/z 544.1[M+H]
【0102】
実施例13
化合物13の調製
【化29】
【化30】
ステップ1:化合物13bの調製
【化31】
0℃で13a(305mg、1.82mmol)、1b(370mg、2.01mmol)を、2mLのアセトニトリルに溶解して、DIPEA(0.6ml、5.37mmol)を加えて、室温で1時間撹拌して反応させた後、減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物13bを得た(250mg、収率:49.4%)。
【0103】
ステップ2、3:化合物13dの調製
【化32】
0℃でMsCl(0.08mL、1.0mmol)及び13b(250mg、0.9mmol)を、8mLのジクロロメタンに溶解して、トリエチルアミン(0.34mL、2.44mmol)を加えて、室温で1時間撹拌して反応させ、反応液を減圧濃縮して、そのまま次の反応を行った。前工程の粗製品を2mLのジオキサン/水(3:1)に溶解して、室温で炭酸カリウム(331mg、2.4mmol)を加えて、100℃で3時間撹拌して反応させ、減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物13dを得た(160mg、73.6%)。
【0104】
H NMR(400MHz,DMSO)δ 5.69(s,1H),4.40(m,1H),4.01(m,1H),3.96(m,1H),3.60-3.57(m,3H),3.53(m,1H),3.33-3.25(m,2H),2.18(m,1H),1.73(m,1H).MS(ESI):m/z 242.0[M+H]
【0105】
ステップ4:化合物13の調製
【化33】
(3,4,5-トリフルオロフェニル)メタノール(39mg、0.24mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物13d(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物13を得た(12mg、14.8%)。
【0106】
H NMR(400MHz,MeOD)δ 7.32(m,2H),5.42(s,2H),5.21(s,1H),4.34(m,1H),4.01(m,1H),3.93(m,1H),3.73(m,1H),3.63-3.56(m,2H),3.51(m,1H),3.32-3.25(m,2H),2.16(m,1H),1.73(m,1H).MS(ESI):m/z 368.1[M+H]
【0107】
実施例14 化合物14の調製
【化34】
(2,3-ジフルオロフェニル)メタノール(35mg、0.24mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物13d(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物14を得た(15mg、19.6%)。
【0108】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.49(m,1H),6.94-6.80(m,2H),5.41(s,2H),5.22(s,1H),4.35(m,1H),4.01(m,1H),3.93(m,1H),3.72(m,1H),3.63-3.57(m,2H),3.53(m,1H),3.35-3.25(m,2H),2.17(m,1H),1.73(m,1H).MS(ESI):m/z 350.1[M+H]
【0109】
実施例15 化合物15の調製
【化35】
(3,5-ジフルオロ-4-((2-(トリフルオロメチルピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)メタノール4d(67mg、0.22mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物13d(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物15を得た(23mg、20.4%)。
【0110】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.60(m,1H),7.23(s,1H),7.12(m,2H),7.03(m,1H),5.41(s,2H),5.22(s,1H),4.33(m,1H),4.02(m,1H),3.93(m,1H),3.73(m,1H),3.65-3.56(m,2H),3.53(m,1H),3.32-3.25(m,2H),2.18(m,1H),1.73(m,1H).MS(ESI):m/z 511.1[M+H]
【0111】
実施例16 化合物16の調製
【化36】
(3,5-ジフルオロ-4-((2-メチル)ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)メタノール5c(55mg、0.22mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物13d(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体目的生成物16を得た(15mg、15%)。
【0112】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.35(m,1H),7.11(m,2H),6.71-6.63(m,2H),5.42(s,2H),5.21(s,1H),4.35(m,1H),4.02(m,1H),3.93(m,1H),3.73(m,1H),3.63-3.56(m,2H),3.53(m,1H),3.34-3.25(m,2H),2.51(s,3H),2.18(m,1H),1.73(m,1H).MS(ESI):m/z 457.1[M+H]
【0113】
実施例17 化合物17の調製
【化37】
(3,5-ジフルオロ-4-((6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)オキシ)フェニル)メタノール6c(67mg、0.22mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、17mg、0.42mmol)を加えて、室温で20分間撹拌して反応させた後、化合物13d(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物17を得た(20.0mg、収率:17.8%)。
【0114】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.51(m,1H),7.63(m,1H),7.30(m,1H),7.11(m,2H),5.41(s,2H),5.22(s,1H),4.35(m,1H),4.00(m,1H),3.93(m,1H),3.74(m,1H),3.65-3.56(m,2H),3.53(m,1H),3.32-3.25(m,2H),2.17(m,1H),1.76(m,1H).MS(ESI):m/z 511.1[M+H]
【0115】
実施例18 化合物18の調製
【化38】
(3,5-ジフルオロ-4-((6-メチルピリジン-3-イル)オキシ)フェニル)メタノール7c(56mg、0.22mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物13d(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物18を得た(16mg、16%)。
【0116】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.28(m,1H),7.12(m,4H),5.42(s,2H),5.22(s,1H),4.33(m,1H),4.01(m,1H),3.93(m,1H),3.73(m,1H),3.63-3.56(m,2H),3.53(m,1H),3.34-3.25(m,2H),2.50(s,3H),2.18(m,1H),1.75(m,1H).MS(ESI):m/z 457.1[M+H]
【0117】
実施例19 化合物19の調製
【化39】
(3,5-ジフルオロ-4-(3-(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニル)メタノール9c(73mg、0.24mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物13d(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物19を得た(12.3mg、11%)。
【0118】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.43(m,1H),7.30(m,1H),7.17(s,1H),7.12(m,3H),5.42(s,2H),5.21(s,1H),4.35(m,1H),4.01(m,1H),3.93(m,1H),3.73(m,1H),3.65-3.56(m,2H),3.53(m,1H),3.34-3.25(m,2H),2.17(m,1H),1.73(m,1H).MS(ESI):m/z 510.1[M+H]
【0119】
実施例20 化合物20の調製
【化40】
3,5-ジフルオロ-4-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニル)メタノール11c(67mg、0.22mmol)を、5mL乾燥N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中含有量60%、18mg、0.44mmol)を加えて、室温で5分間撹拌して反応させた後、化合物13d(53mg、0.22mmol)を加えて、1時間撹拌して反応させた後、少量の水を加えて反応を中止させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて溶離液系(ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製して、白色固体生成物20を得た(16.8mg、15%)。
【0120】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.58(m,2H),7.12(m,2H),7.01(m,2H),5.42(s,2H),5.22(s,1H),4.35(m,1H),4.01(m,1H),3.93(m,1H),3.73(m,1H),3.63-3.55(m,2H),3.53(m,1H),3.35-3.25(m,2H),2.16(m,1H),1.73(m,1H).MS(ESI):m/z 510.1[M+H]
【0121】
生物学的評価
化合物の生物活性は、Lp-PLA2阻害剤としての化合物活性を測定するいかなる適宜な測定方法及び組織・インビボモデルを用いることによって測定することができる。
【0122】
(1)組換えヒトLp-PLA2測定(rhLp-PLA2)、PED6の測定とも呼ばれる
PED6は、蛍光標識のリン脂質であり、Invitogene又はMolecular Probesから直接入手可能である。そのSnの3位に蛍光消光のp-ニトロフェニル基が結合され、snの2位にBodipyフルオレセイン(FL)基が結合されているが、Lp-PLA2酵素によって破壊された場合、FL基が放出されることによって、蛍光が増強する。しかし、Lp-PLA2阻害剤がこのような破壊の発生を阻害することによって、蛍光の増強は観察されない。
【0123】
測定方法:被測定化合物(表1に示されたとおり)とDMSO溶液とを、体積比1:3で混合し、希釈して384ウェルマイクロプレートのソースプレートとした。その後、ECHOリキッドハンドラーを用いて、0.01μLの化合物をソースプレートから384ウェルGreiner784076プレートに移して、50mMのHEPES、pH7.4、150mMのNaCl、1mMのCHAPSからなる緩衝液(この緩衝液には濃度が4nM又は110pMの組換えヒトLp-PLA2酵素が含まれている)5μLを、プレートの各ウェルに加えた。プレートを500rpmで10秒間遠心し、30分間の予備インキュベーションを経た後、5μLの上記緩衝液を、384ウェルGreiner784076プレートに加えて、プレートを500rpmで10秒間遠心して、避光で室温で20分間インキュベーションした後、ViewLuxマイクロプレートイメージャーを用いてex480/em540で蛍光強度を読み取り、ExcelのXL回帰モデルで曲線及びQC分析を行って、pIC50を算出し、結果を表1にまとめた。
【表1】
【0124】
(2)ヒト血漿Lp-PLA2測定(Thio-PAF測定とも呼ばれる)
ヒト血漿測定は、PAF(ホスファチジルコリン)のスルファチド類似体を利用し、加水分解して遊離メルカプト基を含むリン脂質を生じ、CPMとマイケル付加を行って、蛍光を増強するマレイミドを生成し、蛍光強度を測定することによって、メルカプタンを連続定量分析することができる。この方法によれば、Lp-PLA2阻害剤のヒト血漿におけるLp-PLA2酵素に対する阻害活性を測定できる。
【0125】
測定方法:被測定化合物(表2に示されたとおり)とDMSO溶液とを、体積比(1:3)で混合し、希釈して384ウェルマイクロプレートのソースプレートとした。ECHOリキッドハンドラーを用いて、0.01μLの化合物をソースプレートから384ウェルGreiner784076少量プレートに移した後、予め均等に分けて冷凍した8μLの混合ヒト血漿を加えた。プレートを500rpmで10秒間遠心し、30分間の予備インキュベーションを経た後、BRAVOリキッドハンドリングシステムを用いて、2.5mMの2-チオPAF(エタノール溶液)、32μMのCPM(DMSO溶液)、及び3.2mMのN-エチルマレイミド(NEM)の緩衝液(50mMのHEPES、pH7.4、150mMのNaCl、1mMのCHAPSからなる緩衝液)を含む基質溶液2μLを、384ウェルGreiner784076少量プレートに加えて、2分後、5μL5%のトリフルオロ酢酸で反応を中止させ、避光で室温で40分間インキュベーションした後、Envisionマイクロプレートリーダーを用いてex380/em485で蛍光強度を読み取り、ExcelのXL回帰モデルで曲線及びQC分析を行って、pIC50を算出し、結果を表2にまとめた。
【表2】